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特許7590976ドライバ居眠り防止システム、コンピュータ、端末、ドライバ居眠り防止方法及びプログラム
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  • 特許-ドライバ居眠り防止システム、コンピュータ、端末、ドライバ居眠り防止方法及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】ドライバ居眠り防止システム、コンピュータ、端末、ドライバ居眠り防止方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241120BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20241120BHJP
   G08B 21/06 20060101ALI20241120BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20241120BHJP
   G16Y 20/40 20200101ALI20241120BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20241120BHJP
【FI】
G08G1/16 F
A61B5/16 130
G08B21/06
G16Y10/40
G16Y20/40
G16Y40/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021550929
(86)(22)【出願日】2019-10-04
(86)【国際出願番号】 JP2019039359
(87)【国際公開番号】W WO2021065002
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-03-22
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】324001734
【氏名又は名称】ロジスティード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 公則
(72)【発明者】
【氏名】川島 宏夫
(72)【発明者】
【氏名】根本 憲之
(72)【発明者】
【氏名】服巻 邦英
(72)【発明者】
【氏名】谷口 将仁
【合議体】
【審判長】山本 信平
【審判官】北村 亮
【審判官】河端 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-245091(JP,A)
【文献】特開2017-59043(JP,A)
【文献】特開2005-62911(JP,A)
【文献】特開平9-91569(JP,A)
【文献】国際公開第2014/010568(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16,A61B 5/16,G08B 21/06,G16Y 10/40,G16Y 20/40,G16Y 40/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転中のドライバが居眠りしないように、居眠りを防止するための防止策を選択して実行するドライバ居眠り防止システムであって、
前記ドライバの生体情報を取得する取得手段と、
取得した前記生体情報を解析して、前記ドライバが運転中に居眠りしそうなレベルを判定する判定手段と、
居眠りを防止するための複数の防止策の内、判定した前記レベルに応じて、レベルに応じた複の防止策を特定し、ランダムに、記レベルに応じた複数の防止策の中から一の防止策を選択し、選択した前記一の防止策が、所定の間隔内で、既に選択されていたかを判断し、既に選択されていた場合、選択した前記一の防止策を除外した前記レベルに応じた複数の防止策の中から一の防止策を再度選択し、前記レベルに応じた複数の防止策の全てが選択されていた場合、ランダムに、前記レベルに応じた複数の防止策の中から一の防止策を選択し、前記居眠りを防止するための防止策を所定の間隔でローテーションさせて選択する選択手段と、
選択した前記一の防止策を実行する実行手段と、
を備えることを特徴とするドライバ居眠り防止システム。
【請求項2】
実行した前記一の防止策のうち、どの防止策で居眠りせず、どの防止策で居眠りしたかを学習する学習手段と、
をさらに備え、
前記選択手段は、判定した前記レベルと、学習の結果に応じて、前記一の防止策を選択する、
ことを特徴とする請求項1に記載のドライバ居眠り防止システム。
【請求項3】
前記選択手段は、判定した前記レベルに応じて、前記居眠りを防止するための防止策を所定の間隔でローテーションさせて選択する、
ことを特徴とする請求項1に記載のドライバ居眠り防止システム。
【請求項4】
運転中のドライバが居眠りしないように、居眠りを防止するための防止策を選択して実行するコンピュータであって、
前記ドライバの生体情報を取得する取得手段と、
取得した前記生体情報を解析して、前記ドライバが運転中に居眠りしそうなレベルを判定する判定手段と、
居眠りを防止するための複数の防止策の内、判定した前記レベルに応じて、レベルに応じた複の防止策を特定し、ランダムに、記レベルに応じた複数の防止策の中から一の防止策を選択し、選択した前記一の防止策が、所定の間隔内で、既に選択されていたかを判断し、既に選択されていた場合、選択した前記一の防止策を除外した前記レベルに応じた複数の防止策の中から一の防止策を再度選択し、前記レベルに応じた複数の防止策の全てが選択されていた場合、ランダムに、前記レベルに応じた複数の防止策の中から一の防止策を選択し、前記居眠りを防止するための防止策を所定の間隔でローテーションさせて選択する選択手段と、
選択した前記一の防止策を実行させる実行手段と、
を備えることを特徴とするコンピュータ。
【請求項5】
運転中のドライバが居眠りしないように、居眠りを防止するための防止策を選択して実行する端末であって、
