(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
H01L21/304 644Z
(21)【出願番号】P 2022207537
(22)【出願日】2022-12-23
【審査請求日】2023-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】中村 一樹
(72)【発明者】
【氏名】岡田 吉文
(72)【発明者】
【氏名】沖田 展彬
【審査官】金田 孝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-189627(JP,A)
【文献】特開2015-032756(JP,A)
【文献】特開2008-124515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理室と、
前記処理室に基板を搬入する搬入動作および前記処理室から基板を搬出する搬出動作が可能に構成された搬送装置と、
前記処理室内に設けられ、前記搬送装置により搬入された基板を保持する第1の基板保持部と、
前記処理室内に設けられ、前記第1の基板保持部により保持された基板にブラシを接触させて基板の下面を洗浄可能に構成されたブラシ洗浄部と、
前記処理室内に設けられ、前記ブラシに当該ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を吐出可能に構成された洗浄ノズルと、
前記洗浄ノズルに前記ブラシ洗浄液を供給する洗浄液供給部と、
前記洗浄液供給部を制御することにより、前記搬送装置による前記搬入動作が行われる期間および前記搬出動作が行われる期間のうち少なくとも一部の期間に、前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給を停止させる制御部とを備え
、
前記ブラシ洗浄部は、
前記ブラシと、
前記ブラシを、前記第1の基板保持部により保持された基板の下面に接触する洗浄位置と前記第1の基板保持部により保持された基板から離間した待機位置との間で移動させることが可能に構成されたブラシ移動部とを含み、
前記洗浄ノズルは、前記待機位置にある前記ブラシにブラシ洗浄液を吐出可能に構成され、
前記制御部は、
前記洗浄液供給部を制御することにより、前記処理室内に基板が存在せずかつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルから前記ブラシへのブラシ洗浄液の供給を停止させる、基板処理装置。
【請求項2】
前記搬送装置は、
基板を保持しつつ移動可能に構成された搬送保持部と、
前記搬送保持部を移動させる搬送駆動部とを含み、
前記制御部は、さらに、
前記搬送駆動部を制御することにより、前記搬送装置の前記搬入動作時および前記搬出動作時に前記搬送保持部を前記処理室の外部から前記処理室内に進入および退出させ、
前記搬送装置による前記搬入動作が行われる期間および前記搬出動作が行われる期間のうち少なくとも一部の期間は、前記搬送保持部が前記処理室の内部に位置する期間である、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
基板を保持可能に構成された第1の基板保持部と、
前記第1の基板保持部により保持された基板にブラシを接触させて基板の下面を洗浄可能に構成されたブラシ洗浄部と、
基板を保持可能に構成された第2の基板保持部と、
前記第2の基板保持部により保持された基板に所定の処理を行う処理部と、
基板が前記第1の基板保持部により保持される状態を基板が前記第2の基板保持部により保持される状態に切り替えるために、前記第1の基板保持部、前記第2の基板保持部および基板のうち少なくとも1つを移動させることにより、前記第1の基板保持部と基板との相対位置を変化させる相対移動動作を行う相対移動部と、
前記ブラシに当該ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を吐出可能に構成された洗浄ノズルと、
前記洗浄ノズルに前記ブラシ洗浄液を供給する洗浄液供給部と、
前記洗浄液供給部を制御することにより、前記相対移動部による前記相対移動動作時に、前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給を停止させる制御部
と、
前記第1の基板保持部、前記ブラシ洗浄部、前記第2の基板保持部、前記処理部、前記洗浄ノズルおよび前記洗浄液供給部を収容する処理室とを備え
、
前記ブラシ洗浄部は、
前記ブラシと、
前記ブラシを、前記第1の基板保持部により保持された基板の下面に接触する洗浄位置と前記第1の基板保持部により保持された基板から離間した待機位置との間で移動させることが可能に構成されたブラシ移動部とを含み、
前記洗浄ノズルは、前記待機位置にある前記ブラシにブラシ洗浄液を吐出可能に構成され、
前記制御部は、
前記洗浄液供給部を制御することにより、前記処理室内に基板が存在せずかつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルから前記ブラシへのブラシ洗浄液の供給を停止させる、基板処理装置。
【請求項4】
前記ブラシ洗浄部は、前記第1の基板保持部により保持された基板の下面のうち第1の領域に前記ブラシを接触させて当該第1の領域を洗浄可能に構成され、かつ前記第2の基板保持部により保持された基板の下面のうち前記第1の領域とは異なる第2の領域に前記ブラシを接触させて当該第2の領域を洗浄可能に構成され、
前記制御部は、
基板が前記第1の基板保持部に保持された状態で、前記ブラシ洗浄部を制御することにより、前記ブラシ洗浄部に基板の下面の第1の領域を洗浄させ、
基板が前記第2の基板保持部に保持された状態で、前記ブラシ洗浄部を制御することにより、当該ブラシ洗浄部を前記処理部として、前記ブラシ洗浄部に当該基板の下面の第2の領域を洗浄させる、請求項
3記載の基板処理装置。
【請求項5】
基板を保持可能に構成された第1の基板保持部と、
前記第1の基板保持部により保持された基板にブラシを接触させて基板の下面を洗浄可能に構成されたブラシ洗浄部と、
前記ブラシに当該ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を吐出可能に構成された洗浄ノズルと、
前記洗浄ノズルに前記ブラシ洗浄液を供給する洗浄液供給部と、
前記洗浄液供給部を制御することにより、前記第1の基板保持部により基板が保持されている期間のうち少なくとも一部の期間、前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給を停止させる制御部
と、
前記第1の基板保持部、前記ブラシ洗浄部、前記洗浄ノズルおよび前記洗浄液供給部を収容する処理室とを備え
、
前記ブラシ洗浄部は、
前記ブラシと、
前記ブラシを、前記第1の基板保持部により保持された基板の下面に接触する洗浄位置と前記第1の基板保持部により保持された基板から離間した待機位置との間で移動させることが可能に構成されたブラシ移動部とを含み、
前記洗浄ノズルは、前記待機位置にある前記ブラシにブラシ洗浄液を吐出可能に構成され、
前記制御部は、前記洗浄液供給部を制御することにより、前記処理室内に基板が存在せずかつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルから前記ブラシへのブラシ洗浄液の供給を停止させる、基板処理装置。
【請求項6】
前記第1の基板保持部は、保持された基板を回転可能に構成され、
前記制御部は、前記第1の基板保持部を制御することにより、前記ブラシ洗浄部による基板の下面の洗浄後に、前記第1の基板保持部を所定の速度で回転させることにより当該基板を乾燥させ、
前記第1の基板保持部により基板が保持されている期間のうち少なくとも一部の期間は、前記第1の基板保持部の回転による前記基板の乾燥が開始される時点から前記第1の基板保持部による基板の保持状態が解放される時点までの期間を含む、請求項
5記載の基板処理装置。
【請求項7】
基板を保持可能に構成された第1の基板保持部と、
基板の下面に接触することにより前記下面を洗浄するブラシと、
前記ブラシを、前記第1の基板保持部により保持された基板の前記下面に接触する洗浄位置と前記第1の基板保持部よりも下方でかつ前記第1の基板保持部により保持された基板から離間した待機位置との間で移動させることが可能に構成されたブラシ移動部と、
前記第1の基板保持部よりも上方の位置に設けられ、基板を保持可能に構成された第2の基板保持部と、
前記第2の基板保持部により保持された基板に所定の処理を行う処理部と、
前記ブラシに当該ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を吐出可能に構成された洗浄ノズルと、
前記洗浄ノズルに前記ブラシ洗浄液を供給する洗浄液供給部と、
前記洗浄液供給部を制御することにより、前記第2の基板保持部により基板が保持された状態かつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給を停止させる制御部
と、
前記第1の基板保持部、前記ブラシ、前記ブラシ移動部、前記第2の基板保持部、前記処理部、前記洗浄ノズルおよび前記洗浄液供給部を収容する処理室とを備え
、
前記洗浄ノズルは、前記待機位置にある前記ブラシにブラシ洗浄液を吐出可能に構成され、
前記制御部は、
前記洗浄液供給部を制御することにより、前記処理室内に基板が存在せずかつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルから前記ブラシへのブラシ洗浄液の供給を停止させる、基板処理装置。
【請求項8】
基板を保持可能に構成された第1の基板保持部と、
前記第1の基板保持部により保持された基板にブラシを接触させて基板の下面を洗浄可能に構成されたブラシ洗浄部と、
前記第1の基板保持部よりも上方の位置に設けられ、基板を保持可能に構成された第2の基板保持部と、
前記第2の基板保持部により保持された基板に所定の処理を行う処理部と、
前記ブラシに当該ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を吐出可能に構成された洗浄ノズルと、
前記洗浄ノズルに前記ブラシ洗浄液を供給する洗浄液供給部と、
前記処理部により基板に前記所定の処理が行われる期間中の前記洗浄液供給部による前記ブラシ洗浄液の供給条件を入力するための操作部と、
前記操作部により入力された前記ブラシ洗浄液の前記供給条件を受け付ける受付部と、
前記受付部により受け付けられた前記供給条件に従って前記洗浄液供給部を制御することにより、前記処理部により基板に前記所定の処理が行われる期間中、前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給状態を調整する制御部
と、
前記第1の基板保持部、前記ブラシ洗浄部、前記第2の基板保持部、前記処理部、前記洗浄ノズルおよび前記洗浄液供給部を収容する処理室とを備え
、
前記ブラシ洗浄部は、
前記ブラシと、
前記ブラシを、前記第1の基板保持部により保持された基板の下面に接触する洗浄位置と前記第1の基板保持部により保持された基板から離間した待機位置との間で移動させることが可能に構成されたブラシ移動部とを含み、
前記洗浄ノズルは、前記待機位置にある前記ブラシにブラシ洗浄液を吐出可能に構成され、
前記制御部は、
前記洗浄液供給部を制御することにより、前記処理室内に基板が存在せずかつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルから前記ブラシへのブラシ洗浄液の供給を停止させる、基板処理装置。
【請求項9】
処理室と、
前記処理室内に設けられ、基板を保持する基板保持部と、
前記処理室内に設けられ、前記基板保持部により保持された基板の下面を洗浄可能なブラシと、
前記処理室内に設けられ、前記ブラシに当該ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を吐出可能に構成された洗浄ノズルと、
前記洗浄ノズルに前記ブラシ洗浄液を供給する洗浄液供給部と、
前記ブラシを、前記基板保持部により保持された基板の下面に接触する洗浄位置と前記基板保持部により保持された基板から離間した待機位置との間で移動させることが可能に構成されたブラシ移動部と、
前記洗浄液供給部を制御することにより、前記処理室内に基板が存在せずかつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルから前記ブラシへのブラシ洗浄液の供給を停止させる制御部とを備える、基板処理装置。
【請求項10】
処理室に基板を搬入する搬入動作および前記処理室から基板を搬出する搬出動作が可能に構成された搬送装置を用いて前記処理室に基板を搬入するステップと、
前記処理室内で、前記搬送装置により搬入された基板を第1の基板保持部により保持するステップと、
前記処理室内で、前記第1の基板保持部により保持された基板にブラシを接触させて基板の下面を洗浄するステップと、
前記処理室内で、洗浄ノズルに前記ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を供給することにより前記洗浄ノズルから前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップと、
前記搬送装置を用いて前記処理室から基板を搬出するステップとを含み、
前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップは、前記搬送装置による前記搬入動作が行われる期間および前記搬出動作が行われる期間のうち少なくとも一部の期間に、前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給を停止させることを含
み、
前記基板の下面を洗浄するステップは、前記ブラシを、前記第1の基板保持部により保持された基板の下面に接触する洗浄位置と前記第1の基板保持部により保持された基板から離間した待機位置との間で移動させることを含み、
前記洗浄ノズルは、前記待機位置にある前記ブラシにブラシ洗浄液を吐出可能に構成され、
前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップは、前記処理室内に基板が存在せずかつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルから前記ブラシへのブラシ洗浄液の供給を停止させることをさらに含む、基板処理方法。
【請求項11】
基板を第1の基板保持部により保持するステップと、
前記第1の基板保持部により保持された基板にブラシを接触させて基板の下面を洗浄するステップと、
第2の基板保持部により基板を保持するステップと、
前記第2の基板保持部により保持された基板に所定の処理を行うステップと、
基板が前記第1の基板保持部により保持される状態を基板が前記第2の基板保持部により保持される状態に切り替えるために、前記第1の基板保持部、前記第2の基板保持部および基板のうち少なくとも1つを移動させることにより、前記第1の基板保持部と基板との相対位置を変化させる相対移動動作を行うステップと、
洗浄ノズルに前記ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を供給することにより前記洗浄ノズルから前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップとを含み、
前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップは、前記相対移動動作時に、前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給を停止させることを含
み、
前記第1の基板保持部、前記ブラシ、前記第2の基板保持部および前記洗浄ノズルは、処理室内に収容され、
前記基板の下面を洗浄するステップは、前記ブラシを、前記第1の基板保持部により保持された基板の下面に接触する洗浄位置と前記第1の基板保持部により保持された基板から離間した待機位置との間で移動させることを含み、
前記洗浄ノズルは、前記待機位置にある前記ブラシにブラシ洗浄液を吐出可能に構成され、
前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップは、前記処理室内に基板が存在せずかつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルから前記ブラシへのブラシ洗浄液の供給を停止させることをさらに含む、基板処理方法。
【請求項12】
第1の基板保持部により基板を保持するステップと、
前記第1の基板保持部により保持された基板にブラシを接触させて基板の下面を洗浄するステップと、
洗浄ノズルに前記ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を供給することにより前記洗浄ノズルから前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップとを含み、
前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップは、前記第1の基板保持部により基板が保持されている期間のうち少なくとも一部の期間、前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給を停止させることを含
み、
前記第1の基板保持部、前記ブラシおよび前記洗浄ノズルは、処理室内に収容され、
前記基板の下面を洗浄するステップは、前記ブラシを、前記第1の基板保持部により保持された基板の下面に接触する洗浄位置と前記第1の基板保持部により保持された基板から離間した待機位置との間で移動させることを含み、
前記洗浄ノズルは、前記待機位置にある前記ブラシにブラシ洗浄液を吐出可能に構成され、
前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップは、前記処理室内に基板が存在せずかつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルから前記ブラシへのブラシ洗浄液の供給を停止させることをさらに含む、基板処理方法。
【請求項13】
第1の基板保持部により基板を保持するステップと、
基板の下面に接触することにより前記下面を洗浄するブラシを、前記第1の基板保持部により保持された基板の前記下面に接触する洗浄位置と前記第1の基板保持部よりも下方でかつ前記第1の基板保持部により保持された基板から離間した待機位置との間で移動させるステップと、
前記第1の基板保持部よりも上方の位置に設けられた第2の基板保持部により基板を保持するステップと、
前記第2の基板保持部により保持された基板に所定の処理を行うステップと、
洗浄ノズルに前記ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を供給することにより前記洗浄ノズルから前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップとを含み、
