(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】撮像装置、情報取得装置、および、撮像方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/02 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
A61B5/02 310Z
(21)【出願番号】P 2021037363
(22)【出願日】2021-03-09
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】富澤 亮太
(72)【発明者】
【氏名】大鐘 ひなつ
(72)【発明者】
【氏名】奥村 哲也
(72)【発明者】
【氏名】足立 佳久
【審査官】鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-017876(JP,A)
【文献】特開2020-127169(JP,A)
【文献】特開2018-038553(JP,A)
【文献】特開2019-209042(JP,A)
【文献】特開2018-008039(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0239762(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02-5/03
A61B 5/06-5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
4K以上の解像度を有し、動画を撮像する撮像部と、
前記撮像部が前記動画を撮像する撮像モードを、第1撮像モードから第2撮像モードへ切り替えるための切替スイッチと、を有し、
前記第2撮像モードは、前記第1撮像モードよりも、前記動画に映る生体の脈波を示す脈波情報の変化量を検出する分解能が高い前記動画を撮像する前記撮像モードであ
り、
前記第2撮像モードにて撮像される前記動画は、前記第1撮像モードにて撮像される前記動画よりも、狭い色域に基づいて作成される撮像装置。
【請求項2】
4K以上の解像度を有し、動画を撮像する撮像部と、
前記撮像部が前記動画を撮像する撮像モードを、第1撮像モードから第2撮像モードへ切り替えるための切替スイッチと、を有し、
前記第2撮像モードは、前記第1撮像モードよりも、前記動画に映る生体の脈波を示す脈波情報の変化量を検出する分解能が高い前記動画を撮像する前記撮像モードであり、
前記第2撮像モードにて撮像される前記動画は、前記第1撮像モードにて撮像される前記動画よりも、狭いダイナミックレンジに基づいて作成され
る撮像装置。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の撮像装置と、
前記第2撮像モードにて撮像された前記動画に基づいて、前記脈波情報を取得する生体情報取得部と、を有する生体情報取得装置。
【請求項4】
前記動画に前記生体が映っているか否かを判定する判定部と、
前記動画に前記生体が映っている場合、前記撮像部の前記撮像モードを、前記第1撮像モードから前記第2撮像モードへ切り替える撮像制御部と、を有する、請求項
3に記載の生体情報取得装置。
【請求項5】
前記撮像部が撮像した前記動画に含まれる複数のフレームそれぞれ毎に圧縮する圧縮部、を有する、請求項
3または
4に記載の生体情報取得装置。
【請求項6】
入力信号を取得するステップと、
前記入力信号を取得すると、撮像部が動画を撮像する撮像モードを、第1撮像モードよりも、前記動画に映る生体の脈波を示す脈波情報の変化量を検出する分解能が高い前記動画を撮像する第2撮像モードへ切り替えるステップと、を有
し、
前記第2撮像モードにて撮像される前記動画は、前記第1撮像モードにて撮像される前記動画よりも、狭い色域に基づいて作成される撮像方法。
【請求項7】
入力信号を取得するステップと、
前記入力信号を取得すると、撮像部が動画を撮像する撮像モードを、第1撮像モードよりも、前記動画に映る生体の脈波を示す脈波情報の変化量を検出する分解能が高い前記動画を撮像する第2撮像モードへ切り替えるステップと、を有し、
前記第2撮像モードにて撮像される前記動画は、前記第1撮像モードにて撮像される前記動画よりも、狭いダイナミックレンジに基づいて作成される撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の一態様は、撮像装置、情報取得装置、および、撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、撮像された画像から脈波を検出する脈波検出装置が開示されている。特許文献1の脈波検出装置では、撮像された画像から作成された画素の輝度値のヒストグラムに基づき、輝度値が所定値未満の画素割合が閾値以上となるように、カメラの絞りを変更してカメラの光量を調整している。特許文献1によると、これにより、画像を撮像するカメラの光量が不足していても、輝度を向上させることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、カメラの設定を脈波の検出に適した設定に切り替える際の方法として、簡便な方法が要求されている。本開示の一態様は、簡便な方法で、脈波情報の取得に適した設定へと撮像モードの切り替えが可能な、撮像装置、情報取得装置および撮像方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る撮像装置は、4K以上の解像度を有し、動画を撮像する撮像部と、前記撮像部が前記動画を撮像する撮像モードを、第1撮像モードから第2撮像モードへ切り替えるための切替スイッチと、を有し、前記第2撮像モードは、前記第1撮像モードよりも、前記動画に映る生体の脈波を示す脈波情報の変化量を検出する分解能が高い前記動画を撮像する前記撮像モードである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】実施形態1に係る携帯端末の機能ブロック図である。
【
図3】実施形態に係る記憶部に記憶されている第1色域データによって表現される第1色域と、第2色域データによって表現される第2色域とを表す図である。
【
図4】実施形態に係る記憶部に記憶されている第1ダイナミックレンジデータによって示される第1ダイナミックレンジと、第2ダイナミックレンジデータによって示される第2ダイナミックレンジとを表す図である。
【
図5】実施形態に係る撮像制御部が作成した動画の概略図である。
