(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
D06F 37/28 20060101AFI20241120BHJP
D06F 37/30 20200101ALI20241120BHJP
D06F 33/30 20200101ALI20241120BHJP
D06F 34/20 20200101ALI20241120BHJP
【FI】
D06F37/28
D06F37/30
D06F33/30
D06F34/20
(21)【出願番号】P 2021030358
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2023-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】山村 翔悟
(72)【発明者】
【氏名】河野 源一郎
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-164291(JP,A)
【文献】特開2006-116324(JP,A)
【文献】特開2005-279180(JP,A)
【文献】特開2009-082260(JP,A)
【文献】特開平10-033900(JP,A)
【文献】特表2018-510034(JP,A)
【文献】特表2019-504730(JP,A)
【文献】特開平9-164290(JP,A)
【文献】特開2020-039383(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0299927(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F37/00-37/42
D06F33/00-33/76
D06F34/00-34/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と、
前記外箱内部に設けられた水槽と、
前記水槽内に衣類を出し入れ可能に設けられた衣類出入口と、
前記衣類出入口を開閉可能に設けられた蓋部と、
を備え、
前記蓋部は、
前記衣類出入口を覆う蓋本体部と、
前記蓋本体部を支持する支持部と、
前記支持部に設けられ、人力を要することなく前記蓋本体部を開閉させる開閉機構部と、
を有し、
前記蓋本体部が前記衣類出入口を閉塞したことを検知する閉塞検知部と、
外部の通信端末と通信を行う通信部と、
前記通信端末との距離を検知する距離検知部と、
を備え、
前記開閉機構部は、前記閉塞検知部によって前記蓋本体部が前記衣類出入口を閉塞したことが検知されておらず、且つ、前記距離検知部によって検知される前記通信端末との距離が所定距離以上離れている場合に、前記蓋本体部を閉じて前記衣類出入口を閉塞する衣類処理装置。
【請求項2】
前記開閉機構部は、前記閉塞検知部によって前記蓋本体部が前記衣類出入口を閉塞したことが検知されている状態が、所定の運転終了後において所定時間経過しても継続している場合に、前記蓋本体部を開いて前記衣類出入口を開放する
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項3】
前記開閉機構部による前記蓋本体部の開閉速度を調整可能である請求項1または2に記載の衣類処理装置。
【請求項4】
前記開閉機構部は、前記蓋本体部を開閉させる開閉動作の実行時以外においては前記蓋本体部の開閉を抑制する請求項1から3の何れか1項に記載の衣類処理装置。
【請求項5】
前記開閉機構部に作用する負荷を検知する負荷検知部を有し、
前記負荷検知部は、前記開閉機構部による前記蓋本体部の開閉動作の実行中に所定以上の負荷を検知した場合に、前記開閉機構部の動作を停止させる請求項1から4の何れか1項に記載の衣類処理装置。
【請求項6】
前記閉塞検知部は、前記蓋本体部が前記衣類出入口を閉塞したことを検知した場合に、前記開閉機構部の動作を停止させる請求項1から5の何れか1項に記載の衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されている洗濯機は、衣類に所定の処理として洗い処理などを施す衣類処理装置の一例である。この洗濯機は、衣類出入口を開閉する蓋部にガラス材を用いた構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓋部にガラス材を用いることにより、デザイン性の高い外観を実現することができる。しかし、蓋部にガラス材を用いた構成によれば、蓋部全体としての重量が増加してしまう。そのため、蓋部の操作性が低下してしまう恐れがある。
