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特許7590897硬貨画像取得装置、集光部品、及び硬貨処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】硬貨画像取得装置、集光部品、及び硬貨処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 5/02 20060101AFI20241120BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
G07D5/02 104
G06T1/00 420C
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021046274
(22)【出願日】2021-03-19
(65)【公開番号】P2022145031
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2023-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】菅 彰信
(72)【発明者】
【氏名】芝尾 秀人
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-019331(JP,A)
【文献】特開2006-119154(JP,A)
【文献】特開2017-090816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 5/00- 5/10
F21V 5/00- 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨の画像を取得する硬貨画像取得装置であって、
光を照射する光源部と、
前記光源部により照射された硬貨の反射画像を撮像する撮像部と、を備え、
前記光源部は、環状に配置された複数の発光素子と、前記発光素子からの光を集光する集光部と、を備え、
前記集光部は、前記発光素子のそれぞれに対応して環状に配置された複数のレンズ部を備え、前記レンズ部のそれぞれの表面は、前記環状の径方向を短軸、周方向を長軸とする長球面であり、
前記レンズ部のそれぞれにおける集光の程度は、前記環状の径方向よりも周方向の方が小さいことを特徴とする硬貨画像取得装置。
【請求項2】
前記集光部は、複数の前記レンズ部が連結されて一体化していることを特徴とする請求項1に記載の硬貨画像取得装置。
【請求項3】
前記レンズ部のそれぞれの曲率は、前記環状の径方向よりも周方向の方が小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の硬貨画像取得装置。
【請求項4】
前記レンズ部のそれぞれの屈折力は、前記環状の径方向よりも周方向の方が小さいことを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の硬貨画像取得装置。
【請求項5】
前記レンズ部のそれぞれでは、表面に沿って前記環状の径方向にレンズ部の頂点からレンズ部の端部に最短距離で至る経路の中点における勾配が、
表面に沿って前記環状の周方向にレンズ部の頂点からレンズ部の端部に最短距離で至る経路の中点における勾配よりも大きいことを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の硬貨画像取得装置。
【請求項6】
前記レンズ部のそれぞれはアナモルフィック非球面レンズであることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の硬貨画像取得装置。
【請求項7】
前記光源部から前記硬貨に至る光路に、前記光源部からの光を前記硬貨に向けて反射させる反射部材が配置されていることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の硬貨画像取得装置。
【請求項8】
前記光源部から前記硬貨に至る光路に、前記光源部からの光を前記硬貨に向けて拡散する拡散板が配置されていることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の硬貨画像取得装置。
【請求項9】
前記発光素子から出射する光の光軸が、前記環状の周方向の中心側に傾いていることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の硬貨画像取得装置。
【請求項10】
前記光源部は、前記光源部から撮像領域に対する照射角度が0度を超えて45度以下の範囲内で光を照射するローアングル光源であることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の硬貨画像取得装置。
【請求項11】
前記光源部は、前記光源部から撮像領域に対する照射角度が45度を超えて90度以下の範囲内で光を照射するハイアングル光源であることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の硬貨画像取得装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の硬貨画像取得装置を備えることを特徴とする硬貨処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、硬貨画像取得装置、集光部品、及び硬貨処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、硬貨の識別処理を行うために、搬送中の硬貨に対して、所定のタイミングで光を照射し、硬貨からの反射光を結像し、撮像素子にて硬貨画像を撮像する構成を備えた硬貨画像取得装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、硬貨を囲むように円環状に配置された複数の光源部を有し、硬貨の表面に向けて光を照射し、当該光源部は発光期間のタイミングを異ならせるように光の照射の制御を行う硬貨画像取得装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、複数の光源を環状に配置し、光源からの光を反射部材で平行光化して反射させ、平行光化した光を環状の輪郭を有する入射光として光成形フィルタに入射させ、光成形フィルタからの出射光を対象物に照射する照明装置が開示されている。
当該光成形フィルタには楕円レンズが備えられており、当該楕円レンズは環状に配置された光源に対して隙間なく、複数個設けられた環状のレンズ群を備えている。この楕円レンズからは楕円形状の短軸方向に光が拡散する構成となっているため、対象物に対してムラなく光を照射することが可能であるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-124858号公報
