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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】フィルタメディア、要素、および方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 39/16 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
B01D39/16 E
【請求項の数】 3
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022150470
(22)【出願日】2022-09-21
(62)【分割の表示】P 2018559694の分割
【原出願日】2017-05-05
(65)【公開番号】P2022188110
(43)【公開日】2022-12-20
【審査請求日】2022-10-05
(31)【優先権主張番号】62/336,433
(32)【優先日】2016-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/351,401
(32)【優先日】2016-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591163214
【氏名又は名称】ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガオ, チョウン
(72)【発明者】
【氏名】デジョン, リチャード, パトリック
(72)【発明者】
【氏名】トロネス, グレゴリー, エス.
(72)【発明者】
【氏名】ティファニー, ジェイソン, エー.
(72)【発明者】
【氏名】イジー, ジャンカルロ, エム.
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-520049(JP,A)
【文献】特表2008-518772(JP,A)
【文献】米国特許第06395046(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0255783(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D39/00-39/20
D04H1/00-18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスフィルタメディアであって、
1ミクロン未満の平均直径を有する微細繊維を含む表面負荷フィルタ層と、
ガラス繊維と多成分バインダ繊維とを含むガラス含有フィルタ層を含む深層負荷フィルタ層であって、2cm/secで0.4μmの粒子で測定されたとき、少なくとも55%のDEHS濾過効率を表す、前記深層負荷フィルタ層と、
支持層と
を含み
前記層が、前記表面負荷フィルタ層が最も上流層にある状態でのガス流における配置のために構成および配置され、前記ガスフィルタメディアは0.25mmから0.76mmの厚さを有する、ガスフィルタメディア。
【請求項2】
前記深層負荷フィルタ層が、前記表面負荷フィルタ層と前記支持層との間に位置付けられる、請求項1に記載のフィルタメディア。
【請求項3】
前記微細繊維が少なくとも0.01ミクロンで、最大で0.5ミクロンの平均直径を有する、請求項1または2に記載のフィルタメディア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
継続出願データ
本願は、2016年5月13日に出願された米国仮特許出願第62/336,433号明細書、および2016年6月17日に出願された米国仮特許出願第62/351,401号明細書の利益を主張し、これらの開示は各々、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
流体流、特に、空気およびガス流は粒子状材料を運んでいることが多い。流体流からの粒子状材料の一部または全ての除去が求められる。例えば、電動車両の客室への吸気流、コンピュータディスクドライブにおける空気、HVACの空気、無菌室の循環空気、車両または発電装置のためのエンジンへの空気、ガスタービンに向けられたガス流、および様々な燃焼炉への空気流は、中に粒子状材料を含んでいることが多い。客室空気フィルタの場合、乗員の快適さのために、および/または、美観のために粒子状物質を取り除くことが望ましい。エンジン、ガスタービンおよび燃焼炉への空気およびガス吸入流に関して、粒子状材料を取り除くことが望ましいが、その理由は、微粒子は、関連する様々な機構の内部の仕組みに対する実質的な損傷を引き起こし得るからである。別の例において、工業プロセスまたはエンジンからの製造ガスまたは排ガスがその中に粒子状材料を含み得る。そのような気体が大気中に排出される前に、これらの流れからの粒子状材料の実質的な除去を達成することが一般には望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
より清浄な空気または他のガス流を得るために、ますます高い効率のフィルタが必要とされている。高効率フィルタにより引き起こされるガス(例えば空気)フローに対する制約を少なくするために、低圧が望ましい。また、高効率フィルタでの課題となることの多い補修管理およびフィルタコストを削減するために、より長い寿命が望ましい。したがって、高性能フィルタ、すなわち高効率で、低圧力損失型で、長寿命のフィルタが引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、特にガス(例えば空気)濾過用途のためのフィルタメディアおよびフィルタ要素を提供する。
【0005】
一実施形態において、1ミクロン未満の平均直径を有する微細繊維を含む表面負荷(surface loading)フィルタ層と、深層負荷(depth loading)層と、支持層とを含むガスフィルタメディア(例えば空気フィルタメディア)が提供される。使用中、これらの層は、表面負荷フィルタ層が最も上流層にある状態でのガス流における配置のために構成および配置される。すなわち、これらの層は、表面負荷フィルタ層が、濾過されているガス(例えば空気)流が遭遇する第1層として位置付けられるように、互いに対して位置付けられる(すなわち、微細繊維フィルタ層が最も上流の層である)。特定の実施形態において、本開示のフィルタメディアはパルス洗浄可能である。
【0006】
本開示の別の実施形態において、本明細書において説明されるとおりハウジングとフィルタメディアとを含むガスフィルタ要素(例えば空気フィルタ要素)が提供される。
【0007】
本開示の別の実施形態において、ガス(例えば空気)を濾過する方法であって、本明細書において説明されるとおりフィルタメディアまたはフィルタ要素を通じてガスを導くことを含む方法が提供される。
【0008】
特定の実施形態において、深層負荷フィルタ層は、高効率ガラス含有フィルタ層、メルトブローンフィルタ層、またはその組合せを含む。高効率ガラス含有フィルタ層は、ガラス繊維と多成分バインダ繊維とを含み得る。高効率メルトブローンフィルタ層は、0.5ミクロン~10ミクロンの平均直径を有する繊維を含み得る。
【0009】
本明細書において、本開示のフィルタ層についての「高効率」は、4フィート毎分(ft/minまたはfpm)(すなわち2センチメートル毎秒(cm/sec))で0.4ミクロンサイズのDEHS粒子の(数で)少なくとも55%を取り除くことができる。例えば、0.4ミクロンで少なくとも70%の濾過効率が「高効率」とみなされる。本明細書における特定の実施形態において、高効率とは、4ft/min(2cm/sec)で、そのような粒子の少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも95%、少なくとも99.5%、少なくとも99.95%、または少なくとも99.995%を取り除くことを意味する。
【0010】
本明細書において、本開示の複合フィルタメディア(これは波形が形成されていてもいなくてもよい)および/または、フィルタ要素(これは典型的には波形が形成されておりプリーツ付きである)についての「高効率」は、EN779:2012による少なくともF9の効率を表す。追加的に、本開示の「高効率」フィルタ要素(これは典型的には波形が形成されておりプリーツ付きである)は、EN1822:2009による少なくともE10、または少なくともE11、または少なくともE12の効率を表す。
【0011】
「メルトブローン繊維」という用語は、溶融熱可塑性材料を、溶融した糸またはフィラメントとして、溶融熱可塑性材料のフィラメントを、マイクロファイバーの直径であり得るそれらの直径を減少させるために減衰させる、収束する高速ガス(例えば空気)流内へ、複数の精密な、通常は円形の、ダイキャピラリーを通じて押し出すことにより形成された繊維を指す。その後、メルトブローン繊維は高速ガス流により運ばれ、ランダムに分布したメルトブローン繊維のウェブを形成するように取集面に堆積される。典型的には、メルトブローン繊維は、連続または不連続であり得るマイクロファイバーであり、一般に直径が20ミクロン以下(しばしば10ミクロン)であり、収集面に堆積させられると一般に自己接合する。本発明において使用されるメルトブローン繊維は、好ましくは、長さにおいて実質的に連続的である。
【0012】
「多成分繊維」という用語は、別個に押し出されるが一緒に紡がれて1つの繊維を形成する少なくとも2つのポリマーから形成された繊維を指す。多成分繊維の特定の例として、「二成分繊維」は、二成分繊維の断面にわたって実質的に常に位置決めされた、区別可能なゾーンに配置され、二成分繊維の長さに沿って連続的に延在する2つのポリマーを含む。このような二成分繊維の構成は、例えば、あるポリマーが別のポリマーに囲まれるシース/コア構成であってもよく、または、並んだ構成すなわち「海の中の島(islands-in-the-sea)」構成であってもよい。二成分繊維について、ポリマーは、75/25、50/50、25/75の比または他の任意の望ましい比で存在し得る。従来の添加剤、例えば顔料および界面活性剤が、一方または両方のポリマー流に組み込まれてもよく、またはフィラメント表面に施されてもよい。
【0013】
「ポリマー」という用語は、ホモポリマー、例えばブロック、グラフト、ランダム、および交互コポリマーなどコポリマー、ターポリマーなど、ならびにそのブレンドおよび修正形態を含むがこれらに限定されるものではない。さらに、別段の特定の限定が無い限り、「ポリマー」という用語は、材料の全ての可能な幾何学的構成を含むことになる。これらの構成には、イソタクチック、シンジオタクチック、およびアタクチック対称が含まれるがこれらに限定されない。「コポリマー」という用語は、2つ以上の異なる単量体ユニットを含むポリマーを指し、それにより、ターポリマー、テトラポリマーなどを含む。
【0014】
「含む(comprises)」および「含む(includes)」という用語およびそのバリエーションは、これらの用語が説明および特許請求の範囲に現れるところでは限定的な意味を有しない。そのような用語は、述べられたステップもしくは要素、またはステップもしくは要素のグループを含むことを暗示するが、他の任意のステップもしくは要素、またはステップまたは要素のグループを排除しないことを暗示すると理解される。「からなる」により、限定するものではないが、「からなる」という語句が続くもの何であれを含むことが意味される。したがって、「からなる」という語句は、挙げられた要素が必要または必須であることを示し、他の要素が存在しなくてもよいことを示す。「から実質的になる」により、当該語句の前に挙げられている任意の要素を含むことを意味し、挙げられた要素についての本開示で特定された活動または行動に干渉または貢献しない他の要素に限定される。したがって、「から実質的になる」という語句は、挙げられた要素が必要または必須であることを示すが、他の要素は任意選択的であり、挙げられた要素の活動または行動にそれらが実質的に影響を及ぼすか否かに依存して、存在してもしなくてもよいことを示す。
