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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】印刷機の排紙装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/26 20060101AFI20241120BHJP
   B65H 31/08 20060101ALI20241120BHJP
   B65H 33/02 20060101ALI20241120BHJP
   B41F 21/00 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
B65H31/26
B65H31/08
B65H33/02
B41F21/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021099552
(22)【出願日】2021-06-15
(65)【公開番号】P2022190982
(43)【公開日】2022-12-27
【審査請求日】2024-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】714000460
【氏名又は名称】リョービMHIグラフィックテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】望月 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】小林 信也
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-295365(JP,A)
【文献】特許第4227824(JP,B2)
【文献】実開昭61-018261(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/26
B65H 31/08
B65H 33/02
B41F 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排紙されてパレット上に積層される枚葉紙が天地方向地側へ移動することを阻止するシートストッパーと、枚葉紙が積層された前記パレットを下降させ、後続して落下する枚葉紙を一時的に支えるべく積層された枚葉紙上において枚葉紙の天地方向地側から天側へ向けて挿入された挿入位置と該挿入位置から枚葉紙の天地方向地側に外れた格納位置との間を移動可能なシャッター部材を有するシャッター装置と、を備えた印刷機の排紙装置であって、
前記挿入位置に向かうシャッター部材よりも下方に下降させた前記パレット上に積層された枚葉紙の天地方向地側の端部に当接することで該枚葉紙の天地方向地側への移動を阻止する端部ガイドを備え、
前記シャッター部材は、前記シャッター部材が支える枚葉紙の増加に応じて下降するように昇降可能に構成された一対のフレームに取り付けられ、前記端部ガイドは、前記一対のフレームに取り付けられていることを特徴とする印刷機の排紙装置。
【請求項2】
前記端部ガイドは、枚葉紙の天地方向地側の端部に対して地側から対峙する対峙位置と該対峙位置から天地方向地側へ離間する退避位置とに移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の印刷機の排紙装置。
【請求項3】
前記端部ガイドは、前記格納位置から前記挿入位置へ移動する前記シャッター部材が前記挿入位置に到達するよりも前に前記対峙位置への移動を開始することを特徴とする請求項2に記載の印刷機の排紙装置。
【請求項4】
前記端部ガイドは、枚葉紙が積層された前記パレットを下降させるときに、前記退避位置から、前記退避位置と前記対峙位置の天地方向中間に位置する待機位置に移動可能に構成され、前記格納位置から前記挿入位置へ移動する前記シャッター部材が前記挿入位置に到達するよりも前に前記待機位置から前記対峙位置への移動を開始することを特徴とする請求項3に記載の印刷機の排紙装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機の排紙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記印刷機の排紙装置は、印刷された枚葉紙をエンドレスチェーンに備えているチェーングリッパで把持し、適宜の位置でチェーングリッパを開放することで排紙テーブルに載置したパレット上へ順次落下させ積層するように構成されている。この枚葉紙の積層中は、枚葉紙の後側(給紙側、天地方向地側)の端部にシートストッパーを対峙させることによって、枚葉紙が後側(給紙側、天地方向地側)へ移動することを阻止している。