(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】押出装置およびノズルの着脱方法
(51)【国際特許分類】
B29B 7/60 20060101AFI20241120BHJP
B29B 7/94 20060101ALI20241120BHJP
B29C 48/29 20190101ALI20241120BHJP
F16J 15/08 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
B29B7/60
B29B7/94
B29C48/29
F16J15/08 K
(21)【出願番号】P 2021074615
(22)【出願日】2021-04-27
【審査請求日】2023-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三原 哲生
(72)【発明者】
【氏名】藤田 玲生
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-009314(JP,A)
【文献】特許第6139038(JP,B1)
【文献】特開2013-195163(JP,A)
【文献】特開平03-118124(JP,A)
【文献】特開平10-078178(JP,A)
【文献】特開昭61-050624(JP,A)
【文献】実開昭57-105727(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 7/00-11/14
B29B 13/00-15/06
B29C 31/00-31/10
B29C 37/00-37/04
B29C 48/00-48/96
B29C 71/00-71/02
F16J 15/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む押出装置:
シリンダ;
前記シリンダに取り付けられた液体供給用のノズル;および
前記シリンダに内蔵され、前記シリンダに供給された樹脂材料と前記ノズルから前記シリンダに供給された液体とを混練するためのスクリュ、
ここで、前記ノズルは、第1の円筒部と、前記第1の円筒部よりも外径が大きい第2の円筒部と、前記第1の円筒部と前記第2の円筒部との間に配置された窪み部と、を有し、
前記第1の円筒部は、前記第2の円筒部よりも、前記ノズルの先端側に位置し、
前記窪み部は、前記第1の円筒部の側面に対して、外径が小さくなるように窪んでおり、
前記ノズルは、前記窪み部をシール部材が囲んだ状態で、前記シリンダに取り付けられて
おり、
前記シリンダの開口部に前記ノズルの一部が挿入され、
前記開口部は、第2開口部と、前記第2開口部と連通し、かつ前記第2開口部よりも小さな開口径を有する第3開口部と、前記第2開口部と前記第3開口部との境界に位置する第1段差面と、を含み、
前記ノズルの前記第2の円筒部は、前記第2開口部内に配置され、
前記ノズルの前記第1の円筒部は、前記第3開口部内に配置され、
前記ノズルの前記窪み部を前記シール部材が囲んでおり、
前記ノズルと前記第1段差面との間に、前記シール部材が介在している。
【請求項2】
請求項1記載の押出装置において、
前記シール部材は、金属材料からなる、押出装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の押出装置において、
前記シール部材は、環状の部材であり、前記シール部材の第1開口部内に前記窪み部が位置し、
前記シール部材の前記第1開口部は、前記第1の円筒部が通過できないような形状および寸法を有している、押出装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の押出装置において、
前記シール部材の内径は、前記第1の円筒部の外径よりも小さい、押出装置。
【請求項5】
以下の工程を含む、ノズルの着脱方法:
(a)液体供給用のノズルを用意する工程;
(b)押出装置のシリンダに前記ノズルを取り付ける工程;および
(c)前記シリンダから前記ノズルを取り外す工程、
ここで、前記(a)工程で用意された前記ノズルは、第1の円筒部と、前記第1の円筒部よりも外径が大きい第2の円筒部と、前記第1の円筒部と前記第2の円筒部との間に配置された窪み部と、を有し、
前記第1の円筒部は、前記第2の円筒部よりも、前記ノズルの先端側に位置し、
前記窪み部は、前記第1の円筒部の側面に対して、外径が小さくなるように窪んでおり、
前記(b)工程では、前記ノズルは、前記窪み部をシール部材が囲んだ状態で、前記シリンダに取り付けら
れ、
前記(b)工程では、
前記シリンダの開口部に前記ノズルの一部が挿入され、
前記開口部は、第2開口部と、前記第2開口部と連通し、かつ前記第2開口部よりも小さな開口径を有する第3開口部と、前記第2開口部と前記第3開口部との境界に位置する第1段差面と、を含み、
前記ノズルの前記第2の円筒部は、前記第2開口部内に配置され、
前記ノズルの前記第1の円筒部は、前記第3開口部内に配置され、
前記ノズルと前記第1段差面との間に、前記シール部材が介在する。
【請求項6】
請求項
5記載のノズルの着脱方法において、
前記シール部材は、金属材料からなる、ノズルの着脱方法。
【請求項7】
請求項
5または6記載のノズルの着脱方法において、
前記(c)工程では、前記ノズルは、前記窪み部を前記シール部材が囲んだ状態で、前記シリンダから取り外される、ノズルの着脱方法。
【請求項8】
請求項
7記載のノズルの着脱方法において、
前記シール部材は、環状の部材であり、
前記(b)工程で前記ノズルが前記シリンダに取り付けられた後は、前記シール部材の第1開口部内に前記窪み部が位置し、前記シール部材の前記第1開口部は、前記第1の円筒部が通過できないような形状および寸法を有している、ノズルの着脱方法。