前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップは、前記第2の基板保持部により基板が保持された状態かつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給を停止させることを含
み、
前記第1の基板保持部、前記ブラシ、前記第2の基板保持部および前記洗浄ノズルは処理室内に収容され、
前記洗浄ノズルは、前記待機位置にある前記ブラシにブラシ洗浄液を吐出可能に構成され、
前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップは、前記処理室内に基板が存在せずかつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルから前記ブラシへのブラシ洗浄液の供給を停止させることをさらに含む、基板処理方法。
【請求項14】
第1の基板保持部により基板を保持するステップと、
前記第1の基板保持部により保持された基板にブラシを接触させて基板の下面を洗浄するステップと、
前記第1の基板保持部よりも上方の位置に設けられた第2の基板保持部により基板を保持するステップと、
前記第2の基板保持部により保持された基板に所定の処理を行うステップと、
洗浄ノズルに前記ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を供給することにより前記洗浄ノズルから前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップと、
前記第2の基板保持部により保持された基板に前記所定の処理が行われる期間中の前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給条件が操作部に入力された場合に、前記操作部により入力された前記ブラシ洗浄液の前記供給条件を受け付けるステップとを含み、
前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップは、前記受け付けるステップで受け付けられた前記供給条件に従って、基板に前記所定の処理が行われる期間中、前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給状態を調整することを含
み、
前記第1の基板保持部、前記ブラシ、前記第2の基板保持部および前記洗浄ノズルは、処理室内に収容され、
前記基板の下面を洗浄するステップは、前記ブラシを、前記第1の基板保持部により保持された基板の下面に接触する洗浄位置と前記第1の基板保持部により保持された基板から離間した待機位置との間で移動させることを含み、
前記洗浄ノズルは、前記待機位置にある前記ブラシにブラシ洗浄液を吐出可能に構成され、
前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップは、前記処理室内に基板が存在せずかつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルから前記ブラシへのブラシ洗浄液の供給を停止させることをさらに含む、基板処理方法。
【請求項15】
処理室内で、基板を基板保持部により保持するステップと、
前記処理室内で、前記基板保持部により保持された基板にブラシを接触させて基板の下面を洗浄するステップと、
前記処理室内で、洗浄ノズルに前記ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を供給することにより前記洗浄ノズルから前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップとを含み、
前記基板の下面を洗浄するステップは、前記ブラシを、前記基板保持部により保持された基板の下面に接触する洗浄位置と前記基板保持部により保持された基板から離間した待機位置との間で移動させることを含み、
前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップは、前記処理室内に基板が存在せずかつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルから前記ブラシへのブラシ洗浄液の供給を停止させることを含む、基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を洗浄する基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に用いられるFPD(Flat Panel Display)用基板、半導体基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等の各種基板に種々の処理を行うために、基板処理装置が用いられている。基板を洗浄するためには、基板洗浄装置が用いられる。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された基板洗浄装置は、ウエハの裏面周縁部を保持する2つの吸着パッド、ウエハの裏面中央部を保持するスピンチャック、およびウエハの裏面を洗浄するブラシを備える。2つの吸着パッドがウエハを保持するとともに横方向に移動する。この状態で、ウエハの裏面中央部がブラシで洗浄される。その後、スピンチャックが吸着パッドからウエハを受け取り、スピンチャックがウエハの裏面中央部を保持しつつ回転する。この状態で、ウエハの裏面周縁部がブラシで洗浄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板洗浄装置において、基板の洗浄が繰り返されるに従って、ブラシの清浄度が次第に低下する。ブラシの清浄度が低下すると、基板を適切に洗浄することができない。
【0006】
上記の基板洗浄装置において、ブラシはウエハを洗浄するための上面が露出した状態で設けられている。ブラシの清浄度の低下を防止するために、ブラシに洗浄液を吐出し、当該ブラシを洗浄することが考えられる。しかしながら、ブラシの洗浄に用いた洗浄液が基板洗浄装置内で飛散すると、飛散した洗浄液に起因して、基板およびその洗浄環境の清浄度が低下する可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、清浄度が低下したブラシで基板が洗浄されることを防止するとともに、ブラシの洗浄に起因する基板の清浄度の低下および基板の洗浄環境の清浄度の低下を低減することが可能な基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に従う基板処理装置は、処理室と、前記処理室に基板を搬入する搬入動作および前記処理室から基板を搬出する搬出動作が可能に構成された搬送装置と、前記処理室内に設けられ、前記搬送装置により搬入された基板を保持する第1の基板保持部と、前記処理室内に設けられ、前記第1の基板保持部により保持された基板にブラシを接触させて基板の下面を洗浄可能に構成されたブラシ洗浄部と、前記処理室内に設けられ、前記ブラシに当該ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を吐出可能に構成された洗浄ノズルと、前記洗浄ノズルに前記ブラシ洗浄液を供給する洗浄液供給部と、前記洗浄液供給部を制御することにより、前記搬送装置による前記搬入動作が行われる期間および前記搬出動作が行われる期間のうち少なくとも一部の期間に、前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給を停止させる制御部とを備え、前記ブラシ洗浄部は、前記ブラシと、前記ブラシを、前記第1の基板保持部により保持された基板の下面に接触する洗浄位置と前記第1の基板保持部により保持された基板から離間した待機位置との間で移動させることが可能に構成されたブラシ移動部とを含み、前記洗浄ノズルは、前記待機位置にある前記ブラシにブラシ洗浄液を吐出可能に構成され、前記制御部は、前記洗浄液供給部を制御することにより、前記処理室内に基板が存在せずかつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルから前記ブラシへのブラシ洗浄液の供給を停止させる。
【0009】
本発明の他の局面に従う基板処理装置は、基板を保持可能に構成された第1の基板保持部と、前記第1の基板保持部により保持された基板にブラシを接触させて基板の下面を洗浄可能に構成されたブラシ洗浄部と、基板を保持可能に構成された第2の基板保持部と、前記第2の基板保持部により保持された基板に所定の処理を行う処理部と、基板が前記第1の基板保持部により保持される状態を基板が前記第2の基板保持部により保持される状態に切り替えるために、前記第1の基板保持部、前記第2の基板保持部および基板のうち少なくとも1つを移動させることにより、前記第1の基板保持部と基板との相対位置を変化させる相対移動動作を行う相対移動部と、前記ブラシに当該ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を吐出可能に構成された洗浄ノズルと、前記洗浄ノズルに前記ブラシ洗浄液を供給する洗浄液供給部と、前記洗浄液供給部を制御することにより、前記相対移動部による前記相対移動動作時に、前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給を停止させる制御部と、前記第1の基板保持部、前記ブラシ洗浄部、前記第2の基板保持部、前記処理部、前記洗浄ノズルおよび前記洗浄液供給部を収容する処理室とを備え、前記ブラシ洗浄部は、前記ブラシと、前記ブラシを、前記第1の基板保持部により保持された基板の下面に接触する洗浄位置と前記第1の基板保持部により保持された基板から離間した待機位置との間で移動させることが可能に構成されたブラシ移動部とを含み、前記洗浄ノズルは、前記待機位置にある前記ブラシにブラシ洗浄液を吐出可能に構成され、前記制御部は、前記洗浄液供給部を制御することにより、前記処理室内に基板が存在せずかつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルから前記ブラシへのブラシ洗浄液の供給を停止させる。
【0010】
本発明のさらに他の局面に従う基板処理装置は、基板を保持可能に構成された第1の基板保持部と、前記第1の基板保持部により保持された基板にブラシを接触させて基板の下面を洗浄可能に構成されたブラシ洗浄部と、前記ブラシに当該ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を吐出可能に構成された洗浄ノズルと、前記洗浄ノズルに前記ブラシ洗浄液を供給する洗浄液供給部と、前記洗浄液供給部を制御することにより、前記第1の基板保持部により基板が保持されている期間のうち少なくとも一部の期間、前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給を停止させる制御部と、前記第1の基板保持部、前記ブラシ洗浄部、前記洗浄ノズルおよび前記洗浄液供給部を収容する処理室とを備え、前記ブラシ洗浄部は、前記ブラシと、前記ブラシを、前記第1の基板保持部により保持された基板の下面に接触する洗浄位置と前記第1の基板保持部により保持された基板から離間した待機位置との間で移動させることが可能に構成されたブラシ移動部とを含み、前記洗浄ノズルは、前記待機位置にある前記ブラシにブラシ洗浄液を吐出可能に構成され、前記制御部は、前記洗浄液供給部を制御することにより、前記処理室内に基板が存在せずかつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルから前記ブラシへのブラシ洗浄液の供給を停止させる。
【0011】
本発明のさらに他の局面に従う基板処理装置は、基板を保持可能に構成された第1の基板保持部と、基板の下面に接触することにより前記下面を洗浄するブラシと、前記ブラシを、前記第1の基板保持部により保持された基板の前記下面に接触する洗浄位置と前記第1の基板保持部よりも下方でかつ前記第1の基板保持部により保持された基板から離間した待機位置との間で移動させることが可能に構成されたブラシ移動部と、前記第1の基板保持部よりも上方の位置に設けられ、基板を保持可能に構成された第2の基板保持部と、前記第2の基板保持部により保持された基板に所定の処理を行う処理部と、前記ブラシに当該ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を吐出可能に構成された洗浄ノズルと、前記洗浄ノズルに前記ブラシ洗浄液を供給する洗浄液供給部と、前記洗浄液供給部を制御することにより、前記第2の基板保持部により基板が保持された状態かつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給を停止させる制御部と、前記第1の基板保持部、前記ブラシ、前記ブラシ移動部、前記第2の基板保持部、前記処理部、前記洗浄ノズルおよび前記洗浄液供給部を収容する処理室とを備え、前記洗浄ノズルは、前記待機位置にある前記ブラシにブラシ洗浄液を吐出可能に構成され、前記制御部は、前記洗浄液供給部を制御することにより、前記処理室内に基板が存在せずかつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルから前記ブラシへのブラシ洗浄液の供給を停止させる。
【0012】
本発明のさらに他の局面に従う基板処理装置は、基板を保持可能に構成された第1の基板保持部と、前記第1の基板保持部により保持された基板にブラシを接触させて基板の下面を洗浄可能に構成されたブラシ洗浄部と、前記第1の基板保持部よりも上方の位置に設けられ、基板を保持可能に構成された第2の基板保持部と、前記第2の基板保持部により保持された基板に所定の処理を行う処理部と、前記ブラシに当該ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を吐出可能に構成された洗浄ノズルと、前記洗浄ノズルに前記ブラシ洗浄液を供給する洗浄液供給部と、前記処理部により基板に前記所定の処理が行われる期間中の前記洗浄液供給部による前記ブラシ洗浄液の供給条件を入力するための操作部と、前記操作部により入力された前記ブラシ洗浄液の前記供給条件を受け付ける受付部と、前記受付部により受け付けられた前記供給条件に従って前記洗浄液供給部を制御することにより、前記処理部により基板に前記所定の処理が行われる期間中、前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給状態を調整する制御部と、前記第1の基板保持部、前記ブラシ洗浄部、前記第2の基板保持部、前記処理部、前記洗浄ノズルおよび前記洗浄液供給部を収容する処理室とを備え、前記ブラシ洗浄部は、前記ブラシと、前記ブラシを、前記第1の基板保持部により保持された基板の下面に接触する洗浄位置と前記第1の基板保持部により保持された基板から離間した待機位置との間で移動させることが可能に構成されたブラシ移動部とを含み、前記洗浄ノズルは、前記待機位置にある前記ブラシにブラシ洗浄液を吐出可能に構成され、前記制御部は、前記洗浄液供給部を制御することにより、前記処理室内に基板が存在せずかつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルから前記ブラシへのブラシ洗浄液の供給を停止させる。
本発明のさらに他の局面に従う基板処理装置は、処理室と、前記処理室内に設けられ、基板を保持する基板保持部と、前記処理室内に設けられ、前記基板保持部により保持された基板の下面を洗浄可能なブラシと、前記処理室内に設けられ、前記ブラシに当該ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を吐出可能に構成された洗浄ノズルと、前記洗浄ノズルに前記ブラシ洗浄液を供給する洗浄液供給部と、前記ブラシを、前記基板保持部により保持された基板の下面に接触する洗浄位置と前記基板保持部により保持された基板から離間した待機位置との間で移動させることが可能に構成されたブラシ移動部と、前記洗浄液供給部を制御することにより、前記処理室内に基板が存在せずかつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルから前記ブラシへのブラシ洗浄液の供給を停止させる制御部とを備える。
【0013】
本発明のさらに他の局面に従う基板処理方法は、処理室に基板を搬入する搬入動作および前記処理室から基板を搬出する搬出動作が可能に構成された搬送装置を用いて前記処理室に基板を搬入するステップと、前記処理室内で、前記搬送装置により搬入された基板を第1の基板保持部により保持するステップと、前記処理室内で、前記第1の基板保持部により保持された基板にブラシを接触させて基板の下面を洗浄するステップと、前記処理室内で、洗浄ノズルに前記ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を供給することにより前記洗浄ノズルから前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップと、前記搬送装置を用いて前記処理室から基板を搬出するステップとを含み、前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップは、前記搬送装置による前記搬入動作が行われる期間および前記搬出動作が行われる期間のうち少なくとも一部の期間に、前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給を停止させることを含み、前記基板の下面を洗浄するステップは、前記ブラシを、前記第1の基板保持部により保持された基板の下面に接触する洗浄位置と前記第1の基板保持部により保持された基板から離間した待機位置との間で移動させることを含み、前記洗浄ノズルは、前記待機位置にある前記ブラシにブラシ洗浄液を吐出可能に構成され、前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップは、前記処理室内に基板が存在せずかつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルから前記ブラシへのブラシ洗浄液の供給を停止させることをさらに含む。
【0014】
