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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】ドアクローザ
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/74 20150101AFI20241120BHJP
   E05F 15/611 20150101ALI20241120BHJP
【FI】
E05F15/74
E05F15/611
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021089099
(22)【出願日】2021-05-27
(65)【公開番号】P2022181893
(43)【公開日】2022-12-08
【審査請求日】2024-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006943
【氏名又は名称】リョービ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117204
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 徳哉
(72)【発明者】
【氏名】安倍 俊太郎
(72)【発明者】
【氏名】池田 大樹
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0091768(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0119472(US,A1)
【文献】特開2005-320790(JP,A)
【文献】特開2019-190158(JP,A)
【文献】特開2006-225902(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉又は扉枠に取り付けられる本体を備えたドアクローザであって、
本体は、扉を駆動する駆動装置と、駆動装置に対して左右方向に並んで配置され、扉の近傍領域を監視する監視センサーと、駆動装置を覆うカバーと、を備え
カバーは、左右方向の第1端部が開口した本体カバーと、本体カバーの第1端部に着脱可能に取り付けられ、本体カバーの第1端部を閉じるサイドカバーと、本体カバーの第1端部にサイドカバーとは選択的に着脱自在に取り付けられる中継部材とを備え、
監視センサーは、中継部材を介して本体カバーに取り付けられる、ドアクローザ。
【請求項2】
監視センサーは、駆動装置に対して扉先側に配置されている、請求項1記載のドアクローザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアクローザに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1においては、人を検知するセンサがドアや枠に設置されている。しかしながら、センサの取り付け作業や配線作業の負担が大きい。また、センサーが目立ちやすく、美観の問題も生じやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-320788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、施工性に優れ、良好な美観も得られやすいドアクローザを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るドアクローザは、扉又は扉枠に取り付けられる本体を備えたドアクローザであって、本体は、扉を駆動する駆動装置と、駆動装置に対して左右方向に並んで配置され、扉の近傍領域を監視する監視センサーと、を備えている。
【0006】
この構成によれば、例えば扉の近傍に人が位置しているとその人を監視センサーが検知する。そのため、安全性が高まる。また、監視センサーが本体に備えられているので、配線が容易であって、作業者は本体を取り付けることによって監視センサーも同時に取り付けることができる。そして、監視センサーと駆動装置が左右方向に並んでいるので、監視センサーが目立ちにくく、良好な美観が得られやすい。
【0007】
特に、監視センサーは、駆動装置に対して扉先側に配置されていることが好ましい。この構成によれば、監視センサーが駆動装置に対して扉尻側に配置されている場合に比して、監視センサーが扉の左右方向の中央付近に位置する。そのため、監視センサーが扉の近傍の広い範囲を容易に監視できる。
【0008】