【
図6】実施形態に係る生体情報取得部が画像に映る脈波を表す脈波情報を取得している様子を表す図である。
【
図7】実施形態に係る生体情報取得部が取得した脈波情報が示す脈波の波形の一例を示す図である。
【
図8】実施形態に係る制御部の動作の一例を表すフローチャートである。
【
図9】実施形態の実験例1に係る画素の解像度毎のS/N比を比較した結果を示す図である。
【
図10】実施形態の実験例1に係る画素の解像度毎の所定の輝度値以上の画素数を比較した結果を示す図である。
【
図11】実施形態に係る実験例2に係る、動画を撮像するカメラにおいて種々のパラメータを変更したときの脈波情報の比較結果を表す図である。
【
図12】実施形態に係る実験例2に係る、動画を撮像するカメラにおいて種々のパラメータを変更したときのパラメータ毎のS/N比の比較結果を表す図である。
【
図13】実施形態に係る変形例1の携帯端末の機能ブロック図である。
【
図14】実施形態に係る変形例1の制御部の動作の一例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
〔実施形態〕
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0008】
図1は、実施形態に係る携帯端末(生体情報取得装置)1の構成を表す正面図である。すなわち、
図1では、携帯端末1を平面視した様子を表している。携帯端末1は、人など生体の脈波を表す情報である脈波情報を非接触で取得可能な生体情報取得装置の一例である。
【0009】
例えば、携帯端末1は、生体の体表が映った動画または連続的な複数の静止画の撮像が可能な撮像装置40を含む。そして、携帯端末1は、撮像装置40が撮像する動画または連続的な複数の静止画に生体の体表が映っている場合、映っている生体の脈波を表す情報である脈波情報を取得する。例えば、体表が映った動画または連続的な複数の静止画には、フレーム毎(または複数の静止画それぞれ毎)に対象者の血液の流れに基づく体表の色の変化が表れているため、携帯端末1は、フレーム毎(または複数の静止画それぞれ毎)の体表の色の変化に基づいて、対象者の脈波情報を取得する。
【0010】
本実施形態では、携帯端末1は、スマートフォンであるものとして説明する。例えば、携帯端末1は、人が携帯して持ち運ぶことが可能な程度の大きさおよび重量を有している。携帯端末1は、例えば、片手で把持できる程度の大きさである。なお、携帯端末1は、スマートフォンに限らず、例えば、タブレット、ノートパソコン、または、デジタルカメラなど、動画または連続的な複数の静止画の撮像が可能な電子機器であってもよい。
【0011】
携帯端末1は、例えば、タッチパネル部2と、筐体5と、撮像部6を含む撮像装置40と、スピーカ7と、マイク8と、を備えている。例えば、携帯端末1では、タッチパネル部2、撮像部6を含む撮像装置40、スピーカ7、および、マイク8は、例えば、同一の筐体5に設けられている。
【0012】
タッチパネル部2は、動画および静止画を表示するディスプレイであると共に、対象者などのユーザからの入力を受け付ける入力装置でもある。タッチパネル部2は、表示部3と、表示部3に重ねて設けられた入力部4とを有する。
【0013】
表示部3は、動画および静止画等の画像を表示するためのディスプレイである。表示部3は、動画および静止画等の画像を表示するための領域である表示領域を有する。表示部3は、液晶ディスプレイ、有機EL(electro-luminescence)ディスプレイ等、動画および静止画等の画像を表示可能なディスプレイであればよい。
【0014】
例えば、表示部3の表示領域(言い換えると、タッチパネル部2の表示領域)には、切替スイッチ10が、画像として表示されている。切替スイッチ10は、撮像装置40の撮像モードを、高画質な画像を撮像する通常の撮像モードである第1撮像モードから、脈波を取得することに適した画像を撮像する撮像モードである第2撮像モードへ切り替えるためのスイッチである。切替スイッチ10を設けることにより、ユーザは、切替スイッチ10を選択するだけで、撮像装置40の撮像モードを、第1撮像モードから、第2撮像モードへ切り替えることができる。このように、撮像装置40は、簡便な方法で、脈波情報の取得に適した設定へと撮像モードの切り替えが可能である。
【0015】
なお、本実施形態では、切替スイッチ10を、タッチパネル部2の表示領域に画像として表示されるソフトキーであるものとして説明する。ソフトキーである切替スイッチ10は、指またはタッチペンなどの接触を入力として受け付けて、入力信号を出力する。ただし、切替スイッチ10は、ソフトキーに限定されず、例えば、タッチパネル部2の表示領域以外の領域(例えば筐体5)などに設けられ、ハードウェア構造によって構成されたハードウェアキーであってもよい。切替スイッチ10は、ハードウェアキーの場合、例えば、押されたり、スライドされたりすると入力として受け付けて、入力信号を出力する。
【0016】
入力部4は、指またはタッチペンなどの接触を、ユーザからの入力として受け付け、当該受け付けた入力に基づく入力信号を生成して出力する入力デバイスである。入力部4は、例えば、透明なタッチセンサであり、表示部3の表示領域と重なるように設けられている。すなわち、例えば、表示部3と入力部4とが一体となり、タッチパネル部2を構成している。なお、入力部4は、タッチセンサに限定されず、例えば、ユーザにより押下されることでユーザからの入力を受け付けるハードウェア構造によるスイッチなどであってもよい。
【0017】
スピーカ7は、音信号に基づいて音を発生させる音出力デバイスである。マイク8は、例えば、ユーザの声等の携帯端末1の外部の音を入力として受け付けて音信号へ変換する音入力デバイスである。
【0018】
撮像装置40は、脈波情報を取得する対象者の体表が映る動画または連続的な複数の静止画の撮像が可能なRGBカメラである。撮像装置40は、例えば、所定のフレームレート(例えば、10~300fps(frame per second))で動画を撮像する。または、撮像装置40は、所定の撮像間隔で連続する複数の静止画を撮像する。撮像装置40は、例えば、R(赤)、G(緑)およびB(青)それぞれの輝度値(画素値とも称する)を取得する色チャンネルを有するRGBカメラである。
【0019】
