(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】洗濯物処理機及び洗濯物処理機を始動する方法
(51)【国際特許分類】
D06F 34/14 20200101AFI20241120BHJP
D06F 31/00 20060101ALI20241120BHJP
D06F 37/22 20060101ALI20241120BHJP
D06F 33/50 20200101ALN20241120BHJP
【FI】
D06F34/14
D06F31/00
D06F37/22
D06F33/50
(21)【出願番号】P 2021560098
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 SE2020050393
(87)【国際公開番号】W WO2020214082
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2023-02-24
(32)【優先日】2019-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】520045608
【氏名又は名称】エレクトロラックス プロフェッショナル アクティエボラーグ(パブリーク)
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100196601
【氏名又は名称】酒井 祐市
(72)【発明者】
【氏名】シルバナ ヨハンソン
(72)【発明者】
【氏名】ニール ミルチ
(72)【発明者】
【氏名】マリウス ストゥーシェリ
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-175370(JP,A)
【文献】特開2004-121479(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0002858(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0042416(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106350958(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 1/00-37/42
D06F 39/12-51/02
D06F 58/00
D06F 58/10-58/18
D06F 58/30-60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物処理機であって、
回転式ドラム(30)と、
前記ドラム(30)の中の洗濯物(48)の量を検出し、検出された洗濯物(48)の量に基づいて荷重信号を発するように構成された、荷重感知配列体(46)と、
コントローラ(18、66)であって、
前記荷重信号に基づいて、洗濯物処理プログラムを開始するための資源閾値(R1、R2、R3、R4)を設定し、
前記洗濯物処理機(10、96、98,99)の使用者によって提供された資源の量を示す資源信号を受け取り、
充分な量の資源が提供されたことを示す前記資源信号に基づいて、前記洗濯物処理プログラムの開始を許容する、
ように構成された、コントローラと、
を備
え、
前記資源閾値(R1、R2、R3、R4)が、前記荷重信号から独立する固定部分(R4)と、前記荷重信号に依存する可変部分(R3、R2、R1)とを含む、洗濯物処理機。
【請求項2】
前記コントローラ(18、66)が、前記洗濯物処理機(10、96、98、99)が開放されたドア(56)から装入される間、反復的に、
前記荷重信号を受け取り、
前記荷重信号に基づいて前記資源閾値(R1、R2、R3、R4)を更新し、
ユーザーインターフェイス(20、68)
を通じて前記更新された資源閾値(R1、R2、R3、R4)を表示する、
ように構成される、請求項1に記載の洗濯物処理機。
【請求項3】
前記コントローラ(18、66)が、更に、
一時的最大荷重(T、T1、T2、T3、T4)を示す容量モード信号を受け取り、
前記一時的最大荷重(T、T1、T2、T3、T4)に等しい又はこれより少ない荷重を示す前記荷重信号に基づいて、前記洗濯物処理プログラムの開始を許容する、
ように構成される、請求項1又は2に記載の洗濯物処理機。
【請求項4】
使用者によって提供された前記資源の量が、前記使用者によって前記洗濯物処理機(10、98)へ提供された化学処理補助剤の量、前記洗濯物処理機(10、96、98、99)を制御する制御システム(18、66)へ提供されたトークン又はクレジットの量、又は前記洗濯物処理機(10、96、98、99)に作動可能に接続された支払いシステム(70)へ提供された金額を含む、請求項
1~
3のいずれかに記載の洗濯物処理機。
【請求項5】
前記資源閾値が、ユーザーアイデンティティ、ユーザーカテゴリ、選択された洗濯物処理プログラム、時刻、曜日、日付のいずれかに基づいて設定される、請求項
1~
4のいずれかに記載の洗濯物処理機。
【請求項6】
前記荷重感知配列体(46)が、複数の空間的に分離した荷重センサ(50、54)を備え、各荷重センサ(50、54)がそれぞれの荷重信号成分を発するように構成され、前記コントローラ(18、66)が、更に、前記それぞれの荷重信号成分の間の関係に基づいて前記洗濯物処理プログラムの開始を許容するように構成される、請求項1~
5のいずれかに記載の洗濯物処理機。
【請求項7】
前記コントローラが、前記ドラム回転軸線(A)に対して直交する前記回転式ドラムの中心を通過して延びる水平軸線の周りのトルクに対応する荷重信号成分を測定し、前記測定されたトルクが予設定レベル又は前記検出重量に基づいて測定された閾値を下回る場合前記洗濯物処理プログラムを開始するように構成される、請求項
6に記載の洗濯物処理機。
【請求項8】
前記荷重感知配列体(46)が、前記ドラム(30)の回転前に静止荷重を検出するように構成され、前記コントローラ(18、66)が、前記静止荷重を前記ドラム(30)の回転中の動的荷重と比較して、前記比較に基づいて前記ドラム(30)が不正干渉されたか否かを決定する、請求項1~
7のいずれかに記載の洗濯物処理機。
【請求項9】
更に、
外側洗濯物処理機ハウジング(12)を備えるドラム組立体懸架フレーム(36)と、
前記ドラム(30)と前記ドラム(30)を囲繞する水密洗浄槽(28)とを備えるドラム組立体(26)であって、前記ドラム組立体(26)が、前記ドラム組立体懸架フレーム(36)の中に柔軟に懸架される、ドラム組立体(26)と、
を備え、
前記外側洗濯物処理機ハウジング(12)が、更に、前記ドラム(30)の中へ洗濯物を受け入れるための外側ハウジング開口と、前記外側ハウジング開口を介した前記ドラム組立体(26)へのアクセスを遮断するための外側ハウジングドア(60)とを備え、
前記荷重感知配列体(46)が、前記ドラム組立体(26)によって前記ドラム組立体懸架フレーム(36)に加えられた荷重を検出するために、前記ドラム組立体(26)と前記ドラム組立体懸架フレーム(36)との間の境界面に配列され、
前記コントローラ(18、66)が、前記外側ハウジングドア(60)の閉鎖後に検出された荷重に基づいて前記洗濯物処理プログラムの開始を許容するように構成される、
請求項1~
8のいずれかに記載の洗濯物処理機。
【請求項10】
更に、
前記ドラム(30)と前記ドラム(30)を囲繞する水密洗浄槽(28)とを備えるドラム組立体(26)であって、前記洗浄槽(28)が洗浄槽ドア(56)を備える、ドラム組立体(26)、
を備え、
前記ドラム(30)が、ドラムベアリング(32)を備えるドラム懸架インターフェイスを介して前記洗浄槽(28)の中に回転可能に懸架され、
前記荷重感知配列体(46)が前記ドラム(30)によって前記洗浄槽(28)に加えられた荷重を検出するために前記ドラム懸架インターフェイスに配列され、
前記コントローラ(18、66)が、前記洗浄槽ドア(56)の閉鎖後に検出された荷重に基づいて前記洗濯物処理プログラムの開始を許容するように構成される、
請求項1~
8のいずれかに記載の洗濯物処理機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯物処理機、洗濯物処理機を備えるランドリ施設、及び洗濯物処理機を始動する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯物洗浄機、洗濯物乾燥機、乾燥機付き洗濯機、遠心機などの洗濯物処理機は、広く存在する。これらは、概略的に、処理する洗濯物を入れるための回転式ドラムを備え、ドラムは、それぞれ場合に応じて、例えば洗濯物に機械的作用を与えるため、洗浄液を洗濯物から取り除くため又は例えば洗浄液及び/又は熱風への洗濯物の露出を最大限に大きくするために、処理中に洗濯物を回転させる。いくつかの洗濯物処理機は、家庭環境において独立型洗濯物洗浄機として配備されるが、他の洗濯物処理機は、数台の機械を備える商業的ランドリ施設に配備されて、複数の世帯で共有するか、又は公衆が利用できる。更に他の洗濯物処理機は、機械提供者が所有してサービスを提供し、客の敷地に配備され、客は、その敷地において使用するために処理機を賃借できる(OPL:敷地内ランドリ)。共有又は公衆ランドリ施設は、使用者がランドリ施設に到着したら機械を利用できるようにするために予約制で運営できる。又は、到着順で運営でき、これに従えば、使用者は特定の機械を利用できるまで待たなければならない場合がある。家庭用又はOPL洗濯物処理機において並びに公衆又は共有ランドリ施設において、洗濯物処理結果に影響を及ぼす様々なパラメータがあり、時には、使用者が製造者の意図通りに洗濯物処理機を作動するように案内又は支援する必要がある。更に、水、エネルギー及び洗剤の消費量を減らすことは、環境へ与える洗濯機の影響を減少する。製造者が意図するのとは異なるように洗濯物処理機を作動して最適ではない洗濯結果を生じるリスクは、特に、公衆又は共有洗濯物処理施設及びOPL設備において高い。公衆ランドリ施設用の洗濯物洗浄機を開示する米国特許出願公開第2003/0154557A1号は、この問題に部分的に対処する。しかし、洗濯プロセスを改良する余地はまだある。
【発明の概要】
【0003】