更に、本体は、駆動装置を覆うカバーを備え、監視センサーは、カバーに取り付けられていることが好ましい。この構成によれば、作業者は、駆動装置を扉に取り付けた後、カバーを駆動装置に被せることによって監視センサーを取り付けることができる。そのため、施工性が向上する。
【0009】
また、カバーは、左右方向の第1端部が開口した本体カバーと、本体カバーの第1端部に着脱可能に取り付けられ、本体カバーの第1端部を閉じるサイドカバーと、本体カバーの第1端部にサイドカバーとは選択的に着脱自在に取り付けられる中継部材とを備え、監視センサーは、中継部材を介して本体カバーに取り付けられることが好ましい。この構成によれば、本体カバーに中継部材を取り付けることにより、その中継部材を介して監視センサーを本体カバーに取り付けることができる。また、本体カバーから中継部材を取り外して、本体カバーにサイドカバーを取り付けることにより、本体カバーの第1端部をサイドカバーによって閉じることができる。このように、本体カバーを共通部品とすることができる。そして、監視センサーの有無を容易に変更できる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本体が監視センサーを備えているので、施工性に優れている。また、監視センサーと駆動装置が左右方向に並んでいるので、良好な美観が得られやすい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態におけるドアクローザを右開きの扉に取り付けた状態を示す概略図。
図2】同ドアクローザを左開きの扉に取り付けた状態を示す概略図。
図3】同ドアクローザの右開き仕様を示す斜視図。
図4】同ドアクローザの右開き仕様を示す斜視図。
図5】同ドアクローザの本体を示す正面図。
図6】同本体の内部構造を示す正面図。
図7】同本体の図6のA-A線に対応した箇所の断面図。
図8】同本体の図6のB-B線に対応した箇所の断面図。
図9】同本体のセンサーユニットの内部構造を示す左側面図。
図10】同本体からカバーを取り外した状態を示す斜視図。
図11】同本体のカバーを示す斜視図。
図12】同カバーの本体カバーを示す斜視図。
図13】同本体カバーのメイン本体カバーを示す斜視図。
図14】同本体カバーのサブ本体カバーを示す平面図。
図15】同カバーの左サイドカバーを示す斜視図。
図16】同カバーの右サイドカバーを示す斜視図。
図17】同カバーの中継部材を示す斜視図。
図18】同カバーの要部を示す斜視図。
図19】同カバーのセンサーユニットを示す斜視図。
図20】同カバーの要部を示す斜視図。
図21】同本体のセンサー無しタイプを示す斜視図。
図22】同ドアクローザの左開き仕様を示す正面図。
図23】同ドアクローザの内部構造を示す正面図。
図24】同ドアクローザのセンサー無しタイプを示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態にかかるドアクローザについて図1図24を参酌しつつ説明する。本実施形態におけるドアクローザは、電動ドアクローザであって、電動で扉を開閉させる。図1に右開き(右勝手)の扉1を示し、図2に左開き(左勝手)の扉1を示している。扉1は、扉枠2に図示しないヒンジを介して回動可能に取り付けられていて、上下方向の軸線まわりに回動する。
【0013】
<全体構成>
本実施形態におけるドアクローザは、左右両勝手に対応しているが、主に右開き仕様について説明する。図3及び図4に、右開き仕様のドアクローザの全体構成を示している。ドアクローザは、本体3と、リンク機構とを備えている。本体3は、扉1に取り付けられる。本体3は、扉1の前面の上部であって、ヒンジ寄りの位置に取り付けられる。リンク機構は本体3と扉枠2とを連結する。リンク機構は、アーム4とリンク5とブラケット6とを備えている。
【0014】
本体3は、上下方向の軸線まわりに回転する駆動軸20を備えており、駆動軸20の上端部にアーム4の一端部が連結される。アーム4は、駆動軸20を中心として、駆動軸20と一体となって回転する。アーム4の他端部はリンク5の一端部に回動可能に連結されており、リンク5の他端部はブラケット6に回動可能に連結されている。ブラケット6は扉枠2(上枠)に取り付けられる。
【0015】
図5から図9に右開き仕様の本体3を示している。本体3は、左右方向に長い直方体形状である。左右方向は扉1の回転軸に対して半径方向である。本体3は、本体3を扉1に取り付けるための取付板10と、取付板10に取り付けられる本体ユニット11と、本体ユニット11を正面側(前側)から覆うカバー12と、扉1の近傍領域を監視する監視センサー90を備えている。
【0016】
<取付板10>
