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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】リテーナを備えたエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/20 20200101AFI20241120BHJP
   A24C 5/01 20200101ALI20241120BHJP
   A24D 1/22 20200101ALI20241120BHJP
【FI】
A24D1/20
A24C5/01
A24D1/22
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022500663
(86)(22)【出願日】2020-07-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 EP2020069135
(87)【国際公開番号】W WO2021023454
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-06-21
(31)【優先権主張番号】19189914.5
(32)【優先日】2019-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100122563
【弁理士】
【氏名又は名称】越柴 絵里
(72)【発明者】
【氏名】グラフ ディディエ
(72)【発明者】
【氏名】ロレンツェッリ ミケーレ
(72)【発明者】
【氏名】ルーヴェ アレクシス
(72)【発明者】
【氏名】モフセニ ファルハン
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-505182(JP,A)
【文献】特表2018-531584(JP,A)
【文献】特開2019-088315(JP,A)
【文献】特表2017-500852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/20
A24C 5/01
A24D 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品であって、
長軸方向の外表面を有する可燃性熱源と、
前記可燃性熱源の下流にあるエアロゾル形成基体と、
保持ラップであって、
前記可燃性熱源の前記長軸方向の外表面上に、前記可燃性熱源の長さに沿った経路の少なくとも約50パーセントに延び、少なくとも一つの開口部を含み、前記少なくとも一つの開口部が、前記可燃性熱源の前記長軸方向の外表面の少なくとも約30パーセントに重なる、上流部分、および、
前記エアロゾル形成基体の少なくとも一部分を囲む、下流部分、を含む、保持ラップと、を備える、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記保持ラップの前記上流部分が、前記可燃性熱源の上流端まで延びる、または前記可燃性熱源の前記上流端を越えて延びる、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記保持ラップの前記上流部分の前記少なくとも一つの開口部が、少なくとも約45平方ミリメートルの総面積を有する、請求項1または2に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記保持ラップの前記上流部分が、前記可燃性熱源の表面に接着される、請求項1~3のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記保持ラップが金属箔を含む、請求項1~4のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記保持ラップが紙を含む、請求項1~5のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記紙が、金属で共積層化された紙または金属化紙のうちの少なくとも一つを含む、請求項6に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記保持ラップが、約190マイクロメートル以下の最大の厚さを有する、請求項1~7のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記保持ラップの前記少なくとも一つの開口部が、すべての側面において前記保持ラップによって包囲された開口部を含む、請求項1~8のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記少なくとも一つの開口部の上流縁が、前記可燃性熱源の上流端から少なくとも約1ミリメートルに配置される、請求項9に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記少なくとも一つの開口部が、前記保持ラップの前記少なくとも一つの開口部がすべての側面において前記保持ラップによって包囲されない、請求項1~8のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
前記保持ラップの前記上流部分が、前記可燃性熱源の上流端まで延び、前記保持ラップが、金属箔、および金属で共積層化された紙または金属化紙の両方を含み、前記少なくとも一つの開口部が、前記可燃性熱源の前記長軸方向の外表面の約50パーセント~約90パーセントに重なる、請求項1~11のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項13】
エアロゾル発生物品を形成するための方法であって、前記方法が、
可燃性熱源およびエアロゾル形成基体を提供することと、
包装材料の一部分を提供することと、
前記包装材料の一部分に少なくとも一つの開口部を切断して保持ラップを形成することと、
前記保持ラップの上流部分が、前記可燃性熱源の長軸方向の外表面上に、前記可燃性熱源の長さに沿った経路の少なくとも約50パーセントに延び、前記少なくとも一つの開口部が、前記保持ラップの前記上流部分にあり、前記少なくとも一つの開口部が、前記可燃性熱源の前記長軸方向の外表面の少なくとも約30パーセントに重なり、
前記保持ラップの下流部分が、前記エアロゾル形成基体の少なくとも一部分を囲むように、前記保持ラップを、前記可燃性熱源および前記エアロゾル形成基体に適用することと、を含む、方法。
【請求項14】
前記包装材料の一部分を提供する工程が、
金属で共積層化された紙または金属化紙の一部分を提供することと、
金属箔の一部分を提供することと、
前記金属箔の一部分を前記紙の一部分に貼り付けることと、含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記包装材料の一部分に少なくとも一つの開口部を切断する工程が、
前記金属で共積層化された紙、または金属化紙の一部分、および、
前記金属箔の一部分、の両方を通る単一の開口部を切断することを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生物品に関する。特に、本発明は、可燃性熱源と、可燃性熱源の下流にあるエアロゾル形成基体と、可燃性熱源およびエアロゾル形成基体を接合するように構成された保持ラップとを備えるエアロゾル発生物品に関する。本発明はまた、エアロゾル発生物品を形成するための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
数多くの代替的なエアロゾル発生物品が当該技術分野で提案されてきた。こうした代替的なエアロゾル発生物品の一つの目的は、可燃性紙巻たばこにおけるたばこの燃焼および熱分解によって生成されるタイプの特定の煙成分の量を低減させることである。一つの公知のタイプのエアロゾル発生物品では、可燃性熱源から可燃性熱源に隣接して位置するエアロゾル形成基体への熱の伝達によりエアロゾルが発生される。エアロゾル発生の間、揮発性化合物は、可燃性熱源からの熱伝達によりエアロゾル形成基体から放出され、エアロゾル発生物品を通して引き出された空気中に同伴される。放出された化合物は冷めるにつれて凝縮してエアロゾルを形成する。これらは、加熱式エアロゾル発生物品として知られている場合がある。
【0003】
可燃性熱源およびエアロゾル形成基体を備える加熱式エアロゾル発生物品では、可燃性熱源はエアロゾル発生物品の残りの部分にしっかりと取り付けられる必要がある。可燃性熱源は、エアロゾル発生物品の製造から、そしてエアロゾル発生物品の輸送、使用、および場合によっては廃棄の間、エアロゾル形成基体にしっかりと取り付けられたままでなければならない。
【0004】
エアロゾル発生物品に使用されるタイプの可燃性熱源は、使用前または使用中に損傷する場合がある。例えば、特定の可燃性熱源は壊れやすい場合がある。壊れやすい可燃性熱源は、使用前または使用中、損傷、例えば、ひびまたは欠けに対して脆弱であり得る。一部の可燃性熱源は、炭素を含む。炭素を含む可燃性熱源は脆く、このため、特に損傷しやすい場合がある。さらに、一部の可燃性熱源は、粉末加工技術を使用して形成され、これらの技術は、損傷しやすい可燃性熱源をもたらし得る。使用中の可燃性熱源への損傷は、可燃性熱源の材料破損につながり得る。これは、エアロゾル発生物品を使用する際に燃焼させる燃料の低下をもたらす場合がある。これは、可燃性熱源からエアロゾル形成基体に伝達される熱の量に影響を与える可能性があり、したがって、エアロゾル形成基体からの揮発性化合物の放出に影響を与える可能性がある。さらに、可燃性熱源の材料破損により許容できない混乱が生じ、可燃性熱源の外観に影響を与えかねない。
【0005】
使用時、可燃性熱源は点火および燃焼されて、エアロゾル形成基体へと伝達される熱を発生する。可燃性熱源の点火および効率的な燃焼を可能にするためには、可燃性熱源が良好な空気供給を有する必要がある。
【0006】
改善された可燃性熱源の保持を有するエアロゾル発生物品を提供することが望ましい。また、可燃性熱源への損傷によって生じる、可燃性熱源からの材料の損失を防止するエアロゾル発生物品を提供することも望ましい。また、可燃性熱源の効率的な点火および燃焼のために十分な空気が可燃性熱源にアクセスすることを可能にする、エアロゾル発生物品を提供することも望ましい。
【発明の概要】
【0007】
本発明によれば、長軸方向の外表面を有する可燃性熱源と、可燃性熱源の下流にあるエアロゾル形成基体と、保持ラップとを備える、エアロゾル発生物品が提供されている。
【0008】
保持ラップは、長軸方向の外表面上に、可燃性熱源の長さに沿った経路の少なくとも約50パーセントに延びる上流部分を含み得る。これは、有利なことに、エアロゾル形成基体に対する可燃性熱源の保持を改善し得る。
【0009】
保持ラップの上流部分は、少なくとも一つの開口部を含み得る。これは、有利なことに、可燃性熱源の点火および燃焼を促進するのに十分な空気が可燃性熱源に達することを可能にし得る。少なくとも一つの開口部を提供することにより、保持ラップが可燃性熱源の上流端に向かってさらに延びることが可能になる。これは、有利なことに、エアロゾル形成基体に対する可燃性熱源の保持を改善すると同時に、なおも、従来の黄色炎シガレットライターによる容易かつ迅速な点火を促進するのに十分な空気が可燃性熱源に達することを可能にする。また、可燃性熱源の燃焼の持続を促進するのにも十分な空気が可燃性熱源に達することが可能であり得る。
