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特許7591051無水糖アルコールの固体分散体又は溶融分散体を使用したポリカーボネート複合体、その製造方法、及びそれを含む成形品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】無水糖アルコールの固体分散体又は溶融分散体を使用したポリカーボネート複合体、その製造方法、及びそれを含む成形品
(51)【国際特許分類】
   C08L 69/00 20060101AFI20241120BHJP
   C08G 64/02 20060101ALI20241120BHJP
   C08L 1/02 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
C08L69/00
C08G64/02
C08L1/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022527085
(86)(22)【出願日】2020-11-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(86)【国際出願番号】 KR2020015757
(87)【国際公開番号】W WO2021096213
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-06-17
(31)【優先権主張番号】10-2019-0143202
(32)【優先日】2019-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0143203
(32)【優先日】2019-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500578515
【氏名又は名称】サムヤン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イム,ジュンソブ
(72)【発明者】
【氏名】ソン,グァンソク
(72)【発明者】
【氏名】リュ,フン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,スンヒョン
【審査官】常見 優
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-153470(JP,A)
【文献】特開2009-167296(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2116440(KR,B1)
【文献】Green Chemistry 2019, vol.21, no.19, pp.5212-5221,2019年10月07日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/16
C08G 63/00- 64/42
C08K 3/00- 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネート複合体であって、
マトリックス樹脂及び前記マトリックス樹脂に分散されているナノ材料を含み、
ここで、前記マトリックス樹脂は、前記ナノ材料がその内部に分散された無水糖アルコールの固体分散体又は溶融分散体を含むジオール成分と炭酸ジエステル成分との重合反応生成物であるポリカーボネート樹脂であり、
前記無水糖アルコールの固体分散体又は溶融分散体は、前記ナノ材料を水分散液の状態で無水糖アルコールに導入して得られるものであり、
前記ナノ材料が、ナノセルロースであり、
前記無水糖アルコールがジ無水糖アルコールであり、
前記ポリカーボネート複合体内の前記ナノ材料の含量が、前記ポリカーボネート複合体の全重量に対して、3.1重量%以上、6.5重量%以下であるポリカーボネート複合体。
【請求項2】
前記ナノセルロースが、ナノセルロース繊維、ナノセルロース結晶又はそれらの混合物から選ばれる請求項1に記載のポリカーボネート複合体。
【請求項3】
前記ジ無水糖アルコールが、イソソルビドである請求項1に記載のポリカーボネート複合体。
【請求項4】
前記無水糖アルコールの固体分散体が、前記ナノ材料を水分散液の状態で無水糖アルコールに投入して混合し、無水糖アルコールの融点以上の温度で水分を除去しながら溶融させた後、溶融した混合物を室温まで冷却させることによって得られるものである請求項1に記載のポリカーボネート複合体。
【請求項5】
前記無水糖アルコールの溶融分散体が、前記ナノ材料を水分散液の状態で無水糖アルコールに投入して混合し、無水糖アルコールの融点以上の温度で水分を除去しながら溶融させて得られるものである請求項1に記載のポリカーボネート複合体。
【請求項6】
前記炭酸ジエステル成分が、下記式(1)
【化1】
(式中、R1は、それぞれ独立して、非置換又はハロゲン-置換された、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20のアリール基又は炭素数7~25のアラルキル基から選択される。)で示される炭酸ジエステル成分である請求項1に記載のポリカーボネート複合体。
【請求項7】
前記ジオール成分が、前記無水糖アルコールの固体分散体又は溶融分散体に加えて、追加のジオール成分をさらに含む請求項1に記載のポリカーボネート複合体。
【請求項8】
前記追加のジオール成分が、下記式(2)
【化2】
(式中、
Xは、炭素数6~30の単核又は多核のアリーレン基;炭素数1~15の線状アルキレン基;炭素数3~15の分岐状アルキレン基;又は炭素数3~15の環状アルキレン基を表し、
前記アリーレン基、線状アルキレン基、分岐状アルキレン基及び環状アルキレン基は、それぞれ、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、ニトロ基又はカルボキシル基で非置換又は置換されていてもよい。)で示されるジオール成分である請求項7に記載のポリカーボネート複合体。
【請求項9】
ポリカーボネート複合体の製造方法であって、
ナノ材料がその内部に分散された無水糖アルコールの固体分散体又は溶融分散体を含むジオール成分と炭酸ジエステル成分とを重合反応させる工程を含み、
ここで、前記無水糖アルコールの固体分散体又は溶融分散体は、ナノ材料を水分散液の状態で無水糖アルコールに導入して得られるものであり、
前記ナノ材料が、ナノセルロースであり、
前記無水糖アルコールがジ無水糖アルコールであり、
前記ポリカーボネート複合体内の前記ナノ材料の含量が、前記ポリカーボネート複合体の全重量に対して、3.1重量%以上、6.5重量%以下であるポリカーボネート複合体の製造方法。
【請求項10】
前記無水糖アルコールの固体分散体が、前記ナノ材料を水分散液の状態で無水糖アルコールに投入して混合し、無水糖アルコールの融点以上の温度で水分を除去しながら溶融させた後、溶融した混合物を室温まで冷却させることによって得られたものである請求項9に記載のポリカーボネート複合体の製造方法。
【請求項11】
前記無水糖アルコールの溶融分散体が、前記ナノ材料を水分散液の状態で無水糖アルコールに投入して混合し、無水糖アルコールの融点以上の温度で水分を除去しながら溶融させて得られるものである請求項9に記載のポリカーボネート複合体の製造方法。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか1項に記載のポリカーボネート複合体を含む成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカーボネート複合体及びその製造方法、及びそれを含む成形品に関する。より具体的には、無水糖アルコールが共重合されているポリカーボネート樹脂であるマトリックス樹脂及び前記マトリックス樹脂に分散されているナノ材料を含むポリカーボネート複合体であり、その製造時、ナノ材料(分散質)を水分散液の状態で無水糖アルコール(分散媒)に導入して得られた固体分散体又は溶融分散体をジオール成分として使用することによって、従来のバイオポリカーボネート樹脂複合体と比較して、著しく向上された引張弾性率(Tensile modulus)及び引張強度(Tensile strength)を示し、ナノ材料が複合体内に均一に分散されているので、均一な物性を有するポリカーボネート複合体及びその製造方法、及びそれを含む成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ナノセルロースなどのナノ材料は、バイオマスから様々な方法で製造することができ、最近では、ポリウレタンにナノ粒子を加えて機械的物性を向上させるなど、多くの研究が進められている。しかし、ナノセルロースの親水性のため、ほとんどの製品は、分散媒として水に分散されたナノ材料の約1重量%を使用して製造されるので、高分子樹脂との複合材料の製造するための適用には制限がある。
【0003】
また、固体結晶又は粉末状のナノセルロースを水などに分散させずに直接使用すると、ナノセルロースのもつれ現象(凝集)が発生するため、そこから製造した高分子樹脂複合材料の物性が低下し、均一にならない短所がある。
【0004】
したがって、マトリックス樹脂及びその内部に分散されたナノ材料を含む樹脂複合体であって、ナノ材料を従来に比べて高含量で含みながらもマトリックス樹脂内部にナノ材料が均一に分散されているので、従来の樹脂複合体に比べて物性(特に、引張強度及び引張弾性率)が著しく向上された樹脂複合体の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来のバイオポリカーボネート樹脂複合体と比較して、著しく向上された引張強度及び引張弾性率を示し、ナノ材料が複合体内に均一に分散されているので、均一な物性を有するポリカーボネート複合体及びその製造方法、及びそれを含む成形品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した技術的課題を解決するために、本発明は、マトリックス樹脂及び前記マトリックス樹脂に分散されているナノ材料を含み、ここで、前記マトリックス樹脂は、前記ナノ材料がその内部に分散された無水糖アルコールの固体分散体又は溶融分散体を含むジオール成分と炭酸ジエステル成分との重合反応生成物であるポリカーボネート樹脂であり、前記無水糖アルコールの固体分散体又は溶融分散体は、前記ナノ材料を水分散液の状態で無水糖アルコールに導入して得られたものであるポリカーボネート複合体を提供する。
【0007】
本発明の別の態様は、ナノ材料がその内部に分散された無水糖アルコールの固体分散体又は溶融分散体を含むジオール成分と炭酸ジエステル成分を重合反応させる工程を含み、ここで、前記無水糖アルコールの固体分散体又は溶融分散体は、ナノ材料を水分散液の状態で無水糖アルコールに導入して得られるものであるポリカーボネート複合体の製造方法が提供する。
【0008】
本発明のさらに別の態様は、前記本発明のポリカーボネート複合体を含む成形品が提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によるポリカーボネート複合体は、従来のバイオポリカーボネート樹脂複合体、特にナノ材料(例えば、ナノセルロース)を水などに分散させずに、固体結晶又は粉末状で直接使用した樹脂複合体に比べて、著しく向上された引張強度及び引張弾性率を示し、ナノ材料が複合体内に均一に分散されているので、均一な物性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリカーボネート複合体は、マトリックス樹脂及び前記マトリックス樹脂中に分散されているナノ材料を含む。
【0011】
本発明において、前記「ナノ材料」は、サブミクロンサイズ(長さ又は粒径)、すなわち、1マイクロメートル未満(例えば、10~900nm、又は10~500nm)を有する有機又は無機材料を意味する。
【0012】
そのようなナノ材料については、前記のナノ材料の意味を満たす材料を使用することができ、例えば、ナノセルロース、炭素ナノ繊維、炭素ナノチューブ、鉄、アルミニウム、クロム、ニッケル、コバルト、亜鉛、タングステン、インジウム、スズ、パラジウム、ジルコニウム、チタン、銅、銀、金、白金、カオリン、クレイ、タルク、マイカ、シリカ、ベントナイト、ドロマイト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、石綿、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、ケイ酸アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化インジウムスズ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、チタン酸バリウム、硅藻土、カーボンブラック、岩綿、グラフェン、グラファイト、グラフェンオキシド、アゾ系化合物、ジアゾ系化合物、縮合アゾ系化合物、チオインジゴ系化合物、インダントロン系化合物、キナクリドン系化合物、アントラキノン系化合物、ベンズイミダゾロン系化合物、ペリレン系化合物、フタロシアニン系化合物、アントラピリジン系化合物、ジオキサジン系化合物、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ乳酸、セルロースアセテート繊維、ヘミセルロース、リグニン、キチン、キトサン、デンプン、又はそれらの混合物よりなる群から選ぶことができる。
【0013】
一実施形態において、前記ナノ材料は、ナノセルロース、炭素ナノ繊維、炭素ナノチューブ又はそれらの混合物から選ぶことができるが、それに限定されない。
【0014】
一実施形態において、前記ナノセルロースは、ナノセルロース繊維、ナノセルロース結晶又はそれらの混合物よりなる群から選ぶことができる。
【0015】
一実施形態において、前記炭素ナノチューブは、単層炭素ナノチューブ、多層炭素ナノチューブ又はそれらの混合物よりなる群から選ぶことができる。
【0016】
一実施形態において、本発明のポリカーボネート複合体内の前記ナノ材料の含量は、複合体の全重量に対して、0.2重量%以上、0.3重量%以上、0.4重量%以上、0.5重量%以上又は0.55重量%以上であってもよく、また、10重量%以下、9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下又は6.5重量%以下であってもよく、例えば、0.2重量%~10重量%であってもよく、より具体的には0.5重量%~10重量%であってもよく、さらに具体的には0.5重量%~7重量%であってもよい。複合体内のナノ材料の含量が前記水準よりも少ない場合、複合体の引張強度及び引張弾性率などの機械的特性を向上する効果がほとんどない可能性があり、前記水準を超えると、ナノ材料をマトリックス樹脂内に分散させることが困難になり、ナノ材料を均一に分散させることができなく、均一な物性を有する高分子複合体が得られにくくなる場合がある。
【0017】
本発明のポリカーボネート複合体に含まれる前記マトリックス樹脂は、前記ナノ材料がその内部に分散された無水糖アルコールの固体分散体又は溶融分散体を含むジオール成分と炭酸ジエステル成分との重合反応生成物であるポリカーボネート樹脂であり、前記無水糖アルコールの固体分散体又は溶融分散体は前記ナノ材料を水分散液の状態で無水糖アルコールに導入して得られたものである。
【0018】
無水糖アルコールは、天然物由来の水素化糖の脱水反応により製造することができる。水素化糖(「糖アルコール」とも呼ばれる)は、糖の還元性末端基に水素を付加して得られる化合物を意味し、一般に化学式がHOCH2(CHOH)nCH2OH(ここで、nは2~5の整数)であり、炭素原子に応じてテトリトール、ペンチトール、ヘキシトール及びヘプチトール(それぞれ、炭素数4、5、6及び7)に分類される。その中で、6個の炭素原子を有するヘキシトールには、ソルビトール、マンニトール、イジトール、ガラクチトールなどが含まれ、特に、ソルビトールとマンニトールは非常に有用な材料である。
【0019】
本発明において、前記無水糖アルコールは、モノ無水糖アルコール、ジ無水糖アルコール又はそれらの混合物であってもよく、水素化糖(例えば、ソルビトール、マンニトール、イジトールなどのヘキシトール)の脱水反応により無水糖アルコールを製造する過程で得ることができる。
【0020】
前記モノ無水糖アルコールは、水素化糖の内部から1分子の水を除去して形成される無水糖アルコールであり、分子内に4個のヒドロキシ基を有するテトラオール(tetraol)形態を有する。本発明で使用可能なモノ無水糖アルコールの種類は、特に限定されず、好ましくはモノ無水糖ヘキシトールであってもよく、より具体的には、1,4-アンヒドロヘキシトール、3,6-アンヒドロヘキシトール、2,5-アンヒドロヘキシトール、1,5-アンヒドロヘキシトール、2,6-アンヒドロヘキシトール又はこれらの2つ以上の混合物であってもよい。
【0021】
前記ジ無水糖アルコールは、水素化糖の内部から2分子の水を除去して形成される無水糖アルコールであり、分子内に2つのヒドロキシ基を有するジオール(diol)形態であり、デンプン由来のヘキシトールを使用して製造することができる。ジ無水糖アルコールは、再生可能な天然資源に由来する環境にやさしい物質であるため、長い間関心を集めており、その製造に関する研究が続けられている。そのようなジ無水糖アルコールの中で、ソルビトールから製造されたイソソルビドは、現在最も広い産業上利用可能性を有している。本発明において、使用可能なジ無水糖アルコールの種類は特に限定されるものではなく、好ましくはジ無水糖ヘキシトールであってもよく、より具体的には1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールであってもよい。前記1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールは、イソソルビド、イソマンニド、イソイジド又はそれらの2以上の混合物であってもよく、より好ましくはイソソルビドであってもよい。
【0022】
一実施形態において、前記無水糖アルコールの固体分散体は、前記ナノ材料を水分散液の状態(例えば、ナノ材料が0.1~5重量%が水中に分散された状態)で無水糖アルコールに投入し、均一に混合して、無水糖アルコールの融点以上の温度(例えば、80℃以上の温度)で真空下で水分を除去しながら溶融させた後、溶融した混合物を室温まで冷却させることによって得られる室温固体分散体である。
【0023】
一実施形態において、前記無水糖アルコールの溶融分散体は、前記ナノ材料を水分散液の状態(例えば、ナノ材料の0.1~5重量%が水に分散された状態)で無水糖アルコールに投入し、それらを均一に混合し、無水糖アルコールの融点以上の温度(例えば、80℃以上)で、真空下で水分を除去しながら溶融させて得られる液状分散体であり、本発明では、このような溶融状態の分散体を、ポリカーボネート樹脂を製造する際に、固体に冷却することなく直接使用することができる。
【0024】
一実施形態において、前記無水糖アルコールの固体分散体又は溶融の溶融分散体内に導入される前記ナノ材料の含量は、固体分散体又は溶融分散体の全重量に対して、0.2重量%以上、0.3重量%以上、0.4重量%以上、0.5重量%以上、0.6重量%以上、0.7重量%以上、0.8重量%以上、0.9重量%以上又は1重量%以上であってもよく、また、15重量%以下、14重量%以下、13重量%以下、12重量%以下、11重量%以下又は10重量%以下であってもよく、例えば、0.2重量%~15重量%であってもよく、より具体的には0.5重量%~12重量%であってもよく、さらに具体的には1重量%~10重量%であってもよい。
【0025】
本発明のポリカーボネート複合体に含まれる前記マトリックス樹脂は、このような無水糖アルコールの固体分散体又は溶融分散体を含むジオール成分と炭酸ジエステル成分との重合反応生成物であるポリカーボネート樹脂である。
【0026】
一実施形態において、前記炭酸ジエステル成分は、下記式(1)
【化1】

(式中、R1は、それぞれ独立して、非置換又はハロゲン-置換された、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20のアリール基又は炭素数7~25のアラルキル基から選んでもよい。)で示される炭酸ジエステル成分であってもよい。
