(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】移動体制御システム、移動体制御装置及び移動体制御方法
(51)【国際特許分類】
G05D 1/00 20240101AFI20241120BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20241120BHJP
B63C 11/48 20060101ALI20241120BHJP
B63C 11/00 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
G05D1/00
G05D1/43
B63C11/48 D
B63C11/00 B
B63C11/00 A
(21)【出願番号】P 2023109360
(22)【出願日】2023-07-03
【審査請求日】2023-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】松木 友明
(72)【発明者】
【氏名】土居本 和宏
(72)【発明者】
【氏名】川名 弘志
【審査官】田中 成彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-072588(JP,A)
【文献】国際公開第2017/208288(WO,A1)
【文献】特開2020-105726(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0089647(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 - 1/87
B63C 11/48
B63C 11/00
B64C 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水上を移動する水上移動体と水中を潜航する潜航移動体とが着脱可能な状態で結合されている移動体と、前記水上移動体及び前記潜航移動体を制御するための制御情報を生成する移動体制御装置と、を備える移動体制御システムであって、
前記移動体制御装置は、
前記水上移動体から受信した、前記潜航移動体が所定の動作を実行したとき
に得られた結果データ
と、前記水上移動体を識別するための水上移動体情報と、前記潜航移動体を識別するための潜航移動体情報と、前記潜航移動体が前記所定の動作を実行したときの前記水上移動体及び前記潜航移動体の位置と、前記潜航移動体が前記所定の動作を実行したときの前記潜航移動体の向きと、が関連付けられた複数の記録データを記憶する記憶部と、
所定の動作を実行させる前記潜航移動体と結合する前記水上移動体の前記水上移動体情報又は当該潜航移動体の前記潜航移動体情報と、前記潜航移動体に前記所定の動作を実行させる指定位置と、を受け付ける受付部と、
前記指定位置に向けて前記水上移動体及び前記潜航移動体を移動させるとともに、前記受付部が受け付けた前記水上移動体情報又は前記潜航移動体情報と前記指定位置とに関連付けて前記記憶部に記憶された前記記録データが示す前記潜航移動体の向きに前記潜航移動体を向かせるための前記制御情報を生成する制御情報生成部と、
を有する移動体制御システム。
【請求項2】
前記受付部は、複数の前記記録データを情報端末に表示させ、前記情報端末を介して、前記指定位置に対応する前記記録データを選択する操作を受け付けることにより、前記指定位置を受け付ける、
請求項1に記載に移動体制御システム。
【請求項3】
前記受付部は、1つの前記水上移動体情報及び前記潜航移動体情報の組み合わせに関連付けて複数の前記指定位置を受け付け、
前記制御情報生成部は、複数の前記指定位置を示す前記制御情報を生成する、
請求項1に記載に移動体制御システム。
【請求項4】
前記制御情報生成部は、前記潜航移動体の移動予定時刻において予想される水中環境に基づいて前記指定位置を補正することにより前記制御情報を生成する、
請求項1に記載の移動体制御システム。
【請求項5】
前記所定の動作は、前記潜航移動体による水中の撮影であり、
前記記録データは、前記潜航移動体が水中を撮影することにより生成された撮像画像データであり、
前記受付部は、複数の前記撮像画像データから1つの前記撮像画像データの選択を受け付けることにより、前記撮像画像データが撮影された位置を前記指定位置として受け付ける、
請求項1に記載の移動体制御システム。
【請求項6】
前記所定の動作は、前記潜航移動体による水中の撮影であり、
前記記録データは、前記潜航移動体が水中を撮影することにより生成された撮像画像データであり、
前記受付部は、前記撮像画像データが生成された位置を基準とする他の位置を前記指定位置として受け付ける、
請求項1に記載の移動体制御システム。
【請求項7】
前記制御情報生成部は、前記撮像画像データに含まれている被写体の鮮明度を特定し、鮮明度と前記被写体までの距離とが関連付けられたデータを参照することにより、特定した鮮明度に対応する前記被写体までの距離を決定し、前記被写体から決定した距離の位置に前記潜航移動体を向かせるための前記制御情報を生成する、
請求項6に記載の移動体制御システム。
【請求項8】
特定した鮮明度に基づいて決定した前記被写体までの距離に対応する前記潜航移動体の第1位置が、前記指定位置に対応する第2位置よりも当該被写体に近い場合、前記制御情報生成部は、前記第1位置及び前記第2位置において前記潜航移動体に前記被写体を撮影させるための前記制御情報を生成する、
請求項7に記載の移動体制御システム。
【請求項9】
前記所定の動作は、前記潜航移動体による水中の撮影であり、
前記記録データは、前記潜航移動体が水中を撮影することにより生成された撮像画像データであり、
前記受付部は、複数の前記撮像画像データを情報端末に表示させ、所定の選択操作が行われた1以上の前記撮像画像データを、前記水上移動体情報と、前記潜航移動体情報と、前記撮像画像データが生成されたときの前記水上移動体、前記潜航移動体の位置及び前記潜航移動体の向きと、を関連付けて前記記憶部に記憶させる、
請求項1に記載の移動体制御システム。
【請求項10】
水上を移動する水上移動体と水中を潜航する潜航移動体とが着脱可能な状態で結合されている移動体を制御する移動体制御装置であって、
前記水上移動体から受信した、前記潜航移動体が所定の動作を実行したとき
に得られた結果データ
と、前記水上移動体を識別するための水上移動体情報と、前記潜航移動体を識別するための潜航移動体情報と、前記潜航移動体が前記所定の動作を実行したときの前記水上移動体及び前記潜航移動体の位置と、前記潜航移動体が前記所定の動作を実行したときの前記潜航移動体の向きと、が関連付けられた複数の記録データを記憶する記憶部と、
所定の動作を実行させる前記潜航移動体と結合する前記水上移動体の前記水上移動体情報又は当該潜航移動体の前記潜航移動体情報と、前記潜航移動体に前記所定の動作を実行させる指定位置と、を受け付ける受付部と、