【0015】
「好ましい」および「好ましくは」という言葉は、特定の状況下で特定の恩恵を提供し得る本開示の実施形態を指す。しかしながら、他の実施形態もまた、同じまたは他の状況下では好ましいこともある。さらに、1つまたは複数の好ましい実施形態の記述は、他の実施形態が有用でないことを暗示するものではなく、本開示の範囲から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0016】
本願において、例えば「a」、「an」および「the」という用語は、単数の存在のみを指すことを意図されているものではなく、一般的な分類であって、そのうち特定の例が例証のために使用され得る分類を含む。「a」、「an」、および「the」という用語は、「少なくとも1つの」という用語と同義に使用される。
【0017】
リストの後に続く「の少なくとも1つ」および「の少なくとも1つを含む」という語句は、リストにおける項目のうちの任意の1つおよびリストにおける2つ以上の項目の任意の組合せを指す。
【0018】
本明細書で使用される際、「または」という用語は一般に、内容が明らかにそうではないと支持しない限り、「および/または」を含む、その通常の意味で用いられる。「および/または」という用語は、挙げられた要素の1つもしくは全て、または、挙げられた要素の任意の2つ以上の組合せを意味する。
【0019】
同様に本明細書において、全ての数は、「約」という用語により、好ましくは「厳密に」という用語により修飾されるものとみなされる。測定量との関連で本明細書にて使用される際、「約」という用語は、測定を行っているとともにあるレベルのケアを行う当業者により予期され得る測定量におけるばらつきが、測定の目的および使用されている測定装置の精度に見合うことを指す。
【0020】
同様に本明細書において、終点による数値的範囲の記述は、終点だけでなくその範囲内に組み込まれた全ての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。本明細書において、「最大で」ある数(例えば、最大で50)は、当該数(例えば、50)を含む。
【0021】
「範囲における(in the range)」または「範囲内の(within a range)」という用語(および同様の記述)は、述べられた範囲の終点を含む。
【0022】
この明細書全体を通じて、「一実施形態」、「ある実施形態」、「特定の実施形態」、または「いくつかの実施形態」などへの言及は、実施形態に関連して説明された特定の特色、構成、組成物、または特徴が本発明の少なくとも一実施形態に含まれることを意味する。したがって、そのような語句がこの明細書の全体にわたって様々な場所に現れることは、本発明の同じ実施形態を必ずしも指しているわけではない。さらに、特定の特色、構成、組成物、または特徴は、1つまたは複数の実施形態において任意の好適なやり方で組み合わされてもよい。
【0023】
本開示の上記概要は、本開示の各開示された実施形態または全実装形態を説明することを意図されるものではない。以下の説明は、例示的な実施形態をより具体的に示す。本願を通じていくつかの場所で、例のリストを通じてガイダンスが提供され、これらの例は様々な組合せで使用され得る。各事例において、列挙されたリストは、代表的なグループとしての役割を果たすのみであり、排他的なリストとして解釈されてはならない。
【0024】
本開示は、以下の図面に関連してより完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本開示の複合フィルタメディアのある実施形態の一部の断面図である。
図2】本開示の複合フィルタメディアのある実施形態の断面図である。
図3】本開示の複合フィルタメディアのある実施形態の断面図である。
図4】吸気システムにおいて使用可能なフィルタ要素の一実施形態の斜視図である。
図5】本開示のフィルタメディアを備えた別の要素の別の実施形態の斜視図である。
図6】吸気口において使用可能な本開示の別のフィルタ要素の上部平面図である。
図7図6の要素の正面立面図である。
図8図7のフィルタ要素の右側面図である。
図9】フィルタ要素のさらなる実施形態の概略断面図である。
図10】フィルタ要素のさらなる実施形態の概略断面図である。
図11】フィルタ要素のさらなる実施形態の概略断面図である。
図12】フィルタ要素のさらなる実施形態の概略断面図である。
図13】フィルタ要素のさらなる実施形態の概略断面図である。
図14】フィルタ要素の別の実施形態の斜視図である。
図15】卵形構造を有するフィルタ要素の別の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示は、特にガス(例えば空気)濾過用途のためのフィルタメディアおよびフィルタ要素を提供する。
【0027】
一実施形態において、1ミクロン未満の平均直径を有する微細繊維を含む表面負荷フィルタ層と、深層負荷フィルタ層と、支持層とを含むガスフィルタメディア(例えば空気フィルタメディア)。
【0028】
使用中、これらの層は、表面負荷フィルタ層が最も上流層にある状態でのガス流における配置のために構成および配置される。すなわち、これらの層は、表面負荷フィルタ層(すなわち微細繊維フィルタ層)が、濾過されているガス(例えば空気)流が遭遇する第1層として位置付けられる(すなわち、微細繊維フィルタ層が最も上流の層である)ように、互いに対して位置付けられる。
【0029】
特定の実施形態において、本開示のフィルタメディアはパルス洗浄可能である。パルス洗浄可能であることは、(例えば空気のバックパルスを介した)自己洗浄にとって重要であり、フィルタメディアが極めて高いダスト濃度のために使用される場合に有用である。パルス洗浄可能性は、実施例のセクションで説明される修正ISO11057試験法に従って決定され得る。
【0030】
特定の実施形態において、複合フィルタメディアは、2つ以上の微細繊維フィルタ層を含む。特定の実施形態において、複合フィルタメディアは、2つ以上の深層負荷層(例えば、ガラス含有フィルタ層、メルトブローンフィルタ層、またはこれらの組合せ)を含む。特定の実施形態において、複合フィルタメディアは2つ以上の支持層を含む。これらの層は、微細繊維フィルタ層の1つが最も上流の層となる限り、様々な順序で配置され得る。
【0031】
各フィルタ層および支持層は、複数の層の複合体であり得る。例えば、深層負荷層は、組成および/または繊維直径のいずれかが異なるメルトブローン繊維の2つ以上の異なる層の複合体であり得る。
【0032】
特定の実施形態において、本開示のフィルタメディアは少なくとも10ミル(0.25mm)の厚さを有する。特定の実施形態において、本開示のフィルタメディアは、最大で60ミル(1.5mm)、または最大で30ミル(0.76mm)の厚さを有する。
【0033】
本開示の例示的な複合フィルタメディア10の一部を示す図1に示されるとおり、少なくとも2つのフィルタ層、すなわち、濾過を実施する層:表面負荷層20、および深層負荷フィルタ層(例えばガラス含有フィルタ層)22がある。一実施形態において、本開示の例示的な複合フィルタメディア10を示す図2に示されるとおり、表面負荷層20、深層負荷フィルタ層(例えばガラス含有フィルタ層)22、および深層負荷層22と表面負荷層20との間に位置付けられた支持層18がある。別の実施形態において、本開示の例示的な複合フィルタメディア10を示す図3に示されるとおり、支持層18、表面負荷層20、および支持層18と表面負荷層20との間に位置付けられた深層負荷フィルタ層(例えばガラス含有フィルタ層)22がある。
【0034】
これらの例示的な実施形態に示されるとおり、表面負荷フィルタ層20は、矢印で示されたガスフロー(例えば空気フロー)の方向に対して深層負荷フィルタ層22の上流に位置付けられる。すなわち、表面負荷フィルタ層20は、使用中にガス(例えば空気)流が遭遇する第1層である。
【0035】
フィルタおよび支持層の各々の厚さは同じであっても異なってもよく、限定するものではない。しかしながら、厚さは濾過特性に影響を及ぼすことに留意されたい。メディアの全厚は、他のメディア特性、例えばダスト負荷能力、効率、および透過性に著しく影響を及ぼすこと無しに、望ましくは最小化される。これは、例えば、好ましくは、フィルタ要素の特性および性能(例えば、効率、圧力損失、またはダスト負荷能力)に悪影響を及ぼさずにフィルタ要素が最大量のメディアを含むように、要素により多くのプリーツがあることを可能にする。
【0036】
典型的には、本開示のフィルタメディアにおいて、フィルタ層、好ましくは、フィルタ層および支持層は、接着剤、バインダ繊維、熱接合、超音波接合、自己接着で、またはそのような技術の組合せを使用して一緒に接着される。好ましい方法は、接着剤、バインダ繊維、またはその組合せの使用を含む。特に好ましい方法は、粉体コーティング、噴霧コーティング、または予め形成された接着剤ウェブの使用などを含む様々な技術において適用されている接着剤(感圧接着剤、ホットメルト接着剤)の使用によるものである。典型的には、接着剤は連続的な層の状態であるか、またはフィルタメディアが加工または使用中に剥離しない限り、所望により接着剤は模様入りであり得る。例示的な接着剤は、ホットメルト接着剤、例えば、ポリエステル、ポリアミド、アクリレート、またはこれらの組合せ(ブレンドまたはコポリマー)を含む。
【0037】
接着剤が使用される場合、接着剤の量は、当業者により容易に決定され得る。望ましいレベルは、メディアを通るガスフローに悪影響を及ぼさずに層間に好適な接合を提供するものである。例えば、複合フィルタメディアのFrazier透過性の減少は、各層の透過性の逆数の合計の逆数(すなわち(1/Aperm+1/Bperm+1/Cperm-1)の好ましくは20%未満、またはより好ましくは10%未満である。これはまた、他の任意の積層方法にも適用可能である。
【0038】
剛性を増加させ、要素におけるより良好なフローチャネルを提供するために、フィルタメディアには波形が形成され得る。したがって、特定の実施形態において、本開示のフィルタメディアは、(メディア性能を損なうことが多い)メディア損傷無しに、典型的な熱による波形形成プロセスを経るための特徴を有しなければならない。
【0039】
波形があるか波形が無い状態で、フィルタメディアは複数の折り目またはプリーツに折り曲げられることができ、次いで、フィルタハウジングまたはフレームに設置され得る。平面シートまたは波形が形成されたシートのプリーツ加工は、限定するものではないが、回転プリーツ加工、刃プリーツ加工などを含む任意の数のプリーツ加工技術を使用して実施され得る。波形が形成されたメディアは、米国特許第5,306,321号明細書に記載のプリーツ付きメディアに適用されたいくつかのプリーツ支持機構の任意の1つを有してもよい。例えば、波形が形成されたアルミニウムセパレータ、ホットメルトビード、および圧入(PLEATLOCプリーツ付きメディアと呼ばれることが多い)が使用され得る。
【0040】
特定の実施形態において、折り目がスペーサ形にフィルタメディアに刻み込まれ、そのため、メディアが湿っているかまたは過剰に詰まっている場合であっても、折り目同士の接合が有効な方法で防がれる。これらは、メディアの両側の波形チャネル方向に対して垂直なプリーツ先端部をへこませ、プリーツを分離された状態に保ち、ガス(例えば空気)が要素におけるプリーツパックを通って流れるためのより良好なフローチャネルを提供する。図9~14に示されているものなど円すい形または円筒形タイプの要素における場合、プリーツの均一な分離を保つために、外側のへこみが内部のへこみよりもより深くより広い可能性がある。
【0041】
