(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】作業支援装置、作業支援システム、作業支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0482 20130101AFI20241120BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20241120BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20241120BHJP
【FI】
G06F3/0482
G06F3/01 510
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2021184330
(22)【出願日】2021-11-11
【審査請求日】2024-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 真悟
(72)【発明者】
【氏名】山本 将史
(72)【発明者】
【氏名】新岡 正彦
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-063667(JP,A)
【文献】特開平04-350762(JP,A)
【文献】登録実用新案第3178624(JP,U)
【文献】特開2004-005453(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0205568(US,A1)
【文献】特開2019-036132(JP,A)
【文献】特開2017-167902(JP,A)
【文献】特開2005-286687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
3/048- 3/04895
40/00 - 40/197
G06Q 10/00 - 10/30
50/00 - 50/20
50/26 - 99/00
G16Z 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が作業現場において実施する作業を支援する作業支援装置であって、
第1データ形式の第1作業記録書に対して特殊文字を付与する特殊文字付与部、
前記特殊文字が付与された前記第1作業記録書を前記第1データ形式とは異なる第2データ形式の第2作業記録書に変換する作業記録書変換部、
前記第2作業記録書内の前記特殊文字の位置座標を検出する座標検出部、
前記第2作業記録書に対するデータ入力作業を支援するための画面部品を前記第2作業記録書内の前記位置座標において前記特殊文字と置き換えることにより前記画面部品を前記第2作業記録書に対して付与する入力支援付与部、
を備えることを特徴とする作業支援装置。
【請求項2】
前記特殊文字は、前記作業者が前記第1作業記録書に対してデータ入力し終えた時点で前記第1作業記録書内に存在しない文字である
ことを特徴とする請求項1記載の作業支援装置。
【請求項3】
前記特殊文字付与部は、前記画面部品の構成を指定するプロパティを前記特殊文字に対して付与するとともに、その付与した前記プロパティを記述したプロパティデータを記憶装置に格納し、
前記入力支援付与部は、前記プロパティデータが記述している前記プロパティにしたがって前記画面部品の画面レイアウトを設定することにより、前記特殊文字に対して付与された前記プロパティにしたがって前記画面部品を前記第2作業記録書に対して付与する
ことを特徴とする請求項1記載の作業支援装置。
【請求項4】
前記作業支援装置はさらに、前記特殊文字が付与された前記第1作業記録書を表示する表示部を備え、
前記表示部は、前記第1作業記録書を表示する画面とは別の画面上で前記プロパティを表示することにより、前記第1作業記録書を表示する画面上においては前記プロパティを非表示とする
ことを特徴とする請求項3記載の作業支援装置。
【請求項5】
前記特殊文字付与部は、前記画面部品の構成を指定するプロパティを前記特殊文字に対して付与するとともに、その付与した前記プロパティを記述したプロパティデータを前記第2作業記録書内に埋め込み、
前記プロパティデータは、前記第2作業記録書上で表示するか非表示とするかを切り替えることができるデータ形式で前記第2作業記録書内に埋め込まれている
ことを特徴とする請求項1記載の作業支援装置。
【請求項6】
前記作業支援装置はさらに、ユーザが前記作業支援装置に対する指示を入力するために用いる画面インターフェースを表示する表示部を備え、
前記表示部は、前記画面インターフェースとして、前記画面部品の種類一覧を表示するとともに前記種類一覧のなかからいずれかを選択することができる画面部品選択部を表示し、
前記表示部は、前記画面インターフェースとして、前記画面部品選択部上で選択された前記画面部品の前記プロパティを入力するプロパティ入力部を表示し、
前記作業支援装置はさらに、前記特殊文字を付与する前記第1作業記録書上の位置を指定する前記指示を受け取る入力部を備え、
前記特殊文字付与部は、前記画面インターフェース上で入力された前記プロパティを前記プロパティデータに記録するとともに、前記入力部を介して指定された前記第1作業記録書上の位置に前記特殊文字を付与する
ことを特徴とする請求項3記載の作業支援装置。
【請求項7】
前記特殊文字付与部は、前記第1作業記録書が備えるデータ入力欄に対して前記特殊文字を付与し、
前記入力支援付与部は、前記第1データ形式のデータ仕様上において前記データ入力欄が表示可能な最大文字数を取得し、
前記入力支援付与部は、前記データ仕様上において表示可能な最大文字数を前記画面部品の画面サイズへ変換するルールを記述した変換テーブルを取得し、
前記入力支援付与部は、前記データ入力欄に対して付与された前記特殊文字を、前記ルールが指定する画面サイズを有する前記画面部品へ置き換える
