(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】イミダゾピリジンの芳香族アミン類化合物及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20241120BHJP
C07D 519/00 20060101ALI20241120BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
C07D471/04 108K
C07D471/04 CSP
C07D519/00 311
C09K11/06 690
(21)【出願番号】P 2022529692
(86)(22)【出願日】2020-09-19
(86)【国際出願番号】 CN2020116333
(87)【国際公開番号】W WO2021114801
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】201911268938.0
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515177907
【氏名又は名称】広東阿格蕾雅光電材料有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】陳 少福
(72)【発明者】
【氏名】▲焉▼ 亮亮
(72)【発明者】
【氏名】戴 雷
(72)【発明者】
【氏名】蔡 麗菲
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-254681(JP,A)
【文献】特開2009-155323(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0157084(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0001508(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0125004(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0057018(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第108358932(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102070632(CN,A)
【文献】REGISTRY(STN)[online],2003年,CAS 登録番号:532967-01-4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
C09K 11/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)で表される
イミダゾピリジンの芳香族アミン類化合物。
(式中、R
1は、
置換もしくは無置換のC6~C30のアリーレン基、又は置換もしくは無置換のC2~C28のヘテロアリーレンであり、
R
2は、
置換もしくは無置換のC6~C30のアリール基、又は置換もしくは無置換のC1~C30のヘテロアリール基であり、
X
1、X
2、X
3及びX
4は、独立にCR
0を表し、R
0は、独立に水素、重水素、ハロゲン元素、C1~C8のアルキル基、C1~C8のヘテロアルキル基、アラルキル基、アミノ基、シリル基、置換もしくは無置換のC6~C60のアリール基、置換もしくは無置換のC1~C60のヘテロアリール基、ニトリル基及びイソニトリル基のうちから選択され、
Ar
1は、置換もしくは無置換のC6~C30のアリール基であり、Ar
2は、
置換もしくは無置換のC6~C30のヘテロアリール基、又は置換もしくは無置換のC6~C30の芳香族アミン基であり、
ヘテロアルキル基又はヘテロアリール基のうちの1個又は複数個の炭素原子は、O、S、N及びSiのうちから選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子により置換され、前記置換もしくは無置換のうちの置換は、重水素、ハロゲン元素、C1~C8のアルキル基、フェニル基、ナフチル基又はビフェニル基による置換である。)
【請求項2】
R
1は、C1~C8のアルキル基による置換もしくは無置換のC6~C20のアリーレン基、又はC1~C8のアルキル基による置換もしくは無置換のC2~C18のヘテロアリーレン基であり、
R
2は、
C1~C8のアルキル基による置換もしくは無置換のC6~C20のアリール基、又はC1~C8のアルキル基による置換もしくは無置換のC1~C20のヘテロアリール基であり、
Ar
1は、置換もしくは無置換のC6~C20のアリール基であり、
Ar
2は、置換もしくは無置換のC6~C20のヘテロアリール基、又は置換もしくは無置換のC6~C20の芳香族アミン基であり、