前記指定位置に向けて前記水上移動体及び前記潜航移動体を移動させるとともに、前記受付部が受け付けた前記水上移動体情報又は前記潜航移動体情報と前記指定位置とに関連付けて前記記憶部に記憶された前記記録データが示す前記潜航移動体の向きに前記潜航移動体を向かせるための制御情報を生成する制御情報生成部と、
を有する移動体制御装置。
【請求項11】
コンピュータが実行する、水上を移動する水上移動体と水中を潜航する潜航移動体とが着脱可能な状態で結合されている移動体を制御する方法であって、
前記コンピュータは、
前記水上移動体から受信した、前記潜航移動体が所定の動作を実行したとき
に得られた結果データ
と、前記水上移動体を識別するための水上移動体情報と、前記潜航移動体を識別するための潜航移動体情報と、前記潜航移動体が前記所定の動作を実行したときの前記水上移動体及び前記潜航移動体の位置と、前記潜航移動体が前記所定の動作を実行したときの前記潜航移動体の向きと、が関連付けられた複数の記録データを記憶部に記憶させるステップと、
所定の動作を実行させる前記潜航移動体と結合する前記水上移動体の前記水上移動体情報又は当該潜航移動体の前記潜航移動体情報と、前記潜航移動体に前記所定の動作を実行させる指定位置と、を受け付けるステップと、
前記指定位置に向けて前記水上移動体及び前記潜航移動体を移動させるとともに、受け付けた前記水上移動体情報又は前記潜航移動体情報と前記指定位置とに関連付けて前記記憶部に記憶された前記記録データが示す前記潜航移動体の向きに前記潜航移動体を向かせるための制御情報を生成するステップと、
を有する移動体制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体制御システム、移動体制御装置及び移動体制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空中を飛行可能な水上ドローンが、水中で動作可能な潜航ドローンと結合された状態で所定の位置まで移動した後に潜航ドローンを分離し、潜航ドローンの作業終了後に潜航ドローンを回収する水空合体ドローンが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】KDDI株式会社,株式会社KDDI総合研究所,株式会社プロドローン,“世界初の水空合体ドローン、遠隔での水中撮影に成功~船を出さずに洋上風力発電設備の安全・効率的な点検を実施~”,[online],2021年12月14日,KDDI,[令和4年2月25日検索],インターネット <URL:https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2021/12/14/5593.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の水空合体ドローンを動作させるためには、オペレータが水空合体ドローンを目視しながら、又は水空合体ドローンが撮影した画像を見ながら、操縦装置を用いて水空合体ドローンを操縦する必要があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、オペレータの操縦によらず、水中で動作する移動体に場所に適した動作を実行させられるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の移動体制御システムは、水上を移動する水上移動体と水中を潜航する潜航移動体とが着脱可能な状態で結合されている移動体と、前記水上移動体及び前記潜航移動体を制御するための制御情報を生成する移動体制御装置と、を備える移動体制御システムであって、前記移動体制御装置は、前記水上移動体を識別するための水上移動体情報と、前記潜航移動体を識別するための潜航移動体情報と、前記潜航移動体が所定の動作を実行したときの前記水上移動体及び前記潜航移動体の位置と、前記潜航移動体が所定の動作を実行したときの前記潜航移動体の向きと、が関連付けられた複数の記録データを記憶する記憶部と、所定の動作を実行させる前記潜航移動体と結合する前記水上移動体の前記水上移動体情報又は当該潜航移動体の前記潜航移動体情報と、前記潜航移動体に前記所定の動作を実行させる指定位置と、を受け付ける受付部と、前記指定位置に向けて前記水上移動体及び前記潜航移動体を移動させるとともに、前記受付部が受け付けた前記水上移動体情報又は前記潜航移動体情報と前記指定位置とに関連付けて前記記憶部に記憶された前記記録データが示す前記潜航移動体の向きに前記潜航移動体を向かせるための前記制御情報を生成する制御情報生成部と、を有する。
【0007】
前記受付部は、複数の前記記録データを情報端末に表示させ、前記情報端末を介して、前記指定位置に対応する前記記録データを選択する操作を受け付けることにより、前記指定位置を受け付けてもよい。
【0008】
前記受付部は、1つの前記水上移動体情報及び前記潜航移動体情報の組み合わせに関連付けて複数の前記指定位置を受け付け、前記制御情報生成部は、複数の前記指定位置を示す前記制御情報を生成してもよい。
【0009】
前記制御情報生成部は、前記潜航移動体の移動予定時刻において予想される水中環境に基づいて前記指定位置を補正することにより前記制御情報を生成してもよい。
【0010】
前記所定の動作は、前記潜航移動体による水中の撮影であり、前記記録データは、前記潜航移動体が水中を撮影することにより生成された撮像画像データであり、前記受付部は、複数の前記撮像画像データから1つの前記撮像画像データの選択を受け付けることにより、前記撮像画像データが撮影された位置を前記指定位置として受け付けてもよい。
【0011】
前記所定の動作は、前記潜航移動体による水中の撮影であり、前記記録データは、前記潜航移動体が水中を撮影することにより生成された撮像画像データであり、前記受付部は、前記撮像画像データが生成された位置を基準とする他の位置を前記指定位置として受け付けてもよい。
【0012】
前記制御情報生成部は、前記撮像画像データに含まれている被写体の鮮明度を特定し、鮮明度と前記被写体までの距離とが関連付けられたデータを参照することにより、特定した鮮明度に対応する前記被写体までの距離を決定し、前記被写体から決定した距離の位置に前記潜航移動体を向かせるための前記制御情報を生成してもよい。
【0013】
特定した鮮明度に基づいて決定した前記被写体までの距離に対応する前記潜航移動体の第1位置が、前記指定位置に対応する第2位置よりも当該被写体に近い場合、前記制御情報生成部は、前記第1位置及び前記第2位置において前記潜航移動体に前記被写体を撮影させるための前記制御情報を生成してもよい。
【0014】
