(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】不正登録防止装置、不正登録防止方法、および、不正登録防止プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20241120BHJP
G06Q 10/06 20230101ALI20241120BHJP
【FI】
G06Q50/08
G06Q10/06
(21)【出願番号】P 2022043162
(22)【出願日】2022-03-17
【審査請求日】2024-06-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 翔馬
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】菅原 浩二
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-165036(JP,A)
【文献】特開2003-162612(JP,A)
【文献】特開2006-119917(JP,A)
【文献】特開2022-032175(JP,A)
【文献】特開2005-141712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と制御部とを備えた不正登録防止装置であって、
前記記憶部は、
建設工事のプロジェクト、および、元請下請区分を設定した工事基本情報を記憶する工事基本記憶手段と、
前記建設工事の前記プロジェクト、技術担当区分、および、担当者を紐付けて設定した工事技術担当者情報を記憶する工事技術担当者記憶手段と、
原価科目、および、下請金額対象是非を紐付けて設定した原価科目マスタと、
前記プロジェクト、受注番号および受注行番号を紐付けて設定した受注明細情報、ならびに、前記原価科目および予算金額を紐付けて設定した、前記受注明細情報毎の予算明細情報を記憶する工事記憶手段と、
を備え、
前記制御部は、
前記建設工事開始後に、請負金額および/または下請金額の変動により前記予算金額が変更された場合、前記原価科目、および、
変更後の予算金額を紐付けて設定した
、前記受注明細情報毎の変更後の予算明細情報を取得する予算明細取得手段と、
前記工事基本情報に基づいて、前記予算明細情報に設定された前記プロジェクトが元請であるか否かを判定する元請判定手段と、
前記原価科目マスタに基づいて、前記元請判定手段により前記元請であると判定された前記プロジェクト単位で、下請金額対象である前記原価科目が設定された前記予算明細情報に設定された前記予算金額を集計した集計金額を取得し、前記プロジェクト、および、前記集計金額を紐付けて設定した集計情報を取得する集計手段と、
前記集計金額が設定金額以上であるか否かを判定する設定金額判定手段と、
前記工事技術担当者情報に基づいて、前記設定金額判定手段により前記設定金額以上であると判定された前記集計金額が設定された前記集計情報に設定された前記プロジェクトの前記担当者として監理技術者が設置されているか否かを判定する設置判定手段と、
前記設置判定手段により前記監理技術者が設置されていないと判定された前記プロジェクトに対するエラー表示を表示させるエラー表示手段と、
を備えたことを特徴とする不正登録防止装置。
【請求項2】
前記下請金額対象である原価科目は、
外注費であることを特徴とする請求項1に記載の不正登録防止装置。
【請求項3】
前記設定金額は、
4,000万円であることを特徴とする請求項1または2に記載の不正登録防止装置。
【請求項4】
前記予算明細取得手段は、
更に、予算入力時に、予算入力画面表示要求が入力された場合、予算入力画面を表示させ、前記予算入力画面に
て前記原価科目および前記予算金額が設定された場合、
前記受注明細情報毎の前記予算明細情報を
登録することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の不正登録防止装置。
【請求項5】
前記制御部は、
工事入力画面表示要求が入力された場合、工事基本情報入力画面を表示させ、前記工事基本情報入力画面にて前記建設工事の前記プロジェクトおよび前記元請下請区分が設定された場合、前記工事基本情報を前記工事基本記憶手段に登録する工事登録手段、
を更に備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の不正登録防止装置。
【請求項6】
記憶部と制御部とを備えた不正登録防止装置に実行させるための不正登録防止方法であって、
前記記憶部は、
建設工事のプロジェクト、および、元請下請区分を設定した工事基本情報を記憶する工事基本記憶手段と、
前記建設工事の前記プロジェクト、技術担当区分、および、担当者を紐付けて設定した工事技術担当者情報を記憶する工事技術担当者記憶手段と、
原価科目、および、下請金額対象是非を紐付けて設定した原価科目マスタと、
前記プロジェクト、受注番号および受注行番号を紐付けて設定した受注明細情報、ならびに、前記原価科目および予算金額を紐付けて設定した、前記受注明細情報毎の予算明細情報を記憶する工事記憶手段と、
を備え、
前記制御部
において実行さ
れる、
前記建設工事開始後に、請負金額および/または下請金額の変動により前記予算金額が変更された場合、前記原価科目、および、
変更後の予算金額を紐付けて設定した
、前記受注明細情報毎の変更後の予算明細情報を取得する予算明細取得ステップと、
前記工事基本情報に基づいて、前記予算明細情報に設定された前記プロジェクトが元請であるか否かを判定する元請判定ステップと、