ヘテロアルキル基又はヘテロアリール基のうちの1個又は複数個の炭素原子は、O、S及びNから選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子により置換され、
前記置換もしくは無置換のうちの置換は、重水素、C1~C8のアルキル基、フェニル基、ナフチル基又はビフェニル基による置換である、
ことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R
1は、C1~C4のアルキル基による置換もしくは無置換のC6~C10のアリーレン基、
又はC1~C4のアルキル基による置換もしくは無置換のC2~C8のヘテロアリーレン基であり、
Ar
1
は、C1~C4のアルキル基による置換もしくは無置換のC6~C10のアリール基であり、
R
2は、C1~C4のアルキル基による置換もしくは無置換のC6~C10のアリール基、
又はC1~C4のアルキル基による置換もしくは無置換のC1~C8のヘテロアリール基であり、
Ar
2は、置換もしくは無置換のC6~C20のヘテロアリール基、
又は置換もしくは無置換のC6~C20の芳香族アミン基であり、
ヘテロアルキル基又はヘテロアリール基のうちの1個又は複数個の炭素原子は、O、S及びNのうちから選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子により置換され、前記置換もしくは無置換のうちの置換は、重水素、C1~C4のアルキル基、フェニル基、ナフチル基又はビフェニル基による置換である、
ことを特徴とする請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Ar
2は、下記構造式(III)
で表される請求項1に記載の化合物。
(式中、R
1は、C1~C8のアルキル基による置換もしくは無置換のC6~C30のアリーレン基、
又はC1~C8のアルキル基による置換もしくは無置換のC2~C28のヘテロアリーレン基であり、
R
2は、C1~C8のアルキル基による置換もしくは無置換のC6~C30のアリール基、
又はC1~C8のアルキル基による置換もしくは無置換のC1~C30のヘテロアリール基である。)
【請求項5】
式(IV)で表される
イミダゾピリジンの芳香族アミン類化合物。
(式中、 X
1、X
2、X
3及びX
4は、独立にCR
0を表し、R
0は、独立に水素、重水素、ハロゲン元素、C1~C8のアルキル基、C1~C8のヘテロアルキル基、アラルキル基、アミノ基、シリル基、置換もしくは無置換のC6~C60のアリール基、置換もしくは無置換のC1~C60のヘテロアリール基、ニトリル基及びイソニトリル基のうちから選択され、
R
1は、C1~C8のアルキル基による置換もしくは無置換のC6~C30のアリーレン基、
又はC1~C8のアルキル基による置換もしくは無置換のC2~C28のヘテロアリーレン基であり、
R
2は、水素、重水素、ハロゲン元素、C1~C8のアルキル基、C1~C8のヘテロアルキル基、C3~C8のシクロアルキル基、C1~C8のアルキル基による置換もしくは無置換のC6~C30のアリール基、
又はC1~C8のアルキル基による置換もしくは無置換のC1~C30のヘテロアリール基であり、
Ar
1は、置換もしくは無置換のC6~C30のアリール基、置換もしくは無置換のC6~C30のヘテロアリール基、又は置換もしくは無置換の単環又は多環のC3~C30の脂肪族環又は芳香族環であり、
Aは、置換もしくは無置換のC6~C30のアリーレン基、又は置換もしくは無置換のC6~C30のヘテロアリーレンであり、
ヘテロアルキル基又はヘテロアリール基のうちの1個又は複数個の炭素原子は、O、S、N及びSiのうちから選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子により置換され、
前記置換もしくは無置換のうちの置換は、重水素、ハロゲン元素、C1~C8のアルキル基、フェニル基、ナフチル基又はビフェニル基による置換である。)
【請求項6】
R
1は、C1~C8のアルキル基による置換もしくは無置換のC6~C20のアリーレン基、
又はC1~C8のアルキル基による置換もしくは無置換のC2~C18のヘテロアリーレン基であり、
R
2は、C1~C8のアルキル基、C1~C8のアルキル基による置換もしくは無置換のC6~C20のアリール基、C1~C8のアルキル基による置換もしくは無置換のC1~C20のヘテロアリール基であり、
Ar
1は、置換もしくは無置換のC6~C20のアリール基、置換もしくは無置換のC6~C20のヘテロアリール基、又は置換もしくは無置換の単環又は多環のC3~C20の脂肪族環又は芳香族環であり、
Aは、置換もしくは無置換のC6~C20のアリーレン基、又は置換もしくは無置換のC6~C20のヘテロアリーレンであり、ヘテロアルキル基又はヘテロアリール基のうちの1個又は複数個の炭素原子は、O、S及びNのうちから選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子により置換され、前記置換もしくは無置換のうちの置換は、重水素、C1~C8のアルキル基、フェニル基、ナフチル基又はビフェニル基による置換である、
