(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】旋回機構
(51)【国際特許分類】
B25J 19/00 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
B25J19/00 C
(21)【出願番号】P 2021029512
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2024-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】韓 勝成
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-104695(JP,A)
【文献】特開昭62-028194(JP,A)
【文献】特開昭58-165982(JP,A)
【文献】実開昭64-052680(JP,U)
【文献】米国特許第04688985(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定台と、固定台に対して回転軸の周りに旋回する旋回台とを備えた旋回機構であり、
前記固定台と前記旋回台のうち、いずれか一方の台には、前記固定台に対する前記旋回台の相対的な旋回を旋回制限位置で電気的に制限するリミットスイッチが設けられており、
他方の台には、前記旋回制限位置を越えた旋回禁止位置で、前記固定台に対する前記旋回台の旋回を停止させる第1ストッパが設けられており、
前記一方の台には、前記第1ストッパと前記旋回禁止位置で当接することで、前記固定台に対する前記旋回台の旋回を機械的に停止させる第2ストッパが設けられており、
前記第1ストッパには、前記リミットスイッチに前記旋回制限位置を検出させるための被検出部と、前記旋回禁止位置で前記一方の台の前記第2ストッパに当接する当接部とが、形成されて
おり、
前記第1ストッパは、前記他方の台の前記第1ストッパの設置面から立設するように、前記当接部の両側から旋回方向に延在する一対の側壁部が、対向して形成されており、
前記一対の側壁部のうち、一方の側壁部に、前記被検出部が形成されていることを特徴とする旋回機構。
【請求項2】
前記各側壁部には、前記設置面から前記側壁部の縁部までの高さが、前記当接部側から旋回方向に進むに従って低くなるように、傾斜した傾斜部が形成されていることを特徴とする請求項
1に記載の旋回機構。
【請求項3】
前記第1ストッパには、前記一対の側壁部に連続し、前記他方の台の前記第1ストッパの設置面に固定される固定部が形成されており、
前記固定部と前記当接部との間には、空隙が形成されていることを特徴とする請求項
1または2に記載の旋回機構。
【請求項4】
前記他方の台には、前記第1ストッパが2つ設けられており、
一方の第1ストッパは、前記回転軸の周りの一方向の旋回を停止させるものであり、
他方の第1ストッパは、前記一方向の旋回に対して反対方向の旋回を停止させるものであり、
2つの前記第1ストッパは、それぞれの当接部が重なるように、前記他方の台に固定されていることを特徴とする請求項1~
3のいずれか一項に記載の旋回機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定台と、固定台に対して回転軸周りに旋回する旋回台とを備えた旋回機構に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の旋回機構として、特許文献1には、固定台に固定側ストッパを設け、旋回台に、旋回用ストッパを設けた旋回機構が提案されている。旋回用ストッパは、ピンにより枢着されたレバーを有しており、レバーの先端は、リミットスイッチに接触している。固定側ストッパが、レバーに当接すると、レバーが枢動し、リミットスイッチを起動させ、旋回機構の旋回を電気的に制限することができる。さらに、旋回機構がさらに旋回すると、レバーがさらに枢動し、旋回用ストッパのスプリングボルトに接触し、さらなる旋回を停止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る旋回機構は、ストッパ同士が当接する(衝突する)ことにより、固定台と旋回台との旋回を機械的に停止することができるが、ストッパ同士は、直接接することなく、リミットスイッチに検出させるレバーを介して衝突する。このため、その構造が複雑なものとなり、ピンにより枢着されたレバーの枢動がし難くなると、リミットスイッチによる検出ができないおそれがある。