【請求項9】
請求項
8記載のノズルの着脱方法において、
前記(b)工程で前記ノズルが前記シリンダに取り付けられる前は、前記シール部材の前記第1開口部は、前記第1の円筒部が通過できるような形状および寸法を有している、ノズルの着脱方法。
【請求項10】
請求項
9記載のノズルの着脱方法において、
前記(b)工程では、前記シール部材は、内径が小さくなるように変形する、ノズルの着脱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出装置、ノズルおよびノズルの着脱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2016-7819号公報(特許文献1)には、押出機を備えるストランド製造装置に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
押出装置から押し出される樹脂を用いて樹脂製品、例えば樹脂ペレットを製造することができる。この際、押出装置のシリンダ内に樹脂材料を供給し、シリンダに内蔵されているスクリュにより、その樹脂材料を混練、搬送するが、シリンダに添加剤のような液体を供給する場合がある。その場合、液体添加用のノズルを押出装置のシリンダに取り付けて置き、そのノズルから、シリンダ内に添加剤のような液体を供給することができる。
【0005】
このノズルを押出装置のシリンダに取り付ける際には、液漏れを防ぐために、シール部材を用いるが、清掃などのためにノズルを押出装置のシリンダから取り外す際に、使用済みのシール部材が押出装置のシリンダ側に残ってしまう場合がある。使用済みのシール部材が押出装置のシリンダ側に残ってしまうと、再度ノズルを押出装置のシリンダに取り付ける際に、使用済みのシール部材が邪魔になるため、押出装置のシリンダ側に残ったシール部材を取り除く必要がある。しかしながら、押出装置のシリンダ側に残ったシール部材は、取り除きにくい。このため、押出装置のシリンダ側に残ったシール部材を取り除く作業は、手間がかかるので、押出装置の管理を行いにくくし、樹脂製品の製造コストを増加させる虞がある。また、押出装置の稼働率の低下を招く虞もある。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態によれば、押出装置は、シリンダと、前記シリンダに取り付けられた液体供給用のノズルと、を含む。前記ノズルは、第1の円筒部と、前記第1の円筒部よりも外径が大きい第2の円筒部と、前記第1の円筒部と前記第2の円筒部との間に配置された窪み部と、を有する。前記第1の円筒部は、前記第2の円筒部よりも、前記ノズルの先端側に位置する。前記ノズルは、前記窪み部をシール部材が囲んだ状態で、前記シリンダに取り付けられている。
【発明の効果】
【0008】
一実施の形態によれば、ノズルを押出装置のシリンダから取り外す際に、シール部材が押出装置のシリンダ側に残ってしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施の形態の押出装置を示す説明図である。
【
図2】一実施の形態の押出装置の要部断面図である。
【
図7】
図2の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【
図8】押出装置のシリンダにノズルを取り付ける様子を示す断面図である。
【
図11】押出装置のシリンダからノズルを取り外す様子を示す断面図である。
【
図12】検討例のノズルの先端部を示す断面図である。
【
図13】シリンダに検討例のノズルを取り付けた場合の押出装置の要部断面図である。
【
図14】押出装置のシリンダに検討例のノズルを取り付ける様子を示す断面図である。
【
図15】押出装置のシリンダから検討例のノズルを取り外す様子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0011】
(実施の形態)
<押出装置の構成例について>
図1は、本実施の形態の押出装置1を示す説明図(側面図)である。
図2は、本実施の形態の押出装置1の要部断面図であり、シリンダ2にノズル7が取り付けられた位置の近傍領域の断面図が示されている。
【0012】
まず、
図1および
図2を参照して、押出装置(押出機、樹脂押出機)1の概略構成について説明する。
図1に示される押出装置1は、シリンダ(バレル)2と、シリンダ2内に回転可能(回転自在)に配置されたスクリュ3と、シリンダ2内のスクリュ3を回転させるための回転駆動機構4と、シリンダ2の上流側(後端側)に配置されたホッパ(樹脂材料投入部、樹脂材料供給部)5と、シリンダ2の下流側先端に取り付けられたダイ(金型)6と、を有している。ホッパ5は、シリンダ2の上面に接続されており、ホッパ5を介してシリンダ2内に樹脂材料(原料樹脂)を供給できるようになっている。シリンダ2は、ヒータなどの図示しない温度調整手段(温度調節機構)によって、温度制御される。
【0013】
なお、シリンダ2およびスクリュ3に関して「下流側」および「上流側」と称する場合、「下流側」とは、シリンダ2内の樹脂の流れの下流側を意味し、「上流側」とは、シリンダ2内の樹脂の流れの上流側を意味する。このため、シリンダ2およびスクリュ3において、シリンダ2の先端に近い側が下流側であり、シリンダ2の先端から遠い側(すなわちホッパ5に近い側)が上流側である。なお、シリンダ2の先端は、シリンダ2において、樹脂が押し出される側の端部に対応しており、従ってダイ6が接続された側の端部に対応している。
【0014】
