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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】更生管用帯状部材の搬送方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 63/32 20060101AFI20241120BHJP
   F16L 55/18 20060101ALI20241120BHJP
   F16L 1/00 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
B29C63/32
F16L55/18 B
F16L1/00 J
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021051056
(22)【出願日】2021-03-25
(65)【公開番号】P2022149084
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-12-13
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】後藤 雅稀
(72)【発明者】
【氏名】久保 善央
(72)【発明者】
【氏名】岡下 公貴
【審査官】岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-145844(JP,A)
【文献】特開2014-185706(JP,A)
【文献】特開2012-101484(JP,A)
【文献】特開2009-149049(JP,A)
【文献】特開2000-320726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 63/32
F16L 55/18
F16L 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻き癖が付された帯状部材を既設管内で螺旋状に巻回するとともに隣接する巻き部分を連結することにより、更生管を延伸させながら製管する工程において、巻き部分が連結される前の帯状部材からなる螺旋体を、製管場所に向けて前記更生管内を搬送する方法であって、
前記螺旋体の前記巻き部分に引掛具を掛け、前記引掛具を牽引装置で牽引することにより、前記螺旋体を前記製管場所に向けて搬送することを特徴とする更生管用帯状部材の搬送方法。
【請求項2】
製管機の稼働を停止させた状態で、連続した一巻き分の帯状部材からなる前記螺旋体を、前記牽引装置により、前記製管機に向けて一度に搬送することを特徴とする請求項1に記載の更生管用帯状部材の搬送方法。
【請求項3】
前記引掛具が前記螺旋体の長手方向に間隔をおいて複数個所に掛けられることを特徴とする請求項1または2に記載の更生管用帯状部材の搬送方法。
【請求項4】
前記引掛具が、一対の索条と、前記一対の索条の長手方向に間隔をおいて前記一対の索条間にかけ渡された複数の掛け部材とを有し、前記掛け部材が前記螺旋体の前記巻き部分に掛けられることを特徴とする請求項3に記載の更生管用帯状部材の搬送方法。
【請求項5】
前記引掛具の前記掛け部材が、前記巻き部分の中心より下方で前記巻き部分の最下位部より上方に掛けられた状態で、前記螺旋体が牽引されることを特徴とする請求項4に記載の更生管用帯状部材の搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設管内で帯状部材から更生管を製管する工程において、帯状部材を搬送する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
老朽化した下水管等の既設管を例えばSPR(Spiral Pipe Renewal)工法によって更生することは公知である。このSPR工法では、既設管内で製管機を用い、帯状部材(プロファイル)を螺旋状に巻回するとともに一周違いに隣接する巻き部分の縁部どうしを嵌合することによって、更生管を製管し既設管をライニングする。
【0003】
特許文献1,2に示すように、帯状部材には巻き癖が付されている。この帯状部材は、マンホールの近傍の地上に設置されたドラムからマンホールに導入され、さらに製管途中の更生管を通って更生管の先端に位置する製管機に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-101206号公報
【文献】特許6832109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記帯状部材は螺旋状をなして製管機まで搬送されるが、この搬送は全て作業者が担っていた。既設管が長い場合には例えば30mおきに作業者が複数配置され、帯状部材を手で持って搬送する。そのため、特に更生管の管径が大きく既設管が長い場合には、帯状部材の重量が大となり、作業者に重労働を強いることになる。高剛性の帯状部材を用いる場合、通水状態で搬送する場合には、さらに作業が厳しくなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、巻き癖が付された帯状部材を既設管内で螺旋状に巻回するとともに隣接する巻き部分を連結することにより、更生管を延伸させながら製管する工程において、巻き部分が連結される前の帯状部材からなる螺旋体を、製管場所に向けて前記更生管内を搬送する方法であって、前記螺旋体の前記巻き部分に引掛具を掛け、前記引掛具を牽引装置で牽引することにより、前記螺旋体を前記製管場所に向けて搬送することを特徴とする。
