(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】回路基板及び電子機
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20241120BHJP
H05K 1/18 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
H05K1/02 J
H05K1/18 S
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023078154
(22)【出願日】2023-05-10
【審査請求日】2023-05-10
(32)【優先日】2023-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】502121096
【氏名又は名称】朋程科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】蔡 欣昌
(72)【発明者】
【氏名】劉 敬文
【審査官】沼生 泰伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-164757(JP,A)
【文献】特開2002-057422(JP,A)
【文献】特開2003-158412(JP,A)
【文献】国際公開第2022/215176(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に互いに対向する上側及び下側を有する基材と、
前記長手方向に沿って前記基材上に延在して構成される第1の電極と、
前記第1の電極の横に構成され、互いに接続された第1の部分及び第2の部分を含む第2の電極であって、前記第1の部分は、前記長手方向に沿って前記基材上に構成され、前記第2の部分は、幅方向に沿って前記基材上に構成され、前記上側と前記第1の電極との間に位置し、前記第1の部分の
断面幅は、前記下側から前記上側に向かって大きくなっている第2の電極と、
を備え
、
前記第2の電極の前記第1の部分は、前記幅方向に沿って互いに対向する第1の側及び第2の側を有し、前記第1の側は、前記第1の電極と前記第2の側との間に位置し、前記第1の側は直線状のエッジであり、前記第1の電極と平行である回路基板。
【請求項2】
前記第2の側は、円弧エッジである、請求項
1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記第2の側は、ギザギザのエッジである、請求項
1に記載の回路基板。
【請求項4】
前記第2の側は、複数の直線形状と複数の円弧形状とが交互に配置されたエッジである、請求項
1に記載の回路基板。
【請求項5】
長手方向に互いに対向する上側及び下側を有する基材と、
前記長手方向に沿って前記基材上に延在して構成される第1の電極と、
前記第1の電極の横に構成され、互いに接続された第1の部分及び第2の部分を含む第2の電極であって、前記第1の部分は、前記長手方向に沿って前記基材上に構成され、前記第2の部分は、幅方向に沿って前記基材上に構成され、前記上側と前記第1の電極との間に位置し、前記第1の部分の
断面幅は、前記下側から前記上側に向かって大きくなっている第2の電極と、
を備える少なくとも1つの回路基板と、
前記回路基板上に構成される複数の電子部品であって、前記第1の電極上に配置され、並列に接続され、前記基材の前記下側から前記電子部品を介して前記第2の電極に電流が流れる複数の電子部品と、
を備える電子機器。
【請求項6】
前記第2の電極の前記第1の部分は、前記幅方向に沿って互いに対向する第1の側及び第2の側を有し、前記第1の側は、前記第1の電極と前記第2の側との間に位置し、前記第1の側は直線状のエッジであり、前記第1の電極と平行である、請求項
5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記第2の側は円弧エッジである、請求項
6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記第2の側はギザギザのエッジである、請求項
6に記載の電子機器。
【請求項9】
前記第2の側は、複数の直線形状と複数の円弧形状とが交互に配置されたエッジである、請求項