前記原価科目マスタに基づいて、前記元請判定ステップにて前記元請であると判定された前記プロジェクト単位で、下請金額対象である前記原価科目が設定された前記予算明細情報に設定された前記予算金額を集計した集計金額を取得し、前記プロジェクト、および、前記集計金額を紐付けて設定した集計情報を取得する集計ステップと、
前記集計金額が設定金額以上であるか否かを判定する設定金額判定ステップと、
前記工事技術担当者情報に基づいて、前記設定金額判定ステップにて前記設定金額以上であると判定された前記集計金額が設定された前記集計情報に設定された前記プロジェクトの前記担当者として監理技術者が設置されているか否かを判定する設置判定ステップと、
前記設置判定ステップにて前記監理技術者が設置されていないと判定された前記プロジェクトに対するエラー表示を表示させるエラー表示ステップと、
を含むことを特徴とする不正登録防止方法。
【請求項7】
記憶部と制御部とを備えた不正登録防止装置に実行させるための不正登録防止プログラムであって、
前記記憶部は、
建設工事のプロジェクト、および、元請下請区分を設定した工事基本情報を記憶する工事基本記憶手段と、
前記建設工事の前記プロジェクト、技術担当区分、および、担当者を紐付けて設定した工事技術担当者情報を記憶する工事技術担当者記憶手段と、
原価科目、および、下請金額対象是非を紐付けて設定した原価科目マスタと、
前記プロジェクト、受注番号および受注行番号を紐付けて設定した受注明細情報、ならびに、前記原価科目および予算金額を紐付けて設定した、前記受注明細情報毎の予算明細情報を記憶する工事記憶手段と、
を備え、
前記制御部において、
前記建設工事開始後に、請負金額および/または下請金額の変動により前記予算金額が変更された場合、前記原価科目、および、
変更後の予算金額を紐付けて設定した
、前記受注明細情報毎の変更後の予算明細情報を取得する予算明細取得ステップと、
前記工事基本情報に基づいて、前記予算明細情報に設定された前記プロジェクトが元請であるか否かを判定する元請判定ステップと、
前記原価科目マスタに基づいて、前記元請判定ステップにて前記元請であると判定された前記プロジェクト単位で、下請金額対象である前記原価科目が設定された前記予算明細情報に設定された前記予算金額を集計した集計金額を取得し、前記プロジェクト、および、前記集計金額を紐付けて設定した集計情報を取得する集計ステップと、
前記集計金額が設定金額以上であるか否かを判定する設定金額判定ステップと、
前記工事技術担当者情報に基づいて、前記設定金額判定ステップにて前記設定金額以上であると判定された前記集計金額が設定された前記集計情報に設定された前記プロジェクトの前記担当者として監理技術者が設置されているか否かを判定する設置判定ステップと、
前記設置判定ステップにて前記監理技術者が設置されていないと判定された前記プロジェクトに対するエラー表示を表示させるエラー表示ステップと、
を実行させるための不正登録防止プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不正登録防止装置、不正登録防止方法、および、不正登録防止プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、建設工事に配置をもとめられている人員が、所定の期間にわたり所定の属性を有する担当技術者を配置するための計画情報を取得する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の発明においては、建設工事の予算入力の登録時に、監理技術者の設置が必要か否かをチェックすることができないという課題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、建設業法に基づいて、建設工事の予算入力の登録時に、元請工事の予算金額が一定以上の工事において、監理技術者を配置する必要があるか否かを判定することができる不正登録防止装置、不正登録防止方法、および、不正登録防止プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る不正登録防止装置は、記憶部と制御部とを備えた不正登録防止装置であって、前記記憶部は、建設工事のプロジェクト、および、元請下請区分を設定した工事基本情報を記憶する工事基本記憶手段と、前記建設工事の前記プロジェクト、技術担当区分、および、担当者を紐付けて設定した工事技術担当者情報を記憶する工事技術担当者記憶手段と、原価科目、および、下請金額対象是非を紐付けて設定した原価科目マスタと、を備え、前記制御部は、前記プロジェクト、前記原価科目、および、予算金額を紐付けて設定した予算明細情報を取得する予算明細取得手段と、前記工事基本情報に基づいて、前記予算明細情報に設定された前記プロジェクトが元請であるか否かを判定する元請判定手段と、前記原価科目マスタに基づいて、前記元請判定手段により前記元請であると判定された前記プロジェクト単位で、下請金額対象である前記原価科目が設定された前記予算明細情報に設定された前記予算金額を集計した集計金額を取得し、前記プロジェクト、および、前記集計金額を紐付けて設定した集計情報を取得する集計手段と、前記集計金額が設定金額以上であるか否かを判定する設定金額判定手段と、前記工事技術担当者情報に基づいて、前記設定金額判定手段により前記設定金額以上であると判定された前記集計金額が設定された前記集計情報に設定された前記プロジェクトの前記担当者として監理技術者が設置されているか否かを判定する設置判定手段と、前記設置判定手段により前記監理技術者が設置されていないと判定された前記プロジェクトに対するエラー表示を表示させるエラー表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る不正登録防止装置において、前記下請金額対象である原価科目は、外注費であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る不正登録防止装置において、前記設定金額は、4,000万円であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る不正登録防止装置において、前記予算明細取得手段は、予算入力時に、予算入力画面表示要求が入力された場合、予算入力画面を表示させ、前記予算入力画面にて前記プロジェクト、前記原価科目および前記予算金額が設定された場合、前記予算明細情報を取得することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る不正登録防止装置において、前記制御部は、工事入力画面表示要求が入力された場合、工事基本情報入力画面を表示させ、前記工事基本情報入力画面にて前記建設工事の前記プロジェクトおよび前記元請下請区分が設定された場合、前記工事基本情報を前記工事基本記憶手段に登録する工事登録手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る不正登録防止装置において、前記予算明細取得手段は、更に、前記建設工事開始後に、請負金額および/または下請金額の変動により前記予算金額が変更された場合、前記プロジェクト、前記原価科目、および、変更後の予算金額を紐付けて設定した変更後の予算明細情報を取得することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る不正登録防止方法は、記憶部と制御部とを備えた不正登録防止装置に実行させるための不正登録防止方法であって、前記記憶部は、建設工事のプロジェクト、および、元請下請区分を設定した工事基本情報を記憶する工事基本記憶手段と、前記建設工事の前記プロジェクト、技術担当区分、および、担当者を紐付けて設定した工事技術担当者情報を記憶する工事技術担当者記憶手段と、原価科目、および、下請金額対象是非を紐付けて設定した原価科目マスタと、を備え、前記制御部で実行させる、前記プロジェクト、前記原価科目、および、予算金額を紐付けて設定した予算明細情報を取得する予算明細取得ステップと、前記工事基本情報に基づいて、前記予算明細情報に設定された前記プロジェクトが元請であるか否かを判定する元請判定ステップと、前記原価科目マスタに基づいて、前記元請判定ステップにて前記元請であると判定された前記プロジェクト単位で、下請金額対象である前記原価科目が設定された前記予算明細情報に設定された前記予算金額を集計した集計金額を取得し、前記プロジェクト、および、前記集計金額を紐付けて設定した集計情報を取得する集計ステップと、前記集計金額が設定金額以上であるか否かを判定する設定金額判定ステップと、前記工事技術担当者情報に基づいて、前記設定金額判定ステップにて前記設定金額以上であると判定された前記集計金額が設定された前記集計情報に設定された前記プロジェクトの前記担当者として監理技術者が設置されているか否かを判定する設置判定ステップと、前記設置判定ステップにて前記監理技術者が設置されていないと判定された前記プロジェクトに対するエラー表示を表示させるエラー表示ステップと、を含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る不正登録防止プログラムは、記憶部と制御部とを備えた不正登録防止装置に実行させるための不正登録防止プログラムであって、前記記憶部は、建設工事のプロジェクト、および、元請下請区分を設定した工事基本情報を記憶する工事基本記憶手段と、前記建設工事の前記プロジェクト、技術担当区分、および、担当者を紐付けて設定した工事技術担当者情報を記憶する工事技術担当者記憶手段と、原価科目、および、下請金額対象是非を紐付けて設定した原価科目マスタと、を備え、前記制御部において、前記プロジェクト、前記原価科目、および、予算金額を紐付けて設定した予算明細情報を取得する予算明細取得ステップと、前記工事基本情報に基づいて、前記予算明細情報に設定された前記プロジェクトが元請であるか否かを判定する元請判定ステップと、前記原価科目マスタに基づいて、前記元請判定ステップにて前記元請であると判定された前記プロジェクト単位で、下請金額対象である前記原価科目が設定された前記予算明細情報に設定された前記予算金額を集計した集計金額を取得し、前記プロジェクト、および、前記集計金額を紐付けて設定した集計情報を取得する集計ステップと、前記集計金額が設定金額以上であるか否かを判定する設定金額判定ステップと、前記工事技術担当者情報に基づいて、前記設定金額判定ステップにて前記設定金額以上であると判定された前記集計金額が設定された前記集計情報に設定された前記プロジェクトの前記担当者として監理技術者が設置されているか否かを判定する設置判定ステップと、前記設置判定ステップにて前記監理技術者が設置されていないと判定された前記プロジェクトに対するエラー表示を表示させるエラー表示ステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、監理技術者・主任技術者を適切に配置できているかのチェックをシステムで行うことができるという効果を奏する。また、本発明によれば、現場での従事者の配置状況の確認負荷を低減できるという効果を奏する。