前記所定の動作は、前記潜航移動体による水中の撮影であり、前記記録データは、前記潜航移動体が水中を撮影することにより生成された撮像画像データであり、前記受付部は、複数の前記撮像画像データを情報端末に表示させ、所定の選択操作が行われた1以上の前記撮像画像データを、前記水上移動体情報と、前記潜航移動体情報と、前記撮像画像データが生成されたときの前記水上移動体、前記潜航移動体の位置及び前記潜航移動体の向きと、を関連付けて前記記憶部に記憶させてもよい。
【0015】
本発明の第2の態様の移動体制御装置は、水上を移動する水上移動体と水中を潜航する潜航移動体とが着脱可能な状態で結合されている移動体を制御する移動体制御装置であって、前記水上移動体を識別するための水上移動体情報と、前記潜航移動体を識別するための潜航移動体情報と、前記潜航移動体が所定の動作を実行したときの前記水上移動体及び前記潜航移動体の位置と、前記潜航移動体が所定の動作を実行したときの前記潜航移動体の向きと、が関連付けられた複数の記録データを記憶する記憶部と、所定の動作を実行させる前記潜航移動体と結合する前記水上移動体の前記水上移動体情報又は当該潜航移動体の前記潜航移動体情報と、前記潜航移動体に前記所定の動作を実行させる指定位置と、を受け付ける受付部と、前記指定位置に向けて前記水上移動体及び前記潜航移動体を移動させるとともに、前記受付部が受け付けた前記水上移動体情報又は前記潜航移動体情報と前記指定位置とに関連付けて前記記憶部に記憶された前記記録データが示す前記潜航移動体の向きに前記潜航移動体を向かせるための制御情報を生成する制御情報生成部と、を有する。
【0016】
本発明の第3の態様の移動体制御方法は、コンピュータが実行する、水上を移動する水上移動体と水中を潜航する潜航移動体とが着脱可能な状態で結合されている移動体を制御する方法であって、前記コンピュータは、前記水上移動体を識別するための水上移動体情報と、前記潜航移動体を識別するための潜航移動体情報と、前記潜航移動体が所定の動作を実行したときの前記水上移動体及び前記潜航移動体の位置と、前記潜航移動体が所定の動作を実行したときの前記潜航移動体の向きと、が関連付けられた複数の記録データを記憶部に記憶させるステップと、所定の動作を実行させる前記潜航移動体と結合する前記水上移動体の前記水上移動体情報又は当該潜航移動体の前記潜航移動体情報と、前記潜航移動体に前記所定の動作を実行させる指定位置と、を受け付けるステップと、前記指定位置に向けて前記水上移動体及び前記潜航移動体を移動させるとともに、受け付けた前記水上移動体情報又は前記潜航移動体情報と前記指定位置とに関連付けて前記記憶部に記憶された前記記録データが示す前記潜航移動体の向きに前記潜航移動体を向かせるための制御情報を生成するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、オペレータの操縦によらず、水中で動作する移動体に場所に適した動作を実行させることが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】移動体制御システムの概要を説明するための図である。
【
図2】移動体制御システムの概要を説明するための図である。
【
図3】移動体制御システムの概要を説明するための図である。
【
図4】水中物体Kが防潮堤である場合の移動経路の例を示す図である。
【
図5】水中物体Kが船舶である場合の移動経路の例を示す図である。
【
図8】三次元空間座標について説明するための図である。
【
図11】受付部341が情報端末4に表示させる記録データの例を示す図である。
【
図12】管理サーバ3における処理の流れを示すフローチャートである。
【
図13】水上移動体1における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[移動体制御システムの概要]
図1から
図3は、移動体制御システムの概要を説明するための図である。移動体制御システムは、移動体100と、移動体100を制御する移動体制御装置である管理サーバ3と、を備える。
【0020】
移動体100は、水上を移動することができる水上移動体1と、水上移動体1に着脱可能な状態で結合されており水中を潜航可能な潜航移動体2とを有する。水上移動体1は飛行することができてもよい。移動体100は、水上移動体1に潜航移動体2が収容された状態、又は水上移動体1に潜航移動体2が収容されていない状態のいずれにおいても移動することができる。なお、
図2に示すように、潜航移動体2が水上移動体1に収容されていない状態においても、水上移動体1と潜航移動体2とはケーブルCにより結合されていてもよいが、水上移動体1と潜航移動体2とがケーブルCにより結合されていなくてもよい。
【0021】
水上移動体1には、水上移動体1が移動するための移動機構部10、及び潜航移動体2を着脱するための着脱機構部11が設けられている。移動機構部10は、例えば水上移動体1を水上で移動させるためのスラスタを含む。移動機構部10は、プロペラ及び方向舵等のように、水上移動体1を飛行させるために必要な機構を含んでもよい。着脱機構部11は、潜航移動体2を収容する空間を構成する部材、潜航移動体2を固定する機構、及び潜航移動体2を解放するための機構を含む。
【0022】
移動体100は、管理サーバ3から受信した制御情報に基づいて移動し、制御情報が示す潜航場所において所定の動作を実行する。所定の動作は、例えば、水中の物体を撮影したり、水中の物体を加工したりする動作である。以下の説明では、主に、所定の動作が被検査物Kを撮影する動作である場合を例示する。
【0023】
管理サーバ3は、携帯電話網又はWi-Fi(登録商標)等のネットワークを介して移動体100に制御情報を送信する移動体制御装置であり、例えばコンピュータである。管理サーバ3は、過去に潜航移動体2が所定の動作を実行した際の潜航移動体2の位置及び向き等を示す記録データを情報端末4に送信し、情報端末4においてユーザUにより入力された指定位置を含む指定データを受信することにより制御情報を作成する。
【0024】
管理サーバ3は、例えば移動体100を使用して水中の物体の状態を観測したり、水中の物体をメンテナンスしたりする事業者により管理されている。制御情報の詳細については後述するが、制御情報は、水中で潜航移動体2が所定の動作を実行する複数の潜航場所の緯度、経度、深度、及び潜航移動体2が動作を実行する際の向きを示す情報である。制御情報は、それぞれの潜航場所で潜航移動体2が実行する動作を示す情報をさらに含んでもよい。
【0025】
情報端末4は、移動体100を利用して水中の物体の観測又は水中の物体のメンテナンス等を事業者に依頼したユーザUが使用する端末であり、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット又はスマートフォンである。詳細については後述するが、情報端末4は、管理サーバ3から送信された、潜航移動体2が過去に生成した撮像画像データである記録データ又は潜航移動体2が生成したリアルタイムの撮像画像データをディスプレイに表示する。情報端末4は、表示した撮像画像データが示す水中物体Kの複数の位置からユーザが指定した位置を示す指定データを管理サーバ3に送信する。指定データには、1つの潜航場所の位置が含まれていてもよく、複数の潜航場所の位置、又は複数の潜航場所を通る経路が含まれていてもよい。
