(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】802.11AXネットワークにおける未アソシエーション局及びグループ化マルチユーザー送信に関するリソースユニット
(51)【国際特許分類】
H04W 72/0453 20230101AFI20241120BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20241120BHJP
H04W 76/11 20180101ALI20241120BHJP
【FI】
H04W72/0453 110
H04W84/12
H04W76/11
(21)【出願番号】P 2022208675
(22)【出願日】2022-12-26
(62)【分割の表示】P 2019556174の分割
【原出願日】2018-04-20
【審査請求日】2023-01-25
(32)【優先日】2017-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2017-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2017-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2017-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2018-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2018-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】ネズ パトリス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィジェ パスカル
(72)【発明者】
【氏名】バロン ステファン
(72)【発明者】
【氏名】セヴァン ジュリアン
【審査官】桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-055399(JP,A)
【文献】Ming Gan (Huawei),LB225-CR-on-Pre-association, IEEE 802.11-17/0395r1 ,IEEE, インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/17/11-17-0395-01-00ax-lb225-cr-on-pre-association.docx>,2017年03月07日,1-10頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセスポイント及び少なくとも一つのステーションを含む無線ネットワークにおける無線通信方法であって、前記アクセスポイントとアソシエートされていないステーションにおいて、
前記アクセスポイントが送信するマルチユーザーダウンリンク送信に用いられる複数のダウンリンクリソースユニットの割り当てをAID(アソシエーションID)を用いて示す複数のSTA-IDサブフィールドをプリアンブルとして含むIEEE802.11規格シリーズのMU(multi-user) PPDU(Physical layer Protocol Data Unit)を、前記アクセスポイントから受信するステップと、
前記複数のダウンリンクリソースユニットから、前記アクセスポイントとアソシエートされていないステーションのためにリザーブされている特定のAIDに対応する値が格納されたSTA-IDサブフィールドに対応するダウンリンクリソースユニットを、アソシエートされていないステーションらに対して割り当てられたダウンリンクリソースユニットであると判断するステップと、
を含み、
前記特定のAIDに対応する値はアクセスポイントとアソシエートされていないステーションのうちの特定の一つのステーションを識別するものではなく、当該特定のAIDに対応する値は2045であり、
前記アソシエートされていないステーションらに対して割り当てられたダウンリンクリソースユニットであると判断したダウンリンクリソースユニット上で前記アクセスポイントからの、アソシエートされていないステーションらに向けられていて、アソシエーションされたステーションらには向けられていないアグリゲートされたデータフレームを受信することを特徴とする無線通信方法。
【請求項2】
前記複数のSTA-ID
サブフィールドのうちの少なくとも1つのSTA-ID
サブフィールドには、前記アクセスポイントとアソシエートされた特定の一つのステーションを識別するAIDに対応する値が格納されており、前記複数のダウンリンクリソースユニットは、前記アクセスポイントとアソシエートされた特定の一つのステーションを識別するAIDに対応する値に対応付けて割り当てられる少なくとも一つのダウンリンクリソースユニットを含むことを特徴とする請求項1に記載の無線通信方法。
【請求項3】
前記アクセスポイントからの前記アグリゲートされた前記データフレームには、少なくともプローブ応答または認証応答が含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信方法。
【請求項4】
前記ステーションにおいて、前記アソシエートされていないステーションらに対して割り当てられたダウンリンクリソースユニットであると判断されたダウンリンクリソースユニットにおいて受信される前記アグリゲートされた前記データフレームを復号する前に、当該データフレームが前記ステーションに宛てられたものであるか否かをチェックすることを更に含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の無線通信方法。
【請求項5】
アクセスポイント及び少なくとも一つのステーションを含む無線ネットワークにおける無線通信方法であって、前記アクセスポイントにおいて、
マルチユーザーダウンリンク送信に用いられる複数のダウンリンクリソースユニットの割り当てをAID(アソシエーションID)を用いて示す複数のSTA-IDサブフィールドを含むIEEE802.11規格シリーズのMU(multi-user) PPDU(Physical layer Protocol Data Unit)を生成するステップであって、前記複数のダウンリンクリソースユニットのうちの少なくとも一部はアクセスポイントとアソシエートされていないステーションのためにリザーブされている特定のAIDに対応する値を前記複数のSTA-IDサブフィールドのうちの少なくとも1つのSTA-IDサブフィールドに格納することで、前記複数のダウンリンクリソースユニットのうちの少なくとも一部がアソシエートされていないステーションらに向けていることをインジケーションし、当該特定のAIDに対応する値はアクセスポイントとアソシエートされていないステーションのうちの特定の一つのステーションを識別するものではなく、前記特定のAIDに対応する値は2045であり、当該特定のAIDに対応する値に対応付けられた、前記アソシエートされていないステーションらに割り当てられたダウンリンクリソースユニット上で、前記アソシエートされていないステーションらに向けられ、尚且つ、アソシエーションされたステーションらには向けられていないアグリゲートされたデータフレームを伝達する前記MU PPDUを生成するステップと、
前記生成されたMU PPDUを送信するステップと、
を含むことを特徴とする無線通信方法。
【請求項6】
アソシエートされていないステーションに送信すべきデータと、アソシエートされているステーションに送信すべきデータの両方を有している場合、前記生成するステップでは、前記複数のSTA-ID
サブフィールドのうちの少なくとも1つのSTA-ID
サブフィールドに、前記アクセスポイントとアソシエートされた特定の一つのステーションを識別するAIDに対応する値を格納し、前記複数のダウンリンクリソースユニットのうち、前記特定の一つのステーションを識別するAIDに対応付けて割り当てたダウンリンクリソースユニットに対して前記特定の一つのステーションに向けられたアグリゲートされた第2データフレームを更に格納することを特徴とする請求項5に記載の無線通信方法。
【請求項7】
前記アグリゲートされた前記データフレームには、少なくともプローブ応答または認証応答が含まれることを特徴とする請求項5又は6に記載の無線通信方法。
【請求項8】
アクセスポイント及び少なくとも一つのステーションを含む無線ネットワークにおける、前記アクセスポイントとアソシエートされていないステーションとして動作する通信装置であって、
前記アクセスポイントが送信するマルチユーザーダウンリンク送信に用いられる複数のダウンリンクリソースユニットの割り当てをAID(アソシエーションID)を用いて示す複数のSTA-IDサブフィールドをプリアンブルとして含むIEEE802.11規格シリーズのMU(multi-user) PPDU(Physical layer Protocol Data Unit)を、前記アクセスポイントから受信する受信手段と、
前記複数のダウンリンクリソースユニットから、前記アクセスポイントとアソシエートされていないステーションのためにリザーブされている特定のAIDに対応する値が格納されたSTA-IDサブフィールドに対応するダウンリンクリソースユニット
を、アソシエートされていないステーションらに対して割り当てられたダウンリンクリソースユニットであると判断する判断手段と、
を備え、
前記特定のAIDに対応する値はアクセスポイントとアソシエートされていないステーションのうちの特定の一つのステーションを識別するものではなく、当該特定のAIDに対応する値は2045であり、
前記受信手段は、前記判断手段によってアソシエートされていないステーションらに対して割り当てられたダウンリンクリソースユニットであると判断したダウンリンクリソースユニット上で前記アクセスポイントからの、アソシエートされていないステーションらに向けられていて、アソシエーションされたステーションらには向けられていないアグリゲートされたデータフレームを受信することを特徴とする通信装置。
【請求項9】
アクセスポイント及び少なくとも一つのステーションを含む無線ネットワークにおける、前記アクセスポイントとして動作する通信装置であって、
マルチユーザーダウンリンク送信に用いられる複数のダウンリンクリソースユニットの割り当てをAID(アソシエーションID)を用いて示す複数のSTA-ID
サブフィールドを含むIEEE802.11規格シリーズのMU(multi-user) PPDU(Physical layer Protocol Data Unit)を生成する生成手段と、
前記生成されたMU PPDUを送信する送信手段と、
を備え、
前記生成手段は、アクセスポイントとアソシエートされていないステーションのためにリザーブされている特定のAIDに対応する値を前記複数のSTA-IDサブフィールドのうちの少なくとも1つのSTA-IDサブフィールドに格納することで、前記複数のダウンリンクリソースユニットのうちの少なくとも一部がアソシエートされていないステーションらに向けていることをインジケーションし、当該特定のAIDに対応する値に対応付けられた、前記アソシエートされていないステーションらに割り当てられたダウンリンクリソースユニット上で、前記アソシエートされていないステーションらに向けられ、尚且つ、アソシエーションされたステーションらには向けられていないアグリゲートされたデータフレームが伝達されるように前記MU PPDUを生成し、
当該特定のAIDに対応する値はアクセスポイントとアソシエートされていないステーションのうちの特定の一つのステーションを識別するものではなく、当該特定のAIDに対応する値は2045であることを特徴とする通信装置。
【請求項10】
コンピュータに請求項1から4のいずれか1項に記載の無線通信方法を実行させるためのプログラム。
【請求項11】
コンピュータに請求項5から7のいずれか1項に記載の無線通信方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、アクセスポイント(AP)及び局を備えるワイヤレス通信ネットワークに関し、より詳細には、サブチャネル又はリソースユニットから構成される送信機会内のデータフレーム及び/又は確認応答の送信、並びに対応するデバイスに関する。
【0002】
本発明は、ワイヤレス通信ネットワークにおいて適用され、詳細には、802.11ax複合チャネルのアクセスに、そして、例えば、アクセスポイントから局へのダウンリンク通信のための802.11ax複合チャネルを形成する、OFDMAリソースユニットのアクセスに適用される。その方法の1つの適用例は、衝突回避型キャリア検知多重アクセス(CSMA/CA)を使用するワイヤレス通信ネットワークを介してのワイヤレスデータ通信を考慮に入れ、ネットワークは複数の局デバイスによってアクセス可能である。
【背景技術】
【0003】
IEEE802.11MAC標準規格群(a/b/g/n/ac/等)は、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)が物理レベル及び媒体アクセス制御(MAC)レベルにおいて動作する方法を規定している。通常、802.11MAC(媒体アクセス制御)動作モードは、いわゆる「衝突回避型キャリア検知多重アクセス」(CSMA/CA)技法に基づく競合ベースの機構に依拠する既知の分散協調機能(DCF)を実施する。
【0004】
最近になって、米国電気電子技術者協会(IEEE)は802.11acの後継として、802.11axタスクグループを公式に承認した。802.11axタスクグループの主な目標は、高密度展開シナリオにおいて使用されるワイヤレス通信デバイス(又は局)に対するデータ速度の改善策を模索することにある。
【0005】
これに関連して、20MHz(以上)の通信チャネルを介してAPに許可された送信機会中に、APからのダウンリンク(DL)方向及びAPへのアップリンク(UL)方向の両方において、APに登録された異なる局(すなわち、ユーザー)への/からの複数の同時送信を可能にするために、マルチユーザー(MU)送信が検討されてきた。
【0006】
アップリンクでは、衝突確率を低減するために、マルチユーザー送信が使用される。
これは、複数の非AP局が同時に送信するのを許されるためである。
【0007】
そのようなマルチユーザー送信を実際に実行するために、許可された通信チャネル(又はAPに許可された送信機会)をサブチャネルに分割することが提案されており、サブチャネルは、リソースユニット(RU)とも呼ばれ、例えば、直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)技法に基づいて、通常、周波数領域において複数のユーザー(非AP局/ノード)間で共有される。
【0008】
マルチユーザーダウンリンクOFDMA及びアップリンクOFDMA機構は、重要な利点としてオーバーヘッド削減を提供する。
【0009】
マルチユーザー(MU)ダウンリンクOFDMA送信を実行するために、APは、許可された通信チャネル全体を介してMUパケットを送信し、それは、RUの観点から、同じプリアンブルが送信されることを意味する。次に、APによってRU依存ペイロードが送信され、それは、許可された通信チャネル全体の中で、ペイロードがRUによって異なることを意味する。送信機会において規定されるRUごとに局のアソシエーション識別子(AID:association identifier)を与えることによって、局へのRUの割り当てが、MUダウンリンクフレームの開始時にシグナリングされる。
【0010】
そのようなAIDは、アソシエーション手順中にAPに登録するか、又はAPとアソシエートするときに、すなわち、局がAPによって管理される局のグループに参加するときに、各局によって個別に取得される。アソシエーション手順中に、まだアソシエートされていない局、すなわち、「未アソシエーション局(unassociated station)」及びAPは、局に関する認証済み及びアソシエーション済みの状態に入るために、一連のシングルユーザー(SU)802.11管理フレームを交換する。アソシエーション手順の結果として、局にAIDが割り当てられ、局はMU通信(リソースユニット)を使用できるようになる。
【0011】
AIDは一般に、12ビット識別子のうちの下位11ビットによって形成される。
【0012】
したがって、局は、APに登録されるか、又はAPとアソシエートされ、AIDを有するか、又はAPにまだ登録されていないか、又はAPとまだアソシエートされず、登録が完了するまでAIDを有しない。
【0013】
局のグループが、アクセスポイントと合わせて、基本サービスセット(BSS)として知られている。利用可能なAIDの範囲は、BSSごとに仮想アクセスポイントをインスタンス化する(instantiate)同じ物理アクセスポイントによって取り扱うことができる局のいくつかのグループ(すなわち、いくつかのBSS)間で共有されなければならないことに留意されたい。
【0014】
それぞれ割り当てられたRU内でMUダウンリンクフレームを受信する局は、同じ送信機会内でMUダウンリンクOFDMA送信に後続するマルチユーザー(MU)アップリンクOFDMA送信中に、受領に関して確認応答しなければならない場合がある。
【0015】
マルチユーザー(MU)アップリンクOFDMA送信を実行するために、APは、トリガーフレーム(TF)として知られる制御フレームを局に送信し、その後、局は自らに割り当てられた1つのRUにアクセスすることができる。局へのRUの割り当ては、上記(AIDを使用するダウンリンク送信の場合)と同じようにしてシグナリングされるが、TFパケットのペイロードにおいてシグナリングされる。
【0016】
局は一般に単一の送受信機を設けられるので、802.11axにおいて、マルチユーザーダウンリンク及びアップリンクの両方の送信に関して、1つの同じ局への複数のRUの割り当ては許されるべきではない。当然、複数の送受信機を備える局には、複数のRUを割り当てることができる。
【0017】
したがって、802.11axとの関連において、1つの局には多くても1つのRUしか割り当てられず、全ての局が同じRU長を提供される。これはいくつかの暗黙的な意味を有する。
【0018】
MUアップリンク送信を通してMUダウンリンクに確認応答する特定の事例では、APは個別のトリガーフレームを使用しない。むしろ、APは、MUダウンリンク送信の各RUを介して送信されるデータフレームにおいて、受信局がデータフレームに関して確認応答するために後続のMUアップリンクOFDMA送信においてどのRUを使用しなければならないかを、直接示す。この特定の指示は、各MUダウンリンクRUの少なくとも1つのデータフレームにおいて与えられる、いわゆる、UMRSフィールド(UL MU応答スケジューリングを表す)によって搬送される。
【0019】
マルチユーザーアップリンクOFDMA送信に関して、APは、各局がどれほどの量のデータを送信しなければならないかを知らない。したがって、802.11axは、APが局へのトリガーフレームにおいて、要求された(そして許可された)送信機会のサイズに関する指示を、すなわち、各局が自らに配分されたRUにおいて、どのくらいの期間にわたってデータを送信できるかを与えることを要求する。
【0020】
マルチユーザーダウンリンクOFDMA送信に関して、APは、局に送信すべき異なる量のデータを有する場合がある。したがって、APは、送信機会が終了するまで、最も短いパケットにパディングビットを追加しなければならない場合がある。
【0021】
パディングは帯域幅の浪費であるので、回避されるべきである。
【0022】
また、上記で導入されたアソシエーション手順は帯域幅を消費するように思われる。これは、主に、レガシー(すなわち、802.11axを実施しない)局が共通の802.11プリアンブルを理解できるようにするために、SU管理フレームが20MHzチャネルを介して低ビットレート(一般に、サポートされる最も低いビットレート)で送信されるためである。また、これは、各SU管理フレームが、局による媒体への特定のアクセスを要求し、それゆえ、新たな媒体アクセスが許可されるまで、局に待機を要求するためである。同じエリア内のBSSの数が増加するにつれて、及び/又はBSS内の局の数が実質的に増加するにつれて、そのようなSUシグナリングに起因して、より大きいチャネル帯域幅が失われ、局によって媒体にアクセスするコストが増加する。
【0023】
最近になって、802.11axタスクグループは、まだアソシエートされていない局、すなわち、「未アソシエーション」局(それらの局は802.11axに準拠する)のためのマルチユーザーアップリンクOFDMA送信の1つ以上のRUをAPが予約する機構を提案した。この機構は、(MUアップリンクOFDMAモードにおいて)そのような予約されたRUを介して要求管理フレームを送信することによって、これらの局がAPへの登録を迅速化する。提案される機構は、まだアソシエートされていない局が競合を通してアクセスすることができるランダムRUを示すために、2045に等しい所定のAID値を使用することに頼る。
【0024】
この新たな機構の場合であっても、APからの応答管理フレームは、低ビットレートのSUシグナリングを用いて実行される。これは、自らのAIDを有することができないことによって、MUダウンリンク送信においてこれらのまだアソシエートされていない局にRUを割り当てることができないためである。チャネル帯域幅は依然として浪費されたままである。
【0025】
さらに、802.11は、マルチキャストトラフィックのための機構を提供しないが、一方、APは、上位OSIレイヤ、例えば、イーサネットマルチキャストを実施するリンクレイヤからマルチキャストフレームを受信する場合がある。その場合、APは、(マルチキャストフレームの)受取局のうちのそれぞれ1つに個別にアドレッシングされることになる、受信されたマルチキャストフレームのペイロードを含む複数のデータフレームを生成しなければならない。次に、各データフレームが、マルチユーザーダウンリンクOFDMA送信の専用RUにおいて送信され、それにより、結果として、いくつかのRUにわたって同じペイロードデータが何度も複製されることになる。この場合もまた、チャネル帯域幅が浪費される。
【0026】
したがって、802.11axマルチユーザー機構の現在の動作モードは、パディングビット、登録のためのSUシグナリング、及びマルチキャストトラフィックのためのフレーム複製に関する少なくとも上記の不利な面に起因して、十分に満足のいくものではない。
【発明の概要】
【0027】
本発明の広範な目的は、この状況を効率的に改善すること、すなわち、上記の制限のいくつか又は全てを克服することである。詳細には、本発明は、APからのMUダウンリンク送信のより効率的な使用法を提供することを模索する。
【0028】
局が、AIDを使用できないAPからのMUダウンリンク送信において自らのRUを効率的に識別できるようにするために、マルチユーザーダウンリンク通信プロトコルを改善することができる。これは、例えば、まだアソシエートされていない局、すなわち、未アソシエーション局の場合に当てはまる。
【0029】
この手法は、アクセスポイント及び局を備えるワイヤレスネットワークにおける改善されたワイヤレス通信方法を提案する。
【0030】
実施形態において、アクセスポイントに登録するか、又はアクセスポイントとアソシエートする任意の局が、アクセスポイントに許可された送信機会においてリソースユニットを局に割り当てるためにアクセスポイントによって使用される固有アソシエーション識別子に関連付けられるか、又は固有アソシエーション識別子を割り当てられ、その方法は、局のうちの1つにおいて、
アクセスポイントに許可された送信機会内のアクセスポイントからのマルチユーザーダウンリンク送信に含まれる複数のダウンリンクリソースユニットから、アクセスポイントとアソシエートされていない局(AIDが特定の局に少なくとも関連付けられないことを意味する)のために予約されるアソシエーション識別子に割り当てられるダウンリンクリソースユニットを決定するステップと、
決定されたダウンリンクリソースユニット上でアクセスポイントから(1つ以上の)フレームを受信するステップと、
を含む。
【0031】
他の実施形態では、その方法は、局のうちの1つにおいて、
アクセスポイントに許可された送信機会内でアクセスポイントに向かうマルチユーザーアップリンク送信において与えられる複数のアップリンクリソースユニットのうちの1つのアップリンクリソースユニットを用いて、アクセスポイントにフレームを送信するステップであって、複数のアップリンクリソースユニットは或る配分方式に従って配分される、ステップと、
アップリンクリソースユニットの少なくとも1つの配分方式特性(allocation scheme feature)に基づいて、アクセスポイントに許可された送信機会内のアクセスポイントからのマルチユーザーダウンリンク送信に含まれる複数のダウンリンクリソースユニットから1つのダウンリンクリソースユニットを決定するステップと、
決定されたダウンリンクリソースユニット上でアクセスポイントから(1つ以上の)フレームを受信するステップと、
を含む。
【0032】
APの視点から、アクセスポイント及び局を備えるワイヤレスネットワークにおける改善されたワイヤレス通信方法も提案される。
【0033】
実施形態において、アクセスポイントに登録するか、又はアクセスポイントとアソシエートする任意の局が、アクセスポイントに許可された送信機会においてリソースユニットを局に割り当てるためにアクセスポイントによって使用される固有アソシエーション識別子に関連付けられるか、又は固有アソシエーション識別子を割り当てられ、その方法は、アクセスポイントにおいて、
アクセスポイントに許可された送信機会内のアクセスポイントからのマルチユーザーダウンリンク送信において複数のダウンリンクリソースユニットを構築するステップであって、複数のダウンリンクリソースユニットは、アクセスポイントとアソシエートされていない局(AIDが特定の局に少なくとも関連付けられないことを意味する)のために予約されるアソシエーション識別子に割り当てられるダウンリンクリソースユニットを含む、構築するステップと、
アクセスポイントとアソシエートされていない局のために予約されたアソシエーション識別子に割り当てられるダウンリンクリソースユニット上で局にフレームを送信するステップ、
とを含む。
【0034】
他の実施形態において、その方法は、アクセスポイントにおいて、
アクセスポイントに許可された送信機会内でアクセスポイントに向かうマルチユーザーアップリンク送信に含まれる複数のアップリンクリソースユニットのうちの1つのアップリンクリソースユニット上で局からフレームを受信するステップと、
アクセスポイントに許可された送信機会内のアクセスポイントからのマルチユーザーダウンリンク送信において複数のダウンリンクリソースユニットを構築するステップであって、複数のダウンリンクリソースユニットは、アップリンクリソースユニットと少なくとも1つの一致する配分方式特性を有するダウンリンクリソースユニットを含む、ステップと、
ダウンリンクリソースユニット上で局にフレーム(一般に、アップリンクRU上で受信されたフレームへの応答)を送信するステップと、
を含む。
【0035】
802.11axは、20MHzチャネル内のRUの具体的な配分を(例えば、802.11axにおけるRUサイズ、周波数帯域、周波数方向に沿ったRU位置に関して)それぞれ規定する、20MHzチャネルに関するあらかじめ決まった数(prefixed number)のRU配分方式を既に提案している。RU配分方式は、例えば、MUダウンリンクフレームのHE-SIG-Bフィールドにおいて、又はトリガーフレームの同等のフィールドにおいて宣言される。
【0036】
40MHz、又は80MHz、又は160MHz幅の複合チャネルを形成する20MHzチャネルごとに異なるRU配分方式を使用することができる。
【0037】
いくつかのRU配分方式基準/特性に従って、既に使用されているアップリンクRUと一致するダウンリンクRUを使用することによって、ダウンリンク送信において、局がどのダウンリンクRUを待機(listen)すべきか識別するのに、AIDはもはや不要である。これは、APとまだアソシエートされていない(すなわち、AIDを有しない)局と通信するのに特に有利である。
【0038】
他の実施形態では、MUダウンリンク送信中に局に関連付けられないAIDを使用することによって、提案される方法は、APとアソシエートされていない局等の、AIDを与えらない局をアドレッシングする機会をAPに与える。その際、特定の実施形態のために、特定の局に関連付けられないAIDは、APとアソシエートされていない局のために予約することができる。この場合もまた、そのような局は、ダウンリンク送信において、どのダウンリンクRUを待機すべきかを容易に識別することができる。
【0039】
後に広範に説明されるように、これらの手法は、そのようなまだアソシエートされていない局のためのアソシエーション手順中に実施することができる。結果として、802.11axネットワークにおいて、アソシエーション手順に関する媒体占有率及び全体的な待ち時間が大幅に削減される。
【0040】
したがって、MUダウンリンク送信は、既知の802.11axの現在の要件に比べて著しく改善される。
【0041】
また、アクセスポイント及び局を備えるワイヤレスネットワークにおいて局を形成するワイヤレス通信デバイスが提供される。
【0042】
実施形態において、アクセスポイントに登録するか、又はアクセスポイントとアソシエートする任意の局が、アクセスポイントに許可された送信機会においてリソースユニットをその局に割り当てるためにアクセスポイントによって使用される固有アソシエーション識別子に関連付けられるか、又は固有アソシエーション識別子を割り当てられ、局を形成するデバイスは、
アクセスポイントに許可された送信機会内のアクセスポイントからのマルチユーザーダウンリンク送信に含まれる複数のダウンリンクリソースユニットから、アクセスポイントとアソシエートされていない局(AIDが特定の局に少なくとも関連付けられないことを意味する)のために予約されるアソシエーション識別子に割り当てられるダウンリンクリソースユニットを決定するステップと、
決定されたダウンリンクリソースユニット上でアクセスポイントからフレームを受信するステップと、
を実行するように構成される少なくとも1つのマイクロプロセッサを備える。
【0043】
他の実施形態では、局を形成するデバイスは、
アクセスポイントに許可された送信機会内でアクセスポイントに向かうマルチユーザーアップリンク送信において与えられる複数のアップリンクリソースユニットのうちの1つのアップリンクリソースユニットを用いて、アクセスポイントにフレームを送信するステップであって、複数のアップリンクリソースユニットは或る配分方式に従って配分される、ステップと、
アップリンクリソースユニットの少なくとも1つの配分方式特性に基づいて、アクセスポイントに許可された送信機会内のアクセスポイントからのマルチユーザーダウンリンク送信に含まれる複数のダウンリンクリソースユニットから1つのダウンリンクリソースユニットを決定するステップと、
決定されたダウンリンクリソースユニット上でアクセスポイントからフレームを受信するステップと、
を実行するように構成される少なくとも1つのマイクロプロセッサを備える。
【0044】
また、アクセスポイント及び局を備えるワイヤレスネットワーク内のアクセスポイントを形成するワイヤレス通信デバイスが提供される。
【0045】
実施形態において、アクセスポイントとアソシエートする任意の局が、アクセスポイントに許可された送信機会においてリソースユニットを局に割り当てるためにアクセスポイントによって使用される固有アソシエーション識別子を割り当てられ、アクセスポイントを形成するデバイスは、
アクセスポイントに許可された送信機会内でアクセスポイントからのマルチユーザーダウンリンク送信において複数のダウンリンクリソースユニットを構築するステップであって、複数のダウンリンクリソースユニットは、アクセスポイントとアソシエートされていない局(AIDが特定の局に少なくとも関連付けられないことを意味する)のために予約されるアソシエーション識別子に割り当てられるダウンリンクリソースユニットを含む、ステップと、
アクセスポイントとアソシエートされていない局のために予約されるアソシエーション識別子に割り当てられるダウンリンクリソースユニット上で局にフレームを送信するステップと、
を実行するように構成される少なくとも1つのマイクロプロセッサを備える。
【0046】
他の実施形態では、アクセスポイントを形成するデバイスは、
アクセスポイントに許可された送信機会内でアクセスポイントに向かうマルチユーザーアップリンク送信に含まれる複数のアップリンクリソースユニットのうちの1つのアップリンクリソースユニット上で局からフレームを受信するステップであって、複数のアップリンクリソースユニットは或る配分方式に従って配分される、ステップと、
アクセスポイントに許可された送信機会内のアクセスポイントからのマルチユーザーダウンリンク送信において複数のダウンリンクリソースユニットを構築するステップであって、複数のダウンリンクリソースユニットは、アップリンクリソースユニットと少なくとも1つの一致する配分方式特性を有するダウンリンクリソースユニットを含む、ステップと、
ダウンリンクリソースユニット上で局にフレーム(一般に、アップリンクRU上で受信されたフレームへの応答)を送信するステップと、
を実行するように構成される少なくとも1つのマイクロプロセッサを備える。
【0047】
これらの実施形態の任意選択の特徴が、方法を参照する添付の請求項において規定される。当然、同じ特徴を、本発明の実施形態による任意のデバイスに専用のシステムの特徴に置き換えることができる。
【0048】
局に関する実施形態において、決定するステップにおいて複数のダウンリンクリソースユニットが決定され(複数のダウンリンクRUにわたるデータフレームのRUベースアグリゲーションが存在すると見なすことができる)、その方法は、複数の決定されたダウンリンクリソースユニットのうちの1つから1つ以上のデータフレームを取り出すことを更に含むことができる。
【0049】