【0010】
少なくとも一つの開口部は、可燃性熱源の長軸方向の外表面の少なくとも約30パーセントに重なり得る。これは、有利なことに、少なくとも一つの開口部が、可燃性熱源の点火および燃焼を促進するのに十分な空気が可燃性熱源に達することを可能にするのに十分に大きいことを確保し得る。
【0011】
保持ラップは、エアロゾル形成基体の少なくとも一部分を囲む下流部分を含み得る。これは、有利なことに、エアロゾル形成基体に対する可燃性熱源の保持をさらに改善し得る。さらに、保持ラップが熱伝導性材料を含む場合、この提供により、可燃性熱源からエアロゾル形成基体への熱伝達が促進され得る。
【0012】
本発明の好ましい実施形態では、長軸方向の外表面を有する可燃性熱源と、可燃性熱源の下流にあるエアロゾル形成基体と、保持ラップとを備えるエアロゾル発生物品が提供されている。保持ラップは、可燃性熱源の長軸方向の外表面上に、可燃性熱源の長さに沿った経路の少なくとも約50パーセントに延びる上流部分を含む。保持ラップの上流部分は、少なくとも一つの開口部を含む。少なくとも一つの開口部は、可燃性熱源の長軸方向の外表面の少なくとも約30パーセントに重なる。保持ラップは、エアロゾル形成基体の少なくとも一部分を囲む下流部分をさらに含む。
【0013】
保持ラップは、可燃性熱源をエアロゾル形成基体に接合するように構成されている。可燃性熱源の周りの上流部分、およびエアロゾル形成基体の周りの下流部分を有する保持ラップを提供することにより、有利なことに、エアロゾル形成基体に対する可燃性熱源の保持が改善される。
【0014】
可燃性熱源の長軸方向の外表面上に、可燃性熱源の長さに沿った経路の少なくとも約50パーセントに延びる保持ラップの上流部分を提供することにより、有利なことに、可燃性熱源を、その長さの大部分に沿って保持ラップによって保持することが可能になり得る。これは、有利なことに、エアロゾル形成基体に対する可燃性熱源の保持を改善し得る。また、この提供は、可燃性熱源への損傷により形成されるより大きな部分の任意の材料の保持に役立ち得る。これは、有利なことに、可燃性熱源への損傷により形成される材料の損失を防止し得る。本発明者らは、保持ラップによる可燃性熱源の被覆が大きいと、可燃性熱源への損傷により形成される材料の保持が改善され得ることを見出した。
【0015】
保持ラップの上流部分は、可燃性熱源の長軸方向の外表面上に、可燃性熱源の長さに沿った経路の少なくとも約60パーセント、少なくとも約70パーセント、少なくとも約80パーセント、少なくとも約90パーセント、または少なくとも約95パーセントに延び得る。
【0016】
言い換えれば、保持ラップの上流部分は、可燃性熱源の長軸方向の外表面上に、可燃性熱源の長さに沿った経路の約50パーセント~約100パーセント、約60パーセント~約100パーセント、約70パーセント~約100パーセント、約80パーセント~約100パーセント、約90パーセント~約100パーセント、または約95パーセント~約100パーセントに延び得る。
【0017】
保持ラップの上流部分は、可燃性熱源の上流端を越えて延びてもよい。「越えて延びる」という用語は、保持ラップが可燃性熱源の上流端の上流に延びることを意味することが理解される。例えば、保持ラップの上流部分は、可燃性熱源の上流端の約1ミリメートル上流に延びてもよい。
【0018】
保持ラップの上流端は、可燃性熱源の上流端からある距離に位置し得る。
【0019】
可燃性熱源の上流端からある距離に位置する保持ラップの上流端の提供により、有利なことに、可燃性熱源の上流端の一部分が外部熱源による点火のために露出されたままとなるために、可燃性熱源の点火が促進され得る。
【0020】
保持ラップの上流部分は、可燃性熱源の長軸方向の外表面上に、可燃性熱源の長さに沿った経路の約95パーセント以下、約90パーセント以下、約80パーセント以下、約70パーセント以下、または約60パーセント以下に延び得る。この提供により、有利なことに、保持ラップによる可燃性熱源の保持が改善し得る。また、この提供により、可燃性熱源への可能性のある損傷によって生じる、可燃性熱源からの材料の損失が有利に防止され得る。
【0021】
保持ラップの上流部分は、可燃性熱の長軸方向の外表面上に、可燃性熱源の長さに沿った経路の約50パーセント~約95パーセント、約60パーセント~約90パーセント、または約70パーセント~約80パーセントに延び得る。
【0022】
可燃性熱源の長軸方向の外表面の少なくとも約30パーセントに重なる少なくとも一つの開口部を含む保持ラップの上流部分の提供により、可燃性熱源の点火および燃焼を促進するのに十分な空気が可燃性熱源に達することが可能になり得る。可燃性熱源の長軸方向の外表面の少なくとも約30パーセントに重なる少なくとも一つの開口部を含む保持ラップの上流部分の提供により、保持ラップの上流部分の少なくとも一つの開口部を通って可燃性熱源に通過する炎などの熱によって可燃性熱源を点火することが可能になり得る。これは、有利なことに、保持ラップに少なくとも一つの開口部を含まず、そのため、保持ラップの上流端を越えた可燃性熱源の上流端における点火のみが可能である実施例と比較して、従来の黄色炎シガレットライターによる容易かつ迅速な点火、および可燃性熱源のより完全な燃焼を可能にし得る。
【0023】
保持ラップの上流部分は、可燃性熱源の長軸方向の外表面の少なくとも約30パーセントに重なる少なくとも一つの開口部を含む。言い換えれば、可燃性熱源の長軸方向の外表面の少なくとも約30パーセントは、保持ラップによって覆われず、代わりに、少なくとも一つの開口部を通して露出されることになる。少なくとも一つの開口部は、少なくとも一つの開口部を通して露出している可燃性熱源の長軸方向の外表面の一部分が、可燃性熱源の長軸方向の外表面全体の少なくとも約30パーセントを占めるように構成されている。以下に記載するように、「開口部」という用語は、すべての側面において保持ラップによって包囲された保持ラップの開口部、および保持ラップの上流縁が少なくとも一つの開口部の一部分を画定するように、保持ラップの上流端まで全体に延びる開口部、の両方を指すものと理解される。
【0024】
保持ラップの上流部分の少なくとも一つの開口部は、可燃性熱源の長軸方向の外表面の少なくとも約40パーセント、少なくとも約50パーセント、または少なくとも約60パーセントに重なり得る。
【0025】
保持ラップの上流部分の少なくとも一つの開口部は、可燃性熱源の長軸方向の外表面の100パーセント未満に重なり得る。例えば、保持ラップの上流部分の少なくとも一つの開口部は、可燃性熱源の長軸方向の外表面の90パーセント未満、80パーセント未満、または70パーセント未満に重なり得る。
【0026】
保持ラップの上流部分の少なくとも一つの開口部は、可燃性熱源の長軸方向の外表面の約40パーセント~約90パーセント、約50パーセント~約80パーセント、または約60パーセント~約70パーセントに重なり得る。保持ラップの上流部分の少なくとも一つの開口部は、可燃性熱源の長軸方向の外表面の約65パーセントに重なり得ることが好ましい。
【0027】
保持ラップの上流部分の少なくとも一つの開口部は、可燃性熱源の長軸方向の外表面の約65パーセントに重なり、保持ラップの上流部分は、可燃性熱源の上流端まで延びることがより好ましい。
【0028】
エアロゾル形成基体の少なくとも一部分を囲む保持ラップの下流部分の提供により、保持ラップの大きな表面積がエアロゾル形成基体の外表面と接触しているために、エアロゾル形成基体に対する可燃性熱源の保持がさらに改善され得る。さらに、以下でさらに考察されるように、エアロゾル形成基体の少なくとも一部分を囲む保持ラップの下流部分の提供により、保持ラップが熱伝導性材料を含む場合に、可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間の熱伝導が改善し得る。エアロゾル形成基体の少なくとも一部分を囲む保持ラップの下流部分の提供により、有利なことに、保持ラップが熱伝導性材料を含む場合に、可燃性熱源からエアロゾル形成基体への均一な熱伝達が確保され得る。
【0029】
保持ラップの下流部分は、エアロゾル形成基体の長さの少なくとも約60パーセント、少なくとも約70パーセント、少なくとも約80パーセント、少なくとも約90パーセント、または少なくとも約95パーセントを囲み得る。保持ラップの下流部分は、エアロゾル形成基体の全長を囲んでもよい。
【0030】
保持ラップの下流部分は、エアロゾル形成基体の下流端を越えて延びてもよい。この場合、保持ラップの下流部分は、可燃性熱源およびエアロゾル形成基体をエアロゾル発生物品のさらなる構成要素にしっかりと取り付けるのに使用され得る。エアロゾル発生物品のさらなる可能性のある構成要素について以下に考察する。保持ラップの下流部分は、可燃性熱源の下流端とエアロゾル発生物品の下流端との間でエアロゾル発生物品のすべての構成要素を包むように、可燃性熱源の下流端まで延びてもよい。
【0031】
本発明の発明者らは、エアロゾル形成基体に対する可燃性熱源のしっかりとした取り付けを確保することが望ましいことを特定した。本発明の発明者らはまた、可燃性熱源への損傷によって生じる、可燃性熱源からの材料の損失を防止することが望ましい場合があることを特定した。発明者らは、これらの問題は、長軸方向の外表面上に、可燃性熱源の長さに沿った経路の少なくとも約50パーセントに延び、エアロゾル形成基体の少なくとも一部分を囲む、上流部分と、エアロゾル形成基体の少なくとも一部分を囲む下流部分とを有する保持ラップを提供することによって解決され得ることを特定した。保持ラップは、可燃性熱源をエアロゾル形成基体にしっかりと取り付け得る。以下に記載するように、可燃性熱源の保持、または可燃性熱源への損傷によって形成される材料の保持を確保するためには、発明者らは、保持ラップが可燃性熱源の長さに沿った経路の少なくとも約50パーセントに延びるべきであることを特定した。しかしながら、本発明の発明者らは、可燃性熱源の長さに沿ってこのように長く延びる保持ラップは、不利なことに、可燃性熱源に達し得る空気の量の低下につながり得ることを特定した。これは、可燃性熱源の点火および持続的または完全な燃焼を阻害し得る。本発明の発明者らは、保持ラップの上流部分に少なくとも一つの開口部を提供することにより、有利なことに、可燃性熱源に十分な空気が達することを可能にすると同時に、保持ラップを可燃性熱源の相当な長さに沿って延ばすことが可能になり、それによって、可燃性熱源の保持または可燃性熱源への損傷によって形成される材料の保持を確保することが可能であることを特定した。特に、本発明の発明者らは、十分な空気が可燃性熱源に達することを可能にするためには、少なくとも一つの開口部を可燃性熱源の長軸方向の表面の少なくとも約30パーセントに重ねるべきであることを立証した。
【0032】
以下でより詳細に記載するように、保持ラップに含まれる少なくとも一つの開口部は、任意の形状およびサイズを有し得る。少なくとも一つの開口部は保持ラップに含まれるため、保持ラップが可燃性熱源を囲まないエアロゾル発生物品が考えられる。これは、可燃性熱源の外表面にわたって延びる保持ラップの一部分が複数のフィンガーとして提供される場合であり得る。
【0033】