【文献】特許第6094253号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の硬貨画像取得装置における円環状に配置された複数の光源部は、硬貨の円周方向において照射する光の光量にムラが出ており、硬貨の円周方向における光の光量のムラを無くすために光源部の導光体に対して光拡散フィルムを用いて拡散を行っていた。また、光拡散フィルムを用いて硬貨の円周方向に対して光を拡散させると光拡散フィルムの効果で硬貨の放射方向への光も拡散し、余計な迷光が生じ、硬貨画像に不要な光の輝点等が現れ、明瞭な硬貨画像が取得できなくなる課題がある。
【0007】
この迷光を防ぐためには光源部の導光体や硬貨画像取得装置内に迷光を遮断する遮断壁等を設けることが考えられるが、硬貨画像取得装置におけるスペースの問題上、このような遮断壁を設けることは難しかった。
【0008】
特許文献2に記載の技術では、光源からの光を反射部材で平行光化して、光成形フィルタに備えられた楕円レンズへ入射させる必要があるが、その結果、光源と楕円レンズまでの照射距離が長くなってしまい、装置が大型化してしまうという課題がある。
また反射部材で平行光化を行うと楕円レンズに直接光の一部を入射できないため、楕円レンズから出射される光の光量が少なくなるという課題がある。
【0009】
本開示は、上記現状に鑑みてなされたものであり、光を拡散させる光拡散フィルムや、迷光を遮断する遮断壁を必須とすることなく、明瞭な硬貨画像を取得することのできる硬貨画像取得装置、及び、当該硬貨画像取得装置の集光部として使用可能な集光部品を提供することを目的とする。
また、当該硬貨画像取得装置を備える硬貨処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る硬貨画像取得装置は、硬貨の画像を取得する硬貨画像取得装置であって、光を照射する光源部と、前記光源部により照射された硬貨の反射画像を撮像する撮像部と、を備え、前記光源部は、環状に配置された複数の発光素子と、前記発光素子からの光を集光する集光部と、を備え、前記集光部は、前記発光素子のそれぞれに対応して環状に配置された複数のレンズ部を備え、前記集光部における集光の程度は、前記環状の径方向よりも周方向の方が小さい。
【0011】
前記集光部は、複数の前記レンズ部が連結されて一体化していてもよい。
【0012】
前記レンズ部のそれぞれの表面は、前記環状の径方向を短軸、周方向を長軸とする長球面であってもよい。
【0013】
前記レンズ部のそれぞれの曲率は、前記環状の径方向よりも周方向の方が小さくてもよい。
【0014】
前記レンズ部のそれぞれの屈折力は、前記環状の径方向よりも周方向の方が小さくてもよい。
【0015】
前記レンズ部のそれぞれでは、表面に沿って前記環状の径方向にレンズ部の頂点からレンズ部の端部に最短距離で至る経路の中点における勾配が、表面に沿って前記環状の周方向にレンズ部の頂点からレンズ部の端部に最短距離で至る経路の中点における勾配よりも大きくてもよい。
【0016】
前記レンズ部のそれぞれはアナモルフィック非球面レンズであってもよい。
【0017】
前記光源部から前記硬貨に至る光路に、前記光源部からの光を前記硬貨に向けて反射させる反射部材が配置されていてもよい。
【0018】
前記光源部から前記硬貨に至る光路に、前記光源部からの光を前記硬貨に向けて拡散する拡散板が配置されていてもよい。
【0019】
前記発光素子から出射する光の光軸が、前記環状の周方向の中心側に傾いていてもよい。
【0020】
前記光源部は、前記光源部から撮像領域に対する照射角度が0度を超えて45度以下の範囲内で光を照射するローアングル光源であってもよい。
【0021】
前記光源部は、前記光源部から撮像領域に対する照射角度が45度を超えて90度以下の範囲内で光を照射するハイアングル光源であってもよい。
【0022】
本開示に係る集光部品は、複数のレンズ部が環状に連結されて一体化しており、前記レンズ部における集光の程度は、前記環状の径方向よりも周方向の方が小さい。
【0023】
本開示に係る硬貨処理装置は、本開示に係る硬貨画像取得装置を備える。
【発明の効果】
【0024】
本開示によれば、光を拡散させる光拡散フィルムや、迷光を遮断する遮断壁を必須とすることなく、明瞭な硬貨画像を取得することのできる硬貨画像取得装置、及び、当該硬貨画像取得装置の集光部として使用可能な集光部品を提供することができる。
また、当該硬貨画像取得装置を備える硬貨処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1実施形態に係る硬貨画像取得装置の一例を模式的に示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る硬貨画像取得装置の一例を模式的に示す断面図である。
図3】第1実施形態に係る集光部の一例を模式的に示す斜視図である。
図4図3でL-L´線で示す環状の周方向における集光の程度を示す模式図である。
図5】第2実施形態に係る硬貨画像取得装置の一例を模式的に示す断面図である。
図6】第2実施形態に係る集光部の一例を模式的に示す斜視図である。
図7】第3実施形態に係る硬貨画像取得装置の一例を模式的に示す断面図である。
図8】第3実施形態に係る集光部の一例を模式的に示す斜視図である。
図9】第3実施形態に係る光源部が硬貨画像取得装置に配置された状態の一例を模式的に示す分解斜視図である。
図10】第4実施形態に係る硬貨画像取得装置において、拡散板が配置された状態の一例を模式的に示す分解斜視図である。
図11】第5実施形態に係る集光部の一例を模式的に示す斜視図である。
図12】第6実施形態に係る集光部の一例を模式的に示す斜視図である。
図13】硬貨識別装置の一例を模式的に示す斜視図である。
図14図14は、硬貨識別装置の構成の例を模式的に示すブロック図である。
図15図15は、硬貨処理装置の一例を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本開示に係る硬貨画像取得装置、集光部品、及び硬貨処理装置の実施形態を、図面を参照しながら説明する。以下においては、貨幣としての硬貨を対象とする硬貨画像取得装置、及び硬貨処理装置及び当該硬貨画像取得装置に使用できる集光部品を例として、本開示を説明するが、本開示の対象となる硬貨には、貨幣としての硬貨に加えて、遊技機で使用されるコインも含まれる。なお、以下の説明は、硬貨画像取得装置、集光部品、及び硬貨処理装置の一例である。
【0027】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る硬貨画像取得装置の一例を模式的に示す斜視図である。
硬貨画像取得装置10は、一方の面が開口した箱状の筐体40の中に光源部20及び撮像部30が設置され、筐体40の開口に板状の透明部(透明板)41が設けられて筐体40の開口が閉じられている。