【0027】
一実施形態において、前記式(1)で示される炭酸ジエステル成分は、ジフェニルカーボネート、ビスクロロフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ-t-ブチルカーボネート又はそれらの混合物よりなる群から選ばれてもよく、より好ましくはジフェニルカーボネート又はジメチルカーボネートを使用することができる。
【0028】
一実施形態において、前記ジオール成分は、前記無水糖アルコールの固体分散体又は溶融分散体に加えて、追加のジオール成分をさらに含むことができる。
【0029】
一実施形態において、前記追加のジオール成分は下記式(2)
【化2】

(式中、
Xは、炭素数6~30の単核又は多核のアリーレン基;炭素数1~15の線状アルキレン基;炭素数3~15の分岐状アルキレン基;又は炭素数3~15の環状アルキレン基を表し、
前記アリーレン基、線状アルキレン基、分岐状アルキレン基及び環状アルキレン基は、それぞれ、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、ニトロ基又はカルボキシル基で非置換又は置換されていてもよい。)で示されるジオール成分であってもよい。
【0030】
一実施形態では、前記式(2)において、前記ハロゲン原子は、F、Cl又はBrであってもよく、前記アルキル基は、炭素数1~20のアルキル基(より具体的には、炭素数1~13のアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル又はブチル)であってもよく、前記シクロアルキル基は、炭素数3~10のシクロアルキル基(より具体的には、炭素数3~6のシクロアルキル基)であってもよく、前記アルケニル基は、炭素数2~20のアルケニル基(より具体的には炭素数2~13のアルケニル基)であってもよく、前記アルコキシ基は、炭素数1~20のアルコキシ基(より具体的には、炭素数1~13のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はブトキシ)であってもよく、前記アリール基は炭素数6~30のアリール基(より具体的には、炭素数6~20のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、キシレニル基、又はナフチル基)であってもよい。
【0031】
一実施形態で、前記式(2)において、Xは、置換又は非置換されたビスフェノール(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF又はビスフェノールTMCなど)、置換又は非置換されたレゾルシノール、置換又は非置換されたハイドロキノン(例えば、ハイドロキノン、2-ニトロハイドロキノン、2-スルホニルハイドロキノンなど)、置換又は非置換されたビフェノール、置換又は非置換されたナフタレンジオール、又は置換又は非置換されたジフェニルフェノールから由来しうるアリーレン基であってもよく、例えば、下記式(2a)~(2h)で示すことができる。
【0032】
【化3】
【0033】
一実施形態では、前記式(2)において、Xは、置換又は非置換されたエチレングリコール、置換又は非置換されたプロピレングリコール、又は置換又は非置換されたブタンジオールなどから由来しうるアルキレン基であってもよく、例えば、エチレン基、プロピレン基又はブチレン基であってもよい。
【0034】
一実施形態で、前記式(2)において、Xは、置換又は非置換されたシクロヘキサンジオール、置換又は非置換されたシクロヘキサンジメタノール、又は置換又は非置換されたテトラメチルシクロブタンジオールから由来しうるシクロアルキレン基であってもよく、例えば、下記式(2i)~(2k)で示すことができる。
【0035】
【化4】
【0036】
一実施形態において、前記式(2)で示されるジオール成分は、芳香族ジオール、脂肪族ジオール、無水糖アルコール以外の脂環族ジオール、又はそれらの混合物であってもよい。
【0037】
前記芳香族ジオールとして、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、ニトロ基又はカルボキシル基で置換又は非置換された、ビスフェノール(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールTMCなど)、レゾルシノール、ハイドロキノン、ビフェノール、ナフタレンジオール又はそれらの混合物を使用することができ、好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、ニトロ基又はカルボキシル基で置換又は非置換された、ビスフェノールAを使用することができる。
【0038】
前記脂肪族ジオールとして、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、ニトロ基又はカルボキシル基で置換又は非置換された、炭素数2~10の脂肪族ジオールであってもよく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロパンジオール(1,2-プロパンジオール及び1,3-プロパンジオールなど)、ブタンジオール(1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール及び1,4-ブタンジオールなど)、ペンタンジオール(1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール及び1,5-ペンタンジオールなど)、ヘキサンジオール(1,2-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、1,4-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール及び1,6-ヘキサンジオールなど)、ネオペンチルグリコール、又はそれらの混合物であってもよく、好ましくはブタンジオールであってもよい。
【0039】
前記無水糖アルコール以外の脂環族ジオールとして、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、ニトロ基又はカルボキシル基で置換又は非置換された、シクロヘキサンジオール(1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール及び1,4-シクロヘキサンジオールなど)、シクロヘキサンジメタノール(1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール及び1,4-シクロヘキサンジメタノールなど)、テトラメチルシクロブタンジオール又はそれらの混合物であってもよく、好ましくはシクロヘキサンジオールであってもよい。
【0040】
一実施形態において、前記ポリカーボネート樹脂の数平均分子量(Mn)は、10,000~70,000であってもよく、より具体的には、15,000~50,000であってもよく、さらに具体的には20,000~40,000であってもよい。数平均分子量が10,000未満の場合、十分な機械的物性を得るのに問題があり、70,000を超えると、分子量が高くなりすぎて溶融特性が悪くなり、加工が困難になる問題がある。
【0041】
一実施形態において、前記ポリカーボネート樹脂を製造する際の前記炭酸ジエステル成分の使用量は、無水糖アルコール及び追加のジオールを含む全ジオール成分1モル当たり、0.8モル~1.2モルであってもよく(より具体的には0.9モル~1.1モル)、この成分は、重合触媒の存在下で重合、例えば、溶融重合することができる。
【0042】
前記重合触媒として、アルカリ金属塩化合物(例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム及び炭酸セシウムなど);アルカリ土類金属塩化合物(例えば、水酸化カルシウム、酸化バリウム及び酸化マグネシウムなど);窒素-含有塩基性化合物(例えば、テトラメチルアンモニウム水酸化物、テトラエチルアンモニウム水酸化物及びトリエチルアミンなど);又はそれらの混合物などを使用することができ、それらは単独で、又はそれらの2種以上と組み合わせで使用することができる。その中で、窒素-含有塩基性化合物とアルカリ金属塩化合物を組み合わせて使用することがより好ましい。
【0043】
重合触媒の使用量は、炭酸ジエステル成分1モルに対して、好ましくは1×10-9~1×10-3モル当量、より一層好ましくは1×10-8~5×10-4モル当量であってもよい。
【0044】
前記溶融重合は、高温、例えば、140℃~240℃(より具体的には、160℃~220℃)で、大気圧又は減圧(例えば、0.1トール~120トール)下で行うことができる。
【0045】
一実施形態において、前記溶融重合は、大気圧下、前記説明した無水糖アルコールの固体分散体又は溶融分散体、炭酸ジエステル及び任意に追加のジオール成分を混合し、140℃~240℃の温度(例えば、160℃)で重合触媒の存在下で反応させた後、減圧下(例えば、120トール以下、具体的には0.1トール~120トール)で160℃~240℃の温度で副反応物であるアルコール(例えば、フェノール又はメタノールなど)を除去しながら反応させる工程を含む工程によって行うることができる。
【0046】
本発明によるポリカーボネート複合体は、従来のバイオポリカーボネート樹脂複合体に比べ特に、ナノ材料(例えば、ナノセルロースなど)を水などに分散せずに、固体結晶又は粉末形態で直接使用した樹脂複合体に比べて、顕著に向上された引張強度及び引張弾性率を示し、ナノ材料が複合体内に均一に分散され、均一な物性を有する。
【0047】
一実施形態において、本発明のポリカーボネート複合体は、80MPaを超える引張強度を示すことができる。
【0048】
一実施形態において、本発明のポリカーボネート複合体は、2,500MPaを超える引張弾性率を示すことができる。
【0049】
前記引張強度及び引張弾性率は、例えば、ASTM D638に基づいて万能試験機(UTM)を使用して測定された値であってもよい。
【0050】