上記方法によれば、帯状部材からなる螺旋体を牽引装置で牽引することにより、作業者の負担を軽減することができる。
【0007】
好ましくは、前記製管機の稼働を停止させた状態で、連続した一巻き分の帯状部材からなる前記螺旋体を、前記牽引装置により、前記製管機に向けて一度に搬送する。
上記方法によれば、製管機の稼働に合わせて帯状部材を搬送せずに済む。また、製管機へ供給される帯状部材のピッチが安定し、製管機への負荷を軽減できるとともに安定した製管を行うことができる。
【0008】
好ましくは、前記引掛具が前記螺旋体の長手方向に間隔をおいて複数個所に掛けられる。
上記方法によれば、螺旋体を安定して搬送することができる。
【0009】
さらに好ましくは、前記引掛具が、一対の索条と、前記一対の索条の長手方向に間隔をおいて前記一対の索条間にかけ渡された複数の掛け部材とを有し、前記掛け部材が前記螺旋体の前記巻き部分に掛けられる。
上記方法によれば、帯状部材をより一層安定して搬送することができる。
【0010】
好ましくは、前記引掛具の前記掛け部材が、前記巻き部分の中心より下方で前記巻き部分の最下位部より上方に掛けられた状態で、前記螺旋体が牽引される。
上記方法によれば、掛け部材を安定して巻き部分に掛けることができるとともに、螺旋体を効率良く安定して搬送することができる。
【0011】
本発明の他の態様は、巻き癖が付された更生管用の帯状部材からなる螺旋体を搬送する際に用いられる引掛具であって、一対の索条と、前記一対の索条の長手方向に間隔をおいて前記一対の索条間にかけ渡された複数の掛け部材と、を備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、簡単で嵩張らない構造でありながら、確実に螺旋体に引掛けることができる。
【0012】
好ましくは、前記掛け部材が直線状に延びている。この構成によれば、螺旋体の巻き部分に確実に掛けることができる。
より好ましくは、前記掛け部材が直管からなり、全長にわたり軸線方向に延びるスリットを有する。この構成によれば、掛け部材が帯状部材に強く当たっても、その弾性により帯状部材を傷つけない。
【0013】
好ましくは、前記掛け部材がフレキシブルである。この構成によれば、螺旋体への装着作業が楽である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、帯状部材を製管機へ搬送する作業の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】既設管に沿って更生管を製管する工程の第1段階を示す概略縦断面図である。
図1B】製管工程の第2段階において、ドラムから導入された帯状部材に引掛具を装着し始めた状態を示す概略縦断面図である。
図1C】同第2段階において、帯状部材からなる螺旋体に引掛具の装着が完了した状態を示す概略縦断面図である。
図1D】同第2段階において、螺旋体を製管機に向けて牽引している途中の状態を示す概略縦断面図である。
図1E】同第2段階において、螺旋体の牽引による搬送が完了し、さらに製管機に向けて螺旋体を縮めた状態を示す概略縦断面図である。
図2】帯状部材の横断面図である。
図3】引掛具の平面図である。
図4】同引掛具の掛け部材の一部を示す拡大斜視図である。
図5】更生管内において螺旋体の巻き部分に掛け部材が掛けられた状態を示す横断面図である。
図6】螺旋体の巻き部分に掛け部材が掛けられた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1Aに示す既設管1は、例えば下水道管であり、マンホール2A,2B間に配管されている。老朽化した既設管1はその内周に更生管3をライニングすることで、更生される。
【0017】
更生管3は、帯状部材10(プロファイル)から製管される。図2に示すように、帯状部材10は、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂からなる主帯材11と、スチール等の金属からなる補強帯材12を有し、同一断面を有して帯状に長く延びている。主帯材11の幅方向一側縁部には雌型嵌合部11aが形成され、他側縁部には雄型嵌合部11bが形成されている。雄型嵌合部11aは雌型嵌合部11bの溝と相補形状をなしている。
帯状部材10は、筒状のドラムに巻かれた状態で、現場に搬送される。ドラムには、巻き癖形成装置が設けられている。施工時、ドラムから引き出された帯状部材10は、巻き癖形成装置を通過することで、更生管3より小径の巻き癖が付与される。なお、帯状部材10は、ドラムに巻かれていることで、ある程度巻き癖が付与される。更生管3より小径の巻き癖が付いていれば、巻き癖形成装置を通過させる必要はない。