撮像装置40は、4K(2160画素×3840画素=8294400画素)以上の解像度を有する動画または連続的な複数の静止画の撮像が可能なカメラであることが好ましい。例えば、撮像装置40は、DCI 4K(2160画素×4096画素=8847360画素)の解像度を有する動画の撮影が可能なカメラであってもよい。例えば、撮像装置40は、8K(4320画素×7680画素=33177600画素)の解像度を有する動画または連続的な複数の静止画の撮像が可能なカメラであってもよい。なお、撮像装置40は、例えば、フルハイビジョン(1920画素×1080画素=2073600画素)など4K未満の解像度を有する動画または連続的な複数の静止画の撮像が可能なカメラであってもよい。
【0020】
なお、撮像装置40が取得する色は、RGBに限らず、例えば、シアン、マゼンタ、およびオレンジなどRGB以外の他の色であってもよい。また、撮像装置40が輝度値を取得する光は、可視光に限らず、赤外光などの不可視光であってもよい。また、撮像装置40が取得する色チャンネルの数は3つに限らず、1つであってもよい。
【0021】
撮像部6は、撮像装置40のうち、カメラの受光部を含むセンサデバイスである。撮像部6の受光部は、携帯端末1から露出する透明なカバーに覆われている。撮像部6の受光部を覆う透明なカバーは、携帯端末1の表面(タッチパネル部2に画像が表示される側の面)に露出して設けられていてもよいし、反対側の背面に露出して設けられていてもよい。
【0022】
例えば、撮像部6は、COMS(Complementary MOS)センサデバイスを用いることができる。撮像部6は、4K(2160画素×3840画素=8294400画素)以上の画素数を有するセンサデバイスであることが好ましい。例えば、撮像部6は、DCI 4K(2160画素×4096画素=8847360画素)の画素数を有するセンサデバイスであってもよい。例えば、撮像部6は、8K(4320画素×7680画素=33177600画素)の画素数を有するセンサデバイスであってもよい。なお、撮像部6は、例えば、フルハイビジョン(1920画素×1080画素=2073600画素)など4K未満の画素数を有するセンサデバイスであってもよい。
【0023】
図2は、実施形態に係る携帯端末1の機能ブロック図である。
図2に示すように、携帯端末1は、タッチパネル部2、撮像部6、スピーカ7、マイク8、および、切替スイッチ10に加え、制御部20および記憶部30を有する。制御部20は、例えば、撮像制御部21、圧縮部22および生体情報取得部23を有する。なお、撮像制御部21が作成した動画または連続する複数の静止画を圧縮しない場合は圧縮部22を省略してもよい。
【0024】
タッチパネル部2、撮像部6、スピーカ7、マイク8、切替スイッチ10および記憶部30と、撮像制御部21および圧縮部22を含む制御部20aと、を含めた構成が撮像装置40である。
【0025】
なお、例えば、本実施形態に係る情報取得装置は、撮像装置40と、生体情報取得部23を含む制御部20bと、図示しない記憶部とを有する情報端末とを有する構成であってもよい。この場合、撮像装置40は1つの独立した装置として構成され、前記情報端末は、撮像装置40から分離された1つの独立した装置として構成されてもよい。前記情報端末は、例えば、パーソナルコンピュータである。
【0026】
制御部20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサにより構成され、情報端末1の各種機能を統括的に制御する。なお、制御部20が制御部20aと制御部20bとによって構成される場合、制御部20aおよび制御部20bそれぞれが、例えば、CPUなどのプロセッサによって構成される。
【0027】
記憶部30は、例えば、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)または半導体メモリ等により実現することができる。記憶部30は、携帯端末1の一部として、携帯端末1の内部に固定された記憶媒体であってもよいし、シムカードのような携帯端末1から取り外しが可能な記憶媒体であってもよい。記憶部30には、予めインストールされた、または、携帯端末1と通信可能なサーバからインストールされた、動画または連続的な複数の静止画などの画像を作成する際に用いる種々のパラメータデータ、撮像プログラムおよび情報取得プログラムなどが記憶されている。種々のパラメータデータとしては、例えば、色域データD1、ダイナミックレンジデータD2などを挙げることができる。
【0028】
色域データD1は、作成される画像の色域を設定するためのデータであり、相対的に広い色域である第1色域データD1aと、第1色域データD1aよりも相対的に狭い色域である第2色域データD1bとを含む。また、ダイナミックレンジデータD2は、作成される画像のダイナミックレンジを設定するためのデータであり、相対的に広いダイナミックレンジである第1ダイナミックレンジデータD2aと、第1ダイナミックレンジデータD2aよりも相対的に狭いダイナミックレンジである第2ダイナミックレンジデータD2bとを含む。
【0029】
撮像プログラムは、コンピュータである制御部20を、撮像制御部21および圧縮部22として機能される。また、情報取得プログラムは、コンピュータである制御部20を生体情報取得部23として機能される。
【0030】
撮像制御部21は、撮像部6と共に動画または連続的な複数の静止画を撮像する。例えば、撮像制御部21は、入力部4からの入力信号を取得すると、入力信号に基づいて、撮像部6に駆動信号を出力することで撮像部6を駆動させる。そして、撮像制御部21は、撮像部6から光電変換された電気信号を取得すると、記憶部30に記憶された、種々のパラメータデータに基づいて、画像である動画または連続的な複数の静止画を作成する。
【0031】
撮像制御部21は、入力部4からの入力信号に応じて、撮像部6を用いて動画または連続的な複数の静止画を撮像する撮像モードを、第1撮像モードと、第2撮像モードとで切り替える。
【0032】
第1撮像モードは、第2撮像モードよりも相対的に高画質な動画または連続的な複数の静止画を撮像する撮像モードである。第2撮像モードは、第1撮像モードよりも相対的に、動画または連続的な複数の静止画に映る生体の脈波を示す脈波情報の変化量を検出する分解能が高い動画または連続的な複数の静止画を撮像する撮像モードである。
【0033】
すなわち、第1撮像モードは、生体の脈波情報の取得を目的とする動画または静止画に限定されない通常の動画または静止画を撮像するための撮像モードである。また、第2撮像モードは、生体の脈波情報が高精度で取得できるような動画または連続的な複数の静止画を撮像するための撮像モードである。
【0034】