6に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板構造体及び電子機器に関し、特に、回路基板及び回路基板を用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なパワーモジュールの回路設計では、電極の外形はほぼ長方形であり、これは、電極の対向する2つの側が直線状のエッジであり、隣接する2つの電極の側が平行に配置されていることを意味する。並列に配置されたチップに電流が流れるとき、電流が流れる最初のチップの回路抵抗と、電流が流れる最後のチップの回路抵抗との差は、少なくとも11%である。チップ間の回路抵抗に大きな差があるため、均一な電流密度を得ることができず、チップ間の温度差を縮めることができず、パワーモジュールの寿命は、長期間の使用で急速に低下する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、回路基板上に構成された後続の並列電子部品間の回路抵抗を効果的に低減することができる回路基板を提供する。
【0004】
本発明は、前記回路基板を備えた電子機器であって、均一な電流密度を有し、電子部品間の温度差を縮めて、寿命を延ばすことができる電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の回路基板は、基材と、第1の電極と、第2の電極と、を含む。基材は、長手方向に互いに対向する上側及び下側を有する。第1の電極は、長手方向に沿って基材上に延在して構成される。第2の電極は、第1の電極の横に構成され、互いに接続された第1の部分及び第2の部分を含む。第1の部分は、長手方向に沿って基材上に構成される。第2の部分は、幅方向に沿って基材上に構成され、上側と第1の電極との間に位置する。第1の部分の断面幅は、下側から上側に向かって大きくなっている。
【0006】
本発明の電子機器は、少なくとも1つの回路基板及び複数の電子部品を含む。回路基板は、基材と、第1の電極と、第2の電極と、を含む。基材は、長手方向に互いに対向する上側及び下側を有する。第1の電極は、長手方向に沿って基材上に延在して構成される。第2の電極は、第1の電極の横に構成され、互いに接続された第1の部分及び第2の部分を含む。第1の部分は、長手方向に沿って基材上に構成される。第2の部分は、幅方向に沿って基材上に構成され、上側と第1の電極との間に位置する。第1の部分の断面幅は、下側から上側に向かって大きくなっている。電子部品は回路基板上に構成され、電子部品は第1の電極上に配置され、並列に接続される。基材の下側から電子部品を介して第2の電極に電流が流れる。
【0007】
本発明の一実施形態において、前記第2の電極の第1の部分は、幅方向に沿って互いに対向する第1の側及び第2の側を有する。第1の側は、第1の電極と第2の側との間に位置する。第1の側は直線エッジであり、第1の電極に平行である。
【0008】
本発明の一実施形態において、前記第2の側は円弧エッジである。
【0009】
本発明の一実施形態において、前記第2の側はギザギザのエッジである。
【0010】
本発明の一実施形態において、前記第2の側は、複数の直線形状と複数の円弧形状とが交互に配置されたエッジである。
【発明の効果】
【0011】
以上に基づき、本発明の回路基板の設計では、基材の下側から基材の上側に向かって、第2の電極の第1の部分の断面幅が大きくなる。続いて、第1の電極上に構成され、並列に接続された電子部品がワイヤボンディングによって第2の電極に電気的に接続されるとき、第1の部分の設計は、電子部品間の回路抵抗を効果的に短くすることができる。電子部品間の回路抵抗を低減することにより、均一な電流密度を得ることができ、電子部品間の温度差を縮めることができるため、本発明の回路基板を使用した電子機器の寿命を改善することができる。
【0012】
以上の本発明の特徴及び利点をより明確にし、理解しやすくするために、以下の実施形態が与えられ、以下のように添付の図面とともに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態による回路基板の概略図である。
【
図2】本発明の別の実施形態による回路基板の概略図である。
【
図3】本発明の別の実施形態による回路基板の概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態による電子機器の概略図である。
【
図5】本発明の別の実施形態による電子機器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の一実施形態による回路基板の概略図である。
図1を参照すると、本実施形態において、回路基板100aは、基材110と、第1の電極120と、第2の電極130aと、を含む。基材110は、長手方向Lに互いに対向する上側111及び下側113を有する。第1の電極120は、長手方向Lに沿って基材110上に延在して構成される。第2の電極130aは、第1の電極120の横に構成され、互いに接続された第1の部分132a及び第2部分134を含む。第1の部分132aは、長手方向Lに沿って基材110上に構成される。第2の部分134は、幅方向Wに沿って基材110上に構成され、上側111と第1の電極120との間に位置する。第1の部分132aの断面幅SW1及びSW1’は、下側113から上側111に向かって大きくなる。