前記ドライバの生体情報を解析して、居眠りを防止するための複数の防止策の内、ドライバが運転中に居眠りしそうなレベルを判定した判定結果に応じて特定されたレベルに応じた複数の防止策の内、ランダムに選択された一の防止策を実行し、選択された前記一の防止策が、所定の間隔内で、既に選択されていたと判断されていた場合、選択された前記一の防止策を除外した前記レベルに応じた複数の防止策の中から再度選択された一の防止策を実行し、前記レベルに応じた複数の防止策の全てが選択されていた場合、ランダムに、前記レベルに応じた複数の防止策の中から選択された一の防止策を実行し、前記居眠りを防止するための防止策を所定の間隔でローテーションさせて実行する実行手段と、
を備えることを特徴とする端末。
【請求項6】
運転中のドライバが居眠りしないように、居眠りを防止するための防止策を選択して実行するコンピュータにより実行されるドライバ居眠り防止方法であって、
前記ドライバの生体情報を取得するステップと、
取得した前記生体情報を解析して、前記ドライバが運転中に居眠りしそうなレベルを判定するステップと、
居眠りを防止するための複数の防止策の内、判定した前記レベルに応じて、レベルに応じた複の防止策を特定し、ランダムに、記レベルに応じた複数の防止策の中から一の防止策を選択し、選択した前記一の防止策が、所定の間隔内で、既に選択されていたかを判断し、既に選択されていた場合、選択した前記一の防止策を除外した前記レベルに応じた複数の防止策の中から一の防止策を再度選択し、前記レベルに応じた複数の防止策の全てが選択されていた場合、ランダムに、前記レベルに応じた複数の防止策の中から一の防止策を選択し、前記居眠りを防止するための防止策を所定の間隔でローテーションさせて選択するステップと、
選択した前記一の防止策を実行するステップと、
を備えることを特徴とするコンピュータにより実行されるドライバ居眠り防止方法。
【請求項7】
運転中のドライバが居眠りしないように、居眠りを防止するための防止策を選択して実行するコンピュータに、
前記ドライバの生体情報を取得するステップ、
取得した前記生体情報を解析して、前記ドライバが運転中に居眠りしそうなレベルを判定するステップ、
居眠りを防止するための複数の防止策の内、判定した前記レベルに応じて、レベルに応じた複の防止策を特定し、ランダムに、記レベルに応じた複数の防止策の中から一の防止策を選択し、選択した前記一の防止策が、所定の間隔内で、既に選択されていたかを判断し、既に選択されていた場合、選択した前記一の防止策を除外した前記レベルに応じた複数の防止策の中から一の防止策を再度選択し、前記レベルに応じた複数の防止策の全てが選択されていた場合、ランダムに、前記レベルに応じた複数の防止策の中から一の防止策を選択し、前記居眠りを防止するための防止策を所定の間隔でローテーションさせて選択するステップ、
選択した前記一の防止策を実行するステップ、
を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転中のドライバが居眠りしないように、居眠りを防止するための防止策を選択して実行するドライバ居眠り防止システム、コンピュータ、端末、ドライバ居眠り防止方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドライバの過酷な労働環境が社会問題となっており、運転中のドライバが居眠りをして交通事故になるニュースが増加している。そのため、運転中のドライバの居眠りを防止する技術が注目されている。
【0003】
このような技術の例として、運転中のドライバの脈拍を検知し、このドライバの居眠り状態を判定するものが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-248850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、運転中のドライバの居眠りによる交通事故を未然に防ぐには、ドライバの居眠り状態を判定するだけでは不十分であった。また、特許文献1の構成では、あくまでもドライバの居眠り状態を判定するだけのものに過ぎず、居眠りそのものを防止するためのものではないため、居眠りそのものを防止することが困難であった。
【0006】
本発明は、運転中のドライバの生体情報を取得して、ドライバが運転中に居眠りしそうなレベルを判定し、居眠りを防止するための複数の防止策のうち、このレベルに応じた防止策を選択して実行することが可能なドライバ居眠り防止システム、コンピュータ、端末、ドライバ居眠り防止方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0008】
本発明は、運転中のドライバが居眠りしないように、居眠りを防止するための防止策を選択して実行するドライバ居眠り防止システムであって、
前記ドライバの生体情報を取得する取得手段と、
取得した前記生体情報を解析して、前記ドライバが運転中に居眠りしそうなレベルを判定する判定手段と、
居眠りを防止するための複数の防止策の内、判定した前記レベルに応じて、レベルに応じた複の防止策を特定し、ランダムに、記レベルに応じた複数の防止策の中から一の防止策を選択し、選択した前記一の防止策が、所定の間隔内で、既に選択されていたかを判断し、既に選択されていた場合、選択した前記一の防止策を除外した前記レベルに応じた複数の防止策の中から一の防止策を再度選択し、前記レベルに応じた複数の防止策の全てが選択されていた場合、ランダムに、前記レベルに応じた複数の防止策の中から一の防止策を選択し、前記居眠りを防止するための防止策を所定の間隔でローテーションさせて選択する選択手段と、
選択した前記一の防止策を実行する実行手段と、
を備えることを特徴とするドライバ居眠り防止システムを提供する。
【0009】
本発明によれば、運転中のドライバが居眠りしないように、居眠りを防止するための防止策を選択して実行するドライバ居眠り防止システムは、前記ドライバの生体情報を取得し、取得した前記生体情報を解析して、前記ドライバが運転中に居眠りしそうなレベルを判定し、居眠りを防止するための複数の防止策の内、判定した前記レベルに応じて、レベルに応じた複の防止策を特定し、ランダムに、記レベルに応じた複数の防止策の中から一の防止策を選択し、選択した前記一の防止策が、所定の間隔内で、既に選択されていたかを判断し、既に選択されていた場合、選択した前記一の防止策を除外した前記レベルに応じた複数の防止策の中から一の防止策を再度選択し、前記レベルに応じた複数の防止策の全てが選択されていた場合、ランダムに、前記レベルに応じた複数の防止策の中から一の防止策を選択し、前記居眠りを防止するための防止策を所定の間隔でローテーションさせて選択し、選択した前記一の防止策を実行する。
