(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】画像読取装置およびその制御方法、プログラム、記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04N 1/04 20060101AFI20241120BHJP
G03B 27/50 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
H04N1/04 105
G03B27/50 A
(21)【出願番号】P 2022135204
(22)【出願日】2022-08-26
【審査請求日】2023-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 剛
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-152965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04- 1/207
G06T 1/00
G03B 27/50-27/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取るために受光素子が
主走査方向である所定の方向に配列されたイメージセンサと、
前記イメージセンサを、該イメージセンサの前記所定の方向と
直交する第1の方向と該第1の方向とは逆の第2の方向とに移動させる駆動手段と、
基準板と、
前記基準板よりも前記第1の方向において上流側から前記イメージセンサを前記第1の方向に駆動して、前記イメージセンサにより前記基準板を読み取って、第1の基準位置を検出し、その後、前記第1の方向に駆動して前記イメージセンサにより原稿を読み取る第1の読取方式と、
前記基準板よりも前記第2の方向において上流側から前記イメージセンサを前記第2の方向に駆動して、前記イメージセンサにより前記基準板を読み取って、第2の基準位置を検出し、その後、前記第2の方向に駆動して前記イメージセンサにより原稿を読み取る第2の読取方式とを実行する制御手段と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記駆動手段はバックラッシュを有し、前記イメージセンサを前記第1の方向に移動させる場合と、前記第2の方向に移動させる場合とで、前記イメージセンサの位置が前記バックラッシュによりずれることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1の基準位置を前記イメージセンサを前記第1の方向に移動させる場合の基準位置として用い、前記第2の基準位置を前記イメージセンサを前記第2の方向に移動させる場合の基準位置として用いることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記第1の基準位置と前記第2の基準位置を記憶する記憶手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記第1の読取方式では、原稿を固定して前記イメージセンサを原稿に対して移動させることにより原稿を読み取り、前記第2の読取方式では、原稿を移動させて前記イメージセンサにより原稿を読み取ることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記第2の読取方式では、前記制御手段は、前記第2の基準位置を基準として、前記イメージセンサを前記第2の方向に移動させて、前記イメージセンサを原稿を読み取る位置に位置決めすることを特徴とする請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記第1の基準位置を検出する場合に、前記イメージセンサを前記第2の方向に移動させ、前記画像読取装置の本体に突き当てて前記イメージセンサの位置を初期化し、その後、前記第1の方向に移動させて、前記イメージセンサにより前記基準板を読み取ることにより前記第1の基準位置を検出するように制御することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記基準板は、白色の第1の領域と、該第1の領域に連続する該第1の領域とは異なる色の第2の領域とを有することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記第2の領域は、前記基準板において、前記第1の領域よりも前記第2の方向側に位置することを特徴とする請求項8に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記原稿を照明する照明手段をさらに備え、前記照明手段は、前記基準板を読み取る場合に、前記第1の領域側から前記第2の領域側に向かって光を照射することを特徴とする請求項8に記載の画像読取装置。
【請求項11】
原稿を読み取るために受光素子が
主走査方向である所定の方向に配列されたイメージセンサと、
前記イメージセンサを、該イメージセンサの前記所定の方向と
直交する第1の方向と該第1の方向とは逆の第2の方向とに移動させる駆動手段と、
基準板と、を備える画像読取装置を制御する方法であって、
前記基準板よりも前記第1の方向において上流側から前記イメージセンサを前記第1の方向に駆動して、前記イメージセンサにより前記基準板を読み取って、第1の基準位置を検出し、その後、前記第1の方向に駆動して前記イメージセンサにより原稿を読み取る第1の読取方式と、