【0015】
詳細には、本実施形態では、基材110の下側113を電流入力端子として使用し、基材110の上側111を電流出力端子として使用することができる。上から見ると、第1の電極120の外形は長方形として具現化される。第1の電極120は、後続電子部品のための構成領域として使用することができる。第2の電極130aの第1の部分132aと第2の電極130aの第2部分134aとは、シームレスに接続されて、L字形状を形成している。なお、第2の電極130aは、後続チップが配置される方向により、ドレイン電極またはソース電極であって良く、ここでは限定されないことに留意されたい。第2の電極130aの第1の部分132aは、幅方向Wに沿って互いに対向する第1の側133及び第2の側135aを有する。第1の側133は、第1の電極120と第2の側135aとの間に位置する。第1の側133は、第1の電極120に平行な直線エッジとして具現化され、第2の側135aは円弧エッジとして具現化される。
図1に示すように、第1の側133と第2の側135aとの間の水平方向(すなわち、幅方向W)の距離は、断面幅SW1及びSW1’である。断面幅SW1は、断面幅SW1’よりも小さい。つまり、下側113に近い第1の部分132aの断面幅SW1は、上側111に近い第1の部分132aの断面幅SW1’よりも小さい。第2の電極130aの第1の部分132aの断面幅 SW1’は、上側111に向かって大きくなる。
【0016】
再度、
図1を参照されたい。本実施形態の回路基板100aは、長手方向Lに沿って基材110上に延在して構成される電極140及び電極150をさらに含む。電極150は、電極140と第1の電極120との間に位置する。上側図視で、電極140の外形及び電極150の外形は、両方とも長方形として具現化されるが、これに限定されない。なお、電極140は後続チップの配置方向によってドレイン電極またはソース電極であって良く、電極150は、例えばゲート電極となるが、これに限定されない。
【0017】
ここで、以下の実施形態では、構成要素の符号及び前述の実施形態の内容の一部を引き続き使用し、同じ符号は、同じまたは類似の構成要素を示すために使用され、同じ技術的内容は省略されることに留意されたい。省略された部分の説明については、前述の実施形態を参照することができ、詳細はここでは繰り返さない。
【0018】
図2は、本発明の別の実施形態による回路基板の概略図である。
図1及び
図2を同時に参照されたい。本実施形態の回路基板100bは、
図1の回路基板100aと同様である。両者の違いは、本実施形態では、第2の電極130bの第1の部分132bの構造設計が、第2の電極130aの前記第1の部分132aの構造設計と異なることである。
【0019】
詳細には、第1の部分132bの第2の側135bは、複数の直線形状136と、複数の円弧形状138a、138b、138c、138d、138e、138f、及び138gが交互に配置されたエッジとして具体化される。円弧形状138a、138b、138c、138d、138e、138f、138gの長さは、基材110の上側111から下側113に向かって徐々に増加し、円弧形状138aの長さが最も短く、円弧形状138gの長さが最も長く、したがって、第1の部分132aの断面幅SW2及びSW2’は、下側113から上側111に向かって大きくなることを意味する。ここで、断面幅SW2及びSW2’は、第1の側133から第2の側135bまでの円弧形状138a、138b、138c、138d、138e、138f、138g間の水平距離によって例示される。つまり、下側113に近い第1の部分132bの断面幅SW2は、上側111に近い第1の部分132bの断面幅SW2’よりも小さい。第2の電極130bの第1の部分132bの断面幅SW2’は、上側111に向かって大きくなる。
【0020】
図3は、本発明の別の実施形態による回路基板の概略図である。
図1及び
図3を同時に参照されたい。本実施形態の回路基板100cは、
図1の回路基板100aと同様である。両者の違いは、本実施形態では、第2の電極130cの第1の部分132cの構造設計が、第2の電極130aの前記第1の部分132aの構造設計と異なることである。
【0021】
詳細には、第1の部分132cの第2の側135cは、ギザギザのエッジとして具現化される。第1の側133と第2の側135cとの間の水平方向(すなわち、幅方向W)の距離は、断面幅SW3及びSW3’である。断面幅SW3は、断面幅SW3’よりも小さい。つまり、下側113に近い第1の部分132cの断面幅SW3は、上側111に近い第1の部分132cの断面幅SW3’よりも小さい。第2の電極130cの第1の部分132cの断面幅SW3’は、上側111に向かって大きくなる。
【0022】
