IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 川崎重工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ロボット装置 図1
  • 特許-ロボット装置 図2
  • 特許-ロボット装置 図3
  • 特許-ロボット装置 図4
  • 特許-ロボット装置 図5
  • 特許-ロボット装置 図6
  • 特許-ロボット装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】ロボット装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/06 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
B25J9/06 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022011659
(22)【出願日】2022-01-28
(62)【分割の表示】P 2017062312の分割
【原出願日】2017-03-28
(65)【公開番号】P2022044794
(43)【公開日】2022-03-17
【審査請求日】2022-01-28
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 伸二
(72)【発明者】
【氏名】脇光 俊介
(72)【発明者】
【氏名】谷内 亮
【合議体】
【審判長】鈴木 貴雄
【審判官】田々井 正吾
【審判官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/002208(WO,A1)
【文献】特開昭61-152380(JP,A)
【文献】特開平01-092087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 9/00 - 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
直列的に連結された複数のリンクと、
複数の前記リンクのそれぞれの間を接続する複数の関節とを備え、
複数の前記関節は、隣接するリンク同士の間を接続すると共に、隣接するリンク同士のなす角を変更する方向に移動させることが可能なベント軸と、隣接するリンク同士の間を捻じれる方向に変位させることが可能なスイベル軸とを有して構成され、
前記ベント軸は、前記ベースから先端部にかけて順に、第1ベント軸と、第2ベント軸と、第3ベント軸と、第4ベント軸とを有し、
前記第1ベント軸から前記第2ベント軸までの距離をL1、
前記第2ベント軸から前記第3ベント軸までの距離をL2、
前記第3ベント軸から前記第4ベント軸までの距離をL3とすると、
前記L1、前記L2、前記L3のうち、前記L3が最も短く、
前記先端部から前記ベースへの方向において、前記先端部から4つの関節が、2つの前記ベント軸と2つの前記スイベル軸であり、
前記関節は、前記ベースから先端部にかけて順に、第1関節、第2関節、第3関節、第4関節、第5関節、第6関節及び第7関節を有し、
前記スイベル軸は、前記ベースから先端部にかけて順に、第1スイベル軸と、第2スイベル軸と、第3スイベル軸とを有し、
前記リンクは、
前記ベースに対し前記第1スイベル軸を有する前記第1関節を介して接続された第1リンクと、
前記第1リンクに対し前記第1ベント軸を有する前記第2関節を介して接続された第2リンクと、
前記第2リンクに対し前記第2ベント軸を有する前記第3関節を介して接続された第3リンクと、
前記第3リンクに対し前記第3ベント軸を有する前記第4関節を介して接続された第4リンクと、
前記第4リンクに対し前記第2スイベル軸を有する前記第5関節を介して接続された第5リンクと、
前記第5リンクに対し前記第4ベント軸を有する前記第6関節を介して接続された第6リンクと、
前記第6リンクに対し前記第3スイベル軸を有する前記第7関節を介して接続された第7リンクとを有し、
前記第3リンクの先端部が二股形状を有し、二股の前記第3リンクの先端部が前記第4リンクの基端部を挟むことによって前記第3リンクが前記第4リンクを相対的に回転移動可能に保持し、
前記第3ベント軸には、前記第3リンクと前記第4リンクとの間のなす角を変更させる方向に移動させる第1の駆動装置が取り付けられ、
前記第2スイベル軸には、前記第4リンクと前記第5リンクとの間を捻じれる方向に変位させる第2の駆動装置が取り付けられ、
前記第3リンクの径方向の中央の周囲に空洞部が設けられ、
前記第1の駆動装置及び前記第2の駆動装置が、前記空洞部を避けて前記第3リンクに取り付けられ、
前記第1の駆動装置及び前記第2の駆動装置は、それぞれの出力軸の延びる方向に沿った全体に亘って、前記空洞部を挟んでそれぞれ互いに対向する位置に配置され、
前記第1の駆動装置及び前記第2の駆動装置のそれぞれの出力軸の延びる方向と、前記空洞部の延びる方向とが平行になり、且つ、前記第1の駆動装置と前記第2の駆動装置とが、前記空洞部を挟んで互いに重なるように配置されていることを特徴とするロボット装置。
【請求項2】
ベースと、
直列的に連結された複数のリンクと、
複数の前記リンクのそれぞれの間を接続する複数の関節とを備え、
複数の前記関節は、隣接するリンク同士の間を接続すると共に、隣接するリンク同士のなす角を変更する方向に移動させることが可能なベント軸と、隣接するリンク同士の間を捻じれる方向に変位させることが可能なスイベル軸とを有して構成され、
前記ベント軸は、前記ベースから先端部にかけて順に、第1ベント軸と、第2ベント軸と、第3ベント軸と、第4ベント軸とを有し、
前記第1ベント軸から前記第2ベント軸までの距離をL1、
前記第2ベント軸から前記第3ベント軸までの距離をL2、
前記第3ベント軸から前記第4ベント軸までの距離をL3とすると、
前記L1、前記L2、前記L3のうち、前記L3が最も短く、
前記先端部から前記ベースへの方向において、前記先端部から4つの関節が、2つの前記ベント軸と2つの前記スイベル軸であり、
前記関節は、前記ベースから先端部にかけて順に、第1関節、第2関節、第3関節、第4関節、第5関節、第6関節及び第7関節を有し、
前記スイベル軸は、前記ベースから先端部にかけて順に、第1スイベル軸と、第2スイベル軸と、第3スイベル軸とを有し、
前記リンクは、
前記ベースに対し前記第1スイベル軸を有する前記第1関節を介して接続された第1リンクと、
前記第1リンクに対し前記第1ベント軸を有する前記第2関節を介して接続された第2リンクと、