局に関する実施形態において、その方法は、局において、アクセスポイントに許可された送信機会内でアクセスポイントに向かうマルチユーザーアップリンク送信において与えられる複数のアップリンクリソースユニットのうちの1つのアップリンクリソースユニット用いてアクセスポイントにフレームを送信することを更に含むことができ、複数のアップリンクリソースユニットは配分方式に従って配分される。その場合に、特定の局に関連付けられない、特に、アクセスポイントとアソシエートされていない局のために予約されるアソシエーション識別子に割り当てられるダウンリンクリソースユニットを決定することは、アップリンクリソースユニットの少なくとも1つの配分方式特性に基づくこともできる。
【0050】
逆にAPに関して、その方法は、アクセスポイントにおいて、アクセスポイントに許可された送信機会内でアクセスポイントに向かうマルチユーザーアップリンク送信において与えられる複数のアップリンクリソースユニットのうちの1つのアップリンクリソースユニット上で局からフレームを受信することを更に含むことができ、複数のアップリンクリソースユニットのうちのそのリソースユニットは、或る配分方式に従って配分される。その場合に、構築された複数のダウンリンクリソースユニット内の、特定の局に関連付けられない、特に、アクセスポイントとアソシエートされていない局のために予約されるアソシエーション識別子に割り当てられるダウンリンクリソースユニットは、アップリンクリソースユニットと少なくとも1つの一致する配分方式特性を有することができる。
【0051】
いくつかの実施形態において、ダウンリンクリソースユニットを決定することは、マルチユーザーダウンリンク送信において、アクセスポイントとアソシエートされていない局のために予約されるアソシエーション識別子に割り当てられるダウンリンクリソースユニットの数に基づく。
【0052】
一実施態様において、ダウンリンクリソースユニットの数が1である場合には、アクセスポイントとアソシエートされていない局のために予約されるアソシエーション識別子に割り当てられる単一のダウンリンクリソースユニットが、フレームを受信するための決定されたダウンリンクリソースユニットとして選択される。
【0053】
一実施態様において、ダウンリンクリソースユニットの数が2以上である場合には、アクセスポイントとアソシエートされていない局のために予約されるアソシエーション識別子に割り当てられる1つのダウンリンクリソースユニットが、フレームを受信するための決定されたダウンリンクリソースユニットとして選択され、その選択は、アクセスポイントにフレームを送信するために局によって使用されるアップリンクリソースユニットの少なくとも1つの配分方式特性に基づく。アップリンクリソースユニットは、アクセスポイントに許可された送信機会内でアクセスポイントに向かうマルチユーザーアップリンク送信において与えられる複数のアップリンクリソースユニットの中の1つとすることができ、複数のアップリンクリソースユニットは、或る配分方式に従って配分される。
【0054】
いくつかの実施形態において、好ましくは(それに限らないが)、マルチユーザーダウンリンク送信が、アクセスポイントとアソシエートされていない局のために予約されるアソシエーション識別子に割り当てられる単一の決定されたダウンリンクリソースユニットを含むと判断されるときに、局は、フレームを復号する前に、決定されたダウンリンクリソースユニットにおいて受信されるフレームが局にアドレッシングされるか否かをチェックすることを更に含むことができる。それは、チェックが肯定された場合に、フレームの受信と、後続の復号とをトリガーするために、局が、決定されたダウンリンクリソースユニットが局にアドレッシングされたフレームを含むか否かをチェックすることを更に含むことを意味する。この手法は、フレームが局にアドレッシングされない場合には、フレームを破棄するためである。
【0055】
APとの局のアソシエーション手順に関連する実施形態において、局はアクセスポイントとアソシエートされず、アップリンクリソースユニット内のフレームは、局をアクセスポイントとアソシエートするプロセスにおける要求管理フレームであり、一方、ダウンリンクリソースユニット内のフレームは、要求管理フレームに応答する応答管理フレームである。これに関連して、それらの実施形態は、アソシエーション手順に関する全体的な待ち時間を実質的に改善する。
【0056】
いくつかの実施形態において、配分方式特性は、配分方式による、対応する複数のリソースユニット内のリソースユニットの位置を含む。例えば、アップリンクリソースユニットがRU配分方式において位置#3のRUに対応する場合には(MUアップリンク送信をトリガーするトリガーフレームにおいて示される)、ダウンリンク送信のためのダウンリンクリソースユニットは、複数のダウンリンクRU内の位置#3にあるダウンリンクリソースユニットとすることができる。これは、2つのRUが同じ周波数範囲(又はトーンの範囲)を共有するか否かとは無関係とすることができる。
【0057】
この特徴又は基準は、ダウンリンクRUを構築するために、アップリンクRUから一時的に記憶する情報をほとんど必要とすることなく、AP及び局によって容易に識別される。
【0058】
変形形態では、配分方式特性は、配分方式に従って周波数領域において配分される対応する複数のリソースユニット内のリソースユニットの周波数帯域を含む。これは、2つのRUが、それぞれの複数のRU内の同じ位置を共有するか否かとは無関係とすることができる。例えば、ダウンリンクRUは、検討対象の20MHzチャネル内で、アップリンクRUと厳密に同じトーンを有する。また、ダウンリンクRUをアップリンクRUと厳密に同じトーンにおいて開始させるか、又は終了させることを(それらのRUサイズが異なる場合であっても)考えることができる。
【0059】
この特徴又は基準は、ダウンリンクRUを構築するために、アップリンクRUから一時的に記憶する情報をほとんど必要とすることなく、AP及び局によって容易に識別される。
【0060】
他の変形形態では、配分方式特性は、配分方式による、対応する複数のリソースユニット内のリソースユニットのサイズを含む。例えば、アップリンクRUが52トーン幅である場合には、ダウンリンクRUを、同様に52トーン幅であるRU(又はRU)であると識別することができる。(例えば、複数のダウンリンクRUにおいていくつかの52トーン幅RUが規定される場合には)いくつかの候補の中から正しいダウンリンクRUを識別するために、1つ以上の他の基準を使用できることに留意することができる。例示的な他の基準は、後に導入されるような、ダウンリンクRUに割り当てられる所定のAIDである。
【0061】
当然、位置基準、周波数帯域基準及びサイズ基準の全て又は一部を組み合わせて、アップリンクRUに対してダウンリンクRUを決定又は構築することができる。
【0062】
いくつかの実施形態において、アクセスポイントに登録するか、又はアクセスポイントとアソシエートする任意の局が、アクセスポイントに許可された送信機会においてリソースユニットを局に割り当てるためにアクセスポイントによって使用される固有アソシエーション識別子に関連付けられるか、又は固有アソシエーション識別子を割り当てられ、アップリンク及び/又はダウンリンクリソースユニットは、特定の局に関連付けられない、特に、アクセスポイントとアソシエートされていない局のために予約される所定のアソシエーション識別子割り当てられる。所定のアソシエーション識別子は特定の局の専用ではないが、これらの実施形態に従って、局(例えば、まだアソシエートされていない局)がアップリンクRUを迅速に識別できるようにし、そして、適切なダウンリンクRUを見つけるために、少数のRUに関して配分方式特性を検証できるようにする。これは、局における処理を削減する。
【0063】
特定の実施形態において、アップリンクリソースユニット及びダウンリンクリソースユニットは、特定の局に関連付けられない、特に、アクセスポイントとアソシエートされていない局のために予約される同じ所定のアソシエーション識別子に割り当てられる。これは、AP及び局の両方において処理を簡単にするためである。
【0064】
特定の特徴によれば、特定の局に関連付けられないアソシエーション識別子は、2045に等しい11ビット識別子である。特定の事例では、このアソシエーション識別子は、アクセスポイントとアソシエートされていない局のために予約される。
【0065】
いくつかの実施形態において、複数のアップリンクリソースユニット及びダウンリンクリソースユニットが、アクセスポイントに許可された同じ送信機会に属する。この手法はAPと局との間で開始される(例えば、アソシエーション手順に関連する)フレーム交換の待ち時間を短縮する。
【0066】
特定の実施形態において、前記マルチユーザーダウンリンク送信における前記複数のダウンリンクリソースユニットは、前記アクセスポイントに許可された同じ送信機会内で前記マルチユーザーアップリンク送信に含まれる前記複数のアップリンクリソースユニットの直後に後続する。これは、その間にある中間の(ダウンリンク又はアップリンク)リソースユニットを用いないことを意味する。しかしながら、これは、確認応答の存在を除外しない。この手法は待ち時間を最適化する。
【0067】
変形形態において、前記マルチユーザーアップリンク送信に含まれる前記複数のアップリンクリソースユニット及び前記マルチユーザーダウンリンク送信内の前記複数のダウンリンクリソースユニットは、前記アクセスポイントに許可された同じ送信機会内でマルチユーザーアップリンク送信又はダウンリンク送信のために与えられる少なくとも1つの第3の複数のリソースユニットによって分離される。それにより、局との交換を改善するために、APが同じTXOP内で中間のMUダウンリンク又はアップリンク送信をスケジューリングできるようになる。
【0068】
他の変形形態において、前記複数のアップリンクリソースユニット及びダウンリンクリソースユニットは、前記アクセスポイントに許可された異なる送信機会に属する。これは、MUアップリンク送信の、いわゆる、「アップリンクRU」を通して要求を送信した、まだアソシエートされていない局への応答を準備するだけの十分な時間をAPに与えることができる。
【0069】
いくつかの実施形態において、各複数の前記リソースユニットは、それぞれの配分方式に従って、前記周波数領域において配分される。これは、802.11axにおいて規定されるRUに当てはまる。
【0070】
いくつかの実施形態において、前記マルチユーザーアップリンク送信において与えられる前記複数のアップリンクリソースユニットは、前記アクセスポイントによって送信されたトリガーフレームによって前記送信機会内でトリガーされる。これは特に、802.11axネットワークに当てはまる。
【0071】
また、マルチユーザーダウンリンク通信プロトコルは、まだAIDを受信していない(すなわち、まだAPに登録されていないか、又はまだAPとアソシエートされていない)局を含む、同じダウンリンクRUの間に多数の受取局をサポートするように改善することができる。
【0072】
この手法(以下において、アグリゲーションベース手法と呼ばれる)は、アクセスポイント及び局を備えるワイヤレスネットワークにおける改善されたワイヤレス通信方法を提案する。
【0073】
実施形態において、該方法は、該局のうちの1つにおいて、
前記局へのダウンリンク送信のために前記アクセスポイントに許可されたマルチユーザーダウンリンク送信機会を形成する複数のリソースユニットの中から、複数の局に専用のリソースユニットを決定するステップと、
前記決定されたリソースユニットを介して、アグリゲートされたデータフレームを受信するステップと、
前記受信されたアグリゲートされたデータフレームの中から、前記局にアドレッシングされる1つ以上のデータフレームを取り出すステップと、
を含む。
【0074】
APの視点から、アクセスポイント及び局を備えるワイヤレスネットワークにおける改善されたワイヤレス通信方法も提案される。
【0075】
実施形態において、該方法は、該アクセスポイントにおいて、
2つ以上の局にアドレッシングされるデータフレームをアグリゲートするステップと、
前記アグリゲートされたデータフレームを、前記局へのダウンリンク通信のためにアクセスポイントに許可されたマルチユーザーダウンリンク送信機会を形成する複数のリソースユニットの中からの、複数の局に専用の1つのリソースユニットを介して送信するステップと、
を含む。
【0076】
これらの新たなRUベース送信方式を用いて、本発明では、まだAIDを受信していない(すなわち、まだAPに登録されていないか、又はまだAPとアソシエートされていない)局を含む、同じダウンリンクRUの間に多数の受取局をサポートする通信機構を提供する。
【0077】
したがって、MUダウンリンク送信は、既知の802.11axの現在の要件に比べて著しく改善される。実際には、いくつかの局にアドレッシングされることになるデータフレームを同じ専用RU内で組み合わせることによって、本発明の実施形態は、APが多数の局を効率的に対象に設定できるようにし、それにより、各RUをより効率的に使用し(それゆえ、パディングビットを削減し)、いくつかのRUにわたって同じペイロードを複製するのを回避し(マルチキャストの場合)、及び/又はまだアソシエートされていない局への応答管理フレームを効率的に(すなわち、より高いビットレートで)提供する。
【0078】
複数の受取局に専用のそのようなRUは、それぞれが単一の局に割り当てられる従来の「個別」RUに対して、「グループ」RU(又は「マルチキャスト」RU)と呼ばれる場合がある。
【0079】
実際には、そのようなグループRUを用いて、ブロードキャストフレーム(全ての局を対象にした同じフレーム)、マルチキャストフレーム(複数の局を対象にした同じフレーム)、又は複数のユニキャストフレーム(単一の局をそれぞれ対象にした、複数のフレーム)を含む、種々のタイプのデータフレームを搬送することができる。
【0080】
また、アクセスポイント及び局を備えるワイヤレスネットワークにおいて局を形成するワイヤレス通信デバイスが提供される。
【0081】
実施形態において、局を形成するデバイスは、
局へのダウンリンク送信のためにアクセスポイントに許可されたマルチユーザーダウンリンク送信機会を形成する複数のリソースユニットの中から、複数の局に専用のリソースユニットを決定するステップと、
決定されたリソースユニットを介して、アグリゲートされたデータフレームを受信するステップと、
受信されたアグリゲートされたデータフレームの中から、局にアドレッシングされる1つ以上のデータフレームを取り出すステップと、
を実行するように構成される少なくとも1つのマイクロプロセッサを備える。
【0082】
また、アクセスポイント及び局を備えるワイヤレスネットワーク内のアクセスポイントを形成するワイヤレス通信デバイスが提供される。
【0083】
実施形態において、アクセスポイントを形成するデバイスは、
2つ以上の局にアドレッシングされるデータフレームをアグリゲートするステップと、
アグリゲートされたデータフレームを、局へのダウンリンク通信のためにアクセスポイントに許可されたマルチユーザーダウンリンク送信機会を形成する複数のリソースユニットの中からの、複数の局に専用の1つのリソースユニットを介して送信するステップと、を実行するように構成される少なくとも1つのマイクロプロセッサを備える。
【0084】
このアグリゲーションベース手法において、グループRUのためのフレーム確認応答に関する問題はそのままである。
【0085】
実際には、従来の802.11ax確認応答機構において、RUを介して受信されるデータフレームの確認応答は、(ダウンリンクRUにおいて受信された)UMRSフィールドにおいて示されるような、後続のMUアップリンクOFDMA送信におけるRUを介して、RUが割り当てられた局によって行われる。しかしながら、RU譲受局として特定の局が指定されないので、この機構はグループRUの場合に運用できない。さらに、1つの局がそのように指定される場合であっても、グループRUの他の局にアドレッシングされたデータフレームに関して確認応答するのを許されるべきではない。
【0086】
直観的には、他の解決策が可能である。しかしながら、それらの解決策は効率的でない。
【0087】
例えば、グループRUの受取局からの応答フレーム(ここでは、確認応答)は、後にAPによってトリガーすることができる。これは、APと各受取局との間の個別のSU交換によって実行することができる。しかしながら、SU交換は帯域幅使用に関して効率的ではなく、チャネル帯域幅が依然として浪費される。
【0088】
代替的には、APは、受取局がAPからの先行するMUダウンリンクOFDMA送信に関して確認応答するためのRUを提供するように後続のトリガーフレームを送出することができる。しかしながら、自らのAIDを有することができないことによって、まだアソシエートされていない局には、スケジューリングされたRUを提供することができず、それゆえ、ランダムRUのみに頼る場合があるので、競合に起因して効率低下を余儀なくされる。したがって、まだアソシエートされていない受取局は、MUダウンリンクOFDMA送信のグループRU(これ以降、ダウンリンクグループRU又はDLグループRU)内で受信されたデータフレームに対して効率的に確認応答する立場にない場合がある。結果として、APは、確認応答されないデータフレームを再送することになり、チャネル帯域幅が依然として浪費される。
【0089】
そのような欠点を克服するために、APによるOFDMA MU送信のより良好な使用法を得ることができる、効率的な確認応答機構を提供することを目的として、本発明において改善された方法及びデバイスが提案される。
【0090】
これに関連して、上記のアグリゲーションベース手法の改善されたワイヤレス通信方法が提案され、その方法は、アクセスポイントにおいて、2つのそれぞれの局にアドレッシングされた2つのアグリゲートされたデータフレームにおいて、データフレームへの応答をアクセスポイントに与えるためにマルチユーザーダウンリンク送信機会に後続するマルチユーザーアップリンク送信機会において受取局によって使用されることになる応答リソースユニットを識別する、それぞれの応答リソースユニット情報をシグナリングするステップを更に含む。
【0091】
逆に、局における改善されたアグリゲーションベース方法は、
引き出されたデータフレームから、マルチユーザーアップリンク送信機会において1つの応答リソースユニットを識別する応答リソースユニット情報を取得するステップと、
識別された応答リソースユニットを介して、引き出されたデータフレームに対する応答をアクセスポイントに送信するステップと、
を更に含む。
【0092】
例えば、応答リソースユニット情報は、802.11ax、バージョン2.0標準規格(ドラフトP802.11ax_D2.0、特に第9.2.4.6.4.2節「UMRS制御」として公式に知られている)において規定されるような、データフレームのアップリンクマルチユーザー応答スケジューリング(UMRS)制御サブフィールドにおいてシグナリングされる。
【0093】
RUあたりのUMRSを1つの値に制限する802.11ax要件とは対照的に、この改善された方法によれば、(グループRUを介した)種々の受取局がデータフレームの受領に関して効率的に確認応答できるようになる。
【0094】
APは、MUダウンリンクOFDMA送信の場合より、MUアップリンクOFDMA送信において多くのRUをスケジューリングすることができるので、(DLグループRUが使用される場合であっても)全ての受取局が、自らの受信したデータフレームに関して確認応答する機会を与えることができる。APによるデータフレームの再送は、このようにして回避されるので、チャネル帯域幅が節約される。
【0095】
また、これは、同じMACヘッダーのUMRS情報において示される応答RUを使用することができるフレームMACヘッダーのRAフィールド(MACアドレス)において規定されるような受取局である。結果として、APとまだアソシエートされていない局である受取局であっても、データフレームに関して確認応答することができる。したがって、局に関するアソシエーション手順を簡略化することができる(AID=2045を有するランダムRUを使用し、MUダウンリンク送信中にAPから応答を受信し、後続のMUアップリンク送信中にその応答に関して確認応答する)。言い換えると、MPDU(MACプロトコルデータユニット)(複数の場合もある)に関して確認応答するために未アソシエーション局によってどのUL RUが使用されなければならないかを示すA-MPDU(アグリゲートMPDU)の各MPDU内のUMRS制御フィールドを使用することができる。
【0096】
また、アクセスポイント及び局を備えるワイヤレスネットワークにおいて局を形成するワイヤレス通信デバイスが提供される。局を形成するデバイスは、局の視点から、改善されたアグリゲーションベース方法に関して上記で規定されたステップを実行するように構成される少なくとも1つのマイクロプロセッサを備える。
【0097】
また、アクセスポイント及び局を備えるワイヤレスネットワーク内のアクセスポイントを形成するワイヤレス通信デバイスが提供される。アクセスポイントを形成するデバイスは、APの視点から、改善されたアグリゲーションベース方法に関して上記で規定されたステップを実行するように構成される少なくとも1つのマイクロプロセッサを備える。
【0098】
これらの改善されたアグリゲーションベース実施形態の任意選択の特徴は、方法を参照する添付の請求項において規定される。当然、同じ特徴を、本発明の実施形態による任意のデバイスに専用のシステムの特徴に置き換えることができる。
【0099】
いくつかの実施形態において、改善されたアグリゲーションベース方法は、前記アクセスポイントにおいて、前記後続のマルチユーザーアップリンク送信機会のリソースユニットを介して前記受取局から応答を受信するステップを更に含み、或る受取局からの前記応答、好ましくは、任意の受取局からの応答は、前記送信されたアグリゲートされたデータフレーム内で受取局にアドレッシングされるデータフレームにおいてシグナリングされる前記応答リソースユニット情報(UMRS)において識別される前記応答リソースユニットを介して受信される。当然、個別RUを介してアドレッシングされる局に関して、類似の応答RU情報を使用することができる。
【0100】
好ましくは、受取局からの応答は、送信されたアグリゲートされたデータフレームのデータフレームに関する確認応答を含む。
【0101】
いくつかの実施形態において、前記マルチユーザーアップリンク送信機会及び前記マルチユーザーダウンリンク送信機会は、前記アクセスポイントに許可された同じ送信機会に属する。したがって、APに関して、媒体にアクセスするのに一度の競合しか必要とされないので、時間及びチャネル帯域幅が節約される。
【0102】
他の実施形態において、改善されたアグリゲーションベース方法は、アクセスポイントにおいて、マルチユーザーダウンリンク送信機会においてアドレッシングされる局の数に基づいて応答リソースユニットの数を含むようにして、マルチユーザーアップリンク送信機会を構成することを更に含む。これは、APが、所望のアドレッシングされた局にフレーム確認応答のための機会を与えることを可能にする。
【0103】
例えば、改善されたアグリゲーションベース方法は、前記アクセスポイントにおいて、前記マルチユーザーダウンリンク送信機会の任意のリソースユニットを介して局にアドレッシングされるデータフレームへの応答を与えなければならない少なくとも局の数である(好ましくは、局の数と同じ数である)数の応答リソースユニットを含むようにして、前記マルチユーザーアップリンク送信機会を構成することを更に含む。これは、全ての局がAPに確認応答を与えることを可能にする。
【0104】
例えば、応答を与えなければならない局は、それぞれの応答リソースユニット情報が前記アグリゲートされたデータフレームにおいてシグナリングされる受取局を含む。実際には、応答を与えなければならない局は、UMRSシグナリングに準拠している局、及び/又はUMRS情報がMUダウンリンク送信のグループ又は個別RUにおいて与えられる局とすることができる。
【0105】
データフレームをアグリゲートすることは、前記マルチユーザーダウンリンク送信機会を形成する前記複数のリソースユニットを介してアドレッシングされる局の全数が、局の決定された最大数を超えないようにして、複数の局にアドレッシングされることになるデータフレームをアグリゲートすることを含む。この構成は、全ての局がデータフレームに関して確認応答できるとは限らないほどに、APがグループRUあたり、それゆえ、MUダウンリンク送信全体において、過剰な局を関与させる可能性を制限する。結果として、データフレーム確認応答が効率的に行われ、APが正しく受信された(がまだ確認応答されていない)データフレームを再送しなければならないリスクを低減する。
【0106】
詳細には、決定される局の最大数は、マルチユーザーアップリンク送信機会内で規定することができる基本リソースユニット(elementary resource unit)の最大数によって決まる(例えば、最大数に等しい)。基本リソースユニットは、例えば、802.11ax標準規格によって許容可能な最小RUと見なすことができる。その標準規格において、各20MHzチャネルは、最大で9個の基本RUに分割することができる。
【0107】
アグリゲーションベース実施形態の任意選択の特徴は、同じく、方法を参照する添付の請求項において規定される。当然、同じ特徴を、本発明の実施形態による任意のデバイスに専用のシステムの特徴に置き換えることができる。
【0108】
このアグリゲーションベース手法は、上記で提示された第1の手法と組み合わせることができ、特に、APとアソシエートされていない局等の、AIDを与えられない局をアドレッシングする機会をAPに提供するために、MUダウンリンク送信中に局に関連付けられないAIDを使用するときに組み合わせることができる。局が、特定の局に関連付けられないアソシエーション識別子に割り当てられるリソースユニットを決定するそのような組み合わせにおいて、その方法は、局において、
決定されたリソースユニットを介して、アグリゲートされたデータフレームを受信することと、
受信されたアグリゲートされたデータフレームの中から、局にアドレッシングされる1つ以上のデータフレームを取り出すことと、
を更に含むことができる。
【0109】
それに応じて、アクセスポイントにおいて、第1の手法による方法は、
2つ以上の局にアドレッシングされることになるデータフレームをアグリゲートすることと、
特定の局に関連付けられないアソシエーション識別子に割り当てられるリソースユニットを介して、アグリゲートされたデータフレームを送信すること、
とを更に含むことができる。
【0110】
実施形態において、アクセスポイントに登録するか、又はアクセスポイントとアソシエートする任意の局が、アクセスポイントに許可された送信機会においてリソースユニットを局に割り当てるためにアクセスポイントによって使用される固有アソシエーション識別子に関連付けられるか、又は固有アソシエーション識別子を割り当てられ、複数の局に専用のリソースユニットは、ダウンリンク送信機会において、特定の局に関連付けられない所定のアソシエーション識別子に割り当てられる。これは、局のグループに関する「グループAID」と見なすことができる。したがって、全ての802.11ax準拠局が、関連するRUを精査するために、そのような所定の単数又は複数のAIDを知っている場合がある。
【0111】
いくつかの実施形態において、アクセスポイントは、アグリゲートされることになる各データフレームにおいて、MACアドレスフィールドを受取局のMACアドレスに設定することができる。これは、受取局が自らのデータフレームを効率的に引き出せるようにするためである。実際には、局の視点から、局にアドレッシングされた1つ以上のデータフレームを取り出すことは、それゆえ、各アグリゲートされたデータフレームのMACアドレスを局のMACアドレスと比較することを含むことができる。
【0112】
アクセスポイントにおいて処理が多すぎるのを回避するために、局は、アクセスポイントに、引き出されたデータフレームの受領に関して確認応答しない場合がある。したがって、ダウンリンクRU内の全てのデータフレームが確認応答されるとは限らない。
【0113】
一変形形態において、局は、引き出されたデータフレームが最後に受信されたアグリゲートされたデータフレームを含む場合にのみ、引き出されたデータフレームに関する確認応答を送信することができる。それは、最後のデータフレームのみがその対応する受信局によって明示的に確認応答され、局のグループのためのダウンリンクRUの他のデータフレームは、それゆえ、最後のデータフレームに関する確認応答が正しく受信された後に直ちに暗に確認応答されることを意味する。
【0114】
上記で導入されたように、この手法の1つの適用例は、アクセスポイントで効率的に登録するために、まだアソシエートされていない(登録されていない)局のための管理フレームを考慮に入れる。これに関連して、局は、リソースユニットを決定する前に、局をアクセスポイントとアソシエートする(すなわち、局をアクセスポイントに登録する)手順内でアクセスポイントに管理フレームを送信することができる。そのような場合には、リソースユニットを決定することは、送信された管理フレームへのアクセスポイントからの応答を取り出すために、アクセスポイントとまだアソシエートされていない局に割り当てられるリソースユニットを決定することを含む。言い換えると、ダウンリンクOFDMA送信におけるリソースユニットが、まだアソシエートされていない局のために予約され、RUから、局は自らの要求管理フレームに対する応答を取得することができる。
【0115】
この手法は、応答管理フレームの場合であっても、SUシグナリングを使用するのを回避する。したがって、ネットワーク帯域幅が節約される。
【0116】
APの視点から、それは、アクセスポイントが、データフレームを送信するステップの前に、アクセスポイントとアソシエートする(すなわち、アクセスポイントに登録する)意思がある局から少なくとも1つの管理フレームを受信し、送信されるデータフレームは、受信された管理フレームへの応答を含み、アクセスポイントとまだアソシエートされていない局に割り当てられるリソースユニットを介して送信されることを意味することができる。
【0117】
改善されたアソシエーション手順を提供するために、管理フレームは、局からのアップリンク通信のためにアクセスポイントに許可されたアップリンク送信機会の一部を形成する先行するリソースユニットにおいて送信され、先行するリソースユニットは、アクセスポイントとまだアソシエートされていない局に割り当てられる。したがって、要求管理フレーム及び応答管理フレームはいずれも(高ビットレートの)MU OFDMA RUにおいて送信することができ、それにより、媒体占有率を低減する。
【0118】
いくつかの実施形態において、決定されたリソースユニット及び先行するリソースユニットは、それぞれダウンリンク及びアップリンク送信機会において、特定の局に関連付けられない、あらかじめ決まった同じアソシエーション識別子、例えば、AID=2045に、又は、例えば、基本サービスセットの基本サービスセット識別子に等しい、(APによって与えられる)基本サービスセットに関連付けられるアソシエーション識別子に割り当てられる。これは、局及びアクセスポイントにおける管理をより容易にする。
【0119】
アソシエーション手順を更に改善するために、局は、局からのアップリンク通信のためにアクセスポイントに許可された次のアップリンク送信機会の一部を形成する次のリソースユニットにおいて、引き出されたデータフレームに関する確認応答を送信することができ、次のリソースユニットは、アクセスポイントとまだアソシエートされていない局に割り当てられる。これは、応答管理フレームの受領に関して確認応答するために、登録する意思があるまだアソシエートされていない各局に低コストで(すなわち、SUシグナリングを使用することなく)機会を提供する効率的な方法である。
【0120】
本発明の別の適用例は、マルチキャストトラフィック、又は任意の残存トラフィック(すなわち、RUサイズを与えられるときに、パディングビットを必要とすることになる少量のデータ)の管理を考慮に入れる。
【0121】
マルチキャストトラフィックの場合、アクセスポイントは、複数の受取局にアドレッシングされることになるマルチキャストフレームを(例えば、上位OSIレイヤ)から受信する。次に、マルチキャストフレーム受信に応答して、アクセスポイントは受取局のそれぞれに個別にアドレッシングされることになる、マルチキャストフレームのペイロードを含む複数のデータフレームを生成する。したがって、複数の局に専用のリソースユニットを介して送信されることになるアグリゲートされたデータフレームは、マルチキャストフレームのペイロードを含む、生成されたデータフレームを含む。
【0122】
例えば、マルチキャストフレームのペイロードを含む、アグリゲートされたデータフレームを送信する、複数の局に専用のリソースユニットは、ダウンリンク送信機会において、2042に等しい、特定の局に関連付けられないあらかじめ決まったアソシエーション識別子に割り当てることができる。
【0123】
残存トラフィックの場合、アクセスポイントは、ダウンリンク送信機会のサイズ(場合によっては、RUのサイズ)及びサイズ閾値を与えられると、局に送信されることになる小さいデータフレームを決定することができる。したがって、決定された小さいデータフレームはアグリゲートされ、集合リソースユニット(collecting resource unit)と呼ばれる、複数の局に専用のリソースユニットを介して送信される。例えば、集合リソースユニットは、0に等しい特定の局に関連付けられないあらかじめ決まったアソシエーション識別子を用いて、ダウンリンク送信機会においてシグナリングされる。
【0124】