取付板10は、カバー12と共に本体3の外郭(ケーシング)を構成している。本体3の外郭は、六つの壁面から構成されているが、取付板10は、外郭の六つの壁面のうち背面側(後側)の壁面を構成している。取付板10は、本体ユニット11の背面を覆う。取付板10は、左右方向に長い長方形状である。取付板10の左右方向の長さは、本体3の左右方向の長さよりも短い。取付板10には、扉1にネジ止めするための図示しないネジ挿通孔が形成されており、左開きの扉1と右開きの扉1の双方に取り付け可能である。取付板10には、本体ユニット11を取り付けるための図示しないネジ孔が形成されている。本体ユニット11は、合計四つのネジ13によって取付板10に、本体ユニット11側から取り付けられている。
【0017】
<本体ユニット11>
図6及び図10のように、本体ユニット11は、左右方向に長い直方体形状である。図6は、内部構造を示すために、カバー12のうち後述のメイン本体カバー30とメインセンサーカバー61を外した状態で図示している。図10は、取付板10と本体ユニット11のみを示している。本体ユニット11の左右方向の長さは、本体3の左右方向の長さよりも短いが、本体3の左右方向の長さのうち大部分を占めている。本体ユニット11は、駆動軸20を駆動することにより扉1を開閉させる駆動ユニット14(駆動装置)と、駆動ユニット14を制御する制御ユニット15(制御装置)を備えている。駆動ユニット14と制御ユニット15は、取付板10の正面(前面)に取り付けられている。駆動ユニット14と制御ユニット15は、互いに左右方向に並んで配置されている。右開き仕様では、駆動ユニット14が向かって右側即ち(ヒンジ側、扉1尻側)に位置し、制御ユニット15は向かって左側(反ヒンジ側、扉1先側)に位置する。
【0018】
<駆動ユニット14>
駆動ユニット14は、本体ユニット11の大部分を占めている。駆動ユニット14は、左右方向に長い長方形状である。駆動ユニット14の左右方向の長さは、本体ユニット11の左右方向の長さよりも短いが、本体ユニット11の左右方向の長さのうち大部分を占めている。駆動ユニット14は、駆動軸20と、駆動軸20を駆動するためモータ18を備えている。駆動軸20は、駆動ユニット14の右寄りに設けられる。モータ18は、駆動軸20と制御ユニット15との間に位置する。モータ18は、例えばブラシレスDCモータである。駆動ユニット14の正面及び背面には、それぞれカバー取り付け孔21が設けられている。カバー取り付け孔21の個数や配置は任意であるが、本実施形態では、正面及び背面にそれぞれ左右方向に離れて一対ずつ設けられている。正面側のカバー取り付け孔21と背面側のカバー取り付け孔21は互いに対称に配置されている。カバー12は、本体ユニット11の正面と背面の何れにも取り付け可能である。
【0019】
<制御ユニット15>
制御ユニット15は、モータ18を駆動制御する。制御ユニット15は、駆動ユニット14の左側に位置している。即ち、制御ユニット15は、駆動軸20とは反対側に位置している。制御ユニット15の左右方向の長さは、駆動ユニット14のそれよりも短い。制御ユニット15は、略立方体である。制御ユニット15は、駆動ユニット14に取り付けられている。但し、制御ユニット15が駆動ユニット14ではなく取付板10に取り付けられてもよい。
【0020】
<カバー12>
図11にカバー12の全体構成を示している。カバー12は、取付板10の前面に取り付けられた本体ユニット11を、その正面側(前面側)から覆う。カバー12は、正面部、上面部、下面部、及び、左右の側面部を有していて、背面部は部分的に開放されている。カバー12は、本体3の外郭のうち背面側の壁面以外の残る五つの壁面を構成する。カバー12は、本体ユニット11の正面、上面、下面、左右両側面を覆う。カバー12は、本体カバー30と左サイドカバー31と右サイドカバー32と中継部材35とセンサーカバー36を備えている。本体カバー30と中継部材35とセンサーカバー36は、カバー12の正面部と上面部と下面部を構成する。
【0021】
<本体カバー30>
図12に本体カバー30を示している。本体カバー30の左右方向の第1端部と第2端部は何れも開口している。即ち、本体カバー30の左右両端部は何れも開口している。本実施形態において、本体カバー30の左端部が第1端部であり、右端部が第2端部である。本体カバー30は、本体ユニット11の正面と上面と下面の合計三面を覆う。
【0022】
本体カバー30は、メイン本体カバー33とサブ本体カバー34を備えている。メイン本体カバー33とサブ本体カバー34は互いに着脱可能である。メイン本体カバー33は樹脂製であって、樹脂成形品である。サブ本体カバー34は、金属製である。
【0023】