ことを特徴とする請求項
5に記載の化合物。
【請求項7】
X
1、X
2、X
3及びX
4は、独立にCR
0を表し、R
0は、独立に水素、及びC1~C8のアルキル基のうちから選ばれる請求項1~6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
下記のいずれか1つの構造
で表される請求項1
又は5に記載の化合物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の化合物のOLED素子の光取出層材料としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス材料分野に関し、特にイミダゾピリジンの芳香族アミン類化合物及びその有機エレクトロルミネッセンス素子への使用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、次世代の表示技術としての有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)は、表示及び照明技術においてますます注目され、利用可能性が非常に広い。しかし、市場の応用要求と比べて、OLED素子の発光効率、駆動電圧、使用寿命などの性能について、強化及び改進し続ける必要がある。
【0003】
一般的に、OLED素子の基本構造は、金属電極間に各種の異なる機能を持つ有機機能材料薄膜をサンドイッチの構造となるように介在させ、電流の駆動により、陰極、陽極にそれぞれ正孔及び電子を注入し、正孔及び電子が一定距離移動した後、発光層において複合し、光又は熱の形で放出することにより、OLEDの発光を発生する。しかしながら、有機機能材料は、有機エレクトロルミネッセンス素子の中核組成部分であり、材料の熱安定性、光化学的安定性、電気化学的安定性、量子収率、成膜安定性、結晶性、色飽和度などは、いずれも素子性能に影響を及ぼす主な要素である。
【0004】
一方、如何にOLED素子の内部と外部量子効率間の巨大な差を縮小するか、如何に素子における全放射効果を減少し、光結合取出比率を向上させるかは、広く注目されている。従来の光取出層の材料の屈折率がいずれも低く、特に赤外波長領域において、通常、屈折率が1.85未満であり、1.90超えのものが極少なく、2.0超えのものがさらに少ない。また、従来の光取出材料は、赤緑青光波長領域における屈折率の差が大きいため、3種の色の光の最適な厚さが大きく相違し、光取出材料の性能を十分に表すことができない。トップエミッション素子にとって、光取出層材料の屈折率が大きいほど、相応する外部量子効率が高くなり、素子の発光効率が高くなる。従って、高屈折率の光取出層材料の開発が特に重要である。CN103828485及びTW201506128には、ポリビフェニレンジアミンを中核とする光取出層材料が開示されているが、屈折率がまだ低く、特に赤色光の点でさらに向上する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
上記分野における欠陥に対して、本発明は、イミダゾピリジンの芳香族アミン類化合物を提供し、このような化合物は、昇華温度が低く、熱安定性が良く、屈折率が高く、可視光領域における屈折率の差が小さいなどの利点を有し、有機発光素子に利用可能である。
【0006】
式(I)で示される構造式を有するイミダゾピリジンの芳香族アミン類化合物。
[式中、nは1又は2である。
X
1、X
2、X
3、X
4は、独立にCR
0又はNを表し、R
0は、独立に水素、重水素、ハロゲン元素、C1~C8のアルキル基、C1~C8のヘテロアルキル基、アラルキル基、アミノ基、シリル基、置換もしくは無置換のC6~C60のアリール基、置換もしくは無置換のC1~C60のヘテロアリール基、ニトリル基、イソニトリル基から選択され、かつ、隣接するR
0は結合して縮合環を形成することができる。
R
1は、単結合、C1~C30のアルキレン基、C1~C30のヘテロアルキレン基、C3~C30のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のC6~C30のアリーレン基、置換もしくは無置換のC2~C28のヘテロアリーレンである。
R
2は、独立に水素、重水素、ハロゲン元素、C1~C30のアルキル基、C1~C30のヘテロアルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C1~C30のアルコキシ基、C6~C60のアリールオキシ基、アミノ基、シリル基、ニトリル基、イソニトリル基、ホスフィノ基、置換もしくは無置換のC6~C60のアリール基、置換もしくは無置換のC1~C60のヘテロアリール基から選ばれる。
Ar