波形が形成されていないメディアについて、本明細書において説明されたメディアのうちのいずれかに、プリーツ間へのホットメルト接着剤ビーズの追加または櫛セパレータの使用を伴うものなど、他のプリーツ分離方法が使用され得る。プリーツ付き材料は、シリンダまたは「チューブ」となるよう形成され得るとともに、次いで、例えば、接着剤(例えば、ウレタン系ホットメルト接着剤など)、または超音波溶接(すなわち超音波接合)などの使用を通じて、一緒に接合され得る。
【0042】
特定の実施形態において、本開示のフィルタ層、複合フィルタメディア(平らであるか波形が形成されている)、およびフィルタ要素は、「高効率」と呼ばれる。特定の実施形態において、本開示の高効率フィルタ層は、4ft/min(2cm/sec)で、0.4ミクロンサイズのDEHS粒子の(数で)少なくとも55%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも95%、少なくとも99.5%、少なくとも99.95%、または少なくとも99.995%を取り除くことが可能である。特定の実施形態において、本開示の高効率複合フィルタメディア(これは波形か形成されていてもいなくてもよい)および/またはフィルタ要素(これは典型的には波形が形成されておりプリーツ付きである)は、EN779:2012による少なくともF9の効率を表す。特定の実施形態において、本開示の高効率フィルタ要素(これは典型的には波形が形成されておりプリーツ付きである)は、EN1822:2009による少なくともE10、少なくともE11、または少なくともE12の効率を表す。
【0043】
特定の実施形態において、フィルタメディアは、ほとんどの貫通粒子径で、DEHS効率試験による少なくとも80%、または80%を超える効率を表す。
【0044】
特定の実施形態において、本開示のフィルタ層および/または複合フィルタメディアは、良好な深層負荷特徴を有する。
【0045】
特定の実施形態において、深層負荷フィルタ層は比較的低い堅牢性を有する。本明細書で使用される際、堅牢性は中実繊維容積を問題となっているフィルタメディアの総容積で割ったものであり、通常は、パーセンテージとして、または言い換えれば、繊維容積毎ユニット質量をメディア容積毎ユニット質量で割った比として、繊維が占めているメディアの容積分画として表される。堅牢性を決定するための好適な試験は、例えば、米国特許出願公開第2014/0260137号明細書において説明されている。典型的には、1.5ポンド毎平方インチ(psi)の圧力での20パーセント(%)未満(すなわち0.1kg/cm)、または多くの場合15%未満の堅牢性が望ましい。
【0046】
特定の実施形態において、本開示のフィルタ層および/または複合フィルタメディアは、高強度および高可撓性を示す。これは、層および/または複合メディアが折り曲げられたか層および/または複合メディアに波形が形成された後での引張強度の比較的低い損失により示され得る。フィルタ層またはフィルタメディアの折り曲げまたは波形形成後の引張強度の損失が20%未満であることが望ましい。
【0047】
表面負荷フィルタ層
表面負荷フィルタ層は、フィルタ層の容積または厚さ(すなわち「z」方向)とは反対に、層の表面で入射粒子のかなりの部分を捕捉するフィルタ層である。すなわち、表面負荷フィルタ層は、入射粒子が表面負荷フィルタ層を通過するのを止めることができるとともに、捕捉された粒子によるかなりの表面負荷を実現し得る。
【0048】
本開示のフィルタメディアの表面負荷フィルタ層は、1ミクロン(すなわち1000ナノメートル)未満、または最大で0.5ミクロン、または最大で0.3ミクロンの平均繊維直径を有する微細繊維を含む。これは、ナノファイバーおよびマイクロファイバーを含む。ナノファイバーは、200ナノメートルまたは0.2ミクロン未満の直径を有する繊維である。マイクロファイバーは、0.2ミクロン超10ミクロン以下の直径を有する繊維である。特定の実施形態において、微細繊維は少なくとも0.01ミクロン、または少なくとも0.05ミクロン、または少なくとも0.1ミクロンの平均直径を有する。
【0049】
特定の実施形態において、表面負荷フィルタ層は、1グラム毎平方メートル(g/mまたはgsm)未満の基本重量を有する。特定の実施形態において、表面負荷フィルタ層は、少なくとも0.0001g/mの基本重量を有する。
【0050】
特定の実施形態において、表面負荷フィルタ層は、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%のLEFS濾過効率を有する。特定の実施形態において、微細繊維フィルタ層は、最大で99%、最大で98%、最大で97%、最大で96%、最大で95%、最大で94%、最大で93%、最大で92%、最大で91%、または最大で90%のLEFS濾過効率を有する。
【0051】
微細繊維の例は、米国特許第8,118,901号明細書に開示されている。
【0052】
本開示の表面負荷フィルタ層は、相互係止ネットを形成するように接合され得る微細繊維のランダムな分布を含み得る。濾過性能は、大部分、粒子状の通路に対する微細繊維の遮蔽の結果として得られる。剛性、強度、プリーツ加工可能性の構造上の特性は、典型的には、フィルタメディア内に含まれる支持層(例えば、微細繊維が接着されている支持層)により提供される。
【0053】
特定の実施形態において、表面負荷フィルタ層は、微細繊維の相互係止ネットワークを含み得る。そのようなネットワークは、典型的には、マイクロファイバーまたはナノファイバーの形の微細繊維と、繊維間の比較的小さいスペースとを含む。そのようなスペースは、典型的には、繊維間で、0.01ミクロン~25ミクロンまたはしばしば0.1ミクロン~10ミクロンに及ぶ。
【0054】
特定の実施形態において、微細繊維は、フィルタメディア全体に1ミクロン未満の厚さを加える。サービス中、フィルタは、入射粒子が表面負荷フィルタ層を通過するのを止めることができるとともに、捕捉された粒子によるかなりの表面負荷を実現することができる。ダストまたは他の入射粒子を含む粒子は、微細繊維表面にダストケーキを速やかに形成するとともに、粒子除去の高い初期および全体効率を維持する。0.01ミクロン~1ミクロンの粒子径を有する比較的微細な汚染物質であっても、微細繊維を含むフィルタメディアは極めて高いダスト収容能力を有する。
【0055】
微細繊維を作るのに有用な好適なポリマー材料は、熱、湿気、高流速、逆パルス洗浄、作動摩耗、サブミクロン粒子、使用の際のフィルタの洗浄および他の要求の厳しい条件の望ましくない効果に対して、実質的に改善された耐性を有する。
【0056】
微細繊維およびそれらの材料であるポリマー材料の例は、米国特許第8,118,901号明細書に開示されている。そのようなポリマー材料は、付加ポリマーおよび縮合ポリマー材料の両方、例えば、ポリオレフィン、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエステル、セルロースエーテルおよびエステル、ポリアルキレンスルフィド、ポリアリーレンオキシド、ポリスルホン、修飾ポリスルホンポリマー、およびそれらの混合物を含む。これらの汎用的な分類に入る好ましい材料は、架橋および非架橋体での様々な度合い(87%~99.5%)の加水分解状態のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリメチルメタクリレート(および他のアクリル樹脂)、ポリスチレン、ならびにそのコポリマー(ABAタイプブロックコポリマーを含む)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリビニルアルコールを含む。好ましい付加ポリマーは、ガラス状である傾向がある(Tgが室温より高い)。これは、ポリ塩化ビニルおよびポリメチルメタクリレート、ポリスチレンポリマー組成物またはその合金の場合、またはポリフッ化ビニリデンおよびポリビニルアルコール材料の場合である。
【0057】
ポリアミド縮合ポリマーの一分類はナイロン材料である。「ナイロン」という用語は、全ての長鎖合成ポリアミドのための汎用名である。典型的には、ナイロン命名法は、例えば、出発原料がCジアミンおよびC二酸であることを示すナイロン-6,6におけるような一続きの番号を含む(最初の数字はCジアミンを示し、2番目の数字はCジカルボン酸化合物を示す)。別のナイロンは、少量の水の存在下でのε-カプロラクタムのポリ縮合により作られ得る。この反応は、線形ポリアミドであるナイロン-6(ε(episilon)-アミノカプロン酸としても既知である環状ラクタムから作られる)を形成する。さらに、ナイロンコポリマーもまた想定される。
【0058】
コポリマーは、反応混合物において様々なジアミン化合物、様々な二酸化合物、および様々な環状ラクタム構造を組み合わせ、次いで、ポリアミド構造において単量体材料がランダムに位置付けられた状態のナイロンを形成することにより作られ得る。例えば、ナイロン6,6-6,10材料は、ヘキサメチレンジアミンならびに二酸のCおよびC10ブレンドから製造されたナイロンである。ナイロン6-6,6-6,10は、ε-アミノカプロン酸、ヘキサメチレンジアミン、ならびにCおよびC10二酸材料のブレンドの共重合により製造されたナイロンである。
【0059】
ブロックコポリマーはまた、微細繊維を作る際に有用である。そのようなコポリマーでは、溶剤膨張剤の選択肢が重要である。選択された溶剤は、両ブロックが溶剤に可溶であったようなものである。一例は、塩化メチレン溶剤におけるABA(スチレン-EP-スチレン)またはAB(スチレン-EP)ポリマーである。1つの成分が溶剤に可溶でない場合、それはゲルを形成する。そのようなブロックコポリマーの例は、スチレン-b-ブタジエンおよびスチレン-b-水素化ブタジエン(エチレンプロピレン)のKRATONコポリマー、e-カプロラクタム-b-エチレンオキシドのPEBAXコポリマー、SYMPATEXポリエステル-b-エチレンオキシド、ならびに、エチレンオキシドおよびイソシアネートのポリウレタンである。
【0060】
ポリフッ化ビニリデン、シンジオタクチックポリスチレン、フッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレンのコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、非晶質付加ポリマー、例えばポリ(アクリロニトリル)ならびにアクリル酸およびメタクリレートとのそのコポリマー、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)およびその様々なコポリマー、ポリ(メタクリル酸メチル)およびその様々なコポリマーのような付加ポリマーは、それらが低い圧力および温度で可溶であることから比較的容易に溶液紡糸され得る。しかしながら、ポリエチレンおよびポリプロピレンのような高結晶質ポリマーは、それらが溶液紡糸される場合、高温、高圧溶剤を必要とする。したがって、ポリエチレンおよびポリプロピレンの溶液紡糸は極めて難しい。静電気溶液紡糸が、微細繊維を作る一方法である。
【0061】
特定の実施形態において、微細繊維は、単一のポリマー材料を含む。特定の実施形態において、微細繊維は、高温で調整または処理された第1ポリマーと第2の異なるポリマー(ポリマータイプ、分子量または物理的性質が異なる)とを含むポリマー混合物を含む。このポリマー混合物は、単一の化学種になるように反応または形成され得るか、焼きなましプロセスにより、ブレンドされた組成物になるように物理的に組み合わされ得る。焼きなましは、結晶化、応力緩和または配向のような物理的変化をもたらす。特定の実施形態において、ポリマー材料は、示差走査熱量計解析が単一のポリマー材料を明らかにするように、単一のポリマー種になるように化学的に反応させられる。同様のポリマー、例えば、同様のナイロン、同様のポリ塩化ビニルポリマー、ポリ塩化ビニリデンポリマーのブレンドの相溶性混合物は、表面負荷フィルタ層の繊維において有用である。