上記の問題の一部または全部を解決する又は少なくとも軽減することが、本発明の目的である。このために、第1形態によれば、回転式ドラムと、ドラムの中の洗濯物の量を検出し、検出された洗濯物の量に基づいて荷重信号を発するように構成された荷重感知配列体と、洗濯物処理プログラムを開始するように構成されたコントローラと、を備える洗濯物処理機が提供され、コントローラは、一時的最大荷重を示す容量モード信号を受け取り、一時的最大荷重に等しい又はこれより低い検出荷重を示す荷重信号に基づいて洗濯物処理プログラムの開始を許容するように、構成される。これによって、洗濯物処理機は、物理的な最大荷重限界とは異なる一時的最大荷重に合わせて一時的に再構成でき、これによって、洗濯物処理機を様々な使用状況及び変化する状況に適合できるようにする。例えば、一時的最大荷重を設定できることは、ランドリ施設内での洗濯物処理機の割当て、及び/又は施設内の複数の機械の間での処理される洗濯物の分配を容易にして、機械の使用量及びその結果生じる消耗を均等化する。更に、製造者又は所有者が設定するパラメータ内で訓練されていない又は未経験の使用者が洗濯物処理機の中へ洗濯物を入れるのを容易にして、最適ではない洗濯物処理結果を回避できるようにする。更に、一時的最大荷重は、一時的水不足又は限定された洗剤供給など利用可能な資源の量などに基づいて設定できる。容量モード信号は、個々の洗濯物処理機を作動するためのユーザーインターフェイスから受け取ることができる。又は、容量モード信号は、例えば、特定の容量の即ち特定の荷重限界を持つ利用可能な洗濯物処理機の数を増大するために、複数の洗濯物処理機を制御するランドリ施設制御システムから受け取ることができる。本明細書において、「荷重」は、洗濯物の重量又はその慣性によって洗濯物が洗濯物処理機に加える力と解釈すべきである。したがって、荷重感知配列体による洗濯物の量の検出は、典型的には、洗濯物の重量の検出に対応することになる。典型的に、ドラムは、水平ドラム回転軸線の周りで回転するように構成されるが、他のドラム回転軸線の向き(垂直ドラム回転軸線)も可能である。
【0004】
1つの実施形態によれば、容量モード信号は、ユーザーアイデンティティ、ユーザーカテゴリ、選択された選択処理プログラム、時刻、曜日及び日付に基づくことができる。それによって、機械の利用は、変化する条件並びに特定のニーズに合わせてより良く適合される。
【0005】
1つの実施形態によれば、コントローラは、荷重信号が一時的最大荷重より高い荷重を示す場合、ユーザーインターフェイスを通じて機械の使用者へ超過重量信号を与えるように構成できる。任意に、コントローラは、超過重量の量を計算し、使用者に超過重量の量を示すか又は例えば可視又は可聴信号によってドラムから洗濯物を取り除くように使用者に指示できる。
【0006】
1つの実施形態によれば、一時的最大荷重は、ユーザーアイデンティティ又はユーザーカテゴリに基づいて調節又はクリアできる。例えば、特定の熟練使用者は、より高い最大荷重でクリアされ、更に他の者例えばサービス員は、一切の荷重限界から免れることができる。
【0007】
1つの実施形態によれば、コントローラは、更に、洗濯物処理プログラムを開始するための資源閾値を設定するように構成され、資源閾値は、前記の一時的最大荷重と関連付けられる。又、コントローラは、洗濯物処理機の使用者によって提供された資源の量を示す資源信号を受け取り、充分な量の資源が提供されたことを示す資源信号に基づいて、洗濯物処理プログラムの開始を許容するように構成される。
【0008】
第2形態によれば、上記の問題の一部または全ては、回転式ドラムと、ドラムの中の洗濯物の量を検出し、検出した洗濯物の量に基づいて荷重信号を発するように構成された荷重感知配列体と、荷重信号に基づいて洗濯物処理プログラムを開始するための資源閾値を設定し、洗濯物処理機の使用者よって提供された資源の量を示す資源信号を受け取り、充分な量の資源が提供されたことを示す資源信号に基づいて洗濯物処理プログラムの開始を許容するように構成されたコントローラと、を備える洗濯物処理機によって解決される、又は少なくとも軽減される。これによって、利用可能な資源の量に適合しない洗濯プロセスの開始は、回避でき、良好な洗濯結果を保証する。
【0009】
上記の形態のいずれかの1つの実施形態によれば、資源閾値は、荷重信号から独立した固定部分と、荷重信号に依存する可変部分と、を含むことができる。このような配列は、資源供給の効率をより良くする。1つの実施形態によれば、可変部分は、連続的又は段階的に洗濯物の重量に比例することができる。又は、資源閾値は、他の任意の関数(線形又は非線形)に従う荷重信号に基づくことができる。
【0010】
1つの実施形態によれば、資源閾値は、固定部分を一切含まず、可変部分だけを含むことができる。
【0011】
上記の形態のいずれかの1つの実施形態によれば、資源閾値は、荷重信号のゼロから始まる線形関数、オフセットから始まる線形関数、区分的線形であるが連続関数、階段を含む区分的線形関数、又は非線形関数である。洗濯物処理機を様々な目的及びニーズに適合させるために資源閾値に様々な関数を使用できることは有利である。
【0012】
1つの実施形態によれば、コントローラは、ユーザーインターフェイスを通じて資源閾値を表示するように構成できる。ユーザーインターフェイスは、洗濯物処理機上に、又はスマートフォン又はランドリ施設のいくつかの洗濯物処理機が共有するユーザーインターフェイスなど別個のユニット上に設置できる。資源閾値は、固定増分で表示できる。固定増分は、洗濯物処理機の物理的最大荷重限度のパーセントを表すことができる。パーセンテージは、例えば50%、75%、100%など英数字で、又はディスプレイ上のバーによって又は複数の発光ダイオードのそれぞれのサブセットを点灯することによってグラフ式に、提示できる。
【0013】
1つの実施形態によれば、コントローラは、洗濯物処理機が開放されたドアから装入される間、反復的に、荷重信号を受け取り、荷重信号に基づいて資源閾値を更新し、更新された資源閾値をユーザーインターフェイス上に表示するように、構成できる。これによって、洗濯物処理機の使用者は、洗濯物の量を利用可能な資源の量に合わせることができる。
【0014】
1つの実施形態によれば、使用者によって提供された前記資源の量は、洗剤、柔軟剤、漂白剤など、使用者によって洗濯物処理機へ提供された化学的処理補助剤の量、洗濯物処理機を制御する制御システムへ提供されたトークン又はクレジットの量、又は洗濯物処理機に作動可能に接続された支払いシステムへ提供された現金を、を含む。実施例によれば、洗剤は、手動で洗濯物処理機の洗剤投入口へ洗剤を投入することによって又は洗濯物処理機の洗浄槽へ洗剤貯蔵容器から洗剤を提供する自動供給操作を手動で起動することによって、洗濯物処理機へ提供できる。トークンは、例えば、洗濯物処理機に又は洗濯物処理に作動可能に接続されたコントロールパネルに配置されたトークンスロットの中へ所定数の物理的トークンを投入することによって又はユーザーアイデンティティと関連付けられるユーザーアカウントから仮想トークンを引き出すことによって、提供できる。ユーザーアイデンティティは、例えばスマートカード、パスコード、生体識別などを使用して確認できる。現金は、洗濯物処理機に又は洗濯物処理機に作動可能に接続された制御パネルに配置されたキャッシュ支払いインターフェイスの中へ、インターフェイス又は制御パネルにクレジットカードを提示することによって、又はスマートフォン又はその他の独立電子機器から支払いを行うことによって、挿入できる。洗剤などの資源の誤った量の供給は、洗濯プロセスの効率を下げる結果となる可能がある。誤った数のトークン又は金額の支払いは、誤った洗濯物処理プログラムを実行する結果、又は所望のプログラムは実行されるが誤った量の洗濯物に合わせて水、洗剤又はエネルギーが自動的に計算される結果を生じる可能性がある。
【0015】
1つの実施形態によれば、資源閾値は、ユーザーアイデンティティ、ユーザーカテゴリ、選択された洗濯物処理プログラム、時刻、曜日及び日付のいずれに基づいても設定できる。それによって、機械の利用は、変化する条件にも特定のニーズにもより良く合わせることができる。
【0016】
1つの実施形態によれば、荷重感知配列体は、ドラムに対する静止荷重を検出することによって洗濯物の量を検出するように構成できる。これによって、荷重感知配列体は、ドラムへの洗濯物装入時に洗濯物の量を検出でき、使用者は、利用可能な資源の量に合わせて洗濯物の量を又はその逆に合わせることができる。静止荷重は、ドラムが静止しているときすなわち洗濯物処理機のコントローラによって回転されないときに、感知できる。又は、コントローラは、ドラムを回転し、回転中に動的荷重を計測することによって洗濯物の量を検出できる。動的荷重は、回転中にドラムによって加えられた垂直荷重を計測する1つ又は数個の荷重センサからの信号に基づいて、又はドラム回転モーターによって発生する動的トルクに基づいて、測定できる。静止荷重、動的荷重又はその両方を検出するかに関わりなく、荷重感知配列体は、例えば予設定された又は洗濯物処理機と使用者の対話に基づいて決められる検出時間中、反復的に又は連続的に荷重を検出するように構成できる。数個の荷重計測値は、平均化され、様々な個別の計測値及び/又は平均値はその値に基づいて及び/又はサンプリングされたときの条件に基づいて、より正確な検出荷重を測定するために様々に考量できる。
【0017】
1つの実施形態によれば、荷重感知配列体は、複数の空間的に分離された荷重センサを備えることができ、各荷重センサは、それぞれの荷重信号成分を発するように構成される。コントローラは、更に、荷重信号成分の間の関係に基づいて洗濯物処理プログラムの開始を許容するように構成される。荷重信号成分の間の関係は、ドラム内の静止荷重分布を表すことができる。静止荷重分布が、不均衡閾値を上回る静止不均衡を示す場合、ドラムが不正干渉(tamper)されたことを示す可能性があり、洗濯物処理プログラムの開始を許容すべきではない。静的不均衡は、例えば、洗濯物の検出された質量中心がオフセット距離閾値を上回るオフセット距離だけドラムの中心からオフセットするドラム回転軸方向に沿って軸位置に在る又はドラム外部に在ることを測定することによって、測定できる。
【0018】
1つの実施形態によれば、コントローラは、ドラムの回転軸線Aに対して直交する回転式ドラムの中心を通過して延びる水平軸線の周りのトルクに対応する荷重信号成分を測定し、測定されたトルクが予設定レベル又は検出された重量に基づいて測定された閾値を下回る場合、洗濯物処理プログラムを開始するように構成される。この実施形態は、ドラムの中の洗濯物の測定重量を下げるためにドラムの外側端を持ち上げようとしても、空間的に分離された荷重センサによって識別されて、トルクが計算され、予設定レベル又は算定閾値と比較できるので、使用者による不正干渉を識別できるようにする。
【0019】
1つの実施形態によれば、荷重感知配列体は、ドラムを回転させる前に静止荷重を検出するように構成でき、コントローラは、静止荷重をドラム回転中の動的荷重と比較し、比較に基づいてドラムが不正干渉されたか否かを決定するように構成できる。静止荷重と動的荷重との間の関係は、ドラムが不正干渉されたかどうかを示すことができ、洗濯物処理プログラムの開始を許容すべきか否かを決定する基準として役立つ。