また、本発明によれば、誤った状態で工事を進めてしまうことを防止することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、予算入力の登録時に元請工事の税込下請金額が4,000万円以上の場合、監理技術者の設置が必要なため、設置されているかをチェックすることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、工事基本情報入力の登録時に適切な資格を保有する担当者が従事者として登録されているかをチェックすることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、工事基本情報入力の登録時に登録対象の従事者が同一期間に他の工事にも従事していないかをチェックすることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、契約情報入力の登録時に元請工事の税込請負金額が3,500万円以上の場合、監理技術者か主任技術者のどちらかの設置が必要なため、設置されているかをチェックすることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、技術者の配置の見える化することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、プロジェクト(PJ)に技術担当区分等を含む担当者情報等を登録し、契約登録時に行うPJ担当者チェックをすることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、予算登録時のチェック、PJ登録時の資格チェック、PJ登録時の重複アサインチェックをすることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、システムで請負金額に応じたエラーチェックを行う仕組みを提供することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、特に請負金額が修正登録されたタイミングで、都度エラーチェックを行うことによって、工事開始後の金額変更に対応することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本実施形態における建設工事における情報登録過程の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態における不正登録防止装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本実施形態における不正登録防止装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、本実施形態における不正登録防止装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、本実施形態における不正登録防止装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、本実施形態における不正登録防止処理の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態における不正登録防止処理の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本実施形態における不正登録防止処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0017】
[1.概要]
まず、
図1を参照して、本発明の概要を説明する。
図1は、本実施形態における建設工事における情報登録過程の一例を示す図である。
【0018】
請負金額が一定以上の規模の建設工事においては、各工事で技術者(監理技術者・主任技術者)を配置するように建設業法で定められ(建設業法第26条)、建設業法には、「建設業者は、請け負った工事を施工する場合には、請負金額の大小にかかわらず必ず工事現場に主任技術者を置かなければならない」および「建設業者が、発注者から直接工事を請負い、そのうち4,000万円以上を下請けさせる場合は、主任技術者に替えて監理技術者を現場に配置しなければならない」と規定されている。
【0019】
そのため、従来から、この規定に対応する必要があったが、実際には工事開始後に増工などで請負金額が変動することがあり、業務の進捗によって下請金額が日々変動するため、それぞれに応じた資格(監理技術者・主任技術者)を取得した技術者を、閾値の金額になったタイミングで適切に配置するためには、現場作業における確認の負荷が生じていた。また、従来、人の目で閾値の金額チェックをする場合は、チェックする負荷がかかるリスク、および、チェックの漏れによる不正な状態が発生するリスクがあった。
【0020】
そこで、
図1に示すように、本実施形態における建設工事における情報登録過程においては、工事基本情報入力・契約情報入力・予算入力の登録時に、監理技術者・主任技術者の配置状況に応じたエラーチェックを行うことで、適切に技術者を登録できる仕組みを提供している。
【0021】
[2.構成]
本実施形態に係る不正登録防止装置100の構成の一例について、
図2を参照して説明する。
図2は、本実施形態における不正登録防止装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0022】
図2に示すように、不正登録防止装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、不正登録防止装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0023】