シリンダ2の内部には、2本のスクリュ3が回転可能(回転自在)に挿入されて内蔵されている。このため、押出装置1は、二軸押出装置(二軸押出機)とみなすこともできる。シリンダ2内において、2本のスクリュ3は、互いに噛み合うように配置されて回転する。シリンダ2の延在方向(長手方向、軸方向)と、シリンダ2内のスクリュ3の延在方向(長手方向、軸方向)とは、同じであり、ここではX方向である。
【0015】
本実施の形態では、シリンダ2内のスクリュ3の数が2本の場合について説明しているが、他の形態として、シリンダ2内のスクリュ3の数を1本とすることもできる。しかしながら、シリンダ2内のスクリュ3の数を2本とした場合には、空間容積を大きくとれるため、同一スクリュ口径の場合、単軸(スクリュ3が1本)よりも二軸(スクリュ3が2本)の方が原料の供給能力を高くすることができる。
【0016】
シリンダ2は、複数のシリンダブロックからなり、それら複数のシリンダブロックは、上流側から下流側に向かう方向(X方向)に配列して連結されている。このため、シリンダ2は、上流側から下流側に向かう方向に延在している。シリンダ2を構成する複数のシリンダブロックのうち、ホッパ5が接続されるシリンダブロックは、その上面に開口部(樹脂供給口)を有し、その開口部に連通するようにホッパ5が接続されている。これにより、ホッパ5に投入した樹脂材料は、シリンダブロック(ホッパ5が接続されたシリンダブロック)の上面の開口部(樹脂供給口)からシリンダブロック内に供給されるようになっている。
【0017】
本実施の形態の押出装置1は、シリンダ2内に添加剤のような液体を供給(注入)するためのノズル(液体添加用ノズル、液添ノズル、液体注入用ノズル、注入ノズル)7を、更に有している。
【0018】
ノズル7からシリンダ2内に供給する液体は、必要に応じて様々な液体を適用することができる。押出装置1を用いて製造する樹脂製品の種類などに応じて、ノズル7からシリンダ2内に供給する液体を選択することができる。ノズル7からシリンダ2内に供給する液体として、例えば、フィラーが分散媒(溶媒)に分散(混合)されたフィラー分散液を用いることもできる。ノズル7からシリンダ2内に供給(注入)された液体は、シリンダ2内において、回転するスクリュ3により樹脂材料と混練(混合)される。ノズル7からシリンダ2内にフィラー分散液を供給した場合は、シリンダ2内において、回転するスクリュ3により樹脂材料とフィラー分散液とが混練(混合)されことにより、樹脂材料中にフィラーが分散された状態になる。フィラー分散液に含まれる分残媒は、シリンダ2内でガス化して、後述するガス排出部から、シリンダ2外に排出することができる。
【0019】
ノズル7は、シリンダ2に取り付けられおり、具体的には、シリンダ2の上面側に取り付けられている。また、シリンダ2において、ノズル7が取り付けられた位置は、ホッパ5が接続された位置よりも、下流側に位置している。すなわち、シリンダ2において、ノズル7が取り付けられたシリンダブロックは、ホッパ5が接続されたシリンダブロックよりも、下流側に位置している。
【0020】
シリンダ2を構成する複数のシリンダブロックのうち、ノズル7が取り付けられるシリンダブロックは、その上面に開口部11を有し、その開口部11に、ノズル7の一部(先端側の一部)が挿入されている。これにより、ノズル7から、シリンダブロック(ノズル7が取り付けられたシリンダブロック)の上面の開口部11を介してシリンダブロック内に液体が供給されるようになっている。シリンダ2において、ノズル7からの液体供給用の開口部11は、ホッパ5が接続された開口部(樹脂供給口)よりも下流側に位置している。
【0021】
また、シリンダ2は、シリンダ2内で発生したガスをシリンダ2外へ排出するガス排出部を有することもできる。これにより、ホッパ5からシリンダ2内に供給された樹脂材料やノズル7からシリンダ2内に供給された液体に起因してシリンダ2内でガスが発生した場合には、シリンダ2のガス排出部から、シリンダ2外にガスを排出することができる。
【0022】
ダイ6は、押出装置1のシリンダ2から押し出されてくる溶融樹脂を、所定の断面形状(例えば紐状)に成形して吐出するように機能することができる。このため、ダイ6は、押出成形用のダイ(ダイス、金型)である。
【0023】
なお、本願において、「溶融」とは、熱で溶かす場合に限定されず、溶剤などで溶かす場合も含むものとする。このため、加熱により樹脂を溶かした場合だけでなく、溶剤で樹脂を溶かした場合や、マイクロ波により樹脂を溶かした場合なども、「溶融樹脂」に含まれ得る。また、液状樹脂も、「溶融樹脂」に含まれ得る。
【0024】
次に、
図1および
図2に示される押出装置1の動作の概略について説明する。
【0025】
ホッパ5からシリンダ2内に樹脂材料(原料樹脂、熱可塑性樹脂)が供給され、ノズル7からシリンダ2内に添加剤などの液体(以下、「液体添加剤」と称する)が供給される。ホッパ5からシリンダ2内に供給された樹脂材料は、シリンダ2内でスクリュ3の回転により前方へ送られながら溶融される。そして、ノズル7からシリンダ2内に液体添加剤が供給されるため、樹脂材料(溶融樹脂)とノズル7から供給された液体添加剤とが、スクリュ3の回転により混練されながらシリンダ2内を更に前方に送られる。樹脂材料(溶融樹脂)とノズル7から供給された液体添加剤との混練物は、シリンダ2の先端に取り付けられたダイ6から押し出される(吐出される)。シリンダ2内において、液体添加剤が気化することにより発生したガスは、シリンダ2のガス排出部からシリンダ2外に排出することができる。
【0026】
ダイ6から押し出された樹脂材料により、樹脂製品が製造される。例えば、樹脂材料(溶融樹脂)は、ダイ6で紐状に成形されてダイ6からストランド(樹脂ストランド)として押し出され、切断装置(カッタ)で切断されることにより、樹脂製品としてペレット(樹脂ペレット)が製造される。
【0027】