【0005】
そこで、蓋部の操作性を向上できる衣類処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に関わる衣類処理装置は、外箱と、前記外箱内部に設けられた水槽と、前記水槽内に衣類を出し入れ可能に設けられた衣類出入口と、前記衣類出入口を開閉可能に設けられた蓋部と、を備え、前記蓋部は、前記衣類出入口を覆う蓋本体部と、前記蓋本体部を支持する支持部と、前記支持部に設けられ、人力を要することなく前記蓋本体部を開閉させる開閉機構部と、を有する。そして、前記蓋本体部が前記衣類出入口を閉塞したことを検知する閉塞検知部と、外部の通信端末と通信を行う通信部と、前記通信端末との距離を検知する距離検知部と、を備え、前記開閉機構部は、前記閉塞検知部によって前記蓋本体部が前記衣類出入口を閉塞したことが検知されておらず、且つ、前記距離検知部によって検知される前記通信端末との距離が所定距離以上離れている場合に、前記蓋本体部を閉じて前記衣類出入口を閉塞する。あるいは、前記蓋本体部が前記衣類出入口を閉塞したことを検知する閉塞検知部を備え、前記開閉機構部は、前記閉塞検知部によって前記蓋本体部が前記衣類出入口を閉塞したことが検知されている状態が、所定の運転終了後において所定時間経過しても継続している場合に、前記蓋本体部を開いて前記衣類出入口を開放する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る洗濯機の構成例を示すものであり、蓋部が閉じられた閉塞状態を示す洗濯機の斜視図
【
図2】第1実施形態に係る洗濯機の構成例を示すものであり、蓋部が開いた開放状態を示す洗濯機の斜視図
【
図3】第1実施形態に係る蓋部が開放状態における洗濯機の側面図
【
図4】第1実施形態に係る蓋部が閉塞状態における洗濯機の上部の構成例を示す縦断側面図
【
図5】第1実施形態に係る蓋部及び回動軸部の外観構成を示す斜視図
【
図6】第1実施形態に係る洗濯機の制御系の構成例を概略的に示すブロック図
【
図7】第1実施形態に係る蓋閉塞動作における制御内容の一例を示すフローチャート
【
図8】第2実施形態に係る運転終了後に行われる制御内容の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、衣類処理装置に係る複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0009】
(第1実施形態)
図1から
図3に例示する洗濯機1は、衣類に所定の処理、この場合、少なくとも、衣類を洗う洗い処理、衣類をすすぐすすぎ処理、衣類を脱水する脱水処理を施すことが可能な衣類処理装置の一例である。この場合、洗濯機1は、洗濯槽の回転軸が縦方向である、いわゆる縦軸型の洗濯機である。洗濯機1は、その本体部分を構成する洗濯機本体2の上部に矩形板状の蓋部3を備える。蓋部3の左右方向の幅は、洗濯機本体2の左右方向の幅とほぼ同じ寸法となっている。なお、本開示において「ほぼ同じ寸法」とは、両者が完全に一致する寸法である場合を含み、また、両者の寸法が同一と見做せるほど僅かに異なる場合も含む。
【0010】
洗濯機本体2は、例えば鋼板により構成される矩形箱状の外箱4と、例えば合成樹脂により構成されるトップカバー5と、を備える。トップカバー5は、外箱4の上部に設けられている。即ち、トップカバー5は、洗濯機本体2の上部を構成する。トップカバー5は例えばポリプロピレン樹脂により構成されている。
【0011】
図4に例示するように、外箱4の内部には、水を貯留することが可能な有底円筒状の水槽6が、図示しない弾性吊持機構により弾性的に支持されている。そして、この水槽6の内部には、衣類が収容される洗濯槽7が回転可能に設けられている。洗濯槽7の回転軸は、洗濯機本体2の上下方向に延びる縦軸である。水槽6の上部には、内蓋8を有する水槽カバー9が設けられている。
【0012】