【0010】
本発明は、システムのカテゴリであるが、方法及びプログラム等の他のカテゴリにおいても、そのカテゴリに応じた同様の作用・効果を発揮する。
【0011】
また、本発明は、運転中のドライバが居眠りしないように、居眠りを防止するための防止策を選択して実行するコンピュータであって、
前記ドライバの生体情報を取得する取得手段と、
取得した前記生体情報を解析して、前記ドライバが運転中に居眠りしそうなレベルを判定する判定手段と、
居眠りを防止するための複数の防止策の内、判定した前記レベルに応じて、レベルに応じた複の防止策を特定し、ランダムに、記レベルに応じた複数の防止策の中から一の防止策を選択し、選択した前記一の防止策が、所定の間隔内で、既に選択されていたかを判断し、既に選択されていた場合、選択した前記一の防止策を除外した前記レベルに応じた複数の防止策の中から一の防止策を再度選択し、前記レベルに応じた複数の防止策の全てが選択されていた場合、ランダムに、前記レベルに応じた複数の防止策の中から一の防止策を選択し、前記居眠りを防止するための防止策を所定の間隔でローテーションさせて選択する選択手段と、
選択した前記一の防止策を実行させる実行手段と、
を備えることを特徴とするコンピュータを提供する。
【0012】
また、本発明は、運転中のドライバが居眠りしないように、居眠りを防止するための防止策を選択して実行する端末であって、
前記ドライバの生体情報を解析して、居眠りを防止するための複数の防止策の内、ドライバが運転中に居眠りしそうなレベルを判定した判定結果に応じて特定されたレベルに応じた複数の防止策の内、ランダムに選択された一の防止策を実行し、選択された前記一の防止策が、所定の間隔内で、既に選択されていたと判断されていた場合、選択された前記一の防止策を除外した前記レベルに応じた複数の防止策の中から再度選択された一の防止策を実行し、前記レベルに応じた複数の防止策の全てが選択されていた場合、ランダムに、前記レベルに応じた複数の防止策の中から選択された一の防止策を実行し、前記居眠りを防止するための防止策を所定の間隔でローテーションさせて実行する実行手段と、
を備えることを特徴とする端末を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、運転中のドライバの生体情報を取得して、ドライバが運転中に居眠りしそうなレベルを判定し、居眠りを防止するための複数の防止策のうち、このレベルに応じた防止策を選択して実行することが可能なドライバ居眠り防止システム、コンピュータ、端末、ドライバ居眠り防止方法及びプログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、ドライバ居眠り防止システム1の概要を示す図である。
図2図2は、ドライバ居眠り防止システム1の全体構成図である。
図3図3は、コンピュータ10が実行する居眠り防止策実行処理のフローチャートを示す図である。
図4図4は、コンピュータ10が実行する居眠り防止策実行処理のフローチャートを示す図である。
図5図5は、コンピュータ10が記録する防止策データベースの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0016】
[ドライバ居眠り防止システム1の概要]
本発明の好適な実施形態の概要について、図1に基づいて説明する。図1は、本発明の好適な実施形態であるドライバ居眠り防止システム1の概要を説明するための図である。ドライバ居眠り防止システム1は、コンピュータ10から構成され、運転中のドライバが居眠りしないように、居眠りを防止するための防止策を選択して実行するコンピュータシステムである。
【0017】
なお、ドライバ居眠り防止システム1は、ドライバが所持又は装着するドライバ端末(例えば、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末や、スマートグラス等のヘッドマウントディスプレイといったウェアラブル端末)、各種情報を検知するセンサ類、ドライバが運転する車両、ドライバの顔や身体の動画や静止画等の画像を撮影する撮影装置、ドライバの生体情報(例えば、心拍、体温、脈拍)を測定する測定装置、車両のフロントガラス等にメッセージや画像を出力させる出力装置、ドライバに対して何らかの刺激(例えば、振動、臭気、音声)を与える刺激発生装置、その他の端末や装置類等が含まれていてもよい。この場合、ドライバ居眠り防止システム1は、後述する各処理を、コンピュータ10と含まれる端末や装置類等との何れか又は複数の組み合わせにより実行することになる。
【0018】
また、ドライバ居眠り防止システム1は、例えば、コンピュータ10等の1台のコンピュータで実現されてもよいし、クラウドコンピュータのように、複数のコンピュータで実現されてもよい。
【0019】
コンピュータ10は、ドライバ端末、センサ類、車両、撮影装置、測定装置、出力装置、刺激発生装置、その他の端末や装置類等と、公衆回線網等を介して、データ通信可能に接続されており、必要なデータや情報の送受信を実行する。
【0020】
コンピュータ10は、運転中のドライバの生体情報を取得する。生体情報は、例えば、心拍、体温、脈拍である。
【0021】
例えば、車両に設けられた(ステアリングホイールやシート)センサやドライバが装着するドライバ端末は、運転中のドライバの生体情報を測定する。センサやドライバ端末は、測定した生体情報を、コンピュータ10に送信する。コンピュータ10は、この生体情報を受信することにより、運転中のドライバの生体情報を取得することになる。
【0022】
また、例えば、車両の内部に設けられた撮影装置は、運転中のドライバの顔や身体の画像を撮影する。撮影装置は、この画像を、コンピュータ10に送信する。コンピュータ10は、この画像を受信し、画像解析する。コンピュータ10は、画像解析の結果に基づいて、運転中のドライバの生体情報を推定する。コンピュータ10は、推定した生体情報を、このドライバの生体情報として取得することになる。
【0023】
コンピュータ10は、取得した生体情報を解析して、ドライバが運転中に居眠りしそうなレベルを判定する。居眠りしそうなレベルは、ドライバの眠気の度合いを数値化したものであり、数値が高い程、眠気の度合いが高いものとなる。
