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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】コンクリート打設装置
(51)【国際特許分類】
   E02B 7/00 20060101AFI20241120BHJP
   G01N 3/40 20060101ALI20241120BHJP
   E04G 21/10 20060101ALI20241120BHJP
   E02B 7/10 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
E02B7/00 B
G01N3/40 B
E04G21/10 Z
E02B7/10
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021093668
(22)【出願日】2021-06-03
(65)【公開番号】P2022185812
(43)【公開日】2022-12-15
【審査請求日】2024-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英明
(72)【発明者】
【氏名】五反田 健次
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-239947(JP,A)
【文献】特開2005-164427(JP,A)
【文献】特開2011-168971(JP,A)
【文献】特開昭59-118961(JP,A)
【文献】特開2018-188810(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0142503(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108330980(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 7/00
G01N 3/40
E04G 21/10
E02B 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のレールに横架されて、前記レールの一方の端部である後側から他方の端部である前側に移動するスリップフォームと、セメント系材料を供給する供給手段と、前記供給されたセメント系材料を前記一対のレールの内側で、前記スリップフォームの前面に投下する投下手段とを備えたコンクリート打設装置であって、
前記スリップフォームの移動速度を制御する制御手段と、前記投下されたセメント系材料の表面硬度を計測する表面硬度計測手段とを備え、
前記表面硬度計測手段は、
若材齢のセメント系材料の表面硬度を測定する装置であって、
前記セメント系材料の表面に圧縮空気を噴射する圧縮空気噴射手段と、
前記セメント系材料の表面にレーザ光を照射し、前記レーザ光の反射光から前記表面の凹み量を計測するレーザ変位計と、
前記計測された凹み量、もしくは、前記凹み量の演算値から、前記セメント系材料の表面硬度を算出する表面硬度算出手段と、
を備えた表面硬度測定装置であり、
前記制御手段が、前記計測されたセメント系材料の表面硬度に応じて、前記スリップフォームの移動速度を制御することを特徴とするコンクリート打設装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、若材齢のセメント系材料の表面硬度測定装置を備えたコンクリート打設装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルダムなどの斜面にコンクリート遮水壁を構築する方法として、斜面の法尻から法肩に向かってスリップフォームを移動させることで、コンクリートを打設しながらコンクリートの締固め成型を行うスリップフォーム工法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、スリップフォーム工法では、スリップフォームの移動と連動して打設されたコンクリートの締固め作業を行っているので、コンクリートが脱型時に自立するだけの強度(以下、自立強度という)を発現していない場合には、スリップフォームの移動速度によっては、コンクリートが変形してしまうといった問題点があった。そこで、コンクリートの硬化時間が短い夏場と硬化時間が長い冬場とでは、例えば、気温や打設時のコンクリート温度等を目安にするなど、今までの経験から、コンクリートの強度発現を定性的に判定し、スリップフォームの移動速度を設定していた。
このとき、スリップフォームから露出したコンクリートの表面硬度の測定できれば、打設したコンクリートが自立強度を発現しているか否かを定量的に判定できるので、コンクリートの状態に合わせて、スリップフォームの移動速度を適切に設定することができる。
そのため、若材齢のコンクリートの表面硬度を迅速に測定することのできる表面硬度の測定装置の開発が望まれている。
なお、モルタルやコンクリートなどのセメント系材料の表面硬度を評価する方法としては、鋼製の貫入針を表面に押し付け、その貫入抵抗値からコンクリートの凝結時間を求める試験方法がある(JIS A 1147)。しかしながら、この方法では、凝結時間試験が実施できるまでの時間(コンクリートへの注水からの経過時間)が3時間未満の若材齢については、表面硬度の測定ができなかった。
