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特許7591058眼鏡用フレームの構成部品を固定するための装置、およびそのような固定装置を含む眼鏡
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】眼鏡用フレームの構成部品を固定するための装置、およびそのような固定装置を含む眼鏡
(51)【国際特許分類】
   G02C 5/20 20060101AFI20241120BHJP
   G02C 5/02 20060101ALN20241120BHJP
【FI】
G02C5/20
G02C5/02
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022538721
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-27
(86)【国際出願番号】 EP2020087272
(87)【国際公開番号】W WO2021130137
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-10-20
(31)【優先権主張番号】102019000025387
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】500064225
【氏名又は名称】サフィーロ・ソシエタ・アツィオナリア・ファブリカ・イタリアナ・ラボラツィオーネ・オッチアリ・エス・ピー・エー
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルトゥージ,アンペリオ
(72)【発明者】
【氏名】ソーセル,エリック
(72)【発明者】
【氏名】マネラ,ジョルジオ
【審査官】鈴木 玲子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0135370(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0077041(US,A1)
【文献】実開平05-052817(JP,U)
【文献】特開平09-230289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 1/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡用フレーム(2)の構成部品を相互に固定するための固定装置(3)であって、
前記フレーム(2)の第1の構成部品と関連する、前記フレーム(2)の第2の構成部品と関連する第2の固定要素内に滑動可能に結合することで接続可能な第1の固定要素と、前記フレームの前記第1の構成部品および前記第2の構成部品を相互に固定するために、結合方向に対して横方向に、前記第1の固定要素と前記第2の固定要素との間で作用するロック手段と、を備え、
前記第1の固定要素は、前記結合方向に対して横方向(Y)に、第1の磁石(11)を滑動可能に受容することができる少なくとも1つの第1の座部(10)を備え、
前記少なくとも1つの第1の座部(10)は、前記第2の固定要素に向けて開口しており、
前記第2の固定要素は、第2の磁石(12)と、前記第1の固定要素に向けて開口している第2の座部(13)と、を備え、
前記第2の磁石(12)は、前記第2の座部(13)の近傍に設けられ、
前記第1の磁石(11)および前記第2の磁石(12)は、それぞれ、前記第1の固定要素および前記第2の固定要素の各々に、別個の異なる磁石として、かつ、磁極が互いに逆である磁石として設けられ、
磁極が逆である前記第1の磁石(11)および前記第2の磁石(12)の相互位置関係によって生じる前記第1の磁石と前記第2の磁石との間の磁気吸引力によって、前記第1の磁石(11)が前記第1の座部(10)から部分的に抜かれて移動したときに、前記第2の座部(13)は、少なくとも前記結合方向において、接続の遊びを少なくして、前記第1の磁石(11)の一部を受容するような大きさを有し、
これにより、前記第1の磁石(11)は、前記第1の座部(10)および前記第2の座部(13)に係合することで、前記第1の固定要素および前記第2の固定要素との間の相対的な移動を防止して、前記要素間の相対的なロックを生じさせることができることを特徴とする、
装置。
【請求項2】
前記第1の固定要素は、複数の前記第1の座部(10)にそれぞれ配置された複数の前記第1の磁石(11)を備え、前記第1の座部(10)の各々には、前記結合方向に対して横方向(Y)に、前記第1の磁石(11)が滑動可能に受容され、前記第1の座部(10)は、前記第2の固定要素に向けて開口しており、互いに所定の間隔を空けて前記結合方向に整列しており、これにより、前記第2の磁石(12)によって磁気的に引き寄せられたときに、前記第1の磁石(11)のうちの1つが前記第2の座部(13)に係合して、前記固定要素間に、前記結合方向に調整可能なロックを生じさせることができる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の座部(10)は、前記第1の固定要素において規則的なピッチを有するように整列している、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第2の磁石(12)は、前記第2の固定要素に設けられた押しボタン制御部(14)と関連し、前記押しボタン(14)は、前記押しボタンに作用する弾性戻り手段に対抗して、前記結合方向に対して横方向に、前記第2の磁石(12)および前記第2の磁石(12)に磁気的に接続された前記第1の磁石(11)を第1の位置と第2の位置との間で付勢することができ、前記第1の位置は、前記押しボタン(14)が解放された状態で、前記第2の磁石(12)に磁気的に接続された前記第1の磁石(11)が、前記第1の座部(10)および対応する前記第2の座部(13)に係合する位置であり、これにより、前記固定要素間に相対的なロックを生じさせることができ、前記第2の位置は、前記押しボタン(14)が押下された状態で、前記第2の磁石(12)に磁気的に引き寄せられる前記第1の磁石(11)が、前記押しボタン(14)に対する外部からの押下動作によって、対応する前記第1の座部(10)内に完全に移動する位置であり、これにより、前記結合方向における前記第1の固定要素および前記第2の固定要素の相対的な滑動が可能になる、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記結合方向において前記第2の固定要素上で滑動可能に案内されるスライダ式の制御部材(15)を備え、前記スライダ式の部材(15)には、互いに所定の間隔を空けて整列している前記第2の磁石(12)および第3の磁石(16)が設けられ、前記第2の磁石(12)および前記第3の磁石(16)は、前記結合方向に対して横方向に磁極が逆であるように配置され、前記スライダ式の部材(15)は、第1の位置と第2の位置との間で並進移動することができ、前記第1の位置は、前記第2の磁石(12)と対応する前記第1の磁石(11)との間に磁気的相互接続が生じる位置であり、これにより、前記固定要素間に相対的なロックを生じさせることができ、前記第2の位置は、対応する前記第1の磁石(11)が、対応する前記第1の座部(10)内に完全に移動するように、前記第3の磁石(16)と対応する前記第1の磁石(11)との間に相互反発が生じる位置であり、これにより、前記結合方向における前記第1の固定要素および前記第2の固定要素の相対的な滑動が可能になる、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記結合方向に対して横方向に向けられた回転軸(Z)を中心に、前記第2の固定要素に回転可能に支持された制御部材(18)を備え、前記制御部材(18)には、互いに径方向に整列して前記回転軸(Z)に対して鏡面対称の位置に配置された前記第2の磁石(12)および第3の磁石(16)が設けられ、前記第2の磁石(12)および前記第3の磁石(16)は、前記回転軸と平行な方向において磁極が逆になっており、前記制御部材(18)は、第1の角度位置と、前記第1の角度位置に対して180°回転した第2の角度位置との間で回転可能であり、前記第1の角度位置は、前記第2の磁石(12)と対応する前記第1の磁石(11)との間に磁気的相互接続が生じる位置であり、これにより、前記固定要素間に相対的なロックを生じさせることができ、前記第2の角度位置は、前記第1の磁石(11)が、対応する前記第1の座部(10)内に完全に移動するように、前記第3の磁石(16)と対応する前記第1の磁石(11)との間に磁気的相互反発が生じる位置であり、これにより、前記結合方向における前記第1の固定要素および前記第2の固定要素の相対的な滑動が可能になる、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記結合方向に対して横方向に向けられた回転軸()を中心に、前記第2の固定要素に回転可能に支持された制御部材(18)を備え、前記制御部材(18)には、前記回転軸を中心とし、前記回転軸に垂直な方向において磁極が逆である前記第2の磁石(12)が設けられ、前記制御部材(18)は、第1の角度位置と、前記第1の角度位置に対して180°回転した第2の角度位置との間で回転可能であり、前記第1の角度位置は、前記第2の磁石(12)と対応する前記第1の磁石(11)との間に磁気的相互接続が生じる位置であり、これにより、前記固定要素間に相対的なロックを生じさせることができ、前記第2の角度位置は、前記第1の磁石(11)が、対応する前記第1の座部(10)内に完全に移動するように、前記第2の磁石(12)と対応する前記第1の磁石(11)との間に磁気的相互反発が生じる位置であり、これにより、前記結合方向における前記第1の固定要素および前記第2の固定要素の相対的な滑動が可能になる、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
レンズを支持する前部マウントを含むフレーム(2)と、
前記フレーム(2)の構成部品として前記フレーム(2)の両側にそれぞれ設けられ、前記前部マウントにヒンジ接続された側方アーム(5)と、
請求項1~7のいずれか1項に記載の、前記フレーム(2)の構成部品を相互に固定するための固定装置(3)と、
を備える、眼鏡。
【請求項9】
前記フレーム(2)の構成部品は、前記側方アーム(5)を含み、前記側方アーム(5)は、前記側方アーム(5)の末端部に位置する第1の部分(6a)、および前記側方アーム(5)の前記末端部とは反対側の基端部側において前記固定装置(3)と前記前部マウントの一対のレンズ保持リム(4)との間に位置する第2の部分(6b)を含む、請求項8に記載の眼鏡。
【請求項10】
前記フレーム(2)の構成部品は、眼鏡のレンズを保持するために前記前部マウントに設けられた一対のレンズ保持リム(4)と、前記一対のレンズ保持リム(4)間の中央接続ブリッジ(5a)と、を含む、請求項8に記載の眼鏡。
【請求項11】
前記フレーム(2)の構成部品は、眼鏡のレンズを保持するために前記前部マウントに設けられた一対のレンズ保持リム(4)の端部(4a,4b)を含み、前記端部は、前記一対のレンズ保持リムの中断領域において互いに対向し、前記固定装置(3)は、前記一対のレンズ保持リム(4)に前記レンズを保持するために前記端部(4a,4b)を閉鎖させる、請求項8に記載の眼鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼鏡用フレームの構成部品を固定するための装置に関する。
【0002】
また、本発明は、上記固定装置を含む眼鏡に関する。
【背景技術】
【0003】
特に、本発明は、眼鏡の分野に関し、ここでは、相互固定手段および装置によるフレームの構成部品の組立体が提供される。
【0004】
本明細書において、「フレームの構成部品」という用語は、例えば、眼鏡のアームの連結用突起部(lug)、または2つのレンズ保持リムを中央で接続するように延在する鼻あてブリッジ、またはレンズを保持する前フレームの半分部分、または各アームまたはその部品、またはアームを突起部に連結するためのヒンジ、または各レンズ保持リムまたはその部品を含む、フレームに配置され得る任意の構成要素を意味する。フレームにおいて互いに連続するこれらの構成部品の組は、眼鏡のフレームを作製するために、適切な固定手段によって恒久的または解放可能に相互に接続され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、フレームの簡単且つ迅速な組み立てに有効であると同時に、恒久的な固定システムが提供された場合、且つ解除可能な固定が望ましい場合に、接続された部品間の最適な保持を保証することができる、眼鏡用フレームの構成部品間の固定装置を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、例えば構成要素の長さなどの寸法を特に調整可能にする、フレームの構成部品間の固定装置を提供することである。
【0007】