可燃性熱源は、長軸方向の外表面を有する。
【0034】
本発明に関連して本明細書で使用される「長軸方向」および「軸方向」という用語は、エアロゾル発生物品の対向する上流端と下流端との間、またエアロゾル発生物品の構成要素の対向する上流端と下流端との間の方向を記述するために使用される。したがって、「長軸方向の外表面」とは、エアロゾル発生物品の構成要素の対向する上流端と下流端との間に延びるエアロゾル発生物品の構成要素の外表面である。
【0035】
本発明に関連して本明細書で使用される「囲む」および「囲んでいる」という用語は、第二の特徴の周囲全体の周りに延びる第一の特徴を指す。例えば、本発明では、保持ラップの下流部分は、エアロゾル形成基体の少なくとも一部分を囲む。これは、エアロゾル形成基体の長軸方向の長さに沿った一つ以上の点において、保持ラップの下流部分がエアロゾル形成基体の周囲全体の周りに延びることを意味する。
【0036】
本発明に関して本明細書で使用される「上流」および「前方」、ならびに「下流」および「後方」という用語は、その使用時にエアロゾル発生物品を通って空気が流れる方向に関連して、エアロゾル発生物品の構成要素または構成要素の一部分の相対的位置を説明するために使用される。本発明によるエアロゾル発生物品は、使用時にユーザーに送達するためにエアロゾルがエアロゾル発生物品を抜け出る近位端を備える。エアロゾル発生物品の近位端は口側の端または下流端と呼ばれることもある。使用時、ユーザーはエアロゾル発生物品の口側の端を吸う。口側の端は遠位端の下流である。可燃性熱源は遠位端に、またはその近くに位置する。エアロゾル発生物品の遠位端は上流端と呼ばれることもある。喫煙物品の構成要素または構成要素の一部分は、喫煙物品の近位端と喫煙物品の遠位端との間のそれらの相対的位置に基づいて互いの上流または下流にあると記述されてもよい。エアロゾル発生物品の構成要素の前方または構成要素の一部は、エアロゾル発生物品の上流端に最も近い端部の部分である。エアロゾル発生物品の構成要素の後方または構成要素の一部は、エアロゾル発生物品の下流端に最も近い端部の部分である。可燃性熱源の後方部分は可燃性熱源の下流端にある可燃性熱源の一部分である。エアロゾル形成基体の前方部分は、エアロゾル形成基体の上流端のエアロゾル形成基体の一部分である。
【0037】
保持ラップの上流部分は、可燃性熱源の上流端まで延びてもよい。
【0038】
これは、有利なことに、エアロゾル形成基体に対する可燃性熱源の保持をさらに改善し得る。また、この提供は、可燃性熱源への損傷により形成されるより大きな部分の任意の材料の保持に役立ち得る。可燃性熱源の上流端、特に可燃性熱源の上流縁部分は、特に欠けによる損傷を受けやすい場合がある。可燃性熱源の上流端まである保持ラップを提供することにより、有利なことに、可燃性熱源の上流端における可燃性熱源への損傷によって形成される材料の保持が改善され得る。
【0039】
可燃性熱源は、可燃性熱源の上流端に上流平面端面を含み得る。
【0040】
可燃性熱源可燃性熱源が可燃性熱源の上流端に上流平面端面を含む場合、保持ラップは、可燃性熱源の平面端面の少なくとも一部分に延び得る。
【0041】
これは、有利なことに、エアロゾル形成基体に対する可燃性熱源の保持をさらに改善し得る。これは、有利なことに、可燃性熱源への損傷によって形成される材料の保持をさらに改善し得る。
【0042】
可燃性熱源が可燃性熱源の上流端に上流平面端面を含む場合、保持ラップは、可燃性熱源の平面端面の少なくとも一部分に延びない場合がある。言い換えれば、可燃性熱源の上流平面端面は、露出している場合がある。
【0043】
これは、有利なことに、空気が可燃性熱源に達することを可能にすることにより、可燃性熱源の点火および燃焼を改善し得る。
【0044】
保持ラップの上流部分が可燃性熱源の上流端まで延びる場合、少なくとも一つの開口部は、可燃性熱源の長軸方向の外表面の少なくとも約50パーセントに重なることが好ましい場合がある。これは、有利なことに、可燃性熱源の十分な面積を露出させて、従来の黄色炎シガレットライターによる容易かつ迅速な点火を促進し得る。また、可燃性熱源の燃焼の持続を促進するのにも十分な空気が可燃性熱源に達することが可能であり得る。
【0045】
保持ラップの上流部分の少なくとも一つの開口部は、少なくとも約45平方ミリメートルの総面積を有してもよい。言い換えれば、可燃性熱源の長軸方向の外表面の少なくとも約45平方ミリメートルは、保持ラップによって覆われず、代わりに、少なくとも一つの開口部を通して露出されることになる。
【0046】
これは、有利なことに、可燃性熱源の効率的な点火および燃焼のために十分な空気が可燃性熱源にアクセスすることを可能にし得る。少なくとも約45平方ミリメートルの総面積を有する少なくとも一つの開口部を含む保持ラップの上流部分を提供することにより、保持ラップの上流端の少なくとも一つの開口部を通って可燃性熱源に通過する炎などの熱によって可燃性熱源を点火することが可能になり得る。これは、保持ラップに少なくとも一つの開口部を含まず、そのため、保持ラップの上流端を越えた可燃性熱源の上流端における点火のみが可能である実施例と比較して、従来の黄色炎シガレットライターによる容易かつ迅速な点火、および可燃性熱源のより完全な燃焼を可能にし得る。また、少なくとも約45平方ミリメートルの総面積を有する少なくとも一つの開口部を含む保持ラップの上流部分を提供することにより、保持ラップを可燃性熱源の上流端に向かってさらに延ばすことも可能になり得る。これは、有利なことに、エアロゾル形成基体に対する可燃性熱源の保持を改善すると同時に、なおも従来の黄色炎シガレットライターによる容易かつ迅速な点火、および可燃性熱源の燃焼の持続を促進することを可能にする。
【0047】
保持ラップの少なくとも一つの開口部は、少なくとも約60平方ミリメートル、少なくとも約80平方ミリメートル、少なくとも約100平方ミリメートル、または少なくとも約120平方ミリメートルの総面積を有し得る。
【0048】
保持ラップの少なくとも一つの開口部は、約180平方ミリメートル未満、約140平方ミリメートル未満、約120平方ミリメートル未満の総面積を有してもよい。
【0049】
保持ラップの少なくとも一つの開口部は、約60平方ミリメートル~約180平方ミリメートル、または約80平方ミリメートル~約140平方ミリメートルの総面積を有してもよい。保持ラップの少なくとも一つの開口部は、約90平方ミリメートル~約110平方ミリメートルの総面積を有し得ることが好ましい。保持ラップの少なくとも一つの開口部は、約96平方ミリメートルの総面積を有し得ることがより好ましい。
【0050】
保持ラップの上流部分の少なくとも一つの開口部は、少なくとも約45平方ミリメートル、少なくとも約48平方ミリメートル、または少なくとも約55平方ミリメートルの面積を有する開口部を含み得る。
【0051】
これは、有利なことに、少なくとも一つの開口部が、可燃性熱源の点火および燃焼を促進するのに十分な空気が可燃性熱源に達することを可能にするのに十分に大きい開口部を含むことを確保し得る。
【0052】
保持ラップの上流部分の少なくとも一つの開口部の各々は、少なくとも約45平方ミリメートル、少なくとも約48平方ミリメートル、または少なくとも約55平方ミリメートルの面積を有し得る。
【0053】
保持ラップの上流部分の少なくとも一つの開口部は、長方形の開口部を含み得る。
【0054】
保持ラップの上流部分の少なくとも一つの開口部は、開口部の全長に沿って一定の幅を有する開口部を含み得る。
【0055】
開口部は、約4ミリメートル~約16ミリメートル、約6ミリメートル~約14ミリメートル、または約8ミリメートル~約12ミリメートルの幅を有し得る。開口部は、約10ミリメートルの幅を有することが好ましい。
【0056】
開口部は、約3ミリメートル~約9ミリメートル、または約4.5ミリメートル~約6ミリメートルの長さを有し得る。開口部は、約4.5ミリメートルの長さを有してもよい。開口部は、約5.5ミリメートルの長さを有してもよい。開口部は、約6ミリメートルの長さを有してもよい。
【0057】
保持ラップの上流部分の少なくとも一つの開口部は、狭い部分および広い部分を含む開口部を含み得る。狭い部分は、長方形の形状を有してもよい。広い部分は、長方形の形状を有してもよい。
【0058】
開口部の狭い部分は、約0.5ミリメートル~約3.5ミリメートル、約1ミリメートル~約3ミリメートル、または約1.5ミリメートル~約2.5ミリメートルの幅を有してもよい。開口部の狭い部分は、約2ミリメートルの幅を有することが好ましい。
【0059】
開口部の狭い部分は、約0.5ミリメートル~約5ミリメートル、約1ミリメートル~約5ミリメートル、または約1ミリメートル~約3ミリメートルの長さを有してもよい。開口部の狭い部分は、約1.5ミリメートルの長さを有することが好ましい。
【0060】
開口部の広い部分は、約4ミリメートル~約16ミリメートル、約6ミリメートル~約14ミリメートル、または約8ミリメートル~約12ミリメートルの幅を有してもよい。開口部の広い部分は、約10ミリメートルの幅を有することが好ましい。
【0061】
開口部の広い部分は、約3ミリメートル~約7ミリメートル、約4ミリメートル~約6ミリメートル、または約4.5ミリメートル~約5.5ミリメートルの長さを有してもよい。開口部の広い部分は、約4.5ミリメートルの長さを有してもよい。開口部の広い部分は、約5.5ミリメートルの長さを有してもよい。
【0062】
開口部の狭い部分は、開口部の広い部分の下流にあってもよい。別の方法として、開口部の狭い部分は、開口部の広い部分の上流にあってもよい。
【0063】
本発明に関連して本明細書で使用される「長さ」という用語は、特徴、例えば、開口部または可燃性熱源の、特徴の上流端から特徴の下流端へのエアロゾル発生物品の長軸方向における寸法を指す。
【0064】
本発明に関連して本明細書で使用される「幅」という用語は、特徴、例えば、開口部の、エアロゾル発生物品の長軸方向に対して直角を成す方向における寸法を指す。特に、当然のことながら、エアロゾル発生物品またはエアロゾル発生物品の構成要素が湾曲した表面を有する場合、特徴の「幅」は、エアロゾル発生物品の表面の輪郭上の曲線に従い得る。
【0065】
保持ラップは、可燃性熱源の表面に接着されてもよい。
【0066】
これは、有利なことに、エアロゾル形成基体に対する可燃性熱源の保持を改善し得る。
【0067】
保持ラップの上流部分は、接着剤を使用して可燃性熱源の表面に接着されてもよい。接着剤は、任意の適切な接着剤であり得る。接着剤は、耐熱性接着剤であることが好ましい。可燃性熱源の燃焼によって達する温度において安定していることが好ましい。例えば、接着剤はケイ酸接着剤であってもよい。
【0068】
接着剤は、可燃性熱源の一部分上にのみ、可燃性熱源と保持ラップの上流部分との間に提供されてもよい。
【0069】
接着剤は、保持ラップの上流部分の一部にのみ提供されてもよい。
【0070】
保持ラップの上流部分の一部は、任意の形状を有してもよい。例えば、保持ラップの上流部分の一部は、長軸方向線、横断線、楕円形、らせん形、正方形、または点であり得る。保持ラップの上流部分に複数の部分があってもよい。保持ラップの上流部分の複数の部分は、複数の長軸方向線、複数の横断線、または複数の点を含み得る。
【0071】
接着剤は、保持ラップの上流部分全体に提供されてもよい。