局の視点から、マルチキャストトラフィック及び残存トラフィックはいずれも同じように取り扱うことができる。例えば、局は最初に、複数のリソースユニットのうちの1つのリソースユニットが局に個別に割り当てられるか否かを検証するために、個別の局に割り当てられるリソースユニットをスキャンし、検証が否定のみであった場合、複数のリソースユニットのうちのまだスキャンされていないリソースユニットから、複数の局に専用のリソースユニットを決定することができる。詳細には、まだスキャンされていないリソースユニットから、複数の局に専用のリソースユニットを決定することは、最初に、局のリストに割り当てられるリソースユニットをスキャンし、局が、スキャンされたリソースユニットのうちの1つに関連付けられるリストに属するか否かを検証することを含むことができる。リストは、例えば、グループAIDとして使用される特定のAIDに対応することができ、各局は、自らがそのようなグループに属するか否かを(例えば、ビットマスキングを通して、又は登録時にAPによって与えられるグループAIDを参照して)判断することができる。
【0125】
したがって、検証が肯定される場合、(データフレームを取り出すために)決定されたリソースユニットは、局を含むリストに割り当てられたリソースユニットである。
【0126】
また、検証が否定のみであった場合、決定されたリソースユニットは、ダウンリンク送信機会を形成する別のリソースユニットに個別に又はリストを通して割り当てられない、任意の局のためのデータフレームを搬送するために使用される集合リソースユニットである。
【0127】
これらの種々の手法は、いくつかのRUにわたって同じデータを複製するのを回避し、及び/又はRUに加えられることになるパディングデータの量を削減する。結果として、媒体がより効率的に使用される。
【0128】
局による効率的な処理を確実にするために、実施形態が、ダウンリンク送信機会が1つ以上の局への複数のリソースユニットの割り当ての順序付きシグナリング(ordered signaling)を含むことを規定し、順序付きシグナリングは最初に、個別の局へのリソースユニットの各割り当てを規定し、次に、局のグループへのリソースユニットの各割り当てを規定し、その後、リソースユニットにまだ関連付けられていない任意の局への集合リソースユニットの割り当てを規定する。実際には、局は、それゆえ、(検証が否定される場合に)グループRUが使用されたか否かを検討する前に、最初に個別のRUを決定することになる。したがって、局に関するRUが識別されなかった場合にのみ、局は(任意の局に専用の)コレクタRU(collector RU)を精査して、場合によっては、自らにアドレッシングされた何らかのデータを取り出すことができる。
【0129】
この手法によれば、局が自らにアドレッシングされる1つのRU(個別又はグループ)を見つけたら、局は有利には、同じダウンリンク送信機会において任意の更なるRU解析を無視することができる。
【0130】
本発明の実施形態は、全ての802.11ax準拠AP及び非AP局において実施することができる。代替的には、802.11ax準拠AP及び非AP局は、任意選択で、本発明の実施形態の複数の特徴を実施することができる。
【0131】
これに関連して、一実施態様によれば、アクセスポイント及び局を備えるワイヤレスネットワーク内のワイヤレス通信方法が提供され、その方法は、アクセスポイントにおいて、
1つ以上の局から能力情報を受信するステップであって、能力情報は、局にアドレッシングされるデータフレームを1つ以上の他の局にアドレッシングされる1つ以上のデータフレームとアグリゲートするのを許容する局の能力を含む、ステップと、
受信された能力情報に基づいて、データフレームをアグリゲートするステップと、
アグリゲートされたデータフレームを1つ以上の局に送信するステップと、
を含む。
【0132】
特定の実施態様において、送信することは、局へのダウンリンク通信のためにアクセスポイントに許可されたマルチユーザーダウンリンク送信機会を形成する複数のリソースユニットの中からの、複数の局に専用のリソースユニットを介して実行される。
【0133】
好ましくは、能力情報は、アクセスポイントへの1つ以上の局のアソシエーション手順中に管理フレームにおいて通知される。
【0134】
例えば、能力情報は、802.11ax、バージョン2.1標準規格において規定されるような、HE MAC能力情報フィールドのサブフィールドにおいてシグナリングされる。
【0135】
特に、局が、局にアドレッシングされるデータフレームを1つ以上の他の局にアドレッシングされる1つ以上のデータフレームとアグリゲートするのを許容しない場合には、アグリゲートすることは、局にのみアドレッシングされる1つ以上のデータフレームを含むデータユニットを形成することを含む。
【0136】
逆に、アクセスポイント及び局を含むワイヤレスネットワーク内のワイヤレス通信方法が提供され、その方法は、局のうちの1つにおいて、
アクセスポイントに能力情報を送信するステップであって、能力情報は、アクセスポイントによって局にアドレッシングされるデータフレームを1つ以上の他の局にアドレッシングされる1つ以上のデータフレームとアグリゲートするのを許容する局の能力を含む、ステップと、
アクセスポイントから、アグリゲートされたデータフレームを受信するステップと、
受信されたアグリゲートされたデータフレームからデータフレームを抽出するステップであって、抽出することは、送信された能力情報に基づく、ステップと、
を含む。
【0137】
一変形形態において、その方法は、アクセスポイントから能力情報を受信するステップを更に含み、能力情報は、2つ以上の局にアドレッシングされるデータフレームをアグリゲートするアクセスポイントの能力を含む。
【0138】
特に、抽出することは、アクセスポイントから受信される能力情報に更に基づく。
【0139】
特定の実施態様において、受信することは、局へのダウンリンク通信のためにアクセスポイントに許可されたマルチユーザーダウンリンク送信機会を形成する複数のリソースユニットの中からの、複数の局に専用のリソースユニットを介して実行される。
【0140】
特に、能力情報は、アクセスポイントへの局のアソシエーション手順中に管理フレームにおいて通知される。例えば、能力情報は、802.11ax、バージョン2.1標準規格において規定されるような、HE MAC能力情報フィールドのサブフィールドにおいてシグナリングされる。
【0141】
1つの実施態様は、アクセスポイント及び局を備えるワイヤレスネットワーク内のアクセスポイントを形成するワイヤレス通信デバイス、並びにワイヤレスネットワーク内の局を形成するワイヤレス通信デバイスにも関係する。
【0142】
本発明の別の態様は、デバイス内のマイクロプロセッサ又はコンピューターシステムによって実行されると、上記で規定されたような任意の方法を上記デバイスに実行させるプログラムを記憶する、非一時的コンピューター可読媒体に関する。
【0143】
この非一時的コンピューター可読媒体は、上記方法及び上記デバイスに関して上記及び下記に提示された特徴及び利点と類似の特徴及び利点を有することができる。
【0144】
本発明による方法の少なくともいくつかの部分は、コンピューター実施することができる。したがって、本発明は、完全にハードウェアの実施形態の形を取ることもできるし、完全にソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含む)の実施形態の形を取ることもできるし、ソフトウェア態様及びハードウェア態様を組み合わせた実施形態の形を取ることもできる。これらのハードウェア及びソフトウェアは全て、本明細書では「回路」、「モジュール」又は「システム」と総称される場合がある。さらに、本発明は、コンピューター使用可能プログラムコードが具現化された任意の有形の表現媒体に具現化されるコンピュータープログラム製品の形を取ることもできる。
【0145】
本発明はソフトウェアで実施することができるので、本発明は、任意の適した担体媒体においてプログラマブル装置に提供されるコンピューター可読コードとして具現化することができる。有形の担体媒体は、ハードディスクドライブ、磁気テープデバイス又は固体メモリデバイス等の記憶媒体を含むことができる。一時的担体媒体は、電気信号、電子信号、光信号、音響信号、磁気信号又は電磁信号、例えばマイクロ波若しくはRF信号等の信号を含むことができる。
【0146】
本発明の更なる利点は、図面及び詳細な説明を検討することによって当業者に明らかになる。次に、本発明の実施形態が、以下の図面に関して単なる例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【
図1】本発明の実施形態を実施することができる通常のワイヤレス通信システムを示す図である。
【
図2a】802.11ax標準規格による802.11フレームの種々のフォーマットを提示する図である。
【
図2b】802.11ax標準規格による802.11フレームの種々のフォーマットを提示する図である。
【
図2c】802.11ax標準規格による802.11フレームの種々のフォーマットを提示する図である。
【
図2d】802.11ax標準規格による802.11フレームの種々のフォーマットを提示する図である。
【
図2e】802.11ax標準規格による802.11フレームの種々のフォーマットを提示する図である。
【
図2f】802.11ax標準規格による802.11フレームの種々のフォーマットを提示する図である。
【
図2g】802.11ax標準規格による802.11フレームの種々のフォーマットを提示する図である。
【
図2h】802.11axにおいて規定されるようなUMRS制御フィールドを示す図である。
【
図2i】802.11axにおいて規定されるようなUMRS制御フィールドを示す図である。
【
図2j】802.11axにおいて規定されるようなUMRS制御フィールドを示す図である。
【
図3】まだアソシエートされていない局が所与のアクセスポイントを発見し、登録できるようにする管理フレームの例示的なシーケンスを示す図である。
【
図4】当該技術分野において既知であるような、20MHz、40MHz、80MHz又は160MHzのチャネル帯域幅をサポートする802.11acチャネル配分を示す図である。
【
図5】当該技術において既知であるような、APが80MHzチャネル上のOFDMAサブチャネル(リソースユニット)の送信機会を予約するトリガーフレームを発行する、802.11axアップリンクOFDMA送信方式の一例を示す図である。
【
図6】WLANにおけるデータ送信の例示的な状況を通して、802.11axの現在のバージョンの欠点を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態による、通信デバイスの概略図である。
【
図8】本発明の実施形態による、ワイヤレス通信デバイスの概略図である。
【
図9a】まだアソシエートされていない局がAPとアソシエートするプロセスにおいて、上記の
図6の例示的な状況に及ぼす本発明の実施形態の影響を示す図である。
【
図9d】複数のダウンリンクリソースユニットが複数の未アソシエーション局に配分される一般的な実施形態を示す図である。
【
図10a】本発明の教示を実施する、アクセスポイントがトリガーするMUアップリンク送信に関連するアクセスポイントにおける主要ステップを、フローチャートを用いて示す図である。
【
図10b】本発明の実施形態を実施するときにアクセスポイントがトリガーするMUダウンリンク送信に関連するアクセスポイントにおける主要ステップを、フローチャートを用いて示す図である。
【
図10c】本発明の実施形態を実施するときにアクセスポイントがトリガーするMUダウンリンク送信に関連するアクセスポイントにおける主要ステップを、フローチャートを用いて示す図である。
【
図11a】アクセスポイントによってトリガーされるMUアップリンク送信に関連する未アソシエーション局における主要ステップを、フローチャートを用いて示す図である。
【
図11b】本発明の実施形態による、アクセスポイントによってトリガーされるMUダウンリンク送信に関連する未アソシエーション局における主要ステップを、フローチャートを用いて示す図である。
【
図11c】本発明の実施形態による、アクセスポイントによってトリガーされるMUダウンリンク送信に関連する未アソシエーション局における主要ステップを、フローチャートを用いて示す図である。
【
図12a】WLANにおけるデータ送信の2つの例示的な状況を通して、未アソシエーション局にデータを送信するために1つのMUダウンリンクリソースユニットがAPによって使用される本発明の実施形態を示す図である。
【
図12b】WLANにおけるデータ送信の2つの例示的な状況を通して、未アソシエーション局にデータを送信するために1つのMUダウンリンクリソースユニットがAPによって使用される本発明の実施形態を示す図である。
【
図13a】MUダウンリンク送信を準備及び実行するときに物理アクセスポイントにおいて実施される本発明の実施形態を、フローチャートを用いて示す図である。
【
図13b】APからのMUダウンリンク送信において局のグループに専用のRUを取り扱うために非AP局において実施される本発明の実施形態を、フローチャートを用いて示す図である。
【
図14】上記の
図6の例示的な状況を参照しながらグループRUを使用する利点を示す図である。
【
図15】グループ化されたマルチユーザーダウンリンク送信の確認応答のための新たに提案される方式を使用する利点を示す図である。
【
図16a】グループRUの場合にフレーム確認応答を効率的に与えるための(アクセスポイントにおける)
図13aのプロセスの改善形態を、フローチャートを用いて示す図である。
【
図16b】グループRUの場合に効率的な、かつ即時のフレーム確認応答を実行するための(局における)
図13bのプロセスの改善形態を、フローチャートを用いて示す図である。
【
図17】局とAPとの間で交換されるHE能力要素の例示的なフォーマットを示す図である。
【
図18a】データを交換するときにAPよって実行されるステップを、フローチャートを用いて示す図である。
【
図18b】データを交換するときに局によって実行されるステップを、フローチャートを用いて示す図である。
【
図19】MUダウンリンク送信とMUアップリンク送信との間のRU構成例を示す図である。
【
図20】局によって通知されるMSAS能力サブフィールド値を考慮に入れる、本発明による実施例を、フローチャートを用いて示す図である。
【
図21】未アソシエーション局によって通知されるUMPS能力サブフィールド値を考慮に入れる、本発明による実施例を、フローチャートを用いて示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0148】
次に、図を参照することによって、特定の非限定の例示的な実施形態によって本発明を説明する。
【0149】
図1は、中央局又はアクセスポイント(AP)110の管理下で、いくつかの通信ノード(又は局)101~107がワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)の無線送信チャネル100を介してデータフレームを交換する通信システムを示している。無線送信チャネル100は、単一のチャネル又は複合チャネルを形成する複数のチャネルによって構成される動作周波数帯域によって規定される。
【0150】
図1の通信システムは単一の物理アクセスポイント110を示すが、AP110は複数のBSS(1組の「仮想AP」とも呼ばれる)をサポートすることができ、1つ以上のWLAN(又はBSS)、すなわち、局の1つ以上のグループを管理するように構成することができる。各BSSは、特定の基本サービスセット識別、すなわち、BSSIDによって一意に識別されなければならない。
【0151】
この構成を達成するために、物理AP110は、2つ(以上)のWLANを管理するために2つ(以上)の仮想AP、例えばすなわち、SSIDとして「guest」を有する第1のWLAN(BSS)を管理するために特定のBSSIDとしてMACアドレスMAC1を有する仮想AP1 VAP-1(図示せず)と、SSIDとして「Employee」を有する第2のWLAN(BSS)を管理するために特定のBSSIDとしてMACアドレスMAC2を有する仮想AP2 VAP-2(図示せず)とを実現することができる。
【0152】
いくつかの局はVAP-1に登録するか、又はVAP-1と「アソシエート」し、それゆえ、第1のWLAN「guest」に参加することができ、一方の他の局は、同時に、VAP-2に登録し、それゆえ、第2のWLAN「Employee」に参加することができる。
【0153】
WLANごとのセキュリティは異なるものにすることができ、すなわち、WEP及びWPAを用いることができる。
【0154】
複数のBSSIDをサポートするAPデバイスは2つのタイプの仮想APを含む。第1の仮想APは、「送信型AP(transmitted AP)」又は「代表AP(representative AP)」と呼ばれる。BSSIDは送信型BSSIDと呼ばれる。BSSIDは、ビーコン及びプローブ応答フレームにおいて複数のBSSID要素を送信するという主な役割を果たす。所与の物理APに関して、1つの仮想APのみが、送信型APとして指定される。
【0155】
第2のタイプの仮想APは、「非代表AP」又は「非送信型AP」と呼ばれる。BSSIDは、非送信型BSSIDと呼ばれる。非代表APは他の仮想APに対応し、複数のBSSID要素を伴うビーコンフレームをブロードキャストしない。しかしながら、それらのAPは、レガシーSTA(IEEE802.11vを実施しない局)を自らとアソシエートするために、自らのBSSに固有のビーコンフレームを、すなわち、複数のBSSID要素を用いることなく、ブロードキャストすることができる。
【0156】
2つの別々のWLANインターフェース(例えば、Wi-Fiネットワークカード)を有する場合にのみ、同じ物理デバイスが同時に2つのWLANに参加することができる。その場合、デバイスはネットワーク内の2つの局と見なされ、各局が一度に一方のWLANのみに登録される。
【0157】
局が利用可能なWLAN(又はBSS)を認識し、それらのWLANを規定する情報(例えば、対応する単数又は複数のSSID、対応する特定の単数又は複数のBSSID、インフラストラクチャ又はAd-Hocを含む通信モード、Open、WEP、WPA-PSK又は802.1Xを含む、使用される保護セキュリティ方式、使用されるサポート伝送速度、動作チャネル、及び任意選択の任意の情報要素)を認識するために、APは、実質的に同じ内容を有する、ビーコンフレーム及びプローブ応答フレームを含む、いくつかの制御又は管理フレームを送信する。
【0158】
プローブ応答フレームは、局によってブロードキャストされるプローブ要求フレームに応答して、APによって特定の局に送出される。これは、アクティブディスカバリ手順において行われ、その手順では、局が20MHzチャネルを連続してスキャンし、その中でプローブ要求フレームをブロードキャストする。アクティブディスカバリ手順では、局は、新たなプローブ要求フレームを送信することによって、自らの実効的な存在を定期的に再認識させなければならない。
【0159】
一方、WLANを局に宣言するために、APがビーコンフレームを自発的かつ定期的に(例えば、100msごとに)ブロードキャストするパッシブディスカバリ手順が実施されてきた。
【0160】
ビーコンフレーム及びプローブ応答フレームはいずれも802.11の任意のバージョンにおいて使用されており、それは、それらのフレームが
図2aに示されるような非HT(高スループット)PPDU(物理レイヤ(PHY)プロトコルデータユニット)フォーマットを用いて最低ビットレートにおいて送信されることを意味する。
【0161】
このフォーマットは、802.11の任意のバージョンに従って任意の局によって理解することができる3つのフィールド、すなわち、L-STF(レガシーショートトレーニングフィールド)、L-LTF(レガシーロングトレーニングフィールド)及びL-SIG(レガシー信号フィールド)のフィールドから形成されるプリアンブルと、後続の、ペイロードデータ、ここでは、宣言すべきWLANを規定する情報を含むデータフィールドとを含むので、簡単である。
【0162】
プローブ要求/応答フレーム、又はビーコンフレームの繰り返しは、ネットワーク帯域幅の無視できない部分を事前取得する(preempt)。この部分は、同じ通信チャネルを共有しなければならない複数のWLANとともに、また、複数の物理AP(場合によって、いくつかが複数のBSSを実現する)とともに実質的に増加するが、それは複数(アクティブBSSごとに1つ)のビーコンが上記のようにブロードキャストされるためである。
【0163】
結果として、局がビーコンフレームを処理しなければならない頻度が上がり、管理フレームに起因するチャネル占有が増加する。各BSSのビーコンフレームの送信頻度が下がり、局の処理及びチャネル占有が低減されるように、ビーコン間隔を(100msより長くなるように)広げることは、十分に理に適っているとは思われない。これは、WLANが局からより見えにくくなる/検出しにくくなるためであり、いくつかの局は、スキャンするときに、所与のBSSのビーコンフレームを検出しない場合があり、それゆえ、(SSIDを通して)特定のBSSが利用できないと結論を下す場合がある。また、局が、アクティブに自らのネットワークを見つけるためにプローブ要求フレームを送出することに決める場合があり、それにより、結果として、各近隣APによってプローブ応答フレームをブロードキャストさせることになる。
【0164】
ディスカバリ手順(ビーコンフレーム及びプローブ応答フレームを使用する)は、対応するWLANに参加するために局がAPに登録するか、又はAPとアソシエートする、より一般的なアソシエーション手順の初期部分とすることができる。
【0165】
図3は、まだアソシエートされていない局が所与のアクセスポイントを発見し、登録/アソシエートできるようにする、管理フレームの例示的なシーケンスを示す。シーケンスは、3つの段階、すなわち、WLAN発見、認証及びアソシエーションを含み、終了時に、局は、APとの認証済み及びアソシエーション済みの状態に入る。局は現時点で第1のAPとアソシエートされている(すなわち、第1のWLANに属している)が、第2のWLANに参加する意思がある場合があることに留意されたい。
【0166】
802.11ネットワークは、802.11プローブ処理又は発見処理の第1の段階に関していくつかの選択肢を利用する。例えば、企業に展開する場合、特定のネットワークの探索は、ネットワーク名(SSID)及びビットレートを規定するプローブ要求フレームを複数のチャネル上に送出することを伴う場合がある。
【0167】
より一般的には、APとアソシエートする前に、局は、パッシブスキャニング(上記で導入されたパッシブディスカバリ手順)、又はアクティブスキャニング(上記で導入されたアクティブディスカバリ手順)のいずれかを通して、チャネルを1つずつスキャンすることによってAPについての情報を収集する。
【0168】
パッシブスキャニングモードでは、局が特定のSSIDにあらかじめ既に接続されているか否かにかかわらず、局は、各20MHzチャネルを連続してスキャンし、スキャンされたチャネル上で(SSIDを宣言する)ビーコンフレームを待機するために待つ。
【0169】
アクティブスキャニングモードでは、局は各ワイヤレス20MHzチャネル上にプローブ要求フレーム310を送出する。プローブ要求フレームは、局が探索している特定のWLANのSSIDを含む場合があるか、又はプローブ要求フレームは特定のSSIDを含まない場合があり、それは、局が局付近にある「任意の」SSIDを探索していることを意味する。
【0170】
プローブ要求フレームを受信するのに応答して、APは、局が少なくとも1つの共通のサポートされたデータ速度を有するか否かをチェックする。適合するデータ速度が存在する場合には、APはプローブ応答フレーム320で応答し、内容はビーコンフレームに類似であり、SSID(ワイヤレスネットワーク名)、サポートされるデータ速度、要求される場合には暗号化タイプ、及びAPの他の802.11能力を通知する。
【0171】
プローブ応答フレーム320を受信するのに応答して、局によって確認応答フレーム330が送信される場合がある。
【0172】
APと既にアソシエートされている局が、最良の信号強度を有する利用可能なWLANの更新されたリストを維持管理するために、プローブ要求フレームを他のワイヤレスチャネル上に定期的に送信するのも一般的である。このリストのおかげで、局がAPとの強い接続をもはや維持できないときに、局は、アソシエーション手順の第2の段階及び第3の段階を用いて、より良好な信号強度を有する別のAPにローミングすることができる。
【0173】
参加すべきWLANが局によって選択されると、第2の段階は802.11認証である。詳細には、局は自らが受信するプローブ応答フレームから、適合するWLANを選択する。
【0174】
802.11はもともと2つの認証機構とともに開発された。第1の認証機構は、「オープン認証」と呼ばれ、基本的にはNULL認証であり、局が、「自らを認証するように」要求し、APが「yes」で応答する。これは概ね全ての802.11展開において使用される機構である。第2の認証機構、すなわち、WEP/WPA/WPA2は、シェアードキー機構であり、ホームネットワーク又はスモールWi-Fi展開において広く使用され、セキュリティを提供する。
【0175】
802.11認証段階中に、局は、選択されたAPに、例えば、認証をオープンに設定し、シーケンスを0x0001に設定する下位レベル802.11認証要求フレーム340を送信する。APは認証要求フレーム340を受信し、オープンに設定され、0x0002のシーケンスを示す認証応答フレーム350によって局に応答する。
【0176】
いくつかの802.11能力によれば、局が、APとアソシエートされることなく(すなわち、対応するWLANに属することなく)、複数のAPに対して下位レベル認証を実施できるようになることに留意されたい。これは、局がAP間を移動するときのアソシエーション手順全体を迅速化する。実際には、局を複数のAPに対して802.11認証することができるが、一度に1つのAPのみとアクティブにアソシエートすることができ、APを通してデータを転送することができる。
【0177】
次に、局は、下位レベル認証ステップから、APとの実際のアソシエーションを実行しなければならない。これは、実際の802.11アソシエーションの次の段階であり、それにより、局はWLANセルに実際に参加する。この段階は、セキュリティ及びビットレートオプションを完結し、局とAPとの間のデータリンクを確立する。この最終交換の目的は、局が、媒体にアクセスし、参加したWLAN内でデータを送信するために使用されることになるアソシエーション識別子(AID)を取得することである。
【0178】
局は第1のネットワークに参加している場合があり、物理的なネットワーク内で1つのAPから別のAPにローミングする場合があることに留意されたい。その場合、アソシエーションはリアソシエーションと呼ばれる。
【0179】
局がどのAP(すなわち、WLAN)とアソシエートしたいかを決定すると、局は、選択されたAPにアソシエーション要求フレーム360を送信する。アソシエーション要求フレームは、要求された場合に、選択された暗号化タイプと、他の適合する802.11能力とを含む。
【0180】
アソシエーション要求フレーム内の要素がAPの能力と一致する場合には、APは局のためのアソシエーションID(AID)を生成し、局にネットワークアクセスを許可する成功メッセージを伴うアソシエーション応答フレーム370で応答する。
【0181】
ここで、局はAPとのアソシエーションに成功し、物理媒体を用いて、選択されたWLANにおいてデータ転送を開始することができる。
【0182】
APが、認証されたが、まだアソシエートされていない局からデータフレームを受信するとき、APは、局を認証済みであるが、まだアソシエートされていない状態にするディスアソシエーション(disassociation)フレームで応答することに留意されたい。結果として、対応するWLANに参加するために、局はAPとリアソシエートしなければならない。
【0183】
プローブ応答フレーム320、認証要求/応答フレーム340及び350、並びにアソシエーション要求/応答フレーム360及び370は、シングルユーザー(SU)フォーマットとして知られる、802.11レガシーフォーマットにおいて送出されるユニキャスト管理フレームである。これは、2地点間(ここでは、APと局との間の)通信のために使用されるフォーマットである。これらのユニキャスト管理フレームはそれぞれ、ACKフレーム330によって確認応答される。
【0184】
上記で示されたように、全ての管理フレーム(310、320、340、350、360、370)及びACKフレーム(330)は、局及びAPの両方によってサポートされる最低共通のレート(例えば、24mbps以下)を使用する。
【0185】
より高速のワイヤレスネットワークに対する増え続ける需要を満たし、帯域幅集約的な適用例をサポートするために、802.11ac及びそれ以降のバージョン(例えば、802.11ax)は、マルチチャネル動作を通して、より広帯域幅の送信を実施する。
図4は、20MHz、40MHz、80MHz又は160MHzの複合チャネル帯域幅をサポートする802.11acチャネル配分を示す。
【0186】
IEEE802.11acは、データを送信するワイヤレスネットワーク上の任意の802.11ac(又はそれ以降の)局による予約に利用可能である独自の既定の複合チャネル構成を形成する20MHzチャネルの限られた数の既定のサブセットのサポートを導入した。
【0187】
これらの既定のサブセットは、図に示されており、802.11nによってサポートされる20MHz及び40MHzのみと比較して、20MHz、40MHz、80MHz、及び160MHzのチャネル帯域幅に対応する。実際、20MHzコンポーネントチャネル400-1~400-8は、連結されてより広い通信複合チャネルを形成する。
【0188】
802.11ac標準規格では、各既定の40MHz、80MHz又は160MHzのサブセットのチャネルは、動作周波数帯域内で連続している。すなわち、動作周波数帯域内で順序付けられた複合チャネルには、ホール(欠落したチャネル)が認められていない。
【0189】
160MHzチャネル帯域幅は、周波数が連続している場合もあるし連続していない場合もある2つの80MHzチャネルからなる。80MHzチャネル及び40MHzチャネルは、それぞれ、2つの周波数が隣接又は連続した40MHzチャネル及び20MHzチャネルからなる。一方、本発明は、チャネル帯域幅のいずれかの組成、すなわち、動作帯域内に連続チャネルのみを含む組成又は非連続チャネルから形成される組成を有する実施形態を有することができる。
【0190】
局(APを含む)は、「プライマリチャネル」(400-3)上で拡張型分散チャネルアクセス(EDCA)機構を通じて送信機会(TxOP)を許可される。実際、或る帯域幅を有する複合チャネルごとに、802.11acは、1つのチャネルを、複合チャネルへのアクセス競合に用いられることを意味する「プライマリ」として指定する。プライマリ20MHzチャネルは、同じBSSに属する全ての局(STA)、すなわち、同じローカルアクセスポイント(AP)によって管理されるか又は同じローカルアクセスポイント(AP)に登録されている全ての局に共通である。
【0191】
一方、他のレガシー局(すなわち、同じセットに属しない局)がセカンダリチャネルを用いないことを確保するために、複合チャネルを予約する制御フレーム(例えば、RTSフレーム/CTSフレーム又は後に説明されるトリガーフレーム)がそのような複合チャネルの各20MHzチャネルを介して複製されることが提供される。
【0192】
そのような複合チャネルにおける送信は、HEシングルユーザー(SU)PPDUを用いて一方の局から他方の局(APを含む)まで行われ、フォーマットが
図2bに示される。フォーマットは、任意のレガシー局によって読み取り可能である従来のプリアンブル(L-STF、L-LTF、L-SIG)に加えて、RL-SIG、HE-SIG-A、HE-STF、HE-LTF、データ及びPEのフィールドを含む。
【0193】
IEEE802.11ac標準規格は、4つまでの20MHzチャネル、更には8つまでの20MHzチャネルを結合することを可能にしている。チャネルの数が限られていることから(欧州では5GHz帯域内に19個)、チャネル飽和が問題になる。実際、高密度に密集したエリアでは、5GHz帯域は、ワイヤレスLANセルごとに20MHz又は40MHzの帯域幅を用いても確実に飽和する傾向がある。
【0194】
802.11ax標準規格における開発事項は、高密度環境のワイヤレスチャネルの効率及び使用率を高めようとするものである。
【0195】
この観点において、送信機会が予約されており、APに許可されたときに、ダウンリンク(DL)方向及びアップリンク(UL)方向の両方において、異なるユーザーへの複数の同時送信を可能にする、マルチユーザー(MU)送信機構を考えることができる。アップリンクにおいて、複数の非AP局がAPに同時に送信できるようにすることによって、マルチユーザー送信を用いて衝突確率を軽減することができる。
【0196】
そのようなマルチユーザー送信を実際に実行するために、許可された20MHzチャネル(400-1~400-4)を、少なくとも1つのサブチャネル、好ましくは、例えば、直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)技法に基づいて、周波数領域において複数のユーザーによって共有される、サブキャリア又はリソースユニット(RU)又は「トラフィックチャネル」とも呼ばれる複数のサブチャネル310(基本サブチャネル)に分割することが提案された。
【0197】
【0198】
予約された送信機会TXOP内で競争を増やすために、OFDMAのマルチユーザー機構によって、APは異なるRUを異なる局に割り当てることができるようになる。これは、802.11ネットワーク内の競合及び衝突を削減するのを助けることができる。
【0199】
この例において、各20MHzチャネル(400-1、400-2、400-3又は400-4)は、周波数領域において、サイズ5MHzの4つのOFDMAサブチャネル又はRU510に細分される。当然、20MHzチャネルを分割するRUの数は、4つとは異なる場合があり、RUは異なるサイズを有する場合がある。例えば、2個~9個のRUが設けられる場合がある(したがって、それぞれ10MHz~約2MHzのサイズを有する)。また、より広い複合チャネル(例えば、80MHz)内に含まれるとき、20MHzより広いRU幅を有することもできる。
