(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート
(51)【国際特許分類】
F02B 19/16 20060101AFI20241120BHJP
F02B 19/12 20060101ALI20241120BHJP
F02B 19/18 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
F02B19/16 A
F02B19/12 E
F02B19/18 B
(21)【出願番号】P 2021567056
(86)(22)【出願日】2020-05-13
(86)【国際出願番号】 FR2020050790
(87)【国際公開番号】W WO2020229775
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-05-02
(32)【優先日】2019-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】501211925
【氏名又は名称】ラビー,ヴィアニー
【氏名又は名称原語表記】RABHI Vianney
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラビー,ヴィアニー
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-236017(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第10016558(DE,A1)
【文献】特開2006-322367(JP,A)
【文献】特開2001-3809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B1/00-23/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関(2)のための作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート(1)であって、前記作動するプレチャンバは、ピストン(31)とともに、主給気(30)が導入され得る燃焼室(5)を形成するために、シリンダー(4)を覆うシリンダーヘッド(3)であって、その中で、点火プラグ(12)と少なくとも1つのインジェクタ(8)のインジェクタノーズ(16)が開口し、その中に、パイロット給気(9)を導入可能である点火装置プレチャンバ(71)を収容するシリンダーヘッド(3)を具備し、前記
点火装置プレチャンバ(71)は、ガス噴出導管(76)と、プレチャンバノーズ(75)経由で前記
燃焼室(5)に開口する少なくとも1つのガス噴出オリフィス(24)とにより、連続して前記燃焼室(5)と連通可能であって、
前記作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート(1)が、
・前記シリンダーヘッド(3)内に配列され、固定手段(82)を有する少なくとも1つのインサートウェル(72)であって、一方では、大径のインサート挿入オリフィス(78)経由で前記シリンダーヘッド(3)外部に、他方では、小径のプレチャンバノーズオリフィス(77)経由で前記燃焼室(5)内に開口し、
2つの径は、少なくとも1つのインサート支持肩部(79)により、互いに接続される、インサートウェル(72)と、
・1つ以上の部品からなり、その中で、前記点火装置プレチャンバ(71)と前記ガス噴出導管(76)が配列される、少なくとも1つの円柱状インサート本体(70)であって、前記インサートウェル(72)内に
遊びがなく収容され、前記シリンダーヘッド(3)に対して回転して割り出され、前記プレチャンバノーズ
オリフィス(77)を通過する前記プレチャンバノーズ(75)を末端とする一方、前記インサート支持肩部(79)に直接又は間接的に位置するインサート支持面(80)を有する、
円柱状インサート本体(70)と、
・前記円柱状インサート本体(70)内で、前記
円柱状インサート本体(70)の軸に平行に又は前記軸に対して閉角で、前記
円柱状インサート本体(70)の中心
に配列された、少なくとも1つのインサート点火プラグウェル(83)であって、一方では、前記プレチャンバノーズ(75)
に軸方向
上で対向する前記円柱状インサート本体(70)の端部で、他方では、前記点火装置プレチャンバ(71)内で開口し、前記点火プラグ(12)又は前記インジェクタノーズ(16)を受ける、インサート点火プラグウェル(83)と、
・前記円柱状インサート本体(70)内に半径方向であるが、必ずしも前記作動するプレチャンバに垂直に配列されず、その中で、前記インジェクタノーズ(16)又は前記点火プラグ
(12)の端部が収容される、少なくとも1つのインジェクタ径方向オリフィス(88)であって、前記点火装置プレチャンバ(71)及び/又は前記ガス噴出導管(76)を、前記円柱状インサート本体(70)の外面に接続する、インジェクタ径方向オリフィス(88)と、
・前記シリンダーヘッド(3)内に配列された少なくとも1つのインジェクタ側方ウェル(73)であって、前記インジェクタノーズ
(16)
の本体又は前記点火プラグ(12)を受け、前記シリンダーヘッド(3)の外部を、前記インサートウェル(72)に接続する一方、前記インジェクタ径方向オリフィス(88)が、前記
インジェクタ側方ウェル(73)にアラインされ、前記インジェクタノーズ(16)又は前記点火プラグ(12)の端部が、前記インジェクタ側方ウェル(73)と前記インジェクタ径方向オリフィス(88)を連続して通過することで、前記点火装置プレチャンバ(71)及び/又は前記ガス噴出導管(76)に開口する、インジェクタ側方ウェル(73)と、
・前記インサート支持肩部(79)に対して押圧される、前記円柱状インサート本体(70)の前記インサート支持面(80)を直接又は間接的に維持するために、前記固定手段(82)と協動する締結手段(74)と、を具備
し、
前記プレチャンバノーズ(75)が成層型バルブ(13)を収容するものであって、該成層型バルブ(13)は、前記作動するプレチャンバを密封して閉じるために前記ガス噴出導管(76)の端部に対して、又は、一方が前記ガス噴出導管(76)経由で前記点火装置プレチャンバ(71)と、他方が前記ガス噴出オリフィス(24)経由で前記燃焼室(5)とに同時に連通する炎による点火用のプレチャンバ(23)を前記ガス噴出導管(76)とともに形成するために燃焼室側の弁座(21)に対して押圧されるものである、作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート(1)。
【請求項2】
磁場源(44)は、前記円柱状インサート本体(70)に位置決めされ、前記成層型バルブ(13)を、前記ガス噴出導管(76)の端部に対して押圧して維持する傾向がある磁場を生成する、請求項