【0024】
例えば、コンピュータ10は、生体情報における心拍、体温、脈拍の数値を解析する。コンピュータ10は、この生体情報における数値に基づいて、このレベルを判定する。コンピュータ10は、予め、生体情報の内容及び数値と、レベルとを対応付けて記録したレベル判定用データベースを参照することにより、今回の解析結果に該当するレベルを判定する。
【0025】
コンピュータ10は、居眠りを防止するための複数の防止策のうち、判定したレベルに応じて、防止策を選択する。防止策は、例えば、ドライバの五感に対して、何らかの刺激を与えるものや車両そのものを制御するものである。
【0026】
例えば、コンピュータ10は、予め、レベルと防止策とを対応付けて記録した防止策データベースを参照することにより、今回判定したレベルに応じた防止策を選択する。
【0027】
なお、コンピュータ10は、選択する防止策を所定の間隔でローテーションさせて選択する構成も可能である。
【0028】
例えば、コンピュータ10は、次回以降に防止策を選択する際、今回と次回との間の期間が所定の間隔である場合、今回選択した防止策とは異なる防止策を選択することになる。
【0029】
コンピュータ10は、選択した防止策を実行させる。
【0030】
例えば、コンピュータ10は、選択した防止策に対応する端末や装置類に対して、この防止策を実行させるためのコマンドを送信する。端末や装置類は、このコマンドを受信し、コマンドに従ってコンピュータ10が選択した防止策を実行する。その結果、コンピュータ10は、選択した防止策を実行させることになり、ドライバ居眠り防止システム1は、選択した防止策を実行することになる。
【0031】
なお、コンピュータ10は、実行した防止策のうち、どの防止策で居眠りせず、どの防止策で居眠りしたかを学習する構成も可能である。
【0032】
例えば、コンピュータ10は、防止策を実行させた結果、ドライバの居眠りを防止できたか否かに基づいて、この結果と居眠りを防止できたか否かとを対応付けて学習する。コンピュータ10は、次回以降の防止策の選択に際して、判定したレベルと、この学習の結果とに応じて、防止策を選択する。
【0033】
次に、ドライバ居眠り防止システム1が実行する処理の概要について説明する。
【0034】
コンピュータ10は、運転中のドライバの生体情報を取得する(ステップS01)。生体情報は、上述した通りである。
【0035】
車両に設けられたセンサやドライバが装着するドライバ端末は、運転中のドライバの生体情報を測定する。センサやドライバ端末は、測定した生体情報を、コンピュータ10に送信する。コンピュータ10は、この生体情報を受信することにより、運転中のドライバの生体情報を取得することになる。
【0036】
車両の内部に設けられた撮影装置は、運転中のドライバの顔や身体の画像を撮影する。撮影装置は、この画像を、コンピュータ10に送信する。コンピュータ10は、この画像を受信し、画像解析する。コンピュータ10は、画像解析として、特徴点(例えば、形状、輪郭、色相)や特徴量(例えば、画素値の平均、分散、ヒストグラム等の統計的な数値)を抽出する。コンピュータ10は、この抽出した特徴点や特徴量に基づいて、運転中のドライバの生体情報を推定する。コンピュータ10は、推定した生体情報を、このドライバの生体情報として取得することになる。
【0037】
コンピュータ10は、取得した生体情報を解析する(ステップS02)。コンピュータ10は、例えば、生体情報における心拍、体温、脈拍の数値を解析する。
【0038】
コンピュータ10は、生体情報の解析結果に基づいて、運転中のドライバが運転中に居眠りしそうなレベルを判定する(ステップS03)。このレベルは、上述した通りである。
【0039】
コンピュータ10は、上述したレベル判定用データベースを参照し、このレベルを判定する。コンピュータ10は、今回取得した生体情報における数値に該当するレベルを判定する。
【0040】
コンピュータ10は、居眠りを防止するための複数の防止策のうち、判定したレベルに応じて、防止策を選択する(ステップS04)。防止策は、上述した通りである。
【0041】
コンピュータ10は、上述した防止策データベースを参照し、この防止策を選択する。コンピュータ10は、今回判定したレベルに応じた防止策を選択する。
【0042】
コンピュータ10は、選択した防止策を実行させる(ステップS05)。
【0043】
コンピュータ10は、選択した防止策に対応する端末や装置類に対して、この防止策を実行させるためのコマンドを作成する。コンピュータ10は、この作成したコマンドを、端末や装置類に送信する。端末や装置類は、このコマンドを受信する。端末や装置類は、このコマンドに従った防止策を実行する。その結果、コンピュータ10は、選択した防止策を実行させることになり、ドライバ居眠り防止システム1は、選択した防止策を実行することになる。
【0044】
以上が、ドライバ居眠り防止システム1が実行する処理の概要である。
【0045】
[ドライバ居眠り防止システム1のシステム構成]
図2に基づいて、本発明の好適な実施形態であるドライバ居眠り防止システム1のシステム構成について説明する。図2は、本発明の好適な実施形態であるドライバ居眠り防止システム1のシステム構成を示す図である。図2において、ドライバ居眠り防止システム1は、コンピュータ10から構成され、運転中のドライバが居眠りしないように、居眠りを防止するための防止策を選択して実行するコンピュータシステムである。
【0046】
コンピュータ10は、ドライバ端末、センサ類、車両、撮影装置、測定装置、出力装置、刺激発生装置、その他の端末や装置類等と、公衆回線網等を介して、データ通信可能に接続されており、必要なデータや情報の送受信を実行する。
【0047】
なお、ドライバ居眠り防止システム1は、図示していないドライバ端末、センサ類、車両、撮影装置、測定装置、出力装置、刺激発生装置、その他の端末や装置類等が含まれていてもよい。この場合、ドライバ居眠り防止システム1は、後述する各処理を、コンピュータ10と含まれる端末や装置類等との何れか又は複数の組み合わせにより実行することになる。
【0048】
また、ドライバ居眠り防止システム1は、例えば、コンピュータ10等の1台のコンピュータで実現されてもよいし、クラウドコンピュータのように、複数のコンピュータで実現されてもよい。