ことを特徴とする請求項1記載の作業支援装置。
【請求項8】
前記特殊文字付与部は、前記第1作業記録書が備えるデータ入力欄に対して前記特殊文字を付与し、
前記入力支援付与部は、前記第1データ形式のデータ仕様上において前記データ入力欄が表示可能な最大文字数を取得し、
前記入力支援付与部は、前記データ仕様上において表示可能な最大文字数を前記第1作業記録書上において前記データ入力欄が実際に表示可能な最大文字数へ変換する第1ルールを記述した第1変換テーブルを取得し、
前記入力支援付与部は、前記実際に表示可能な最大文字数を前記画面部品の画面サイズへ変換する第2ルールを記述した第2変換テーブルを取得し、
前記入力支援付与部は、前記データ入力欄に対して付与された前記特殊文字を、前記第1ルールと前記第2ルールの組み合わせによって指定される画面サイズを有する前記画面部品へ置き換える
ことを特徴とする請求項1記載の作業支援装置。
【請求項9】
前記作業記録書変換部は、前記特殊文字を含まない前記第1作業記録書を前記第2データ形式へ変換するとともに、前記特殊文字のみを記録した第3作業記録書を前記第2データ形式へ変換することにより、前記特殊文字を含まない第1データと前記特殊文字のみの第2データによって構成された前記第2作業記録書を生成し、
前記座標検出部は、前記第2データ上の前記特殊文字の位置座標を検出し、
前記入力支援付与部は、前記第2データ上において検出された前記特殊文字の位置座標において、前記特殊文字を前記画面部品と置き換える
ことを特徴とする請求項1記載の作業支援装置。
【請求項10】
前記作業支援装置はさらに、前記第2作業記録書が有する前記画面部品に対してデータが入力されたか否かを解析する解析部を備え、
前記解析部は、前記画面部品に対してデータを入力することが必須であるか否かを示す入力要否プロパティを記述した入力要否プロパティデータを取得し、
前記解析部は、前記入力要否プロパティが指定する入力要否と前記第2作業記録書に対して入力されたデータとを比較することにより、データを入力することが必須である前記画面部品に対するデータ入力の進捗率を計算してその結果を出力する
ことを特徴とする請求項1記載の作業支援装置。
【請求項11】
前記作業記録書変換部は、ユーザが前記解析部に対して前記解析を実施するように指示するために用いる進捗解析画面部品を、前記第2作業記録書に対して付与し、
前記進捗解析画面部品は、前記第2作業記録書内のデータ表示欄とデータ入力欄を除いた周辺領域に配置されている
ことを特徴とする請求項10記載の作業支援装置。
【請求項12】
前記作業支援装置はさらに、前記解析部による前記解析の結果を蓄積する記憶部を備え、
前記作業支援装置はさらに、前記記憶部が蓄積している前記解析の結果を記述した結果をネットワーク経由で送信する通信部を備える
ことを特徴とする請求項10記載の作業支援装置。
【請求項13】
前記作業支援装置は、前記作業者が携帯する端末に対してネットワークを介して前記第2作業記録書を提供する装置として構成されており、
前記解析部は、前記端末上における前記第2作業記録書に対して前記解析を実施し、
前記通信部は、前記解析部による前記解析の結果を前記端末に対して送信する
ことを特徴とする請求項12記載の作業支援装置。
【請求項14】
請求項1記載の作業支援装置、
前記作業支援装置から前記第2作業記録書を受け取る端末、
を有する作業支援システム。
【請求項15】
作業者が作業現場において実施する作業を支援する処理をコンピュータに実行させる作業支援プログラムであって、前記コンピュータに、
第1データ形式の第1作業記録書に対して特殊文字を付与するステップ、
前記特殊文字が付与された前記第1作業記録書を前記第1データ形式とは異なる第2データ形式の第2作業記録書に変換するステップ、
前記第2作業記録書内の前記特殊文字の位置座標を検出するステップ、
前記第2作業記録書に対するデータ入力作業を支援するための画面部品を前記第2作業記録書内の前記位置座標において前記特殊文字と置き換えることにより前記画面部品を前記第2作業記録書に対して付与するステップ、
を実行させる
ことを特徴とする作業支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者が作業現場において実施する作業を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
人口減少や少子高齢化による人手不足が深刻化している。特に製造現場では高いスキルを持った熟練者が不足しており、特定の人にしか作業できない状態、いわゆる属人化が問題となっている。熟練者と非熟練者がペアになって作業するだけでは技術伝承は難しいので、ノウハウを共有する仕組みづくりが必要である。こうした状況を受けて、電子ペーパ等のウェアラブル端末を活用した作業支援システムに注目が集まっている。例えば紙の作業記録書を電子ペーパに置き換えると、作業手順などのノウハウをデジタル情報として抽出し共有できる。一方、ウェアラブル端末は専用のペンなどを用いた手書き入力によってデータを入力するので、入力データをデジタル情報として正確に抽出することが難しいという課題がある。
【0003】