1に記載の作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート。
【請求項3】
前記ガス噴出導管(76)は、磁性材料(43)からなり、
また前記成層型バルブ(13)との接点で、外径が
前記
成層型バルブ(13)の外径より小さく、非磁性材料(50)で作製された非磁性スリーブ(85)内に密封される、ガス噴出管(89)を形成する、請求項
2に記載の作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート。
【請求項4】
前記プレチャンバノーズ(75)は、前記ガス噴出導管(76)を覆う取付ノーズ(90)からなり、前記ガス噴出オリフィス(24)が、前記取付ノーズ(90)内に配列される、請求項1に記載の作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート。
【請求項5】
インサート冷却水チャンバ(86)を形成するスペースは、前記円柱状インサート本体(70)と前記インサートウェル(72)との間で形成される、請求項1に記載の作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート。
【請求項6】
前記インジェクタ側方ウェル(73)は、その長さにわたって、前記シリンダーヘッド(3)を具備する少なくとも1つのシリンダーヘッド冷却水チャンバ(41)と連通する貫通孔又は不連続孔からなる、請求項1に記載の作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート。
【請求項7】
前記締結手段は、ウェル雌ねじからなる前記インサートウェル
(72)
の前記固定手段(82)と協動するフェルール雄ねじ(81)を有する少なくとも1つのインサート締結フェルール(74)からなり、前記
インサート締結フェルール(74)が、前記点火プラグ(12)を通過させるために、中央に穿孔される、請求項1に記載の作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート。
【請求項8】
前記インサート締結フェルール(74)は、制限ばね(87)により、前記
インサート締結フェルールにより締結用の締結面(84)に位置する、請求項
7に記載の作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート。
【請求項9】
前記インサート支持面(80)は、玉継手接続を、前記インサート支持肩部(79)により直接又は間接的に形成する一方、前記円柱状インサート本体(70)が、玉継手接続を前記締結手段(74)により直接又は間接的に形成する、請求項1に記載の作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート。
【請求項10】
前記締結手段(74)は、前記円柱状インサート本体(70)に対して、又は前記締結手段(74)に対して半径方向に移動可能な玉継手滑りワッシャ(92)により、前記円柱状インサート本体(70)に位置する、請求項
9に記載の作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート。
【請求項11】
前記玉継手滑りワッシャ(92)は、可撓性があり、制限ばね(87)を形成する、請求項1
0に記載の作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート。
【請求項12】
前記インジェクタノーズ(16)は、一方では、前記インジェクタ(8)に、他方では、前記シリンダーヘッド(3)に位置する弾性締結手段(95)により、前記インジェクタ径方向オリフィス(88)内で、かつ前記円柱状インサート本体(70)に対して、押圧して保持される、請求項1に記載の作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート。
【請求項13】
前記弾性締結手段(95)は、一方では、前記インジェクタ(8)に位置し、他方では、少なくとも1つのフランジねじ(97)により、前記シリンダーヘッド(3)に接続される、フランジ(96)からなる、請求項1
2に記載の作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小さいスペースに、かつ侵入を最小にする方法で、作動するプレチャンバを内燃機関のシリンダーヘッド内に収容可能にする、作動するプレチャンバを備えた点火装置インサートに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の燃焼室内で主給気に点火するための点火手段として使用される、作動するプレチャンバに関する多くの概念が存在する。
【0003】
用語「作動する」プレチャンバは、その中で、公知の電気点火プラグに加えて、空気インジェクタの有無によらない少なくとも1つの燃料インジェクタ又は少なくとも1つの燃料・空気混合気インジェクタが開口する、プレチャンバを記載するために一般的に使用される。
【0004】
例えば、該概念は、「Mahle」社により特許取得・開発された、製品名「Turbulent Jet Ignition(乱流ジェット点火)」のプレチャンバに関して公知である。この概念は、2016年3月30日公開の特許EP3001008A1の発明の対象であって、その中で、一方では、電気点火プラグ、他方では、燃料インジェクタが開口するプレチャンバを提供する。該プレチャンバは、空気による希釈度が高い、すなわち、ガソリン比が低く、酸素に富む主給気に点火するように基本設計されている。
【0005】
バルブ制御式点火装置プレチャンバ用の2018年7月13日公開の特許出願第FR3061743号、及び電極シャトルを備えた点火プラグ用の2018年6月15日公開の特許出願第FR3060222号もまた、公知である。両特許出願は、出願人の所有特許で、バルブ又は電極シャトルにより、プレチャンバを主チャンバから分離する特異性を有する。この進歩的な構成により、エンジン燃焼室と恒久的に連通する従来のプレチャンバと比較して、多くの可能性が提供される。
【0006】
特許出願第FR3061743号及び第FR3060222号が、2018年9月10日付きの特許出願第1858111号の改良型をもたらしたことを留意すべきである。後者の特許出願第FR3060222号は、出願人が所有し、バルブ又は電極シャトルの磁気戻りに関する。
【0007】
一般的に、すべてのプレチャンバの点火装置において、空気及び燃料を主成分とするパイロット給気が、最初にプレチャンバに導入される。該パイロット給気は、その後、点火プラグにより点火される。パイロット給気が燃焼すると、その圧力は、パイロット給気が、燃焼ガスの炎の形態で、高温・高速で、エンジン燃焼室の3次元空間に噴出される程度に増加される。炎が、該チャンバの容量全体にわたって通過すると、チャンバ内に含まれる主給気に点火する。