本発明のさらに他の局面に従う基板処理方法は、基板を第1の基板保持部により保持するステップと、前記第1の基板保持部により保持された基板にブラシを接触させて基板の下面を洗浄するステップと、第2の基板保持部により基板を保持するステップと、前記第2の基板保持部により保持された基板に所定の処理を行うステップと、基板が前記第1の基板保持部により保持される状態を基板が前記第2の基板保持部により保持される状態に切り替えるために、前記第1の基板保持部、前記第2の基板保持部および基板のうち少なくとも1つを移動させることにより、前記第1の基板保持部と基板との相対位置を変化させる相対移動動作を行うステップと、洗浄ノズルに前記ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を供給することにより前記洗浄ノズルから前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップとを含み、前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップは、前記相対移動動作時に、前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給を停止させることを含み、前記第1の基板保持部、前記ブラシ、前記第2の基板保持部および前記洗浄ノズルは、処理室内に収容され、前記基板の下面を洗浄するステップは、前記ブラシを、前記第1の基板保持部により保持された基板の下面に接触する洗浄位置と前記第1の基板保持部により保持された基板から離間した待機位置との間で移動させることを含み、前記洗浄ノズルは、前記待機位置にある前記ブラシにブラシ洗浄液を吐出可能に構成され、前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップは、前記処理室内に基板が存在せずかつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルから前記ブラシへのブラシ洗浄液の供給を停止させることをさらに含む。
【0015】
本発明のさらに他の局面に従う基板処理方法は、第1の基板保持部により基板を保持するステップと、前記第1の基板保持部により保持された基板にブラシを接触させて基板の下面を洗浄するステップと、洗浄ノズルに前記ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を供給することにより前記洗浄ノズルから前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップとを含み、前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップは、前記第1の基板保持部により基板が保持されている期間のうち少なくとも一部の期間、前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給を停止させることを含み、前記第1の基板保持部、前記ブラシおよび前記洗浄ノズルは、処理室内に収容され、前記基板の下面を洗浄するステップは、前記ブラシを、前記第1の基板保持部により保持された基板の下面に接触する洗浄位置と前記第1の基板保持部により保持された基板から離間した待機位置との間で移動させることを含み、前記洗浄ノズルは、前記待機位置にある前記ブラシにブラシ洗浄液を吐出可能に構成され、前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップは、前記処理室内に基板が存在せずかつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルから前記ブラシへのブラシ洗浄液の供給を停止させることをさらに含む。
【0016】
本発明のさらに他の局面に従う基板処理方法は、第1の基板保持部により基板を保持するステップと、基板の下面に接触することにより前記下面を洗浄するブラシを、前記第1の基板保持部により保持された基板の前記下面に接触する洗浄位置と前記第1の基板保持部よりも下方でかつ前記第1の基板保持部により保持された基板から離間した待機位置との間で移動させるステップと、前記第1の基板保持部よりも上方の位置に設けられた第2の基板保持部により基板を保持するステップと、前記第2の基板保持部により保持された基板に所定の処理を行うステップと、洗浄ノズルに前記ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を供給することにより前記洗浄ノズルから前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップとを含み、前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップは、前記第2の基板保持部により基板が保持された状態かつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給を停止させることを含み、前記第1の基板保持部、前記ブラシ、前記第2の基板保持部および前記洗浄ノズルは処理室内に収容され、前記洗浄ノズルは、前記待機位置にある前記ブラシにブラシ洗浄液を吐出可能に構成され、前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップは、前記処理室内に基板が存在せずかつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルから前記ブラシへのブラシ洗浄液の供給を停止させることをさらに含む。
【0017】
本発明のさらに他の局面に従う基板処理方法は、第1の基板保持部により基板を保持するステップと、前記第1の基板保持部により保持された基板にブラシを接触させて基板の下面を洗浄するステップと、前記第1の基板保持部よりも上方の位置に設けられた第2の基板保持部により基板を保持するステップと、前記第2の基板保持部により保持された基板に所定の処理を行うステップと、洗浄ノズルに前記ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を供給することにより前記洗浄ノズルから前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップと、前記第2の基板保持部により保持された基板に前記所定の処理が行われる期間中の前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給条件が操作部に入力された場合に、前記操作部により入力された前記ブラシ洗浄液の前記供給条件を受け付けるステップとを含み、前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップは、前記受け付けるステップで受け付けられた前記供給条件に従って、基板に前記所定の処理が行われる期間中、前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給状態を調整することを含み、前記第1の基板保持部、前記ブラシ、前記第2の基板保持部および前記洗浄ノズルは、処理室内に収容され、前記基板の下面を洗浄するステップは、前記ブラシを、前記第1の基板保持部により保持された基板の下面に接触する洗浄位置と前記第1の基板保持部により保持された基板から離間した待機位置との間で移動させることを含み、前記洗浄ノズルは、前記待機位置にある前記ブラシにブラシ洗浄液を吐出可能に構成され、前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップは、前記処理室内に基板が存在せずかつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルから前記ブラシへのブラシ洗浄液の供給を停止させることをさらに含む。
本発明のさらに他の局面に従う基板処理方法は、処理室内で、基板を基板保持部により保持するステップと、前記処理室内で、前記基板保持部により保持された基板にブラシを接触させて基板の下面を洗浄するステップと、前記処理室内で、洗浄ノズルに前記ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を供給することにより前記洗浄ノズルから前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップとを含み、
前記基板の下面を洗浄するステップは、前記ブラシを、前記基板保持部により保持された基板の下面に接触する洗浄位置と前記基板保持部により保持された基板から離間した待機位置との間で移動させることを含み、前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップは、前記処理室内に基板が存在せずかつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルから前記ブラシへのブラシ洗浄液の供給を停止させることを含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、清浄度が低下したブラシで基板が洗浄されることを防止するとともに、ブラシの洗浄に起因する基板の清浄度の低下および基板の洗浄環境の清浄度の低下を低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の模式的平面図である。
【
図2】
図1のJ-J線における基板処理装置の模式的断面図である。
【
図4】
図3の基板洗浄装置の内部構成を示す外観斜視図である。
【
図5】
図4の一方のブラシノズルから下面ブラシにブラシ洗浄用の洗浄液が吐出される状態の一例を示す一方側面図である。
【
図6】
図4の他方のブラシノズルから下面ブラシにブラシ洗浄用の洗浄液が吐出される状態の一例を示す他方側面図である。
【
図7】
図1の基板洗浄装置の制御系統の構成を示すブロック図である。
【
図8】
図3の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
【
図9】
図3の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
【
図10】
図3の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
【
図11】
図3の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
【
図12】
図3の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
【
図13】
図3の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
【
図14】
図3の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
【
図15】
図3の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
【
図16】
図3の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
【
図17】
図3の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
【
図18】
図3の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
【
図19】
図3の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
【
図20】一の基板について洗浄処理を行う場合の基板洗浄装置の一連の動作とブラシ洗浄液供給部からブラシノズルへの洗浄液の供給の可否との関係を示す図である。
【
図21】上側保持装置により基板Wが保持される期間中のブラシ洗浄用の洗浄液の供給状態の設定例を示す図である。
【
図22】上側保持装置により基板Wが保持される期間中のブラシ洗浄用の洗浄液の供給状態の設定例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置および基板処理方法について図面を用いて説明する。以下の説明において、基板とは、半導体基板(ウエハ)、液晶表示装置もしくは有機EL(Electro Luminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。また、本実施の形態では、基板の上面が回路形成面(表面)であり、基板の下面が回路形成面と反対側の面(裏面)である。また、本実施の形態で用いられる基板は、少なくとも一部が円形の外周部を有する。例えば、本実施の形態で用いられる基板は、ノッチを除いて円形状の外周端部を有する。
【0021】
1.基板処理装置の構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の模式的平面図である。
図2は、
図1のJ-J線における基板処理装置100の模式的断面図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る基板処理装置100は、インデクサブロック110および処理ブロック120を有する。インデクサブロック110および処理ブロック120は、互いに隣り合うように設けられている。
【0022】
インデクサブロック110は、複数(本例では4つ)のキャリア載置台140および搬送部150を含む。複数のキャリア載置台140は、搬送部150に接続され、間隔をおいて一列に並ぶように配置されている。各キャリア載置台140上には、複数枚の基板Wを収納するキャリアCが載置される。
【0023】
搬送部150には、インデクサロボット200および制御装置170が設けられている。インデクサロボット200は、複数(本例では4つ)のハンドIa,Ib,Ic,Id、ハンド支持部材210および搬送駆動部220を含む。
【0024】
複数のハンドIa~Idは、複数の基板Wをそれぞれ保持可能に構成され、
図2に示すように、上下方向に一定間隔で並ぶ状態でハンド支持部材210上に設けられている。ハンド支持部材210は、一方向に延びるように形成され、複数のハンドIa~Idをその一方向に進退可能に支持する。搬送駆動部220は、水平方向(複数のキャリア載置台140が並ぶ方向)に移動可能に構成され、鉛直軸の周りで回転かつ昇降可能にハンド支持部材210を支持する。さらに、搬送駆動部220は、複数のモータおよびエアシリンダ等を含み、複数のハンドIa~Idにより複数の基板Wを搬送するために、ハンド支持部材210を水平方向に移動させ、ハンド支持部材210を鉛直軸の周りで回転させ、昇降させる。また、搬送駆動部220は、複数のハンドIa~Idを水平方向に進退させる。制御装置170は、CPU(中央演算処理装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)およびROM(リードオンリメモリ)および記憶装置を含むコンピュータ等からなり、基板処理装置100内の各構成要素を制御する。
【0025】
インデクサブロック110のうち搬送部150の一部(搬送部150の外壁の一部)には、基板処理装置100の外部から使用者により操作可能に構成された操作パネル180が設けられている。操作パネル180は、制御装置170に接続され、例えば使用者が基板処理装置100内の各構成要素について動作条件を入力するために用いられる。
【0026】
図1に示すように、処理ブロック120は、洗浄部161,162および搬送部163を含む。洗浄部161、搬送部163および洗浄部162は、搬送部150に隣り合うとともにこの順で並ぶように配置されている。洗浄部161においては、
図2に示すように、複数(本例では4つ)の基板洗浄装置1が上下に積層配置されている。
図1の洗浄部162は、洗浄部161と同じ構成を有する。したがって、洗浄部162においても、洗浄部161の構成と同様に、複数(本例では4つ)の基板洗浄装置1が上下に積層配置されている。
【0027】
各基板洗浄装置1は、当該基板洗浄装置1に基板Wを搬入しかつ当該基板洗浄装置1から基板Wを搬出するための搬入搬出口2x(
図2)を有する。基板洗浄装置1の構成および動作の詳細については後述する。
【0028】
搬送部163には、メインロボット300が設けられている。メインロボット300は、複数(本例では4つ)のハンドMa,Mb,Mc,Md、ハンド支持部材310および搬送駆動部320を含む。複数のハンドMa~Mdは、共通の構成を有し、上下方向に並ぶ状態でハンド支持部材310上に設けられている。各ハンドMa~Mdは、基板Wを水平姿勢で保持可能に構成されている。
【0029】
図1に示すように、ハンド支持部材310は、一方向に延びるように形成され、上記の複数のハンドMa~Mdをそれぞれ独立してその一方向に進退可能に支持する。搬送駆動部320は、制御装置170により制御され、鉛直軸の周りで回転可能かつ昇降可能にハンド支持部材310を支持する。さらに、搬送駆動部320は、複数のモータおよびエアシリンダ等を含み、複数のハンドMa~Mdにより複数の基板Wを搬送するために、ハンド支持部材310を鉛直軸の周りで回転させ、昇降させる。また、搬送駆動部320は、複数のハンドMa~Mdを水平方向に進退させる。
【0030】
インデクサブロック110と処理ブロック120との間には、インデクサロボット200とメインロボット300との間で基板Wの受け渡しを行うための複数(本例では4つ)の基板載置部PASS1および複数の基板載置部PASS2が上下に積層配置されている。複数の基板載置部PASS1は複数(本例では4つ)の基板載置部PASS2よりも上方に位置する。
【0031】
複数の基板載置部PASS2は、インデクサロボット200からメインロボット300に基板Wを渡すために用いられる。複数の基板載置部PASS1は、メインロボット300からインデクサロボット200に基板Wを渡すために用いられる。
【0032】
インデクサロボット200は、複数のキャリア載置台140上に載置された複数のキャリアCのいずれかのキャリアCから処理前の基板Wを取り出す。また、インデクサロボット200は、取り出した処理前の基板Wを複数の基板載置部PASS2のいずれかに載置する。さらに、インデクサロボット200は、複数の基板載置部PASS1のいずれかに載置されている処理後の基板Wを受け取り、空のキャリアC内に収容する。
【0033】
メインロボット300は、複数の基板載置部PASS2に載置されている複数の処理前の基板Wを複数のハンドMa~Mdによりそれぞれ受け取る。また、メインロボット300は、基板載置部PASS2から複数のハンドMa~Mdにより受け取った複数の処理前の基板Wを洗浄部161または洗浄部162の複数の基板洗浄装置1にそれぞれ搬入する。さらに、メインロボット300は、複数の基板洗浄装置1内の複数の処理後の基板Wを複数のハンドMa~Mdによりそれぞれ搬出する。その後、メインロボット300は、各基板洗浄装置1から搬出した処理後の基板Wを複数の基板載置部PASS1のいずれかに載置する。
【0034】
2.基板洗浄装置1の構成
図3は、
図1の基板洗浄装置1の模式的平面図である。
図4は、
図3の基板洗浄装置1の内部構成を示す外観斜視図である。本実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、位置関係を明確にするために互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を定義する。
図3および
図4以降の所定の図では、X方向、Y方向およびZ方向が適宜矢印で示される。X方向およびY方向は水平面内で互いに直交し、Z方向は鉛直方向(上下方向)に相当する。
【0035】
図3に示すように、基板洗浄装置1は、上側保持装置10A,10B、下側保持装置20、台座装置30、受渡装置40、下面洗浄装置50、カップ装置60、上面洗浄装置70、端部洗浄装置80および開閉装置90を備える。これらの構成要素は、ユニット筐体2内に設けられる。
図4では、ユニット筐体2が点線で示される。
【0036】
ユニット筐体2は、矩形の底面部2aと、底面部2aの4辺から上方に延びる4つの側壁部2b,2c,2d,2eとを有する。側壁部2b,2cが互いに対向し、側壁部2d,2eが互いに対向する。側壁部2bの中央部には、矩形の開口が形成されている。この開口は、基板Wの搬入搬出口2xであり、ユニット筐体2に対する基板Wの搬入時および搬出時に用いられる。