特許文献1は、ウェアラブル端末の入力を支援する方法について記載している。同文献は、『汎用表計算ソフトにより作成された帳票について、工事現場での短時間で正確なデータ入力を可能にした帳票入力支援システムを提供する。』ことを課題として、『汎用表計算ソフトにより作成された複数のセルからなる帳票への入力作業を支援する帳票入力支援システム100であって、セルへの入力作業のための複数の支援メニュー104を表示する支援メニュー表示手段101と、作業者の操作に基づいて、複数の支援メニュー104の中から使用する支援メニューを選択する支援メニュー選択手段102と、選択した支援メニューに応じた作業者の操作に基づいて、セルへの入力を行う支援メニュー入力手段103とを有する。複数の支援メニュー104は、テンキー10、キーボード20、コピー・貼付け30、用語40、写真50、日付60、吹出し70及び削除80のうち2以上である。』という技術を記載している(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、ウェアラブル端末の画面上にユーザの入力を支援する複数の支援メニューを重畳表示する。ユーザは所望の支援メニューを選択することにより、短時間に正確なデータを入力できる。一方、支援メニューを選択するまでに複数回の画面タップが必要となる。この煩わしい端末操作を減らすために、データ入力欄に対して入力支援のための画面部品を直接付与する方法がある。例えば選択肢のなかからいずれかを選択するような入力支援画面部品をデータ入力欄へ配置することにより、選択肢の内容を文字列によって入力する手間を省くことができる。
【0006】
例えば、表計算ソフトや文書作成ソフトによって作成した電子作業記録書に対して入力支援を付与することを考える。ウェアラブル端末が表示するのに適したデータ形式は必ずしも表計算ソフトや文書作成ソフトによって作成するデータ形式と同じではないので、一般的には電子作業記録書をウェアラブル端末に適したデータ形式に変換する必要がある。変換後のデータに対して、所望の入力欄に所望の入力支援を付与する。
【0007】
変換前のデータ形式においてはデータ入力欄に対して入力支援画面部品を直接付与したにも関わらず、データ形式を変換する際にその画面部品の座標がずれることがある。これにより変換後のデータ形式においては、データ入力欄とは異なる位置に入力支援画面部品が配置され、作業者にとって適切な入力支援とならない可能性がある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、電子作業記録書のデータ形式を変換した場合であっても、所望のデータ入力欄に対して所望の入力支援画面部品を正しく付与することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る作業支援装置は、第1データ形式の第1作業記録書に対して特殊文字を付与しておき、前記第1作業記録書を第2データ形式の第2作業記録書へ変換するとともに、前記第2作業記録書上における前記特殊文字を入力支援画面部品と置き換える。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る作業支援装置によれば、電子作業記録書のデータ形式を変換した場合であっても、所望のデータ入力欄に対して所望の入力支援画面部品を正しく付与することができる。上記した以外の課題、構成、および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】電子作業記録書200において入力支援画面部品の位置がずれた例を示す。
【
図3】実施形態1に係る作業支援装置300の構成図である。
【
図4A】特殊文字を付与した第1データ形式の作業記録書400の例である。
【
図4B】特殊文字をデータ入力支援のための画面部品へ置き換えた第2データ形式の作業記録書407の例である。
【
図4C】特殊文字を画面部品へ置き換える際の原点について説明する図である。
【
図5】作業支援装置300が第2データ形式の作業記録書を作成する手順を説明するフローチャートである。
【
図6】第1データ形式の作業記録書に対して入力支援画面部品を付与する際に用いるツールバーの例である。
【
図7】作業記録書内に特殊文字のプロパティを保有する例を示す。
【
図8A】テキストボックスのプロパティを指定する設定画面700の例である。
【
図8B】コンボボックスのプロパティを指定する設定画面701である。
【
図8C】リストボックスのプロパティを指定する設定画面702である。
【
図8D】ラジオボタンのプロパティを指定する設定画面703である。
【
図8E】チェックボックスのプロパティを指定する設定画面704である。
【
図9】第1データ形式の作業記録書において入力欄800に対して文字列を入力した例を示す。
【
図10】フォームフィールドのサイズについて説明する図である。
【
図11】フォームフィールドのサイズの変換テーブルを例示する図である。
【
図12A】実施形態4における第2データ形式の作業記録書の例である。
【
図12B】特殊文字のみを含む第2データ形式のデータ1201の例である。
【
図13】実施形態5に係る作業支援装置300の構成図である。
【
図14A】未記入欄1401が残っている第2データ形式の作業記録書1400の例である。
【
図14B】解析部1300が作業記録書1400を解析することにより生成する作業記録書1402の例である。
【
図15】解析部1300の動作を説明するフローチャートである。
【
図16】解析部1300に対して指示するために用いるツールバー1601を備える作業記録書1600の例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施の形態1>
図1は、手書きの作業記録書100の例である。作業記録書100は、作業者が作業現場において実施した作業を記録する紙書類である。作業者は作業記録書100に対して手書き文字101により作業状況を記入する。手書き文字は人によって癖があるので、コンピュータによる文字認識を実施したとしても、文字を正確に抽出するのは難しい。また、選択肢型の入力欄に対して選択した項目を記入する際に、その記入の仕方は作業者によって異なる場合がある。例えば