トップカバー5は、下面が開口し、上面が前方に向けて下降傾斜する薄形の中空箱状をなす。トップカバー5の中央部には、洗濯槽7の上方に位置して衣類出入口10が設けられている。衣類出入口10は、水槽6内ひいては洗濯槽7内に衣類を出し入れ可能に設けられた開口部である。衣類出入口10は、前側が円弧状に開口し、後側が矩形状に開口する。衣類出入口10は、トップカバー5の上面から下面にかけて同じ形状、つまり、前側が円弧状、後側が矩形状となる、上下方向に深さを有した開口となっている。この場合、トップカバー5の上面は前方に向けて下降傾斜している。そのため、衣類出入口10の深さは、前側よりも後側の方が深い。
【0013】
蓋部3は、衣類出入口10を開閉可能に設けられている。蓋部3は、トップカバー5の上面において前後方向に回動可能に設けられている。即ち、蓋部3は、衣類出入口10を覆う主体となる部分である蓋本体部3Aと、この蓋本体部3Aを回動可能に支持する回動軸部3Bと、を備えている。回動軸部3Bは、支持部の一例であり、蓋部3の基端部において左右方向に延びている。回動軸部3Bは、洗濯機本体2に対し、蓋本体部3Aひいては蓋部3全体を回動可能に支持する。回動軸部3Bは、蓋部3の基端部において当該蓋部3の左右方向に延びる円筒状をなしている。
【0014】
一方、トップカバー5の上部において衣類出入口10よりも後側となる部分には、トップカバー5の左右方向に延びる凹部12が設けられている。凹部12は、円筒状の回動軸部3Bの形状に対応するように断面円弧状に窪んだ形状となっている。凹部12の左右方向の幅は、トップカバー5の左右方向の幅、換言すれば洗濯機本体2の左右方向の幅とほぼ同じ寸法となっている。従って、凹部12は、その左右方向の両端部が塞がれておらず、洗濯機本体2の側方に向けて露出した構成となっている。そして、蓋部3の回動軸部3Bは、洗濯機本体2側の凹部12に収容される。これにより、蓋部3は、洗濯機本体2の上部に回動可能に支持される。
【0015】
図2および
図3に例示するように、トップカバー5の上部、換言すれば洗濯機本体2の上部には、衣類出入口10を閉じた状態つまり閉塞状態の蓋部3を支持する蓋支持部13が設けられている。蓋支持部13は、衣類出入口10の周囲において平面状に設けられている。この場合、蓋支持部13は、衣類出入口10の前端部を除いて当該衣類出入口10の周囲を囲むように形成されている。
【0016】
また、トップカバー5の前部の上部、換言すれば洗濯機本体2の前部の上部には、洗濯機1に各種の操作を入力するための操作パネル14が設けられている。操作パネル14は、蓋支持部13の前部において当該蓋支持部13に連続するように設けられている。蓋支持部13の上面と操作パネル14の上面は、ほぼ或いは完全に面一となっている。これにより、衣類出入口10の周囲は、蓋支持部13の上面と操作パネル14の上面とからなる、ほぼ或いは完全に段差の無い連続した平面部によって囲まれた状態となっている。操作パネル14の後部の中央部には、衣類出入口10の前側の開口形状に沿って円弧状に窪む窪み部15が設けられている。
【0017】
図4に例示するように、蓋本体部3Aは、裏面カバー16とガラス面材17との間にガラス貼付部材18を備える。裏面カバー16は、例えば結晶性の合成樹脂材料により構成され、薄型の矩形箱状をなしている。裏面カバー16は、蓋部3の裏面を構成する。蓋部3の裏面は、
図1に例示するように当該蓋部3が衣類出入口10を閉じた閉塞状態においては下面となり、
図2に例示するように当該蓋部3が衣類出入口10を開いた開放状態においては前面となる面である。裏面カバー16は、蓋部3が衣類出入口10を閉塞した閉塞状態において平面状の蓋支持部13と面する部分が、ほぼ或いは完全な平面状に設けられている。
【0018】
また、
図4に例示するように、回動軸部3Bの内部には、蓋部3の回動中心となる回動軸3Baが設けられている。回動軸3Baは、蓋部3の表面と裏面の間に収まる範囲内に設けられている。回動軸3Baは、蓋部3が衣類出入口10を閉じた状態であるのか開いた状態であるのかに関わらず、常に、衣類出入口10の後端部よりも高い位置において、その高さが変動することなく維持される。
【0019】
そして、
図4および