【0020】
1つの実施形態によれば、コントローラは、外側ハウジングドア及び/又は水密の洗浄槽ドアなどのドラムアクセスドアを閉鎖した後にドラムの中の洗濯物の量の検出に基づいて洗濯物処理プログラムの開始を許容するか否かを決定するように構成できる。このような配列は、荷重感知配列体への不正干渉を更に難しくする。ドラムアクセスドア閉鎖後のドラムの荷重検出は、ドラムのアクセスドアの閉鎖前の荷重検出と比較でき、洗濯物の量の差が閾値量より大きい場合、エラー信号を発することができる。例えば比率又はパーセンテージで定められるドラムアクセスドア閉鎖前と後に得られた重量の間の差は、ドラムアクセスドアが開いている間に荷重感知装置に不正干渉が加えられたことを示す可能性がある。
【0021】
1つの実施形態によれば、洗濯物処理機は、更に、洗濯物処理機外側ハウジングに設置されたドラム組立体懸架フレームと、ドラムとドラムを囲繞する水密洗浄槽とを備えるドラム組立体と、を備え、ドラム組立体は、ドラム組立体懸架フレームの中に柔軟に懸架される。洗濯物処理機外側ハウジングは、更に洗濯物をドラムの中へ装入するための外側ハウジング開口と、外側ハウジング開口を介したドラム組立体へのアクセスを遮断するための外側ハウジングドアと、を備え、荷重感知配列体は、ドラム組立体懸架フレームに対してドラム組立体が加える荷重を検出するためにドラム組立体とドラム組立体懸架フレームとの間の境界面に配列され、コントローラは、外側ハウジングドアの閉鎖後に検出された荷重に基づいて洗濯物処理プログラムの開始を許容するか否かを決定するように構成される。外側ハウジングドアは、これによって、静止又は動的荷重検出時のドラム組立体への不正干渉を防止する。外側ハウジングドアの閉鎖後の荷重検出は、使用者によって充分な資源が提供されたか否かを測定するための最終チェックの一部となり得る。
【0022】
1つの実施形態によれば、洗濯物処理機は、ドラムとドラムを囲繞する洗浄槽とを備えるドラム組立体を備えることができ、洗浄槽は、洗浄槽ドアを備える。ドラムは、ドラムベアリングを備えるドラム懸架インターフェイスを介して洗浄槽の中に回転可能に懸架され、荷重感知配列体は、洗浄槽に対してドラムが加える荷重を検出するためにドラム懸架インターフェイスに配列され、コントローラは、洗浄槽ドアの閉鎖後に検出された荷重に基づいて洗濯物処理プログラムの開始を許容するように構成される。洗浄槽ドアの閉鎖後、ドラムは、洗浄槽によって完全に囲繞される。洗浄槽ドアは、これによって、静止又は動的荷重検出時のドラムへの不正干渉を防止する。洗浄槽ドアの閉鎖後の荷重検出は、使用者によって充分な資源が提供されたか否かを測定するためにの最終チェックの一部となり得る。
【0023】
1つの実施形態によれば、荷重感知配列体は、ドラム組立体又はドラムへの荷重の水平成分を測定するように構成できる。荷重の水平成分即ち水平平面に沿った方向の荷重を測定することによって、ドラム組立体又はドラムが不正干渉を受けたか否かを決定でき、これは、洗濯物処理プログラムの開始を許容すべきか否かを決定するための基準となり得る。例えば、ドラム組立体とドラム組立体を保持するハウジング壁又はドラム懸架フレームとの間の空間に物が差し込まれていないかを決定できる。
【0024】
1つの実施形態によれば、洗濯物処理機は、洗濯物洗浄機、洗濯物乾燥機及び乾燥機付き洗浄機の1つである。洗濯物処理プログラムは、それぞれの機械タイプについて、それぞれ、洗濯物洗浄プログラム、洗濯物乾燥プログラム及び洗濯物洗浄乾燥プログラムとすることができる。
【0025】
第3形態によれば、上述の問題の一部または全ては、複数の洗濯物処理機とランドリ施設コントローラとを備えるランドリ施設によって解決される又は少なくとも軽減される。コントローラは、複数の様々な最大荷重の各々について洗濯物処理機の利用可能性を示す更新された情報を維持し、前記の複数の様々な最大荷重のうち特定の最大荷重の利用可能な処理機の数が閾値に満たないことを測定し、前記測定に基づいて、前記特定の最大荷重以外の最大荷重を持つ標的洗濯物処理機へ容量モード信号を発するように、構成される。容量モード信号は、前記標的洗濯物処理機の一時的最大荷重を前記最大荷重に設定する。これによって、現在利用できない洗濯物処理機の最大荷重が、異なる最大荷重を持つ洗濯物処理機にクローン化できる。複数の洗濯物処理機は、複数の洗濯物洗浄機、複数の洗濯物乾燥機、複数の乾燥機付き洗浄機又はこれらの組合せを含むことができる。1つの実施形態によれば、前記複数の洗濯物処理機のうち洗濯物処理機の各々は、同じ物理的最大荷重限界を持つ。これによって、洗濯パークのサービス及び予備部品管理が単純化できる。このような構成において、前記複数の様々な最大荷重は、物理的な最大荷重限界の観点から、そうでなければ同等の洗濯物処理機に異なる一時的最大荷重を設定することによって得られる。洗濯物処理機は、同型とすることさえできる。
【0026】
1つの実施形態によれば、標的洗濯物処理機は、前記の特定の最大荷重とは異なる最大荷重を有する洗濯物処理機の中から選択できる。但し、別の実施例によれば、全ての利用可能な洗濯物処理機は、容量モード信号を発する時点で前記様々な最大荷重のそれぞれの各最大荷重の利用可能性についての事前情報なしで、複数の様々な一時的最大荷重の間で利用可能な洗濯物処理機の好ましい分布を発する容量モード信号を定期的に受け取ることができる。
【0027】
1つの実施形態によれば、コントローラは、ユーザーインターフェイス上に各洗濯物処理機に関連付けられた一時的最大荷重を示すように構成できる。ユーザーインターフェイスは、全ての洗濯物処理機に共通とすることができる。又は、各洗濯物処理機は、それぞれの一時的最大荷重を表示するそれぞれのユーザーインターフェイスを持つことができる。
【0028】
第4形態によれば、上記の問題の一部または全ては、洗濯物処理機を始動する方法によって解決される又は少なくとも軽減される。方法は、一時的最大荷重を示す容量モード信号を受け取るステップと、洗濯物処理機のドラムの中へ洗濯物を受け入れるステップと、ドラムの中の洗濯物を秤量するステップと、一時的最大荷重に等しい又はこれより少ない検出荷重に対応するドラムの中の洗濯物の重量に基づいて、洗濯物処理プログラムの開始を許容するステップと、を含む。ステップは、上記の順序で実施できる。但し、特定のステップが次のステップへの入力を発することを暗黙に要求される場合を除いて、ステップは他の任意の順序で実施できる。
【0029】
1つの実施形態によれば、方法は、洗濯物処理機を作動するための資源の量を受け取ることを含むことができ、洗濯物処理プログラムは、受け取った資源の量にも基づいてその開始を許容される。資源の量は、資源閾値と比較され、資源閾値は、一時的最大荷重に基づいて設定できる。
【0030】
1つの実施形態によれば、容量モード信号は、複数の洗濯物処理プログラムの中からの洗濯物プログラムの選択に基づいて発することができる。
【0031】
第5形態によれば、上記の問題の一部又は全ては、洗濯物処理機を始動する方法によって解決される又は少なくとも軽減される。方法は、洗濯物処理機のドラムの中へ洗濯物を受け入れるステップと、ドラムの中の洗濯物を秤量するステップと、ドラムの中の洗濯物の重量に基づいて資源閾値を測定するステップと、洗濯物処理機を作動するための資源を受け取るステップと、受け取った資源の量を資源閾値と比較するステップと、前記比較に基づいて、洗濯物処理プログラムの開始を許容するか否かを決定するステップと、を含む。この場合にも、ステップは、上記の順序で実施できる。但し、特定のステップが次のステップへの入力を発することを暗黙に要求される場合を除いて、ステップは他の任意の順序で実施できる。
【0032】
1つの実施形態によれば、方法は、更に、洗浄槽ドアが閉鎖していると決定することを含み、ドラムの中の洗濯物を秤量することは、洗浄槽ドアが閉鎖されているときにドラムの中の洗濯物を秤量することを含み、ドラムの中の洗濯物の重量に基づいて資源閾値を測定することは、洗浄槽ドアが閉鎖されているときに測定されたドラムの中の洗濯物の重量に基づいて資源閾値を測定することを含む。
【0033】
1つの実施形態によれば、洗浄槽ドアが閉鎖されているときドラムの中の洗濯物を秤量することは、検出時間間隔中ドラムの中の洗濯物の重量の複数サンプルを入手することを含む。それによって、経時的な検出重量の変動を検出でき、これは、サンプリング中に不正干渉又はその他の外力に曝されたことを示すことができる。不正干渉は、おそらく数秒のサンプリング時間に変動する検出荷重を生じるので、検出間隔は、実施形態によれば、1秒、5秒又は10秒を上回る。検出間隔は、典型的には使用者にとって不当な遅延を避けるために約30秒より短い。方法は、複数のサンプルが相互に閾値を超えて異なるか否かを決定し、異なる場合には、洗濯物処理機の始動を防止することを含むことができる。その代わりに又はそれに加えて、複数のサンプルに、資源閾値を測定するために異なる意味又は相対的考量を与えることができる。例えば、前記の複数のサンプルのうち比較的高い重量値には、資源閾値を測定するために高い考量を与えることができ、前記複数のサンプルのうち比較的低い重量値には、資源閾値を測定するために低い考量を与えることができる。
【0034】
方法の1つの実施形態によれば、時間間隔は、複数の小間隔に分割され、予設定された値又は検出重量に基づいて測定された閾値より大きい経時的な検出重量の変化を含む小間隔は、ドラムの中の洗濯物の重量の測定において無視される。この実施形態は、経時的な検出重量の変動が検出されるので、使用者による故意ではない干渉又は不正干渉の可能性を識別することを意図する。
【0035】
方法の1つの実施形態によれば、コントローラは、ドラムの中の洗濯物の重量のサンプルの変動が、予設定された固定値又は検出された重量に基づいて測定された閾値を下回る場合洗濯物処理プログラムの開始を許容するように構成される。この実施形態は、検出された重量の変動は、ドラムが操作されたことを示すので、使用者による不正干渉の可能性を識別することを意図し、これによって洗濯プロセスの開始を不可能にする。変動は、例えば、1組のサンプルの標準偏差として、1組のサンプル内の最大値と最小値の差として、又は任意の2つのサンプルの時間差に対する荷重信号差の比率として、計測できる。
【0036】