このため、押出装置1を用いて樹脂製品(例えば樹脂ペレット)を製造する工程は、ホッパ5からシリンダ2内に樹脂材料を供給する工程と、ノズル7からシリンダ2内に液体(液体添加剤)を供給する工程と、液体を供給する工程の後にシリンダ2内のスクリュ3によって樹脂材料と液体(液体添加剤)とを混練する工程と、混練工程の後にシリンダ2の外に樹脂材料を押し出す工程と、を有する。
【0028】
<ノズル7について>
次に、本実施の形態の押出装置1のシリンダ2に取り付けられたノズル7の構成について、上記
図2および
図3~
図7を参照して説明する。
図3は、本実施の形態で用いられているノズル7の断面図である。
図4は、ノズル7の先端部の平面図であり、
図5は、ノズル7の先端部の側面図であり、
図6は、ノズル7の先端部の断面図である。
図6は、
図4のA-A線の位置での断面図にほぼ対応している。
図7は、上記
図2の一部を拡大して示す部分拡大断面図であり、シリンダ2の開口部11に挿入されたノズル7の先端部の近傍領域が示されている。
【0029】
図2~
図7に示されるように、ノズル7は、吐出孔21と、液体供給部22と、空洞部(中空部)23と、を有している。ノズル7の吐出孔21は、ノズル7の先端に位置する。ノズル7において、空洞部23と吐出孔21とは連通している(空間的につながっている)。また、液体供給部22は、ノズル7の空洞部23と接続されており、液体供給部22からノズル7の空洞部23に液体(液体添加剤)を供給できるようになっている。
【0030】
また、ノズル7の空洞部23内には、ピストン(棒状部材)24が配置されている。ノズル7の空洞部23内において、ピストン24は上下動可能であるが、ピストン24には、バネ部材25により、ピストン24を下方(ノズル7の先端側)に押す力(押圧力)が付与されるようになっている。また、ピストン24の上部側面と空洞部23の内壁との間にOリング(シール部材)26が配置されている。このため、液体供給部22から空洞部23に供給された液体が、Oリング26を越えてOリング26よりも上方側に漏れ出ることを防止することができる。液体供給部22には、例えば、液体供給用のポンプ(プランジャーポンプ、ここでは図示せず)が接続されている。
【0031】
次に、ノズル7の動作の概略について説明する。
【0032】
液体供給用のポンプ(ここでは図示せず)から液体供給部22に液体添加剤(液体)が供給され、液体供給部22からノズル7の空洞部23内に液体添加剤が注入(供給)される。
図3では、液体供給用のポンプから液体供給部22に供給される液体添加剤を矢印27で模式的に示してある。ノズル7の空洞部23への液体添加剤の注入圧力が低い状態では、バネ部材25により、ピストン24を下方に押す力(押圧力)がピストン24に付与されることにより、ピストン24の先端部が吐出孔21に押し付けられるため、ピストン24の先端部が吐出孔21を塞ぐ。この状態では、ノズル7の吐出孔21から液体添加剤は吐出されない。しかしながら、ノズル7の空洞部23への液体添加剤の注入圧力が高くなると、その注入圧力が、バネ部材25がピストン24を下方に押す力(押圧力)を上回るため、ピストン24は上方に移動し、ピストン24の先端部が吐出孔21から離れるので、ピストン24の先端部が吐出孔21を塞いでいない状態になる。この状態では、ノズル7の空洞部23内の液体添加剤が、吐出孔21から吐出されることになる。
図3では、吐出孔21から吐出される液体添加剤を、矢印28で模式的に示してある。ノズル7の吐出孔21から吐出された液体添加剤は、シリンダ2の開口部11(
図2参照)を通じてシリンダ2内(すなわちシリンダ2内の搬送空間)に供給される。一方、ノズル7の空洞部23内の液体添加剤が吐出孔21から吐出されることにより、ノズル7の空洞部23への液体添加剤の注入圧力が低くなると、その注入圧力は、バネ部材25がピストン24を下方に押す力(押圧力)を下回るため、ピストン24は下方に移動し、ピストン24の先端部が吐出孔21に押し付けられ、ピストン24の先端部が吐出孔21を塞いだ状態になる。このようにして、液体添加剤の注入圧力が、バネ部材25がピストン24を下方に押す力(押圧力)を上回ったときだけ、ノズル7の空洞部23内の液体添加剤を吐出孔21から吐出させることができる。
【0033】
次に、シリンダ2にノズル7が取り付けられた状態について説明する。
【0034】
シリンダ2の開口部11に、ノズル7の一部(先端側の一部)が挿入されている。なお、ノズル7の先端側とは、吐出孔21が形成されている側(すなわち液体添加剤を吐出する側)に対応している。ノズル7の先端部は、直径(外径、外周の直径)D2を有する円筒部32と、直径D1よりも小さな直径(外径、外周の直径)D1を有する円筒部31と、円筒部31と円筒部32との間に配置された窪み部33と、を有している。円筒部31は、円筒部32よりも、ノズル7の先端側に位置している。より特定的には、円筒部31は、ノズル7の最先端の部分を構成しており、円筒部31の吐出孔21から、液体添加剤が吐出される。円筒部32と円筒部31とは、窪み部33を介して連結されている。円筒部31の直径D1は、円筒部32の直径D2よりも小さい(すなわちD1<D2)。窪み部33は、円筒部31の側面に対して、外径(外周の直径)が小さくなるように窪んでいる。
【0035】
ここで、シリンダ2にノズル7を取り付けている状態において、ノズル7の延在方向をZ方向と称することとする。ノズル7は、上記
図1のように、シリンダ2の上面側に取り付けられている(従って開口部11はシリンダ2の上面側に設けられている)ことが好ましいが、その場合は、ノズル7の延在方向であるZ方向は、上下方向である。また、
図2、
図3、
図5~
図7においては、上下方向がZ方向に対応し、
図4においては、紙面に垂直な方向がZ方向に対応している。
【0036】