また、本発明によるポリカーボネート複合体は、マトリックス樹脂内部にナノ材料が均一に分散されているため、従来の樹脂複合体に比べて物性(特に、引張強度及び引張弾性率)を均一に維持することができる。
【0051】
一実施形態において、本発明のポリカーボネート複合体は、3MPa以下の引張強度標準偏差を示すことができる。
【0052】
より具体的に、前記引張強度の標準偏差は、2.5MPa以下、2.0MPa以下、1.5MPa以下、1.3MPa以下、1.2MPa以下、1.15MPa以下、又は1.12MPa以下であってもよい。
【0053】
一実施形態において、本発明のポリカーボネート複合体は、200MPa以下の引張弾性率標準偏差を示すことができる。
【0054】
より具体的には、前記引張弾性率の標準偏差は、100MPa以下、50MPa以下、30MPa以下、10MPa以下、9MPa以下、8.5MPa以下、8.35MPa以下、又は8.3MPa以下であってもよい。
【0055】
前記引張強度標準偏差及び引張弾性率標準偏差は、例えば、ASTM D638に基づいて万能試験機(UTM)を使用して、4個の試片について測定された値の標準偏差であってもよい。
【0056】
本発明の別の態様によれば、ナノ材料がその内部に分散された無水糖アルコールの固体分散体又は溶融分散体を含むジオール成分と炭酸ジエステル成分とを重合反応させる工程を含み、ここで、前記無水糖アルコールの固体分散体又は溶融分散体は、ナノ材料を水分散液の状態で無水糖アルコールに導入して得られるものであるポリカーボネート複合体の製造方法が提供される。
【0057】
一実施形態において、前記無水糖アルコールの固体分散体は、前記ナノ材料を水分散液の状態(例えば、ナノ材料の0.1~5重量%が水に分散された状態)で無水糖アルコールに投入して均一に混合し、無水糖アルコールの融点以上の温度(例えば、80℃以上)で真空下、水分を除去しながら溶融させた後、溶融した混合物を室温まで冷却させることによって得られる室温固体分散体であってもよい。
【0058】
一実施形態において、前記無水糖アルコールの溶融分散体は、前記ナノ材料を水分散液の状態(例えば、ナノ材料が0.1~5重量%濃度で水に分散された状態)で無水糖アルコールに投入して均一に混合し、無水糖アルコールの融点以上の温度(例えば、80℃以上)で真空下、水分を除去しながら溶融させて得られる液状分散体であってもよい。
【0059】
前記製造方法で使用されるナノ材料、無水糖アルコール、炭酸ジエステル成分、及び追加のジオール成分は、前記で説明したものと同じである。また、前記無水糖アルコールの固体分散体又は溶融分散体、その製造方法、及び前記ジオール成分と炭酸ジエステル成分の重合反応は、前記と同じである。
【0060】
本発明のさらに別の態様は、前記本発明のポリカーボネート複合体を含む成形品が提供される。
【0061】
本発明のポリカーボネート複合体は、ナノ材料が複合体内に均一に分散されているので、均一な物性(特に、引張強度及び引張弾性率)を有することができ、従って、複合体を構成する成形品の物性は優れており、均一であるため、製品適用時に不良率が非常に低くなる。
【0062】
本発明のポリカーボネート複合体を加工することにより成形品を製造する方法は特に制限がなく、プラスチック加工分野で一般的に使用される方法を使用して成形品を製造することができる。例えば、本発明の成形品は、本発明のポリカーボネート複合体の押出成形又は射出成形によって製造されることができる。
【0063】
以下、本発明は、実施例及び比較例を通じてより詳細に説明される。しかし、本発明の範囲は、それによっていかなる方法でも限定されない。
【実施例
【0064】
[パートI]
[ナノセルロースを含む固体分散体の製造]
<ナノセルロース繊維(NCF)と無水糖アルコールとを含む分散体>
製造例I-A1: 1重量%のナノセルロース繊維を含む分散体の製造
ロータリーエバポレータに、99gのイソソルビド(NOVASORB(登録商標)SAMYANG CORPORATION製)と1重量%のナノセルロース繊維を分散させた100gの水溶液(KB101、Asia Nanocellulose社製)を投入し、均一に混合した。その後、イソソルビドの融点よりも高い80℃の温度条件下で、真空下で水分を除去しながら前記混合物を溶融させた。次に、前記溶融した混合物を室温まで冷却し、その中に分散したナノセルロース繊維を含むイソソルビド(固体分散体)を製造した。前記固体分散体は、固体分散体の全重量に対して、1重量%のナノセルロース繊維を含んでいた。
【0065】
製造例I-A2: 3重量%ナノセルロース繊維を含む分散体の製造
イソソルビドの含量を99gから97gに変更し、1重量%のナノセルロース繊維が分散された水溶液の含量を100gから300gに変更したことを除いて、前記製造例I-A1と同じ方法を行って、ナノセルロース繊維が分散されたイソソルビド(固体分散体)を製造した。前記固体分散体は、固体分散体の全重量に対して、3重量%のナノセルロース繊維を含んでいた。
【0066】
製造例I-A3: 5重量%のナノセルロース繊維を含む分散体の製造
イソソルビドの含量を99gから95gに変更し、1重量%のナノセルロース繊維が分散された水溶液の含量を100gから500gに変更したことを除いて、前記製造例I-A1と同じ方法で行って、ナノセルロース繊維が分散されたイソソルビド(固体分散体)を製造した。前記固体分散体は、固体分散体の全重量に対して、5重量%のナノセルロース繊維を含んでいた。
【0067】
製造例I-A4: 10重量%のナノセルロース繊維を含む分散体の製造
イソソルビドの含量を99gから90gに変更し、1重量%のナノセルロース繊維が分散された水溶液の含量を100gから1,000gに変更したことを除いて、前記製造例I-A1と同じ方法で行って、ナノセルロース繊維が分散されたイソソルビド(固体分散体)を製造した。前記固体分散体は、固体分散体の全重量に対して、10重量%のナノセルロース繊維を含んでいた。
【0068】
<ナノセルロース結晶(NCC)と無水糖アルコールを含む分散体>
製造例I-B1: 1重量%のナノセルロース結晶を含む分散体の製造
1重量%のナノセルロース繊維が分散された水溶液(KB101、Asia Nanocellulose社製)100gの代わりに、1重量%のナノセルロース結晶が分散された100gの水溶液(CelluForce社製)を使用したことを除いて、前記製造例I-A1と同じ方法で行って、ナノセルロース結晶が分散されたイソソルビド(固体分散体)を製造した。前記固体分散体は、固体分散体の全重量に対して、1重量%のナノセルロース結晶を含んでいた。
【0069】
製造例I-B2: 3重量%のナノセルロース結晶を含む分散体の製造
イソソルビドの含量を99gから97gに変更し、1重量%のナノセルロース繊維が分散された水溶液100gの代わりに、1重量%のナノセルロース結晶が分散された水溶液300gを使用したことを除いて、前記製造例I-A1と同じ方法で行って、ナノセルロース結晶が分散されたイソソルビド(固体分散体)を製造した。前記固体分散体は、固体分散体の全重量に対して、3重量%のナノセルロース結晶を含んでいた。
【0070】
製造例I-B3: 5重量%のナノセルロース結晶を含む分散体の製造
イソソルビドの含量を99gから95gに変更し、1重量%のナノセルロース繊維が分散された水溶液100gの代わりに、1重量%のナノセルロース結晶が分散された水溶液500gを使用したことを除いて、前記製造例I-A1と同じ方法で行って、ナノセルロース結晶が分散されたイソソルビド(固体分散体)を製造した。前記固体分散体は、固体分散体の全重量に対して、5重量%のナノセルロース結晶を含んでいた。
【0071】
製造例I-B4: 10重量%のナノセルロース結晶を含む分散体の製造
イソソルビドの含量を99gから90gに変更し、1重量%のナノセルロース繊維が分散された水溶液100gの代わりに、1重量%のナノセルロース結晶が分散された水溶液1,000gを使用したことを除いて、前記製造例I-A1と同じ方法で行って、ナノセルロース結晶が分散されたイソソルビド(固体分散体)を製造した。前記固体分散体は、固体分散体の全重量に対して、10重量%のナノセルロース結晶を含んでいた。
【0072】
<ナノセルロース繊維とナノセルロース結晶の混合物、及び無水糖アルコールを含む分散体>
製造例I-C1: ナノセルロース繊維及びナノセルロース結晶の混合物を1重量%含む分散体の製造
1重量%のナノセルロース繊維が分散された水溶液100gの代わりに、1重量%のナノセルロース繊維が分散された水溶液50g及び1重量%のナノセルロース結晶が分散された水溶液50gの混合物を使用したことを除いて、前記製造例I-A1と同じ方法で行って、ナノセルロース繊維及びナノセルロース結晶が分散されたイソソルビド(固体分散体)を製造した。前記固体分散体は、固体分散体の全重量に対して、ナノセルロース繊維とナノセルロース結晶の混合物1重量%を含んでいた。
【0073】
製造例I-C2: ナノセルロース繊維及びナノセルロース結晶の混合物を3重量%含む分散体の製造
イソソルビドの含量を99gから97gに変更し、1重量%のナノセルロース繊維が分散された水溶液100gの代わりに、1重量%のナノセルロース繊維が分散された水溶液150g及び1重量%のナノセルロース結晶が分散された水溶液150gの混合物を使用したことを除いて、前記製造例I-A1と同じ方法で行って、ナノセルロース繊維及びナノセルロース結晶が分散されたイソソルビド(固体分散体)を製造した。前記固体分散体は、固体分散体の全重量に対して、ナノセルロース繊維とナノセルロース結晶の混合物3重量%を含んでいた。
【0074】
製造例I-C3: ナノセルロース繊維及びナノセルロース結晶の混合物を5重量%含む分散体の製造
イソソルビドの含量を99gから95gに変更し、1重量%のナノセルロース繊維が分散された水溶液100gの代わりに、1重量%のナノセルロース繊維が分散された水溶液250g及び1重量%のナノセルロース結晶が分散された水溶液250gの混合物を使用したことを除いて、前記製造例I-A1と同じ方法で行って、ナノセルロース繊維及びナノセルロース結晶が分散されたイソソルビド(固体分散体)を製造した。前記固体分散体は、固体分散体の全重量に対して、ナノセルロース繊維とナノセルロース結晶の混合物5重量%を含んでいた。