なお、上述した第1の部分132a、132b、132cの第2の側135a、135b、135cは、それぞれ円弧形状のエッジ、直線形状と円弧形状とが交互に配置されたエッジ、ギザギザのエッジとして具現化されるが、これに限定されない。第2の電極130a、130b、130cの第1の部分132a、132b、132cの断面幅が、基材110の下側113から上側111に向かって大きくなる構造設計である限り、それは本発明の保護範囲内にあると見なす。
【0023】
図4は、本発明の一実施形態による電子機器の概略図である。
図4を参照されたい。本実施形態において、電子機器10は、例えば、
図1の2つの回路基板100a、複数の電子部品30及び50、複数のボンディングワイヤ40を含む。電子部品30、50は、回路基板100a上に構成される。電子部品30は、第1の電極120上に配置され、並列に接続される。ボンディングワイヤ40は、電子部品30及び第2の電極130aに電気的に接続される。電流Eは、基材110の下側113から電子部品30及びボンディングワイヤ40を介して第2の電極130aに流れる。ここで、電子機器10は、例えば、パワーモジュールである。電子部品30は、例えば、ダイオードであり、電子部品50は、例えば、トランジスタであるが、これに限定されない。
【0024】
詳細には、電流Eは、導電性端子20aから右側の回路基板100aに入り、電子部品50を通って流れ、下側113から左側の回路基板100aに入ることができる。このとき、電流Eは、並列に接続された電子部品30を流れ、ボンディングワイヤ40を介して第2の電極130aに入る。第2の電極130aの断面幅SW1及びSW1’が下側113から上側111に向かって大きくなるため、電子部品30間の回路抵抗を効果的に低減することができる。このシミュレーション結果によれば、電子部品30aの抵抗値は、例えば、0.84mΩ±6%、電子部品30bの抵抗値は、例えば、0.81mΩ±2%、及び、電子部品30cの抵抗値は、例えば、0.79mΩであり、これは、並列に接続された電子部品30間の回路抵抗の差が6%以内であり得ることを意味する。そして、電流Eは、電子部品50を流れて再び右側の回路基板100aに下側113から流れ込むか、左側の回路基板100aの上側111から2つの導電端子20bに流れてもよい。基材110の下側113から右側の回路基板100aに入る電流Eは、並列に接続された電子部品30を流れ、ボンディングワイヤ40を介して第2の電極130aに入る。第2の電極130aのSW1及びSW1’が下側113から上側111に向かって大きくなることにより、電子部品30間の回路抵抗を効果的に低減することができる。電子部品30間の回路抵抗を低減できることにより、均一な電流密度を得ることができ、電子部品30間の温度差を縮めることができるので、本実施形態の電子装置10の寿命を改善することができる。最後に、電流Eは、基材110の上側111を通って導電性端子20cに流れてもよい。
【0025】
別の実施形態において、
図5を参照されたい。本実施形態の電子装置10’において、電子装置10’は、導電性フレーム60を使用することによって、前述の実施形態のボンディングワイヤ40を置き換えることもできる。つまり、導電性フレーム60は、電子部品30と第2の電極130aとを電気的に接続することができる。電流Eは、基材110の下側113から電子部品30及び導電性フレーム60を通って第2の電極130aに流れ、これは本発明の保護範囲内であると見なす。
【0026】
まとめると、本発明の回路基板の設計において、第2の電極の第1の部分の断面幅は、基材の下側から上側に向かって大きくなる。続いて、第1の電極上に構成され、並列に接続された電子部品がワイヤボンディングによって第2の電極に電気的に接続されるとき、第1の部分の設計は、電子部品間の回路抵抗を効果的に短くすることができる。電子部品間の回路抵抗を低減することにより、均一な電流密度を得ることができ、電子部品間の温度差を縮めることができるため、本発明の回路基板を使用した電子機器の寿命を改善することができる。
【0027】
以上、本発明を実施の形態を参照して説明したが、実施の形態は本発明を限定するものではない。当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、いくつかの変更及び修正を行うことができる。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の回路基板及び電子装置は、均一な電流密度を有し、電子部品間の温度差を縮めて、寿命を延ばすことができ、パワーモジュールの分野に適用することができる。
【符号の説明】
【0029】
100a: 回路基板
110: 基材
111: 上側
113: 下側
120: 第1の電極
130a: 第2の電極
132a: 第1の部分
133: 第1の側
134: 第2の部分
135a: 第2の側
140, 150: 電極
L: 長手方向
SW1, SW1’: 断面幅
W: 幅方向