メイン本体カバー33は、本体ユニット11の正面と下面を覆い、更に、メイン本体カバー33は、本体ユニット11の上面のうち、正面側の一部のみを僅かに左右方向に長い帯状に覆う。サブ本体カバー34は、本体ユニット11の上面のうち背面側(扉面側)の大部分を覆う。
【0024】
<メイン本体カバー33>
図13にメイン本体カバー33を示している。メイン本体カバー33は、本体ユニット11の正面と対向する本体正面片40と、本体正面片40の下端から背面側に向けて延びて本体ユニット11の下面と対向する本体下面片41と、本体正面片40の上端から背面側に向けて突出する細幅の本体帯状片42とを有している。本体帯状片42の背面側の端部には、サブ本体カバー34を狭持するための狭持部が設けられている。狭持部は、サブ本体カバー34の正面側の端部を上下に狭持する。サブ本体カバー34は、狭持部に背面側から正面側に向けて差し込まれて、狭持部との間の摩擦抵抗によって保持される。
【0025】
詳細には、狭持部は、サブ本体カバー34を上側から支持する上支持部43と、サブ本体カバー34を下側から支持する下支持部44とを有する。図7のように、上支持部43と下支持部44によりサブ本体カバー34を上下に狭持する。上支持部43の大きさは、下支持部44の大きさよりも小さいことが好ましい。上支持部43と下支持部44の構成、即ち、形状や配置は任意であるが、例えば、上支持部43は、左右方向に間隔をあけて複数、具体的には三個設けられており、より詳細には、上支持部43は、本体帯状片42の背面側の端部から背面側に突出する半円状である。下支持部44は、本体帯状片42の左右方向の全長のうち、上支持部43が設けられていない領域に設けられる。即ち、上支持部43と下支持部44は、左右方向に交互に設けられる。下支持部44は、本体帯状片42の背面側の端部から背面側に鍔状に突出し、左右方向に長い帯状である。
【0026】
図7及び図8のように、メイン本体カバー33の本体正面片40の内面には、嵌合ピン45が取り付けられている。嵌合ピン45は、樹脂製であって、本体正面片40の内面に接着固定されている。尚、嵌合ピン45がメイン本体カバー33とは別部材ではなく一体に形成されていてもよい。嵌合ピン45は、本体ユニット11のカバー取り付け孔21に嵌合可能である。嵌合ピン45は、カバー取り付け孔21に対応していて、左右方向に離れて一対設けられている。
【0027】
メイン本体カバー33の左右両端部にはそれぞれ係止突起46(係止部)が設けられている。係止突起46は、メイン本体カバー33の内面に設けられている。係止突起46は、本体下面片41と本体正面片40にそれぞれ設けられている。係止突起46の個数は任意であるが、本実施形態では、本体正面片40の左右両端部にそれぞれ一箇所ずつ、本体下面片41の左右両端部にそれぞれ二箇所ずつ設けられている。
【0028】
<サブ本体カバー34>
図14に、サブ本体カバー34を示している。サブ本体カバー34は、一枚の薄い金属板からなり、平板状である。サブ本体カバー34は、表裏の区別のない、両面使用可能な構成である。図14は、右開き仕様のサブ本体カバー34の平面図を示している。サブ本体カバー34は、左右方向に長い長方形状である。サブ本体カバー34の左右両端部には、それぞれネジ用貫通孔47が形成されている。
【0029】
サブ本体カバー34は、左右方向の一端側に、背面側に切り欠かれて開口する相対的に大きな第1切欠部48及び相対的に小さな第2切欠部49を有している。第1切欠部48から本体ユニット11の駆動軸20が上側に露出し、第2切欠部49から本体ユニット11におけるコード接続用のコネクタ16(図3図10参照)が上側に露出できる。尚、コード接続用のコネクタ16には、図示しないコードの端部が着脱自在に接続される。コードはカールコードが好ましい。コードを介して本体ユニット11には電力が供給され、また、電力と共に外部からの信号も送られてもよい。図14においては、第1切欠部48と第2切欠部49が右側に位置しているが、図14の状態からサブ本体カバー34を表裏反転させると、サブ本体カバー34は左開き仕様となり、第1切欠部48及び第2切欠部49は左側に位置する。
【0030】
<左サイドカバー31と右サイドカバー32>
図15に左サイドカバー31を単体の状態で示し、図16に右サイドカバー32を単体の状態で示している。左サイドカバー31と右サイドカバー32は、互いに左右対称である。左サイドカバー31と右サイドカバー32は、何れも樹脂製であって、樹脂成形品である。左サイドカバー31は、カバー12の左側面部を構成し、右サイドカバー32は、カバー12の右側面部を構成する。
【0031】
左サイドカバー31の内面には、係止凹部50(係止部)を有する係止片51が内側即ち右側に向けて突設されている。係止片51は、左サイドカバー31の下部に二箇所と前部に一箇所の合計三箇所に設けられている。尚、係止凹部50は、貫通孔であってもよい。