【0075】
製造例I-C4: ナノセルロース繊維及びナノセルロース結晶の混合物を10重量%含む分散体の製造
イソソルビドの含量を99gから90gに変更し、1重量%のナノセルロース繊維が分散された水溶液100gの代わりに、1重量%のナノセルロース繊維が分散された水溶液500g及び1重量%のナノセルロース結晶が分散された水溶液500gの混合物を使用したことを除いて、前記製造例I-A1と同じ方法で行って、ナノセルロース繊維及びナノセルロース結晶が分散されたイソソルビド(固体分散体)を製造した。前記固体分散体は、固体分散体の全重量に対して、ナノセルロース繊維とナノセルロース結晶の混合物10重量%を含んでいた。
【0076】
[ナノセルロースを含む固体分散体を使用したポリカーボネート樹脂複合体]
<ナノセルロース繊維と無水糖アルコールを含む固体分散体を使用したポリカーボネート樹脂複合体の製造及び物性評価>
実施例I-A1: 製造例I-A1の固体分散体を使用したポリカーボネート樹脂複合体の製造
窒素ガス管及び副産物除去用トラップが備えられた減圧用真空ポンプが連結され、撹拌機、温度計及びヒータ付き5口フラスコに、製造例I-A1で製造された固体分散体100g、シクロヘキサンジメタノール29.6g及びジフェニルカーボネート190.6gを供給し、窒素雰囲気下で100℃まで加熱させた後、前記反応混合物の溶融が確認された後、酢酸マグネシウム4水和物100mgを加えて撹拌した。反応温度が160℃に達した後、1時間温度を維持しながら反応を行い、その後、真空ポンプを利用して100~120トールまでゆっくりと減圧し、副産物として生成されるフェノールを除去しながら1~2時間反応をさらに行った。その後、ゆっくりと220℃まで温度を上げ、5~10トールまで減圧し、さらに1時間反応させた。その結果、約130gのポリカーボネート樹脂複合体を得た。前記得られたポリカーボネート樹脂複合体は、透明な固体であり、数平均分子量は約30,500g/mol、PDIは1.7であった。
前記得られたポリカーボネート樹脂複合体内のナノセルロース繊維の含量を測定するために、50gの前記ポリカーボネート樹脂複合体を1Lのクロロホルムに溶解し、残留結晶成分をろ過し、これを真空オーブンで24時間乾燥させ、その重量を測定した結果0.31gであった。これにより、前記得られたポリカーボネート樹脂複合体内のナノセルロース繊維の含量は0.62重量%と計算された。
前記得られたポリカーボネート樹脂複合体を使用して、ASTM D638に従って4個の同一の引張試験用の試片を製造し、前記4個の引張試験用の試片について万能試験機(UTM)を使用して引張強度及び引張弾性率を測定した結果、平均引張強度が97MPa、平均引張弾性率は2,900MPaであった。
【0077】
実施例I-A2: 製造例I-A2の固体分散体を使用したポリカーボネート樹脂複合体の製造
製造例I-A1で製造された固体分散体100gの代わりに、製造例I-A2で製造された固体分散体100gを使用したことを除いて、実施例I-A1と同じ方法で行って、ポリカーボネート樹脂複合体約128gを得た。前記得られたポリカーボネート樹脂複合体は、透明な固体であり、数平均分子量は約30,210g/molで、PDIは1.7であった。
実施例I-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体内のナノセルロース繊維の含量を測定した結果、1.9重量%であり、実施例I-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体の平均引張強度及び平均引張弾性率を測定した結果、平均引張強度は98.5MPa、平均引張弾性率は2,923MPaであった。
【0078】
実施例I-A3: 製造例I-A3の固体分散体を使用したポリカーボネート樹脂複合体の製造
製造例I-A1で製造された固体分散体100gの代わりに、製造例I-A3で製造された固体分散体100gを使用したことを除いて、実施例I-A1と同じ方法で行って、ポリカーボネート樹脂複合体約126gを得た。前記得られたポリカーボネート樹脂複合体は、透明な固体であり、数平均分子量は約30,620g/mol、PDIは1.8であった。
実施例I-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体内のナノセルロース繊維の含量を測定した結果、3.1重量%であり、実施例I-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体の平均引張強度及び平均引張弾性率を測定した結果、平均引張強度は101.5MPa、平均引張弾性率は2,950MPaであった。
【0079】
実施例I-A4: 製造例I-A4の固体分散体を使用したポリカーボネート樹脂複合体の製造
製造例I-A1で製造された固体分散体100gの代わりに、製造例I-A4で製造された固体分散体100gを使用したことを除いて、実施例I-A1と同じ方法で行って、ポリカーボネート樹脂複合体約130gを得た。前記得られたポリカーボネート樹脂複合体は、透明な固体であり、数平均分子量は約30,840g/mol、PDIは1.7であった。
実施例I-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体内のナノセルロース繊維の含量を測定した結果、6.4重量%であり、実施例I-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体の平均引張強度及び平均引張弾性率を測定した結果、平均引張強度は105.75MPa、平均引張弾性率は2,990MPaであった。
【0080】
<ナノセルロース結晶と無水糖アルコールを含む固体分散体を使用したポリカーボネート樹脂複合体の製造及び物性評価>
実施例I-B1: 製造例I-B1の固体分散体を使用したポリカーボネート樹脂複合体の製造
製造例I-A1で製造された固体分散体100gの代わりに、製造例I-B1で製造された固体分散体100gを使用したことを除いて、実施例I-A1と同じ方法で行って、ポリカーボネート樹脂複合体約125gを得た。前記得られたポリカーボネート樹脂複合体は、透明な固体であり、数平均分子量は約30,200g/mol、PDIは1.8であった。
実施例I-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体内のナノセルロース結晶の含量を測定した結果、0.59重量%であり、実施例I-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体の平均引張強度及び平均引張弾性率を測定した結果、平均引張強度は93.5MPa、平均引張弾性率は2,700MPaであった。
【0081】
実施例I-B2: 製造例I-B2の固体分散体を使用したポリカーボネート樹脂複合体の製造
製造例I-A1で製造された固体分散体100gの代わりに、製造例I-B2で製造された固体分散体100gを使用したことを除いて、実施例I-A1と同じ方法で行って、ポリカーボネート樹脂複合体約128gを得た。前記得られたポリカーボネート樹脂複合体は、透明な固体であり、数平均分子量は約30,150g/mol、PDIは1.6であった。
実施例I-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体内のナノセルロース結晶の含量を測定した結果、1.8重量%であり、実施例I-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体の平均引張強度及び平均引張弾性率を測定した結果、平均引張強度は94.5MPa、平均引張弾性率は2,783MPaであった。
【0082】
実施例I-B3: 製造例I-B3の固体分散体を使用したポリカーボネート樹脂複合体の製造
製造例I-A1で製造された固体分散体100gの代わりに、製造例I-B3で製造された固体分散体100gを使用したことを除いて、実施例I-A1と同じ方法で行って、ポリカーボネート樹脂複合体約131gを得た。前記得られたポリカーボネート樹脂複合体は、透明な固体であり、数平均分子量は約30,500g/mol、PDIは1.6であった。
実施例I-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体内のナノセルロース結晶の含量を測定した結果、3.5重量%であり、実施例I-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体の平均引張強度及び平均引張弾性率を測定した結果、平均引張強度は96.0MPa、平均引張弾性率は2,818MPaであった。
【0083】
実施例I-B4: 製造例I-B4の固体分散体を使用したポリカーボネート樹脂複合体の製造
製造例I-A1で製造された固体分散体100gの代わりに、製造例I-B4で製造された固体分散体100gを使用したことを除いて、実施例I-A1と同じ方法で行って、ポリカーボネート樹脂複合体約125gを得た。前記得られたポリカーボネート樹脂複合体は、透明な固体であり、数平均分子量は約30,670g/mol、PDIは1.9であった。
実施例I-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体内のナノセルロース結晶の含量を測定した結果、6.2重量%であり、実施例I-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体の平均引張強度及び平均引張弾性率を測定した結果、平均引張強度は100.0MPa、平均引張弾性率は2,930MPaであった。
【0084】
<ナノセルロース繊維とナノセルロース結晶の混合物と無水糖アルコールを含む固体分散体を使用したポリカーボネート樹脂複合体の製造及び物性評価>
実施例I-C1: 製造例I-C1の固体分散体を使用したポリカーボネート樹脂複合体の製造
製造例I-A1で製造された固体分散体100gの代わりに、製造例I-C1で製造された固体分散体100gを使用したことを除いて、実施例I-A1と同じ方法で行って、ポリカーボネート樹脂複合体約128gを得た。前記得られたポリカーボネート樹脂複合体は、透明な固体であり、数平均分子量は約30,650g/mol、PDIは1.8であった。