【0072】
別の方法として、保持ラップが可燃性熱源の表面に接着されない場合がある。
【0073】
これは、有利なことに、エアロゾル発生物品の製造を単純化し得る。保持ラップが可燃性熱源の表面に接着されない場合、保持ラップ内の可燃性熱源の緊密な嵌合は、可燃性熱源を保持するのに十分であり得る。
【0074】
保持ラップの下流部分は、エアロゾル形成基体の表面に接着されてもよい。
【0075】
保持ラップは、任意の適切な材料を含み得る。保持ラップは、耐熱性の材料を含むことが好ましい。保持ラップは、熱伝導性材料を含むことが好ましい。
【0076】
保持ラップは、金属箔を含んでもよい。例えば、保持ラップは、アルミニウム(アルミ箔)から形成される箔を含んでもよい。
【0077】
有利なことに、金属箔の使用により、可燃性熱源が点火した場合でも、エアロゾル形成基体に対する可燃性熱源の確実な保持が確保され得る。金属箔の使用は、可燃性熱源からエアロゾル形成基体への効果的な熱伝導を提供し得る。これは、有利なことに、エアロゾル形成基体によるエアロゾルの発生を改善し得る。
【0078】
金属箔は、少なくとも約5マイクロメートルの厚さを有してもよい。例えば、金属箔は、少なくとも約10マイクロメートル、または少なくとも約15マイクロメートルの厚さを有してもよい。金属箔は、約60マイクロメートル以下の厚さを有してもよい。例えば、金属箔は、約40マイクロメートル以下、約35マイクロメートル以下、約30マイクロメートル以下、または約25マイクロメートル以下の厚さを有してもよい。
【0079】
金属箔は、約5マイクロメートル~約40マイクロメートル、約10マイクロメートル~約35マイクロメートル、または約15マイクロメートル~約25マイクロメートルの厚さを有してもよい。金属箔は、約20マイクロメートルの厚さを有し得ることが好ましい。
【0080】
金属箔は、保持ラップの上流部分および保持ラップの下流部分の両方の少なくとも一部の部分に提供されることが好ましい。これは、有利なことに、可燃性熱源からエアロゾル形成基体への熱伝導を改善し得る。
【0081】
一部の実施形態では、保持ラップの上流部分および保持ラップの下流部分の両方が金属箔を含み、金属箔は、エアロゾル形成基体の少なくとも一部分を囲む。
【0082】
保持ラップは、金属箔に加えて他の材料を含んでもよい。この場合、金属箔は、他の材料よりも可燃性熱源から半径方向に近くなるように、または半径方向に離れるように離隔していてもよい。金属箔は、保持ラップの他の材料のいずれよりも可燃性熱源の表面の近くに提供されることが好ましい。これは、有利なことに、可燃性熱源からエアロゾル形成基体への最も効果的な熱伝導を可能にし得る。
【0083】
保持ラップは、紙を含み得る。
【0084】
有利なことに、紙の使用により、エアロゾル発生物品の外表面に従来の紙巻たばこの外観およびテクスチャが付与され得る。さらに、紙の使用は、エアロゾル発生物品の製造を単純化し得る。
【0085】
紙は、少なくとも約20マイクロメートルの厚さを有し得る。例えば、紙は、少なくとも約30マイクロメートル、または少なくとも約40マイクロメートルの厚さを有してもよい。紙は、約100マイクロメートル以下の厚さを有してもよい。例えば、紙は、約80マイクロメートル以下、70マイクロメートル以下、または60マイクロメートル以下の厚さを有してもよい。
【0086】
紙は、約20マイクロメートル~約100マイクロメートル、約30マイクロメートル~約70マイクロメートル、または約40マイクロメートル~約60マイクロメートルの厚さを有してもよい。紙は、約50マイクロメートルの厚さを有することが好ましい。
【0087】
保持ラップは、紙に加えて他の材料を含んでもよい。例えば、保持ラップは、紙と金属箔の組み合わせを含み得る。この場合、金属箔は、接着剤を使用して紙に取り付けられ得る。接着剤は、金属箔に適用される前に、紙の表面に噴霧またはその他の方法で適用されてもよい。別の方法として、または追加的に、接着剤は、紙に適用される前に、金属箔の表面に噴霧またはその他の方法で適用されてもよい。上述のとおりである。保持ラップが紙および金属箔の両方を含む場合、金属箔が紙よりも可燃性熱源の半径方向に近くなるように配置されることが有利である。
【0088】
保持ラップが紙と金属箔の組み合わせを含む場合、紙と金属箔は、可燃性熱源の同じ領域に延びてもよい。
【0089】
別の方法として、金属箔は、可燃性熱源の長軸方向の表面の、紙よりも大きな領域に延びてもよい。この場合、紙および金属箔は共に可燃性熱源の下流部分に延び、金属箔のみがさらに、可燃性熱源の上流部分に延びることが好ましい。
【0090】
別の方法として、紙は、可燃性熱源の可燃性表面の長軸方向の表面の、金属箔よりも大きな領域に延びてもよい。この場合、紙および金属箔は共に可燃性熱源の下流部分に延び、紙のみがさらに、可燃性熱源の上流部分に延びることが好ましい。
【0091】
例えば、保持ラップの上流部分の長さの少なくとも約10パーセントは、紙および金属箔の両方を含み得る。保持ラップの上流部分の長さの少なくとも約25パーセント、少なくとも約50パーセント、少なくとも約75パーセント、または少なくとも約90パーセントは、紙および金属箔の両方を含み得ることが好ましい。保持ラップの上流部分の長さの残りの割合は、紙または金属箔のうちの一つのみを含み得る。
【0092】
保持ラップの上流部分は、紙および金属箔の両方を含んでもよく、保持ラップの下流部分は、紙のみを含んでもよい。
【0093】
紙は、金属で共積層化された紙、または金属化紙のうちの少なくとも一つを含み得る。
【0094】
金属で共積層化された紙は、表面に適用された金属の層を備える紙の層を含み得る。金属の層は、接着剤を使用して紙に適用されてもよい。
【0095】
金属化紙は、表面に適用された金属の層を備える紙の層を含み得る。金属の層は、例えば、堆積によって適用され得る。金属の層は、アルミニウムを含み得る。
【0096】
紙が金属で共積層化された紙、または金属化紙を含む場合、紙の金属構成要素は、上述の金属箔とは異なっており、保持ラップの一部を形成してもよい。
【0097】
有利なことに、金属で共積層化された紙、または金属化紙は、金属で共積層化されていない紙または非金属化紙と比較して、より大きな耐熱性を呈し得る。
【0098】
保持ラップは、約190マイクロメートル以下の最大の厚さを有してもよい。保持ラップが複数の構成要素を含む場合、これは、保持ラップの構成要素の全ての総厚さが約190マイクロメートル以下であることを意味する。例えば、保持ラップは、約160マイクロメートル以下、約150マイクロメートル以下、約120マイクロメートル以下、約100マイクロメートル以下、または約80マイクロメートル以下の最大の厚さを有してもよい。
【0099】
保持ラップは、少なくとも約40マイクロメートルの最大の厚さを有してもよい。例えば、保持ラップは、少なくとも約50マイクロメートル、または少なくとも約60マイクロメートルの最大の厚さを有してもよい。
【0100】
保持ラップは、約70マイクロメートルの厚さを有してもよい。
【0101】
保持ラップの少なくとも一つの開口部は、すべての側面において保持ラップによって包囲された開口部を含み得る。この場合、保持ラップの少なくとも一つの開口部は、すべての側面において保持ラップによって画定される。言い換えれば、すべての側面において保持ラップによって包囲された開口部は、保持ラップを形成する材料が通る隙間であり得る。
【0102】
開口部は、任意の形状を有し得る。例えば、開口部は、円、正方形、長方形、ひし形、らせん形、および六角形を含む形状を有し得るが、これらに限定されない。開口部の形状は、ラッパーの外表面上に目に見えるしるしを形成し得る。
【0103】
本発明に関連して本明細書で使用される「目に見えるしるし」という用語は、審美的に心地良い、もしくは情報を与える表現を提供する個別の要素を指す。しるしは、テキスト、画像、文字、語句、ロゴ、パターンまたはその組み合わせの形態としうる。しるしは、消費者がエアロゾル発生物品のタイプや出所を識別できるような、ブランドまたは製造元のロゴを含み得る。しるしは、例えば、エアロゾル発生物品を使う準備ができているとユーザーに知らせる情報をユーザーに提供することができる。使用中の可燃性熱源からの発光は、開口部を通して目に見え得る。これにより、しるしの可視化を高めることができる。さらに、可燃性熱源の色の変化(例えば、可燃性熱源が燃焼したことを示す)は、開口部を通して目に見える場合がある。
【0104】
すべての側面において保持ラップによって包囲された開口部を含む、保持ラップの少なくとも一つの開口部の提供により、保持ラップの上流端が可燃性熱源の一部分を完全に囲んで保持ラップの完全なリングを形成することが可能になる。これは、有利なことに、保持ラップが可燃性熱源を緊密に保持することを可能にするため、可燃性熱源の保持を改善し得る。
【0105】
少なくとも一つの開口部の上流縁は、保持ラップの上流端から少なくとも約1ミリメートルに配置されてもよい。
【0106】
これは、有利なことに、保持ラップの上流端における保持ラップの完全なリングが、エアロゾル形成基体に対する可燃性熱源の改善された保持を有することを可能にし得る。
【0107】
少なくとも一つの開口部の上流縁は、保持ラップの上流端から少なくとも約1.5ミリメートル、少なくとも約2ミリメートル、少なくとも約2.5ミリメートル、または少なくとも約3ミリメートルに配置されてもよい。
【0108】
少なくとも一つの開口部は、保持ラップの少なくとも一つの開口部がすべての側面において保持ラップによって包囲されないように、保持ラップの上流端まで延びてもよい。この場合、保持ラップの少なくとも一つの開口部は、少なくとも一つの側面において保持ラップの上流端によって画定される。この場合、保持ラップは、可燃性熱源の下流端から可燃性熱源の上流端に向かって延びる複数のフィンガーとして提供されてもよい。
【0109】
この提供により、可燃性熱源の上流端から少なくとも一つの開口部の下流端まで全体の連続的な空気供給が可能になる。これは、有利なことに、可燃性熱源の改善された燃焼を可能にし得る。
【0110】
少なくとも一つの開口部の下流端は、可燃性熱源の下流端まで延びないことが好ましい。発明者らは、一部の場合において、可燃性熱源の下流端まで延びる開口部は、エアロゾル形成基体の加熱に効果的ではない場合があることを見出した。これは、保持ラップが熱伝導性材料を含む場合、これらの実施形態において、可燃性熱源の下流端では、可燃性熱源からエアロゾル形成基体に熱を伝達するための熱導電材料が少ないためである。少なくとも一つの開口部の下流端は、可燃性熱源の下流端から1ミリメートルより近くない、または2ミリメートルより近くないことが好ましい。一部の特に好ましい実施形態では、少なくとも一つの開口部の下流端は、可燃性熱源の下流端から約3ミリメートルにある。
【0111】
好ましくは、保持ラップの上流部分は可燃性熱源の上流端まで延び、保持ラップは、金属箔、および金属で共積層化された紙または金属化紙の両方を含み、少なくとも一つの開口部は、可燃性熱源の長軸方向の外表面の約50パーセント~約90パーセントに重なる。
【0112】
少なくとも一つの開口部は、任意の数の開口部を含み得る。例えば、少なくとも一つの開口部は、1、2、3、4、5、10、または20個の開口部を含んでもよい。少なくとも一つの開口部は、すべての側面において保持ラップによって包囲された開口部を含む一つ以上の開口部と、保持ラップの上流端まで延びる一つ以上の開口部との組み合わせを含み得る。