前記基準板よりも前記第2の方向において上流側から前記イメージセンサを前記第2の方向に駆動して、前記イメージセンサにより前記基準板を読み取って、第2の基準位置を検出し、その後、前記第2の方向に駆動して前記イメージセンサにより原稿を読み取る第2の読取方式とを実行する制御工程を有することを特徴とする画像読取装置の制御方法。
【請求項12】
前記駆動手段はバックラッシュを有し、前記イメージセンサを前記第1の方向に移動させる場合と、前記第2の方向に移動させる場合とで、前記イメージセンサの位置が前記バックラッシュによりずれることを特徴とする請求項11に記載の画像読取装置の制御方法。
【請求項13】
前記第1の基準位置を前記イメージセンサを前記第1の方向に移動させる場合の基準位置として用い、前記第2の基準位置を前記イメージセンサを前記第2の方向に移動させる場合の基準位置として用いることを特徴とする請求項11に記載の画像読取装置の制御方法。
【請求項14】
前記第1の基準位置と前記第2の基準位置を記憶する工程を有することを特徴とする請求項11に記載の画像読取装置の制御方法。
【請求項15】
前記第1の読取方式では、原稿を固定して前記イメージセンサを原稿に対して移動させることにより原稿を読み取り、前記第2の読取方式では、原稿を移動させて前記イメージセンサにより原稿を読み取ることを特徴とする請求項11に記載の画像読取装置の制御方法。
【請求項16】
請求項11に記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項17】
請求項11に記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を読み取るための画像読取装置に関し、特に原稿の読取方式として原稿固定読取方式と原稿搬送読取方式をともに実行可能な画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿上に記録されている画像を読み取るための画像読取装置が搭載された複写機や複合機が知られている。この画像読取装置は、いわゆるフラットベットスキャナであり、原稿を載置可能な原稿台ガラスと、この原稿台ガラスの直下であって、原稿台ガラス面と平行に往復動可能に配置されたイメージセンサユニットとを備えている。ここでイメージセンサユニットとは、密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)等の略直方体形状の筐体を有するイメージセンサが保持部材に搭載されたユニットを意味する。
【0003】
また、画像読取装置には、自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder)を備えたものもある。ADFによる原稿搬送過程において、原稿が移動原稿読取用のADFガラス上を通過し、このADFガラス直下に固定配置されたイメージセンサユニットによって原稿の画像が読み取られる。
【0004】
自動原稿搬送装置を搭載した画像読取装置の構成として、特許文献1に開示された構成が知られている。特許文献1に開示されている画像読取装置には、イメージセンサの色補正のために白色シートが設けられており、白色シートの白画像と白画像に連続する濃度画像の境界を判別し、基準位置に設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構成では、スキャン方向もしくはリターン方向の片方向のみで基準位置を検出している。そのため、フラットベット読取方式およびADF読取方式の両方の読み取りが可能な画像読取装置では、それらのうちのどちらかで、読み取り開始位置もしくは読み取り位置がバックラッシュ分ズレて、読み取り精度が低下してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、フラットベット読取方式およびADF読取方式のそれぞれの読み取り時に、原稿の読み取り精度を向上させることができる画像読取装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係わる画像読取装置は、原稿を読み取るために受光素子が主走査方向である所定の方向に配列されたイメージセンサと、前記イメージセンサを、該イメージセンサの前記所定の方向と直交する第1の方向と該第1の方向とは逆の第2の方向とに移動させる駆動手段と、基準板と、前記基準板よりも前記第1の方向において上流側から前記イメージセンサを前記第1の方向に駆動して、前記イメージセンサにより前記基準板を読み取って、第1の基準位置を検出し、その後、前記第1の方向に駆動して前記イメージセンサにより原稿を読み取る第1の読取方式と、前記基準板よりも前記第2の方向において上流側から前記イメージセンサを前記第2の方向に駆動して、前記イメージセンサにより前記基準板を読み取って、第2の基準位置を検出し、その後、前記第2の方向に駆動して前記イメージセンサにより原稿を読み取る第2の読取方式とを実行する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フラットベット読取方式およびADF読取方式のそれぞれの読み取り時に、原稿の読み取り精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態の画像読取装置の自動原稿送り装置を開けた状態の斜視図。
【
図2】自動原稿送り装置を閉じた状態の画像読取装置の断面図。
【
図3】自動原稿送り装置を外した画像読取装置の平面図と断面図。
【
図8】画像読取装置の電気回路構成を示すブロック図。
【
図9】電源投入時から画像読取前までの読取ユニットの位置を示す断面図。
【
図10】電源投入時から画像読取前までの読取ユニットの位置を示す断面図。
【
図11】電源投入時から画像読取前までの読取ユニットの位置を示す断面図。