実施例I-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体内のナノセルロース繊維及びナノセルロース結晶の合計含量を測定した結果、0.62重量%であり、実施例I-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体の平均引張強度及び平均引張弾性率を測定した結果、平均引張強度は94.5MPa、平均引張弾性率は2,850MPaであった。
【0085】
実施例I-C2: 製造例I-C2の固体分散体を使用したポリカーボネート樹脂複合体の製造
製造例I-A1で製造された固体分散体100gの代わりに、製造例I-C2で製造された固体分散体100gを使用したことを除いて、実施例I-A1と同じ方法で行って、ポリカーボネート樹脂複合体約130gを得た。前記得られたポリカーボネート樹脂複合体は、透明な固体であり、数平均分子量は約30,630g/mol、PDIは1.9であった。
実施例I-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体内のナノセルロース繊維及びナノセルロース結晶の合計含量を測定した結果、1.87重量%であり、実施例I-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体の平均引張強度及び平均引張弾性率を測定した結果、平均引張強度は96.25MPa、平均引張弾性率は2,900MPaであった。
【0086】
実施例I-C3: 製造例I-C3の固体分散体を使用したポリカーボネート樹脂複合体の製造
製造例I-A1で製造された固体分散体100gの代わりに、製造例I-C3で製造された固体分散体100gを使用したことを除いて、実施例I-A1と同じ方法で行って、ポリカーボネート樹脂複合体約130gを得た。前記得られたポリカーボネート樹脂複合体は、透明な固体であり、数平均分子量は約30,800g/mol、PDIは1.8であった。
実施例I-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体内のナノセルロース繊維及びナノセルロース結晶の合計含量を測定した結果、3.18重量%であり、実施例I-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体の平均引張強度及び平均引張弾性率を測定した結果、平均引張強度は100.5MPa、平均引張弾性率は2,958MPaであった。
【0087】
実施例I-C4: 製造例I-C4の固体分散体を使用したポリカーボネート樹脂複合体の製造
製造例I-A1で製造された固体分散体100gの代わりに、製造例I-C4で製造された固体分散体100gを使用したことを除いて、実施例I-A1と同じ方法で行って、ポリカーボネート樹脂複合体約130gを得た。前記得られたポリカーボネート樹脂複合体は、透明な固体であり、数平均分子量は約30,450g/mol、PDIは1.8であった。
実施例I-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体内のナノセルロース繊維及びナノセルロース結晶の合計含量を測定した結果、6.49重量%であり、実施例I-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体の平均引張強度及び平均引張弾性率を測定した結果、平均引張強度は101.25MPa、平均引張弾性率は2,993MPaであった。
【0088】
<ポリカーボネート樹脂複合体内のナノセルロース粒子の分散均一性の評価>
前記の実施例I-A1~I-A4、I-B1~I-B4、及びI-C1~I-C4で得られたポリカーボネート樹脂複合体のそれぞれについて、引張強度及び引張弾性率、並びにそれらの平均値と標準偏差は、4個の引張試験用試片を測定し、その結果を下記表1に示した。
【0089】
【表1】
【0090】
前記表1に示しように、本発明による実施例I-A1~I-A4、I-B1~I-B4、及びI-C1~I-C4のポリカーボネート樹脂複合体のそれぞれの引張試験用試片4個の引張強度の平均及び標準偏差を測定した結果、引張試験用試片4個の引張強度は同等であり、4個の引張試験用試片の引張強度偏差は1.12MPa以下と非常に小さく、これにより、ポリカーボネート樹脂複合体内にナノセルロース粒子が均一に分散されていることがわかる。
また、本発明による実施例I-A1~I-A4、I-B1~I-B4、及びI-C1~I-C4のポリカーボネート樹脂複合体のそれぞれの引張試験用試片4個の引張弾性率の平均及び標準偏差を測定した結果、4個の引張試験用試片の引張弾性率は同等であり、4個の引張試験用試片の引張弾性率偏差は8.30MPa以下と非常に小さく、これにより、ポリカーボネート樹脂複合体内にナノセルロース粒子が均一に分散されていることがわかる。
さらに、本発明による実施例I-A1~I-A4、I-B1~I-B4、及びI-C1~I-C4のポリカーボネート樹脂複合体のそれぞれの引張試験用試片4個の引張強度平均値が93.5MPa以上であり、引張試験用試片4個の引張弾性率平均値が2,700MPa以上であることから、機械的物性が優れていることがわかる。
【0091】
[パートII]
[ナノセルロースを含む溶融分散体を使用したポリカーボネート樹脂複合体]
<ナノセルロース繊維(NCF)と無水糖アルコールを含む溶融分散体を使用したポリカーボネート樹脂複合体の製造及び物性評価>
実施例II-A1: 0.63重量%のナノセルロース繊維が分散されたポリカーボネート樹脂複合体の製造
ロータリーエバポレータに、99gのイソソルビド(NOVASORB(登録商標)SAMYANG CORPORATION製)と1重量%の名のセルロース繊維が分散された水溶液(KB101、Asia Nanocellulose社製)100gを投入し、均一に混合した。その後、イソソルビドの融点よりも高い80℃での温度条件下で、真空下で水分を除去しながら前記混合物を溶融し、液状の溶融分散体を製造した。前記溶融分散体は、溶融分散体の全重量に対して、1重量%のナノセルロース繊維を含んでいた。
次に、窒素ガス管及び副産物除去用トラップが備えられた減圧用真空ポンプが連結され、撹拌機、温度計及びヒータ付き5口フラスコに、前記溶融分散体100g、シクロヘキサンジメタノール29.6g及びジフェニルカーボネート190.6gを供給し、窒素雰囲気下で100℃まで加熱した後、前記反応混合物の溶融を確認した後、酢酸マグネシウム4水和物100mgを加えて撹拌した。反応温度が160℃に達した後、1時間温度を維持しながら反応を行い、真空ポンプを利用して100~120トールまでゆっくりと減圧し、副産物として生成されるフェノールを除去しながら1~2時間反応をさらに行った。その後、ゆっくりと220℃まで温度を上げ、5~10トールまで減圧し、さらに1時間反応させた。その結果、140gのポリカーボネート樹脂複合体を得た。前記得られたポリカーボネート樹脂複合体は、透明な固体であり、数平均分子量は約31,000g/mol、PDIは1.6であった。
前記得られたポリカーボネート樹脂複合体内のナノセルロース繊維の含量を測定するために、前記ポリカーボネート樹脂複合体50gを1Lのクロロホルムに溶解し、残留結晶成分をろ過した後、これを真空オーブンで24時間乾燥し、その重量を測定した結果、0.316gであった。これにより、前記得られたポリカーボネート樹脂複合体内のナノセルロース繊維の含量は0.63重量%と計算された。
前記得られたポリカーボネート樹脂複合体を使用してASTM D638に従って引張試験用試片4個を製造し、万能試験機(UTM)を使用して前記4個の引張試験用試片の引張強度及び引張弾性率を測定し、その結果、平均引張強度が95.75MPa、平均引張弾性率は2,855MPaであった。
【0092】
実施例II-A2: 1.89重量%のナノセルロース繊維が分散されたポリカーボネート樹脂複合体の製造
イソソルビドの含量を99gから98gに変更し、1重量%のナノセルロース繊維が分散された水溶液の含量を100gから200gに変更したことを除いて、実施例II-A1と同じ方法で行って、溶融分散体を製造した。前記溶融分散体は、溶融分散体の全重量に対して、2重量%のナノセルロース繊維を含んでいた。次に、前記溶融分散体を使用して実施例II-A1と同じ方法で行って、ポリカーボネート樹脂複合体138gを得た。前記得られたポリカーボネート樹脂複合体は、透明な固体であり、数平均分子量は約30,890g/mol、PDIは1.4であった。
実施例II-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体内のナノセルロース繊維の含量を測定した結果、1.89重量%であり、実施例II-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体の平均引張強度及び平均引張弾性率を測定した結果、平均引張強度は98.0MPa、平均引張弾性率は2,885MPaであった。
【0093】
実施例II-A3: 3.21重量%のナノセルロース繊維が分散されたポリカーボネート樹脂複合体の製造
イソソルビドの含量を99gから95gに変更し、1重量%のナノセルロース繊維が分散された水溶液の含量を100gから500gに変更したことを除いて、実施例II-A1と同じ方法で行って、溶融分散体を製造した。前記溶融分散体は、溶融分散体の全重量に対して、5重量%のナノセルロース繊維を含んでいた。次に、前記溶融分散体を使用して実施例II-A1と同じ方法で行って、ポリカーボネート樹脂複合体132gを得た。前記得られたポリカーボネート樹脂複合体は、透明な固体であり、数平均分子量は約30,900g/mol、PDIは1.5であった。
実施例II-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体内のナノセルロース繊維の含量を測定した結果、3.21重量%であり、実施例II-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体の平均引張強度及び平均引張弾性率を測定した結果、平均引張強度は100.5MPa、平均引張弾性率は2,935MPaであった。