【0008】
単一の点火プラグと比較すると、炎の非常に高い点火力により、高強度・短時間の局所乱流の形成と併せて、大気を追加して、又は好ましくは予冷却された再循環排ガスにより、希釈度の高い空気及び燃料からなる主給気を速やかに燃焼可能である。
【0009】
強力な点火装置と希釈度の高い給気を組み合わせることで、炎点火装置プレチャンバは、特に、ポンプ作用やその壁面熱損失を制限することで、火花点火装置の内燃機関の燃料消費量を大幅に減少可能である。主給気の希釈度が高く、その燃焼が急速であれば、該給気はまた、ノッキングの影響をあまり受けることなく、給気を受けるエンジンに高容量比と最適点火進角を与えることが可能で、これら2つの特異性により、実行される熱力学サイクルを高効率にすることができる。
【0010】
作動する点火装置プレチャンバを設置する際の問題点の1つに、該プレチャンバが受け、該プレチャンバの非常に小さい容量に開口する、点火プラグ及びインジェクタの占有スペースがある。
【0011】
さらに、特許出願第FR3061743号に示す通り、プレチャンバとインジェクタノーズとの間の任意の連結ダクトを回避することが好ましいが、それは、このようなダクト内で点火プラグによりプレチャンバ内で予め発生させられる炎を伝播することが困難だからであって、インジェクタノーズは、低温で、炎を遮り、未燃焼残留物用のトラップを形成し、パイロット給気が容量に対して曝露する内面が大きいことにより、パイロット給気を著しく冷却する。
【0012】
このため、作動するプレチャンバは、点火プラグとインジェクタが、例えば、特許出願第EP3001008A1号に示す通り、互いに隣り合って又はほぼ隣り合って通常設置されるため、内燃機関内での一体化の問題を提起する。
【0013】
この配列により、プレチャンバ、点火プラグ及びインジェクタ組立体に対し、略半径方向のスペース要件が生じる。さらに、この配列により、プレチャンバの内面/容量比があまり大きくない、非常に小容量のプレチャンバを作製することが困難で、プレチャンバが一旦、高温に加熱されると、パイロット給気ガスを過剰に冷却する傾向がある。
【0014】
作動するプレチャンバの大寸法の様々な構成要素により、シリンダーヘッド、内燃機関の吸気管と排気管及び該エンジンのカムシャフトを冷却する水チャンバを収容するのに利用可能なスペースが低減されることもまた、留意すべきである。
【0015】
さらに、プレチャンバがシリンダーヘッドの水チャンバ内で循環する冷却水に直接接触しないならば、プレチャンバの冷却は、困難である可能性がある。
【0016】
作動するプレチャンバを既存のエンジンに設置するには、シリンダーヘッドが、実質的な変更をすることなく作動するプレチャンバを収容できないため、シリンダーヘッドに大幅な改良が必要であることもまた、留意すべきである。したがって、シリンダーヘッドを改良し、その産業生産を確実にするためには、多額の投資を援助する必要がある。
【発明の概要】
【0017】
本発明及び特定の実施形態に係る、作動するプレチャンバを火花又は圧縮点火による往復内燃機関内に設置する際に固有な、これらの様々な問題やデメリットを解消するためには、作動するプレチャンバを備えた点火装置インサートにより、以下のことが可能になる。
・すなわち、シリンダーヘッドが必須とする改良を最小限にすることで、作動するプレチャンバを、実質的に任意の火花点火又はディーゼルエンジンの点火プラグ又はインジェクタウェル内に収容する。
・プレチャンバの外面を、プレチャンバを受けるシリンダーヘッドの水チャンバ内に循環する冷却水に直接接触させることで、該プレチャンバを冷却する。
・該プレチャンバ内に含有されるガスと該プレチャンバの内壁との間の熱交換を限定して維持するように、非常に小容量で、低い表面/容量比を提供する、作動するプレチャンバを作製する。
上記を考慮すると、本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサートにより、作動するプレチャンバを、任意の種類の往復内燃機関に効率的・低コストではめ込み可能な満たされないニーズを充足可能である。
【0018】
本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサートは、自動車用途を含む、それが意図する用途のほとんどの経済的制約への対応を維持するために、安価な量産が想定される。
【0019】
本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサートが、種類、それが使用するガス状、液状又は固体状の燃料、及びその主給気が、冷却又は未冷却のEGR、任意の種類の中性ガス、又は酸素に富むガス又は他の任意の酸化剤で希釈されるかどうかに関わらず、任意のロータリーエンジン又は往復内燃機関に適用可能であることは理解される。
【0020】
本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサートを受ける任意の火花点火エンジンの主給気に点火するよう意図されるパイロット給気が、該主給気を構成する燃料及び/又は酸化剤と異なる燃料及び/又は酸化剤を含有し得ることも理解される。
【0021】
本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサートは、内燃機関用に意図され、作動するプレチャンバは、ピストンとともに、主給気が導入され得る燃焼室を形成するために、シリンダーを覆うシリンダーヘッドであって、その中で、点火プラグと少なくとも1つのインジェクタのインジェクタノーズが開口し、その中に、パイロット給気を導入可能である点火装置プレチャンバを収容するシリンダーヘッドを具備し、該プレチャンバは、ガス噴出導管と、プレチャンバノーズ経由で該チャンバに開口する少なくとも1つのガス噴出オリフィスとにより、連続して燃焼室と連通可能であって、該インサートは、
・シリンダーヘッド内に配列され、固定手段を有する少なくとも1つのインサートウェルであって、一方では、大径のインサート導入オリフィス経由でシリンダーヘッド外部に、他方では、小径のプレチャンバノーズオリフィス経由で燃焼室内に開口し、2つの該径は、少なくとも1つのインサート支持肩部により、互いに接続される、インサートウェルと、
・1つ以上の部品からなり、その中で、点火装置プレチャンバとガス噴出導管が特に配列される、少なくとも1つの円柱状インサート本体であって、インサートウェル内にほとんど遊びがなく収容され、シリンダーヘッドに対して回転して割り出され、プレチャンバノーズのオリフィスを横断するプレチャンバノーズを末端とする一方、インサート支持肩部に直接又は間接的に位置するインサート支持面を有する、インサート本体と、