【
図13】フラットベット読取時の動作シーケンス図。
【
図15】白色シートを読み取った画像の明るさレベルの分布を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
本発明の自動原稿搬送装置(以下ADF:Auto Document Feeder)を搭載した画像読取装置は、フラットベットスキャナ装置、あるいはフラットベットスキャナ装置とプリント装置等を複合化した複写機、ファクシミリ、複合機等に適用可能である。以下、一例としてコンピュータ等に原稿画像を取り込む画像読取装置とプリント装置とを一体化した複合機を例に挙げて説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像読取装置100をインクジェットプリンタであるプリント装置400と複合化させた複合機1の外観斜視図である。本実施形態の画像読取装置100は、大別して、画像読取部200(以下スキャナ部)とADF部300とで構成されている。
図1は、スキャナ部200に不図示の原稿を送り込むためADF部300を開けた状態を示している。
【0014】
以下に、
図2を用いて画像読取装置100のADF部300の構成について説明する。
【0015】
図2は、ADF部300をスキャナ部200に対して閉じた状態の画像読取装置100のX―Z断面図である。
図2の太い実線の矢印は、ADF部300における原稿搬送路311を示しており、原稿搬送路311の一部には、スキャナ部200の一部が用いられている。
【0016】
ADF部300は、原稿が載置される原稿載置台301と原稿搬送機構部320と原稿排出部303とを備える。以下に原稿搬送機構部320の構成について原稿搬送方向の上流側から順を追って説明する。ここで原稿搬送機構部320とは、下記に説明するピックアップローラ304から排紙ローラ309までの原稿搬送機構全体を指す。
【0017】
原稿載置台301に搭載された自動搬送されるべき原稿310は、原稿搬送機構部320のピックアップローラ304で分離ローラ305側へ搬送された後、分離ローラ305と分離パッド306とで1枚づつに分離され、下流側の搬送ローラ307へ搬送される。
【0018】
次に、原稿310は、搬送ローラ307により下流側のADFガラス203上へ搬送され、ADFガラス203上を通過する際には、原稿310をADFガラス203へ密着させるために押圧板308により押圧される。この時原稿310は、後述するイメージセンサ206により読み取られる。
【0019】
次に、ADFガラス203上を通過した原稿310は、ADFガラス203の下流側の原稿分離面205によりADFガラス203から分離され、下流側の排紙ローラ309により原稿排出部303へ排出される。ADFガラス203や原稿分離面205は、スキャナ部200の構成部材である。ここで、原稿搬送機構部320には不図示の各種原稿検知センサが配設されており、原稿の先端および後端の通過を検知し、その出力信号はイメージセンサ206の読み取りのタイミング制御に使用される。
【0020】
本実施形態の画像読取装置100は、原稿読取方式として、原稿固定読取方式(フラットベット読取方式)と原稿搬送読取方式(ADF読取方式)の2つの原稿読取方式を実行可能に構成されている。原稿固定読取方式は、原稿台ガラス202上に原稿310を固定し、読取ユニット207を副走査方向(X方向)に移動させることで原稿を読み取る方式である。また、原稿搬送読取方式は、読取ユニット207をADFガラス203の下の所定の位置(ADFポジション)に固定し、ADF部300により原稿310を搬送させながら読み取る方式である。
【0021】
図2では、スキャナ部200内の読取ユニット207が、前述したADF部300により自動搬送される原稿310を読み取るためにADFポジションで待機している状態を示している。
【0022】
以下、
図3~
図8を用いて、画像読取装置100のスキャナ部200の構成について説明する。
【0023】
図3(a)は、画像読取装置100からADF部300を外した状態のスキャナ部200の平面図であり、ガラスフレームユニット201の全体を示している。このガラスフレームユニット201は、原稿310を載置するための原稿台ガラス202と、自動搬送された原稿を読み取るためのADFガラス203を保持するガラスフレーム204とを備えて構成されている。またガラスフレーム204は、原稿台ガラス202とADFガラス203の間に、原稿搬送路の一部となる前述した原稿分離面205と原稿突き当て基準226とを備えている。
【0024】
図3(b)は、
図3(a)のA-A断面図である。
図3(c)は、
図3(a)のB-B断面図であり、読取ユニット207の主走査方向(Y方向)断面を示している。
図3(d)は、
図3(b)の原稿分離面205周りの一部であるC部の拡大図である。
【0025】
図3(d)において、原稿分離面205の裏面側には、後述する
図4に示したメージセンサ206のローラの通り道D1、D2の一部となるガラスフレームガイド面233が設けられている。
【0026】
このガラスフレームガイド面233は、イメージセンサ206が安定して移動できるように、原稿台ガラス202の裏面234と略同一面となるように構成されている。但し、ガラスフレーム突当部228と原稿台ガラス202の面取り部229により構成される段差がある。
【0027】
原稿台ガラス202の原稿載置面側には、白色シート(白基準板)224が配置されている。白色シート224には、白領域224Wと黒領域(白領域とは色の濃度が異なる領域)224Bが形成されている。黒領域224Bは、白領域224Wよりも読取ユニット207のリターン方向側に配置されている。