方法の1つの実施形態によれば、時間間隔は、複数の小間隔に分割され、小間隔ごとに入手された荷重信号の中の最高値がドラムの中の洗濯物の重量を測定するために使用される。この実施形態は、ドラムが操作されて、荷重信号がサンプリングされる時間間隔中に可変的量の荷重が荷重感知配列体から持ち上げられた場合に、最低レベルの操作の小間隔を自動的に考慮することを意図する。1つの実施形態によれば、方法は、更に、洗濯物処理プログラムの選択を受け取ることを含むことができ、資源閾値は、選択された洗濯物処理プログラムにも基づいて測定される。1つの実施形態によれば、ドラムの中の洗濯物の重量に基づいて資源閾値を測定することは、複数の洗濯物処理プログラムの各々についてドラムの中の洗濯物の重量に基づいてそれぞれの資源閾値を測定することを含む。方法は、更に、複数の洗濯物処理プログラムから1つの洗濯物処理プログラムの選択を受け取ることを含み、資源閾値を受け取った資源の量と比較することは、選択された洗濯物処理プログラムの資源閾値を受け取った資源の量と比較することを含み、前記比較に基づいて、洗濯物処理機の始動を許容するか否かを決定することは、前記比較に基づいて選択された洗濯物処理プログラムの開始を許容するか否かを決定することを含む。
【0037】
方法の1つの実施形態によれば、洗濯物処理プログラムの選択は、使用者との対話に基づき、重量の検出のための検出時間間隔は、所望の洗濯プロセスを選択するための使用者との対話前に又はその途中に開始し、使用者との対話の途中又はその後に終了する。使用者との対話は、例えば、特定の洗浄プログラムの選択、洗浄プログラムの一部(オプション)の選択、又は洗浄プログラム又は洗浄プログラムの一部の以前行われた事前選択の確認である。
【0038】
1つの実施形態によれば、各資源閾値は、ユーザーインターフェイスを通じて機械の使用者へ通信できる。これによって、充分な資源を利用できるプログラムを選択し易くする。
【0039】
第6形態によれば、命令を含むコンピュータプログラムが提供され、プログラムがコンピュータによって実行されるとき、命令はコンピュータに上記の方法のいずれかを実行させる。
【0040】
第7形態によれば、上述のコンピュータプログラムを含むコンピュータ可読データキャリアが提供される。
【0041】
本発明の実施形態は、請求項において言及する特徴のあらゆる可能な組合せによって実現できる。更に、上の第1及び第2形態に従った洗濯物処理機について説明した各種実施形態は、全て、本発明の第3、第4及び第5形態に従ったランドリ施設並びに方法と組合せ可能であり、その逆も可能である。
【0042】
本発明の上記の並びに付加的な目的、特徴及び利点は、添付図面を参照する本発明の好ましい実施形態の下記の例示的かつ非限定的説明によってより良く理解できるだろう。図面において同じ参照番号は同様の要素に使用する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図2】
図1の洗濯物洗浄機の、
図1の平面II-II-IIに沿って見た断面概略図である。
【
図3】
図1及び2の洗濯物洗浄機の、
図2の平面III-IIIに沿って見た断面概略図である。
【
図4】
図1~3の洗濯物洗浄機の制御システムの機能ブロックを示すブロック図である。
【
図5】
図1~3に示すタイプの複数の洗濯物洗浄機を備えるランドリ施設を示すブロック図である。
【
図6】
図5のランドリ施設の代表的作動を示す第1作動シナリオを示すフローチャートである。
【
図7】
図5のランドリ施設の代表的作動を示す第2及び第3作動シナリオを示すフローチャートである。
【
図8】
図1~3の洗濯物洗浄機の代表的作動を示す第4作動シナリオを示すフローチャートである。
【
図9】
図1~3の洗濯物洗浄機のユーザーインターフェイスの前面概略図である。
【
図10】
図9のユーザーインターフェイスの資源インディケータの概略図である。
【
図11】
図10の資源インディケータの概略図であり、各図の資源インディケータは
図1~3の洗濯物洗浄機のそれぞれ異なる一時的最大荷重を示す。
【
図12】
図10の資源インディケータの概略図であり、(a)-(e)の資源インディケータは、
図11(c)に示す一時的最大荷重に対する
図1~3の洗濯物洗浄機のそれぞれ異なる検出洗濯物荷重を示す。
【
図13】複数の洗濯物乾燥機、複数の洗濯物乾燥機付き洗浄機、複数の洗濯物遠心機及び
図1~3に示すタイプの複数の洗濯物洗浄機から成る、第2実施形態に従ったランドリ施設を示すブロック図である。
【
図14】
図1~3の洗濯物洗浄機の代表的作動を示す第6作動シナリオを示すフローチャートである。
【0044】
全ての図面は、概略図であって、必ずしも縮尺通りではなく、概ね、実施形態を明確にするために必要な部品のみを示し、他の部品は省略される場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、洗濯物洗浄機10を示す。洗濯物洗浄機は、外側ハウジング12の中に配列された水密の洗浄槽(
図2)の中の回転式ドラム(
図2)を備える。洗浄機10は、床などの固定基礎構造体14上に位置付けられる。洗浄槽ドア16は、洗濯物を出し入れするためのドラム内部への接近路を与える。洗濯物洗浄機10は、更に、様々な洗濯物洗浄プログラムを作動するように構成されたコントローラ18を備える。洗濯物洗浄機10のハウジング前壁22に配列されたユーザーインターフェイス20は、洗濯物洗浄機械10の使用者が、各種の洗濯物洗浄プログラムの中からプログラムを選択してこれを開始できるようにする。ハウジング前壁22は、使用者が洗濯物洗浄機10の中へ洗剤を挿入できるようにするためのトレイ24も備える。
【0046】
図2は、
図1の平面II-IIに沿って見た洗濯物洗浄機10の断面図を概略的に示す。洗濯物洗浄機10は、実質的に円形-円筒形の洗浄槽28と、洗浄槽28の回転対称軸線Aと一致する回転対称軸線Aを持つ同じく円形-円形円筒形のドラム30と、を備えるドラム組立体26を備える。ドラム30は、ドラムベアリング32(
図3)を備えるドラム懸架インターフェイスを介して洗浄槽28の中に回転可能に懸架され、ドラムベアリングは、洗浄槽28内で対称軸線Aの周りでドラム30を回転できるようにする。ドラム組立体26は、更に、洗浄槽28に剛直に接続されてこれを支えるクレードル34を備える。ドラム組立体26は、可撓性の懸架配列体38を介してドラム組立体懸架フレーム36上に懸架される。懸架配列体は、ドラム組立体26がドラム組立体懸架フレーム36に対して振動できるようにする。図示する実施形態において、懸架配列体38は、クレードル34の四隅の各々に、それぞれの可撓性サスペンション40を備え、各可撓性サスペンション40は、ダンパ42と、バネなどの弾性要素44と、を備える。ドラム組立体懸架フレーム36は、外側ハウジング12を剛直に保持し、固定基礎構造体14(
図1)の上に堅固に乗る。
【0047】
洗濯物洗浄機10は、更に、ドラム30の中の洗濯物48の量を検出するように構成された荷重感知配列体46を備える。検出された洗濯物の量に基づいて、荷重感知配列体46は、コントローラ18へ荷重信号を発する。荷重感知配列体46は、複数のドラム組立体荷重センサ50を備え、その各々が、クレードル34と懸架配列体38のそれぞれのサスペンション40との間に配列される。ドラム組立体荷重センサ50の各々は、それぞれのサスペンション40に対してドラム組立体26が加える垂直荷重を計測し、荷重に応じてコントローラ18へ送られる荷重信号のそれぞれの荷重信号成分を発するように構成される。ドラム組立体荷重センサ50は、例えば、ひずみゲージを備えるロードセルとして構成できる。図示する実施形態において、洗濯物48の重量は、全てのドラム組立体荷重センサ50によって検出された垂直荷重合計を足して、ドラム30が空のとき即ち洗濯物48を入れる前に検出された較正荷重を引くことによって得られる。
図2は、洗浄槽28に接続される洗剤トレイ24を示す。洗剤トレイ24は、その中の洗剤の量を検出するための洗剤検出器23を備える。洗剤検出器23は、例えば、ロードセルを備えることができる。更に、内蔵洗剤貯蔵容器25は、場合に応じて液体洗剤用のポンプ又は磁気弁又は粉石けん用のスクリューコンベアなどの自動洗剤ディスペンサ31を介して、洗浄槽28に接続される。洗剤ディスペンサ31は、使用者が自身の洗剤を使用することを望まない場合には、内蔵洗剤貯蔵容器25から洗剤の量を自動的に計量供給するためにコントローラ18によって制御される。同様に、コントローラ18は、給水栓35から洗剤トレイ24を介して洗浄槽28の中へ水を供給するために、例えば磁気弁などの水供給弁33も制御する。
【0048】
図3は、
図2の線III-IIIに沿って見た洗濯物洗浄機10の断面図である。図は、ドラム30がドラムベアリング32を介して洗浄槽28の中でどのように回転可能に懸架されるかを示す。ドラムベアリングは、洗浄槽28の後壁のドラム支持構造体52によって支えられる。コントローラ18によって作動される電動モーター51は、ベルト-滑車伝動装置53を介して回転軸線Aの周りでドラム30を回転駆動する。荷重感知配列体46は、更に、ドラム支持構造体52に接続されたドラム荷重センサ54を備える。ドラム組立体荷重センサ50は、洗濯物48と一緒にドラム組立体26全体を秤量することによってドラム30の中の洗濯物の量を検出するのに対して、ドラム荷重センサ54は、洗濯物48と一緒にドラム30のみを秤量することによって、ドラム30の中の洗濯物48の量を検出することを指摘しておく。ドラム組立体荷重センサ50とドラム荷重センサ54は、ドラム30の中の洗濯物48の量を検出するための2つの独立した手段である。ドラム30の中の洗濯物48の量を検出する第3の独立した手段は、コントローラ18及びモーター51によって与えられる。コントローラ18は、モーター51へ与えられた電流及びモーター51の回転速度を記録するように構成される。電流は、ドラム30を加速するために必要とされるトルクを表すので、洗濯物48と一緒にドラム30の重量を表す。3つの手段がすべてそれぞれの利点を持つ。3つの手段は、全て、洗濯物洗浄機10において並列的に使用でき、そこから得られるデータは、コントローラ18において融合されて、正確度を増した結果を得ることができる。又は、3つの手段のサブセット又はその1つのみを、洗濯物洗浄機において実現することができる。その代わりに又はそれに加えて、洗濯物洗浄機は、洗濯物洗浄機10において洗濯物48の量を測定する他の任意の手段を備えることができる。
【0049】
ドラム組立体荷重センサ50及びドラム荷重センサ54は、ドラム30を回転することなく、荷重感知配列体46がドラム30上の静止荷重を検出できるようにする。更に、センサは、ドラム30の回転中の動的荷重を計測するためにも使用できる。動的荷重は、例えば、回転中にドラム30によって加えられる荷重を計測する荷重センサ50、54の1つ又は数個からの信号に基づいて、又はモーター51によって発生する動的トルクに基づいて、測定できる。