・円柱状インサート本体内で、該本体の軸に平行に又は該軸に対して閉角で、該本体の中心又はほぼ中心で配列された、少なくとも1つのインサート点火プラグウェルであって、一方では、プレチャンバノーズの軸方向に対向する円柱状インサート本体の端部で、他方では、点火装置プレチャンバ内で開口し、点火プラグ点火装置又はインジェクタノーズ16を受ける、インサート点火プラグウェルと、
・円柱状インサート本体内に半径方向であるが、必ずしも該作動するプレチャンバに垂直に配列されず、その中で、インジェクタノーズ又は点火プラグの端部が収容される、少なくとも1つのインジェクタ径方向オリフィスであって、点火装置プレチャンバ及び/又はガス噴出導管を、円柱状インサート本体の外面に接続する、インジェクタ径方向オリフィスと、
・シリンダーヘッド内に配列された少なくとも1つのインジェクタ側方ウェルであって、インジェクタノーズ本体又は点火プラグを受け、シリンダーヘッドの外部を、インサートウェルに接続する一方、インジェクタ径方向オリフィスが、該ウェルにアラインされ、インジェクタノーズ又は点火プラグの端部が、インジェクタ側方ウェルとインジェクタ径方向オリフィスを連続して通過する、点火装置プレチャンバ及び/又はガス噴出導管に開口する、インジェクタ側方ウェルと、
・インサート支持肩部に対して押圧される、円柱状インサート本体のインサート支持面を直接又は間接的に維持するために、固定手段と協動する締結手段と、を具備する。
【0022】
本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサートは、作動するプレチャンバを密封して閉じるために、ガス噴出導管の端部に対して、又はガス噴出導管とともに、一方では、ガス噴出導管経由で点火装置プレチャンバと、他方では、ガス噴出オリフィス経由で燃焼室と同時に連通する炎により、点火用のプレチャンバを形成するために、チャンバ側の弁座に対して押圧される、成層型バルブを収容するプレチャンバノーズを具備する。
【0023】
本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサートは、円柱状インサート本体に位置決めされ、成層型バルブを、ガス噴出導管の端部に対して押圧された状態に維持する傾向がある磁場を生成する磁場源を含む。
【0024】
本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサートは、磁性材料で作製され、成層型バルブとの接点で、外径が、該バルブより小さく、非磁性材料で作製された非磁性スリーブ内に密封される、ガス噴出管を形成する、ガス噴出導管を具備する。
【0025】
本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサートは、ガス噴出導管を覆う取付ノーズからなるプレチャンバノーズであって、ガス噴出オリフィスが該取付ノーズ内に配列される、プレチャンバノーズを具備する。
【0026】
本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサートは、円柱状インサート本体とインサートウェルとの間で形成されるインサート冷却水チャンバを形成するスペースを含む。
【0027】
本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサートは、その長さに沿って、シリンダーヘッドを具備する少なくとも1つのシリンダーヘッド冷却水チャンバと連通する貫通孔又は不連続孔からなる、インジェクタ側方ウェルを具備する。
【0028】
本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサートは、インサート締結フェルールであって、圧縮ばねにより、該フェルールにより締結面に位置する、インサート締結フェルールを具備する。
【0029】
本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサートは、ウェル雌ねじからなるインサートウェルを固定するための手段と協動する外部フェルールねじを有する少なくとも1つのインサート締結フェルールからなる締結手段であって、該フェルールが、点火プラグを通過させるために、中央に穿孔される、締結手段を具備する。
【0030】
本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサートは、玉継手接続を、インサート支持肩部により直接又は間接的に形成する一方、円柱状インサート本体が、玉継手接続を締結手段により直接又は間接的に形成する、インサート支持面を含む。
【0031】
本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサートは、円柱状インサート本体、又は締結手段のいずれかに対して半径方向に移動可能な玉継手滑りワッシャにより、円柱状インサート本体に位置する締結手段を具備する。
【0032】
本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサートは、可撓性があり、制限ばねを形成する、玉継手滑りワッシャを具備する。
【0033】
本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサートは、一方では、インジェクタに、他方では、シリンダーヘッドに位置する弾性締結手段により、インジェクタ径方向オリフィス内で、円柱状インサート本体に対して、押圧して保持されるインジェクタノーズを具備する。
【0034】
本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサートは、一方では、インジェクタに位置し、他方では、少なくともフランジねじにより、シリンダーヘッドに接続される、フランジからなる弾性締結手段を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
非限定の実施例により提供される、添付図面に関連する後続の説明により、本発明、その特徴、及び以下の事項を提供可能な利点をより理解可能であろう。
【0036】
【
図1】
図1は、内燃機関のシリンダーヘッド内に設置可能な、本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサートであって、代替の実施形態として、永久磁石により生成される磁場によりガス噴出導管の端部に対して押圧して保持された成層型バルブを受ける、点火装置インサートの概略断面図である。
【
図2】
図2は、本発明に係り、
図1に示す代替の実施形態に係る、作動するプレチャンバを備えた点火装置インサートの円柱状インサート本体に形成された概略断面図である。