図5に例示するように、回動軸部3Bには、開閉機構部の一例である電動式の自動開閉機構部50が設けられている。自動開閉機構部50は、例えば図示しないモータやギアなどを含む機構系の構成要素を組み合わせた構成であり、ガラス面材17を含む蓋本体部3Aひいては蓋部3全体を、ユーザによる人力を要することなく、換言すれば、ユーザによる補助を要することなく開閉することができる動力、換言すれば、トルクを発生することが可能に構成されている。
【0020】
また、自動開閉機構部50は、例えば図示しないクラッチ機構などを備えている。自動開閉機構部50は、このようなクラッチ機構を備えることにより、ガラス面材17を含む蓋本体部3Aひいては蓋部3全体の開閉速度を変化させることが可能に構成されている。つまり、洗濯機1は、自動開閉機構部50による蓋本体部3Aひいては蓋部3の開閉速度を調整可能である。
【0021】
また、自動開閉機構部50は、蓋本体部3Aひいては蓋部3全体を開閉させる開閉動作の実行時以外においては、蓋本体部3Aひいては蓋部3全体の開閉を抑制するように構成されている。即ち、自動開閉機構部50は、例えば図示しない減速機構などを備えており、蓋本体部3Aひいては蓋部3全体を開閉させる開閉動作の実行時以外においては、蓋本体部3Aひいては蓋部3全体の開閉速度を減速あるいは停止させることが可能となっている。なお、減速機構は、例えばウォームギアや摩擦機構などといった周知の減速機構を適用することができる。また、自動開閉機構部50は、蓋本体部3Aひいては蓋部3全体を開閉させる開閉動作の実行時以外においては、蓋本体部3Aひいては蓋部3全体の回動を不能とする構成としてもよい。
【0022】
図6には、制御部40を中心とした洗濯機1の電気的構成をブロック図で示している。制御部40は、例えばマイクロコンピュータを主体として構成されている。制御部40は、洗濯機1が備える各種の駆動系の構成要素や各種のセンサ類などから各種の信号が入力される。制御部40は、入力される各種の信号に基づき、制御プログラムに従って洗濯機1の運転全般を制御する制御手段として機能する。
【0023】
自動開閉機構部50は、蓋本体部3Aひいては蓋部3全体の開閉動作を、例えばモータなどを含む機構により電動で行う構成である。そして、制御部40は、自動開閉機構部50の機構の動作状態を検知することで、蓋部3が衣類出入口10を閉塞した閉塞状態であるのか、あるいは、蓋部3が衣類出入口10を開放した開放状態であるのか、あるいは、蓋部3が閉塞状態と開放状態との間の状態つまり中間状態であるのか、を判定することができる。
【0024】
負荷検知部51は、自動開閉機構部50に作用する負荷を検知する。負荷検知部51は、例えば自動開閉機構部50に発生しているトルクを検知する周知のトルクセンサなどで構成されており、検知したトルクの大きさに基づき、自動開閉機構部50に作用している負荷の大きさを特定可能となっている。
【0025】
通信部52は、例えばスマートフォンなどといった洗濯機1外部の通信端末100と通信可能である周知の無線通信モジュールなどで構成されている。
【0026】
距離検知部53は、通信端末100と当該距離検知部53との間の距離、換言すれば、通信端末100を携帯するユーザと距離検知部53を備える洗濯機1との間の距離を検知する。距離検知の方法としては、種々の方法を適用することができる。
【0027】
即ち、距離検知部53は、洗濯機1が設置されている位置を示す情報を予め記憶している。洗濯機1が設置されている位置を示す情報は、例えば、ユーザが操作パネル14を介して入力することに基づき設定することができる。そして、距離検知部53は、スマートフォンなどの通信端末100から通信部52を介して当該通信端末100の位置を示す情報を取得する。そして、距離検知部53は、洗濯機1が設置されている位置を示す情報と通信端末100の位置を示す情報とに基づき両者間の距離を特定することが可能である。
【0028】
また、距離検知部53は、例えばマイクなどといった音声を取得する音声取得部を備え、この音声取得部によりユーザの音声を検知することにより、洗濯機1の近傍にユーザが存在することを判定するように構成してもよい。この場合、ユーザと洗濯機1との間の距離を正確に判定することは困難であるが、洗濯機1の近傍にユーザが存在することを十分に把握することができる。
【0029】