図4では、搬入搬出口2xが太い点線で示される。以下の説明においては、Y方向のうちユニット筐体2の内部から搬入搬出口2xを通してユニット筐体2の外方に向く方向(側壁部2cから側壁部2bを向く方向)を前方と呼び、その逆の方向(側壁部2bから側壁部2cを向く方向)を後方と呼ぶ。
【0037】
側壁部2bにおける搬入搬出口2xの形成部分およびその近傍の領域には、開閉装置90が設けられている。開閉装置90は、搬入搬出口2xを開閉可能に構成されたシャッタ91と、シャッタ91を駆動するシャッタ駆動部92とを含む。
図4では、シャッタ91が太い二点鎖線で示される。シャッタ駆動部92は、基板洗浄装置1に対する基板Wの搬入時および搬出時に搬入搬出口2xを開放するようにシャッタ91を駆動する。これにより、シャッタ91は開状態となる。また、シャッタ駆動部92は、基板洗浄装置1における基板Wの洗浄時に搬入搬出口2xを閉塞するようにシャッタ91を駆動する。これにより、シャッタ91は閉状態となる。
【0038】
底面部2aの中央部には、台座装置30が設けられている。台座装置30は、リニアガイド31、可動台座32および台座駆動部33を含む。リニアガイド31は、2本のレールを含み、平面視で側壁部2bの近傍から側壁部2cの近傍までY方向に延びるように設けられている。可動台座32は、リニアガイド31の2本のレール上でY方向に移動可能に設けられている。台座駆動部33は、例えばパルスモータを含み、リニアガイド31上で可動台座32をY方向に移動させる。
【0039】
可動台座32上には、下側保持装置20および下面洗浄装置50がY方向に並ぶように設けられている。下側保持装置20は、吸着保持部21および吸着保持駆動部22を含む。吸着保持部21は、いわゆるスピンチャックであり、基板Wの下面を吸着保持可能な円形の吸着面を有し、上下方向に延びる軸(Z方向の軸)の周りで回転可能に構成される。以下の説明では、吸着保持部21により基板Wが吸着保持される際に、基板Wの下面のうち吸着保持部21の吸着面が吸着すべき領域を下面中央領域と呼ぶ。一方、基板Wの下面のうち下面中央領域を取り囲む領域を下面外側領域と呼ぶ。
【0040】
吸着保持駆動部22は、モータを含む。吸着保持駆動部22のモータは、回転軸が上方に向かって突出するように可動台座32上に設けられている。吸着保持部21は、吸着保持駆動部22の回転軸の上端部に取り付けられる。また、吸着保持駆動部22の回転軸には、吸着保持部21において基板Wを吸着保持するための吸引経路が形成されている。その吸引経路は、図示しない吸気装置に接続されている。吸着保持駆動部22は、吸着保持部21を上記の回転軸の周りで回転させる。
【0041】
可動台座32上には、下側保持装置20の近傍にさらに受渡装置40が設けられている。受渡装置40は、複数(本例では3本)の支持ピン41、ピン連結部材42およびピン昇降駆動部43を含む。ピン連結部材42は、平面視で吸着保持部21を取り囲むように形成され、複数の支持ピン41を連結する。複数の支持ピン41は、ピン連結部材42により互いに連結された状態で、ピン連結部材42から一定長さ上方に延びる。ピン昇降駆動部43は、可動台座32上でピン連結部材42を昇降させる。これにより、複数の支持ピン41が吸着保持部21に対して相対的に昇降する。
【0042】
下面洗浄装置50は、下面ブラシ51、2つの基板ノズル52、2つのブラシノズル52a,52b、気体噴出部53、昇降支持部54、下面ブラシ回転駆動部55aおよび下面ブラシ昇降駆動部55bを含む。
図4に示すように、可動台座32上に、昇降支持部54が昇降可能に設けられている。昇降支持部54は、吸着保持部21から遠ざかる方向(本例では後方)において斜め下方に傾斜する上面54uを有する。
【0043】
図3に示すように、下面ブラシ51は、平面視において円形の外形を有し、本実施の形態においては比較的大型に形成される。具体的には、下面ブラシ51の直径は、吸着保持部21の吸着面の直径よりも大きく、例えば吸着保持部21の吸着面の直径の1.3倍である。また、下面ブラシ51の直径は、基板Wの直径の1/3よりも大きくかつ1/2よりも小さい。なお、基板Wの直径は、例えば300mmである。
【0044】
下面ブラシ51は、スポンジブラシであり、フッ素系樹脂等の比較的濡れ性が低い材料により形成されることが好ましい。この場合、下面ブラシ51に汚染物が付着することが低減される。これにより、下面ブラシ51が汚染しにくくなる。本例では、下面ブラシ51は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)により形成されるが、実施の形態はこれに限定されない。下面ブラシ51は、PVA(ポリビニールアルコール)等の比較的軟質な樹脂材料により形成されてもよい。
【0045】
下面ブラシ51は、基板Wの下面に接触可能な洗浄面を有する。また、下面ブラシ51は、洗浄面が上方を向くようにかつ洗浄面が当該洗浄面の中心を通って上下方向に延びる軸の周りで回転可能となるように、昇降支持部54の上面54uに取り付けられている。
【0046】
2つの基板ノズル52の各々は、下面ブラシ51の近傍に位置しかつ液体吐出口が上方を向くように、昇降支持部54の上面54u上に取り付けられている。基板ノズル52には、下面洗浄液供給部56(
図7)が接続されている。下面洗浄液供給部56は、基板ノズル52に基板洗浄用の洗浄液を供給する。基板ノズル52は、下面ブラシ51による基板Wの洗浄時に、下面洗浄液供給部56から供給される洗浄液を基板Wの下面に吐出する。本実施の形態では、基板ノズル52に供給される洗浄液として純水が用いられる。
【0047】
2つのブラシノズル52a,52bは、下面ブラシ51を洗浄するために用いられる。2つのブラシノズル52a,52bの各々は、下面ブラシ51の近傍に位置するように、昇降支持部54の上面54u上に取り付けられている。ブラシノズル52a,52bには、ブラシ洗浄液供給部57(
図7)が接続されている。ブラシ洗浄液供給部57は、ブラシノズル52a,52bにブラシ洗浄用の洗浄液を供給する。それにより、ブラシ洗浄液供給部57から供給された洗浄液が、ブラシノズル52a,52bから下面ブラシ51に向けて吐出される。2つの基板ノズル52に供給される洗浄液と2つのブラシノズル52a,52bに供給される洗浄液とは同じである。したがって、本実施の形態では、ブラシノズル52a,52bに供給される洗浄液として純水が用いられる。
【0048】
図5は、
図4の一方のブラシノズル52aから下面ブラシ51にブラシ洗浄用の洗浄液が吐出される状態の一例を示す一方側面図である。ブラシノズル52aは、昇降支持部54の上面54u上で、当該ブラシノズル52aの先端部(液体吐出口)が下面ブラシ51の上方の位置に向くように設けられている。そのため、
図5に点線の矢印で示すように、ブラシノズル52aから吐出される洗浄液は、下面ブラシ51の側方の位置から放物線を描くように下面ブラシ51の洗浄面の中央部に導かれる。
【0049】
図6は、
図4の他方のブラシノズル52bから下面ブラシ51にブラシ洗浄用の洗浄液が吐出される状態の一例を示す他方側面図である。ブラシノズル52bは、昇降支持部54の上面54u上で、当該ブラシノズル52bの先端部(液体吐出口)が下面ブラシ51の側部(外周端部)に向くように設けられている。そのため、
図6に点線の矢印で示すように、ブラシノズル52bから吐出される洗浄液は、下面ブラシ51の側方の位置から下面ブラシ51の側部(外周端部)に導かれる。
【0050】
図4の気体噴出部53は、一方向に延びる気体噴出口を有するスリット状の気体噴射ノズルである。気体噴出部53は、下面洗浄装置50の他の構成要素に対して独立して昇降可能に可動台座32上に設けられている。気体噴出部53を昇降動作させるための駆動部の説明は省略する。気体噴出部53の気体噴射口は、平面視で下面ブラシ51と吸着保持部21との間に位置しかつ上方を向いている。気体噴出部53には、噴出気体供給部58(
図7)が接続されている。
【0051】
噴出気体供給部58は、気体噴出部53に気体を供給する。本実施の形態では、気体噴出部53に供給される気体として窒素ガス等の不活性ガスが用いられる。気体噴出部53は、下面ブラシ51による基板Wの洗浄時および後述する基板Wの下面の乾燥時に、噴出気体供給部58から供給される気体を基板Wの下面に噴射する。この場合、下面ブラシ51と吸着保持部21との間に、X方向に延びる帯状の気体カーテンが形成される。
【0052】
図3の下面ブラシ回転駆動部55aは、モータを含み、基本的には、基板処理装置100の電源がオンしている間、下面ブラシ51を回転させる。下面ブラシ昇降駆動部55bは、ステッピングモータまたはエアシリンダを含み、可動台座32上で昇降支持部54を昇降させる。
【0053】
底面部2aの中央部には、さらにカップ装置60が設けられている。カップ装置60は、カップ61およびカップ駆動部62を含む。カップ61は、平面視で下側保持装置20および台座装置30を取り囲むようにかつ昇降可能に設けられている。
図4においては、カップ61が点線で示される。カップ駆動部62は、下面ブラシ51が基板Wの下面におけるどの部分を洗浄するのかに応じてカップ61を下カップ位置と上カップ位置との間で移動させる。下カップ位置はカップ61の上端部が吸着保持部21により吸着保持される基板Wよりも下方にある高さ位置である。また、上カップ位置はカップ61の上端部が吸着保持部21よりも上方にある高さ位置である。カップ61が上カップ位置にある状態で、カップ61と吸着保持部21とは側面視で互いに重なる。
【0054】
カップ61よりも上方の高さ位置には、平面視で台座装置30を挟んで対向するように一対の上側保持装置10A,10Bが設けられている。上側保持装置10Aは、下チャック11A、上チャック12A、下チャック駆動部13Aおよび上チャック駆動部14Aを含む。上側保持装置10Bは、下チャック11B、上チャック12B、下チャック駆動部13Bおよび上チャック駆動部14Bを含む。
【0055】
下チャック11A,11Bは、平面視で吸着保持部21の中心を通ってY方向(前後方向)に延びる鉛直面に関して対称に配置され、共通の水平面内でX方向に移動可能に設けられている。下チャック11A,11Bの各々は、基板Wの下面周縁部を基板Wの下方から支持可能な2本の支持片を有する。下チャック駆動部13A,13Bは、下チャック11A,11Bが互いに近づくように、または下チャック11A,11Bが互いに遠ざかるように、下チャック11A,11Bを移動させる。
【0056】
上チャック12A,12Bは、下チャック11A,11Bと同様に、平面視で吸着保持部21の中心を通ってY方向(前後方向)に延びる鉛直面に関して対称に配置され、共通の水平面内でX方向に移動可能に設けられている。上チャック12A,12Bの各々は、基板Wの外周端部の2つの部分に当接して基板Wの外周端部を保持可能に構成された2本の保持片を有する。上チャック駆動部14A,14Bは、上チャック12A,12Bが互いに近づくように、または上チャック12A,12Bが互いに遠ざかるように、上チャック12A,12Bを移動させる。
【0057】
図3に示すように、カップ61の一側方においては、平面視で上側保持装置10Bの近傍に位置するように、上面洗浄装置70が設けられている。上面洗浄装置70は、回転支持軸71、アーム72、スプレーノズル73および上面洗浄駆動部74を含む。
【0058】
回転支持軸71は、底面部2a上で、上下方向に延びるようにかつ昇降可能かつ回転可能に上面洗浄駆動部74により支持される。アーム72は、
図4に示すように、上側保持装置10Bよりも上方の位置で、回転支持軸71の上端部から水平方向に延びるように設けられている。アーム72の先端部には、スプレーノズル73が取り付けられている。
【0059】
スプレーノズル73には、上面洗浄流体供給部75(
図7)が接続される。上面洗浄流体供給部75は、スプレーノズル73に洗浄液および気体を供給する。本実施の形態では、スプレーノズル73に供給される洗浄液として純水が用いられ、スプレーノズル73に供給される気体として窒素ガス等の不活性ガスが用いられる。スプレーノズル73は、基板Wの上面の洗浄時に、上面洗浄流体供給部75から供給される洗浄液と気体とを混合して混合流体を生成し、生成された混合流体を下方に噴射する。
【0060】
上面洗浄駆動部74は、1または複数のパルスモータおよびエアシリンダ等を含み、回転支持軸71を昇降させるとともに、回転支持軸71を回転させる。上記の構成によれば、吸着保持部21により吸着保持されて回転される基板Wの上面上で、スプレーノズル73を円弧状に移動させることにより、基板Wの上面全体を洗浄することができる。
【0061】
図3に示すように、カップ61の他側方においては、平面視で上側保持装置10Aの近傍に位置するように、端部洗浄装置80が設けられている。端部洗浄装置80は、回転支持軸81、アーム82、ベベルブラシ83およびベベルブラシ駆動部84を含む。
【0062】
回転支持軸81は、底面部2a上で、上下方向に延びるようにかつ昇降可能かつ回転可能にベベルブラシ駆動部84により支持される。アーム82は、
図4に示すように、上側保持装置10Aよりも上方の位置で、回転支持軸81の上端部から水平方向に延びるように設けられている。アーム82の先端部には、下方に向かって突出するようにかつ上下方向の軸の周りで回転可能となるようにベベルブラシ83が設けられている。
【0063】
ベベルブラシ83は、上半部が逆円錐台形状を有するとともに下半部が円錐台形状を有する。このベベルブラシ83によれば、外周面の上下方向における中央部分で基板Wの外周端部を洗浄することができる。
【0064】
ベベルブラシ駆動部84は、1または複数のパルスモータおよびエアシリンダ等を含み、回転支持軸81を昇降させるとともに、回転支持軸81を回転させる。上記の構成によれば、吸着保持部21により吸着保持されて回転される基板Wの外周端部にベベルブラシ83の外周面の中央部分を接触させることにより、基板Wの外周端部全体を洗浄することができる。
【0065】
ここで、ベベルブラシ駆動部84は、さらにアーム82に内蔵されるモータを含む。そのモータは、アーム82の先端部に設けられるベベルブラシ83を上下方向の軸の周りで回転させる。したがって、基板Wの外周端部の洗浄時に、ベベルブラシ83が回転することにより、基板Wの外周端部におけるベベルブラシ83の洗浄力が向上する。
【0066】
3.基板処理装置の制御系
図7は、
図1の基板処理装置100の制御系統の構成を示すブロック図である。上記のように、
図1の制御装置170は、CPU、RAM、ROMおよび記憶装置を含む。RAMは、CPUの作業領域として用いられる。ROMは、システムプログラムを記憶する。記憶装置は、基板処理プログラムを記憶する。
【0067】
図7では、
図1の基板処理装置100の制御系統のうち複数の基板洗浄装置1の各々に対応する部分の構成のみが示される。
図7に示すように、制御装置170は、複数の基板洗浄装置1の各々の動作を制御するための機能部として、チャック制御部9A、吸着制御部9B、台座制御部9C、受渡制御部9D、下面洗浄制御部9E、カップ制御部9F、上面洗浄制御部9G、ベベル洗浄制御部9H、搬入搬出制御部9Iおよび条件受付部9Jを含む。CPUが記憶装置に記憶された基板洗浄プログラムをRAM上で実行することにより制御装置170の機能部が実現される。制御装置170の機能部の一部または全部が電子回路等のハードウエアにより実現されてもよい。
【0068】
チャック制御部9Aは、基板洗浄装置1に搬入される基板Wを受け取り、吸着保持部21の上方の位置で保持するために、下チャック駆動部13A,13Bおよび上チャック駆動部14A,14Bを制御する。吸着制御部9Bは、吸着保持部21により基板Wを吸着保持するとともに吸着保持された基板Wを回転させるために、吸着保持駆動部22を制御する。
【0069】
台座制御部9Cは、上側保持装置10A,10Bにより保持される基板Wに対して可動台座32を移動させるために、台座駆動部33を制御する。受渡制御部9Dは、上側保持装置10A,10Bにより保持される基板Wの高さ位置と、吸着保持部21により保持される基板Wの高さ位置との間で基板Wを移動させるために、ピン昇降駆動部43を制御する。
【0070】
下面洗浄制御部9Eは、基板Wの下面を洗浄するために、下面ブラシ回転駆動部55a、下面ブラシ昇降駆動部55b、下面洗浄液供給部56および噴出気体供給部58を制御する。また、下面洗浄制御部9Eは、下面ブラシ51を洗浄するために、ブラシ洗浄液供給部57を制御する。カップ制御部9Fは、吸着保持部21により吸着保持された基板Wの洗浄時に基板Wから飛散する洗浄液をカップ61で受け止めるために、カップ駆動部62を制御する。
【0071】
上面洗浄制御部9Gは、吸着保持部21により吸着保持された基板Wの上面を洗浄するために、上面洗浄駆動部74および上面洗浄流体供給部75を制御する。ベベル洗浄制御部9Hは、吸着保持部21により吸着保持された基板Wの外周端部を洗浄するために、ベベルブラシ駆動部84を制御する。搬入搬出制御部9Iは、基板洗浄装置1における基板Wの搬入時および搬出時にユニット筐体2の搬入搬出口2xを開閉するために、シャッタ駆動部92を制御する。
【0072】
条件受付部9Jは、操作パネル180により入力された基板処理装置100内の各構成要素の動作条件を受け付け、受け付けた動作条件を例えば制御装置170の記憶装置に記憶する。それにより、基板処理装置100における各種構成要素の動作条件が設定される。
【0073】
4.基板洗浄装置1の概略動作
図8~
図19は、
図3の基板洗浄装置1の概略動作を説明するための模式図である。
図8~
図19の各々においては、上段に基板洗浄装置1の平面図が示される。また、中段にY方向に沿って見た下側保持装置20およびその周辺部の側面図が示され、下段にX方向に沿って見た下側保持装置20およびその周辺部の側面図が示される。中段の側面図は
図3のA-A線側面図に対応し、下段の側面図は
図3のB-B線側面図に対応する。なお、基板洗浄装置1における各構成要素の形状および動作状態の理解を容易にするために、上段の平面図と中段および下段の側面図との間では、一部の構成要素の拡縮率が異なる。また、
図8~
図19では、カップ61が二点鎖線で示されるとともに、基板Wの外形が太い一点鎖線で示される。
【0074】
基板洗浄装置1に基板Wが搬入される前の初期状態(待機状態)では、開閉装置90のシャッタ91が搬入搬出口2xを閉塞している。また、
図3に示されるように、下チャック11A,11Bは、互いの距離が基板Wの直径よりも十分に大きくなる状態で維持されている。また、上チャック12A,12Bも、互いの距離が基板Wの直径よりも十分に大きくなる状態で維持されている。
【0075】
また、台座装置30の可動台座32は、平面視で吸着保持部21の中心がカップ61の中心に位置するように配置されている。下面洗浄装置50は、可動台座32上で吸着保持部21からY方向に一定距離離間した位置にある。下面洗浄装置50の下面ブラシ51の洗浄面(上端部)は、吸着保持部21よりも下方に位置する。初期状態における下面ブラシ51の上下方向(Z方向)の位置を待機位置と呼ぶ。基板Wが吸着保持部21に保持された状態で、待機位置は当該基板Wの下方にある。特に、本実施の形態においては、待機位置は、昇降支持部54により下面ブラシ51が昇降可能な上下方向の範囲のうち最も低い位置に相当する。