【0032】
左サイドカバー31の内面の上部には、ネジボス52が前後一対設けられている。ネジボス52は、内側即ち右側に向けて突出している。ネジボス52には、上下方向に沿ってネジ止め孔53が形成されている。ネジ止め孔53には予め雌ネジが形成されていてもよいし、ネジ17が螺入されることにより雌ネジが形成されるものであってもよい。即ち、ネジ17はタッピングネジでもよい。右サイドカバー32は、左サイドカバー31と同様であって、三つの係止片51と前後一対のネジボス52が内側即ち左側に向けて突設されている。
【0033】
<中継部材35>
図18のように、中継部材35は、本体カバー30の左端部に着脱自在に取り付けられる。中継部材35は、本体カバー30とセンサーカバー36の間に位置する。中継部材35は、その前面を含めて部分的に外部に露出する。中継部材35は、カバー12に監視センサー90を取り付けるためのものであり、詳細には、本体カバー30に監視センサー90を取り付けるためのものである。図17に中継部材35を単体の状態で示している。中継部材35は、左右方向を板厚方向とする薄い板状である。中継部材35は、左右方向、即ち、厚さ方向に対称形状である。中継部材35の左側面と右側面は、互いに対称である。中継部材35の左側面と右側面には、左サイドカバー31や右サイドカバー32と同様に、それぞれ三つの係止片51と二つのネジボス52が側方に向けて突設されている。
【0034】
<センサーカバー36とセンサーユニット60>
図19にセンサーユニット60を示している。センサーユニット60は、左右対称形状である。センサーユニット60は、センサーカバー36と監視センサー90を備えている。センサーカバー36に監視センサー90が取り付けられている。
【0035】
センサーカバー36は、中継部材35を介して、本体カバー30の隣、即ち、左隣に位置し、本体カバー30と左右方向に並ぶ。センサーカバー36は、左右両端が開口した角筒状であって、監視センサー90を上下及び前後から覆う。但し、センサーカバー36の背面が開放されていてもよい。
【0036】
<メインセンサーカバー61>
センサーカバー36は、メインセンサーカバー61とサブセンサーカバー62を備えている。メインセンサーカバー61は、メイン本体カバー33と中継部材35を介して左右に並ぶ。メインセンサーカバー61は、メイン本体カバー33と左右方向視で略同一のプロフィール(輪郭)を有しており、一体感、共通の美感、シルエットが得られる。メインセンサーカバー61は樹脂製であり、樹脂成形品である。
【0037】
メインセンサーカバー61は、監視センサー90の正面側と下面側を覆う。メインセンサーカバー61は、メイン本体カバー33と共に、カバー12の正面部と下面部を構成すると共にカバー12の上面部のうち正面側の細幅の帯状部を構成する。
【0038】
メインセンサーカバー61は、監視センサー90の正面側(前側)に位置するセンサー正面片63と、センサー正面片63の下端から背面側に向けて延びて監視センサー90の下側に位置するセンサー下面片64と、センサー正面片63の上端から背面側に向けて突出する細幅のセンサー帯状片65とを有している。
【0039】
メインセンサーカバー61とサブセンサーカバー62は互いに着脱可能である。サブセンサーカバー62がメインセンサーカバー61に着脱可能に取り付けられる構成は、サブ本体カバー34がメイン本体カバー33に着脱可能に取り付けられる構成と同じである。即ち、センサー帯状片65の背面側の端部には、サブセンサーカバー62を狭持するための狭持部として上支持部43と下支持部44が設けられている。尚、下支持部44の図示は省略する。上支持部43は、例えばセンサー帯状片65の左右方向の中央部に一箇所設けられ、下支持部44は、センサー帯状片65の左右方向の全長のうち、上支持部43が設けられていない領域に設けられており、即ち、上支持部43の左右両側に設けられている。上支持部43と下支持部44は左右方向に交互に設けられている。
【0040】
メインセンサーカバー61の左右両端部の内面には、メイン本体カバー33と同様に、それぞれ係止突起46(係止部)が設けられている。係止突起46は、センサー正面片63の左右両端部にそれぞれ一箇所ずつ、センサー下面片64の左右両端部にそれぞれ二箇所ずつ設けられている。
【0041】
センサー下面片64には、図4のように、貫通したセンサー孔66が設けられている。センサー孔66を介して監視センサー90が下方且つ前方の領域を監視する。監視センサー90の下部は、センサー孔66から下側に突出していることが好ましい。
【0042】
<サブセンサーカバー62>
