(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】トリガされるサンプリングシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 15/00 20240101AFI20241120BHJP
G01J 3/45 20060101ALI20241120BHJP
G01N 1/22 20060101ALI20241120BHJP
G01N 27/62 20210101ALI20241120BHJP
G01N 27/622 20210101ALI20241120BHJP
【FI】
G01N15/00 C
G01J3/45
G01N1/22 B
G01N1/22 S
G01N27/62 C
G01N27/62 X
G01N27/622
(21)【出願番号】P 2022505445
(86)(22)【出願日】2020-08-25
(86)【国際出願番号】 US2020047813
(87)【国際公開番号】W WO2021041420
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-04-05
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506061299
【氏名又は名称】パーティクル・メージャーリング・システムズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ロディエ, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ノーレンバーグ, ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】サンチェス, イシドロ
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-206015(JP,A)
【文献】特開2006-046954(JP,A)
【文献】特開2007-225404(JP,A)
【文献】特開平09-061315(JP,A)
【文献】特表2005-504947(JP,A)
【文献】特表2014-532878(JP,A)
【文献】特表2016-525688(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/00
G01N 1/22
G01N 27/62
G01N 27/622
G01J 3/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無菌クリーンルーム環境において流体中の
生物学的粒子を監視するためのリアルタイム分析器
であって、蛍光ベースの光学粒子カウンタであるリアルタイム分析器と、
インピンジャ、
又は、インパク
タを備えるサンプラと、
前記リアルタイム分析器及び前記サンプラに動作可能に接続されるフローシステムと、
を備え、
前記フローシステムは、前記流体中の前記
生物学的粒子が前記リアルタイム分析器によって検出される際に前記フローシステムが流体をサンプリングのために前記サンプラに方向付けるように構成される、
監視システム。
【請求項2】
少なくとも前記リアルタイム分析器が前記
生物学的粒子を検出する限り前記サンプラが前記流体をサンプリングする、及び/又は、前記
生物学的粒子の検出時に前記サンプラが所定の時間にわたって前記流体をサンプリングする、請求項
1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記サンプラが、検出事象中を除いて又は検出事象後の選択された時間にわたって前記流体から分離され、前記検出事象の開始セットが、前記リアルタイム分析器による前記流体中の前記
生物学的粒子の前記検出によってトリガされる、請求項1
又は2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記サンプラが前記インピンジャである、請求項1~
3のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項5】
前記インピンジャが陰イオン浸出耐性材料を備える、請求項1~
4のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項6】
前記陰イオン浸出耐性材料が、脱イオン水との接触時にF
-、Cl
-、Br
-、NO
2
-、NO
3
-、HPO
4
-2、及び、SO
4
-2のグループから選択される1つ又は複数の陰イオンの浸出に対して耐性を示す、請求項
5に記載の監視システム。
【請求項7】
前記陰イオン浸出耐性材料が、脱イオン水の存在下で0.5μgL
-1週
-1未満の陰イオン浸出速度によって特徴付けられる、請求項
5又は
6に記載の監視システム。
【請求項8】
前記サンプラが、ナイロン、高密度ポリエチレン、ポリエーテルイミド、ポリプロピレン、又は、ポリ塩化ビニル、或いは、それらの任意の組み合わせを備える、請求項1~
7のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項9】
前記陰イオン浸出耐性材料がフルオロポリマーではない、請求項
5~
7のいずれか一項
又は請求項5に従属する場合の請求項8に記載の監視システム。
【請求項10】
前記陰イオン浸出耐性材料がPTFE又はPFAを備えない、請求項
5~
7及び9のいずれか一項
又は請求項5に従属する場合の請求項8に記載の監視システム。
【請求項11】
前記サンプラが前記インパクタである、請求項1~
3のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項12】
前記サンプラが、前記インパクタであるとともに、前記流体中の
生物学的粒子を備える分析物を収集、捕捉、又は、分析するためのものである、請求項
11に記載の監視システム。
【請求項13】
前記インパクタが、
前記流体をサンプリングするための1つ又は複数の取り入れ開口部を備えるサンプリングヘッドと、
前記サンプリングヘッドから前記流体の少なくとも一部を受けるように動作可能に接続されるインパクタベースであって、前記インパクタベースが、前記流体中の
生物学的粒子を備える分析物の少なくとも一部を受けるためのインパクト面と、前記流体を排出するための出口とを備える、インパクタベースと、
を備える、請求項
11又は
12に記載の監視システム。
【請求項14】
前記インパクタベースが、前記流体中の前記粒子を受けるように配置される成長媒体を更に備え、前記インパクト面が前記成長媒体の受容面である、請求項
13に記載の監視システム。
【請求項15】
前記サンプリングヘッドの前記取り入れ開口部が、事前に選択されたパターンで設けられる複数のスリット又は穴を備える、請求項
13又は
14に記載の監視システム。
【請求項16】
0.5μm以上の断面寸法を有する前記粒子の少なくとも50%の収集を可能にするように前記サンプリングヘッドの前記取り入れ開口部から予め選択された距離を隔てて前記インパクト面を与えるべく前記サンプリングヘッドと前記インパクタベースとが係合する、請求項
13~
15のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項17】
前記フローシステムが、流体をサンプリングのために前記サンプラに方向付けるための1つ又は複数の弁又は流体アクチュエータを備える、請求項1~
16のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項18】
前記弁が1つ又は複数のソレノイド弁又は空気圧弁を備える、請求項
17に記載の監視システム。
【請求項19】
前記リアルタイム分析器から複数の信号を受信するように構成されるとともに、前記流体をサンプリングのために前記サンプラに方向付け始めるべく前記フローシステムにトリガ信号を送信するように構成されるプロセッサを更に備える、請求項1~
18のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項20】
前記プロセッサが、前記リアルタイム分析器からの前記複数の信号を比較して、前記複数の信号が閾値以上であるときに検出事象を特定し、前記プロセッサが、検出事象の特定時に、前記トリガ信号を前記フローシステムに送信する、請求項
19に記載の監視システム。
【請求項21】
前記流体が、監視中の
前記無菌クリーンルーム環
境のプロセスガス又は
プロセス液体である、請求項1~
20のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項22】
無菌クリーンルーム環境において流体中の
生物学的粒子を監視するための方法であって、
監視システムを用意するステップであって、前記監視システムが、
流体中の
前記生物学的粒子を監視するためのリアルタイム分析器
であって、蛍光ベースの光学粒子カウンタであるリアルタイム分析器と、
インピンジャ、
又は、インパク
タを備えるサンプラと、
を備える、ステップと、
前記リアルタイム分析器を使用して前記流体中の前記
生物学的粒子を監視するステップと、
前記リアルタイム分析器による前記
生物学的粒子の検出時に前記サンプラを使用して前記流体をサンプリングするステップと、
を含む方法。
【請求項23】
前記リアルタイム分析器による前記
生物学的粒子の検出時にサンプリングする前記ステップをトリガするステップを更に含む、請求項
22に記載の方法。
【請求項24】
前記リアルタイム
分析器の出力からの信号又は前記リアルタイム
分析器の出力から導出される信号を供給して、前記リアルタイム分析器による前記
生物学的粒子の検出時に前記サンプラを使用して流体をサンプリングする前記ステップをトリガするステップを更に含む、請求項
22又は23に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも前記リアルタイム分析器が前記
生物学的粒子を検出する限り前記サンプラが前記流体をサンプリングする、請求項
22~
24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記サンプラが、前記
生物学的粒子の検出時に所定の時間にわたって前記流体をサンプリングする、請求項
22~
25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記システムが、前記リアルタイム分析器及び前記サンプラに動作可能に接続されるフローシステムを更に備え、前記リアルタイム分析器による前記流体中の前記
生物学的粒子の検出時に前記フローシステムが流体をサンプリングのために前記サンプラに方向付けるように前記フローシステムが構成される、請求項
22~
26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記リアルタイム分析器から信号を受信するように構成されるとともに、前記サンプラにサンプリングするように指示させ始めるトリガ信号を前記フローシステムに送信するように構成されるプロセッサを前記システムが更に備える、請求項
27に記載の方法。
【請求項29】
前記サンプラが、脱イオン水の存在下で0.5μgL
-1週
-1未満の陰イオン浸出速度によって特徴付けられる陰イオン浸出耐性材料を含むインピンジャを備える、請求項