【0200】
MUダウンリンク(APから局への)送信を考慮すると、TXOP中に送信されるPPDUのプリアンブルヘッダー内に単に特定の指示を与え、その後、データフィールドにおいてデータを送信することによって、APは複数のRUにおいて複数のデータを複数の局に直接送信することができる。ダウンリンク方向において使用されるRUはダウンリンクRUとして知られ、一方、アップリンク方向において使用されるRUはアップリンクRUとして知られる。
【0201】
図2cは、1つ以上の局への送信のために、詳細には、APから複数の局へのMUダウンリンク送信のために802.11axにおいて使用されるHE MU(マルチユーザー)PPDUフォーマット(HE-MU)を示す。
【0202】
HE-MU PPDUは、非HT PPDU(
図2a)と同じプリアンブルを含み、プリアンブルは常に低ビットレートにおいて送信される。これは、全てのデバイス、特に802.11ac/axを実施しないレガシーデバイスが、送信モードのいずれかのためのプリアンブルを理解できるようにするためである。
【0203】
複数の局がOFDMAダウンリンク送信の対象となる受領局又は受取局であるので、APは、局がどのリソースユニットにおいて自らのデータを見つけることになるかをそれらの局に知らせる必要がある。そのようなシグナリングを達成するために、802.11axは、図示されるような、局がRUに割り当てられるHE-SIG-Bフィールド200を与える。
【0204】
SIG-Bフィールド200はダウンリンクHE-MU-PPDUにおいてのみ見られ、
図2eに示されるように、2つのタイプのフィールド、すなわち、単一の共通ブロックフィールド220及び1つ以上のユーザー固有フィールド230を含む。
【0205】
単一の共通ブロックフィールド220は、RU配分フィールドを通して、現在の送信機会に関するRU配分を規定する(他のフィールドはそれほど重要ではない)。フォーマットは、後に導入されるようなトリガーフレームにおいて与えられるダウンリンクRU配分と実質的に同じフォーマットに従う。
【0206】
802.11axは、
図2fに示されるように、20MHzチャネルに関する1組の所定のRU配分方式を規定する。したがって、共通ブロックフィールド220のRU配分フィールドは、
図2fの表のエントリを指しているN個の8ビットインデックスを参照する。
【0207】
そのような各エントリはRU配分方式を規定し、すなわち、20MHzチャネルが連続したダウンリンクRUにいかに分割されるかを規定する。エントリは厳密には、MU送信内の各RUの、位置(周波数昇順による)、トーンに関するサイズ、及び周波数範囲を与える。
【0208】
例えば、第1のエントリ(インデックス=00000000)は、位置#1~#9における9個の26トーン幅ダウンリンクRUを規定する。したがって、位置#iにおけるダウンリンクRUの周波数帯域は、検討対象の20MHzチャネルの第[26*(i-1)+1]トーンから第(26*i)トーンまでに及ぶ。APが、この特定の配分を有する複数のダウンリンクRUを規定したい場合には、共通ブロックフィールド220のRU配分フィールドが値00000000に設定される。
【0209】
所定のRU配分方式の表の第12のエントリ(インデックス=00001011)は、例えば、第1の52トーン幅ダウンリンクRU(位置#1)と、後続する26トーン幅を有する第2、第3及び第4のダウンリンクRU(位置#2、#3及び#4)と、後続する52トーン幅を有する第5及び第6のダウンリンクRU(位置#5及び#6)とを規定する。
【0210】
ユーザー固有フィールド230は、共通ブロックフィールド内に規定される各ダウンリンクRUに関連する情報を規定し、ダウンリンクRUが共通ブロックフィールド内で連続して規定されるのと同じ順序において与えられる。例えば、第nの宣言されたユーザー固有フィールド230は、共通ブロックフィールド内で規定されるような第nのダウンリンクRU、すなわち、位置#nにおけるダウンリンクRUについての情報を与える。
【0211】
各ユーザー固有フィールド230は、受取局のAID(「STA-ID」フィールド、
図3のアソシエーション手順中にAPによって与えられる)を含み、変調及び符号化方式、空間ストリーム等の、ここではそれほど重要でない他の情報も含む。
【0212】
所与の局に単一のダウンリンクRUのみを配分することができるとき、局が自らのデータを復号できるようにするシグナリングは、(単一のRUに対応する)1つのみのユーザー固有フィールドにおいて搬送される。
【0213】
共通ブロックフィールド及び対応する各ユーザー固有フィールドにおいて与えられるリソース配分に基づいて、局は、どのリソースユニットが自らに配分されたかを、それゆえ、どのダウンリンクRUにおいて、APから自らのデータを受信することになるかを容易に知ることができる。
【0214】
HE-SIG-BはBCCを用いて20MHzごとに符号化され、局のシグナリング情報がペイロードと同じ帯域上で送信されるように、局の好ましい帯域上で送信される。
【0215】
APは、局がデータを送出しなければならない時点、及びいかに(どのRUにおいて)送出しなければならないかを制御しなければならないので、MUアップリンク送信の場合、事情が異なる。
【0216】
MUダウンリンク送信とは対照的に、APが種々の非AP局からのMUアップリンク通信をトリガーするために、トリガー機構が採用された。これは、APが局に関するそのような制御を行うためである。
【0217】
MUアップリンク送信を(APによって事前取得されたTXOP中に)サポートするために、802.11axAPは、レガシー局(すなわち、非802.11ax局)が自らのNAVを設定し、かつ802.11ax局がリソースユニット配分を決定するためのシグナリング情報を与えなければならない。
【0218】
以下の説明において、レガシーという用語は非802.11ax局を指しており、それは、OFDMA通信をサポートしない先行技術の802.11局を意味する。
【0219】
図5の例に示されるように、APは、送信機会を予約するために、対象とする802.11ax局にトリガーフレーム(TF)530を送信する。送信機会のための対象とする複合チャネルの帯域幅又は幅はTFフレームにおいてシグナリングされ、それは20MHz、40MHz、80MHz又は160MHzの値がシグナリングされることを意味する。
【0220】
TFフレームは、
図2aに示される802.11レガシー非HTフォーマットに準拠する制御フレームであり、プライマリ20MHzチャネルを介して送信され、対象とする複合チャネルを形成する他の各20MHzチャネル上で複製される(反復される)。制御フレームの複製に起因して、自らのプライマリチャネル上でTFを受信している全ての近隣のレガシー局(非HT又は802.11ac局)が、その際、自らのNAVをTFフレームのヘッダー内で規定される値に設定することが予想される。これは、これらのレガシー局が、TXOP中に対象とする複合チャネルのチャネルにアクセスするのを防ぐ。
【0221】
APの決定に基づいて、トリガーフレームTFは、複数のアップリンクリソースユニット(RU)510を規定することができる。OFDMAのマルチユーザー機構によって、APは、競争を増大させるために、異なるRUを異なる局に割り当てることができるようになる。これは、802.11ネットワーク内の競合及び衝突を削減するのを助けることができる。
【0222】
要求された送信機会におけるRU配分についての情報、及びアップリンクRUへの局の割り当てについての情報は、データフィールド(
図2aに示される)内で搬送されるMACフレームのペイロードにおいて示される。実際には、MACペイロードは、従来の制御フレーム(RTS又はCTSフレーム等)の場合に基本的に空であるが、トリガーフレームのための情報構造を有するように改善される。RU配分フィールドは、配分されるアップリンクRU(すなわち、TXOPにおけるRU配分)を規定し、一方、1つ以上のユーザー情報フィールドは、(RU配分情報フィールドによって与えられるのと同じ順序において)それぞれのアップリンクRUに関連する情報を示す。詳細には、各ユーザー情報フィールド内のアドレスフィールドは、対応するアップリンクRUが割り当てられる局のAIDを与える。
【0223】
これらの種々のフィールドは、
図2e及び
図2fを参照しながら上記で規定されたフィールド(共通ブロック及びユーザー固有)に類似である。
【0224】
トリガーフレーム530は「スケジューリングされた」アップリンクRUを規定することができ、RUは、或る特定の局のためにAPによって予約される場合があり、その場合、これらの局がそのようなRUにアクセスするのに競合する必要はない。そのようなスケジューリングされたRU及び対応するスケジューリングされた局は、トリガーフレームにおいて示される(スケジューリングされたRUに関するユーザー情報フィールドのアドレスフィールドが局のAIDに設定される)。これは、スケジューリングされた各RUを使用するのを許される局を明示する。そのような送信モードは、媒体にアクセスするために、局内の従来のEDCA機構と競争する。
【0225】
局が、アドレスフィールド内に自らのAIDを搬送する、トリガーフレーム530内のスケジューリングされたRUに関するユーザー情報フィールドが存在しないことがわかる場合には、局は、TFによってトリガーされるTXOPのスケジューリングされたRU内で送信するのを許されるべきではない。
【0226】
また、トリガーフレームTF530は、「スケジューリングされた」RUに加えて、又はその代わりに、「ランダム」アップリンクRU(「ランダムアクセス」(RA)RUとも呼ばれる)を指定することができる。ランダムRUは、局がランダムにアクセスすることができる。言い換えると、TFにおいてAPによって指定されるか、又は配分されるランダムRUは、データを送信するための通信媒体にアクセスする意思がある局間で競合するための根拠としての役割を果たすことができる。2つ以上の局が同じランダムRUを介して同時に送信しようと試みるとき、衝突が生じる。
【0227】
そのようなランダムRUは、RUに対応するユーザー情報フィールドのアドレスフィールドにおいて固有予約AIDを使用することによって、TFにおいてシグナリングされる。例えば、トリガーフレームを送出するAPとアソシエートされる(すなわち、同じBSSに属する)局によって競合のために利用可能なランダムRUを識別するために、0に等しいAIDが使用される。一方、まだアソシエートされていない局、又は「アソシエーション」局(すなわち、TF530を送信するAPと同じBSSに属していない局)によって競合のために利用可能なランダムアップリンクRUを識別するために、2045に等しいAIDを使用することができる。
【0228】
同じTFによって、AID=0及び/又はAID=2045を有するいくつかのランダムRUが与えられる場合があることに留意されたい。
【0229】
802.11ax非AP局によるランダムRU競合のために、すなわち、その間で競合を実行する複数の802.11ax非AP局がランダムRUにアクセスし、ランダムRUを介してデータを送信できるようにするために、追加のバックオフカウンター(OFDMAバックオフカウンター、又はOBOカウンター若しくはRUカウンター)に基づいて、802.11ax標準規格のためのランダム配分手順を検討することができる。RUバックオフカウンターは従来のEDCAバックオフカウンター(802.11eバージョンにおいて規定される)とは異なる。しかしながら、アクセスされるOFDMA RU510において送信されるデータは、同じEDCAトラフィックキューから供給されると仮定される。
【0230】
RUランダム配分手順は、正のRUバックオフ値(RU競合ウィンドウ範囲内に最初に引き込まれた)を有する複数の802.11ax局のうちの1つの局に関して、受信されたトリガーフレームから、競合のために利用可能な通信媒体のサブチャネル又はRU(既にアソシエートされた局の場合に値0、又は未アソシエーション局の場合に値2045によって識別される、いわゆる、「ランダムRU」)を決定する第1のステップと、検討対象の局に対するローカルのRUバックオフ値の値が、利用可能であると検出されたランダムRUの数以下であるか否かを検証する第2のステップと、その後、検証に成功した場合に、利用可能であると検出されたRUの中の1つのRUをランダムに選択し、その後、データを送信する第3のステップとを含む。第2のステップが検証されない場合、RUバックオフカウンターを、利用可能であると検出されたランダムRUの数だけデクリメントするために、(第3のステップの代わりに)第4のステップが実行される。
【0231】
留意することができるように、スケジューリングされたRUを有しない局は、受信されたTFごとにランダムRUを介してOFDMA送信を実行することが保証されない。これは、少なくともRUバックオフカウンターが、トリガーフレームを受信するたびに、提案されるランダムRUの数だけデクリメントされ、それにより、データ送信が後続のトリガーフレームに延期されるためである(RUバックオフの数の現在の値と、更に受信されたTFのそれぞれによって提供されるランダムRUの数とによって決まる)。
【0232】
図5に戻ると、アップリンクRUへの種々の起こり得るアクセスから、結果として、利用可能なランダムRUの数未満のRUバックオフ値を有する局がいずれも、これらのランダムRUのうちの1つをランダムに選択しなかったので、それらのアップリンクRUのうちのいくつかが使用されず(510u)、それに対して、これらの局のうちの少なくとも2つが同じランダムRUをランダムに選択したので、いくつかの他のアップリンクRUが衝突した(例として、510c)。これは、アクセスすべきランダムRUをランダムに決定することに起因して、いくつかのアップリンクRUを介して衝突が生じる場合があり、一方、他のRUは空いたままである場合があることを示す。
【0233】
RU510における局によるデータのアップリンク送信は、局によってアクセスされる各アップリンクRUにおいて、
図2dに示されるようなHEトリガーベースPPDU(HE_Trig)を用いて行われる。各HE_Trig PPDUは、トリガーフレーム530に応答して、一度だけ(すなわち、1つの局からAPまでの)送信を搬送する。このHE_Trig PPDUフレームフォーマットは、HE-STFフィールドの持続時間が8μSであることを除いて、HE SU PPDUのフレームフォーマットに非常に類似のフォーマットを有する。
【0234】
局が、APにデータを送信するために、スケジューリングされたRU及び/又はランダムRUを使用すると、APは、各アップリンクRUにおいて受信されたデータに関して確認応答するために、マルチユーザー確認応答(
図5には示されない)で応答する。
【0235】
図2gは、
図2a~
図2dに示されるような異なるPPDUのデータフィールドにおいて、すなわち、APによってダウンリンク方向において、又は局によってアップリンク方向において搬送される場合があるMACフレーム230の典型的なフォーマットを示す。
【0236】
例示されるMACフレームは、24オクテットのMACヘッダー、0~2312オクテットのフレーム本体207及び4オクテットのフレームチェックシーケンス(FCS)208を含む。MACヘッダーは、数あるフィールドの中でも、フレーム制御フィールド201、持続時間フィールド202、RA(受信機又は宛先アドレス)フィールド203及びTA(送信機又は発信元アドレス)フィールド204を含む。
【0237】
例えば、ダウンリンク方向において、RAフィールド203は、向かうことになる局のMACアドレス(ユニキャストMACアドレス)に、又はMACフレームが全ての局に向かうことになる場合には、ブロードキャスト値FF:FF:FF:FF:FF:FF(ブロードキャストMACアドレス)に設定される。フレーム本体は可変長のフィールドであり、例えば、情報は、アソシエーションプロセス中に交換されるフレームとすることができる(例えば、
図6を参照しながら後に説明される)。例えば、MACフレーム本体207は、アソシエーション手順中にAPによって送信される管理フレームをカプセル化することができる(
図3を参照しながら上記で説明された)。この場合に、制御フィールド201は、MACフレームが管理フレームであることを示す。
【0238】
本開示において、MACフレーム及びMACプロトコルデータユニット(MPDU)は同義語であり、MACエンティティ間で交換されるデータのユニットを規定する。アグリゲートMAC PDU(A-MPDU)は、1つ以上のMPDUを含む構造であり、PHYプロトコルデータユニット(PPDU)においてトランスポートされる。A-MPDUは、例えば、HE SU PPDU、HE MU PPDU又はHEトリガーベースPPDUにおいて搬送される場合がある。
【0239】
図6は、WLANにおけるデータ送信の例示的な状況を通して、802.11axの現在のバージョンの欠点を示す。
【0240】
この例示的な状況において、ワイヤレスネットワークは、物理アクセスポイント110と、複数のアソシエートされた局STA2、STA3、STA4、STA5、STA7及びSTA8と、複数の未アソシエーションの802.11ax局STA1及びSTA6とを備える。
【0241】
AP110は、WLAN/BSSグループ(複数の場合もある)のパラメーターを含む、ビーコンフレーム610を定期的に送出する。
【0242】
全ての局(APを含む)が、従来のEDCA方式を用いて、ワイヤレスネットワークにアクセス競合する。ワイヤレスネットワークが所定の期間(通常、先行するTXOP終了後、例えば、APからの確認応答後、又はPPDU送信の終了後のDIFS期間)にわたってアイドルと検出されるたびに、各局における競合プロセス(バックオフカウンター)が開始又は再開する。
【0243】
媒体にアクセスするとき、AP110は、ワイヤレスネットワークの少なくとも1つの通信チャネル上のMU UL送信機会(TXOP#1)を予約するトリガーフレーム530を送信する。トリガーフレーム530は、AID=2045に関連付けられる(すなわち、STA1及びSTA6のような未アソシエーション局に専用であるか、又は予約されるか、又は割り当てられる)1つ以上のランダムRUを含む、TXOP#1におけるMUアップリンクOFDMA送信のためのリソースユニットを規定する。これは、媒体アクセス及び占有率を低減しながら、まだアソシエートされていない局が自らのアソシエーション手順を迅速化するためである。この例において、AID=2045を有する2つのランダムRUが与えられ、他のRUは、スケジューリングされたRU及び/又はAID=0を有する(すなわち、STA2、STA3、STA4、STA5、STA7及びSTA8のような既にアソシエートされた局に専用であるか、又は予約されるか、又は割り当てられる)ランダムRUである。
【0244】
TF530に応答して、APは、MUアップリンクOFDMA送信時間中に、1つ以上の局から、アップリンクRU510上でデータを受信する。これは、スケジューリングされたRUを介して送信されたデータだけでなく、ランダムRUを介して送信されたデータも含む。
【0245】
詳細には、APは、AID=2045を有するランダムRUを介して、STA1及びSTA6等のまだアソシエートされていない802.11ax局から、要求管理フレーム(例えば、310、340、360)を受信することができる。
【0246】
MUアップリンクOFDMA送信を形成するアップリンクRU510を介してデータフレーム及び管理フレームを受信すると、AP110は、(ブロードキャストアドレスを設定されたカプセル化されたMACフレームの「受信アドレス」RAフィールドを有する)HE SU PPDUを用いて、Multi-STA BlockAckフレーム640で応答する。APは、Multi-STA BlockAckフレームにおいて、データが正しく受信された送信局のAIDを与えることによって、各送信局に受領に関して確認応答することに留意されたい。まだアソシエートされていない各局にAIDが関連付けられていないので、Multi-STA BlockAckフレームは、要求された管理フレームが正しく受信されたまだアソシエートされていない各局のMACアドレスを受信するように変更される。
【0247】
TXOP#1の次に、AP110は、MUダウンリンクOFDMA送信620を実行するために、TXOP#2と呼ばれる、新たなTXOPにわたって媒体に再びアクセスすることができる。
【0248】
この例示的なシナリオからいくつかの問題が生じ、それらの問題は後に説明されるいくつかの実施形態によって解決される。
【0249】
図7は、本発明の少なくとも1つの実施形態を実施するように構成された無線ネットワーク100の非AP局101~107又はアクセスポイント110のいずれかである通信デバイス700を概略的に示す。通信デバイス700は、好ましくは、マイクロコンピューター、ワークステーション又は軽量ポータブルデバイス等のデバイスとすることができる。通信デバイス700は、通信バス713を備える。この通信バスには、好ましくは、以下のものが接続されている。
・マイクロプロセッサ等のCPUで示される中央処理装置711;
・本発明を実施するコンピュータープログラムを記憶する、ROMで示される読み出し専用メモリ707;
・本発明の実施形態による方法の実行可能コードと、本発明の実施形態による方法を実施するのに必要な変数及びパラメーターを記録するように適合されたレジスタとを記憶する、RAMで示されるランダムアクセスメモリ712;及び
・デジタルデータパケット若しくはデジタルデータフレーム又は制御フレームが送信される無線通信ネットワーク100、例えば、802.11axプロトコルに従ったワイヤレス通信ネットワークに接続された少なくとも1つの通信インターフェース702。
フレームは、CPU711において動作しているソフトウェアアプリケーションの制御下で、RAM712内のFIFO送信メモリから送信用のネットワークインターフェースに書き込まれるか、又は、受信用のネットワークインターフェースから読み取られて、RAM712内のFIFO受信メモリ内に書き込まれる。
【0250】
任意選択で、通信デバイス700は、以下の構成要素も備えることができる。
・本発明の1つ以上の実施形態による方法を実施するコンピュータープログラムを記憶するハードディスク等のデータ記憶手段704;
・ディスク706からのデータの読み出し又はこのディスク上へのデータの書き込みを行うように適合された、ディスク706のディスクドライブ705;
・復号化されたデータを表示し、及び/又は、キーボード710若しくは他の任意のポインティング手段によるユーザーとのグラフィカルインターフェースとしての機能を果たす、画面709。
【0251】
通信デバイス700は、任意選択で、例えばデジタルカメラ708等の様々な周辺機器に接続することができる。各周辺機器は、通信デバイス700にデータを供給するために入力/出力カード(図示せず)に接続される。
【0252】
好ましくは、通信バスは、通信デバイス700に含まれるか又は接続された様々な要素間の通信及び相互運用性を提供する。バスという表現は限定ではなく、特に、中央処理装置は、命令を通信デバイス700の任意の要素に直接又は通信デバイス700の別の要素によって通信するように動作可能である。
【0253】
ディスク706は、任意選択で、例えば、再書き込み可能若しくは再書き込み不能なコンパクトディスク(CD-ROM)、ZIPディスク、USBキー又はメモリカード等の任意の情報媒体と取り替えることができ、包括的に言えば、情報記憶手段と取り替えることができる。この情報記憶手段は、マイクロコンピューター又はマイクロプロセッサによって読み取ることができ、装置内に組み込まれている場合もあるしそうでない場合もあり、場合によっては着脱可能であり、実行されると、本発明による方法を実施することを可能にする1つ以上のプログラムを記憶するように適合されている。
【0254】
実行可能コードは、任意選択で、読み出し専用メモリ707、ハードディスク704、又は例えば前述したようなディスク706等の着脱可能デジタル媒体のいずれかに記憶することができる。任意選択の変形形態によれば、プログラムの実行可能コードは、実行される前に、ハードディスク704等の通信デバイス700の記憶手段のうちの1つに記憶するために、通信ネットワーク703を用いてインターフェース702を介して受信することができる。
【0255】
中央処理装置711は、好ましくは、本発明による単数又は複数のプログラムのソフトウェアコードの命令又は部分の実行を制御及び指示するように適合されている。それらの命令は、前述の記憶手段のうちの1つに記憶されている。電源が投入されると、不揮発性メモリ、例えば、ハードディスク704又は読み出し専用メモリ707に記憶された単数又は複数のプログラムは、ランダムアクセスメモリ712内に転送され、ランダムアクセスメモリ712は、その後、単数又は複数のプログラムの実行可能コードと、本発明を実施するのに必要な変数及びパラメーターを記憶するレジスタとを含む。
【0256】
好ましい実施形態では、本装置は、ソフトウェアを用いて本発明を実施するプログラマブルな装置である。ただし、代替的に、本発明は、ハードウェア(例えば、特定用途向け集積回路、すなわちASICの形態)で実施することもできる。
【0257】
図8は、本発明を少なくとも部分的に実行するように適合されたAP110又は局101~107のうちの1つのいずれかである通信デバイス700のアーキテクチャを概略的に示すブロック図である。図示するように、デバイス700は、物理(PHY)レイヤブロック803、MACレイヤブロック802、及びアプリケーションレイヤブロック801を備える。
【0258】
PHYレイヤブロック803(ここでは、802.11標準化PHYレイヤ)は、フレームをフォーマットし、フレームを任意の20MHzチャネル若しくは複合チャネル上に変調し、又は任意の20MHzチャネル若しくは複合チャネルから復調し、さらに、用いられる無線媒体100を介してフレームを送受信するタスクを有する。例として、フレームは、802.11フレーム、例えば、送信スロットを予約する媒体アクセストリガーフレームTF530(
図5)、レガシー802.11局とインタラクトする20MHz幅に基づくMACデータ管理フレーム、及び無線媒体との間の20MHzレガシーよりも小さな幅(通常は2MHz又は5MHz)を有するOFDMAタイプのMACデータフレームのMACデータ管理フレーム等である。
【0259】
MACレイヤブロック又はコントローラー802は、好ましくは、従来の802.11ax MAC動作を実施するMAC802.11レイヤ804を備える。MACレイヤブロック802は、任意選択で、ソフトウェアで実施することができる。このソフトウェアは、RAM712内にロードされ、CPU711によって実行される。
【0260】
デバイス700は、(局の視点から、又はAPの視点からのいずれかから)本発明の実施形態の一部を実施する追加ブロック805を更に備える。追加ブロック805はMACレイヤブロック802及び/又は物理レイヤブロック803において実施される場合があり、それゆえ、両方のブロックとインタラクトする場合がある。一実施態様において、追加ブロック805は、MU DLフレーム内にカプセル化するために、形成されたMACフレームを受信する。
【0261】
本発明の実施形態による、OFDMAを介しての通信を正確に処理するために、MAC802.11レイヤ804、追加ブロック805及びPHYレイヤブロック803が互いにインタラクトする。
【0262】
図の上部において、アプリケーションレイヤブロック801は、データパケット、例えばビデオストリームのデータパケットを生成及び受信するアプリケーションを実行する。アプリケーションレイヤブロック801は、ISO標準化に従ったMACレイヤの上にある全てのスタックレイヤを代表する。
【0263】
図6のシナリオから生じるいくつかの問題に戻ると、MUダウンリンクOFDMA送信のために与えられるRUは、AIDを用いて特定の局に割り当てられる。図示される例では、RUはSTA3、STA5、STA4、STA2、STA8及びSTA7に連続して割り当てられる。
【0264】
いくつかの局、ここでは、STA3及びST8に関して、送信すべきデータの量は、予約されるRUのサイズに対して少ない。結果として、20MHzチャネル上の十分な活動を保持するために(予期しないアクセスを回避するためにレガシーノードが検出できるように)、AP110によってパディングデータ(黒部分)が追加される。図示されるRUの黒部分は、パディングがネットワークの帯域幅をいかに浪費するかを示す。
【0265】
また、AP110は、複数の受取局、ここでは、STA4及びSTA5にアドレッシングされることになる、別のネットワーク又は上位OSIレイヤからのマルチキャストMACフレームを受信している場合がある。
【0266】
マルチキャストアドレッシングは、イーサネットマルチキャスト等のリンクレイヤ内で使用することができ、インターネットレイヤにおいて使用することができる(例として、IPプロトコルが、マルチキャスト範囲として、224.0.0.0から239.255.255.255までのアドレスを含む)。
【0267】
802.11axは、MUダウンリンクOFDMA送信においてマルチキャストトラフィックを可能にするいかなる機構も提供しないので、APは、STA5及びSTA4に割り当てられるRUに関して、図示されるように、MACフレームを、2つの別々のRUを介して送信されることになる2つのHE-MU PPDUの中に複製しなければならない。特に2つの別々のRUをシグナリングするのにコストがかかるので、これも帯域幅を浪費する。
【0268】
MUダウンリンクOFDMA送信中に送信されるデータフレームの確認応答は、同じTXOP#2に属するMU ACK期間625中に受信局STA2~5並びにSTA7及び8によって実行される場合がある。MU ACK期間625は、例えば、MUダウンリンクOFDMA送信直後の後続のMUアップリンクOFDMA送信である。
【0269】
その場合に、MU ACK期間625は複数のスケジューリングされたRU(ここでは、以下において「応答」又は「確認応答」又は「ack」RUと呼ばれる)から形成され、それらのRUは、先行するMUダウンリンクOFDMA送信において搬送されるフレームの専用MACヘッダー部分において規定される。
【0270】
フレーム確認応答のためのMU ACK期間625において受信局STA2~5並びにSTA7及び8のそれぞれによって使用されることになる応答RUは、MUダウンリンクOFDMA送信の送信されたデータフレーム内にAPによって与えられる応答リソースユニット情報において識別される。この識別により、応答RUは局に(間接的に)割り当てられる。応答RUは、それゆえ、スケジューリングされたRUである。一般に、応答RUは、MUダウンリンクOFDMA送信中に使用されるRUと同じである(すなわち、同じRU位置にある)。
【0271】
応答リソースユニット情報は、受信局にアドレッシングされるデータフレームのうちの1つ(又は2つ以上)内の、いわゆる、アップリンクマルチユーザー応答スケジューリング(すなわち、UMRS)制御サブフィールドにおいてシグナリングされる。
【0272】
UMRSサブフィールドは、
図2h~
図2jを参照しながらここで説明されるように、802.11ax、バージョン2.0標準規格において規定される。
【0273】
図2hは、MU DL送信620を介して搬送されるHEマルチユーザーPPDU内のMACフレームのMACヘッダーを示す。MACフレーム(それゆえ、MACヘッダー)は、HE MU PPDUのデータフィールドにおいて搬送される(
図2cを参照)。
【0274】
知られているように、MACヘッダーは、MACフレームの受信アドレス(RA)、すなわち、MPDUがアドレッシングされる受取局のMACアドレスを含む、フィールド「Address_1」210を含む。特定の事例において、MACアドレスはブロードキャストアドレス(例えば、FF:FF:FF:FF:FF:FF)とすることができる。
また、このMACヘッダーはHT制御フィールド250を含む。HT制御フィールドは、考慮される802.11標準規格に応じて、いくつかの構成をとることができる。変形形態のHE構成は802.11ax標準規格に対応し、その場合、変形形態のHE HT制御フィールドは
図2iに示されるA-制御サブフィールド260(アグリゲート制御フィールドを表す)を含む。
【0275】
A-制御サブフィールド260はいくつかの制御フィールドをアグリゲートし、それは一連の1つ以上の制御サブフィールド261である。A-制御サブフィールド260の長さは30ビットに等しい。各制御サブフィールド261は、後続する制御情報サブフィールド263内で搬送される情報のタイプを示す、制御ID262サブフィールドから構成される。必要に応じて、全部で30ビットのA-制御サブフィールドになるように、パディングビットが追加される。
【0276】
したがって、A-制御サブフィールド260を通して、種々のタイプの情報を与えることができる。例えば、制御ID262が1であるとき、制御情報サブフィールド263において動作モードを示すことができる。また、制御ID262が4であるとき、制御情報サブフィールド263において電力データを示すことができる。
【0277】
制御ID262が0であるとき、制御情報サブフィールド263は、UL MU応答スケジューリング(UMRS)情報又は制御サブフィールド264である。UMRS情報264の1つの表現が
図2jに示される。それは26ビットにわたって種々のサブフィールドを含む。
【0278】
それらのサブフィールドのうちの1つが8ビットRU配分サブフィールド265である。サブフィールドは、データフレームに対する応答(
図2dに示されるように、HEトリガーベースPPDU)をアクセスポイントに与えるために、対応するHEマルチユーザーMPDUを受信する受取局によって、MU Ack625のどの応答RUが使用されるべきであるかを示す。
【0279】
RU配分サブフィールド265のフォーマットは、上記で導入されたように、HE-SIG-Bフィールド200の共通ブロック220において与えられるRU配分サブフィールド、又はトリガーフレームにおいて与えられるRU配分サブフィールドと実質的に同じフォーマットに従う。