前記第2リンクに対し前記第2ベント軸を有する前記第3関節を介して接続された第3リンクと、
前記第3リンクに対し前記第3ベント軸を有する前記第4関節を介して接続された第4リンクと、
前記第4リンクに対し前記第2スイベル軸を有する前記第5関節を介して接続された第5リンクと、
前記第5リンクに対し前記第4ベント軸を有する前記第6関節を介して接続された第6リンクと、
前記第6リンクに対し前記第3スイベル軸を有する前記第7関節を介して接続された第7リンクとを有し、
前記第5リンクの先端部が二股形状を有し、二股の前記第5リンクの先端部が前記第6リンクの基端部を挟むことによって前記第5リンクが前記第6リンクを相対的に回転移動可能に保持し、
前記第3ベント軸には、前記第3リンクと前記第4リンクとの間のなす角を変更させる方向に移動させる第1の駆動装置が取り付けられ、
前記第2スイベル軸には、前記第4リンクと前記第5リンクとの間を捻じれる方向に変位させる第2の駆動装置が取り付けられ、
前記第3リンクの径方向の中央の周囲に空洞部が設けられ、
前記第1の駆動装置及び前記第2の駆動装置が、前記空洞部を避けて前記第3リンクに取り付けられ、
前記第1の駆動装置及び前記第2の駆動装置は、それぞれの出力軸の延びる方向に沿った全体に亘って、前記空洞部を挟んでそれぞれ互いに対向する位置に配置され、
前記第1の駆動装置及び前記第2の駆動装置のそれぞれの出力軸の延びる方向と、前記空洞部の延びる方向とが平行になり、且つ、前記第1の駆動装置と前記第2の駆動装置とが、前記空洞部を挟んで互いに重なるように配置されていることを特徴とするロボット装置。
【請求項3】
前記第3ベント軸を挟んで隣接したリンク同士の間のなす角度が、それぞれ互いに平行な関係に位置した基準の状態から、180度未満となる角度で前記第3ベント軸が屈曲され、
前記第4ベント軸を挟んで隣接したリンク同士の間のなす角度が、それぞれ互いに平行な関係に位置した基準の状態から、180度未満となる角度で前記第4ベント軸が屈曲されたときに、
前記先端部が、前記第2ベント軸と前記第3ベント軸との間を向いて配置されることが可能であることを特徴とする請求項1または2に記載のロボット装置。
【請求項4】
前記先端部が前記ベースの配置されている側を向いた状態で、前記第3ベント軸を、前記ベースに対して、近接、離間させる方向に移動させることが可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のロボット装置。
【請求項5】
前記先端部が前記ベースの配置されている側を向いた状態で、前記先端部を、鉛直方向に移動させることが可能であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のロボット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多関節のロボットアームの先端部の位置制御を行うロボット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のリンクが直列的に連結されて構成された多関節のロボットアームを備えたロボットが採用されている。多関節のロボットアームを備えたロボットは、先端部にエンドエフェクタを取り付けた際に、エンドエフェクタの位置制御を行う上で自由度が高いので、エンドエフェクタの位置を広範囲に亘って設定することができる。そのような多関節のロボットアームを備えたロボットが、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1には、3つのベント軸と4つのスイベル軸とを備えたロボットについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-050386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されているような多関節のロボットアームを備えたロボットであっても、エンドエフェクタによって作業できる空間には制限がある。空間の内部にエンドエフェクタを挿入して空間内部でエンドエフェクタによる作業を行うには、空間内部でロボットアームを屈曲させて、エンドエフェクタを作業対象に対向させる必要がある場合がある。このときにロボットアームにおける空間内部に挿入する部分のサイズが大きいと、ロボットアームと空間の壁面とが接触し、空間内部でロボットアームを円滑に操作することが難しくなる。そのため、エンドエフェクタの届かない位置が生じてしまい、エンドエフェクタによる作業を行うことのできない領域が生じる可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は上記の事情に鑑み、ロボットアームの先端部の届かない位置が少なく抑えられたロボット装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のロボット装置は、ベースと、直列的に連結された複数のリンクと、複数の前記リンクのそれぞれの間を接続する複数の関節とを備え、複数の前記関節は、隣接するリンク同士の間を接続すると共に、隣接するリンク同士のなす角を変更する方向に移動させることが可能なベント軸を有して構成され、前記ベント軸は、前記ベースから先端部にかけて順に、第1ベント軸と、第2ベント軸と、第3ベント軸と、第4ベント軸とを有し、前記第1ベント軸から前記第2ベント軸までの距離をL1、前記第2ベント軸から前記第3ベント軸までの距離をL2、前記第3ベント軸から前記第4ベント軸までの距離をL3とすると、前記L1、前記L2、前記L3のうち、前記L3が最も短いことを特徴とする。
【0007】
上記構成のロボット装置では、先端部に近い第3ベント軸から第4ベント軸までの距離を短く構成しているので、先端部側の部分が小さく形成されている。従って、ロボットアームの先端部に近い部分を狭い空間に挿入した場合にも、空間内部でロボットアームの操作を円滑に行うことができる。これにより、狭い空間内部の全体に亘って先端部が対向することができ、狭い空間内部の全体に亘ってエンドエフェクタによる作業を行うことができる。そのため、ロボットアームの先端部の届かない位置を少なく抑えることができる。
【0008】
また、複数の前記関節は、隣接するリンク同士の間を捻じれる方向に変位させることが
可能なスイベル軸を有して構成されていてもよい。
【0009】