22~
28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記インピンジャが、ナイロン、高密度ポリエチレン、ポリエーテルイミド、ポリプロピレン、又は、ポリ塩化ビニル、或いは、それらの任意の組み合わせを備える、請求項
29に記載の方法。
【請求項31】
前記サンプラ又は前記サンプラによって収集、捕捉、又は、変換された材料を分析して、前記
生物学的粒子を特定する又は特徴付けるステップを更に含む、請求項
22~
30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記サンプラ又は前記サンプラによって収集、捕捉、又は、変換された材料を分析して、前記
生物学的粒子の組成又は濃度を決定するステップを更に含む、請求項
22~
31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記流体が、監視中の前記無菌クリーンルーム環境のプロセスガス又はプロセス液体である、請求項22~32のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]この出願は、参照によりその全体が本願に組み入れられる2019年8月26日に出願された米国仮特許出願第62/891,819号の利益及び優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002]バブラーを含むインピンジャ及び吸着剤チューブは、半導体製造を含む様々な業界の全体にわたって、空中分子汚染物質を監視するために広く使用されている。これらの装置は、吸収性材料、インピンジャやバブラーの場合には液体、吸着剤チューブの場合には粒状の固体に流体(例えば、空気、プロセスガス、又は、ガスの混合物)を流通させることによって機能する。吸収性材料は、設定された時間にわたって流体に晒され、その後、流体中に存在して吸収性材料に移された汚染物質を特定する及び/又は定量化するべく、質量分析又はガスクロマトグラフィーなどの外部試験のために除去される。
【0003】
[0003]インピンジャ及び吸着剤チューブの使用は費用効果が高く正確であるが、製造プロセスに任意のリアルタイムのフィードバックを提供することができない。インピンジャの交換から分析までの時間に応じて、数日後まで汚染物質が検出されない場合がある。分析された時点で、汚染物質がインピンジャによって捕捉される時期を決定する方法がないため、インピンジャは、正確な時間成分を提供することもできず、したがって、比較的長期間にわたってある時点で汚染物質が発生したことのみを提供する。このことは、多数の製造製品が、暴露されてしまって、検査され又は製造から除去される必要があることを意味する。
【0004】
[0004]以上から分かるように、当技術分野においては、汚染物質が捕捉される時間に関して、より細分性を与える空中分子汚染物質サンプリングシステム及び方法の必要性が残っている。これらの方法は、インピンジャ、バブラー、及び、吸着剤チューブの使用によってもたらされる正確なテストを可能にしつつ、汚染物質に晒されてしまった可能性のある製品又は物品をより効率的に特定するという点で製造にとって利益となる。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本明細書中には、例えば、空中分子汚染物質(AMC)用及び/又は生物学的粒子の検出及び特徴付け用を含めた、インピンジャ、インパクタ、フィルタ、又は、吸着剤チューブなどのサンプラを、例えば、汚染物質などの分析物が存在する可能性が高い、及び/又は、特定の閾値レベルで存在する、及び/又は、特定の検出基準を満たす期間中にサンプラが流体をサンプリングするようにトリガ及び/又は制御するためのリアルタイム分析器と組み合わせる監視システム及び方法が記載される。システムは、組成、単位時間当たりのカウント、及び/又は、分析物の濃度などの特定の基準を満たす分子汚染物質などの分析物をリアルタイム分析器が検出する期間中に、サンプラが標的流体に晒される選択的サンプリング及び/又は標的サンプリングを可能にし得る。また、本発明は、脱イオン水の存在下での低い陰イオン浸出速度を特徴とする陰イオン浸出耐性材料を備えるサンプラリザーバを有するインピンジャシステムを含む。
【0006】
[0006]一態様では、監視システムが提供され、この監視システムは、(i)監視中のサンプル、プロセス、又は、環境からの気体又は液体などの流体中の1つ又は複数の分析物を監視するためのリアルタイム分析器と、(ii)インピンジャ、インパクタ、フィルタ、又は、吸着剤チューブを備えるサンプラと、(iii)リアルタイム分析器及びサンプラに動作可能に接続されるフローシステムとを備え、フローシステムは、リアルタイム分析器による流体中の1つ又は複数の分析物の検出時、例えば、1つ又は複数のリアルタイム分析器分析物検出基準を満たす検出時に、フローシステムが監視中のサンプル、プロセス、又は、環境からの流体を例えばサンプリングのためにサンプラに対して方向付けるように構成され、リアルタイム分析器分析物検出基準は、任意選択で、分析物の閾値濃度、分析物の閾値量、分析物の検出の閾値頻度、単位時間当たりの分析物のカウントの閾値数、及び、分析物組成のうちの1つ又は複数を含んでもよく、任意選択で、流体は、サンプラによってサンプリングされた分析物のその後の分析を可能にするべく、選択された持続時間及び/又は選択された速度にわたってサンプラに方向付けられる。
【0007】
[0007]一実施形態において、フローシステムは、例えば、値、アクチュエータ、導管、ポンプ、ブロワ、ファン、及び、これらの任意の組み合わせを介して、監視中の流体と流体連通しており、そのようなフローシステムは、サンプラから流体を分離することができるとともに、例えば、分析物の閾値濃度、分析物の閾値量、分析物の検出の閾値頻度、単位時間当たりの分析物のカウントの閾値数、及び、分析物組成の1つ又は複数などの1つ又は複数のリアルタイム分析器分析物検出基準を満たす前記リアルタイム分析器による前記流体中の前記1つ又は複数の分析物の検出時に、流体をサンプラに方向付けることができる。
【0008】
[0008]一実施形態において、フローシステムは、分析物の閾値濃度、分析物の閾値量、分析物の検出の閾値頻度、単位時間当たりの分析物のカウントの閾値数、及び、分析物組成から成るグループから選択される1つ又は複数のリアルタイム分析器分析物検出基準を満たす1つ又は複数の分析物の検出時に及び/又は検出後にサンプラが流体をサンプリングするように構成される。
【0009】
[0009]幾つかの実施形態において、リアルタイム分析器分析物検出基準は、例えば1つ又は複数の酸、塩基、及び/又は、揮発性有機種を含む気相分析物の場合には、1ppb以上、任意選択で0.5ppb以上、及び、任意選択で、0.1ppb以上、任意選択で0.05ppb以上のリアルタイム分析器によって検出される気相分析物の閾値濃度など、分析物の濃度である。幾つかの実施形態において、リアルタイム分析器分析物検出基準は、リアルタイム分析器によって検出される単位時間当たりにカウントされた粒子の数、例えば、リアルタイム分析器によって単位時間当たりにカウントされた粒子の数など、閾値カウント速度である。
【0010】
[0010]一実施形態では、1つ又は複数のリアルタイム分析器分析物検出基準を満たす1つ又は複数の分析物の検出時、流体を例えばサンプリングのためにサンプラに方向付けるようにフローシステムをトリガするトリガ信号がフローシステムに供給され、トリガ信号は、リアルタイム分析器からの出力によって生成される又は該出力から導出される。
【0011】
[0011]幾つかの実施形態では、任意選択で、分析物の閾値濃度、分析物の閾値量、分析物の検出の閾値頻度、単位時間当たりの分析物のカウントの閾値数、及び、分析物組成のうちの1つ又は複数などの1つ又は複数のリアルタイム分析器分析物検出基準を満たす1つ又は複数の分析物の検出時に、フローシステムを起動するためのトリガ信号又は他の作動機構により、流体が例えばサンプラに方向付けられ、フローシステムは、監視中のサンプル、プロセス、又は、環境からの流体をサンプリングのためにサンプラに方向付けるように作動され、このようにして、サンプラによるサンプリングは、任意選択で1つ又は複数のリアルタイム分析器分析物検出基準を満たすリアルタイム分析器により検出事象と同時に、検出事象付近で(例えば、60秒以内、任意選択で20秒以内、及び、任意選択で1秒以内に)、又は、検出事象からの予め選択された時間になされる。
【0012】
[0012]一実施形態では、例えば、分析物の閾値濃度、分析物の閾値量、分析物の検出の閾値頻度、単位時間当たりの分析物のカウントの閾値数、及び、分析物組成のうちの1つ又は複数などの1つ又は複数のリアルタイム監視分析物検出基準を満たす1つ又は複数の分析物の検出時に、監視中のサンプル又は環境からの流体は、例えば、事前に選択された速度で、サンプラに方向付けられ、任意選択で、事前に選択された速度は、分析物の濃度、分析物の量、分析物の検出頻度、単位時間当たりの分析物のカウント数、及び/又は、リアルタイム分析器によって決定される分析物の組成のうちの1つ又は複数に依存する。
【0013】
[0013]幾つかの実施形態では、フローシステムによるトリガ時又は作動時、監視中のサンプル、プロセス、又は、環境からの流体がサンプラに方向付けられる速度は、その後の分析を可能にするべく分析物をサンプラによって収集、捕捉、又は、変換できるように十分に大きく、幾つかの実施形態では、1ml min-1以上、任意選択で10ml min-1以上、及び、任意選択で100ml min-1以上である。幾つかの実施形態において、監視中のサンプル、プロセス、又は、環境からの流体がサンプラに方向付けられる速度は、流体がリアルタイム分析器に供給される速度以上であり、任意選択で、流体がリアルタイム分析器に供給される速度の10倍以上であり、任意選択で、流体がリアルタイム分析器に供給される速度の100倍以上であり、任意選択で、流体がリアルタイム分析器に供給される速度の1000倍以上である。幾つかの実施形態において、監視中のサンプル、プロセス、又は、環境からの流体がサンプラに方向付けられる速度及び/又は持続時間(例えば、サンプリング時間)は、リアルタイム分析器によって検出される分析物の濃度又はカウント速度に依存し、分析物のより高い濃度又はカウント速度は、サンプリングの速度及び/又は期間をより減少させ、分析物のより低い濃度又はカウント速度は、サンプリングの速度及び/又は期間をより増加させる。
【0014】
[0014]幾つかの実施形態において、例えば、サンプラは、閾値濃度以上の濃度によって特徴付けられる1つ又は複数の分析物の検出時又は検出後に監視中のサンプル、プロセス、又は、環境から流体をサンプリングする。幾つかの実施形態において、例えば、サンプラは、単位時間当たりの閾値量以上の単位時間当たりの量によって特徴付けられる1つ又は複数の分析物の検出時又は検出後に、例えば、単位時間当たりの閾値分析物カウント以上の単位時間当たりの分析物カウントの検出時に、監視中のサンプル、プロセス、又は、環境から流体をサンプリングする。幾つかの実施形態において、例えば、サンプラは、少なくともリアルタイム分析器が1つ又は複数の分析物を検出する限り、流体をサンプリングする。幾つかの実施形態において、例えば、サンプラは、1つ又は複数の分析物の検出時に、所定の時間にわたって流体をサンプリングする。幾つかの実施形態において、例えば、サンプラは、検出事象中を除いて流体から分離され、検出事象の開始セットは、リアルタイム分析器による流体中の1つ又は複数の分析物の検出によってトリガされる。