【0050】
洗浄槽28は、洗浄槽ドア56を備え、洗浄槽ドアは、洗浄槽ドアが閉鎖しているか開放されているかをコントローラ18に示す洗浄槽ドアセンサ58と協働する。外側ハウジング12も、外側ハウジングドア60を備えることができ(
図1には図示せず)、これも、同様に、外側ハウジングドア60が閉鎖されているか開放されているかをコントローラ18へ示す外側ハウジングドアセンサ62と協働できる。
【0051】
洗濯物洗浄機10は、物理的最大荷重限界L1を有し、L1は、各バッチにおいて洗濯物洗浄機が処理するように設計される洗濯物48の最大重量である。物理的最大荷重限界L1は、洗濯物洗浄機10の設計容量と呼ぶこともできる。洗濯物の量L1に対して、コントローラ18は、洗剤の量D1及び洗浄槽28へ供給するために利用される給水栓からの水の量W1を使用するように構成される。
【0052】
図4は、洗濯物洗浄機10の制御システムの機能ブロック概略図である。コントローラ18は、ドラム組立体荷重センサ50、ドラム荷重センサ54、モーター51、洗剤ディスペンサ31、給水弁33、洗浄槽ドアセンサ58、外側ハウジングドアセンサ62、洗剤検出器23、及び下で詳しく説明するランドリ施設コントローラ66に、作動上接続される。
【0053】
図5は、ランドリ施設64を示す。ランドリ施設は、公衆セルフサービスランドリ施設(コインランドリ)又は例えば住宅エリアの住民又は病院の従業員用に確保された敷地内ランドリ施設とすることができる。ランドリ施設64は、各々が物理的最大荷重限界L1を持つ第1の複数の洗濯物洗浄機10a、10b、10cと、各々が物理的最大荷重限界L2を持つ第2の複数の洗濯物洗浄機10d、10e、10fと、各々が物理的最大荷重限界L3を持つ第3の複数の洗濯物洗浄機10g、10h、10iと、を備え、L1>L2>L3である。典型的な物理的最大荷重限界は、概ね5kg~20kgの範囲である。例えば、L1は18kg、L2は12kg、L3は8kgである。ランドリ施設64は、各洗浄機10a~10iに作動上接続されて異なる物理的最大荷重限界L1、L2、L3の各々について洗濯物洗浄機10の利用可能性を示す更新された情報を記憶するランドリ施設コントローラ66を備える。ランドリ施設コントローラ66は、又、使用者が利用可能な洗濯物洗浄機を選択できるようにするランドリ施設ユーザーインターフェイス68、及びコインスロット又はクレジットカードリーダーなどの支払いインターフェイス又は例えば認証された使用者のアイデンティティを確認するための使用者識別インターフェイスを備えることができる認証ユニット70、に作動上接続される。機能性は、ランドリ施設コントローラ66とランドリ洗浄機コントローラ18(
図1)との間で任意の適切な方式で配分できる。請求項において言及するコントローラは、特許請求の範囲から逸脱することなく、洗濯物洗浄機コントローラ18、ランドリ施設コントローラ66、洗濯物洗浄機コントローラ18及びランドリ施設コントローラから構成される結合システム、又は他の任意の仮想又は物理的分散コントローラとして解釈できることを指摘しておく。
【0054】
ユーザーインターフェイス68は、各荷重限界L1、L2、L3についてどの洗濯物洗浄機10a~10iが現在利用可能であるか即ち既に他の使用者によって使用されていないか、及びそれぞれの荷重限界L1、L2、L3について洗濯プログラムの実行に関連付けられるそれぞれのコストR1、R2、R3を使用者に示すように構成される。各洗濯物洗浄機10は、いくつかの異なるそれぞれの洗濯プログラムを実行でき、その各々を異なるコストに関連付けることができる。これによって、使用者は、ユーザーインターフェイス68を介して、所望の荷重限界L1、L2、L3の利用可能な洗濯物洗浄機10、洗濯物洗浄プログラム及び洗剤トレイ24から自身の洗剤を提供するか又は洗濯物洗浄機が内蔵洗剤容器25から自動的に洗剤を供給できるようにするか、を選択できる。選択に基づいて、ランドリ施設コントローラ66は、コストを測定し、認証ユニット70からの認証信号を請求する。認証ユニットは、これに応答して、使用者から充分な支払いを受けたらランドリ施設コントローラ66へ認証信号を与える。認証されたら、ランドリ施設コントローラ66は、選択された洗濯物洗浄機10を使用できるようにする。
【0055】
但し、洗浄しようとするある量L3の洗濯物を持つ使用者がランドリ施設64に到着したとき、物理的最大荷重限界L3の洗濯物洗浄機10g、10h、10iが全て使用中であると言うことが、時には生じる可能性がある。先行技術のランドリ施設において、使用者は、洗濯物洗浄機10g、10h,10iの1台が利用可能になるまで待つか又は最大荷重限界L1又はL2の洗濯物洗浄機10a~10fの1台に、より高い価格R1又はR2を支払わなければならないか、を選択しなければならない。不要に大きい洗濯物洗浄機の使用は、水、エネルギー及び/又は洗剤など他の資源の消費も増大させる。しかし、ランドリ施設64の第1作動シナリオは、このような状況が生じるリスクを減少できる。
【0056】
前記の第1作動シナリオにおいて、ランドリ施設コントローラは、特定の物理的最大荷重限界L3の全ての洗濯物洗浄機10g~iが使用中であるときを測定するように構成される。物理的最大荷重限界L3の全ての洗濯物洗浄機10g~iが予約され、もっと高い物理的最大荷重限界L1又はL2の利用可能な洗濯物洗浄機が複数台在る場合、ランドリ施設コントローラ66は、前記利用可能な洗濯物洗浄機の標的洗濯物洗浄機に容量モード信号を発して、標的洗濯物洗浄機の一時的荷重限界を設定する。例えば、洗濯物洗浄機10a及び10bが利用可能な場合、ランドリ施設コントローラ66は、標的洗濯物洗浄機として洗濯物洗浄機10aを選択して、標的洗濯物洗浄機10aの一時的最大荷重T=L3を設定する容量モード信号を発する。一時的最大荷重TがL3に設定されたら、ランドリ施設コントローラ66は、物理的最大荷重限界L1の洗濯物洗浄機10aを最大荷重L3の利用可能な洗濯物洗浄機として示す。新たな使用者がランドリ施設に到着したとき、洗濯物洗浄機10aをコストR3で選択できる。又は、一時的最大荷重Tは、使用者が到着時に選択できる。このように、使用者が要求する容量に等しい又はこれより大きい容量の洗濯物洗浄機が1台だけ利用可能であればよい。
【0057】
再び
図2~3を見ると、洗濯物洗浄機10は、この場合標的洗浄機10aを表す。使用者がドラムアクセスドア56、60から洗濯物洗浄機10への装入を開始すると、コントローラは、継続的に、荷重感知配列体46が発する荷重信号を受け取る。ドラム30に入れられた洗濯物48の量が一時的最大荷重T=L3を上回った場合、洗濯物洗浄機10は、始動を防止され、洗濯物洗浄機ユーザーインターフェイス20は、超過重量信号を発することができる。そうでなければ、装入が完了したら、洗濯物洗浄機10は始動できる。始動時に、洗濯物洗浄機は、荷重L3に関連付けられる水の量W3及び洗剤の量D3を洗浄槽28へ供給する。又は、洗濯物洗浄機10は、荷重感知配列体46によって検出された荷重に基づいて算定された水及び洗剤の量を供給できる。
【0058】
【0059】
ステップ601において、コントローラ18(
図2)は、一時的最大荷重Tを示す容量モード信号を受け取る。
【0060】
ステップ602において、洗濯物洗浄機10は、ドラム30の中へ洗濯物48を受け入れる。
【0061】
ステップ603において、荷重感知配列体46は、ドラムの中の洗濯物を秤量する。
【0062】
ステップ604において、コントローラ18は、一時的最大荷重Tに等しい又はこれより少ない検出荷重に対応するドラム30の中の洗濯物48の重量に基づいて、洗濯物洗浄プログラムの開始を許容するか否かを決定する。
【0063】
ステップ601は、ステップ602又は603の後に実施できる。
【0064】
一時的最大荷重Tは、特定の一時的最大荷重と関連付けられる又は「無制限」荷重設定と関連付けられるユーザーアイデンティティ又はユーザーカテゴリの認証ユニット70による識別に基づいて、調節又はクリアできる。
【0065】
第2作動シナリオにおいて、再び
図5を参照すると、全ての洗濯物洗浄機10a~10iは、同じ物理的最大荷重限界L1(L1>L2>L3)を持つと想定される。洗濯物洗浄機10a~10iの各々について、ランドリ施設ユーザーインターフェイス68は、使用者が、標的洗濯物洗浄機10a、並びに選択された標的洗濯物洗浄機10aに関連付けられる一時的荷重限界T=L1、L2又はL3を選択できるようにする。又は、ランドリ施設ユーザーインターフェイス68は、使用者が一時的最大荷重T=L1、L2又はL3を選択できるようにし、ランドリ施設コントローラ66は、自動的に利用可能な洗濯物洗浄機10aを使用者に指定して、標的洗濯物洗浄機にする。選択された一時的最大荷重Tに基づいて、コントローラ66は、標的洗濯物洗浄機10aへ容量モード信号を発し、洗浄機は、これを受け取ると、その一時的最大荷重をTに設定する。コントローラ66は、又、選択された一時的最大荷重Tに関連付けられる、認証ユニット70を介して支払われる金額によって表される資源閾値Rを設定できる。選択された一時的最大荷重Tに関連付けられるそれぞれのコストR1、R2又はR3に対応する価格が支払われたことを確認する認証ユニット70からの認証を受けたら、ランドリ施設コントローラ66は、標的洗濯物洗浄機10aを使用できるようにする。選択された洗濯物洗浄機10aの起動が可能になったら、再び
図3を参照すると、使用者は、洗浄する洗濯物を洗浄槽28へ入れ、荷重感知配列体46はドラム30の中の洗濯物48の量を検出する。洗浄槽ドア56を閉鎖した後、荷重感知配列体46が検出した荷重が一時的最大荷重Tより少ないか又はこれに等しい場合、洗濯物洗浄機10は始動を許容される。そうでなければ、許容されない。
【0066】
第3作動シナリオにおいて、
図2の参照から始めると、使用者は、内蔵洗剤貯蔵容器25から得られる洗剤の使用を望まない場合がある。その代わりに、使用者は、自身の洗剤をランドリ施設64に持ってくる(
図5)。再び
図5を参照すると、全ての洗濯物洗浄機10a~10iは、同じ物理的最大荷重限界L1(L1>L2>L3)を持つと想定される。洗濯物洗浄機10a~10iの各々について、ランドリ施設ユーザーインターフェイス68は、標的洗濯物洗浄機10a並び選択された標的洗濯物洗浄機10aに関連付けられる一時的荷重限界T=L1、L2又はL3を選択できるようにする。選択された一時的最大荷重Tに基づいて、コントローラ66は、標的洗濯物洗浄機10aへ容量モード信号を発し、洗浄機は、これを受け取ったら、一時的最大荷重をTに設定する。コントローラ66は、又、一時的最大荷重Tに関連付けられる資源閾値Rも設定できる。資源閾値は、第3作動シナリオにおいて、洗濯物洗浄機を始動できるようにするために、洗剤トレイ24(