【0026】
図1は、水上移動体1に潜航移動体2が収容されており、潜航移動体2が潜航場所に到達していない状態を示している。水上移動体1は、管理サーバ3から受信した制御情報が示す潜航場所の上方の位置まで、潜航移動体2を収容した状態で移動する。潜航場所の上方の位置は、例えば、潜航場所に対して鉛直方向に上方の位置である。すなわち、潜航場所の上方の位置は、潜航場所の緯度・経度と同一の緯度・経度であり、かつ水面以上の位置である。潜航場所の上方の位置は、指定された絶対位置の着水場所であってもよい。
【0027】
図1には、水中物体Kとして藻が示されている。制御情報においては、潜航移動体2が水中物体Kを撮影する複数の潜航場所の位置を示す情報が含まれている。
図1は、水上移動体1が最初の潜航場所の上方の位置まで潜航移動体2を収容した状態で移動した時点における移動体100の位置を示している。
【0028】
移動体100が最初の潜航場所の上方の位置まで移動すると、
図2に示すように、水上移動体1は、着脱機構部11を動作させることにより潜航移動体2を解放して潜航移動体2を水中で移動可能な状態にする。
【0029】
水上移動体1は、潜航移動体2を解放した後に、潜航移動体2が定期的に発する音響信号を受信し、受信した音響信号を解析することにより、水上移動体1に対する潜航移動体2の相対位置を特定する。水上移動体1は、特定した潜航移動体2の相対位置と目標となる潜航場所の位置との関係に基づいて、潜航移動体2が移動するべき向きを特定する。水上移動体1は、ケーブルCを介して、移動するべき向きを示す制御データを潜航移動体2に送信することにより、潜航移動体2を潜航場所に向けて移動させる。水上移動体1と潜航移動体2とがケーブルCで接続されていない場合、水上移動体1と潜航移動体2は、音響又は無線により制御データを送受信してもよい。
【0030】
潜航移動体2が潜航場所に到達すると、水上移動体1は、潜航移動体2に所定の動作を実行させる。潜航移動体2が所定の動作を実行すると、水上移動体1は、次の潜航場所の上方に向けて移動するとともに、潜航移動体2を次の潜航場所まで移動させるための制御データを潜航移動体2に送信する。一例として、水上移動体1は、水上移動体1と潜航移動体2がほぼ同じ速度で次の潜航場所の緯度・経度の位置に向けて移動するように潜航移動体2を移動させるための制御データを送信する。
【0031】
図3は、水上移動体1の移動経路の例を示す図である。
図3は、水上移動体1の上方から水中物体Kを見た状態を模式的に示している。
図3に示すように、一例として、水上移動体1は、水中物体Kの一端側から他端側に向けて移動し、他端側に到達すると、奥行方向に移動した後に、他端側から一端側に向けて移動する。潜航移動体2も水上移動体1の移動に合わせて、同じ移動経路で水中を移動する。水上移動体1及び潜航移動体2がこのように移動することで、水中物体Kが面状に広がっている場合であっても、水中物体Kの複数の位置で動作を実行することができる。
【0032】
図4は、水中物体Kが防潮堤である場合の移動経路の例を示す図である。
図4に示すように水中物体Kが上下方向及び水平方向に長い面を有する場合、潜航移動体2は、上下に移動しながら動作を実行する。
図4に示す例の場合、水上移動体1は、水上移動体1の位置を固定した状態で潜航移動体2を下方に移動させる。水上移動体1は、潜航場所の深度が変化することに応じてケーブルCの長さを変化させてもよい。
【0033】
潜航移動体2が動作を実行するべき最も下方の潜航場所に到達すると、水上移動体1は、次の潜航場所の上方の位置に向けて水平方向に移動するとともに、潜航移動体2を次の潜航場所に移動させる。その後、水上移動体1は、水上移動体1の位置を固定した状態で潜航移動体2を上方に移動させる。水上移動体1及び潜航移動体2がこのような動作を繰り返すことで、水中物体Kが上下方向及び水平方向に長い面を有する場合であっても、水中物体Kの複数の位置で動作を実行することができる。
【0034】
図5は、水中物体Kが船舶である場合の移動経路の例を示す図である。
図5(a)は、水中物体Kを側方から見た状態を示しており、
図5(b)は、水中物体Kを上方から見た状態を示している。
図5に示すように、水上移動体1及び潜航移動体2は、水平方向に移動しながら複数の潜航場所で動作を実行し、水平方向における所定の位置まで到達した時点で潜航移動体2が深度を変更し、その後、水平方向の逆向きに移動しながら複数の潜航場所で動作を実行する。
【0035】
潜航移動体2が動作を実行することにより得られた結果を示す結果データ(例えば撮像画像データ)は、水上移動体1を介して管理サーバ3に送信される。管理サーバ3は、移動体100を用いた作業を依頼したユーザに関連付けて、結果データを記憶媒体に記憶させたり、結果データを情報端末4に送信したりする。
【0036】
ユーザUは、情報端末4を介して結果データを確認することができる。ユーザUは、送信された結果データを見て、将来の作業に使用するために記録データとして保存しておきたいという場合、結果データを記録データとして記録することを情報端末4に設定する。この場合、情報端末4は、記録データとして記録する要求を管理サーバ3に送信する。情報端末4は、ユーザUを識別するための情報(例えばユーザUの氏名又はID)に関連付けて当該要求を送信する。これにより、管理サーバ3は、ユーザUに関連付けて記録データを記憶する。
【0037】
[水上移動体1の構成]
図6は、水上移動体1の構成を示す図である。水上移動体1は、移動機構部10と、着脱機構部11と、通信部12と、音響信号受信部13と、GPS受信機14と、記憶部15と、制御部16と、を有する。制御部16は、制御情報取得部161と、位置特定部162と、移動制御部163と、潜航制御部164と、を有する。
【0038】
移動機構部10は、上述したように、プロペラ及び方向舵のように水上移動体1を飛行させるために必要な機構を含む。また、移動機構部10は、水上で水上移動体1を移動させるためのスラスタを含む。移動機構部10は、移動制御部163の制御に基づいて動作し、水上移動体1を空中又は水上で移動させる。
【0039】
着脱機構部11は、潜航移動体2を着脱するための機構である。着脱機構部11は、例えば潜航移動体2を固定するためのアームを有しており、アームの形状又は向きを変化させることにより、潜航移動体2が水上移動体1に収容された状態と潜航移動体2が水上移動体1から解放された状態とを切り替えることができる。着脱機構部11には、ケーブルCを巻き取るための機構が含まれていてもよい。