図3(d)では、簡易的に白領域224Wと黒領域224Bとして表示されているが、実際は、白領域224Wと黒領域224Bは、後述の
図4で説明するような構成を有している。
【0028】
図4は、
図3(a)のガラスフレームユニット201の裏面図であり、白色シート224の一部が図示されている。原稿台ガラス202は、ガラスフレーム204の2ヶ所のガラスフレーム突き当て部228に突き当てられ、X方向の位置が決められる。白色シート224は、
図4の図視方向では、原稿台ガラス202の背面側に配置されており、その面は原稿載置面と同じ面になっている。
【0029】
図4において、白色シート224のX方向の配置位置は、ADFガラス203と固定原稿読み取りエリア235の間に設定されている。また白色シート224は、イメージセンサ206のシェーディング補正を行うための白領域224W(図中2点鎖線と原稿突当面側の領域)と、イメージセンサ206の
図6に記載の副走査方向の基準位置となる黒領域224Bとを一体的に有している。シェーディング処理を行うため、白色シート224はイメージセンサ206の
図6に記載の主走査方向全域をカバーするサイズを持つ。白色シート224内で黒領域224Bの副走査方向(X方向)位置は、白領域224WよりもADFガラス203に近い側に形成されている。
【0030】
図5は、原稿310の画像を読み取る読取ユニット207の斜視図であり、
図5(a)は、読取ユニット207を上方から見た図であり、
図5(b)は、読取ユニット207を下方から見た図である。
【0031】
読取ユニット207は、イメージセンサ206、センサホルダ217、スライダ218及び読取ユニット207を走査駆動する駆動部を備えて構成されている。駆動部は、駆動源であるモータ220と、モータ220の駆動力を伝達するモータギア225を含む減速機構と、ドライブギア219とを備えて構成されている。
【0032】
イメージセンサ206の主走査方向両端部には、読み取り原稿310との焦点距離を保証するローラユニット211とローラユニット212が配置されている。
図5(c)に示すように、各ローラユニット211,212の副走査方向両端部には、ローラ213,214、及びローラ215,216が回転可能に配置されている。またイメージセンサ206とセンサホルダ217の間には、押圧バネ232が配置され、イメージセンサ206を原稿台ガラス202の裏面に常時押圧している。従ってこれらローラ対は、読取ユニット207が副走査方向(X方向)に移動すると、前述した
図4に示された2つの点線D1、D2上を転がる。
【0033】
図5(d)は、モータ220を含むモータユニットの詳細図である。読取ユニット207には駆動源としてモータ220が設けられている。モータ220の回転軸にはスリットが設けられたコードホイール241が固定され、モータ220の回転軸とともに回転する。コードホイール241のスリットを読み取るエンコーダ240も合わせて設けられている。コードホイール241のスリットをエンコーダ240で読み取ることによりモータ220の回転軸の回転方向、回転スピード、回転量を制御することができる。
【0034】
図6は、スキャナ部200の内部の全体構成を示すために
図3(a)で示した平面図からガラスフレームユニット201を外した状態を示しており、読取ユニット207とベースフレーム223の配置と構成を示している。
【0035】
ベースフレーム223のY方向略中央部には、その長手方向を副走査方向とするガイドレール221と、ガイドレール221に隣接するラック222が配置されている。前述した読取ユニット207のスライダ218は、ガイドレール221に対して副走査方向(X方向)へ摺動可能に配置されている。また前述した読取ユニット207のドライブギア219は、ラック222と噛み合うように配置されている。
【0036】
従って、読取ユニット207は、モータ220に駆動のための入力信号が入力されると、その入力に応じてラック222と噛み合うドライブギア219が回転し、ガイドレール221に沿って往復走査することができる。
【0037】
本実施形態では、駆動部が読取ユニット207に配置されたいわゆる自走式タイプの読取ユニットの例を示しているが、駆動部がベースフレーム223に配置され、その駆動力をベルトで伝達するベルト駆動式タイプにも本発明を適用することができる。
【0038】
以下に
図7、
図8を用いて読取ユニット207の電気的な構成について説明する。
【0039】
図7は、イメージセンサ(ラインイメージセンサ)206の断面図である。イメージセンサ206は、その内部に3色の発光素子102(LED)と、ライン状に配列されたロッドレンズアレイ209と、ライン状に配列された受光素子101とが組み込まれている。LED102から原稿に照射された光は原稿面で反射され、この反射光はロッドレンズアレイ209を透過することで受光素子101上に結像される。3色のLED102が順次切り替えて点灯され、受光素子101が色ごとに原稿からの反射光を読み取ることで、色分解読取を行うことができる。
【0040】
図8は、本実施形態における読取ユニット207の電気回路の構成を示すブロック図である。以下、この回路の動作について説明する。
【0041】
図8において、イメージセンサ206は、光源である3色のLED102が一体化されて構成されている。このイメージセンサ206を原稿台ガラス202の下で副走査方向に移動させる。同時にLEDドライブ回路103により1ライン毎に各色のLED102を切り替えて点灯させることにより、RGB線順次のカラー画像を読み取ることが可能である。
【0042】