【0049】
また、ドライバ居眠り防止システム1は、例えば、コンピュータ10等の1台のコンピュータで実現されてもよいし、クラウドコンピュータのように、複数のコンピュータで実現されてもよい。
【0050】
コンピュータ10は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、通信部として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイス、例えば、IEEE802.11に準拠したWi―Fi(Wireless―Fidelity)対応デバイス等を備える。また、コンピュータ10は、記録部として、ハードディスクや半導体メモリ、記録媒体、メモリカード等によるデータのストレージ部を備える。また、コンピュータ10は、処理部として、各種処理を実行する各種デバイス等を備える。
【0051】
コンピュータ10において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部と協働して、生体情報取得モジュール20、防止策実行モジュール21を実現する。また、コンピュータ10において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、記録部と協働して、記録モジュール30を実現する。また、コンピュータ10において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、処理部と協働して、解析モジュール40、判定モジュール41、選択モジュール42、コマンド作成モジュール43、防止判断モジュール44、学習モジュール45を実現する。
【0052】
[居眠り防止策実行処理]
図3及び図4に基づいて、ドライバ居眠り防止システム1が実行する居眠り防止策実行処理について説明する。図3及び図4は、コンピュータ10が実行する居眠り防止策実行処理のフローチャートを示す図である。上述した各モジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。
【0053】
はじめに、生体情報取得モジュール20は、運転中のドライバの生体情報を取得する(ステップS10)。ステップS10において、生体情報は、上述した通り、このドライバの心拍、体温、脈拍等である。生体情報取得モジュール20は、端末や装置類が測定した生体情報を取得する又は撮影装置が撮影した画像に基づいて推定した結果を生体情報として取得する。以下の説明において、生体情報取得モジュール20は、生体情報として心拍を取得するものとして説明する。本発明は、心拍以外のものであっても適用可能なことは言うまでもない。
【0054】
生体情報取得モジュール20が、端末や装置類が測定した生体情報を取得する場合について説明する。
【0055】
ステアリングホイールやシートに設けられたセンサやドライバが装着するドライバ端末や測定装置は、運転中のドライバの心拍を測定する。これらの端末や装置類は、測定した心拍を、生体情報としてコンピュータ10に送信する。生体情報取得モジュール20は、この心拍を受信することにより、生体情報を取得することになる。
【0056】
生体情報取得モジュール20が撮影装置が撮影した画像に基づいて生体情報を取得する場合について説明する。
【0057】
撮影装置は、運転中のドライバの顔や身体を撮影する。撮影装置は、この撮影した画像を、画像情報としてコンピュータ10に送信する。生体情報取得モジュール20は、画像情報を受信する。生体情報取得モジュール20は、この画像情報に基づいて、運転中のドライバの画像を画像解析し、この画像の特徴点や特徴量を抽出する。生体情報取得モジュール20は、この抽出した特徴点や特徴量に基づいて、脈波情報を特定する。生体情報取得モジュール20は、この特定した脈波情報に基づいて、このドライバの心拍を推定する。生体情報取得モジュール20は、この推定した心拍を、生体情報として取得することになる。
【0058】
なお、生体情報取得モジュール20は、上述した例以外の方法により、生体情報を取得してもよい。
【0059】
解析モジュール40は、取得した生体情報を解析する(ステップS11)。ステップS11において、解析モジュール40は、取得した心拍の数値である心拍数を解析する。解析モジュール40は、単位時間当たりの心拍数を解析する。
【0060】
なお、解析モジュール40は、上述した例以外の方法により、生体情報を解析してもよい。
【0061】
判定モジュール41は、取得した生体情報の解析結果に基づいて、運転中のドライバが運転中に居眠りしそうなレベルを判定する(ステップS12)。ステップS12において、運転中に居眠りしそうなレベルは、ドライバの眠気の度合いを数値化したものであり、数値が高い程、眠気の度合いが高く、数値が低い程、眠気の度合いが低いものである。
【0062】
判定モジュール41は、予め記録モジュール30が記録したレベル判定用データベースを参照し、このレベルを判定する。レベル判定用データベースは、生体情報の内容及び数値と、このレベルとを対応付けて登録したものである。判定モジュール41は、今回判定した生体情報である心拍数と、レベル判定用データベースに登録された心拍数とを比較し、一致又は近似するものを特定する。このとき、判定モジュール41は、複数のレベルで近似するものがある場合、より高いレベルのものを近似するものに該当するとして特定する。判定モジュール41は、この特定したレベルを、今回の運転中のドライバの運転中に居眠りしそうなレベルとして判定する。
【0063】
なお、判定モジュール41は、解析した生体情報の数値が、レベル判定用データベースに登録された数値のいずれにも一致又は近似しないものであった場合、レベル0と判定する。判定モジュール41がレベル0と判定した場合、コンピュータ10は、ドライバに眠気は無いと判定することになり、本処理を終了することになる。
【0064】