【0005】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、よりシンプルな構造で、リミットスイッチによる検出と、固定台に対する旋回台の旋回の機械的な停止と、を安定して行うことができる旋回機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を鑑みて、本発明に係る旋回機構は、固定台と、固定台に対して回転軸の周りに旋回する旋回台とを備えた旋回機構であり、前記固定台と前記旋回台のうち、いずれか一方の台には、前記固定台に対する前記旋回台の相対的な旋回を旋回制限位置で電気的に制限するリミットスイッチが設けられており、他方の台には、前記旋回制限位置を越えた旋回禁止位置で、前記固定台に対する前記旋回台の旋回を停止させる第1ストッパが設けられており、前記一方の台には、前記第1ストッパと前記旋回禁止位置で当接することで、前記固定台に対する前記旋回台の旋回を機械的に停止させる第2ストッパが設けられており、前記第1ストッパには、前記リミットスイッチに前記旋回制限位置を検出させるための被検出部と、前記旋回禁止位置で前記一方の台の第2ストッパに当接する当接部とが、形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、固定台と旋回台のいずれか一方の台に、リミットスイッチを設け、他方の台に設けられた第1ストッパには、リミットスイッチに旋回制限位置を検出させるための被検出部が形成されている。これにより、固定台に対する前記旋回台の相対的な旋回を旋回制限位置で電気的に制限することができる。さらに、旋回制限位置を越えた旋回禁止位置では、一方の台に設けられた第2ストッパに、第1ストッパの当接部が、当接(衝突)するので、第1および第2ストッパによりメカストッパとして作用し、固定台に対する旋回台の旋回を機械的に停止させることができる。このように、本発明によれば、第1ストッパに、リミットスイッチに旋回制限位置を検出させるための被検出部と、旋回禁止位置で一方の台の第2ストッパに当接する当接部と、を設けたので、よりシンプルな構造で、これらの台の相対的な旋回に対する、電気的な停止(制限)と、機械的な停止を行うことができる。
【0008】
ここで、当接部と被検出部とが、第1ストッパに形成されているのであれば、その構成は特に限定されるものではないが、より好ましい態様としては、前記第1ストッパは、前記他方の台の前記第1ストッパの設置面から立設するように、前記当接部の両側から旋回方向に延在する一対の側壁部が、対向して形成されており、前記一対の側壁部のうち、一方の側壁部に、前記被検出部が形成されている。
【0009】
この態様によれば、第1ストッパの一対の側壁部は、旋回方向(すなわち、回転軸の周り)に当接部から延在しているので、一対の側壁部は、第2ストッパが当接部に当接した際の補強部分として機能する。さらに、一対の側壁部のうち、一方の側壁部に、被検出部が形成されているので、よりシンプルな構造で、補強部分として機能と、リミットスイッチの被検出部分としての機能を、一方の側壁部に担わせることができる。
【0010】
ここで、一方の側壁部に、被検出部を形成することができるのであれば、側壁部の形状は、特に限定されるものではないが、より好ましい態様としては、前記各側壁部には、前記設置面から前記側壁部の縁部までの高さが、前記当接部側から旋回方向に進むに従って低くなるように、傾斜した傾斜部が形成されている。
【0011】
この態様によれば、第2ストッパが、第1ストッパの当接部に衝突し、第1ストッパの当接部の変形に伴い、対向した一対の側壁部の間隔が狭まるように変形する。この際、各側壁部に、当接部側から旋回方向に進むに従って低くなるように、傾斜した傾斜部を設けることにより、対向した一対の側壁部の間隔が狭まるように、一対の側壁部が変形したとしても、傾斜部から第2ストッパを逃がすことができるため、第2ストッパが、一対の側壁部に包まれることを回避することができる。これにより、第1ストッパの変形に起因して、第2ストッパが機械的に拘束されることを防止することができる。
【0012】