増幅器(AMP)104は、イメージセンサ206から出力された信号を増幅する。A/D変換器105は、その増幅出力のA/D変換を行って例えば8ビットのデジタル信号を出力する。シェーディングRAM106は、上述した白領域224Wを読み取って得られたデータを演算処理することにより得られるシェーディング補正用のデータを記憶している。シェーディング補正回路107はこのシェーディングRAM106のデータに基づいて、イメージセンサ206により読み取られた画像データのシェーディング補正を行う。
【0043】
ピーク検知回路108は、読み取られた画像データにおけるピーク値をライン毎に検知する回路であり、読取ユニット207の基準位置を検知するために使用される。ガンマ変換回路109は、後述するホストコンピュータにより予め設定されたガンマカーブに従って、読み取られた画像データのガンマ変換を行う。バッファRAM110は、実際の読み取り動作とホストコンピュータとの通信におけるタイミングを合わせるために、画像データを1次的に記憶するメモリである。
【0044】
パッキング/バッファRAM制御回路111は、ホストコンピュータから予め設定された画像出力モード(2値、4ビット多値、8ビット多値、24ビット多値等)に従ったパッキング処理を行った後にそのデータをバッファRAM110に書き込む処理と、インターフェース回路112にバッファRAM110から画像データを転送して出力させる処理を行う。インターフェース回路(転送手段)112は、パーソナルコンピュータ等の前述のホスト装置(コンピュータ)となる外部装置113との間でコントロール信号の受信や画像信号の出力を行う。
【0045】
マイクロコンピュータからなるCPU115は、処理手順を格納したROM115a及び作業用のRAM115bを有し、ROM115aに格納されたプログラムの手順に従って各部の制御を行う。CPU115は、モータ220の回転軸に固定されたコードホイール241のスリット情報をエンコーダ240で読み取ることにより、モータ220の回転軸の回転方向、回転速度、回転量を制御する。すなわち、読取ユニット207の移動方向、移動速度、移動距離等を制御する。発振器116は例えば水晶発振器であり、タイミング信号発生回路114は、CPU115の設定に応じてこの発振器116の出力を分周して動作の基準となる各種タイミング信号を発生する。
【0046】
ここで、本実施形態においては、前述した黒領域224Bと白領域224Wの境界がイメージセンサ206の画像読み取りのための基準マークとなっている。そして、イメージセンサ206で読み取った基準マーク(黒領域224Bと白領域224Wの境界位置)の位置をエンコーダ240で検出し、CPU115内のRAM115bに基準位置として記憶する。
【0047】
このマークを検出する検出手段及び検出したマークによりイメージセンサ206の基準位置を決定して画像の読み出しを開始させる制御手段がCPU115により実現されている。そして、電源投入時の画像読み出し前のイメージセンサ206の初期化移動は、副走査方向において検出された基準マークで決定される基準位置に基づいて行われる。また、画像読み出し後のイメージセンサ206の移動は、RAM115bから読み出された基準位置に基づいて行われる。
【0048】
次に、
図9~
図15を用いて、読取ユニット207の動作について説明する。
図9における符号a,b,c,d,e,f,gは、イメージセンサ206のロッドレンズアレイ209の光学中心(
図9中一点鎖線)が、電源投入前位置a、初期化位置b、基準位置検出位置c、ホームポジション位置d(シェーディング開始位置)、シェーディング終了位置e、原稿画像読取開始位置f、ADF読取位置gにあることをそれぞれ示している。図中基準位置検出位置cは、断面図の中で簡易的に白領域224Wと黒領域224Bの境界位置として示しているが、実際は、白領域224Wと黒領域224Bは、
図4で説明したような構成となっている。
【0049】
電源投入前の読取ユニット207は、
図9(a)に示す符号aで示す場所に位置する。ただし、電源投入前の読取ユニット207の副走査方向の位置は、電源投入後に必ず初期化動作を行うため、aで示す位置以外の任意の位置でも構わない。
【0050】
電源投入直後は、装置のメモリ上に位置情報がないため、読取ユニット207は、必ずリターン方向へ移動し、センサホルダ217のセンサホルダ突当部231が装置本体のベースフレーム223の内壁230に突き当たるまで移動する。この動作は、
図12のフローチャートにおけるステップS101の動作(初期化動作)に対応する。
【0051】
その後、読取ユニット207はそれ以上移動することができないため、読取ユニット207を駆動するモータ220への負荷が上昇し、それに比例してモータへ供給される電流も上昇する。このモータ220の特性を用いて電流値に閾値を設け、電流値がある値になると読取ユニット207はベースフレーム223の内壁に突き当たったと判断する。この時の読取ユニット207が初期化位置bである(
図10(a))。この時、ローラ215は、ガラスフレームガイド面233に接し、ローラ216は、原稿台ガラス202の裏面234に接している。
【0052】
次に、読取ユニット207は、白色シート224上の白領域224Wと黒領域224Bの境界部の基準位置cを検出するため、スキャン方向(副走査の正方向)へ移動を開始する。イメージセンサ206は基準マークを読み取る位置に到達する(
図10(b))。イメージセンサ206が基準マーク(白領域224Wと黒領域224Bの境界位置)を検出すると、CPU115がエンコーダ240の信号に基づき基準マーク検出位置を基準位置cとして設定する。この動作は、
図12のフローチャートにおけるステップS102の動作に対応する。