また、前記関節は、前記ベースから先端部にかけて順に、第1関節、第2関節、第3関節、第4関節、第5関節、第6関節及び第7関節を有し、前記ベント軸は、前記ベースから先端部にかけて順に、第1ベント軸と、第2ベント軸と、第3ベント軸と、第4ベント軸とを有し、前記スイベル軸は、前記ベースから先端部にかけて順に、第1スイベル軸と、第2スイベル軸と、第3スイベル軸とを有し、前記リンクは、前記ベースに対し前記第1スイベル軸を有する前記第1関節を介して接続された第1リンクと、前記第1リンクに対し前記第1ベント軸を有する前記第2関節を介して接続された第2リンクと、前記第2リンクに対し前記第2ベント軸を有する前記第3関節を介して接続された第3リンクと、前記第3リンクに対し前記第3ベント軸を有する前記第4関節を介して接続された第4リンクと、前記第4リンクに対し前記第2スイベル軸を有する前記第5関節を介して接続された第5リンクと、前記第5リンクに対し前記第4ベント軸を有する前記第6関節を介して接続された第6リンクと、前記第6リンクに対し前記第3スイベル軸を有する前記第7関節を介して接続された第7リンクとを有していてもよい。
【0010】
また、前記第3ベント軸を挟んで隣接したリンク同士の間のなす角度が、それぞれ互いに平行な関係に位置した基準の状態から、180度未満となる角度で前記第3ベント軸が屈曲され、前記第4ベント軸を挟んで隣接したリンク同士の間のなす角度が、それぞれ互いに平行な関係に位置した基準の状態から、180度未満となる角度で前記第4ベント軸が屈曲されたときに、前記先端部が、前記第2ベント軸と前記第3ベント軸との間を向いて配置されることが可能であってもよい。
【0011】
また、前記先端部が前記ベースの配置されている側を向いた状態で、前記第3ベント軸を、前記ベースに対して、近接、離間させる方向に移動させることが可能であってもよい。
【0012】
また、前記先端部が前記ベースの配置されている側を向いた状態で、前記先端部を、鉛直方向に移動させることが可能であってもよい。
【0013】
また、前記第3ベント軸には、前記第3リンクと前記第4リンクとの間のなす角を変更させる方向に移動させる第1の駆動装置が取り付けられ、前記第2スイベル軸には、前記第4リンクと前記第5リンクとの間を捻じれる方向に変位させる第2の駆動装置が取り付けられ、前記第3リンクの径方向の中央の周囲に空洞部が設けられ、前記第1の駆動装置及び前記第2の駆動装置が、前記空洞部を避けて前記第3リンクに取り付けられていてもよい。
【0014】
また、前記第1の駆動装置及び前記第2の駆動装置は、前記空洞部を挟んでそれぞれ互いに対向する位置に配置され、前記第1の駆動装置及び前記第2の駆動装置のそれぞれの出力軸の延びる方向と、前記空洞部の延びる方向との間のなす角が30度以内となるように、前記第1の駆動装置及び前記第2の駆動装置が配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のロボット装置によれば、より広範囲に亘って作業を行うことができるので、ロボット装置による作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係るロボット装置の斜視図である。
図2図1のロボット装置の制御系統の構成について示したブロック図である。
図3図1のロボット装置における第3リンクの先端部から第7リンクまでの構成について示し、一部を破断して示した部分断面図である。
図4】(a)は、図1のロボット装置において、多関節アームの先端部を塗装対象の開口部に挿入した状態について示した側面図であり、(b)は多関節アームの先端部を屈曲させた状態について示した側面図である。
図5図4(b)のロボット装置において、多関節アームの先端部をさらに屈曲させた状態について示した側面図である。
図6図4(b)のロボット装置において、多関節アームの先端部を塗装対象の開口部に挿入した状態で、ベースに対し近接、離間する方向に多関節アームの先端部を移動させている状態について示した側面図である。
図7図4(b)のロボット装置において、多関節アームの先端部を塗装対象の開口部に挿入した状態で、鉛直方向に多関節アームの先端部を移動させている状態について示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係るロボット装置について、添付図面を参照して説明する。図1に、本実施形態のロボット装置100を示す。図1には、ロボット装置100についての斜視図が示されている。
【0018】
ロボット装置100は、ベース10と、多関節に構成されたロボットアームとしての多関節アーム20とを備えている。
【0019】
ベース10は、地面に設置されている。なお、本発明はこれに限定されず、ベース10は、天井や壁面等、他の位置に取り付けられていてもよい。
【0020】
ベース10の先端部側は、多関節アーム20に接続されている。ここで、「先端部側」との語は、後述するエンドエフェクタの取り付けられる、第7リンクの先端部に近い側の位置のことを言うものとする。先端部は、多関節アーム20の先端部のことを言うものとする。多関節アーム20にエンドエフェクタが取り付けられている場合には、先端部は、エンドエフェクタの先端部のことを言うものとし、エンドエフェクタが取り付けられていない場合には、連結された複数のリンクの最も先端側にあるリンクの先端部のことを言うものとする。
【0021】
多関節アーム20は、直列的に連結された複数のリンク21を備えている。すなわち、多関節アーム20は、複数のリンク21が直列的に連結されて構成されている。本実施形態では、ベース10に近い側から順に、第1リンク211から第7リンク217まで、7つのリンク21を備えている。第1リンク211、第2リンク212、第3リンク213、第4リンク214、第5リンク215、第6リンク216、第7リンク217の各リンク21が、ベース10から先端部へ向けてこの順に直列的に連結されている。
【0022】
複数のリンク21のそれぞれの間には、隣接するリンク21同士の間を接続する関節22が設けられている。本実施形態では、関節22は、ベース10に近い側から順に、第1関節221から第7関節227まで、7つの関節22を有している。
【0023】
複数の関節22は、隣接するリンク同士のなす角を変更する方向に移動させることが可能なベント軸BJTと、隣接するリンク同士の間を捻じれる方向に変位させることが可能なスイベル軸SJTとを有して構成されている。
【0024】
ベント軸BJTは、少なくとも4つ備えられている。本実施形態では、ベント軸BJTは、4つ設けられている。ベース10から多関節アーム20の先端部にかけて順に、第1ベント軸BJT1と、第2ベント軸BJT2と、第3ベント軸BJT3と、第4ベント軸
BJT4とが、ロボット装置100に設けられている。
【0025】