【
図3】
図3は、本発明に係るプレチャンバを備えた点火装置インサートの円柱状インサート本体と、成層型バルブと永久磁石を提供する、
図1に示す代替の実施形態に係る該本体が協動する主な構成要素との3次元分解図である。
【
図4】
図4は、本発明に係るプレチャンバを備えた点火装置インサートの円柱状インサート本体と、成層型バルブと永久磁石を提供する、
図1に示す代替の実施形態に係る該本体が協動する主な構成要素との3次元切欠図である。
【
図5】
図5は、内燃機関のシリンダーヘッド内に設置可能な、本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサートの円柱状インサート本体であって、インサート支持面が、玉継手接続をインサート支持肩部とともに形成する一方、円柱状インサート本体が、玉継手接続を玉継手滑りワッシャによる締結手段により形成する、円柱状インサート本体の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1~
図6は、本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート1、その構成要素の様々な詳細、その代替の実施形態、及びその付属品を示す。
【0038】
作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート1は、内燃機関2用に特に提供され、作動するプレチャンバは、ピストン31とともに、主給気30が導入可能な燃焼室5を形成するために、シリンダー4を覆うシリンダーヘッド3を具備する。
【0039】
図1、2、5及び6が示す通り、シリンダーヘッド3は、その中で、点火プラグ12と少なくとも1つのインジェクタ8のインジェクタノーズ16が開口し、その中に、パイロット給気9が導入可能な点火装置プレチャンバ71であって、ガス噴出導管76と、プレチャンバノーズ75経由で該チャンバ5に開口する少なくとも1つのガス噴出オリフィス24とにより、連続して燃焼室5と連通可能なプレチャンバ71を収容する。
【0040】
図1、2、5及び6が示す通り、本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート1は、シリンダーヘッド3内に配列された少なくとも1つのインサートウェル72を具備する。該インサートウェル72は、その長さの部分にわたって、ウェル雌ねじ82からなる固定手段を具備する。さらに、該ウェル72は、一方では、大径のインサート挿入オリフィス78経由でシリンダーヘッド3の外部で、他方では、小径のプレチャンバノーズオリフィス77経由で燃焼室5に開口し、2つの該径は、例えば、平坦又は円錐形であり得る少なくとも1つのインサート支持肩部79により、互いに接続される。
【0041】
図1~
図6が示す通り、本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート1は、1つ以上の部品からなり、その中で、点火装置プレチャンバ71とガス噴出導管76が特に配列される、少なくとも1つの円柱状インサート本体70を有する。
【0042】
円柱状インサート本体70は、インサートウェル72内にほとんど遊びがなく収容され、シリンダーヘッド3に対して回転して割り出され、プレチャンバノーズのオリフィス77を通過するプレチャンバノーズ75を末端とする。円柱状インサート本体70はまた、インサート支持肩部79に直接又は間接的に位置するインサート支持面80を有する。
【0043】
円柱状インサート本体70が、インサート導入オリフィス78を通過してインサートウェル72に導入される場合、該本体70は、インサート支持肩部79がインサート支持面80に接触する場合、その移動中に停止されることは留意される。
【0044】
支持ガスケット25が、インサート支持面80と、インサートウェル72と燃焼室5との間にシールを提供するインサート支持肩部79との間で提供可能であることは留意される。該シール25は、なまし銅様の金属であり得、又は当業者に公知の他の任意の種類であり得る。
【0045】
特に
図2、4及び5に示す通り、本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート1は、円柱状インサート本体70内で、該インサート本体70の軸に平行で、又は該軸に対して閉角で、該インサート本体70の中心又はほぼ中心に配列された少なくとも1つのインサート点火プラグウェル83を有し、該点火プラグウェル83は、一方では、プレチャンバノーズ75の軸方向に対向し、他方では、点火装置プレチャンバ71内で円柱状インサート本体70の端部で開口する。インサート点火プラグウェル83は、点火プラグ12又はインジェクタノーズ16を受ける。
【0046】
特に
図2~
図4において、本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート1は、円柱状インサート本体70内に半径方向に配列されるが、作動するプレチャンバに必ずしも垂直ではなく、その中で、インジェクタノーズ16又は点火プラグ12の端部が収容される、少なくとも1つのインジェクタ径方向オリフィス88を具備することは留意される。
【0047】
該オリフィス88が、点火装置プレチャンバ71及び/又はガス噴出導管76を、円柱状インサート本体70の外面に接続する一方、シールは、インジェクタ径方向オリフィス88と、部分、シール又は当業者に公知の他の任意の手段の形態をとり、点火装置プレチャンバ71及び/又はガス噴出導管76と円柱状インサート本体70の外面との間で、液体又はガスの漏洩を防止する、インジェクタノーズ16との間に提供可能である。
【0048】
インジェクタ径方向オリフィス88とインジェクタノーズ16が、該オリフィス88と該ノーズ16との間で小さい角度クリアランスを可能にする玉継手接続を構成し得ることもまた、留意すべきである。
【0049】
図1、2、5及び6で示す通り、本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート1は、横断されるシリンダーヘッド3の材料の配列にしたがって、1つ以上の部品内のシリンダーヘッド3に配列された少なくとも1つのインジェクタ側方ウェル73を具備する。
【0050】
該ウェル73は、インジェクタノーズ体16、及び場合によっては、インジェクタ8、又は点火プラグ12の他の要素の全部又は部分を受ける。該ウェル73は、シリンダーヘッド3の外部、すなわち、例えば、内燃機関2の吸気管を、インサートウェル72に接続する。
【0051】
インジェクタ径方向オリフィス88は、インジェクタ側方ウェル73にアラインされ、インジェクタノーズ16又は点火プラグ12の端部が、インジェクタ側方ウェル73とインジェクタ径方向オリフィス88を連続して通過する点火装置プレチャンバ71及び/又はガス噴出導管76に開口することは留意される。