本実施の形態で特徴的なのは、円筒部31と、円筒部31よりも外径が大きい円筒部32との間に、円筒部31の側面に対して外径が小さくなるように窪んだ窪み部(溝部、ネック部)33を設けていることである。すなわち、円筒部31と円筒部32との間に窪み部33が介在しており、円筒部31と円筒部32とは、窪み部33を介して連結されている。Z方向において、円筒部31と窪み部33と円筒部32とが、順に並んでおり、このうち、円筒部31がノズル7の最も先端側に位置している。円筒部31と円筒部32とは、窪み部33を介して一体的に連結されていることが好ましい。窪み部33は、窪み部33の直径(外径)D3が円筒部31の直径(外径)D1よりも小さくなるように、円筒部31の側面(外表面)に対して窪んでいる。このため、窪み部33の直径D3は、円筒部31の直径D1よりも小さい(すなわちD1>D3)。なお、各直径D1,D2,D3,D4,D5は、Z方向に略垂直な面でみたときの直径に対応している。
【0037】
また、
図5~
図7の場合は、窪み部33の側面(外表面)は、Z方向における中央付近で窪み部33の直径(外径)が最小となり、Z方向における両端側で窪み部33の直径(外径)が大きくなるような曲面である場合が示されている。他の形態として、窪み部33が、円筒部31の直径D1よりも小さな直径D3を有する円筒形状を有する場合もあり得るが、その場合は、窪み部33の直径D3は、Z方向の位置によらず、ほぼ一定となる。
【0038】
上述のように、円筒部32の直径D2は、円筒部31の直径D1よりも大きく、かつ、窪み部33の直径D3よりも大きい(すなわちD2>D1かつD2>D3)。このため、円筒部32のZ方向における端部(窪み部33を介して円筒部31に連結される側の端部)には、段差面(段差、端面)34が形成されている。段差面34は、Z方向に略垂直な面であり、円筒部32の側面と窪み部33とをつないでいる。
【0039】
ノズル7は、窪み部33を環状のシール部材36が囲んだ状態で、シリンダ2に取り付けられている。
【0040】
シリンダ2の開口部11は、Z方向に延在しているが、直径(開口径)D5を有する部分(以下、開口部11bと称す)と、開口部11bとZ方向に連通(隣接)し、かつ、直径D5よりも小さな直径(開口径)D4を有する部分(以下、開口部11aと称す)と、を有している。開口部11aと開口部11bとは、それぞれ円形状の平面形状を有しており、開口部11aの中心軸と開口部11bの中心軸とは互いに一致し、中心軸の軸方向は、Z方向である。開口部11aと開口部11bとは、Z方向において隣接して連通しているが、開口部11aと開口部11bとのうち、開口部11aがシリンダ2の内部(搬送空間)に近い側に位置し、開口部11bがシリンダ2の内部(搬送空間)から遠い側(従ってシリンダ2の外部に近い側)に位置している。開口部11aの直径(開口径)D4は、開口部11bの直径(開口径)D5よりも小さい(すなわちD4<D5)。
【0041】
なお、シリンダ2(シリンダブロック)において、スクリュ3が貫通し、回転するスクリュ3により搬送される樹脂材料が通過する空間を、シリンダ2(シリンダブロック)の搬送空間と称することとする。
【0042】
上述のように、開口部11aの直径D4は、開口部11bのD5よりも小さい(すなわちD4<D5)ため、開口部11aと開口部11bとの間(境界)には、段差面(段差、端面)11cが形成されている。段差面11cは、開口部11の延在方向(中心軸方向、Z方向)に略垂直な面であり、開口部11aの内壁面と開口部11bの内壁面とをつないでいる。
【0043】
このため、開口部11は、開口部11bと、開口部11bと連通し、かつ開口部11bよりも小さな開口径を有する開口部11aと、開口部11bと開口部11aとの境界に位置する段差面11cと、を含んでいる。
【0044】
シリンダ2の開口部11にノズル7の一部が挿入(配置)されているが、ノズル7の円筒部31は、開口部11のうちの開口部11a内に配置され、円筒部32は、開口部11のうちの開口部11b内に配置されている。
【0045】
円筒部31の直径D1は、開口部11aの直径D4と同じかそれよりも小さい。このため、開口部11のうちの開口部11aに、ノズル7の円筒部31は配置(挿入)され得る。一方、円筒部32の直径D2は、開口部11aの直径D4よりも大きく、かつ、開口部11bの直径D5と同じかそれよりも小さい。このため、開口部11のうちの開口部11bには、ノズル7の円筒部32は配置(挿入)され得るが、開口部11のうちの開口部11aには、ノズル7の円筒部32は配置(挿入)されない。
【0046】
ノズル7の段差面34は、開口部11の段差面11cに対向しているが、ノズル7の段差面34と開口部11の段差面11cとの間には、シール部材(ガスケット)36が介在している。シール部材36は、好ましくは金属材料からなり、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、またはステンレス鋼などからなる。シール部材36は、環状(リング状)の部材であり、ノズル7の窪み部33を囲んでいる。すなわち、環状のシール部材36の開口部内に、ノズル7の窪み部33が位置している。環状のシール部材36の開口部の内壁は、好ましくは、ノズル7の窪み部33と接している。
【0047】
環状のシール部材36の上面は、ノズル7の段差面34と接触(密着)し、環状のシール部材36の下面は、開口部11の段差面11cと接触(密着)している。これにより、ノズル7の吐出孔21から液体添加剤を吐出した際に、開口部11においてシール部材36よりも上方側に液体添加剤(吐出孔21から吐出された液体添加剤)が漏れ出てしまうのを防止することができる。
【0048】