各図には、互いに直交するXYZ座標系を適宜示しており、透明部(透明板)41の表面、すなわち撮像時に硬貨100が存在する平面と平行な平面がXY平面であり、XY平面に直交する方向がZ軸方向である。この座標系では、撮像時での硬貨100から撮像部30へ向かう方向を-Z方向とし、その反対方向を+Z方向とする。
【0028】
透明部41は画像を取得する対象物である硬貨100が載る部位である。図1において硬貨100は点線で示している。
透明部41としては、強度及び透明性に優れているサファイヤガラス等を用いることができる。透明部41の寸法は、識別対象の硬貨100のうち、最も径が大きい硬貨よりも大きくなるように定めることができる。
【0029】
図2は、第1実施形態に係る硬貨画像取得装置の一例を模式的に示す断面図である。
図2を参照して、硬貨画像取得装置の光源部と撮像部について説明する。
【0030】
光源部20は、撮像領域35を照明する光源である。
撮像領域35は、硬貨画像を取得するために撮像部が画像を撮像する領域である。
光源部20から照射された光が硬貨100で反射した反射光を撮像部30のレンズユニット31が受光し、撮像素子32に結像させることで、硬貨100の反射画像が撮像される。撮像素子32としては、CCDイメージセンサ等が配置され、光信号を電気信号に変換する光電変換素子(エリアセンサ)を使用することができる。
上記構成により、透明部41に載った硬貨100を照明しつつ撮像することができる。
【0031】
撮像部30は、撮像素子32の駆動を制御する制御基板33を有していてもよい。また、撮像部30は撮像領域35の直下(図2中、-Z方向側)に配置されていてもよい。
【0032】
光源部20は、撮像部30の周囲に配置されており、環状に配置された複数(例えば20個)の発光素子21と、発光素子21からの光を集光する集光部22とを備える。
【0033】
複数の発光素子21は、撮像部30の周囲において同一XY平面上に等間隔で配置されている。
発光素子21のそれぞれはXY平面から傾いた面上に配置されているが、複数の発光素子を並べてみると、複数の発光素子は同一XY平面上に等間隔に配置されている。
発光素子21としては、発光ダイオード(LED)を使用することができる。発光素子21が発する光の波長域は特に限定されず、赤外光、可視光等を用いることができるが、硬貨100の色の検知能力を高める観点から、白色光を使用することができる。すなわち、発光素子21としては、白色LEDを用いることができる。
また、発光素子21としては、出射した光の光軸(中心軸)と直交する平面内においては全方位に等方的に光を発する素子を用いることができる。
LEDの形状は特に限定されるものではないが、封止樹脂の表面にレンズが設けられていない平板状のLED、あるいはLED素子の周囲に封止樹脂が施されておらず、レンズも設けられていない平板状のLEDを使用することができる。平板状のLEDを使用すると、封止樹脂の表面にレンズが設けられているドーム型のLEDを使用する場合と比較して、発光素子と集光部との距離を短くすることができる。
【0034】
光源部20は、発光素子21の駆動を制御する制御基板23を有していてもよい。制御基板23により発光素子21の駆動のタイミングが制御される。光源部20の制御基板23は、撮像部30の制御基板33と協働して、例えば硬貨100が撮像領域35を通過するタイミングに合わせて発光素子21を駆動させ、撮像素子32で硬貨画像を撮像するようにしてもよい。
なお、硬貨画像取得装置10は、硬貨100の到来を検知するためのタイミングセンサ(フォトセンサ)を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0035】
集光部22は、撮像部30の周囲において同一XY平面上に配置されており、発光素子21のそれぞれに対応して環状に配置された複数のレンズ部22aを備え、集光部22における集光の程度は、環状の径方向よりも周方向の方が小さくなっている。
この集光部の例について図3を参照して説明する。
【0036】
図3は、第1実施形態に係る集光部の一例を模式的に示す斜視図である。
図3に示す集光部22では、環状の台座22bに複数(例えば20個)のレンズ部22aが配置されている。環状の台座22bにレンズ部22aが複数配置されることで、複数のレンズ部22aが全体として環状に配置されている。また、複数のレンズ部22aは台座22bを介して連結されて一体化している。
各レンズ部の材質は、PMMA、ポリカーボネート等の透明樹脂とすることができ、射出成形により製造することができる。
また、台座の材質についても、PMMA、ポリカーボネート等の透明樹脂とすることができ、射出成形によりレンズ部と一体的に製造することができる。
【0037】
レンズ部22aのそれぞれの底面(台座22b側の面)は平面、表面(発光素子21と反対側の面)が曲面となっている。底面を平面とすることで、発光素子21にレンズ部22aを近づけることができ、光の利用効率を向上させることができる。
【0038】
集光部22の台座22bの下(レンズ部22aと反対側の部位)に発光素子(図3には示していない)が配置される。そして、レンズ部22aは、台座22bの下に配置される発光素子のそれぞれに対応して配置される。すなわち、レンズ部22aと発光素子とが1対1の関係で配置されている。そして、発光素子から照射された光の光軸上にレンズ部22aの頂点が位置するようにレンズ部と発光素子が1対1の関係で配置されている。
また、台座22bは環状の径方向の内側の高さが低く、外側の高さが高くなるように、水平面(XY平面)に対して傾いた形状となっていて、バンクを有する環状となっている。台座をこのような形状とすると、光源部から硬貨に至る光路に反射部材を設けることなく、撮像領域への照明を直接行うことができる。なお、「高さ」とは、Z軸方向における位置を示し、+Z方向へ向かうほどより高くなるものとする。
【0039】
本実施形態の硬貨画像取得装置では、複数のレンズ部が連結されて一体化しているが、複数のレンズ部が連結されて一体化していなくてもよい。複数のレンズ部が一体化していない場合の例として、レンズ部のそれぞれを硬貨画像取得装置の集光部ではない部位に直接設置する形態が挙げられる。また、複数のレンズ部が連結されて一体化している場合に、複数のレンズ部が直接連結されて一体化していてもよく、複数のレンズ部が直接連結されずに、台座等の他の部材を介して連結されることにより一体化されていてもよい。
【0040】
集光部は環状の径方向と周方向を有する。環状の径方向は、環状の直径方向であり、図3でR-R´線で示す方向である。環状の周方向は複数のレンズ部が隣り合って配置されている方向であり、図3で実線で示す閉曲線Cで示す方向である。また、環状の径方向と周方向は、いずれもXY平面内における方向である。