1は、置換もしくは無置換のC6~C60のアリール基、置換もしくは無置換のC6~C60のヘテロアリール基、置換もしくは無置換のC3~C60のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のC6~C60の芳香族アミン基から選ばれる。
Bは、置換もしくは無置換のC6~C60のアリール基又はアリーレン基、置換もしくは無置換のC6~C60のヘテロアリール基又はヘテロアリーレン基、置換もしくは無置換のC3~C60のシクロアルキル基又はシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のC6~C60の芳香族アミン基又はアリールアミニレン基であり、
ヘテロアルキル基又はヘテロアリール基のうちの1個又は複数個の炭素原子は、O、S、N、Se、Si及びGeのうちから選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子により置換され、前記置換は、重水素、ハロゲン元素、C1~C30のアルキル基、フェニル基、ナフチル基又はビフェニル基による置換である。)
【0007】
その構造式は式IIで示される。
[R
1は、単結合、C1~C10のアルキレン基、C1~C10のヘテロアルキレン基、C3~C10のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のC6~C30のアリーレン基、置換もしくは無置換のC2~C28のヘテロアリーレンである。
R
2は、独立に水素、重水素、ハロゲン元素、C1~C10のアルキル基、C1~C10のヘテロアルキル基、C1~C10のアルコキシ基、C3~C30のシクロアルキル基、C6~C30のアリールオキシ基、アミノ基、シリル基、ニトリル基、イソニトリル基、ホスフィノ基、置換もしくは無置換のC6~C30のアリール基、置換もしくは無置換のC1~C30のヘテロアリール基から選ばれる。
Ar
1、Ar
2は、置換もしくは無置換のC6~C30のアリール基、置換もしくは無置換のC6~C30のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の単環又は多環のC3~C30の脂肪族環又は芳香族環、置換もしくは無置換のC6~C30の芳香族アミン基である。
ヘテロアルキル基又はヘテロアリール基のうちの1個又は複数個の炭素原子は、O、S、N、Siから選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子により置換され、前記置換は、重水素、ハロゲン元素、C1~C8のアルキル基、フェニル基、ナフチル基又はビフェニル基による置換である。]
【0008】
好ましくは、R1は、C1~C8のアルキル基による置換もしくは無置換のC6~C20のアリーレン基、C1~C8のアルキル基による置換もしくは無置換のC2~C18のヘテロアリーレンであり、R2は、C1~C8のアルキル基、C1~C8のアルキル基による置換もしくは無置換のC6~C20のアリール基、C1~C8のアルキル基による置換もしくは無置換のC1~C20のヘテロアリール基であり、Ar1、Ar2は、置換もしくは無置換のC6~C20のアリール基、置換もしくは無置換のC6~C20のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の単環又は多環のC3~C20の脂肪族環又は芳香族環、置換もしくは無置換のC6~C20の芳香族アミン基であり、ヘテロアルキル基又はヘテロアリール基のうちの1個又は複数個の炭素原子は、O、S、Nから選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子により置換され、前記置換は、重水素、C1~C8のアルキル基、フェニル基、ナフチル基又はビフェニル基による置換である。
【0009】
更好ましくは、R1は、C1~C4のアルキル基による置換もしくは無置換のC6~C10のアリーレン基、C1~C4のアルキル基による置換もしくは無置換のC2~C8のヘテロアリーレンであり、Ar1、R2は、C1~C4のアルキル基による置換もしくは無置換のC6~C10のアリール基、C1~C4のアルキル基による置換もしくは無置換のC1~C8のヘテロアリール基であり、Ar2は、置換もしくは無置換のC6~C20のアリール基、置換もしくは無置換のC6~C20のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の単環又は多環のC3~C20の脂肪族環又は芳香族環、置換もしくは無置換のC6~C20の芳香族アミン基であり、ヘテロアルキル基又はヘテロアリール基のうちの1個又は複数個の炭素原子は、O、S、Nから選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子により置換され、前記置換は、重水素、C1~C4のアルキル基、フェニル基、ナフチル基又はビフェニル基による置換である。
【0010】
好ましい化合物として、Ar
1又はAr
2の少なくとも1つは、下記構造式(III)を有する。