また、閉塞検知部54は、蓋本体部3Aひいては蓋部3全体が衣類出入口10を閉塞したことを検知する。即ち、洗濯機1は、洗濯機本体2内に、蓋本体部3Aひいては蓋部3全体が衣類出入口10を閉塞したことに伴いオンするスイッチあるいはセンサを備えている。閉塞検知部54は、このスイッチあるいはセンサが、蓋本体部3Aひいては蓋部3全体が衣類出入口10を閉塞したことに伴いオンすることに基づき、蓋本体部3Aひいては蓋部3全体が衣類出入口10を閉塞したことを検知可能となっている。なお、蓋本体部3Aひいては蓋部3全体が衣類出入口10を閉塞したことに伴いオンするスイッチあるいはセンサは、例えば、蓋部3側に設けられた突起によって押圧される機械的なスイッチであってもよいし、蓋部3側に設けられた磁石の磁力を検知する磁気センサなどであってもよい。もしくは、閉塞検知部54は、自動開閉機構50の動作状況から、蓋本体部3Aひいては蓋部3全体が衣類出入口10を閉塞したことを検知してもよい。
【0030】
また、制御部40には、洗濯槽7を回転させる駆動モータ61や、水槽6内に水を供給する給水機構部の給水弁62、水槽6内の水を機外に排出する排水機構部の排水弁63などが接続されている。また、制御部40には、図示しない衣類処理剤投入装置のポンプ部が接続されている。その他、詳しい図示は省略するが、制御部40には、洗濯機1が備える各種の駆動系の構成要素や各種のセンサ類などが接続されている。
【0031】
制御部40は、自動開閉機構部50によって蓋部3全体を回動させて衣類出入口10を閉塞する蓋閉塞動作、および、自動開閉機構部50によって蓋部3全体を回動させて衣類出入口10を開放する蓋開放動作を実行可能である。次に、このうちの蓋閉塞動作について説明する。
【0032】
図7に例示するように、制御部40は、自動開閉機構部50による蓋閉塞動作を開始すると(ステップS11)、負荷検知部51により、自動開閉機構部50に作用する負荷を検知する(ステップS12)。そして、制御部40は、負荷検知部51により検知された負荷Rが所定の閾値R1より小さいか否かを判断する(ステップS13)。なお、閾値R1は、自動開閉機構部50に作用する負荷が異常であるか否かを判定するための閾値であり、例えば、自動開閉機構部50による動力の発生性能や蓋部3の重量や大きさなどに応じて適宜の値を設定することができる。
【0033】
制御部40は、ステップS12で検知した負荷Rが閾値R1より小さい場合には(ステップS13:YES)は、蓋部3が衣類出入口10を閉塞する閉塞位置まで回動したことが検知されたか否かを確認する(ステップS14)。そして、制御部40は、蓋部3が衣類出入口10を閉塞する閉塞位置まで回動したことが検知されない場合には(ステップS14:NO)、ステップS12に移行する。即ち、制御部40は、蓋部3が衣類出入口10を閉塞する閉塞位置まで回動したことが検知されるまで、ステップS12からステップS14までの処理を繰り返す。そして、制御部40は、蓋部3が衣類出入口10を閉塞する閉塞位置まで回動したことが検知されると(ステップS14:YES)、この蓋閉塞動作を終了する(ステップS15)。つまり、制御部40は、自動開閉機構部50の動作を停止させる。
【0034】
また、制御部40は、ステップS12で検知した負荷Rが閾値R1より大きい場合には(ステップS13:NO)、即座に自動開閉機構部50の動作を停止して(ステップS15)、この蓋閉塞動作を終了する。なお、制御部40は、ステップS12で検知した負荷Rが閾値R1より大きい場合には(ステップS13:NO)、自動開閉機構部50の動作を停止つまり蓋部3の回動を停止し(ステップS15)、その後、自動開閉機構部50を動作させて蓋部3を開く方向へ回動させるステップを加えても良い。なお、詳しい図示は省略するが、制御部40は、蓋開放動作についても、自動開閉機構部50の動作を制御することにより自動で行うことができる。
【0035】
以上に例示した洗濯機1によれば、蓋部3は、蓋本体部3Aを支持する回動軸部3Bに、ユーザによる人力を要することなく蓋本体部3Aひいては蓋部3全体を開閉させる自動開閉機構部50を備えている。この構成によれば、ユーザによる手動操作を要することなく蓋部3を自動で開閉させることができ、蓋部3の操作性を向上することができる。
【0036】