そして、パレット上の枚葉紙の枚数が所定枚数に達すると、パレット上に積層された枚葉紙が挿入するシャッターバーよりも下方に位置するように排紙テーブルを下降させるとともに、挿入するシャッターバーとの干渉を避けるためにシートストッパーを上方に退避させる。こののち、積層された枚葉紙上にシャッターバーを枚葉紙の天地方向地側から挿入することで後続して落下する枚葉紙をシャッターバーが支えるようにしている。この支えている間に、排紙テーブルを更に下降させたのち、排紙テーブルから枚葉紙が積層されたパレットを取り除いて、空のパレットを排紙テーブルに載置し、シャッターバーの直下までパレットを上昇させる。こののち、挿入されているシャッターバーを枚葉紙の天地方向地側に外れる位置まで移動させることで空のパレット上にシャッターバーで支えていた枚葉紙及び後続して落下する枚葉紙を載置させる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の構成では、シャッターバーを枚葉紙の天地方向地側から挿入する際に、シートストッパーを上方に退避させるため、下降させたパレット上に積層された上部の枚葉紙の後側(給紙側、天地方向地側)への移動を規制するものが無くなる。このため、パレット上の上部の枚葉紙が後側(給紙側、天地方向地側)へずれる(流れる)ことがある。因みに、チェーングリッパから解放されて積層される(印刷後の)枚葉紙は、上下の枚葉紙間に形成されている空気層が枚葉紙の側方に抜けて無くなるまでの間中、下方の枚葉紙に対して僅かに浮いていて積層位置が不安定な状態となるため、移動しやすい傾向にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4227824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、下降させたパレット上の上部の枚葉紙が後側へずれることを防止できる印刷機の排紙装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷機の排紙装置は、排紙されてパレット上に積層される枚葉紙が天地方向地側へ移動することを阻止するシートストッパーと、枚葉紙が積層された前記パレットを下降させ、後続して落下する枚葉紙を一時的に支えるべく積層された枚葉紙上において枚葉紙の天地方向地側から天側へ向けて挿入された挿入位置と該挿入位置から枚葉紙の天地方向地側に外れた格納位置との間を移動可能なシャッター部材を有するシャッター装置と、を備えた印刷機の排紙装置であって、前記挿入位置に向かうシャッター部材よりも下方に下降させた前記パレット上に積層された枚葉紙の天地方向地側の端部に当接することで該枚葉紙の天地方向地側への移動を阻止する端部ガイドを備えたことを特徴としている。
【0007】
上記構成によれば、挿入位置に向かうシャッター部材よりも下方に下降させたパレット上に積層された枚葉紙の天地方向地側の端部に端部ガイドが当接することによって、下降させたパレット上の上部の枚葉紙が天地方向地側(後側)へずれることを防止できる。
【0008】
また、本発明に係る印刷機の排紙装置は、前記端部ガイドが、枚葉紙の天地方向地側の端部に対して地側から対峙する対峙位置と該対峙位置から天地方向地側へ離間する退避位置とに移動可能に構成されていてもよい。
【0009】
上記のように、端部ガイドを対峙位置に位置させることで端部を確実にガイドすることができる。また、下降させたパレット上の枚葉紙をパレットと共に取り除いて空のパレットを載置して所定位置まで上昇させるまでに、端部ガイドを退避位置に位置させておくことによって、上昇する空のパレットが端部ガイドに当接して端部ガイドを損傷させることを防止できる。
【0010】
また、本発明に係る印刷機の排紙装置は、前記端部ガイドが、前記格納位置から前記挿入位置へ移動する前記シャッター部材が前記挿入位置に到達するよりも前に前記対峙位置への移動を開始してもよい。
【0011】
ところで、シャッター部材が挿入位置に到達すると、下降させたパレット上の枚葉紙の最上部に位置している枚葉紙とシャッター部材で支えている最下部に位置している枚葉紙とが、完全に切り離されてしまうので、下降させたパレット上の枚葉紙の最上部に位置している枚葉紙の動きが規制されていない状態になる。そのことから、シャッター部材が挿入位置に到達する前に、端部ガイドの対峙位置への移動を開始することによって、下降させたパレット上の枚葉紙の最上部に位置している枚葉紙の動きが規制されていない状態にある時間を短くすることができる。よって、下降させたパレット上の最上部に位置している枚葉紙が後側へずれることを抑制できる。
【0012】
また、本発明に係る印刷機の排紙装置は、前記端部ガイドが、枚葉紙が積層された前記パレットを下降させるときに、前記退避位置から、前記退避位置と前記対峙位置の天地方向中間に位置する待機位置に移動可能に構成され、前記格納位置から前記挿入位置へ移動する前記シャッター部材が前記挿入位置に到達するよりも前に前記待機位置から前記対峙位置への移動を開始してもよい。