【0113】
少なくとも一つの開口部は、2つの開口部からなることが好ましい。すなわち、少なくとも一つの開口部は、第一の開口部および第二の開口部からなる。第一の開口部および第二の開口部は、可燃性熱源の周りに均等に離隔していることが好ましい。
【0114】
可燃性熱源の周りに均等に離隔した第一および第二の開口部を提供することにより、空気が可燃性熱源に均一にアクセスすることが可能になり得る。これは、有利なことに、可燃性熱源の均一な燃焼を可能にし、これが次に、エアロゾル形成基体のより均一で、効率的かつ予測可能な加熱をもたらし得る。
【0115】
第二の開口部は、第一の開口部とほぼ同じサイズおよびほぼ同じ形状であることが好ましい。これは、有利なことに、エアロゾル発生物品の製造を単純化し、空気が可燃性熱源により均一にアクセスすることを可能にする。これは有利なことに、可燃性熱源のより均一な燃焼をさらに可能にし、結果として、エアロゾル形成基体のより均一で、効率的かつ予測可能な加熱をもたらし得る。
【0116】
本発明によると、エアロゾル発生物品を形成するための方法もさらに提供されている。方法は、可燃性熱源およびエアロゾル形成基体を提供することと、包装材料の一部分を提供することと、包装材料の一部分に少なくとも一つの開口部を切断して保持ラップを形成することとを含む。方法は、保持ラップを可燃性熱源およびエアロゾル形成基体に適用することをさらに含む。保持ラップは、保持ラップの上流部分が、可燃性熱源の長軸方向の外表面上に、可燃性熱源の長さに沿った経路の少なくとも約50パーセントに延びるように、可燃性熱源およびエアロゾル形成基体に適用され得る。保持ラップは、少なくとも一つの開口部が保持ラップの上流部分にあり、保持ラップの下流部分がエアロゾル形成基体の少なくとも一部分を囲むように、可燃性熱源およびエアロゾル形成基体に適用されてもよい。
【0117】
エアロゾル発生物品を形成するための方法が提供されることが好ましい。方法は、可燃性熱源およびエアロゾル形成基体を提供することと、包装材料の一部分を提供することと、包装材料の一部分に少なくとも一つの開口部を切断して保持ラップを形成することとを含む。方法は、保持ラップの上流部分が、可燃性熱源の長軸方向の外表面上に、可燃性熱源の長さに沿った経路の少なくとも約50パーセントに延び、少なくとも一つの開口部が保持ラップの上流部分にあるように、そして保持ラップの下流部分が、エアロゾル形成基体の少なくとも一部分を囲むように、保持ラップを可燃性熱源およびエアロゾル形成基体に適用することをさらに含む。
【0118】
保持ラップを適用する前に、包装材料の一部分に少なくとも一つの開口部を切断して保持ラップを形成することにより、保持ラップを可燃性熱源およびエアロゾル形成基体に適用した後に、包装材料に少なくとも一つの開口部を切断する必要性が除去される。これは、有利なことに、開口部を、列をなして、そして、可燃性熱源およびエアロゾル形成基体の周りに巻くときではなく、包装材料が平坦であるときに提供することを可能にするために、製造を単純化し得る。さらに、これは有利なことに、保持ラップに少なくとも一つの開口部を生成する間に可燃性熱源を損傷するリスクが低い、製造方法を提供し得る。これは結果として、エアロゾル発生物品の拒否率の低下をもたらし得る。
【0119】
保持ラップは、少なくとも一つの開口部が可燃性熱源の長軸方向の外表面の少なくとも約30パーセントに重なるように、可燃性熱源に適用されてもよい。
【0120】
方法は、エアロゾル発生物品にさらなる構成要素を追加する工程をさらに含んでもよい。例えば、方法は、エアロゾル冷却要素、移動要素、およびフィルターを含むマウスピースのうちの一つ以上を、エアロゾル発生物品に追加することを含み得る。保持ラップがエアロゾル発生物品の下流端まで延びる場合、保持ラップは、追加的な構成要素のすべてに適用され得る。別の方法として、保持ラップが可燃熱源およびエアロゾル形成基体に適用されると、オーバーラップを適用して、可燃性熱源およびエアロゾル形成基体をエアロゾル発生物品の他の構成要素に接合してもよい。
【0121】
保持ラップの一部分を提供する工程は、金属で共積層化された紙または金属化紙の一部分を提供することと、金属箔の一部分を提供することと、金属箔の一部分を紙の一部分に貼り付けることとを含み得る。
【0122】
金属箔の一部分は、接着剤を使用して紙の一部分に貼り付けられてもよい。方法は、先に紙の一部分に接着剤を噴霧または裏打ちし、その後、金属箔の一部分を接着剤に適用することを含み得る。金属箔の一部分は、アルミニウムパッチであってもよい。
【0123】
包装材料の一部分に少なくとも一つの開口部を切断する工程は、金属で共積層化された紙または金属化紙の一部分、および金属箔の一部分の両方を通る単一の開口部を切断することを含み得る。
【0124】
包装材料の一部分に少なくとも一つの開口部を切断する工程は、所望の形状を提供する必要性に応じて、スタンプ、レーザー、U字ナイフ、またはナイフの組み合わせのうちの一つ以上で実施され得る。
【0125】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体を加熱するための可燃性熱源を備える。可燃性熱源は固体の熱源であることが好ましく、また炭素、およびアルミニウム、マグネシウム、一つ以上の炭化物、一つ以上の窒化物、ならびにその組み合わせを含む炭素ベースの材料を含むがこれに限定されない任意の適切な可燃性燃料を備えてもよい。加熱式喫煙物品のための固体の可燃性熱源、およびこうした熱源を製造するための方法は、当技術で周知であり、例えばUS-A-5,040,552号およびUS-A-5,595,577号に記載がある。典型的には、加熱式喫煙物品のための周知の固体の可燃性熱源は、炭素ベースであり、すなわち主要な可燃材料として炭素を備える。
【0126】
可燃性熱源は可燃性炭素質熱源であってもよい。
【0127】
可燃性熱源はブラインド可燃性熱源であることが好ましい。
【0128】
本発明に関連して本明細書に使用される場合、「ブラインド」という用語は、可燃性熱源の前方端面から後方端面まで延びるいずれの気流チャネルも含まない熱源を説明する。本発明に関連して本明細書で使用される「ブラインド」という用語はまた、可燃性熱源の前方端面から可燃性熱源の後方端面まで延びる一つ以上のチャネルを含む可燃性熱源を説明するためにも使用され、その場合、可燃性熱源の後端面とエアロゾル形成基体バリアとの間の可燃性の実質的に不通気性のバリアが、空気が可燃性熱源の長さに沿って一つ以上の気流チャネルを通して引き出されるのを防止する。
【0129】
一つ以上の閉じた空気通路の包含は、空気からの酸素に曝露されるブラインド可燃性熱源の表面積を増加させ、ブラインド可燃性熱源の点火および燃焼の持続を有利に容易にし得る。
【0130】
ブラインド可燃性熱源を含む本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品を通って空気を一つ以上の気流経路の中へと引き出すための可燃性熱源の後方端面の下流にある一つ以上の空気吸込み口を備える。非ブラインド可燃性熱源を備える本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品を通って一つ以上の気流経路の中へと空気を引き出すための可燃性熱源の後方端面の下流の一つ以上の空気吸込み口も備えてもよい。エアロゾル発生物品が、可燃性熱源の後方端面の下流の一つ以上の空気吸込み口を備える場合、一つ以上の空気吸込み口は、保持ラップの下流部分にあってもよい。別の方法として、可燃性熱源の後方端面の下流の一つ以上の空気吸込み口は、保持ラップの下流部分の下流端よりもさらに下流にあってもよい。
【0131】
一部の実施形態において、ブラインド可燃性熱源を含む本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の下流端の近くに位置する一つ以上の空気吸込み口を備える。
【0132】
使用において、ブラインド可燃性熱源を含む本発明によるエアロゾル発生物品の一つ以上の気流経路に沿って引き出された空気は、ブラインド可燃性熱源に沿ったいかなる気流チャネルも通過しない。ブラインド可燃性熱源を通る気流チャネルの欠如は、ユーザーによる吸煙の間のブラインド可燃性熱源の燃焼の活性化を有利に実質的に防止または抑制する。これは、ユーザーによる吸煙の間、エアロゾル形成基体の温度の急上昇を実質的に防止または抑制する。ブラインド可燃性熱源の燃焼の活性化を防止または抑制すること、およびそのようにしてエアロゾル形成基体における過剰な温度上昇を防止または抑制することによって、激しい吸煙状況下でエアロゾル形成基体の燃焼または熱分解が有利に回避され得る。加えて、主流エアロゾルの組成物へのユーザーの吸煙状況の影響は、有利に最小にされ、または減少されうる。
【0133】
また、ブラインド可燃性熱源の包含は、ブラインド可燃性熱源の点火中および燃焼中に形成される燃焼および分解生成物ならびにその他の材料が、その使用中に本発明によるエアロゾル発生物品を介して吸い込まれる空気に入るのを有利に実質的に阻止または抑制しうる。これは、ブラインド可燃性熱源がブラインド可燃性熱源の点火または燃焼を補助するために一つ以上の添加剤を含む場合、特に有益である。
【0134】
ブラインド可燃性熱源を含む本発明によるエアロゾル発生物品において、ブラインド可燃性熱源からエアロゾル形成基体への熱伝達は、主に伝導によって生じる。強制対流によるエアロゾル形成基体の加熱は最小にされる、または減少される。これは、本発明による物品の主流エアロゾルの組成物へのユーザーのたばこを吸う状況の影響を最小にする、または減少させるのに有利に役立ちうる。
【0135】
ブラインド可燃性熱源を含む本発明によるエアロゾル発生物品において、可燃性熱源とエアロゾル形成基体の間の伝導性熱伝達を最適化することは特に重要である。以下にさらに記述されるように、強制対流によるエアロゾル形成基体の何らかの加熱があってもわずかである場合、本発明によるブラインド熱源を含むエアロゾル発生物品では、可燃性の炭素質熱源の少なくとも後方部分およびエアロゾル形成基体の少なくとも前方部分の周りに一つ以上の熱伝導性要素を含むことが特に好ましい。
【0136】
本発明の一定の実施形態において、可燃性熱源は、熱源を通して一つ以上の気流経路を提供する少なくとも一つの長軸方向の気流チャネルを備える。「気流チャネル」という用語は本明細書において、エアロゾル発生物品を通して引き出されうる空気が通る熱源の長さに沿って延びるチャネルを記述するために使用される。一つ以上の長軸方向の気流チャネルを含むこのような熱源は、本明細書では「非ブラインド」熱源と呼ばれる。
【0137】
少なくとも一つの長軸方向の気流チャネルの直径は、約1.5ミリメートル~約3ミリメートルであってもよく、約2ミリメートル~約2.5ミリメートルであることがより好ましい。WO-A-2009/022232号により詳細に記述されるように、少なくとも一つの長軸方向の気流チャネルの内側表面は、部分的に被覆されてもよく、または完全に被覆されてもよい。
【0138】