【0053】
ここで、前述のように、ローラ215とローラ216は、異なる部材の平面に接している。設計上は同一面であるが、実際には部品精度の誤差により同一面とはならない。一方、
図10(c)は、両ローラ215,216が、原稿台ガラス202の裏面234に接している状態を示している。つまり、
図10(b)の基準マークを読み取る時のイメージセンサ206の姿勢は、
図10(c)で図示されるような理想的なイメージセンサ206の姿勢とは異なっている。しかしながら、以下の理由により、このイメージセンサ206の姿勢の差は、基準マーク読み取り精度には影響しない。
【0054】
一般的に、イメージセンサ206は、広範囲なダイナミックレンジを持っている。一例を挙げると、黒から白への連続的な階調の変化を0~255の8bitの分解能で読み取ることは十分に可能である。ここで基準位置cの検出は、イメージセンサ206のモノクロ2値化モードで基準マークを読み取ることにより行われる。従ってイメージセンサ206の姿勢が部品精度により傾いたとしても、ダイナミックレンジが広いため、2値化の判別を誤るほどの影響は受けない。
【0055】
この基準位置の検出位置cにおいて、ローラ215は、ガラスフレームガイド面233と接している状態を維持しており、ガラスフレーム突き当て面228と原稿台ガラス202の面取り部229の不連続な段差からは十分に離れた位置にある。これは
図9(b)に示すように、基準位置cから原稿台ガラス面取り部までの長さL1とロッドレンズアレイの光学中心からローラ215の頂点までの長さL4(
図9(a)参照)の関係がL1<L4であることを意味する。従って、ローラ、つまり読取ユニット207は段差のショックを受けることなく安定した姿勢で移動することができるため、精度よく基準位置検出を行うことができる。また、ローラ215は、ガラスフレーム突き当て面228や原稿台ガラス面取り部229を越えていて、原稿台ガラス202側にはないため、読取ユニット207の稼働域は狭くなっている。従って、装置幅の縮小化に貢献している。
【0056】
この時のスキャン方向への移動時に検出した基準位置cは、フラッドベット読取方式の基準位置としてRAM115bに記憶される。この動作は、
図12のフローチャートにおけるステップS103の動作に対応する。
【0057】
次に、読取ユニット207は、CPU115の指示により、基準位置cからスキャン方向へ規定量移動した位置(ホームポジションd)に移動する。この動作は、
図12のフローチャートにおけるステップS104の動作に対応する。
【0058】
本実施形態においては、このホームポジションdをシェーディング開始位置に設定している(
図10(c))。基準位置cからホームポジションdへの移動の過程において、読取ユニット207のローラ215は、基準位置検出位置cからガラスフレーム突き当て部228と原稿台ガラス202の面取り部229の段差を乗り越える。そして、ローラ216と同じ原稿台ガラス202の裏面234に接することとなる。ここまでが、電源投入後、イメージセンサ206が初期化動作を行い、基準位置を検出し、ホームポジション位置へ移動するまでの動作である。
【0059】
次に、フラットベット読取時の読取ユニット207の動作について説明する。
【0060】
画像を読み取る前に、読取ユニット207は、CPU115の指示によりイメージセンサ206のシェーディング処理を行う。シェーディング開始位置であるホームポジションdの位置からスキャン方向(副走査の正方向)へ所定の読み取り解像度で、所定の長さ(シェーディング終了位置e)まで白領域224Wを読み取り、シェーディング処理を終了する(
図11(a))。この動作は、
図13のフローチャートにおけるステップS201の動作に対応する。
【0061】
このシェーディング処理において、読取ユニット207のローラ215とローラ216は、同じ原稿台ガラス202の裏面234のフラットな領域に接触した状態を維持している。従って、画像読み取り時と同じ姿勢でシェーディング処理が行われる。そのため、光学系の相似性が維持され、精度の高いシェーディング処理が行われ、高画質の画像読み取りが保証される。
【0062】
次に、RAM115bに記憶された基準位置cから読取ユニット207が規定距離移動し、スキャン方向に加速して安定した読み取り速度に達した後に、読取開始位置fから画像読み取りが開始される(
図11(b))。この動作は、
図13のフローチャートにおけるステップS202、S203の動作に対応する。
【0063】
上記の構成によれば、イメージセンサ206の読み取り位置精度が向上し、イメージセンサ206の稼働領域のバラつきが小さくなる。また、シェーディング処理を行う時は、イメージセンサ206の短手方向(副走査方向)両端部に配置されたローラ215,216は、原稿台ガラス202の裏面に接する必要がある。しかし、基準マーク読み取り時は、片側ローラ216のみ原稿台ガラス202の裏面に接していればよい。そのため、原稿台ガラスの長さを縮小化できる。同時に、シェーディング精度は保証されているため、画質向上と装置の小型化を両立させることができる。
【0064】
読み取り動作終了後、再度スキャン方向に基準位置検出を行い、RAM115bに基準位置cを記憶させ、読取ユニット207はホームポジションdに移動し、フラットベット読取動作が完了する。この動作は、
図13のフローチャートにおけるステップS204~S206の動作に対応する。
【0065】
次に、ADF読み取り時の読取ユニット207の動作について説明する。
【0066】