ここで、第1ストッパは、例えば側壁部を設置面に溶接等により直接的に固定してもよいが、さらに、好ましい態様としては、前記第1ストッパには、前記一対の側壁部に連続し、前記他方の台の前記第1ストッパの設置面に固定される固定部が形成されており、前記固定部と前記当接部との間には、空隙が形成されている。
【0013】
この態様によれば、固定部は、一対の側壁部に連続しているため、第2ストッパが当接部に衝突した際に、各側壁部が変形することを抑えることができる。さらに、固定部と当接部との間に、形成された空隙により、第2ストッパが当接部に衝突した際に、当接部41が弾性変形し易いため、当接部41の衝撃緩衝性を高めることができる。
【0014】
より好ましい態様としては、前記他方の台には、前記第1ストッパが2つ設けられており、一方の第1ストッパは、前記回転軸の周りの一方向の旋回を停止させるものであり、他方の第1ストッパは、前記一方向の旋回に対して反対方向の旋回を停止させるものであり、2つの前記第1ストッパは、それぞれの当接部が重なるように、前記他方の台に固定されている。
【0015】
この態様によれば、2つの第1ストッパの当接部が重なるように、2つの第1ストッパを配置することにより、一方向の旋回および反対方向から衝突する第2ストッパを、2つの当接部で受けることができる。また、同じ形状の第1ストッパを、当接部が重なるように配置すれば、より安価に、固定台に対する旋回台の旋回を機械的に停止させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、よりシンプルな構造で、リミットスイッチによる検出と、固定台に対する旋回台の旋回の機械的な停止とを、安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る産業用ロボットを正面側から視た斜視図である。
【
図2】
図1に示す産業用ロボットを背面側から視た斜視図である。
【
図3】
図2に示す産業用ロボットの旋回台を旋回させた状態の斜視図である。
【
図4】
図3に示す産業用ロボットの旋回機構を説明するための要部側面図である。
【
図5】
図4に示す旋回機構を説明するための要部斜視図である。
【
図6】
図5に示す第1ストッパの模式的斜視図である。
【
図7】(a)から(d)は、
図6に示す第1ストッパの変形例に係る模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態に係る旋回機構10を有した産業用ロボット1(以下、ロボット1という)を
図1~
図7を参照しながら詳述する。
【0019】
図1および
図2に示すように、ロボット1は、その先端に把持装置、溶接装置などのエンドエフェクタが取付けられるものである。
【0020】
1.ロボット1の全体構造
本実施形態に係るロボット1は、マニュピュレータである。なお、ロボット1は、各モータ等を制御する制御装置(図示せず)を備えており、制御装置により、ロボット1の動作が制御される。
【0021】
ロボット1は、固定台11と旋回台12とを備えており、固定台11は、設置面に固定されている。旋回台12は、減速機を介して固定台11に取付けられており、設置面に対して直交する方向に沿った第1軸J1の周りに旋回する。旋回台12は、第1モータ61の出力軸(図示せず)に接続されている。これにより、旋回台12を固定台11に対して第1軸J1の周りに旋回させることができる。
【0022】
ロボット1は、旋回台12に基端が枢着されたロアアーム13と、ロアアーム13の先端に枢着されるアッパアーム14と、アッパアーム14の先端に枢着された支持アーム15と、有している。これらのアームは、金属製であり、たとえば、鋳鉄、またはアルニウム合金鋳物等の鋳物からなる。
【0023】
ロアアーム13は、第1軸J1と直交する方向に平行となる第2軸J2に、旋回台12に対して回動自在に枢着されており、第2モータ62の動力により、ロアアーム13は、旋回台12に対して第2軸J2の周りに回動する。アッパアーム14は、第2軸J2と平行となる第3軸J3の周りに、ロアアーム13に対して回動自在に枢着されており、第3モータ63の動力により、アッパアーム14は、ロアアーム13に対して第3軸J3の周りに回動する。
【0024】
アッパアーム14は、ロアアーム13の先端に枢着される関節部16と、アッパアーム14の長手方向に沿った第4軸J4の周りに回動自在となるように、関節部16に取付けられたアーム本体17と、を備えている。具体的は、ロアアーム13と関節部16とが、上述した第3モータ63を介して、回動自在に枢着されている。アーム本体17は、第4モータ64の動力により、関節部16に対して第4軸J4の周りに回動する。