具体的には、撮像制御部21は、入力部4から、動画または連続的な複数の静止画の撮像の開始を指示する入力信号である撮像指示信号を取得し、また、切替スイッチ10が選択されたことを示す入力信号である切替信号を取得しない場合、第1撮像モードによる撮像を開始する。第1撮像モードによる撮像とは、例えば、撮像制御部21は、撮像指示信号を取得すると、撮像部6を駆動させる。そして、撮像制御部21は、撮像部6からの光電変換された電気信号を取得すると、記憶部30を参照し、色域データD1における第1色域データD1aおよび第2色域データD2bのうち、また、ダイナミックレンジデータD2における第1ダイナミックレンジデータD2aおよび第2ダイナミックレンジデータD2bのうち、より高画質な動画または静止画の作成が可能な第1色域データD1aおよび第1ダイナミックレンジデータD2aを選択し、動画または静止画を作成する。
【0035】
また、撮像制御部21は、入力部4から、動画または連続的な複数の静止画の撮像の開始を指示する入力信号である撮像指示信号を取得し、さらに、切替スイッチ10が選択されたことを示す入力信号である切替信号を取得した場合、第1撮像モードから第2撮像モードへ切り替え、第2撮像モードによる撮像を開始する。第2撮像モードによる撮像とは、例えば、撮像制御部21は、撮像指示信号および切替信号を取得すると、撮像部6を駆動させる。そして、撮像制御部21は、撮像部6からの光電変換された電気信号を取得すると、記憶部30を参照し、色域データD1における第1色域データD1aおよび第2色域データD2bのうち、また、ダイナミックレンジデータD2における第1ダイナミックレンジデータD2aおよび第2ダイナミックレンジデータD2bのうち、より生体の脈波を示す脈波情報の変化量を検出する分解能が高い動画または連続的な複数の静止画の作成が可能な第2色域データD1bおよび第2ダイナミックレンジデータD2bを選択し、動画または静止画を作成する。
【0036】
すなわち、撮像部6に入力される光量と、撮像部6の各画素の輝度値との関係を入出力特性とすると、撮像制御部21は、第2撮像モードにて撮像する際は、第1撮像モードにて撮像する際と比べて、色域およびダイナミックレンジとも入出力特性を絞って動画または静止画を作成する。
【0037】
図3は、実施形態に係る記憶部30に記憶されている第1色域データD1aによって表現される第1色域D1A(
図3において一点鎖線で示されている)と、第2色域データD1bによって表現される第2色域D1B(
図3において二点鎖線で示されている)とを表す図である。
図3では、第1色域D1Aおよび第2色域D1Bを、xy色空間座標を用いて表現している。
【0038】
第1色域D1Aは、第2色域D1Bよりも広い。例えば、第1色域D1Aは、BT.2020をほぼカバーする広さであり、BT.709よりも広い。これにより、撮像制御部21は、第1撮像モードにて撮像する際、例えば、4Kに対応する画素数を有する撮像部6からの光電変換された電気信号を、第1色域データD1aを用いて動画または静止画を作成することにより、第1色域D1Aにて表現される、色再現範囲が広くて色彩が鮮やかである高画質な動画または静止画を作成することができる。これにより、撮像制御部21は、第1撮像モードでは、第2撮像モードよりも高品質な動画または静止画を作成することができる。なお、第1色域D1Aは、第2色域D1Bよりも広ければよく、上述した色域の範囲限定されるものではない。
【0039】
第2色域D1Bは、第1色域D1Aよりも狭く、例えば、BT.709と同等程度の色域の広さである。言い換えると、第2色域D1Bは、第1色域D1Aよりも、の体表の色が変化する色域に絞られ色域である。これにより、例えば、撮像制御部21は、第2撮像モードにて撮像する際、4Kに対応する画素数を有する撮像部6からの光電変換された電気信号に基づいて、第2色域データD1bを用いて動画または連続的な複数の静止画を作成することにより、第1色域D1Aよりも狭く、よりの体表の色が変化する色域に絞られた第2色域D1Bにて表現される、動画または連続的な複数の静止画を作成することができる。
【0040】
なお、第2色域D1Bは、第1色域D1Aよりも、狭くの体表の色が変化する色域に絞られていればよく、上述した色域の範囲に限定されるものではない。
【0041】
このように、撮像制御部21は、第2撮像モードでも、第1撮像モードで使用される高解像度の複数の画素(例えば4Kに相当する画素数である複数の画素)と同じ高解像度の複数の画素(例えば、4Kに相当する画素数である複数の画素)を用いた撮像部6から電気信号を得る。
【0042】
そして、撮像制御部21は、第2撮像モードにおいて、撮像部6から得られた電気信号から、第1撮像モード時の第1色域D1Aよりも、あえて狭くして、生体の体表の色(例えば皮膚の色)が変化する色域に近づくように絞られた第2色域D1Bによって表現される動画または連続的な複数の静止画を作成する。すなわち、撮像制御部21は、第2撮像モードによって、第1撮像モードよりも、生体の体表の色の細かい変化が表現された動画または連続する複数の静止画を作成する。
【0043】
この結果、撮像制御部21は、第1色域D1Aによって表現される動画または静止画と比べて、第2撮像モードにおいて、動画または連続的な複数の静止画に映る脈波を示す脈波情報の変化量を検出する分解能が高い動画または連続的な前記複数の静止画を作成することができる。これによって、実際の脈波を精度良く表した脈波情報を取得可能な動画または連続的な静止画を得ることができる。この結果、携帯端末1は、生体の脈波を精度良く表した脈波情報を取得することができる。
【0044】
図4は、実施形態に係る記憶部30に記憶されている第1ダイナミックレンジデータD2aによって示される第1ダイナミックレンジD2A(
図4にD2Aとして示されている)と、第2ダイナミックレンジデータD2bによって示される第2ダイナミックレンジD2B(
図4にD2Bとして示されている)とを表す図である。
図4に示す輝度は、撮像部6に入射する光の輝度の範囲を表している。
【0045】
上述のように、第1ダイナミックレンジデータD2aによって表現される第1ダイナミックレンジD2Aは、第2ダイナミックレンジデータD2bによって表現される第2ダイナミックレンジD2Bよりも広い。
【0046】
例えば、限定されるものではないが、第1ダイナミックレンジD2Aは、HDR(High Dynamic Range)と同程度であるとする。また、例えば、限定されるものではないが、第2ダイナミックレンジD2Bは、HDRよりも狭いSDR(Standard Dynamic Range)と同程度であるとする。
【0047】