ノズル7がシリンダ2に取り付けられた状態では、環状のシール部材36の開口部は、ノズル7の円筒部31が通過できないような形状および寸法を有している。具体的には、環状のシール部材36の開口部の直径(すなわち環状のシール部材36の内径)は、ノズル7の円筒部31の直径(外径)D1よりも小さくなっている。
【0049】
<ノズル7の着脱について>
次に、押出装置1のシリンダ2に対するノズル7の着脱法について説明する。
図8は、押出装置1のシリンダ2にノズル7を取り付ける様子を示す断面図である。
図9および
図10は、環状のシール部材36を示す平面図であるが、
図9には、押出装置1のシリンダ2にノズル7を取り付ける前の段階におけるシール部材36が示され、
図10には、押出装置1のシリンダ2にノズル7を取り付けた後の段階におけるシール部材36が示されている。
図9および
図10は、平面図であるが、図面を見やすくするために、シール部材36にハッチングを付してある。
図11は、押出装置1のシリンダ2からノズル7を取り外す様子を示す断面図である。
【0050】
押出装置1のシリンダ2にノズル7を取り付ける工程について説明する。
【0051】
まず、ノズル7と環状のシール部材36とを用意する。ノズル7をシリンダ2に取り付ける前は、環状のシール部材36の開口部の直径(すなわち環状のシール部材36の内径D6)は、ノズル7の円筒部31の直径D1と同じか、それよりも大きい(但し、ノズル7の円筒部32の直径D2よりも小さい)。このため、ノズル7をシリンダ2に取り付ける前は、環状のシール部材36の開口部は、ノズル7の円筒部31が通過できるような形状および寸法を有している。
【0052】
それから、
図8に示されるように、シリンダ2の開口部11にノズル7を挿入する(より特定的にはノズル7の先端側の一部を挿入する)。これにより、ノズル7の円筒部31と窪み部33と円筒部32とは、シリンダ2の開口部11内に挿入(配置)されることになる。ノズル7の円筒部31は、開口部11のうちの開口部11aに配置(収容)され、ノズル7の円筒部32は、開口部11のうちの開口部11bに配置(収容)される。シリンダ2の開口部11にノズル7を挿入する際には、環状のシール部材36をノズル7の円筒部31に通した状態で、シリンダ2の開口部11にノズル7を挿入する。このため、シリンダ2の開口部11に、ノズル7の先端側の一部を挿入すると、ノズル7の段差面34と開口部11の段差面11cとの間に、環状のシール部材36が介在する。
【0053】
そして、ノズル7をシリンダ2に対して、固定部材(例えばネジまたはボルトなど)を用いて固定する。この際、ノズル7に対して、ノズル7がシリンダ2側に押し付けられるような力を付与することにより、環状のシール部材36は、上記
図7に示されるように、ノズル7の段差面34と開口部11の段差面11cとに挟まれて押しつぶされることにより変形する。具体的には、環状のシール部材36は、ノズル7の段差面34と開口部11の段差面11cとに挟まれて押しつぶされることにより、シール部材36の厚み(Z方向の寸法)が減少し、開口部11の段差面11cに略平行な方向にシール部材36が押し広げられるように、変形する。すなわち、環状のシール部材36は、シール部材36の外径(外周の直径)が大きくなり、シール部材36の内径(内周の直径、すなわちシール部材36の開口部の直径)D6が小さくなるように、変形する(
図10および
図11参照)。これにより、上記
図7に示されるように、環状のシール部材36は、窪み部33に入り込み、シール部材36の開口部の直径(すなわちシール部材36の内径D6)がノズル7の円筒部31の直径D1よりも小さくなるように変形する。このため、ノズル7をシリンダ2に取り付けた状態(
図7の状態)では、窪み部33をシール部材36が囲んでおり、環状のシール部材36の開口部は、ノズル7の円筒部31が通過できないような形状および寸法を有し、具体的には、環状のシール部材36の開口部の直径(すなわち環状のシール部材36の内径D6)は、ノズル7の円筒部31の直径D1よりも小さくなる。
【0054】
このようにして、押出装置1のシリンダ2にノズル7を取り付けることができる。
【0055】
押出装置1のシリンダ2にノズル7を取り付けた状態では、ノズル7の段差面34と開口部11の段差面11cとの間に環状のシール部材36が介在し、環状のシール部材36の上面がノズル7の段差面34と接触(密着)し、環状のシール部材36の下面が開口部11の段差面11cと接触(密着)した状態になっている。これにより、押出装置1の動作時において、ノズル7の吐出孔21から液体添加剤を吐出した際に、シリンダ2の開口部11においてシール部材36よりも上方側に液体添加剤(吐出孔21から吐出された液体添加剤)が漏れ出てしまうのを防止することができる。
【0056】
ノズル7をシリンダ2に取り付けた状態で、上記
図1および
図2を参照して説明したように押出装置1を動作させて、樹脂製品を製造することができる。
【0057】
次に、押出装置1のシリンダ2からノズル7を取り外す工程について説明する。例えば、ノズル7の清掃を行う場合などに、押出装置1のシリンダ2からノズル7を取り外す。
【0058】
まず、固定部材によりノズル7をシリンダ2に対して固定することを解除する。それから、
図11に示されるように、シリンダ2の開口部11からノズル7を引き抜く。この際、環状のシール部材36がノズル7の窪み部33を囲んだままの状態で、シリンダ2の開口部11からノズル7が引き抜かれる。このため、シリンダ2の開口部11からノズル7を引き抜くと、
図11に示されるように、環状のシール部材36は、シリンダ2の開口部11内に残存せず、窪み部33を囲んだ状態でノズル7と一緒に開口部11の外部に引き抜かれる。
【0059】