選択モジュール42は、居眠りを防止するための複数の防止策のうち、今回判定したレベルに応じて、防止策を選択する(ステップS13)。ステップS13において、選択モジュール42は、予め記録モジュール30が記録した防止策データベースを参照し、この防止策を選択する。防止策データベースは、ドライバが居眠りしそうなレベルと、ドライバの居眠りを防止するための防止策とを対応付けて登録したものである。この防止策は、ドライバの五感に対して、何らかの刺激を与えるものや車両そのものを制御するものである。防止策は、心拍に近い音をドライバに対して発生させる、ドライバに何らかの刺激を与える(例えば、座席振動、臭気発生、爆発音、不快音)、フロントガラス等にメッセージ(例えば、家族からの応援、居眠りにより発生するリスクや交通事故の警告、居眠りしそうになっていることの通知)を投影する、フロントガラス等に画像(例えば、家族、過去に居眠りしそうだった時の自身の状態、交通事故の被害者や車両)を投影する、車両の徐行や停止である。
【0065】
なお、防止策は、上述した例に限らず、適宜変更可能である。
【0066】
[防止策データベース]
図5に基づいて、記録モジュール30が記録する防止策データベースについて説明する。図5は、防止策データベースの一例を示す図である。図5において、防止策データベースは、レベルと防止策とが対応付けられて登録されている。防止策データベースには、各レベルに対して、複数の防止策が対応付けられて登録されている。レベル1には、第1の防止策として、「心音に近い音を発する」が、第2の防止策として、「座席が振動する」が登録されている。また、レベル2には、第1の防止策として、「フロントガラスにメッセージ投影」が、第2の防止策として、「スマホからアラートする」が登録されている。レベル3には、第1の防止策として、「フロントガラスに画像投影」が、第2の防止策として、「不快音を発生する」が登録されている。レベル4には、第1の防止策として、「爆発音を発生する」が、第2の防止策として、「臭気を発生する」が登録されている。レベル5には、第1の防止策として、「車両を停止する」が登録されている。防止策データベースは、レベルが高くなるほど、よりドライバの眠気を覚ます防止策が対応付けられて登録されている。すなわち、防止策データベースは、ドライバの眠気の度合いに応じた防止策が登録されたものである。
【0067】
また、各防止策には、図示していないが、この防止策を実行する端末や装置類が其々紐付けられている。「心音に近い音を発する」は、ドライバ端末やドライバが運転する車両のスピーカが紐付けられている。「座席が振動する」は、ドライバが運転する車両のシートに設けられた刺激発生装置が紐付けられている。「フロントガラスにメッセージ投影」は、ドライバが運転する車両のフロントガラスやこのフロントガラスにメッセージを出力する出力装置が紐付けられている。「スマホからアラートする」は、ドライバ端末が紐付けられている。「フロントガラスに画像投影」は、ドライバが運転する車両のフロントガラスやこのフロントガラスに画像を出力する出力装置が紐付けられている。「不快音を発生する」は、ドライバ端末やドライバが運転する車両のスピーカが紐付けられている。「爆発音を発生する」は、ドライバ端末やドライバが運転する車両のスピーカが紐付けられている。「臭気を発生する」は、ドライバが運転する車両に設けられた刺激発生装置が紐付けられている。「車両を停止する」は、ドライバが運転する車両が紐付けられている。
【0068】
なお、防止策データベースに登録されるレベルや防止策の内容は、上述した例に限らず、適宜変更可能である。また、レベルや防止策の数も、上述した例に限らず、適宜変更可能である。
【0069】
選択モジュール42は、今回判定したレベルと、防止策データベースに登録されたレベルとを比較し、一致するものを特定する。選択モジュール42は、特定したレベルに対応付けられた複数の防止策を特定する。選択モジュール42は、所定の条件(例えば、ランダム、予め設定された順番)に基づいて、この複数の防止策の中から一の防止策を選択する。
【0070】
選択モジュール42が一の防止策を選択する例について、具体的に説明する。
【0071】
選択モジュール42は、今回判定したレベルが2である場合、防止策データベースを参照し、今回判定したレベルであるレベル2に対応付けられた防止策を特定する。この結果、選択モジュール42は、防止策として、「フロントガラスにメッセージ投影」及び「スマホからアラートする」を特定する。選択モジュール42は、これら2つの防止策の中からランダムに、何れか一つの防止策を選択する。
【0072】
選択モジュール42は、今回選択した防止策が、所定の間隔内に選択していたか否かを判断する(ステップS14)。ステップS14において、選択モジュール42は、例えば、今回選択した防止策を、一時間以内、数時間以内、1日以内、数日以内等の所定の間隔内に、既に選択していたか否かを判断する。選択モジュール42は、今回選択した防止策が、所定の間隔内に選択されていたと判断した場合(ステップS14 YES)、選択モジュール42は、居眠りを防止するための複数の防止策のうち、今回判定したレベルに応じた防止策のうち、上述したステップS13の処理により選択した防止策を除外したものの中から防止策を再度選択する(ステップS15)。ステップS15の処理は、上述したステップS13の処理と略同様であるが、上述したステップS13の処理により選択した防止策以外の防止策の中から、レベルに応じた防止策を選択する点が相違する。すなわち、ステップS15の処理は、選択モジュール42が選択しなかった防止策の中から、一の防止策を選択するものである。
【0073】
コンピュータ10は、ステップS15の処理を実行後、再度、上述したステップS14の処理を実行する。ここで、選択モジュール42は、今回選択した防止策が、所定の間隔内に選択していないと判断した場合、後述するステップS16の処理を実行する。
【0074】
一方、選択モジュール42は、今回再度選択した防止策が、所定の間隔内に選択していたと判断した場合、上述したステップS15の処理を再度実行する。コンピュータ10は、これらの処理を繰り返した結果、判定したレベルに応じた全ての防止策を、所定の間隔内に選択していたと判断した場合、所定の条件(例えば、ランダム、予め設定された順番)に基づいて、この複数の防止策の中から一の防止策を選択し、選択した一の防止策に従って、後述するステップS16の処理を実行する。すなわち、コンピュータ10は、判定したレベルに応じた全ての防止策が所定期間内に選択されていた場合、過去に選択したか否かに関わらず、上述した所定の条件に従って、一の防止策を選択することになる。
【0075】