一方、被測定物の表面に加圧空気を噴射して、被測定物に周期的な加振力を作用させ、この加振力によって生じる被測定物表面の変位から、被測定物の硬さを推定する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
この方法によれば、被測定物が果物や食品などの柔らかい物であっても、非接触にて硬度を測定できるので、被測定物の硬度を、衛生的に、かつ、傷つけることなく測定することができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-120046号公報
【文献】特開2004-69668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、コンクリートは、若材齢の柔らかい状態であっても弾性体ではないので、加圧空気の噴射により起こる表面の変形は塑性変形となる。つまり、コンクリートなどの若材齢のセメント系材料は、周期的な加振力を与えても振動しないので、上記の特許文献2に記載の方法をそのまま用いても、若材齢のセメント系材料の表面硬度を測定することは困難である。
上記のように、若材齢のコンクリートについて表面硬度が測定できれば、スリップフォームの移動速度を適切に設定でき、脱型時のコンクリートの変形を防止することができることから、若材齢のセメント系材料の表面強度を測定する方法の開発が望まれている。
【0005】
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、若材齢のセメント系材料の表面硬度を容易にかつ精度よく測定することのできる表面硬度測定装置を備えて、スリップフォームの移動速度を、セメント系材料の硬化度合が所定の値になるように制御しつつ、コンクリートの打設を行うことのできる、コンクリート打設装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討の結果、若材齢の柔らかい状態にあるセメント系材料の表面に圧縮空気を噴射したときにできる凹みの深さ(以下、凹み量という)が、当該セメント系材料の表面硬度と相関があることから、上記凹み量を測定すれば、従来は測定できなかった若材齢のセメント系材料の表面硬度を容易にかつ精度よく評価できることを見出し本発明に至ったものである。
すなわち、本発明は、一対のレールに横架されて、前記レールの一方の端部である後側から他方の端部である前側に移動するスリップフォームと、セメント系材料を供給する供給手段と、前記供給されたセメント系材料を前記一対のレールの内側で、前記スリップフォームの前面に投下する投下手段とを備えたコンクリート打設装置であって、前記スリップフォームの移動速度を制御する制御手段と、前記投下されたセメント系材料の表面硬度を計測する表面硬度計測手段とを備え、前記表面硬度計測手段は、若材齢のセメント系材料の表面硬度を測定する装置であって、前記セメント系材料の表面に圧縮空気を噴射する圧縮空気噴射手段と、前記セメント系材料の表面にレーザ光を照射し、前記レーザ光の反射光から前記表面の凹み量を計測するレーザ変位計と、前記計測された凹み量、もしくは、前記凹み量の演算値から、前記セメント系材料の表面硬度を算出する表面硬度算出手段と、を備えた表面硬度測定装置であり、前記制御手段が、前記計測されたセメント系材料の表面硬度に応じて、前記スリップフォームの移動速度を制御することを特徴とする。
これにより、若材齢のセメント系材料である、スリップフォームの前面に投下されたコンクリートの表面硬度を容易にかつ迅速に測定できるので、スリップフォームの移動速度を適切に設定することができる。
したがって、脱型時のコンクリートの変形を防止することができる。
なお、本発明における若材齢のセメント系材料とは、セメントに注水した時刻(以下、注水時刻という)からの経過時間が3時間未満のコンクリートもしくはモルタル等のセメント系材料を指す。
また、凹み量dの演算値Fは、例えば、F=100/(d+100)である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態1に係るセメント系材料の表面硬度測定装置を示す機能ブロック図である。
図2】注水時刻からの経過時間と凹み量との関係を示す図である。
図3】本実施形態2に係るコンクリート打設装置を示す図である。
図4】スリップフォームの上昇速度を制御する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態1に係る若材齢セメント系材料の表面硬度測定装置(以下、表面硬度測定装置10という)を示す機能ブロック図で、11は圧縮空気供給手段、12は電磁弁、13は電磁弁制御手段、14は圧縮空気供給ノズル(以下、ノズルという)、15はレーザ変位計、16は基台、17は基台移動手段、18は表面硬度算出手段である。
圧縮空気供給手段11は、空気を圧縮して送り出すもので、周知のエアコンプレサーなどが好適に用いられる。
電磁弁12は、圧縮空気供給手段11とノズル14との間に設けられて、電磁弁制御手段13から送られてくる開閉信号に応じて圧縮空気の流路を開閉する。
ノズル14は、圧縮空気供給手段11から送られてきた圧縮空気を、先端に設けられたノズル口14hから測定対象物であるコンクリート1の表面に噴射する。なお、表面硬度を測定するコンクリート1としては、型枠2内に打設された、投入後から所定時間(1~2時間)経過した若材齢のコンクリートを用いた。