本実施形態に係る集光部は、集光部における集光の程度が、環状の径方向よりも周方向の方が小さくなるように設計されている。このことを図2及び図4を参照して説明する。図3には、環状の周方向に沿って集光部の一部を切断する線であるL-L´線を太線で示している。環状の周方向を示す閉曲線Cの実線の一部はL-L´線の太線と重なって存在している。
【0041】
図4は、図3でL-L´線で示す環状の周方向における集光の程度を示す模式図である。
一方、図2は、図3でR-R´線で示す環状の径方向における集光の程度を示す模式図でもある。この2つの図面を参照して各方向における集光の程度を比較する。
図2に示すように、環状の径方向において、発光素子21からレンズ部22aに入射した光が、レンズ部22aの出射面(図2でPで示す面)において内側に曲がる。
また、図4に示すように、環状の周方向において、発光素子21からレンズ部22aに入射した光が、レンズ部22aの出射面(図4でQで示す面)において内側に曲がる。
図2及び図4を比較すると、レンズ部22aから出射される光の光路が、環状の径方向において狭く、環状の周方向において広いことが分かる。
レンズ部から出射される光路が狭くなるほど光が集められている、すなわち集光の程度が大きいといえる。そのため、本実施形態の集光部における集光の程度は、環状の径方向よりも周方向の方が小さいといえる。
集光部に光を照射し、集光部に入射した光がどの程度集光されるかを観察することで、集光の程度を判別することができる。そのため、環状の径方向における集光の程度と、環状の周方向における集光の程度をそれぞれ観察して、どちらが大きいかを判別することができる。
【0042】
環状の径方向において集光の程度を大きくすると、光の利用効率を向上させ、迷光を減少させることができる。この場合、迷光を遮断する遮断壁を設けなくてもよい。
一方、環状の周方向において集光の程度を小さくすると、周方向における光の光量のムラを低減することができる。この場合、光を拡散させる光拡散フィルムを設けなくてもよい。
すなわち、本実施形態のような集光部を用いることにより、光を拡散させる光拡散フィルムや、迷光を遮断する遮断壁を必須とすることなく、明瞭な硬貨画像を取得することのできる硬貨画像取得装置とすることができる。
【0043】
本開示の硬貨画像取得装置では、集光部における集光の程度が環状の径方向と周方向で同じであるレンズ部を使用する形態と比較して、集光の程度を環状の径方向で大きくするように改変したものであってもよく、集光の程度を環状の周方向で小さくするように改変したものであってもよい。また、集光の程度を環状の径方向で大きくし、かつ、集光の程度を環状の周方向で小さくするように改変したものであってもよい。
【0044】
また、集光部における集光の程度を環状の周方向で小さくして、各レンズ部から出射される光の光路が周方向で隣り合うレンズ部から出射される光の光路と重なるようにしてもよい。
この場合、環状の周方向において光源部から撮像領域の間で光路同士が重なるようにしてもよく、環状の周方向において光源部から撮像領域までの光路のうち、光源部に近い側の1/2の距離の位置に達するまでに光路同士が重なるようにしてもよい。
また、硬貨画像取得装置が光源部から硬貨に至る光路に拡散板(後述の第4実施形態参照)を備えずに、環状の周方向において光源部から撮像領域の間で光路同士が重なるようにしてもよく、環状の周方向において光源部から撮像領域までの光路のうち、光源部に近い側の1/2の距離の位置まで達するまでに光路同士が重なるようにしてもよい。
【0045】
集光部における集光の程度が、環状の径方向よりも周方向の方が小さくなるようなレンズ部の例として以下のような例が挙げられる。
例えば、レンズ部のそれぞれの表面は、環状の径方向を短軸、周方向を長軸とする長球面であってもよい。
図3に示すレンズ部のそれぞれの表面は長球面となっている。
また、レンズ部のそれぞれがアナモルフィック非球面レンズであってもよい。
このような形状のレンズ部であると、集光部における集光の程度が、環状の径方向よりも周方向の方が小さくなるようにすることができる。
【0046】
また、レンズ部のそれぞれの曲率は、環状の径方向よりも周方向の方が小さくてもよい。
【0047】
ここでいう曲率は、レンズ部の断面を見たときの曲がりの程度を示していて、数学的な曲率を意味するものではない。図2及び図4に示すようなレンズ部の断面形状を比較して、径方向と周方向の曲率の大小を見た目で判断することで決まる指標である。
レンズ部の頂点の高さは径方向と周方向で同じなので、レンズ部の底面における径が短い方が曲率は大きくなる。径方向及び周方向の底面におけるレンズ部の径は、それぞれ図2で両矢印W図4で両矢印Wで示す長さである。
なお、レンズ部の頂点の高さはレンズ部の頂点からレンズ部の底面に対して引いた垂線の長さとして定められる。
レンズ部の曲率がこのような関係になっていると、集光部における集光の程度が、環状の径方向よりも周方向の方が小さくなるようにすることができる。
【0048】
また、レンズ部のそれぞれでは、表面に沿って環状の径方向にレンズ部の頂点からレンズ部の端部に最短距離で至る経路の中点における勾配が、表面に沿って環状の周方向にレンズ部の頂点からレンズ部の端部に最短距離で至る経路の中点における勾配よりも大きくてもよい。
【0049】
図2において、表面に沿って環状の径方向にレンズ部の頂点からレンズ部の端部に最短距離で至る経路の中点をMで示している。この点Mにおける勾配は、Mにおける接線Dの傾きである。接線Dの傾きの大きさは、断面におけるレンズ部の底部の径方向の線(図2で両矢印Wで示す方向の線)を横軸とした傾きとして定める。
図4において、表面に沿って環状の周方向にレンズ部の頂点からレンズ部の端部に最短距離で至る経路の中点をMで示している。この点Mにおける勾配は、Mにおける接線Dの傾きである。接線Dの傾きの大きさは、断面におけるレンズ部の底部の径方向の線(図4で両矢印Wで示す方向の線)を横軸とした傾きとして定める。
このように定めた勾配につき、接線Dの傾きの大きさが、接線Dの傾きの大きさよりも大きくなっている。
レンズ部の勾配がこのような関係になっていると、集光部における集光の程度が、環状の径方向よりも周方向の方が小さくなるようにすることができる。
【0050】
また、レンズ部のそれぞれの屈折力は、環状の径方向よりも周方向の方が小さくてもよい。屈折力とは、レンズ部から光が出射するときに光の角度がどの程度変化するかの指標であり、レンズの焦点距離の逆数として定められる指標である。
例えば、環状の径方向における屈折力は、0.4~1.0とすることができる。また、環状の周方向における屈折力は、-0.1~0.3とすることができる。
また、環状の径方向における屈折力に対する周方向における屈折力の比を、(環状の周方向における屈折力/環状の径方向における屈折力)=-0.25~0.75とすることができる。