【0015】
[0015]本方法及びシステムは、様々なリアルタイム分析器と適合する。幾つかの実施形態において、例えば、リアルタイム分析器は、イオン移動度分析器、質量分析器、フーリエ変換赤外分光計分析器、光音響分析器、炎イオン化分析器、光イオン化分析器、電気化学分析器、及び、キャビティリングダウン分析器のうちの1つ又は複数を備える。幾つかの実施形態において、例えば、リアルタイム分析器は分離構成要素を備える。幾つかの実施形態において、例えば、分離構成要素は、ガスクロマトグラフィー分離構成要素及び/又は液体クロマトグラフィー分離構成要素を備える。
【0016】
[0016]本システム及び方法は、イオン移動度検出の組み込みにうまく適している。幾つかの実施形態において、例えば、リアルタイム分析器はイオン移動度分光計を備える。幾つかの実施形態において、例えば、イオン移動度分光計は、汚染物質を分光計のイオン化領域に導入するための入口と、入口と流体連通して設けられるとともに、1つ又は複数の分析物から分析物イオンを生成するためのイオン化源を有するイオン化領域と、イオン移動度に基づいて分析物イオンを受けて分離するためにイオン化領域と流体連通する分離領域と、イオン移動度に基づいて分離される分析物イオンを受けて検出するために分離領域と流体連通して配置される検出器とを備える。幾つかの実施形態において、例えば、イオン移動度分光計は、分析器にドーパントを供給するためにイオン化領域と流体連通するドーパント源を更に備える。幾つかの実施形態において、例えば、イオン移動度分光計の入口は、1つ又は複数の分析物の検出を妨げ得る流体中の化合物の濃度を除去又は低減するための膜である。幾つかの実施形態において、例えば、イオン移動度分光計は、分析物イオンを分離領域に導入するためにイオン化領域と分離領域との間に設けられるイオンシャッター又はグリッドを更に備える。
【0017】
[0017]一実施形態において、リアルタイム分析器は、光散乱ベースの光学粒子カウンタ、消光ベースの光学粒子カウンタ、蛍光ベースの光学粒子カウンタ、又は、干渉計ベースの光学粒子カウンタなどの光学粒子カウンタを備える。
【0018】
[0018]本システム及び方法は、インピンジャ、インパクタ、フィルタ、及び、吸着剤チューブを含む一連のサンプラ及びサンプリングシステムでの使用に非常に適している。
【0019】
[0019]幾つかの実施形態では、例えば、サンプラがインピンジャである。幾つかの実施形態において、インピンジャは、原子分析物、分子分析物、イオン分析物、又は、これらの任意の組み合わせを捕捉するためのものである。幾つかの実施形態では、粒子分析物を捕捉するためのものである。
【0020】
[0020]幾つかの実施形態では、例えば、インピンジャが陰イオン浸出耐性材料を備える。幾つかの実施形態では、例えば、陰イオン浸出耐性材料が、脱イオン水との接触時にF-、Cl-、Br-、NO2
-、NO3
-、HPO4
-2、及び、SO4
-2のグループから選択される1つ又は複数の陰イオンの浸出に対して耐性を示す。幾つかの実施形態では、例えば、陰イオン浸出耐性材料が、脱イオン水の存在下で0.5μgL-1週-1未満の陰イオン浸出速度によって特徴付けられる、幾つかの実施形態において、例えば、インピンジャ、インパクタ、フィルタ、又は、吸着剤チューブなどのサンプラは、ナイロン、高密度ポリエチレン、ポリエーテルイミド、ポリプロピレン、又は、ポリ塩化ビニル、或いは、それらの任意の組み合わせを備える。幾つかの実施形態では、例えば、陰イオン浸出耐性材料がフルオロポリマーではない。幾つかの実施形態では、例えば、陰イオン浸出耐性材料がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)を備えない。
【0021】
[0021]幾つかの実施形態では、例えば、サンプラが吸着剤チューブである。幾つかの実施形態において、例えば、吸着剤チューブは、活性炭、シリカゲル、ポリマー材料、テナックス、アンバーライト、XAD、ポリウレタンフォーム、及び、これらの任意の組み合わせから成るグループから選択される1つ又は複数の材料から成るグループから選択される吸着剤管媒体を備える。
【0022】
[0022]一実施形態において、サンプラは、例えば生物学的粒子及び/又は非生物学的粒子を含む、流体中の粒子を備える分析物を例えば収集、捕捉、又は、分析するためのインパクタである。一実施形態において、インパクタは、(1)流体をサンプリングするための1つ又は複数の取り入れ開口部を備えるサンプリングヘッドと、(2)サンプリングヘッドから流体の少なくとも一部を受けるように動作可能に接続されるインパクタベースであって、該インパクタベースが、流体中の粒子を備える分析物の少なくとも一部を受けるためのインパクト面と、流体を排出するための出口とを備える、インパクタベースとを備える。幾つかの実施形態では、インパクタベースが、流体中の粒子を受けるように配置される成長媒体を更に備え、インパクト面が成長媒体の受容面である。幾つかの実施形態では、サンプリングヘッドの取り入れ口が、事前に選択されたパターンで設けられる複数のスリット又は穴を備える。幾つかの実施形態では、0.5μm以上の断面寸法を有する粒子の少なくとも50%の収集を可能にするようにサンプリングヘッドの取り入れ開口部から予め選択された距離を隔ててインパクト面を与えるべくサンプリングヘッドとインパクタベースとが係合する。
【0023】
[0023]一実施形態において、サンプラは、フィルタ、例えば、ポリマー、金属及びセラミック膜、又は、それらの組み合わせを含む膜である。
【0024】
[0024]幾つかの実施形態において、システムは、リアルタイム分析器及びフローシステムに動作可能に接続されるプロセッサ(例えば、実装されたハードウェア又はソフトウェア)を更に備え、それにより、プロセッサは、リアルタイム分析器からの出力を受けて分析し、条件である1つ又は複数のリアルアイム監視分析物検出基準が満たされかどうかを決定し、プロセスは、条件である1つ又は複数のリアルタイム監視分析物検出基準が満たされたと決定する際にサンプラによって流体のサンプリングを開始するように流体システムをトリガする或いはさもなければ制御するべく構成され又はプログラムされる。本発明の方法及びシステムは、サンプリングをトリガ、制御、及び、作動させるために、ハードウェア実装及び/又はソフトウェア実装されたプロセッサを含むプロセッサ及びフローシステムを使用することができる。幾つかの実施形態において、例えば、フローシステムは、流体をサンプリングのためにサンプラに方向付けるべくサンプラに動作可能に接続される1つ又は複数の弁及び/又は流体アクチュエータを備える。幾つかの実施形態において、例えば、弁又は流体アクチュエータは、任意選択で、1つ又は複数のソレノイド弁、空気圧弁、導管、ポンプ、ブロワ、ファン、又は、これらの任意の組み合わせを備えてもよい。幾つかの実施形態において、例えば、フローシステムは、リアルタイム分析器及び/又は1つ又は複数のプロセッサに動作可能に接続されて、一方向又は双方向通信にあるなど、トリガされたサンプリング及び/又は制御されたサンプリングを行なう。幾つかの実施形態において、例えば、本システムは、リアルタイム分析器からの信号又はリアルタイム分析器から導出される信号を受信するように構成されるとともに、トリガ信号、制御信号、又は、作動信号をフローシステムに送信して監視中のサンプル、プロセス、又は、環境からの流体をサンプリングのためにサンプラに方向付けるのを開始するべく構成されるプロセッサを更に備えてもよい。幾つかの実施形態において、例えば、プロセッサは、信号が分析物の閾値濃度、分析物の閾値量、分析物の検出の閾値頻度、単位時間当たりの分析物のカウントの閾値数、及び、分析物組成のうちの1つ又は複数などの1つ又は複数のリアルタイム分析器分析物検出基準を任意選択で満たす閾値以上である場合に、リアルタイム分析器からの信号を比較し、検出事象を特定し、この場合、プロセッサは、検出事象、例えば、1つ又は複数のリアルタイム分析器分析物検出基準を満たす検出事象の特定時に、トリガ信号、制御信号、又は、作動信号をフローシステムに送信する。
【0025】
[0025]本システム及び方法は、用途が広く、したがって、幅広い用途において分析物の監視をサポートする。幾つかの実施形態において、流体は、例えば、マイクロエレクトロニクス用途及び/又は無菌プロセス用途に関しては、1つ又は複数のプロセスガスを含むガス又はガスの混合物である。幾つかの実施形態において、例えば、1つ又は複数の分析物は、HF、HCl、HBr、HNO3、H2SO4、H3PO4、HCOOH、及び、CH3COOH又はこれらの任意の組み合わせなどの1つ又は複数の酸である。幾つかの実施形態において、例えば、1つ又は複数の分析物は、NH3、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン及びN-メチル-2-ピロリドン、又は、これらの任意の組み合わせなどの1つ又は複数の塩基である。幾つかの実施形態において、例えば、1つ又は複数の分析物は、CH3OH、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、及び、ヘキサメチルジシラザン、又は、これらの任意の組み合わせなどの1つ又は複数の揮発性有機化合物である。幾つかの実施形態では、例えば、1つ又は複数の分析物が1つ又は複数の汚染物質である。幾つかの実施形態において、1つ又は複数の分析物は、20nmより大きい、任意選択で50nmより大きく、任意選択で100nmより大きく、任意選択で500nmより大きく、任意選択で0.1~100μm、及び、任意選択で一部の用途に関して0.5~15μmの範囲の有効直径などの寸法によって特徴付けられる粒子などの1つ又は複数の粒子である。幾つかの実施形態において、1つ又は複数の分析物は、生物学的粒子などの粒子などの1つ又は複数の粒子である。幾つかの実施形態において、1つ又は複数の分析物は、1つ又は複数の粒子であり、この場合、インピンジャ、インパクタ、フィルタ、又は、吸着剤チューブは、粒子が生物学的粒子であるか又は非生物学的粒子であるかどうかを決定するために分析される。
【0026】
[0026]他の態様では、ガスをサンプリングするためのインピンジャシステムが提供され、このシステムは、(i)ガスをサンプリングするための入口と、(ii)入口からガスを受けるための脱イオン水を含むサンプラリザーバであって、リザーバが、脱イオン水の存在下で0.5μgL-1週-1未満の陰イオン浸出速度によって特徴付けられる陰イオン浸出耐性材料を備える、サンプラリザーバとを備える。幾つかの実施形態において、例えば、陰イオン浸出耐性材料は、脱イオン水との接触時にF-、Cl-、Br-、NO2
-、NO3
-、HPO4
-2及びSO4