レーザ変位計15は、測定対象物にレーザ光を照射するとともに、測定対象物からの反射光を2次元イメージセンサなどの位置検出素子で受光し、その位置変化を検出することで、対象物の変位量を検出する。なお、本例においては、対象物の変位量は、コンクリート1の表面に噴射された圧縮空気により形成されたコンクリート表面の凹みKの深さである凹み量dである。
ノズル14とレーザ変位計15とは基台16に搭載される。
本例では、圧縮空気の噴射方向とレーザ変位計15の入射方向とを同軸にしている。これにより、凹みKの形成後に、凹みKに水分などが入る前に、凹み量dを計測することができるので、凹み量dを精度よく計測することができる。
基台移動手段17は、基台16を水平面内で移動させることで、ノズル14とレーザ変位計15とを複数の計測位置に移動させるもので、例えば、レールと、スライダーとを備え、スライダーに取付けられた移動体を水平面内で移動させる周知のスライド機構等が用いられる。
図2は、型枠へのセメント投入時からの経過時間と凹み量との関係を示す図で、横軸は計測した時刻、縦軸は凹み量d(μm)である。同図の●を結んだ曲線に示すように、経過時間が長く(表面硬度が高く)なるにつれて、凹み量dが減少していることがわかる。
表面硬度算出手段18は、レーザ変位計15で計測したコンクリート表面の凹み量dと、予め設定された表面硬度H(d)との関係から、当該コンクリート1の凝結硬化時における表面硬度Hを算出する。なお、本例では、圧縮空気の圧力を平均115kPaとしたが、圧力、噴出時間等については、測定されるセメント系材料の配合比等により、適宜設定されることはいうまでもない。
本例では、表面硬度を、H(d)=100/(d+100)[μm/μm]とした。
なお、若材齢コンクリートの表面硬度としては、凹み量d(μm)をそのまま用いてもよいが、凹み量d(μm)は、表面硬度が低いほど大きな値となるので、本例のように、凹み量dの演算値のように、数値が大きいほど表面硬度が高いとする方が、凝結の度合いを判定する場合には好ましい。参考のため、セメント投入時からの経過時間と表面硬度H(d)との関係を図2の○に示した。
また、後述するように、凹み量dに対応する量を制御する場合には、表面硬度H(d)に変換することなく、凹み量dをそのまま用いる方が好ましい。
【0010】
次に、表面硬度測定装置10を用いて若材齢のコンクリート1の表面硬度を算出する方法について説明する。
まず、基台移動手段17により、基台16を移動させて、ノズル14とレーザ変位計15とをコンクリート1の上部に位置させる。そして、電磁弁12を開放して、ノズル14のノズル口14hから、コンクリート1の表面に圧縮空気を噴射する。
次に、レーザ変位計15により、圧縮空気の噴射によりコンクリート1の表面に形成された凹みKの深さである凹み量dを計測し、この計測された凹み量dから、コンクリート1の表面硬度H(d)を算出する。
その後、基台16を移動させて、複数個所の凹み量d1~dnを測定して表面硬度H(d1)~H(dn)を算出し、これら、H(d1)~H(dn)の平均値を求め、この平均値を、当該コンクリート1の表面硬度H(d)とする。
なお、計測位置表面に骨材があった場合には、圧縮空気が骨材に当たってしまい、凹み量が小さく出てしまうことがある。そこで、平均値とともに偏差を求めることにより、計測位置表面に骨材が合った場合の異常値を取除くようにすれば、凹み量(表面硬度)を精度よく測定することができる。
【0011】
実施の形態2.
図3(a)は、本実施の形態2に係るコンクリート打設装置(以下、打設装置20という)を示す図で、本例では、打設装置20を用いて、フィルダムなどの斜面にコンクリート遮水壁を構築する。
同図において、21は斜面の法尻から法肩にかけて敷設された一対の型枠付レール、22は型枠付レールに横架橋され、型枠付レール21に沿って、面の法尻から法肩に向かう方向(以下、前方という)に移動するスリップフォームである。スリップフォーム22は、図示しない作業員が、後述する可動シュート23cからスリップフォーム22の前面に打設されたコンクリートの締固め作業を行うための足場となる上側作業台22aと、仕上げ作業を行うための足場となる下側作業台22bとを備えている。
また、23は斜面の上の平坦部である堤頂に設置されたコンクリートポンプ23aと、コンクリートポンプ23aにより送り出されたコンクリートをスリップフォーム22の前方に供給する送りシュート23bと、送りシュート23bのスリップフォーム22側の端部に取付けられて、送りシュート23bから投入されるコンクリートを、型枠付レール21の幅内全体に亘って打設する可動シュート23cとを備えたコンクリート供給手段である。送りシュート23bは、法肩か法尻に向かう方向である上下方向に対して垂直方向に分割された複数のシュート部材から成り、かつ、各々が着脱できるように構成され、最下部のシュート部材には可動シュート23cが取付けられる。したがって、送りシュート23bの長さを、コンクリートを打設する位置(高さ)によって適切な長さに設定することができる。
24は、スリップフォーム22の上側に設けられて、作業者が、送りシュート23bの取外しと送りシュート23bへの可動シュート23cの着脱を行うためコンクリート投入用作業台である。
25はスリップフォーム22の下側作業台22b側に取付けられて締固め後のコンクリートの表面硬度を測定する表面硬度測定装置、26はスリップフォーム22の上昇速度を制御する上昇速度制御手段である。
締固め後のコンクリートは、注水時刻からの経過時間が3時間未満のコンクリートであるので、本例では、表面硬度測定装置25として、実施の形態1に記載の表面硬度測定装置10を用いている。