レンズ部の環状の径方向及び周方向における屈折力がこのような関係になっていると、集光部における集光の程度が、環状の径方向よりも周方向の方が小さくなるようにすることができる。
【0051】
これまで、集光部における、環状の径方向と一致する方向(図3でR-R´線で示す方向)における集光の程度、及び、環状の周方向と一致する方向(図3でL-L´線及び閉曲線Cで示す方向)における集光の程度について説明した。
ここで、環状の径方向と一致する方向と、環状の周方向と一致する方向との間の領域における集光の程度は、環状の径方向から周方向に向かって集光の程度が徐々に小さくなるようにすることができる。一例として、環状の径方向と一致する方向において集光の程度が最大となり、環状の周方向と一致する方向において集光の程度が最小になるようにする態様が挙げられる。
集光部の集光の程度を上記のような態様にすることができるように、レンズ部の表面の形状、レンズ部の曲率、レンズ部の屈折力、レンズ部の勾配等を定めればよい。
【0052】
図1及び図2に示す硬貨画像取得装置10は、光源部20から硬貨100に至る光路に、反射部材が存在しない形態の装置であり、光源部20からの光が反射せずに直接、撮像領域35及び硬貨100に達する構造となっている。
光源部20が備える発光素子21のそれぞれがXY平面から傾いた面上に配置されている。そして、発光素子21から出射する光の光軸が、環状の周方向の中心側に傾いている。換言すると、発光素子21から出射する光の光軸は、XY平面に直交する方向に対して撮像領域35の中心側に傾いている。
また、光源部20から撮像領域35に対する照射角度が0度を超えて45度以下の範囲内で光を照射するローアングル光源の構造となっている。
ローアングル光源が発した光については、硬貨で正反射された成分が撮像素子に入射しにくく、硬貨で拡散反射された成分が撮像素子に入射しやすい。したがって、ローアングル光源による照明は、硬貨表面の凹凸模様の検出に有利であり、潜像の検出に適している。
光源部20から撮像領域35に対する照射角度は、光源部20から照射されて撮像領域35に入射する直前の光の光軸と、撮像領域(XY平面)とがなす角度(図2におけるθで示す角度)として定める。
【0053】
また、本実施形態の硬貨画像取得装置に使用できる、図3に示す集光部は、複数のレンズ部が環状に連結されて一体化しており、レンズ部における集光の程度が、環状の径方向よりも周方向の方が小さいものであり、本開示に係る集光部品の一例である。
【0054】
(第2実施形態)
本開示の硬貨画像取得装置は、光源部の位置が第1実施形態の硬貨画像取得装置と異なっていてもよい。
第2実施形態に係る硬貨画像取得装置は、光源部の位置が撮像素子の側にあり、ハイアングルでの照射を行う構造となっている。第2実施形態に係る硬貨画像取得装置も、光源部から硬貨に至る光路に、反射部材が存在しない形態の装置であり、光源部からの光が反射せずに撮像領域及び硬貨に達する構造となっている点は第1実施形態の硬貨画像取得装置と同じである。
【0055】
図5は、第2実施形態に係る硬貨画像取得装置の一例を模式的に示す断面図である。
図5に示す硬貨画像取得装置11では、光源部120の位置が、図2に示した第1実施形態に係る硬貨画像取得装置10とは異なる。
この構造は、光源部120から撮像領域35に対する照射角度(図5におけるθで示す角度)が45度を超えて90度以下の範囲内で光を照射するハイアングル光源の構造となっている。
ハイアングル光源が発した光については、硬貨で正反射された成分が撮像素子に入射しやすく、硬貨で拡散反射された成分が撮像素子に入射しにくい。このため、ハイアングル光源により照明することで、鏡面に近い新貨の硬貨表面の色や金属光沢の有無、目視でも見分け辛い硬貨の汚損を検出することができる。
【0056】
光源部120における集光部122の構造は、光源部120から撮像領域35に対する角度が異なることに合わせて変更される。
図6は、第2実施形態に係る集光部の一例を模式的に示す斜視図である。
図6に示す集光部122は、図3に示す集光部22とその構造は類似しており、レンズ部122aと台座122bを備える。
台座122bはバンクを有する環状であり、図6に示す台座122bの傾き[水平面(XY平面)に対する傾き]が図3に示す集光部22における台座22bの傾きに比べて緩い形状となっている。
台座の傾きは集光部を使用する硬貨画像取得装置における光源部と撮像領域の位置関係により定めればよい。
【0057】
第2実施形態の硬貨画像取得装置に使用する集光部は、それぞれ、第1実施形態の硬貨画像取得装置に使用する集光部と同様に、以下のような特徴を有していてもよい。
第2実施形態の硬貨画像取得装置に使用する集光部は、複数のレンズ部が連結されて一体化しているものであってもよい。
また、レンズ部のそれぞれの表面は、環状の径方向を短軸、周方向を長軸とする長球面であってもよい。
また、レンズ部のそれぞれの曲率は、環状の径方向よりも周方向の方が小さくてもよい。
また、レンズ部のそれぞれの屈折力は、環状の径方向よりも周方向の方が小さくてもよい。
また、レンズ部のそれぞれでは、表面に沿って環状の径方向にレンズ部の頂点からレンズ部の端部に最短距離で至る経路の中点における勾配が、表面に沿って環状の周方向にレンズ部の頂点からレンズ部の端部に最短距離で至る経路の中点における勾配よりも大きくてもよい。
また、レンズ部のそれぞれはアナモルフィック非球面レンズであってもよい。
【0058】
図6に示す集光部は、複数のレンズ部が環状に連結されて一体化しており、レンズ部における集光の程度が、環状の径方向よりも周方向の方が小さいものであり、本開示に係る集光部品の一例である。
【0059】
(第3実施形態)
本開示の硬貨画像取得装置は、光源部から硬貨に至る光路に、光源部からの光を硬貨に向けて反射させる反射部材が配置されていてもよい。
第3実施形態の硬貨画像取得装置には、反射部材が配置されている。
【0060】
図7は、第3実施形態に係る硬貨画像取得装置の一例を模式的に示す断面図である。
図7に示す硬貨画像取得装置12では、光源部220から硬貨100に至る光路に、光源部220からの光を硬貨100に向けて反射させる反射部材50が配置されている。
光源部220からの光は、+Z方向に照射され、反射部材50により反射されて撮像領域35を照明する。光源部220からの光が照射される方向は、撮像領域35及び硬貨100の表面を含む平面に対して垂直に向かう方向であるともいえる。
反射部材は環状の部材であり、鏡面となっているガラス、金属材料等の材料とすることができる。反射部材は、光源部の直上(光源部に対して+Z方向に所定の距離だけ離間した位置)に配置することができ、光源部から照射された光(光軸)が直接反射部材に照射されるようにしてもよい。
反射部材の反射面はZ軸方向に対して平行な面ではなく、直交する面でもなく、Z軸方向に照射された光を撮像領域に向けて反射できるように、XZ平面、YZ平面、XY平面のいずれに対しても傾きを有する面である。