【0062】
特定の実施形態において、微細繊維は、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、またはそれらの組合せ(例えばブレンドまたはコポリマー)を含む。
【0063】
高温、高湿、および困難な作動条件に触れたときに、疎油性、疎水性、または他の関連する改良された安定性を提供する表面コーティングを微細繊維に形成するために、付加材料もまた使用され得る。そのような微細繊維は、付加材料の分離した層、または、ポリマー表面において部分的に可溶化されたか合金された付加材料の外側コーティング、または両方を含む滑らかな表面を有し得る。
【0064】
添加剤は、フッ素系界面活性剤、非イオン性界面活性剤、低分子量樹脂、例えば、約3000未満の分子量を有する三級ブチルフェノール樹脂を含む。この樹脂は、メチレン架橋基を欠くときのフェノール核間でのオリゴマー接合により特徴付けられる。ヒドロキシルおよび三級ブチル基の位置は、環の周りにランダムに位置付けられ得る。フェノール核間の接合は、ヒドロキシル基の隣で常に生じ、ランダムには生じない。同様に、ポリマー材料は、ビスフェノールAから形成されたアルコールに可溶な非線状ポリマー樹脂と組み合わされ得る。そのような材料は、それが、アルキレンまたはメチレン基など架橋基無しで芳香環を芳香環に直接接続するオリゴマー接合を使用して形成されるという点で、上述の三級ブチルフェノール樹脂と同様である。
【0065】
特定の実施形態において、ポリマーおよび任意選択の添加剤は、耐温度性、耐湿性、および耐溶剤性を提供するように選択される。特定の実施形態において、ポリマー材料および任意選択の添加剤は、フィルタ効率の、またはフィルタ層における有効な微細繊維の30%、50%、80%、または90%を保持しつつ、最終用途に依存して、1時間~3時間の間、様々な運転温度、すなわち140°F、160°F、270°F、300°Fの温度を、損傷を受けずに存続するように選択される。これらの温度で存続することは、低湿で、高湿で、および水飽和ガス(例えば空気)中において重要である。
【0066】
特定の実施形態において、ポリマーおよび任意選択の添加剤は、複合メディアが、あまり剥離せずに、プリーツを含むフィルタ構造、筒状材料、および他の構造になるように加工され得るように、メディア構造の残りの部分への材料の接着を提供するように選択される。
【0067】
微細繊維フィルタ層は、二層または多層構造を含んでもよく、フィルタは、1つまたは複数の合成、セルロース系、またはブレンドされたウェブにより組み合わされたかあるいは分離された1つまたは複数の表面負荷フィルタ層を含有する。別の好ましいモチーフは、他の繊維のマトリクスまたはブレンドにおいて微細繊維を含む構造である。
【0068】
パルス洗浄用途のために、微細繊維の極めて薄い層が、圧力損失を最小化するとともに粒子捕捉および解放のための外面を提供するのに役立ち得る。直径1ミクロン未満、または直径0.5ミクロン未満の繊維の薄い層が、自己洗浄用途のために好ましい。微細繊維と隣接する層(例えば深層負荷層)との間の良好な接着が重要である。繰り返しバックパルスすることにより表面を自己洗浄することは、フィルタメディアを回復させる。表面に大きい力がかけられると、基体への接着が乏しい微細繊維は、フィルタの内部から基体を通って表面負荷フィルタ層に至るバックパルス時に剥離し得る。
【0069】
深層負荷層
深層負荷層は、層の容積を通じて粒子を捕捉するフィルタ層である。したがって、ゴミは、表面負荷フィルタ層の表面上でとは反対に、フィルタ層の厚さ全体にわたって(すなわち「z」方向に)捕捉される。
【0070】
深層負荷層は、その多孔性、密度、および固形分パーセンテージの点で特徴付けられることが多い。例えば、5%堅牢性メディアは、容積全体の約5%が固体(例えば繊維状材料)を含み、残りの部分は、空気または他の流体で満たされた空所であることを意味する。
【0071】
特定の実施形態において、深層負荷フィルタ層は、比較的低い堅牢性を有する。典型的には、深層負荷フィルタ層は、1.5psi(すなわち0.1kg/cm)の圧力で20パーセント(%)未満、しばしば15%未満の堅牢性を有する。特定の実施形態において、本開示の深層負荷フィルタ層は、1.5psi(すなわち0.1kg/cm)の圧力で少なくとも5パーセントの堅牢性を有する。
【0072】
特定の実施形態において、深層負荷フィルタ層は、構造の残りの部分とは別に評価された場合、少なくとも8リットル毎平方メートル毎秒(l/m/sec)、少なくとも20l/m/sec、少なくとも40l/m/sec、少なくとも80l/m/sec、少なくとも100l/m/sec、または少なくとも200l/m/secのFrazier透過性(0.5インチの水で設定された差圧)を有する。特定の実施形態において、深層負荷フィルタ層は、構造の残りの部分とは別に評価された場合、最大で1000l/m-sec、最大で800l/m-sec、最大で600l/m-sec、最大で400l/m-sec、または最大で200l/m/secのFrazier透過性(0.5インチの水で設定された差圧)を有する。
【0073】
別の一般に使用される深層負荷フィルタ層特徴は繊維直径である。一般に、所与の堅牢性パーセンテージに対して繊維直径が小さいほど、フィルタメディアがより小さい粒子を捕捉する能力を備えてより効率的になる。繊維が小さいほどより大きい繊維より占める容積が小さくなるという事実を踏まえると、小さい繊維ほど、堅牢性パーセンテージ全体を増加させること無しにより多くの数で集められ得る。
【0074】
深層負荷フィルタ層は、実質的に、容積または深さ全体にわたって粒子を捕捉することから、そのようなフィルタ層には、フィルタメディアの寿命にわたって、表面負荷フィルタ層と比較すると、より高い重量および容積の粒子の負荷がかけられ得る。しかしながら、深層負荷フィルタ層は、表面負荷フィルタ層よりも効率が低い傾向がある。そのような高い負荷能力を容易にするために、低堅牢性の深層負荷フィルタ層が使用のために選択されることが多い。これは、大きい平均孔径をもたらすことがあり、このことは、いくつかの粒子がフィルタをより容易に通過することを可能にする可能性がある。傾斜密度システム、および/または、表面負荷フィルタ層を加えることは、改善された効率特徴を提供し得る。
【0075】
特定の実施形態において、本開示のフィルタメディアの深層負荷層は高効率フィルタ層である。特定の実施形態において、高効率フィルタ層は、4ft/min(2cm/sec)で0.4ミクロンサイズのDEHS(ジ-エチル-ヘキシル-セバカート)粒子で少なくとも55%、または少なくとも70%の濾過効率を表す。好ましくは、濾過効率は、4ft/min(2cm/sec)で最大透過粒子径(MPPS:most penetrating particle size)の粒子の少なくとも少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも95%、少なくとも99.5%、少なくとも99.95%、または少なくとも99.995%である。
【0076】
特定の実施形態において、深層負荷層は、4ft/min(2cm/sec)で、0.4ミクロンサイズのDEHS(ジ-エチル-ヘキシル-セバカート)粒子で、最大で99%、最大で99.5%、最大で99.97%、または最大で99.997%の濾過効率を表す。
【0077】
特定の実施形態において、本開示の深層負荷フィルタ層は、初期値(すなわち500Pa)に対して2インチの水柱上昇の終端圧力損失で、少なくとも1グラム毎平方メートル(g/mまたはgsm)、少なくとも2g/m、少なくとも3g/m、少なくとも4g/m、少なくとも5g/m、少なくとも6g/m、少なくとも7g/m、少なくとも8g/m、少なくとも9g/m、または少なくとも10g/mの塩負荷能力を表す。典型的には、塩負荷能力が高いほど良く、その理由は、これは製品の寿命を示すものだからである。特定の実施形態において、深層負荷フィルタ層が、初期値に対して500パスカルの圧力上昇で最大で10g/mの塩負荷能力を表す。
【0078】
特定の実施形態において、深層負荷層は、少なくとも0.005インチ(125ミクロン)の厚さ、しばしば少なくとも0.01インチ(250ミクロン)の厚さである。特定の実施形態において、深層負荷層は最大で0.02インチ(500ミクロン)の厚さである。
【0079】
特定の実施形態において、深層負荷フィルタ層は、少なくとも10g/m、少なくとも20g/m、少なくとも30g/m、少なくとも40g/m、または少なくとも50g/mの基本重量を有する。特定の実施形態において、深層負荷フィルタ層は、最大で150g/m、最大で140g/m、最大で130g/m、最大で120g/m、最大で110g/m、最大で100g/mの基本重量を有する。
【0080】
特定の実施形態において、深層負荷層は、0.3ミクロンNaCl粒子で、2インチの水圧上昇および10ft/min(5.8cm/sec)で、少なくとも0.5g/ft(5.4g/m)ダスト負荷能力を表す。特定の実施形態において、深層負荷層は、0.3ミクロンNaCl粒子で、2インチの水圧上昇および10ft/min(5.8cm/sec)で、最大で5g/ft(53.8g/m)のダスト負荷能力を表す。
【0081】
特定の実施形態において、深層負荷層は、ガラス含有フィルタ層、メルトブローンフィルタ層、またはその組合せを含む。
【0082】
特定の実施形態において、深層負荷層はガラス含有フィルタ層を含む。ガラス含有フィルタ層の特定の実施形態において、そのような層は、最大で2ミクロン、最大で1ミクロン、または最大で0.5ミクロンの平均直径を有するガラス繊維を含む。特定の実施形態において、ガラス繊維は、少なくとも0.01ミクロン、少なくとも0.05、少なくとも0.1ミクロン、少なくとも0.2ミクロン、少なくとも0.3ミクロン、または少なくとも0.4ミクロンの平均直径を有する。
【0083】
ガラス含有フィルタ層はまた、ガラス含有繊維以外の繊維を含み得る。例えば、それは、バインダ繊維として機能する多成分繊維、典型的には二成分繊維を含有してもよい。好ましい例は、低い融点のポリエステルシースとより高い融点のポリエステルコアとを有する、コア-シース繊維である二成分バインダ繊維である。二成分繊維は、典型的には少なくとも10ミクロンの繊維直径を有する。
【0084】
ガラス含有フィルタ層はまた、多成分繊維とは異なるポリエステル繊維を含み得る。本開示の好ましいガラス含有フィルタ層は、ガラス繊維および二成分バインダ繊維のみを含む。特定の実施形態において、多成分バインダ繊維と異なるポリエステル繊維は、10ミクロン~14ミクロンの平均直径を有する。
【0085】
ガラス含有フィルタ層の繊維は、様々なプロセスにより作られ得る。特定の実施形態において、ガラス含有フィルタ層は湿式プロセスを使用して作り出される。
【0086】
ガラス含有フィルタ層におけるバインダ繊維は、バインダ樹脂の使用を回避するために使用されるが、そのような樹脂は、その強度をさらに向上させるために追加され得る。好適なバインダ樹脂の例は、溶剤系または水性ラテックス樹脂、水性スチレンアクリル、溶剤系フェノール樹脂、および溶剤系非フェノール樹脂、例えば、Cleveland、OHのLubrizolからHYCAR26138という商標で入手可能なものを含む。典型的には、使用される場合、バインダ樹脂は、ガラス含有フィルタ層の総重量に基づき最大で10重量%、最大で5重量%、または最大で1重量%の量でガラス含有フィルタ層に存在し得る。好ましくは、ガラス含有フィルタ層において(またはフィルタメディアの層のいずれにおいても)バインダ樹脂は使用されない。
【0087】
好適なガラス含有フィルタ層の例は、米国特許第7,309,372号明細書、米国特許第7,314,497号明細書、米国特許第7,985,344号明細書、米国特許第8,057,567号明細書、および米国特許第8,268,033号明細書、ならびに、米国特許出願公開第2006/0242933号明細書および米国特許出願公開第2008/0245037号明細書において説明されたものを含む。