【0094】
実施例II-A4: 6.34重量%のナノセルロース繊維が分散されたポリカーボネート樹脂複合体の製造
イソソルビドの含量を99gから90gに変更し、1重量%のナノセルロース繊維が分散された水溶液の含量を100gから1,000gに変更したことを除いて、実施例II-A1と同じ方法で行って、溶融分散体を製造した。前記溶融分散体は、溶融分散体の全重量に対して、ナノセルロース繊維10重量%を含んでいた。次に前記溶融分散体を使用して実施例II-A1と同じ方法で行って、ポリカーボネート樹脂複合体135gを得た。前記得られたポリカーボネート樹脂複合体は、透明な固体であり、数平均分子量は約31,050g/mol、PDIは1.8であった。
実施例II-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体内のナノセルロース繊維の含量を測定した結果、6.34重量%であり、実施例II-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体の平均引張強度及び平均引張弾性率を測定した結果、平均引張強度は102.25MPa、平均引張弾性率は2,993MPaであった。
【0095】
<ナノセルロース結晶(NCC)と無水糖アルコールを含む溶融分散体を使用したポリカーボネート樹脂複合体の製造及び物性評価>
実施例II-B1: 0.61重量%のナノセルロース結晶が分散されたポリカーボネート樹脂複合体の製造
1重量%のナノセルロース繊維が分散された水溶液(KB101、Asia Nanocellulose社製)100gの代わりに、1重量%のナノセルロース結晶が分散された水溶液(CelluForce社製)100gを使用したことを除いて、実施例II-A1と同じ方法で行って溶融分散体を製造した。前記溶融分散体は、溶融分散体の全重量に対して、ナノセルロース結晶の1重量%を含んでいた。次に、前記溶融分散体を使用して実施例II-A1と同じ方法で行って、ポリカーボネート樹脂複合体135gを得た。前記得られたポリカーボネート樹脂複合体は、透明な固体であり、数平均分子量は約30,920g/mol、PDIは1.9であった。
実施例II-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体内のナノセルロース結晶の含量を測定した結果、0.61重量%であり、実施例II-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体の平均引張強度及び平均引張弾性率を測定した結果、平均引張強度は92.25MPa、平均引張弾性率は2,645MPaであった。
【0096】
実施例II-B2: 1.87重量%のナノセルロース結晶が分散されたポリカーボネート樹脂複合体の製造
イソソルビドの含量を99gから97gに変更し、1重量%のナノセルロース繊維が分散された水溶液100gの代わりに、1重量%のナノセルロース結晶が分散された水溶液300gを使用したことを除いて、実施例II-A1と同じ方法で行って溶融分散体を製造した。前記溶融分散体は、溶融分散体の全重量に対して、ナノセルロース結晶の3重量%を含んでいた。次に、前記溶融分散体を使用して実施例II-A1と同じ方法で行って、ポリカーボネート樹脂複合体130gを得た。前記得られたポリカーボネート樹脂複合体は、透明な固体であり、数平均分子量は約30,990g/mol、PDIは1.4であった。
実施例II-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体内のナノセルロース結晶の含量を測定した結果、1.87重量%であり、実施例II-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体の平均引張強度及び平均引張弾性率を測定した結果、平均引張強度は95.5MPa、平均引張弾性率は2,693MPaであった。
【0097】
実施例II-B3: 3.2重量%のナノセルロース結晶が分散されたポリカーボネート樹脂複合体の製造
イソソルビドの含量を99gから95gに変更し、1重量%のナノセルロース繊維が分散された水溶液100gの代わりに、1重量%のナノセルロース結晶が分散された水溶液500gを使用したことを除いて、実施例II-A1と同じ方法で行って溶融分散体を製造した。前記溶融分散体は、溶融分散体の全重量に対して、ナノセルロース結晶の5重量%を含んでいた。次に、前記溶融分散体を使用して実施例II-A1と同じ方法で行って、ポリカーボネート樹脂複合体135gを得た。前記得られたポリカーボネート樹脂複合体は、透明な固体であり、数平均分子量は約31,110g/mol、PDIは1.6であった。
実施例II-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体内のナノセルロース結晶の含量を測定した結果、3.2重量%であり、実施例II-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体の平均引張強度及び平均引張弾性率を測定した結果、平均引張強度は96.25MPa、平均引張弾性率は2,728MPaであった。
【0098】
実施例II-B4: 6.48重量%のナノセルロース結晶が分散されたポリカーボネート樹脂複合体の製造
イソソルビドの含量を99gから90gに変更し、1重量%のナノセルロース繊維が分散された水溶液100gの代わりに、1重量%のナノセルロース結晶が分散された水溶液1,000gを使用したことを除いて、実施例II-A1と同じ方法で行って溶融分散体を製造した。前記溶融分散体は、溶融分散体の全重量に対して、ナノセルロース結晶の10重量%を含んでいた。次に、前記溶融分散体を使用して実施例II-A1と同じ方法で行って、ポリカーボネート樹脂複合体132gを得た。前記得られたポリカーボネート樹脂複合体は、透明な固体であり、数平均分子量は約31,050g/mol、PDIは1.8であった。
実施例II-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体内のナノセルロース結晶の含量を測定した結果、6.48重量%であり、実施例II-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体の平均引張強度及び平均引張弾性率を測定した結果、平均引張強度は100.0MPa、平均引張弾性率は2,795MPaであった。
【0099】
<ナノセルロース繊維及びナノセルロース結晶の混合物と無水糖アルコールを含む溶融分散体を使用したポリカーボネート樹脂複合体の製造及び物性評価>
実施例II-C1: ナノセルロース繊維及びナノセルロース結晶の混合物を0.60重量%で分散させたポリカーボネート樹脂複合体の製造
1重量%のナノセルロース繊維が分散された水溶液100gの代わりに、1重量%のナノセルロース繊維が分散された水溶液50g及び1重量%のナノセルロース結晶が分散された水溶液50gを使用したことを除いて、実施例II-A1と同じ方法で行って溶融分散体を製造した。前記溶融分散体は、溶融分散体の全重量に対して、ナノセルロース繊維及びナノセルロース結晶の混合物の1重量%を含んでいた。次に、前記溶融分散体を使用して実施例II-A1と同じ方法で行って、ポリカーボネート樹脂複合体133gを得た。前記得られたポリカーボネート樹脂複合体は、透明な固体であり、数平均分子量は約30,980g/mol、PDIは1.9であった。
実施例II-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体内のナノセルロース繊維及びナノセルロース結晶の合計含量を測定した結果、0.60重量%であり、実施例II-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体の平均引張強度及び平均引張弾性率を測定した結果、平均引張強度は93.5MPa、平均引張弾性率は2,800MPaであった。
【0100】
実施例II-C2: ナノセルロース繊維及びナノセルロース結晶の混合物を1.92重量%で分散させたポリカーボネート樹脂複合体の製造
イソソルビドの含量を99gから97gに変更し、1重量%のナノセルロース繊維が分散された水溶液100gの代わりに、1重量%のナノセルロース繊維が分散された水溶液150g及び1重量%のナノセルロース結晶が分散された水溶液150gを使用したことを除いて、実施例II-A1と同じ方法で行って溶融分散体を製造した。前記溶融分散体は、溶融分散体の全重量に対して、ナノセルロース繊維及びナノセルロース結晶の混合物の3重量%を含んでいた。次に、前記溶融分散体を使用して実施例II-A1と同じ方法で行って、ポリカーボネート樹脂複合体136gを得た。前記得られたポリカーボネート樹脂複合体は、透明な固体であり、数平均分子量は約30,850g/mol、PDIは1.7であった。
実施例II-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体内のナノセルロース繊維及びナノセルロース結晶の合計含量を測定した結果、1.92重量%であり、実施例II-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体の平均引張強度及び平均引張弾性率を測定した結果、平均引張強度は94.75MPa、平均引張弾性率は2,853MPaであった。
【0101】
実施例II-C3: ナノセルロース繊維及びナノセルロース結晶の混合物を3.19重量%で分散させたポリカーボネート樹脂複合体の製造
イソソルビドの含量を99gから95gに変更し、1重量%のナノセルロース繊維が分散された水溶液100gの代わりに、1重量%のナノセルロース繊維が分散された水溶液250g及び1重量%のナノセルロース結晶が分散された水溶液250gを使用したことを除いて、実施例II-A1と同じ方法で行って溶融分散体を製造した。前記溶融分散体は、溶融分散体の全重量に対して、ナノセルロース繊維及びナノセルロース結晶の混合物の5重量%を含んでいた。引き続き前記溶融分散体を使用して実施例II-A1と同じ方法で行って、ポリカーボネート樹脂複合体135gを得た。前記得られたポリカーボネート樹脂複合体は、透明な固体であり、数平均分子量は約30,870g/mol、PDIは1.6であった。