[式中、R
1は、単結合、C1~C8のアルキレン基、C1~C8のヘテロアルキレン基、C3~C8シクロアルキレン基、C1~C8のアルキル基
による置換もしくは無置換のC6~C30のアリーレン基、C1~C8のアルキル基
による置換もしくは無置換のC2~C28のヘテロアリーレンである。R
2は、水素、重水素、ハロゲン元素、C1~C8のアルキル基、C1~C8のヘテロアルキル基、C3~C8のシクロアルキル基、C1~C8のアルキル基
による置換もしくは無置換のC6~C30のアリール基、C1~C8のアルキル基
による置換もしくは無置換のC1~C30のヘテロアリール基である。]
【0011】
好ましい化合物として、下記の式(IV)の構造を有する。
[式中、R
1は、単結合、C1~C8のアルキレン基、C1~C8のヘテロアルキレン基、C3~C8シクロアルキレン基、C1~C8のアルキル基
による置換もしくは無置換のC6~C30のアリーレン基、C1~C8のアルキル基
による置換もしくは無置換のC2~C28のヘテロアリーレンである。R
2は、水素、重水素、ハロゲン元素、C1~C8のアルキル基、C1~C8のヘテロアルキル基、C3~C8のシクロアルキル基、C1~C8のアルキル基
による置換もしくは無置換のC6~C30のアリール基、C1~C8のアルキル基
による置換もしくは無置換のC1~C30のヘテロアリール基である。Ar
1は、置換もしくは無置換のC6~C30のアリール基、置換もしくは無置換のC6~C30のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の単環又は多環のC3~C30の脂肪族環又は芳香族環である。Aは、置換もしくは無置換のC6~C30のアリーレン基、置換もしくは無置換のC6~C30のヘテロアリーレンである。ヘテロアルキル基又はヘテロアリール基のうちの1個又は複数個の炭素原子は、O、S、N、Siから選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子により置換され、前記置換は、重水素、ハロゲン元素、C1~C8のアルキル基、フェニル基、ナフチル基又はビフェニル基による置換である。]
【0012】
好ましくは、R1は、C1~C8のアルキル基による置換もしくは無置換のC6~C20のアリーレン基、C1~C8のアルキル基による置換もしくは無置換のC2~C18のヘテロアリーレンであり、R2は、C1~C8のアルキル基、C1~C8のアルキル基による置換もしくは無置換のC6~C20のアリール基、C1~C8のアルキル基による置換もしくは無置換のC1~C20のヘテロアリール基であり、Ar1は、置換もしくは無置換のC6~C20のアリール基、置換もしくは無置換のC6~C20のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の単環又は多環のC3~C20の脂肪族環又は芳香族環であり、Aは、置換もしくは無置換のC6~C20のアリーレン基、置換もしくは無置換のC6~C20のヘテロアリーレンであり、ヘテロアルキル基又はヘテロアリール基のうちの1個又は複数個の炭素原子は、O、S、Nから選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子により置換され、前記置換は、重水素、C1~C8のアルキル基、フェニル基、ナフチル基又はビフェニル基による置換である。
【0013】
好ましくは、X1、X2、X3、X4は、独立にCR0を表し、R0は、独立に水素、C1~C8のアルキル基から選ばれる。
【0014】
【0015】
【0016】
前記使用は、化合物の、OLED素子の光取出層材料としての使用である。
【0017】
本発明のイミダゾピリジンの芳香族アミン類化合物材料は、昇華温度が低く、熱安定性が良く、発光効率が高く、屈折率が高く、可視光領域における屈折率の差が小さいなどの利点を有し、有機発光素子に利用可能である。光取出層材料として、当該素子は、発光効率が高く、長時間熱安定性が良いという利点を有し、AMOLED産業に利用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(合成及び素子の実施)
下記実施例は、技術発明への理解に寄与するものに過ぎず、本発明を具体的に制限するものと見なされるべきではない。
【0019】
本発明における化合物の合成に係る原料及び溶媒などは、いずれもAlfa、Acros等、当業者によく知られているサプライヤーから購入される。
【0020】
実施例1:
(1)化合物A1の合成:
化合物03の合成:1つの2Lの三つ口フラスコに、化合物01(80g、256.4mmol、1.0eq)と、化合物02(71.64g、769.2mmol、3.0eq)と、t-BuONa(49.2g、512.8mmol、2.0eq)と、Pd
2(dba)
