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特許7591042VR環境及びAR環境における手によるユーザインタラクションのためのデバイス及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】VR環境及びAR環境における手によるユーザインタラクションのためのデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20241120BHJP
   G06F 3/0346 20130101ALI20241120BHJP
【FI】
G06F3/01 570
G06F3/01 510
G06F3/0346 422
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022518181
(86)(22)【出願日】2020-09-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-18
(86)【国際出願番号】 EP2020074950
(87)【国際公開番号】W WO2021052800
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2023-08-16
(31)【優先権主張番号】19306153.8
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518341334
【氏名又は名称】インターディジタル・シーイー・パテント・ホールディングス・ソシエテ・パ・アクシオンス・シンプリフィエ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】ルリエーブル、シルヴァン
(72)【発明者】
【氏名】シュムーカー、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】マーヴィー、ジャン-ユード
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0143693(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0246967(US,A1)
【文献】特開2017-200494(JP,A)
【文献】特表2016-511492(JP,A)
【文献】国際公開第2019/172678(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03260950(EP,A1)
【文献】特開2017-187952(JP,A)
【文献】米国特許第05568603(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/048 - 3/04895
G06F 3/14 - 3/153
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想現実環境又は拡張現実環境をレンダリングするためのデバイスにおける方法であって、
レンダリング手段によって、ディスプレイ上にオーバーレイをレンダリングすることと、
可能にする手段によって、前記オーバーレイの中心インジケータの位置が前記オーバーレイのニュートラルゾーンの内側にあるか又は外側にあるかに基づいて、複数のユーザ操作のうちの少なくとも1つのユーザ操作を可能にすることであって、前記中心インジケータの前記位置が、ユーザの手の検出された位置の中心として計算される、可能にすることと、を含
第1の一組の操作は、前記中心インジケータの前記位置が前記ニュートラルゾーンの内側にあるときにのみ可能にされ、第2の一組の操作は、前記中心インジケータの前記位置が前記ニュートラルゾーンの外側にあるときにのみ可能にされる、方法。
【請求項2】
検出された手の位置と少なくとも1つの事前定義された位置との間の一致の検出に応答して、前記オーバーレイをレンダリングすることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
実行する手段によって、検出されたユーザの手の移動に応答して、可能にされたユーザ操作を実施することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記オーバーレイが、前記中心インジケータ、前記ニュートラルゾーン、第1及び第2のロック位置を有する冠状部、並びに右側及び左側インジケータを含み、前記第1及び第2のロック位置が、オブジェクト若しくはシーンにロックするために、又はオブジェクト若しくはシーンへのロックをロック解除するために、前記ユーザが前記右側及び左側のインジケータをどこに重ね合わせるべきかを示す、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の一組の操作が、前記ディスプレイの平面におけるズームイン、ズームアウト、及び回転のうちの1つであり、前記第2の一組の操作が、水平回転、垂直回転、及び移動のうちの1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記レンダリング手段によって、可能にされた操作を示す第1の視覚的態様を有する第1のアイコン、及び不能にされた操作についての第2の視覚的態様を有する第2のアイコンをレンダリングすることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