【0018】
以下、更生管のライニング工程の概略を説明する。なお、このライニング工程は、既設管1に水が流れている状態でも実行することができる。
ライニング工程の第1段階
図1Aに示すように、帯状部材10は、更生管3より小径に巻き癖が付けられた状態で、発進側マンホール2Aの近傍の地上に設置されたドラム4に巻かれている。帯状部材10はドラム4からマンホール2A内に引き出され、既設管1内の管端近傍に設けられた製管機5に供給される。製管機5は、巻き癖が付けられた帯状部材10を所定径に巻回しながら隣接する巻き部分(一周違いの部分)の縁部同士を厚み方向に挟圧することにより、一方の巻き部分の雌型嵌合部11aと他方の巻き部分の雄型嵌合部11bを嵌合させ、更生管3を製管する。なお、既設管1内には製管機5の近傍に油圧装置6が配置されており、この油圧装置6は、到達側マンホール2Bの近傍の地上に設置された発電機7から電力を受けて製管機5を駆動する。
【0019】
上述したように製管機5により、更生管3の先端に位置する帯状部材10の巻き部分に帯状部材10の新たな巻き部分が連なり、更生管3が到達側マンホール2Bに向かって延伸していく。図1Aにおいてこの製管方向を符号Sで示す。帯状部材10は、マンホール2Aから製管途中の更生管3を通って更生管3の先端の製管機5に供給される。製管機5は、更生管3が延伸するに伴いマンホール2Bに向かって移動する(自走する)。
【0020】
1ドラム分の帯状部材10の供給が終了したら、新たなドラム4の帯状部材10を供給し、更生管3の先端に位置する帯状部材10の終端と新規の帯状部材10の始端とを接続して更生管3の製管を続ける。
【0021】
ライニング工程の第2段階
更生管3の先端に位置する製管機5が、マンホール2A側の既設管1の管端から所定距離を超えるとともに、1ドラム分の帯状部材10の供給が完了した時には、製管機5の稼働を停止し、以下に詳述するように、本願発明に係る帯状部材10の搬送と製管機5による更生管3の製管を繰り返す。
【0022】
マンホール2Aに引掛具20を巻いたリール8を設置し、マンホール2Bの近傍の地上には、ウインチ9(牽引装置)を設置し、既設管1のマンホール2B側の管端近傍にはローラ9aを設置する。
【0023】
引掛具20は、図3に示すように、一対のワイヤ21(索条)と、一対のワイヤ21間にかけ渡された複数の直線状に延びる掛け部材22とを有して、はしご形状をなしている。掛け部材22は、例えば500~700mmの長さを有し、ワイヤ21に沿って所定間隔、例えば1m間隔で配され、その両端がワイヤ21に固定されている。図4に示すように、掛け部材22は塩化ビニル樹脂等の樹脂製の真管により構成されており、その全長にわたり軸線方向に延びるスリット22aが形成されている。
【0024】
ワイヤ21の後端部は掛け部材22から延長されており、この延長部が介添用把持部21aとして提供される。引掛具20の比重は水より大きい。引掛具20のワイヤ21と掛け部材22は、汚物が付着しても水で洗い流せるように被覆するのが好ましい。
【0025】
巻き癖が付いた帯状部材2を、ドラム4からのマンホール2Aに導入し、さらに更生管3の管端から更生管3内に導入する。この際、帯状部材2の導入に合わせるようにしてリール8から引掛具20を更生管3の管底部に沿ってマンホール2Bに向けて引き出す。この際、図5図6に示すように、掛け部材22は巻き癖が付けられている帯状部材10に所定ピッチ毎に挿入される。
【0026】
上記のようにして、図1Cに示すように、引掛具20を装着した螺旋体Cが得られる。この螺旋体Cは1ドラム分(一巻き分)の連続した帯状部材10からなる。
次に、図1Dに示すように、ウインチ9からワイヤ30(牽引索条)を引き出してローラ9aにかけ渡し、製管機5に通し、引掛具20の先端に連結する。すなわち、ワイヤ30の先端は、2つに分岐しており、これら分岐部31を引掛具20の一対のワイヤ21の先端にそれぞれ連結する。この状態で、ウインチ9を駆動してワイヤ30を牽引すると、引掛具20がマンホール2Bへと引かれ、この引掛具20の掛け部材22に所定ピッチ毎に引っ掛けられた螺旋体Cが製管機5に向かって搬送される。
【0027】
図5図6に示すように、引掛部材20の掛け部材22は、帯状部材10の巻き部分の最下位部(更生管3の管底に接する部位)ではなくそれより上方(ただし、巻き部分の中心より下方)に掛けられているため、この巻き部分が大きく傾斜せずに安定して螺旋体Cを搬送することができる。また、複数の掛け部材22で帯状部材10を引っ掛けながら搬送するので、局所的に大きな力が加わらず、安定して螺旋体Cを搬送することができる。さらに、図6に示すように掛け部材22は巻き部分の左右2か所に当たるので、この点でも安定した搬送を行うことができる。
【0028】
掛け部材22は軸線方向にスリット22aを有し径方向に弾性変形することができるので、帯状部材10を傷つけない。
【0029】