サブセンサーカバー62は、監視センサー90の上面側の大部分と背面側を覆う。サブセンサーカバー62は、サブ本体カバー34及び取付板10と中継部材35を介して左右に並ぶ。サブセンサーカバー62は、サブ本体カバー34と左右方向視で略同一のプロフィール(輪郭)を有しており、一体感、共通の美感、シルエットが得られる。サブセンサーカバー62は、サブ本体カバー34と共に、カバー12の上面部のうち背面側の大部分を占める主要部を構成する。
【0043】
サブセンサーカバー62は、金属製である。具体的には、サブセンサーカバー62は、薄い金属板からなり、逆L字状に折り曲げられている。サブセンサーカバー62は、監視センサー90の上側に位置するセンサー上面片67と、センサー上面片67の後端から下側に向けて延びて監視センサー90の背面側に位置するセンサー背面片68とを有している。センサー上面片67は、中継部材35を介して、サブ本体カバー34と左右に並び、センサー背面片68は、中継部材35を介して、取付板10と左右に並ぶ。センサー上面片67の左右両端部には、サブ本体カバー34と同様に、ネジ用貫通孔47がそれぞれ形成されている。
【0044】
<監視センサー90>
監視センサー90は、サブセンサーカバー62にネジ止めされている。監視センサー90は、その下部に投光部と受光部を有している。投光部と受光部は左右方向に並んでいる。投光部と受光部のうち、一方が左側に他方が右側に配置されている。監視センサー90は、下方且つ斜め前方に向けられている。尚、監視センサー90の向きは左右方向に角度調整可能である。図9のように、監視センサー90は、調整軸91を中心として左右に揺動可能に設けられている。
【0045】
監視センサー90は、本体ユニット11に図示しないコードを介して電気的に接続される。監視センサー90は、扉1の近くに人がいるとそれを検知して信号を出力する。監視センサー90からの信号は、制御ユニット15に送られ、制御ユニット15は、監視センサー90からの信号に基づいて駆動ユニット14を制御する。例えば、扉1の閉じ動作中に監視センサー90が人を検知すると、制御ユニット15は扉1を停止させる。その他、制御ユニット15は、監視センサー90からの信号に基づいて種々の制御を行う。
【0046】
右開き仕様において、監視センサー90は、本体ユニット11の左側に位置し、制御ユニット15の左側に位置する。即ち、扉尻側から扉先側に向けて、駆動ユニット14、制御ユニット15、監視センサー90という順で並び、監視センサー90が最も扉先側に位置する。
【0047】
<カバー12の組み立て>
次に、カバー12の組立手順について説明する。但し、以下の手順は一例であって、種々変更してよい。まず、図12のようにメイン本体カバー33の狭持部にサブ本体カバー34を狭持させることにより、メイン本体カバー33とサブ本体カバー34を合体させ、本体カバー30を完成させる。
【0048】
図18のように本体カバー30に右サイドカバー32を取り付ける。本体カバー30の右端部の内側に右サイドカバー32の係止片51とネジボス52を差し込み、メイン本体カバー33の係止突起46に右サイドカバー32の係止片51の係止凹部50を係止させる。そして、サブ本体カバー34のネジ用貫通孔47を介して、上側からネジ17を右サイドカバー32のネジボス52に螺入して、本体カバー30に右サイドカバー32をネジ止めする。尚、ネジ17は金属製が好ましい。以下も同様である。本体カバー30に右サイドカバー32が取り付けられることにより、本体カバー30の右端部の開口が閉じられる。
【0049】
同様に、図18のように本体カバー30の左端部に中継部材35を取り付ける。本体カバー30の左端部の内側に中継部材35の右側面の係止片51とネジボス52を差し込み、メイン本体カバー33の係止突起46に中継部材35の係止片51の係止凹部50を係止させる。そして、サブ本体カバー34のネジ用貫通孔47を介して、上側からネジ17を中継部材35のネジボス52に螺入して、本体カバー30に中継部材35をネジ止めする。
【0050】
一方、図19のようにセンサーユニット60を作製する。監視センサー90をサブセンサーカバー62にネジ止めする。そして、サブセンサーカバー62をメインセンサーカバー61に狭持させてセンサーカバー36を完成させる。更に、図20のように、センサーユニット60の左端部に左サイドカバー31を取り付ける。左サイドカバー31の取り付けは、右サイドカバー32の取り付けと同様である。即ち、センサーカバー36の左端部の内側に左サイドカバー31の係止片51とネジボス52を差し込み、メインセンサーカバー61の係止突起46に左サイドカバー31の係止片51の係止凹部50を係止させる。そして、サブセンサーカバー62のネジ用貫通孔47を介して、上側からネジ17を左サイドカバー31のネジボス52に螺入して、センサーユニット60に左サイドカバー31をネジ止めする。