3(2.35g、2.56mmol、0.01eq)と、X-phos(2.44g、5.13mmol、0.02eq)とを順次に添加し、分子篩で乾燥したトルエン(800ml)をフラスコに入れて、真空、窒素ガスで3回置換し、油浴で約108℃に加熱し、温度を維持しながら2h撹拌還流し、サンプリングして01原料を反応し切る。反応液を80℃に降温し、メタノール(800ml)を滴下して1h撹拌し、室温まで降温した後、吸引濾過し、得られた固体をTHF(900ml)及びn-ヘキサン(600ml)に入れて2h加熱してパルプ化し、吸引濾過し、乾燥して71.5gの類白色固体を得、収率が82.8%であった。質量スペクトル:337.4(M+H)
【0021】
化合物06の合成:1つの2L一つ口フラスコに、化合物04(76g、214.6mmol、1.0eq)と、化合物05(50.5g、536.6mmol、2.5q)と、NaHCO3(27.05g、322mmol、1.5eq)と、イソプロパノール(700ml)とを順次に添加し、油浴で約80℃に加熱し、温度を維持しながら7h撹拌還流し、サンプリングして原料を反応し切る。降温し、脱イオン水を滴下し、約2h撹拌し、吸引濾過した。固体を酢酸エチルでパルプ化し、吸引濾過して乾燥した。54.5gの白色固体化合物06を得、収率が72.7%であった。質量スペクトル:349.2(M+H)
【0022】
化合物A1の合成:1つの2Lの三つ口フラスコに、化合物06(45.7、130.8mmol、2.2eq)と、化合物03(20g、59.4mmol、1eq)と、t-BuONa(17.1g、178.3mmol、3.0eq)と、Pd2(dba)3(1.09g、1.19mmol、0.02eq)と、X-phos(1.13g、2.38mmol、0.04eq)とを順次に添加し、分子篩で乾燥したトルエン(600ml)をフラスコに投入し、真空、窒素ガスで3回置換し、油浴で約108℃に加熱し、温度を維持しながら16h撹拌還流し、サンプリングして06原料を反応し切る。反応液を80℃に降温し、n-ヘキサン(800ml)を滴下して1h撹拌し、室温まで降温した後に吸引濾過し、得られた固体をジクロロメタン(1.6L)に入れて完全に溶解させ、脱イオン水で4回洗浄し(500ml×4)、分液後に有機相をシリカゲルでろ過し、少量のジクロロメタンでシリカゲルをリンスし、有機相を濃縮して固体を得、テトラヒドロフラン/メタノール(250ml/300ml)で2回再結晶させ、乾燥して32gの淡黄色固体を得、収率が61.6%であった。得られた合成品を昇華精製して21.2グラムの淡黄色固体化合物A1を得、収率が66.2%であった。質量スペクトル:874.1(M+H)。
1HNMR (400MHz,CDCl3) δ8.01(d,J=6.8 Hz,2H),7.72(d,J =8.0Hz,3H),7.64(d,J = 9.0Hz,2H),7.51(d,J = 8.3Hz,4H),7.40-7.13 (m,23H),7.10(d,J = 7.2 Hz,2H),6.74(d,J=6.8Hz,2H)。
【0023】
(2)化合物A16の合成:
化合物08の合成:対応する材料を選択し、化合物03の合成方式及び処理方法を参照し、対応する原料を変更すればよい。質量スペクトル:412.5(M+H)
【0024】
化合物A16の合成:対応する材料を選択し、化合物A1を合成し、昇華して黄色固体化合物A16を得た。質量スペクトル:949.1(M+H)。1H NMR (400MHz,CDCl3)δ8.48(d,2H),7.73 (dd,4H),7.58-7.44(m,12H),7.37(m,8H),7.33-7.17(m,14H),7.08(d,4H),7.00(d,2H),6.86(d,2H)。
【0025】
(3)化合物A17の合成:
化合物10の合成:対応する材料を選択し、化合物03の合成方式及び処理方法を参照し、対応する原料を変更すればよい。質量スペクトル:377.5(M+H)
【0026】
化合物A17の合成:対応する材料を選択し、化合物A1を合成し、昇華して黄色固体化合物A17を得た。質量スペクトル:913.1(M+H)。1HNMR (400MHz,CDCl3)δ8.48(d,2H),7.86(d,2H),7.73(dd,4H),7.49(dd,J=14.4,9.4 Hz,10H),7.37(m,4H),7.25(dd,J =28.1,8.1Hz,12H),7.08(m,4H),7.00 (d,2H),6.86(d,2H),1.69(s,6H)。
【0027】
(4)化合物A22の合成:
化合物12の合成:対応する材料を選択し、化合物06の合成方式及び処理方法を参照し、対応する原料を変更すればよい。質量スペクトル:349.03(M+H)
【0028】
化合物A22の合成:対応する材料を選択し、化合物A1を合成し、昇華して黄色固体化合物A22を得た。質量スペクトル:873.1(M+H)。1HNMR (400MHz,CDCl3)δ8.48 (d,2H),7.73(dd,4H),7.60-7.42(m,12H),7.37(m,8H),7.33-7.16 (m,10H),7.04 (d,J = 40.0Hz,6H),6.86(d,2H).