【0025】
さらに、アッパアーム14の先端は、ロボット1の手首部に相当する部分であり、エンドエフェクタ(図示せず)を支持する支持アーム15が取付けられている。本実施形態では、アッパアーム14には、支持アーム15をアーム本体17に対して枢動させる第5モータ(図示せず)が内蔵されている。
【0026】
第5モータは、アッパアーム14に内蔵された動力伝達ベルト等を介して、支持アーム15に接続されている。これにより、第5モータの動力が、アッパアーム14に内蔵された動力伝達ベルト(図示せず)に伝達されることで、支持アーム15は、アーム本体17に対して第5軸J5で枢動(揺動)する。さらに、アッパアーム14には、支持アーム15の軸心(具体的には第6軸J6)の周りに、支持アーム15の先端部(本体部)を回動させる第6モータ(図示せず)が内蔵されている。
【0027】
2.旋回機構10について
旋回機構10は、固定台11と、固定台11に対して第1軸J1の周りに旋回する旋回台12とを備えている。
図3は、
図2に示す産業用ロボット1の旋回台12を、第1方向R1に旋回させた状態の斜視図である。
【0028】
本実施形態では、
図3~
図5に示すように、固定台11には、固定台11に対する旋回台12の相対的な旋回を旋回制限位置で電気的に制限するリミットスイッチ20が設けられている。リミットスイッチ20は、接触式のスイッチであり、旋回機構10の内側(第2軸J2側)に向いた接触子21を備えている。この接触子21が後述する第1ストッパ40A、40Bに非接触の状態で、第1モータ61に電力が供給され、接触子21が第1ストッパ40A、40Bに接触した状態で、第1モータ61への電力の供給が遮断される。なお、
図1、
図2では、リミットスイッチ20は、カバーが取付けられた状態を示しているが、
図3~5では、
図1および
図2に示すカバーを取り外し、リミットスイッチ20が露出した状態を示している。
【0029】
2つの第1ストッパ40A、40Bのうち、一方の第1ストッパ40Aは、第1軸J1の周りの第1方向R1の旋回を停止するものであり、他方の第1ストッパ40Bは、第2方向R2(第1方向R1とは、反対方向(逆方向))の旋回を停止するものである。
【0030】
図5は、リミットスイッチ20の接触子21が、第1ストッパ40A(後述する被検出部43)に、旋回制限位置で接触した状態を示しており、この状態では、旋回台12による第1方向R1(
図3参照)のさらなる旋回は、電気的に制限される。同様に、旋回台12が第2方向(逆方向)R2の旋回する際に、リミットスイッチ20の接触子21が、第1ストッパ40B(後述する被検出部43)に、旋回制限位置で接触すると、旋回台12による第2方向R2のさらなる旋回は、電気的に制限される。
【0031】
なお、第1方向R1および第2方向R2は、いずれも旋回台12が旋回する旋回方向であり、第1軸J1を軸心とした周方向である。本実施形態に係る「第1方向R1および第2方向R2」が、本発明でいう「旋回方向」に相当し。本発明に係る「第1軸J1」が、本発明でいう「回転軸」に相当する。
【0032】
本実施形態では、リミットスイッチ20は、接触式のスイッチであったが、例えば、レザまたは磁気等を利用したスイッチであってもよく、旋回制限位置で、後述する第1ストッパ40A、40Bの被検出部43を検出することができるのであれば、その検出原理は、特に限定されるものではない。
【0033】
本実施形態では、旋回台12には、上述した2つの第1ストッパ40A、40Bが設けられており、固定台11には、第1ストッパ40A、40Bに衝突する第2ストッパ30が設けられている。第1ストッパ40A、40Bと第2ストッパ30とが当接する(衝突する)ことにより、固定台11に対する旋回台12の、第1方向R1または第2方向R2の旋回を機械的に停止させることができる。
【0034】
ここで、第2ストッパ30は、例えば、固定台11に螺着された六角孔付きボルトの頭部等、円柱状の金属製のストッパであり、リミットスイッチ20の接触子21に対して、固定台11の内側に(具体的には、接触子21よりも第1軸J1側に)、間隔をあけて、並設されている。より具体的には、接触子21と、第2ストッパ30とは、第1軸J1を軸心とした径方向に並んで配置されており、これらの間には、後述する第2ストッパ30の被検出部43が入り込むことが可能な隙間が形成されている。