【0280】
応答を送出するように意図された局は、UMRS情報264を含むHE DL MUフレームを受信する受取局(すなわち、RUが割り当てられている局)であるので、UMRS情報264は、この局のAIDを示すサブフィールドを必要としないことに留意することができる。
【0281】
有効なUMRS情報264が見つけられない場合には、受取局はアクセスポイントに応答すべきではない。
【0282】
一般に、同じRUを介してAPによって送信される1つのMPDUのみが、UMRS情報264を含む。当然、いくつかのMPDUがそのような情報を含むことができ、その場合、A-MPDUにおいて搬送されるMPDU内のUMRS制御フィールド264は同じ値を有し、すなわち、UMRS情報が生じる場合に全てが同じ値を有する。A-MPDUにおいて搬送されるMPDU内のUMRS制御フィールドは同じ値を有する。これは、使用されることになる応答RUを決定するときに衝突するのを回避するためである。
【0283】
図6に戻ると、APは、MUダウンリンクOFDMA送信のダウンリンクRUにAIDを割り当てなければならないので、APは、MUダウンリンクOFDMA送信を用いて、未アソシエーション局、ここでは、STA1及びSTA6に応答管理フレーム(例えば、320、350、370)を与えることはできない。802.11axの現在のバージョンでは、MUダウンリンクOFDMA送信は既にアソシエートされている局に限定される。それは、(APから局への)応答管理フレームが依然としてレガシーシングルユーザー(SU)モードを用いて搬送されるべきであることを意味する。例えば、AP110は新たなTXOP(ここでは、TXOP#3)のために媒体に再びアクセスするまで待ち、TXOP中に、AP110は、HE SU PPDU630-1を用いて、例えば、プローブ応答フレーム320をSTA1に送信し、別のTXOP(ここでは、TXOP#4)のために媒体に再びアクセスするまで再び待ち、TXOP中に、AP110は、HE SU PPDU630-2を用いて、例えば、認証応答フレーム350をSTA6に送信する。全ての場合に、確認応答ACK330が、受取局から受信される場合がある。
【0284】
応答管理フレームを取り扱うためにHE SU PPDUを使用する必要があるのは満足のいくものではない。一方では、AP110はネットワークに新たにアクセス競合しなければならないので、それはネットワーク管理において遅延を導入し、他方では、HE SU PPDUは低ビットレートで送信されるので、送信されることになる少数のデータを与えられると、それは長期にわたって媒体を非効率的に使用する。
【0285】
802.11axの現在のバージョンのこれらの種々の欠点(管理フレームの交換の例示的な状況を通して例示されるが、任意の他のタイプのフレームに関係する場合がある)は、MUダウンリンク送信のより効率的な使用法が要求されることを示す。
【0286】
これらの欠点の一部を解決する第1の手法が以下に導入され、
図9a~
図9dから
図12a及び
図12bまでを参照しながら、例示的な詳細な実施形態を用いて説明される。
【0287】
これらの欠点の一部を同様に解決する、アグリゲーションに基づく他の手法が後に更に導入され、
図13a及び
図13bから
図16までを参照しながら、例示的な詳細な実施形態を用いて説明される。
【0288】
第1の手法によれば、本発明者らによって、AIDを使用しない局、例えば、未アソシエーション局等のAIDを与えられない局に、MUダウンリンク送信においてダウンリンクRUをアドレッシングできる(割り当てられる)ようにすることが検討された。
【0289】
第1の新規の概念は、登録/アソシエートするときに特定の局に関連付けられていない特定のAID、例えば、AID=2045等の、アクセスポイントとアソシエートされていない局のために予約されるアソシエーション識別子を使用することに頼る。
【0290】
したがって、AIDを有しない局をアドレッシングする意思があるAPは、アクセスポイントに許可された送信機会内でアクセスポイントからのマルチユーザーダウンリンク送信において複数のダウンリンクリソースユニットを与えることができ、複数のダウンリンクリソースユニットは、特定の局に関連付けられない(例えば、アクセスポイントに関連付けられていない局のために予約される)アソシエーション識別子に割り当てられるダウンリンクリソースユニットを含む。次に、APは、アクセスポイントとアソシエートされていない局のために予約されるそのようなダウンリンクリソースユニット上で局にフレームを送信することができる。
【0291】
単数又は複数の受取局は、アクセスポイントに許可された送信機会内でアクセスポイントからのマルチユーザーダウンリンク送信において含まれる複数のダウンリンクリソースユニットから、特定の局に関連付けられない(例えば、AID=2045等の、アクセスポイントとアソシエートされていない局のために予約される)アソシエーション識別子に割り当てられるダウンリンクリソースユニットを簡単に決定できるようになる。次に、局は、決定されたダウンリンクリソースユニット上でアクセスポイントからフレームを受信することができる。
【0292】
第2の新規の概念は、MUアップリンク送信において局によって既に使用されているアップリンクRUと、同じ局にフレームを与えるためにAPがMUダウンリンク送信において使用することになるダウンリンクRUとの間のRUプロファイルに関する照合に頼る。
【0293】
したがって、アクセスポイントに許可された送信機会内でアクセスポイントに向かうマルチユーザーアップリンク送信において与えられる複数のアップリンクリソースユニットのうちの1つのアップリンクリソースユニットを用いて、局がアクセスポイントにフレーム(例えば、まだアソシエートされていない局の要求管理フレーム)を送信する(又は逆にAPがフレームを受信する)ときに、複数のアップリンクリソースユニットが或る配分方式に従って配分され(例えば、周波数領域において配分され)、APは、アクセスポイントに許可された同じ送信機会、又は次の送信機会内でアクセスポイントからのマルチユーザーダウンリンク送信に含まれる複数のダウンリンクリソースユニットを構築することができ、複数のダウンリンクリソースユニットは、アップリンクリソースユニットと少なくとも1つの一致する配分方式特性を有するダウンリンクリソースユニットを含み、その後、APは、ダウンリンクリソースユニット上で局にフレーム(例えば、応答管理フレーム)を送信することができる。
【0294】
これに関連して、局は、使用したアップリンクリソースユニットの配分方式特性に基づいて、ダウンリンクリソースユニットを決定するだけでよく、その後、決定されたダウンリンクリソースユニット上でアクセスポイントからフレームを受信する。
【0295】
実施形態において、局によるそのような決定は、マルチユーザーダウンリンク送信において、特定の局に関連付けられない(例えば、アクセスポイントとアソシエートされていない局のために予約される)アソシエーション識別子に割り当てられるダウンリンクリソースユニットの数によって決まる場合がある。これは、局が2つの挙動を切り替える能力を与えるためである。
【0296】
例えば、MUダウンリンク送信において、未アソシエーション局のために予約される所定の識別子(例えば、AID=2045)を有する1つのダウンリンクRUのみが含まれる場合には、各未アソシエーション局は、ダウンリンクRUの受領局と見なされる場合があり、すなわち、ダウンリンクRUは、局にアドレッシングされるフレームを潜在的に含む場合がある。例えば、ダウンリンクRUは、未アソシエーション局のうちの1つのためのフレームを含む場合があるか、又は全ての未アソシエーション局のためのブロードキャストフレームを含む場合がある。この挙動において、MUアップリンク送信の配分方式は考慮に入れられない。
【0297】
各受領局は、局が受取局であるフレーム(複数の場合もある)のみを保持(「受信」)するために、ダウンリンクRU内に含まれる(MAC)フレーム(複数の場合もある)のRAフィールド(受信機又は宛先アドレス)をチェックすることができる。
【0298】
一方、MUダウンリンク送信において、未アソシエーション局のために予約される所定の識別子(例えば、AID=2045)を有する2つ以上のダウンリンクRUが含まれる場合には、使用したアップリンクリソースユニットの配分方式特性に基づいて、未アソシエーション局が、もしあるなら、自らに割り当てられたダウンリンクリソースユニットを決定しなければならない。配分方式特性に一致するそのようなダウンリンクRUが見つけた場合には、未アソシエーション局は、決定されたダウンリンクリソースユニット上でアクセスポイントからフレームを受信する。
【0299】
その場合、各ダウンリンクRUは1つのみの受領局を有する。したがって、未アソシエーション局は、フレームが実際に自らにアドレッシングされることを確認するために、任意選択で、ダウンリンクRU内に含まれる(MAC)フレーム(複数の場合もある)のRAフィールドをチェックすることができる。
【0300】
チェックするステップを実施するときであっても、未アソシエーション局は、どのダウンリンクRUを復号すべきか判断するために、アップリンクシグナリングから恩恵を受ける。有利には、(特定の局に割り当てられない1つのダウンリンクRU又は複数のダウンリンクRU)いずれの場合でも、各未アソシエーション局は、2つ以上のダウンリンクRUを復号する必要はない。
【0301】
したがって、2045に等しいSTA-IDを有するRUを含むMU DLフレーム(例えば、HE MU PPDU)を受信する未アソシエーションの非AP局は、以下の条件のうちの1つが生じる場合に、2045に等しいSTA-IDを有するRUの受領局と見なされるべきである。
・MU DLフレーム内に2045に等しいSTA-IDを有する唯一のRUが存在する。
・STAが、2045に設定されたAIDを有するランダムアクセスRU(複数の場合もある)を含むトリガーフレームに応答して管理要求フレームを先行して送信しており、2045に等しいSTA-IDを有するRUが、先行して送信されたMU ULフレーム(例えば、802.11axによるHE TB PPDU)において要求を搬送するRA RUのRU配分と同じRU配分を有する。
【0302】
AID=2045を有するMU DL RUは「ブロードキャストRU」と呼ばれる場合もあることに留意されたい。この呼称のとおり、ブロードキャストRUは、ユニキャストMACフレーム(ユニキャストMACアドレスに対応するRAフィールド)を含む場合があるか、ブロードキャストMACフレーム(ブロードキャストMACアドレスに対応するRAフィールド)を含む場合がある。
【0303】
HE MU PPDU内に2045に等しいSTA-IDを有する複数のRUを与えることは、アソシエートされたSTAにアドレッシングされる2つ以上のダウンリンクRUを有しないという一般的な要件に対する例外と見なすことができることにも留意されたい。言い換えると、送信されたHE MU PPDUの受領局であるSTAのリストがアレイSTA_ID_LISTによって表される場合には、特定の(AID)値を有するSTA_ID_LIST要素は、以下の場合を除いて、アレイ内に2回以上現れないことになる。
・値が未配分RU(例えば、2046)を識別するか、又は
・値が2045であり、未アソシエーションSTAに向かうことになるブロードキャストRUを識別する。
【0304】
実施形態によれば、APの視点から、APは、以下の制約を考慮して、ブロードキャストRU(例えば、AID=2045を有する)においてアソシエーション応答フレームを未アソシエーションSTAに送信する。
・HE MU PPDU内に複数のブロードキャストRU(AID=2045)が挿入される場合がある。
・HE MU PPDU内に唯一のブロードキャストRU(AID=2045)が挿入される場合には、ブロードキャストRUは、1つ又は全ての未アソシエーションSTAにアドレッシングすることができる。
・HE MU PPDU内に複数のブロードキャストRU(AID=2045)が挿入される場合には、各ブロードキャストRUは1つの未アソシエーションSTAのみにアドレッシングされる。
・未アソシエーションSTAにアソシエーション応答フレームを送信するために、
-APは、対応するアソシエーション要求フレームを送信するために未アソシエーションSTAによって使用されたRA RU(AID=2045)のRU配分と同じRU配分をブロードキャストRU(AID=2045)のために使用することができる(
図9dを参照)か、
-全ての未アソシエーションSTAにアソシエーション応答フレームをブロードキャストするために、APは、ブロードキャストMACフレームを埋め込む単一のブロードキャストRU(AID=2045)を使用することができる(
図12aを参照)か、又は、
-APは、未アソシエーションSTAにアドレッシングされるユニキャストMACフレームを埋め込む単一のブロードキャストRU(AID=2045)を使用することができる(
図12bを参照)。
【0305】
未アソシエーション局にアドレッシングされるユニキャストMACフレームを含むブロードキャストRUは、アクセスポイントに確認応答を与えるために、マルチユーザーダウンリンク送信機会に後続するマルチユーザーアップリンク送信機会内で未アソシエーション局によって使用されることになるアップリンクリソースユニットを識別する情報項目を含むことができる。標準規格IEEE802.11axのドラフト2.1において規定されるようなUMRS制御フィールドは、MPDUに関して確認応答するために、未アソシエーションSTAによって、どのUL RUが使用されなければならないかを示すために使用することができる。
【0306】
これらの概念の結果として、MUダウンリンク送信を、未アソシエーション局に、より一般的には、特定の局に割り当てられるAIDを使用しない任意の局に効率的に拡張することができる。好ましくは、アクセスポイントとアソシエートされていない局のために予約されるAIDが使用される。
【0307】
したがって、MUダウンリンク送信は、既知の現在の802.11ax要件と比べて著しく改善される。
【0308】
これらの新規の概念に関して、追加ブロック805は、ダウンリンクOFDMAリソースユニット(サブチャネル)の使用法を制御するためのRUプロファイル管理モジュールとしての役割を果たすことができる。
【0309】
例えば、網羅的ではないが、APに関する動作は、MUアップリンク送信においてAID(例えば、未アソシエーション局のために予約されるAID)が利用できない局によって使用されるアップリンクRUを決定することと、使用されるアップリンクRUに関連するRU配分方式特性を記憶することと、記憶されたRU配分方式特性に一致するダウンリンクRUを含むダウンリンクRUを用いてMUダウンリンク送信を構築することと、そのような一致するダウンリンクRU内で局に応答を送信することとを含むことができる。APとは異なる局に関する動作は、MUアップリンク送信においてAPにデータ(例えば、要求)を送信するために使用されるアップリンクRUのRU配分方式特性を把握しておくことと、この一致するダウンリンクRU上でAPによって与えられる応答を読み取るために、使用されるRUのRU配分方式特性と一致するMUダウンリンク送信内のダウンリンクRUを決定することとを含むことができる。
【0310】
その場合、局に関連付けられるAIDを使用しない局にアドレッシングされるダウンリンクOFDMA RUを介しての通信を正確に処理するために、MAC802.11レイヤ804、RUプロファイル管理モジュール805及びPHYレイヤブロック803が互いにインタラクトする。
【0311】
これらの概念の実施形態が、ここで、OFDMA RUを検討することによって、IEEE802.11axに関連する種々の例示的な実施形態を用いて例示される。
【0312】
提案される例は、同様に、802.11アソシエーションプロセスの管理フレームを参照しながら主に説明されるが、第1の手法はそのような管理フレーム送信に限定されるのではなく、任意の802.11データフレーム又は制御フレームに適用することができる。
【0313】
図9aは、APとアソシエートするプロセスにおいてまだアソシエートされていない局STA1及びSTA6に関して、上記で説明された
図6の例示的な状況に及ぼす第1の手法のいくつかの実施形態の影響を示す。
【0314】
AP110はTXOP#1を許可され、MU UL送信機会を予約するために、
図6の場合と同じトリガーフレーム530を送信する。このトリガーフレーム530は、AID=2045を有する少なくとも1つのランダムRU(ここでは、2つのそのようなランダムRU)を規定する。まだアソシエートされていない局STA1及びSTA6は、AID=2045を有するランダムRU510においてAPに要求管理フレームを送信する(他のRUは他の局によって使用される)。
【0315】
APは、Multi-STA BlockAckフレーム640を用いて、受信されたフレームに関して確認応答する。
【0316】
このシーケンス中に、AP及び局はいずれも、STA1及びSTA6によって使用されるアップリンクRUを規定する1つ以上の配分方式特性を保存するために、特定の動作を実行する。
【0317】
これは以下の情報、すなわち、使用される配分方式(すなわち、
図2fの対応するエントリ)におけるアップリンクリソースユニットの位置、使用される配分方式におけるアップリンクリソースユニットの周波数帯域(すなわち、
図2fの対応するエントリによる、20MHzチャネル内のトーン)、使用される配分方式におけるアップリンクリソースユニットのサイズ(すなわち、
図2fの対応するエントリにおいて示されるようなトーンの数)のうちの1つ以上を含む。
【0318】
例えば、
図10aは、APがトリガーするMUアップリンク送信に関連するAPにおける主要ステップを、フローチャートを用いて示す。
【0319】
ステップ1010において、トリガーフレーム530によって、MUアップリンク送信が開始される。
【0320】
APが、ランダムRU上でAID=2045を有するまだアソシエートされていない局からフレームを受信した場合には(テスト1020)、APは、ステップ1030において、使用されるアップリンクRUのRUプロファイル、すなわち、関連する配分方式特性を記憶し、それらの配分方式特性をそれぞれ、送信されるまだアソシエートされていない局に関連付ける。フレームは、例えば、要求管理フレームである。
【0321】
例えば、APは、使用される配分方式に対応する8ビットインデックス(
図2f)及び使用される配分方式によって規定されるリストの中から使用されるアップリンクRUの位置とともに、(受信された要求管理フレームにおいて取得される)まだアソシエートされていない局のMACアドレスを記憶することができる。これら3つの情報項目により、APは、上記で言及された配分方式特性のいずれかを取り出すことができるようになる。
【0322】
テスト1020が否定された場合、アルゴリズムはステップ1010にループバックし、新たなトリガーフレームの送信を待つ。
【0323】
ステップ1030の次に、ステップ1040において、APは、例えば、要求管理フレームを送信したまだアソシエートされていない局を含む、送信局に確認応答を送信する。
【0324】
それに応じて、
図11aは、APによってトリガーされるMUアップリンク送信に関連するまだアソシエートされていない局における主要ステップを、フローチャートを用いて示す。
【0325】
プロセスはステップ1110において開始し、ステップでは、まだアソシエートされていない局が、AID=2045を有する1つ以上のランダムRUを含む、APによって送信されたトリガーフレーム530を検出する。
【0326】
その場合に、APに登録/APとアソシエートする意思があるまだアソシエートされていない局は、AID=2045を有するそのようなランダムRUにアクセス競合する。まだアソシエートされていない局に対してそのようなランダムRUが許可されると、まだアソシエートされていない局は、AID=2045を有するアクセスされたランダムRU510において、要求管理フレーム等の要求フレーム(局が、アソシエーション手順のどの段階に入っているかに応じて、310、340、360)を送信する。これがステップ1120である。
【0327】
将来その要求にAPが応答することを意味する確認応答がAPから受信された場合には(テスト1130)、まだアソシエートされていない局は、使用されるランダムRUのRUプロファイル、すなわち、関連する配分方式特性を記憶する。これがステップ1140である。
【0328】
例えば、まだアソシエートされていない局は、使用される配分方式によって規定されるリストの中から、使用される配分方式に対応する8ビットインデックス(
図2f)及び使用されるアップリンクRUの位置を記憶することができる。
【0329】
図9aに戻ると、APは同じTXOP#1においてMUダウンリンク送信を開始する。これは、802.11axによって与えられるカスケード処理オプション(cascading option)によって可能である(許可されたTXOP中に、ダウンリンク又はアップリンクいずれかのいくつかのMU送信をカスケード処理することを局に予告するために、APは、トリガーフレーム530のヘッダー内のカスケード処理フィールドをイネーブルにすることができる)。代替的には、Multi-STA BlockAckフレーム640後に、APはDIFS期間未満だけ待つことによって、媒体を事前取得することができる(したがって、他の局は、媒体にアクセス競合するために、自らのバックオフカウンターをデクリメントし始める時間はない)。
【0330】
この例において、APは、実施形態の教示を用いて、MUダウンリンク送信中に、受信されたフレーム、例えば、要求管理フレームに応答する。
【0331】
そのため、APは、STA1及びSTA6によって使用されるアップリンクRU(AID=2045を有する)の記憶されたRUプロファイルを考慮に入れる特定のRU配分プロファイルを用いて、MUダウンリンク送信を構築する。詳細には、APは、MUダウンリンク送信において、STA1によって使用されるアップリンクRUと同じ配分方式特性(例えば、同じ位置)を有する、AID=2045を有する第1のダウンリンクRUと、STA6によって使用されるアップリンクRUと同じ配分方式特性を有する、AID=2045を有する第2のダウンリンクRUとを与える。
【0332】
それは、MUダウンリンク送信及びMUアップリンク送信の両方におけるまだアソシエートされていない局のための種々のリソースユニットが、任意の特定の局に関連付けられない、詳細には、未アソシエーション局のために予約される同じ所定のアソシエーション識別子、ここでは、AID=2045を用いてシグナリングされることを意味する。
【0333】
図の例において、STA1は、MUアップリンク送信510中に位置#1において、アップリンクRUにおいて自らのプローブ要求フレーム310を送信した。その場合に、APは、位置#1において、同じくAID=2045を有するダウンリンクRUを用いてMUダウンリンク送信を構築する。
【0334】
同様に、STA6は、MUアップリンク送信510中に位置#6において、アップリンクRUにおいて自らの認証要求フレーム340を送信した。その場合に、APは、位置#6において、同じくAID=2045を有するダウンリンクRUを用いてMUダウンリンク送信を構築する。
【0335】
当然、上記で導入されたように、アップリンクRU位置とは別の配分方式特性を使用することができる。
【0336】
この手法によって、まだアソシエートされていない局STA1及びSTA6は、AID=2045に割り当てられたという条件で、MUダウンリンク送信における第1及び第6のリソースユニットが自らに向けられることを知る。それは、この実施形態において、まだアソシエートされていない局が、自らにアドレッシングされるダウンリンクRUを識別するために2つの基準が組み合わせられることを意味し、第1の基準として、ダウンリンクRUがAID=2045を割り当てられる場合があり、第2の基準として、関連する配分方式特性が、先行するフレーム、例えば、要求管理フレームを送信するときにMUアップリンク送信において使用されるアップリンクRUと一致しなければならない。
【0337】
したがって、AP110は、そのように構築された、AID=2045を有するダウンリンクRU920を用いて、まだアソシエートされていない局に応答を送信する(他のダウンリンクRUは、従来通りに使用される)。この例において、APは、第1のダウンリンクRU(位置#1)を用いて、STA1にプローブ応答フレーム320を送信し、第6のダウンリンクRU(位置#6)を用いて、STA6に認証応答フレーム350を送信する。
【0338】
最後に、まだアソシエートされていない局STA1及びSTA6は、自らの先行する要求フレームに応答して、これらの2つのダウンリンクRU上でAPによって送信された応答フレームを受信及び復号し、良好に受領したことをアップリンク送信940によって確認応答する。
【0339】
図6と比べて、この図から容易に明らかになるように、管理フレームに関する連続SU送信(630-1及び630-2)がここでは回避され、結果として、まだアソシエートされていないSTAに関するアソシエーション手順が簡略化され、ネットワークがより効率的に使用される。これは、802.11axのような高密度ネットワークにおける新たな局のアソシエーションを管理するのに特に有利である。
【0340】
図10bは、いくつかの実施形態を実施するときに、APがトリガーするMUダウンリンク送信に関連するAPにおける主要ステップを、フローチャートを用いて示す。これらの動作は、まだアソシエートされていない局からの1つ以上の要求管理フレームの受信に後続し、MU DL送信を用いて、APがそれらの局に応答フレームをいかに送信するかを記述する。
【0341】
ステップ1050において、APは、先行するMUアップリンク送信中にまだアソシエートされていない局から受信された要求管理フレームに応答して、1つ以上の応答管理フレームを送信する準備ができたか否かを判断する。
【0342】
肯定の場合、ステップ1060において、APは、送信すべき応答フレームごとに、対応するまだアソシエートされていない局のために記憶される配分方式特性に一致する(すなわち、MUアップリンク送信において要求フレームを送信するために局によって使用されたアップリンクリソースユニットの配分方式特性に一致する)ダウンリンクリソースユニットを含む、MUダウンリンクフレーム(すなわち、アクセスポイントに許可された送信機会内でアクセスポイントからのダウンリンク送信に割り当てられる複数のダウンリンクリソースユニット)を構築する。例えば、ダウンリンクRU及びアップリンクRUは、使用された配分方式内の同じ位置を有することができる。そのような各ダウンリンクリソースユニットが、AID=2045に関連してHE-SIG-Bにおいて宣言される。
【0343】
次に、ステップ1070において、AP110は、AID=2045を有する対応するダウンリンクRU上で、適切なまだアソシエートされていない局に各応答管理フレームを送信する。
【0344】
それに応じて、
図11bは、いくつかの実施形態による、APによってトリガーされるMUダウンリンク送信に関連するまだアソシエートされていない局における主要ステップを、フローチャートを用いて示す。これらの動作は、MUダウンリンク送信においてAPから受信された応答管理フレームを、そのような局がいかに復号するかを記述する。
【0345】
まだアソシエートされていない局は、先行するMUアップリンク送信において、AID=2045を有するアップリンクRUを用いてAPに要求管理フレームを既に送信しており、応答を待っている。
【0346】
プロセスは、フレームがAID=2045を有するダウンリンクリソースユニットを含むか否かを判断するために、ステップ1150において、MUダウンリンクフレームが受信されるときに開始する。
【0347】
否定される場合、まだアソシエートされていない局は、次のMUダウンリンクフレームを待つ。
【0348】
肯定される場合、ステップ1160において、局は、AID=2045を有するダウンリンクRUのうちの1つがステップ1140において記憶された配分方式特性に一致する配分方式特性を有するか否かを判断する。これは、AID=2045を有するダウンリンクRUが、先行するMUアップリンク送信において使用された位置(アップリンクRU)と同じ位置を有するか否かを単に検証することからなる場合がある。
【0349】
AID=2045を有する一致するダウンリンクRUが見つけられた場合、まだアソシエートされていない局は、APによって送信されるフレームを読み取るために、このダウンリンクRUを選択する(ステップ1170)。任意選択で、フレームを処理する前に、局は、フレーム内に規定されるMACアドレスを更に読み取り、チェックする場合がある。
【0350】
したがって、このダウンリンクRUから応答管理フレームが復号され、例えば、MAC802.11レイヤブロック804に転送される(ステップ1180)。
【0351】
図9aは、応答を与えるMUダウンリンク送信のダウンリンクリソースユニットが、アクセスポイントに許可された同じ送信機会内で、要求が送信されたMUアップリンク送信のアップリンクリソースユニットの直後に続く状況を示すが、他の実施形態は、要求が送信されたアップリンク送信に割り当てられるアップリンクリソースユニット及び応答を与えるダウンリンク送信に割り当てられるダウンリンクリソースユニットが、アクセスポイントに許可された同じ送信機会内で、ダウンリンク又はアップリンクいずれかの、1つ以上の他のMU送信によって分離されることを規定することができる。
【0352】
これが
図9bに示されており、
図9bは、送信510と送信920との間に1つ以上のMU送信を挿入できることを示す。
【0353】
この実施形態は、APに応答管理フレームを準備する時間を与える。
【0354】
別の状況が
図9cに示されており、
図9cでは、応答を与えるMUダウンリンク送信のダウンリンクリソースユニット及び要求が送信されたMUアップリンク送信のアップリンクリソースユニットが、アクセスポイントに許可された2つの別々の送信機会に属する。
【0355】
2つの別々のTXOP間では、任意の局がデータを送信するために競合し、媒体にアクセスすることができる。
【0356】
この実施形態も、APに応答管理フレームを準備する時間を与える。
【0357】
図9b及び
図9cの実施形態では、APは、APに要求フレームを送信する、すなわち、現在、APからの応答(管理)フレームを待っている未アソシエーション局によって先行して使用されたアップリンクRUの関連する単数又は複数の配分方式特性に一致する、AID=2045を有するダウンリンクリソースユニットを含む「中間」MUダウンリンクフレームを、2つの送信間に挿入するのを回避することができる。これは、有利には、最終的に自らにアドレッシングされるフレームを含まないダウンリンクRUを、未アソシエーション局が読み取るのを回避する。
【0358】
しかしながら、そのような「中間」MUダウンリンクフレーム(複数の場合もある)を回避するのは必須ではないことに留意されたい。2つの送信間に「中間」MUダウンリンクフレーム(複数の場合もある)が挿入される場合には、自らにアドレッシングされないフレームを含む、AID=2045を有する(関連する単数又は複数の配分方式特性に一致する)ダウンリンクRUを読み取る未アソシエーション局は、フレームを(例えば、RAフィールド203が自らのMACアドレスであるか否かを判断することによって)単に無視し、関連する単数又は複数の配分方式特性に一致する、AID=2045を有するダウンリンクリソースユニットを含む別のMUダウンリンクフレームを監視し続ける。
【0359】
図9dは、MU DLフレーム内で複数のダウンリンクリソースユニット(950)が複数の未アソシエーション局に配分される一般的な実施形態を示す。例示される実施形態において、2045に等しいAIDを有するいくつかのRUが、UL要求に対応するロケーションにおいて、HE-SIG-Bにおいてシグナリングされる。APは、AID=2045を有するこれらのダウンリンクRUを用いて、未アソシエーション局に、プローブ応答及び認証応答等の応答フレームを送信することができる。
【0360】
別の実施形態が
図12aに示されており、
図12aでは、MU DLフレーム内で固有ダウンリンクリソースユニット(1210)が未アソシエーション局(すなわち、AID=2045を有する)に配分される。APは、AID=2045を有するこの単一のダウンリンクRUを用いて、未アソシエーション局に、ブロードキャストフレーム(すなわち、ブロードキャストアドレスに設定されたRAフィールド203を有する)として応答フレームを送信することができる。
【0361】
後に説明されるように、AID=2045を有する単一のダウンリンクRUが与えられるとき、未アソシエーション局は、自らの関連する単数又は複数の配分方式特性との一致をチェックしない。それらの局は全て、AID=2045を有するこの単一のダウンリンクRUのフレーム(複数の場合もある)を読み取る。配分方式特性チェックを行わないことに起因して、AID=2045を有するこのダウンリンクリソースユニットは、MU DLフレーム内のどの場所にも配置することができる。
図12aは、後に説明される
図10cのフローチャートのAP側におけるステップ1058及び1054を示す。
【0362】
変形形態が
図12bに示されており、
図12bでは、MU DLフレーム内で固有ダウンリンクリソースユニット(1220)が未アソシエーション局に配分される。これは、APが特定の未アソシエーション局に固有応答を送信することに決めたために行われる場合がある。その場合、AID=2045を有する固有ダウンリンクリソースユニット(1220)を通して送信されるフレームのRAフィールド203は、行先である未アソシエーション局のMACアドレスに設定される。
図12bは、後に説明される
図10cのフローチャートのAP側におけるステップ1053及び1054を示す。
【0363】