【0088】
特定の実施形態において、深層負荷層はメルトブローンフィルタ層を含む。典型的には、メルトブロー積層は、微細なフィラメントを形成するために、加熱された、高速ガス(例えば空気)で溶融ポリマー樹脂を押し出すとともに引く不織布ウェブ形成プロセスである。フィラメントは、冷却され、移動スクリーンの上へウェブとして集められる。このプロセスは、スパン-ボンドプロセスと同様であるが、メルトブローン繊維は、典型的にははるかにより細い。
【0089】
典型的には、メルトブローン繊維は、20ミクロン以下の平均直径を有する。特定の実施形態において、メルトブローンフィルタ層は、最大で10ミクロン、最大で5ミクロン、最大で4ミクロン、または最大で3ミクロンの平均直径を有するメルトブローン繊維を含む。特定の実施形態において、メルトブローンフィルタ層は、少なくとも0.5ミクロン、少なくとも1ミクロン、少なくとも1.5ミクロン、または少なくとも2ミクロンの平均直径を有するメルトブローン繊維を含む。特定の実施形態において、メルトブローン繊維は、2~3ミクロンの平均直径を有する。
【0090】
特定の実施形態において、国際公開第2013/025445号パンフレットに記載の足場繊維が、性能を強化するために必要に応じてメルトブローンフィルタ層に含まれ得る。しかしながら、高いレベルの圧縮性を有するメディアは、メルトブローンフィルタ層において国際公開第2013/025445号パンフレットにおいて記載のとおり使用される足場繊維をほとんどまたは全く有しない。足場繊維は、メディア繊維のための支持を提供し、改良された操作、より大きい引張強度を加え、メディアに対するより低い圧縮性をもたらす。
【0091】
特定の実施形態において、メルトブローンフィルタ層は、第1主面に、より大きい繊維の連続的に傾斜する構造およびより開いた構造、ならびに第2主面に、より小さい繊維およびそれほど開いていない構造を含む。この構造の特定の実施形態において、メルトブローンフィルタ層の第2主面は支持層に隣接し、第1主面は、最も上流の表面(すなわち、使用中にガス(例えば空気)流が遭遇する最初の層)として位置付けられる。
【0092】
特定の実施形態において、メルトブローンフィルタ層は、メルトブローン複合材料の第1主面に、より大きい繊維およびより開いた構造、ならびに、メルトブローン複合材料の第2主面に、より小さい繊維およびあまり開いていない構造を備えたメルトブローン繊維の複数の層の複合体を含む。この構造の特定の実施形態において、メルトブローンフィルタ層の第2主面は支持層に隣接しており、第1主面は、表面負荷フィルタ層に隣接して位置付けられる。
【0093】
特定の実施形態において、メルトブローン繊維は、メルトブロー積層されるのに好適な様々なポリマーから調製され得る。例には、ポリオレフィン(特に、ポリプロピレン)、エチレン-クロロ-トリフルオロエチレン、他の疎水性ポリマー、または、疎水性コーティングまたは添加剤を有する非疎水性ポリマー(例えば、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリ乳酸、ポリカーボネート、ナイロン、ポリフェニレン・スルファイド)、またはこれらの組合せ(例えばブレンドまたはコポリマー)を含む。好ましいポリマーは、ポリオレフィン、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびポリブチレンである。
【0094】
特定の実施形態において、メルトブローンフィルタ層はポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、またはこれらの組合せでできている繊維を含む。特に好ましいメルトブローン繊維は、好ましい本開示のフィルタメディアの水密特徴を高めるためにポリプロピレンでできている。
【0095】
特定の実施形態において、メルトブローンフィルタ層は疎水性である。これにより、層が水との90度より大きい接触角度を示すことを意味する。その材料である繊維状材料は、疎水性(例えばポリオレフィン)であり得るか、あるいは疎水性添加剤を含み得るか、あるいは疎水性材料でコーティングされ得る。同様に、特定の実施形態において、水密特徴を高めるために、ガラス含有フィルタ層は疎水性コーティングでコーティングされる。代替的に、深層負荷フィルタ層はプラズマ処理技術で処理され得る。
【0096】
好適な疎水性材料は水に対する親和性をほとんどまたは全く有しないか、または水を完全にはじき、それにより水がフィルタメディアを通過するのを防ぐかあるいは制限する。典型的には、疎水性材料は、試験されると水と90度より大きい接触角度を示す。疎水性材料の例は、フルオロケミカル、特に、米国特許第6,196,708号明細書に記載のフルオロポリマーを含む。
【0097】
有用なフルオロポリマーの例には、フルオロアルキル部分、または好ましくは、パーフルオロアルキル部分を有するものを含む。これらのフルオロポリマーは、例えば、フルオロアルキルエステル、フルオロアルキルエーテル、フルオロアルキルアミド、およびフルオロアルキルウレタンを含む。しばしば、フルオロアルキルおよび/またはパーフルオロアルキル部分は、ポリマーの骨格から延在する。
【0098】
フルオロポリマーは様々なモノマーユニットを含み得る。例示的なモノマーユニットには、例えば、フルオロアルキルアクリレート、フルオロアルキルメタクリレート、フルオロアルキルアリールウレタン、フルオロアルキルアリルウレタン、フルオロアルキルマレイン酸エステル、フルオロアルキルウレタンアクリレート、フルオロアルキルアミド、フルオロアルキルスルホンアミドアクリレートなどを含む。フルオロポリマーは、不飽和炭化水素(例えばオレフィン)、アクリレート、およびメタクリレートなどを含む追加的な非フッ素系モノマーユニットを任意選択的に有し得る。好適なフルオロポリマーの追加的な例は米国特許第3,341,497号明細書において提供されている。
【0099】
商業的に利用可能なフルオロポリマーには、3M Protective Material PM-490(非イオン性フルオロケミカル樹脂)、3M Protective Material PM-3633(フルオロポリマーエマルジョン)、3M L-21484(水または極性有機溶媒において希釈され得るフッ素化アミノ塩誘導体)だけでなく、Huntsman(Charlotte、NC)のOLEOPHOBOL CPXという取引上の表示で入手可能なものを含み、これらの全ては3M Co.(St.Paul、MN)から入手可能である。
【0100】
他の例示的な、商業的に利用可能なフルオロポリマーは水性エマルジョンで提供される。フルオロポリマーは水性エマルジョンから、水キャリアの除去により抽出され得る。次いで、フルオロポリマーは、有機溶剤に溶媒和され得る。フルオロポリマーの溶媒和を容易にするために、アセトンなどの化合物が、エマルジョンを破壊するために水性エマルジョンに任意選択的に追加され得る。加えて、フルオロポリマーの粒子は、溶媒和をより容易かつ迅速にするために、水の除去後に、任意選択的にすり潰され得る。
【0101】
そのような材料をコーティングする方法が、当業者には認められており既知である。典型的なコーティング重量は、少なくとも0.5重量%、しばしば3重量%以下である。
【0102】
支持層
本開示のフィルタメディアは支持層を含む。支持層は、繊維状材料、金属メッシュなどを含む様々な多孔材料のいずれかであり得る。典型的には、支持層のために使用される繊維状材料は天然繊維および/または合成繊維でできている。それは織布または不織布であり得る。それは、スパンボンド、湿式などであり得る。
【0103】
特定の実施形態において、支持層は、少なくとも5ミクロン、または少なくとも10ミクロンの平均直径を有する繊維を含む。特定の実施形態において、支持層は、最大で250ミクロンの平均直径を有する繊維を含み得る。
【0104】
特定の実施形態において、支持層は、少なくとも50グラム/平方メートル(g/mまたはgsm)、または少なくとも100gsmの基本重量を有する。特定の実施形態において、支持層は、最大で260グラム/平方メートル(g/mまたはgsm)、最大で200g/m、または最大で150g/mの基本重量を有する。
【0105】
特定の実施形態において、支持層は、少なくとも0.005インチ(125ミクロン)の厚さ、しばしば少なくとも0.01インチ(250ミクロン)の厚さである。特定の実施形態において、支持層は、最大で0.03インチ(750ミクロン)の厚さである。
【0106】
特定の実施形態において、支持層は、構造の残りの部分とは別に評価された場合、125Paで少なくとも10立方フィート毎分(ft/min)()(200Paで80.2l/m/秒)の透過性を有する。特定の実施形態において、構造の残りの部分とは別に評価された場合、125Paで最大で1000立方フィート毎分(ft/min)(200Paで8020l/m/s)の透過性。
【0107】
特定の実施形態において、支持層は、少なくとも1000グラム、しばしば少なくとも5000グラムのガーレー剛性を有する。特定の実施形態において、支持層は、最大で10,000グラムのガーレー剛性を有し得る。ガーレー剛性を測定する方法はTAPPI No.T543で説明されている。
【0108】
支持層(すなわち基体)のための好適な材料の例は、スパンボンド、湿式、カード式、またはメルトブローン不織布を含む。好適な繊維は、セルロース系繊維、ガラス繊維、金属繊維、もしくは合成ポリマー繊維または組合せであり得る。繊維は織布または不織布の形であり得る。両方とも押出成形され穿孔されたプラスチックまたは金属スクリーン状材料が、フィルタ基体の他の例である。合成不織布の例には、ポリエステル不織布、ナイロン不織布、ポリオレフィン(例えばポリプロピレン)不織布、ポリカーボネート不織布、またはそのブレンドされたまたは多成分不織布を含む。シート状基体(例えば、セルロース系、合成、および/またはガラスまたは組合せウェブ)は、フィルタ基体の典型的な例である。好適な基体の他の好ましい例には、スパンボンドによる、ポリエステルまたは二成分ポリエステル繊維(ガラス含有フィルタ層について本明細書において説明されるとおり)またはポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレート、またはポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート二成分繊維を含む。
【0109】
特定の実施形態において、支持層は湿式繊維を含む。特定の実施形態において、支持層は、湿式セルロース繊維、ポリエステル繊維、またはその組合せを含む。
【0110】
特定の実施形態において、支持層は疎水性である。その材料である繊維状材料は疎水性(例えばポリオレフィン)であり得るか、疎水性添加剤を含み得るか、それは疎水性材料、例えば、ガラス含有フィルタ層の疎水性コーティングのために本明細書において説明されたものでコーティングされ得るか、それはプラズマ処理技術で処理され得る。代替的に、湿式の場合、疎水性樹脂は湿式プロセス中に施され得る。
【0111】
任意選択のスクリム層
特定の実施形態において、本開示のフィルタメディアの剛性を高めるためにスクリム層が使用され得る。典型的には、スクリム層は、表面負荷フィルタ層と深層負荷フィルタ層との間に配置される。スクリム層のために有用な材料は、典型的には、高い透過性(すなわち「perm」)(例えば1600l/m/sより大きい)を有し、薄く(例えば0.005インチ未満)、そのため、平面シートまたはフィルタ要素性能には最小限の効果を及ぼす。そのようなスクリム材料の例には、Cincinatti、OH のMidwest FiltrationのFINON C303NWおよびFINON C3019 NWという商標で入手可能なものを含む。他のものは、例えば、米国特許出願公開第2009/0120868号明細書において説明されている。