可燃性熱源の長さは、約7ミリメートル~約17ミリメートルであることが好ましく、約7ミリメートル~約15ミリメートルであることがより好ましく、約7ミリメートル~約13ミリメートルであることが最も好ましい。一部の実施形態では、可燃性熱源は約9ミリメートルの長さを有する。
【0139】
可燃性熱源の直径は約5ミリメートル~約9ミリメートルであることが好ましく、約7ミリメートル~約8ミリメートルであることがより好ましい。
【0140】
本発明に関連して本明細書に使用される場合、「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を加熱に伴い放出することができる基体を記述するために使用される。本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体から生成されるエアロゾルは、見えても、または見えなくてもよく、蒸気(例えば、気状である物質の微粉は室温にて通常、液体または固体である)、ならびに気体および凝結した蒸気の液体の小滴を含んでもよい。
【0141】
エアロゾル形成基体は固体エアロゾル形成基体であってもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は固体構成要素と液体構成要素の両方を備えてもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は一つ以上のエアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例には、グリセリンおよびプロピレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0142】
エアロゾル形成基体はたばこ含有材料を含むロッドであってもよい。
【0143】
エアロゾル形成基体が固体のエアロゾル形成基体である場合、固体のエアロゾル形成基体は、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の断片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押し出し成形たばこおよび膨化たばこのうちの一つ以上を含む、例えば粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ状より糸、細片またはシートのうちの一つ以上を含み得る。固体エアロゾル形成基体は、ばらの形態になっていてもよく、または適切な容器もしくはカートリッジ内で提供されてもよい。例えば、固体エアロゾル形成基体のエアロゾル形成材料は、紙またはその他のラッパー内に含まれ、かつプラグの形態を有し得る。エアロゾル形成基体がプラグの形態である場合、任意のラッパーを含めてプラグ全体がエアロゾル形成基体であると考えられる。
【0144】
随意に、固体エアロゾル形成基体は、その固体エアロゾル形成基体の加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含み得る。固体エアロゾル形成基体はまた、例えば追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含むカプセルも含有してもよく、こうしたカプセルは固体エアロゾル形成基体の加熱中に溶けてもよい。
【0145】
随意に、固体エアロゾル形成基体は、熱的に安定な担体上に提供されてもよく、またはその中に包埋されてもよい。担体は、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ状より糸、細片またはシートの形態を取ってもよい。固体エアロゾル形成基体は、例えばシート、発泡体、ゲル、またはスラリーの形態で担体の表面上に堆積されてもよい。固体エアロゾル形成基体は担体の表面全体の上に堆積されてもよく、または別の方法として、使用中に不均一な風味送達を提供するためのパターンで堆積されてもよい。
【0146】
エアロゾル形成基体は、紙またはその他のラッパーによって取り囲まれる加熱に反応して揮発性化合物を発することができる材料を含むプラグまたはセグメントの形態とし得る。エアロゾル形成基体がこのようなプラグまたはセグメントの形態である場合、任意のラッパーを含むプラグまたはセグメントの全体は、エアロゾル形成基体であると見なされる。
【0147】
エアロゾル形成基体は、約5ミリメートル~約20ミリメートルの長さを有することが好ましい。ある特定の実施形態では、エアロゾル形成基体は、約6ミリメートル~約15ミリメートルの長さ、または約7ミリメートル~約12ミリメートルの長さを有してもよい。
【0148】
エアロゾル形成基体はプラグラップに包まれるたばこ由来材料のプラグを備えてもよい。好ましい実施形態において、エアロゾル形成基体はプラグラップに包まれる均質化したたばこ由来材料のプラグを備える。
【0149】
上記の実施形態のいずれかにおいて、可燃性熱源およびエアロゾル形成基体は、隣接する同軸配列であってもよい。本発明に関連して本明細書で使用される場合、「隣接する」および「隣接」という用語は、別の構成要素または構成要素の部分に直接接触する、構成要素または構成要素の一部分を説明するために使用される。これは、可燃性熱源が、その下流面およびエアロゾル形成基体との間に、エアロゾル形成基体と直に接触する非可燃性バリアを含む実施形態を含む。
【0150】
本発明によるエアロゾル発生物品は、可燃性熱源の少なくとも後方部分とエアロゾル形成基体の少なくとも前方部分との両方の周りにある、およびそれらと直に接触した熱伝導性要素を備えてもよい。こうした実施形態において、熱伝導性要素は、本発明によるエアロゾル発生物品の可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間に熱リンクを提供し、有利なことに容認可能なエアロゾルを提供するために可燃性熱源からエアロゾル形成基体への適切な熱伝達を容易にするのに役立つ。
【0151】
本発明によるエアロゾル発生物品は、熱伝導性要素と、可燃性熱源およびエアロゾル形成基体の一方または両方との間に直接接触がないように、可燃性熱源およびエアロゾル形成基体の一方または両方から間隙を介した熱伝導性要素を備えうる。
【0152】
エアロゾル発生物品が可燃性熱源の少なくとも後方部分およびエアロゾル形成基体の少なくとも前方部分の周りに熱伝導性要素を含む場合、熱伝導性要素は保持ラップによって形成され得る。例えば、保持ラップは、一つ以上の熱伝導性要素を形成する熱導電材料の一つ以上の層を含んでもよい。
【0153】
熱伝導性要素は、不燃性であることが好ましい。特定の実施形態において、熱伝導性要素は酸素制限性としうる。言い換えれば、一つ以上の熱伝導性要素は、熱伝導性要素を通る酸素の通過を抑制または抵抗し得る。
【0154】
適切な熱伝導要素には例えば、金属箔ラッパー(例えば、アルミ箔ラッパー、鋼鉄ラッパー、鉄箔ラッパー、銅箔ラッパーなど)、および金属合金箔ラッパーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0155】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の下流にある移動要素またはスペーサー要素をさらに含んでいてもよい。こうした要素は、エアロゾル形成基体の下流に位置する中空管の形態を取り得る。
【0156】
移動要素はエアロゾル形成基体およびマウスピースの一方または両方に隣接してもよい。あるいは、移動要素はエアロゾル形成基体およびマウスピースの一方または両方から間隙を介していてもよい。
【0157】
移動要素の包含は、可燃性熱源からエアロゾル形成基体への熱伝達によって生成されるエアロゾルの冷却を有利に可能にする。移動要素の包含はまた、有利にも、エアロゾル発生物品の全長を、移動要素の長さの適切な選択によって所望の値、例えば従来の紙巻たばこの長さに類似した長さに調整することを可能にする。
【0158】
移動要素の長さは、約7mm~約50mm、例えば約10mm~約45mm、または約15mm~約30mmであってもよい。移動要素の長さは、エアロゾル発生物品の所望の全長、およびエアロゾル発生物品内のその他の成分の存在および長さに依存して、その他の長さであってもよい。
【0159】
移動要素は少なくとも一つの端の開いた管状中空体を備えることが好ましい。このような実施形態では、使用において、エアロゾル発生物品の中へと引き込まれる空気は、それがエアロゾル形成基体からエアロゾル発生物品の遠位端へエアロゾル発生物品を通って下流に通過する時に、少なくとも一つの端の開いた管状中空体を通って通過する。
【0160】
移動要素は、可燃性熱源からエアロゾル形成基体への熱の移動によって生成されるエアロゾルの温度で実質的に熱安定している一つ以上の適切な材料から形成される少なくとも一つの端の開いた管状中空体を含んでいてもよい。適切な材料は当技術分野で公知であり、紙、ボール紙、プラスチック、このような酢酸セルロース、セラミックおよびこれらの組み合わせを含むが限定されない。
【0161】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の下流にあるエアロゾル冷却要素または熱交換器を含んでもよい。エアロゾル冷却要素は複数の長軸方向に延びるチャネルを備えてもよい。エアロゾル発生物品が、エアロゾル形成基体の下流の移動要素を含む場合、エアロゾル冷却要素は、移動要素の下流にあることが好ましい。
【0162】
エアロゾル冷却要素は、金属箔、高分子材料、および実質的に非多孔性の紙または厚紙から成る群から選択される材料シートの集合体を含んでもよい。ある特定の実施形態において、エアロゾル冷却要素は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、酢酸セルロース(CA)およびアルミ箔から成る群より選択される材料シートの集合体を含んでもよい。
【0163】
一定の好ましい実施形態では、エアロゾル冷却要素は、ポリ乳酸(PLA)またはMater-Bi(登録商標)の等級(デンプンベースのコポリエステルの市販のファミリー)などの生物分解性高分子材料のシートの集合体を含んでもよい。
【0164】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の下流かつエアロゾル発生物品の下流端に位置するマウスピースを含むことが好ましい。マウスピースはフィルターを備えてもよい。例えば、マウスピースは一つ以上のセグメントを有するフィルタープラグを備えてもよい。マウスピースがフィルタープラグを備える場合、フィルタープラグは単一のセグメントフィルタープラグであることが好ましい。フィルタープラグは、酢酸セルロース、紙、もしくはその他の適切な周知の濾過材料、またはその組み合わせを含む一つ以上のセグメントを備えてもよい。フィルタープラグは濾過効率の低い濾過材料を含むことが好ましい。
【0165】
本発明によるエアロゾル発生物品は、ロッドの形態に組み立てられる複数の要素を備え得る。
【0166】