これらの図は、MU DL送信において規定されるダウンリンクRUの数に応じて、一致するダウンリンクRUにアクセスする/一致するダウンリンクRUを読み取る前に、未アソシエーション局が、AID=2045を有するダウンリンクRUと、自らの関連する単数又は複数の配分方式特性との一致をチェックする第1の挙動(例えば、AID=2045を有する2つ以上のダウンリンクRUが存在する場合)と、未アソシエーション局が、チェックを実行せず、直接、ダウンリンクRUにアクセスする/ダウンリンクRUを読み取る第2の挙動(例えば、AID=2045を有する単一のダウンリンクRUが存在する場合)とを、未アソシエーション局が切り替えることができることを示す。
【0364】
第2の挙動において、例えば、RAフィールド203(ブロードキャストアドレス又は局に固有のMACアドレス)をチェックすることによって、固有ダウンリンクRUを介して送信されたフレーム(複数の場合もある)が自らにアドレッシングされたか否かをチェックするのは、未アソシエーション局の責任である。RAフィールド203のそのようなチェックは、任意選択で、第1の挙動を伴う未アソシエーション局によって行われる場合がある。
【0365】
いくつかの実施形態によれば、応答管理フレームをそれぞれのまだアソシエートされていない局に送信するために、同じMUダウンリンク送信において、AID=2045を有するいくつかのRUを使用することができる。これは、高密度のアクティブネットワーク(例えば、多数の局が短時間のうちにネットワークに対して接続及び切断を行う鉄道駅)において有利である。
【0366】
有利には、APは、AID=2045を有する多数の(場合によっては、唯一の)ランダムRUを有するトリガーフレームを定期的に与えることができる。好ましくは、
図2fの第1のエントリの配分方式は、まだアソシエートされていない局が自らのアソシエーション手順を実行する最大数の機会を提供するために使用される。したがって、APは、応答管理フレームを与えるために、直後に、同じ配分方式に一致するMUダウンリンク送信を与えることができる。
【0367】
図10cは、いくつかの他の実施形態による、未アソシエーション局に向かうことになるフレームを埋め込む1つ以上のMUダウンリンク送信に関連するAPにおける主要ステップを、フローチャートを用いて示す。MUダウンリンク送信は、既にアソシエートされている局を対象にしたフレームを埋め込むこともできるが、これらの送信は、従来の方法を使用することもできるので、ここでは、これ以上説明されないことに留意されたい。
【0368】
以下の説明において、未アソシエーション局のために予約されるMU DL RUを指定するために、2045の所定の識別子値が選択される。当然、この値は、例示のためにのみ与えられ、任意の他の所定の値又はシグナリング手段が採用される場合がある。
【0369】
ステップ1051において、APは、未アソシエーション局への送信を待っている未送信フレーム(pending frame)(例えば、応答管理フレーム又は任意の他のタイプのフレーム)のリストが存在するか否かを判断する。この場合もまた、アソシエートされた局を対象にした他のフレームも、APによって並列に、又は順次に取り扱うことができる。
【0370】
未送信フレームのリストが空でない場合には、ステップ1052において、リストがブロードキャストフレーム(すなわち、ブロードキャスト値FF:FF:FF:FF:FF:FFに設定されたRAフィールド203を有するMPDUパケット)を含むか否かが判断される。ブロードキャストフレームが見つけられた場合には、ステップ1053において送信するために選択される。選択されたフレームを含むMU DLフレームに、AID=2045を有する単一のダウンリンクRUが含まれる(ステップ1054)。ダウンリンクRUは、MU DLフレーム内のどの場所に配置することもできる(一例が
図12aに示される)。MU DLフレームは、AID=2045を有するダウンリンクRUを組み込む時点で構築される場合があるか、又は、例えば、既にアソシエートされている局に向かうことになっている他のダウンリンクRUが規定される時点で、APのモジュール805によって早期に形成される場合がある。
【0371】
リストがブロードキャストフレームを含まない(テスト1052が否定される)場合には、ステップ1057において、未送信であるフレームの数が決定される。リスト内に1つのフレームしか存在しない場合には、フレームが選択され(ステップ1058)、MU DLフレームに組み込まれる(ステップ1054)。ステップ1053の場合と同様に、AID=2045を有する1つのダウンリンクRUのみがMU DLフレーム内に組み込まれる(例えば、
図12bに示される)。
【0372】
リスト内に複数のフレーム(テスト1057において、2つ以上の送信すべきフレーム)が存在する場合には、ステップ1059において、リストから複数のフレームが選択される。好ましくは、対応する未アソシエーション局に送信するために、(例えば、
図10aのフローチャートに従って)未アソシエーション局からアップリンクRU上で受信された要求フレームの受信に後続する全ての応答フレームが選択される。応答フレームに関する、AID=2045を有するダウンリンクRUの設計は、未アソシエーション局によって使用されるアップリンクRUの少なくとも1つの配分方式特性に基づくことができる。当然、特定の未アソシエーション局のための応答フレームは、APに要求するときに同じ局によって使用されるアップリンクRUの配分方式特性に一致するダウンリンクRUを介して送信されることになる。
【0373】
ステップ1059において選択されるフレームの数は、利用可能なダウンリンクRU、例えば、AID=2045に割り当てられることになる利用可能なダウンリンクRUの数に制限される場合がある。これは、いくつかのダウンリンクRUが、特定の既にアソシエートされた局に既に割り当てられている場合に当てはまる場合がある。
【0374】
ステップ1061において、AID値2045を有する複数のダウンリンクRUが、MU DLフレーム内に組み込まれる。MU DLフレームはあらかじめ構築されるか、又は組み込む時点で構築される。AID=2045を有する組み込まれるダウンリンクリソースユニットは、それぞれ対応する未アソシエーション局のために記憶される配分方式特性に一致する(すなわち、各ダウンリンクRUは、MUアップリンク送信においてフレームを送信するために局によって使用されたアップリンクリソースユニットの配分方式特性に一致する)。
【0375】
例えば、未アソシエーションSTAから管理要求フレームを搬送するRA RUを受信したAPは、2045に等しいSTA_ID(AID)によって識別され、受信されたRA RUのRU配分と同じRU配分を有するブロードキャストRUを用いて、HE MU PPDU(すなわち、MU DLフレーム)において管理応答フレームを送信することができる。
【0376】
ステップ1055において、MU DLフレームがAPによって送信される。最後に、ステップ1056において、送信された(そして確認応答された)選択されたフレームを除去することによって、未送信フレームのリストが更新され、フローチャートのステップがステップ1051から繰り返される。
【0377】
図10cに示されるフローチャートは、いくつかの実施形態による、未アソシエーション局のためのフレームの送信を取り扱うための1つの取り得る実施態様を示す。しかしながら、他の変形の実施態様も考えることができる。
【0378】
例えば、ブロードキャストフレームは、リスト内の他のフレームに比べて低い優先順位を与えられる場合があり、それは、リスト内にブロードキャストフレームが存在しても、送信するために1つ以上のフレームが最初に選択される場合があることを意味する。その後、リストから全数又はいくつかの特定の数のフレーム(経過時間又は他の基準に基づく)が送信された後にのみ、ブロードキャストフレームが送信される。
【0379】
別の変形形態では、ステップ1059において複数のフレームを選択する代わりに、APは、送信すべき複数のフレームのリストの中の1つのフレームのみを選択することを決めることができる。この場合、MU DLフレームは、選択されたフレームを含む、AID=2045を有する1つのダウンリンクRUのみを含むことになる。この変形形態では、ステップ1061は除外される。選択されたフレームは、ステップ1054に示されるように、MU DLフレーム内に組み込まれる。
【0380】
それに応じて、
図11cは、APによってトリガーされるMUダウンリンク送信に関連する未アソシエーション局における主要ステップを、フローチャートを用いて示す。これらの動作は、MUダウンリンク送信においてAPから受信されたフレームをそのような未アソシエーション局がいかに復号するかを示す。
【0381】
プロセスは、MUダウンリンクフレーム(HE MU PPDU)が局によって受信される時点をチェックすることによって開始する(ステップ1151)。これは、
図11bにおけるステップ1150に類似である。
【0382】
MUダウンリンクフレームが受信された(ステップ1151におけるテストが肯定された)場合、局が、ステップ1152において、受信されたMU DLフレーム内に2045に等しいAIDを有する複数のダウンリンクRUが含まれるか否かを判断する。
【0383】
AID値2045を有する複数のダウンリンクRUが見つけられた(ステップ1152におけるテストが肯定された)場合、未アソシエーション局が第1の挙動に入り、以前に記憶されたRUプロファイルが、受信されたばかりのMU DLフレームに含まれる、AID=2045を有するダウンリンクリソースユニットのうちの1つのRU配分と一致するか否かをチェックする(ステップ1153)。RUプロファイルは、例えば、
図11aのフローチャートの実行後に局によってあらかじめ記憶される場合がある(例えば、AID=2045を有するMU UL RUにおいて要求フレームを送信し、ステップ1140に示されるように、アップリンクRUのプロファイルを記憶する)。したがって、未アソシエーション局が、先行するMUアップリンク送信においてAID=2045を有するアップリンクRUを用いてAPに要求フレームを既に送信している場合には、RUプロファイルが記憶される。
【0384】
ステップ1153における照合テストは、AID=2045を有するダウンリンクRUが先行するMUアップリンク送信において使用された位置と同じ位置を有するか否かを単に検証することからなる場合がある。
【0385】
また、ステップ1153における照合テストは、STAが、2045に設定されたAIDを有するRA-RU(複数の場合もある)を含むトリガーフレームに応答して、管理要求フレームを先行して送信しており、2045に等しいSTA-ID(AID)を有するブロードキャストRUが、先行して送信されたHE TB PPDUにおいて要求を搬送するRA-RUのRU配分と同じRU配分を有することとすることもできる。
【0386】
ステップ1153におけるテストが肯定される場合には、未アソシエーション局は一致するダウンリンクRUの受領局と見なされ、それは、一致するダウンリンクRUが未アソシエーション局に向かうことになるMACフレームを潜在的に含むことを意味する。その後、ステップ1154において、一致するダウンリンクRUが、復号するために選択される。任意選択で、未アソシエーション局は、復号する前に、選択された一致するダウンリンクRUにおいて搬送されるMACフレームのRAフィールド203が、未アソシエーション局のMACアドレスに対応するか否かをチェックする。
【0387】
ステップ1153におけるテストが否定される場合には、未アソシエーション局は、ダウンリンクRUの受領局ではない。未アソシエーション局は、ステップ1151において、AID=2045を有する新たなMU DLフレームの受信を待つ。
【0388】
ステップ1155において、AID=2045を有する選択されたダウンリンクRU内にカプセル化されたフレームが復号され、例えば、MAC802.11レイヤブロック804に転送される。カプセル化されたフレームは応答フレームとすることができる。
【0389】
ステップ1152においてAID値2045を有する単一のダウンリンクRUが見つけられた(テストが否定される)場合には、未アソシエーション局が第2の挙動に入り、記憶されたRUプロファイルと単一のダウンリンクRUとの間のいかなる一致もチェックしない。未アソシエーション局は、(自動的に)ダウンリンクRUの受領局と見なされる。その後、未アソシエーション局は、ステップ1156において、MACフレームのRAフィールド203が、未アソシエーション局のMACアドレスに、又はブロードキャストアドレスに対応するか否かをチェックする。肯定される場合には、ステップ1157において、ダウンリンクRUが選択され、ステップ1155において、その中に含まれるフレームが復号される。否定される場合には、未アソシエーション局は、ステップ1151において、AID=2045を有する新たなMU DLフレームの受信を待つ。
【0390】
いずれの場合も、特にステップ1152において、AID=2045を有する複数のダウンリンクRUが決定されるとき、未アソシエーション局は、最終的に、多くても、AID=2045を有する1つのダウンリンクRUを復号することに留意されたい。これは、未アソシエーション局が、自らがダウンリンクRUの受領局であるか否かを判断し、肯定される場合には、未アソシエーション局が受領局であるダウンリンクRUを決定するのを容易にする。
【0391】
2045に等しいSTA-ID(AID)を有するRUを含むMU DLフレームを受信する未アソシエーション局は、以下の条件のうちの1つが生じるときに、2045に等しいSTA-IDを有するRUの受領局と見なされることにも留意されたい。
・MU DLフレーム内に2045に等しいSTA-IDを有する1つのRUのみが存在する(テスト1152が否定される)。
・STAが、2045に設定されたAIDを有するRA-RU(複数の場合もある)を含むトリガーフレームに応答して(例えば、管理)要求フレームを先行して送信しており、2045に等しいSTA-IDを有するブロードキャストRUが、先行して送信されたMU ULフレームにおいて要求を搬送するRA-RUのRU配分と同じRU配分を有する(テスト1153が肯定される)。
【0392】
アグリゲーションに基づく第2の手法によれば、本発明者らによって、複数の受取局のためのMUダウンリンク送信において1つのRUを、すなわち、複数の局を対象にした(又は同じ言い方をすると、複数の局に専用の)1つのリソースユニットを使用することが検討された。したがって、アクセスポイントは、2つ以上の局にアドレッシングされるデータフレームをアグリゲートすることができ、局へのダウンリンク通信のためにアクセスポイントに許可されたマルチユーザーダウンリンク送信機会(MUダウンリンクOFDMA TXOP)を形成する複数のリソースユニットの中からの、複数の局に専用のそのような1つのリソースユニットを介して、アグリゲートされたデータフレームを送信することができる。アグリゲートされたデータフレームは、個別にアドレッシングされるデータフレーム、すなわち、単一の局をアドレッシングするRAをそれぞれ有するデータフレームのみを含む場合がある。アグリゲートされたデータフレームは、個別にアドレッシングされる(すなわち、単一の局のRAを有する)データフレームと、グループアドレッシングされる(すなわち、マルチキャスト又はブロードキャストアドレスに対応するRAを有する)データフレームとの組み合わせを含む場合がある。
【0393】
局のグループを対象にしたそのようなRUは、「グループAID」を用いてシグナリングされる場合があり、MUダウンリンク送信のために個別(すなわち、単一の局に関連付けられる)AIDのみを使用できるようにする現在の要件とは対照的である。詳細には、複数の局を対象にしたリソースユニットは、それゆえ、ダウンリンク送信機会において、特定の局に関連付けられない所定の(グループ)アソシエーション識別子に割り当てられる場合がある。
【0394】
結果として、任意の(そのようなグループに関係している)局が、それらの局へのダウンリンク通信のためにアクセスポイントに許可されたマルチユーザーダウンリンク送信機会を形成する複数のリソースユニットの中から、複数の局を対象にした「グループ」リソースユニットを(例えば、グループAIDを用いて)決定し、決定されたリソースユニットを介して、アグリゲートされたデータフレームを受信し、受信されたアグリゲートされたデータフレームの中から、局にアドレッシングされた1つ以上のデータフレームを取り出すことができる。
【0395】
実際には、アクセスポイントに登録している任意の局が、アクセスポイントに許可された送信機会においてリソースユニットを局に割り当てるためにアクセスポイントによって使用される固有アソシエーション識別子に関連付けられる場合、本発明者らによって提案される概念は、APが局へのダウンリンク通信のためのアクセスポイントに許可されたマルチユーザーダウンリンク送信機会を形成する複数のリソースユニットを構築することであって、複数のリソースユニットは特定の局に関連付けられないアソシエーション識別子に割り当てられる「グループ」リソースユニットを含むことと、その後、特定の局に関連付けられないアソシエーション識別子に割り当てられるリソースユニット上で局に1つ以上のデータフレームを送信することとからなる。
【0396】
したがって、局は、局へのダウンリンク通信のためにアクセスポイントに許可されたマルチユーザーダウンリンク送信機会を形成する複数のリソースユニットから、特定の局に関連付けられないアソシエーション識別子に割り当てられる「グループ」リソースユニットのみを決定し、それゆえ、決定されたダウンリンク「グループ」リソースユニット上でアクセスポイントから1つ以上のデータフレームを受信する。
【0397】
同じ専用グループRU内でいくつかの局にアドレッシングされることになるデータフレームをアグリゲートすることによって、提案される概念は、APが多数の局を効率的に対象に設定することを可能にし、それにより、各RUをより効率的に使用する(それゆえ、パディングビットを削減する)ことができ、(同じマルチキャストフレームによって対象に設定される局をグループ化することによって)いくつかのRUにわたって同じペイロードを複製するのを回避することができ、まだアソシエートされていない局に応答管理フレームを効率的に(すなわち、より高いビットレートにおいて)与える(それゆえ、アソシエートされていない局のグループを形成する)ことができる。
【0398】
また、MUダウンリンク送信中に局に関連付けられないAIDを使用することによって、提案される概念は、AIDを与えられない1つ以上の局をアドレッシングする機会をAPに提供する。したがって、特定の局に関連付けられないアソシエーション識別子に割り当てられるグループRUは、複数の局に専用とすることができる。したがって、局は、ダウンリンク送信において、どのRUを待機すべきかを容易に識別することができる。
【0399】
したがって、MUダウンリンク送信は、既知の現在の802.11ax要件と比べて著しく改善される。
【0400】
それを果たすために、追加ブロック805が、OFDMAリソースユニット(サブチャネル)の使用法を制御するための多局RU管理モジュールとしての役割を果たすことができる。
【0401】
例えば、網羅的ではないが、APに関する動作は、後に規定されるようにMUダウンリンクフレームを生成及び送信することであって、MUダウンリンクフレームは、現在行われているようなRUあたり1つの局の代わりに、特定のAIDを用いて、複数の局を対象とした少なくとも1つのRUを識別することと、その後、そのようなリソースユニット内で複数の局にアドレッシングされることになるMACフレームのアグリゲーションを管理することとを含むことができる。
【0402】
APとは異なる局に関する動作は、受信されたMUダウンリンクフレームを解析して、局が、自らのためのRUへのアクセスを許されるか、複数の局に専用のRU(グループRU)へのアクセスを許されるかを判断することと、複数の局に専用のそのようなRUとの関連において、その中にアグリゲートされたMACフレームを処理して、自らにアドレッシングされたMACフレームを取り出すこととを含むことができる。
【0403】
しかしながら、DLグループRUを介して送信されるデータフレームの、局による確認応答に関して、いくつかの問題が生じる場合がある。
【0404】
現在の802.11ax方式において、RUを介して受信されたデータフレームの確認応答は、RUが具体的に割り当てられた受取局によって行われる。この確認応答は、受信されたUMRS情報264において示されるような、後続のMUアップリンクOFDMA送信625における応答RUを介して送信される。
【0405】
しかしながら、RU譲受局として特定の局が指定されないので、この方式はDLグループRUの場合に運用することができない。さらに、1つの局がそのように指定されることになった場合であっても、DLグループRUの他の局にアドレッシングされたデータフレームに関して確認応答するのを許されるべきではない。
【0406】
これらの確認応答問題を克服するための本発明者らの改善された概念は、DLグループRUを介して搬送される異なるデータフレーム内で異なるUMRS情報をシグナリングすることに頼る。例えば、グループRUが、2つのそれぞれの局にアドレッシングされる2つのアグリゲートされたデータフレームを搬送する場合には、データフレームへの応答(又は確認応答)をアクセスポイントに与えるために、MUダウンリンクOFDMA送信620に後続するMUアップリンクOFDMA送信625において受取局によって使用されることになる応答リソースユニットを識別するために、それぞれの応答リソースユニット情報がシグナリングされる。
【0407】
結果として、受取局(DLグループRUを通してアドレッシングされる)は:
グループRUを介して引き出されたデータフレームから、MUアップリンクOFDMA送信265における1つの応答リソースユニットを識別する応答リソースユニット情報を取得し、
その後、識別された応答リソースユニットを介して、引き出されたデータフレームに対する応答(例えば、確認応答)をアクセスポイントに送信する。
【0408】
RUあたりのUMRSを1つの値に制限する802.11ax要件とは対照的に、この改善された概念によれば、(同じグループRUを用いる)種々の受取局がデータフレームの受領に関して効率的に確認応答できるようになる。
【0409】
APは、MUダウンリンクOFDMA送信620の場合より、MUアップリンクOFDMA送信625の場合に多くのRUをスケジューリングすることができるので、全ての受取局が、自ら受信したデータフレームに関して確認応答する機会を与えることができる。したがって、APによるデータフレームの再送が回避され、それにより、チャネル帯域幅が節約される。
【0410】
また、これは、フレームMACヘッダーのRAフィールド210(MACアドレス)内に規定されるような受取局であり、局は、同じMACヘッダーのHT制御フィールド250内に規定されるUMRS情報において示される応答RUを使用することができる。結果として、APとまだアソシエートされていない局である受取局であっても、データフレームに関して確認応答することができる。したがって、局に関するアソシエーション手順を簡略化することができる(AID=2045を有するランダムRUを使用し、MUダウンリンク送信620中にAPから応答を受信し、後続のMUアップリンク送信625中に応答に関して確認応答する)。
【0411】
それを果たすために、APにおける多局RU管理モジュール805の動作は、受信されたデータフレームへの応答をアクセスポイントに与えるためにマルチユーザーダウンリンク送信機会に後続するマルチユーザーアップリンク送信機会において受取局によって使用されることになる応答リソースユニットを識別するそれぞれの応答リソースユニット情報(例えば、UMRS値)を、アグリゲートされたMACフレームにおいてシグナリングすることを含むこともできる。
【0412】
APとは異なる局に関する動作は、引き出されたデータフレームから、マルチユーザーアップリンク送信機会における1つの応答リソースユニットを識別する応答リソースユニット情報(例えば、UMRS値)を取得することと、識別された応答リソースユニットを介して、引き出されたデータフレームに対する応答をアクセスポイントに送信することとを含むこともできる。
【0413】
説明において、「同報(multi-destination)」RU、「多局」RU、「マルチSTA」RU、「マルチキャスト」RU及び「ブロードキャスト」RUという用語は、上記で論じられる「グループ」RUと同義であり、複数の局を対象にしたリソースユニットを指すことを意図している。「ブロードキャストRU」は、RUがブロードキャストデータフレームを搬送しなければならないことを意味するのではなく、RUが複数の局を対象にすることを指していることに留意されたい。
【0414】
アグリゲーションベース手法の実施形態が、複数の局に専用のOFDMA RUを検討することによって、IEEE802.11axとの関連における種々の例示的な実施形態を用いて、ここで例示される。
【0415】
以下の提案される例は、802.11アソシエーションプロセスの管理フレームを参照しながら説明されるが、その教示は、そのような管理フレーム送信には限定されず、種々の局にアドレッシングされるデータフレーム等の任意の802.11データフレームに適用することもできる。
【0416】
図13aは、MUダウンリンク送信を準備及び実行するときに物理アクセスポイントにおいて実施される実施形態を、フローチャートを用いて示す。
【0417】
ステップ1310において、APは最初に、ダウンリンク送信に関していくつかの受取局をグループ化する意思があるか否かを判断する。
【0418】
ここで、3つの例示的な状況が提案される。
【0419】
局アソシエーション手順の場合、局をアクセスポイントとアソシエートする(すなわち、アクセスポイントに登録する)手順内で、局がアクセスポイントに要求管理フレームを送信することができる。言い換えると、アクセスポイントは、アクセスポイントとアソシエートする(すなわち、アクセスポイントに登録する)意思がある局から要求管理フレーム(310、340、360)を受信することができ、複数の受取局を対象にした同じグループRU内に応答管理フレーム(320、350、370)をまとめてグループ化することによって、それらの局に応答しようとする。
【0420】
要求管理フレームは、APによって送出される、先行するシングルユーザー通信を介して、又は先行するトリガーフレーム(
図6に関して、典型的にはTF530)を介して、又はその両方を介して受信されている場合があり、そのようなトリガーフレームは、アップリンク送信段階510中に対応する単数又は複数のRUにおいてまだアソシエートされていない局によっていくつかの要求管理フレームが送信されるように、2045値に等しいAIDを有するいくつかのランダムRUを配分する。
【0421】
また、APは、データフレームを受信する共通の利益に関連して、局をグループ化することができる。例えば、アクセスポイントは、複数の受取局にアドレッシングされることになるマルチキャストフレームを(例えば、上位OSIレイヤから)受信し、それゆえ、この複数の局に専用のグループRUを用いて、マルチキャストフレームを受取局に転送することを考えることができる。
【0422】
別の例は、ダウンリンク送信機会のサイズ及びサイズ閾値(場合によっては、RUのサイズ)を与えられると、アクセスポイントが、パディングビットを削減するために単一のRUにグループ化することができる、局に送信されることになる小さいデータフレームが存在するか否かを判断する事例である。より一般的には、APは、MUダウンロード送信の既存の個別送信に属さない(送信されることになる)任意のMACフレームを搬送するために、特別なグループを使用することを考えることができる。「MPDUコレクタ」RU又は「集合RU」(それゆえ、グループRU)を(最も大きいMACフレームより小さい)残存するMACフレームのうちの最大のMACフレームで満たすために、APは、例えば、個別RUを用いて、最も大きいMACフレームを搬送しようとすることができる。
【0423】
例として、集合RUは、APのEDCAバッファーに記憶され、個別RUの割り当てが効率的でない(必要とされるパディングが多すぎる、例えば、
図6のSTA3及びSTA8)任意の未送信MACフレームを集めることができる。
【0424】
APが、送信されることになる対応するMACフレームを有する受取局の1つ以上のグループを決定すると、ステップ1320において、そのように決定された各グループにRU(それゆえ、グループRU、ブロードキャストRU、マルチキャストRU又は多局RUと呼ばれる)が割り当てられる。
【0425】
例えば、まだアソシエートされていない局から先行して受信された要求に応答して、応答管理フレーム(320、350又は370)を搬送するためにグループRUが割り当てられる場合がある。
【0426】
好ましい実施形態において、複数の局のためのこのグループRUに割り当てられるAID値は所定の値2045をとる(本概念に準拠する全ての802.11axノードによって知られている)。アソシエーション手順を迅速化するために、この値は、MUアップリンク送信(
図6の510)においてまだアソシエートされていない局に専用のRU、又は割り当てられるRUを示すために使用されるのと同じ値であることに留意することができる。
【0427】
結果として、局からのマルチユーザーアップリンク通信のためにアクセスポイントに許可されたアップリンク送信機会の一部を形成する先行するリソースユニットにおいて、要求管理フレームが(局によって)送信される場合には、アクセスポイントとまだアソシエートされていない局に割り当てられる先行するリソースユニット、ステップ1320において割り当てられるグループリソースユニット、及び使用される先行するリソースユニットは、(APによって特定の局に与えられない)あらかじめ決まった同じアソシエーション識別子、ここでは、AID=2045を用いて、それぞれダウンリンク送信機会及びアップリンク送信機会においてシグナリングされる。
【0428】
まだアソシエートされていない局に専用のRU内にMACフレームをアグリゲートしない場合であっても、ダウンリンク送信のためにまだアソシエートされていない局のために予約されるAIDを有するRUを与えるという独自の概念が、そのような局のためのアソシエーション手順を改善(迅速化)することに留意することができる。そのようなRUは、単一のまだアソシエートされていない局のために使用することもできる。
【0429】
いくつかの受取局を対象にしたマルチキャストフレームを搬送するために、グループRUを割り当てることもできる。この点において、所定のAID、例えば、本概念に準拠する全ての802.11axノードによって知られているAID=2042が使用される場合がある。
【0430】
また、AID=0を用いて、小さい未送信MACフレームを集める集合RUがシグナリングされる場合もある。
【0431】
他の変形形態も提案することができる。例えば、単一の物理APによって管理される複数のBSS(「仮想AP」)との関連において、APは、自らが管理する各BSSに固有AID値を割り当てることができ、それは、各BSSが特定の局に関連付けられない(しかし、全BSSと関連付けられる)固有AID値を有することを意味する。例えば、AID値は各BSSのインデックスとすることができる。「n」が物理APによって管理される仮想APの最大数である場合には(例として、この値はビーコン及びプローブ応答フレームの複合BSSID要素内のMaXBSSIDインジケーターにおいて規定される)、BSS1~nにそれぞれAID1~nが割り当てられる。
【0432】
各非代表APは自らのAIDのみを使用することができる。しかしながら、代表APは、VAPの任意のAIDを使用することができる。
【0433】
これに関連して、代表APは、それぞれのAIDを使用することによって、MUダウンリンク送信において、1つ以上のそれぞれのBSSに固有の1つ以上の集合RUを与えることができる。したがって、APは、自らがフレームを送信しようとしているBSSのAIDを選択することができる。
【0434】
また、代表APは、特定のBSSにそれぞれ個別に割り当てられるTF(MUアップリンク送信)においてランダムRUをシグナリングすることができる。第1のランダムRUは、VAPiに登録する意思があるまだアソシエートされていない局にアクセスを限定するために、AID=iに割り当てられ、一方、第2のランダムRUは、VAPjに登録する意思があるまだアソシエートされていない局にアクセスを限定するために、AID=jに割り当てられる。各BSSに関連する応答管理フレームを送信するために、MUダウンリンク送信において、同じAIDを有するRUを使用することができる。
【0435】
局のグループに専用の1つ以上のRUが決定されると、ステップ1330は、APが、グループRUごとに、局の対応するグループに関する全ての未送信MPDUフレームを連結又はアグリゲートすることからなる。以下において、ステップ1330及び1340の更なる例示における「データフレーム」という用語は、アウトバウンドMAC送信キュー内の未送信の任意のフレームに対応することを十分に理解されたい(すなわち、限定はしないが、アプリケーションレイヤ801からの任意のデータフレーム、及び802.11アソシエーション手順のフレーム等のMACレイヤ804のために有用な任意の802.11管理フレームを含む)。
【0436】
管理フレームに関して、まだアソシエートされていない局のためにAPによって準備される全ての応答MAC管理フレームをまとめてアグリゲートして、1つのHE-MU PPDUにすることができる(予約されるTXOPを与えられるときに、最大でPPDUのサイズまで)。
【0437】
マルチキャストフレームに関して、マルチキャストフレーム受信に応答して、アクセスポイントは、受取局のそれぞれに個別にアドレッシングされることになる、マルチキャストフレームのペイロードを含む複数のデータフレームを生成することができる。したがって、APは、マルチキャストフレームのペイロードを含む、生成されたデータフレームをアグリゲートする(予約されるTXOPを与えられるときに、最大でPPDUのサイズまで)。当然、TXOPが全ての生成されたデータフレームを送信するだけの十分な空間を与えない場合には、残りは1つ以上の次のMUダウンリンク送信において送信される場合がある。
【0438】