図1のように番号を丸印によって囲む場合もあるし、選択した項目をチェックする場合や『OK』などの文字列を記入する場合もある。したがって選択肢型の入力欄であっても、コンピュータ処理によって入力内容の意味を正確に読み取ることが困難である場合がある。そこで電子データによって作成された作業記録書に対して電子的にデータを入力するタイプの作業記録書が利用されるようになっている。
【0013】
図2は、電子作業記録書200において入力支援画面部品の位置がずれた例を示す。電子作業記録書200は、表計算ソフトや文書作成ソフトなどを用いて、文書データとして作成されるのが一般的である。この最初に作成された作業記録書のデータ形式のことを第1データ形式と呼ぶことにする。
【0014】
表計算ソフトや文書作成ソフトなどを用いて作成された文書データは、デスクトップコンピュータなどの一般コンピュータ上で動作することを想定して作成されているので、ウェアラブル端末上で表示するには適していない場合がある。例えばウェアラブル端末上で実行される閲覧ソフトウェアが処理することができないデータ形式である場合がこれに相当する。このような場合は、第1データ形式の作業記録書を、ウェアラブル端末上で表示することができるデータ形式に変換する必要がある。この変換後のデータ形式のことを第2データ形式と呼ぶことにする。
【0015】
第1データ形式の作業記録書を作成する際に、データ入力支援のための画面部品を併せて配置することを考える。
図2に示す作業記録書の例においては以下の画面部品が配置されている:(a)文字列入力のためのテキストボックス201;(b)日付入力のためのテキストボックス202;(c)ラジオボタン203;(d)コンボボックス204;(e)リストボックス205;(f)チェックボックス206。
【0016】
第1データ形式の作業記録書上において、これらの画面部品をデータ入力欄上に配置したとしても、これを第2データ形式へ変換する際に、画面部品の位置が第1データ形式上のものからずれて、第2データ形式上ではデータ入力欄ではない位置に配置される場合がある。
図2はこのように画面部品の位置がずれた例を示している。このような位置ずれが生じるのは、例えば第1データ形式における画面上の座標系と第2データ形式における画面上の座標系が互いに異なることに起因すると考えられる。
【0017】
図3は、本発明の実施形態1に係る作業支援装置300の構成図である。作業支援装置300は、第1データ形式の作業記録書に対してデータ入力支援のための画面部品を付与し、これを第2データ形式に変換した上で、ウェアラブル端末309に対して提供するシステムである。作業支援装置300は、ウェアラブル端末309とは別のコンピュータなどの装置によって構成することもできるし、ウェアラブル端末309が内蔵する演算デバイスとして構成することもできる。作業支援装置300とウェアラブル端末309は、作業者が作業現場において実施する作業を支援する作業支援システムとして、互いに協調動作する。
【0018】
作業支援装置300は、入力部301、表示部302、プロセッサ303、データ通信部304を備える。プロセッサ303はさらに、特殊文字付与部305、作業記録書変換部306、座標検出部307、入力支援付与部308を備える。プロセッサ303が備える各部は、これらの機能を実装した回路デバイスなどのハードウェアによって構成することもできるし、これらの機能を実装したソフトウェアをプロセッサ303が実行することによって構成することもできる。各データ形式の作業記録書を格納する記憶部は、作業支援装置300上に備えてもよいし、外部装置が備える記憶部として構成した上で作業支援装置300がネットワークを介してその記憶部に対してアクセスするように構成してもよい。
【0019】
入力部301は、作業支援装置300のユーザから作業支援装置300に対する操作指示を受け取る。表示部302は、作業記録書や後述するGUI(Graphical User Interface)などを画面表示する。プロセッサ303は、プロセッサ303が備える各部の処理を実行するとともに、作業支援装置300のその他各部を制御する。データ通信部304、特殊文字付与部305、作業記録書変換部306、座標検出部307、入力支援付与部308の動作については後述する。
【0020】
図4Aは、特殊文字を付与した第1データ形式の作業記録書400の例である。特殊文字付与部305は、作業記録書400に対して、データ入力支援のための画面部品を付与する代わりに、特殊文字を付与する。作業記録書変換部306は、第1データ形式の作業記録書を第2データ形式へ変換する際に、各特殊文字を対応する画面部品へ置き換える。特殊文字の種類は、画面部品の種類に対応している。特殊文字の位置は、第2データ形式において画面部品を配置する位置である。同種であるが別の画面部品へ置き換える特殊文字については識別番号をさらに付与する。例えば特殊文字401と402はそれぞれ別のテキストボックスへ置き換えられる。
【0021】
図4Aの例においては、以下の特殊文字を配置した:(a)文字列入力のためのテキストボックスへ置き換える特殊文字401;(b)日付入力のためのテキストボックスへ置き換える特殊文字402;(c)ラジオボタンへ置き換える特殊文字403;(d)コンボボックスへ置き換える特殊文字404;(e)リストボックスへ置き換える特殊文字405;(f)チェックボックスへ置き換える特殊文字406。
【0022】
図4Bは、特殊文字をデータ入力支援のための画面部品へ置き換えた第2データ形式の作業記録書407の例である。第1データ形式における特殊文字401~406が、それぞれの位置において以下の画面部品へ置き換えられている:(a)文字列入力のためのテキストボックス408;(b)日付入力のためのテキストボックス409;(c)ラジオボタン410;(d)コンボボックス411;(e)リストボックス412;(f)チェックボックス413。
【0023】