不正登録防止装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。不正登録防止装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0024】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、不正登録防止装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、不正登録防止装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0025】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(タッチパネルを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114またはプリンタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0026】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、社員別取得資格マスタ106aと資格別技術担当区分マスタ106bと原価科目マスタ106cと建設工事データベース106dとを備えている。
【0027】
社員別取得資格マスタ106aは、担当者、および、資格を紐付けて設定したマスタである。
【0028】
資格別技術担当区分マスタ106bは、資格、および、技術担当区分を紐付けて設定したマスタである。ここで、技術担当区分には、監理技術者、または、主任技術者が設定されていてもよい。
【0029】
原価科目マスタ106cは、原価科目、および、下請金額対象是非を紐付けて設定したマスタである。
【0030】
建設工事データベース106dは、建設工事の工事情報を記憶する。ここで、建設工事データベース106dは、(工事情報として、)建設工事のプロジェクト、および、元請下請区分を設定した工事基本情報を記憶していてもよい。また、建設工事データベース106dは、(工事情報として、)建設工事のプロジェクト、技術担当区分、および、担当者を紐付けて設定した工事技術担当者情報を記憶していてもよい。また、工事情報は、受注情報(例えば、受注ヘッダ情報、または、受注明細情報等)、および/または、予算情報(例えば、予算明細情報等)を含んでいてもよい。
【0031】
制御部102は、不正登録防止装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、工事登録部102aと契約登録部102bと予算明細取得部102cと元請判定部102dと集計部102eと設定金額判定部102fと設置判定部102gとエラー表示部102hとを備えている。
【0032】
工事登録部102aは、建設工事の工事情報を登録する。ここで、工事登録部102aは、工事入力画面表示要求が入力された場合、工事基本情報入力画面を表示させ、工事基本情報入力画面にて建設工事のプロジェクトおよび元請下請区分が設定された場合、工事基本情報を建設工事データベース106dに登録してもよい。また、工事登録部102aは、工事基本情報入力画面にて建設工事のプロジェクト、技術担当区分および担当者が設定された場合、工事技術担当者情報を建設工事データベース106dに登録してもよい。
【0033】
契約登録部102bは、建設工事の契約情報を登録する。ここで、契約登録部102bは、建設工事の受注情報を登録してもよい。また、契約登録部102bは、契約情報入力画面表示要求が入力された場合、契約情報入力画面を表示させ、建設工事の契約情報を登録してもよい。
【0034】
予算明細取得部102cは、予算情報を取得する。ここで、予算明細取得部102cは、プロジェクト、原価科目、および、予算金額を紐付けて設定した予算明細情報を取得してもよい。また、予算明細取得部102cは、予算入力時に、予算入力画面表示要求が入力された場合、予算入力画面を表示させ、予算入力画面にてプロジェクト、原価科目および予算金額が設定された場合、予算明細情報を取得してもよい。また、予算明細取得部102cは、更に、建設工事開始後に、請負金額および/または下請金額の変動により予算金額が変更された場合、プロジェクト、原価科目、および、変更後の予算金額を紐付けて設定した変更後の予算明細情報を取得してもよい。また、予算明細取得部102cは、予算情報を登録してもよい。
【0035】
元請判定部102dは、予算明細情報に設定されたプロジェクトが元請であるか否かを判定する。ここで、元請判定部102dは、工事基本情報に基づいて、予算明細情報に設定されたプロジェクトが元請であるか否かを判定してもよい。
【0036】
集計部102eは、プロジェクト単位で、下請金額対象である原価科目が設定された予算明細情報に設定された予算金額を集計した集計金額を取得する。ここで、集計部102eは、原価科目マスタ106cに基づいて、元請判定部102dにより元請であると判定されたプロジェクト単位で、下請金額対象である原価科目が設定された予算明細情報に設定された予算金額を集計した集計金額を取得し、プロジェクト、および、集計金額を紐付けて設定した集計情報を取得してもよい。ここで、下請金額対象である原価科目は、外注費であってもよい。
【0037】
設定金額判定部102fは、集計金額が設定金額以上であるか否かを判定する。ここで、設定金額は、4,000万円であってもよい。
【0038】
設置判定部102gは、設定金額判定部102fにより設定金額以上であると判定された集計金額が設定された集計情報に設定されたプロジェクトの担当者として監理技術者が設置されているか否かを判定する。
【0039】
エラー表示部102hは、プロジェクトに対するエラー表示を表示させる。ここで、エラー表示部102hは、設置判定部102gにより監理技術者が設置されていないと判定されたプロジェクトに対するエラー表示を表示させてもよい。
【0040】
[3.具体例]
本実施形態の具体例について、
図3から
図8を参照して説明する。
【0041】
[不正登録防止処理]
ここで、
図3から
図5を参照して、本実施形態における不正登録防止処理の一例について説明する。