【0040】
通信部12は、管理サーバ3との間でデータを送受信するための通信インターフェースを有する。通信部12は、例えば制御情報を含むデータを管理サーバ3から受信する。通信部12は、受信した制御情報を制御情報取得部161に入力する。通信部12は、潜航移動体2が潜航場所で動作を実行した結果を示すデータ(例えば撮像画像データ)を管理サーバ3に送信してもよい。
【0041】
音響信号受信部13は、潜航移動体2が発した音響信号を受信する複数の受信機を有する。音響信号受信部13は、複数の受信機それぞれが受信した複数の音響信号を位置特定部162に入力する。複数の受信機は、水上移動体1におけるそれぞれ異なる位置に設けられているので、潜航移動体2が発した音響信号が複数の受信機それぞれに到達するタイミングが異なる。位置特定部162は、複数の受信機それぞれに音響信号が到達したタイミングに基づいて、水上移動体1に対する潜航移動体2の相対位置を特定する。
【0042】
GPS受信機14は、GPS衛星から受信した電波を受信する。GPS受信機14は、受信した電波に含まれる、緯度・経度を特定するために用いられるデータを位置特定部162に入力する。
【0043】
記憶部15は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を有する。記憶部15は、通信部12が受信した制御情報を記憶する。記憶部15は、潜航移動体2から送信された撮像画像データを記憶してもよい。記憶部15は、制御部16が実行するプログラムを記憶する。
【0044】
制御部16は、例えばCPU(Central Processing Unit)を有する。制御部16は、記憶部15に記憶されたプログラムを実行することにより、制御情報取得部161、位置特定部162、移動制御部163及び潜航制御部164として機能する。
【0045】
制御情報取得部161は、通信部12を介して、潜航移動体2の潜航場所を含む制御情報を取得する。制御情報には、潜航場所に関連付けて潜航移動体2に実行させる動作を示す情報が含まれていてもよい。制御情報取得部161は、取得した制御情報を記憶部15に記憶させる。
【0046】
図7は、制御情報の一例を示す図である。
図7に示す制御情報においては、潜航移動体2が所定の動作を実行するべき複数の潜航場所それぞれに対して、動作IDと、潜航場所の緯度・経度・深度と、潜航移動体2が動作する際の向きと、実行するべき動作の内容とが関連付けられている。潜航移動体2が動作する際の向きは、北を基準とする角度A1と、水平面を基準とする角度A2との組み合わせにより表され、
図7においては(A1、A2)の形式で例示されている。
図7においては、動作の内容として、通常撮影をする動作と、拡大撮影(ズームアップした撮影)をする動作とが例示されている。
【0047】
動作IDには、潜航移動体2が所定の動作を実行する順序を示す情報が含まれている。
図7に示す例においては、動作IDが示す数字の順に潜航移動体2が動作を実行する。制御情報には、潜航移動体2がそれぞれの動作を実行するべき時刻を示す情報がさらに含まれていてもよい。
【0048】
制御情報取得部161は、移動体100が移動を開始する前に制御情報を取得するが、移動体100が移動を開始した後に制御情報を取得してもよい。一例として、制御情報取得部161は、移動体100が移動を開始する前に取得した制御情報が示す潜航場所で潜航移動体2が動作を実行した結果を示すデータ(例えば撮像画像データ)を管理サーバ3に送信し、結果を示すデータに基づいて管理サーバ3が作成した制御情報をさらに取得してもよい。
【0049】
制御情報取得部161は、潜航移動体2が動作を実行した結果を示すデータが所定の条件を満たさない場合に、新たな制御情報を管理サーバ3に要求し、新たな制御情報を取得してもよい。一例として、制御情報取得部161は、撮像画像における水中物体Kの鮮明度が所定のレベル以上でない場合に、新たな制御情報を取得する。このように、潜航移動体2が動作を実行した後にも制御情報取得部161が制御情報を取得することで、例えば潜航移動体2の動作結果が良好でない場合に、良好な動作結果を得られる可能性がある潜航場所に潜航移動体2が移動することが可能になる。
【0050】
位置特定部162は、水上移動体1の絶対位置と、当該絶対位置から潜航場所までの相対位置と、を特定する。具体的には、まず、位置特定部162は、GPS受信機14から入力されたデータに基づいて、水上移動体1の絶対位置を示す情報として緯度・経度を特定する。また、位置特定部162は、特定した水上移動体1の絶対位置から、制御情報が示す潜航場所の位置までのベクトルを特定することにより、水上移動体1の絶対位置から潜航場所までの相対位置を特定する。相対位置は、絶対位置を原点とする三次元空間座標系におけるベクトルの終端の位置の座標により表される。
【0051】
図8は、三次元空間座標について説明するための図である。
図8に示す三次元空間座標においては、互いに直交するx軸、y軸、z軸が示されている。x軸方向は南北方向に対応し、y軸方向は東西方向に対応し、z軸方向は鉛直方向に対応する。水上移動体1に対する潜航場所の相対位置は、水上移動体1が原点にいるとした場合の潜航場所の三次元座標(x,y,z)により表される。水上移動体1から解放された潜航移動体2が移動するべき向きは、xy平面におけるx軸からの角度θと、xy平面からの角度φと、の組み合わせにより表される。
【0052】
位置特定部162は、潜航移動体2の位置を特定してもよい。具体的には、位置特定部162は、上述したように、音響信号受信部13が有する複数の受信機それぞれに音響信号が到達したタイミングに基づいて、水上移動体1に対する潜航移動体2の相対位置を特定する。位置特定部162は、特定した水上移動体1の絶対位置と潜航移動体2の相対位置とに基づいて、潜航移動体2の絶対位置をさらに特定してもよい。
【0053】
さらに、位置特定部162は、潜航移動体2の絶対位置に対する潜航場所の相対位置を特定してもよい。位置特定部162は、特定した水上移動体1及び潜航移動体2の絶対位置、水上移動体1の絶対位置に対する潜航場所の相対位置、及び潜航移動体2の絶対位置に対する潜航場所の相対位置を移動制御部163及び潜航制御部164に通知する。
【0054】
移動制御部163は、移動機構部10を制御することにより水上移動体1を飛行させる。移動制御部163は、制御情報が示す潜航場所の上方の位置に向けて水上移動体1を飛行させるように移動機構部10を制御する。具体的には、移動制御部163は、位置特定部162から通知された水上移動体1の絶対位置から、制御情報が示す潜航場所の上方の位置までのベクトルを特定し、特定したベクトルの向きに水上移動体1を飛行させるように移動機構部10の方向舵を制御する。
【0055】