仮想現実環境又は拡張現実環境をレンダリングするためのデバイスであって、
ディスプレイ上にオーバーレイをレンダリングすることと、
前記オーバーレイの中心インジケータの位置が前記オーバーレイのニュートラルゾーンの内側にあるか又は外側にあるかに基づいて、複数のユーザ操作のうちの少なくとも1つのユーザ操作を可能にすることであって、前記中心インジケータの前記位置が、ユーザの手の検出された位置の中心として計算される、可能にすることと、を行うように構成された少なくとも1つのハードウェアプロセッサを備え、
前記少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、前記中心インジケータの前記位置が前記ニュートラルゾーンの内側にあるときにのみ第1の操作を可能にし、前記中心インジケータの前記位置が前記ニュートラルゾーンの外側にあるときにのみ第2の操作を可能にするように構成されている、デバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つのハードウェアプロセッサが、ユーザの手の検出された位置に基づいて、前記中心インジケータの前記位置を計算するように更に構成されている、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第1の操作が、前記ディスプレイの平面におけるズームイン、ズームアウト、及び回転のうちの1つであり、前記第2の操作が、水平回転、垂直回転、及び移動のうちの1つである、請求項7に記載のデバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つのハードウェアプロセッサが、可能にされた操作を示す第1の視覚的態様を有する第1のアイコン、及び不能にされた操作についての第2の視覚的態様を有する第2のアイコンをレンダリングするように更に構成されている、請求項7に記載のデバイス。
【請求項11】
前記デバイスが、前記ディスプレイ、及び前記ユーザの手の前記位置を取り込むように構成されたカメラのうちの少なくとも1つを備える、請求項7に記載のデバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つのハードウェアプロセッサが、検出されたユーザの手の移動に応答して、可能にされたユーザ操作を実施するように更に構成されている、請求項7に記載のデバイス。
【請求項13】
プログラムコード命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記プログラムコード命令が、プロセッサによって実行されると、請求項1~6のうちの少なくとも一項に記載の方法のステップを実現する、非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ユーザインターフェースに関し、具体的には、仮想現実(Virtual Reality、VR)環境及び拡張現実(Augmented Reality、AR)環境のためのユーザインターフェースに関する。
【背景技術】
【0002】
この節は、以下に説明及び/又は特許請求される本開示の様々な態様に関連し得る様々な技術の態様を読者を紹介することを意図している。この考察は、本開示の様々な態様のより良好な理解を容易にするための背景情報を読者に提供するのに役立つと考えられる。したがって、これらの記述は、この観点から読まれるべきであり、先行技術の承認として読まれるべきではないことを理解されたい。
【0003】
VR技術及びAR技術は、スマートTV、PC、プロジェクタ、ヘッドマウントディスプレイ(head-mounted display、HMD)などの好適なディスプレイ上で係るアプリケーションを実行するユーザに没入型体験を提供する。ユーザインターフェースを通じて、ユーザは、典型的には、VR環境又はAR環境とインタラクションして、例えば、その中のオブジェクトを操作することができる。これを行うために、ユーザ入力を受信する必要があり、これは、例えば、色及び深度を検出するセンサ(ウェアラブル又は非ウェアラブル)を使用してユーザ追跡システムによって行うことができる。例えば、色/深度カメラを備えた接続されたスマートTVは、ユーザの身体の各要素の形状及び位置を追跡することができ、これにより、自然発生的なインタラクションシステムにおいて手のジェスチャの使用を可能にすることができる。これは、例えば、放送TV番組、インターネットからのコンテンツアイテム、又はビデオ会議中に共有されるコンテンツにおいて、AR又はVRのシーン又はオブジェクトとインタラクションする方式をユーザに提供することができる。