【0112】
フィルタ要素および用途
本開示のフィルタメディアは、このとき、例えば、平面パネルフィルタ、カートリッジフィルタ、または他の濾過コンポーネント(例えば、円筒形または円すい形のもの)を含むフィルタ要素(すなわち濾過要素)になるように製造され得る。そのようなフィルタ要素の例は、米国特許出願公開第2014/0260142号明細書だけでなく、米国特許第6,746,517号明細書、米国特許第6,673,136号明細書、米国特許第6,800,117号明細書、米国特許第6,875,256号明細書、米国特許第6,716,274号明細書、および米国特許第7,316,723号明細書において説明されている。
【0113】
フィルタメディアには波形が形成され得る。例示的な波形は、0.020~0.035インチ(0.5mm~0.9mm)の深さである。波形が形成されたフィルタメディアは、典型的には、プリーツパックを形成するためにプリーツ加工され得、次いで、当該技術分野において既知のとおり、ハウジング内に配置されるとともに密封され得る。
【0114】
本開示のフィルタ要素は、工業用濾過において、例えば集塵機において、および商業用および住居用HVACシステムにおいて使用され得る。
【0115】
図4~14は、ガスタービン吸気システムまたは工業用空気洗浄機において使用可能である本開示のフィルタ要素の様々な実施形態を示す。
【0116】
図4において、プリーツ付きパネル要素200が斜視図で示される。パネル要素200は、プリーツ付きメディア204のメディアパック202を含む。プリーツ付きメディア204は、フィルタ本明細書において説明されたメディアを含み得る。図示の実施形態において、メディアパック202はフレーム206内に保持され、図示の例は長方形フレーム206である。フレーム206は、要素200が、吸気システムにおいてチューブシートに対して密封されることを可能にするために典型的にはガスケット(図示せず)を含む。図4において、表面負荷フィルタ層を備えるプリーツ付きメディア204の上流側は、矢印207で示す引き込まれるガス(例えば空気)と同じ側に、205で示されている。きれいにされたガス(例えば空気)は矢印208で示され、メディアの下流側からメディア204から出てくる。
【0117】
図5は、ポケットフィルタ要素210の斜視図を示す。ポケット要素210は、本開示のフィルタメディアを含み得るフィルタメディア212の層を含む。図示の実施形態において、ポケット要素210は複数のパネル対213、214を含み、各パネル対213、214はV状形状を形成する。フィルタメディア212はフレーム216に固定される。フレーム216は、ポケット要素210がチューブシートに対して密封されることを可能にするために、典型的にはガスケットを支持する。このような配置構成において、メディア212は、Vの内部である上流メルトブローン側217と、Vの外側にある下流側218とを有する。
【0118】
図6~8は、ミニプリーツまたはマルチV型要素220の図を示す。要素220は、フィルタメディアパック224(図8)を保持するフレーム222を含む。メディアパック224は複数のミニプリーツを含む。ミニプリーツはパネル226において配置され、要素220は、各々V状形状を形成する、本発明のメディアの複数のミニプリーツ付きパネル対227、228(図6)を含む。図6において、フレーム222の上部分がパネル対227、228を見えなくしていることから、パネル対227、228は隠れ線で示される。フレーム222は、複数の汚れたガス(例えば空気)入口229(図7)を画定し、これは、各プリーツ付きパネル対227、228の各Vの内部へと至る。各プリーツ付きパネル対227、228は、Vの内部にある上流側230とVの外側にある下流側231とを含む。
【0119】
図9~14は、管状の、プリーツ付きフィルタ要素の様々な実施形態を示す。図9は、上流側244と下流側246とを有する本開示のフィルタメディアを含み得るメディアパック242を有する円筒形のプリーツ付き要素240を示す。下流側246は、要素240の内部容積の内部である。
【0120】
図10は、端と端を接続して並べられるように軸方向に整列した円筒形の要素240のうちの2つを示す。
【0121】
図11において、円筒形要素240は、部分的に円すい形の要素250と軸方向に整列させられる。部分的に円すい形の要素250は、本開示のフィルタメディアを含み得るメディアパック252を有する管状要素である。要素は、上流側254と下流側256とを有する。円すい形要素250は、円筒形要素240の直径と合致する直径を有する第1端258を有する。円すい形要素250は、第1端258の直径より大きい直径を有する第2端260を含み、したがって部分的円すい形を形成する。
【0122】
図12は、軸方向に配置されるとともに、端と端を接続して係合された2つの部分的に円すい形の要素270、280を示す。要素270の各々は、本開示のフィルタメディアを含み得るチューブを形成するメディアパック272、282を含む。メディアパック272、282は各々、上流側274、284と下流側276、286とを有する。
【0123】
図13は、単一の円すい形要素270を示す。要素270は、図11および12に示されるように要素ペアに設置されること無しにガスタービンのための吸気システムに設置された状態で単独で使用され得る。
【0124】
図14は、本開示のフィルタメディアを含み得るメディアパック292を有するフィルタ要素290の別の実施形態である。メディアパック292は、プリーツ加工されているとともに管状形状を形成する。この実施形態において、管状形状は楕円形状であり、例示的一実施形態において、楕円の長軸に対する短軸の比は約0.7~0.9である。メディア292は、上流側294と下流側296とを含む。
【0125】
図15は、本開示のフィルタメディアを含み得る卵形構造の形のフィルタ要素の別の実施形態である。フィルタ要素は、フィルタメディア310の第1端312および第2端314の各々に位置する端部キャップ320を有するフィルタメディア310を含む。フィルタメディア310の第1端312の端部キャップ320は、フィルタカートリッジの内部容積へのアクセスを可能にする開口を有し得る。端部キャップ320がフィルタカートリッジの内部容積へのアクセスを妨げるように、およびフィルタメディア310の第1端312の端部キャップ320を通じてフィルタカートリッジの内部容積に入るガス(例えば空気)がフィルタ要素におけるフィルタメディアを通じて出なければならないように、フィルタメディア310の反対側の端部キャップ320は閉鎖され得る。
【0126】
図15を参照すると、1つまたは複数の代替的実施形態において、両端部キャップ320は、フィルタ要素の内部容積へのアクセスを可能にするために開いていてもよい。1つまたは複数の実施形態において、例えばチューブシート、ベンチュリ、または他の構造であって、それを通じてフィルタ要素の内部容積内へガスが送達される他の構造において開口の上でフィルタカートリッジを密封するために、ガスケット322が端部キャップ320に設けられてもよい。チューブ軸311は、第1端312と第2端314との間の管状フィルタカートリッジを通って延在する。本明細書において説明されたフィルタカートリッジにおけるフィルタメディア310は、チューブ軸311の周りに位置する外面316および内面318を画定する。内面318はフィルタカートリッジ310の内部容積の方を向き、外面316は内部容積から離れる方を向く。
【0127】
図15のフィルタ要素において、端部キャップ320は、例えば、刻み目326が中に位置する任意選択のタブ324の形の整列機構を含み得る。刻み目326は、取り付けられ得るヨーク350の上および下部材352および354を受けるようなサイズにされてもよく、このヨーク350の上にフィルタカートリッジがフィルタシステムにおいて据え付けられ得る。刻み目326の各々は、1つまたは複数の実施形態においては、刻み目326が端部キャップ320の内部外周328に向かって延在する状態で、フィルタカートリッジの内部容積に面する開口を有するとして説明され得る。図示の実施形態において各刻み目326は単一のタブ324で形成されているが、1つまたは複数の代替的実施形態においては、刻み目326は、端部キャップ320の内部外周328から突出する2つの部材間に形成されてもよく、刻み目326を形成する2つの部材は同じ構造部材ではない。2つの部材352および354を有するヨーク350との組合せにおける2つのタブ324の使用は、フィルタシステムにおいてヨーク350に設置されたときに、フィルタカートリッジの、そのチューブ軸311を中心とした回転を防止する、または少なくとも制限するために有益であり得る。そのようなフィルタ要素は米国特許出願公開第2014/0260142号明細書において、さらに詳細に説明されている。
【0128】
上で特徴付けられ図4~15に示されているフィルタ要素の各々は、平らなメディアまたは波形が形成されたメディアであり得、および/または、ガスタービンのための吸気システムまたは他の通気システムにおいて作動可能に設置され得ることが理解されるべきである。
【0129】
作動中、濾過されるべきガス(例えば空気)は、典型的にはチューブシートに設置されたそれぞれのフィルタ要素において、上流側、表面負荷微細繊維フィルタ層を通じて、次いでフィルタメディアの下流側を通じて導かれる。フィルタメディアは、粒子状の少なくとも一部をガス(例えば空気)流から取り除く。メディアの下流側を通過後、濾過されたガス(例えば空気)は次いで、ガスタービンに向けられる。
【0130】
例示的な実施形態
実施形態1は、1ミクロン未満の平均直径を有する微細繊維を含む表面負荷フィルタ層と、深層負荷フィルタ層と、支持層とを含むガスフィルタメディアであって、層が、表面負荷フィルタ層が最も上流層にある状態でのガス流における配置のために構成および配置されるガスフィルタメディアである。
【0131】
実施形態2は、パルス洗浄可能である実施形態1のフィルタメディアである。
【0132】
実施形態3は、深層負荷フィルタ層が表面負荷層と支持層との間に位置付けられる、実施形態1または2のフィルタメディアである。
【0133】
実施形態4は、微細繊維が最大で0.5ミクロンの平均直径を有する、実施形態1~3のいずれか1つのフィルタメディアである。
【0134】
実施形態5は、微細繊維が最大で0.3ミクロンの平均直径を有する、実施形態4のフィルタメディアである。
【0135】
実施形態6は、微細繊維が少なくとも0.01ミクロンの平均直径を有する実施形態1~5のいずれか1つのフィルタメディアである。
【0136】
実施形態7は、微細繊維が少なくとも0.1ミクロンの平均直径を有する実施形態6のフィルタメディアである。
【0137】
実施形態8は、微細繊維が、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、またはこれらの組合せを含む、実施形態1~7のいずれか1つのフィルタメディアである。
【0138】
実施形態9は、表面負荷フィルタ層が少なくとも30%のLEFS濾過効率を有する、実施形態1~8のいずれか1つのフィルタメディアである。
【0139】
実施形態10は、表面負荷フィルタ層が少なくとも70%のLEFS濾過効率を有する、実施形態9のフィルタメディアである。
【0140】
実施形態11は、表面負荷フィルタ層が少なくとも80%のLEFS濾過効率を有する、実施形態10のフィルタメディアである。
【0141】
実施形態12は、表面負荷フィルタ層が最大で99%のLEFS濾過効率を有する、実施形態1~11のいずれか1つのフィルタメディアである。
【0142】
実施形態13は、表面負荷フィルタ層が最大で95%のLEFS濾過効率を有する、実施形態12のフィルタメディアである。
【0143】
実施形態14は、表面負荷フィルタ層が最大で90%のLEFS濾過効率を有する、実施形態13のフィルタメディアである。