【0061】
図8は、第3実施形態に係る集光部の一例を模式的に示す斜視図である。
図8に示す集光部222では、環状の台座222bに複数のレンズ部222aが配置されている。環状の台座222bにレンズ部222aが複数配置されることで、複数のレンズ部222aが全体として環状に配置されている。また、複数のレンズ部222aは台座222bを介して連結されて一体化している。
集光部222の台座222bの下(レンズ部222aと反対側の部位)に発光素子(図8には示していない)が配置される。そして、レンズ部222aは、台座222bの下に配置される発光素子のそれぞれに対応して配置される。すなわち、レンズ部222aと発光素子とが1対1の関係で配置されている。そして、発光素子から照射された光の光軸上にレンズ部222aの頂点が位置するようにレンズ部と発光素子が1対1の関係で配置されている。
また、台座222bは環状の径方向の内側と外側の高さが同じであり、水平面(XY平面)に対して傾いていない円環状であって、バンクを有さない形状である。
このような台座の形状に基づいて、集光部222の全体も径方向の内側と外側の高さが同じであり、水平面(XY平面)に対して傾いていない円環状である。
【0062】
本実施形態の硬貨画像取得装置では、光源部から照射された光を反射部材により反射させて撮像領域を照明する。反射部材を使用することで、集光部の台座の形状が、水平面に対して傾きを有さない環状の場合であっても適切に撮像領域を照明することができる。
【0063】
第3実施形態の硬貨画像取得装置に使用する集光部は、それぞれ、第1実施形態の硬貨画像取得装置に使用する集光部と同様に、以下のような特徴を有していてもよい。
第3実施形態の硬貨画像取得装置に使用する集光部は、複数のレンズ部が連結されて一体化しているものであってもよい。
また、レンズ部のそれぞれの表面は、環状の径方向を短軸、周方向を長軸とする長球面であってもよい。
また、レンズ部のそれぞれの曲率は、環状の径方向よりも周方向の方が小さくてもよい。
また、レンズ部のそれぞれの屈折力は、環状の径方向よりも周方向の方が小さくてもよい。
また、レンズ部のそれぞれでは、表面に沿って環状の径方向にレンズ部の頂点からレンズ部の端部に最短距離で至る経路の中点における勾配が、表面に沿って環状の周方向にレンズ部の頂点からレンズ部の端部に最短距離で至る経路の中点における勾配よりも大きくてもよい。
また、レンズ部のそれぞれはアナモルフィック非球面レンズであってもよい。
【0064】
また、本実施形態の硬貨画像取得装置に使用できる、図8に示す集光部は、複数のレンズ部が環状に連結されて一体化しており、レンズ部における集光の程度が、環状の径方向よりも周方向の方が小さいものであり、本開示に係る集光部品の一例である。
【0065】
図9は、第3実施形態に係る光源部が硬貨画像取得装置に配置された状態の一例を模式的に示す分解斜視図である。
硬貨画像取得装置12には円筒状の筒状部材60が設けられており、筒状部材60の中に撮像部30が配置されている。
筒状部材60の外に光源部220が配置されている。図9では光源部220のうち円環状の集光部222が示されている。集光部222のレンズ部222aからの光がいずれも+Z方向に照射されるようになっていて、それぞれのレンズ部222aの-Z方向側に発光素子(図9では図示しない)が設けられている。
集光部222の外に柱状部材61が設けられており、柱状部材61に反射部材(図9では図示しない)を載せることで、集光部222から照射された光を反射させることができる。
【0066】
(第4実施形態)
本開示の硬貨画像取得装置は、光源部から硬貨に至る光路に、光源部からの光を硬貨に向けて拡散する拡散板が配置されていてもよい。
第4実施形態の硬貨画像取得装置には、拡散板が配置されている。
【0067】
図10は、第4実施形態に係る硬貨画像取得装置において、拡散板が配置された状態の一例を模式的に示す分解斜視図である。
図10には、第4実施形態に係る硬貨画像取得装置13の一部を示していて、図10図9に示す硬貨画像取得装置12に対して拡散板70を配置した図面に相当する。
拡散板70は、半透明の樹脂材料からなり、幅を有する円環板の形状(ドーナツ形状)であり、光源部220からの光が照射される方向に配置されている。
拡散板は、光源部の直上(+Z方向側)に配置することができ、光源部から照射された光(光軸)が直接拡散板に照射されるようにしてもよい。
【0068】
光源部から硬貨に至る光路に拡散板が配置されていると、光源部からの光を拡散させて、撮像領域に達する光の光量のムラを低減することができる。なお、本開示の硬貨画像取得装置は拡散板を使用しなくても光の光量のムラを低減することができるが、拡散板を使用することを排除するものではなく、拡散板を使用してもよい。拡散板を使用することによって光の光量のムラをさらに低減することができる。
【0069】
図10に示す硬貨画像取得装置では拡散板は光源部と反射部材の間に配置されているが、拡散板の位置は光源部から硬貨に至る光路のうちのどこでもよく、反射部材と硬貨の間(反射部材と撮像領域の間)であってもよい。また、反射部材を有さない第1実施形態又は第2実施形態の硬貨画像取得装置において、光源部から硬貨に至る光路、例えば光源部と硬貨の間に拡散板を設けるようにしてもよい。
【0070】
(第5実施形態)
本開示の硬貨画像取得装置は、集光部の形状が第1実施形態~第4実施形態の硬貨画像取得装置と異なるものであってもよい。
以下、第5実施形態の硬貨画像取得装置で使用する集光部について説明する。
【0071】
図11は、第5実施形態に係る集光部の一例を模式的に示す斜視図である。
図11に示す集光部322は、複数のレンズ部322aが一体化した構造を有しており、全体として環状構造となっている。
集光部322の全体の形状は、図8に示す集光部222と同様に径方向の内側と外側の高さが同じであり、水平面(XY平面)に対して傾いていない円環状である。集光部322が硬貨画像取得装置内で使用される態様は第3実施形態の硬貨画像取得装置と同様にすることができる。
【0072】
集光部322では台座は設けられていない。ただし、集光部に台座を設けて複数のレンズ部322aが一体化した構造を台座に配置しても構わない。
【0073】
集光部322では、隣接するレンズ部322aは、環状の周方向で直接連結されている。図11にはレンズ部322aと隣接するレンズ部322a´につき、その境界を線Bで示している。
また、レンズ部322aは、環状の径方向の内側(図11で線Cで示す部分)及び環状の径方向の外側(図11で線Dで示す部分)において、曲面で切断された断面を有する形状である。
【0074】