【0076】
また、初期状態においては、受渡装置40は、複数の支持ピン41が吸着保持部21よりも下方に位置する状態にある。さらに、カップ装置60のカップ61は下カップ位置にある。以下の説明では、平面視におけるカップ61の中心位置を平面基準位置rpと呼ぶ。また、平面視で吸着保持部21の中心が平面基準位置rpにあるときの底面部2a上の可動台座32の位置を第1の水平位置と呼ぶ。
【0077】
基板洗浄装置1のユニット筐体2内に基板Wが搬入される。具体的には、基板Wの搬入の直前にシャッタ91が搬入搬出口2xを開放する。その後、
図8に太い実線の矢印a1で示すように、
図1のメインロボット300のハンド(本例ではハンドMa)が搬入搬出口2xを通してユニット筐体2に進入し、ユニット筐体2内の略中央の位置に基板Wを移動させる。このとき、ハンドMaにより保持される基板Wは、下チャック11Aおよび上チャック12Aと下チャック11Bおよび上チャック12Bとの間に位置する。
【0078】
次に、
図9に太い実線の矢印a2で示すように、下チャック11A,11Bの複数の支持片が基板Wの下面周縁部の下方に位置するように、下チャック11A,11Bが互いに近づく。この状態で、ハンドMaが下降し、ハンドMaに保持された基板Wが、一対の下チャック11A,11B上に載置される。基板Wの下面周縁部の複数の部分が、下チャック11A,11Bの複数の支持片によりそれぞれ支持される。その後、空のハンドMaが搬入搬出口2xから退出する。ハンドMaの退出後、シャッタ91は搬入搬出口2xを閉塞する。
【0079】
以下の説明では、
図1のメインロボット300が基板Wを一の基板洗浄装置1内に搬入する動作を搬入動作と呼ぶ。その搬入動作には、ハンドMaの少なくとも一部がユニット筐体2内にある状態で、ハンドMaが進退動作することが含まれる。したがって、本実施の形態においては、メインロボット300による搬入動作が行われる期間は、例えば一の基板洗浄装置1に対する基板Wの搬入時でかつメインロボット300のいずれかのハンド(Ma~Md)がユニット筐体2内にある期間を含む。
【0080】
次に、
図10に太い実線の矢印a3で示すように、上チャック12A,12Bの複数の保持片が基板Wの外周端部に当接するように、上チャック12A,12Bが互いに近づく。上チャック12A,12Bの複数の保持片が基板Wの外周端部の複数の部分に当接することにより、下チャック11A,11Bにより支持された基板Wが上チャック12A,12Bによりさらに保持される。また、
図10に太い実線の矢印a4で示すように、吸着保持部21が平面基準位置rpから所定距離ずれるとともに下面ブラシ51の中心が平面基準位置rpに位置するように、可動台座32が第1の水平位置から前方に移動する。平面視で下面ブラシ51の中心が平面基準位置rpに位置するときの可動台座32の底面部2a上の位置を第2の水平位置と呼ぶ。
【0081】
次に、
図11に太い実線の矢印a5で示すように、待機位置にある下面ブラシ51の洗浄面が基板Wの下面中央領域に接触するように、昇降支持部54が上昇する。基板Wが上側保持装置10A,10Bにより保持された状態で、基板Wの下面に接触するときの下面ブラシ51の位置を第1の処理位置と呼ぶ。また、
図11に太い実線の矢印a6で示すように、下面ブラシ51が上下方向の軸の周りで回転(自転)する。それにより、基板Wの下面中央領域に付着する汚染物質が下面ブラシ51により物理的に剥離される。
【0082】
図11の下段には、下面ブラシ51が基板Wの下面に接触する部分の拡大側面図が吹き出し内に示される。その吹き出し内に示されるように、下面ブラシ51が基板Wに接触する状態で、基板ノズル52および気体噴出部53は、基板Wの下面に近接する位置に保持される。このとき、基板ノズル52は、白抜きの矢印a51で示すように、下面ブラシ51の近傍の位置で基板Wの下面に向かって洗浄液を吐出する。これにより、基板ノズル52から基板Wの下面に供給された洗浄液が下面ブラシ51と基板Wとの接触部に導かれることにより、下面ブラシ51により基板Wの裏面から除去された汚染物質が洗浄液により洗い流される。このように、下面洗浄装置50においては、基板ノズル52が下面ブラシ51とともに昇降支持部54に取り付けられている。それにより、下面ブラシ51による基板Wの下面の洗浄部分に効率よく洗浄液を供給することができる。したがって、洗浄液の消費量が低減されるとともに洗浄液の過剰な飛散が抑制される。
【0083】
ここで、昇降支持部54の上面54uは、吸着保持部21から遠ざかる方向において斜め下方に傾斜している。この場合、基板Wの下面から汚染物質を含む洗浄液が昇降支持部54上に落下する場合に、上面54uによって受け止められた洗浄液が吸着保持部21から遠ざかる方向に導かれる。
【0084】
また、下面ブラシ51による基板Wの下面の洗浄時には、気体噴出部53が、
図11の吹き出し内に白抜きの矢印a52で示すように、下面ブラシ51と吸着保持部21との間の位置で基板Wの下面に向かって気体を噴射する。本実施の形態においては、気体噴出部53は、気体噴射口がX方向に延びるように可動台座32上に取り付けられている。この場合、気体噴出部53から基板Wの下面に気体が噴射される際には、下面ブラシ51と吸着保持部21との間でX方向に延びる帯状の気体カーテンが形成される。それにより、下面ブラシ51による基板Wの下面の洗浄時に、汚染物質を含む洗浄液が吸着保持部21に向かって飛散することが防止される。したがって、下面ブラシ51による基板Wの下面の洗浄時に、汚染物質を含む洗浄液が吸着保持部21に付着することが防止され、吸着保持部21の吸着面が清浄に保たれる。
【0085】
なお、
図11の例においては、気体噴出部53は、白抜きの矢印a52で示すように、気体噴出部53から下面ブラシ51に向かって斜め上方に気体を噴射するが、本発明はこれに限定されない。気体噴出部53は、気体噴出部53から基板Wの下面に向かってZ方向に沿うように気体を噴射してもよい。
【0086】
次に、
図11の状態で、基板Wの下面中央領域の洗浄が完了すると、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wから所定距離離間するように、昇降支持部54が下降する。また、基板ノズル52から基板Wへの洗浄液の吐出が停止される。このとき、気体噴出部53から基板Wへの気体の噴射は継続される。
【0087】
その後、
図12に太い実線の矢印a7で示すように、平面視で吸着保持部21の中心が平面基準位置rpに位置するように、可動台座32が後方に移動する。すなわち、可動台座32は、第2の水平位置から第1の水平位置に移動する。このとき、気体噴出部53から基板Wへの気体の噴射が継続されることにより、基板Wの下面中央領域が気体カーテンにより順次乾燥される。
【0088】
次に、
図13に太い実線の矢印a8で示すように、下面ブラシ51の洗浄面が吸着保持部21の吸着面(上端部)よりも下方に位置するように、昇降支持部54が下降する。これにより、下面ブラシ51が待機位置まで移動する。また、
図13に太い実線の矢印a9で示すように、上チャック12A,12Bの複数の保持片が基板Wの外周端部から離間するように、上チャック12A,12Bが互いに遠ざかる。このとき、基板Wは、下チャック11A,11Bにより支持された状態(載置された状態)となる。なお、下面ブラシ51は、基板Wの下面中央領域の洗浄後、気体噴出部53による乾燥前に、第1の処理位置から待機位置まで移動してもよい。
【0089】
その後、
図13に太い実線の矢印a10で示すように、複数の支持ピン41の上端部が下チャック11A,11Bよりもわずかに上方に位置するように、ピン連結部材42が上昇する。それにより、下チャック11A,11Bにより支持された基板Wが、複数の支持ピン41により受け取られる。
【0090】
次に、
図14に太い実線の矢印a11で示すように、下チャック11A,11Bが互いに遠ざかる。このとき、下チャック11A,11Bは、平面視で複数の支持ピン41により支持される基板Wに重ならない位置まで移動する。それにより、上側保持装置10A,10Bは、ともに初期状態に戻る。
【0091】
次に、
図15に太い実線の矢印a12で示すように、複数の支持ピン41の上端部が吸着保持部21よりも下方に位置するように、ピン連結部材42が下降する。それにより、複数の支持ピン41上に支持された基板Wが、吸着保持部21により受け取られる。この状態で、吸着保持部21は、基板Wの下面中央領域を吸着保持する。ピン連結部材42の下降と同時かまたはピン連結部材42の下降完了後、
図15に太い実線の矢印a13で示すように、カップ61が下カップ位置から上カップ位置まで上昇する。
【0092】
次に、
図16に太い実線の矢印a14で示すように、吸着保持部21が上下方向の軸(吸着保持駆動部22の回転軸の軸心)の周りで回転する。それにより、吸着保持部21に吸着保持された基板Wが水平姿勢で回転する。
【0093】
次に、上面洗浄装置70の回転支持軸71が回転し、下降する。それにより、
図16に太い実線の矢印a15で示すように、スプレーノズル73は、基板Wの上方の位置まで移動する。また、スプレーノズル73は、スプレーノズル73と基板Wとの間の距離が予め定められた距離となるように下降する。この状態で、スプレーノズル73は、基板Wの上面に洗浄液と気体との混合流体を噴射する。また、回転支持軸71が回転する。それにより、
図16に太い実線の矢印a16で示すように、スプレーノズル73が回転する基板Wの上方の位置で移動する。基板Wの上面全体に混合流体が噴射されることにより、基板Wの上面全体が洗浄される。
【0094】
スプレーノズル73による基板Wの上面の洗浄時には、端部洗浄装置80の回転支持軸81も回転し、下降する。それにより、
図16に太い実線の矢印a17で示すように、ベベルブラシ83が基板Wの外周端部の上方の位置まで移動する。また、ベベルブラシ83の外周面の中央部分が基板Wの外周端部に接触するように下降する。この状態で、ベベルブラシ83が上下方向の軸の周りで回転(自転)する。それにより、基板Wの外周端部に付着する汚染物質がベベルブラシ83により物理的に剥離される。基板Wの外周端部から剥離された汚染物質は、スプレーノズル73から基板Wに噴射される混合流体の洗浄液により洗い流される。
【0095】
また、スプレーノズル73による基板Wの上面の洗浄時には、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wの下面外側領域に接触するように、昇降支持部54が上昇する。基板Wが下側保持装置20により保持された状態で、基板Wの下面に接触するときの下面ブラシ51の位置を第2の処理位置と呼ぶ。また、
図16に太い実線の矢印a18で示すように、下面ブラシ51が上下方向の軸の周りで回転(自転)する。さらに、基板ノズル52は基板Wの下面に向かって洗浄液を吐出し、気体噴出部53は基板Wの下面に向かって気体を噴射する。これにより、吸着保持部21により吸着保持されて回転される基板Wの下面外側領域を全体に渡って下面ブラシ51により洗浄することができる。下面ブラシ51の回転方向は、吸着保持部21の回転方向とは逆であってもよい。この場合、基板Wの下面外側領域を効率よく洗浄することができる。
【0096】
なお、昇降支持部54は、可動台座32上で下側保持装置20に対してY方向に相対移動可能に構成されてもよい。この場合、
図16に太い実線の矢印a19で示すように、昇降支持部54を可動台座32上でY方向に移動させる。それにより、下面ブラシ51の大きさによらず、基板Wの下面外側領域を全体に渡って下面ブラシ51により洗浄することができる。
【0097】
基板Wの上面、外周端部および下面外側領域の洗浄が完了すると、スプレーノズル73から基板Wへの混合流体の噴射が停止される。また、
図17に太い実線の矢印a20で示すように、スプレーノズル73がカップ61の一側方の位置(初期状態の位置)まで移動する。また、
図17に太い実線の矢印a21で示すように、ベベルブラシ83がカップ61の他側方の位置(初期状態の位置)まで移動する。さらに、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wから所定距離離間するように、昇降支持部54が下降する。これにより、下面ブラシ51が第2の処理位置から待機位置に移動する。また、基板ノズル52から基板Wへの洗浄液の吐出、および気体噴出部53から基板Wへの気体の噴射が停止される。この状態で、吸着保持部21が高速で回転することにより、基板Wに付着する洗浄液が振り切られ、基板Wの全体が乾燥する。
【0098】
次に、
図18に太い実線の矢印a22で示すように、カップ61が上カップ位置から下カップ位置まで下降する。また、新たな基板Wがユニット筐体2内に搬入されることに備えて、
図18に太い実線の矢印a23で示すように、新たな基板Wを支持可能な位置まで下チャック11A,11Bが互いに近づく。
【0099】
最後に、基板洗浄装置1のユニット筐体2内から基板Wが搬出される。具体的には、基板Wの搬出の直前にシャッタ91が搬入搬出口2xを開放する。その後、
図19に太い実線の矢印a24で示すように、
図1のメインロボット300のハンドMaが搬入搬出口2xを通してユニット筐体2に進入する。続いて、ハンドMaは、吸着保持部21上の基板Wを受け取り、搬入搬出口2xから退出する。ハンドMaの退出後、シャッタ91は搬入搬出口2xを閉塞する。
【0100】
以下の説明では、
図1のメインロボット300が基板Wを一の基板洗浄装置1から搬出する動作を搬出動作と呼ぶ。その搬出動作には、ハンドMaの少なくとも一部がユニット筐体2内にある状態で、ハンドMaが進退動作することが含まれる。したがって、本実施の形態においては、メインロボット300による搬出動作が行われる期間は、例えば一の基板洗浄装置1に対する基板Wの搬出時でかつメインロボット300のいずれかのハンドがユニット筐体2内にある期間を含む。
【0101】
5.ブラシノズル52a,52bから下面ブラシ51への洗浄液の吐出
(a)下面ブラシ51の洗浄
上記の基板洗浄装置1においては、ブラシノズル52a,52bから回転する下面ブラシ51に洗浄液が吐出される。この場合、洗浄液が下面ブラシ51の全体に渡って供給され、下面ブラシ51に付着する汚染物質が洗い流される。それにより、清浄度が低下した下面ブラシ51による基板Wの洗浄が防止される。また、下面ブラシ51が乾燥することが防止され、乾燥した下面ブラシ51が基板Wに接触することによる欠陥(損傷)の発生が防止される。
【0102】
比較的大型の下面ブラシ51による基板Wの下面外側領域の洗浄(
図16)に要する時間は、スプレーノズル73を用いた基板Wの上面の洗浄(
図16)に要する時間に比べて短い。そこで、本実施の形態では、スプレーノズル73による基板Wの上面の洗浄中に、下面ブラシ51
が洗浄位置と待機位置とを複数回往復移動する。また、下面ブラシ51が待機位置にあるときに、ブラシノズル52a,52bから下面ブラシ51に洗浄液が吐出される。それにより、基板Wの下面外側領域の洗浄と、下面ブラシ51の洗浄とが交互に実行される。この場合、スプレーノズル73による基板Wの上面の洗浄中連続して基板Wの下面外側領域を洗浄する場合に比べて、洗浄後の基板Wの下面外側領域の清浄度が向上する。
【0103】
(b)下面ブラシ51の洗浄に好ましくない期間
上記のように、下面ブラシ51は、基板Wへの接触時に乾燥していないことが好ましい。そのため、下面ブラシ51には、スプレーノズル73を用いた基板Wの上面の洗浄時に限らず、ブラシノズル52a,52bから洗浄液が吐出されることが好ましい。
【0104】
しかしながら、ブラシノズル52a,52bから吐出される洗浄液が下面ブラシ51から飛散すると、その飛沫が意図しないタイミングで基板Wまたは基板Wの周辺部材に付着する可能性がある。この場合、下面ブラシ51の洗浄に起因して、洗浄処理後の基板Wの清浄度が低下するか、あるいは基板Wの洗浄環境の清浄度が低下する。なお、基板Wの洗浄環境の清浄度は、ユニット筐体2内部に設けられる各構成要素の清浄度および基板Wを搬送する装置の清浄度を意味する。
【0105】
そこで、本実施の形態では、
図7の下面洗浄制御部9Eが、一の基板Wを洗浄するために上記の一連の動作が行われる期間のうち一部の期間(以下、基本停止期間と呼ぶ。)で、ブラシ洗浄液供給部57からブラシノズル52a,52bへの洗浄液の供給を禁止し、下面ブラシ51の洗浄を行わない。
【0106】
一方、下面洗浄制御部9Eは、一の基板Wを洗浄するために上記の一連の動作が行われる期間のうち他の少なくとも一部の期間(以下、洗浄許容期間と呼ぶ。)で、ブラシ洗浄液供給部57からブラシノズル52a,52bへの洗浄液の供給を許容する。
【0107】
図20は、一の基板Wについて洗浄処理を行う場合の基板洗浄装置1の一連の動作とブラシ洗浄液供給部57からブラシノズル52a,52bへの洗浄液の供給の可否との関係を示す図である。
図20では、基板洗浄装置1の複数の動作状態が時系列順に示されるとともに、各動作状態でブラシ洗浄用の洗浄液の供給を許容するか否かが、対応する図面の番号とともに示される。
【0108】
(c)基板Wの搬入期間および搬出期間
本実施の形態においては、基本停止期間は、基板Wの搬入期間および基板Wの搬出期間を含む。
図20に示すように、本実施の形態において、
図7の下面洗浄制御部9Eは、基板洗浄装置1に対する基板Wの搬入期間および搬出期間に、ブラシ洗浄液供給部57からブラシノズル52a,52bへの洗浄液の供給を停止させる。基板Wの搬入期間は、メインロボット300により基板Wの搬入動作が行われる期間である。基板Wの搬出期間は、メインロボット300により基板Wの搬出動作が行われる期間である。それにより、メインロボット300による基板Wの搬入動作時および搬出動作時には、ユニット筐体2内でブラシ洗浄用の洗浄液が飛散しない。そのため、基板Wの搬入動作時および搬出動作時に、メインロボット300により搬送される基板Wにブラシ洗浄用の洗浄液が付着しない。また、ユニット筐体2内に進入するメインロボット300のハンドMaにブラシ洗浄用の洗浄液が付着しない。したがって、下面ブラシ51の洗浄に起因する基板Wの清浄度の低下、およびメインロボット300のハンドMaの清浄度の低下が低減される。
【0109】
(d)上下の保持装置(10A,10B,20)間の基板Wの受け渡し期間
また、本実施の形態においては、基本停止期間は、上下の保持装置(10A,10B,20)間の基板Wの受け渡しの期間を含む。
【0110】
図7の下面洗浄制御部9Eは、上側保持装置10A,10Bと下側保持装置20との間で基板Wの受け渡しが行われるときに、ブラシ洗浄液供給部57からブラシノズル52a,52bへの洗浄液の供給を停止させる。
【0111】
具体的には、本実施の形態においては、複数の支持ピン41は、上側保持装置10A,10Bにより基板Wが保持される状態から下側保持装置20により基板Wが保持される状態への切り替えのために昇降動作する。そこで、下面洗浄制御部9Eは、複数の支持ピン41の昇降動作時に、ブラシ洗浄用の洗浄液の供給を停止させる。それにより、複数の支持ピン41の昇降動作時には、ユニット筐体2内でブラシ洗浄用の洗浄液が飛散しない。そのため、上側保持装置10A,10Bと下側保持装置20との間の基板Wの受け渡し時に、基板Wおよび基板Wの周辺部材(複数の支持ピン41およびピン連結部材42等)にブラシ洗浄用の洗浄液が付着しない。したがって、下面ブラシ51の洗浄に起因する基板Wの清浄度の低下、および受渡装置40の清浄度の低下が低減される。