図3から
図5は、本実施形態における不正登録防止装置100の処理の一例を示すフローチャートである。
【0042】
[予算登録時エラーチェック]
図3に示すように、予算明細取得部102cは、予算入力時に、ユーザにより入力装置112を介して予算入力画面表示要求が入力された場合、予算入力画面を出力装置114に表示させ、ユーザにより入力装置112を介して予算入力画面にてプロジェクト、原価科目および税込予算金額が設定され、登録ボタンが押下された場合、予算明細情報を取得する(ステップSA-1)。
【0043】
そして、元請判定部102dは、建設工事データベース106dに記憶された工事基本情報に基づいて、予算明細情報に設定されたプロジェクトが元請であるか否かを判定する(ステップSA-2)。
【0044】
そして、元請判定部102dは、予算明細情報に設定されたプロジェクトが元請ではない(下請である)と判定した場合(ステップSA-2:No)、処理をステップSA-6に移行させる。
【0045】
一方、元請判定部102dは、予算明細情報に設定されたプロジェクトが元請であると判定した場合(ステップSA-2:Yes)、処理をステップSA-3に移行させる。
【0046】
そして、集計部102eは、原価科目マスタ106cに基づいて、元請判定部102dにより元請であると判定されたプロジェクト単位で、下請対象税込予算金額である、外注費が設定された予算明細情報に設定された税込予算金額を集計した集計金額を取得し、プロジェクト、および、集計金額を紐付けて設定した集計情報を取得し、設定金額判定部102fは、集計金額が4,000万円以上であるか否かを判定する(ステップSA-3)。
【0047】
そして、設定金額判定部102fは、集計金額が4,000万円以上ではない(4,000万円未満である)と判定した場合(ステップSA-3:No)、処理をステップSA-6に移行させる。
【0048】
一方、設定金額判定部102fは、集計金額が4,000万円以上であると判定した場合(ステップSA-3:Yes)、処理をステップSA-4に移行させる。
【0049】
そして、設置判定部102gは、建設工事データベース106dに記憶された工事基本情報および工事技術担当者情報に基づいて、設定金額判定部102fにより4,000万円以上であると判定された集計金額が設定された集計情報に設定されたプロジェクトの担当者として監理技術者が設置(登録)されているか否かを判定する(ステップSA-4)。
【0050】
そして、設置判定部102gは、集計情報に設定されたプロジェクトの担当者として監理技術者が登録されていないと判定した場合(ステップSA-4:No)、処理をステップSA-5に移行させる。
【0051】
そして、エラー表示部102hは、設置判定部102gにより監理技術者が設置されていないと判定されたプロジェクトに対するエラー表示を出力装置114に表示させ(ステップSA-5)、処理を終了する。
【0052】
一方、設置判定部102gは、集計情報に設定されたプロジェクトの担当者として監理技術者が登録されていると判定した場合(ステップSA-4:Yes)、処理をステップSA-6に移行させる。
【0053】
そして、予算明細取得部102cは、予算明細情報の建設工事データベース106dへの登録を完了させ(ステップSA-6)、処理を終了する。
【0054】
[工事基本情報登録時エラーチェック]
図4に示すように、工事登録部102aは、ユーザにより入力装置112を介して工事基本情報入力画面表示要求が入力された場合、工事基本情報入力画面を出力装置114に表示させ、ユーザにより入力装置112を介して工事基本情報入力画面にて建設工事のプロジェクト、元請下請区分、技術担当区分および担当者が設定され、登録ボタンが押下された場合、工事基本情報および工事技術担当者情報を取得する(ステップSB-1)。
【0055】
そして、工事登録部102aは、工事技術担当者情報に監理技術者または主任技術者が登録されているか否かを判定する(ステップSB-2)。
【0056】
そして、工事登録部102aは、工事技術担当者情報に監理技術者または主任技術者が登録されていないと判定した場合(ステップSB-2:No)、処理をステップSB-6に移行させる。
【0057】
一方、工事登録部102aは、工事技術担当者情報に監理技術者または主任技術者が登録されていると判定した場合(ステップSB-2:Yes)、処理をステップSB-3に移行させる。
【0058】
そして、工事登録部102aは、社員別取得資格マスタ106aおよび資格別技術担当区分マスタ106bに基づいて、工事技術担当者情報に設定された担当者がプロジェクトの必要資格を有しているか否かを判定する(ステップSB-3)。
【0059】
そして、工事登録部102aは、工事技術担当者情報に設定された担当者がプロジェクトの必要資格を有していない(必要資格不保持)と判定した場合(ステップSB-3:No)、処理をステップSB-5に移行させる。
【0060】
一方、工事登録部102aは、工事技術担当者情報に設定された担当者がプロジェクトの必要資格を有している(必要資格保持)と判定した場合(ステップSB-3:Yes)、処理をステップSB-4に移行させる。
【0061】
そして、工事登録部102aは、社員別取得資格マスタ106aおよび資格別技術担当区分マスタ106bに基づいて、担当者による他のプロジェクトでの従事状況を確認し、担当者による工事技術担当者情報に設定されたプロジェクトの従事期間と、当該他のプロジェクトの従事期間と、が重複するか否かを判定する(ステップSB-4)。
【0062】
そして、工事登録部102aは、担当者による工事技術担当者情報に設定されたプロジェクトの従事期間と、当該他のプロジェクトの従事期間と、が重複すると判定した場合(ステップSB-4:Yes)、処理をステップSB-5に移行させる。