【0004】
従来のユーザインターフェースは、ユーザの手の画像をオーバーレイすることができ、これにより、ボタン及び他のメニュー項目とのインタラクションが比較的単純になる。オブジェクトとのインタラクションは、オブジェクトが現実世界のように反応するとは限らないため、より困難である。
【0005】
別の従来の解決策は、スクリーン上にユーザの手の位置の表示を提供し、ユーザが仮想オブジェクトとインタラクションしてオブジェクトをズームイン/アウト及び回転させることを可能にする。
【0006】
ただし、特に、オブジェクトとインタラクションする場合、係るユーザインターフェースは、それらが直感的であるとは限らないため、特に新しいユーザにとって使用するのが困難である傾向がある。
【0007】
したがって、AR及びVRのためのユーザインターフェースの欠点のうちの少なくともいくつかに対処する解決策が望まれていることが理解されよう。本原理は、係る解決策を提供する。
【発明の概要】
【0008】
第1の態様では、本原理は、仮想現実環境又は拡張現実環境をレンダリングするためのデバイスにおける方法を対象としている。この方法は、デバイスの少なくとも1つのハードウェアプロセッサにおいて、ディスプレイ上にオーバーレイをレンダリングすることと、ユーザの手の検出された位置に基づいてオーバーレイの中心インジケータの位置を計算することと、ニュートラルゾーンに対する中心インジケータの位置に基づいて少なくとも1つの操作を可能にすることと、ユーザの手の移動に応答して、可能にされた操作を実施することとを含む。
【0009】
第2の態様では、本原理は、仮想現実環境又は拡張現実環境をレンダリングするためのデバイスを対象としており、デバイスは、ディスプレイ上にオーバーレイをレンダリングすることと、ユーザの手の位置に基づいてオーバーレイの中心インジケータの位置を計算することと、ニュートラルゾーンに対する中心インジケータの位置に基づいて少なくとも1つの操作を可能にすることと、ユーザの手の移動に応答して、可能にされた操作を実施することとを行うように構成された、少なくとも1つのハードウェアプロセッサを備える。
【0010】
第3の態様では、本原理は、非一時的コンピュータ可読媒体に記憶され、第2の態様のいずれかの実施形態による方法のステップを実現するためのプロセッサによって実行可能なプログラムコード命令を含む、コンピュータプログラム製品を対象としている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
ここで、本原理の特徴を、添付の図面を参照して、非限定的な例として説明する。
図1】本原理の実施形態による仮想現実(VR)/拡張現実(AR)システムを例示する。
図2】本原理の実施形態による方法を例示する。
図3】本原理による、係るオーバーレイの第1の例を例示する。
図4】本原理による、係るオーバーレイの第2の例を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、例示的な実施形態による仮想現実(VR)又は拡張現実(AR)のインタラクティブシステム100の図解である。インタラクティブシステム100は、レンダリングデバイス110、ディスプレイ120、及びカメラ130を備える。
【0013】
レンダリングデバイス110、ディスプレイ120、及びカメラ130は、別個のエンティティとして示されているが、異なる変形例では、それらは、あらゆる可能な方式で組み合わされる。例えば、これら3つのエンティティをテレビなどの単一のデバイスに組み込むことができ、ディスプレイ120及びレンダリングデバイス110は一体であるがカメラ130は分離しており、又はレンダリングデバイス110はカメラを含むディスプレイから分離してもよい。
【0014】
ディスプレイ120は、レンダリングデバイスから受信したビデオをユーザ(図示せず)に表示するように動作可能である。ディスプレイ120は、例えば、テレビ、コンピュータスクリーン、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、タブレット、又はスマートフォンであり得る。
【0015】
深度カメラ及びカラーカメラであり得るカメラ130は、その開口部の前にあるものの画像及び/又はビデオを取り込むように動作可能である。インタラクティブシステム100では、カメラ130は、典型的には、ユーザを含む環境を取り込むように配置されることになる。ユーザが着用する1つ以上のセンサなど、ユーザの手の位置を検出する他のジェスチャ検出器も可能である。
【0016】