本実施形態では、ベント軸BJTが4つ設けられており、ベント軸BJTの数が比較的多く形成されている。従って、エンドエフェクタの位置を制御するうえで、多関節アーム20を所定の角度屈曲させるに際し、1つのベント軸BJTの受け持つ屈曲が小さく抑えられる。従って、多関節アーム20を屈曲させる際のそれぞれのベント軸の屈曲を小さく抑えることができる。
【0026】
なお、上記実施形態では、ベント軸BJTは4つとしたが、本発明はこれに限定されない。5つ以上のベント軸BJTが設けられていてもよい。
【0027】
また、本実施形態では、スイベル軸SJTは、3つ備えられている。ベース10から多関節アーム20の先端部にかけて順に、第1スイベル軸SJT1と、第2スイベル軸SJT2と、第3スイベル軸SJT3が、ロボット装置100に設けられている。
【0028】
複数の関節22は、ベース10から先端部にかけて順に、第1関節221、第2関節222、第3関節223、第4関節224、第5関節225、第6関節226及び第7関節227を有している。
【0029】
本実施形態では、リンク21は、ベース10に対し第1関節221を介して接続された第1リンク211を有している。第1関節221は、第1スイベル軸SJT1を有している。ベース10に対し第1リンク211が捻じれる方向に変位可能に接続されている。
【0030】
また、リンク21は、第1リンク211に対し第2関節222を介して接続された第2リンク212を有している。第2関節222は、第1ベント軸BJT1を有している。第2リンク212が、第1リンク211に対し、お互いのなす角度を変更可能に接続されている。第2関節222の第1ベント軸BJT1を中心に、第1リンク211と第2リンク212との間のなす角度を変更することが可能に構成されている。
【0031】
また、リンク21は、第2リンク212に対し第3関節223を介して接続された第3リンク213を有している。第3関節223は、第2ベント軸BJT2を有している。第3リンク213が、第2リンク212に対し、お互いのなす角度を変更可能に接続されている。第3関節223の第2ベント軸BJT2を中心に、第2リンク212と第3リンク213との間のなす角度を変更することが可能に構成されている。
【0032】
また、リンク21は、第3リンク213に対し第4関節224を介して接続された第4リンク214を有している。第4関節224は、第3ベント軸BJT3を有している。第4リンク214が、第3リンク213に対し、お互いのなす角度を変更可能に接続されている。第4関節224の第3ベント軸BJT3を中心に、第3リンク213と第4リンク214との間のなす角度を変更することが可能に構成されている。
【0033】
また、リンク21は、第4リンク214に対し第5関節225を介して接続された第5リンク215を有している。第5関節225は、第2スイベル軸SJT2を有している。第4リンク214に対し第5リンク215が捻じれる方向に変位可能に接続されている。
【0034】
また、リンク21は、第5リンク215に対し第6関節226を介して接続された第6リンク216を有している。第6関節226は、第4ベント軸BJT4を有している。第6リンク216が、第5リンク215に対し、お互いのなす角度を変更可能に接続されている。第6関節226の第4ベント軸BJT4を中心に、第6リンク216と第5リンク215との間のなす角度を変更することが可能に構成されている。
【0035】
また、リンク21は、第6リンク216に対し第7関節227を介して接続された第7リンク217を有している。第7関節227は、第3スイベル軸SJT3を有している。第6リンク216に対し第7リンク217が捻じれる方向に変位可能に接続されている。
【0036】
以上のように、多関節アーム20は、7つのリンク21と、7つの関節22とを備えている。7つの関節22には、ベース10から多関節アーム20の先端部にかけて、第1スイベル軸SJT1、第1ベント軸BJT1、第2ベント軸BJT2、第3ベント軸BJT3、第2スイベル軸SJT2、第4ベント軸BJT4、第3スイベル軸SJT3が、この順に、それぞれの関節に対応して設けられている。
【0037】
また、上述のように、第2関節222は第1ベント軸BJT1を有し、第3関節223は第2ベント軸BJT2を有し、第4関節224は第3ベント軸BJT3を有して構成されている。従って、第2関節222から第4関節224までは、それぞれベント軸BJTによって隣接するリンクの間が屈曲するように構成されている。本実施形態では、第2関節222と第4関節224との間の区間では、スイベル軸SJTがなく、リンク同士の間で捻じれが生じない。従って、第2関節222の第1ベント軸BJT1の軸中心と、第3関節223の第2ベント軸BJT2の軸中心と、第4関節224の第3ベント軸BJT3の軸中心とが平行になるように構成されている。
【0038】
また、本実施形態では、第1ベント軸BJT1から第2ベント軸BJT2までの距離L1、第2ベント軸BJT2から第3ベント軸BJT3までの距離L2、第3ベント軸BJT3から第4ベント軸BJT4までの距離L3とすると、L1、L2、L3のうち、L3が最も短くなるように構成されている。
【0039】
多関節アーム20は、各関節22に対応した関節駆動部を備えている。各関節駆動部は、サーボドライバ、サーボモータ、回転角検出器および減速機などを含んでいる。サーボモータの回転は、制御装置23によってサーボ制御される。
【0040】
図2に、本実施形態のロボット装置100で用いられる制御装置23についてのブロック図を示す。
【0041】
制御装置23は、図2に示すように、CPU等の演算部23aと、ROM、RAM等の記憶部23bと、サーボ制御部23cと、を備える。制御装置23は、例えばマイクロコントローラ等のコンピュータを備えたロボットコントローラである。なお、制御装置23は、集中制御する単独の制御装置23によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御装置23によって構成されていてもよい。
【0042】
記憶部23bには、ロボットコントローラとしての基本プログラム、各種固定データ等の情報が記憶されている。演算部23aは、記憶部23bに記憶された基本プログラム等のソフトウェアを読み出して実行することにより、ロボット装置100の各種動作を制御する。たとえば、制御装置23は、記憶部23bに予め記憶されたプログラム、または、作業者により入力された操作に基づいて多関節アーム20の動作を制御する。
【0043】