CPU115によりADF読み取りが指示されると、読取ユニット207はホームポジションdの位置からリターン方向(副走査の負方向)へ移動する。そして、イメージセンサ206が基準マーク(白領域224Wと黒領域224Bの境界位置)を検出すると、CPU115がエンコーダ240の信号に基づき、基準マークの検出位置を基準位置c’として設定する(
図10(b))。読取ユニット207の駆動部にはバックラッシュがあるため、基準位置cと基準位置c’は一致せず、そのため、本実施形態では、読取ユニット207のスキャン方向とリターン方向の移動で、別々に基準位置cと基準位置c’を検出する。この動作は、
図14のフローチャートにおけるステップS301の動作に対応する。
【0067】
リターン方向へ移動時の基準位置c’は、ADF読取方式の基準としてRAM115bに記憶する。この動作は、
図14のフローチャートにおけるステップS302の動作に対応する。
【0068】
読取ユニット207は、基準位置c’からリターン方向へ規定量移動し、ADF読取位置gに位置決めされる(
図11(c))。この動作は、
図14のフローチャートにおけるステップS303の動作に対応する。
【0069】
上記構成により、リターン方向への移動時には、リターン方向の検出基準位置c’を使用するため、リターン方向への移動時の位置精度も向上させることができ、イメージセンサ206の位置のバラつきが小さくなり、ADF読取時の精度向上が可能となる。
【0070】
ADF読み取りが終了すると、読取ユニット207はスキャン方向へ移動し、再度基準位置cを検出する(
図10(b))。この動作は、
図14のフローチャートにおけるステップS304の動作に対応する。
【0071】
そして、基準位置cをRAM115bに記憶し、ホームポジションdへ移動する。この動作は、
図14のフローチャートにおけるステップS305、S306の動作に対応する。
【0072】
以上説明したように、上記の実施形態では、フラットベット読み取り時は基準位置cを基準位置として利用し、ADF読み取り時は基準位置c’を基準位置として利用する。これにより、読取ユニット207の駆動部におけるバックラッシュの影響を受けることなく、読取ユニット207を正確に所望の位置に移動させることが可能となり、それぞれの読み取り時に精度の良い読み取りが可能となる。
【0073】
次に、フラットベット読み取り、ADF読み取りが複数回行われる場合の動作について説明する。
【0074】
フラットベット読み取りの後にフラットベット読み取りが行われる場合は、
図13の動作を実施し、その後再度
図13の動作を実施する。
【0075】
フラットベット読み取りの後にADF読み取りが行われる場合は、
図13の動作を実施し、その後
図14の動作を実施する。
【0076】
ADF読み取りの後にフラットベット読み取りが行われる場合は、
図14の動作を実施し、その後
図13の動作を実施する。
【0077】
ADF読み取りの後にADF読み取りが行われる場合は、
図14の動作を実施し、その後再度
図14の動作を実施する。
【0078】
RAM115bに記憶される基準位置cおよび基準位置c’はその都度、上書き保持される。
【0079】
次に、白色シート224内の白領域224W及び黒領域224Bを読み取った画像と、イメージセンサ206内の照明方向との関係について説明する。
【0080】
図15は、イメージセンサ206が白色シート224を読み取った画像の明るさのレベルをグラフ化した図である。
図15は、
図4のE-E断面に相当する副走査方向の明るさレベルの分布を示している。縦軸が明るさレベルを示し、横軸が副走査方向の距離を示している。
【0081】
実線のグラフは、
図7の実線矢印235の方向から白色シート224に光が照射された場合の反射光の明るさレベルを示しており、破線のグラフは、
図7の破線矢印236の方向から照射された場合の反射光の明るさレベルを示している。実線のグラフは本実施形態を示し、破線のグラフは比較例を示している。
【0082】
本実施形態では、
図7の実線矢印235の方向に(白領域側から黒領域側に向かって)光を照射するため、光の導光体208は、ロッドレンズアレイ209に対して、副走査方向の図中白領域224W側に配置されている。また、光の照射方向は、図中白領域224側から黒領域224B側に向かう方向となる。一方、比較例では、光の照射方向は、破線矢印236に示す方向である。
【0083】
図15の実線のグラフでは、基準位置cを境に白領域224W側へ安定距離1(約0.5mm)だけ移動したエリアから明るさレベルは一定の値を示している。ところが、破線のグラフでは、基準位置cから白領域224W側へ安定距離2(約5mm)だけ移動したエリアから明るさレベルが一定の値を示している。
【0084】
この安定距離以内のエリアの白領域は、一様な白ではないのでシェーディング補正の白領域として使うことはできないが、実線の場合よりも破線の場合の方が、安定距離が大きくなり、使えない領域が増加してしまう。これは、黒領域224B側から白領域224W側へ光を照射すると、黒領域の照り返しの影響で白領域の明るさが若干暗くなることに起因する。
【0085】
本実施形態においては、光の照射方向は、
図7に示す実線矢印235の方向であり、光は白領域224W側から黒領域224B側に向かって照射される。そのため、黒領域の照り返しの影響を受けない。従って、光の照射方向を本実施形態の方向とすることにより、シェーディング精度を低下させずに、白色シート224の副走査方向の幅を最小化することが可能となる。これにより、画質の向上と装置の小型化を両立させることができる。
【0086】
本明細書の開示は、以下の画像読取装置、方法、プログラムおよび記憶媒体を含む。
【0087】
(項目1)
原稿を読み取るために受光素子が長手方向に配列されたイメージセンサと、