-2のグループから選択される1つ又は複数の陰イオンの浸出に対して耐性を示す。幾つかの実施形態において、例えば、陰イオン浸出耐性材料は、ナイロン、高密度ポリエチレン、ポリエーテルイミド、ポリプロピレン、又は、ポリ塩化ビニル、或いは、それらの任意の組み合わせを備える。幾つかの実施形態では、例えば、陰イオン浸出耐性材料はフルオロポリマーではない。幾つかの実施形態では、例えば、陰イオン浸出耐性材料がPTFE又はPFAを備えない。幾つかの実施形態では、例えば、入口は、リザーバの底部に設けられたオリフィスであり、このオリフィスは、ガスがリザーバを通じて泡立つことができるようにする。幾つかの実施形態において、例えば、入口は、脱イオン水がオリフィスを通じて輸送されてリザーバから離れるのを防ぐように加圧される。
【0027】
[0027]他の態様では監視システムが提供され、この監視システムは、(i)監視中のサンプル、プロセス、又は、環境からの気体又は液体などの流体中の1つ又は複数の分析物を監視するためのリアルタイム分析器と、(ii)インピンジャであって、(1)ガスをサンプリングするための入口と、(2)入口からガスを受けるための脱イオン水を含むサンプラリザーバであり、該リザーバが、脱イオン水の存在下で0.5μgL-1週-1以下の陰イオン浸出速度によって特徴付けられる陰イオン浸出耐性材料を備える、サンプラリザーバと、を備えるインピンジャと、(iii)リアルタイム分析器及びインピンジャに動作可能に接続されるフローシステムとを備え、この場合、フローシステムは、任意選択で、分析物の閾値濃度、分析物の閾値量、分析物の検出の閾値頻度、単位時間当たりの分析物のカウントの閾値数、及び、分析物組成のうちの1つ又は複数などの1つ又は複数のリアルタイム分析器分析物検出基準を満たす流体中の1つ又は複数の分析物がリアルタイム分析器によって検出される際に、監視中のサンプル、プロセス、又は、環境からの流体をサンプリングのためにフローシステムがインピンジャに方向付けるように構成され、1つ又は複数のリアルタイム分析器分析物検出基準を満たす1つ又は複数の分析物の検出時に、サンプリングのために流体をサンプラに方向付けるようにフローシステムを起動させるためのトリガ信号又は他の作動機構が与えられ、該トリガ信号又は他の作動機構は、流体をサンプリングのためにサンプラに方向付けるようにフローシステムをトリガする。
【0028】
[0028]一態様において、本発明は、監視中のサンプル、プロセス、又は、環境からの気体又は液体などの流体中の分析物を監視する方法を提供し、この場合、リアルタイム分析器は、分析物の存在に関して流体を分析し、分析器からの出力は、リアルタイム分析器による検出事象時に、収集、捕捉、及び/又は、変換のために流体をサンプラに方向付けるように構成されるフロー制御システムを介するなど、サンプラのためのトリガの基準を与える。
【0029】
[0029]他の態様では、流体中の1つ又は複数の分析物を監視するための方法が提供され、この方法は、(i)監視システムを用意するステップであって、前記監視システムが、(1)監視中のサンプル、プロセス、又は、環境からの気体又は液体などの流体中の1つ又は複数の分析物を監視するためのリアルタイム分析器と、(2)インピンジャ、インパクタ、フィルタ、又は、吸着剤チューブを備えるサンプラと、を備える、ステップと、(ii)リアルタイム分析器を使用して流体中の分析物を監視するステップと、(iii)リアルタイム分析器による1つ又は複数の分析物の検出時に、例えば1つ又は複数のリアルタイム分析器分析物検出基準を満たす1つ又は複数の分析物の検出時に、サンプラを使用して、監視中のサンプル、プロセス、又は、環境からの流体をサンプリングするステップとを含み、任意選択で、1つ又は複数のリアルタイム分析器分析物検出基準を満たすリアルタイム分析器による分析物の検出時にサンプリングするステップをトリガするステップを更に含み、この場合、リアルタイム分析器分析物検出基準は、分析物の閾値濃度、分析物の閾値量、分析物の検出の閾値頻度、単位時間当たりの分析物のカウントの閾値数、分析物組成、又は、これらの任意の組み合わせのうちの1つ又は複数を特徴とする又は超える1つ又は複数の検出事象であり、また、任意選択で、監視中のサンプル、プロセス、又は、環境からの流体は、サンプルによってサンプリングされた分析物のその後の分析を可能にするべく、選択された持続時間及び/又は選択された速度にわたってサンプラに方向付けられる。一実施形態において、方法は、リアルタイム検出器の出力からの信号又はリアルタイム検出器の出力から導出される信号を供給し、リアルタイム分析器による1つ又は複数の分析物の検出時にサンプラを使用して、例えばプロセッサを使用して流体をサンプリングするステップをトリガするステップを更に含む。
【0030】
[0030]幾つかの実施形態において、例えば、サンプラは、閾値濃度以上の濃度によって特徴付けられる1つ又は複数の分析物の検出時に監視中のサンプル、プロセス、又は、環境から流体をサンプリングする。幾つかの実施形態において、例えば、サンプラは、少なくともリアルタイム分析器が1つ又は複数の分析物を検出する限り監視中のサンプル、プロセス、又は、環境から流体をサンプリングする。幾つかの実施形態において、例えば、サンプラは、1つ又は複数の分析物の検出時に所定の時間にわたって監視中のサンプル、プロセス、又は、環境から流体をサンプリングする。幾つかの実施形態において、例えば、システムは、リアルタイム分析器及びサンプラに動作可能に接続されるフローシステムを更に備え、この場合、フローシステムは、例えば1つ又は複数のリアルタイム分析器分析物検出基準を満たす流体中の1つ又は複数の分析物のリアルタイム分析器による検出時に、フローシステムが監視中のサンプル、プロセス、又は、環境から流体をサンプリングのためにサンプラに方向付けるように構成される。幾つかの実施形態において、例えば、システムは、リアルタイム分析器から信号を受信するように構成されるとともに、監視中のサンプル、プロセス、又は、環境から流体をサンプリングのためにサンプラに方向付し始めるべく、トリガ信号をフローシステムに送信する或いはさもなければ作動機構を起動させるように構成されるプロセッサを更に備える。幾つかの実施形態において、例えば、リアルタイム分析器は、イオン移動度分光計及び/又は光学粒子カウンタを備える。幾つかの実施形態において、例えば、サンプラは、脱イオン水の存在下で0.5μgL-1週-1未満の陰イオン浸出速度によって特徴付けられる陰イオン浸出耐性材料を含むインピンジャを備える。幾つかの実施形態において、例えば、サンプラは、ナイロン、高密度ポリエチレン、ポリエーテルイミド、ポリプロピレン又はポリ塩化ビニル、又は、それらの任意の組み合わせを備える。本発明の方法は、インピンジャ、インパクタ、フィルタ、又は、吸着剤チューブ、或いは、その構成要素又は材料、例えば、インピンジャ媒体、インパクタ表面、フィルタ表面、又は、吸着剤チューブ媒体を分析して、捕捉又は収集された分析物を特定、検出、及び/又は、特徴付けるステップを更に含んでもよい。一実施形態において、方法は、インピンジャ、インパクタ、フィルタ、又は、吸着剤チューブを分析して、分析物の組成、濃度、生存率、及び/又は、量など、分析物を特定又は特徴付けるステップを更に含む。一実施形態において、方法は、インピンジャ、インパクタ、フィルタ、又は、吸着剤チューブを分析して、分析物の組成又は濃度を決定するステップを更に含む。一実施形態において、方法は、インピンジャ、インパクタ、フィルタ、又は、吸着剤チューブによって収集又は捕捉された粒子を培養、繁殖、及び/又は、成長させて、粒子が生物学的粒子であるかどうかを、例えば、培養粒子の視覚化、計数、及び/又は、光学分析によって決定するステップを更に含む。
【0031】
[0031]一実施形態において、微量ガス監視システムは、(i)監視中のサンプル、プロセス、又は、環境からのガス又は液体などの流体中の1つ又は複数の分析物を監視するためのイオン移動度分光計を備えるリアルタイム分析器であって、分析物が、1つ又は複数の酸、塩基、揮発性有機化合物、又は、これらの任意の組み合わせである、リアルタイム分析器と、(ii)インピンジャ又は吸着剤チューブを備えるサンプラと、(iii)リアルタイム分析器及びサンプラに動作可能に接続されるフローシステムとを備え、フローシステムは、例えば分析物の閾値濃度、分析物の閾値量、分析物の検出の閾値頻度、単位時間当たりの分析物のカウントの閾値数、分析物組成のうちの1つ又は複数などの1つ又は複数のリアルタイム分析器分析物検出基準を満たす流体中の1つ又は複数の分析物がリアルタイム分析器によって検出される際にフローシステムが監視中のサンプル、プロセス、又は、環境からの流体をサンプリングのためにサンプラに方向付けるように構成される。
【0032】
[0032]一実施形態において、粒子監視システムは、(i)監視中のサンプル、プロセス、又は、環境からの気体又は液体などの流体中の1つ又は複数の分析物を監視するための光学粒子カウンタを備えるリアルタイム分析器であって、分析物が粒子である、リアルタイム分析器と、(ii)インパクタを備えるサンプラと、(iii)リアルタイム分析器及びサンプラに動作可能に接続されるフローシステムとを備え、フローシステムは、例えば分析物の閾値濃度、分析物の閾値量、分析物の検出の閾値頻度、単位時間当たりの分析物のカウントの閾値数、分析物組成のうちの1つ又は複数などの1つ又は複数のリアルタイム分析器分析物検出基準を満たす流体中の1つ又は複数の分析物がリアルタイム分析器によって検出される際にフローシステムが監視中のサンプル、プロセス、又は、環境からの流体をサンプリングのためにサンプラに方向付けるように構成される。
【0033】
[0033]一実施形態において、粒子監視システムは、(i)監視中のサンプル、プロセス、又は、環境からの気体又は液体などの流体中の1つ又は複数の分析物を監視するためのリアルタイム分析器と、(ii)インピンジャ、インパクタ、フィルタ、又は、吸着剤チューブを備えるサンプラと、(iii)リアルタイム分析器及びサンプラに動作可能に接続されるフローシステムとを備え、フローシステムは、1つ又は複数のリアルタイム分析器分析物検出基準を満たす流体中の1つ又は複数の分析物のリアルタイム分析器による検出時に、フローシステムが監視中のサンプル、プロセス、又は、環境から流体をサンプリングのためにサンプラに方向付けるように構成され、1つ又は複数のリアルタイム分析器分析物検出基準は、分析物の閾値濃度、分析物の閾値量、分析物の検出の閾値頻度、単位時間当たりの分析物のカウントの閾値数、分析物組成、又は、これらの任意の組み合わせから成るグループから選択され、1つ又は複数のリアルタイム分析器分析物検出基準を満たす1つ又は複数の分析物の検出時、流体をサンプリングのためにサンプラに方向付けるフローシステムを起動させるためのトリガ信号又は他の作動機構が供給され、フローシステムが流体をサンプリングのためにサンプラに方向付ける。
【0034】
[0034]一実施形態において、流体中の1つ又は複数の分析物を監視するための方法は、(i)監視システムを用意するステップであって、監視システムが、(1)監視中のサンプル、プロセス、又は、環境からの気体又は液体などの流体中の1つ又は複数の分析物を監視するためのリアルタイム分析器と、(2)インピンジャ、インパクタ、フィルタ、又は、吸着剤チューブを備えるサンプラとを備えるステップと、(ii)リアルタイム分析器を使用して流体中の分析物を監視するステップと、(iii)例えば分析物の閾値濃度、分析物の閾値量、分析物の検出の閾値頻度、単位時間当たりの分析物のカウントの閾値数、及び、分析物組成のうちの1つ又は複数などの1つ又は複数のリアルタイム分析器分析物検出基準を満たす1つ又は複数の分析物のリアルタイム分析器による検出時にサンプラを使用して監視中のサンプル、プロセス又は環境から流体をサンプリングするステップとを含む。