図4Cは、特殊文字を画面部品へ置き換える際の原点について説明する図である。特殊文字のサイズと画面部品のサイズは互いに異なるので、特殊文字から画面部品への変換処理の原点をどこにセットするのかによって、画面部品の位置が変化する。そこで作業記録書変換部306は、特殊文字の中心を原点とする。例えば2つの文字によって特殊文字が構成されている場合は、両文字の中間を原点とする。識別番号がある場合は、識別番号を含めた文字列の中点を原点とする。
【0024】
例えば画面の上下方向に連続して同種の画面部品を複数配置することを考える。特殊文字の左上を原点とすると、
図4C左側のように、変換後の画面部品の原点が画面部品ごとに異なるので、各画面部品の位置が互いにずれてしまう。特殊文字の中央を原点とすることにより、
図4C右側のように、変換後の各画面部品の位置を画面上下方向において揃えることができる。
【0025】
図5は、作業支援装置300が第2データ形式の作業記録書を作成する手順を説明するフローチャートである。第1データ形式の作業記録書は作成済であるものとする。以下
図5の各ステップについて説明する。
【0026】
(
図5:ステップS501)
特殊文字付与部305は、第1データ形式の作業記録書に対して、入力支援画面部品の種類に応じた特殊文字を付与する。特殊文字を付与する位置は、ユーザが入力部301を介して、第1データ形式の作業記録書上で指定する。特殊文字付与部305はさらに、画面部品ごとのレイアウトを指定するプロパティを記述したプロパティデータを、適当な記憶装置(作業支援装置300が備えるものであってもよいし外部ストレージであってもよい)へ格納する。プロパティは、後述するGUI上でユーザが指定してもよいし、プロパティデータを別途作成した上で記憶装置へ格納してもよい。すなわち、各画面部品と対応するプロパティを特定できれば、プロパティデータを提供する手段は問わない。
【0027】
(
図5:ステップS502~S503)
作業記録書変換部306は、第1データ形式の作業記録書を第2データ形式に変換する(S502)。座標検出部307は、第2データ形式の作業記録書上に記載された特殊文字の座標(第2データ形式上の座標)を検出する(S503)。
【0028】
(
図5:ステップS504~S505)
入力支援付与部308は、S501におけるプロパティデータを参照して、第2データ形式上における画面部品ごとのレイアウトを設定する(S504)。入力支援付与部308は、S503において検出した特殊文字の座標において、その特殊文字を画面部品へ置き換える(S505)。置き換える際の原点は、
図4Cで説明したように、特殊文字の中央とする。
【0029】
図6は、第1データ形式の作業記録書に対して入力支援画面部品を付与する際に用いるツールバーの例である。ユーザは、第1データ形式の作業記録書上の位置を指定した上でツールバー601(画面部品選択部)上のボタンメニューを選択することにより、その位置に対して付与する画面部品の種類を指定する。特殊文字付与部305は、ボタンメニューによって指定された画面部品の種類に対応する特殊文字を、その位置に対して付与する。
【0030】
ツールバーは、各画面部品の種類に対応するボタンメニュー(テキストボックス/コンボボックス/リストボックス/ラジオボタン/チェックボックス)を備えている。さらに第1データ形式の作業記録書を読み込むように指示する読込ボタン、第2データ形式へ変換するように指示する出力ボタン、を備えている。ツールバーは画面内の任意箇所へ配置することができるが、データ入力欄が配置されていない余白場所に配置することが望ましい。
【0031】
図7は、作業記録書内に特殊文字のプロパティを保有する例を示す。特殊文字のプロパティは、作業記録書とは別のデータファイル上に記録することもできるし、作業記録書内に埋め込むことによりこれらを一体のデータとして構成することもできる。この例においては第1データ形式の作業記録書の内部に、特殊文字のプロパティ706を埋め込んだ例を示した。
【0032】
図7においては説明の便宜上、プロパティ706を作業記録書上に表示しているが、ユーザの作業を阻害しないためには、プロパティ706を作業記録書上においては非表示とすることが望ましい。例えばプロパティ706を閲覧または入力するための別画面を適当なメニューから表示できるようにしてもよい。
【0033】
第2作業記録書上においても同様に、プロパティ706の変換結果を非表示にすることが望ましい。第2データ形式における入力支援画面部品のプロパティは、プロパティデータとして、第2作業記録書とは別のデータまたは第2作業記録書の内部に記録することができる。これに代えて、個々の画面部品自身のプロパティまたは作業記録書自体のプロパティとして、第2作業記録書の内部に記録することができる。あるいは、第1作業記録書上においてはテキストボックスなどの視認可能な画面部品内にプロパティ706をテキスト入力しておき、これを第2データ形式へ変換する際にそのテキストボックスのプロパティを非表示としてもよい。いずれにおいても、プロパティ706の内容は、第2作業記録書に対してデータ入力する作業を阻害しない(例:ユーザが指示したときのみ表示する、すなわち表示/非表示を切り替え可能となる)ようなデータ形式によって記録することが望ましい。
【0034】
<実施の形態1:まとめ>
本実施形態1に係る作業支援装置300は、第1データ形式の作業記録書上において、データ入力支援画面部品を配置したい位置に特殊文字を付与し、第2データ形式の作業記録書上において、その特殊文字を対応する画面部品へ置き換える。画面部品を付与した後にデータ形式を変換するのではなく、データ形式を変換した後にその変換後のデータ形式上で画面部品を付与するので、変換にともなう画面部品の位置ずれを回避することができる。
【0035】
<実施の形態2>
本発明の実施形態2においては、ツールバー601から呼び出すことができるプロパティ設定画面の具体例を説明する。その他の構成は実施形態1と同様である。ユーザはツールバー601において画面部品の種類を選択する際に、その画面部品のプロパティを以下の設定画面によって指定することができる。
【0036】
図8Aは、テキストボックスのプロパティを指定する設定画面700の例である。表示部302は設定画面700を表示し、入力部301は設定画面700上におけるユーザからの操作指示を受け取る。入力支援付与部308は、指定されたプロパティを、プロパティデータとして保存する。設定画面700は、例えばユーザが
図6のツールバーにおいてテキストボックスボタンを押下したとき画面表示することができる。その他、例えば第1データ形式の作業記録書上において付与された特殊文字をユーザが右クリックしたときなど、適当なタイミングで表示してもよい。テキストボックスのプロパティとして、以下の項目を設定することができる。
【0037】
(1)Mode:1つのセルに付与するモードと、複数のセルに付与するモードがある。例えば表計算ソフトを用いて第1作業記録書を作成する場合、単一セルモードを選択していずれかの単一セルを選択すると、その単一セルに対してテキストボックス画面部品が付与される。複数セルモードを選択した場合、複数セルを選択し、それら複数セルに対してテキストボックスを一括してそれぞれ付与する。
【0038】
(2)種類:入力データの書式を選択する。例えば文字列、時刻、のいずれかを選択することができる。
【0039】
(3)作業項目:テキストボックスに対して入力される文字列を例えばデータベースに対して格納する際に、そのテキストボックスがデータベース上のどのカラムに対応するのかを特定する必要がある。換言するとテキストボックスの意味付けを特定する必要がある。例えば
図4Bのテキストボックス408に対して入力される文字列は『担当者』名を意味しているが、その文字列が『担当者』名を表しているという関係性を、何らかの手段によって示唆する必要がある。本項目は、その関係性をどのような手段によって示唆するかを指定する。手動入力または手動選択であれば、ユーザがマニュアル操作によって指定する。あるいは本テキストボックスの左側に配置されている文字列から自動取得するような場合は、『自動』を選択する。テキストボックス408とその左側の文字列『担当者』はその例である。その他の配置関係も同様である。
【0040】
(4)初期値:ユーザがデータを入力する前にあらかじめセットされている値。
【0041】
(5)要否:入力が必須なのか、任意なのか、特定の画面部品に対してデータが入力された場合にのみ自動的に必須になるか、を指定する。『自動』の場合は、その特定の画面部品の位置を併せて指定する。
【0042】
図8B~
図8Eは、その他種類の画面部品のプロパティを指定する設定画面の例である。
図8Bはコンボボックスのプロパティを指定する設定画面701である。
図8Cはリストボックスのプロパティを指定する設定画面702である。
図8Dはラジオボタンのプロパティを指定する設定画面703である。
図8Eはチェックボックスのプロパティを指定する設定画面704である。
【0043】
図8Bにおける(3)選択肢は、選択肢の要素を手動で入力するか、あるいは選択したセル内の文字から自動取得するかを指定する。
図8Eにおける(3)意味は、チェックボックスによって選択された項目の意味内容(その項目を選択することによって指定される情報の内容)を、手動指定するかまたは自動取得するかを指定する。これは
図8Aで説明した(3)作業項目と類似しているが、チェックボックスにおいては項目の意味付けに加えて選択肢の意味付けも必要になるので、チェックボックスのプロパティにおいては作業項目と意味をともに指定することとした。
【0044】
<実施の形態3>
本発明の実施形態3では、第1データ形式における画面部品のサイズを第2データ形式において適切にセットするための構成例を説明する。その他の構成は実施形態1~2と同様である。
【0045】
図9は、第1データ形式の作業記録書において入力欄800に対して文字列を入力した例を示す。この例に示す入力欄800は、第1データ形式の仕様上は10文字まで画面上に表示することができるが、入力欄800の画面サイズに起因して、画面上で表示されるのは7文字のみとなっている。この作業記録書をそのまま第2データ形式へ変換すると、第2データ形式においても同様の問題が発生するか、あるいはデータ変換後のテキストボックスのサイズや位置がずれる可能性がある。
【0046】
第1データ形式上において表示可能な文字数は、例えば第1作業記録書を作成する際に用いるソフトウェアを介して取得することができる。例えば表計算ソフトウェアを用いる場合は、セルが表示可能な文字数を取得する関数を介して、表示可能文字数を取得することができる。このように第1データ形式の仕様上においては表示可能であると想定されている文字数のことを、便宜上『システム読取値』と呼ぶ。システム読取値と実際に画面上で表示可能な文字数は、一致しない場合があることが経験上分かっている。ただしその原因は不明である。
【0047】
図10は、フォームフィールドのサイズについて説明する図である。ここでは入力支援画面部品の例として、
図9で例示したテキストボックスを示す。テキストボックスの画面サイズは領域900が示す範囲であるのに対して、テキストボックス内に文字を表示することができる領域901の画面サイズはテキストボックス自身の画面サイズよりも小さい。したがって、テキストボックスに対して入力する最大文字数をそのままテキストボックスの画面サイズとして採用すると、全ての文字列をテキストボックス内において表示できないことになる。
【0048】
図11は、フォームフィールドのサイズの変換テーブルを例示する図である。
図10で説明したように、データ入力フィールドの画面サイズは、入力可能な最大文字数の画面サイズよりも大きくする必要がある。そこで本実施形態においては、これらの間の関係を表すルールを記述した変換テーブルをあらかじめ作成しておき、入力支援付与部308はその変換テーブルにしたがって、画面部品の画面サイズをセットする。これらの変換テーブルデータは、作業支援装置300が備える記憶部にあらかじめ格納しておいてもよいし、ネットワークなどを介して外部デバイスから取得してもよい。
【0049】
図11左は、第1データ形式の仕様上で画面上に表示可能な最大文字数(システム読取値)と、実際にフォームフィールド内に画面表示することができる最大文字数との間の関係を、文字サイズごとに示すデータである。データ1000は文字サイズ8ptにおける例を示し、データ1001は文字サイズ11ptにおける例を示す。この変換テーブルを参照することにより、データ仕様上で表示可能な最大文字数から、実際に画面表示可能な最大文字数を得ることができる。
【0050】
図11右は、第1データ形式において実際に画面表示可能な最大文字数と、その最大文字数を第2データ形式において画面表示するために必要なフォームフィールドの画面サイズとの間の関係を、文字サイズごとに示すデータである。データ1002は文字サイズ8ptにおける例を示し、データ1003は文字サイズ11ptにおける例を示す。この変換テーブルを参照することにより、フォームフィールド内に画面表示したい最大文字数から、その文字数を第2データ形式において実際に表示するために必要なフォームフィールドの画面サイズを得ることができる。
【0051】
入力支援付与部308は、これらの変換テーブルを用いて、第1データ形式の仕様上で表示可能な最大文字数に基づき、その文字数を第2データ形式において実際に表示するために必要なフォームフィールドの画面サイズを得ることができる。入力支援付与部308は、その画面サイズを画面部品のレイアウトへ反映すればよい。これにより、データ形式上で表示可能な最大文字数を、第2データ形式上の入力支援画面部品においても全て画面表示することができる。
【0052】
図11においては2つの変換テーブルを介して画面部品サイズを得ることを説明したがこれらの変換テーブルを1つのデータテーブルとして集約してもよい。この場合は、システム読取値をフォームサイズへ直接変換するデータテーブルを用いることになる。
【0053】
<実施の形態4>
図12Aは、本発明の実施形態4における第2データ形式の作業記録書の例である。本実施形態4において、作業支援装置300は、第2データ形式の作業記録書を、特殊文字を除く作業記録書の本体部分のデータ1200と、特殊文字のみを含むデータとに分けて構成する。これにより、作業記録書のデータ入力欄に対して、特殊文字として想定されている文字が入力された場合であっても、その入力内容を誤って入力支援画面部品へ変換することを防止できると考えられる。その他の構成は実施形態1~3と同様である。
【0054】
図12Bは、特殊文字のみを含む第2データ形式のデータ1201の例である。特殊文字のみを含むデータを作業記録書本体から分離した点を除き、特殊文字の配置、種類、プロパティなどの構成は以上の実施形態と同様である。
【0055】
データ1201は、以下のように生成することができる:(a)特殊文字付与部305が第1データ形式の作業記録書に対して特殊文字を付与する際に、その特殊文字のみを記録した第1データ形式のデータとして生成した上でこれを第2データ形式へ変換することによって生成する;(b)作業記録書変換部306が特殊文字を含む第1データ形式の作業記録書を第2データ形式へ変換する際に、特殊文字のみを抽出してデータ1201として記録する。いずれの場合であっても、作業記録書変換部306は、第1データ形式の作業記録書を第2データ形式へ変換することによってデータ1200を生成するとともに、特殊文字部分を第2データ形式へ変換することによりデータ1201を生成する。
【0056】
座標検出部307は、データ1201上の特殊文字の位置を、S503と同様に検出する。入力支援付与部308は、検出した特殊文字の位置において、その特殊文字を入力支援画面部品へ置き換える。作業記録書のみを記述するデータ1200と特殊文字のみを記述するデータ1201を互いに別のデータファイルとして構成することにより、特殊文字の検出ミスを抑制することができる。データ1201上には特殊文字のみが存在するからである。これにより、入力支援画面部品を配置する位置を正確に定めることができ、位置ずれをさらに抑制できる。
【0057】
<実施の形態5>
図13は、本発明の実施形態5に係る作業支援装置300の構成図である。本実施形態5に係る作業支援装置300は、以上の実施形態で説明した構成に加えて、解析部1300と記憶部1301を備える。解析部1300は、プロセッサ303が備える他の機能部と同様にプロセッサ303の一部として構成してもよいし、
図13に示すようにプロセッサ303とは別の機能部として構成してもよい。記憶部1301は、データを格納する記憶装置によって構成されている。
【0058】
解析部1300は、ウェアラブル端末309上で作業者が作業記録書に対して入力したデータをウェアラブル端末309から取得して解析することにより、記入作業の進捗状況を計算する。具体例は後述する。記憶部1301は、解析部1300が計算した進捗状況を記述したデータを蓄積する。
【0059】
図14Aは、未記入欄1401が残っている第2データ形式の作業記録書1400の例である。解析部1300は、ウェアラブル端末309から作業記録書1400を取得してこれを解析することにより、未記入欄1401に対してデータが入力されていないことを検出する。
【0060】
図14Bは、解析部1300が作業記録書1400を解析することにより生成する作業記録書1402の例である。解析部1300は、未記入欄1401に対して強調表示1403を付与する。解析部1300はさらに、作業記録書1400のうちデータ入力すべき全項目数に対する入力済項目数の割合(進捗率)を計算する。解析部1300は、例えばポップアップウインドウ1404などの手段により、その計算結果を作業記録書1402上で表示する。データ通信部304は、作業記録書1402をウェアラブル端末309に対して送信する。強調表示1403とポップアップウインドウ1404により、作業者は未記入欄に対して入力することを促される。
【0061】
入力支援画面部品のうち、データ入力が必須ではないものについては、作業者は必ずしもデータを入力しなくてもよい。したがって進捗率は、入力支援画面部品のうち「要否」プロパティが入力必須となっているものの総数に対して計算すればよい。要否プロパティは、実施形態1~2において説明したように、プロパティデータまたは画面部品自身のプロパティから取得することができる。
【0062】
図15は、解析部1300の動作を説明するフローチャートである。本フローチャートは、例えばウェアラブル端末309から作業記録書を解析するように要求するリクエストを受け取ったとき、作業支援装置300のユーザが作業記録書を解析するように作業支援装置300に対して指示したとき、などにおいて開始することができる。以下
図15の各ステップを説明する。
【0063】
(
図15:ステップS1501)
解析部1300は、データ通信部304を介して、ウェアラブル端末309から第2データ形式の作業記録書を取得する。
【0064】
(
図15:ステップS1502)
解析部1300は、各入力支援画面部品の要否プロパティを参照することにより、データ入力が必要な画面部品の総数を計算する。解析部1300は、その総数に対するデータ入力済の画面部品の割合(進捗率)を計算する。
【0065】
(
図15:ステップS1503~S1505)
解析部1300は、S1502における解析結果を記憶部1301内にデータベースとして記録する(S1503)。解析部1300は、S1502における解析結果を強調表示1403やポップアップウインドウ1404などの手段によって付与した作業記録書を生成する(S1504)。解析部1300は、その作業記録書をウェアラブル端末309に対して送信する(S1505)。
【0066】
図16は、解析部1300に対して指示するために用いるツールバー1601を備える作業記録書1600の例である。ウェアラブル端末309は作業者が作業記録書1600に対してデータを入力する際に、ツールバー1601(進捗解析画面部品)を画面上で提示してもよい。ツールバー1601は、作業記録書変換部306が第2作業記録書を生成する際に、例えば画面端の余白部分に対して付与することができる。ツールバー1601は、ウェアラブル端末309に対して以下を指示するGUIとして用いることができる。
【0067】
(1)ファイル送信:作業支援装置300上の所定のディレクトリに対して作業記録書1600を送信するように、ウェアラブル端末309に対して指示する。
【0068】
(2)進捗集計:作業記録書1600に対するデータ入力の進捗状況を解析するように解析部1300に対してリクエストし、その結果を解析部1300から取得するように、ウェアラブル端末309に対して指示する。解析結果は例えば
図14Bのような形式の別ファイルとして解析部1300から取得することができる。
【0069】
(3)未記入表示:コンテキストメニュー等によって、未記入欄の場所をウェアラブル端末309の画面上で表示するように、ウェアラブル端末309に対して指示する。解析部1300に対して
図14Bの強調表示1403を付与するようにリクエストしてもよいし、ウェアラブル端末309自身が画面部品の要否プロパティを参照することによって同様の処理を実施してもよい。
【0070】
(4)休憩:ウェアラブル端末309のユーザが休憩中であることを、作業支援装置300のユーザ(管理者)に対して通知するように、ウェアラブル端末309に対して指示する。その通知は、例えば記憶部1301が格納しているデータベースへ記録することができる。
【0071】
(5)作業中断:ウェアラブル端末309のユーザが作業を中断したことを、作業支援装置300のユーザ(管理者)に対して通知するように、ウェアラブル端末309に対して指示する。その通知は、例えば記憶部1301が格納しているデータベースへ記録することができる。
【0072】
<本発明の変形例について>
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0073】
以上の実施形態において、特殊文字付与部305が第1データ形式の作業記録書に対して付与する特殊文字は、第1データ形式の作業記録書上において使用しない(少なくとも作業者がデータ入力し終えた時点でそのデータファイルにおいては使用していない)文字とすることが望ましい。例えば作業内容を記録するために用いることが想定されない文字を、特殊文字として用いることができる。作業支援装置300は、特殊文字として想定されている文字がデータ入力欄に対して入力されている場合、その旨の警告を提示してもよい。
【0074】
以上の実施形態において、第1作業記録書上の特殊文字を入力支援画面部品へ置き換えることを説明したが、少なくとも第2作業記録書の画面表示上において置き換えられていればよく、必ずしも元の特殊文字を第2作業記録書において削除しなくともよい。ただしその場合は、第2作業記録書上においてその特殊文字が視認できないように(例:非表示属性をセットする)することが望ましい。
【符号の説明】
【0075】
300:作業支援装置
301:入力部
302:表示部
303:プロセッサ
304:データ通信部
305:特殊文字付与部
306:作業記録書変換部
307:座標検出部
308:入力支援付与部
309:ウェアラブル端末