【0112】
(e)下側保持装置20により保持された基板Wの乾燥中および乾燥後の期間
また、本実施の形態においては、基本停止期間は、下側保持装置20により保持された基板Wの乾燥中および乾燥後の期間を含む。
【0113】
図7の下面洗浄制御部9Eは、基板Wが下側保持装置20により保持された状態で、当該基板Wの洗浄後の乾燥時に、ブラシ洗浄液供給部57からブラシノズル52a,52bへの洗浄液の供給を停止させる。また、下面洗浄制御部9Eは、乾燥後の基板Wが下側保持装置20により保持されている間、ブラシ洗浄液供給部57からブラシノズル52a,52bへの洗浄液の供給を停止させる。
【0114】
具体的には、一の基板Wについての一連の処理において、吸着保持部21により吸着保持された基板Wの上面、外周端部および下面外側領域の洗浄が完了した状態を想定する。この場合、当該洗浄の完了後に、基板Wに洗浄液等が供給されない状態で、吸着保持部21が高速で回転し、基板Wが乾燥される(スピン乾燥)。そこで、下面洗浄制御部9Eは、基板Wのスピン乾燥の開始時点から基板Wがメインロボット300により受け取られるまでの期間、ブラシ洗浄用の洗浄液の供給を停止させる。それにより、基板Wのスピン乾燥の開始以降は、ユニット筐体2内でブラシ洗浄用の洗浄液が飛散しない。そのため、乾燥後の基板Wおよびその周辺部材にブラシ洗浄用の洗浄液が付着しない。したがって、下面ブラシ51の洗浄に起因する基板Wの清浄度の低下、および下側保持装置20の清浄度の低下が低減される。
【0115】
(f)洗浄許容期間
本実施の形態においては、洗浄許容期間は、基板Wがユニット筐体2内部に存在しない期間を含む。上記の例では、洗浄処理前の基板Wが基板洗浄装置1に搬入される前の期間、洗浄処理後の基板Wが基板洗浄装置1から搬出された後の期間を含む。基板Wがユニット筐体2内に存在しない期間は、ブラシ洗浄用の洗浄液が下面ブラシ51に吐出されても、その吐出に起因して飛散する洗浄液は、基板Wに接触しない。ここで、基板Wがユニット筐体2内に存在しない場合、基板洗浄装置1は基本的に初期状態にある。初期状態の期間中、下面ブラシ51は、待機位置で保持される。待機位置は吸着保持部21よりも下方に位置する。それにより、初期状態の期間では、下面ブラシ51に洗浄液が吐出される場合でも、その洗浄液は上側保持装置10A,10Bおよび下側保持装置20の吸着保持部21に付着しにくい。
【0116】
上記の例に加えて、洗浄許容期間は、基板Wが上側保持装置10A,10Bにより保持されてからその保持状態が解除されるまでの期間を含む。さらに、洗浄許容期間は、基板Wが下側保持装置20により保持されてからその基板Wの洗浄中の期間、すなわち基板Wが下側保持装置20により保持されてからその基板Wのスピン乾燥が開始されるまでの期間を含む。
【0117】
上記の洗浄許容期間中は、ブラシ洗浄用の洗浄液が吐出されても、基本的には基板Wおよびその洗浄環境の清浄度は低下しにくいと考えられる。したがって、基板洗浄装置1においては、基板Wの上面の洗浄中に限らず、洗浄許容期間中のいずれかの時点で下面ブラシ51の洗浄を行うことができる。
【0118】
しかしながら、洗浄許容期間中であっても、ユニット筐体2内の各構成要素の位置関係等によっては、ブラシ洗浄用の洗浄液の吐出が基板Wおよびその洗浄環境の清浄度の低下を引き起こす可能性がある。
【0119】
基板洗浄装置1における基板Wの処理中のユニット筐体2内の各構成要素の位置関係等は、使用者がある程度把握しているものと考えられる。また、使用者は、基板Wの処理中にブラシ洗浄用の洗浄液の吐出が基板Wおよびその周辺部材の清浄度に与える影響を、ある程度予測可能であると考えられる。これらの点を考慮して、洗浄許容期間に関しては、使用者が、ブラシ洗浄用の洗浄液の吐出タイミングを適宜設定することが好ましい。
【0120】
そこで、本実施の形態では、使用者は、
図7の操作パネル180を操作することにより、洗浄許容期間中のブラシ洗浄用の洗浄液の供給および停止を、ブラシ洗浄液供給部57の動作条件として設定することができる。例えば、使用者は、上側保持装置10A,10Bにより基板Wが保持される期間中のブラシ洗浄用の洗浄液の供給および停止を、ブラシ洗浄液供給部57の動作条件として設定することができる。
【0121】
図21および
図22は、上側保持装置10A,10Bにより基板Wが保持される期間中のブラシ洗浄用の洗浄液の供給状態の設定例を示す図である。
図21および
図22の各図では、上段、中段および下段に、複数の設定例が示される。各設定例の図において、横軸は時間を表す。また、時点t1で上側保持装置10A,10Bにより保持される基板Wの下面中央領域の洗浄が開始され、時点t2で基板Wの下面中央領域の乾燥が終了されるものとする。
【0122】
図21の上段の設定例では、時点t1~時点t2の期間中、継続して下面ブラシ51にブラシ洗浄用の洗浄液が吐出される。また、
図21の中段の設定例では、時点t1~時点t2の期間中、継続して下面ブラシ51にブラシ洗浄用の洗浄液が吐出されない。
【0123】
図21の下段の設定例では、時点t1~時点t2の期間中、初期の一部の期間でのみ下面ブラシ51にブラシ洗浄用の洗浄液が吐出される。
図22の上段の設定例では、時点t1~時点t2の期間中、略中間の一部の期間でのみ下面ブラシ51にブラシ洗浄用の洗浄液が吐出される。
図22の中段の設定例では、時点t1~時点t2の期間中、終期の一部の期間でのみ下面ブラシ51にブラシ洗浄用の洗浄液が吐出される。さらに、
図22の下段の設定例では、時点t1~時点t2の期間中、初期の一部期間および終期の一部期間でのみ下面ブラシ51にブラシ洗浄用の洗浄液が吐出される。
【0124】
上記のように、使用者は、操作パネル180を操作することにより、洗浄許容期間中のブラシ洗浄用の洗浄液の供給および停止を、ブラシ洗浄液供給部57の動作条件として設定することができる。設定された動作条件は、上記のように、
図7の条件受付部9Jにより受け付けられ、制御装置170において記憶される。
図7の下面洗浄制御部9Eは、設定された動作条件に基づいて、ブラシ洗浄液供給部57を制御する。
【0125】
6.効果
(a)上記の基板洗浄装置1においては、メインロボット300によりユニット筐体2内に搬入された基板Wが上側保持装置10A,10Bまたは下側保持装置20により保持される。上側保持装置10A,10Bまたは下側保持装置20により保持された基板Wに下面ブラシ51が接触することにより、基板Wの下面が洗浄される。下面ブラシ51はブラシノズル52a,52bから吐出される洗浄液により洗浄される。それにより、清浄度が低下した下面ブラシ51による基板Wの洗浄が防止され、洗浄後の基板Wの清浄度の低下が低減される。
【0126】
また、上記の基板洗浄装置1によれば、基板Wの搬入期間および搬出期間に、下面ブラシ51に洗浄液が吐出されず、基板Wの近傍で洗浄液が飛散しない。したがって、基板Wの搬入期間および搬出期間に、基板Wおよびメインロボット300のハンド(Ma~Md)にブラシ洗浄用の洗浄液が付着しない。
【0127】
これらの結果、清浄度が低下した下面ブラシ51で基板Wが洗浄されることが防止されるとともに、下面ブラシ51の洗浄に起因する基板Wの清浄度の低下および基板Wの洗浄環境の清浄度の低下が低減される。
【0128】
(b)上記の基板洗浄装置1によれば、上側保持装置10A,10Bと下側保持装置20との間の基板Wの受け渡し期間、すなわち受渡装置40による基板Wの昇降動作の期間中に、下面ブラシ51にブラシ洗浄用の洗浄液が吐出されず、基板Wの近傍で洗浄液が飛散しない。上側保持装置10A,10Bと下側保持装置20との間の基板Wの受け渡し期間に、基板W、複数の支持ピン41およびピン連結部材42にブラシ洗浄用の洗浄液が付着しない。その結果、清浄度が低下した下面ブラシ51で基板Wが洗浄されることが防止されるとともに、下面ブラシ51の洗浄に起因する基板Wの清浄度の低下および基板Wの洗浄環境の清浄度の低下が低減される。
【0129】
(c)上記の基板洗浄装置1によれば、下側保持装置20により保持された基板Wの乾燥中および乾燥後の期間、下面ブラシ51にブラシ洗浄用の洗浄液が吐出されず、基板Wの近傍で洗浄液が飛散しない。これにより、下側保持装置20により保持された基板Wの乾燥開始時点以降は、基板Wおよび下側保持装置20にブラシ洗浄用の洗浄液が付着しない。その結果、清浄度が低下した下面ブラシ51で基板Wが洗浄されることが防止されるとともに、下面ブラシ51の洗浄に起因する基板Wの清浄度の低下および基板Wの洗浄環境の清浄度の低下が低減される。
【0130】
(d)上記のように、洗浄許容期間においては、基板洗浄装置1における基板Wの処理の状態によっては、下面ブラシ51に吐出される洗浄液が基板Wに付着しても、その付着が洗浄後の基板Wの清浄度に影響を与えない場合がある。また、基板Wに対する下面ブラシ51の相対位置等によっては、下面ブラシ51に吐出される洗浄液が基板Wおよびその周辺部材の位置まで飛散しない場合がある。また、洗浄許容期間に下面ブラシ51に吐出される洗浄液が基板Wおよびその周辺部材に与える影響は、ある程度予測可能である。
【0131】
上記の基板洗浄装置1によれば、使用者は、操作パネル180を操作することにより、洗浄許容期間中のブラシ洗浄液供給部57の動作条件を入力し、設定することができる。それにより、設定されたブラシ洗浄液供給部57の動作条件に従って、下面ブラシ51への洗浄液の供給状態が調整される。例えば、使用者は、所望の動作条件を設定することにより、基板Wが上側保持装置10A,10Bにより保持されてからその基板Wの洗浄中の期間のうち、洗浄液の吐出が基板Wの清浄度に悪影響を与えると考えられるタイミングで当該洗浄液の吐出を停止させることができる。その結果、清浄度が低下した下面ブラシ51で基板Wが洗浄されることが防止されるとともに、下面ブラシ51の洗浄に起因する基板Wの清浄度の低下および基板Wの洗浄環境の清浄度の低下が低減される。
【0132】
7.他の実施の形態
(a)上記実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、洗浄許容期間が、基板Wが上側保持装置10A,10Bにより保持されてからその保持状態が解除されるまでの期間を含むが、本発明はこれに限定されない。
【0133】
下面ブラシ51が待機位置にある状態で、下面ブラシ51にブラシ洗浄用の洗浄液が吐出されてもその飛沫は上側保持装置10A,10Bおよびその周辺部に到達しにくい。これに対して、下面ブラシ51が待機位置以外の位置にある場合、例えば、下面ブラシ51が待機位置よりも上方に位置する場合、下面ブラシ51と上側保持装置10A,10Bとの間の距離は短くなる。この状態で下面ブラシ51にブラシ洗浄用の洗浄液が吐出されると、下面ブラシ51が待機位置にある場合に比べて洗浄液の飛沫が上側保持装置10A,10Bおよびその周辺部に到達しやすい。
【0134】
そこで、基板Wが上側保持装置10A,10Bにより保持されてからその保持状態が解除されるまでの期間は、当該期間のうち下面ブラシ51が待機位置にあるときにのみブラシ洗浄液供給部57からブラシノズル52a,52bへの洗浄液の供給が許容されてもよい。換言すれば、基板Wが上側保持装置10A,10Bにより保持されている期間中は、下面ブラシ51が待機位置にあるときにブラシ洗浄用の洗浄液の吐出を許容し、下面ブラシ51が待機位置以外の位置にあるときにブラシ洗浄用の洗浄液の吐出を禁止してもよい。
【0135】
この場合、
図7の下面洗浄制御部9Eは、ブラシ洗浄液供給部57を制御することにより、基板Wが上側保持装置10A,10Bにより保持されかつ下面ブラシ51が待機位置以外の位置にあるときに、ブラシノズル52a,52bへの洗浄液の供給を停止させる。これにより、基板Wが上側保持装置10A,10Bにより保持される状態で、基板Wおよびその周辺部材にブラシ洗浄用の洗浄液が付着することがより低減される。その結果、清浄度が低下した下面ブラシ51で基板Wが洗浄されることが防止されるとともに、下面ブラシ51の洗浄に起因する基板Wの清浄度の低下および基板Wの洗浄環境の清浄度の低下が低減される。
【0136】
(b)上記実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、洗浄許容期間が、基板Wがユニット筐体2内部に存在しない期間を含むが、本発明はこれに限定されない。
【0137】
上記のように、基板Wがユニット筐体2内に存在しない場合、基板洗浄装置1は基本的に初期状態(待機状態)にあり、下面ブラシ51は、待機位置で保持される。しかしながら、基板Wがユニット筐体2内に存在しない場合でも、基板洗浄装置1の補修または故障等により、下面ブラシ51が待機位置以外の位置に移動する場合がある。そこで、基板Wがユニット筐体2内部に存在しない期間は、当該期間のうち下面ブラシ51が待機位置にあるときにのみブラシ洗浄液供給部57からブラシノズル52a,52bへの洗浄液の供給が許容されてもよい。換言すれば、基板Wがユニット筐体2内部に存在しない期間中は、下面ブラシ51が待機位置にあるときにブラシ洗浄用の洗浄液の吐出を許容し、下面ブラシ51が待機位置以外の位置にあるときにブラシ洗浄用の洗浄液の吐出を禁止してもよい。
【0138】
この場合、
図7の下面洗浄制御部9Eは、ブラシ洗浄液供給部57を制御することにより、基板Wがユニット筐体2内に存在せずかつ下面ブラシ51が待機位置以外の位置にあるときに、ブラシノズル52a,52bへの洗浄液の供給を停止させる。これにより、基板洗浄装置1の補修または故障等によりユニット筐体2内で使用者が作業を行う際に、意図しない位置でブラシ洗浄用の洗浄液が吐出されることに起因する作業効率の低下およびユニット筐体2内の清浄度の低下が防止される。
【0139】
(c)上記実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、基板Wが上側保持装置10A,10Bにより保持される状態と、基板Wが下側保持装置20により保持される状態とを切り替えるために、受渡装置40が設けられている。受渡装置40は、複数の支持ピン41を昇降させることにより、基板Wを上側保持装置10A,10Bおよび下側保持装置20に対して相対的に上下動させ、基板Wの受渡を行う。本発明は上記の例に限定されない。
【0140】
基板洗浄装置1には、下側保持装置20を上側保持装置10A,10Bに対して相対的に昇降させる昇降駆動部が設けられてもよい。あるいは、上側保持装置10A,10Bを下側保持装置20に対して相対的に昇降させる昇降駆動部が設けられてもよい。この場合、昇降駆動部は、相対移動部として機能する。それにより、下側保持装置20および上側保持装置10A,10Bのうち少なくとも一方が他方に対して相対的に昇降動作することにより、複数の支持ピン41を用いることなく2つの保持装置間で基板Wの受渡を行うことが可能になる。この場合、受渡装置40が不要になる。
【0141】
(d)上記実施の形態では、主として基板Wの上面の洗浄中に基板Wの下面外側領域の洗浄と下面ブラシ51の洗浄とが繰り返されるが、本発明はこれに限定されない。下面洗浄制御部9Eは、基板Wが下側保持装置20により保持される期間中、ブラシ洗浄液供給部57からブラシノズル52a,52bへの洗浄液の供給を禁止してもよい。この場合、下面洗浄制御部9Eは、洗浄許容期間内でかつ基板Wが下側保持装置20により保持されない期間にブラシ洗浄液供給部57からブラシノズル52a,52bへの洗浄液の供給を許容する。
【0142】
(e)上記実施の形態では、基本停止期間が、基板Wの搬入期間、基板Wの搬出期間、2つの保持装置間の基板Wの受け渡しの期間、および下側保持装置20により保持された基板Wの乾燥開始後の期間を含むが、本発明はこれに限定されない。基板洗浄装置1において設定される基本停止期間は、基板Wの搬入期間、基板Wの搬出期間、2つの保持装置間の基板Wの受け渡しの期間、および下側保持装置20により保持された基板Wの乾燥開始後の期間のうち少なくとも1つの期間を含んでいればよい。
【0143】
(f)上記実施の形態においては、2つの基板ノズル52に供給される洗浄液と2つのブラシノズル52a,52bに供給される洗浄液とは同じであるが、それらの洗浄液は互いに異なっていてもよい。すなわち、基板洗浄用の洗浄液と、ブラシ洗浄用の洗浄液とは、同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0144】
(g)上記実施の形態に示すように、基板洗浄用の洗浄液とブラシ洗浄用の洗浄液とが同じである場合、2つの基板ノズル52は設けられなくてもよい。この場合、基板Wの下面中央領域の洗浄時および基板Wの下面外側領域の洗浄時に、ブラシノズル52a,52bから下面ブラシ51に吐出される洗浄液を基板洗浄用の洗浄液として用いることができる。
【0145】
(h)上記実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、下面ブラシ51による基板Wの下面中央領域の洗浄中に2つの基板ノズル52から基板Wに洗浄液が供給されるが、本発明はこれに限定されない。
【0146】
基板洗浄装置1においては、下面ブラシ51による基板Wの下面中央領域の洗浄前に、予め下面ブラシ51を洗浄することにより下面ブラシ51に洗浄液を浸み込ませてもよい。この場合、洗浄液が浸み込んだ下面ブラシ51を基板Wの下面中央領域に接触させることにより、新たな洗浄液の供給を要することなく基板Wの下面中央領域を洗浄することができる。
【0147】
(i)上記実施の形態に係る基板洗浄装置1は、下側保持装置20により吸着保持された基板Wの下面外側領域にリンス液を供給するバックリンスノズルを有してもよい。
【0148】
(j)上記実施の形態においては、上側保持装置10A,10Bにより保持される基板Wの下面中央領域の洗浄が実行された後に、下側保持装置20により保持される基板Wの下面外側領域の洗浄が実行されるが、実施の形態はこれに限定されない。下側保持装置20において基板Wの下面外側領域の洗浄が実行された後に、上側保持装置10A,10Bにおいて基板Wの下面中央領域の洗浄が実行されてもよい。
【0149】
(k)上記実施の形態においては、上側保持装置10A,10Bにおいて基板Wの下面中央領域の洗浄が実行され、下側保持装置20において基板Wの下面外側領域の洗浄が実行されるが、実施の形態はこれに限定されない。基板洗浄装置1においては、上側保持装置10A,10Bおよび下側保持装置20のうちいずれか一方の保持装置で保持される基板Wに洗浄処理が実行されればよい。そのため、上側保持装置10A,10Bおよび下側保持装置20のうち他方の保持装置で保持される基板Wには、洗浄処理以外の処理(研磨処理または現像処理等)が行われてもよい。
【0150】
(l)上記実施の形態において、基板Wの上面はスプレーノズル73を用いて洗浄されるが、実施の形態はこれに限定されない。基板Wの上面は、ブラシを用いて洗浄されてもよいし、リンス液を吐出するリンスノズルを用いて洗浄されてもよい。また、基板Wの上面は洗浄されなくてもよい。この場合、基板洗浄装置1は上面洗浄装置70を含まない。同様に、基板Wの外周端部は洗浄されなくてもよい。この場合、基板洗浄装置1は端部洗浄装置80を含まない。