この目的および以下でより明らかになるその他の目的は、添付の特許請求の範囲に記載された特徴を有する装置によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、眼鏡用フレームの構成部品を相互に固定するための装置が提供される。該装置は、フレームの第1の構成部品と関連する、フレームの第2の構成部品と関連する第2の固定要素内に滑動可能に結合することで接続可能な第1の固定要素と、フレームの第1の構成部品および第2の構成部品を相互に固定するために、結合方向に対して横方向に、第1の固定要素と第2の固定要素との間で作用するロック手段と、を備える。第1の固定要素は、結合方向に対して横方向に、第1の磁石を滑動可能に受容することができる少なくとも1つの第1の座部を備える。少なくとも1つの第1の座部は、第2の固定要素に向けて開口している。第2の固定要素は、第2の磁石と、第1の固定要素に向けて開口している第2の座部と、を備える。第2の磁石は、第2の座部の近傍に設けられる。磁極が逆である第1の磁石および第2の磁石の相互位置関係によって生じる第1の磁石と第2の磁石との間の磁気吸引力によって、第1の磁石が第1の座部から部分的に抜かれて移動したときに、第2の座部は、少なくとも結合方向において、接続の遊びを少なくして、第1の磁石の一部を受容するような大きさを有する。これにより、第1の磁石は、第1の座部および第2の座部に係合することで、第1の固定要素と第2の固定要素との間の相対的な移動を防止して、要素間に相対的なロックを生じさせることができる。
【0009】
本発明の別の態様によれば、第1の固定要素は、複数の第1の座部にそれぞれ配置された複数の第1の磁石を備える。各第1の座部内には、結合方向に対して横方向に、対応する第1の磁石が滑動可能に受容される。第1の座部は、第2の固定要素に向けて開口しており、互いに所定の間隔を空けて結合方向に整列している。これにより、第2の磁石によって磁気的に引き寄せられたときに、第1の磁石のうちの1つが第2の座部に係合して、固定要素間に、結合方向に調整可能なロックを生じさせることができる。
【0010】
本発明の別の態様によれば、第1の座部は、第1の固定要素において規則的なピッチを有するように整列している。
【0011】
本発明の別の態様によれば、第2の磁石は、第2の固定要素に設けられた押しボタン制御部と関連する。押しボタンは、押しボタンに作用する弾性戻り手段に対抗して、結合方向に対して横方向に、第2の磁石を第1の位置と第2の位置との間で付勢することができる。第1の位置は、押しボタンが解放された状態で、第2の磁石に磁気的に接続された第1の磁石が、第1の座部および対応する第2の座部に係合する位置であり、これにより、固定要素間に相対的なロックを生じさせることができる。第2の位置は、押しボタンが押下された状態で、第2の磁石に磁気的に引き寄せられる第1の磁石が、押しボタンに対する外部からの押下動作によって、対応する第1の座部内に完全に移動する位置であり、これにより、結合方向における第1の固定要素および第2の固定要素の相対的な滑動が可能になる。
【0012】
本発明の別の態様によれば、装置は、結合方向において第2の固定要素上で滑動可能に案内されるスライダ式の制御部材を備える。スライダ式の部材には、互いに所定の間隔を空けて整列している第2の磁石および第3の磁石が設けられる。第2の磁石および第3の磁石は、結合方向に対して横方向に磁極が逆であるように配置される。スライダ式の部材は、第1の位置と第2の位置との間で並進移動することができる。第1の位置は、第2の磁石と対応する第1の磁石との間に磁気的相互接続が生じる位置であり、これにより、固定要素間に相対的なロックを生じさせることができる。第2の位置は、対応する第1の磁石が、対応する第1の座部内に完全に移動するように、第3の磁石と対応する第1の磁石との間に相互反発が生じる位置であり、これにより、結合方向における第1の固定要素および第2の固定要素の相対的な滑動が可能になる。
【0013】
本発明の別の態様によれば、装置は、結合方向に対して横方向に向けられた回転軸を中心に、第2の固定要素に回転可能に支持された制御部材を備える。制御部材には、互いに径方向に整列して回転軸に対して鏡面対称の位置に配置された第2の磁石および第3の磁石が設けられる。第2の磁石および第3の磁石は、回転軸と平行な方向において磁極が逆になっている。制御部材は、第1の角度位置と、第1の位置に対して180°回転した第2の角度位置との間で回転可能である。第1の角度位置は、第2の磁石と対応する第1の磁石との間に磁気的相互接続が生じる位置であり、これにより、固定要素間に相対的なロックを生じさせることができる。第2の角度位置は、第1の磁石が、対応する第1の座部内に完全に移動するように、第3の磁石と対応する第1の磁石との間に磁気的相互反発が生じる位置であり、これにより、結合方向における第1の固定要素および第2の固定要素の相対的な滑動が可能になる。
【0014】
本発明の別の態様によれば、装置は、結合方向に対して横方向に向けられた回転軸を中心に、第2の固定要素に回転可能に支持された制御部材を備える。制御部材には、回転軸を中心とし、回転軸に垂直な方向において磁極が逆である第2の磁石が設けられる。制御部材は、第1の角度位置と、第1の位置に対して180°回転した第2の角度位置との間で回転可能である。第1の角度位置は、第2の磁石と対応する第1の磁石との間に磁気的相互接続が生じる位置であり、これにより、固定要素間に相対的なロックを生じさせることができる。第2の角度位置は、第1の磁石が、対応する第1の座部内に完全に移動するように、第2の磁石と対応する第1の磁石との間に磁気的相互反発が生じる位置であり、これにより、結合方向における第1の固定要素および第2の固定要素の相対的な滑動が可能になる。
【0015】
本発明の別の態様によれば、レンズを支持するための前部マウントを含むフレームと、前部マウントにヒンジ接続された側方アームと、上述した態様のうちの1つまたは複数に従って作製された、フレームの構成部品間の固定装置と、を備える眼鏡が提供される。
【0016】
本発明の別の態様によれば、フレームの構成部品は、各側方アームの第1の部分および第2の部分を含む。
【0017】
本発明の別の態様によれば、フレームの構成部品は、前部マウントのレンズ保持リムと、レンズ保持リム間の中央接続ブリッジと、を含む。
【0018】
本発明の別の態様によれば、フレームの構成部品は、レンズ保持リムの端部を含む。これらは、リムの中断領域において互いに対向する。固定装置は、リム内にレンズを保持するために、端部を閉鎖させる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の特徴および利点は、添付の図面を参照して非限定的な一例として示すいくつかのこの好ましい実施形態の以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
図1】本発明に従って作製された、フレームの構成部品を固定するための装置が設けられた眼鏡の一実施形態の斜視図である。
図2】本発明の装置で固定するために設けられた図1のフレームの構成部品を拡大して示す部分断面斜視図である。
図3図2の構成要素の部分平面図である。
図4図2の構成要素の部分側面図である。
図5図2のフレームの構成部品の詳細を示す側面図である。
図6図2のフレームの構成部品の詳細を示す平面図である。
図7図2のフレームの構成部品の別の詳細を示す側面図である。
図8図2のフレームの構成部品の別の詳細を示す平面図である。
図9図7および図8の詳細を示す正面図である。
図10】本発明の装置が動作状態にある、図2の構成部品を模式的に示す部分断面平面図である。
図11】一実施形態における図1図10の詳細を拡大して示す部分断面側面図である。
図11A】構造変形例の詳細を示す、図11に対応する図である。
図11B図11Aに示す詳細の追加的な構造変形例を拡大して示す部分断面側面図である。
図11C図11Aに示す詳細の追加的な構造変形例を拡大して示す部分断面側面図である。
図12】一実施形態における図1図10の詳細を拡大して示す部分断面側面図である。
図13図10に対応する図であり、フレームの構成部品が、本発明の装置の動作に関する状態で示されている。
図14図13に続く動作に関する状態を示す図である。
図15図14に続く動作に関する状態を示す図である。
図16図1図15の構成部品の詳細における構造変形例の部分断面平面図である。
図16A】構造変形例の詳細を示す、図16に対応する図である。
図17】本発明の装置の構造変形例の部分断面平面図である。
図18図17の装置を縮小して示す側面図である。
図19】異なる動作状態にある、図17の装置の部分断面平面図である。
図20図19の装置を縮小して示す側面図である。
図21】本発明の装置の別の構造変形例を示す、図17に対応する図である。
図22】本発明の装置の別の構造変形例を示す、図18に対応する図である。
図23図21の装置の構造変形例を示す、図19に対応する図である。
図24図21の装置の構造変形例を示す、図20に対応する図である。
図25】本発明の装置の別の構造変形例を示す、図21に対応する図である。
図26】本発明の装置の別の構造変形例を示す、図22に対応する図である。
図27図25の装置の構造変形例を示す、図23に対応する図である。
図28図25の装置の構造変形例を示す、図24に対応する図である。
図29】別の構造変形例を示す、図26に対応する図である。
図30】別の構造変形例を示す、図28に対応する図である。
図30A】別の構造変形例を示す、図29に対応する図である。
図30B】別の構造変形例を示す、図30に対応する図である。
図31図2のフレームの構成部品の詳細を示す、別の構造変形例の側面図である
図32図31の変形例におけるフレームの構成部品の側面図である。
図33図32の構造変形例の別の詳細を示す側面図である。
図34図33の詳細を示す平面図である。
図35図32の構造変形例の平面図である。
図36図32の構造変形例の部分断面平面図である。
図37】本発明の装置で相互に固定するために設けられた、フレームの1対の構成部品の別の実施例を示す部分断面図である。
図38】本発明の装置で相互に固定するために設けられた、フレームの1対の構成部品の別の実施例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上述した図を参照すると、参照符号1は、フレーム2を有する眼鏡を全体として示している。ここでは、本発明に従って作製され、参照符号3によって全体として示されている固定装置によって1組以上の構成部品が相互に固定される。
【0021】
フレーム2は、レンズをそれぞれ支持するための1対のレンズ保持リム4を有する前部マウントと、1対の連結アーム5と、レンズ保持リムを中央で接続するための中央ブリッジ5aと、を備える。
【0022】
前部マウントの両側にある側方端部の各々において、アーム5は、特定の技術分野において「突起部」としても知られているフレーム要素5bにヒンジ状に連結される。このヒンジ接続は、例えば、突起部およびアームを含む各対に対向する対応する端部に形成されたアイレットに係合するヒンジピンによって提供され得る。
【0023】
本明細書において、「フレームの構成部品」という用語は、例えば、前部マウント(またはレンズ保持リムのそれぞれのハーフマウント)、レンズ保持リムのための中央接続ブリッジ、各アームまたはその一部(例えばアーム端部)、各連結用突起部、アームの各連結用ヒンジ、各レンズ保持リムまたはその一部など、任意の単一の構成要素を意味する。本発明は、互いに連続した位置に設けられたこのようなフレーム要素またはその一部の対を相互に接続するための共通の固定装置3に関する。
【0024】
以下、例えば、2つのアーム部分5を固定するためにフレームに設けられた固定装置3の第1の実施形態を詳細に説明する。ここで、第1の部分6aは、アーム端部を有し、第2の部分6bは、ヒンジピンによって対応する突起要素5bに連結され得る。
【0025】
なお、各アーム5に固定装置3が設けられるが、その実質的な構造上の同一性とフレームにおける対称的な位置関係の理由から、以下ではアーム5の一方だけを説明することに留意されたい。
【0026】
装置3は、アーム部分6aと関連する第1の固定要素を備える。第1の固定要素は、アーム部分6bと関連する第2の固定要素内で方向Xにおいて軸方向に滑動可能に結合することで接続可能になっている。ロック手段は、アーム部分6aおよび6bを相互にロックするために、軸方向の滑動方向Xに対して横方向に、第1の固定要素と第2の固定要素との間に作用する。
【0027】
より詳細には、第2の固定要素は、箱型部材7として形成され、その内部空隙8は、方向Xに延在し、形状に適合した接続と限られた接続の遊びで、第1の固定要素を受容する。第1の固定要素は、ロッド状部材9の形態を有し、固定要素間で入子式に伸縮可能なタイプの滑動可能な結合を生じさせるのに適した断面を有する。
【0028】
ロッド状部材9の断面形状は四角形が好ましい(好ましくは正方形または長方形プロファイルを有する)が、他の断面形状を選択することもできる。
【0029】
第1の固定要素は、少なくとも1つの座部10、好ましくは複数のそのような座部10を備える。各座部は、磁石11を滑動可能に受容することができる。個々の座部10における磁石11の滑動方向は、横方向、好ましくは方向Xに対して垂直方向に延在する。各座部10は、部材9に設けられた開口部または止まり穴の形態を有し、開口部10bの反対側で基部10aを有し、そこを介して座部が箱型部材7の空隙8に開口する。
【0030】
個々の受容座部10と関連する対応する磁石11の滑動方向が参照符号Yによって示されている。座部10は、互いに所定の間隔を空けて方向Xに整列および隣接している。図8に示すように、3つの対応する磁石11とそれぞれ関連する3つの座部10が設けられている好ましい実施形態において、座部10が規則的なピッチを有するように間隔を空けて配置されている。
【0031】
有利には、座部10および磁石11の断面は円形プロファイルを有するが、他の断面プロファイルを選択することもできる。
【0032】
第2の固定要素は、第2の磁石12と、第2の座部13と、を備える。本実施形態(図10の組立体)において、座部13は、空隙8と連通するように、および座部10の開口部10bに向けて開口するように、箱型部材7のカバーに設けられた開口部または貫通穴から構成される。
【0033】
より詳細には、1対の固定要素間の方向Xへの相対的な移動の間、座部13は、いずれかの座部10の開口部の領域に移動されて、対応する所定の座部10と連通することができる。
【0034】
磁石12は、座部13の近傍で箱型部材7に設けられ、方向Yと平行な方向において座部13に滑動可能に受容される。さらに、磁石12は、磁石11の磁化方向と一致する磁化方向を有するように部材7に配置される。その結果、(座部13が対応する座部10の領域にあるときに)互いに対向する磁石12および対応する磁石11の磁極が逆となり、相互に磁気吸引作用がもたらされる。図において、磁界のN極領域およびS極領域がそれぞれ「N」および「S」で示されている。
【0035】
このように磁極が逆の磁化方向を含む構成とした場合、相互に対応された(方向Yと平行に整列している)磁石12と対応する磁石11は、互いに引き寄せられる。
【0036】
さらに、(磁極が逆である相互位置関係に関連して)対向する位置にある1対の磁石11および12の間の磁気吸引力によって、磁石11が個々の座部10から部分的に抜かれて移動したときに、座部13は、特に方向Xにおいて、接続の遊びを少なくして、対応する磁石11の一部を受容するような大きさを有する。
【0037】
この移動に続いて、対応する磁石11は、座部10の一部と座部13の一部と同時に係合ことができる。これにより、結合方向Xにおける固定要素間の相対的な移動を防止することができ、また、固定要素間の相対的なロックをもたらすことができる。すなわち、個々の座部10から突出し、座部13に受容される磁石11の部分は、方向Xにおける固定要素間の相対的な移動のための固定要素として作用する。
【0038】
図10は、上述したロック状態を示しており、ここでは、磁石12に磁気的に引き寄せられた対応する磁石11が、アーム部分6aおよび6bの固定要素間の相対的な移動を阻止するように、座部13の一部に係合して移動する。
【0039】
ロッド状部材9内のそれぞれの磁石11に対して複数の座部10を設けることで、アーム部分6aおよび6bを複数の位置で相互にロックすることができる。これにより、ロッド6の全長を調整可能にすることができる。調整位置の数は、ロッド状部材9内に設けられた磁石11の数に明確に依存する。本実施形態において、3つの磁石11を設けることで、アーム部分間の3つの異なる相対位置での調整が可能になる。
【0040】
装置3は、箱型部材7の磁石12と関連する押しボタン制御部14をさらに備える。これにより、押しボタンに作用する弾性戻り手段に対抗して方向Y(軸方向の結合方向Xに対して横方向)に磁石12を押すことができる。
【0041】
一実施形態において、押しボタン14の本体は、弾性材料(例えばゴムまたは軟質プラスチック材料製)の球体または蓋のように構成され得る。これは、磁石12を覆い、そこに固定される。
【0042】
したがって、磁石11は、方向Yにおいて、第1の位置と第2の位置との間で移動可能である。第1の位置は、押しボタン14が解放された状態で、磁石12に磁気的に接続された磁石11が、アーム部分6aおよび6bの相対的なロックを生じさせるように、座部10と13の両方に係合する位置である。第2の位置は、押しボタン14が押下された状態で、(押しボタンの押下動作によって)磁石11が、磁石12によって個々の座部10内に完全に移動する位置であり、これにより、軸方向Xにおける固定要素間(そしてアーム部分間)の相対的な滑動が可能になる。なお、この第2の位置において、押しボタン14の作用によって移動される磁石12は、その移動にわたって個々の座部13内に留まり、ロッド状部材9と干渉することなく、箱型部材7に対して方向Xに滑動することができることに留意されたい。
【0043】
したがって、押しボタン14が押下された状態では(図12)、追加的な相対位置(座部13が所定の座部10の領域にある状態)に到達するまで、アーム6の一部が他のアーム部分に対して(方向Xに)並進移動し、押しボタンが解放された状態では(図11)、磁石11が個々の座部10から部分的に抜かれて、箱型部材の座部13に係合して、アーム部分間の相対的なロックがもたらされる。
【0044】
押しボタンに設けられた弾性戻り手段は、座部13内で磁石12の方向Yへの移動範囲を制限するように押しボタンに作用する。
【0045】
弾性戻り手段に関しては、例えば、隣り合うように複数回巻かれた金属線から作製された1つまたは複数の従来型のばね14aから構成されてもよい。これは、押しボタン内に適用される。その一実施形態が図11Aに示されている。
【0046】
実際、ばねは、押しボタンが解放された位置において、待機位置(すなわち応力がかかっていない状態)となるような寸法にすることができる。これにより、ばねは、磁石12を座部13と座部10の両方の部分的な係合位置に安定して維持することができる。
【0047】
押しボタンが押下されたときに、圧縮されたばねは、磁石11が座部10の基部10aに接触できるように十分に変形できること、あるいはいかなる場合においても、座部10のみに係合するために座部13から完全に係合解除できることが明らかに必要である。
【0048】
押しボタンが解放されると、ばねの弾性反応が戻り力として作用し、磁石12、ひいては磁石12によって引き寄せられた磁石10をロック位置に戻す。ばねの位置に関しては、磁石12とともに押しボタン内に収容することができ、これらは、同じ磁石12の位置に対して隣接した位置、すなわち横方向の位置に適用される。
【0049】
代替的に、より具体的なケースとして、装置の全体的な空間的要件を制限する目的がある場合、単一のばねを使用することでより有利な構成を提供することができる。この場合のばねは、その内径、すなわちねじりの内径が磁石12の最大横寸法よりも大きくなるように選択される。
【0050】
この場合、磁石12は、ばねを構成する一連のねじりによって確保される空いた空間に少なくとも部分的に収納され得る。この変形例において、ばねの一方の端部は、押しボタンの基部面に固定的に接合され、他方の端部は、固定なしに、座部13の開口部を囲む箱型部材7の表面に上に単に置かれている。実際、弾性戻り手段の機能とともに使用されるばねは、一般に、例えば、座部13の開口部の周りの箱型部材7の外面から構成される表面または当接手段に接触する必要がある。このようにして、押しボタンが解放されると、磁石12を移動させるために押しボタンに加えられる圧力に対抗して、ばねは、その初期形状に弾性的に戻るために圧縮され得る。
【0051】
必要に応じて、磁石12の寸法よりも大きくない最大横方向寸法を有するスペーサ要素14bを任意選択で使用してもよい。また、スペーサは、ばね内の空いた空間に収容される。スペーサは、押しボタンの基部面と磁石12の最も外側の表面との間に介在する。さらに、スペーサは、押しボタンの基部面と磁石12の両方に固定的に接合される。スペーサを使用することで、特に磁石12の厚さ、すなわち軸Yに沿って測定した磁石12の寸法が、変形していない状態のばねの長さよりも小さい場合、ばねの長さに対する装置の全体的な寸法を適合させることができる。
【0052】
金属線のばねに代えて、弾性戻り手段は、例えばゴム、エラストマー材料または十分に軟らかくて柔軟なプラスチック材料などの弾性材料から作製された変形可能な要素14cから構成されてもよい。
【0053】
変形可能な要素は、金属線のばねから構成された弾性手段の第2の変形例について上述したものと同様に、磁石12を受容するように、例えば、内部空隙を有し、より大きい基部が箱型部材7に向けられるように、円錐台の形状と同様の形状(したがって断面形状は円形の周縁を有する)を有してもよい。
【0054】
代替的に、変形可能な要素は、上述したものと同様に、磁石12を受容するように、内部空隙を有し、個々のより大きい基部が箱型部材7に向けられるように、四角い基部を有する角錐台の形状と同様の形状を有してもよい。
【0055】
代替的に、変形可能な要素は、上述したものと同様に、磁石12を受容するように、内部空隙を有し、個々の凹部が箱型部材7に向けられるように、球状、または楕円形の蓋の形状と同様の形状、またはいずれにしても長円形の断面を有する蓋と同様の形状を有してもよい。
【0056】
代替的に、変形可能な要素は、上述したものと同様に、磁石12を受容するように、内部空隙を有し、個々の凹部が箱型部材7に向けられるように、円筒形の形状、または円筒面と球状の蓋との組み合わせによって得られる形状、または同様の形状を有してもよい。
【0057】
特に、弾性要素のために選択された形状(例えば円筒形の形状)が軸Yに沿って箱型部材7に近づくように移動させる変形にあまり適していない場合、弾性変形に対するその抵抗を低減することができる構造、例えば、一連のスロットまたは側壁に形成された不連続部、側壁に沿って設けられた、一連の蛇腹構成に特有の折り目と同様の単一の折り目または一連の折り目などの構造を弾性要素の部材内に設けることができる。
【0058】
代替的に、上述した実施例とは異なり、変形可能な要素は、例えばブリッジまたは突起の形状(図11B)のように、他の形状に対してより大きい寸法によって特徴付けられる形状を有してもよい。ここで、ブリッジまたは突起の上部は、箱型部材7とは反対方向に向けられている。この場合、磁石12は、ブリッジ状または突起状構造の下方の空間に配置され得る。また、このブリッジまたは突起は、弓またはクロスボウのように弾性変形することができ、その上部を軸Yに沿って箱型部材に向かうようにまたはそこから離れるように移動させ、場合によっては伸長または短縮させ、その結果、横方向の空間的要件に関して寸法を変化させることができる。
【0059】
原則的に、ブリッジ状または突起状の弾性要素は、任意の向きで箱型部材7に適用され得る。すなわち、軸Yに垂直な箱型部材7の表面に接する平面で測定された、ブリッジまたは突起の長手方向軸と軸Xとの間の潜在的角度の値は、本明細書に記載の装置の動作の目的に対して特に重要性を付与しない。
【0060】
しかしながら、例えばフレームの構成部品の全体的な寸法を含む目的で、ブリッジまたは突起の向きを方向Xと平行にすることが好ましい場合がある。
【0061】
最後に、変形可能な要素は、台形である側面プロファイルを有してもよい。この場合、台形の最大の基部が箱型部材7の外面上に配置される。あるいは、変形可能な要素は、弓状の形状を有してもよい。これは、ブリッジ状または突起状の形状について上述したものと同様に適用可能である(図11C)。
【0062】
なお、金属線が巻かれたばねから構成されていない弾性要素の変形例におけるばねについては、弾性要素と押しボタンとを個別に作製するか、あるいは、弾性要素の構造および機能と押しボタン制御部の構造および機能とを共存させた単一の手段を作製するかを選択することが可能であることに留意されたい。後者の選択肢であれば、組み立てる部材の数が少なくなるため、装置の複雑さおよび/または製造コストを低減する必要性に適合することができる。
【0063】
押しボタンと弾性要素が単一の部材から形成された場合、部材の形状に関するすべての可能な変形例、またはスロット、折り目および必要に応じて部材の変形性を高めることができる要素を提供することに関連して、弾性材料から作製される単一の弾性要素を構成するために上述した同じ考慮事項が適用される。
【0064】
さらに、押しボタンと弾性要素が単一の部材で一体化している場合、装置の見えている部分により有利な特性を与えるために、審美的特性、すなわち外観に関して考慮することができる。例えば、ブリッジ、突起、台形または弓の形状で作製され、弾性戻り手段の機能を果たす押しボタンの場合、部材の長手方向軸の向きを軸Xと平行にすることを提案することができる。これにより、組立体の外観をより満足のいくものとすることができる。
【0065】
また、装置を、取り外し可能な組立システムとしてではなく、フレームの2つの構成部品の相互配置を調整するためのシステムとして使用する場合には、アーム部材9の取り外し可能な保持手段(図示せず)を箱型部材7に設けることができる。これは、最大の長さへの調整に対応する位置を(意図的にまたは意図せずに)過ぎたときに、アーム部材9が箱型部材7に固定されたまま完全に取り外されることを防止することができる。
【0066】
図16図20を参照すると、上述した実施例と同様の細部が同じ参照符号を用いて示されている本発明の構造変形例において、押しボタン14の代わりとしての装置3は、第2の固定要素の箱型部材7上で方向Xに滑動可能に案内されるスライダ式の制御部材15を備える。磁石12および追加的な磁石16は、スライダ式の制御部材15に受容される。
【0067】
図17に明確に示すように、磁石12および16は、方向Xにおいて互いに所定の間隔を空けて整列しており、方向Y(すなわち方向Xに垂直な方向)において互いに磁極が逆であるように、個々の磁化方向(N極-S極)を有する。
【0068】
さらに、上述した実施例と同様に、磁石12は、磁石11の磁化方向と一致する磁化方向でスライダ式の部材内に配置される。その結果、互いに対向する磁石12および対応する磁石11の磁極が逆となり、相互に磁気吸引作用がもたらされる。
【0069】
その逆に、磁石16は、磁石12に対して磁極が逆であるスライダ式の部材内に配置される。その結果、互いに対向する磁石16および対応する磁石11の磁極が一致(S極-S極)して、磁気的相互反発作用がもたらされる。
【0070】
有利には、磁石12および16は、それらの並進移動中(方向Xにおいて一方向およびその逆方向)に、スライダ部材15が第1の位置と第2の位置との間を並進移動することができるように、スライダ部材に固定される。第1の位置では、磁石12が座部13の領域に位置し、第2の位置では、磁石16が座部13の領域に位置する。
【0071】
第1の位置において、磁石11のうちの1つが座部13内に移動された場合、磁石12と対応する磁石11とが磁気的に引き寄せられる。これにより、上述した方法で固定要素間がロック状態となる。
【0072】
このロック状態から、スライダ部材15を第2の位置に並進移動させることで、対向する磁石16と対応する磁石11との間に磁気的反発作用が誘発されて、磁石11が座部10内に完全に付勢される。これにより、全体として上述したのと同様に、固定要素間の相対的な滑動が可能になる。
【0073】
図16は、ロッド状部材9の好ましい形態を示している。ここで、座部10は、部材9の厚さ方向を貫通するように形成され、カバー9aが、座部10を閉鎖するように、部材9に取り外し可能に設けられて、各座部の基部10aを画定している。有利には、カバー9aは、部材9自体のプロファイルを越えて突出しないように、部材の凹部に受容され得る。
【0074】
開口部10bにおいて、各座部10内には、座部に受容されるように意図された磁石の取り外しを防止することができる当接部10cが設けられる。このために、各磁石11は、直径が異なる2つの部分を有するように形成される。直径が小さい部分は、座部10の開口部10bから突出するような大きさを有し、直径が大きい部分は、座部10内の当接部10cに当接する。部材9における磁石11の設置中には、開口部10bとは軸方向反対側の開口部を介して磁石が対応する座部10に事前に挿入され、次いで、カバー9aが部材9に取り付けられて組み立てが完了する。これにより、受容座部10内に磁石11を確実に保持することができる。
【0075】
図16Aには、カバー(9a)の構造変形例が示されている。一般に、カバーを設けることは、箱型部材7からアーム部材9を取り外す可能性がある間に、磁石11がそれぞれの座部10から意図せずに取り外されることがないように装置を作製することが望ましい場合に特に有利である。
【0076】
また、搬送段階における取り扱いおよび部材の組み立て作業によって、磁石11が座部10から意図せずに取り外されてアーム部材9から離れるという望ましくない事態が生じる可能性があるため、カバーを使用して磁石11を部材7内に保持するためのシステムを得ることは、装置の組み立て段階(例えば工場での組み立て中)において有利である場合がある。
【0077】
このため、カバー9aを設けることは、上述した第1の実施形態を含む本明細書に記載のすべての構造変形例に対して選択肢を与えることになることが明確であろう。
【0078】
図21図24を参照すると、上述した変形例と同様の細部が同じ参照符号を用いて示されている本発明の追加的な構造変形例において、装置3は、スライダ式の制御部材15の代わりに円盤状の制御部材18を備える点で上述した変形例とは異なる。円盤状の制御部材18は、回転軸Zを中心に、第2の固定要素の箱型部材7に回転可能に支持される。回転軸Zは、軸方向の滑動方向Xに対して垂直に向けられている。
【0079】
磁石12および磁石16は、円盤状の部材18に受容され、軸Zに対して、互いに所定の間隔を空けて互いに径方向に整列するように配置されており、軸Zに対して、鏡面対称の位置に装置が配置される。
【0080】
有利には、図21に明確に示すように、円盤状の部材18は、磁石12および16を受容するための内部空隙18aを有するローラとして形成されてもよい。磁石12および16の各々は、軸Y(方向Xに垂直な方向)に沿って互いに磁極が逆であるように個々の磁化方向(N極-S極)を有する。
【0081】
さらに、上述した実施例と同様に、磁石12は、方向Yにおいて、(対応する磁石11に対して方向Yに磁石12が整列した位置にあるときに相互吸引力を確保するように)磁石11の磁極に対して一致する磁極を有し、磁石16は、方向Yにおいて、(対応する磁石11に対して方向Yに磁石16が整列した位置にあるときに相互反発力を確保するように)磁石11の磁極とは磁極が逆になっている。
【0082】
有利には、磁石12および16は、その回転中(回転軸Zを中心に一方向およびその逆方向)に、円盤状の部材18が第1の位置と第2の位置(第1の位置に対して180°回転される)との間で回転できるように、円盤状の部材18に固定される。第1の位置では、磁石12が座部13の領域にあり、第2の位置では、磁石16が座部13の領域にある。
【0083】
第1の位置において、磁石11のうちの1つが座部13内に移動された場合、磁石12と対応する磁石11とが磁気的に引き寄せられる。これにより、上述した方法で固定要素間がロック状態となる。
【0084】
このロック状態から、円盤状の部材18を第2の位置まで回転することで、対向する磁石16と対応する磁石11との間に磁気的反発作用が誘発されて、磁石11が個々の座部10内に完全に付勢される。これにより、全体として上述したのと同様に、固定要素間の相対的な滑動が可能になる。
【0085】
図25図28を参照すると、上述した実施形態の追加的な変形例において、円盤状の部材18は、上述した実施例における直径に対してより大きい直径を有する円形プロファイルを有する。このようにして、軸Zから半径方向の間隔を上述した実施例よりも大きくして磁石12および16を配置することができる。この場合、軸Zに対する磁石の鏡面対称の位置は同じままである。動作方法は、上述した実施例と概ね同等である。
【0086】
ローラ式の制御部材の寸法を変化させること、特に大きくすることの利点は、ローラが取り付けられる別の構成要素のアーム部材の寸法に対して比例する寸法および/または一致する寸法を有するローラを関連付けることができるという事実に関連する。
【0087】
図26および図28に対応する図29および図30を参照すると、別の変形例は、回転制御部材を提供するが、この場合、制御部材の作動手段は、円盤状の部材の代わりに、長円形の部材(ここでも参照符号18で示されている)を備える。長円形の部材は、2つの磁石12および16が上述した実施例に対応する位置に設けられ、同じ動作原理が維持された状態で、軸Zを中心に、箱型部材7に回転可能に支持される。
【0088】
図31図36を参照すると、図2図15の変形例と同様の細部が同じ参照符号を用いて示されている本発明の別の構造変形例において、装置3は、各磁石11が、主に軸Yと平行な方向に磁極を有するのではなく、軸Xと軸Yの両方に垂直な軸Kと平行な方向に偏極されている点で上述した変形例とは異なる。
【0089】
本実施例において、各磁石11は、一方では押しボタンが適用される箱型部材7の壁に向けられ、他方では押しボタンとは反対側の箱型部材の壁に向けられる個々の極(S極-N極)を有する。ここで、装置に設けられたすべての磁石11は、同じ方向および同じ偏極方向を有する(図33)。
【0090】
また、本実施例において、上述した第1の実施形態の基本的な特徴と同様に、磁石12は、軸Kと平行な偏極軸を有し、磁石11の偏極方向に対して逆の偏極方向を有する。本実施例の装置における動作原理は、第1の実施形態について説明した動作に基づいて同じままであり、細部の点では、度々磁石11の位置と動きをもたらす磁気的相互作用が、ここでは単一の極の間でもたらされず、互いに逆の磁極の対の間でもたらされるという点で異なる。
【0091】
また、第1の実施形態の変形例として上述したのと同様に、本実施形態において、単一の磁石12を用いた押しボタン制御部材、または磁石12および磁石16を用いたスライダ式の制御部材、または磁石12および磁石16を用いた円盤状の制御部材、または非円盤状であるがいずれにしても磁石12および磁石16を用いた回転可能な制御部材を設けることができる。
【0092】
押しボタン部材が使用される場合、例えばばねまたは非金属の弾性材料から作製された変形可能な要素から構成された少なくとも1つの弾性戻り手段を装置内に設けることができるため、第1の実施形態について上述した考慮事項が依然として有効である。
【0093】
例えば図32の装置に有利に用いることができる別の構造変形例において、軸Zを中心に回転可能に支持された円盤状の部材18は、その内部空隙において、座部13の領域に位置する単一の磁石12を受容する。磁石12は、回転軸を中心とした位置に取り付けられ、磁石12の互いに逆の磁極の対と、対応する磁石11の対応する磁極の対との間で磁気的相互作用がもたらされるように、回転軸に垂直な方向において磁極が逆になっている。
【0094】
円盤状の制御部材は、第1の位置(図30B)と第2の位置(180°回転後。図30A)との間で回転可能である。第1の位置は、磁石12と対応する磁石11とが磁気的に引き寄せられて座部13と対応させられる位置であり(固定要素間のロック状態)、第2の位置は、磁石11が個々の座部10内に完全に付勢されるように、対向する磁石12と対応する磁石11との間に磁気的反発作用が生じる位置である。これにより、上述したのと同様の固定要素間の相対的な滑動が可能になる。
【0095】
図37は、本発明の固定装置の追加的な適用例を模式的に示している。上述した実施形態において、装置3は、各レンズ保持リム4を中央ブリッジ5aに固定するように構成され得る。したがって、構造的および機能的に互いに同等であり、ブリッジ5aの対称性の中心面に関して鏡面対称の位置に配置される1対の装置が設けられる。
【0096】
各装置3は、対応するリム4に関連する第1の固定要素(ロッド状部材9)を備える。第1の固定要素は、ブリッジ(箱型部材7)に関連する第2の固定要素において軸方向の結合によって接続することができる。図29に明確に示すように、結合によって、対応するリム4に固定的に接合されるロッド状部材9に接続される単一の箱型部材7が個々の軸方向端部に設けられてもよい。
【0097】
図37は、制御用押しボタン14を含む構造変形例における装置3を示しているが、特にスライダ式またはローラ式の制御部材を設けることで、上述した任意のバージョンを代替例として提供することができる。
【0098】
それぞれの受容座部10を有する複数の磁石11が装置3に設けられる場合、レンズ保持リム5の間隔を決定する中央ブリッジ7の長さを調整可能にすることができる。その調整範囲は、装置に設けられた磁石11の数およびそれらのピッチに依存する。
【0099】
図38は、本発明の固定装置の追加的な適用例を模式的に示している。
【0100】
本適用例において、装置3は、レンズ保持リム4の中断領域においてリム自体の互いに対向する2つの端部4aおよび4bを固定するために提供される。この適用例によって、交換可能なレンズに特に適した迅速且つ解除可能なロックでレンズ保持リムを閉鎖することができる。動作方法は、上記実施例を参照して上述したものと同じである。
【0101】
これにより、本発明は、上述した目的を達成し、既知の解決策よりも有益な数々の利点を提供する。
【0102】
主な利点は、本発明の固定装置によって、フレームの構成部品間に簡単且つ迅速な組み立てが得られるという事実に関連する。これは、互いに固定することができるフレームの構成要素の複数の組み合わせに適用可能であり、また、構成要素の解除可能または恒久的な固定のために構成される。
【0103】
別の利点は、本発明の固定装置によって、ねじ式の手段を使用する必要がない組立体が得られるという事実に関連する。ねじ式の手段は、望ましくない自動的な脱落を容易に受けるが、本発明の装置は、構成要素の恒久的な固定(解除可能であってもよい)を保証することができる。
【0104】
別の利点は、フレームの構成要素の部分を接続するために本発明の装置を使用することで、構成要素の寸法を特定の範囲内で調整可能にすることができるという事実に関連する。例えば、レンズ保持リムを接続するためのアームまたは中央ブリッジの場合、これらの特定の部材の長さを調整可能にすることができる。
【0105】
別の利点は、各固定要素に単一且つ異なる磁石を設けることで、フレームの構成部品を、例えば磁気特性をもたないプラスチック材料などの異なる材料から作製することができるという事実に関連する。磁気的に引き寄せられる動作は、構成要素の固定要素に設けられた座部に受容される、フレーム要素のものとは異なる磁石間の相互作用に割り当てられる。代替的に、特に磁気特性を付与していない金属材料を使用することもできる。これにより、幅広い選択肢を提供することができる。これらには、作製材料の選択を明白な磁気特性を有する金属材料のみに制限する必要がなく、高い機械的強度、高い耐腐食性、耐久性、作業の容易さ、高い生体適合性、および使用者の健康に対するいかなるリスクもないことなどを含む高いレベルの技術的特性によって特徴付けられる金属材料が含まれる。これらは、その固有の制限の結果として一般に制限される技術的特性を提供することができる。
【0106】
別の利点は、フレームの構成部品を、同一または同様の他の構成部品と容易に交換することができ、その交換作業も同じユーザにとって容易且つ迅速に行うことができることに関連する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図11A
図11B
図11C
図12
図13
図14
図15
図16
図16A
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図30A
図30B
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38