【0035】
本実施形態では、第1方向R1に旋回した旋回台12が、第1方向R1の旋回制限位置(
図5参照)を越えた旋回禁止位置まで旋回したときに、第1ストッパ40Aは、第2ストッパ30に接触し、固定台11に対する旋回台12の旋回を機械的に停止させる。一方、第2方向R2に旋回した旋回台12が、第2方向R2の旋回制限位置を越えた旋回禁止位置まで旋回したときに、第1ストッパ40Bは、固定台11に対する旋回台12の旋回を機械的に停止させる。
【0036】
図6に示すように、本実施形態では、2つの第1ストッパ40A、40Bは、同一の形状である。第1ストッパ40A、40Bは、鉄またはアルミニウム製の金属板材を機械加工した後、折り曲げ加工することにより、成形された成形体である。第1ストッパ40A、40Bは、リミットスイッチ20に旋回制限位置を検出させるための被検出部(ドグ)43と、旋回禁止位置で固定台11の第2ストッパ30に当接する当接部41とが、形成されている。
【0037】
2つの第1ストッパ40A、40Bは、それぞれの当接部41、41が重なるように、旋回台12に固定されている。2つの第1ストッパ40A、40Bの当接部41、41が重なるように、配置することにより、2つの当接部41、41で、第1方向R1および第2方向R2の旋回における第2ストッパ30の衝突を受けることができる。また、同じ形状の第1ストッパ40A、40Bを、当接部41、41が重なるように配置すれば、より安価に、固定台11に対する旋回台12の旋回を機械的に停止させることができる。
【0038】
第1ストッパ40A、40Bは、旋回台12の第1ストッパ40A、40Bの設置面12aから立設するように、当接部41の両側から旋回方向(第1方向R1または第2方向R2)に延在する一対の側壁部42A、42Bが、対向して形成されている。
【0039】
本実施形態では、一対の側壁部42A、42Bのうち、旋回台12の外側にある一方の側壁部42Aに、被検出部43が形成されている。被検出部43は、当接部41から離れる旋回方向に張り出しており、その旋回方向の先端の外側縁には、テーパ面43aが形成されている。これにより、固定台11に対して旋回台12が旋回制限位置に到達した際に、リミットスイッチ20の接触子21を、被検出部43にスムーズに接触させることができる。
【0040】
なお、本実施形態では、被検出部43と同じ形状が、旋回台12の内側にある他方の側壁部42Bにも形成されているので、2つの第1ストッパ40A、40Bを同一の形状であっても、いずれの第1ストッパ40A、40Bにも、被検出部43を設けることができる。
【0041】
このようにして、第1ストッパ40A、40Bの一対の側壁部42A、42Bは、旋回方向(すなわち、第1軸J1の周り)に当接部41から延在しているので、一対の側壁部42A、42Bは、第2ストッパ30が当接部41に当接した際の補強部分として機能する。さらに、一対の側壁部42A、42Bのうち、一方の側壁部42Aに、被検出部43が形成されているので、よりシンプルな構造で、補強部分として機能と、リミットスイッチ20の被検出部分としての機能を、一方の側壁部42Aに担わせることができる。
【0042】
さらに、第1ストッパ40A、40Bには、各側壁部42A、42Bには、設置面12aから側壁部42A、42Bの縁部までの高さが、当接部41側から旋回方向に進むに従って低くなるように、傾斜した傾斜部44が形成されている。より具体的には、傾斜部44は、第2ストッパ30が当接部41に当接した後、当接部41が変形した際に、第2ストッパ30に向かう一対の側壁部42A、42Bの変形から、第2ストッパ30を逃がすように、傾斜している。
【0043】
ここで、第2ストッパ30が、第1ストッパ40A、40Bの当接部41に衝突し、第1ストッパ40A、40Bの当接部41の変形に伴い、対向した一対の側壁部42A、42Bの間隔が狭まるように変形することがある。この際、各側壁部42A、42Bに、このような傾斜部を設けることにより、対向した一対の側壁部42A、42Bの間隔が狭まるように、一対の側壁部42A、42Bが変形したとしても、傾斜部44から第2ストッパ30を逃がすことができる。このため、第2ストッパ30が、一対の側壁部42A、42Bに包まれることを回避することができるため、第1ストッパ40A、40Bの変形に起因して、第2ストッパ30が機械的に拘束されることを防止することができる。