【0151】
(m)上記実施の形態において、処理位置における基板Wの下面外側領域の洗浄と、待機位置における下面ブラシ51の洗浄とが複数回繰り返されるが、実施の形態はこれに限定されない。処理位置における基板Wの下面外側領域の洗浄と、待機位置における下面ブラシ51の洗浄とは、繰り返されなくてもよい。
【0152】
8.請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【0153】
上記実施の形態においては、基板処理装置100および基板洗浄装置1が基板処理装置の例であり、ユニット筐体2が処理室の例であり、メインロボット300が搬送装置の例であり、上側保持装置10A,10Bが第1の基板保持部または第2の基板保持部の例であり、下面ブラシ51がブラシの例であり、下面洗浄装置50がブラシ洗浄部の例である。
【0154】
また、ブラシ洗浄用の洗浄液を吐出するブラシノズル52a,52bが洗浄ノズルの例であり、ブラシ洗浄液供給部57が洗浄液供給部の例であり、制御装置170および下面洗浄制御部9Eが制御部の例であり、メインロボット300のハンドMa~Mdの各々が搬送保持部の例であり、搬送駆動部320が搬送駆動部の例であり、昇降支持部54がブラシ移動部の例である。
【0155】
また、下側保持装置20が第2の基板保持部または第1の基板保持部の例であり、下面洗浄装置50、上面洗浄装置70および端部洗浄装置80が処理部の例であり、受渡装置40が相対移動部の例であり、基板Wの下面中央領域が基板の下面のうち第1の領域の例であり、基板Wの下面外側領域が基板の下面のうち第2の領域の例である。
【0156】
また、下面ブラシ51の第1の処理位置および第2の処理位置が洗浄位置の例であり、下面ブラシ51の待機位置が待機位置の例であり、操作パネル180が操作部の例であり、条件受付部9Jが受付部の例である。
【0157】
9.実施の形態の総括
(第1項)第1項に係る基板処理装置は、
処理室と、
前記処理室に基板を搬入する搬入動作および前記処理室から基板を搬出する搬出動作が可能に構成された搬送装置と、
前記処理室内に設けられ、前記搬送装置により搬入された基板を保持する第1の基板保持部と、
前記処理室内に設けられ、前記第1の基板保持部により保持された基板にブラシを接触させて基板の下面を洗浄可能に構成されたブラシ洗浄部と、
前記処理室内に設けられ、前記ブラシに当該ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を吐出可能に構成された洗浄ノズルと、
前記洗浄ノズルに前記ブラシ洗浄液を供給する洗浄液供給部と、
前記洗浄液供給部を制御することにより、前記搬送装置による前記搬入動作が行われる期間および前記搬出動作が行われる期間のうち少なくとも一部の期間に、前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給を停止させる制御部とを備える。
【0158】
その基板処理装置においては、搬送装置により処理室内に搬入された基板が第1の基板保持部により保持される。第1の基板保持部により保持された基板にブラシが接触することにより、基板の下面が洗浄される。ブラシは洗浄ノズルから吐出されるブラシ洗浄液により洗浄される。それにより、清浄度が低下したブラシによる基板の洗浄が防止される。
【0159】
また、上記の基板処理装置によれば、搬送装置による基板の搬入動作期間および搬出動作期間のうち少なくとも一部の期間に、洗浄ノズルにブラシ洗浄液が供給されない。そのため、ブラシ洗浄液の供給が停止される場合には、処理室内の基板の近傍でブラシ洗浄液が飛散しない。したがって、搬送装置による基板の搬入動作時および搬出動作時のうち少なくとも一方の動作時に、基板の搬入動作または搬出動作に伴って処理室内に進入する搬送装置の一部にブラシ洗浄液が付着することが低減される。また、基板の搬入動作または搬出動作に伴って、搬送装置により搬送される基板の一部にブラシ洗浄液が付着することが低減される。
【0160】
これらの結果、清浄度が低下したブラシで基板が洗浄されることが防止されるとともに、ブラシの洗浄に起因する基板の清浄度の低下および基板の洗浄環境の清浄度の低下が低減される。
【0161】
(第2項)第1項に記載の基板処理装置において、
前記搬送装置は、
基板を保持しつつ移動可能に構成された搬送保持部と、
前記搬送保持部を移動させる搬送駆動部とを含み、
前記制御部は、さらに、
前記搬送駆動部を制御することにより、前記搬送装置の前記搬入動作時および前記搬出動作時に前記搬送保持部を前記処理室の外部から前記処理室内に進入および退出させ、
前記洗浄液供給部を制御することにより、前記搬送保持部が前記処理室の内部に位置する間、前記洗浄ノズルから前記ブラシへのブラシ洗浄液の供給を停止させてもよい。
【0162】
この場合、搬送装置の搬送保持部が処理室内にある状態で、洗浄ノズルからブラシ洗浄液が吐出されない。それにより、搬送保持部および搬送保持部による搬送中の基板にブラシ洗浄液が付着することが防止される。
【0163】
(第3項)第1項または第2項に記載の基板処理装置において、
前記ブラシ洗浄部は、
前記ブラシと、
前記ブラシを、前記第1の基板保持部により保持された基板の下面に接触する洗浄位置と前記第1の基板保持部により保持された基板から離間した待機位置との間で移動させることが可能に構成されたブラシ移動部とを含み、
前記洗浄ノズルは、前記待機位置にある前記ブラシにブラシ洗浄液を吐出可能に構成され、
前記制御部は、
前記洗浄液供給部を制御することにより、前記処理室内に基板が存在せずかつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルから前記ブラシへのブラシ洗浄液の供給を停止させてもよい。
【0164】
上記の構成によれば、処理室内に基板が存在せずかつブラシが待機位置以外の位置にある状態で洗浄ノズルからブラシへのブラシ洗浄液の供給が停止される。それにより、基板処理装置の補修または故障等により基板処理装置内で使用者が作業を行う際に、意図しない位置でブラシ洗浄液が吐出されることに起因する作業効率の低下および処理室内の清浄度の低下が防止される。
【0165】
(第4項)第4項に係る基板処理装置は、
基板を保持可能に構成された第1の基板保持部と、
前記第1の基板保持部により保持された基板にブラシを接触させて基板の下面を洗浄可能に構成されたブラシ洗浄部と、
基板を保持可能に構成された第2の基板保持部と、
前記第2の基板保持部により保持された基板に所定の処理を行う処理部と、
基板が前記第1の基板保持部により保持される状態を基板が前記第2の基板保持部により保持される状態に切り替えるために、前記第1の基板保持部、前記第2の基板保持部および基板のうち少なくとも1つを移動させることにより、前記第1の基板保持部と基板との相対位置を変化させる相対移動動作を行う相対移動部と、
前記ブラシに当該ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を吐出可能に構成された洗浄ノズルと、
前記洗浄ノズルに前記ブラシ洗浄液を供給する洗浄液供給部と、
前記洗浄液供給部を制御することにより、前記相対移動部による前記相対移動動作時に、前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給を停止させる制御部とを備える。
【0166】
その基板処理装置においては、基板が第1の基板保持部により保持される。第1の基板保持部により保持された基板にブラシが接触することにより、基板の下面が洗浄される。また、基板が第2の基板保持部により保持される。第2の基板保持部により保持された基板に所定の処理が行われる。ブラシは洗浄ノズルから吐出されるブラシ洗浄液により洗浄される。それにより、清浄度が低下したブラシによる基板の洗浄が防止される。
【0167】
また、上記の基板処理装置によれば、相対移動部による相対移動動作時に、洗浄ノズルにブラシ洗浄液が供給されない。ブラシ洗浄液の供給が停止される場合には、基板の近傍でブラシ洗浄液が飛散しない。これにより、基板が第1の基板保持部により保持される状態から基板が第2の基板保持部により保持される状態への切り替え時に、基板およびその周辺部材にブラシ洗浄液が付着することが防止される。
【0168】
これらの結果、清浄度が低下したブラシで基板が洗浄されることが防止されるとともに、ブラシの洗浄に起因する基板の清浄度の低下および基板の洗浄環境の清浄度の低下が低減される。
【0169】
(第5項)第4項に記載の基板処理装置において、
前記ブラシ洗浄部は、前記第1の基板保持部により保持された基板の下面のうち第1の領域に前記ブラシを接触させて当該第1の領域を洗浄可能に構成され、かつ前記第2の基板保持部により保持された基板の下面のうち前記第1の領域とは異なる第2の領域に前記ブラシを接触させて当該第2の領域を洗浄可能に構成され、
前記制御部は、
基板が前記第1の基板保持部に保持された状態で、前記ブラシ洗浄部を制御することにより、前記ブラシ洗浄部に基板の下面の第1の領域を洗浄させ、
基板が前記第2の基板保持部に保持された状態で、前記ブラシ洗浄部を制御することにより、当該ブラシ洗浄部を前記処理部として、前記ブラシ洗浄部に当該基板の下面の第2の領域を洗浄させてもよい。
【0170】
この場合、基板が第1の基板保持部により保持された状態で基板の下面の第1の領域が洗浄され、基板が第2の基板保持部により保持された状態で基板の下面の第2の領域が洗浄される。
【0171】
(第6項)第4項または第5項に記載の基板処理装置において、
前記基板処理装置は、
前記第1の基板保持部、前記ブラシ洗浄部、前記第2の基板保持部、前記処理部、前記洗浄ノズルおよび前記洗浄液供給部を収容する処理室をさらに備え、
前記ブラシ洗浄部は、
前記ブラシと、
前記ブラシを、前記第1の基板保持部により保持された基板の下面に接触する洗浄位置と前記第1の基板保持部により保持された基板から離間した待機位置との間で移動させることが可能に構成されたブラシ移動部とを含み、
前記洗浄ノズルは、前記待機位置にある前記ブラシにブラシ洗浄液を吐出可能に構成され、
前記制御部は、
前記洗浄液供給部を制御することにより、前記処理室内に基板が存在せずかつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルから前記ブラシへのブラシ洗浄液の供給を停止させてもよい。
【0172】
上記の構成によれば、処理室内に基板が存在せずかつブラシが待機位置以外の位置にある状態で洗浄ノズルからブラシへのブラシ洗浄液の供給が停止される。それにより、基板処理装置の補修または故障等により基板処理装置内で使用者が作業を行う際に、意図しない位置でブラシ洗浄液が吐出されることに起因する作業効率の低下および処理室内の清浄度の低下が防止される。
【0173】
(第7項)第7項に係る基板処理装置は、
基板を保持可能に構成された第1の基板保持部と、
前記第1の基板保持部により保持された基板にブラシを接触させて基板の下面を洗浄可能に構成されたブラシ洗浄部と、
前記ブラシに当該ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を吐出可能に構成された洗浄ノズルと、
前記洗浄ノズルに前記ブラシ洗浄液を供給する洗浄液供給部と、
前記洗浄液供給部を制御することにより、前記第1の基板保持部により基板が保持されている期間のうち少なくとも一部の期間、前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給を停止させる制御部とを備える。
【0174】
その基板処理装置においては、基板が第1の基板保持部により保持される。第1の基板保持部により保持された基板にブラシが接触することにより、基板の下面が洗浄される。ブラシは洗浄ノズルから吐出されるブラシ洗浄液により洗浄される。それにより、清浄度が低下したブラシによる基板の洗浄が防止される。
【0175】
また、上記の基板処理装置によれば、第1の基板保持部により基板が保持されている期間のうち少なくとも一部の期間、洗浄ノズルにブラシ洗浄液が供給されない。ブラシ洗浄液の供給が停止されると、基板の近傍でブラシ洗浄液が飛散しない。これにより、第1の基板保持部により基板が保持されている期間のうち少なくとも一部の期間に、基板およびその周辺部材にブラシ洗浄液が付着することが防止される。
【0176】
これらの結果、清浄度が低下したブラシで基板が洗浄されることが防止されるとともに、ブラシの洗浄に起因する基板の清浄度の低下および基板の洗浄環境の清浄度の低下が低減される。
【0177】
(第8項)第7項に記載の基板処理装置において、
前記第1の基板保持部は、保持された基板を回転可能に構成され、
前記制御部は、前記第1の基板保持部を制御することにより、前記ブラシ洗浄部による基板の下面の洗浄後に、前記第1の基板保持部を所定の速度で回転させることにより当該基板を乾燥させ、
前記第1の基板保持部により基板が保持されている期間のうち少なくとも一部の期間は、前記第1の基板保持部の回転による前記基板の乾燥が開始される時点から前記第1の基板保持部による基板の保持状態が解放される時点までの期間を含んでもよい。
【0178】
この場合、乾燥中および乾燥後の基板にブラシ洗浄液が付着することが防止される。
【0179】
(第9項)第7項または第8項に記載の基板処理装置において、
前記基板処理装置は、
前記第1の基板保持部、前記ブラシ洗浄部、前記洗浄ノズルおよび前記洗浄液供給部を収容する処理室をさらに備え、
前記ブラシ洗浄部は、
前記ブラシと、
前記ブラシを、前記第1の基板保持部により保持された基板の下面に接触する洗浄位置と前記第1の基板保持部により保持された基板から離間した待機位置との間で移動させることが可能に構成されたブラシ移動部とを含み、
前記洗浄ノズルは、前記待機位置にある前記ブラシにブラシ洗浄液を吐出可能に構成され、
前記制御部は、前記洗浄液供給部を制御することにより、前記処理室内に基板が存在せずかつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルから前記ブラシへのブラシ洗浄液の供給を停止させてもよい。
【0180】
上記の構成によれば、処理室内に基板が存在せずかつブラシが待機位置以外の位置にある状態で洗浄ノズルからブラシへのブラシ洗浄液の供給が停止される。それにより、基板処理装置の補修または故障等により基板処理装置内で使用者が作業を行う際に、意図しない位置でブラシ洗浄液が吐出されることに起因する作業効率の低下および処理室内の清浄度の低下が防止される。
【0181】
(第10項)第10項に係る基板処理装置は、
基板を保持可能に構成された第1の基板保持部と、
基板の下面に接触することにより前記下面を洗浄するブラシと、
前記ブラシを、前記第1の基板保持部により保持された基板の前記下面に接触する洗浄位置と前記第1の基板保持部よりも下方でかつ前記第1の基板保持部により保持された基板から離間した待機位置との間で移動させることが可能に構成されたブラシ移動部と、
前記第1の基板保持部よりも上方の位置に設けられ、基板を保持可能に構成された第2の基板保持部と、
前記第2の基板保持部により保持された基板に所定の処理を行う処理部と、
前記ブラシに当該ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を吐出可能に構成された洗浄ノズルと、
前記洗浄ノズルに前記ブラシ洗浄液を供給する洗浄液供給部と、
前記洗浄液供給部を制御することにより、前記第2の基板保持部により基板が保持された状態かつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給を停止させる制御部とを備える。
【0182】
その基板処理装置においては、基板が第1の基板保持部により保持される。第1の基板保持部により保持された基板にブラシが接触することにより、基板の下面が洗浄される。また、基板が第2の基板保持部により保持される。第2の基板保持部により保持された基板に所定の処理が行われる。ブラシは洗浄ノズルから吐出されるブラシ洗浄液により洗浄される。それにより、清浄度が低下したブラシによる基板の洗浄が防止される。
【0183】
また、上記の基板処理装置によれば、第1の基板保持部は、ブラシの待機位置よりも上方に位置する。また、第2の基板保持部は、第1の基板保持部よりもさらに上方に位置する。そのため、ブラシが待機位置にある状態で、ブラシにブラシ洗浄液が吐出されてもその飛沫は第2の基板保持部およびその周辺部に到達しにくい。
【0184】
これに対して、ブラシが待機位置以外の位置にある場合、例えば、ブラシが待機位置よりも上方に位置する場合、ブラシと第2の基板保持部との間の距離は短くなる。この状態でブラシにブラシ洗浄液が吐出されると、ブラシが待機位置にある場合に比べて、ブラシ洗浄液の飛沫が第2の基板保持部およびその周辺部に到達しやすい。
【0185】
そこで、上記の基板処理装置においては、第2の基板保持部により基板が保持された状態かつブラシが待機位置以外の位置にある状態で、洗浄ノズルにブラシ洗浄液が供給されない。これにより、基板が第2の基板保持部により保持される状態で、基板およびその周辺部材にブラシ洗浄液が付着することが低減される。
【0186】
これらの結果、清浄度が低下したブラシで基板が洗浄されることが防止されるとともに、ブラシの洗浄に起因する基板の清浄度の低下および基板の洗浄環境の清浄度の低下が低減される。
【0187】
(第11項)第10項に記載の基板処理装置において、
前記基板処理装置は、
前記第1の基板保持部、前記ブラシ、前記ブラシ移動部、前記第2の基板保持部、前記処理部、前記洗浄ノズルおよび前記洗浄液供給部を収容する処理室をさらに備え、
前記洗浄ノズルは、前記待機位置にある前記ブラシにブラシ洗浄液を吐出可能に構成され、
前記制御部は、
前記洗浄液供給部を制御することにより、前記処理室内に基板が存在せずかつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルから前記ブラシへのブラシ洗浄液の供給を停止させてもよい。
【0188】
上記の構成によれば、処理室内に基板が存在せずかつブラシが待機位置以外の位置にある状態で洗浄ノズルからブラシへのブラシ洗浄液の供給が停止される。それにより、基板処理装置の補修または故障等により基板処理装置内で使用者が作業を行う際に、意図しない位置でブラシ洗浄液が吐出されることに起因する作業効率の低下および処理室内の清浄度の低下が防止される。
【0189】
(第12項)第12項に係る基板処理装置は、
基板を保持可能に構成された第1の基板保持部と、
前記第1の基板保持部により保持された基板にブラシを接触させて基板の下面を洗浄可能に構成されたブラシ洗浄部と、
前記第1の基板保持部よりも上方の位置に設けられ、基板を保持可能に構成された第2の基板保持部と、
前記第2の基板保持部により保持された基板に所定の処理を行う処理部と、
前記ブラシに当該ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を吐出可能に構成された洗浄ノズルと、