【0013】
上記構成によれば、パレットを下降させるときに、端部ガイドを、退避位置よりも積層された枚葉紙に近い待機位置へ移動させておけば、シャッター部材の移動に伴う端部ガイドの対峙位置への移動距離をより短くすることができる。したがって、下降させたパレット上の枚葉紙の最上部に位置している枚葉紙の動きが規制されていない状態にある時間がより短くなる。よって、下降されたパレット上の最上部に位置している枚葉紙が後側へずれることをより抑制することができる。
【0014】
また、本発明に係る印刷機の排紙装置は、前記シャッター部材は、前記シャッター部材が支える枚葉紙の増加に応じて下降するように昇降可能に構成された一対のフレームに取り付けられ、前記端部ガイドは、前記一対のフレームに取り付けられていてもよい。
【0015】
上記構成によれば、シャッター部材と共に端部ガイドが下降するので、シャッター部材と端部ガイドとの適切な位置関係を維持できる。また、シャッター部材のみが下降を続けた場合に発生するシャッター部材と端部ガイドとの衝突を回避できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、シャッター部材よりも下方に下降させたパレット上に積層された枚葉紙の天地方向地側の端部を、端部ガイドでガイドすることによって、下降させたパレット上の上部の枚葉紙が後側へずれることを防止できる印刷機の排紙装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】印刷機の排紙装置を示す概略側面図である。
図2】同排紙装置を排紙側から見た斜視図である。
図3図2の排紙装置の真空吸引車を省略した斜視図である。
図4】同排紙装置を給紙側から見た斜視図である。
図5】(a),(b),(c)はシャッター装置を作動させる直前の状態を示す動作説明図である。
図6】(a),(b),(c)はシャッター装置を作動させて後続の枚葉紙を支持するための動作を示し説明図である。
図7】(a),(b),(c)は下降させた枚葉紙を取り除いて空のパレットを所定位置まで上昇させる動作説明図である。
図8】(a),(b)はシャッターバーを格納して原点位置へ復帰させる動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の印刷機の排紙装置について、図面を参照しながら説明する。排紙装置は、給紙部(図示せず)から給紙された枚葉紙を印刷部(図示せず)で印刷し、印刷済みとなった枚葉紙を積層するために設けられる。
【0019】
排紙装置は、図1に示すように、印刷済みの枚葉紙(以下、単に枚葉紙という)1(図5(a)参照)を排紙場所としての排紙テーブル2と、排紙テーブル2の上方位置まで搬送するグリッパ3を備えた無端状の搬送チェーン4と、搬送チェーン4の下方でかつ排紙テーブル2の給紙側寄りの上方位置に配置され、枚葉紙1の幅方向に伸びる支軸5(図2参照)に間隔をおいて複数取り付けられた真空吸引車6(図2参照)と、前記排紙テーブル2上に載置したパレット7(図5(a)参照)に積層された枚葉紙1が設定した枚数になると作動させて後続の枚葉紙1を支えるためのシャッター装置8と、シャッター装置8を作動させた時にシャッター装置8のシャッター部材であるシャッターバー9よりも下方へ下降させたパレット7上に積層された印刷済みの枚葉紙1の天地方向地側の端部をガイドする端部ガイド10(図2参照)と、を備えている。以下において、枚葉紙1が搬送される搬送方向始端側(給紙部側)を後端側とし、搬送方向後端側(排紙部側)を前端側として説明する。
【0020】
排紙テーブル2は、板状で矩形状に構成され、チェーン11を介して吊り下げられ、昇降用モータ12により昇降可能に構成され、グリッパ3から開放されて落下して積層される枚葉紙1の積層高さ(積層厚み)に対応して下降することで枚葉紙1が落下する落差を略一定に維持するように制御部(図示せず)によって制御される。また、パレット7上の枚葉紙1が設定した枚数に達すると、排紙テーブル2を下降させて枚葉紙1が積層されたパレット7を取り出したのち、排紙テーブル2上へ空のパレット7を載置し、所定位置まで排紙テーブル2を上昇させる。
【0021】
真空吸引車6は、周面に複数の吸引口を有すると共に搬送チェーン4の速度より遅い周速で回転するように構成されている。したがって、搬送される枚葉紙に真空吸引車6の吸引力が作用することで、グリッパから開放された枚葉紙1が減速されてから排紙テーブル2(パレット7)へ落下する。排紙装置は、この落下してきた枚葉紙の前端が当接する前当て13、枚葉紙の後端を規制するシートストッパー14、シャッター装置8が作動する前に枚葉紙1の後端部を支えるべく作動する背切りブレード15を更に備えている。