【0035】
[0035]特定の理論に拘束されることを望まないが、本明細書に開示された装置及び方法に関連する基礎となる原理の信念又は理解についての議論が本明細書中にあり得る。機構的説明又は仮説の最終的な正しさに関係なく、それにもかかわらず、本発明の実施形態は、有効であり、有用である可能性があることが認識される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】インピンジャ又は吸着剤チューブサンプリング装置をIMS分析器と組み合わせる空中分子汚染物質監視システムの例示的な概略図である。
【
図2】本明細書中に記載される空中分子汚染物質監視システムで使用され得るIMS分析器の例示的な概略図である。
【
図3】ウイルス、胞子、並びに、細菌、真菌、古細菌、プロティスト、及び、他の単細胞微生物を含む微生物などの生物学的粒子の同定及び任意選択で特徴付けのための生物学的粒子分析システム300の概略図である。
【
図4】大気圧でサンプリングされた反応性酸の混合物のイオン移動度分光計測定の例を、トリガされた1時間のサンプリング持続時間にわたるインピンジャサンプリング結果とともに与える図である。
【
図5】4週間の停滞期間にわたる脱イオン水の存在下での3つの異なる材料についてのある範囲の異なる陰イオンの濃度を与える図である。
【
図6A】上面図を含むインピンジャの概略図である。
【
図6B】垂直側面図を含むインピンジャの概略図である。
【
図6C】縦側面図を含むインピンジャの概略図である。
【
図6D】切り取り図を含むインピンジャの概略図である。
【
図6E】斜視図を含むインピンジャの概略図である。
【
図7A】監視システム用のインパクタの一般的な構造を示す概略図である。
【
図7B】動作原理を更に説明するためのインパクタの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
[0043]一般に、本明細書で使用される用語及び句は、当業者に知られている標準的なテキスト、雑誌文献、及び、背景を参照することによって見つけることができる、当業者に認識された意味を有する。以下の定義は、本発明の文脈におけるそれらの特定の使用を明確にするために提供される。
【0038】
[0044]本明細書で使用される場合、「分析物」は、検出及び/又は分析されるべき1つ又は複数の種、組成物、又は材料を指す。分析物は、原子、イオン、及び分子種を指す場合もあれば、生物学的及び非生物学的粒子を含む粒子を指す場合もあります。幾つかの実施形態では、分析物は、製造及び/又は処理環境又はプロセスからの水、空気、溶媒、溶液、プロセス液体化学物質、プロセスガス、気体又は液体を含む、液体、気体、或いは、それらの任意の混合物の微量成分及び/又は汚染物質などの流体の微量成分及び/又は汚染物質である。一実施形態では、分析物は、監視中のサンプル、プロセス、又は環境からの気体又は液体など、監視中の流体中にある。
【0039】
[0045]本明細書で使用される場合、「流体中の1つ又は複数の分析物を監視する」とは、流体を分析して、流体中の1つ又は複数の分析物の存在を決定する、例えば、流動流体中の1つ又は複数の分析物の存在を決定するための1つ又は複数のプロセスを指す。「流体中の1つ又は複数の分析物の監視」には、例えば、リアルタイムで検出、感知、測定及び/又は特徴付けることができるリアルタイム分析器を使用して、分析物を検出、感知、測定及び/又は特徴付けることが含まれる。幾つかの実施形態では、流体中の1つ又は複数の分析物を監視することは、流動流体などの流体中のガス、イオン、分子又はこれらの任意の組み合わせなどの流体中の1つ又は複数の原子、イオン、又は分子種を検出することを指す。幾つかの実施形態では、流体中の1つ又は複数の分析物を監視することは、流動流体などの流体中の生物学的及び/又は非生物学的粒子などの流体中の1つ又は複数の粒子を検出することを指す。一部の方法及びシステムでは、1つ又は複数の分析物の監視を使用して、インピンジャ及び/又は吸着剤チューブを使用したサンプリングなど、1つ又は複数のサンプリング事象をトリガする。幾つかの実施形態では、例えば、リアルタイムセンサは、インピンジャ又は吸着剤チューブなどのサンプラの上流に設けられ、リアルタイム分析器による分析物の検出時に、検出された分析物が存在するある量の流体のサンプラによる収集及び/又は分析をトリガするように信号が生成される。幾つかの実施形態では、例えば、リアルタイム分析器を使用して1つ又は複数の分析物を監視することは、サンプリング事象が流動流体サンプル中の分析物の検出時間的に一致又は近接するように(例えば、±60秒以内、任意選択で±20秒以内、任意選択で±10秒以内)又はサンプリング事象が流体中の分析物の検出後の選択された期間(例えば、±60秒以内、任意選択で±20秒以内、任意選択で±10秒以内)に対応するように1つ又は複数のサンプリング事象をトリガするために使用される。幾つかの実施形態では、例えば、リアルタイム分析器を使用して流動流体中の1つ又は複数の分析物を監視することは、サンプリングのために流体をサンプラに方向付けることに対応する1つ又は複数のサンプリング事象をトリガするために使用される。
【0040】
[0046]本明細書で使用される場合、「粒子」は、流動流体などの流体サンプル中の微量成分及び/又は汚染物質としばしば見なされる小さな物体を指す。粒子は、例えば、2つの表面が機械的に接触し、機械的な動きがある場合には、摩擦の作用によって作成された材料となり得る。粒子は、ほこり、汚れ、煙、灰、水、すす、金属、酸化物、セラミック、鉱物、又はこれら又は他の材料や汚染物質の任意の組み合わせなどの材料の集合体で構成され得る。また、「粒子」は、生物学的粒子、例えば、ウイルス、胞子、及び細菌、真菌、古細菌、原生生物、及び他の単細胞微生物を含む微生物を指す場合がある。幾つかの実施形態では、例えば、生物学的粒子は、任意選択で0.5~5μmの範囲の幾つかの用途に関して、0.1~15μmの範囲のサイズ寸法(例えば、有効直径)によって特徴付けられる。粒子は、光を吸収、放出、及び/又は散乱し、したがって光学粒子カウンタによって検出可能である小さな物体を指し得る。本明細書で使用される「粒子」は、キャリア流体、例えば、周囲環境からの水、空気、溶媒、溶液、プロセス液体化学物質、プロセスガス、液体又はガス、製造又は処理環境からの液体又は気体などの流動流体の個々の原子又は分子を除外することを意図している。幾つかの実施形態では、粒子は、クリーンルーム施設、マイクロファブリケーション施設、製薬又は生物学的製造施設の表面などの表面に最初に存在し、表面から解放され、その後、液体中で分析され得る。幾つかの実施形態では、例えば、粒子は、有効直径などのサイズ寸法が、5nm、10nm、20nm、30nm、50nm、100nm、500nm、1μm以上、又は10μm以上である。幾つかの実施形態では、粒子は、10nm~500μm、任意選択で幾つかの用途については10nm~50μm、任意選択で幾つかの用途については10nm~1μm、任意選択で幾つかの用途については10nm~0.5μmから選択される有効直径などのサイズ寸法を有する。
【0041】
[0047]本明細書で使用される「インピンジャ」は、流体を受けるための容器、通路、又は容器を指し、流体中の分析物は、分析物を捕捉、収集、及び/又は変換するためにインピンジャ媒体と接触される。本システム及び方法に有用なインピンジャは、1つ又は複数の液体、溶液、ゲル及び/又はゾルを含む分析物を捕捉、収集及び/又は変換するための一連のインピンジャ媒体を収容する又はさもなければ組み込むことができる。幾つかの実施形態では、インピンジャは「バブラー」、例えば、溶液又は溶媒などのその中の液体を攪拌又はバブリングするために流体がインピンジャを通って流れる装置である。幾つかの実施形態において、インピンジャは、液体、溶液、ゾル及び/又はゲル材料の層、フィルム、液滴又はマトリックスを含むインピンジャ媒体を含む。インピンジャは、インピンジャ自体又はその成分から生じるイオン、分子又は粒子などの収集、捕捉、又は変換された分析物のその後の検出及び/又は分析を妨げる可能性のある種の生成を低減するために、浸出防止材料から作製され得る。
【0042】
[0048]本明細書で使用される「吸着剤チューブ」は、流体を受けるための容器、通路、又は容器を指し、流体中の分析物は、分析物を捕捉、収集、及び/又は変換するために吸着剤チューブ媒体と接触される。本システム及び方法に有用な吸着剤チューブは、1つ又は複数の固体及び/又は半固体を含む分析物を捕捉、収集及び/又は変換するための一連の吸着剤チューブ媒体を収容する又はさもなければ組み込むことができる。幾つかの実施形態において、吸着剤管は、粒状、多孔性、発泡体、粒子状、膜及び/又は高分子材料を含む吸着剤管媒体を含む。吸着剤チューブは、吸着剤チューブ自体又はその構成要素から生じるイオン、分子、粒子などの収集、捕捉、又は変換された分析物のその後の検出及び/又は分析を妨げる可能性のある種の生成を減らすために、浸出防止材料から作ることができる。幾つかの実施形態のインピンジャ及び吸着剤チューブは、ナイロン、高密度ポリエチレン、ポリエーテルイミド、ポリプロピレン又はポリ塩化ビニルを含む、陰イオン浸出耐性材料から作られる。一部の用途のインピンジャには、脱イオン水が含まれる。
【0043】
[0049]「インパクタ」とは、粒子をサンプリングするための装置を指す。幾つかの実施形態では、インパクタは、粒子を含む流体の流れをサンプリングするための1つ又は複数の取り入れ開口部(例えば、穴又はスリット)を含むサンプルヘッドを含み、それによって、粒子の少なくとも一部は、増殖培地(例えば、寒天、ブロスなどの培養培地)又はフィルタ又はポリマー基質などの基質の受容面などの収集のためにインパクト面に方向付けられる。幾つかの実施形態のインパクタは、取り入れ開口部を通過した後の流れの方向の変化をもたらし、この場合、事前に選択された特性(例えば、閾値より大きいサイズ)を有する粒子は方向を変えず、したがって、インパクト面によって受けられる。
【0044】
[0050]本発明は、トリガされたインピンジャ、インパクタ、フィルタ、及び吸着剤チューブを含み、流体とインピンジャ媒体、インパクト面又は吸着剤チューブ媒体との間の接触のタイミングは、リアルタイム検出器によってもたらされた検出事象などの事象と一致する又はその事象後の事前に選択された時間であり、及び/又は、リアルタイム検出器によってもたらされる検出事象などの事象の後に事前に選択された持続時間にわたって生じる。幾つかの実施形態では、分析物とインピンジャのインピンジャ媒体、インパクタのインパクト面、フィルタの表面、又は吸着剤チューブの吸着剤チューブ媒体との相互作用は、粒子、分子、イオン、原子、フリーラジカル、クラスター、又は、製造及び/又は処理環境又はプロセスからの水、空気、溶媒、プロセス液体化学物質、プロセスガス、ガス、又は液体などの他の形態の流体からの微量成分及び/又は汚染物質に対応する分析物を収集及び/又は捕捉するために有用である。インピンジャ、インパクタ、フィルタ、又は吸着剤チューブを使用して達成される捕捉、収集、及び/又は変換は、分析物の吸収、吸着取り込み、会合、溶解、及び化学反応を含む様々な化学的及び物理的プロセスを通じて発生し得る。幾つかの実施形態では、インピンジャ、インパクタ、フィルタ及び吸着剤チューブ、又はそれらの構成要素は、捕捉された種の特徴付けのための一連の分析方法によって後で分析されてもよく、分析は、当技術分野で知られている様々な方法による捕捉された種の抽出、分離又は検出を含み得る。