【0052】
円柱状インサート本体70は、インジェクタノーズ16が、インジェクタ側方ウェル73とインジェクタ径方向オリフィス88内に同時に収容される場合、シリンダーヘッド3に対し回転して正確に割り出されるとみなされることは留意される。
【0053】
シールは、インジェクタ側方ウェル73とインジェクタノーズ16との間で有利に提供可能で、該シールは、部分、シール又は他の任意の当業者に公知の手段の形態をとり、該シールは、インジェクタ側方ウェル73の内部の全部又は一部を、シリンダーヘッド3の外部から分離することもまた留意される。
【0054】
一方では、インジェクタ側方ウェル73が、他方では、インジェクタノーズ体16又はインジェクタ8の他の任意の構成部品でさえも、該側方ウェル73と該インジェクタ8との間で小さい角度クリアランスを可能にする玉継手接続を構成可能であることもまた、留意されるであろう。
【0055】
図1、5及び6において、インジェクタ側方ウェル73が、内燃機関2の吸気ポートで、シリンダーヘッド3の鋳物工場で収容可能であることは留意される。この位置は、ガスの流れをわずかに攪乱するが、構成の点では有利である。
【0056】
この場合、インジェクタ側方ウェル73の注入口は、インジェクタノーズ体16のみが吸気ポートを通過するように、シリンダーヘッド内にかなり深い位置で提供可能である。
【0057】
図1~
図5に示す通り、本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート1は、ウェル内ねじ82と協動するフェルール外ねじ81を有する少なくとも1つのインサート締結フェルール74からなる締結手段を具備する。
【0058】
インサート締結フェルール74は、円柱状インサート本体70のインサート支持面80をインサート支持肩部79に対して直接又は間接的に押圧して維持するために、該本体70が示すフェルールを締結するための締結面84に直接又は間接的に位置する。
【0059】
図1~
図5に示す通り、インサート締結フェルール74は、点火プラグ12を通過させるために、中央に穿孔される。
【0060】
インサート締結フェルール74が、該フェルールを諦着するために、それを回転させるレンチ嵌入部分を有利に有し得、該レンチ嵌入部分が、切欠き、オリフィス、又は締付レンチにより提示された形状に補足的である、いかなる雌ねじ又は雄ねじの幾何学形状からなり得ることは留意されるであろう。
【0061】
図1~
図5に示す通り、プレチャンバノーズ75は、作動するプレチャンバを密封して閉じるために、ガス噴出導管76の端部に対して、又は、一方では、ガス噴出導管76経由で点火装置プレチャンバ71と、他方では、ガス噴出オリフィス24経由で燃焼室5と同時に連通する炎により、ガス噴出導管76とともに、点火用のプレチャンバ23を形成するために、チャンバ側21の弁座に対して押圧される、成層型バルブ13を収容可能である。
【0062】
出願人所有の2018年7月13日公開の特許出願第FR3061743号に記載の通り、燃焼室5全体の圧力が、点火装置プレチャンバ71全体の圧力よりも大きい場合、成層型バルブ13が、ガス噴出導管76の端部に対して押圧されることは留意される。
【0063】
本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート1のこの特定の構成において、磁場源44は、円柱状インサート本体70に位置決め可能で、出願人所有の2018年9月10日付の特許出願第1858111号に記載の通り、ガス噴出導管76の端部に対して成層型バルブ13を押圧して維持する傾向がある磁場を生成する。この場合、円柱状インサート本体70は、磁性材料43の全部又は一部から有利に、なる。
【0064】
図1~
図5に示す通り、磁場源44は、機械的手段によらずに、円柱状インサート本体70に固定可能で、その磁気貼着のみにより、作動するプレチャンバの所定位置に設置可能な永久磁石53であり得る。
【0065】
その代わりとして、磁場源44は、導線のコイルであって、該導線に電流が流れる場合、磁場を生成する導線のコイルからなり得る。この特定の構成により、例えば、内燃機関2のコールドスタート中に、成層型バルブ13をガス噴出導管76の端部に対し押圧状態に戻さないことが可能になり、それによって、点火装置プレチャンバ71に、インジェクタ8ではなく、ガス噴出導管76経由でガス噴出オリフィス24により直接、燃焼室5からの燃料混合物を供給することが可能である。
【0066】
図1~
図5に示す通り、ガス噴出導管76は、磁性材料43で作製可能で、その成層型バルブ13との接点で、外径が該バルブ13よりも小さく、非磁性材料50で作製される非磁性スリーブ85に密封される、ガス噴出管89を形成可能である。
【0067】
非磁性スリーブ85により、磁場源44が生成する磁束に、作動するプレチャンバの周辺の成層型バルブ13に平行でない力線を発生させることで、成層型バルブ13が、そのハウジング内で影響することを防止することが可能である。
【0068】
非磁性スリーブ85が、高熱伝導率を有する銅で主に作製可能で、ガス噴出管89の周りで補強することで堅く取り付け可能で、スリーブ自体と該管89との間で最大熱結合を確実にすることは留意されるであろう。
【0069】
成層型バルブ13が、ガス噴出導管の端部と平らなシール接触を形成するように平坦であり得、それによって、円錐形のシートとは異なり、該バルブ13を半径方向に配置することを回避することはさらに留意される。
【0070】
該平坦な接触はまた、作動するプレチャンバが開く76場合、すなわち、それが協動するチャンバ側21の弁座に位置する場合、バルブ13を同一リフトにして、ガスの経路に対して最大断面を残す利点を有する。
【0071】
さらに、成層型バルブ13の周辺は、有利に、球切断状であり円柱状ではなくてもよく、それによって、該バルブが協動するガス噴出管89に対するバルブの配向いかんに関わらず、そのハウジング内で該バルブの押し込みを防止することが可能である。
【0072】
図1~
図5に示す通り、成層型バルブ13は、その作製を簡略化するように、その2つの面上で平坦であり得る。
【0073】
図1~
図5に示す通り、プレチャンバノーズ75は、ガス噴出導管76を覆う取付ノーズ90からなり得、ガス噴出オリフィス24は、該取付ノーズ90内に配列される。
【0074】
取付ノーズ90により、必要に応じて、特許出願第FR3061743号で提供される通り、成層型バルブ13をプレチャンバノーズ75に導入可能であることは留意される。
【0075】
該バルブ13が、特許出願第1858111号に記載される通り、磁場源44により元の状態に戻る場合、取付ノーズ90に対し、さらに高熱伝導率を有する、銅等の非磁性材料50を選択可能である。