【0022】
前当て13は、落下してきた枚葉紙の前端を当接させる機能を有するとともに、パレット7上に積層される枚葉紙の前端を規制する規制部材としての機能を有している。
【0023】
シートストッパー14は、真空吸引車6の後端側の下方に取り付けられ、枚葉紙1の幅方向に間隔を置いて複数(図2では2個)設けられている。各シートストッパー14は、上端部の搬送方向に沿う軸心(前後軸心)回りで揺動可能に構成され、揺動自在に取り付けられる同一幅で長方形状の板状部と、板状部から離間する側に板状部よりも幅の広い幅広部(図2では三角形状になっているが、どのような形状でもよい)と、を備え、図示していないエアシリンダーの作動により、図2に示すように、水平方向に沿う退避姿勢と退避姿勢から後方視において時計回りに90°未満の角度で揺動されて斜め下方を向いた作動姿勢とに姿勢変更可能に構成されている。具体的には、シートストッパー14は、後述する端部ガイド10と同様に、作動姿勢から図示していない当接部が押し移動することで水平方向に沿う退避姿勢になる。また、シートストッパー14を退避姿勢に当接支持している当接部をシートストッパー14から離間する側へ移動させることによって、シートストッパー14が自重で作動姿勢になり、その作動姿勢でシートストッパー14に当接部が当接して支持する。このように構成することによって、作動姿勢にあるシートストッパー14に下方から他物が衝突しても、シートストッパー14が上方へ逃げるので、シートストッパー14が破損することを防止できる。
【0024】
背切りブレード15は、シャッター装置8のシャッターバー9を、パレット7上に積層された枚葉紙のうちの最上部に位置する枚葉紙と後続する枚葉紙との間にスムーズに挿入することができるように、後続する枚葉紙の後端部を支持するために設けられている。具体的には、背切りブレード15は、薄鋼板で幅方向に長い帯状に構成され、積層された枚葉紙上におけるシャッターバー9の進入側(後端側)でかつシャッターバー9の直上方となる支持位置に移動して、落下する後続の枚葉紙1の後端部を支持する。該支持を実行しない時は、背切りブレード15は、積層された枚葉紙上から幅方向一端側に外れた非支持位置に位置している。尚、上記排紙装置では、前当て13は、定位置に設置されており、真空吸引車6、シートストッパー14及び背切りブレード15は、シートストッパー14が枚葉紙1の後端に対峙するべく枚葉紙1の天地方向の大きさに応じてそれぞれが互いに一定の位置関係を維持した状態で天地方向(搬送方向)へ移動するように構成されている。
【0025】
シャッター装置8は、逆L字状の両側の一対のフレーム16,16(図1では片側のみ図示している)のそれぞれに取り付けた複数組のスプロケット17A,17A、17B,17Bと、複数組のスプロケット17A,17A、17B,17Bに巻回される無端チェーン18と、両側の無端チェーン18,18にベアリング(図示せず)を介して回転自在に掛け渡される複数の円筒状のローラから構成される複数のシャッターバー9と、各無端チェーン18を回動させるための正逆転可能なモータ19と、を備えている。
【0026】
モータ19は、下部に配置された駆動用のスプロケット17Aに連結され、モータ19を駆動することによって、シャッターバー9を、下降させたパレット7の最上部に位置する枚葉紙と背切りブレード15で支えている後続の最下部に位置する枚葉紙との間に挿入された挿入位置(図7(a)参照)と、その挿入位置から枚葉紙の天地方向地側に外れた格納位置(図1図5(a)参照)とに移動させることができるようになっている。
【0027】
両側のフレーム16,16は、チェーン20で吊り下げ支持されるとともに、正逆転可能な昇降モータ21により昇降されるように構成されている。つまり、シャッターバー9で後続の枚葉紙1を支えている間に、所定枚数に達する度に昇降モータ21を駆動してシャッターバー9を所定量下降させることで後続の枚葉紙1が落下する落差を略一定に維持することができるようにしている。
【0028】
端部ガイド10は、シートストッパー14よりも長い寸法に構成され、直線状に延びる金属製で板状の略長方形状に構成されている。この端部ガイド10は、両側のフレーム16,16の内側面にそれぞれ取り付けられた前後方向に延びる案内レール22,22に支持された可動体23に枚葉紙1の幅方向に間隔を置いて複数(図2では4個)取り付けられている。そして、図4に示す天地移動用モータ24の駆動により案内レール22,22に沿って可動体23と共に複数の端部ガイド10を前後方向に移動させることができる。