また、APは、同じMUダウンリンク送信の他のRUによってまだアドレッシングされていない局のために、自らのEDCAバッファーに記憶されるMACフレームを共に(そして、予約されるTXOPを与えられるときに、最大でPPDUのサイズまで)アグリゲートすることができる。この制約を考えると、集合RUのためのアグリゲーションは、(最後のRUとして)最後に処理される。
【0439】
APは従来のRUに関して802.11axA-MPDUアグリゲーションの原理に従うことができるが、同じA-MPDUのMPDUを異なる局にアドレッシングできるように、その原理をわずかに変更することができる。言い換えると、単一のA-MPDU内でいくつかの局をアドレッシングするのをサポートするために、グループRU(802.11ax標準規格用語による「ブロードキャストRU」)に関して、アグリゲーション規則がわずかに変更される。この機構は、グループRUの限られた状況に関与する本発明の802.11ax局にのみ限定されるので、これは802.11の基本部分のいかなる変更も要求しない。
【0440】
例えば、複数のSTAを対象にしたRU(例えば、ブロードキャストRU)において802.11axAPによって送信されるときに、A-MPDU内のMPDUは異なるRAを有することができる。RAは、複数のSTAのうちの1つのMACアドレス、又はブロードキャストMACアドレスとすることができる。MPDUのアドレスタイプ(個別アドレッシング又はグループアドレッシング)及びアドレス値は、複数のSTAを対象にしたRU内のA-MPDU内で異なる場合がある。
【0441】
任意の他のアグリゲーション機構(MACサービスデータユニット(MSDU)アグリゲーション、MACプロトコルデータユニット(MPDU)アグリゲーション、A-MPDUフレームの連結、又はそれらの方式の任意の組み合わせ)を用いて、種々の局のためのMACフレームを連結することができる。
【0442】
局が自らのMACフレームを効率的に取り出すのを可能にするために、アクセスポイントは、アグリゲートされることになる各データフレームにおいて、MACアドレスフィールド210を受取局のMACアドレスに設定する。
【0443】
MACアドレスフィールドがブロードキャストアドレスを含む場合には、MACフレームは、グループRUに属する全ての局によって取り出すことができる。グループRUが、BSSの全ての局が属するグループに、又はBSSの全ての局からアクセス可能であるように規定されるグループに専用である場合には、ブロードキャストアドレスを有するMACフレームはBSSの全ての局によって取り出すことができることに留意されたい。
【0444】
MACアドレスフィールドがマルチキャストアドレスを含む(すなわち、局のマルチキャストグループを規定する)場合には、MACフレームは、グループRU及びマルチキャストグループの両方に属する全ての局によって取り出すことができる。
【0445】
次にステップ1340において、各RUから形成されるMUダウンリンクPPDUが、通信チャネルの対応するRU上でAPによって送信される。
【0446】
局のグループに関して、それは、アグリゲートされた応答管理フレームが、AID=2045を有するグループRU上で、又は(マルチBSSの場合)BSSiに関連する応答管理フレームの場合にAID=iを有する各グループRU上で送信され、マルチキャストフレームのペイロードデータを含む、アグリゲートされた生成されたフレームが、例として、AID=2042を有するグループRUを介して送信され、アグリゲートされた集合フレームが、チャネルの最後のRU、すなわち、AID=0を有する(場合によっては、マルチBSSiの場合、特定のBSSiに関連する集合フレームの場合にAID=jを有する)グループRUを介して送信されることを意味する。
【0447】
他の(個別の局に割り当てられる)RUは従来通りに取り扱われる。
【0448】
局による効率的な処理を確実にするために、ダウンリンク送信機会は、(802.11axMU DLフレームのHE-SIG-Bプリアンブルにおいて)1つ以上の局への複数のリソースユニットの割り当ての順序付きシグナリングを含むことができ、順序付きシグナリングは、最初に、個別の局へのリソースユニット(単一の局に関連付けられるAIDを有するRU)の各割り当てを規定し、次に、局のグループへのリソースユニット(上記の例では、AID=2042若しくは2045、又はマルチBSSの場合i)の各割り当てを規定し、その後、リソースユニットにまだ関連付けられていない任意の局への集合リソースユニット(AID=0)の割り当てを規定する。これにより、有利には、局が自らにアドレッシングされた1つのRU(個別又はグループ)を見つけると、局は同じHE MU PPDU内の任意の更なるRU解析を無視できるようになる。
【0449】
局のグループの使用又はAIDを有しない(まだアソシエートされていない)局への送信にかかわらず、アグリゲーションベース手法は、有利には、HE-SIG-BプリアンブルのRU配分における固有AIDの存在の厳密な使用法を維持することに留意することができる。
【0450】
したがって、ダウンリンク送信機会は、従来の802.11ax方式を用いて(例えば、自らのAIDと結び付けられるRUを識別することによって)、又は
図13bを参照しながらここで説明されるような新たに提案される方式を使用することによって(例えば、グループAIDに結び付けられるRUを識別することによって)、局が読み取ることができるリソースユニットを含む。
【0451】
図13bは、APからのMUダウンリンク送信において局のグループに専用のグループRUを取り扱うために非AP局において実施される実施形態を、フローチャートを用いて示す。
【0452】
非AP局は、MUダウンリンクPPDUを送出するAPと既にアソシエートしている任意の局、又はMUダウンリンクPPDUを送出するAPとのアソシエーションの過程にある任意のまだアソシエートされていない局とすることができる。
【0453】
ステップ1350において、RU PPDUごとに形成されるMUダウンリンクフレームが、物理アクセスポイントから受信され、局は、どのRUが自らにアドレッシングされるかを判断する。個別の局に割り当てられるRUは従来通りに処理される。
【0454】
局が局のグループに関するデータを搬送するグループRUに関与する状況の場合、特定の処理が要求される。その場合、局は、局へのダウンリンク通信のためにアクセスポイントに許可されたダウンリンク送信機会を形成する複数のリソースユニットの中から、複数の局に専用のそのようなグループリソースユニットを決定する。
【0455】
まだアソシエートされていない局に関して、それは、アクセスポイントとまだアソシエートされていない局に割り当てられるグループリソースユニットを決定することを意味する。これは、送信された要求管理フレームに対する、アクセスポイントからの応答管理フレームを取り出すためである。これは、受信されたMUダウンリンクフレームのHE-SIG-Bプリアンブルにおいて、2045に等しいAIDを有するRU、又はBSSIDに等しい(正:equal to)AIDを有するRU(マルチBSSの場合)を単に探索することによって実行することができる。
【0456】
グループRUが見つけられない場合には、プロセスは終了し、まだアソシエートされていない局は自らのNAVを設定する(受信されたフレームのL-SIGフィールドから持続時間が取得される)。
【0457】
AID=2045を有するそのようなグループRUが見つけられた場合には、次のステップはステップ1360である。
【0458】
任意選択で、まだアソシエートされていない局は、受信されたMUダウンリンクフレームを解析することができ、それゆえ、局によって送信された要求管理フレームの処理が未完了である(すなわち、APから応答が受信されていない)場合にのみ、まだアソシエートされていない局に割り当てられるリソースユニットを決定することができる。この要求は、先行するMUアップリンク送信中(例えば、510中)に先行して送信されている場合がある。詳細には、未アソシエーションSTAは、このSTAがプリアソシエーションの状況にない(それは、未アソシエーションSTAがAPにいなかるアソシエーション要求も送信していないことを意味する)HE APから受信されたHE MU PPDU内の、2045に設定されたSTA-IDを有する任意のRUを無視することができる。
【0459】
既にアソシエートされている局の場合、それらの動作は異なる場合がある。局は最初に、個別の局に割り当てられるリソースユニットをスキャンし、受信されたMUダウンリンクフレーム内のリソースユニットが局に個別に割り当てられるか否かを検証することができ、検証が否定のみであった場合、局は、複数のまだスキャンされていないリソースユニットから、複数の局に専用のグループリソースユニットを決定する。
【0460】
処理順序は、
図13aを参照しながら上記で示されたように、MUダウンリンクフレームにおいてRUを宣言する順序から導出され、個別のRUが最初に宣言され、その後、グループRU(例えば、マルチキャストの場合、AID=2042)が宣言され、その後、集合グループRU(AID=0)が宣言される。この状況において、局が、自らにアドレッシングされた単一のRUを検出した場合には、
図13bのプロセスは終了し、局は、従来の802.11axのようにして、対応するRUを解析する。そうでない場合には、局は、グループRU間で、それらのグループRUうちの1つが自らにアドレッシングされるかを探索する。これは、AIDに関するビットマスキングを用いて(例えば、グループAIDが同じ最上位ビットを有する場合)、及び/又は所定のAIDを検出することによって実行することができる。したがって、局は、局のリスト(グループ)に割り当てられるグループリソースユニットをスキャンし、局が、スキャンされたグループリソースユニットのうちの1つに関連付けられるリストに属するか否かを検証する。
【0461】
これは、局が属するグループに専用のグループRUが検出されると直ちに、局がMUダウンリンクフレームを解析するのを中止できるようにする。例えば、局がマルチキャスト通信に関与することがわかった場合には(例えば、アプリケーションレイヤにおける交換に起因する、モジュール801を参照)、局は、マルチキャストに専用の任意のグループRU(この例では、AID=2042)を精査することができる。
【0462】
検証が肯定される(局がリストに属する)場合、データフレームを取り出すために決定されたグループリソースユニットは、局を含むリストに割り当てられたグループリソースユニットである(例えば、AID=2042を有する)。
【0463】
一方、検証が否定のみであった場合、決定されたグループリソースユニットは、個別に、又はリストを通して割り当てられない任意の局のためのデータフレームを、ダウンリンク送信機会を形成する別のリソースユニットに搬送するために使用される集合リソースユニット(AID=0)である。したがって、局は集合RUを監視することになる。
【0464】
当然、局が、自らにアドレッシングされる単一のRUを、又は局が属するグループに専用のグループRUを検出すると解析の中止を決定できるような、RUを検討するための任意の他の順序を実現することができる。
【0465】
最後に、グループRUが見つけられた場合には(上記の例では、AID=2042、2045又は0)、ステップ1360が実行され、局が、決定されたグループRUを読み取り、それゆえ、APから、アグリゲートされたデータフレームを受信する。決定されたグループRU上で受信されるA-MPDUを形成する全てのMPDUが、更に解析するためにMACレイヤ(プロセス805)に与えられる。
【0466】
ステップ1370において、局が、各アグリゲートされたデータフレームのMACアドレス(A-MPDUを形成する各MPDUのRAフィールド210)を自らのMACアドレスと比較する。これは、受信されたアグリゲートされたデータフレームの中から、もしあるなら、局にアドレッシングされた1つ以上のデータフレームを取り出すためである。したがって、STAは、各MPDUフレームのRAフィールドに基づいて、このSTAにアドレッシングされる、複数のSTAを対象にしたRUにおいて搬送される1つ以上のフレームを取り出すことができる。
【0467】
APにおいて行われたことと対称的に、従来のRUに関する802.11axA-MPDUディスアグリゲーションの原理は、各MPDUのMACアドレスを解析するために局においてわずかに変更される。これは、レガシーA-MPDU処理で行われるように、受信機の局アドレスに一致しない1つのMPDUが見つけられても、直ちにデアグリゲーションプロセスを中止しないようにするためである。言い換えると、単一のA-MPDU内でいくつかの局をアドレッシングするのをサポートするために、グループRU(802.11ax標準規格用語による「ブロードキャストRU」)に関するアグリゲーション/デアグリゲーション規則がわずかに変更される。この機構は、グループRUの限られた状況に関与する本発明の802.11ax局にのみ限定されるので、これは802.11の基本部分のいかなる変更も要求しない。
【0468】
その後、局は、局のMACアドレス、局が属するグループのマルチキャストMACアドレス、又はブロードキャストMACアドレスに等しいMACアドレス210を有する単数又は複数のMPDUのみを保持する。言い換えると、未アソシエーション局(例えば、局はAPに要求を送信した)は、グループRU(又は802.11ax標準規格用語によるブロードキャストRU)を復号し、その後、RA MACアドレスに従って、アソシエーション管理応答フレームをデアグリゲートし、フィルタリングする。
【0469】
次に、ステップ1380において、局にアドレッシングされた全ての抽出されたMPDUが、上位レイヤスタック(例えば、アプリケーションレイヤ801)に転送される。
【0470】
局は、引き出されたデータフレームの受領に関して、アクセスポイントに確認応答しなくてもよい(図には更なるステップは示されない)。したがって、局のグループに専用のRUにおいて送信される全てのMUダウンリンクMPDUはNo-Ack指示を含む。
【0471】
場合によっては、グループRUを介して送信されるデータフレームに関して確認応答を行う価値がある。しかしながら、従来の802.11ax機構によれば、データの受領に関して確認応答できるのは、RUあたり(それゆえ、同じく、グループRUあたり)1つの局だけである。これは、グループRUに関して複数の確認応答を行うという要件を満たすことができない。したがって、引き出されたデータフレームが最後に受信されたアグリゲートされたデータフレームを含む場合にのみ、局が、引き出されたデータフレームに関して確認応答を送信するという確認応答ポリシーを実現することができる。それは、A-MPDU内の最後のMPDUのみが、受取局によって明示的に(802.11ax標準規格によれば、同じTXOP内のMUダウンリンクフレームに後続するMU ACKのRUにおいて)確認応答されることを意味する。結果として、他のMPDUは、最後のMPDUの確認応答によって暗黙的に確認応答される場合がある。いくつかの局がAPから自らのデータフレームを実際には受信していない場合があるので、これは不正確な確認応答になるおそれがある。
【0472】
まだアソシエートされていない局がAPから応答を受信する特定の事例では、引き出された応答に関する確認応答は、局からのアップリンク通信のためにアクセスポイントに許可された次のアップリンク送信機会の一部を形成する次のリソースユニットにおいて、受信局によって送信される場合があり、次のリソースユニットは、アクセスポイントとまだアソシエートされていない局に(すなわち、MUアップリンクTXOPにおけるAID=2045を有する次のランダムRUに)割り当てられる。まだアソシエートされていない局は、短時間だけ遅らせてもランダムRUに実際にアクセスしていない場合があるので、この確認応答方式も実際には効率的ではない。結果として、APは、データフレームが正確に受信されたことを知らないので、データフレームの再送をスケジューリングする場合があり、それにより、チャネル帯域幅が浪費される。
【0473】
ネットワーク効率を改善するために、この確認応答は、任意の更なる要求管理フレームとともに、この次の(例えば、AID=2045を有する)RUにおいて更にアグリゲートすることができる。例えば、その手法に従って、MUダウンリンクフレームにおいてプローブ応答フレーム320が受信される場合には、局は、次のMUアップリンク送信510において、AID=2045を有するRUにおいて次の要求管理フレーム(ここでは、認証要求フレーム340)とともに、320に対応する確認応答330を与えることができる。これは、局に関するアソシエーション手順処理の進行をより迅速化するためである。この場合もまた、まだアソシエートされていない局が新たなランダムRUで媒体にアクセスする前に、(競合に起因して)多くの時間を必要とする場合がある。
【0474】
図14は、上記の
図6の例示的な状況を参照しながら、グループRUを使用する利点を示す。
【0475】
TXOP#1は
図6と同じであり、まだアソシエートされていない局STA1及びSTA6が、AID=2045を有するRUにおいて、APに要求管理フレームを送信する。
【0476】
MUダウンリンクフレーム1420のHE-SIG-Bプリアンブルから容易に明らかになるように、グループAID、詳細には、AID=0(小さいフレームの集合用)、2042(マルチキャスト用)及び2045(まだアソシエートされていない局用)が使用される。上記で示されたように、HE-SIG-Bプリアンブルは、最初に、個別の局(ここでは、2及び7)のためのRUを宣言し、その後、グループRU(ここでは、2042及び2045)を宣言し、その後、グループ集合RU(ここでは、0)を宣言することができ、RUは「他の全ての」アソシエートされた局に専用である。
【0477】
AID=2045を有するグループRUを用いて、1つ又は複数のまだアソシエートされていない局にアドレッシングされる連結されたMPDUフレーム、ここでは、STA1を対象にしたプローブ応答フレーム及びSTA6を対象にした応答認証フレームを搬送する。言い換えると、802.11axマルチユーザーフレーム(HE MU PPDU)内のAID=2045を有する単一のRUが、いくつかの未アソシエーションSTAへのアソシエーション応答を連結する。結果として、管理フレームに関する連続SU送信(
図6の630-1及び630-2)が回避され、その結果、まだアソシエートされていないSTAに関するアソシエーション手順が簡略化され、ネットワークがより効率的に使用される。これは、802.11axのような高密度ネットワークにおける新たな局のアソシエーションを管理するのに特に有利である。
【0478】
AID=2042を有するグループRUを用いて、マルチキャストグループに属する局、ここでは、局STA5及びSTA4にアドレッシングされる連結されたMPDUフレームを搬送する。単一の802.11A-MPDUフレームが使用され、単一のRU内で搬送される。これは、従来の802.11ax方式に比べて、RUの複製を回避する。
【0479】
AID=0を有するグループRUを用いて、複数のアソシエートされた局に専用の連結されたMPDUフレームを搬送し、例えば、(最も小さい帯域、例えば、26トーンの場合であっても)個別にはRU全体を効率的には満たさない小さいMPDUフレームを、又はRUの数の限度(20MHz帯域あたり最大9個)に既に達しているときに小さいMPDUフレームを連結して搬送する。そのような連結は、RU内のパディングを制限できるようにし、それゆえ、従来の802.11ax方式に比べて小さいフレームの待ち時間を短縮する。
【0480】
図示されるように、MUダウンリンク送信1420に、同じTXOP#2に属するMU ACK期間1440が後続する。例えば、802.11ax標準規格による確認応答フレーム1440が使用される場合があり、標準規格では、グループAIDに関する確認応答は与えられないか、又は最後に送信されたMPDUがアドレッシングされる局によって確認応答が与えられる。
【0481】
いくつかの実施形態において、以下に説明される
図15に従って、MUダウンリンクフレーム1420に、個別の即時確認応答フレームが後続する。
【0482】
これらの実施形態において、(MUダウンリンク送信1420中に)グループRUを通してアドレッシングされる各局が、引き出されたデータフレームから、MUアップリンク送信1440中にどの応答リソースユニット(1440-A/B/C/D)が使用されることになるかを識別する個別のUMRS制御フィールド264を取得し、その後、識別された応答リソースユニットを介して、アクセスポイントに確認応答フレームを送信する。
【0483】
これは、データフレームに対する応答をアクセスポイントに与えるために、MUダウンリンク送信1420に後続するMUアップリンク送信1440において受取局によって使用されることになる応答リソースを識別するそれぞれのUMRS制御フィールドを、APが、2つのそれぞれの局にアドレッシングされる2つ(以上)のアグリゲートされたデータフレームにおいてシグナリングすることを要求する。
【0484】
この手法によれば、同じDLグループRUを介して、(アグリゲートされた)MPDU内で異なるUMRS制御フィールドが搬送される。
【0485】
図16aは、グループRUの事例においてフレーム確認応答を効率的に与えるための(アクセスポイントにおける)
図13aのプロセスの改善形態を、フローチャートを用いて示す。変更されないときに、
図13aと同じステップ参照番号が使用される。
【0486】
したがって、上記のように、最初に、APが、送信されることになる対応するMACフレームとともに受取局の1つ以上のグループを決定し(ステップ1310)、MUダウンリンク送信1420のグループRUが、局の各決定されたグループに割り当てられる(ステップ1320)。
【0487】
既に開示されたように、グループRUを用いて、少なくとも1つの未アソシエーション局を対象にしたアソシエーション要求/応答フレームを搬送することができるか(AID=2045を有するグループRU)、又はいくつかの受取局を対象にしたマルチキャストフレームを搬送することができるか(AID=2042を有するグループRU)、又はいくつかの局のための任意のパケット集合を搬送することができる(AID=0を有するグループコレクターRU)。
【0488】
実施形態において、グループを選択するときに、APは、(個別RU及びグループRUを通して)MUダウンリンク送信1420においてアドレッシングされることになる局の全数を考慮することができる。詳細には、この全数は、確認応答のためにAPがMUアップリンク送信1440において規定する場合がある応答RUの最大数以下とすることができる。好ましくは、APは、データフレームの受領に関して確認応答しなければならない(すなわち、確認応答するように要請される)局のみを考慮に入れる。これは、局ごとに応答又はackRUを与えるためである。
【0489】
グループが選択されると、そのグループのために送信されることになるMACフレームが収集される(ステップ1330a)。
【0490】
次に、APは、UMRS制御フィールド264を用いて、グループの各局が自らのデータフレームに関して確認応答するためにどの応答RUを使用しなければならないかをシグナリングしなければならない。これは、データフレームに対する応答をアクセスポイントに与えるために、MUダウンリンク送信1420に後続するMUアップリンク送信1440において受取局によって使用されることになる応答リソースを識別するそれぞれのUMRS制御フィールドを、2つのそれぞれの局にアドレッシングされる2つ(以上)のアグリゲートされたデータフレームにおいてシグナリングするために、ステップ1610及び1611を通して行われる。
【0491】
最初に、APは、ステップ1610において、MUダウンリンク送信1420のグループRU及び他のRUにおいて搬送されるフレームによってアドレッシングされる局の数に基づいて、次のMUアップリンク通信1440のために必要とされるスケジューリングされるRUの数を決定する。
【0492】
MUアップリンク通信1440における現在のグループのための応答RUの数は、最大でも、グループの局の数に等しい。
【0493】
これは、所与の受取局が、次のMUアップリンク送信のために、1つの応答RUのみを使用すべきであるという要件に準拠する。
【0494】
また、これは、APによって応答(確認応答)が期待されない場合に、所与の受取局が応答RUを割り当てられないようにする。結果として、APは、応答又は確認応答を与えなければならない受取局、すなわち、UMRSシグナリングをサポートし(すなわち、局が、一般にプローブ要求フレーム内で、アソシエーション手順中にAPと交換したHE能力要素のHE MAC能力情報フィールドにおいてUMRSサポートサブフィールドを1に設定していた場合)、APが応答又は確認応答を期待する局のみを考慮に入れることができる。この手法は、必要な応答RUの量を削減する。さらに、応答RUの数が限られるので、MUダウンリンク送信1420のための受取局の数を増やすのを助けることができる。
【0495】
(応答しなければならない)関連する受取局の数は異なる場合があるので、応答RUに関する次のMUアップリンク送信1440のAPによる構成は直接影響を及ぼされる。APは、より多くの数の、又はより少ない数の応答RUを与えなければならない場合がある(DL個別RUごとに1つの応答RU、DLグループRUのためのいくつかの応答RU)。
【0496】
したがって、アクセスポイントは、MUダウンリンク送信1420においてアドレッシングされる局の数に基づく数の応答リソースを含むように、MUアップリンク送信1440を構成することができる。詳細には、応答RUのこの数は、少なくとも、MUダウンリンク送信1420の任意のリソースユニットを介して自らにアドレッシングされるデータフレームに対する応答を与えなければならない局の数とすることができるが、局の数と同じであってもよい。
【0497】
また、APは、要求される応答RUが20MHzチャネル全体を含むように、MUアップリンク送信1440を設計することもできる。
【0498】
図15は、MUダウンリンク送信1420とMUアップリンク送信1440との間のRU構成の違いの一例を示す。いくつかのDL RUは、次のUL応答RUより広い。
【0499】
例えば、802.11axは、20MHzチャネルあたり9個のRUの最大数をサポートする。したがって、基本RUは26トーン幅である。結果として、MUアップリンク送信1440の20MHzチャネルあたり10個以上の26トーン応答RUは存在できない。グループRUが2つの局をアドレッシングしている場合には(全ての局の場合に確認応答をサポートするものとする)、DL RUの最大数は1だけ削減される(すなわち、MUダウンリンク方向において8個のRUのみがあり、その後、MUアップリンク方向において9個の応答RUがトリガーされる)。結果として、8個のDL RUのうちの1つを、20MHz帯域を実現するように広げることができる。
【0500】
グループRUは、いくつかの受取局をアドレッシングすることを意図しており、従来の個別RUより多くのデータフレームを埋め込むので、この検討は、本実施形態に関してほとんど、又は全く影響を与えない。言い換えると、グループRUを個別RUより広くすることは、或る程度有用である。
【0501】
いくつかの実施形態において、APはMUダウンリンク方向において1つ以上のDL RUを使用しないことに決める場合がある(例えば、全帯域をカバーするためにいくつかのRUを広げるのを回避するため)。MUダウンリンク送信1420における未使用のRUは、HE-SIG-B PHYヘッダー内の特定のAID、例えば、2046を用いて示すことができる。このAIDに基づいて、局は、そのようなRUを考慮するのを回避することができる。この使用法は、APがパディングを送出するのを回避するのに有用な場合があり、それゆえ、APの電力消費量を節約する。結果として、APは、グループRUに関して規定される応答RUの全周波数帯域(例えば、40MHz)を含むように、DL送信内の1つの使用されるグループRU及び未使用のRU(複数の場合もある)をスケジューリングすることができる。
【0502】
次に、APが現在のグループのための1組の利用可能な応答RUを決定すると、APは、UMRS制御フィールド264を用いて、そのような応答RUを関係する局にシグナリングする。これがステップ1611である。グループの局への利用可能な応答RUの割り当ては、任意の(ランダムに、AID順及びRU順に従う等の)割り当て方式を用いて行うことができる。
【0503】
このステップにおいて、応答が望まれるグループの受取局ごとに、対応する割り当てられた応答RUを設定されたUMRS制御フィールドが、この局にアドレッシングされる少なくとも1つのデータフレームのHE MACヘッダー内に挿入される(すなわち、1つのMPDUが受取局のMACアドレスに設定されるRAフィールド210を有する)。グループRUを介して、2つ以上の個別にアドレッシングされるMPDUフレームが受信されるとき、A-MPDUにおいて搬送されるMPDU内のUMRS制御フィールドは、所与の受取局ごとに同じ値を有する。すなわち、同じSTA(STA MACアドレスに設定されたRAフィールドによって識別される)にアドレッシングされるいくつかのフレームがUMRS制御フィールドを有するとき、それらのフレームは全て同じUMRS制御フィールド値を有する。
【0504】
したがって、グループの2つのそれぞれの局にアドレッシングされる2つのデータフレーム内に、MUダウンリンク送信1420に後続するMUアップリンク送信1440において各受取局によって使用されることになるそれぞれの応答RUを識別する2つのそれぞれの応答リソースユニット情報項目が挿入される。これは、局がデータフレームに対する応答/確認応答をアクセスポイントに与えるためである。
【0505】
グループの局を対象にした種々のデータフレーム内にUMRS情報項目が挿入されると、ステップ1330bは、APが、ステップ1330aにおいて選択された全ての未送信MPDUフレームを連結又はアグリゲートし、MUダウンリンク送信1420中にグループRUを介して送信されることになる単一のA-MPDUにすることからなる。これが、例えば、
図15のAID=0を有するグループRUに当てはまる。
【0506】
MUダウンリンク送信1420中の受取局の数及び応答RUの数に関する上記で言及された制約に起因して、ステップ1330bは、それゆえ、MUダウンリンク送信1420を形成する複数のリソースユニットを介してアドレッシングされる局の全数が、局の決定された最大数を超えないようにして、複数の局にアドレッシングされることになるデータフレームをアグリゲートすることができ、そのような最大数は、MUアップリンク送信1440内で規定することができる基本(26トーン)リソースユニットの最大数によって決まるか、又はその最大数である。
【0507】
次に、ステップ1340は、割り当てられたグループRUを介して送信されることになるA-MPDUを確保する。
【0508】
図16bは、グループRUの事例において効率的で、即時のフレーム確認応答を実行するための(局における)
図13bのプロセスの改善形態を、フローチャートを用いて示す。変更されないときに、
図13bと同じステップ参照番号が使用される。
【0509】
局が、局へのダウンリンク通信のためにアクセスポイントに許可されたMUダウンリンク送信1420を形成する複数のリソースユニットの中から、複数の局に専用のグループリソースユニットを決定し(ステップ1350)、決定されたグループリソースユニットを介して、アグリゲートされたデータフレームを受信し(1360)、受信されたアグリゲートされたデータフレームの中から、自らにアドレッシングされた1つ以上のデータフレームを引き出した後に(1370)、局は、例えば、引き出されたデータフレームのペイロードを上位レイヤスタックに転送することによって、それらのペイロードを処理する(ステップ1380)。
【0510】
次に、局が、受信されたデータフレームに応答しなければならない。これは、ペイロード処理の結果として上位レイヤスタックによって与えられるような、単独の確認応答又は応答データとすることができる。応答プロセスはステップ1620~1622を通して行われる。
【0511】
ステップ1620において、MUダウンリンク送信1420中にグループRUを介して自らのデータフレームを取り出す局は、引き出されたデータフレームのうちの少なくとも1つのデータフレームのMACヘッダーから、UMRS制御フィールド264を取得する。
【0512】
この情報によって、局は、ここで、次のMUアップリンク送信機会1440においてどの応答RUが使用されるべきであるかを知る。
【0513】
局は、自らを対象にした、受信され、引き出されたデータフレーム内で見つけられる最初のUMRS制御フィールドのみを読み取る場合があることに留意されたい。しかしながら、いくつかの実施形態において、特に、種々のデータフレームが異なるトラフィッククラス又はキューからのデータを含む場合があるとき、局は、局が応答又は確認応答を与えなければならないのがどのタイプのトラフィックデータであるかを判断するために、全ての引き出されたデータフレームを考慮する場合がある。この構成において、局は、それゆえ、マルチTID確認応答を構築する場合がある。
【0514】
UMRS情報から応答RUがわかると、局はSIFSを待つことができる(ステップ1621)。これは、即時確認応答が要求されるときに実施される。
【0515】
次に、局が、ステップ1620において識別された応答RUを介して、自らの応答又は確認応答を送信する。これがステップ1622である。
【0516】
結果として、APは、MUアップリンク送信1440の種々の応答RUを介して、個別RUを介してアドレッシングされる局及びグループRUを介してアドレッシングされる局を含む、MUダウンリンク送信1420中にアドレッシングされる局から種々の確認応答を受信する。
【0517】
この確認応答方式は、まだアソシエートされていない局にとって極めて適していることに留意することができる。詳細には、各受取局は、自らのデータフレームから引き出されたこの情報が自らのみを対象にしていることをわかっているので、UMRS制御フィールド264は、いかなるAIDも必要としない。これは、まだAIDを割り当てられていない、まだアソシエートされていない局にとって完全に適している。それゆえ、提案される手法は、MU通信を介して交換されるアソシエーションフレームの確認応答をサポートするという観点で、有利には、いかなるAIDも必要としないUMRSフォーマットを利用する。