すなわち、演算部23aは、ロボット装置100の制御指令を生成し、これをサーボ制御部23cに出力する。サーボ制御部23cは、演算部23aにより生成された制御指令に基づいて、多関節アーム20の各関節22に対応するサーボモータの駆動を制御するように構成されている。
【0044】
次に、第3リンク213に取り付けられたサーボモータの配置について説明する。図3
に、第3リンク213の一部を部分的に破断して内部の構成について示した構成図を示す。
【0045】
上述のように、第3リンクは、先端部で第4リンクに接続されている。第3リンク213と第4リンク214とは、第3ベント軸BJT3を有する第4関節224を介して接続されている。従って、第3リンク213と第4リンク214との間で、お互いのなす角度を変更可能に接続されている。
【0046】
第3リンク213と第4リンク214とがお互いのなす角度を変更可能に接続された接続部分の構成について説明する。第4リンク214の回転軸の軸線をS4とする。
【0047】
第3リンク213には、第3リンク213に対して第4リンク214を移動させるためのサーボモータとして、第4リンク駆動モータ(第1の駆動装置)30が設けられている。第4リンク駆動モータ30の出力軸には、傘歯車としてのギア31が取り付けられている。
【0048】
また、ギア31に噛み合うように、ギア31の上部に傘歯車としてのギア32が取り付けられている。また、ギア32の上部で、ギア32の根本側の位置に固定的にギア33が取り付けられている。ギア32の回転軸とギア33の回転軸とが一致するように、ギア32とギア33とがそれぞれ互いに固定的に取り付けられている。
【0049】
また、ギア33の配置された面と略同一面に、ギア34が、ギア33に噛み合うように、ギア33に隣接して配置されている。ギア34には、下部に軸35が取り付けられている。ギア34の回転軸と軸35の回転軸とが一致するように取り付けられている。
【0050】
軸35には、軸35に固定的にフランジ36が取り付けられている。フランジ36には、フランジ36に一体的に第4リンク214が取り付けられている。
【0051】
このように構成された第3リンク213と第4リンク214との間の接続部分において、第4リンク駆動モータ30が駆動されると、第4リンク駆動モータ30の出力軸が回転し、ギア31が回転する。ギア31が回転すると、それに伴い、ギア31に噛み合ったギア32が回転する。ギア32が回転すると、ギア32に固定的に取り付けられたギア33がギア32と同方向に回転する。ギア33が回転すると、それに伴い、ギア33に噛み合ったギア34が軸線S4を中心に回転する。ギア34が回転すると、ギア34に固定的に取り付けられた軸35が同様に軸線S4を中心に回転する。軸35が回転すると、軸35に固定的に取り付けられたフランジ36が軸線S4を中心に回転する。フランジ36が回転すると、それに伴って第4リンク214も軸線S4を中心に回転する。
【0052】
このように、第4リンク駆動モータ30を駆動させることにより、第3リンク213に対し、第4リンク214を、軸線S4を中心に回転させることができる。
【0053】
なお、ここでは、第3リンク213と第4リンク214との間の第3ベント軸BJT3の構成について説明したが、他のベント軸BJTについても同様の構成を有していてもよい。また、他のベント軸BJTについては、他の構成であってもよい。
【0054】
また、上述のように、第4リンク214と第5リンク215とは、第2スイベル軸SJT2を有する第5関節225を介して接続されている。従って、第4リンク214と第5リンク215との間で、互いに捻じれる方向に変位可能に接続されている。
【0055】
第3リンク213には、第4リンク214に対して第5リンク215を移動させるため
のサーボモータとして、第5リンク駆動モータ(第2の駆動装置)37が設けられている。第5リンク駆動モータ37の出力軸には、傘歯車としてのギア38が取り付けられている。
【0056】
また、ギア38に噛み合うように、ギア38の下部に傘歯車としてのギア39が取り付けられている。また、ギア39の下部で、ギア39の根本側の位置に固定的にギア40が取り付けられている。ギア39の回転軸とギア40の回転軸とが一致するように、ギア39とギア40とがそれぞれ互いに固定的に取り付けられている。
【0057】
また、ギア40の配置された面と略同一面に、ギア41が、ギア40に噛み合うように、ギア40に隣接して配置されている。ギア41には、上部に軸42が取り付けられている。ギア41の回転軸と軸42の回転軸とが一致するように取り付けられている。
【0058】
軸42には、軸42に固定的に、傘歯車としてのギア43が取り付けられている。ギア43の回転軸と、軸42の回転軸とが一致するように、ギア43と軸42とがそれぞれ互いに取り付けられている。ギア43に隣接する位置に、ギア43に噛み合うように、傘歯車としてのギア44が取り付けられている。ギア44には、ギア44に固定的に第5リンク215が取り付けられている。
【0059】
このように構成された第4リンク214と第5リンク215との間の接続部分において、第5リンク駆動モータ37が駆動されると、出力軸が回転し、ギア38が回転する。ギア38が回転すると、それに伴い、ギア38に噛み合ったギア39が回転する。
【0060】
ギア39が回転すると、ギア39に固定的に取り付けられたギア40がギア39と同方向に回転する。ギア40が回転すると、それに伴い、ギア40に噛み合ったギア41が軸線S4を中心に回転する。ギア41が回転すると、ギア41に固定的に取り付けられた軸42が同様に軸線S4を中心に回転する。軸42が回転すると、軸42に固定的に取り付けられたギア43が回転する。
【0061】
ギア43が回転すると、ギア43に噛み合ったギア44が回転する。ギア43及びギア44は、それぞれ傘歯車なので、ギア43とギア44とは斜めに噛み合っている。そのため、ギア43が回転すると、ギア43に斜めに噛み合ったギア44は、ギア43に対し、第4リンク214の周方向に沿って移動する。ギア44が周方向に沿って移動すると、ギア44に固定的に取り付けられた第5リンク215が、第4リンク214に対し、第4リンク214の周方向に沿って移動する。これにより、第5リンク215が、第4リンク214に対し、捻じれる方向に変位する。結果的に、第4リンク214及び第5リンク215が、互いに捻じれる方向に変位する。
【0062】
このように、第5リンク駆動モータ37を駆動させることにより、第4リンク214に対し、第5リンク215を、捻じれる方向に回転させることができる。
【0063】