【0044】
さらに、本実施形態では、第1ストッパ40A、40Bには、一対の側壁部42A、42Bに連続し、旋回台12の第1ストッパ40A、40Bの設置面12aに固定される固定部45が形成されている。ここで、固定部45は、一対の側壁部42A、42Bから連続した板状部分を重ね合わせた構造であり、固定部45には、固定ボルト81(
図4参照
)で旋回台12に第1ストッパ40A、40Bを固定するための貫通孔46が、形成されている。さらに、固定部45と当接部41との間には、空隙48が形成されている。空隙48は、当接部41の幅方向、具体的には、一対の側壁部42A、42Bの間にわたって、形成されている。
【0045】
この態様によれば、固定部45は、一対の側壁部42A、42Bに連続しているため、第2ストッパ30が当接部41に衝突した際に、各側壁部42A、42Bが変形することを抑えることができる。さらに、固定部45と当接部41との間に、形成された空隙48により、第2ストッパ30が当接部41に衝突した際に、当接部41が弾性変形し易いため、当接部41の衝撃緩衝性を高めることができる。
【0046】
以上、本実施形態では、固定台11にリミットスイッチ20を設け、旋回台12に設けられた第1ストッパ40A、40Bには、リミットスイッチ20に旋回制限位置を検出させるための被検出部43が形成されている。これにより、固定台11に対する旋回台12の相対的な旋回を旋回制限位置で電気的に制限することができる。
【0047】
さらに、旋回制限位置を越えた旋回禁止位置では、固定台11に設けられた第2ストッパ30に、第1ストッパ40A、40Bの当接部41が、当接(衝突)するので、固定台11に対する旋回台12の旋回を機械的に停止させることができる。
【0048】
このように、第1ストッパ40A、40Bに、リミットスイッチ20に旋回制限位置を検出させるための被検出部43と、旋回禁止位置で固定台11の第2ストッパ30に当接する当接部41と、を設けたので、よりシンプルな構造で、固定台11および旋回台12の相対的な旋回に対する、電気的な停止(制限)と、機械的な停止を行うことができる。
【0049】
ここで、例えば、
図7(a)~(d)に示すように、本実施形態の2つの第1ストッパ40A、40Bの代わりに、1つの第1ストッパ40C~40Fで構成してもよい。
図7(a)に示すように、この場合には、固定部45、45を形成する1枚の板状部材40aと、当接部41および側壁部42A、42Bを形成する2枚の屈曲した板材40b、40bと、を接合した第1ストッパ40Cを形成してもよい。
【0050】
さらに、
図7(b)に示すように、固定部45、45を形成する1枚の板状部材40aと、当接部41および側壁部42A、42Bを形成する1つの成形体40cと、を接合した第1ストッパ40Dを形成してもよい。
【0051】
図7(c)に示すように、当接部41と固定部45とを形成する2枚の屈曲部材40dを挟み込むように、側壁部42A、42Bを形成する2枚の板材40e、40fを接合した第1ストッパ40Eを形成してもよく、さらに、
図7(d)に示すように、側壁部42Aのみを形成するように、1枚の板材40eを、2枚の屈曲部材40dに接合した第1ストッパ40Fを設けてもよい。この他にも、
図7(a)~
図7(c)に示す如く、被検出部43が形成された側壁部42Aを、側壁部42Bに比べて、旋回方向に沿って、さらに延在させてもよい。
【0052】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【0053】
本実施形態では、固定台が、本発明でいう一方の台に相当し、旋回台が、本発明でいう他方の台に相当したが、旋回台が、本発明でいう一方の台に相当し、固定台が、本発明でいう他方の台に相当するようにしてもよい。具体的には、固定台に、第1ストッパを設け、旋回台に、第2ストッパとリミットスイッチを設けてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1:ロボット(産業用ロボット)、10:旋回機構、11:固定台(一方の台)、12:旋回台(他方の台)、20:リミットスイッチ、30:第2ストッパ、40A~40F:第1ストッパ、41:当接部、42A、42B:側壁部、43:被検出部、45:固定部、48:空隙