【0076】
図1、2、4及び5に示す通り、取付ノーズ90が、ノーズ自体とガス噴出管89との間で最大熱結合を確実にするために、該ガス噴出管89の周りで、又は非磁性材料で作製されるスリーブ85によりすでに密封された該管89の周りで、補強することで堅く取り付け可能であることは留意される。
【0077】
図3及び
図4において、取付ノーズ90が、円柱状インサート本体70がインサートウェル72内に正確に位置決めされる場合、インサート支持面80とインサート支持肩部79との間でしっかりと保持される支持フランジ91を有し得ることは留意される。
【0078】
図1、2、5及び6において特に理解可能な本発明の作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート1の代替の実施形態によれば、インサート冷却水チャンバ86を形成するスペースは、円柱状インサート本体70とインサートウェル72との間で形成可能で、例えば、該冷却水チャンバ86内で循環可能なシリンダーヘッド3から入る水を冷却する。
【0079】
図1~
図5において、少なくとも1つのウェルシール26が、円柱状インサート本体70と、冷却水が、シリンダーヘッド3の外部に出るのを防ぐ一方、少なくとも1つの他のシールにより、該冷却水が燃焼室5に入るのが防止される、インサートウェル72との間で配置されて提供可能であることは留意される。
【0080】
インジェクタ側方ウェル73が、その長さに沿って、シリンダーヘッド3を具備する少なくとも1つのシリンダーヘッド冷却水チャンバ41と連通する貫通孔又は不連続孔からなり得ることもまた留意される。この特定の構成により、インサートウェル72は、該冷却水チャンバ41と連通可能である。
【0081】
この場合、
図1、2、5及び6に示す通り、インジェクタノーズ体16は、該冷却水チャンバ41に含まれる冷却水内で、その長さの部分に対し浸漬される。本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサートのこの特定の代替の実施形態によれば、インジェクタ側方ウェル73の直径は、冷却水がインジェクタノーズ16の周りを自由に通過可能で、インサートウェル72に入る又はそれから出るように、該側方ウェルが収容する該インジェクタノーズ16の直径よりも大幅に大きいように、有利に提供可能である。
【0082】
この点において、インジェクタ側方ウェル73が、有利に、インサートウェル72と、シリンダーヘッド3を具備する少なくとも2つのシリンダーヘッド冷却水チャンバ41との間で冷却水を循環可能にする、該インサートウェル72を、直接通過可能であることは留意される。
【0083】
図2~
図5に特に示される本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート1の別の代替の実施形態として、インサート締結フェルール74は、制限ばね87により、フェルールにより締結用の締結面84に設置可能で、作動するプレチャンバは、一方では、インサート支持肩部79のインサート支持面80をほぼ一定に維持する労力を、他方では、該表面80と該肩部79との間の良好なシールを、すべての状況において保証する。
【0084】
制限ばね87が、少なくとも1つの公知の「Belleville」ワッシャ、又は少なくとも1つの波形ばねワッシャとして設計可能であることは有利に留意される。
【0085】
制限ばね87により、インサートウェル72内に配列され、その中で、停止接合部分が収容される、単一の溝により、ウェル雌ねじ82とフェルール雄ねじ81を置き換え可能で、該接合部分は、一方では、該溝内に、他方では、インサート締結フェルール74に位置することも留意される。
【0086】
このような組立体が、停止接合部分の組立中に、制限ばね87を圧縮する圧縮機械を要することは留意される。
【0087】
図5において、インサート支持面80が、玉継手接続をインサート支持肩部79により直接又は間接的に形成可能な一方、円柱状インサート本体70が、玉継手接続を締結手段74により直接又は間接的に形成することが示された。
【0088】
本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート1のこの特定の構成により、円柱状インサート本体70は、シリンダーヘッド2に対して自由に配向可能である。
【0089】
図5に示す通り、インサート支持面80が、例えば、リリーフ形の球切断状であり得る一方、インサート支持肩部79は、中空円錐形であり得る。
【0090】
図5はまた、締結手段74が、円柱状インサート本体70に対して、又は締結手段74に対してのいずれかで、半径方向に移動可能な玉継手滑りワッシャ92により、円柱状インサート本体70に配置可能であることを示す。
【0091】
図5にも示す通り、本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート1の特定の実施形態によれば、玉継手滑りワッシャ92は、一方では、円柱状インサート本体70に面する平坦な接触面、他方では、締結手段74に面する中空円錐のハウジングを有し得、そのハウジングは、該手段74を有する球切断状のリリーフ形と協動し、該中空ハウジングと該球切断形状は、玉継手接続を形成する。
【0092】
図5に示す通り、本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート1の代替の実施形態として、玉継手滑りワッシャ92は、可撓性であり得、締結手段74の緩みを回避する制限ばね87を形成することができ、円柱状インサート本体70と、それを収容するインサートウェル72との間の熱膨張の差がどうであれ、インサート支持肩部79にインサート支持面80を押圧するための押圧力を保証する。
【0093】
作動するプレチャンバに制限ばね87の属性を与えるのが、玉継手滑りワッシャ92の軸圧縮、ねじり及び半径方向膨張であることは留意される。
【0094】
図5において、プレチャンバノーズ75が、例えば、エラストマー材料で作製されるプレチャンバノーズシール93を具備し得、該シール93が、燃焼室5とインサート冷却水チャンバ86との間でシールを提供し、該シール93が、プレチャンバノーズ炎部分94により、燃焼室5に存在する炎や高温ガスから保護されることは留意される。
【0095】
図5及び
図6において、インジェクタノーズ16が、インジェクタ径方向オリフィス88内で、また、一方では、インジェクタ8、他方では、シリンダーヘッド3に位置する弾性締結手段95により、円柱状インサート本体70に対して、押圧が維持可能であることも示された。
【0096】
特定の構成によれば、インジェクタノーズ16の端部は、有利に、球切断状であり得、インジェクタ径方向オリフィス88で、円柱状インサート本体70内で配列された円錐形シートに配置可能である。