そして、例えば、撮像制御部21は、第1撮像モードにて撮像する際、例えば、4Kに対応する画素数を有する撮像部6からの光電変換された電気信号を、第1ダイナミックレンジデータD2aを用いて動画または静止画を作成することにより、第1ダイナミックレンジD2Aにて表現される、輝度の範囲が広くて自然な明るさの動画または静止画を作成することができる。これにより、撮像制御部21は、第1撮像モードでは、第2撮像モードよりもダイナミックレンジが広い高画質な動画または静止画を作成することができる。
【0048】
第2ダイナミックレンジD2Bは、第1ダイナミックレンジD2Aよりも狭く絞られた範囲のダイナミックレンジである。言い換えると、第2ダイナミックレンジD2Bは、第1ダイナミックレンジD2Aと同じデータ量によって、第1ダイナミックレンジD2Aよりも狭く絞った範囲で輝度が表現される。例えば、第1ダイナミックレンジD2Aおよび第2ダイナミックレンジD2Bは、共に、X1ビットからXnビットまでのnビットで表現されるとする。第2ダイナミックレンジD2Bは、第1ダイナミックレンジD2Aと同じビット数でありながら、第2ダイナミックレンジD2Bは、あえて、第1ダイナミックレンジD2Aよりも、表現できる輝度の範囲を絞っている。
【0049】
このように、撮像制御部21は、第2撮像モードにおいて、撮像部6から得られた電気信号から、第1撮像モード時の第1ダイナミックレンジD2Aよりも、あえて表現される輝度の範囲を狭くすることにより、より狭い範囲の輝度の変化が細かく表された動画または連続的な複数の静止画を作成する。このように、輝度の変化が細かく表された動画または連続的な複数の静止画は、映っている脈波を示す体表の細かい色の変化(例えば皮膚の色の変化)も、動画のフレーム間または複数の静止画間に表されている。
【0050】
このように、撮像制御部21は、第1ダイナミックレンジD2Aによって表現される動画または静止画と比べて、第2撮像モードにおいて、動画または連続的な複数の静止画に映る脈波を示す脈波情報の変化量を検出する分解能が高い動画または連続的な複数の静止画を作成することができる。これによって、実際の脈波を精度良く表した脈波情報を取得可能な動画または連続的な静止画を得ることができる。この結果、携帯端末1は、実際の脈波を、精度よく得ることができる。
【0051】
また、特に、撮像制御部21が動画または複数の静止画を作成する際の画素値を表現する階調値の数が少ない場合、または、圧縮部22が動画または連続する複数の静止画を圧縮する場合は、生体の体表の色の変化を取得するために必要な輝度範囲以外の輝度範囲はなるべく少ない方がよい。
【0052】
このため、撮像制御部21が動画または複数の静止画を作成する際の画素値を表現する階調値の数が少ない場合、または、圧縮部22が動画または連続する複数の静止画を圧縮する場合は、特に、第2ダイナミックレンジD2Bのように、第1ダイナミックレンジD2Aよりも狭いダイナミックレンジによって動画または複数の静止画を表現することで、精度が高い脈波情報が得られる効果が高い。
【0053】
図5は、実施形態に係る撮像制御部21が作成した動画の概略図である。例えば、撮像制御部21が作成する動画は、連続する複数のフレームF1、フレームF2、フレームF3、フレームF4、・・・フレームFmを含む。
【0054】
撮像制御部21が作成する動画または連続する複数の静止画は、圧縮せずにそのまま記憶部30に記憶し、その後、生体情報取得部23によって脈波情報が取得されてもよい。または、撮像制御部21が作成する動画を圧縮してから記憶部30に記憶し、その後、圧縮された動画が解凍されて生体情報取得部23によって脈波情報が取得されてもよい。例えば、4Kまたは8Kなどの高解像度の動画の場合は情報量が多いため、撮像制御部21が作成する動画は、一旦、圧縮して記憶部30へ記憶することが好ましい。
【0055】
圧縮部22は、撮像制御部21が動画または連続する複数の静止画を作成すると、作成された動画または連続する複数の静止画を圧縮して記憶部30へ記憶する。圧縮部22が圧縮する方法は、可逆圧縮であることが好ましいが、情報量をより少なくするために非可逆圧縮によって圧縮してもよい。
【0056】
圧縮される画像が8Kの動画の場合、ビットレートは200Mbps以上であることが好ましい。圧縮される画像が4Kの動画の場合、ビットレートは50Mbps以上であることが好ましい。
【0057】
また、圧縮部22は、撮像部6および撮像制御部21が撮像した、動画含まれる複数のフレームF1、F2・・Fmそれぞれ毎、または、連続的な複数の静止画それぞれ毎に圧縮することが好ましい。すなわち、圧縮部22は、動画を圧縮する場合、フレーム間に跨って圧縮するよりも、1フレーム内のみを圧縮(例えば、フレームF1内のみを圧縮、フレームF2内のみを圧縮など)することが好ましい。また、圧縮部22は、連続する複数の静止画を圧縮する場合、複数の静止画に跨って圧縮するよりも、1つの静止画内のみを圧縮することが好ましい。
【0058】
これは、後述するように、脈波情報は、フレーム間(または複数の静止画間)のの体表の変化に基づいて取得されるため、複数のフレーム(または複数の静止画)をまとめて圧縮するよりも、1フレーム内(1つの静止画内)のみを圧縮した方が、より精度が高い脈波情報を得ることができるためである。
【0059】
なお、圧縮部22は、生体情報取得部23が脈波情報を取得する前の動画または連続する複数の静止画を圧縮するように説明したが、これに限定されず、圧縮部22が動画または連続する複数の静止画を圧縮するタイミングは任意に変更可能である。例えば、圧縮部22は、生体情報取得部23が脈波情報を取得してから動画または連続する複数の静止画を圧縮して記憶部30へ記憶してもよいし、生体情報取得部23が脈波情報を取得している最中(例えば、顔などの特徴点を検出した後)の動画または連続する複数の静止画を圧縮して記憶部30へ記憶してもよい。
【0060】
図6は、実施形態に係る生体情報取得部23が画像50に映る脈波を表す脈波情報を取得している様子を表す図である。
【0061】
生体情報取得部23は、記憶部30に記憶されている動画または連続的な複数の静止画を読み込み、画像処理することで、の脈波を示す脈波情報を取得する。生体情報取得部23は、記憶部30に記憶されている動画または連続的な複数の静止画が圧縮されていれば、解凍をしてから画像処理することで、の脈波を示す脈波情報を取得する。なお、動画または連続的な複数の静止画を画像50と称する。
【0062】