【0144】
実施形態15は、深層負荷フィルタ層が高効率ガラス含有フィルタ層、高効率メルトブローンフィルタ層、またはその組合せを含む、実施形態1~14のいずれか1つのフィルタメディアである。
【0145】
実施形態16は、深層負荷フィルタ層が、ガラス繊維と多成分バインダ繊維とを含む高効率ガラス含有フィルタ層を含む、実施形態15のフィルタメディアである。
【0146】
実施形態17は、高効率ガラス含有層がガラス含有層の総重量に基づき最大で10重量%のバインダ樹脂を含む、実施形態16のフィルタメディアである。
【0147】
実施形態18は、高効率ガラス含有フィルタ層の多成分バインダ繊維が低融点ポリエステルシースとより高い融点のポリエステルコアとを有する二成分繊維を含む、実施形態16または17のフィルタメディアである。
【0148】
実施形態19は、高効率ガラス含有フィルタ層が多成分バインダ繊維とは異なるポリエステル繊維をさらに含む、実施形態16~18のいずれか1つのフィルタメディアである。
【0149】
実施形態20は、多成分バインダ繊維とは異なるポリエステル繊維が10ミクロン~14ミクロンの平均直径を有する、実施形態19のフィルタメディアである。
【0150】
実施形態21が、高効率ガラス含有フィルタ層が0.4ミクロン~0.5ミクロンの平均直径を有するガラス繊維を含む、実施形態16~20のいずれか1つのフィルタメディアである。
【0151】
実施形態22は、深層負荷フィルタ層が高効率メルトブローンフィルタ層を含む、実施形態15のフィルタメディアである。
【0152】
実施形態23は、高効率メルトブローンフィルタ層が、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、またはこれらの組合せを含むメルトブローン繊維を含む、実施形態22のフィルタメディアである。
【0153】
実施形態24は、高効率メルトブローンフィルタ層が0.5ミクロン~10ミクロンの平均直径を有するメルトブローン繊維を含む、実施形態22または23のフィルタメディアである。
【0154】
実施形態25は、高効率メルトブローンフィルタ層が0.5ミクロン~4ミクロンの平均直径を有するメルトブローン繊維を含む、実施形態24のフィルタメディアである。
【0155】
実施形態26は、高効率メルトブローンフィルタ層が1ミクロン~3ミクロンの平均直径を有するメルトブローン繊維を含む、実施形態25のフィルタメディアである。
【0156】
実施形態27は、高効率メルトブローンフィルタ層が2ミクロン~3ミクロンの平均直径を有するメルトブローン繊維を含む、実施形態25のフィルタメディアである。
【0157】
実施形態28は、深層負荷フィルタ層が少なくとも55%のDEHS濾過効率を表す、実施形態1~27のいずれか1つのフィルタメディアである。
【0158】
実施形態29は、深層負荷フィルタ層が少なくとも70%のDEHS濾過効率を表す、実施形態28のフィルタメディアである。
【0159】
実施形態30は、深層負荷フィルタ層が最大で99.997%のDEHS濾過効率を表す、実施形態1~29のいずれか1つのフィルタメディアである。
【0160】
実施形態31は、深層負荷フィルタ層が最大で99.97%のDEHS濾過効率を表す、実施形態30のフィルタメディアである。
【0161】
実施形態32は、深層負荷フィルタ層が最大で99.5%のDEHS濾過効率を表す、実施形態31のフィルタメディアである。
【0162】
実施形態33は、深層負荷フィルタ層が最大で150g/mの基本重量を有する、実施形態1~32のいずれか1つのフィルタメディアである。
【0163】
実施形態34は、深層負荷フィルタ層が少なくとも10g/mの基本重量を有する、実施形態1~33のいずれか1つのフィルタメディアである。
【0164】
実施形態35は、深層負荷フィルタ層が、初期値に対して500パスカルの圧力上昇で少なくとも1g/mの塩負荷能力を表す、実施形態1~34のいずれか1つのフィルタメディアである。
【0165】
実施形態36は、深層負荷フィルタ層が、初期値に対して500パスカルの圧力上昇で最大で10g/mの塩負荷能力を表す、実施形態1~35のいずれか1つのフィルタメディアである。
【0166】
実施形態37は、支持層が1000ミリグラム以上のガーレー剛性を有する、実施形態1~36のいずれか1つのフィルタメディアである。
【0167】
実施形態38は、支持層が125Paで少なくとも10ft/min(200Paで80.2l/m/sec)の透過性を有する実施形態27のフィルタメディアである。
【0168】
実施形態39は、支持層が湿式繊維を含む、実施形態1~38のいずれか1つのフィルタメディアである。
【0169】
実施形態40は、湿式繊維がセルロース、ポリエステル、またはこれらの組合せを含む、実施形態39のフィルタメディアである。
【0170】
実施形態41は、支持層が最大で260g/mの基本重量を有する、実施形態1~40のいずれか1つのフィルタメディアである。
【0171】
実施形態42は、支持層が少なくとも50g/mの基本重量を有する、実施形態1~41のいずれか1つのフィルタメディアである。
【0172】
実施形態43は、表面負荷フィルタ層と深層負荷フィルタ層との間に配置されたスクリム層をさらに含む、実施形態1~42のいずれか1つのフィルタメディアである。
【0173】
実施形態44は、少なくとも10ミル(0.25mm)の厚さを有する、実施形態1~43のいずれか1つのフィルタメディアである。
【0174】
実施形態45は、最大で60ミル(1.5mm)の厚さを有する、実施形態1~44のいずれか1つのフィルタメディアである。
【0175】
実施形態46は、最大で30ミル(0.76mm)の厚さを有する、実施形態45のフィルタメディアである。
【0176】
実施形態47は、層が、接着剤、バインダ繊維、熱接合、超音波接合、自己接着、またはこれらの組合せで一緒に接着される、実施形態1~46のいずれか1つのフィルタメディアである。
【0177】
実施形態48は、EN779:2012による少なくともF9の効率を表す、実施形態1~47のいずれか1つのフィルタメディアである。
【0178】
実施形態49は、最大透過粒子径で、DEHS効率試験による少なくとも80%、または80%を超える効率を表す、実施形態48のフィルタメディアである。
【0179】
実施形態50は、空気フィルタメディアである実施形態1~49のいずれか1つのフィルタメディアである。
【0180】
実施形態51は、ハウジングと実施形態1~50のいずれか1つのガスフィルタメディアとを含む、ガスフィルタ要素である。
【0181】
実施形態52は、EN779:2012による少なくともF9の効率を表す、実施形態51のガスフィルタ要素である。
【0182】
実施形態53は、EN1822:2009による少なくともE10の効率を表す、実施形態52のガスフィルタ要素である。
【0183】
実施形態54は、EN1822:2009による少なくともE11の効率を表す、実施形態53のガスフィルタ要素である。
【0184】
実施形態55は、EN1822:2009による少なくともE12の効率を表す、実施形態54のガスフィルタ要素である。
【0185】
実施形態56は、平面パネル、円筒形、または円すい形である、実施形態51~55のいずれか1つのガスフィルタ要素である。
【0186】
実施形態57は、プリーツ付きである、実施形態51~56のいずれか1つのガスフィルタ要素である。
【0187】
実施形態58は、ガス(例えば空気)を濾過する方法であって、実施形態51~57のいずれか1つのフィルタを通じてガスを導くことを含む方法である。
【0188】
実施形態59は、ガスを濾過する方法であって、実施形態1~55のいずれか1つのフィルタメディアを通じてガスを導くことを含む方法である。
【実施例
【0189】
この開示の目的および利点は、以下の実施例によりさらに示されるが、これらの実施例において挙げられた特定の材料およびその量、ならびに他の条件および詳細は、この開示を過度に限定すると解釈されてはならない。
【0190】
試験法
塩負荷試験
20mg/mの濃度のNaCl塩粒子(0.33μm質量中央径)で濾過メディアの100cmサンプルに負荷をかけるために、TSI8130ベンチが使用された。ベンチにおける流速は、現実世界の条件を表すよう選択された。ベンチのための他の設定は、製造業者の規格に向けて作動させられるようなものである。メディアには、要求側のニーズに応じて、試験の終了前に、4インチ~10インチHO(1000~2500Pa)のdPのどこかで負荷がかけられる。毎分、ベンチは、負荷塩(salt loaded)、通過した塩、およびメディアにわたるdPの量を測定する。このデータはベンチにより記録される。試験の完了前後に、サンプルの重量が計られ、重量の差が負荷塩であり、この値が光度計を校正するために使用される。
【0191】
10フィート毎分(fpm)(5.33cm/sec)のメディア速度で2インチHO圧力損失の上昇まで負荷をかけられたときに、0.5g/ft(5.38g/m)より大きい収容能力を有するメディアが深層負荷メディアであることが分かっている。
【0192】
洗浄可能なフィルタ材料の濾過特徴のための修正ISO11057試験法
フィルタメディアのパルス洗浄能力を決定するために、洗浄可能なフィルタメディアの濾過特徴のためのISO11057試験法の修正バージョンが使用された。ISO規格には5段階ある。試験の段階2が以下のとおり修正を加えて使用された:
一次行程流速:2.54m/hr、
二次行程流速:5.07m/hr、
最大値制約 1800Pa、
ダスト供給速度:2.0g/m
パルス強度:0.1MPa、および
200秒毎サイクル、合計300サイクル毎試験。
全ての他の試験条件は同じままとする。
パルス直後のメディアの圧力損失(dP:pressure drop)が、各サイクルについて記録された。300サイクル後の最終dPおよび3000サイクルに対する外挿後のdPがパルス洗浄可能メディアの性能を比較するために使用された。外挿法は、対数または電力方程式(いずれでも高い方のRを有する方)をデータに(300パルスに)曲線当てはめを行い、次いで、3000パルスでのdPを決定するためにその方程式を使用することによって行われた。
【0193】
DEHS効率試験
現実世界の条件を代表するフローで100cmサンプルメディアの効率を試験するためにTSI3160ベンチが使用され、この場合、4フィート毎分(fpm)のフローが使用された。噴霧器がDEHS液滴の分布を作り出し、微分型電気移動度測定装置(DMA:Differential Mobility Analyzer)が、DEHS液滴の分布を単分散の粒子の雲へと分類するために使用される。この試験のための油滴サイズは、0.09、0.1、0.2、0.3および0.4μmである。凝縮粒子カウンタ(CPC:Condensation Particle Counter)が次いで、当該粒子径でのメディア効率を決定するために、フィルタサンプルの上流および下流の惹起濃度を測定する。全ての他の設定は、製造業者仕様書に対するものである。
【0194】
全ての粒子径について効率が決定された後で、システムは、どの粒子径が、最高の透過(最低効率)に関連するのか決定するために、これらの点に曲線を当てはめ、これは、最大透過粒子径(MPPS)と呼ばれるとともに、当該特定のメディアサンプルについて当てはめられた曲線に基づき計算された透過であり得る。
【0195】
LEFS試験
4インチ径サンプルがメディアから切り出される。試験標本の粒子捕捉効率は、20fpmで作動するLEFS(LEFS試験の説明については、ASTM規格F1215-89を参照)ベンチにおける試験惹起汚染として、0.8μmラテックス球から算出される。
【0196】
実施例
実施例1