【0063】
そして、エラー表示部102hは、エラー表示を出力装置114に表示させ(ステップSB-5)、処理を終了する。
【0064】
一方、工事登録部102aは、担当者による工事技術担当者情報に設定されたプロジェクトの従事期間と、当該他のプロジェクトの従事期間と、が重複しないと判定した場合(ステップSB-4:No)、処理をステップSB-6に移行させる。
【0065】
そして、工事登録部102aは、工事基本情報および工事技術担当者情報の建設工事データベース106dへの登録を完了させ(ステップSB-6)、処理を終了する。
【0066】
[契約情報登録時エラーチェック]
図5に示すように、契約登録部102bは、ユーザにより入力装置112を介して契約情報入力画面表示要求が入力された場合、契約情報入力画面を出力装置114に表示させ、ユーザにより入力装置112を介して契約情報入力画面にてプロジェクト、担当部門、契約件名、契約場所、商品および税込請負金額が設定され、登録ボタンが押下された場合、受注情報を取得する(ステップSC-1)。
【0067】
そして、契約登録部102bは、建設工事データベース106dに記憶された工事基本情報に基づいて、受注情報に設定されたプロジェクトが元請であるか否かを判定する(ステップSC-2)。
【0068】
そして、契約登録部102bは、受注情報に設定されたプロジェクトが元請ではない(下請である)と判定した場合(ステップSC-2:No)、処理をステップSC-6に移行させる。
【0069】
一方、契約登録部102bは、受注情報に設定されたプロジェクトが元請であると判定した場合(ステップSC-2:Yes)、処理をステップSC-3に移行させる。
【0070】
そして、契約登録部102bは、元請であると判定したプロジェクト単位で、下請対象税込予算金額である、外注費が設定された受注情報に設定された税込請負金額を集計した請負集計金額を取得し、プロジェクト、および、請負集計金額を紐付けて設定した請負集計情報を取得し、請負集計金額が3,500万円以上であるか否かを判定する(ステップSC-3)。
【0071】
そして、契約登録部102bは、請負集計金額が3,500万円以上ではない(3,500万円未満である)と判定した場合(ステップSC-3:No)、処理をステップSC-6に移行させる。
【0072】
一方、契約登録部102bは、請負集計金額が3,500万円以上であると判定した場合(ステップSC-3:Yes)、処理をステップSC-4に移行させる。
【0073】
そして、契約登録部102bは、建設工事データベース106dに記憶された工事基本情報および工事技術担当者情報に基づいて、3,500万円以上であると判定した請負集計金額が設定された請負集計情報に設定されたプロジェクトの担当者として監理技術者または主任技術者のどちらかが設置(登録)されているか否かを判定する(ステップSC-4)。
【0074】
そして、契約登録部102bは、請負集計情報に設定されたプロジェクトの担当者として監理技術者または主任技術者のどちらかが登録されていないと判定した場合(ステップSC-4:No)、処理をステップSC-5に移行させる。
【0075】
そして、エラー表示部102hは、契約登録部102bにより監理技術者が設置されていないと判定されたプロジェクトに対するエラー表示を出力装置114に表示させ(ステップSC-5)、処理を終了する。
【0076】
一方、契約登録部102bは、請負集計情報に設定されたプロジェクトの担当者として監理技術者または主任技術者のどちらかが登録されていると判定した場合(ステップSC-4:Yes)、処理をステップSC-6に移行させる。
【0077】
そして、契約登録部102bは、受注情報の建設工事データベース106dへの登録を完了させ(ステップSC-6)、処理を終了する。
【0078】
ここで、
図6から
図8を参照して、本実施形態における不正登録防止(エラーチェック)処理の一例について説明する。
図6から
図8は、本実施形態における不正登録防止処理の一例を示す図である。
【0079】
図6に示すように、本実施形態における工事基本情報入力においては、客先契約単位で工事の情報が登録され、明細にて番号が自動採番され、その他の項目が画面にて手入力され(なお、複数行の入力も可能)、工事基本情報および工事技術担当者情報が更新される。そして、
図6に示すように、本実施形態においては、工事基本情報入力の登録時に工事技術担当者として登録された担当者が適切な技術者資格を保有しているかのエラーチェックが行われる。すなわち、
図6に示すように、本実施形態においては、オービック太郎が主任技術者で必要な資格は所持しているが、監理技術者で必要な資格は保有していないため、オペレータがオービック太郎を監理技術者として登録したことに対して、エラーとさせる。また、
図6に示すように、工事基本情報入力の登録時に監理技術者または主任技術者として登録されている担当者が、同一期間(従事開始日~従事終了日の間に重複している日が1日以上ある状態)に他の工事の監理技術者または主任技術者として登録されている場合にエラーとさせる。すなわち、
図6に示すように、本実施形態においては、オービック太郎が2021/7/1に複数の工事に従事している状態のため、エラーとさせる。ここで、
図6に示すように、本実施形態においては、工期と従事期間とが同じであるが、工期中に従事者が交代する場合、複数担当者が登録可能である。なお、
図6に示すように、本実施形態におけるPJ番号:PJ002の工事基本情報および工事技術担当者情報は、事前に登録されていた他の工事の情報である。
【0080】
また、
図7に示すように、本実施形態における契約情報入力においては、施工支店単位で工事契約の情報が登録され、受注ヘッダ情報および受注明細情報が更新される。そして、