【0045】
[0051]インピンジャ、インパクタ、フィルタ、及び吸着剤チューブは、分離、特性評価、培養及び成長を含む様々な技術によって、及び、検出技術、例えば、化学的、物理的、及び/又は生物学的技術によるインピンジャ媒体、インパクタ表面、フィルタ表面又は吸着剤チューブ媒体のその後の分析によって流体中の分析物の分析をもたらすべく流体のサンプリングに役立つ。インピンジャ、インパクタ、フィルタ、及び吸着剤チューブは、インピンジャ媒体、インパクタ表面、フィルタ表面、又は吸着剤チューブ媒体中の分析物などの分析物を収集又は捕捉するための幾つかの実施形態において有用である。インピンジャ、インパクタ、フィルタ、及び吸着剤チューブは、幾つかの実施形態において、分析物を検出可能な種、組成物、及び/又は材料に物理的及び/又は化学的に変換するために有用である。インピンジャ、インパクタ、フィルタ、及び吸着剤チューブは、分析物、又は流体中の分析物などのその副産物を感知、検出、及び分析するための幾つかの実施形態において有用である。インピンジャ、インパクタ、フィルタ、及びその成分と材料を含む吸着チューブは、クロマトグラフィー(例えば、ガス又は液体クロマトグラフィー)、質量分析、光学分析(例えば、蛍光、分光法、吸収、散乱など)、電気化学分析、培養、音響分析、熱分析などを含む様々な方法を通じて、捕捉、収集、及び/又は変換された分析物を検出及び/又は特徴付けるために流体への曝露中及び曝露後に分析されてもよい。幾つかの実施形態では、インピンジャ、インパクタ、フィルタ又は吸着剤チューブは、分析物を検出可能なイオン種又は分子種などの検出可能な種に変換し、分析物は、その後、質量分析技術、光学技術、電気化学技術、及び/又は音響技術を介して分析される。幾つかの実施形態において、インピンジャ、インパクタ、フィルタ又は吸着剤チューブは、クロマトグラフィー分離、例えば、HPLC分離などの分離技術を介したその後の分析のために分析物を収集又は捕捉する。幾つかの実施形態において、インピンジャ、インパクタ、フィルタ又は吸着剤チューブは、粒子が生物学的粒子であるか非生物学的粒子であるかについてのその後の決定のために、例えば、蛍光分析によって及び/又はインキュベーション、培養及び/又は成長に続いて、視覚化、計数、及び光学分析による分析によって粒子分析物を収集又は捕捉する。インピンジャ、インパクタ、フィルタ又は吸着剤チューブなどのサンプラの分析は、任意選択で、増殖培地を含む培養プロセスを介した、サンプルのための生存可能な生物学的粒子の増殖を含み得る。
【0046】
[0052]「イオン移動度分光計」又は「IMS」は、イオン移動度に基づいてキャリアガス中のイオンを分離し、空気中の分子汚染の検出に役立つ分析デバイスを指す。IMSシステム及び用途の例は、米国特許第5,095,206号、第5,491,337号及び第6,225,623号に記載され、これらの特許は、参照によりその全体が本願に組み込まれる。IMSは、アルカロイド、他の薬物、規制物質、爆発物、化学処理や精製、半導体又は医薬品製造を含むがこれらに限定されない製造プロセスに関連する汚染物質などの物質からの蒸気の検出に役立つ。
【0047】
[0053]「フローシステム」は、インピンジャ又は吸着剤チューブなどのサンプラとの間で分析される流体サンプルの流れを輸送、許可、及び/又は制限するための任意のシステムを指す。一実施形態では、フローシステムは、例えば、値、アクチュエータ、導管、ポンプ、ブロワ、ファン、又はこれらの任意の組み合わせを介して、監視中の流体と流体連通しており、そのようなフローシステムは、サンプラから流体を分離することができるとともに、例えば、分析物の閾値濃度、分析物の閾値量、分析物の検出の閾値頻度、単位時間当たりの分析物のカウントの閾値数、及び分析物組成のうちの1つ又は複数などの1つ又は複数のリアルタイム分析器分析物検出基準を満たす前記流体中の前記1つ又は複数の分析物の前記リアルタイム分析器による検出時に、流体をサンプラに向けることができる。例えば、フローシステムは、任意のタイプの弁(例えば、空気圧、ソレノイド、ボール、ピンチ、ニードルなど)、流体アクチュエータ、又はマニホールド及び一連の弁、アクチュエータ、導管、ポンプ、ブロワ、ファン及びこれらの任意の組み合わせなどのシステムであってもよい。フローシステムは、サンプラへの流体の流れを防ぐことにより、インピンジャ、膜、インパクタ、及び/又は吸着剤チューブなどのサンプラの分離をもたらし得る。幾つかの実施形態では、フローシステムは、監視中のサンプル、プロセス又は環境からの気体又は液体などの監視中の流体を、サンプラによってサンプリングされるように、流れ、通過、方向付け、及び/又は注入することを可能にし得る。フローシステムは、電子的、機械的、空気圧的、油圧的、流体的、光学的、それらの組み合わせ、又は当技術分野で知られている他の任意のプロセス制御手段であってもよい。
【0048】
[0054]「イオン」は、一般に、正又は負の電荷を有する多重又は一価の原子、分子、高分子、及び正又は負の電荷を有する原子、分子、及び高分子の複合体、凝集体、クラスター又は断片を指す。イオンは、本明細書に記載されているように、イオン化手段(例えば、Ni63源)から直接的又は間接的に生成される。
【0049】
[0055]「分析物イオン」又は「検出可能なイオン」とは、気相サンプル中の対象の分析物に由来するイオンを指し、印加された電界下での移動度に基づいて分離することができ、サンプル中の分析物の同一性及び/又は濃度を特徴付けるように検出される。本発明において、分析物イオンは、直接イオン化プロセス及びイオン分子並びに対象の分析物、ドーパント、ドーパントイオン、及び、キャリアガスのイオン化から生成される反応イオン、ドリフトガスを含むイオン-イオン反応を含むIMS分析器のイオン化領域で生じる1つ又は複数のプロセスによって形成される。幾つかの実施形態では、検出可能なイオンは、分析物及び/又はそのイオン並びにそのドーパント及びイオンを含む結合反応(例えば、付加物形成、クラスター形成など)を介して形成される。イオンは、帯電したドーパント-分析物複合体、例えば負に帯電したドーパント-分析物複合体又は正に帯電したドーパント-分析物複合体を指す場合もある。
【0050】
[0056]「ドーパント」は、IMSによって検出された望ましくないピークの形成を抑制するためにIMS分析器に添加される化合物を指す。ドーパントは、イオンの飛行時間を調整することができる。また、ドーパントは、分離領域での電荷移動を促進し、クラスターが分離領域を移動するときにイオンクラスターを維持するのに有用であり得る。
【0051】
[0057]「流体連通」は、流体(例えば、気体又は液体)が1つの要素から別の要素に流れることができるような2つ以上の要素の構成を指す。要素は、チューブ、セル、封じ込め構造、チャネル、弁、アクチュエータ、ファン、ブロワ、ポンプ、又はこれらの任意の組み合わせなどの1つ又は複数の更なる要素を介して流体連通してもよい。例えば、イオン化及び分離領域は、ドーパント、ドリフトガス、及びイオンの少なくとも一部が1つの領域から別の領域に移動できる場合、流体連通していると言われる。特定の態様では、この流体連通は一方向である(例えば、ドリフトガスが分離領域からイオン化領域に移動する)。
【0052】
[0058]
図1は、空中分子汚染物質監視システム100の概略図を与える。イオン移動度分光計(IMS)200を備えるリアルタイム分析器は、気相微量成分及び/又は流体流210(概略的に矢印で示される)中の汚染物質などの分析物のための流体サンプルを監視する。幾つかの実施形態では、例えば、流体流210は、周囲空気、1つ又は複数のプロセスガス、製造又は処理環境からのガス、又はこれらの任意の組み合わせを含む。
【0053】
[0059]分析物量、分析物濃度、及び/又は単位時間閾値当たりの分析物カウントなどの1つ又は複数の検出基準を満たすIMS200を介した分析物の検出時に、IMS200と動作通信する流れ制御システム300は、監視中のサンプル、プロセス、又は環境からの流体が、例えば、インピンジャ又は吸着剤チューブ400に流体を供給するための弁又はマニホールドのトリガ又は作動を介して、インピンジャ又は吸着剤チューブ400と相互作用できるようにする。インピンジャ又は吸着剤チューブ400は、監視中のサンプル、プロセス、又は環境から流体を受けるためのフロー制御システム300と流体連通しており、インピンジャ又は吸着剤チューブ400に供給される流体中の分析物又はその副産物と相互作用する例えば、液体、溶液、固体、ゲル、又はゾル吸着剤などの吸着剤材料401を含む。一実施形態では、インピンジャ又は吸着剤チューブ400は、1つ又は複数の分離技術(クロマトグラフィー分離など)及び/又は化学的又は物理的分析技術(例えば、質量分析、光学分析、電気化学的分析、又はこれらの任意の組み合わせを介して)を介するなど、その後の同定、分析、及び/又は特性評価のために、流体中の分析物を収集、捕捉及び/又は化学的又は物理的に変換することができる。フロー制御システム300のトリガ及び/又は作動は、イオン移動度分光計(IMS)200から得られた信号を受信し、トリガ信号をフロー制御システム300に送信するように動作可能に接続されたプロセッサ410を含み、以て、インピンジャ又は吸着剤チューブ400による流体のサンプリングを作動させる。幾つかの実施形態では、例えば、インピンジャ又は吸着剤チューブ400によってもたらされる収集、捕捉、及び/又は変換は、分析物量、分析物濃度、及び/又は単位時間閾値当たりの分析物カウントなどの1つ又は複数の分析物検出を満たすなど、イオン移動度分光計(IMS)200によって決定される検出事象を介してトリガされ、したがって、インピンジャ又は吸着剤チューブ400によってサンプリングされた流体成分は、サンプリングされた流体、サンプリング条件、流体の量、及び/又は検出事象に対応するタイミングなどの検出事象に関する流体の状態に対応する。このようにして、インピンジャ又は吸着剤チューブ400のサンプリング及び/又はその後の分析によって得られる情報は、イオン移動度分光計(IMS)200による検出事象に対応するサンプリング条件に直接に起因することができ、したがって、潜在的な影響及び/又は検出事象の結果、例えば監視中の製造又は処理環境における影響又は結果を評価するのに有用なサンプリングがもたらされる。
【0054】
[0060]
図2は、本明細書に記載されるような空中分子汚染物質などの分析物を検出するための例示的なイオン移動度分光分析器200を示す概略図を与える。
図2に示すように、IMS分析器100は、疎水性膜110、イオン化源140を含むイオン化領域130、ドーパント供給源120、分離領域160、及びイオン検出器180を備える。本分析器のこれらの要素は、周囲空気サンプル中の汚染物質などの分析物が膜110を介してIMS分析器100に導入されるように互いに流体連通して設けられるとともに、イオン化放射線を生成することができるイオン化源140を介してイオン化領域130でイオン化を受けて、分析物イオンを生成し、分析物イオンは、その後、移動度に基づいて分離領域160で分離され、イオン検出器180を介して検出される。別の実施形態では、イオン化領域130、ドーパント源120、分離領域160、及び/又は、膜構成要素を有さないイオン検出器180と流体連通して入口が設けられる。