図11に示すレンズ部322aにおいて、図11で線B、線C及び線Dで示す部分は、通常は発光素子からレンズ部に入射した光が通過しない部分である。そのため、図11で線B、線C及び線Dで示す部分の形状はレンズ部の周方向における集光の程度及び径方向における集光の程度に影響を与えない。
そのため、図11に示す集光部322も、集光部における集光の程度が、環状の径方向よりも周方向の方が小さいものであり、本開示の硬貨画像取得装置における集光部として使用することができる。
【0075】
第5実施形態の硬貨画像取得装置に使用する集光部は、それぞれ、第1実施形態の硬貨画像取得装置に使用する集光部と同様に、以下のような特徴を有していてもよい。
レンズ部のそれぞれの曲率は、環状の径方向よりも周方向の方が小さくてもよい。
レンズ部のそれぞれの屈折力は、環状の径方向よりも周方向の方が小さくてもよい。
レンズ部のそれぞれでは、表面に沿って環状の径方向にレンズ部の頂点からレンズ部の端部に最短距離で至る経路の中点における勾配が、表面に沿って環状の周方向にレンズ部の頂点からレンズ部の端部に最短距離で至る経路の中点における勾配よりも大きくてもよい。
【0076】
また、本実施形態の硬貨画像取得装置に使用できる、図11に示す集光部は、複数のレンズ部が環状に連結されて一体化しており、レンズ部における集光の程度が、環状の径方向よりも周方向の方が小さいものであり、本開示に係る集光部品の一例である。
【0077】
(第6実施形態)
本開示の硬貨画像取得装置は、集光部の形状が第1実施形態~第5実施形態の硬貨画像取得装置と異なるものであってもよい。
以下、第6実施形態の硬貨画像取得装置で使用する集光部について説明する。
【0078】
図12は、第6実施形態に係る集光部の一例を模式的に示す斜視図である。
図12に示す集光部422では、環状の台座422bに複数のレンズ部422aが配置されている。環状の台座422bにレンズ部422aが複数配置されることで、複数のレンズ部422aが全体として環状に配置されている。また、複数のレンズ部422aは台座422bを介して連結されて一体化している。
また、この集光部422は、図11に示す集光部322において複数のレンズ部が一体化した構造のレンズ部を分離し、台座を介して連結して一体化した構造であるともいえる。
集光部422の全体の形状は、図8に示す集光部222と同様に径方向の内側と外側の高さが同じであり、水平面(XY平面)に対して傾いていない円環状である。集光部422が硬貨画像取得装置内で使用される態様は第3実施形態の硬貨画像取得装置と同様にすることができる。
【0079】
レンズ部422aは、環状の周方向の両端部(図12で線E,Fで示す部分)、環状の径方向の内側(図12で線Gで示す部分)及び環状の径方向の外側(図12で線Hで示す部分)において、平面で切断された断面を有する形状である。
【0080】
図12に示すレンズ部422aにおいて、図12で線E、線F、線G及び線Hで示す部分は、通常は発光素子からレンズ部に入射した光が通過しない部分である。そのため、図12で線E、線F、線G及び線Hで示す部分の形状はレンズ部の周方向における集光の程度及び径方向における集光の程度に影響を与えない。
そのため、図12に示す集光部422も、集光部における集光の程度が、環状の径方向よりも周方向の方が小さいものであり、本開示の硬貨画像取得装置における集光部として使用することができる。
【0081】
第6実施形態の硬貨画像取得装置に使用する集光部は、それぞれ、第1実施形態の硬貨画像取得装置に使用する集光部と同様に、以下のような特徴を有していてもよい。
レンズ部のそれぞれの曲率は、環状の径方向よりも周方向の方が小さくてもよい。
レンズ部のそれぞれの屈折力は、環状の径方向よりも周方向の方が小さくてもよい。
レンズ部のそれぞれでは、表面に沿って環状の径方向にレンズ部の頂点からレンズ部の端部に最短距離で至る経路の中点における勾配が、表面に沿って環状の周方向にレンズ部の頂点からレンズ部の端部に最短距離で至る経路の中点における勾配よりも大きくてもよい。
【0082】
また、本実施形態の硬貨画像取得装置に使用できる、図12に示す集光部は、複数のレンズ部が環状に連結されて一体化しており、レンズ部における集光の程度が、環状の径方向よりも周方向の方が小さいものであり、本開示に係る集光部品の一例である。
【0083】
(その他の実施形態)
本開示の硬貨画像取得装置における集光部及び本開示の集光部品の環状は円環状に限定されるものではなく、楕円環状、レーストラック形状等のその他の環状であってもよい。これらの形状の場合、径方向を定めるための中心は、撮像領域の中心となる点の正射影の位置として定めることができる。
【0084】
(硬貨画像取得装置を備える硬貨識別装置及び硬貨処理装置)
本開示の硬貨画像取得装置は、硬貨識別装置及び硬貨処理装置に使用することができる。
以下には、本開示の硬貨画像取得装置を備える硬貨識別装置の例、及び当該硬貨識別装置を備える本開示の硬貨処理装置の例について説明する。
以下に説明する本開示の硬貨処理装置は、本開示の硬貨画像取得装置を備える硬貨識別装置を備えることから、本開示の硬貨画像取得装置を備える硬貨処理装置である。
図13は、硬貨識別装置の一例を模式的に示す斜視図である。
図14は、硬貨識別装置の構成の例を模式的に示すブロック図である。
【0085】
図13に示す硬貨識別装置1は、搬送路の上流側から下流側に向かって順に、磁気検知センサ15、硬貨画像取得装置10、正損検知センサ(光学検知センサ)16、燐光検知センサ17及び蛍光検知センサ18を備え、これら複数のセンサが一体化されたものである。図13中の矢印は、搬送路を通過する硬貨100の搬送方向を示している。
【0086】
硬貨識別装置において、硬貨画像取得装置の周辺には、他の各種センサが併設されてもよい。硬貨100の各検知要素に対応して個別のセンサが配置されていることで、高精度な検知が可能となり、硬貨識別装置の識別能力(識別精度)が向上する。また、多種多様な硬貨100について金種判定が可能となり、グローバルに適用可能なセンサユニットとすることができる。更に、複数のセンサを複合一体化することによって、コスト低減及び省スペース化が図れる。硬貨画像取得装置以外のセンサについては、硬貨識別装置の分野において一般的なセンサを適用可能であることから、詳細な説明は省略する。
【0087】
図13に示す硬貨識別装置1は、硬貨100を搬送する搬送部19を備えており、多数の硬貨を連続的に搬送して硬貨画像取得装置10において連続的に硬貨画像を取得させることができるようになっていてもよい。
硬貨100を搬送する搬送部19として、例えば、搬送路に沿って搬送面の上方(+Z方向側)に張られた搬送ベルト19aと、搬送ベルト19aに対して一定間隔で固定された搬送ピン19bが設けられた構成のものを使用することができる。