例えば、生体情報取得部23は、画像50に映る生体の体表の一部領域(例えば、額、頬、または、顎などの一部領域)を特定し、特定した一部領域における、フレーム毎(または複数の静止画毎)の生体の体表の色の変化を抽出する。そして、生体情報取得部23は、抽出した体表の色の変化に基づいて脈波を示す脈波情報を取得する。
【0063】
図6に示すように、画像50には、例えば、複数人である2名の人の顔が映っているとする。生体情報取得部23は、複数人が画像50に映っている場合は、1人の脈波情報を取得してもよいが、複数人それぞれの脈波情報を取得してもよい。
【0064】
例えば、生体情報取得部23は、画像50に映る第1の顔U1のうち、予め設定された特徴点(例えば鼻)を特定し、当該特定した特徴点(例えば鼻)を含む画像50内の領域A11を特定する。そして、当該特定した特徴点(例えば鼻)を含む領域A11から画像50内の所定の距離だけ離れた脈波情報を取得しやすい関心領域A12(例えば額)を特定する。関心領域A12は、額に限定されず、例えば、顔全体、または、頬など任意に設定すればよい。
【0065】
また、生体情報取得部23は、画像50に映る第2の顔U2についても第1の顔U1と同様に、第2の顔U2のうち、予め設定された特徴点(例えば鼻)を特定し、当該特定した特徴点(例えば鼻)を含む画像50内の領域A21を特定する。そして、当該特定した特徴点(例えば鼻)を含む領域A21から画像50内の所定の距離離れた脈波情報を取得しやすい関心領域A22(例えば額)を特定する。
【0066】
そして、生体情報取得部23は、画像50が動画であればフレーム毎の関心領域A12・A22それぞれの体表の色の変化(連続する複数の静止画であれば複数の静止画それぞれ毎の関心領域A12・A22それぞれの体表の色の変化)に基づいて、脈波を示す脈波情報を取得する。
【0067】
具体的には、例えば、生体情報取得部23は、関心領域A12に含まれる複数の画素値の代表値を算出する。関心領域A12の複数の画素値の代表値は、例えば、関心領域A12に含まれる複数の画素それぞれの画素値の平均値、中央値、または、最頻値などの統計量を用いることができる。生体情報取得部23は、関心領域A12の代表値を色チャンネルごと(例えば、R(赤)、G(緑)、B(青)ごと)に算出する。そして、生体情報取得部23は、算出した色チャンネルごとの代表値と、例えば、主成分分析、独立成分分析、または、色素成分分離などの種々の方法を用いて、脈波を示す脈波情報を算出する。生体情報取得部23は、関心領域A22についても同様にして脈波情報を算出する。これによって、生体情報取得部23は、動画または連続する複数の静止画から生体情報を取得する。
【0068】
なお、生体は人に限らず、人以外の生体であってもよい。また、脈波情報を取得する部位は、顔以外の部位であってもよい。脈波情報を取得する部位は、例えば、顔以外に、手のひら、首など、の体表が露出して映っている部位であればよい。
【0069】
図7は、実施形態に係る生体情報取得部23が取得した脈波情報が示す脈波の波形の一例を示す図である。この後、生体情報取得部23は、取得した脈波情報が示す脈波から、例えば、血圧値、脈拍数、ストレスレベル、心拍数、および、血管の健康状態を示す情報等を測定することで各種の生体情報を取得してもよい。
【0070】
また、生体情報取得部23は、動画または連続する複数の静止画に映っている生体の体動による輝度値の時間変化に基づき、呼吸を検出してもよい。例えば、肩または胸の呼吸に伴う動きを取得することで、呼吸数、呼息、および、吸息を生体情報として取得してもよい。
【0071】
生体情報取得部23が取得した脈波情報などの生体情報は、表示部3または、他のディスプレイに表示されてもよい。また、生体情報取得部23が取得した脈波情報などの生体情報は、携帯端末1以外の例えばサーバなどの記憶装置に記憶されてもよい。
【0072】
なお、
図6を用いて説明した関心領域A12・A22は、例えば、取得した脈波情報が示す脈波から、さらに、心拍数、ストレスレベル、呼吸数といった、部位に関係なく取得できる情報を取得する場合、画像に映る各人それぞれ複数の領域(複数の部位)を特定し、複数の領域(複数の部位)のうち、画素値の大きい領域(部位)を特定して関心領域A12・A22それぞれと設定することにより、情報の検出精度が高くなることが期待される。
【0073】
また、例えば、生体情報取得部23は、動画における複数のフレーム(または連続する複数の静止画)のうち1つのフレーム(1つの静止画)で特徴点(例えば鼻)を検出し、他の複数のフレーム(または他の複数の静止画)では、検知された特徴点の座標を追跡し、追跡された座標に基づいて関心領域A12・A22を設定してもよい。
【0074】
また、例えば、生体情報取得部23は、複数のフレーム(または連続する複数の静止画)のうち1つのフレーム(1つの静止画)で特徴点(例えば鼻)を検出して関心領域A12・A22を設定し、他の複数のフレーム(または他の複数の静止画)では、既に設定された関心領域A12・A22と同じ座標を関心領域A12・A22と設定してもよい。
【0075】
このように、撮像装置40が有する撮像部6および撮像制御部21は、例えば、4K以上の解像度を有する動画または連続的な複数の静止画を撮像する。すなわち、撮像部6は4Kに相当する画素数を有する。撮像装置40は、4K以上に相当する画素数を有していれば、多くの画素数によって高解像度に、動画または連続的な複数の静止画を撮像することができる。
【0076】
このため、生体情報取得部23は、多くの画素数によって撮像された高解像度の関心領域A12・A22に基づいて脈波情報を取得することができるため、精度が高い脈波情報を取得することができる。
【0077】
また、撮像装置40は、画素数が4K未満の画素数よりも多いため、例えば、画素サイズが4K未満の画素数の画素サイズと同じであれば、S/N(signal/noise)比が高い動画または連続する複数の静止画を撮像することができる。このため、生体情報取得部23は、S/N(signal/noise)比が高い関心領域A12・A22から、精度が高い脈波情報を取得することができる。
【0078】
また、撮像装置40によると、動画または連続する複数の静止画を撮像する際に周囲光が少ない場合でも、4K未満に相当する画素数を有する撮像装置と比べて、多くの画素数によって撮像されたS/N比が高い動画または連続する複数の静止画を撮像することができる。このため、生体情報取得部23は、暗い環境であり周囲光が少ない環境で撮像された動画または連続する複数の静止画であっても、S/N比が高い関心領域A12・A22に基づいて、精度が高い脈波情報を取得することができる。