また、複数の端部ガイド10は、図4に示すエアシリンダー25の作動により、図2に示す作動用軸26を枚葉紙1の幅方向の一方から他方へ又は他方から一方へ移動させることで、図2に示すように、水平方向に沿う退避姿勢(2点鎖線参照)と退避姿勢から後方視において時計回り又は反時計回りに90°未満の角度で揺動されて斜め下方を向いた作動姿勢(実線参照)とに姿勢変更可能に構成されている。具体的には、図2の左側の2個の端部ガイド10は、作動姿勢から作動用軸26の軸方向への移動により作動用軸26に備えている当接部(図示せず)が端部ガイド10の揺動支点よりも下側の部分に当接して押し移動することで端部ガイド10が反時計回りに揺動されて水平方向に沿う退避姿勢になる。図2の右側の端部ガイド10は、作動姿勢から作動用軸26の軸方向への移動により作動用軸26に備えている当接部(図示せず)が端部ガイド10の揺動支点よりも上側の部分に当接して押し移動することで端部ガイド10が時計回りに揺動されて水平方向に沿う退避姿勢になる。また、端部ガイド10を退避姿勢に当接支持している当接部(図示せず)が端部ガイド10から離間する側へ移動することによって、端部ガイド10が自重で作動姿勢になり、その作動姿勢の端部ガイド10を当接部が当接して支持する。このように作動姿勢にある端部ガイド10の上方への揺動が規制されていない構造なので、作動姿勢にある端部ガイド10に下方から他物(例えばパレット7)が衝突しても、端部ガイド10が上方へ揺動する(逃げる)ことで端部ガイド10が破損することを防止できる。
【0029】
前記のように、端部ガイド10及びシャッターバー9が、両側のフレーム16,16に取り付けられているので、シャッターバー9が枚葉紙1を支える枚数の増加に応じて下降すると、前記シャッターバー9の昇降に連動して端部ガイド10が昇降する。したがって、シャッターバー9と端部ガイド10との適切な位置関係を維持できる。また、シャッターバー9のみが下降を続けた場合に発生するシャッターバー9と端部ガイド10との衝突を回避できる。さらに、端部ガイド10及びシャッターバー9が両側のフレーム16,16に取り付けられているので、これら及びこれらの関連部材を容易にユニット化することができる。したがって、排紙装置の組立作業性を向上することが可能になる。
【0030】
前記のように構成された排紙装置を稼働させた時の排紙装置の動きを説明する。
【0031】
印刷機による印刷が開始され、印刷された枚葉紙が排紙装置に搬送され、パレット7上に積層される(図5(a)参照)。そして、パレット7上の枚葉紙が設定枚数に達すると、図5(b)に示すように、排紙テーブル2を昇降用モータ12の駆動により定量だけ下降させる。排紙テーブル2の下降後に、斜め下方を向いた作動姿勢のシートストッパー14を水平方向に沿う退避姿勢に切り換えるとともに、非支持位置に位置している背切りブレード15を支持位置に移動させる(図5(c)参照)。図5(a)~(c)では、端部ガイド10は、退避位置に位置している。
【0032】
続いて、排紙テーブル2を再度昇降用モータ12の駆動により定量だけ下降させる(図6(a)参照)。このとき、支持位置に位置している背切りブレード15で後続する枚葉紙の後端部を支えるとともに、天地移動用モータ24の駆動により端部ガイド10を待機位置まで移動(前進)させる。尚、本実施形態では、待機位置は、対峙位置の20mm後端側に設定している。次に、モータ19を駆動させてシャッターバー9を、後続する枚葉紙1の後端部を支えている背切りブレード15と下降させた排紙テーブル2上の枚葉紙1のうちの最上部に位置する枚葉紙1との間から前方側へ移動させるとともに、エアシリンダー25の作動により待機位置の端部ガイド10を水平方向に沿う退避姿勢から斜め下方を向いた作動姿勢に変更させる(図6(b)参照)。シャッターバー9のうちの移動方向始端側のシャッターバー9が背切りブレード15を通過すると、背切りブレード15を枚葉紙1の後端部を支持しない非支持位置まで移動させる。
【0033】
端部ガイド10は、シャッターバー9が図7(a)に示す挿入位置に到達する前に待機位置から対峙位置への移動を開始する。具体的には、図に示す天地方向の大きさが略最大の枚葉紙の場合は、端部ガイド10は、シャッターバー9が枚葉紙1の天地方向天側へ半分以上入り込んだ時に待機位置から対峙位置への移動を開始する。そして、シャッターバー9が、ほぼ挿入位置に到達するタイミングで端部ガイド10が下降させたパレット7上の最上部に位置している枚葉紙1を規制する対峙位置に移動する(図6(c)参照)。したがって、端部ガイド10を遅延なく対峙位置へ移動させることができる。この端部ガイド10の対峙位置への移動(前進)時に、後側へ位置ずれしている枚葉紙があれば、端部ガイド10で前方側へ押し込むことになるので、枚葉紙の天地方向天側の端部をきれいに揃えることができる。ところで、前記シャッターバー9が枚葉紙1に完全に入り込んだ挿入位置では、下降させたパレット7上の枚葉紙1の最上部に位置している枚葉紙1とシャッターバー9で支えている枚葉紙1の最下部に位置している枚葉紙1とが、完全に切り離されてしまい、下降させたパレット7上の枚葉紙1の最上部に位置している枚葉紙1の動きが規制されていない状態になる。そこで、シャッターバー9が挿入位置に到達するよりも早く端部ガイド10が対峙位置に到達するようにしておけば、下降させたパレット7上の最上部に位置している枚葉紙が後側へずれることを確実に防止できる。尚、端部ガイド10の対峙位置では、パレット7上の最上部に位置している枚葉紙の後側端に端部ガイド10が当接している状態が好ましい。