このようにして、押出装置1のシリンダ2からノズル7を取り外すことができる。このため、ノズル7は、窪み部33をシール部材36が囲んだ状態で、シリンダ2から取り外される。押出装置1のシリンダ2からノズル7を取り外した後、ノズル7の窪み部33を囲むシール部材36は、例えば切断するなどして、ノズル7から取り外すことができる。
【0060】
また、シリンダ2からノズル7を取り外して清掃した後に、ノズル7を再度シリンダ2に取り付ける際には、新たなシール部材36を使用する。その新たなシール部材36の開口部は、シリンダ2にノズル7を取り付ける前の段階では、ノズル7の円筒部31が通過できるような形状および寸法を有している。
【0061】
<検討例について>
図12は、本発明者が検討した検討例のノズル107の先端部を示す断面図であり、上記
図6に相当するものである。
図13は、シリンダ2に検討例のノズル107を取り付けた場合の押出装置の要部断面図であり、シリンダ2の開口部11に挿入された検討例のノズル107の先端部の近傍領域が示されている。
【0062】
図12および
図13に示される検討例のノズル107は、窪み部33が設けられていない点が、本実施の形態のノズル7と相違している。すなわち、検討例のノズル107は、円筒部131(本実施の形態の円筒部31に相当)と、円筒部131よりも大きな外径を有する円筒部132(本実施の形態の円筒部32に相当)とをZ方向において連続的に有しており、円筒部131と円筒部132とは直接的に連結されている。このため、検討例のノズル107においては、円筒部131と円筒部132との間に、窪み部33に相当するものは設けられていない。検討例のノズル107において、円筒部32と円筒部31との境界に形成された段差面134(本実施の形態の段差面34に相当)は、Z方向に略垂直な面であり、円筒部132の側面と円筒部131の側面とをつないでいる。
【0063】
シリンダ2の開口部11にノズル107の一部が挿入されており、ノズル107の円筒部131は、開口部11のうちの開口部11aに配置され、円筒部132は、開口部11のうちの開口部11bに配置されている。ノズル107の段差面134と開口部11の段差面11cとの間には、金属製の環状のシール部材136(本実施の形態のシール部材36に相当)が介在しており、この環状のシール部材136は、ノズル107の円筒部131を囲んでいる。このため、環状のシール部材136は、ノズル107の円筒部131が通過できるような形状および寸法を有しており、具体的には、環状のシール部材136の開口部の直径(すなわち環状のシール部材136の内径)は、ノズル107の円筒部131の外径と同じかそれよりも大きくなっている。
【0064】
環状のシール部材136の上面は、ノズル107の段差面134と接触(密着)し、環状のシール部材136の下面は、開口部11の段差面11cと接触(密着)している。これにより、ノズル107の吐出孔121から液体添加剤を吐出した際に、開口部11においてシール部材136よりも上方側に液体添加剤が漏れ出てしまうのを防止することができる。
【0065】
次に、検討例のノズル107の着脱について説明する。
図14は、押出装置のシリンダ2にノズル107を取り付ける様子を示す断面図である。
図15は、押出装置のシリンダ2からノズル107を取り外す様子を示す断面図である。
【0066】
まず、押出装置のシリンダ2にノズル107を取り付ける工程について説明する。
【0067】
ノズル107と環状のシール部材136とを用意する。ノズル107をシリンダ2に取り付ける前は、環状のシール部材136の開口部の直径(すなわち環状のシール部材136の内径)は、ノズル107の円筒部131の直径と同じか、それよりも大きい(但し、ノズル107の円筒部32の直径よりも小さい)。このため、ノズル107をシリンダ2に取り付ける前は、環状のシール部材136の開口部は、ノズル107の円筒部131が通過できるような形状および寸法を有している。
【0068】
それから、
図14に示されるように、環状のシール部材136をノズル107の円筒部131に通した状態で、シリンダ2の開口部11にノズル107の先端側の一部を挿入する。ノズル107の円筒部131は、開口部11のうちの開口部11aに配置され、ノズル107の円筒部132は、開口部11のうちの開口部11bに配置され、ノズル107の段差面134と開口部11の段差面11cとの間に、環状のシール部材136が介在する。そして、ノズル107をシリンダ2に対して、固定部材(例えばネジまたはボルトなど)を用いて固定する。この際、ノズル107に対して、ノズル107がシリンダ2に押し付けられるような力を付与することにより、上記
図13に示されるように、環状のシール部材136は、ノズル107の段差面134と開口部11の段差面11cとに挟まれて押しつぶされることにより変形する。しかしながら、検討例のノズル107は窪み部33に相当するものを有していないため、環状のシール部材136が押しつぶされて変形したとしても、環状のシール部材136はノズル107の円筒部131を囲んでいるため、環状のシール部材136の開口部の直径は、ノズル107の円筒部131の直径よりも小さくはならない。このため、ノズル107をシリンダ2に取り付けた状態(上記
図13の状態)でも、環状のシール部材136の開口部は、ノズル107の円筒部131が通過できるような形状および寸法を有している。
【0069】
このようにして、押出装置1のシリンダ2にノズル107を取り付けることができる。
【0070】
次に、押出装置のシリンダ2からノズル107を取り外す工程について説明する。
【0071】
まず、固定部材によりノズル107をシリンダ2に対して固定することを解除する。それから、