【0051】
次に、中継部材35の左側面にセンサーユニット60を取り付ける。中継部材35の左側面の係止片51とネジボス52をセンサーカバー36の右端部の内側に差し込み、メインセンサーカバー61の係止突起46に中継部材35の係止片51の係止凹部50を係止させる。そして、サブセンサーカバー62のネジ用貫通孔47を介して、上側からネジ17を中継部材35のネジボス52に螺入して、センサーユニット60を中継部材35にネジ止めする。
【0052】
尚、中継部材35を先に本体カバー30に取り付けたが、中継部材35を先にセンサーユニット60に取り付けてもよい。センサーユニット60に先に左サイドカバー31を取り付けたが、センサーユニット60を中継部材35を介して本体カバー30に取り付けた後に、センサーユニット60に左サイドカバー31を取り付けてもよい。
【0053】
<カバー12の取り付け>
取付板10に取り付けられた本体ユニット11にカバー12を正面側から取り付ける。本体カバー30の嵌合ピン45を本体ユニット11のカバー取り付け孔21に嵌入することにより、カバー12を本体ユニット11に装着することができる。カバー12には監視センサー90が取り付けられているので、カバー12を本体ユニット11に取り付けることによって監視センサー90を本体ユニット11に取り付けることができる。尚、カバー12を本体ユニット11に被せる前に、予め監視センサー90の図示しないコードを本体ユニット11に接続しておく。
【0054】
<右開き仕様、センサー無しタイプへの変更>
本実施形態の本体3は、監視センサー90を備えていないタイプにも容易に変更可能である。図21に、右開き仕様であって且つセンサー無しタイプの本体3を示している。本体ユニット11はそのままで、カバー12からセンサーユニット60のみを取り外すことにより、カバー12をセンサー無しタイプへと変更でき、本体3をセンサー無しタイプへと変更できる。即ち、本体カバー30から中継部材35とセンサーユニット60を取り外す。そして、センサーユニット60から左サイドカバー31を取り外し、その左サイドカバー31を本体カバー30の左端部に取り付ける。これにより、センサー無しタイプのカバー12が完成する。このように、左サイドカバー31は、センサーカバー36と本体カバー30の何れにも取り付け可能である。
【0055】
<左開き仕様、センサー有りタイプへの変更>
図22及び図23に、左開き仕様であって且つセンサー有りタイプのドアクローザを示している。尚、図23は、内部構造を示すために、カバー12のうちメイン本体カバー30とメインセンサーカバー61を外した状態で図示している。
【0056】
本体ユニット11は、左開き仕様に容易に対応できる。本体ユニット11は、図10の状態から上下方向の軸線まわりに180度回転させることによって前後反転させて、取付板10に取り付ければよく、左開き仕様に容易に変更できる。左開き仕様では、駆動ユニット14が向かって左側即ち(ヒンジ側、扉尻側)に位置し、制御ユニット15は向かって右側(反ヒンジ側、扉先側)に位置する。
【0057】
本体カバー30は、サブ本体カバー34を上下反転させることにより左開き仕様に変更可能である。サブ本体カバー34を前後方向の軸線回りに180度回転させることによって上下反転(表裏反転)させる。第1切欠部48及び第2切欠部49は左側に位置する。
【0058】
中継部材35は、本体カバー30の左端部と右端部の何れにも着脱自在に取り付け可能である。中継部材35は、本体3が監視センサー90を備える場合においては本体カバー30に取り付けられ、本体3が監視センサー90を備えない場合においては本体カバー30には取り付けられない。中継部材35は、右開き仕様では、本体カバー30の左端部に取り付けられ、左開き仕様では、本体カバー30の右端部に取り付けられる。従って、本体カバー30の左端部に左サイドカバー31を取り付け、本体カバー30の右端部には右サイドカバー32ではなく中継部材35を取り付ける。そして、その中継部材35の右側面にセンサーユニット60を取り付けて、そのセンサーユニット60の右端部に右サイドカバー32を取り付ける。これにより、左開き仕様であって且つセンサー有りタイプのカバー12が完成する。
【0059】
この左開き仕様のカバー12を、取付板10に取り付けられた本体ユニット11に被せる。カバー12を本体ユニット11に被せることによって、監視センサー90が本体3に備えられる。監視センサー90は、本体ユニット11の右側に位置し、制御ユニット15の右側に位置する。即ち、扉尻側から扉先側に向けて、駆動ユニット14、制御ユニット15、監視センサー90という順で並び、監視センサー90が最も扉先側に位置する。