【0055】
[0061]
図3は、ウイルス、胞子、及び、細菌、真菌、古細菌、原生生物、及び他の単細胞微生物を含む微生物などの生物学的粒子の同定及び任意選択で特徴付けのための生物学的粒子分析システム300の概略図を与える。
図3に示されるように、光学粒子カウンタ310を備えるリアルタイム分析器は、流体流312(概略的には矢印として示される)、分析物の存在に関し、例えば、製造又は処理環境からの空気、水、溶媒、溶液、気体又は液体を監視する。幾つかの実施形態では、光学粒子カウンタ310は、光散乱ベースの光学粒子カウンタ、消光ベースの光学粒子カウンタ、蛍光ベースの光学粒子カウンタ、干渉計ベースの光学粒子カウンタ、又はこれらの任意の組み合わせである。一実施形態では、例えば、分析物は、組成属性及び/又はサイズ属性、例えば、0.1~10μmの範囲のサイズ寸法(例えば、有効直径)、任意選択で、幾つかの用途においては0.5~5μmの範囲のサイズ寸法によって特徴付けられる粒子に対応する。
【0056】
[0062]
図3に示される実施形態において、光学粒子カウンタ310は、前記粒子(フローセル335内の円によって概略的に示される)を有するフローセル335に方向付けられる光ビーム325を生成するための光源315及びビームステアリング及び/又は成形光学素子320を備える。流体流中の粒子(複数可)によって散乱及び/又は放出される電磁放射及び/又は前記フローセルによって透過される電磁放射線は、流体流312中の粒子(フローセル335内の円によって概略的に示される)を含む分析物を監視、検出及び/又は特徴付けるために、その後に光検出器330によって検出される。光学粒子カウンタ310を介して1つ又は複数の粒子を検出すると、例えば、量、濃度、及び/又は単位時間閾値当たりのカウントなどの1つ又は複数の検出基準を満たす粒子を検出すると、フロー制御システム335は、例えば、監視中のサンプル、プロセス、又は環境からインパクタ340に流体を供給する弁又はマニホールドのトリガ又は作動を介して流体がインパクタ340と相互作用できるようにする。
【0057】
[0063]インパクタ340は、流体中の粒子を収集、捕捉、及び/又は化学的又は物理的に変換することができる、培養培地(例えば、寒天)、フィルタ又はポリマー基板の表面などのインパクタ表面を含む。フロー制御システム300のトリガ及び/又は作動は、光学粒子カウンタ310から信号を受信してトリガ信号をフロー制御システム335に送信するように動作可能に接続されたプロセッサ350を含み得る。幾つかの実施形態において、例えば、インパクタ340に行なわれる収集、捕捉及び/又は変換は、光検出器330による粒子(複数可)の検出、例えば分析物量、分析物濃度、及び/又は単位時間当たりの分析物カウントなどの1つ又は複数の分析物検出基準を満たす検出に対応する検出事象を介してトリガされ、したがって、インパクタ400によってサンプリングされた流体成分は、サンプリングされた流体、サンプリング条件、流体の量、及び/又は検出事象に対応するタイミングなど、検出事象の流体サンプルの条件に対応する。このようにして、インパクタ340によるサンプリング及び/又はその後の分析の結果は、光検出器330による検出事象に対応するサンプリング条件に直接に起因することができ、したがって、検出事象の影響及び結果、例えば、監視中の製造又は処理環境における影響を決定するのに有用な情報を提供する。
【0058】
[0064]一実施形態において、例えば、インパクタ340は、粒子が生物学的粒子であるか非生物学的粒子であるかの決定及び/又は生物学的粒子のタイプ及び組成の特徴付けなどの分析のために、粒子を収集、捕捉、及び/又は化学的又は物理的に変換する。インパクタ340によって収集、捕捉、及び/又は変換される粒子に有用な分析技術としては、生物学的粒子中の内因性フルオロフォアの蛍光検出及び特徴付け、及び/又は、ウイルス、胞子、及び細菌、真菌、古細菌、プロティスト、及び他の単細胞微生物を含む微生物などの特定のカテゴリーの生物学的粒子に選択的を含む、生物学的粒子に選択的な蛍光プローブ又はタグ及び/又は吸収プローブ又はタグなどの光学プローブ又はタグの使用が挙げられる。幾つかの実施形態では、インパクタ340によって収集又は捕捉された粒子は、その後、ペトリ皿360で培養され、任意選択で、例えば、視覚化、カウント又は光学分析によるその後の分析のために、染色、タグ付け、又は他の方法でラベル付けされる。幾つかの実施形態では、インパクタ340によって収集又は捕捉された粒子は、その後、生物学的粒子のタイプ及び/又は組成を決定するためにPCRベースの測定によって分析される。
【0059】
[0065]以下の例は、本発明を更に説明するが、勿論、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。
【0060】
例1:IMSからの又はIMSと組み合わせたトリガインピンジャ及び吸着剤チューブのサンプリング
[0066]インピンジャサンプリングは、空中分子汚染監視(AMC)監視のためのアプローチである。インピンジャサンプリングプロセスでは、空気又はガスのサンプルを吸収性媒体(液体又は粒状)に通して、検出可能な量の対象汚染物質を収集するのに十分な時間をかける。曝露されたインピンジャ又は培地は、その後、例えば、オフラインの実験室分析を介して分析される。
【0061】
[0067]インピンジャサンプリングの長所と短所は以下のとおりである。
【0062】
長所
初期資本コストが低い
オフラインラボテストによる汚染種の特定をサポート
短所
問題を迅速に特定するためのリアルタイムの具体的な実用的なデータを提供しない
スケジュールによって開始されたサンプリングは、非効率をもたらす事象を検出する場合と検出しない場合がある
[0068]この例で説明されるのは、IMS分析器による汚染物質の検出などの事象の特定時にインピンジャサンプリングを起動するべく制御ソフトウェアと関連してIMS分析器(例えば、パーティクルメジャリングシステムズ(Particle Measuring Systems)(登録商標)エアーセントリー(AirSentry)(登録商標)II)と結合されるインピンジャ/吸着剤チューブシステムである。この構成は、1つ又は複数の汚染物質又は他の標的分析物の存在を特徴とする条件など、検出事象中又は検出事象の近くでのみ実行され、これにより、時間と費用の両方を節約される、インピンジャ/吸着剤チューブのサンプリングを提供するのに役立つ。
【0063】
例2:長い貯蔵寿命を与えつつ、分子汚染物質のサブppb濃度を測定するためのインピンジャの製造のための陰イオン浸出耐性材料の使用
[0069]PTFE及びPFAなどの高純度フルオロカーボン材料は、それらの不活性及び低レベルの金属不純物のために、高純度化学物質を取り扱うために一般的に使用される。しかしながら、長期間にわたって、これらの材料は、表面に接触する溶液に低レベルのフッ化物イオンを浸出させる可能性がある。殆どの流動的な用途は、溶液に浸出するフッ化物イオンの量は、分析検出方法をはるかに下回る。本明細書に記載の特定のトリガされたインピンジャシステムの場合、インピンジャは、空気サンプルを収集するために使用される前に、数カ月間、脱イオン水で満たされたままであり得る。内部テストでは、数日から数週間から数か月の期間にわたって、PTFEとPFAが許容できないレベルのフッ化物イオンを脱イオン水に浸出させる可能性があることが分かった。この浸出の最終的な結果は、高いバックグラウンドF-イオン濃度である可能性があり、これは、空気サンプル中のHFの存在の誤検出として解釈される可能性がある。浸出によるレベルは、空気サンプルに収集されたF-イオンを超えることがよくある。
【0064】
[0070]特定の実施形態の陰イオン浸出耐性材料は、その後のインピンジャサンプル分析において分子汚染として解釈され得る感知可能なレベルで陰イオンを浸出させない。また、特定の実施形態の陰イオン浸出耐性材料は、空気中に存在する低レベルの汚染に対して化学的に不活性である。特定の実施形態の陰イオン浸出耐性材料から作られたインピンジャを実装することにより、インピンジャの貯蔵寿命は、バックグラウンドの陰イオン濃度に影響を与えることなく、数カ月に延長され得る。
【0065】
例3:イオン移動度分光分析器を使用したトリガインピンジャサンプリング
[0071]この例は、イオン移動度分光分析(IMS)分析を使用するトリガされたインピンジャサンプリングを使用する監視システムの実験結果を与える。
図4は、大気圧でサンプリングされたガス流中の反応性酸の混合物のイオン移動度分光計測定の例と、トリガされた1時間のサンプリング期間のインピンジャサンプリング結果を示している。上のパネルに示されているように、約8:20分に、ガスフロー内の反応性酸の濃度のリアルタイムの増加に対応するIMS信号の急速な増加が観察される。この信号の増加は、流体のガス流の方向をトリガして、1時間のインピンジャサンプリングをもたらすために使用される。トリガインピンジャサンプリングのこの期間中に、F
-、Cl
-、HPO
4
-2及びSO
4
-2を含む陰イオンの量が、サンプリングされた流体中の分析物に対応して検出される。観測された陰イオンの濃度は、HF、Cl
2、HBr、NOx、H
3PO
4、SOxなどのガス流中の分析物に起因する。
図4に示すように、IMS分析器測定に基づくインピンジャサンプリングは、インピンジャサンプリング期間を、分析物又は分析物の混合物の検出、又は、分析物又は分析物の混合物の濃度の増加の検出に対応する事象の開始に合わせる効果的な手段を提供する。
図4に示すように、IMS分析器を介してインピンジャサンプリングをトリガすると、ガスフロー内の分子汚染物質などの分析物を監視するためのより有用で効率的な手段が提供される。
【0066】
例4:一体型陰イオン浸出耐性リザーバを伴うインピンジャ
[0072]一体型陰イオン浸出耐性リザーバを備える本発明のインピンジャは、脱イオン水の存在を浸出することに関して試験された。
図5は、4週間又は4.7週間の停滞時間で、脱イオン水の存在下で3つの異なる材料に対応するインピンジャボトルについて測定された様々な陰イオンの濃度の表を示す。
図5の表では、材料AはPFAに対応し、材料BはPEEKに対応し、材料Cは陰イオン浸出耐性材料に対応する。
図5に示すように、インピンジャボトルは、浸出に対して最高の耐性を示し、したがって濃度が最も低い1つ又は複数の測定された陰イオンなどの陰イオン浸出耐性材料で作られた。この例の幾つかの実施形態では、例えば、インピンジャは、ナイロン、高密度ポリエチレン、ポリエーテルイミド、ポリプロピレン又はポリ塩化ビニル、又はそれらの任意の組み合わせを含む。この例の幾つかの実施形態では、陰イオン浸出耐性材料はフルオロポリマーではない。この例の幾つかの実施形態では、陰イオン浸出耐性材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)又はPEEKを含まない。
【0067】
[0073]表1は、例えば、空気サンプル中のインピンジャサンプリングの誤検出の読み取り値を1ppb相当レベル未満に保つために、異なる陰イオンの目標最大浸出率の例を与える。
【0068】
[0074]
表1:脱イオン水における目標最大浸出速度
【表1】
【0069】