なお、ここでは、第4リンク214と第5リンク215との間の第2スイベル軸SJT2の構成について説明したが、他のスイベル軸SJTについても同様の構成を有していてもよい。また、他のスイベル軸SJTについては、他の構成であってもよい。
【0064】
また、第5リンク215、第6リンク216、第7リンク217の間においても、ベース10側から先端部側に向けて、比較的短い区間にベント軸BJTの次にスイベル軸SJTが配置された構成を有している。従って、第5リンク215、第6リンク216、第7リンク217の間についても、第3リンク213、第4リンク214、第5リンク215の間の構成と同様の構成を有していてもよい。
【0065】
第3リンク213には、第3リンク213の延在する方向に沿って、第3リンク213の径方向の中央の周囲に、空洞部50が設けられている。空洞部50には、リンク21及び関節22を構成する部材は配置されない。空洞部50には、例えば、それぞれのリンク21を駆動させるためのサーボモータに接続させる配線や、エンドエフェクタを駆動するための配線を通すことができる。配線がリンク21の内部の空洞部を通って配置される場合には、配線がリンク21の移動を妨げることを抑えることができる。また、配線がリンク21に引っ張られることで切断されることを抑えることができる。
【0066】
なお、空洞部50に配置されるものとしては、上記実施形態に限定されない。空洞部50には、配線以外の他の構成が配置されてもよい。
【0067】
空洞部50は、第4リンク214~第7リンク217についても形成されている。従って、第3リンク213~第7リンク217までに亘って、それぞれのリンク21の延在する方向に沿って、径方向の中央の周囲に空洞部50が設けられている。第4リンク駆動モータ30及び第5リンク駆動モータ37は、空洞部50を避けて第3リンク213の内部に取り付けられている。
【0068】
第4リンク駆動モータ30及び第5リンク駆動モータ37は、空洞部50を挟んでそれぞれ互いに対向する位置に配置されている。第4リンク駆動モータ30及び第5リンク駆動モータ37のそれぞれの出力軸の延びる方向は、空洞部50の延びる方向に平行となるように、第4リンク駆動モータ30及び第5リンク駆動モータ37がそれぞれ配置されている。
【0069】
第4リンク駆動モータ30及び第5リンク駆動モータ37がそれぞれ第3リンク213の延在する第3リンク213の軸方向に平行に配置されているので、これらの向かい合うz方向には比較的長い出力軸は延びていない。第4リンク駆動モータ30及び第5リンク駆動モータ37が向かい合ったz方向に沿って、比較的長い出力軸が延びるわけではなく、それぞれのモータの比較的短い部分がそれぞれz方向に沿って延びることになる。
【0070】
本実施形態では、第4リンク駆動モータ30及び第5リンク駆動モータ37の向かい合うz方向に対し、第4リンク駆動モータ30と第4リンク214を駆動させるためのギア等の構成とが重なった位置に配置されている。また、同様にz方向に対し、第5リンク駆動モータ37と、第5リンク215を駆動させるためのギア等の構成とが重なった位置に配置されている。従って、第4リンク駆動モータ30及び第5リンク駆動モータ37の向かい合うz方向に対し、第3リンク213が大型化することを抑えることができる。
【0071】
従って、第3リンク213をz方向に沿って小型化することができる。これにより、ロボット装置100を小型化させることができる。そのため、ロボット装置100の製造コストを少なく抑えることができる。また、ロボット装置100を設置するためのスペースを大きく確保する必要がなく、ロボット装置100の適用させることのできる範囲を広げることができる。
【0072】
なお、本実施形態では、第4リンク駆動モータ30及び第5リンク駆動モータ37のそれぞれの出力軸の延びる方向が、空洞部50の延びる方向に平行となるように、第4リンク駆動モータ30及び第5リンク駆動モータ37がそれぞれ配置されているが、本発明は上記実施形態に限定されない。第4リンク駆動モータ30及び第5リンク駆動モータ37のそれぞれの出力軸は、空洞部50の延びる方向に対し傾いていてもよい。第4リンク駆動モータ30及び第5リンク駆動モータ37のそれぞれの出力軸の延びる方向が、空洞部50の延びる方向に対し傾いていても、30度以内で傾いているのであれば、第3リンク
213を小型化させることができる。従って、第4リンク駆動モータ30及び第5リンク駆動モータ37のそれぞれの出力軸の延びる方向と、空洞部50の延びる方向との間のなす角が30度以内となるように、第4リンク駆動モータ30及び第5リンク駆動モータ37が配置されてもよい。
【0073】
また、本実施形態では、第4リンク駆動モータ30、第5リンク駆動モータ37といったモータ等の駆動系の部品が密集して配置されている。従って、これらの駆動系の部品の配置のためのスペースが小型化されている。そのため、駆動系の部品を配置した領域以外の領域には、駆動系以外の部品を多く配置することができ、第3リンク213の内部のスペースをより有効に利用することができる。
【0074】
第7リンク217の先端部には、エンドエフェクタが取り付けられる。多関節アーム20を制御することによって、エンドエフェクタの位置を制御し、所定位置でエンドエフェクタによって作業をすることができる。
【0075】
本実施形態では、エンドエフェクタとして、塗装用のスプレーガンを取り付けることができる。本実施形態では特に、自動車工場の塗装ラインで用いられる塗装用のスプレーガンが、エンドエフェクタとして第7リンク217の先端部に取り付けられる。
【0076】
以下、エンドエフェクタとして塗装用スプレーガン60が取り付けられた形態のロボット装置100の動作について説明する。
【0077】
エンドエフェクタとして塗装用スプレーガン60が取り付けられたロボット装置100の側面図を図4(a)、(b)に示す。
【0078】
本実施形態では、塗装用スプレーガン60によって塗装の行われる塗装対象70に開口部71が形成されている。塗装用スプレーガン60は、先端から塗装用の塗料を噴射することができる。塗装用スプレーガン60の先端部を、塗装対象70における塗装の行われる塗装領域に対向させて先端から塗料を噴射させることにより、塗装領域に塗料を吹き付けて塗装を行うことができる。
【0079】
図4(a)に示されるように、ロボット装置100における多関節アーム20の先端部を開口部71に挿入し、塗装対象におけるベース10とは反対側の部位に塗装用スプレーガン60を配置することができる。そこから、図4(b)に示されるように、ベース10に対し塗装対象70の裏側の領域で第3ベント軸BJT3及び第4ベント軸BJT4を屈曲させることにより、塗装用スプレーガン60をベース10に対し塗装対象70の裏側の面に対向させることができる。