潜航移動体2が水中を潜航している場合、移動制御部163は、潜航移動体2の位置の鉛直方向の上方に位置するように水上移動体1を制御する。具体的には、移動制御部163は、まず、位置特定部162から通知された潜航移動体2の絶対位置に基づいて、潜航移動体2の鉛直方向の上方の位置の緯度・経度を特定する。続いて、移動制御部163は、水上移動体1の絶対位置から特定した潜航移動体2の鉛直方向の上方の位置までのベクトルを特定し、特定したベクトルの向きに水上移動体1を飛行させるように移動機構部10の方向舵を制御する。水上移動体1が潜航移動体2の上方に維持されるようにすることで、ケーブルCを短い状態にすることができるので、ケーブルCが水中構造物に引っかかってしまうことを防げる。また、ケーブルCを巻き取るために要する時間を短縮することもできる。
【0056】
制御情報に複数の潜航場所が含まれている場合、移動制御部163は、複数の潜航場所のうちの第1潜航場所で潜航移動体2が所定の動作の結果を示す結果データ(例えば撮像画像データ)を取得した場合に、第1潜航場所と異なる第2潜航場所の上方の位置に向けて水上移動体1を移動させる。移動制御部163は、このような移動制御を繰り返すことにより、制御情報に含まれる全ての潜航場所で潜航移動体2が動作を実行できるようにする。
【0057】
なお、水上移動体1が飛行せず水上にある場合、波の影響により水上移動体1の位置が変化してしまう場合がある。そこで、このような場合、移動制御部163は前記位置から所定距離以上離れたと判定すると、スラスタを動作させて水上移動体1を前記位置に戻すようにしてもよい。
【0058】
潜航移動体2が全ての潜航場所で所定の動作を実行し、潜航移動体2が水上移動体1
に収容されると、移動制御部163は、制御情報が示す経路に従って水上移動体1を飛行させる。移動制御部163は、例えば所定の基地まで水上移動体1を飛行させる。
【0059】
潜航制御部164は、潜航移動体2の位置を制御する。具体的には、潜航制御部164は、潜航場所の上方の位置に水上移動体1が到着すると、潜航移動体2を潜航場所に向けて移動させる。より具体的には、潜航移動体2が水上移動体1に収容されている状態で水上移動体1が潜航場所の上方の位置に到達すると、潜航制御部164は、着脱機構部11を制御することにより潜航移動体2を解放する。続いて、潜航制御部164は、潜航移動体2が水上移動体1から解放された状態において、ケーブルCを介して制御データを潜航移動体2に送信することにより、潜航移動体2を潜航場所に向けて移動させる。
【0060】
潜航制御部164は、例えば、水上移動体1の位置に対する潜航場所の相対位置を含む制御データを潜航移動体2に送信することにより、潜航移動体2を潜航場所に向けて移動させる。潜航制御部164は、例えば、潜航移動体2が水上移動体1から解放された時点で、水上移動体1に対する潜航場所の相対位置を示す制御データを潜航移動体2に送信する。水上移動体1の絶対位置はGPS衛星からの電波に基づいて特定されており精度が高いので、潜航制御部164が水上移動体1に対する潜航場所の相対位置に対応する向きに潜航移動体2を移動させることで、高い精度で潜航移動体2を潜航場所に到達させることができる。なお、制御データには、潜航移動体2が進む向き及び速度の少なくともいずれかが含まれていてもよい。
【0061】
潜航制御部164は、潜航移動体2の絶対位置に対する潜航場所の相対位置を含む制御データを潜航移動体2に送信することにより、潜航移動体2を潜航場所に移動させてもよい。潜航制御部164は、例えば、潜航移動体2が移動を開始した後に、潜航移動体2の絶対位置に対する潜航場所の相対位置に対応する向きに潜航移動体2を移動させる。潜航制御部164がこのようにすることで、水流の影響により、水上移動体1と潜航場所とを結ぶ直線上から潜航移動体2の位置がずれた場合であっても、潜航移動体2が軌道修正をしながら潜航場所に到達することができる。
【0062】
潜航制御部164は、潜航移動体2の向きを示す制御データを潜航移動体2に送信してもよい。潜航制御部164は、例えば潜航移動体2が潜航場所に到達した時点で、制御情報において潜航場所に関連付けられている向きを示す制御データを潜航移動体2に送信する。潜航制御部164は、潜航移動体2が潜航場所に到達した時点で、その時点での潜航移動体2の向きの通知を潜航移動体2から受けて、通知された向きと、制御情報において潜航場所に関連付けられている向きとの差分を示す制御データを潜航移動体2に送信してもよい。
【0063】
ところで、潜航場所の上方の位置において、水上移動体1の上方に遮蔽物があることによりGPS衛星からの電波が届かないということも想定し得る。このような場合、位置特定部162は、潜航場所の上方の位置に到達したことを認識することができない。そこで、潜航制御部164は、潜航場所の上方の位置において位置特定部162が水上移動体1の絶対位置を特定できない場合、位置特定部162が水上移動体1の絶対位置を特定した直近の位置から潜航場所に向けて潜航移動体2を移動させてもよい。
【0064】
すなわち、潜航制御部164は、位置特定部162が水上移動体1の絶対位置を特定した複数の位置のうち、潜航場所に最も近い位置から潜航場所に向けて潜航移動体2を移動させるための制御データを潜航移動体2に送信する。潜航制御部164がこのように動作することで、水上移動体1にGPS衛星からの電波が届かない状況が発生したとしても、高い精度で潜航移動体2を潜航場所に移動させることができる。
【0065】
潜航制御部164は、潜航移動体2がセンサー(例えばLiDAR)により水中の障害物を検出したという通知を潜航移動体2から受信した場合、潜航移動体2の進路を変更するための制御データを送信してもよい。潜航制御部164は、障害物を検出したという通知を潜航移動体2から受信した場合、潜航移動体2の移動を停止させるための制御データを潜航移動体2に送信するとともに、新たな制御情報を管理サーバ3に要求してもよい。潜航制御部164は、制御情報取得部161が新たな制御情報を受信すると、新たな制御情報に基づく向きに潜航移動体2を移動させるための制御データを潜航移動体2に送信する。
【0066】
潜航制御部164は、制御情報が示す動作を潜航移動体2に実行させるための制御データを潜航移動体2に送信してもよい。潜航制御部164は、例えば、位置特定部162から通知された潜航移動体2の絶対位置に基づいて潜航移動体2が潜航場所に到達したと判定した場合に、潜航移動体2に所定の動作を実行させる指示を含む制御データを潜航移動体2に送信する。潜航制御部164がこのように動作することで、潜航移動体2が適切なタイミングで動作を実行することができる。
【0067】
潜航制御部164は、潜航移動体2の絶対位置を含む制御データを送信してもよい。潜航制御部164がこのような制御データを送信することで、潜航移動体2は、水中物体Kを撮影した時点における潜航移動体2の絶対位置を撮像画像データに付すことができる。