図15に示されるように、シリンダ2の開口部11からノズル107を引き抜く。この際、シリンダ2の開口部11からノズル107が引き抜かれても、環状のシール部材136がシリンダ2の開口部11内に残存する虞がある。なぜなら、ノズル107をシリンダ2に取り付けた状態では、環状のシール部材136の開口部は、ノズル107の円筒部131が通過できるような形状および寸法を有しているため、シリンダ2の開口部11からノズル107を引き抜いた際に、ノズル107の円筒部131が環状のシール部材136の開口部から抜けてしまう可能性があるからである。その場合、シール部材136がノズル107と一緒にシリンダ2の開口部11から引き抜かれずに、シリンダ2の開口部11内に残存することになる。
【0072】
このようにして、押出装置1のシリンダ2からノズル107を取り外すことができるが、環状のシール部材136がシリンダ2の開口部11内に残存してしまうと、不具合が生じ得る。例えば、ノズル107を清掃した後に、ノズル107を再度シリンダ2に取り付けるためには、シリンダ2の開口部11内に残存するシール部材136をシリンダ2の開口部11の外部に取り出しておくことが必要であるが、シリンダ2の開口部11から環状のシール部材136のみを取る出すことは容易ではない。シリンダ2からノズル107を取り外した後に、シリンダ2の開口部11から環状のシール部材136のみを取る出すことは、作業効率を低下させ、押出装置1の稼働率を低下させる虞がある。また、押出装置1の管理も行いにくくなる。
【0073】
このため、シリンダ2からノズル107を取り外す際に、シリンダ2の開口部11内にシール部材136が残存することは、防ぐことが望ましい。
【0074】
<検討例に対する本実施の形態の優位性について>
それに対して、本実施の形態では、ノズル7は、円筒部31と、円筒部31よりも外径が大きい円筒部32との間に、円筒部31の側面に対して外径小さくなるように窪んだ窪み部33を有している。そして、ノズル7は、窪み部33をシール部材36が囲んだ状態で、シリンダ2に取り付けられている。
【0075】
これにより、シリンダ2からノズル7を取り外す際に、窪み部33をシール部材36が囲んだ状態のままで、ノズル7をシリンダ2から取り外すことができるため、シール部材36がシリンダ2側に残ってしまうのを防止することができる。
【0076】
すなわち、ノズル7をシリンダ2に取り付ける前は、環状のシール部材36の開口部は、ノズル7の円筒部31が通過できるような形状および寸法を有していても、ノズル7をシリンダ2に取り付けた際に、環状のシール部材36が押しつぶされて変形することにより、環状のシール部材36は、窪み部33に入り込むことができる。これにより、ノズル7をシリンダ2に取り付けた状態では、環状のシール部材36はノズル7の窪み部33を囲んでおり、環状のシール部材36の開口部は、ノズル7の円筒部31が通過できないような形状および寸法を有することができる。具体的には、ノズル7をシリンダ2に取り付けた状態では、環状のシール部材36の開口部の直径(シール部材36の内径D6)は、ノズル7の円筒部31の直径D1よりも小さくなる。
【0077】
このため、シリンダ2からノズル7を取り外す場合には、シリンダ2の開口部11からノズル7を引き抜くと、環状のシール部材36は、シリンダ2の開口部11内に残存せず、窪み部33を囲んだ状態でノズル7と一緒に開口部11の外部に引き抜かれることになる。なぜなら、環状のシール部材36はノズル7の窪み部33を囲んでおり、環状のシール部材36の開口部は、ノズル7の円筒部31が通過できないような形状および寸法を有しているため、シリンダ2の開口部11からノズル7を引き抜く際に、環状のシール部材36はノズル7の円筒部31から抜けることができず、ノズル7と一緒にシール部材36も開口部11の外部に引き抜かれるからである。
【0078】
これにより、押出装置1のシリンダ2からノズル7を取り外す際に、環状のシール部材36がシリンダ2の開口部11内に残存してしまうことを防止することができる。このため、シリンダ2からノズル7を取り外す際にシール部材36がシリンダ2側に残存した場合に生じ得る不具合を防止することができる。例えば、シリンダ2からノズル7を取り外した後に、シリンダ2の開口部11から環状のシール部材36を取る出す作業が不要となる。このため、作業効率が向上し、押出装置の稼働率を向上させることができる。また、押出装置1の管理も行いやすくなる。従って、樹脂製品の製造コストを低減することができる。
【0079】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0080】
例えば、本実施の形態では、シリンダ2の開口部11にノズル7の先端側の一部を挿入する場合について説明した。他の形態として、シリンダ2(シリンダブロック)にアダプタのような金属部材を取り付け、そのアダプタに開口部11を設けておき、その開口部11にノズル7の先端側の一部を挿入することもできる。この場合、アダプタ(金属部材)に形成された開口部11は、シリンダ2の搬送空間(またはその搬送空間とつながった開口部)と連通している。このような場合、シリンダ2に取り付けられたアダプタ(金属部材)も、シリンダ2の一部とみなすことができる。従って、シリンダ本体部の開口部11にノズル7の先端側の一部が挿入されている場合も、シリンダ本体部に取り付けられたアダプタ(金属部材)の開口部11にノズル7の先端側の一部が挿入されている場合も、いずれも、シリンダ2の開口部11にノズル7の先端側の一部が挿入されていると、みなすことができる。
【符号の説明】
【0081】
1 押出装置
2 シリンダ
3 スクリュ
4 回転駆動機構
5 ホッパ
6 ダイ
7 ノズル
11,11a,11b 開口部
11c 段差面
21,121 吐出孔
22 液体供給部
23 空洞部
24 ピストン
25 バネ部材
26 Oリング
31,32,131,132 円筒部
33 窪み部
34,134 段差面
36,136 シール部材