【0080】
このとき、塗装対象70の開口部71を通して、多関節アーム20の先端部がベース10とは反対側に位置した状態で、第3ベント軸及び第4ベント軸を屈曲させることにより塗装用スプレーガン60を塗装対象70の裏側の面に対向させることができる。
【0081】
本実施形態では、第1ベント軸BJT1から第2ベント軸BJT2までの距離L1、第2ベント軸BJT2から第3ベント軸BJT3までの距離L2、第3ベント軸BJT3から第4ベント軸BJT4までの距離L3とすると、L1、L2、L3のうち、L3が最も短くなるように構成されている。従って、第3ベント軸BJT3よりも先端側の部分は、比較的小さく形成されている。そのため、塗装用スプレーガン60を塗装対象70の裏側の面に対向させるための第4リンク214から第7リンク217までの部分の取り回しを、狭いスペースで行うことができる。塗装用スプレーガン60を塗装対象70の裏側の面に対向させるための取り回しを狭いスペースで行うことができるので、塗装対象70の内
部に取り回しのための広いスペースを必要とせず、塗装対象70の適用できる範囲を広くすることができる。
【0082】
このように、多関節アーム20の先端部に近い部分が小さく構成されているので、多関節アーム20の先端部に近い部分を塗装対象70の狭い空間に挿入した場合にも、空間内部で多関節アーム20の操作を円滑に行うことができる。これにより、塗装対象70における狭い空間内部の全体に亘って先端部を対向させることができる。多関節アーム20の先端部にエンドエフェクタを取り付けた場合には、狭い空間内部の全体に亘ってエンドエフェクタによる作業を行うことができる。そのため、ロボットアームの先端部の届かない位置を少なく抑えることができる。これにより、より広範囲に亘ってエンドエフェクタによる作業を行うことができるので、ロボット装置100による作業効率を向上させることができる。本実施形態では、より広範囲に亘って塗装用スプレーガン60による塗装を行うことができる。
【0083】
また、第3リンク213の先端部から第7リンク217の先端部にかけて、小さい領域に、第3ベント軸BJT3、第2スイベル軸SJT2、第4ベント軸BJT4、第3スイベル軸SJT3が集中的に配置されている。そのため、第3リンク213の先端部よりも先端側の部分の自由度が高く形成されている。従って、塗装用スプレーガン60の姿勢を細かく調節することができる。つまり、エンドエフェクタの姿勢を細かく調節することができる。また、第3リンク213の先端部よりも先端側が小さく形成されている。従って、狭いスペースで周囲との干渉を避けながら塗装用スプレーガン60の姿勢を調節することができる。つまり、狭いスペースでエンドエフェクタの姿勢を調節することができる。
【0084】
図5に、第4ベント軸BJT4を図4(b)の状態からさらに屈曲させた状態の、ロボット装置100の側面図を示す。図5に示されるように、第4ベント軸BJT4を中心に、矢印D1に沿って、第5リンク215と第6リンク216との間のなす角度が90度よりも小さくする方向に第6リンク216を移動させている。その結果、第5リンク215と第6リンク216との間に鋭角が形成されてロボット装置100が構成されている。
【0085】
第5リンク215に対し第6リンク216を移動させることにより、塗装用スプレーガン60の対向する領域を変更させることができる。図5では、第4ベント軸BJT4を中心に、第6リンク216が、第5リンク215に対し、第3リンク213に近接する方向に移動している。
【0086】
このとき、第3ベント軸BJT3は、第3リンク213と第4リンク214との間のなす角度が、第3リンク213と第4リンク214とがそれぞれ互いに平行な関係に位置した基準の状態から、180度未満で屈曲される。また、第4ベント軸BJT4は、第5リンク215と第6リンク216との間のなす角度が、第5リンク215と第6リンク216とがそれぞれ互いに平行な関係に位置した基準の状態から、180度未満で屈曲される。つまり、第3ベント軸BJT3を挟んで隣接したリンク同士の間のなす角度が、それぞれ互いに平行な関係に位置した基準の状態から、180度未満となる角度で第3ベント軸BJT3が屈曲される。また、第4ベント軸BJT4を挟んで隣接したリンク同士の間のなす角度が、それぞれ互いに平行な関係に位置した基準の状態から、180度未満となる角度で第4ベント軸BJT4が屈曲される。
【0087】
ここで、基準の状態とは、リンク同士が平行な位置関係にあるときの状態のことを言うものとする。隣接したリンク同士の間のなす角度は、リンク同士が平行な位置関係にあるときに0度とし、そこからの角度を、隣接したリンク同士の間のなす角度と言うものとする。
【0088】
このように、本実施形態では、塗装対象70についてのベース10とは反対側の領域にベント軸BJTが2つあるので、それぞれのベント軸BJTを中心に隣接するリンク同士の間を屈曲させることにより、隣接するリンク同士の間の屈曲を小さくすることができる。第3ベント軸BJT3及び第4ベント軸BJT4のそれぞれを中心に、リンク21同士の間を180度未満の比較的小さい角度で屈曲させることによって塗装用スプレーガン60を広範囲の領域に対し対向させることができる。つまり、リンク21同士の間を比較的小さい角度で屈曲させることによって、第7リンク217の先端部を、広範囲の領域に対し対向させることができる。
【0089】
このとき、少なくとも、第7リンク217の先端部が第3リンク213を向いた状態で、第7リンク217を配置することが可能である。つまり、第7リンク217の先端部が、第2ベント軸BJT2と第3ベント軸とBJT3の間を向いて配置されることが可能である。図5では、塗装対象70における、ベース10とは反対側の面の、第3リンク213に最も近接した端部の領域に対して塗料を吹き付けている。本実施形態によれば、第3リンク213の先端部から第7リンクの先端部までにベント軸BJTを2つ配置させることにより、塗装対象70におけるベース10とは反対側の面の、第3リンク213に最も近接した領域に対しても塗料を吹き付けることができる。
【0090】
このように、塗装対象70における、ベース10とは反対側の面について、第3リンク213に最も近接した領域に対しても塗料を吹き付けることができるので、塗装対象70における、ベース10とは反対側の面の全体に亘って塗料を吹き付けることができる。従って、塗装対象70に塗装を行う際に、塗装用スプレーガン60の届かない位置が生じずに、塗装対象70の全体に満遍なく塗装を行うことができる。
【0091】