図7に示すように、本実施形態においては、契約情報入力の登録時に、PJ単位で受注明細に保持されている税込請負金額が集計され、税込請負金額が3,500万円以上の場合、監理技術者または主任技術者のどちらかが設置必須のため、エラーチェックが行われる。すなわち、
図7に示すように、本実施形態においては、PJ001の合計税込請負金額が4,950万円のため、3,500万円以上であり、監理技術者または主任技術者の登録が必須になるが、PJ001には監理技術者も主任技術者も登録されていないため、エラーとさせる。ここで、本実施形態においては、工事基本情報の元請下請区分が下請の場合、技術者の設置が不要なため、エラーチェックが行われない。ここで、
図7に示すように、本実施形態においては、同一部門の工事で売上月が複数に分かれる場合、売上予定日毎に収支が管理されるために、同一受注番号で受注明細情報が2つに分けて管理される。また、
図7に示すように、本実施形態においては、1件の客先契約に対して、部門が複数に分かれる場合、箇所毎に収支を管理するために、同一PJ番号で受注番号を2つに分けて管理する。なお、
図7に示すように、本実施形態における受注番号:JU002の受注ヘッダ情報および受注明細情報は、事前に登録されていた他の契約情報である。
【0081】
また、
図8に示すように、本実施形態における予算入力においては、受注明細情報毎の予算情報が登録され、受注明細情報単位で、原価科目毎に予算金額が登録される。そして、
図8に示すように、本実施形態においては、原価科目マスタ106cが参照され、予算入力の登録時にPJ単位で予算明細情報に保持されている税込予算金額のうち、下請金額対象の原価科目となっている外注費の明細情報のみが集計され、集計された結果、税込予算金額が4,000万円以上の場合、監理技術者が設置必須のため、エラーチェックが行われる。すなわち、
図8に示すように、本実施形態においては、PJ001の合計税込請負金額が4,070万円のため、4000万円以上であり、監理技術者の設置が必須であるため、エラーとさせる。ここで、本実施形態においては、工事基本情報の元請下請区分が下請の場合、監理技術者・主任技術者の設置が不要なため、エラーチェックが行われない。
【0082】
このように、本実施形態においては、新規登録時の工事基本情報入力、契約情報入力、および、予算入力のエラーチェックを可能とし、工事が進む過程で請負金額、または、下請金額が変動して、必要な技術者の内容が変わった場合、各プログラムでエラーチェックが行われるため、従事者情報が不正にならないように適切な対応が可能となる。
【0083】
[4.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0084】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0085】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0086】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0087】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0088】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0089】
また、不正登録防止装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0090】
例えば、不正登録防止装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて不正登録防止装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0091】
また、このコンピュータプログラムは、不正登録防止装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0092】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0093】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、本実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0094】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0095】
また、不正登録防止装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、不正登録防止装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0096】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、建設工事業界等の業界において有用である。
【符号の説明】
【0098】
100 不正登録防止装置
102 制御部
102a 工事登録部
102b 契約登録部
102c 予算明細取得部
102d 元請判定部
102e 集計部
102f 設定金額判定部
102g 設置判定部
102h エラー表示部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 社員別取得資格マスタ
106b 資格別技術担当区分マスタ
106c 原価科目マスタ
106d 建設工事データベース
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク