(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】軸受装置
(51)【国際特許分類】
F16C 41/00 20060101AFI20241120BHJP
F16C 7/02 20060101ALI20241120BHJP
H02K 35/02 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
F16C41/00
F16C7/02
H02K35/02
(21)【出願番号】P 2022530746
(86)(22)【出願日】2020-11-25
(86)【国際出願番号】 AT2020060419
(87)【国際公開番号】W WO2021102496
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-07-22
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】315015564
【氏名又は名称】ミバ・グライトラーガー・オーストリア・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】グンター ハーガー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン シャルマイナー
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ベルクマン
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0311303(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 41/00
F16C 7/02
H02K 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの滑り軸受要素(2)と、少なくとも1つの電気エネルギー消費機器(4)と、電気エネルギーを自給するための少なくとも1つのエネルギー発生装置とを含む軸受装置(1)であって、
前記軸受装置(1)は、第1の構成部品(5)と、前記軸受装置(1)の軸方向(6)で前記第1の構成部品(5)と並んで配置された第2の構成部品(7)とを有し、前記第1の構成部品(5)と前記第2の構成部品(7)とは互いに繰り返して相対移動するように配置され、
前記エネルギー発生装置は、ループ状に配置された少なくとも1つの電気導体(8)と、少なくとも1つの永久磁石(9)と
、ループ状に配置された第2の電気導体(8)と、第2の永久磁石(9)と、を有し、
前記
少なくとも1つの電気導体(8)は前記第1の構成部品(5)に配置され、前記
少なくとも1つの永久磁石(9)は前記第2の構成部品(7)に配置され、それによりループ状に配置された前記
少なくとも1つの電気導体(8)と前記
少なくとも1つの永久磁石(9)は、前記第1の構成部品(5)及び前記第2の構成部品(7)の互いに繰り返す相対移動によって繰り返し対向位置に配置されることができる軸受装置(1)において、
前記第2の永久磁石(9)は前記第1の構成部品(5)に配置され、
前記第2の電気導体(8)は前記第2の構成部品(7)に配置され、
それにより
、前記少なくとも1つの電気導体(8)及び
前記少なくとも1つの永久磁石(9)
、並びに前記第2の電気導体(8)及び前記第2の永久磁石(9)は、前記第1の構成部品(5)及び前記第2の構成部品(7)の互いに繰り返す相対移動によって繰り返し対向位置に配置されることができ、
前記第1の構成部品(5)はクランク駆動機構のコネクティングロッドであり、前記第2の構成部品(7)は前記クランク駆動機構の第2のコネクティングロッドであり、又は
前記第1の構成部品(5)はクランク駆動機構のコネクティングロッドであり、前記第2の構成部品(7)は前記クランク駆動機構のクランクウェブであり、
前記クランク駆動機構の別の構成部品(11)は前記軸方向(6)で前記コネクティングロッドから離れる方向に向いた前記クランクウェブの前面に配置され、ループ状に配置された
第3の電気導体(8)は前記別の構成部品(11)上に配置され、
前記
少なくとも1つの永久磁石(9)は前記軸方向(6)で前記第2の構成部品(7)を貫通する貫通孔に配置されている、
ことを特徴とする軸受装置(1)。
【請求項2】
電気エネルギー消費機器(4)は、データ伝送装置と接続された少なくとも1つのセンサ(12)を有し、前記データ伝送装置は無線で受信器にデータを伝送することを特徴とする、請求項1に記載の軸受装置(1)。
【請求項3】
センサ(12)は、前記滑り軸受要素(2)の半径方向最内層に埋設されていることを特徴とする、請求項2に記載の軸受装置(1)。
【請求項4】
データ伝送装置は、コネクティングロッドのコネクティングロッドシャンク上又は少なくとも部分的にコネ
クティングロッドシャンク内に配置されていることを特徴とする、請求項2又は3に記載の軸受装置(1)。
【請求項5】
遠隔測定装置(13)が前記第1の構成部品(5)上又は少なくとも部分的に前記第1の構成部品(5)内に配置されていることを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の軸受装置(1)。
【請求項6】
少なくとも1つの滑り軸受要素(2)を含む軸受装置(1)内に配置された電気エネルギー消費機器(4)に電気エネルギーを供給する方法であって、
電気エネルギーは前記軸受装置(1)の少なくとも1つの電気エネルギー発生装置内で電気エネルギーの自給のために発生され、
前記軸受装置(1)は、第1の構成部品(5)と、前記軸受装置(1)の軸方向(6)で前記第1の構成部品(5)と並んで配置された第2の構成部品(7)とを更に有し、前記第1の構成部品(5)と前記第2の構成部品(7)とは互いに繰り返して相対移動するように配置され、
エネルギーを発生するために、前記電気エネルギー発生装置は、ループ状に配置された少なくとも1つの電気導体(8)と、少なくとも1つの永久磁石(9)と
、ループ状に配置された第2の電気導体(8)と、第2の永久磁石(9)と、を有し、
前記
少なくとも1つの電気導体(8)は前記第1の構成部品(5)に配置され、前記
少なくとも1つの永久磁石(9)は前記第2の構成部品(7)に配置され、ループ状に配置された前記
少なくとも1つの電気導体(8)と前記
少なくとも1つの永久磁石(9)は、前記第1の構成部品(5)と前記第2の構成部品(7)の互いに繰り返す相対移動によって繰り返し対向位置に配置された、方法において、
前記第2の永久磁石(9)は前記第1の構成部品(5)に配置され、
前記第2の電気導体(8)は前記第2の構成部品(7)に配置され、
それにより
前記少なくとも1つの電気導体(8)及び
前記少なくとも1つの永久磁石(9)
、並びに前記第2の電気導体(8)及び前記第2の永久磁石(9)は、前記第1の構成部品(5)と前記第2の構成部品(7)の互いに繰り返す相対移動によって繰り返し対向位置に配置され、又は、
クランク駆動機構のコネクティングロッドは前記第1の構成部品(5)として使用され、前記クランク駆動機構のクランクウェブは前記第2の構成部品(7)として使用され、
前記クランク駆動機構の別の構成部品(11)は前記軸方向(6)で前記コネクティングロッドから離れる方向に向いた前記クランクウェブの前面に配置され、ループ状に配置された
第3の電気導体(8)は前記別の構成部品(11)上に配置され、
前記
少なくとも1つの永久磁石(9)は前記軸方向(6)で前記第2の構成部品(7)を貫通する貫通孔に配置されている、
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの滑り軸受要素と、少なくとも1つの電気エネルギー消費機器と、電気エネルギーを自給するための少なくとも1つのエネルギー発生装置とを含む軸受装置であって、軸受装置は互いに繰り返して相対移動するように配置された第1の構成部品と、軸受装置の軸方向で第1の構成部品と並んで配置された第2の構成部品とを更に有するものに関する。
【0002】
本発明はさらに、少なくとも1つの滑り軸受要素を含む軸受装置内に配置された電気エネルギー消費機器に電気エネルギーを供給する方法であって、電気エネルギーは軸受装置の少なくとも1つのエネルギー発生装置内で電気エネルギーの自給のために発生され、軸受装置は互いに繰り返して相対移動する第1の構成部品と、軸受装置の軸方向で第1の構成部品と並んで配置された第2の構成部品とを更に有する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、センサを用いた滑り軸受の監視の重要性が高まっている。例えば軸受レセプタクルの温度上昇に基づく滑り軸受パラメータの間接的測定に加えて、潤滑隙間内又は潤滑隙間のすぐ近傍にセンサを配置することも、開発においてますます重要な位置を占めている。この場合に問題となるのは、センサの環境条件だけでなく、回転構成部品の存在など滑り軸受に特有の機械的特徴である。例として特許文献1を参照すると、支持体内に固定された軸受シェルを有する滑り軸受を監視するための装置が知られており、軸受シェル領域に配置された温度依存測定信号に対する少なくとも1つの測定センサと、測定信号に対する評価回路を備えている。測定センサは、軸受シェルの周方向に作用する圧縮力、又は軸受シェルと支持体との間の半径方向圧縮力に対する圧力センサとして構成されている。
【0004】
これに関連して、センサのエネルギー供給の問題が生じる。エネルギーの発生を直接滑り軸受において行うことは、既に先行技術から知られている。例えば特許文献2には、滑り軸受と、その製造方法が記載されている。滑り軸受は、金属基体と、金属基体上の電気絶縁層と、電気絶縁層上の電気構成要素とを含むことができる。滑り軸受は、電気構成要素を監視するように構成された監視モジュールと作動的に接続できる。軸受シェルは、機械的エネルギー、例えば軸受シェル内の機械的振動からエネルギーを局所的に発生するためのマイクロジェネレータを有することができる。
【0005】
特許文献3からも、ヘリコプターの自己潤滑式ローターピッチ制御軸受の形態の、実質的に同一の条件下で動作する実質的に同一の複数の構成要素を含むシステムが知られており、これらの構成要素の各々は所定の時間における構成要素の同一の動作パラメータを測定するための少なくとも1つのセンサを備えている。さらにこのシステムは、センサの信号を受信して処理し、センサ信号に基づいて保守データを生成するように構成された監視ユニットを含んでいる。構成要素は、他の構成要素に対して相対的な構成要素の運動からエネルギーを発生するためのエネルギー獲得手段を備えることができる。これによりセンサの連続的な自律的動作が可能になる。
【0006】
特許文献4には、少なくとも1つのセンサを使用して軸受の残存寿命に影響を与える1以上の要因に関するデータを取得するステップと、軸受を一意に識別する識別データを取得するステップと、産業用無線プロトコルを使用して少なくとも1つのセンサとの間でデータを送受信するステップと、軸受の残存寿命に影響を与える1以上の要因に関するデータ及び識別データを記録データとしてデータベースに記録するステップとを含む、転がり軸受を監視する方法が記載されており、少なくとも1つのセンサは、使用時に軸受又は軸受の運動によって発生される電気によって駆動されるように構成されている。
【0007】
特許文献5から、軸受、特に転がり軸受又は滑り軸受内のデータを、軸受の外側又は軸受の外部に配置された受信装置に伝送する装置が知られており、この装置は、軸受の内部に配置され信号を検出して音に変換する信号変換器と、軸受の軸受構成部品、特に軸受の軌道輪を含み、音が軸受構成部品の本体内で固体伝搬音として伝達される。
【0008】
特許文献6には、内燃機関の内部の所定の装置に、外部との接続を行わずに電力を供給する手段が記載されている。発電装置は、内燃機関のコネクティングロッド内に設けられた三相発電機と、この三相発電機に回転力を付与する偏心ローターとを有する。偏心ローターは回転力発生装置に作用し、回転力発生装置がコネクティングロッドを動かして力を発生させる。検出器は、温度測定センサと送信器を含み、コネクティングロッドの小端部側の所定位置に設けられている。エネルギー発生装置はエネルギーを供給し、大端部の側面の所定位置に設けられている。一実施形態によれば、エネルギー発生装置は、圧電素子のスタックであることができる。
【0009】
特許文献7から、外部の物理的状態、例えば軸受内の過度の振動を監視するための自己駆動型無線変換器が知られている。変換器は外部の物理的状態を感知し、RF送信回路に供給するために使用される特性信号を生成するために、エネルギー変換源、例えば圧電センサを含む。軸受の不具合を故障する前に検出するために、外部の物理的状態又はこの状態の変化(例えば軸受の振動の増加)を示す信号を送信するために送信器が設けられている。この自己駆動型無線変換器は、圧電センサからの電圧を受け取るための電圧蓄積装置と、電圧蓄積装置における電圧レベルを検出するための電圧検出器とを含む。電圧検出器が所定のレベルにある電圧レベルを検出したら、発振送信回路が電圧検出器の短いヒステリシス期間作動する。
【0010】
特許文献8から、内燃機関のためのエンジン制御システムが知られており、このシステムは、少なくとも1つのエネルギー変換器と少なくとも1つのエネルギーモジュールとを備えたエネルギー獲得モジュール、内燃機関の物理的又は化学的測定値を検出するための少なくとも1つのセンサ、検出された測定値を処理するためのマイクロコントローラ、及びマイクロコントローラによって処理された測定値を無線受信機に無線伝送するための無線モジュールを有しており、マイクロコントローラはセンサ及び無線モジュールに通信接続されており、電気エネルギーを伝送するためのエネルギーモジュールは、少なくともマイクロコントローラ及び無線モジュールと接続されている。さらに、このシステムはエンジン制御装置を有し、このエンジン制御装置は、無線受信機と通信接続されており、無線受信機から入る測定値を評価して制御信号に加工し、内燃機関に伝送するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】オーストリア国特許発明第408900(B)号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/0208849(A1)号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2963409(A1)号明細書
【文献】国際公開第2013/160053(A1)号
【文献】独国特許出願公開第102007052426(A1)号明細書
【文献】特開2009-254163号公報
【文献】欧州特許出願公開第1022702(A2)号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3211202(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、軸受装置における電気エネルギー消費機器へのエネルギー供給を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題は、冒頭に記載した軸受装置において、エネルギー発生装置は、少なくとも1つのループ状に配置された電気導体と、少なくとも1つの永久磁石とを有し、電気導体は第1の構成部品に配置され、永久磁石は第2の構成部品に配置され、ループ状に配置された電気導体と永久磁石とが、両構成部品の互いに繰り返す相対移動によって繰り返し対向位置に配置され、又は電気導体及び永久磁石が第1の構成部品に配置され、第2の電気導体及び第2の永久磁石が第2の構成部品に配置され、ループ状に配置された複数の電気導体及び複数の永久磁石が、両構成部品の互いに繰り返す相対移動によって繰り返し対向位置に配置されることによって解決される。
【0014】
さらに、上記の課題は、冒頭に記載した方法において、エネルギーを発生するために、エネルギー発生装置は、少なくとも1つのループ状に配置された電気導体と、少なくとも1つの永久磁石とから構成され、電気導体は第1の構成部品に配置され、永久磁石は第2の構成部品に配置され、ループ状に配置された電気導体と永久磁石とが、両構成部品の互いに繰り返す相対移動によって繰り返し対向位置に配置され、又は電気導体及び永久磁石が第1の構成部品に配置され、第2の電気導体及び第2の永久磁石が第2の構成部品に配置され、ループ状に配置された複数の電気導体及び複数の永久磁石が、両構成部品の互いに繰り返す相対移動によって繰り返し対向位置に配置されることによって解決される。
【0015】
この場合に有利なのは、エネルギー発生装置は、軸受装置における問題領域、例えば高温の軸受領域から比較的離れて配置することができ、したがってまた高い動作安定性を有することができる点である。さらに、エネルギー発生装置の性能が(著しく)損なわれることなく、電気導体をその幾何学的配置に関して軸受装置の条件により容易に適合させることができる。さらに有利なのは、エネルギー発生装置は、一方では既存の軸受装置に容易に後付けすることができ、他方では別のループ状に配置された電気導体を配置することによって容易に拡張できる点である。
【0016】
本発明の好適な実施形態によれば、電気エネルギー消費機器は、データの受信器に、特に無線でデータを伝送するためのデータ伝送装置と接続された少なくとも1つのセンサを有するようにすることができ、それにより重要な軸受パラメータをより容易に監視することができる。
【0017】
本発明の別の実施形態によれば、第1の構成部品はクランク駆動機構のコネクティングロッドであり、第2の構成部品はクランク駆動機構のクランクウェブであるようにすることができる。この場合の利点は、可動部に大きな変更を加えることなく、クランクシャフトの領域における動作パラメータ又は摩耗値を監視することが可能であり、又はもともと存在するバランスウェイトを適合させるだけで設計変更なしに追加質量が可能であることである。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、エネルギー生産の効率を高めるために、ループ状に配置された電気導体は、クランク駆動機構の第1の死点に配置されているようにすることができる。
【0019】
本発明の実施形態によれば、少なくとも1つの別の電気エネルギー消費機器に供給するために、軸方向でコネクティングロッドから離れる方向に向いたクランクウェブの前面にクランク駆動機構の別の構成部品が配置されており、及びこの別の構成部品上に別のループ状に配置された電気導体が配置されているようにすることができる。これにより1つの永久磁石のみで少なくとも2個の電気導体を操作でき、エネルギー発生装置の設計の手間を簡素化することができる。
【0020】
上述の理由により、本発明の実施形態によれば、別のループ状に配置された電気導体は、クランク駆動機構の第2の死点に配置されている。
【0021】
本発明の別の実施形態によれば、第1の構成部品がクランク駆動機構のコネクティングロッドであり、第2の構成部品がクランク駆動機構の第2のコネクティングロッドであるようにすることができ、それにより同様に上記の効果を達成することができる。
【0022】
別の実施形態によれば、別の構成部品がクランク駆動機構の歯車又は主軸受レセプタクルであるようにすることもできる。歯車上に配置することにより、歯車も動作パラメータに関して容易に監視することができる。他方で、主軸受レセプタクル上に配置することにより、クランク駆動機構の別の構成部品を監視することが可能になる。
【0023】
本発明の別の実施形態によれば、センサは、滑り軸受要素の半径方向最内層に埋設することができ、そうすることによってセンサが潤滑隙間から大きく離れたときに生じ得る妨害効果をほぼ回避することができるので、測定値検出を改善することができる。
【0024】
本発明の別の実施形態によれば、データ伝送装置が、コネクティングロッドのコネクティングロッドシャンク上又は少なくとも部分的にコネクティングロッドシャンク内に配置されているようにすることができ、その結果、コネクティングロッド穴はそれによって影響を受けることなくセンサの配置のために利用可能であり、したがってセンサの位置を比較的自由に選択できる。
【0025】
本発明の別の実施形態によれば、第1の構成部品は遊星歯車伝動装置の遊星キャリアであり、第2の構成部品は遊星歯車伝動装置の遊星歯車であるようにすることができる。それにより遊星歯車伝動装置内の軸受も設計に大きな手間をかけることなく監視することができる。
【0026】
本発明の実施形態によれば、センサが遊星歯車の遊星歯車軸のボア内に、したがって相応に保護されて配置されているようにすることができる。
【0027】
本発明のこの実施形態において別の変形例によれば、センサの位置決めを再びデータ伝送装置によって制限しないために、データ伝送装置を遊星キャリア上又は少なくとも部分的に遊星キャリア内に配置することができる。
【0028】
滑り軸受要素の動作パラメータを決定するための構成のコンパクトさを改善するために、本発明の実施形態によれば、第1の構成部品上又は少なくとも部分的に第1の構成部品内に、遠隔測定装置が配置されているようにすることができる。
【0029】
本発明をより良く理解するために、以下の図面に基づいて詳細に説明する。
【0030】
図は、それぞれ簡略化された模式的表現で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は第1の位置にある軸受装置の第1の実施形態の側面図である。
【
図2】
図2は第2の位置にある軸受装置の第1の実施形態の側面図である。
【
図3】
図3は軸受装置の第2の実施形態の側面図である。
【
図4】
図4は
図3による軸受装置の第2の実施形態の図である。
【
図5】
図5は軸受装置の別の実施形態の部分の図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
最初に確認しておくと、記載された異なる実施形態において同じ構成部品には同じ参照符号若しくは同じ構成部品名称を付す。この場合、説明全体に含まれている開示内容は同じ参照符号若しくは同じ構成部品名称を有する同じ構成部品に準用できるものとする。説明の中で選択された位置を表す言葉、例えば上、下、横なども直接説明及び表示された図を基準としており、これらの位置を表す言葉は位置が変化した場合には新しい位置に準用されるものとする。
【0033】
図1及び
図2は、軸受装置1の第1の実施形態の様々な位置における部分の側面図である。
【0034】
第1の実施形態は、特にクランク駆動機構に関し、軸受装置1がそこに配置され、又は軸受装置1がその一部である。この点で本発明は、例えばクランク駆動機構がその一部であるか又は歯車伝送装置であるスライダクランク伝動装置にも関し、これについては以下に説明する。したがって軸受装置1は、特に伝動装置の一部である。
【0035】
軸受装置1は、少なくとも1つの滑り軸受要素2を含む。いわゆるハーフシェルの形態を持つ2個の滑り軸受要素2が使用されてもよい。しかしながら、滑り軸受要素2を滑り軸受ブッシュとして構成することも可能である。さらに、滑り軸受要素2を備えた滑り軸受はこれ以外の分割を有することもでき、滑り軸受内に滑り軸受要素2を例えば3個又は4個又はそれ以上組み込むこともできる。例えば風力発電設備で使用される非常に大型の滑り軸受では、滑り軸受要素2は滑り軸受パッドとして構成することもでき、滑り軸受に4個の滑り軸受要素2よりもかなり多い、例えば最大40個の滑り軸受要素2が存在することができる。
【0036】
少なくとも1つの滑り軸受要素2は、例えば圧入によって軸受レセプタクル3内に配置されている。
【0037】
しかしながら、軸受レセプタクル3を直接被覆して、軸受レセプタクル3が滑り軸受装置1内で支持される構成部品、例えばシャフト4に対する摺動面を形成することも可能である。滑り軸受要素2と軸受レセプタクル3は互いに一体的に形成され、滑り軸受要素2は軸受レセプタクル3と一体的な構成部品をなす。
【0038】
軸受装置1のこれらの実施形態において、シャフト若しくは一般的に支持される構成部品の表面が相手摺動面を形成する。しかしながら、少なくとも1つの滑り軸受要素2の逆の構成、即ち支持された構成部品と一緒に回転するように構成することも可能である。この場合は、相手摺動面は軸受レセプタクル3の表面によって形成され、軸受装置1を組み立てた状態で滑り軸受は軸受レセプタクル3に受容されるが、これと一緒に回転しないように接続されている。
【0039】
少なくとも1つの滑り軸受要素2と軸受レセプタクル3は軸受装置1の一部であり、軸受装置1はこれら2個の構成部品に加えて、少なくとも1つの電気エネルギー消費機器4、電気エネルギーを自給するための少なくとも1つのエネルギー発生装置、軸受装置1の第1の構成部品5と、軸受装置1の軸方向6で第1の構成部品5と並んで配置された第2の構成部品7とを有する。第1の構成部品5は、第2の構成部品7に対して相対移動可能に配置されており、その相対移動は繰り返し行われる。
【0040】
図1及び
図2に示す軸受装置の実施形態において、第1の構成部品5はクランク駆動機構のコネクティングロッドであり、第2の構成部品7はクランク駆動機構のクランクウェブである。しかし一般的に軸受装置は別様に構成することも可能であり、第1の構成部品5と第2の構成部品7を別様に形成することもできる。
【0041】
エネルギー発生装置は、少なくとも1つのループ状に配置された電気導体8と、少なくとも1つの永久磁石9を有し、又はこれらからなる。電気導体8は第1の構成部品5に配置され、永久磁石9は第2の構成部品7に配置されていて、ループ状に配置された電気導体8と永久磁石9は、両構成部品5、7の互いに繰り返す相対移動により繰り返し対向位置に配置されることができる。
【0042】
原理的に軸受装置1は、複数のエネルギー発生装置を有することもできる。例えばクランク駆動機構の2個以上の又は各コネクティングロッドがループ状の電気導体8を備えることができ、特に各コネクティングロッドが電気エネルギー消費機器4を備えている場合はこのような構成とすることができる。
【0043】
ループ状に配置された電気導体8は、コアに複数の巻線が形成されたコイル、例えば円筒コイル又は環状コイルであってよく、このようなコイルはそれ自体公知である。しかし電気導体は、特に複数のループを有するプリント導体ループとして形成されることが好ましい。それにより電気エネルギーは、永久磁石9が電気導体8の傍らを通過することにより電磁誘導によって発生する。
【0044】
電気導体8は特に銅からなるが、他の金属又は金属合金、例えば銀からなることも可能である。
【0045】
ループ状に形成された電気導体8は、第1の構成部品5、特にコネクティングロッド上に配置でき、又は少なくとも部分的に第1の構成部品の凹部、例えばコネクティングロッドの孔部に配置することができる。
【0046】
永久磁石9は、例えばNd-Fe-B系磁石として設計することができる。しかし、永久磁石の性質を持つ他の材料も使用可能である。
【0047】
少なくとも1つの永久磁石9は、第2の構成部品7、特にクランクウェブ(カウンターウェイト又はフライホイールマスとも呼ばれる)上に配置でき、又は少なくとも部分的に第2の構成部品7の凹部、例えばクランクウェブの孔部に配置することができる。
【0048】
本発明の別の実施形態によれば、
図1及び
図2に見られるように、少なくとも1つの永久磁石9が、軸方向6で第2の構成部品7を貫通する貫通孔に配置されることが可能である。これにより、軸方向6で第1の構成部品5、特にコネクティングロッドから離れる方向に向いた第2の構成部品7、特にクランクウェブの前面10に、軸受装置1の別の構成部品11、特にクランク駆動機構の構成部品11が配置されていること、及びこの別の構成部品11に、別のループ状に配置された電気導体8が配置されていることが可能である。このようにして、第2の構成部品7上に1個以上の永久磁石9を配置するだけで、ループ状に配置された電気導体8を有する複数の位置を繰り返して通過することが可能となり、少ない構成部品で2個のエネルギー発生装置を提供することができる。
【0049】
別の構成部品11は、例えば歯車、例えばクランク駆動機構のバランスシャフト用の歯車であることができる。しかし、クランク駆動機構が配置されたハウジングのキャップであってもよく、発生した電気エネルギーはハウジング上又はハウジング内の電線を介して別の/離れた場所に転送することもでき、したがって消費機器4はループ状に配置された電気導体8の近傍に配置されない。これは好ましくはコネクティングロッド上の消費機器4に電力を供給する際に見られる。さらに、別の構成部品11はクランク駆動機構の主軸受レセプタクルであってもよい。
【0050】
ループ状に配置された電気導体8は、原則として第1の構成部品若しくは別の構成部品5、11の任意の適当な箇所に配置することができる。しかしながら、クランク駆動機構として構成された軸受装置1の好適な実施形態によれば、ループ状に配置された電気導体8は、
図1及び
図2に示すようにクランク駆動機構の第1の死点、即ち上死点若しくは下死点に配置され、
図1は上死点を示し、
図2は下死点を示している。
【0051】
「死点」という用語は、クランクシャフトに関連して十分に知られている。これについて注記すると、上死点とはコネクティングロッドに配置されたピストンとクランクシャフトとの距離が最大になる位置のことである。これに従い下死点とは、ピストンとクランクシャフトとの距離が最小になる位置のことである。換言すれば、これらの死点はピストンが軸方向移動を行わない位置である。さて、本発明の意味で、ループ状に配置された電気導体8がクランク駆動機構の死点に配置されていると言う場合、これはループ状に配置された電気導体8が上死点位置又は下死点位置で永久磁石9と対向するように配置されていることを意味する。
【0052】
「構成部品に」という表現に関して注記すると、これにより構成部品「上」だけでなく、少なくとも部分的に構成部品「内」、例えば構成部品の凹部内も含まれている。
【0053】
ループ状に配置された電気導体8は、好ましくはクランクシャフトハウジングカバー又はクランクケースに固定して配置されている。別のループ状に配置された電気導体8は、好ましくはコネクティングロッドシャンク又はコネクティングロッドのカバーでコネクティングロッドに固定されている。
【0054】
軸受装置1の別の実施形態によれば、電気エネルギー消費機器4は、少なくとも1つのセンサ12を含むことができる。もちろん、軸受装置1内に複数のセンサ12を配置することもできる。
【0055】
センサ12は、例えば温度センサ、圧力センサなどであってよい。少なくとも1つのセンサ12を用いて、軸受装置1のパラメータを動作中に検出することができる。これらのパラメータに基づき、例えば少なくとも1つの滑り軸受要素2の状態について推定することができる。なぜなら、例えば異常な温度上昇の場合、滑り軸受要素2の摺動面の摩耗若しくは滑り軸受要素2の故障を推定できるからである。したがって、センサ12で軸受装置1の動作にとって本質的なパラメータを検出できる。
【0056】
検出されたパラメータ、即ち関連データの処理は、軸受装置1自体ではなく、少なくとも1つの滑り軸受要素2から距離をおいて配置されたデータ処理要素において行われることが好ましい。この少なくとも1つのデータ処理要素にデータを伝送するために、別の実施形態の変形によれば、軸受装置1は電気エネルギー消費機器4としてデータ伝送装置を備えた遠隔測定装置13を有することができる。データ伝送装置は、少なくとも1つのセンサ12からデータを受け取り、これを少なくとも1つのデータ処理要素にデータ受信器として、特に無線で転送する。無線データ通信には、既知のプロトコルを使用することができる。無線データ通信は、例えばブルートゥース(登録商標)やWLANなどを介して行うことができる。
【0057】
このような滑り軸受要素内のデータ検出及び外部への無線伝送のシステムは、滑り軸受に関連する先行技術から既に知られているので、繰り返しを避けるために詳細については当該先行技術を参照されたい。
【0058】
遠隔測定装置13は、第1の構成部品5に又は少なくとも部分的に第1の構成部品5内に、例えばクランク駆動機構のコネクティングロッドのコネクティングロッドシャンクに配置できる。
【0059】
少なくとも1つのセンサ12は、例えばピエゾ能動素子若しくはピエゾ電気素子であることができる。さらに、少なくとも1つのセンサ12は最大100MPa(10,000bar)の圧力で加圧可能に設計できる。
【0060】
センサ12は、導線によって滑り軸受の潤滑隙間14と接続することができる。代替的に又は追加的に、軸受装置1の別の実施形態によれば、センサ12が、例えば滑り軸受要素2の摺動層の一部として潤滑隙間14に配置されているようにすることができる。それによってまた、軸受装置1の前述の実施形態におけるように、センサ12は潤滑隙間14において潤滑圧力で加圧可能である。
【0061】
軸受装置1の別の実施形態によれば、センサ12が滑り軸受要素2の半径方向最内層に埋設されているようにすることができる。即ち、滑り軸受要素2は、いわゆる多層滑り軸受として構成でき、少なくとも1つのすべり層と1つの支持層とを有することができる。これらの層の間に、別の層、例えば軸受金属層及び/又は結合層及び/又は拡散バリア層などを配置することができる。摺動層は、動作時にシャフト4が摺動する層として知られている。摺動層は、例えばセラミック材料又は滑りラッカーで構成することができる。代替的に、センサ12は摺動層の下方の層内に配置されていて、電気絶縁層、例えばAl2O3からなるセラミック層によって摺動層から分離されているようにすることもできる。この場合、摺動層は公知の金属材料、例えばスズ系合金からなることもできる。
【0062】
前述したように、直接被覆の場合、支持層は直接被覆されたそれぞれの構成部品によって形成されていることに留意されたい。
【0063】
滑り軸受要素2内又は滑り軸受要素2上の異なる位置に複数のセンサ12を配置することもでき、軸受装置1における異なる負荷のかかる場所の動作パラメータを検出することができる。
【0064】
1個以上のセンサ12により、クランク駆動機構のコネクティングロッドの大端部孔及び/又は小端部孔の動作パラメータを検出できる。
【0065】
上記の遠隔測定装置13は、例えばデータ伝送装置、マイクロプロセッサ30、アナログ・デジタル変換器31などを構成部品として有することができる。場合によっては、ループ状に配置された電気導体8も遠隔測定装置13の構成部品であることができる。
【0066】
図3及び
図4には、軸受装置1の別の、場合によってはそれ自体で独立した実施形態が縦断面図で示されており、先の
図1及び
図2と同じ構成部品には同じ参照符号若しくは構成部品名称が使用される。不必要な繰り返しを避けるため、
図1及び
図2の先の説明における構成部品の詳細な説明の参照を求め、若しくはこれに準拠する。
【0067】
図3及び
図4に示された軸受装置1の実施形態では、第1の構成部品5は遊星歯車伝動装置の遊星キャリアであり、第2の構成部品7は遊星歯車伝動装置の遊星歯車である。電気エネルギー消費機器4は、ループ状に配置された電気導体8と同様に第1の構成部品5上に配置されている。電気エネルギー消費機器4は、例えば前述の遠隔測定装置13及び/又はセンサ12であってもよい。一実施形態によれば、センサ12は、遊星歯車伝動装置の遊星歯車軸のボア内に配置することができる。
【0068】
電気エネルギー消費機器4とループ状に配置された電気導体8とが、直接相並んで及び/又は軸方向6で相前後して配置されていることも可能である。
【0069】
永久磁石9は、遊星歯車として構成された第2の構成部品7の凹部に配置されている。遊星歯車の回転運動により、構成部品である永久磁石9とループ状に配置された電気導体8が繰り返し対向位置に配置される。
【0070】
上述した軸受装置1の実施形態におけるように、ここでも複数のループ状に配置された電気導体8を、特に遊星歯車伝動装置の遊星歯車当たり1個配置することができる。
【0071】
さらに、ループ状に配置された電気導体8当たり複数の、例えば2個(
図3に示す)、又は3個、又は4個の永久磁石9が配置されていることも可能である。これら複数の永久磁石9は、好ましくは遊星歯車の周方向に均一に分布して配置されている。
【0072】
遊星歯車伝動装置自体は単段又は多段、例えば2段で設計されてよい。
【0073】
軸受装置1のすべての実施形態において、ループ状に配置された電気導体8と永久磁石9との間には、両構成部品間の相互接触という意味での直接接触がないか又は生じないことに留意されたい。
【0074】
本発明により、少なくとも1つの滑り軸受要素2を含む軸受装置1内に配置された電気エネルギー消費機器4に、軸受装置1の少なくとも1つのエネルギー発生装置で電気エネルギーの自給のために発生される電気エネルギーを供給することが可能であり、さらに軸受装置1は互いに繰り返して相対移動する第1の構成部品5と、軸受装置1の軸方向6で第1の構成部品5に隣接して配置された第2の構成部品7とを有する。エネルギーを発生するために、エネルギー発生装置は少なくとも1つのループ状に配置された電気導体8と少なくとも1つの永久磁石9とを備えており、電気導体8は第1の構成部品5に配置され、永久磁石9は第2の構成部品7に配置されて、ループ状に配置された電気導体8と永久磁石9は両構成部品5、7の互いに繰り返す相対移動により繰り返し対向位置に配置される。
【0075】
図5には、軸受装置1の別の、場合によってはそれ自体で独立した実施形態の部分が示されており、同一の構成部品には先の
図1-
図4と同じ参照符号又は構成部品名称が使用される。不必要な繰返しを避けるために、
図1~
図4の先の説明における構成部品に関する詳細な説明の参照を求め、若しくはこれに準拠する。
【0076】
図5は、クランク駆動機構の2個のコネクティングロッドを示す。この軸受装置1の実施形態では、第1の構成部品5も第2の構成部品7も、それぞれクランク駆動機構のコネクティングロッドによって形成されている。この場合、第1の構成部品5も第2の構成部品7も、それぞれ少なくとも1つのループ状に配置された電気導体8と、それぞれ少なくとも1つの永久磁石9を有しており、これらは特にそれぞれ1つの電気エネルギー消費機器4に供給する。電気導体8は、永久磁石9と並んで配置することができる。ここで「並んで」とは側方だけでなく(斜めに)上方又は(斜め)下方も意味する。
図5による軸受装置1の実施形態では、それらは軸方向6(
図5で面に対して垂直方向)で相前後しないように配置されている。第1の構成部品5上の電気導体8と永久磁石9の配置順序は、
図5から明らかなように、第2の構成部品上の電気導体8と永久磁石9の配置順序と鏡像になっている。これにより第1の構成部品5の電気導体8が第2の構成部品7の永久磁石9と対向する位置に到達するのは、第2の構成部品7の電気導体8も第1の構成部品5の永久磁石9と対向する位置を占めるときである。
【0077】
この実施形態では、両構成部品5、7の互いに繰り返す相対移動は、クランクシャフトの回転運動に基づいて両コネクティングロッドの相対位置が変化することによって行われる。この場合、両コネクティングロッドが(前面から見て)互いに囲む角度が変化する。
【0078】
図5による軸受装置1の実施形態において、第1の構成部品5のループ状に配置された電気導体8が、軸方向6で第1の構成部品5の永久磁石9の後方に配置されることも可能である。この場合、少なくとも別の構成部品11、例えば
図1及び
図2に示す別の構成部品11が存在しており、例えば第1の構成部品5のループ状に配置された電気導体8は、第2のコネクティングロッドの永久磁石9と協働し、永久磁石9は別の構成部品11のループ状に配置された電気導体8(又はその逆)と協働する。
【0079】
実施例は、軸受装置1の可能な実施形態を示し若しくは説明するものであり、個々の実施形態を互いに組み合わせることも可能である。
【0080】
最後に、形式的に述べると、軸受装置1の構造をよりよく理解するために、その要素は必ずしも縮尺通りに示されていないことに留意されたい。
なお、本発明の態様(構成)として以下に示すものがある。
[態様1]
少なくとも1つの滑り軸受要素(2)と、少なくとも1つの電気エネルギー消費機器(4)と、電気エネルギーを充分に供給するための少なくとも1つのエネルギー発生装置とを含む軸受装置(1)であって、
前記軸受装置(1)は、第1の構成部品(5)と、前記軸受装置(1)の軸方向(6)で前記第1の構成部品(5)と並んで配置された第2の構成部品(7)とを有し、前記第1の構成部品(5)と前記第2の構成部品(7)とは互いに繰り返して相対移動するように配置された軸受装置(1)において、
前記エネルギー発生装置は、ループ状に配置された少なくとも1つの電気導体(8)と、少なくとも1つの永久磁石(9)とを有し、
前記電気導体(8)は前記第1の構成部品(5)に配置され、前記永久磁石(9)は前記第2の構成部品(7)に配置され、ループ状に配置された前記電気導体(8)と前記永久磁石(9)は、前記第1の構成部品(5)及び前記第2の構成部品(7)の互いに繰り返す相対移動によって繰り返し対向位置に配置され、又は、
前記電気導体(8)及び前記永久磁石(9)は前記第1の構成部品(5)に配置され、第2の電気導体(8)及び第2の永久磁石(9)は前記第2の構成部品(7)に配置され、ループ状に配置された複数の前記電気導体(8)及び複数の前記永久磁石(9)は、前記第1の構成部品(5)及び前記第2の構成部品(7)の互いに繰り返す相対移動によって繰り返し対向位置に配置される、ことを特徴とする軸受装置(1)。
[態様2]
電気エネルギー消費機器(4)は、特に無線で、データの受信器にデータを伝送するためのデータ伝送装置と接続された少なくとも1つのセンサ(12)を有することを特徴とする、態様1に記載の軸受装置(1)。
[態様3]
前記第1の構成部品(5)はクランク駆動機構のコネクティングロッドであり、前記第2の構成部品(7)はクランク駆動機構のクランクウェブであることを特徴とする、態様1又は2に記載の軸受装置(1)。
[態様4]
ループ状に配置された前記電気導体(8)は前記クランク駆動機構の第1の死点に配置されていることを特徴とする、態様3に記載の軸受装置(1)。
[態様5]
前記クランク駆動機構の別の構成部品(11)は前記軸方向(6)で前記コネクティングロッドから離れる方向に向いた前記クランクウェブの前面に配置され、ループ状に配置された別の電気導体(8)は前記別の構成部品(11)上に配置されていることを特徴とする、態様3又は4記載の軸受装置(1)。
[態様6]
ループ状に配置された前記別の電気導体(8)は前記クランク駆動機構の第2の死点に配置されていることを特徴とする、態様5に記載の軸受装置(1)。
[態様7]
前記第1の構成部品(5)はクランク駆動機構のコネクティングロッドであり、前記第2の構成部品(7)は前記クランク駆動機構の第2のコネクティングロッドであることを特徴とする、態様1又は2に記載の軸受装置(1)。
[態様8]
前記別の構成部品(11)は前記クランク駆動機構の歯車又は主軸受レセプタクルであることを特徴とする、態様5又は6に記載の軸受装置(1)。
[態様9]
センサ(12)は、前記滑り軸受要素(2)の半径方向最内層に埋設されていることを特徴とする、態様2~7の何れか一項に記載の軸受装置(1)。
[態様10]
データ伝送装置は、コネクティングロッドのコネクティングロッドシャンク上又は少なくとも部分的に前記コネクティングロッドシャンク内に配置されていることを特徴とする、態様2~8の何れか一項に記載の軸受装置(1)。
[態様11]
前記第1の構成部品(5)は遊星歯車伝動装置の遊星キャリアであり、前記第2の構成部品(7)は前記遊星歯車伝動装置の遊星歯車であることを特徴とする、態様1又は2に記載の軸受装置(1)。
[態様12]
センサ(12)は遊星歯車伝動装置の遊星歯車軸のボア内に配置されていることを特徴とする、態様10に記載の軸受装置(1)。
[態様13]
データ伝送装置は遊星キャリア上又は少なくとも部分的に遊星キャリア内に配置されていることを特徴とする、態様10又は11に記載の軸受装置(1)。
[態様14]
遠隔測定装置(13)が前記第1の構成部品(5)上又は少なくとも部分的に前記第1の構成部品(5)内に配置されていることを特徴とする、態様1~13の何れか一項に記載の軸受装置(1)。
[態様15]
少なくとも1つの滑り軸受要素(2)を含む軸受装置(1)内に配置された電気エネルギー消費機器(4)に電気エネルギーを供給する方法であって、
電気エネルギーは前記軸受装置(1)の少なくとも1つの電気エネルギー発生装置内で電気エネルギーの自給のために発生され、
前記軸受装置(1)は、互いに繰り返して相対移動する第1の構成部品(5)と、前記軸受装置(1)の軸方向(6)で前記第1の構成部品(5)と並んで配置された第2の構成部品(7)とを更に有する方法において、
エネルギーを発生するために、前記エネルギー発生装置は、ループ状に配置された少なくとも1つの電気導体(8)と、少なくとも1つの永久磁石(9)とを有し、
前記電気導体(8)は前記第1の構成部品(5)に配置され、前記永久磁石(9)は前記第2の構成部品(7)に配置され、ループ状に配置された前記電気導体(8)と前記永久磁石(9)は、前記第1の構成部品(5)と前記第2の構成部品(7)の互いに繰り返す相対移動によって繰り返し対向位置に配置され、又は、
前記電気導体(8)及び前記永久磁石(9)は前記第1の構成部品(5)に配置され、第2の電気導体(8)及び第2の永久磁石(9)は前記第2の構成部品(7)に配置され、ループ状に配置された複数の前記電気導体(8)及び複数の前記永久磁石(9)は、前記第1の構成部品(5)と前記第2の構成部品(7)の互いに繰り返す相対移動によって繰り返し対向位置に配置されることを特徴とする方法。
【符号の説明】
【0081】
1 軸受装置
2 滑り軸受要素
3 軸受レセプタクル
4 消費機器
5 構成部品
6 軸方向
7 構成部品
8 電気導体
9 永久磁石
10 前面
11 構成部品
12 センサ
13 遠隔測定装置
14 潤滑隙間