掛け部材22は螺旋体Cの巻き部分に、予定した高さで当たることが好ましい。引掛具20の比重が水より大きいので、既設管1を流れる水により引掛具20が浮き上がるのを防止できる。また、一対のワイヤ21の後端部の介添用把持部21aを介添者Mが手で持ち、掛け部材22を予定した高さでほぼ水平に維持することができる。
【0030】
図1Eに示すように、搬送された帯状部材10の先端が製管機5に達したら、帯状部材10の後端を押して帯状部材10のピッチを縮めるのが好ましい。製管機5への負荷を軽減するためである。
【0031】
次に、製管途中の更生管3の帯状部材の終端を、搬送された螺旋体Cの帯状部材10の始端と接続した後、製管機5により更生管3の製管を再開する。この際、引掛具20を螺旋体Cに残置させた状態でも製管を行うことができるが、製管再開前に螺旋体Cから撤収してもよい。この引掛具20は掛け部材22をワイヤ21で連結しただけであるので、嵩張らない。
【0032】
上述の巻き癖された帯状部材10からなる螺旋体Cの搬送と製管機5による更生管3の繰り返すことにより、更生管3が延伸され、やがて更生管3の先端と製管機5が、既設管1のマンホール2Bの管端に到達する。これにより、更生管3の製管工程すなわち既設管1へのライニング工程が完了する。
【0033】
具体例
以下、具体例を挙げて説明する。
既設管1の内径が1500mm、更生管3の内径が1360mm、帯状部材10の巻き癖の内径が1210mm、更生管3の内面に露出する帯状部材10の主面の幅が97mm、1ドラム分の帯状部材10の全長が約200mの場合、1ドラム分で製管される更生管の長さは約4.5mである。
【0034】
引掛具20の掛け部材22は、1m間隔で配置され、螺旋体Cに2ピッチ間隔で挿入される。掛け部材22の外径は15mm、長さ500mmである。
1ドラム分の螺旋体Cの長さは約27mで巻き部分の数が約53であり、引掛具20は約30本の掛け部材22を有している。
上記の場合、製管機5が既設管1におけるマンホール2A側の管端から30mを超えて1ドラム分の帯状部材10の供給が終了した時に、第1段階から第2段階に移行する。
【0035】
他の具体例を説明する。
既設管1の内径が1200mm、更生管3の内径が1090mm、帯状部材10の巻き癖の内径が940mm、更生管3の内面に露出する帯状部材10の主面の幅が85mm、1ドラム分の帯状部材10の全長が約300mである。
引掛具20の掛け部材22は、1m間隔で配置され、螺旋体Cに3ピッチ間隔で挿入される。掛け部材22の外径は15mm、長さ500mmである。
1ドラム分の螺旋体Cの長さは約33mで巻き部分の数が約100であり、引掛具20は約35本の掛け部材22を有している。
上記の場合、製管機5が既設管1におけるマンホール2A側の管端から35mを超えて1ドラム分の帯状部材10の供給が終了した時に、第1段階から第2段階に移行する。
【0036】
上記実施形態において、はしご状の引掛具20を全長にわたって更生管3の管底に敷いた状態で、巻き癖が付いた1ドラム分の帯状部材10を更生管3に導入してもよい。
【0037】
引掛具の掛け部材は、フレキシブルなワイヤやロープであってもよい。この場合、掛け部材が更生管3の管底に沿って沈むので、介添者がワイヤ21の介添用把持部21aを持って、掛け部材を更生管3の管底より上方に引き上げる必要がある。掛け部材がフレキシブルな場合には、引掛具を全長にわたって更生管3の管底に敷いた状態で巻き癖が付された帯状部材を更生管に導入するのが好ましい。
【0038】
帯状部材を更生管に導入する際に、引掛具を帯状部材の側面または上面に仮固定しておき、帯状部材の導入が終了した後に螺旋体を回転させることにより引掛具を下部に位置させるようにしてもよい。
【0039】
上記実施形態では、1ドラム分の連続した帯状部材10からなる螺旋体Cを一度に搬送したが、ドラムに巻かれる帯状部材が長い場合には、ドラム4から製管機5までの連続した帯状部材の一部からなる螺旋体を搬送してもよい。この場合も、作業者の負担を軽減することができる。
【0040】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
引掛具20のワイヤ21、ウインチ9のワイヤ30の代わりにロープを用いてもよい。
既設管は、上水道管、農業用水管、水力発電導水管、ガス管、トンネル等であってもよい。
帯状部材10は、隣どうしを直接嵌合等により連結する構造でなくてもよい。例えば帯状の連結部材を介して、帯状部材10の隣どうしを間接的に連結する構造であってもよい。
製管機を用いて更生管を形成する代わりに、人手で更生管を製管してもよい。
帯状部材は金属製補強材を含まなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、老朽化した下水管等の既設管の更生技術に適用できる。
【符号の説明】
【0042】
1 既設管
3 更生管
5 製管機
9 ウインチ(牽引装置)
10 帯状部材
20 引掛具
21 ワイヤ(索条)
21a 介添用把持部
22 掛け部材
22a スリット
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3
図4
図5
図6