【0079】
また、撮像装置40によると、高解像度の動画または連続する複数の静止画を撮像できるため、複数人が映っていても、その映っている複数人それぞれの脈波情報を一度の撮像で精度よく取得することができる。これによる、複数人の脈波情報を取得する場合、撮像装置40によると、効率よく、脈波情報を取得することができる。
【0080】
さらに、携帯端末1によると、高解像度の動画または連続する複数の静止画を撮像できるため、比較的、撮像装置40からの距離が遠くて小さくが映っている場合であっても、その映っている脈波情報を、精度よく取得することができる。このため、携帯端末1によると、脈波情報を取得できる距離を長くすることができ、利便性を向上させることができる。
【0081】
図8は、実施形態に係る制御部20の動作の一例を表すフローチャートである。
図8に示すように、ステップS11において、撮像制御部21は、ユーザの操作に基づく入力部4からの入力信号である撮像指示信号に基づき、撮像部6を駆動させて動画または連続的な複数の静止画の撮像を開始する。
【0082】
そして、ステップS12において、撮像制御部21は、切替スイッチ10が選択されたか否かを判定する。具体的には、例えば、撮像制御部21は、入力部4から、切替スイッチ10が選択されたことを示す入力信号である切替信号を取得しない場合は、切替スイッチ10が選択されていないと判定し(ステップS12のNOの場合)、ステップS13において、第1撮像モードにて動画または複数の連続する静止画を撮像する。そして、撮像制御部21は、入力部4から、撮像を終了させる旨の入力信号を取得すると、第1撮像モードでの撮像を終了する。
【0083】
また、撮像制御部21は、入力部4から、切替スイッチ10が選択されたことを示す入力信号である切替信号を取得した場合は、切替スイッチ10が選択されたと判定し(ステップS12のYESの場合)、ステップS14において、第2撮像モードに切り替えて動画または複数の連続する静止画を撮像し、動画または連続する複数の静止画を作成する。そして、ステップS15において、圧縮部22は、必要に応じて、撮像制御部21が作成した動画または連続する複数の静止画を圧縮して記憶部30へ記憶する。
【0084】
次に、ステップS16において、生体情報取得部23は、記憶部30に記憶されている動画または連続する複数の静止画を取得し、それらが圧縮されている場合は解凍をしてから、動画または連続する複数の静止画に映っている脈波を示す脈波情報を取得する。
【0085】
そして、そして、撮像制御部21は、入力部4から、撮像を終了させる旨の入力信号を取得すると、第2撮像モードでの撮像を終了する。
【0086】
このように、撮像装置40は、撮像部6および撮像制御部21を有する。撮像部6および撮像制御部21は、4K以上の解像度を有する動画または連続的な複数の静止画を撮像する。これにより、高解像度であり、S/N比が大きい動画または連続する複数の静止画を撮像することができる。このため、撮像部6および撮像制御部21は、精度が高い脈波情報の取得が可能な動画または連続する複数の静止画を撮像することができる。
【0087】
また、撮像装置40は、撮像部6が動画または連続的な複数の静止画を撮像する撮像モードを、第1撮像モードから第2撮像モードへ切り替えるための切替スイッチ10を有する。これにより、ユーザは、切替スイッチ10を選択するだけで、撮像装置40の撮像モードを、第1撮像モードから、動画または連続的な前記複数の静止画に映る生体の脈波を示す脈波情報の変化量を検出する分解能が高い前記動画または連続的な前記複数の静止画を撮像する第2撮像モードへ切り替えることができる。このように、撮像装置40によると、簡便な方法で、脈波情報の取得に適した設定へと撮像モードの切り替えが可能である。このため、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0088】
また、第2撮像モードにて撮像される動画または連続的な複数の静止画は、第1撮像モードにて撮像される動画または連続的な複数の静止画よりも、狭い色域に基づいて作成される。すなわち、
図3などを用いて説明したように、撮像制御部21は、第1撮像モード時の第1色域D1Aよりも、第2撮像モード時は、あえて、狭い第2色域D1Bによって、撮像した動画または連続する複数の静止画を表現する。これにより、第1撮像モード時よりも、生体の脈波を示す脈波情報の変化量を検出する分解能が高い動画または連続する複数の静止画を撮像することができる。これにより、精度良く、脈波情報の取得が可能な動画または連続する複数の静止画を作成することができる。
【0089】
また、第2撮像モードにて撮像される動画または連続的な複数の静止画は、第1撮像モードにて撮像される動画または連続的な複数の静止画よりも、狭いダイナミックレンジに基づいて作成される。すなわち、
図4などを用いて説明したように、撮像制御部21は、第1撮像モード時の第1ダイナミックレンジD2Aよりも、第2撮像モード時は、あえて、狭い第2ダイナミックレンジD2Bによって、撮像した動画または連続する複数の静止画を表現する。これにより、第1撮像モード時よりも、生体の脈波を示す脈波情報の変化量を検出する分解能が高い動画または連続する複数の静止画を撮像することができる。これにより、精度良く、脈波情報の取得が可能な動画または連続する複数の静止画を作成することができる。
【0090】
また、携帯端末1は、撮像装置40と、生体情報取得部23とを有する。これにより、生体情報取得部23は、撮像装置40が撮像した動画または連続する複数の静止画から、高精度な脈波情報を取得することができる。
【0091】
また、携帯端末1は圧縮部22を有している。圧縮部22は、撮像部6および撮像制御部21が撮像した、動画に含まれる複数のフレームそれぞれ毎、または、連続的な複数の静止画それぞれ毎に圧縮する。これによって、解凍された、動画または連続的な複数の静止画に基づいて、生体情報取得部23は、高精度な脈波情報を取得することができる。
【0092】
図9は、実施形態の実験例1に係る画素の解像度毎のS/N比を比較した結果を示す図である。実験例1では、8Kに相当する画素数のカメラで、カメラから5メートル離れた地点に立った人物が映る動画を撮像した。8Kに相当する動画の一部の画素を間引くように取り出すことで、4Kに相当する動画及び2Kに相当する動画を作成した。元の8Kに相当する動画及び作成した4Kに相当する動画及び2Kに相当する動画のそれぞれに映った人物の顔面の色の変化から、脈波情報を取得し、それぞれの脈波情報のS/Nを算出した。