また、洗濯機1によれば、蓋部3は、ガラス面材17を含む構成であり、ガラス面材17を備えていない従来の蓋部に比べ、その重量が増加している。しかしながら、洗濯機1によれば、このような重量がある蓋部3を自動開閉機構部50によって自動で開閉させることができる。よって、ガラス面材17を含み重量が増加した蓋部3であっても、その操作性を一層向上することができる。
【0037】
また、洗濯機1によれば、蓋部3の開閉を自動開閉機構部50によって自動で行うことができる。よって、蓋部3が誤って開いてしまったり、あるいは、閉じてしまったりすることを回避することができ、使い勝手の向上や、安全性の向上を図ることができる。
【0038】
また、洗濯機1によれば、自動開閉機構部50による蓋本体部3Aひいては蓋部3全体の開閉速度を調整可能である。この構成によれば、蓋本体部3Aひいては蓋部3全体を、所望の速度によって自動的に開閉させることができ、使い勝手の一層の向上や、安全性の一層の向上を図ることができる。
【0039】
また、洗濯機1によれば、自動開閉機構部50は、蓋本体部3Aひいては蓋部3全体を開閉させる開閉動作の実行時以外においては、蓋本体部3Aひいては蓋部3全体の開閉を抑制するように構成されている。この構成によれば、蓋本体部3Aひいては蓋部3全体を開閉させる開閉動作の実行時以外において、つまり、蓋部3を開閉させる必要が無い状況において、意図せず蓋部3が開いてしまったり、あるいは、閉じてしまったりすることを回避することができ、使い勝手の一層の向上や、安全性の一層の向上を図ることができる。また、洗濯機1によれば、自動開閉機構50は、蓋部3の開閉動作を実行しない状態では、蓋部3全体の開閉を抑制するように構成されている。この構成によれば、閉塞状態にある蓋部3が意図せず開かないように蓋部3とトップカバー5とを機械的に係止する必要がなく、つまり、閉塞状態にある蓋部3をロックする構成を設ける必要がない。よって、裏面カバー16を面一な状態にすることができる。また、蓋支持部13も面一な状態にすることができる。
【0040】
また、洗濯機1によれば、負荷検知部51は、自動開閉機構部50による蓋本体部3Aひいては蓋部3全体の開閉動作の実行中に所定以上の負荷Rを検知した場合に、自動開閉機構部50の動作、換言すれば、蓋部3の開閉動作を停止させるように構成されている。自動開閉機構部50に作用する負荷が大きくなる場合には、例えば、蓋部3と蓋支持部13との間に衣類やユーザの手指などが挟まっている可能性が考えられる。そのため、自動開閉機構部50に作用する負荷が所定の大きさよりも大きくなるような場合には、自動開閉機構部50の動作つまり蓋部3の回動動作を停止させることにより、蓋部3と蓋支持部13との間に挟まっている物体が押し潰されてしまうことを回避することができ、安全性の一層の向上を図ることができる。
【0041】
また、洗濯機1によれば、閉塞検知部54は、蓋本体部3Aひいては蓋部3全体が衣類出入口10を閉塞したことを検知した場合には、自動開閉機構部50の動作を停止させる。この構成によれば、衣類出入口10を閉塞した蓋部3が、さらに閉塞方向側に回動されてしまうことを回避することができ、蓋部3に無用な負荷が作用してしまうことを防止することができる。なお、洗濯機1は、蓋本体部3Aひいては蓋部3全体が衣類出入口10を閉塞したことを検知したことに応じて、直ちに自動開閉機構部50の動作を停止させてもよいし、所定時間が経過した後に自動開閉機構部50の動作を停止させてもよい。
【0042】
また、洗濯機1によれば、外部の通信端末100と通信可能である通信部52や、通信端末100を携帯するユーザとの間の距離を検知可能である距離検知部53を備えている。このように構成される洗濯機1によれば、外部の通信端末100からの操作を受け付けることに応じて、あるいは、ユーザが洗濯機1に接近したことを検知したことに応じて、自動開閉機構部50により蓋部3を自動で開閉させることができ、利便性の向上を図ることができる。
【0043】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について
図8を参照しながら説明する。本実施形態は、洗濯機1が運転を終了したことに応じて行う制御の一例を開示するものである。
【0044】