前記洗浄ノズルに前記ブラシ洗浄液を供給する洗浄液供給部と、
前記処理部により基板に前記所定の処理が行われる期間中の前記洗浄液供給部による前記ブラシ洗浄液の供給条件を入力するための操作部と、
前記操作部により入力された前記ブラシ洗浄液の前記供給条件を受け付ける受付部と、
前記受付部により受け付けられた前記供給条件に従って前記洗浄液供給部を制御することにより、前記処理部により基板に前記所定の処理が行われる期間中、前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給状態を調整する制御部とを備える。
【0190】
その基板処理装置においては、基板が第1の基板保持部により保持される。第1の基板保持部により保持された基板にブラシが接触することにより、基板の下面が洗浄される。また、基板が第2の基板保持部により保持される。第2の基板保持部により保持された基板に所定の処理が行われる。ブラシは洗浄ノズルから吐出されるブラシ洗浄液により洗浄される。それにより、清浄度が低下したブラシによる基板の洗浄が防止される。
【0191】
第2の基板保持部により保持された基板に所定の処理が行われる期間(以下、所定処理期間と呼ぶ。)においては、その処理の状態によっては、ブラシに吐出されるブラシ洗浄液が基板に付着しても、その付着が基板の清浄度に影響を与えない場合がある。また、基板に対するブラシの相対位置によっては、ブラシに吐出されるブラシ洗浄液が基板およびその周辺部材の位置まで飛散しない場合がある。また、所定処理期間にブラシに吐出されるブラシ洗浄液が基板およびその周辺部材に与える影響は、ある程度予測可能である。
【0192】
上記の基板処理装置によれば、使用者は、所定処理期間に、ブラシに吐出されるブラシ洗浄液が基板およびその周辺部材に与える影響を考慮した上で、操作部を用いてブラシ洗浄液の供給条件を入力することができる。それにより、使用者により入力されたブラシ洗浄液の供給条件に従って、洗浄ノズルからブラシへのブラシ洗浄液の供給状態が調整される。例えば、使用者は、所望の供給条件を入力することにより、所定処理期間のうち、ブラシに吐出されるブラシ洗浄液が基板の清浄度に悪影響を与えるタイミングでブラシ洗浄液の吐出を停止させることができる。
【0193】
これらの結果、清浄度が低下したブラシで基板が洗浄されることが防止されるとともに、ブラシの洗浄に起因する基板の清浄度の低下および基板の洗浄環境の清浄度の低下が低減される。
【0194】
(第13項)第12項に記載の基板処理装置において、
前記基板処理装置は、
前記第1の基板保持部、前記ブラシ洗浄部、前記第2の基板保持部、前記処理部、前記洗浄ノズルおよび前記洗浄液供給部を収容する処理室をさらに備え、
前記ブラシ洗浄部は、
前記ブラシと、
前記ブラシを、前記第1の基板保持部により保持された基板の下面に接触する洗浄位置と前記第1の基板保持部により保持された基板から離間した待機位置との間で移動させることが可能に構成されたブラシ移動部とを含み、
前記洗浄ノズルは、前記待機位置にある前記ブラシにブラシ洗浄液を吐出可能に構成され、
前記制御部は、
前記洗浄液供給部を制御することにより、前記処理室内に基板が存在せずかつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルから前記ブラシへのブラシ洗浄液の供給を停止させてもよい。
【0195】
上記の構成によれば、処理室内に基板が存在せずかつブラシが待機位置以外の位置にある状態で洗浄ノズルからブラシへのブラシ洗浄液の供給が停止される。それにより、基板処理装置の補修または故障等により基板処理装置内で使用者が作業を行う際に、意図しない位置でブラシ洗浄液が吐出されることに起因する作業効率の低下および処理室内の清浄度の低下が防止される。
【0196】
(第14項)第14項に係る基板処理方法は、
処理室に基板を搬入する搬入動作および前記処理室から基板を搬出する搬出動作が可能に構成された搬送装置を用いて前記処理室に基板を搬入するステップと、
前記処理室内で、前記搬送装置により搬入された基板を第1の基板保持部により保持するステップと、
前記処理室内で、前記第1の基板保持部により保持された基板にブラシを接触させて基板の下面を洗浄するステップと、
前記処理室内で、洗浄ノズルに前記ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を供給することにより前記洗浄ノズルから前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップと、
前記搬送装置を用いて前記処理室から基板を搬出するステップとを含み、
前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップは、前記搬送装置による前記搬入動作が行われる期間および前記搬出動作が行われる期間のうち少なくとも一部の期間に、前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給を停止させることを含む。
【0197】
その基板処理方法においては、搬送装置により処理室内に搬入された基板が第1の基板保持部により保持される。第1の基板保持部により保持された基板にブラシが接触することにより、基板の下面が洗浄される。ブラシは洗浄ノズルから吐出されるブラシ洗浄液により洗浄される。それにより、清浄度が低下したブラシによる基板の洗浄が防止される。
【0198】
また、上記の基板処理方法によれば、搬送装置による基板の搬入動作期間および搬出動作期間のうち少なくとも一部の期間に、洗浄ノズルにブラシ洗浄液が供給されない。そのため、ブラシ洗浄液の供給が停止される場合には、処理室内の基板の近傍でブラシ洗浄液が飛散しない。したがって、搬送装置による基板の搬入動作時および搬出動作時のうち少なくとも一方の動作時に、基板の搬入動作または搬出動作に伴って処理室内に進入する搬送装置の一部にブラシ洗浄液が付着することが低減される。また、基板の搬入動作または搬出動作に伴って、搬送装置により搬送される基板の一部にブラシ洗浄液が付着することが低減される。
【0199】
これらの結果、清浄度が低下したブラシで基板が洗浄されることが防止されるとともに、ブラシの洗浄に起因する基板の清浄度の低下および基板の洗浄環境の清浄度の低下が低減される。
【0200】
(第15項)第15項に係る基板処理方法は、
基板を第1の基板保持部により保持するステップと、
前記第1の基板保持部により保持された基板にブラシを接触させて基板の下面を洗浄するステップと、
第2の基板保持部により基板を保持するステップと、
前記第2の基板保持部により保持された基板に所定の処理を行うステップと、
基板が前記第1の基板保持部により保持される状態を基板が前記第2の基板保持部により保持される状態に切り替えるために、前記第1の基板保持部、前記第2の基板保持部および基板のうち少なくとも1つを移動させることにより、前記第1の基板保持部と基板との相対位置を変化させる相対移動動作を行うステップと、
洗浄ノズルに前記ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を供給することにより前記洗浄ノズルから前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップとを含み、
前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップは、前記相対移動動作時に、前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給を停止させることを含む。
【0201】
その基板処理方法においては、基板が第1の基板保持部により保持される。第1の基板保持部により保持された基板にブラシが接触することにより、基板の下面が洗浄される。また、基板が第2の基板保持部により保持される。第2の基板保持部により保持された基板に所定の処理が行われる。ブラシは洗浄ノズルから吐出されるブラシ洗浄液により洗浄される。それにより、清浄度が低下したブラシによる基板の洗浄が防止される。
【0202】
また、上記の基板処理方法によれば、相対移動動作時に、洗浄ノズルにブラシ洗浄液が供給されない。ブラシ洗浄液の供給が停止される場合には、基板の近傍でブラシ洗浄液が飛散しない。これにより、基板が第1の基板保持部により保持される状態から基板が第2の基板保持部により保持される状態への切り替え時に、基板およびその周辺部材にブラシ洗浄液が付着することが防止される。
【0203】
これらの結果、清浄度が低下したブラシで基板が洗浄されることが防止されるとともに、ブラシの洗浄に起因する基板の清浄度の低下および基板の洗浄環境の清浄度の低下が低減される。
【0204】
(第16項)第16項に係る基板処理方法は、
第1の基板保持部により基板を保持するステップと、
前記第1の基板保持部により保持された基板にブラシを接触させて基板の下面を洗浄するステップと、
洗浄ノズルに前記ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を供給することにより前記洗浄ノズルから前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップとを含み、
前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップは、前記第1の基板保持部により基板が保持されている期間のうち少なくとも一部の期間、前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給を停止させることを含む。
【0205】
その基板処理方法においては、基板が第1の基板保持部により保持される。第1の基板保持部により保持された基板にブラシが接触することにより、基板の下面が洗浄される。ブラシは洗浄ノズルから吐出されるブラシ洗浄液により洗浄される。それにより、清浄度が低下したブラシによる基板の洗浄が防止される。
【0206】
また、上記の基板処理方法によれば、第1の基板保持部により基板が保持されている期間のうち少なくとも一部の期間、洗浄ノズルにブラシ洗浄液が供給されない。ブラシ洗浄液の供給が停止されると、基板の近傍でブラシ洗浄液が飛散しない。これにより、第1の基板保持部により基板が保持されている期間のうち少なくとも一部の期間に、基板およびその周辺部材にブラシ洗浄液が付着することが防止される。
【0207】
これらの結果、清浄度が低下したブラシで基板が洗浄されることが防止されるとともに、ブラシの洗浄に起因する基板の清浄度の低下および基板の洗浄環境の清浄度の低下が低減される。
【0208】
(第17項)第17項に係る基板処理方法は、
第1の基板保持部により基板を保持するステップと、
基板の下面に接触することにより前記下面を洗浄するブラシを、前記第1の基板保持部により保持された基板の前記下面に接触する洗浄位置と前記第1の基板保持部よりも下方でかつ前記第1の基板保持部により保持された基板から離間した待機位置との間で移動させるステップと、
前記第1の基板保持部よりも上方の位置に設けられた第2の基板保持部により基板を保持するステップと、
前記第2の基板保持部により保持された基板に所定の処理を行うステップと、
洗浄ノズルに前記ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を供給することにより前記洗浄ノズルから前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップとを含み、
前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップは、前記第2の基板保持部により基板が保持された状態かつ前記ブラシが前記待機位置以外の位置にある状態で、前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給を停止させることを含む。
【0209】
その基板処理方法においては、基板が第1の基板保持部により保持される。第1の基板保持部により保持された基板にブラシが接触することにより、基板の下面が洗浄される。また、基板が第2の基板保持部により保持される。第2の基板保持部により保持された基板に所定の処理が行われる。ブラシは洗浄ノズルから吐出されるブラシ洗浄液により洗浄される。それにより、清浄度が低下したブラシによる基板の洗浄が防止される。
【0210】
また、上記の基板処理方法によれば、第1の基板保持部は、ブラシの待機位置よりも上方に位置する。また、第2の基板保持部は、第1の基板保持部よりもさらに上方に位置する。そのため、ブラシが待機位置にある状態で、ブラシにブラシ洗浄液が吐出されてもその飛沫は第2の基板保持部およびその周辺部に到達しにくい。
【0211】
これに対して、ブラシが待機位置以外の位置にある場合、例えば、ブラシが待機位置よりも上方に位置する場合、ブラシと第2の基板保持部との間の距離は短くなる。この状態でブラシにブラシ洗浄液が吐出されると、ブラシが待機位置にある場合に比べて、ブラシ洗浄液の飛沫が第2の基板保持部およびその周辺部に到達しやすい。
【0212】
そこで、上記の基板処理方法においては、第2の基板保持部により基板が保持された状態かつブラシが待機位置以外の位置にある状態で、洗浄ノズルにブラシ洗浄液が供給されない。これにより、基板が第2の基板保持部により保持される状態で、基板およびその周辺部材にブラシ洗浄液が付着することが低減される。
【0213】
これらの結果、清浄度が低下したブラシで基板が洗浄されることが防止されるとともに、ブラシの洗浄に起因する基板の清浄度の低下および基板の洗浄環境の清浄度の低下が低減される。
【0214】
(第18項)第18項に係る基板処理方法は、
第1の基板保持部により基板を保持するステップと、
前記第1の基板保持部により保持された基板にブラシを接触させて基板の下面を洗浄するステップと、
前記第1の基板保持部よりも上方の位置に設けられた第2の基板保持部により基板を保持するステップと、
前記第2の基板保持部により保持された基板に所定の処理を行うステップと、
洗浄ノズルに前記ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄液を供給することにより前記洗浄ノズルから前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップと、
前記第2の基板保持部により保持された基板に前記所定の処理が行われる期間中の前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給条件が操作部に入力された場合に、前記操作部により入力された前記ブラシ洗浄液の前記供給条件を受け付けるステップとを含み、
前記ブラシに前記ブラシ洗浄液を吐出するステップは、前記受け付けるステップで受け付けられた前記供給条件に従って、基板に前記所定の処理が行われる期間中、前記洗浄ノズルへの前記ブラシ洗浄液の供給状態を調整することを含む。
【0215】
その基板処理方法においては、基板が第1の基板保持部により保持される。第1の基板保持部により保持された基板にブラシが接触することにより、基板の下面が洗浄される。また、基板が第2の基板保持部により保持される。第2の基板保持部により保持された基板に所定の処理が行われる。ブラシは洗浄ノズルから吐出されるブラシ洗浄液により洗浄される。それにより、清浄度が低下したブラシによる基板の洗浄が防止される。
【0216】
第2の基板保持部により保持された基板に所定の処理が行われる期間(以下、所定処理期間と呼ぶ。)においては、その処理の状態によっては、ブラシに吐出されるブラシ洗浄液が基板に付着しても、その付着が基板の清浄度に影響を与えない場合がある。また、基板に対するブラシの相対位置によっては、ブラシに吐出されるブラシ洗浄液が基板およびその周辺部材の位置まで飛散しない場合がある。さらに、所定処理期間にブラシに吐出されるブラシ洗浄液が基板およびその周辺部材に与える影響は、ある程度予測可能である。
【0217】
上記の基板処理方法によれば、使用者は、所定処理期間に、ブラシに吐出されるブラシ洗浄液が基板およびその周辺部材に与える影響を考慮した上で、操作部を用いてブラシ洗浄液の供給条件を入力することができる。それにより、使用者により入力されたブラシ洗浄液の供給条件に従って、洗浄ノズルからブラシへのブラシ洗浄液の供給状態が調整される。例えば、使用者は、所望の供給条件を入力することにより、所定処理期間のうち、ブラシに吐出されるブラシ洗浄液が基板の清浄度に悪影響を与えるタイミングでブラシ洗浄液の吐出を停止させることができる。
【0218】
これらの結果、清浄度が低下したブラシで基板が洗浄されることが防止されるとともに、ブラシの洗浄に起因する基板の清浄度の低下および基板の洗浄環境の清浄度の低下が低減される。
【0219】
上記の実施形態に係る基板処理装置によれば、洗浄後の基板の清浄度の低下および基板の洗浄環境の清浄度の低下が低減されるので、基板の処理不良の発生が抑制される。したがって、基板処理により得られる製品の歩留まりが向上する。それにより、無駄な基板処理が低減されるので、基板処理の省エネルギー化が実現される。また、当該基板の処理に薬液が用いられる場合には、歩留まりの向上に伴って無駄な薬液の利用を低減することができるので、地球環境の汚染の低減に寄与することができる。
【符号の説明】
【0220】
1…基板洗浄装置,2…ユニット筐体,2a…底面部,2b…側壁部,2c…側壁部,2d…側壁部,2e…側壁部,2x…搬入搬出口,9A…チャック制御部,9B…吸着制御部,9C…台座制御部,9D…受渡制御部,9E…下面洗浄制御部,9F…カップ制御部,9G…上面洗浄制御部,9H…ベベル洗浄制御部,9I…搬入搬出制御部,9J…条件受付部,10A,10B…上側保持装置,11A,11B…下チャック,12A,12B…上チャック,13A,13B…下チャック駆動部,14A,14B…上チャック駆動部,20…下側保持装置,21…吸着保持部,22…吸着保持駆動部,30…台座装置,31…リニアガイド,32…可動台座,33…台座駆動部,40…受渡装置,41…支持ピン,42…ピン連結部材,43…ピン昇降駆動部,50…下面洗浄装置,51…下面ブラシ,52…基板ノズル,52a,52b…ブラシノズル,53…気体噴出部,54…昇降支持部,54u…上面,55a…下面ブラシ回転駆動部,55b…下面ブラシ昇降駆動部,56…下面洗浄液供給部,57…ブラシ洗浄液供給部,58…噴出気体供給部,60…カップ装置,61…カップ,62…カップ駆動部,70…上面洗浄装置,71,81…回転支持軸,72,82…アーム,73…スプレーノズル,74…上面洗浄駆動部,75…上面洗浄流体供給部,80…端部洗浄装置,83…ベベルブラシ,84…ベベルブラシ駆動部,90…開閉装置,91…シャッタ,92…シャッタ駆動部,100…基板処理装置,110…インデクサブロック,120…処理ブロック,140…キャリア載置台,150,163…搬送部,161,162…洗浄部,170…制御装置,180…操作パネル,200…インデクサロボット,210…ハンド支持部材,220,320…搬送駆動部,300…メインロボット,310…ハンド支持部材,C…キャリア,Ia,Ib,Ic,Id,Ma,Mb,Mc,Md…ハンド,PASS1,PASS2…基板載置部,W…基板,rp…平面基準位置