【0093】
図9に示すように、2Kに相当する動画から取得した脈波情報のS/Nよりも、4Kに相当する動画から取得した脈波情報のS/Nの方が高く、さらに、8Kに相当する動画から取得した脈波情報のS/Nの方がさらに高いことが分かる。
【0094】
図10は、実施形態の実験例1に係る画素の解像度毎の所定の輝度値以上の画素数を比較した結果を示す図である。元の8Kに相当する動画及び作成した4Kに相当する動画及び2Kに相当する動画のそれぞれに映った人物の顔面の領域を構成する画素の内、所定の輝度値以上の画素数を比較した。
【0095】
図10に示すように、2Kに相当する動画の所定の輝度値以上の画素数よりも、4Kに相当する動画の所定の輝度値以上の画素数の方が多く、さらに、8Kに相当する動画の所定の輝度値以上の画素数の方が多いことが分かる。
【0096】
所定の輝度値以上の画素数は、2Kから4Kになると約4倍となっており、4Kから8Kになるとさらに約4倍になっていることが分かる。また、例えば、カメラの解像度が2Kから4Kになると、カメラと対象者との距離を2倍にしたときに同等の精度の脈波情報が得られることが期待される。
【0097】
図11は、実施形態に係る実験例2に係る、動画を撮像するカメラにおいて種々のパラメータを変更したときの脈波情報の比較結果を表す図である。実験例2では、8Kに相当する画素数のカメラで、種々のパラメータを変更して、カメラから50センチメートルの地点に立った人物が映る動画を撮像した。
【0098】
図12は、実施形態に係る実験例2に係る、動画を撮像するカメラにおいて種々のパラメータを変更したときのパラメータ毎のS/N比の比較結果を表す図である。
【0099】
図11に示す、SDR(Standard Dynamic Range)、HLG(Hybrid Log Gamma)、Logは、ダイナミックレンジを表している。Logガンマは小さい画素値の範囲(暗い環境)の細かい変化を再現できるようになっている。LogガンマよりもSDRの方が、脈波の波形が精度良く表されていることが分かる。また、色域を表すBT.709とBT.2020とを比較すると、BT.2020よりも、BT.709の方が、脈波の波形が精度良く表されていることが分かる。
【0100】
図12に示すように、実験例3の中で、S/N比は、「SDR BT.709」が最も高く、その次に「Log BT.709」が高く、その次に「HLG BT.2020」が高く、「Log BT.2020」は実験例3の中で最も低いことが分かる。
【0101】
〔変形例1〕
図13は、実施形態に係る変形例1の携帯端末1の機能ブロック図である。
図13に示すように、撮像装置40の制御部20(制御部20a)は、さらに、判定部25を有していてもよい。
図14は、実施形態に係る変形例1の制御部20の動作の一例を表すフローチャートである。
【0102】
図14のステップS11およびステップS12のNOの処理を経て、撮像部6および撮像制御部21が、第1撮像モードにて動画または連続する複数の静止画を撮像しているとする。
【0103】
次に、ステップS13Aにて、判定部25は、撮像部6および撮像制御部21が、第1撮像モードにて動画または連続する複数の静止画を撮像している際に、動画または連続する複数の静止画に、人などの生体が映っているか否かを判定する。そして、判定部25は、第1撮像モードにて撮像された動画または連続する複数の静止画に生体が映っていると判定すると(ステップS13AのYESの場合)、撮像部6および撮像制御部21の撮像モードを、第1撮像モードから第2撮像モードへ切り替えるように指示する。これにより、撮像部6および撮像制御部21は、撮像モードを、第1撮像モードから第2撮像モードへ切り替えて、動画または連続する複数の静止画を撮像する(ステップS14)。この後の、ステップS15、S16の処理を経る。
【0104】
このように、判定部25を設けることにより、ユーザが切替スイッチ10を選択する操作を待たずに、撮像装置40は、第1撮像モードから第2撮像モードへ切り替えて、動画または連続する複数の静止画を撮像する。これにより、さらに、脈波情報を取得する際のユーザの手間を省き、より簡便な方法で、脈波情報の取得に適した設定へと撮像モードの切り替えが可能な撮像装置40を得ることができる。
【0105】
〔変形例2〕
本開示における撮像装置40または撮像方法の主体は、コンピュータとして制御部20aを備えている。このコンピュータが撮像プログラムを実行することによって、本開示における撮像装置40または撮像方法の主体の機能が実現される。
【0106】
また、本開示における携帯端末(情報取得装置)1または情報取得方法の主体は、コンピュータとして制御部20を備えている。このコンピュータが情報取得プログラムを実行することによって、本開示における携帯端末(情報取得装置)1または情報取得方法の主体の機能が実現される。
【0107】
コンピュータは、撮像プログラムおよび情報取得プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、撮像プログラムおよび情報取得プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、またはLSI(Large Scale Integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。撮像プログラムおよび情報取得プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記憶媒体に記録される。撮像プログラムおよび情報取得プログラムは、記憶媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む電気通信回線を介して記憶媒体に供給されてもよい。
【0108】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、上記実施の形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えてもよい。
【符号の説明】
【0109】
1:携帯端末(生体情報取得装置)、2:タッチパネル部、3:表示部、4:入力部、5:筐体、6:撮像部、10:切替スイッチ、20:制御部、20a:制御部、20b:制御部、21:撮像制御部、22:圧縮部、23:生体情報取得部、25:判定部、30:記憶部、40:撮像装置、A12:関心領域、A22:関心領域、D1A:第1色域、D1B:第2色域、D2A:第1ダイナミックレンジ、D2B:第2ダイナミックレンジ