【0029】
【0030】
化合物14の合成:対応する材料を選択し、化合物06の合成方式及び処理方法を参照し、対応する原料を変更すればよい。質量スペクトル:397.30(M+H)。
【0031】
化合物15の合成:対応する材料を選択し、化合物03の合成方式及び処理方法を参照し、対応する原料を変更すればよい。質量スペクトル:361.4(M+H)。
【0032】
化合物17の合成:1つの2Lの三つ口フラスコに、化合物15(45g、124.5mmol、1.0eq)と、化合物16(36.98g、130.7mmol、1.05eq)と、CuI(2.37g、12.45mmol、2eq)と、1,10-フェナントロリン(4.49g、24.9mmol、0.2eq)と、K2CO3(34.41g、2.49mmol、0.04eq)と、DMF(450ml)と、を順次に添加し、真空、窒素ガスで3回置換し、油浴で約120℃に加熱し、温度を維持しながら8h撹拌し、サンプリングして15原料を反応し切る。反応液を40℃に降温し、脱イオン水(800ml)を滴下して1h撹拌し、室温まで降温した後にろ過し、得られた固体をトルエン(400ml)に入れて完全に溶解させ、脱イオン水で洗浄し(100ml×3)、分液後に有機相をシリカゲルでろ過し、少量のトルエンでシリカゲルをリンスし、有機相を250ml残るとなるまで濃縮し、さらにメタノール(300ml)を滴下して結晶析出を行い、ろ過、乾燥して50.34g米白色固体化合物17を得、収率が78.3%であった。質量スペクトル:516.4(M+H)
【0033】
化合物18の合成:1つの1Lの一つ口フラスコに、化合物17(32.5g、62.9mmol、1.0eq)と、ビス(ピナコラト)ジボロン(19.18g、75.52mmol、1.2eq)と、Pd(dppf)Cl2(0.92g、1.26mmol、0.02eq)と、酢酸カリウム(12.35g、125.8mmol、2eq)と、ジオキサン(350ml)を順次に添加し、油浴で約100℃に加熱し、温度を維持しながら6h撹拌し、サンプリングして17原料を反応し切る。反応液を40℃に降温し、反応液を200mlとなるまで減圧濃縮し、メタノール(400ml)を添加して室温で2h撹拌し、ろ過して、得られた固体をn-ヘキサン(400ml)に入れて50℃で2hパルプ化し、ろ過、乾燥して30.35gの米白色固体化合物18を得、収率が86.1%であった。質量スペクトル:563.5(M+H)
【0034】
化合物B86の合成:1つの1Lの三つ口フラスコに、化合物18(28.0g、49.69mmol、1.0eq)と、化合物19(23.67g、49.69mmol、1.0eq)と、K2CO3(13.73g、99.38mmol、2.0eq)と、Pd132(0.35g、0.49mmol、0.01eq)と、トルエン(280ml)と、エタノール(56ml)と、脱イオン水(56ml)とを順次に添加し、真空、窒素ガスで3回置換し、油浴で約75℃に加熱し、温度を維持しながら16h撹拌還流し、サンプリングして18原料を反応し切る。反応液を60℃に降温し、トルエン(200ml)と、脱イオン水(100ml)とを添加し、1h撹拌、分液し、分液後に有機相をシリカゲルでろ過し、少量のトルエンでシリカゲルをリンスし、有機相を濃縮して得られた固体を、トルエン/メタノール(220ml/250ml)で3回再結晶させ、乾燥して29.47gの淡黄色固体を得、収率が71.2%であった。得られた合成品を昇華精製して22.3グラムの淡黄色固体化合物B86を得、収率が75.6%であった。質量スペクトル:833.1(M+H)。1H NMR (400MHz,CDCl3)δ8.48(d,1H),7.75(dd,4H),7.62-7.42(m,19H),7.39(m,J= 20.0Hz,9H),7.33-7.14(m,7H),7.08(d,2H),7.00(d,1H),6.86(d,1H)。
【0035】
(6)化合物B111の合成:
化合物B111の合成:対応する材料を選択し、化合物B86の合成方式及び処理方法を参照し、対応する原料を変更すればよい。質量スペクトル:897.1(M+H)。