制御部40は、所定の運転、例えば、衣類を洗う洗い行程、衣類をすすぐすすぎ行程、衣類を脱水する脱水行程を含む標準的な洗濯運転を終了すると、閉塞検知部54によって蓋本体部3Aが衣類出入口10を閉塞したことが検知されている状態つまり蓋部3が衣類出入口10を閉塞した閉塞状態が、運転終了後において所定時間経過しても継続しているか否かを判定する(ステップS21)。なお、このステップS21における「所定時間」は、適宜変更して設定することができる。
【0045】
そして、制御部40は、蓋部3の閉塞状態が運転終了後において所定時間経過しても継続していると判定した場合には(ステップS21:YES)、自動開閉機構部50によって蓋部3を自動的に開く(ステップS22)。その後、制御部40は、閉塞検知部54によって蓋本体部3Aが衣類出入口10を閉塞したことが検知されていない状況において、距離検知部53によって検知される通信端末100との間の距離に基づき、ユーザが洗濯機1に接近したか否かを判定する(ステップS23)。即ち、制御部40は、蓋部3が開かれている状況において、距離検知部53によって検知される距離情報に基づき、通信端末100を携帯するユーザが洗濯機1から所定距離の範囲内に存在するか否かを判定する。
【0046】
そして、制御部40は、ユーザが洗濯機1に接近したと判定すると(ステップS23:YES)、距離検知部53によって検知される通信端末100との間の距離に基づき、ユーザが洗濯機1から離れたか否かを判定する(ステップS24)。即ち、制御部40は、距離検知部53によって検知される距離情報に基づき、通信端末100を携帯するユーザが洗濯機1から所定距離の範囲内から離脱したか否かを判定する。
【0047】
そして、制御部40は、ユーザが洗濯機1から離れたと判定すると(ステップS24:YES)、自動開閉機構部50によって蓋部3を自動的に閉じる(ステップS25)。
【0048】
以上に例示した洗濯機1によれば、自動開閉機構部50は、閉塞検知部54によって蓋本体部3Aが衣類出入口10を閉塞したことが検知されている状態が、所定の運転終了後において所定時間経過しても継続している場合には、蓋本体部3Aひいては蓋部3全体を自動的に開いて衣類出入口10を開放する。この構成によれば、運転終了後において蓋部3が衣類出入口10を閉塞した状態が所定時間以上継続する場合には、自動開閉機構部50によって蓋部3を自動的に開くことができる。よって、ユーザによる蓋部3の操作を要せずとも、水槽6内の湿度を低下させたり、水槽6内の空気を入れ替えたりすることを自動的に行うことができ、水槽6内における臭いの発生やカビの発生などを抑制することができる。
【0049】
また、洗濯機1によれば、自動開閉機構部50は、閉塞検知部54によって蓋本体部3Aが衣類出入口10を閉塞したことが検知されておらず、且つ、距離検知部53によって検知される通信端末100つまりユーザとの距離が所定距離以上離れている場合には、蓋本体部3Aひいては蓋部3全体を自動的に閉じて衣類出入口10を閉塞する。この構成によれば、例えば、ユーザが外出している場合において、蓋部3が開かれたままの状態となっている場合には、自動開閉機構部50によって蓋部3を自動的に閉じることができる。よって、例えばユーザの外出時において蓋部3が開かれたままの状態で維持されてしまうことを回避することができ、水槽6内に、例えば塵埃などの異物やペットや子供などが入り込んでしまうことを防止することができる。
【0050】
(その他の実施形態)
なお、本発明に係る実施形態は、上述した複数の実施形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。例えば、洗濯機1は、上述した複数の実施形態を適宜組み合わせた構成としてもよい。
【0051】
以上、本発明に係る複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、あくまでも例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
図面中、1は洗濯機(衣類処理装置)、3は蓋部、3Aは蓋本体部、3Bは回動軸部(支持部)、4は外箱、6は水槽、10は衣類出入口、50は自動開閉機構部(開閉機構部)、51は負荷検知部、52は通信部、53は距離検知部、54は閉塞検知部、100は通信端末を示す。