搬送ベルト19aは、プーリー、モータ等を備える駆動装置によって駆動される。円柱状の搬送ピン19bが硬貨100の外縁部に接触し、搬送ベルト19aが移動することによって、硬貨100は、一枚ずつ間隔を空けて搬送路を搬送される。なお、搬送部19の構成は、硬貨100を搬送することができるものであれば図示した構成に限定されず、搬送ピン19bを省略して搬送ベルト19aのみとしてもよいし、搬送ピン19bの形状及び大きさを変更してもよい。搬送ピン19bが省略される場合には、搬送ベルト19aが硬貨100の表面を押さえつつ硬貨100とともに移動する。搬送ベルト19aを設けることにより、搬送路の表面や搬送ガイドに硬貨100を接触させた状態で摺動させることができるので、硬貨画像取得装置10等のセンサによる検出の精度を向上することができる。また、搬送ピン19bを設けることによっても、硬貨100の搬送中の位置を規制することができるので、硬貨画像取得装置10等のセンサによる検出の精度を向上することができる。硬貨100は、搬送路の端部に片寄せされた状態で、搬送面を摺動することができる。
なお、本開示の硬貨画像取得装置を備える硬貨識別装置は、搬送されていない硬貨を撮像する装置であってもよい。
【0088】
また、図14に示すように、硬貨識別装置1は、硬貨画像取得装置10において取得した硬貨画像を使用して、硬貨100の種類、真偽、正損(汚損)等を識別・判定するための記憶部81及び識別部82を備えていてもよい。
記憶部82は、処理対象の硬貨100に関する硬貨情報を格納しており、硬貨100の処理に伴い、硬貨画像取得装置10で撮像された硬貨画像(識別処理用画像)を格納するものである。識別部81は、硬貨情報と識別処理用画像とを対比することにより、硬貨100の種類、真偽、正損(汚損)等を識別・判定するものである。
【0089】
識別部の物理的な構成としては、例えば、各種の処理を実現するためのソフトウェアプログラム、当該ソフトウェアプログラムを実行するCPU(中央処理装置)、当該CPUによって制御される各種ハードウェア(例えばFPGA(Field Programmable Gate Array))等を含むものが挙げられる。各部の動作に必要なソフトウェアプログラムやデータの保存には、記憶部や、別途専用に設けられたRAMやROM等のメモリ、ハードディスク等が利用される。
【0090】
記憶部の物理的な構成としては、例えば、揮発性又は不揮発性のメモリやハードディスク等の記憶装置が挙げられる。記憶部は、硬貨識別装置で行われる処理に必要な各種のデータを記憶するために利用される。
【0091】
本開示の硬貨画像取得装置を備える硬貨識別装置は、本開示の硬貨処理装置に使用することができる。
硬貨処理装置は、硬貨識別装置に加えて、硬貨の識別以外の機能を有する部分を備える。
硬貨処理装置は、硬貨の入出金処理、包装硬貨の生成、包装硬貨の出金処理などを行うように構成されている。なお、包装硬貨は、所定枚数(例えば50枚)の硬貨によって構成され、これらの所定枚数の硬貨は、包装材で包装されていてもよい。
【0092】
図15は、硬貨処理装置の一例を模式的に示す斜視図である。
硬貨処理装置2としては、筐体200内に硬貨識別装置1(図15には図示せず)を備え、さらに、硬貨投入部201、リジェクト部206、返却箱207、出金箱210、回収部211、包装硬貨出金部231、包装硬貨一括箱232、包装硬貨投出部233等を備えている。
これらの構成部材は硬貨処理装置2の筐体200内に収納させることができる。
また、硬貨処理装置2は、筐体200の外に操作表示部260を備えていてもよい。
【0093】
硬貨投入部201は、処理対象の硬貨を投入する部分である。
リジェクト部206は、硬貨識別装置1において識別され、リジェクトすべきであると識別された硬貨(リジェクト硬貨)が導かれる部分である。
返却箱207は、返却すべき硬貨を収納するように構成されている。返却箱207は、硬貨処理装置2の筐体200に対して着脱可能に構成され、筐体200の前面から引き出し可能となっている。
出金箱210は、払い出される硬貨が収納される部分である。出金箱210は、硬貨処理装置2の筐体200に対して着脱可能に構成され、筐体200の前面から引き出し可能となっている。
回収部211は、回収すべき硬貨を収納する部分である。回収部211は、硬貨処理装置2の筐体200に対して着脱可能に構成され、筐体200の前面から引き出し可能となっている。
【0094】
包装硬貨出金部231は、包装硬貨(払い出すべき包装硬貨)を集積する部分である。包装硬貨出金部231には、硬貨処理装置2の筐体200の前面に開口する出金口が設けられ、その出金口にはシャッタが設けられている。そして、シャッタが開状態となることにより、操作者は、包装硬貨出金部231から包装硬貨を取り出すことができる。
包装硬貨一括箱232は、包装硬貨(払い出すべき包装硬貨)を集積する部分であり、包装硬貨出金部231よりも集積容量が大きくなっている。包装硬貨一括箱232は、硬貨処理装置2(具体的には筐体200)に対して着脱可能に構成されている。
包装硬貨投出部233は、包装硬貨を硬貨処理装置2の外部へ投出する部分である。
【0095】
操作表示部260は、操作者による操作が与えられ、その操作者による操作に応じて情報を入力するように構成されている。これにより、操作者は、硬貨処理装置2に各種処理を行わせることができる。
【0096】
以上、図面を参照しながら各実施形態を説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。また、各実施形態の構成は、本開示の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上のように、本開示は、光を拡散させる光拡散フィルムや、迷光を遮断する遮断壁を必須とすることなく、明瞭な硬貨画像を取得するのに有用な技術である。
【符号の説明】
【0098】
1:硬貨識別装置
2:硬貨処理装置
10、11、12、13:硬貨画像取得装置
15:磁気検知センサ
16:正損検知センサ(光学検知センサ)
17:燐光検知センサ
18:蛍光検知センサ
19:搬送部
19a:搬送ベルト
19b:搬送ピン
20、120:光源部
21:発光素子
22、122、222、322、422:集光部
22a、122a、222a、322a、322a´、422a:レンズ部
22b、122b、222b、422b:台座
23:制御基板(発光素子の制御基板)
30:撮像部
31:レンズユニット
32:撮像素子
33:制御基板(撮像素子の制御基板)
35:撮像領域
40:筐体(硬貨画像取得装置の筐体)
41:透明部
50:反射部材
60:筒状部材
61:柱状部材
70:拡散板
81:識別部
82:記憶部
100:硬貨
200:筐体(硬貨処理装置の筐体)
201:硬貨投入部
206:リジェクト部
207:返却箱
210:出金箱
211:回収部
231:包装硬貨出金部
232:包装硬貨一括箱
233:包装硬貨投出部
260:操作表示部
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