【0068】
潜航制御部164は、潜航移動体2が潜航場所に到達したと判定した場合に、実行させる動作の内容を示す制御データを潜航移動体2に送信してもよい。潜航制御部164がこのように動作することで、潜航移動体2が実行するべき動作の種類が複数ある場合に、潜航場所において実行するべき動作を潜航移動体2が適切に実行することができる。
【0069】
潜航移動体2は、潜航場所において所定の動作を実行すると、例えばケーブルCを介して結果データ(例えば撮像画像データ)を水上移動体1に送信する。潜航移動体2は、潜航移動体2の位置及び向きに関連付けて、潜航移動体2が実行した動作の結果を示す結果データを水上移動体1に送信するデータ送信部を有しており、動作を完了した時点で結果データを送信してもよい。結果データは、例えば、潜航移動体2が潜航場所において水中物体Kを撮影することにより生成された撮像画像データである。
【0070】
結果データに関連付けられている潜航移動体2の位置は、例えば潜航制御部164が送信した制御データに含まれている潜航移動体2の絶対位置である。結果データに関連付けられている潜航移動体2の向きは、例えば潜航移動体2が有する方位計により計測された向きである。潜航移動体2がジャイロセンサを有している場合、潜航移動体2の向きは、水上移動体1から解放された後に変化した潜航移動体2の角度の大きさに基づいて特定される、水上移動体1の向きに対する相対的な向きであってもよい。なお、潜航移動体2は、制御情報に含まれる全ての潜航場所での動作が終了した時点で結果データを送信してもよい。
【0071】
潜航制御部164は、潜航移動体2が送信した結果データを受信する。潜航制御部164は、作業を依頼したユーザが進捗状況を把握することができるようにするために、結果データを管理サーバ3に送信する。なお、潜航移動体2が送信する結果データには潜航移動体2の位置又は向きを示す情報が含まれておらず、潜航制御部164が、潜航移動体2から結果データを受信した時点における潜航移動体2の絶対位置及び向きを撮像画像データに付してもよい。
【0072】
潜航制御部164は、第1潜航場所で潜航移動体2が結果データを受信すると、次の潜航場所である第2潜航場所に潜航移動体2を移動させる。具体的には、潜航制御部164は、第1潜航場所と第2潜航場所との間において、水上移動体1の位置に対して鉛直方向の下方の位置に潜航移動体2を移動させることにより、第2潜航場所まで潜航移動体2を移動させる。
【0073】
すなわち、潜航制御部164は、位置特定部162から通知された水上移動体1の絶対位置と潜航移動体2の絶対位置との関係に基づいて、水平方向における水上移動体1の位置と潜航移動体2の位置との差が小さくなるように潜航移動体2を移動させるための制御データを潜航移動体2に送信する。より具体的には、潜航制御部164は、水上移動体1の絶対位置に対応する緯度・経度であり、かつ潜航移動体2の絶対位置に対応する深度である位置を特定し、潜航移動体2の絶対位置から特定した位置までの向きを示す制御データを潜航移動体2に送信する。潜航制御部164がこのように動作することで、ケーブルCの長さを変更することなく、潜航移動体2が一定の深度を維持したまま第2潜航場所に向けて移動することができる。
【0074】
潜航制御部164は、複数の潜航場所の全ての場所において結果データを取得した場合に、潜航移動体2を上昇させる。潜航制御部164は、所定の条件を満たす結果データを取得した場合に、潜航移動体2を上昇させてもよい。所定の条件は、例えば、撮像画像データにおける水中物体Kの鮮明度が基準レベル以上であるという条件である。潜航制御部164は、複数の潜航場所の全ての場所において所定の条件を満たす結果データを取得した場合に、潜航移動体2を上昇させてもよく、予め設定された一部の潜航場所において所定の条件を満たす結果データを取得した場合に潜航移動体2を上昇させてもよい。
【0075】
潜航制御部164は、例えば、ケーブルCを巻き取るように着脱機構部11を制御することにより潜航移動体2を上昇させる。潜航制御部164は、ケーブルCを巻き取るとともに、又はケーブルCを巻き取ることなく、水上移動体1の位置まで上昇させる指示を含む制御データを潜航移動体2に送信してもよい。潜航制御部164は、水上移動体1に対する潜航移動体2の相対位置に基づいて、水上移動体1に向けて潜航移動体2を移動させるための向き及び距離を含む制御データを潜航移動体2に送信することにより潜航移動体2を上昇させてもよい。
【0076】
なお、潜航制御部164は、所定の条件を満たさない結果データがある場合、当該結果データに対応する潜航場所に戻るように潜航移動体2を移動させてもよい。この場合、潜航制御部164は、戻るべき潜航場所を移動制御部163に通知し、移動制御部163は戻るべき潜航場所の上方まで水上移動体1を移動させる。
【0077】
[管理サーバ3の構成]
図9は、管理サーバ3の構成を示す図である。管理サーバ3は、第1通信部31と、第2通信部32と、記憶部33と、制御部34と、を有する。制御部34は、受付部341と、制御情報生成部342と、結果データ取得部343と、を有する。
【0078】
第1通信部31は、ネットワークを介して情報端末4とデータを送受信するための通信インターフェースである。第1通信部31は、例えば、受付部341から入力された記録データを情報端末4に送信し、情報端末4において入力された指定データを受信する。第1通信部31は、受信した指定データを受付部341に入力する。
【0079】
第2通信部32は、ネットワークを介して水上移動体1とデータを送受信するための通信インターフェースである。第2通信部32は、例えば制御情報を水上移動体1に送信し、潜航移動体2が所定の動作を実行した結果を示すデータ(例えば撮像画像データ)を受信する。
【0080】
記憶部33は、ROM、RAM及びSSD等の記憶媒体を有する。記憶部33は、制御部34が実行するプログラムを記憶する。また、記憶部33は、潜航移動体2が所定の動作を実行した結果データを記憶する。具体的には、記憶部33は、過去に結果データが取得された際の潜航移動体2の位置及び向きを示す複数の記録データを記憶する。
【0081】
より具体的には、記憶部33は、水上移動体1を識別するための水上移動体情報と、潜航移動体2を識別するための潜航移動体情報と、潜航移動体2が所定の動作を実行したときの水上移動体1及び潜航移動体2の位置と、潜航移動体2が所定の動作を実行したときの潜航移動体2の向きと、が関連付けられた複数の記録データを記憶する。水上移動体情報は、例えば水上移動体1に固有の水上移動体IDであり、潜航移動体情報は、例えば潜航移動体2に固有の潜航移動体IDである。水上移動体1と潜航移動体2とが一対一に対応している場合、水上移動体情報と潜航移動体情報とが同一であってもよい。記録データにおいては、水上移動体情報及び潜航移動体情報に代えて、移動体100を識別するための移動体情報が、潜航移動体2の位置及び向きに関連付けられていてもよい。