本発明に関連して本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を備える物品を意味するために使用される。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の燃焼なしに揮発性化合物を放出する物品である、不燃性エアロゾル発生物品であってもよい。エアロゾル発生物品は、加熱式エアロゾル発生物品であり得る。本発明に関連して本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成し得る揮発性化合物を放出するために、燃焼ではなく加熱されることが意図されるエアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品を意味するために使用される。加熱式エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品の部品を形成する搭載型の加熱手段を備えてもよく、または別個のエアロゾル発生装置の部品を形成する外部ヒーターと相互作用するように構成されてもよい。
【0167】
エアロゾル発生物品は実質的に円筒状の形状とし得る。エアロゾル発生物品は実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成基体は実質的に円筒状の形状であってもよい。エアロゾル形成基体は実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成基体の長さがエアロゾル発生物品内の気流の方向と実質的に平行であるように、エアロゾル発生物品内に位置しうる。
【0168】
移動するセクションまたは要素は実質的に細長くてもよい。
【0169】
エアロゾル発生物品は所望の任意の長さを有しうる。例えば、エアロゾル発生物品は、およそ65ミリメートル~およそ100ミリメートルの全長を有してもよい。エアロゾル発生物品は所望の任意の外径を有しうる。例えば、エアロゾル発生物品は、およそ5ミリメートル~およそ12ミリメートルの外径を有してもよい。
【0170】
エアロゾル発生物品は、例えば低い空気浸透性を有する紙巻たばこ用紙の外側ラッパーによって囲まれうる。このラッパーは、本発明の保持ラップに追加的であってもよい。別の方法として、保持ラップの下流部分がエアロゾル発生物品の下流端まで延びる場合、保持ラップを使用して、エアロゾル発生物品のすべての構成要素を接合してもよい。この場合、追加的な外側ラッパーの提供は必要とされない場合がある。
【0171】
別の方法としてまたは追加的に、マウスピースはチッピングペーパーによって囲まれてもよい。
【0172】
これはまた当然のことながら、本発明の任意の態様において説明および定義された様々な特徴の特定の組み合わせを、独立して実施および/または供給および/または使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0173】
例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【0174】
図1図1は、本発明によるエアロゾル発生物品の概略的な長軸方向の横断面図を示す。
図2図2は、本発明によるエアロゾル発生物品の上流端の斜視図を示す。
図3図3は、本発明によるさらなるエアロゾル発生物品の上流端の斜視図を示す。
図4図4は、本発明によるさらなるエアロゾル発生物品の上流端の斜視図を示す。
図5図5~9は、本発明によるエアロゾル発生物品の上流端の概略平面図を示す。
図6】同上。
図7】同上。
図8】同上。
図9】同上。
図10図10~12は、図5~9に示す喫煙物品を含む様々な喫煙物品の温度プロファイルを示す。
図11】同上。
図12】同上。
【発明を実施するための形態】
【0175】
本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生物品2を図1に示す。エアロゾル発生物品2は、前面6および対向する後面8を有するブラインド可燃性熱源4と、エアロゾル形成基体10とを備える。可燃性熱源4は実質的に円筒状であり、前面6と対向する後面8との間に延びる長軸方向の外表面を含む。エアロゾル発生物品2は、エアロゾル形成基体10の下流にある移動要素12と、移動要素12の下流にあるエアロゾル冷却要素14と、エアロゾル冷却要素14の下流にあるスペーサー要素16と、スペーサー要素16の下流にあるマウスピース18とをさらに備える。
【0176】
ブラインド可燃性熱源4は、ブラインド炭素質可燃性熱源であり、エアロゾル発生物品2の上流端に位置する。図1に示したように、アルミ箔のディスクの形態で不燃性の実質的に不通気性のバリア22は、ブラインド可燃性熱源4の後面8とエアロゾル形成基体10との間に提供される。バリア22は、ブラインド可燃性熱源4の後面8上へアルミ箔のディスクをプレスすることによってブラインド可燃性熱源4の後面8に適用され、可燃性炭素質熱源4の後面8およびエアロゾル形成基体10に隣接する。
【0177】
本発明のその他の実施形態において(図示せず)、ブラインド可燃性熱源4の後面8とエアロゾル形成基体10との間の不燃で実質的に空気不透過性のバリア22は、省略されてもよい。
【0178】
エアロゾル形成基体10は、ブラインド可燃性熱源4の後面8に適用されるバリア22の下流のすぐ近くに位置する。エアロゾル形成基体10は、プラグラップ26に包まれた、例えば、グリセリンなどのエアロゾル形成体を含む均質化したたばこベース材料24の円筒状プラグを備える。
【0179】
移動要素12はエアロゾル形成基体10のすぐ下流に位置し、円筒状の端の開いた中空の酢酸セルロースチューブ28を含む。
【0180】
エアロゾル冷却要素14は移動要素12のすぐ下流に位置し、例えばポリ乳酸などの生物分解性高分子材料のシートの集合体を備える。
【0181】
スペーサー要素16はエアロゾル冷却要素14のすぐ下流に位置し、円筒状の端の開いた中空の紙またはボール紙管30を含む。
【0182】
マウスピース18はスペーサー要素16のすぐ下流に位置する。図1に示したように、マウスピース18はエアロゾル発生物品2の近位端に位置し、フィルタープラグラップ34に包まれた、例えば非常に低い濾過効率の酢酸セルローストウなどの適切な濾過材料の円筒状プラグ32を含む。
【0183】
図1に示すように、エアロゾル発生物品2は、保持ラップ35をさらに備える。保持ラップ35は、可燃性熱源4の長軸方向の外表面上に、可燃性熱源4の全長に延びる上流部分31を含む。保持ラップ35の上流部分31は、第一の開口部41および第二の42の開口部を含む。第一の開口部41および第二の開口部42は、保持ラップ35を完全に通過して、第一の開口部41および第二の開口部42が重なる可燃性熱源4の一部分を露出する。第一の開口部41および第二の開口部42は、可燃性熱源4の長軸方向の外表面の少なくとも約30パーセントに重なる。第一の開口部41および第二の開口部42は、両方とも同じサイズであり、実質的に長方形である。第一の開口部41および第二の開口部42は、可燃性熱源4の周りに均等に離隔している。第一の開口部41および第二の開口部42は、すべての側面において保持ラップ35によって画定され、これにより、可燃性熱源4の上流端に保持ラップ35のリングがもたらされる。第一の開口部41および第二の開口部42の上流縁は、可燃性熱源4の上流端の保持ラップ35のリングが約1ミリメートルの長さとなるように、可燃性熱源4の上流端から約1ミリメートルに配置される。
【0184】
保持ラップ35は、エアロゾル形成基体10の一部分を囲む下流部分33をさらに含む。示されるエアロゾル発生物品2では、保持ラップ35は、エアロゾル形成基体10の一部分のみを囲み、エアロゾル形成基体10の上流端からエアロゾル形成基体10の下流端に向かって延びる。しかしながら、当然のことながら、保持ラップ35は、エアロゾル形成基体10のより大きなまたはより小さな量を囲んでもよい。例えば、保持ラップ35は、エアロゾル形成基体10の長軸方向の表面全体を囲んでもよい。
【0185】
保持ラップ35は、可燃性熱源4およびエアロゾル形成基体10の最も近くに配置されるアルミ箔の層36を含む。アルミ箔の層36は、約20マイクロメートルの厚さを有する。アルミ箔の層36は、熱伝導性要素として作用する。保持ラップ35は、金属37で共積層化された紙の層をさらに含む。金属37で共積層化された紙の層は、約50マイクロメートルの厚さを有する。アルミ箔の層36は、金属37で共積層化された紙の層に取り付けられる。保持ラップ35は、ケイ酸塩接着剤を使用して可燃性熱源4に接着される。
【0186】
エアロゾル発生物品2の構成要素は、外側ラッパー20によって一緒に保持される。外側ラッパー20は、可燃性熱源4の一部分に延びるが、当然のことながら、他のエアロゾル発生物品2では、外側ラッパー20は可燃性熱源4に延びない。
【0187】
エアロゾル発生物品2は、エアロゾル形成基体10の周辺の周りに一つ以上の空気吸込み口40を備える。
【0188】
図1に示すように、周方向に配設された空気吸込み口40が、エアロゾル形成基体10のプラグラップ26、保持ラップ35、および外側ラッパー20に提供されて、冷気(図1で点線矢印で示す)をエアロゾル形成基体10の中へと入れる。
【0189】
マルチセグメント構成要素50は、その遠位端にある、および熱源4に直接隣接した取り外し可能キャップ(図示せず)をさらに備えてもよい。例えば、取り外し可能キャップは、熱源に比して水分を吸収するために、グリセリンなどの乾燥剤を含む中央部分を備えることができ、中央部分は、外側ラッパー20およびラッパー38のうちの一方または両方の一部分の中に包まれ、そのラッパーの残りの部分に、ラッパー内の複数の穿孔を含む虚弱線に沿って接続されている。そのような実施例では、エアロゾル発生物品を使用するために、ユーザーは、取り外し可能キャップを親指と他の指との間に挟んで横断方向に圧迫することで、キャップを取り外す。キャップを圧迫することで、それによりキャップを接続するラッパーを局所的に破断するのに十分な力が虚弱線に供給される。次に、ユーザーは、キャップをねじって虚弱線の残りの部分を破断させることで、キャップを取り外す。キャップが取り外されたときに熱源は部分的に露出され、これによりユーザーはエアロゾル発生物品に火をつけることができる。
【0190】
使用において、ユーザーは本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生物品2のブラインド可燃性熱源4に点火し、次いでマウスピース18で吸い込む。ユーザーがマウスピース18で吸い込むと、空気(図1に点線矢印によって示す)は、空気吸込み口40を通ってエアロゾル発生物品2のエアロゾル形成基体10の中に引き出される。
【0191】
エアロゾル形成基体10の前方部分は、ブラインド可燃性熱源4の後面8およびバリア22を通って伝導によって加熱される。
【0192】
図2は、図1に示されているエアロゾル発生物品の上流端の斜視図である。図2では、可燃性熱源4の前面6がはっきりと露出している。保持ラップ35の第一の開口部41および第二の開口部42は、可燃性熱源の上流端の保持ラップ35のリングのように、はっきりと見えている。空気吸込み口40の周方向の配設も示されている。
【0193】
図3は、さらなるエアロゾル発生物品の上流端の斜視図である。図3のエアロゾル発生物品2は、図1および図2のエアロゾル発生物品2に関連して記載されるすべての特徴を含み、保持ラップ35の配設のみが異なることが理解されよう。
【0194】
図3のエアロゾル発生物品2は、保持ラップ35を含む。保持ラップ35は、可燃性熱源4の長軸方向の外表面上に、可燃性熱源4の全長に延びる上流部分を含む。保持ラップ35の上流部分は、少なくとも第一の開口部51、第二の開口部52、および第三の開口部53を含む。図3に示す保持ラップ35は、さらなる開口部を含んでもよいが、これらは図3の斜視図では見えない場合があることが理解されよう。