【0060】
<左開き仕様、センサー無しタイプへの変更>
図24に左開き仕様であって且つセンサー無しタイプのドアクローザを示している。上述した右開き仕様の場合と同様に、本体カバー30から中継部材35とセンサーユニット60を取り外して、本体カバー30の右端部に右サイドカバー32を取り付ける。これにより、左開き仕様でセンサー無しタイプのカバー12となる。
【0061】
以上のように、監視センサー90が本体3に備えられているので、施工性に優れている。特に、監視センサー90がカバー12に取り付けられているので、本体ユニット11にカバー12を装着することによって監視センサー90も合わせて本体ユニット11に取り付けることができる。
【0062】
監視センサー90が本体ユニット11と左右方向に並んで配置されているので、良好な美観が得られる。特に、メインセンサーカバー61がメイン本体カバー33と左右方向視で略同一のプロフィール(輪郭)を有しているので、より美感が高まる。また、監視センサー90が本体ユニット11に対して扉先側に位置しているので、扉1の左右方向の中央付近を容易に監視することができる。監視センサー90の正面側を覆うセンサーカバー36が設けられているので、良好な美観が得られる。
【0063】
更に、センサーユニット60を取り外すことによって容易にセンサー無しタイプに変更できる。センサー無しタイプにおいても、本体カバー30と左サイドカバー31と右サイドカバー32をそのまま使用することができる。また、本体ユニット11に対するセンサーユニット60の位置を左右変更することにより、右開き仕様(右勝手)と左開き仕様(左勝手)に容易に対応できる。
【0064】
尚、本実施形態では、本体カバー30と中継部材35とセンサーカバー36が別体であったが、これらが一体的に設けられてもよい。例えば、中継部材35とセンサーカバー36を設けることなく本体カバー30の左右方向の長さを延長して、その本体カバー30に監視センサー90が取り付けられるようにしてもよい。そして、本体カバー30の右端部と左端部にそれぞれ右サイドカバー32と左サイドカバー31を取り付けるようにしてもよい。
【0065】
また更に、本体カバー30がメイン本体カバー33とサブ本体カバー34という二つの部材を備えていたが、本体カバー30が一つの部材から構成されてもよい。その場合、本体カバー30が一つの樹脂成形品から構成されてもよい。また、その場合において、本体カバー30と左サイドカバー31と右サイドカバー32が一体化されて一つの樹脂成形品とされて、その樹脂成形品からなるカバー12に監視センサー90が取り付けられてもよい。
【0066】
また、監視センサー90が本体ユニット11に対して扉先側に配置されたが、扉尻側に配置されてもよい。上記実施形態では、左右方向に沿って、駆動ユニット14、制御ユニット15、監視センサー90の順に配置されていたが、例えば、監視センサー90が駆動ユニット14と制御ユニット15の間に配置されてもよい。
【0067】
尚、上記実施形態では、監視センサー90がカバー12に取り付けられていたが、監視センサー90は、本体ユニット11に取り付けられてもよいし、取付板10に取り付けられてもよい。本体3に制御ユニット15が設けられたが、本体3とは別に制御ユニット15が設けられてもよく、制御ユニット15が扉1ではなく扉枠2や壁面に設けられてもよい。ドアクローザは電動でなくてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 扉
2 扉枠
3 本体
4 アーム
5 リンク
6 ブラケット
10 取付板
11 本体ユニット
12 カバー
13 ネジ
14 駆動ユニット(駆動装置)
15 制御ユニット
16 コネクタ
17 ネジ
18 モータ
20 駆動軸
21 カバー取り付け孔
30 本体カバー
31 左サイドカバー
32 右サイドカバー
33 メイン本体カバー
34 サブ本体カバー
35 中継部材
36 センサーカバー
40 本体正面片
41 本体下面片
42 本体帯状片
43 上支持部
44 下支持部
45 嵌合ピン
46 係止突起
47 ネジ用貫通孔
48 第1切欠部
49 第2切欠部
50 係止凹部
51 係止片
52 ネジボス
53 ネジ止め孔
60 センサーユニット
61 メインセンサーカバー
62 サブセンサーカバー
63 センサー正面片
64 センサー下面片
65 センサー帯状片
66 センサー孔
67 センサー上面片
68 センサー背面片
90 監視センサー
91 調整軸
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24