[0075]表1に示される、酸性分子種ごとの1分当たりの目標最大許容浸出速度は、空中サンプル捕捉の前に脱イオン水を密閉ボトル内に4週間停滞させた場合に、実行可能なサンプル捕捉を可能にする浸出速度に対応する。この文脈での生存率は、空気中濃度に変換した後、空気中の空気中分子汚染物質(AMC)の<1ppbの誤ったバックグラウンド濃度に寄与する浸出される可能性のある最大濃度として定義される。
【0070】
[0076]
図6A~6Eは、(6A)上面図、(6B)垂直側面図、(6C)縦側面図、(6D)切り取り図、(6E)透視図を含む、陰イオン浸出耐性材料を含む本発明の例示的なインピンジャの概略図を与える。リザーバ本体500は、分析中のガス流をサンプリングするために、チャネル515によって接続された加圧流入口510及び流出口520を備える。入口及び出口のこの構成は、ガス流の少なくとも一部をチャンバ530に供給される脱イオン水を通じて泡立たせることができるようにし、脱イオン水は、その後、排気540を介して出ることができる。チャンバ530に供給される脱イオン水を通じて泡立たされるガスの成分は、吸収され、溶解され、及び/又は、脱イオン水と反応され、或いはそうでなければ、脱イオン水中に捕捉され、その後、サンプリングされたガス流中の分析物の測定値を与えるべく分析される。一実施形態において、リザーバ本体500などの脱イオン水と接触しているインピンジャの少なくとも一部は、ナイロン、高密度ポリエチレン、ポリエーテルイミド、ポリプロピレン又はポリ塩化ビニルなどの陰イオン浸出耐性材料を含む。
【0071】
例5:生物学的粒子の特性評価のためのインパクタ
[0077]
図7Aは、粒子インパクタの一般的な構造を示す概略図を与え、
図7Bは、動作原理を更に説明するための粒子インパクタの拡大図を示す。これらの図に示されるように、ガス流は、サンプリングヘッド100の吸気開口110を通って方向付けられ、そこで衝突面130に向かって加速され、これにより、ガスは、流路120に従って急速に方向を変える。ガス流に同伴された粒子140は、それらのモーメントに起因して、方向を急速に変化させ、インパクト面130に衝撃を与えることができない。
図7A及び7Bに示される実施形態では、インパクト面130は、インパクタベース150によって支持される。実施形態において、インパクト面130は、成長培地容器又はペトリ皿に供給される、寒天などの成長培地の受容面を備える。例えば、インパクト面に集められた生存可能な生物学的粒子は、その後、成長及び評価されて、サンプリングされた流体の流れの組成の分析を提供することができる。インパクト面に生物学的粒子を集めるためには、取り入れ開口部の出口とインパクト面との間の距離を制御することが重要である。例えば、距離が大きすぎる場合、粒子は、衝突面との衝突を回避するために、流体経路を十分にたどることができる。しかしながら、距離が小さすぎると、粒子が衝突面に衝突して、粒子を生存不能にするのに十分な力が発生し、再現できなくなる可能性がある。
【0072】
[0078]本発明は、無菌製造環境などの監視中の環境における生存可能な生物学的粒子の分析のために、リアルタイム分析器及びインパクタを組み合わせた監視システムを提供する。本発明の一態様は、統合された使い捨て及び/又は使い捨てパッケージにおいて寒天培地プレートを空気サンプラと統合するインパクタを含む監視システムである。現在の監視システムは、クリーンルーム環境、特に無菌医薬品(医薬品、生物学的製剤、診断薬、医療機器、医療用インプラントなど)などの医療製品が製造される無菌環境での使用に適している。一実施形態では、例えば、インパクタの側面のコネクタは、寒天培地などの増殖培地の受容面にその後に粒子が衝突されるスリット形状の空気入口(例えば、20スリット、公称幅0.1mm)に空気を引き込む真空源(例えば、携帯型真空源(例えばポンプ又はファン)又は家庭真空ライン)の接続をサポートする。クリーンルームの空気がサンプリングされた後、インパクタは、サンプリングされた生存微生物の成長を促進するために、数日間の培養のためにラボに移される場合がある。次に、検査技師はCFU(コロニー形成単位)の数を数え、存在する場合は、存在する微生物の属又は種を特定する。
【0073】
参照による組み入れに関する声明及びバリエーション
[0079]本出願全体にわたる全ての引用文献、例えば、発行又は付与された特許又は同等物を含む特許文書、特許出願の出版物、及び、非特許文献文書又はその他のソース資料は、各引用文献が本出願の開示と少なくとも部分的に矛盾しない範囲で、参照により個別に組み込まれるかのように、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる(例えば、部分的に矛盾する引用文献は、引用文献の部分的に一貫性のない部分を除いて参照により組み入れられる)。
【0074】
[0080]本明細書で使用されている用語及び表現は、説明の用語として使用され、限定ではなく、示され、説明されている特徴又はその一部の同等物を除外するそのような用語及び表現の使用を意図するものではない。しかし、特許請求される本発明の範囲内で様々な修正が可能であることが認識されている。したがって、本発明は好ましい実施形態、例示的な実施形態及び任意の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示される概念の修正及び変形は、当業者によって利用され得るものであり、また、そのような修正及び変形は、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の範囲内であると見なされることが理解されるべきである。本明細書で提供される特定の実施形態は、本発明の有用な実施形態の例であり、当業者であれば明らかなように、本発明は、この明細書本文に記載された装置、装置構成要素、方法ステップの多数の変形例を使用して実行され得る。当業者に明らかであるように、方法及びこの方法に有用な装置は、多数の任意の構成及び処理要素、特徴、及びステップを含むことができる。
【0075】
[0081]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」、及び「その(the)」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形の参照を含む。したがって、例えば、「細胞」への言及は、当業者に知られている複数のそのような細胞及びその同等物を含む。同様に、「1つ(a)」(又は「1つ(an)」)、「1つ又は複数」及び「少なくとも1つ」という用語は、本明細書では交換可能に使用することができる。「備える」、「含む」、及び「有する」という用語を交換可能に使用できることにも留意されたい。「請求項XX~YYのいずれかの」という表現(ここで、XX及びYYは、請求項番号を指す)は、代替形式で複数の従属請求項を提供することを意図しており、幾つかの実施形態では、「請求項XX-YYのいずれか一項に」という表現と交換可能である。
【0076】
[0082]本明細書に記載又は例示されている全ての装置、構成要素、方法、方法ステップ、又は構成要素又は特徴の組み合わせは、特に明記しない限り、本発明を実施するために使用することができる。
【0077】
[0083]範囲、例えば、温度範囲、時間範囲、又は組成又は濃度範囲が本明細書に与えられるときはいつでも、全ての中間範囲及び部分範囲、並びに与えられた範囲に含まれる全ての個々の値は、開示に含まれる。本明細書の説明に含まれる範囲又は部分範囲内の任意の部分範囲又は個々の値は、本明細書の特許請求の範囲から除外され得ることが理解される。
【0078】
[0084]本明細書で言及されている全ての特許及び刊行物は、本発明が関係する当業者の技能のレベルを示している。本明細書で引用される参考文献は、それらの公開日又は出願日現在の先行技術を示すために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、この情報は、必要に応じて、従来技術にある特定の実施形態を除外するために本明細書で使用できることが意図される。例えば、物質の組成物がクレームされている場合、本明細書で引用された参考文献に有効な開示が提供されている化合物を含む、出願人の発明の前に当技術分野で知られ利用可能な化合物は、本明細書における物質クレームの組成に含まれるように意図されない。
【0079】
[0085]本明細書で使用される「備える」は、「含む」、「包含する」、又は「によって特徴付けられる」と同義であり、包括的又は自由形式であり、追加の、引用されていない要素又は方法ステップを除外しない。本明細書で使用される「~から成る」は、請求項要素で指定されていない要素、ステップ、又は成分を除外する。本明細書で使用される「本質的に~から成る」は、特許請求の範囲の基本的かつ新規の特徴に実質的に影響を及ぼさない材料又はステップを除外するものではない。本明細書の各場合において、「備える」、「本質的に~から成る」及び「~から成る」という用語のいずれかは、他の2つの用語のいずれかで置き換えることができる。本明細書に例示的に記載されている本発明は、本明細書に具体的に開示されていない1つ又は複数の要素、制限又は制限がない状態で実施することができる。
【0080】
[0086]置換基のグループが本明細書に開示される場合、そのグループの全ての個々のメンバー及び全てのサブグループが理解される。マーカッシュグループ又は他のグループ化が本明細書で使用される場合、グループの全ての個々のメンバー、及びグループの可能な全ての組み合わせ及びサブコンビネーションは、個別に本開示に含まれることが意図されている。化合物の特定の異性体が、例えば、式又は化学名で指定されないように化合物が本明細書に記載される場合、その説明は、個々に又は任意の組み合わせで記載される化合物の各異性体を含むことを意図する。更に、特に明記しない限り、本明細書に開示される化合物の全ての同位体変異体は、本開示に含まれることを意図している。例えば、開示された分子中の任意の1つ又は複数の水素は、重水素又はトリチウムで置き換えることができることが理解される。分子の同位体変異体は、一般に、分子のアッセイや、分子又はその使用に関連する化学的及び生物学的研究の基準として有用である。そのような同位体変異体を作製するための方法は、当技術分野で知られている。当業者は同じ化合物に異なる名前を付けることができることが知られているので、化合物の特定の名前は例示的であることを意図している。
【0081】
[0087]当業者であれば分かるように、具体的に例示されたもの以外のシステム、構成要素、方法、及び方法のステップは、過度の実験に頼ることなく、本発明の実施において使用され得る。そのような材料及び方法の全ての当技術分野で知られている機能的同等物は、本発明に含まれることが意図されている。使用された用語及び表現は、説明の用語として使用され、限定ではなく、そのような用語及び表現の使用において、示され、説明された特徴又はその一部の同等物を除外する意図はないが、クレームされた発明の範囲内で様々な変更が可能であることが認識される。したがって、本発明は好ましい実施形態及び任意の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示される概念の修正及び変形は、当業者によって用いることができ、そのような修正及び変形は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にある。