図2)を介して提供される洗剤の最小量で表すことができる。資源閾値は、更に、例えば選択された洗濯物処理プログラムに基づいて、並びに、時刻、曜日又は日付(例えば、洗濯物が通常より汚れが激しい日に対応する日)に基づいて設定できる。
【0067】
再び
図3を参照すると、使用者は、洗浄槽28の中へ洗浄する洗濯物を入れ、荷重感知配列体46は、ドラム30の中の洗濯物48の量を検出する。洗浄槽ドア56を閉鎖した後、荷重感知配列体46によって検出された荷重が一時的最大荷重Tより少ないか又はこれに等しく、洗剤検出器23(
図2)が提供された洗剤の量が資源閾値Rに達していることをコントローラ18へ信号で知らせた場合、洗濯物洗浄機コントローラ18は、使用者が洗濯物洗浄機10を始動できるようにする。そうでなければ、始動できない。
【0068】
第2及び第3シナリオを
図7のフローチャートにおいて略図で示す。
【0069】
ステップ701において、使用者は、洗濯物洗浄機を作動するための資源の量を提供する。
【0070】
ステップ702において、コントローラ18(
図2)は、一時的最大荷重Tを示す容量モード信号を受け取る。
【0071】
ステップ703において、洗濯物洗浄機10は、ドラム30の中へ洗濯物48を受け入れる。
【0072】
ステップ704において、荷重感知配列体46は、ドラムの中の洗濯物を秤量する。
【0073】
ステップ705において、コントローラ18、66は、一時的最大荷重Tに等しい又はこれより少ない検出荷重に対応するドラム30の中の洗濯物48の重量に基づいて、及び前記一時的最大荷重Tに関連付けられる資源閾値Rに達する提供資源の量に基づいて、洗濯物洗浄プログラムの開始を許容するか否かを決定する。ステップ701及び702は、ステップ705以前の任意の時点で任意の順序で実施できることを指摘しておく。
【0074】
第4作動シナリオについて、独立型洗濯物洗浄機10、即ち複数の洗濯物洗浄機を備えるランドリ施設64の一部ではない洗濯物洗浄機を参考にして、説明する。
図2を参照すると、使用者は、この場合にも内蔵洗剤貯蔵容器25から利用できる洗剤の使用を望まず、自身の洗剤を洗剤トレイ24から提供することを望む。使用者は、洗浄する洗濯物を洗浄槽28へ入れ、荷重感知配列体46は、ドラム30の中の洗濯物48の量を検出する。洗浄槽ドア56を閉鎖した後、荷重感知配列体46は、検出した洗濯物の荷重に必要とされる洗剤の量を定める資源閾値を計算するために荷重の最終検出を行う。洗濯プログラムの開始前に洗浄槽ドア56が再び開けられた場合、洗濯物荷重は、洗浄槽ドア56の閉鎖後荷重感知配列体46によって再び測定されて、洗濯物が追加されたか又は取り除かれたかを確認する。ドラム30の中の洗濯物荷重の最終測定が洗濯物洗浄プログラム開始前に行われたら、コントローラ18は、洗剤トレイ24へ入れられる洗剤の量について資源閾値Rを測定する。
【0075】
洗剤トレイ24へ洗剤が入れられたら、洗剤検出器23は、入れられた洗剤の量を示す資源信号をコントローラ18へ発する。資源閾値Rに達する洗剤の量が入れられたことを示す資源信号に基づいて、コントローラ18は、使用者が洗濯物洗浄機を始動できるようにする。
【0076】
第4シナリオを、
図8のフローチャートに概略図で示す。
【0077】
ステップ801において、洗濯物洗浄機10は、ドラム30の中へ洗濯物48を受け入れる。
【0078】
ステップ802において、荷重感知配列体46は、ドラム30の中の洗濯物を秤量する。
【0079】
ステップ803において、コントローラ18は、ドラム30の中の洗濯物48の重量に基づいて資源閾値Rを測定する。
【0080】
ステップ804において、使用者は、洗濯物洗浄機を作動するための資源を提供する。
【0081】
ステップ805において、コントローラ18は、資源閾値Rを受け取った資源の量と比較する。
【0082】
ステップ806において、コントローラは、前記比較に基づいて、洗濯物洗浄機の始動を許容すべきか否かを決定する。
【0083】
ステップ804は、ステップ805以前の任意の時点で実施できることを指摘しておく。
【0084】
図9は、
図2の洗濯物洗浄機10の代表的なユーザーインターフェイス20を示す。代表的ユーザーインターフェイス20は、オン/オフボタン72と、木綿洗浄プログラム、合成繊維プログラム、ウールプログラム、スピード洗浄プログラム、すすぎ洗いプログラムなど所望の洗濯プログラムを選択するためのプログラムセレクタ74と、コインスロット76と、タッチスクリーン78と、を備える。図示するように、プログラムセレクタ74は、ダイアルノブとして構成できる。タッチスクリーン78は、使用者が、予備洗浄、特別すすぎステップ、低減遠心など任意の洗浄プログラムオプションを選択できるようにするオプションパネル80を提示する。タッチスクリーンは、又、洗浄温度選択パネル82、洗剤の手動又は自動供給を選択するためのパネル83、スタートボタン84及び資源インディケータ86も提示する。
【0085】
資源インディケータ86については、
図10、11及び12を参照して第5作動シナリオにおいて説明する。第5作動シナリオについても、独立型洗濯物洗浄機10(
図2)を参照して説明する。
【0086】
使用者は、任意のオプション80、83及び所望の温度82と一緒に洗濯物洗浄プログラム74を選択できる。その後、コントローラ18(
図2)は、選択された洗濯物洗浄プログラムに基づいて、複数の様々な一時的最大荷重の各々に関連付けられる資源閾値を計算する。各一時的最大荷重T1、T2、T3、T4は、洗濯物のそれぞれの最大量を表し(T1>T2>T3>T4)、T1は、洗濯物洗浄機の物理的最大荷重限界L1に対応する。それぞれの資源閾値R1、R2、R3、R4は、その関連付けられる一時的最大荷重T1、T2、T3、T4と一緒に、例えば、
図10に示すように、資源インディケータにおいて使用者に提示できる。資源閾値R1~R4は、例えば、それぞれの一時的最大荷重T1~T4に関連付けられる金額又はそれぞれの一時的最大荷重T1~T4について洗剤トレイ24への投入が要求される洗剤の量を提示できる。例えば、荷重T4は、$4のコストR4と関連付けられ、荷重T3は、$5のコストR3と関連付けられ、荷重T2は、$6のコストR2と関連付けられ、荷重T1は$7のコストR1と関連付けられる。要求される洗剤の量にも同じシナリオが適用されるが、以下では、単純化のために、資源閾値は要求される支払いに対応すると想定する。
図10から明らかなように、可変的な資源閾値R1~R4は、洗濯物の量に関係なく洗濯物洗浄プログラムを開始するために必要とされる資源の最小量を構成する固定部分R4と、一時的最大荷重に伴い増大する可変部分と、を含む。
【0087】
資源閾値R1~R4が提示された後、使用者は、洗濯物洗浄機を作動するための資源の量を提供する。提供される資源の量は、例えば、資源閾値R1、R2、R3、R4のいずれかに対応するように選択できる。
図11は、使用者がスロット76の中へコインを入れる間の資源インディケータ86の代表的な動向を示す。特に、資源インディケータ86は、受け取った資源の量に対応する一時的最大荷重T1~T4を示すことができる。
図11において、一時的最大荷重は、それぞれ一時的最大荷重T4、T3、T2、T1を表す区分を含む垂直プログレスバーとして表示される。
図11(a)において、資源インディケータ86は、一時的最大荷重T4を示すことによって、資源閾値R4に対応する資源を受け取ったことを示す。
図11(b)において、資源インディケータ86は、一時的最大荷重T3を示すことによって、資源閾値R3に対応する資源を受け取ったことを示す。
図11(c)において、資源インディケータ86は、一時的最大荷重T2を示すことによって、資源閾値R2に対応する資源を受け取ったことを示す。
図11(d)において、資源インディケータ86は、一時的最大荷重T1を示すことによって、資源閾値R1に対応する資源を受け取ったことを示す。新しい資源閾値R4、R3、R2、R1に達するごとに、コントローラ18は、洗濯物洗浄機の一時的最大荷重を到達した閾値に関連付けられるそれぞれの荷重T4、T3、T2、T1に変更する容量モード信号を発する。
【0088】
次に、
図12を参照すると、使用者が
図11(c)に示す一時的最大荷重T2に対応する資源の量R2($6)を提供したと想定される。使用者がドラム30(
図2)の中へ洗濯物を装入し始めると、資源インディケータ86は、荷重感知配列体46からの荷重信号に基づいて、ドラム30の中の洗濯物の量を示す荷重表示88を与える。
図12において、荷重表示88は、T4、T3、T2、T1に対応する区分を含む垂直プログレスバーとして実現される。
図12(a)において、資源インディケータ86は、検出された荷重88がT4に等しいかこれより少ないことを示す。
図12(b)において、資源インディケータ86は、検出された荷重88がT4より大きくかつT3に等しいか又はこれより少ないことを示す。
図12(c)において、資源インディケータ86は、検出された荷重88がT3より大きくかつT2に等しいかこれより少ないことを示す。
図12(d)において、資源インディケータ86は、検出された荷重88が一時的最大荷重T2より大きいことを示す。これは、一時的最大荷重T2範囲内の荷重とは異なるパターン又は色で過剰荷重を図形的に示すことによって使用者に示される。荷重感知配列体46(
図3)によって検出された荷重が一時的最大荷重を上回る場合、洗濯物洗浄機は始動を許容されない。したがって、
図12dに示す状況において、使用者は、ドラム30から洗濯物を取り除きかつ/又は洗濯物洗浄機10を始動可能にするために資源を追加しなければならない。
図12(e)は、使用者が資源を追加して、一時的最大荷重T1に対応する資源閾値R1に達した状況を示す。これによって、洗浄槽ドア56を閉鎖した後、洗濯物洗浄機10は、スタートボタン72(
図9)を押すことによって始動できる。
【0089】
上の第5作動シナリオは、資源がまず提供されて、資源インディケータ86が提供された資源の量に関連付けられる一時的最大荷重をどのように表示するかを説明する。その後、洗濯物が装入されて、検出された洗濯物荷重が一時的最大荷重の表示と並べて資源インディケータ86に表示される。手順は、逆の順序でも良い。即ち、まず、洗濯物がドラムへ入れられ、資源インディケータ86は、洗濯物が入れられる間、洗濯物洗浄プログラムを開始するために要求される徐々に増大する資源閾値を表示する。表示される資源閾値は、荷重感知配列体46によって検出された洗濯物48の量に基づく。ドラムへの洗濯物の装入が完了した後に、使用者は資源を提供し、この間、資源インディケータ86が資源閾値の表示と一緒に受け取った資源の量の図を表示する。