図3(b)に示すように、スリップフォーム22は、一端が頂上に固定され、他端がスリップフォーム22の両端側に設置されたウインチ22wに取付けられたワイヤWにより支持されており、スリップフォーム22は、ウインチ22wを巻き上げることで、型枠付レール21に沿って斜面を上昇する。なお、符号22rは、スリップフォーム22の下部に取付けられて型枠付レール21上を走行する車輪である。
コンクリート供給手段23は、コンクリートポンプ23aにより送り出されたコンクリートを、送りシュート23bによりスリップフォーム22の前方に投入するとともに、可動シュート23cを左右の型枠付レール21,21方向へスイングさせることで、この投入されたコンクリートを型枠付レール21の幅内全体に亘って打設する。
なお、図3(a)では省略したが、送りシュート23b及び可動シュート23cの着脱を行うコンクリート投入用作業台24も車輪とワイヤとウインチとを備えている。コンクリート供給手段23は、コンクリート投入用作業台24を、スリップフォーム22とは独立に、型枠付レール21に沿って前方に移動させながら、コンクリートを斜面の法尻から法肩に向かって順次打設する。
表面硬度測定装置25は、可動シュート23cにより打設されたコンクリートの表面硬度を測定する。
上昇速度制御手段26は、表面硬度測定装置25で測定したコンクリートの表面硬度に応じて、ウインチ22wの巻き上げ速度(回転速度)を制御することで、スリップフォーム22の上昇速度を制御する。
【0012】
次に、スリップフォーム22の上昇速度を制御する方法について、図4のフローチャートを参照して説明する。
まず、ノズル14からコンクリート表面に圧縮空気を吹付ける(ステップS11)。
次に、レーザ変位計15にて圧縮空気を吹付けた箇所のコンクリート1の表面に形成された凹みの凹み量dを測定する(ステップS12)。
凹み量dの測定はスリップフォーム22の延長方向(水平方向)の複数箇所(n箇所)で行ない、その平均値である平均凹み量daveとする(ステップS13)。
dave=(d1+d2+……+dn)/nである。
次に、平均凹み量daveと基準凹み量d0とを比較する(ステップS14)。
なお、基準凹み量d0は、施工前に行う試験施工にて予め求めておいたものとする。
平均凹み量daveが基準凹み量d0よりも大きい場合には、コンクリート表面が柔らかいと判定し、ステップS15に進んで、スリップフォーム22の上昇速度を下げる。
平均凹み量daveが基準凹み量d0よりも小さな場合には、コンクリート表面が硬いと判定し、ステップS16に進んで、スリップフォーム22の上昇速度を上げる。
これにより、締固め後のコンクリート1の表面硬度を一定にすることが可能となる。
なお、スリップフォーム22の標準的な上昇速度は1.0~2.0m/h程度であるので、コンクリートの表面硬度の測定は、コンクリート投入後1時間程度経過したときの硬度となる。
【0013】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に記載の範囲には限定されない。前記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者にも明らかである。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲から明らかである。
【0014】
例えば、前記実施の形態2では、算出した平均凹み量daveと予め設定した基準凹み量d0とを比較したが、基準凹み量を複数設け、例えば、dave≦d01ならスリップフォーム22の上昇速度を1.4m/hに変更し、d01<dave≦d02なら、上昇速度を1.2m/hに変更し、dave>d02なら、上昇速度を1.0m/hに変更するなど、平均凹み量daveの値により、スリップフォーム22の上昇速度を変更するようにしてもよい。
また、前記実施の形態2では、送りシュート23bからコンクリートを供給するタイプのコンクリート打設装置を用いたが、例えば、特開2011-168971号公報に開示されている、コンクリートポンプからスリップフォームに設けたベルトコンベヤにコンクリートを供給するタイプのコンクリート打設装置に本発明の表面硬度測定装置10を搭載しても、同様の効果を得ることができる。
また、前記実施の形態2では、フィルダムなどの斜面にコンクリート遮水壁を構築するコンクリート打設装置20に表面硬度測定装置10(表面硬度測定装置25)を搭載した場合について説明したが、煙突の構築や高速道路の舗装などにスリップフォーム工法に用いられるコンクリート打設装置に表面硬度測定装置10を搭載して、スリップフォームの移動速度を制御すれば、コンクリートの変形を防止することができる。
【符号の説明】
【0015】
1 コンクリート、2 型枠、
10,25 セメント系材料の表面硬度測定装置、11 圧縮空気供給手段、
12 電磁弁、13 電磁弁制御手段、14 圧縮空気供給ノズル(ノズル)、
14h ノズル口、15 レーザ変位計、16 基台、17 基台移動手段、
18 表面硬度算出手段、
20 コンクリート打設装置、
21 型枠付レール、22 スリップフォーム、22a 上側作業台、
22b 下側作業台、22w ウインチ、22r 車輪、
23 コンクリート供給手段、23a コンクリートポンプ、23b 送りシュート、
23c 可動シュート、24 コンクリート投入用作業台、26 上昇速度制御手段、
K 凹み、W ワイヤ。
図1
図2
図3
図4