実施例II-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体内のナノセルロース繊維及びナノセルロース結晶の合計含量を測定した結果、3.19重量%であり、実施例II-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体の平均引張強度及び平均引張弾性率を測定した結果、平均引張強度は96.75MPa、平均引張弾性率は2,898MPaであった。
【0102】
実施例II-C4: ナノセルロース繊維及びナノセルロース結晶の混合物を6.29重量%で分散させたポリカーボネート樹脂複合体の製造
イソソルビドの含量を99gから90gに変更し、1重量%のナノセルロース繊維が分散された水溶液100gの代わりに、1重量%のナノセルロース繊維が分散された水溶液500g及び1重量%のナノセルロース結晶が分散された水溶液500gを使用したことを除いて、実施例II-A1と同じ方法で行って溶融分散体を製造した。前記溶融分散体は、溶融分散体の全重量に対して、ナノセルロース繊維及びナノセルロース結晶の混合物の10重量%を含んでいた。次に、前記溶融分散体を使用して実施例II-A1と同じ方法で行って、ポリカーボネート樹脂複合体138gを得た。前記得られたポリカーボネート樹脂複合体は、透明な固体であり、数平均分子量は約30,660g/mol、PDIは1.7であった。
実施例II-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体内のナノセルロース繊維及びナノセルロース結晶の合計含量を測定した結果、6.29重量%であり、実施例II-A1と同じ方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体の平均引張強度及び平均引張弾性率を測定した結果、平均引張強度は100.75MPa、平均引張弾性率は2,935MPaであった。
【0103】
<ポリカーボネート樹脂複合体内のナノセルロース粒子の分散均一性の評価>
前記実施例II-A1~II-A4、II-B1~II-B4、及びII-C1~II-C4で得られたポリカーボネート樹脂複合体のそれぞれの4個の引張試験用試片に対する引張強度と引張弾性率、及びそれらの平均値と標準偏差を測定して、下記表2に示した。
【0104】
【表2】
【0105】
前記表2に示すように、本発明による実施例II-A1~II-A4、II-B1~II-B4、及びII-C1~II-C4のポリカーボネート樹脂複合体のそれぞれの引張試験用試片4個の引張強度の平均及び標準偏差を測定した結果、引張試験用試片4個の引張強度の標準偏差は1.12MPa以下と非常に小さく、4個の引張試験用試片の引張強度は同等であり、これにより、ポリカーボネート樹脂複合体内にナノセルロース粒子が均一に分散されていることがわかる。
また、本発明による実施例II-A1~II-A4、II-B1~II-B4、及びII-C1~II-C4のポリカーボネート樹脂複合体のそれぞれの引張試験用試片4個の引張弾性率の平均及び標準偏差を測定した結果、4個の引張弾性率の標準偏差は8.31MPa以下と非常に小さく、4個の引張試験用試片の引張弾性率は同等であり、これにより、ポリカーボネート樹脂複合体内にナノセルロース粒子が均一に分散されていることがわかる。
さらに、本発明による実施例II-A1~II-A4、II-B1~II-B4、及びII-C1~II-C4のポリカーボネート樹脂複合体のそれぞれの引張試験用試片4個の引張強度平均値は92.25MPa以上であり、引張試験用試片4個の引張弾性率平均値が2,645MPa以上であることから、機械的物性が優れていることがわかる。
【0106】
[比較例]
比較例A1: ナノセルロース粒子が分散されていない無水糖アルコールを使用したポリカーボネート樹脂の製造及び物性評価
実施例で製造された固体分散体又は溶融分散体100gの代わりに、純粋なイソソルビド(NOVASORB(登録商標)、SAMYANG CORPORATION製)100gを使用したことを除いて、実施例と同様の方法で行って、ポリカーボネート樹脂約128gを得た。前記得られたポリカーボネート樹脂は透明な固体であり、数平均分子量は約30,100g/mol、PDIは1.6であった。
前記得られたポリカーボネート樹脂はナノセルロース粒子を含有せず、実施例と同様の方法で前記得られたポリカーボネート樹脂の平均引張強度及び平均引張弾性率を測定した結果、平均引張強度は65.0MPa、平均引張弾性率は2,000MPaであった。
ナノセルロース粒子を含有しない比較例A1のポリカーボネート樹脂は、本発明による実施例のポリカーボネート樹脂複合体と比較して、平均引張強度と平均引張弾性率の両方の値が非常に低く、機械的物性が低いことを確認することができた。
【0107】
比較例B1: 1重量%ナノセルロース繊維粉末を直接投入した液状分散体を使用したポリカーボネート樹脂複合体の製造及び物性評価
70℃のオーブンで、99gのイソソルビド(NOVASORB(登録商標)、SAMYANG CORPORATION製)を加熱して、溶融したイソソルビド99gを得た。前記99gの溶融イソソルビドに、粉末形態のナノセルロース繊維1gを直接投入し、撹拌して、溶融したイソソルビド内にナノセルロース繊維を分散させた。次に、超音波発生器を使用して、同温度でさらに1時間分散させ、ナノセルロース繊維が分散されたイソソルビド(液状分散体)を製造した。前記液状分散体は、液状分散体の全重量に対して、1重量%のナノセルロース繊維を含んでいた。
その後、実施例で製造された固体分散体又は溶融分散体100gの代わりに、前記得られた液状分散体100gを使用したことを除いて、実施例と同様の方法で行って、約132gのポリカーボネート樹脂複合体を得た。前記得られたポリカーボネート樹脂複合体は、透明な固体であり、数平均分子量は約30,250g/mol、PDIは1.7であった。
実施例と同様の方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体内のナノセルロース繊維の含量を測定した結果、0.52重量%であり、実施例と同様の方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体の平均引張強度及び平均引張弾性率を測定した結果、平均引張強度は73.3MPa、平均引張弾性率は2,450MPaであった。
比較例B1のポリカーボネート樹脂複合体は、本発明による実施例のポリカーボネート樹脂複合体と比較して、平均引張強度と平均引張弾性率の両方の値が低く、機械的物性が比較的劣っていることを確認することができた。
【0108】
比較例B2: 10重量%のナノセルロース繊維粉末を直接投入した液状分散体を使用したポリカーボネート樹脂複合体の製造及び物性評価
イソソルビドの含量を99gから90gに変更し、粉末形態のナノセルロース繊維の含量を1gから10gに変更したことを除いて、前記比較例B1と同じ方法で行ってナノセルロース繊維が分散されたイソソルビド(液状分散体)を得た。前記液状分散体は液状分散体の全重量に対して、10重量%のナノセルロース繊維を含んでいた。
次に、実施例で製造された固体分散体又は溶融分散体100gの代わりに、前記得られた液状分散体100gを使用したことを除いて、実施例と同様の方法で行って、ポリカーボネート樹脂複合体約129gを得た。前記得られたポリカーボネート樹脂複合体は、透明な固体であり、数平均分子量は約30,150g/mol、PDIは1.8であった。
実施例と同様の方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体内のナノセルロース繊維の含量を測定した結果、3.0重量%であり、実施例と同様の方法で前記得られたポリカーボネート樹脂複合体の平均引張強度及び平均引張弾性率を測定した結果、平均引張強度は80.0MPa、平均引張弾性率は2,500MPaであった。
比較例B2のポリカーボネート樹脂複合体は、本発明による実施例のポリカーボネート樹脂複合体と比較して、平均引張強度と平均引張弾性率の両方の値が低く、機械的物性が比較的劣っていることを確認することができた。
【0109】
<ポリカーボネート樹脂複合体内のナノセルロース粒子の分散均一性の評価>
前記比較例B1及びB2で得られたポリカーボネート樹脂複合体のそれぞれの4個の引張試験用試片に対する引張強度と引張弾性率、及びそれらの平均値と標準偏差を測定して、下記表3に示した。
【0110】
【表3】
【0111】
前記表3に示すように、本発明に従わない比較例B1及びB2の場合、ナノセルロース粒子は、ポリカーボネート樹脂複合体内に均一に分散されないため、測定される引張試験用試片に従って引張強度及び引張弾性率の大きな偏差を示した。
具体的に、比較例B1及びB2のポリカーボネート樹脂複合体のそれぞれの引張試験用試片4個の引張強度の平均及び標準偏差を測定した結果、引張試験用試片4個の引張強度の標準偏差は3.27MPa~7.78MPa範囲で非常に大きく、これは、ポリカーボネート樹脂複合体内にナノセルロース粒子が不均一に分散されていることを示した。
また、具体的に、比較例B1及びB2のポリカーボネート樹脂複合体のそれぞれの引張試験用試片4個の引張弾性率の平均及び標準偏差を測定した結果、引張試験用試片4個の引張弾性率の標準偏差が224MPa~403MPaの範囲で非常に大きく、これは、ポリカーボネート樹脂複合体内にナノセルロース粒子が不均一に分散されていることを示した。
【0112】
前記からわかるように、本発明による実施例のポリカーボネート樹脂複合体の場合、ナノセルロース粒子は、前記複合体内に均一に分散されているため、引張強度及び引張弾性率が高く、均一であった。しかし、本発明に従わない比較例B1及びB2のポリカーボネート樹脂複合体の場合、ナノセルロース粒子が前記複合体内に均一に分散しないため、引張強度及び引張弾性率が本発明による実施例のポリカーボネート樹脂複合体と比較して、引張強度及び引張弾性率は比較的低く、均一でない物性を示した。