【0097】
図6に示す本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート1の特定の実施形態として、弾性締結手段95は、一方では、インジェクタ8に位置し、他方では、少なくとも1つのフランジねじ97により、シリンダーヘッド3に接続されるフランジ96からなり得る。
【0098】
該
図6で明らかなように、フランジばね98が、有利に、フランジ96とフランジねじ97の頭部との間に挿入可能で、該ばね98が、それ自体公知の「Belleville」ワッシャ、又は螺旋ばね、又は当業者に公知の任意の種類であり得る。
【0099】
本発明の作用:
本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート1の作用は、
図1~
図6を考慮すると容易に理解可能であって、本発明の非限定的な典型的な実施形態を示し、他の代替の実施形態が可能である。
【0100】
図1、2及び
図5に示す通り、作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート1の円柱状インサート本体70は、インサートウェル72に取り付けられ、作動するプレチャンバが、従来の火花点火エンジンのシリンダーヘッドの点火プラグウェルに代わって、提供された。
【0101】
ここでは、インサートウェル72は配列されて、円柱状インサート本体70でのその直径は、24mmである。この取付がまた、従来のディーゼルエンジンのインジェクタウェルに代わって、提供可能であることは留意されるであろう。
【0102】
図1~
図5に示す非限定的な実施例によれば、点火プラグは、意図的に小型である。該点火プラグは、例えば、直径8mmのねじと13mmの六角レンチ嵌入部分を有する、「Denso」社製の「Iridium Performance IY24」タイプの点火プラグであり得る。
【0103】
図1~
図5が示す通り、代替の実施形態として、本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート1は、磁場源44により生成される磁場により、ガス噴出ダクト76の端部に対して設置して、押圧を維持された成層型バルブ13を受ける。
【0104】
図1、2、4及び5に示す組立体を実現するために、円柱状インサート本体70は、ガス噴出管89の温度差により補強された非磁性スリーブ85を受け、その後、組立体は、該ノーズ90に事前に導入された成層型バルブ13を補強することでさらに取り付けられた取付ノーズ90で覆われる構造であった。
【0105】
この作業が終わると、円柱状インサート本体70は、そのインサート支持面80が、支持ガスケット25により、インサート支持肩部79に接触するまで、また、取付ノーズ90が示す支持カラー91により、この非限定的な典型的な実施形態により、
図1、2及び5に示すインサートウェル72に導入された。その後、該本体70は、そのインジェクタ径方向オリフィス88がシリンダーヘッド3内に配列されたインジェクタ側方ウェル73にアラインされるまで、縦軸の周りを回転された。
【0106】
その後、インジェクタノーズ16は、該ノーズ16が所望の深さで点火装置プレチャンバ71に挿入されるまで、インジェクタ側方ウェル73に導入された。
【0107】
図1~
図6に示す本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート1の実施形態によれば、インジェクタ側方ウェル73が、円柱状インサート本体70の軸に垂直に配向されることは留意される。この配向は、例としてのみ、本明細書で提示される。インジェクタ側方ウェル73とそれが協動するインジェクタ径方向オリフィス88は実際、該ウェル73が、シリンダーヘッド3の必須な構成要素と干渉しない、又はできる限り干渉しない、又は該構成要素の配向を阻害しない、又はできる限り阻害しないように、円柱状インサート本体70の軸に対し自由に配向可能である。
【0108】
これらの要素が一旦、配置されると、制限ばね87は、インサートウェル72、次いでインサート締結フェルール74に設置され、作動するプレチャンバは、所定のトルクが作用するようにねじ込まれ、支持ガスケット25と支持フランジ91により、インサート支持面80とインサート支持肩部79との間で圧力が得られる接触を確実にする。
【0109】
円柱状インサート本体70とインサートウェル72との間にスペースを形成するインサート冷却水チャンバ86は、
図1、2、5及び6に記載されなければならない。該チャンバ86により、本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート1の特定の実施形態によれば、円柱状インサート本体70を冷却可能である。
【0110】
確かに、点火装置プレチャンバ内でパイロット給気9を実際に燃焼すると、円柱状インサート本体70を加熱する熱が放出される。冷却が十分でないと、該本体70の温度は、過剰になり得る一方、インサート冷却水チャンバ86の作用により、該温度は、許容値に維持される。
【0111】
さらに、インサート冷却水チャンバ86はまた、ガス噴出導管76、ガス噴出管89、非磁性スリーブ85、及び取付ノーズ90を冷却する。この目的のため、非磁性スリーブ85と取付ノーズ90は、有利に、高熱伝導率材料である合金銅で作製され得る。このため、及び該高熱伝導率の作用により、熱は、その中で、ガス噴出オリフィス24が配列されるプレチャンバノーズ75から、インサート冷却水チャンバ86まで効率的に放出される。
【0112】
本明細書に記載された本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート1の実施形態が、非限定的であることは留意される。特に、本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート1は、成層型バルブ13の及び該バルブ13の磁気戻りの有無によらず、すべての作動するプレチャンバを対象に意図されるものである。
【0113】
本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート1が、ガスネイラ、火器、又は最良の効率でパイロット給気により、主給気の燃焼を要する他の任意の装置等の内燃機関以外の分野に適用可能であることもまた留意されるであろう。
【0114】
本発明に係る作動するプレチャンバを備えた点火装置インサート1の可能性は、本明細書記載の用途に限定されず、さらに、上記説明が、例としてのみ提供され、他の任意の均等物により記載される実行の詳細を置き換えることで、それから逸脱しないであろう該発明の分野を全く限定しないことは、理解されるべきである。