本実施形態では、第4リンク214を、第3リンクに対し、第3リンク213と第4リンク214とがそれぞれ互いに平行な関係に位置した基準の状態から、90度屈曲させている。また、第6リンク216を、第5リンク215に対し、90度以上屈曲させることにより、第7リンク217の先端部が第3リンク213を向く位置に第7リンク217を配置させている。このとき、第6リンク216は、第5リンク215に対し、第5リンク215と第6リンク216とがそれぞれ互いに平行な関係に位置した基準の状態から、180度未満と、比較的小さく屈曲されている。
【0092】
仮に、塗装対象70についてのベース10とは反対側の領域に、ベント軸BJTが1つしかない場合には、塗装対象70のベース10側とは反対側の裏面の開口部71付近を塗装するには、ベント軸BJTを略180度屈曲させる必要が生じる。つまり、隣接するリンク同士のなす角度を、隣接するリンク同士が平行な関係にある基準の状態から、隣接するリンク同士が重なるような位置まで略180度屈曲させる必要が生じる。その場合、隣接するリンク同士の間をあまりに大きく屈曲させることにより、リンク同士が干渉してしまい、リンク同士の間の屈曲が不足してしまう可能性がある。これにより、塗装用スプレーガン60を塗装対象のベース10とは反対側の領域の全体に亘って対向させることができず、塗装を行うことができない領域が生じる可能性がある。
【0093】
これに対し本実施形態では、塗装対象70についてのベース10とは反対側の領域を塗装するに当たって、隣接するリンク21同士の間で屈曲させる角度を比較的小さい角度とすることができる。従って、隣接するリンク同士の間で干渉することが抑えられ、塗装対象70についてのベース10とは反対側の位置で、広範囲の領域に対し塗装用スプレーガン60の先端部を対向させることができる。従って、塗装対象70における、ベース10とは反対側の領域で、広範囲に亘って塗装を行うことができる。
【0094】
また、本実施形態のロボット装置100によれば、塗装対象70の開口部71に多関節
アーム20の先端部分を挿入した状態で、多関節アーム20の先端部を、ベース10から離間、近接する方向に往復移動させることが可能である。このとき、第3ベント軸BJT3及び第4ベント軸BJT4が屈曲され、塗装用スプレーガン60がベース10の配置されている側を向いた状態で、第3リンク213の先端部を、ベース10に対して、近接、離間させる方向に移動させることが可能である。すなわち、第7リンク217の先端部がベース10の配置されている側を向いた状態で、第3リンク213の先端部を、ベース10に対して、近接、離間させる方向に移動させることが可能である。
【0095】
つまり、第3ベント軸BJT3及び第4ベント軸BJT4が屈曲され、第7リンク217の先端部がベース10の配置されている側を向いた状態で、第3ベント軸BJT3を、ベース10に対して、近接、離間させる方向に移動させることが可能である。
【0096】
図6に、塗装対象70における塗装用スプレーガン60と対向した位置を変更しないまま塗装用スプレーガン60を塗装対象70に対して近接、離間する方向に移動させたときのロボット装置100の側面図を示す。図6には、それぞれのリンク21が、実線で表示された位置から、破線で表示された位置に移動することにより、塗装用スプレーガン60と塗装対象70との間の距離を変更している。図6では、それぞれのリンク21が破線で表示された位置に移動することにより、塗装用スプレーガン60を塗装対象70に近接させている。
【0097】
このように、塗装用スプレーガン60の向いた方向を決定し、塗装用スプレーガン60による位置決めを行った後に、塗装用スプレーガン60の向いた方向を変更せずに塗装用スプレーガン60と塗装対象70との間の距離を変更させることができる。従って、塗装の際の塗装位置の調節や、塗装用スプレーガン60による塗料の拡散の程度の調節を行うことができる。これにより、より操作性が向上されたロボット装置100を提供することができる。
【0098】
また、本実施形態のロボット装置100によれば、塗装対象70の開口部71に多関節アーム20の先端部分を挿入した状態で、多関節アーム20の先端部を、鉛直方向に移動させることが可能である。このとき、塗装用スプレーガン60がベース10の配置されている側を向いた状態で、塗装用スプレーガン60を、鉛直方向に移動させることが可能である。すなわち、第7リンク217の先端部がベース10の配置されている側を向いた状態で、第7リンク217の先端部を、鉛直方向に移動させることが可能である。つまり、第7リンク217の先端部がベース10の配置されている側を向いた状態で、第7リンク217の先端部を、鉛直方向に移動させることが可能である。従って、塗装用スプレーガン60の先端部がベース10の配置されている側を向いた状態で、塗装用スプレーガン60の先端部を、鉛直方向に移動させることが可能である。
【0099】
図7に、塗装用スプレーガン60を鉛直方向に移動させたときのロボット装置100の側面図を示す。このように、本実施形態では、塗装対象70の開口部71に多関節アーム20を挿入した状態で塗装用スプレーガン60を鉛直方向に移動させることができるので、塗装対象70におけるベース10とは反対側の面の全体に亘って塗装を行うことができる。このとき、第7リンク217の届く範囲内で、塗装用スプレーガン60を鉛直方向に移動させることができる。
【0100】
なお、図7に示される形態では、第4リンク214の長さが、図6に示される形態と比べて長く形成されている。このように、用途に合わせていずれかのリンクが交換されて使用されてもよい。第4リンク214が長く形成されているので、塗装用スプレーガン60を鉛直方向の広い範囲に亘って移動させることができる。また、第4リンク214以外のリンクが用途に応じて変更されてもよい。
【0101】
なお、上記実施形態では、エンドエフェクタとして、塗装用スプレーガンを用いる形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。吹き出しの行われるものが塗料ではなく、他の液体を吹き出す吹出手段がエンドエフェクタとして用いられてもよい。また、エンドエフェクタとして、吹き出しを行う吹出手段以外のものが用いられてもよい。例えば、エンドエフェクタとして、吸引手段が使用され、吸引手段によって、ごみや埃等の吸引が行われる形態であってもよい。
【符号の説明】
【0102】
10 ベース
21 リンク
22 関節
BJT ベント軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7