【0518】
図15に戻ると、グループRUの事例において提案される確認応答のいくつかの利点が説明される。
【0519】
UMRSシグナリングを通しての従来の確認応答は、DL個別RUを介してデータフレームを受信する局STA2、STA7及びSTAnが、それぞれの応答RUを介して自らの確認応答を送信するのを可能にする。UMRSシグナリングと応答RUとの間のつながりが単純な矢印を用いて示される。
【0520】
アグリゲーションベース手法によれば、同じグループRUを通してアドレッシングされる2つ以上の局が、自らの応答RUを見つけるために、それぞれのUMRS制御フィールドを与えられる。
【0521】
提案される例において、STA3及びSTA8は、AID=0を有するグループRUを通してアドレッシングされる。STA3にアドレッシングされる1つのMPDUがUL RU1440-Aを識別するUMRS制御フィールド264を有し、STA8にアドレッシングされる1つの後続のMPDUが、UL RU1440-Bを示すUMRS制御フィールド264を有する。UMRSシグナリングと応答RUとの間のつながりが、ここでは、点線の矢印を用いて示される。
【0522】
図示されるように、AID=0を有するグループRUは、2つのUL応答RU1440-A及び1440-B(例えば、それぞれ26トーン)に比べて大きくすることができる(例えば、56トーンRU)。
【0523】
まだアソシエートされていない局にAP応答データフレームを搬送するAID=2045を有するグループRUに関して同じ状況が生じる。点線矢印によって示されるように、AP応答データフレームは、2つのUL応答RU1440-C及び1440-Dをトリガーする。図において、APは、これら2つのUL応答RUを連続しないように配分することに決めた。さらに、それらのRUは、必ずしも、DLグループRUと同じ周波数帯域に重ならない。
【0524】
実際には、応答RUの割り当ては、DL個別又はグループRUの割り当てから完全に切り離すことができる。1つの制約は、応答RUが、DL個別又はグループRUと、MUダウンリンクOFDMA送信のための同じ複合チャネル(HE-SIG-Aフィールドにおいて示される:20MHz、40MHz、80MHz)内にあることであるが、必ずしも、同じ20MHzチャネル内にあるとは限らない。
【0525】
更に別の例は、STA4及びSTA5にマルチキャストデータフレームを送信するためのAID=2042を有するグループRUを考える。データフレームはマルチキャストであり、それゆえ、確認応答されることを要求しないので、APはデータフレーム内にUMRS制御フィールドを含まないことに決めることができる。
【0526】
本発明の実施形態は、全ての802.11ax準拠AP及び非AP局において実施することができる。代替的には、802.11ax準拠AP又は非AP局は、任意選択で、本発明の実施形態の複数の機構を実施することができる。このために、サポートされる機構が局及び/又はAPによって宣言される場合があり、本発明の実施形態によるフローチャートの実行は、サポートされる機構に適応させることができるか、又はサポートされる機構を条件にすることができる。
【0527】
例えば、サポートされる機構は、発見段階(
図3を参照)中に交換される管理フレームによって宣言される場合がある。例えば、プローブ要求フレーム310(又はビーコン)及びプローブ応答フレーム320を通してAPと局との間で交換される802.11能力の中に、802.11axデバイスによって1つの機構、1組の機構又は1つの実施形態がサポートされるか否かをシグナリングするための1つ以上の能力ビットが追加される。要求管理フレームが、任意の先行するMU又はSU通信によって受信されている場合がある。
【0528】
一実施態様において、同じA-MPDU内のアグリゲートされたMPDUを異なる局にアドレッシングできるようにすることは、任意選択の機構と見なされる。したがって、この機構をサポートするか、しないかは、802.11ax準拠デバイスの実施態様によって決まる。それでも、デバイスは、例えば、発見段階中に、自らの能力の状況を宣言しなければならない。本実施態様において論じられる機構に関しては、1つの能力ビットが追加される。これは、マルチSTA A-MPDUアグリゲーション方式において、どのSTAを考慮すべきかをHE APに通知する。能力ビットは、「ブロードキャストRUにおけるマルチSTAアグリゲーションサポート」と呼ばれる。この能力ビットに関して、「グループRUにおけるマルチSTAアグリゲーションサポート」、「マルチSTAアグリゲーションサポート」、又は略してMSAS能力ビット等の別称が使用される場合もある。
【0529】
図17は、局とAPとの間で交換され、本発明の1つの変形の実施態様による能力ビットを含む、HE能力要素1700の例示的なフォーマットを示す。
【0530】
802.11axによれば、802.11ax準拠局(高効率局、又は単にHE STAとも呼ばれる)は、HE能力要素を送信することによって、HE STAであることを宣言する。HE能力要素は、HE STAのHE能力を通知するために使用されるいくつかのフィールドを含み、それらのフィールドはここで全て詳述されているわけではない。それらのフィールドの中に、サブフィールドの数及び予約ビットを含む、HE MAC能力情報フィールド1710がある。
【0531】
変形の実施態様によれば、HE MAC能力情報フィールド内に能力ビットが追加される。したがって、提案は、HE MAC能力情報フィールド1710のサブフィールド1721内に、「ブロードキャストRUにおけるマルチSTAアグリゲーションサポート」能力ビットを追加することである。サブフィールド1721は、例えば、802.11ax標準規格ドラフトv.2.2において予約されると宣言されるビット位置B42を使用することができる。当然、HE MAC能力情報フィールド1710内、又はHE能力要素1700の他のフィールド内で、サブフィールド1721のための任意の他の位置を検討できることは理解されたい。
【0532】
「ブロードキャストRUにおけるマルチSTAアグリゲーションサポート」(MSAS)サブフィールドは、サブフィールドがAPによって設定されるか、非AP局によって設定されるかに応じて、異なる解釈を有する場合がある。
【0533】
能力がAPによって宣言された能力である場合:
-MSAS能力サブフィールドが1に設定される場合には、AP(能力を搬送する管理応答フレーム又はビーコンフレーム内で使用されるBSSID値によって識別される)は、A-MPDUがいくつかの局を対象にしたダウンリンクRU(グループRU)において送信されるように指示されるときに、いくつかの(異なる)局にアドレッシングされるフレームを含むA-MPDUを生成する能力をサポートする。
-MSAS能力サブフィールドが0に設定される場合には、APは、(ブロードキャストMAC MPDUがアグリゲートされない限り)複数の局にアドレッシングされるA-MPDUフレーム内にアグリゲートする能力をサポートしない。
【0534】
能力が局によって宣言される能力である場合:
-MSAS能力サブフィールドが1に設定される場合には、局は、いくつかの局を対象にしたダウンリンクRU(グループRU)にアドレッシングされるフレームを含むA-MPDUの受信をサポートする。
-MSAS能力サブフィールドが0に設定される場合には、局は、(ブロードキャストMAC MPDUがアグリゲートされない限り)複数の局にアドレッシングされるフレームを含むA-MPDU内で、自らにアドレッシングされるMPDUを受信する能力をサポートしない。
【0535】
以下の表は、サブフィールドMSAS1721の定義及び符号化を要約する。
【0536】
【0537】
図18aは、局にデータを送信するときにAPによって実行されるステップを、フローチャートを用いて示す。
【0538】
ステップ1801及び1802はそれぞれ、局にAPの能力を通知すること、及び通知される能力を局から受信することに関係する。これらのステップは任意の順序で実行することができ、上記で論じられたように、発見段階等の早期の段階において実行される場合がある。
【0539】
ステップ1803において、APがグループRU内で送信するために1つ以上のMACフレームのA-MPDUを構築する。ここで、A-MPDUの構築は、APの能力、及び/又は送信されることになるMACフレームの受取局の能力によって決まる。これは、A-MPDUの構築のために、APが或る特定の規則に従う必要があることを意味する。
【0540】
APがいくつかの局にアドレッシングされるフレームを含むA-MPDUを生成することをサポートする場合には、MPDUのアドレスタイプ(個別アドレッシング又はグループアドレッシング)及びアドレス値が、複数のSTAを対象にしたRU内のA-MPDU内で異なる場合がある。そのような場合に、いくつかの受信機にアドレッシングされ、HE MU PPDUのブロードキャストRUにおいて搬送されるMPDUフレームを用いてA-MPDUを構成するために、HE APは、HE MAC能力情報フィールドにおいて、「ブロードキャストRUにおけるマルチSTAアグリゲーションサポート」サブフィールドを1に設定する受信機STAのみを考慮することになる。
【0541】
HE APは、それでも、「ブロードキャストRUにおけるマルチSTAアグリゲーションサポート」サブフィールドを1に設定するSTAに関して、STAにアドレッシングされるMPDUフレームのみを伴うA-MPDUを、DL MU PPDUにおいて、又はDL SU PPDUにおいて個別に送信することを考慮することができる。HE APは、それでも、「ブロードキャストRUにおけるマルチSTAアグリゲーションサポート」サブフィールドを0に設定するSTAに関して、STAにアドレッシングされるMPDUフレームのみを伴うA-MPDUを、DL MU PPDUにおいて、又はDL SU PPDUにおいて個別に送信することを考慮する。
【0542】
APが、いくつかの局にアドレッシングされるフレームを含むA-MPDUを生成することをサポートしない場合には、HE APは、単一のSTAにアドレッシングされるMPDUフレームのみを伴うA-MPDUをDL MU PPDUにおいて、又はブロードキャストMACフレームのみを伴うA-MPDUをグループRUにおいて個別に送信することを考慮しなければならない。これは、STAが自らの「ブロードキャストRUにおけるマルチSTAアグリゲーションサポート」サブフィールドを1に設定する場合にも当てはまる。
【0543】
ステップ1804において、APが、構築されたA-MPDUをDLグループ(ブロードキャスト)RUにおいて送信する。
【0544】
図18bは、APからデータを受信するときに非AP局によって実行されるステップを、フローチャートを用いて示す。
【0545】
ステップ1811及び1812はそれぞれ、APに局の能力を通知すること、及びAPの通知される能力を受信することに関係する。これらのステップは任意の順序で実行することができ、上記で論じられたように、発見段階等の早期の段階において実行される場合がある。
【0546】
ステップ1813において、局が、DLグループ(ブロードキャスト)RUにおいてA-MPDUを受信し、ステップ1814において、局が、APの能力及び/又は局の能力に応じて、A-MPDUから自らにアドレッシングされるMPDU(複数の場合もある)を抽出する。
【0547】
ステップ1814の一実施態様において、AP及び局がいずれも、自らの「ブロードキャストRUにおけるマルチSTAアグリゲーションサポート」サブフィールドを1に設定していた場合には、局は、各アグリゲートされたデータフレームのMACアドレス(A-MPDUを形成する各MPDUのRAフィールド210)を自らのMACアドレスと比較する。これは、受信されたアグリゲートされたデータフレームの中から、もしあるなら、局にアドレッシングされた1つ以上のデータフレームを取り出すためである。したがって、STAは、各MPDUフレームのRAフィールドに基づいて、このSTAにアドレッシングされる、複数のSTAを対象にしたRUにおいて搬送される1つ以上のデータフレームを取り出すことができる。
【0548】
AP及び局のうちの少なくとも一方が、自らの「ブロードキャストRUにおけるマルチSTAアグリゲーションサポート」サブフィールドを0に設定していた場合には、A-MPDUは、(ブロードキャストMACフレームを除いて)異なる局のためのMPDUを含むべきではない。この場合、局は、A-MPDUの1つ、好ましくは第1のMPDUのMACアドレスを自らのMACアドレスと比較することができる。MACアドレスが自らのMACアドレスと一致する場合には(又はMACアドレスがブロードキャストアドレスである場合には)、A-MPDUに含まれる1つ以上のMPDUは全て、局にアドレッシングされると見なすことができる。それゆえ、それらのMPDUは全て、局によって処理するために抽出される。MACアドレスが自らのMACアドレスと一致しない場合には(及びMACアドレスがブロードキャストアドレスでない場合には)、それ以降のMPDUは局に向かわないと仮定されるので、MPDUの抽出(デアグリゲーション)は中止される。
【0549】
1つの変形の実施態様において、同じA-MPDU内のアグリゲートされたMPDUを異なる局にアドレッシングできるようにする機構は、非AP局に関してのみ任意選択と見なされ、APに関しては必須と見なされることに留意されたい。言い換えると、非AP局は依然として、いくつかの局にアドレッシングされるフレームを含むA-MPDUをDLブロードキャストRUにおいて受信するためのサポートを示さなければならないのに対して、APは、デフォルトで機構をサポートすることになるので、この機構に関する自らの能力について通知する必要はない。この変形形態において、MSASサブフィールドは、局によって通知される能力に関してのみ追加される。この変形形態は、システムの効率とコストとの間の良好なトレードオフを与えるので有利である。実際には、APは、管理されたセルの全ての局に関して有効になるように機構を実施することが好ましく、一方、局は、同じセルの他の局に関する機構の使用法に影響を及ぼさないように、機構を実施しない場合がある。
【0550】
図19は、MUダウンリンク送信1420とMUアップリンク送信1440との間のRU構成の一例を示す(
図14を参照)。
【0551】
1904によって識別される構成例は、STA7が「ブロードキャストRUにおけるマルチSTAアグリゲーションサポート」サブフィールドを0に設定していたので、APが、STA7にアドレッシングされるMPDUフレームのみを伴うA-MPDUをDL MU PPDUにおいて個別に送信することを考慮する事例を示す。
【0552】
1901によって識別される構成例は、STA2が「ブロードキャストRUにおけるマルチSTAアグリゲーションサポート」サブフィールドを1に設定していたが、APが、STA2にアドレッシングされるMPDUフレームのみを伴うA-MPDUをDL MU PPDUにおいて個別に送信することを考慮する事例を示す。
【0553】
1902及び1903によって識別される構成例は、APが常に、一度だけ現れる所与のAIDを有する1つのグループRUを形成する事例を示す。その例では、AID=2045を有するグループRUが最初にDL MU PPDU1020aにおいて送信され、その後、AID=2045を有するグループRUが後続のDL MU PPDU1420bにおいて更に送信される。
【0554】
1905によって識別される構成例は、
図18a及び
図18bに関する上記の説明に対する代替の実施態様を示す。この代替の実施態様において、APは、同じA-MPDU内のMPDUを異なる局にアドレッシングされるようにアグリゲートし、一方、受取局のうちの1つが、アグリゲーション機構をサポートしない(局のMSAS能力サブフィールドが0に設定される)。この変形の実施態様の場合、APは、選択肢をサポートしない局のためのMPDU(複数の場合もある)をA-MPDUのアグリゲーションにおいて最初に配置することによって、A-MPDUを構築する。結果として、第1のMPDU(複数の場合もある)の受領局である(そして、アグリゲーション能力をサポートしない)局は、MACアドレスの比較の結果が一致するので、第1のMPDU(複数の場合もある)を取り出すことになり、その後、局は、異なる局を対象にしたMPDUが見つけられると直ちに、後続のMPDUを取り出すのを中止することができるか、又は全ての後続のMPDUを引き出し、一致しないアドレスを有するMPDUを後に破棄することができる。
【0555】
1905によって識別される構成例では、本発明の一実施態様に従って多局A-MPDU内に現れる第1のMPDUフレーム(複数の場合もある)は、ビット1721を0に設定することによって多局アグリゲーション能力の非サポートを示した局に向けることができる。この局は、それらの第1のMPDU(複数の場合もある)の復号を取り扱い、その後、局STA8を対象にしたMPDUを受信すると、中止する。その例において、局STA8は、ビット1721を1に設定することによって多局アグリゲーション能力のサポートを示した局であり、後続のアグリゲートされたMPDUフレーム(複数の場合もある)を受信することができる。
【0556】
異なるRA値を有する1つ以上のMPDUがA-MPDU内で他のMPDUとアグリゲートされるとき、以下の順序化規則が当てはまる:「ブロードキャストRUにおけるマルチSTAアグリゲーション」機能(もしあるなら)をサポートしない1つの非AP局のためのMPDU(複数の場合もある)を、A-MPDU内の第1のMPDU(複数の場合もある)とする。
【0557】
図20は、局によって通知されるMSAS能力サブフィールド値を考慮に入れて、APによって実行されるA-MPDUを構築するプロセス(例えば、
図18aのステップ1803)の本発明による実施例を、フローチャートを用いて示す。この例において、デフォルトで、又はAPが1に設定されたMSAS能力サブフィールドを局に通知した後に、APが、同じA-MPDU内のアグリゲートされたMPDUを異なる局にアドレッシングできるようにする機構をサポートすると仮定する。
【0558】
ステップ2001において、ダウンリンク送信においてAPが送信すべきMACフレームを有する受取局のリストが取得され、その後、受取局が順次に処理される(ステップ2002においてループする)。ループは、全ての受取局が処理される(すなわち、リストの最後に達する)まで継続することができ、その後、(MACフレームを埋め込む)構築された1つ以上のA-MPDUが、それぞれの1つ以上の配分されたDL RUにおいて送信される(ステップ2016)。一変形形態において、ループは、1つのA-MPDUが構築されると中止され、1つの配分されたDL RUにおいてA-MPDUを送信することができる。その後、プロセスは、ステップ2001において、受取局の更新されたリストによって繰り返され、送信するために他のDL RUが使用される。
【0559】
ステップ2003において、(リスト内で現在選択されている)局が1に設定されたMSAS能力サブフィールドを通知したか否かがチェックされる。
【0560】
そのチェックが肯定される(ステップ2003のテストに対してyes)場合には、AP(スケジューラー)が、ステップ2004において、局のために同報RUを使用するか否かを判断する。これは、APが同じ同報RU(それゆえ、異なる受取局のためのMPDUをアグリゲートするA-MPDU)において送信すべきMACフレームを有する異なる受取局を、APがグループ化する意思があるか否かを判断することを意味する。異なる受取局をグループ化することが有利な場合がある状況は、
図13aのステップ1310の場合に説明された例示的な状況に類似している場合がある。例えば、所与の局に送信するための大量のデータが未送信である場合には、局のために専用RUを配分することが好ましい。別の例は、グループRU内にそれ以上の空きが残されていないので、局に専用RUが配分される事例である。同じHE MU PPDU内に専用RUを配分することによって、別のHE MU PPDUを待つのを回避し、それゆえ、時間が得られる(特に、同じHE MU PPDU内に複数のグループRUを配分することを許されない場合)。
【0561】
ステップ2004において、局のために同報RUが使用されることになると判断される場合には、必要に応じて、ステップ2005において、同報RUが配分される。同報RUが既に配分されている場合があるので、ステップ2005は任意選択である。同報RUがまだ配分されていない場合、又は先行して配分された同報RUにそれ以上の空きが残されていない場合には、新たな同報RUを配分することが必要な場合がある。
【0562】
ステップ2006において、現在のA-MPDUに挿入するために、局を対象にした1つ以上MACフレームが選択される。
【0563】
任意選択で、APは、MACフレーム(複数の場合もある)に関して確認応答するために局がどの応答RUを使用しなければならないかを、UMRS制御フィールドを用いてシグナリングしなければならない。これは、局にアドレッシングされる選択されたMACフレームにおいて、データフレームに対する応答をアクセスポイントに与えるためにMUダウンリンク送信に後続するMUアップリンク送信において局によって使用されることになる応答リソースユニットを識別するUMRS制御フィールドをシグナリングするために、ステップ2007及び2008を通して行われる。ステップ2007及び2008は
図16aのステップ1610及び1611に類似であり、例えば、アグリゲートされたMACフレームがないために、確認応答が要求されない場合には実行されない。
【0564】
その後、選択されたMACフレーム(複数の場合もある)が、ステップ2009において、おそらく異なる受取局のための他のMACフレーム(複数の場合もある)とA-MPDUにおいてアグリゲートされる。場合によっては、アグリゲーションは1つのMPDUに限定することができ、すなわち、A-MPDUは単一のMPDUを含む。
【0565】
チェックが否定される場合には(ステップ2003のテストにおいてno)、又はステップ2004において、局のために同報RUが使用されないと判断される場合には、ステップ2010が実行される。
【0566】
ステップ2010において、局が既にAPとアソシエートされているか否かが判断される。局が既にアソシエートされている場合には、(局のAIDを有する)単一宛先RUが配分される(ステップ2011)。局がアソシエートされていない場合には、(例えば、AID=2045を有する)同報RUが配分される(ステップ2012)。
【0567】
その後、局を対象にした1つ以上のMACフレームが選択され(ステップ2013)、A-MPDUに追加される(ステップ2016)。
【0568】
ステップ2007及び2008と同様に、ステップ2014及び2015は、自らのMACフレーム(複数の場合もある)に関して確認応答するために局がどの応答RUを使用しなければならないかを、UMRS制御フィールドを用いてシグナリングするために、任意選択で実施することができる。これは(まだAIDを割り当てられていない)未アソシエーション局の場合に特に関連する。
【0569】
ステップ2005~2009の分岐及びステップ2010~2016の分岐は並列に実行されてもよいことに留意されたい。また、プロセスにおいて両方の分岐を有する必要はなく、そのうちの一方のみが実行されればよいことにも留意されたい。例えば、APが全ての局に対する同報RUを使用する場合には、ステップ2005~2009の分岐のみを実行することができ、又はAPが、同じA-MPDU内のアグリゲートされたMPDUを異なる局にアドレッシングできるようにする機構をサポートしない場合には、ステップ2010~2016の分岐のみを実行することができる。
【0570】
異なるRA値を有する1つ以上のMPDUフレームがA-MPDUにおいて他のフレームとアグリゲートされるとき(ステップ2009及び/又は2016)、以下の順序化規則が当てはまる場合がある:「ブロードキャストRUにおけるマルチSTAアグリゲーション」機能(もしあるなら)をサポートしない1つの非AP局のためのMPDUフレーム(複数の場合もある)は、A-MPDU内の第1のMPDUフレーム(複数の場合もある)である。
【0571】
一実施態様において、MUアップリンク送信において局によって既に使用されたアップリンクRUと、同じ局にフレームを与えるためにMUダウンリンク送信においてAPが使用することになるダウンリンクRUとの間のRUプロファイルに関する照合(
図10a~
図10cを参照)が、任意選択の機構として考慮される。
【0572】
この実施態様において論じられる機構に関して、この機構のサポートを反映するために、1つの能力ビットが追加される。能力ビットは、「UL/DL照合プロファイルサポート」、又は略してUMPS能力ビットと呼ばれる。
【0573】
例えば、フィールド1710(
図17を参照)の予約されたサブフィールド内のMSAS能力ビットと同様に、UMPS能力ビットは、HE MAC能力情報フィールドに追加することができる。
【0574】
機構「ブロードキャストRUにおけるマルチSTAアグリゲーションサポート」及び「UL/DL照合プロファイルサポート」のうちの1つのみを802.11ax局において実施することができると想定できることに留意されたい。この場合、実施される1つの機構をシグナリングするために、1つの能力ビット(例えば、ビットB42)のみが追加される。代替的には、802.11ax局において両方の機構を実施することが許される場合がある。この場合、2つの能力ビット(例えば、ビットB42及びB43)が追加される。
【0575】
したがって、例えば、未アソシエーション局のためのダウンリンクRUを識別する場合に使用するために、アップリンクRUを規定する1つ以上の配分方式特性を保存することは、1に設定されたUMPS能力ビットを通知した802.11ax局によってのみ実行される。
【0576】
図21は、発見段階中に未アソシエーション局によって通知されるUMPS能力サブフィールド値を考慮に入れて、APによって実行されるプロセスの本発明による実施例を、フローチャートを用いて示す。この例では、デフォルトで、又は1に設定されるUMPS能力サブフィールドをAPが局に通知した後に、APがUL/DL照合プロファイル機構をサポートすると仮定される。
【0577】
以下の説明において、未アソシエーション局のために予約されるMU DL RUを指定するために、2045の所定の識別子値が選択される。当然、この値は、例示のためにのみ与えられ、任意の他の所定の値又はシグナリング手段が採用される場合がある。
【0578】
ステップ2101において、APが、未アソシエーション局への送信を待っている未送信フレーム(例えば、認証又はアソシエーション応答管理フレーム)のリストがあるか否かを判断する。
【0579】
未送信フレームのリストが空でない場合には、ステップ2102において、リストが1つ以上のブロードキャストフレームを含むか否かが判断される。少なくとも1つのブロードキャストフレームが見つけられた場合、ステップ2103において、ブロードキャストフレームが送信するために選択される(同じRUにおいて送信するために、より多くのブロードキャストフレームが選択される場合がある)。選択されたフレームを含むMU DLフレームに、AID=2045を有する単一のダウンリンクRUが組み込まれる(ステップ2104)。ダウンリンクRUは、MU DLフレーム(HE MU PPDU)内のどの場所にも配置することができる。MU DLフレームは、AID=2045を有するダウンリンクRUを組み込む時点で構築される場合があるか、又は、例えば、既にアソシエートされている局に向かうことになる他のダウンリンクRUが規定される時点で、APのモジュール805によって早期に形成される場合がある。
【0580】
リストがブロードキャストフレームを含まない(テスト2102が否定される)場合には、ステップ2107において、未送信のフレームの受取局である未アソシエーション局の数が決定される。1つのみの未アソシエーション受取局が見つけられた場合には、局を対象にした1つ以上のフレームが選択され(ステップ2109)、MU DLフレームに組み込まれる(ステップ2104)。未アソシエーションの数が2つ以上である場合には(テスト2107)、局によって通知されるUMPS能力サブフィールドに基づいて、更なる処理が実行される。
【0581】
例えば、ステップ2108において、全ての局が0に設定されたUMPS能力サブフィールドを有する(その機構をサポートしない)と判断された場合には、(フローチャートの現在の反復において)それらの局の中の1つの局のみからのフレームを考慮することによって、ステップ2109が実行される。
【0582】
テスト2108が否定される(少なくとも1つの局がその機構をサポートする)場合には、ステップ2110において、リストから、1に設定された能力サブフィールドを有する局を対象にした1つ以上のフレームが選択される。好ましくは、未アソシエーション局からのアップリンクRU上で受信される要求フレームの受信に後続する全ての応答フレームが、対応する未アソシエーション局に送信するために選択される。応答フレームに関するAID=2045を有するダウンリンクRUの設計は、未アソシエーション局によって使用されるアップリンクRUの少なくとも1つの配分方式特性に基づくことができる。当然、特定の未アソシエーション局のための応答フレームは、APに要求するときに同じ局によって使用されるアップリンクRUの配分方式特性に一致するダウンリンクRUを介して送信されることになる。
【0583】
ステップ2110において選択されるフレームの数は、利用可能なダウンリンクRU、例えば、AID=2045に割り当てられることになる利用可能なダウンリンクRUの数に制限される場合がある。詳細には、AID=2045に割り当てられることになる利用可能なRUの中の、1つの(例えば、第1の)RUが、その機構をサポートしない、すなわち、UMPS能力サブフィールドが0に設定された、まだアソシエートされていない局のために予約される場合がある(ステップ2112を参照)。
【0584】
ステップ2111において、AID値2045を有する1つ以上のダウンリンクRUが、MU DLフレームに組み込まれ、対応する選択されたフレームを構成する。MU DLフレームは、あらかじめ構築されるか、又は組み込む時点において構築される。AID=2045を有する組み込まれるダウンリンクリソースユニット(複数の場合もある)は、対応する未アソシエーション局のためにそれぞれ記憶される配分方式特性に一致する(すなわち、各ダウンリンクRUは、MUアップリンク送信においてフレームを送信するために局によって使用されたアップリンクリソースユニットの配分方式特性に一致する)。
【0585】
任意選択で、ステップ2112において、もしあるなら、0に設定された能力サブフィールドを有する未アソシエーション局を対象にした1つ以上のフレームを含むために、同じMU DLフレーム内で、AID=2045を有する1つのRUが所定の位置、例えば、第1の位置に配分される。
【0586】
ステップ2105において、MU DLフレームがAPによって送信される。最後に、ステップ2106において、送信された(そして確認応答された)選択されたフレームを除去することによって、未送信フレームのリストが更新され、フローチャートのステップがステップ2101から繰り返される。
【0587】
APによって実行されるプロセスの本発明による別の実施例(図示せず)において、UL/DL照合プロファイル機構がAP、及びこのAPとアソシエートされる全ての非AP局の両方によってサポートされると仮定される(デフォルトによるか、又は関係する802.11axデバイスの通知される能力に従って決定される)。
【0588】
この実施例では、テストステップ2108及び任意選択のステップ2112を除外し、ステップ2110及び2111を変更することによって、
図21のフローチャートを変更することができる。未アソシエーション局の数が2つ以上である場合には(テスト2107)、リストから、複数の未アソシエーション受取局を対象にした複数のフレームが選択される(変更されたステップ2110)。変更されたステップ2111において、AID値2045を有する複数のダウンリンクRUが、MU DLフレームに組み込まれ、対応する選択されたフレームを構成する。MU DLフレームは、あらかじめ構築されるか、又は組み込む時点において構築される。AID=2045を有する組み込まれるダウンリンクリソースユニットは、対応する未アソシエーション局のためにそれぞれ記憶される配分方式特性に一致する(すなわち、各ダウンリンクRUは、MUアップリンク送信においてフレームを送信するために局によって使用されたアップリンクリソースユニットの配分方式特性に一致する)。
【0589】
本発明は、上記において、特定の実施形態に関して説明されてきたが、本発明は、これらの特定の実施形態に限定されるものではなく、当業者には、本発明の範囲内にある変更形態が明らかであろう。
【0590】
上記の説明は、周波数領域において配分されるRUに焦点を合わせる。変形形態は、周波数ベースの配分の代わりに、又はそれと組み合わせて、時間領域において配分されるRUを有することを考えることもできる。いずれの場合も、特定のRUを記述する配分方式特性は、使用される配分方式から取得することができる。
【0591】
上記例示の実施形態を参照すると、当業者には、多くの更なる変更形態及び変形形態が想起される。なお、上記例示の実施形態は、専ら例としてのみ与えられ、本発明の範囲を限定することを意図するものはなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ画定される。特に、異なる実施形態からの異なる特徴は、必要に応じて交換することができる。
【0592】
特許請求の範囲において、「備える/含む」という用語は、他の要素もステップも除外するものではなく、個数が指定されていないものは、単数及び複数のものを含む。異なる特徴が互いに異なる従属請求項に列挙されていることのみをもって、これらの特徴の組み合わせを有利に用いることができないことを示すものではない。