レンダリングデバイス110は、例えば、コンピュータ、セットトップボックス、ゲームコンソール、タブレット、スマートフォンなどであり得る。レンダリングデバイス110は、典型的には、ユーザ入力インターフェース111、少なくとも1つのハードウェアプロセッサ(「プロセッサ」)112、メモリ113、ネットワークインターフェース114、及び出力インターフェース、例えば、ディスプレイインターフェース115又はスピーカを含む。インターフェースは、少なくとも部分的にハードウェアに実装されている。本原理を理解するのに有用ではないデバイス110の部品は、説明を簡潔にするために図示されていないことが理解されよう。
【0017】
ユーザ入力インターフェース111は、ワイヤレスであり、入力デバイス(図示せず)から入力を受信するように構成され得るが、タッチスクリーン、キーボード及び/又はマウスに対するインターフェースなどであってもよい。ユーザ入力インターフェースは、受信した入力をプロセッサ112に提供するように構成されている。プロセッサ112は、図2を参照して説明される本原理による方法を実施するためのプログラムコード命令を実行するように構成されている。メモリ113は、プロセッサ112による実行のためのプログラムコード命令を記憶し、データを記憶するように構成されている。ネットワークインターフェース114は、有線又はワイヤレスであり得、接続140を介したプロセッサ112と、外部ネットワーク(図示せず)内のサーバなどの少なくとも1つのデバイスとの間の通信を可能にして、コンピュータプログラム又はユーザに表示するためのコンテンツを受信するように構成されている。係るコンテンツは、非限定的な例として、使用されることになるビデオプログラムであり得る。出力インターフェースは、有線又はワイヤレスであり得、ディスプレイ120上に表示するためのコンテンツを出力するように構成され得る。前述のように、デバイス110がテレビである場合、ディスプレイ120は、典型的には、デバイスに含まれる。テレビはまた、別個のスクリーン(図示せず)上に情報を表示するためのディスプレイインターフェースを有し得ることに留意されたい。
【0018】
本原理の顕著な態様は、VR/ARシーンに重ねてオーバーレイを使用することである。
【0019】
図2は、本原理の実施形態による方法を例示している。ユーザは、AR/VRシーンの「内側」にいる、すなわち、ユーザがシーンとインタラクションすることができることが仮定される。例示的な目的のために、ユーザは、シーン内のいずれのオブジェクトともインタラクションしていないことも仮定される。
【0020】
ステップS210において、インタラクティブシステム(図1の100)のユーザインターフェース(図1及び図2の120)は、ユーザの手の位置を検出して、その位置が事前定義された位置と一致するときを検出する。事前定義された位置は、同じ意味を有する複数の位置のうちの1つであり得る。係る事前定義された位置の例は、ユーザが身体の前で手を伸ばすときであり得る。
【0021】
一致が検出されると、ユーザインターフェースは、ステップS220において、AR/VRシーン上にオーバーレイをレンダリングする。図3は、本原理による、係るオーバーレイ300の第1の例を例示している。オーバーレイ300は、少なくとも部分的に半透明であり得、この例では、両手を使用してインタラクションされることが意図されている。
【0022】
オーバーレイ300は、中心インジケータ310、(灰色で斜め斜線の)ニュートラルゾーン320及び第1のロック位置341及び第2のロック位置342を含む冠状部330を含むことができる。
【0023】
中心インジケータ310は、冠状部330の中心を示している。中心インジケータ310がニュートラルゾーン320の内側に位置するとき、後述されるように、特定のユーザ操作が禁止される。逆に、操作は、中心インジケータ310がニュートラルゾーン320の内側に位置するときにのみ可能にされ得る。ニュートラルゾーン320は、中心インジケータ310が内側に位置するときに不可視(又はより透明)であり得、中心インジケータ310が外側にあるときに可視又はより不透明であるようにし得る。
【0024】
ロック位置341、342は、好ましくは、手の形状であり、後述されるように、シーン又はオブジェクトをロック又はロック解除するためにユーザが手を置かなければならない場所を示している。
【0025】
ユーザの手の位置は、例示的な位置に例示された右手インジケータ351及び左手インジケータ352で表されている。
【0026】
ステップS230において、ユーザインターフェースは、ユーザが特定の手のジェスチャによってオブジェクトにロックするのを待ち、これは、本例では、所与の期間にわたってロック位置341、342の上に(又は少なくとも本質的にその上に)手を置いている、言い換えれば、0.5秒、1秒、1.5秒などであり得る所与の期間にわたって、ユーザが手インジケータ351、352をロック位置341、342の上部に配置するのを待つ。
【0027】