1H NMR (400MHz,CDCl
3) δ8.48(d,1H),7.96(m,6H),7.75(m,4H),7.60-7.34(m,16H),7.33-7.15(m,13H),7.08 (d,2H),7.00(d,1H),6.86(d,1H)。
【0036】
【0037】
化合物B130の合成:対応する材料を選択し、化合物B86の合成方式及び処理方法を参照し、対応する原料を変更すればよい。質量スペクトル:913.2(M+H)。1H NMR (400MHz,CDCl3) δ8.48(d,1H),7.95-7.79(m,6H),7.60-7.44(m,14H),7.36(m,J=13.6Hz,7H),7.30-7.15(m,8H),7.08(d,2H),7.00(d,1H),6.86(d,1H),1.69(s,12H)。
【0038】
(8)化合物B137の合成:
化合物B137の合成:対応する材料を選択し、化合物B86の合成方式及び処理方法を参照し、対応する原料を変更すればよい。質量スペクトル:679.8(M+H)。
1HNMR(400MHz,CDCl
3)
8.48(d,1H),8.13-7.94(m,3H),7.84(d,2H),7.63-7.46(m,9H),7.45-7.29(m,5H),7.29-7.13(m,9H),7.04(d,J=40.0Hz,3H),6.86(d,1H)。
【0039】
適用例:
(1)化合物の性能の比較:本発明の化合物は、OLED素子において光取出層材料として利用可能であり、ガラス転移点が高く、屈折率が高く、可視光領域における屈折率の差が小さい。基本性能を下記の表1に示す。
【0040】
【0041】
(2)有機エレクトロルミネッセンス素子の調製
50mm×50mm×1.0mmの、ITO(100nm)透明電極を有するガラス基板をエタノール中で10分間超音波洗浄し、さらに150℃で乾燥した後にN
2 Plasmaで30分間処理した。洗浄後のガラス基板を真空蒸着装置の基板支持具に取り付け、まず、透明電極線を有する側の面に、透明電極を覆うように化合物HATCNを蒸着し、膜厚5nmの薄膜を形成してから、1層のHTM1を蒸着して膜厚60nmの薄膜を形成し、さらに、HTM1薄膜上に1層のHTM2を蒸着して膜厚10nmの薄膜を形成し、その後、HTM2膜層上に共蒸着の方式でホスト材料CBPとドーパント材料とを、膜厚が30nmとなるように蒸着し、ホスト材料とドーパント材料との割合が90%:10%である。発光層上にさらに下記の表に示す配合でBCP(5nm)を正孔阻止層材料として、Alq
3(30nm)を電子輸送材料として順次に蒸着し、次いで、電子輸送材料層上にLiF(1nm)を電子注入材料として蒸着し、次いで、さらに共蒸着の方式でMg/Ag(18nm,1:9)を陰極材料として蒸着し、最後に、陰極材料上に下記の表に示す配合でCPL(50nm)を光取出層材料として蒸着した。
【0042】
素子の性能評価
上記素子に対して素子性能測定を行い、各実施例及び比較例において、定電流電源(Keithley 2400)を用い、所定の電流密度で発光素子を流れ、分光放射輝度計(CS 2000)で発光スペクトルを測定した。同時に、素子の発光効率を測定した。結果を下記の表2に示す。
【0043】
【0044】
上記表2におけるデータを比較してあきらかなように、本発明の化合物を有機エレクトロルミネッセンス素子の光取出層材料として使用することにより、比較化合物と比べて、より優れた発光効率を示している。
【0045】
前述した通り、本発明の構造を含有するイミダゾピリジンの芳香族アミン類化合物は、昇華温度が低く、熱安定性が良く、屈折率が高く、可視光領域における屈折率の差が小さいなどの利点を有し、光の取り出し効率、薄膜状態の安定性を大幅に改善することができる。このような化合物を用いてOLED素子を作製することにより、高い効率を得ることができるとともに、耐久性を改善することができる。以上より、このような化合物は、光取出層材料としてAMOLED産業に利用可能である。