この結果、コンピュータ10は、選択する防止策を所定の間隔でローテーションさせて選択することになる。
【0076】
一方、ステップS14において、今回選択した防止策が、所定の間隔内に選択していないと判断した場合(ステップS14 NO)、コマンド作成モジュール43は、選択した防止策を端末や装置類や車両に実行させるためのコマンドを作成する(ステップS16)。ステップS16において、コマンド作成モジュール43は、選択した防止策に紐付けられた端末や装置類や車両が、この防止策を実行するために必要なコマンドを作成する。
【0077】
上述した例に基づいて、コマンド作成モジュール43が実行する処理について説明する。
【0078】
コマンド作成モジュール43は、防止策として、「心音に近い音を発する」が選択された場合、ドライバ端末や車両が予め記録していた心音に近い音を出力するために必要なコマンドを作成する。コマンド作成モジュール43は、防止策として、「座席が振動する」が選択された場合、刺激発生装置が振動を発生するために必要なコマンドを作成する。コマンド作成モジュール43は、防止策として、「フロントガラスにメッセージ投影」が選択された場合、出力装置や車両が予め記録していたメッセージをフロントガラスに投影するために必要なコマンドを作成する。コマンド作成モジュール43は、防止策として、「スマホからアラートする」が選択された場合、ドライバ端末が予め記録されたアラートを出力するために必要なコマンドを作成する。コマンド作成モジュール43は、防止策として、「フロントガラスに画像投影」が選択された場合、出力装置や車両が予め記録していた画像をフロントガラスに投影するために必要なコマンドを作成する。コマンド作成モジュール43は、防止策として、「不快音を発生する」が選択された場合、ドライバ端末や車両が予め記録された不快音を出力するために必要なコマンドを作成する。コマンド作成モジュール43は、防止策として、「爆発音を発生する」が選択された場合、ドライバ端末や車両が予め記録された爆発音を出力するために必要なコマンドを作成する。コマンド作成モジュール43は、防止策として、「臭気を発生する」が選択された場合、刺激発生装置が臭気を発生するために必要なコマンドを作成する。コマンド作成モジュール43は、防止策として、「車両を停止する」が選択された場合、車両が停止するために必要なコマンドを作成する。
【0079】
防止策実行モジュール21は、作成したコマンドを対応する端末や装置類や車両に送信し、選択した防止策を実行させる(ステップS17)。ステップS17において、端末や装置類や車両は、作成されたコマンドを受信する。これらは、このコマンドに従って、防止策を実行する。この結果、コンピュータ10は、選択した防止策を実行させることになり、ドライバ居眠り防止システム1は、選択した防止策を実行することになる。
【0080】
上述した例に基づいて、端末や装置類や車両が実行する防止策について説明する。
【0081】
ドライバ端末や車両は、「心音に近い音を発する」のコマンドを受信した場合、自身が予め記録していた心音に近い音を、スピーカから出力する。刺激発生装置は、「座席が振動する」のコマンドを受信した場合、座席を振動する。出力装置や車両は、「フロントガラスにメッセージ投影」のコマンドを受信した場合、自身が予め記録していたメッセージを、フロントガラスに投影する。ドライバ端末は、「スマホからアラートする」のコマンドを受信した場合、自身が予め記録していたアラートを出力する。出力装置や車両は、「フロントガラスに画像投影」のコマンドを受信した場合、自身が予め記録していた画像を、フロントガラスに投影する。ドライバ端末や車両は、「不快音を発生する」のコマンドを受信した場合、自身が予め記録していた不快音を、スピーカから出力する。ドライバ端末や車両は、「爆発音を発生する」のコマンドを受信した場合、自身が予め記録していた爆発音を、スピーカから出力する。刺激発生装置は、「臭気を発生する」のコマンドを受信した場合、臭気を発生する。車両は、「車両を停止する」のコマンドを受信した場合、車両を停止する。
【0082】
生体情報取得モジュール20は、防止策を実行後の運転中のドライバの生体情報を再度取得する(ステップS18)。ステップS18の処理は、上述したステップS10の処理と同様である。
【0083】
解析モジュール40は、再度取得した生体情報を解析する(ステップS19)。ステップS19の処理は、上述したステップS11の処理と同様である。
【0084】
判定モジュール41は、再度取得した生体情報の解析結果に基づいて、運転中のドライバが運転中に居眠りしそうなレベルを判定する(ステップS20)。ステップS20の処理は、上述したステップS12の処理と同様である。
【0085】
防止判断モジュール44は、今回実行させた防止策の結果、運転中のドライバの居眠りを防止できたか否かを生体情報の解析結果に基づいて判断する(ステップS21)。ステップS21において、防止判断モジュール44は、生体情報の解析結果に基づいたレベルの数値が、0であるか否かを判断する。これは、レベルが0であれば、ドライバの目が覚めたと判断可能であるからである。
【0086】
防止判断モジュール44は、居眠りを防止できたと判断した場合(ステップS21 YES)、すなわち、判定したレベルが0であった場合、ドライバの居眠りを防止できたと判断し、記録モジュール30は、今回実行させた防止策と、居眠りを防止できた(ドライバの目が覚めた)こととを対応付けて覚醒情報として記録する(ステップS22)。コンピュータ10は、本処理を実行後、後述するステップS29の処理を実行する。
【0087】
一方、ステップS21において、防止判断モジュール44は、居眠りを防止できなかったと判断した場合(ステップS21 NO)、すなわち、判定したレベルが1以上であった場合、上述したステップS12の処理により判定したレベル以上であるか否かを判断する(ステップS23)。ステップS23において、防止判断モジュール44は、防止策を実行する前後で、居眠りの程度が変化したか否かを判断することになる。防止判断モジュール44は、前回判定したレベルよりも小さいと判断した場合(ステップS23 NO)、ドライバの居眠りを防止できなかったものの一定の効果があったものと判断し、記録モジュール30は、今回実行させた防止策と、一定の効果があったこととを対応付けて部分覚醒情報として記録する(ステップS24)。コンピュータ10は、本処理を実行後、ドライバの居眠りを防止できなかったものと判断し、後述するステップS26の処理を実行する。