実施形態では、ロック位置341、342は、ロックがないときに点滅する。加えて、ユーザインターフェースは、オブジェクトにロックする方法をユーザに通知するために、テキストをレンダリングすることができる。
【0028】
オブジェクトにロックすると、ユーザインターフェースは、ステップS240において、好ましくは本質的に連続的に、中心インジケータ310の位置を検出してレンダリングする。とりわけ、ユーザインターフェースは、中心インジケータ310がニュートラルゾーン320の内側にあるか又は外側にあるかどうかを検出することができる。ロックされたとき、中心インジケータ310は、典型的には、場合によってはいくらかの遅れを伴って、ユーザの両手の中心、すなわち、手インジケータ351、352の中心に対応する。冠状部330は、典型的には、中心インジケータ310の移動に従うことに留意されたい。
【0029】
図4は、本原理によるオーバーレイ400の第2の例を例示している。オーバーレイ400の構成要素は、図3のオーバーレイ300に示されるものと同じであるが、違いは、ロック位置341、342がオブジェクト又はシーンへのロックを示すように塗りつぶされていること、並びに中心インジケータ310及び冠状部330がユーザの手に追従しており、そのため、中心インジケータ310は今やニュートラルゾーン320の外側にあることである(図では、ニュートラルゾーンが移動したかのように見えることに留意されたい)。
【0030】
ステップS250において、ユーザインターフェースは、ニュートラルゾーン320に対する中心インジケータ310の位置に応じて、ユーザ操作を可能及び/又は不能にする。
【0031】
例えば、内側にあるとき、可能にされるユーザ操作は、
・それぞれ手を拡げるか又は近づけることによってズームイン又はズームアウトすること(すなわち、オブジェクトをより近づけるか又は更に遠ざけること)(場合によっては、手インジケータ351、352が本質的に同じ高さにあるときに制限される)、及び、
・場合によって手インジケータ351、352が冠状部330の内側にあるときに制限されて、対応する手の円形移動を通してオブジェクトを(あたかもそれらがステアリングホイール上にあるように)回転させること、を含み得、
外部にあるとき、可能にされるユーザ操作は、
・対応する水平方向に手を移動させることによって、又は対応する垂直方向に手を移動させることによって、水平にオブジェクトを回転させること、又は、
・カメラ(すなわち、ユーザの視点)をシーン内であちこち移動させることを含み得る。
【0032】
理解されるように、ニュートラルゾーンは、中心インジケータ310がニュートラルゾーン320にある間、小さな水平又は垂直の手の移動が影響を及ぼさないため、AR/VRシーンを、例えば、偶発的な回転を受けにくくすることができる。
【0033】
ユーザインターフェースは、例えば、可能にされた操作を示すアイコンをレンダリングすることによって、操作機会を示すことができる。加えて、アイコンは、ユーザインターフェースにおいて従来的であるように、不能にされた操作について異なる態様で(例えば、灰色化又は退色化して)レンダリングされ得る。アイコンは、消滅又は退色する前に、限られた期間にわたってレンダリングされ得る。好ましくは、アイコンは、シーン又はオブジェクトの大部分を隠さないように、周辺領域にレンダリングされる。
【0034】
オブジェクトを移動させるなどの他のユーザ操作は、ユーザインターフェースによって実現され得ることに留意されたい。
【0035】
ステップS260において、ユーザインターフェースは、ユーザ操作が手の位置の検出を通じて追跡されることに応答する。ユーザ操作は、ステップS250を参照して説明したものを含むことができる。更なる操作は、(ステップS270を参照して説明されるように)ロック解除すること、及び、ユーザが両手を交差させるとき、すなわち、右手を左手の左側に持っていくときにオーバーレイ300を隠しかつ表示することを含み得る(この操作は、ユーザが両手の円形移動を通じて回転を実施するときに、例えば、180°の大きな円回転を可能にするために不能にされ得ることに留意されたい。代替的に、手インジケータ351、352は、左側が常に右側の左側にあるか、又は右側と同じ垂直位置にあるように(例えば、円形移動を実施するときを除いて)、側を切り替えることを防止し得る。
【0036】
中心インジケータ310が他方の側に向かう途中でニュートラルゾーン320を通過するときに、オブジェクトの水平回転又は垂直回転が一時的に不能にされ得ることに留意されたい。
【0037】
ステップS270において、ユーザインターフェースは、オブジェクト又はシーンのロック解除を検出する。これは、ユーザが手インジケータ351、352をロック位置341、342の上に、所与の時間、置くことによって行われ得る。図から分かるように、ユーザは、オブジェクト又はシーンにロックする場合と同じことを行い得る。ロック解除はまた、中心インジケータ310がニュートラルゾーン320にあることを必要とし得る。