【0090】
明らかに、コインスロット76(
図9)を使用する代わりに、洗濯物洗浄機は、トークン、クレジットカード支払い、携帯電話を使用する近距離通信支払いなどの他の支払い手段を受け取るように構成できる。トークンは、例えば、物理的な所定数のトークンを洗濯物洗浄機に又は洗濯物洗浄機に作動可能に接続されたコントロールパネルに配列されたトークンスロットへ入れることによって、又はユーザーアイデンティティと関連付けらるユーザーアカウントから所定の仮想トークンを引き出すことによって、提供できる。ユーザーアイデンティティは、例えばスマートカードなどを使用して確認できる。但し、上で指摘したように、方法は、洗剤の量を正確に計量供給するためなどに他のタイプの資源及び資源閾値も利用できる。
【0091】
再び
図3を参照すると、いくつかの事例において、荷重感知配列体46への不正干渉を予防する必要がある場合がある。例えば、
図3を見ると、検出荷重は、
1)ドラム組立体26とハウジング前壁22との間の空隙90に物を差し込むことによって、
2)ドラム30の上部内壁92に持ち上げ力を加えることによって、又は
3)洗浄槽ドア56の外面に持ち上げ力を加えることによって、
減少する可能性がある。
【0092】
このような不正干渉の全てを検出でき、不正干渉が検出された場合、洗濯物洗浄プログラムの開始を防止できる。上で既に述べたように、洗浄プログラム開始前に、最終的に洗浄槽ドア56が閉鎖された後に荷重の最終測定を行うことによって、不正干渉事例2)を回避できる。
【0093】
不正干渉事例1)及び3)は、様々な方法で検出できる。例えば、ドラム組立体荷重センサ50は空間的に分離されるので、それぞれの荷重センサ50からの荷重信号成分の間の関係は、ドラム30又はドラム組立体26の軸線端の1つが軸線A(
図3)に対して持ち上げられたか又は物を差し込まれたか否かを示すことができる。
【0094】
不正干渉事例1)及び3)を検出する他の方式は、ドラム30を回転する前にまず静止荷重を検出して、その後、ドラム30を回転して動的荷重を検出し、検出された静止荷重を検出された動的荷重と比較するものである。静止荷重と動的荷重との間の関係は、ドラム組立体26が不正干渉されたか否かの指針として役立つ。
【0095】
更に不正干渉事例1)、2)又は2)を検出する別の方式は、ドラムアクセスドア56、60のいずれかを閉鎖する前に行った荷重検出を、前記のドラムアクセスドア56、60の閉鎖後に実施された荷重検出と比較することによる。検出された洗濯物の量が閾値量より大きく異なる場合、それぞれのドラムアクセスドア56、60が開いている間に、使用者がドラム30又はドラム組立体26を何らかの方法で持ち上げたと想定できる。
【0096】
更に、ドラム荷重センサ54は、例えば洗浄槽28又はクレードル34の重量に反応することなくドラム及び洗濯物のみの重量を検出するので、ドラム荷重センサ54は、洗浄槽28の間に物を差し込んだり洗浄槽ドア56を持ち上げたりすることに比較的反応しない。
【0097】
図3を参照して前に論じたように、外側ハウジングドア60は、ハウジング12の外部からのドラム組立体26へのアクセスを遮断する。外側ハウジングドアの閉鎖後にドラム30の中の洗濯物48の量を最終的に測定することによって、少なくとも不正干渉事例3)は回避できる。
【0098】
1つの実施形態によれば、荷重感知配列体、例えば、ドラム組立体荷重センサ50は、ドラム組立体26又はドラム30上の荷重の水平成分を測定するように構成できる。例えば回転軸線Aの方向に沿ったドラム組立体26又はドラム30上の水平荷重の存在は、ドラム組立体26とハウジング前壁22との間に物が差し込まれたことを示す可能性がある。
【0099】
図14のフローチャートは、
図1~4の洗濯物処理機10の第6作動シナリオを示す。
【0100】
ステップ1401において、使用者は、ユーザーインターフェイス20を介して洗濯物処理機10と対話するための言語をユーザーインターフェイス20を通じて選択できる。
【0101】
ステップ1402において、使用者は、洗濯物処理プログラムを選択するように促される。
【0102】
ステップ1403において、洗浄槽ドア56が閉鎖されない場合、ユーザーインターフェイス20は、選択された洗濯物処理プログラムの最大資源必要量と一緒に選択されたプログラムを表示する。最大資源必要量は、洗濯物処理機10の最大荷重と関連付けられる。洗浄槽ドア56が閉鎖される場合、荷重感知配列体46は、ステップ1404においてドラム30の中の洗濯物48を秤量し、検出された重量に基づいて資源閾値を計算する。
【0103】
ステップ1405において、使用者は任意のオプション80を選択でき、化学処理補助剤などの資源、トークン又はコインを入れるよう促される。資源閾値に達するために必要な資源の量が表示される。
【0104】
ステップ1406及び1407において、コントローラ20は、資源の挿入を検出し、挿入された資源の検出量を更新する。ステップ1408において、オプションを選択するか又は選択から外すことができ、それによって、ステップ1409において、資源閾値の更新並びに必要な残りの資源の量(即ち、資源閾値マイナス挿入された資源の量)が誘起される。
【0105】
ステップ1410において、コントローラ20は、挿入された資源の量が資源閾値を上回るか否かを測定する。もし上回れば、ステップ1411において開始が可能になり、そうでなければ、コントローラ20はステップ1405へ戻る。
【0106】
ステップ1412において、コントローラ20は、スタートボタン82を介してスタートコマンドを受け取る。
【0107】
スタートコマンドを受け取った後、コントローラは、ステップ1413において、開始遅延時間内に使用者がスタートをキャンセルして変更を加えることができるように、ポーズ又は「リグレット」ボタンを使用可能にする。変更は、洗濯物48を入れる又は取り出すために洗浄槽ドア56を開いてそれによってステップ1403へ戻ることによって、又は洗濯物処理プログラムを変更してそれによってステップ1402へ戻ることによって、加えることができる。又は、使用者は、再開ボタンを押してステップ1413へ戻ることによって、スタートを再開できる。
【0108】
開始遅延後、コントローラ20は、ステップ1414において洗濯物処理プログラムを開始する。
【0109】
以上、洗濯物洗浄機10について、
図1~4及び
図9を参照して説明した。明確化及び単純化のために、多くの特徴及び機能を備える単一の洗濯物洗浄機10についてのみ説明し、いくつかの異なるシナリオに関連してその作動について論じた。しかし、これらのシナリオの各々について、洗濯物洗浄機10の特徴及び機能の一部分しか必要とされず、他の特徴及び機能は任意である。同じ論法が、必要な修正を加えて
図5のランドリシステム64にも適用される。
【0110】
前に示唆したように、洗濯物洗浄機10は、本明細書に示す教示の恩恵を受けることができる一群の洗濯物処理機の一例に過ぎない。教示は、少なくとも洗濯物乾燥機、乾燥機付き洗浄機及び遠心機にも、必要な修正を加えて適用できる。
図13は、洗濯物洗浄機10、洗濯物乾燥機96、乾燥機付き洗浄機98及び遠心機99を備えるランドリ施設164を示し、その各々が、上述の教示に従って一時的最大荷重を設定するように又は検出された荷重に基づいて資源閾値を設定するように構成される。それぞれの洗濯物処理プログラムは、それぞれの機械のタイプ10、96、98、99に応じて、洗濯物洗浄プログラム、洗濯物乾燥プログラム、洗浄乾燥プログラム及び遠心プログラムとなる。
【0111】
本明細書において開示する方法は、コンピュータプログラムにおいて実現でき、コンピュータプログラムは、コンパクトディスク100の形式で
図15に示すコンピュータ可読データキャリアに収めることができる。
【0112】
本発明は、上では数個の実施形態を参照して説明した。しかし、当業者には容易に分かるように、上で開示する実施形態以外の実施形態も、特許請求の範囲によって画定される本発明の範囲内で同様に可能である。
【0113】
請求項において、「備える、含む(comprising)」は、他の要素又はステップを排除するものではなく、また、単数不定冠詞は複数を排除しない。本発明の態様の一部を以下記載する。
[態様1]
洗濯物処理機であって、
回転式ドラム(30)と、
前記ドラム(30)の中の洗濯物(48)の量を検出し、検出された洗濯物(48)の量に基づいて荷重信号を発するように構成された、荷重感知配列体(46)と、
洗濯物処理プログラムを開始するように構成されたコントローラ(18、66)であって、前記コントローラ(18、66)が、
一時的最大荷重(T、T1、T2、T3、T4)を示す容量モード信号を受け取り、
前記一時的最大荷重(T、T1、T2、T3、T4)に等しい又はこれより少ない荷重を示す前記荷重信号に基づいて、前記洗濯物処理プログラムの開始を許容する、
ように構成される、コントローラと、
を備える洗濯物処理機。
[態様2]
前記コントローラ(18、66)が、更に、
前記洗濯物処理プログラムを開始するための資源閾値(R1、R2、R3、R4)を設定し、前記資源閾値(R1、R2、R3、R4)が前記一時的最大荷重(T1、T2、T3、T4)と関連付けられ、
前記洗濯物処理機の使用者によって提供された資源の量を示す資源信号を受け取り、
充分な量の資源が提供されたことを示す前記資源信号に基づいて、前記洗濯物処理プログラムの開始を許容する、
ように構成される、態様1に記載の洗濯物処理機。
[態様3]
洗濯物処理機であって、
回転式ドラム(30)と、
前記ドラム(30)の中の洗濯物(48)の量を検出し、検出された洗濯物(48)の量に基づいて荷重信号を発するように構成された、荷重感知配列体(46)と、
コントローラ(18、66)であって、
前記荷重信号に基づいて、洗濯物処理プログラムを開始するための資源閾値(R1、R2、R3、R4)を設定し、
前記洗濯物処理機(10、96、98,99)の使用者によって提供された資源の量を示す資源信号を受け取り、
充分な量の資源が提供されたことを示す前記資源信号に基づいて、前記洗濯物処理プログラムの開始を許容する、
ように構成された、コントローラと、
を備える、洗濯物処理機。
[態様4]
前記資源閾値(R1、R2、R3、R4)が、前記荷重信号から独立する固定部分(R4)と、前記荷重信号に依存する可変部分(R3、R2、R1)とを含む、態様3に記載の洗濯物処理機。
[態様5]
前記資源閾値(R1、R2、R3、R4)が、前記荷重信号のゼロから始まる線形関数、オフセットから始まる線形関数、区分的線形であるが連続関数、階段を含む区分的線形関数または任意の非線形関数である、態様3に記載の洗濯物処理機。
[態様6]