前記イメージセンサを、該イメージセンサの長手方向とは異なる第1の方向と該第1の方向とは逆の第2の方向とに移動させる駆動手段と、
白色の第1の領域と、該第1の領域に連続する該第1の領域とは異なる色の第2の領域とを有する基準板と、
前記イメージセンサを前記第1の方向に駆動して、前記イメージセンサにより前記第1の領域と前記第2の領域の境界を読み取って、第1の基準位置を検出する第1の制御と、前記イメージセンサを前記第2の方向に駆動して、前記イメージセンサにより前記境界を読み取って、第2の基準位置を検出する第2の制御とを実行する制御手段と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【0088】
(項目2)
前記駆動手段はバックラッシュを有し、前記イメージセンサを前記第1の方向に移動させる場合と、前記第2の方向に移動させる場合とで、前記イメージセンサの位置が前記バックラッシュによりずれることを特徴とする項目1に記載の画像読取装置。
【0089】
(項目3)
前記制御手段は、前記第1の基準位置を前記イメージセンサを前記第1の方向に移動させる場合の基準位置として用い、前記第2の基準位置を前記イメージセンサを前記第2の方向に移動させる場合の基準位置として用いることを特徴とする項目1または2に記載の画像読取装置。
【0090】
(項目4)
前記第1の基準位置と前記第2の基準位置を記憶する記憶手段をさらに備えることを特徴とする項目1乃至3のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
【0091】
(項目5)
原稿を固定して前記イメージセンサを原稿に対して移動させることにより原稿を読み取る第1の読取方式と、原稿を移動させて前記イメージセンサにより原稿を読み取る第2の読取方式の2つの原稿読取方式を実行することが可能であることを特徴とする項目1乃至4のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
【0092】
(項目6)
前記第1の読取方式では、前記制御手段は、前記第1の基準位置を基準として、前記イメージセンサを前記第1の方向に移動させて原稿を読み取ることを特徴とする項目5に記載の画像読取装置。
【0093】
(項目7)
前記第2の読取方式では、前記制御手段は、前記第2の基準位置を基準として、前記イメージセンサを前記第2の方向に移動させて、前記イメージセンサを原稿を読み取る位置に位置決めすることを特徴とする項目5または6に記載の画像読取装置。
【0094】
(項目8)
前記制御手段は、前記第1の基準位置を検出する場合に、前記イメージセンサを前記第2の方向に移動させ、前記画像読取装置の本体に突き当てて前記イメージセンサの位置を初期化し、その後、前記第1の方向に移動させて、前記イメージセンサにより前記境界を読み取ることにより前記第1の基準位置を検出するように制御することを特徴とする項目1乃至7のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
【0095】
(項目9)
前記第2の領域は、前記基準板において、前記第1の領域よりも前記第2の方向側に位置することを特徴とする項目1乃至8のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
【0096】
(項目10)
前記原稿を照明する照明手段をさらに備え、前記照明手段は、前記境界を読み取る場合に、前記第1の領域側から前記第2の領域側に向かって光を照射することを特徴とする項目1乃至9のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
【0097】
(項目11)
原稿を読み取るために受光素子が長手方向に配列されたイメージセンサと、
前記イメージセンサを、該イメージセンサの長手方向とは異なる第1の方向と該第1の方向とは逆の第2の方向とに移動させる駆動手段と、
白色の第1の領域と、該第1の領域に連続する該第1の領域とは異なる色の第2の領域とを有する基準板と、を備える画像読取装置を制御する方法であって、
前記イメージセンサを前記第1の方向に駆動して、前記イメージセンサにより前記第1の領域と前記第2の領域の境界を読み取って、第1の基準位置を検出する第1の制御と、前記イメージセンサを前記第2の方向に駆動して、前記イメージセンサにより前記境界を読み取って、第2の基準位置を検出する第2の制御とを実行する制御工程を有することを特徴とする画像読取装置の制御方法。
【0098】
(項目12)
項目11に記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0099】
(項目13)
項目11に記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【0100】
(他の実施形態)
また本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現できる。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現できる。
【0101】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0102】
100:画像読取装置、200:画像読取部、201:ガラスフレームユニット、202:原稿台ガラス、203:ADFガラス、204:ガラスフレーム、205:原稿分離面、206:イメージセンサ、207:読取ユニット、208:導光体、224:白色シート、224W:白領域、224B:黒領域、300:ADF部、400:プリント装置