【0088】
一方、ステップS23において、防止判断モジュール44は、前回判定したレベル以上であると判断した場合(ステップS23 YES)、ドライバの居眠りを防止できなかったものと判断し、記録モジュール30は、今回実行させた防止策と、効果が無かったこととを対応付けて非覚醒情報として記録する(ステップS25)。
【0089】
選択モジュール42は、上述したステップS12の処理により判定したレベルよりも高いレベルに対応する防止策を選択する(ステップS26)。ステップS26において、選択モジュール42は、前回判定したレベルよりも高いレベルに対応した防止策を選択する。選択モジュール42は、前回よりも高いレベルとして、一段階又はそれ以上に高いレベルに対応する防止策を選択する。
【0090】
判定したレベルに対応する防止策を選択する際、コンピュータ10は、上述したステップS14及びS15の処理を実行し、今回判定したレベルに応じた防止策を選択することになる。
【0091】
なお、選択モジュール42は、上述したステップS12の処理により判定したレベルよりも所定の範囲以上の高さのレベルであった場合、防止策データベースにおける最も高いレベル又はこのレベルの次に高いレベルに対応する防止策を選択することも可能である。所定の範囲以上の高さのレベルは、具体的には、選択モジュール42は、前回判定したレベルが1であり、今回判定したレベルが3であった場合、上述した図5における防止策データベースに登録されたレベルのうち、最も高いレベル5又は次に高いレベル4に対応する防止策を選択することになる。
【0092】
コマンド作成モジュール43は、選択した防止策を、端末や装置類や車両に実行させるためのコマンドを作成する(ステップS27)。ステップS27の処理は、上述したステップS16の処理と同様である。
【0093】
防止策実行モジュール21は、作成したコマンドを対応する端末や装置類や車両に送信し、選択した防止策を実行させる(ステップS28)。ステップS28の処理は、上述したステップS17の処理と同様である。
【0094】
コンピュータ10は、選択した防止策を実行させたのち、再度、上述したステップS18以降の処理を実行し、運転中のドライバが居眠りをやめるまでこれを実行することになる。
【0095】
なお、コンピュータ10は、所定の回数又は全ての防止策を実行させた場合であっても、運転中のドライバが居眠りをやめなかった場合、防止策データベースに登録された複数の防止策を組み合わせたものや全ての防止策を一度に実行させる構成であってもよい。
【0096】
本実施例において、説明を簡略化するために、上述したステップS28の処理の後に、後述するステップS29の処理を実行するものとして記載する。
【0097】
学習モジュール45は、覚醒情報、部分覚醒情報及び非覚醒情報を学習する(ステップS29)。ステップS29において、学習モジュール45は、実行させた防止策と、その結果(目が覚めた、目が覚めなかったものの一定の効果はあった又は目が覚めなかった)とを対応付けて学習する。すなわち、学習モジュール45は、この運転中のドライバに対する防止策において、どの防止策で眠気が覚め、どの防止策で眠気が覚めなかったかを学習することになる。このとき、対象とするドライバの識別子等を併せて学習し、特定のドライバに対する有効な防止策を学習する。
【0098】
なお、学習モジュール45は、対象とするドライバの識別子を学習せず、不特定のドライバに対する有効な防止策を学習する構成であってもよい。
【0099】
記録モジュール30は、学習結果を記録する(ステップS30)。
【0100】
コンピュータ10は、次回以降において、上述したステップS13及びS26の処理を実行する際、学習結果を加味して、防止策を選択することになる。
【0101】
この例について、具体的に説明する。
【0102】
上述したステップS13及びS26の処理において、選択モジュール42は、判定したレベルと、学習結果とに応じて、防止策を選択する。選択モジュール42は、防止策データベースに登録された防止策のうち、判定したレベルに対応する防止策において、部分覚醒情報及び/又は非覚醒情報に対応する防止策を除外したものの中から、防止策を選択する。このとき、選択モジュール42は、判定したレベルに対応付けられた全ての防止策が、除外されている場合、判定したレベルよりも高いレベルに対応付けられた防止策を選択することになる。さらに、選択モジュール42は、この高いレベルに対応付けられた全ての防止策が除外されている場合、より高いレベルに対応付けられた防止策又は判定したレベルや高いレベルに対応付けられた複数の防止策を組み合わせた防止策を選択することも可能である。
【0103】
なお、選択モジュール42は、、部分覚醒情報及び/又は非覚醒情報を選択する際の優先順位を低くした状態にする構成であってもよい。
【0104】
以上が、居眠り防止策実行処理である。
【0105】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU、情報処理装置、各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、コンピュータからネットワーク経由で提供される(SaaS:ソフトウェア・アズ・ア・サービス)形態で提供される。また、プログラムは、例えば、フレキシブルディスク、CD(CD-ROMなど)、DVD(DVD-ROM、DVD-RAMなど)等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記録装置又は外部記録装置に転送し記録して実行する。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記録装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記録装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0106】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0107】
1 ドライバ居眠り防止システム、10 コンピュータ
図1
図2
図3
図4
図5