【0195】
開口部51、52、53は、保持ラップ35の上流端まで延びる。したがって、開口部51、52、53は、可燃性熱源4の上流端まで延びる。その結果、開口部51、52、53の上流端は、保持ラップ35の上流縁によって画定される。したがって、開口部51、52、53は、図2の場合のように、保持ラップ35によって完全には包囲されていない。したがって、保持ラップ35は、可燃性熱源4の上流端に向かって延びる複数のフィンガーを含む。
【0196】
図4は、さらなるエアロゾル発生物品の上流端の斜視図である。図3のエアロゾル発生物品2は、図3のエアロゾル発生物品2に関連して記載されるすべての特徴を含み、保持ラップ35の配設のみが異なることが理解されよう。
【0197】
図3とは異なり、図4のエアロゾル発生物品2は、可燃性熱源の上流端まで延びない保持ラップを含む。言い換えれば、保持ラップの上流部分の上流端は、可燃性熱源の上流端から間隙を介している。
【0198】
図5~9は、本発明によるエアロゾル発生物品の上流端の概略平面図を示す。エアロゾル発生物品2の各々は、可燃性熱源4の長軸方向の外表面上に、可燃性熱源4の全長に延びる上流部分を含む保持ラップ35を含む。保持ラップの上流部分は、二つの開口部41、51を含み、そのうちの一つのみが図5~9の各々で見えている。示されていない第二の開口部は、示されている開口部41、51と同じサイズおよび形状を有し、可燃性熱源4の反対側に配置されている。
【0199】
図5および6は、図3の場合のように、保持ラップ35の上流端まで全体に延びる開口部51を含む保持ラップ35を備えるエアロゾル発生物品2を示す。
【0200】
図5に示す開口部51は、開口部51の上流端に狭い部分を含む。図4に示す開口部51の広い部分は、4.5ミリメートルの長さ(参照番号60で示される)、および10ミリメートルの幅(参照番号61で示される)を有する。開口部51の狭い部分は、1.5ミリメートルの長さ(参照番号62で示される)、および2ミリメートルの幅(参照番号63で示される)を有する。
【0201】
図6に示す開口部51は、開口部51の下流端に狭い部分を含む。図6に示す開口部51の広い部分は、4.5ミリメートルの長さ(参照番号60で示される)、および10ミリメートルの幅(参照番号61で示される)を有する。開口部51の狭い部分は、1.5ミリメートルの長さ(参照番号62で示される)、および2ミリメートルの幅(参照番号63で示される)を有する。図5および図6の両方に示される開口部51のそれぞれの面積は、48平方ミリメートルである。各エアロゾル発生物品2は、二つの同一の開口部51を含むため、図5および図6の開口部51によって重なる可燃性熱源4の総面積は、96平方ミリメートルである。図5および図6のエアロゾル発生物品2では、保持ラップの開口部51は、可燃性熱源4の長軸方向の外表面の約65パーセントに重なる。
【0202】
図7図8、および図9は、保持ラップ35の上流端まで全体に延びないが、保持ラップ35によって完全に画定されて、可燃性熱源4の上流端に保持ラップ35の完全なリングを形成する、開口部41を含む保持ラップ35を備えるエアロゾル発生物品2を示す。
【0203】
図7および図8の両方に示される開口部41は、4.5ミリメートルの長さ(参照番号70で示される)、および10ミリメートルの幅(参照番号71で示される)を有する。
【0204】
図7および図8の両方に示される開口部41のそれぞれの面積は、45平方ミリメートルである。各エアロゾル発生物品2は、二つの同一の開口部41を含むため、図7および図8の開口部41によって重なる可燃性熱源4の総面積は、90平方ミリメートルである。図7および図8のエアロゾル発生物品2では、保持ラップの開口部41は、可燃性熱源4の長軸方向の外表面の約61パーセントに重なる。
【0205】
図7の開口部41の上流端は、可燃性熱源4の上流端から1.5ミリメートルに配置される(参照番号72で示される)。
【0206】
図8の開口部41の上流端は、可燃性熱源4の上流端部から2.5ミリメートルに配置される(参照番号74で示される)。
【0207】
図9に示す開口部41は、5.5ミリメートルの長さ(参照番号75で示される)、および10ミリメートルの幅(参照番号71で示される)を有する。
【0208】
図9に示す開口部41の面積は、55平方ミリメートルである。各エアロゾル発生物品2は、二つの同一の開口部41を含むため、図9の開口部41によって重なる可燃性熱源4の総面積は、110平方ミリメートルである。図9のエアロゾル発生物品2では、保持ラップの開口部41は、可燃性熱源4の長軸方向の外表面の約65.8パーセントに重なる。
【0209】
図9の開口部41の上流端は、可燃性熱源4の上流端から1.5ミリメートルに配置される(参照符番号72で示される)。
【0210】
図5図6、および図7に示すエアロゾル発生物品2は、開口部41を含み、その下流端は、可燃性熱源の下流端の約3ミリメートル上流に配置される。
【0211】
図8および図9に示すエアロゾル発生物品2は、開口部41を含み、その下流端は、可燃性熱源の下流端の約2ミリメートル上流に配置される。
【0212】
図10~12は、エアロゾル発生物品の異なるポイントで測定された、図5~9の各々に示されるエアロゾル発生物品の温度プロファイルを示している。
【0213】
図5~9に示される喫煙物品は、本発明の方法に従って製造された。各喫煙物品を、摂氏約22度、約45パーセントの相対湿度で24時間保持した。各喫煙物品の下流端を、喫煙機械に接続し、可燃性熱源を点火し、エアロゾル発生物品の各々を同じ吸煙サイクルに供した。たばこプラグの温度を、熱電対を使用して吸煙サイクル全体を通して測定し、たばこプラグの温度を時間の関数として示す温度プロファイルを作成した。図10~12に示す温度プロファイルでは、温度は縦軸110に摂氏で示され、時間は横軸に秒で示されている。
【0214】
図10図12に示す温度プロファイルでは、線101は、図5に示されるエアロゾル発生物品の温度プロファイルであり、線103は、図6に示されるエアロゾル発生物品の温度プロファイルであり、線104は、図7に示されるエアロゾル発生物品の温度プロファイルであり、線104は、図8に示されるエアロゾル発生物品の温度プロファイルであり、線105は、図9に示されるエアロゾル発生物品の温度プロファイルである。
【0215】
基準エアロゾル発生物品も、同じ条件下で試験した。基準エアロゾル発生物品は、図5~9に示す特徴と同じ特徴を含む。しかしながら、基準エアロゾル発生物品は、可燃性熱源の長軸方向の外表面に、可燃性熱源の長さに沿った経路の少なくとも約50パーセントに延びる上流部分を有する保持ラップを含んでおらず、そのため、本発明によるものではない。結果として、基準エアロゾル発生物品の可燃性熱源は、図5~9に示すエアロゾル発生物品の可燃性熱源よりもかなり大きく露出している。図10および11に示す温度プロファイルでは、線106は、基準エアロゾル発生物品の温度プロファイルである。
【0216】
図10は、エアロゾル形成基体の上流端から約2ミリメートル下流に位置するエアロゾル発生基体中の熱電対によって測定された温度プロファイルを示す。
【0217】
図11は、エアロゾル形成基体の上流端から約1ミリメートル下流に位置するエアロゾル発生基体中の熱電対によって測定された温度プロファイルを示す。
【0218】
図12は、エアロゾル形成基体の上流端から約7ミリメートル下流に位置するエアロゾル発生基体中の熱電対によって測定された温度プロファイルを示す。
【0219】
図10~12に示す温度プロファイルから分かるように、図5~9に示すエアロゾル発生物品の温度プロファイルは、基準エアロゾル発生物品の温度プロファイルに類似している。さらに、図10~12のすべてにおいて、図5~9に示されるエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体は、実際には、少なくとも約200秒まで、基準エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体よりも高い温度で吸煙サイクルに入る。エアロゾル形成基体における高温の維持は、改善されたエアロゾルの発生に関連する。グラフ中の後の期間における高温の維持は、エアロゾル発生基体からのエアロゾル発生の改善された持続時間に関連する。したがって、驚くべきことに、可燃性熱源の長軸方向の外表面上に、可燃性熱源の長さに沿った経路の少なくとも約50パーセントに延びる上流部分を有する保持ラップの提供は、可燃性熱源がエアロゾル発生物品を機能しないようにするような、可燃性熱源の性能に実質的な悪影響を及ぼさないことを見出した。
【0220】
さらに、図12は、エアロゾル形成基体のさらに離れた下流端、エアロゾル形成基体の上流端から7ミリメートルにおいても、本発明のエアロゾル発生物品は、基準エアロゾル発生物品106の温度と同様の温度を維持することを示している。これは、本発明のエアロゾル形成基体が、その全長に沿って加熱されて、エアロゾル形成基体の高い割合にわたってエアロゾルが発生することを可能にすることを実証しているため、特に有利である。
【0221】
さらに、図5~9に示すエアロゾル発生物品のうち、線101で示される温度プロファイルを有する、図5に示すエアロゾル発生物品の性能が最も良好であったと結論付けられた。図10~12から分かるように、図5に示されるエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体は、最も長時間にわたって最温を維持することができた。特に、驚くべきことに、図10~12は、図5に示されるエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の温度は、吸煙サイクルの終了時に、本発明による他のエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の温度よりも非常に高温であることを示している。
【0222】
エアロゾル発生物品を製造するための方法が提供されている。方法は、長さを有する紙を提供することを含む。紙は金属で共積層化された紙である。一部の実施形態では、次いで、アルミ箔のパッチが紙に添加される。その後、少なくとも一つの開口部が、アルミニウムパッチおよび紙を通して切断されて、保持ラップが形成される。少なくとも一つの開口部は、スタンピングプロセスを使用する形態である。切断線によって画定される材料(紙およびアルミ箔)が除去されて、開口部が形成される。その後、保持ラップの上流部分が、可燃性熱源の長軸方向の外表面上に、可燃性熱源の長さに沿った経路の少なくとも約50パーセントに延び、少なくとも一つの開口部が保持ラップの上流部分にあるように、そして保持ラップの下流部分が、エアロゾル形成基体の少なくとも一部分を囲むように、保持ラップを可燃性熱源およびエアロゾル形成基体に適用する。
【0223】
上述の特定の実施形態および実施例は本発明を例示するが、本発明を限定しない。本発明の他の実施形態がなされてもよく、また本明細書に記載の具体的な実施形態および実施例は網羅的なものでないことが理解される。
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