【0038】
片手での使用に好適な変形例では、ロック解除は同じ方式で行われるが、オーバーレイは、単一のロック位置を含むことができ、ユーザは、そのロック位置の上に、シーン又はオブジェクトをロックするために所与の時間にわたって手インジケータを置く必要がある。変形例では、可能にされたユーザ操作は、オブジェクトを移動させることに限定され得る。
【0039】
したがって、本原理を使用して、可能にされたユーザ操作に関する情報をユーザに提供するAR/VRシステムを提供することができ、また、ニュートラルゾーンの使用を通じて、小さな手の移動によって引き起こされる「ジッタ」の影響を受けにくいAR/VR体験を提供することができることが理解されよう。
【0040】
図に示される要素は、様々な形態のハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせで実装され得ることを理解されたい。好ましくは、これらの要素は、1つ以上の適切にプログラムされた汎用デバイス上のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせで実装され、プロセッサ、メモリ、及び入力/出力インターフェースを含み得る。
【0041】
本説明は、本開示の原理を例示している。したがって、当業者は、本明細書に明示的に説明又は示されていないが、本開示の原理を具現化し、その範囲内に含まれる様々な構成を考案することができることが理解されよう。
【0042】
本明細書に列挙されるすべての例及び条件付き言語は、本開示の原理及び当技術分野を促進するために発明者によって寄与される概念を読者が理解するのを助ける教育目的を意図しており、係る具体的に列挙された例及び条件に限定されるものではないものとして解釈されるべきである。
【0043】
更に、本開示の原理、態様、及び実施形態を列挙する本明細書におけるすべての記述、並びにその特定の例は、その構造的等価物及び機能的等価物の両方を包含することが意図される。加えて、係る等価物は、現在知られている等価物並びに将来開発される等価物、すなわち構造を問わず同じ機能を実施する開発される任意の要素の両方を含むことが意図される。
【0044】
したがって、例えば、本明細書に提示されるブロック図は、本開示の原理を具現化する例示的な回路の概念図を表すことが当業者には理解されよう。同様に、任意のフローチャート、フロー図などは、コンピュータ可読媒体で実質的に表され、係るコンピュータ又はプロセッサが明示的に示されているかどうかにかかわらず、コンピュータ又はプロセッサによって実行され得る様々なプロセスを表すことが理解されよう。
【0045】
図に示される様々な要素の機能は、専用のハードウェア、並びに適切なソフトウェアと関連してソフトウェアを実行することができるハードウェアの使用を通じて提供され得る。プロセッサによって提供される場合、機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、又は複数の個々のプロセッサによって提供されてもよく、そのいくつかは共有されてもよい。更に、「プロセッサ」又は「コントローラ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することができるハードウェアを排他的に指すと解釈されるべきではなく、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)ハードウェア、ソフトウェアを記憶するための読み取り専用メモリ(read only memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、及び不揮発性記憶装置を暗黙的に含み得るが、これらに限定されない。
【0046】
従来の及び/又はカスタムの他のハードウェアも含まれ得る。同様に、図に示される任意のスイッチは概念的なものに過ぎない。それらの機能は、プログラム論理の動作を通じて、専用論理の動作を通じて、プログラム制御及び専用論理とのインタラクションを通じて、又は手動でさえ実行され得、特定の技術は、その文脈からより具体的に理解されるように、実装者によって選択可能である。
【0047】
本明細書の特許請求の範囲において、特定の機能を実施するための手段として表される任意の要素は、例えば、a)その機能を実施する回路要素の組み合わせ、又はb)その機能を実施するためにそのソフトウェアを実行するための適切な回路と組み合わされた、ファームウェア、マイクロコードなどを含む任意の形態のソフトウェアを含む、その機能を実施する任意の方法を包含することが意図される。係る特許請求の範囲によって定義される本開示は、様々な列挙される手段によって提供される機能性が、特許請求の範囲が要求する様式で組み合わされ、まとめられるという事実に存する。したがって、それらの機能性を提供することができる任意の手段は、本明細書に示されるものと同等であるとみなされる。
図1
図2
図3
図4