積層フィルタメディアが、以下の技術を使用して調製された。ガラスと二成分PET繊維との混合物を含む50gsm湿式フィルタ材料が、米国特許第7,314,497号明細書における実施例6のものと同様に調製された(それが、Lauscha Fiber International(Lauscha、Germany)の40%B08マイクロガラス繊維とTeijin(Osaka、Japan)の60%TJ04BN二成分PET繊維からなるという修正を伴う)。90%セルロースおよび10%ポリエステルブレンド支持材料からなる116gsm湿式メディアが、East Walpole、MAのH&Vから購入された。シート特性は表1にある。
【0197】
【表1】
【0198】
これらの2つのロールは、ガラス二成分層が上流にありセルロースポリエステルブレンドが底部にあるように層状にされた。Switzerland(Griltex 9E)のEMS-Griltechの粒状接着剤が4.07g/mの割合で2つの層間に施され、これらは次いで265°Fで加熱積層された。
【0199】
積層後、微細繊維層が50gsmガラス二成分層に施された。この微細繊維層は、0.2~0.3ミクロンのサイズの繊維から構成されていたとともに、82.4%のLEFS効率を有するナイロンからなっていた。
【0200】
積層され、ナノ繊維コーティングされたメディアはその平面シート特性について試験され、要素はEN1822手順を使用してdPおよび効率について試験された。結果は表2に示されている。
【0201】
【表2】
【0202】
平面シートメディアは、2インチ(5.1cm)のプリーツ深さでプリーツ加工され、26インチ(66cm)の円すい形および円筒形フィルタ対に組み込まれた。円すい形要素は280個のプリーツ毎要素を有し、一方で円筒形要素は230個のプリーツを有した。要素は、ナノ繊維層が上流の方を向いているように作られた。
【0203】
実施例2
積層フィルタメディアが以下の技術を使用して調製された。ガラスおよび二成分PET繊維の混合物を含む50gsm湿式フィルタ材料が、米国特許第7,314,497号明細書における実施例6のものと同様に調製された(それがLauscha Fiber International(Lauscha、Germany)の40%B08マイクロガラス繊維およびTeijin(Osaka、Japan)の60%TJ04BN二成分PET繊維からなるという修正を伴う)。90%セルロースおよび10%ポリエステルブレンド支持材料からなる116gsm湿式メディアがEast Walpole、MAのH&Vから購入された。シート特性は表3にある。
【0204】
【表3】
【0205】
これらの2つのロールは、ガラス二成分層が上流にありセルロースポリエステルブレンドが底部にあるように層状にされた。2つの層は、4.07g/mの割合で、Griltex 9E、粒状接着剤(SwitzerlandのEMS-Griltech)を各層間に使用して265°Fで加熱積層された。積層後、微細繊維層が116gsm湿式セルロースポリエステルブレンド層へ施された。この微細繊維層は、78%のLEFS効率で、0.2~0.3ミクロンのサイズのナイロン繊維から構成されていた。積層され、ナノ繊維コーティングされたメディアはその平面シート特性について試験された。結果は表4に示されている。
【0206】
【表4】
【0207】
平面シートメディアは、2インチ(5.1cm)のプリーツ深さでプリーツ加工され、26インチ(66cm)の円すい形および円筒形フィルタ対に組み込まれた。円すい形要素は250個のプリーツ毎要素を有し、一方で、円筒形要素は210個のプリーツを有していた。要素は、ナノ繊維層が上流の方を向いているように作られた。
【0208】
実施例3
積層フィルタメディアが以下の技術を使用して調製された。ガラスおよび二成分繊維の混合物を含む50gsm湿式フィルタ材料が、米国特許第7,314,497号明細書における実施例6のものと同様に調製された(それが、Lauscha Fiber International(Lauscha、Germany)の50%B08マイクロガラス繊維およびTeijin(Osaka、Japan)の50%二成分PET繊維(TJ04BN)からなるという修正を伴う)。Finon C310NWの100gsmスパンボンド支持材料が、Cincinnati、OHのMidwest Filterationから購入された。シート特性は表5にある。
【0209】
【表5】
【0210】
これらの2つのロールは、湿式層が上流にあり、スパンボンド層が下流にあるように層状にされた。層は、4.07g/mの割合で、粒状接着剤Griltex 9E(SwitzerlandのEMS-Griltech)を各層間に使用して275°Fで加熱積層された。
【0211】
材料には、次いで、0.027インチ(0.69mm)の平均深さ(ピークの頂部からメディアのワイヤ側の溝の底部までz方向に距離を測定)まで、4.5波形毎インチ(1.77波形/cm)で、波形が形成された。波形形成後、微細繊維層が50gsm湿式層に施された。この微細繊維層は、66%のLEFS効率で、0.2~0.3ミクロンのサイズのナイロン繊維から構成されていた。
【0212】
積層され、波形が形成され、コーティングされたメディアはその平面シート特性について試験された。結果は表6に示されている。
【0213】
【表6】
【0214】
平面シートメディアは、2インチ(5.1cm)のプリーツ深さでプリーツ加工され、26インチ(66cm)の円すい形および円筒形フィルタペアに組み込まれた。円すい形要素は210個のプリーツ毎要素を有し、一方で、円筒形要素は176個のプリーツ毎要素を有していた。要素は、ナノファイバー層が上流の方を向いているように作られた。
【0215】
実施例4
積層フィルタメディアが以下の技術を使用して調製された。FINON C3019の18.6gsmスパンボンドスクリム層が、Cincinnati、OHのMidwest Filterationから購入された。ガラスおよび二成分繊維の混合物を含む50gsm湿式フィルタ材料が、米国特許第7,314,497号明細書における実施例6のものと同様に調製された(それが、Lauscha Fiber International(Lauscha、Germany)の50%B08マイクロガラス繊維およびTeijin(Osaka、Japan)の50%二成分PET繊維(TJ04BN)からなるという修正を伴う)。Finon C310NWの100gsmスパンボンド支持材料が、Cincinnati、OHのMidwest Filterationから購入された。シート特性は、表7にある。
【0216】
【表7】
【0217】
これらの3つのロールは、スクリム層が上流にあり、湿式層が中間にあり、スパンボンド層が下流にあるように層状にされた。層は、4.07g/mの割合でGRILTEX 9E粒状接着剤(SwitzerlandのEMS-Griltech)を各層間に使用して275°Fで加熱積層された。
【0218】
材料には、次いで、0.0248インチ(0.63mm)の平均深さ(ピークの頂部からメディアのワイヤ側の溝の底部までz方向に距離を測定)まで、4.5波形毎インチ(1.77波形/cm)で、波形が形成された。
【0219】
波形形成後、微細繊維層が18.6gsmスパンボンドスクリム層へ施された。この微細繊維層は、66%のLEFS効率で、0.2~0.3ミクロンのサイズのナイロン繊維から構成されていた。積層され、波形が形成され、微細繊維がコーティングされたメディアはその平面シート特性について試験された。結果は表8に示されている。
【0220】
【表8】
【0221】
実施例5
積層フィルタメディアが以下の技術を使用して調製された。ガラスおよび二成分繊維の混合物を含む50gsm湿式フィルタ材料が、米国特許第7,314,497明細書における実施例6のものと同様に調製された(それが、Lauscha Fiber International(Lauscha、Germany)の50%B04マイクロガラス繊維およびTeijin(Osaka、Japan)の50%二成分PET繊維(TJ04BN)からなるという修正を伴う)。116gsmの波形が形成されたセルロース支持材料がEast Walpole、MAのH&Vから購入された。シート特性は表9にある。
【0222】
【表9】
【0223】
これらの2つのロールは、湿式層が上流にあり、セルロース湿式層が下流にあるように層状にされた。層は、4.07g/mの割合でGriltex 9E粒状接着剤(SwitzerlandのEMS-Griltech)を各層間に使用して275°Fで加熱積層された。
【0224】
積層後、微細繊維層が50gsm湿式層に施された。この微細繊維層は、74%のLEFS効率で、0.2~0.3ミクロンのサイズのナイロン繊維から構成されていた。
【0225】
積層され、微細繊維でコーティングされたメディアはその平面シート特性について試験された。結果は表10に示されている。
【0226】
【表10】
【0227】
平面シートメディアは、2インチ(5.1cm)のプリーツ深さでプリーツ加工され、26インチ(66cm)の円筒形フィルタ対に組み込まれた。要素は250個のプリーツ毎要素を有した。要素は、ナノ繊維層が上流の方を向いているように作られた。
【0228】
実施例6
積層フィルタメディアが以下の技術を使用して調製された。ガラスおよび二成分PET繊維の混合物を含む50gsm湿式フィルタ材料が、米国特許第7,314,497号明細書における実施例6のものと同様に調製された(それがLauscha Fiber International(Lauscha、Germany)の40%B08マイクロガラス繊維およびTeijin(Osaka、Japan)の60%TJ04BN二成分PET繊維からなるという修正を伴う)。ガラス、ポリエステル、および樹脂支持材料からなる114gsm湿式メディアがEast Walpole、MAのH&Vから購入された。シート特性は表11にある。
【0229】
【表11】
【0230】
EN933材料は、0.0283インチ(0.72mm)の平均深さ(ピークの頂部からメディアのワイヤ側の溝の底部までz方向に距離を測定)まで、4.5波形毎インチ(1.77波形/cm)で、波形が形成された。
【0231】
これらの2つのロールは、次いで、ガラス二成分層が上流にあり、ガラスポリエステルブレンドが底部にあるように積層された。2つの層は、4.07g/mの割合で、Griltex 9E、粒状接着剤(SwitzerlandのEMS-Griltech)を各層間に使用して265°Fで加熱積層された。
【0232】
積層後、微細繊維層が50gsm湿式層に施された。この微細繊維層は、62.4%のLEFS効率で、0.2~0.3ミクロンのサイズのナイロン繊維から構成されていた。積層され、ナノ繊維コーティングされたメディアはその平面シート特性について試験された、結果は表12に示されている。
【0233】
【表12】
【0234】
平面シートメディアは、2インチ(5.1cm)のプリーツ深さでプリーツ加工され、26インチ(66cm)の円すい形および円筒形フィルタ対に組み込まれた。円すい形要素は266個のプリーツ毎要素を有し、一方で、円筒形要素は220個のプリーツ毎要素を有していた。要素は、ナノ繊維層が上流の方を向いているように作られた。
【0235】
本明細書において引用された特許、特許文献、および出版物の完全な開示は、参照により、その全体が、まるで各々が別個に組み込まれているかのように、組み込まれる。この開示に対する様々な修正形態および変更形態が、この開示の範囲および趣旨から逸脱すること無しに、当業者には明らかとなる。この開示が、本明細書に記載された例示的な実施形態および実施例により過度に限定されることは意図されていないこと、および、そのような実施例および実施形態は一例としてのみ提示されており、本開示の範囲は、本明細書において以下に記載される特許請求の範囲によってのみ限定されることを意図されていることが理解されるべきである。
図1
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