【0034】
前記シャッターバー9が枚葉紙1に完全に入り込むと(挿入位置になると)、排紙テーブル2を昇降用モータ12の駆動により更に下降させる(図7(a)参照)。尚、これまでの経過時間によってパレット7上の最上部に位置している枚葉紙同士の間に形成されていた空気層はほぼ消滅しており、最上部の枚葉紙1の不安定な状態は解消されている。排紙テーブル2の下降が完了すると、枚葉紙1が積層されているパレット7を排紙テーブル2上から外部へ取り除いてから、空のパレット7を排紙テーブル2上に載置して排紙テーブル2を上昇させる(図7(b)参照)。排紙テーブル2の上昇が開始してから所定位置まで上昇するまでの間に、斜め下方を向いた作動姿勢の対峙位置の端部ガイド10を水平方向に沿う退避姿勢に変更させるとともに、前後方向退避位置まで移動(後退)させておく。これにより、上昇する空のパレット7が端部ガイド10に当接することを回避できる。
【0035】
空のパレット7が所定位置(シャッターバー9の直下方まで上昇すると(図7(c)参照)、シャッターバー9の格納位置への移動を開始する(図8(a)参照)。シャッターバー9の格納位置への移動が完了すると、前回同様に、所定枚数になる度に排紙テーブル2を下降させる。また、格納位置まで移動したシャッターバー9は、フレーム16,16と共に上昇して原点位置に自動的に復帰する(図8(b)の2点鎖線参照)。この時、シャッターバー9の上昇に連動して端部ガイド10も上昇する。
【0036】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0037】
前記実施形態では、シャッター部材を複数のシャッターバー9から構成したが、帯状のベルトから構成してもよく、シャッター部材としては後続の枚葉紙を支持できるものであれば、どのような構成であってもよい。
【0038】
また、前記実施形態では、排紙テーブル2に載置されたパレット7上へ連続して枚葉紙を積層し、積層した枚葉紙が設定した枚数になると、枚葉紙が積層されたパレット7を下降させてから、シャッター装置8を作動させて後続して落下する枚葉紙を支えることで枚葉紙を上下に分離する、所謂棒積方式を用いたが、パレット上で、枚葉紙間に仕切り板及び仕切板の四隅にブロックを挿入して、所定枚数毎に枚葉紙の束を上下に分離し、隙間のある状態で積層する、所謂板取り方式を用いてもよい。
【0039】
また、前記実施形態では、シャッター部材の昇降に連動して端部ガイドを昇降させる構成としたが、シャッター部材を昇降させる昇降機構とは別の昇降機構を設けて端部ガイドを昇降させる構成であってもよい。
【0040】
また、前記実施形態では、端部ガイド10を退避位置と枚葉紙の端部に近づいた待機位置と枚葉紙の端部に対峙する対峙位置とに移動するように構成したが、端部ガイド10を退避位置から待機位置を経由しないで対峙位置に直接移動するように構成してもよい。この場合、シャッター部材が枚葉紙の天地方向天側へ半分以上入り込んだ時点から完了するまでの間に退避位置から対峙位置まで到達することができるように端部ガイド10の移動速度を設定することになる、あるいは、端部ガイド10の対峙位置への移動開始タイミングをより早めることになる。
【0041】
また、前記実施形態では、端部ガイド10を揺動して姿勢変更させたが、上下方向に移動して姿勢変更する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1…枚葉紙、2…排紙テーブル、3…グリッパ、4…搬送チェーン、5…支軸、6…真空吸引車、7…パレット、8…シャッター装置、9…シャッターバー(シャッター部材)、10…端部ガイド、11…チェーン、12…昇降用モータ、13…前当て、14…シートストッパー、15…背切りブレード、16…フレーム、17A,17B…スプロケット、18…無端チェーン、19…モータ、20…チェーン、21…昇降モータ、22…案内レール、23…可動体、24…天地移動用モータ、25…エアシリンダー、26…作動用軸
図1
図2
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図5
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図8