前記コントローラ(18、66)が、ユーザーインターフェイス(20,68)を通じて前記資源閾値(R1、R2、R3、R4)を表示するように構成される、態様3~5のいずれかに記載の洗濯物処理機。
[態様7]
前記資源閾値(R1、R2、R3、R4)が、固定増分で表示される、態様6に記載の洗濯物処理機。
[態様8]
前記コントローラ(18、66)が、前記洗濯物処理機(10、96、98、99)が開放されたドア(56)から装入される間、反復的に、
荷重信号を受け取り、
前記荷重信号に基づいて前記資源閾値(R1、R2、R3、R4)を更新し、
前記ユーザーインターフェイス(20、68)上に前記更新された資源閾値(R1、R2、R3、R4)を表示する、
ように構成される、態様6又は7に記載の洗濯物処理機。
[態様9]
使用者によって提供された前記資源の量が、前記使用者によって前記洗濯物処理機(10、98)へ提供された化学処理補助剤の量、前記洗濯物処理機(10、96、98、99)を制御する制御システム(18、66)へ提供されたトークン又はクレジットの量、又は前記洗濯物処理機(10、96、98、99)に作動可能に接続された支払いシステム(70)へ提供された金額を含む、態様2~8のいずれかに記載の洗濯物処理機。
[態様10]
前記資源閾値が、ユーザーアイデンティティ、ユーザーカテゴリ、選択された洗濯物処理プログラム、時刻、曜日、日付のいずれかに基づいて設定される、態様2~9のいずれかに記載の洗濯物処理機。
[態様11]
前記荷重感知配列体(46)が、前記ドラム(30)上の静止荷重を検出することによって前記洗濯物(48)の量を検出するように構成される、態様1~10のいずれかに記載の洗濯物処理機。
[態様12]
前記荷重感知配列体(46)が、複数の空間的に分離した荷重センサ(50、54)を備え、各荷重センサ(50、54)がそれぞれの荷重信号成分を発するように構成され、前記コントローラ(18、66)が、更に、前記それぞれの荷重信号成分の間の関係に基づいて前記洗濯物処理プログラムの開始を許容するように構成される、態様1~11のいずれかに記載の洗濯物処理機。
[態様13]
前記コントローラが、前記ドラム回転軸線(A)に対して直交する前記回転式ドラムの中心を通過して延びる水平軸線の周りのトルクに対応する荷重信号成分を測定し、前記測定されたトルクが予設定レベル又は前記検出重量に基づいて測定された閾値を下回る場合前記洗濯物処理プログラムを開始するように構成される、態様12に記載の洗濯物処理機。
[態様14]
前記荷重感知配列体(46)が、前記ドラム(30)の回転前に静止荷重を検出するように構成され、前記コントローラ(18、66)が、前記静止荷重を前記ドラム(30)の回転中の動的荷重と比較して、前記比較に基づいて前記ドラム(30)が不正干渉されたか否かを決定する、態様1~13のいずれかに記載の洗濯物処理機。
[態様15]
前記コントローラ(18、66)が、外側ハウジングドア(60)又は洗浄槽ドア(56)などのドラムアクセスドア(56、60)の閉鎖後に前記ドラム(30)の中の洗濯物(48)の量の検出に基づいて前記洗濯物処理プログラムの開始を許容するか否かを決定するように構成される、態様1~14のいずれかに記載の洗濯物処理機。
[態様16]
更に、
外側洗濯物処理機ハウジング(12)を備えるドラム組立体懸架フレーム(36)と、
ドラム(30)と前記ドラム(30)を囲繞する水密洗浄槽(28)とを備えるドラム組立体(26)であって、前記ドラム組立体(26)が、前記ドラム組立体懸架フレーム(36)の中に柔軟に懸架される、ドラム組立体(26)と、
を備え、
前記外側洗濯物処理機ハウジング(12)が、更に、前記ドラム(30)の中へ洗濯物を受け入れるための外側ハウジング開口と、前記外側ハウジング開口を介した前記ドラム組立体(26)へのアクセスを遮断するための外側ハウジングドア(60)とを備え、
前記荷重感知配列体(46)が、前記ドラム組立体(26)によって前記ドラム組立体懸架フレーム(36)に加えられた荷重を検出するために、前記ドラム組立体(26)と前記ドラム組立体懸架フレーム(36)との間の境界面に配列され、
前記コントローラ(18、66)が、前記外側ハウジングドア(60)の閉鎖後に検出された荷重に基づいて前記洗濯物処理プログラムの開始を許容するように構成される、
態様1~15のいずれかに記載の洗濯物処理機。
[態様17]
更に、
前記ドラム(30)と前記ドラム(30)を囲繞する水密洗浄槽(28)とを備えるドラム組立体(26)であって、前記洗浄槽(28)が洗浄槽ドア(56)を備える、ドラム組立体(26)、
を備え、
前記ドラム(30)が、ドラムベアリング(32)を備えるドラム懸架インターフェイスを介して前記洗浄槽(28)の中に回転可能に懸架され、
前記荷重感知配列体(46)が前記ドラム(30)によって前記洗浄槽(28)に加えられた荷重を検出するために前記ドラム懸架インターフェイスに配列され、
前記コントローラ(18、66)が、前記洗浄槽ドア(56)の閉鎖後に検出された荷重に基づいて前記洗濯物処理プログラムの開始を許容するように構成される、
態様1~15のいずれかに記載の洗濯物処理機。
[態様18]
前記荷重感知配列体(46)が、前記ドラム組立体(26)又は前記ドラム(30)に対する前記荷重の水平成分を測定するように構成される、態様1~17のいずれかに記載の洗濯物処理機。
[態様19]
前記洗濯物処理機(10、96、98、99)が、洗濯物洗浄機(10)、洗濯物乾燥機(96)、乾燥機付き洗浄機(98)又は遠心機(99)である、態様1~18のいずれかに記載の洗濯物処理機。
[態様20]
洗濯物処理機を始動する方法であって、前記方法が、
一時的最大荷重(T、T1、T2、T3、T4)を示す容量モード信号を受け取ることと、
前記洗濯物処理機(10、96、98、99)のドラム(30)の中へ洗濯物を受け入れることと、
前記ドラム(30)の中の前記洗濯物(48)を秤量することと、
前記一時的最大荷重(T、T1、T2、T3、T4)に等しい又はこれより少ない検出荷重に対応する前記ドラム(30)の中の前記洗濯機(48)の前記重量に基づいて、洗濯物処理プログラムの開始を許容することと、
を含む、方法。
[態様21]
更に、
前記洗濯物処理機(10、96、98、99)を作動するための資源の量を受け取るステップであって、前記洗濯物処理プログラムが、前記受け取った資源の量にも基づいて開始を許容される、ステップ、
を含む、態様20に記載の方法。
[態様22]
洗濯物処理機を始動する方法であって、前記方法が、
前記洗濯物処理機(10、96、98、99)のドラム(30)の中へ洗濯物(48)を受け入れるステップと、
前記ドラム(30)の中の前記洗濯物(48)を秤量するステップと、
前記ドラム(30)の中の前記洗濯物(48)の前記重量に基づいて資源閾値(R1、R2、R3、R4)を測定するステップと、
前記洗濯物処理機(10、96、98、99)を作動するための資源を受け取るステップと、
前記資源閾値(R1、R2、R3、R4)を前記受け取った資源の量と比較するステップと、
前記比較に基づいて洗濯物処理プログラムの開始が許容されるか否かを決定するステップと、
を含む、方法。
[態様23]
更に、
洗浄槽ドア(56)が閉鎖していることを決定するステップを含み、
前記ドラム(30)の中の前記洗濯物(48)を秤量することが、前記洗浄増ドア(56)が閉鎖しているときに前記ドラム(30)の中の前記洗濯物(48)を秤量することを含み、
前記ドラム(30)の中の前記洗濯物(48)の前記重量に基づいて資源閾値(R1、R2、R3、R4)を測定することが、前記洗浄槽ドア(56)が閉鎖しているときに測定された前記ドラム(30)の中の前記洗濯物(48)の前記重量に基づいて資源閾値(R1、R2、R3、R4)を測定することを含む、
態様22に記載の方法。
[態様24]
前記洗浄槽ドア(56)が閉鎖されているときに前記ドラム(30)の中の前記洗濯物(48)を秤量することが、検出時間間隔の間に前記ドラム(30)の中の前記洗濯物(48)の前記重量の複数サンプルを入手することを含む、態様23に記載の方法。
[態様25]
前記時間間隔が、複数の小間隔に分割され、予設定された値または前記検出重量に基づいて測定された閾値より大きい経時的な前記検出重量の変化を含む前記小間隔が、前記ドラム(30)の中の前記洗濯物(48)の前記重量の前記測定において無視される、態様24に記載の方法。
[態様26]
前記コントローラ(18、66)が、前記ドラム(30)の中の前記洗濯物(48)の前記重量の前記サンプルの変動が、予設定された固定値又は前記検出重量に基づいて測定された閾値を下回る場合、前記洗濯物処理プログラムの開始を許容するように構成される、態様24に記載の方法。
[態様27]
前記時間間隔が複数の小間隔に分割され、小間隔あたりに得られた前記荷重信号の中の最高荷重信号が、前記ドラム(30)の中の前記洗濯物(48)の前記重量を測定するために使用される、態様24に記載の方法。
[態様28]
更に、洗濯物処理プログラムの選択を受け取るステップを含み、前記資源閾値(R1、R2、R3、R4)が、前記選択された洗濯物処理プログラムにも基づいて測定される、態様22~27のいずれかに記載の方法。
[態様29]
洗濯物処理プログラムの前記選択が、使用者との対話に基づき、前記重量を検出するための前記検出時間間隔が、前記所望の洗濯プロセスを選択するための前記使用者との対話の前又はその途中に開始し、前記使用者との対話の途中又はその後に終了する、態様28に記載の方法。
[態様30]
前記ドラム(30)の中の前記洗濯物の前記重量に基づいて資源閾値(R1、R2、R3、R4)を測定することが、複数の洗濯物処理プログラムの各々について、前記ドラム(30)の中の前記洗濯物(48)の前記重量に基づいてそれぞれの資源閾値(R1、R2、R3、R4)を測定することを含み、
前記方法が、更に、前記複数の洗濯物処理プログラムの中からの洗濯物処理プログラムの選択を受け取ることを含み、
前記資源閾値(R1、R2、R3、R4)を前記受け取った資源の量と比較することが、前記選択された洗濯物処理プログラムの前記資源閾値(R1、R2、R3、R4)を、前記受け取った資源の量と比較することを含み、
前記比較に基づいて洗濯物処理プログラムの開始を許容するか否かを決定することが、前記比較に基づいて前記選択された洗濯物処理プログラムの開始を許容するか否かを決定することを含む、
態様22~29のいずれかに記載の方法。
[態様31]
前記プログラムがコンピュータによって実行されるとき、前記コンピュータに態様20~30のいずれかに記載の方法を実行させる命令を含む、コンピュータプログラム。
[態様32]
態様31に記載のコンピュータプログラムを備える、コンピュータ可読データキャリア(100)。