【0082】
図10は、記録データの一例を示す図である。
図10に示す記録データは、1台の移動体100に対応する記録データであり、当該移動体100に含まれる水上移動体1の水上移動体ID及び潜航移動体2の潜航移動体IDに関連付けられている。
図10に示す記録データにおいては、動作IDと、水上移動体の位置と、潜航移動体の位置と、画像データIDとが関連付けられている。潜航移動体の位置には、緯度、経度、深度及び向きが含まれている。画像データIDは、それぞれの位置において水中物体Kが撮影されて生成された画像データにアクセスする際に使用される情報である。
【0083】
制御部34は、例えばCPUを有する。制御部34は、記憶部33に記憶されたプログラムを実行することにより、受付部341、制御情報生成部342及び結果データ取得部343として機能する。
【0084】
受付部341は、水上移動体1の水上移動体ID又は当該潜航移動体2の潜航移動体IDと、潜航移動体2に所定の動作を実行させる指定位置と、を受け付ける。受付部341は、例えば複数の記録データを情報端末4に表示させ、情報端末4を介して、指定位置に対応する記録データを選択する操作を受け付けることにより、指定位置を受け付ける。受付部341は、潜航移動体2が撮影中の水中物体Kのリアルタイムの撮像画像データを記録データとして情報端末4に表示させることにより指定位置を受け付けてもよい。
【0085】
図11は、受付部341が情報端末4に表示させる記録データの例を示す図である。
図11(a)においては、記録データを特定するための情報として、撮影年月日と撮影対象とが表示されている。受付部341は、例えば、ユーザUにより指定された1つの水上移動体ID及び潜航移動体IDの組み合わせに関連付けられた記録データが存在する撮影年月日と撮影対象を情報端末4に表示させる。
【0086】
図11(a)に示す画面においてユーザUが例えば「防波堤A」を選択すると、受付部341は、「防波堤A」を指定位置として受け付ける。
図11(a)に示す画面においては1つの撮影年月日と同じ行の撮影対象とがペアになっており、受付部341は、2022年5月1日に防波堤Aが撮影されたときの記録データが指定されたことを認識する。
【0087】
続いて、受付部341は、記憶部33を参照することにより、2022年5月1日に防波堤Aが撮影されたときの複数の撮像画像データGを情報端末4に表示させる。
図11(b)には、撮像画像データG1、G2、G3が表示されているが、ユーザUはスライドバーSBを移動させることにより、他の撮像画像データGを表示させることができる。
【0088】
それぞれの撮像画像データには、撮影された位置を示す情報(例えば、緯度、経度、深度)が関連付けて表示されており、ユーザUは、位置を示す情報を参考にして、潜航移動体2に撮影させる複数の指定位置を指定することができる。すなわち、受付部341は、複数の撮像画像データから1つの撮像画像データの選択を受け付けることにより、撮像画像データが撮影された位置を指定位置として受け付ける。このようにして、受付部341は、1つの水上移動体情報及び潜航移動体情報の組み合わせに関連付けて複数の指定位置を受け付ける。受付部341は、水中物体Kの全体を示す画像を情報端末4に表示させ、表示させた画像においてユーザUが選択した複数の指定位置を受け付けてもよい。
【0089】
受付部341は、水中の地図(例えば三次元表示される水中空間マップ)に複数の撮像画像データを配置した状態で、複数の撮像画像データを情報端末4に表示させてもよい。この際、過去に潜航移動体2が移動した経路を情報端末4に表示させてもよい。ユーザUは、地図に表示された複数の撮像画像データ又は経路を見ながら位置を指定することで、潜航移動体2に撮影させたい位置を容易に指定することができる。
【0090】
受付部341は、撮像画像データが生成された位置を基準とする他の位置を指定位置として受け付けてもよい。受付部341は、例えば、ユーザUから撮像画像データの選択を受け付けるとともに、選択された撮像画像データが撮影された位置を基準とする指定位置を示すテキストデータ又は画像データを取得することにより、当該指定位置を受け付けてもよい。当該テキストデータは、例えば、「右1m」、「上2m」というように、向きと距離を示すテキストデータである。受付部341がこのように動作することで、ユーザUは、過去に撮影された位置と異なる位置を新たな撮影位置として指定することができる。
【0091】
受付部341は、記録データとして登録されていない撮像画像データを新たな記録データとして登録する指示を受け付けることもできる。この場合、受付部341は、潜航移動体2が生成した複数の撮像画像データを情報端末4に表示させ、所定の選択操作が行われた1以上の撮像画像データを、水上移動体情報と、潜航移動体情報と、撮像画像データが生成されたときの水上移動体1、潜航移動体2の位置及び潜航移動体2の向きと、を関連付けて記憶部33に記憶させる。受付部341がこのように動作することで、
図10に示したような記録データが記憶部33に記憶される。
【0092】
制御情報生成部342は、水上移動体1及び潜航移動体2を移動させ、指定された潜航場所において所定の動作を実行させるための制御情報を生成する。具体的には、制御情報生成部342は、指定位置に向けて水上移動体1及び潜航移動体2を移動させるとともに、受付部341が受け付けた水上移動体情報又は潜航移動体情報と指定位置とに関連付けて記憶部33に記憶された記録データが示す潜航移動体2の向きに潜航移動体2を向かせるための制御情報を生成する。より具体的には、ユーザUが
図10に示す動作ID1の記録データを選択した場合、受付部341は、動作ID1に対応する潜航移動体2の緯度・経度・深度及び向きを示す制御情報を生成する。水上移動体1がこのような制御情報を取得することにより、潜航移動体2は、動作ID1に対応する位置及び向きで所定の動作を実行することができる。
【0093】
ユーザUが複数の指定位置を選択した場合、制御情報生成部342は、ユーザUが選択した複数の指定位置を示す複数の制御情報を生成する。例えば、ユーザUが
図10における動作ID1から動作ID8に対応する複数の指定位置を選択した場合、制御情報生成部342は、動作ID1から動作ID8に対応する複数の指定位置を示す制御情報を生成する。制御情報生成部342がこのような制御情報を生成することで、潜航移動体2は、複数の指定位置において順次所定の動作を実行することができる。
【0094】
ところで、過去の撮像画像データにおける水中物体Kの鮮明度が低い場合、より水中物体Kに近いから撮影することが望ましいと考えられる。そこで、制御情報生成部342は、撮像画像データに含まれている被写体の鮮明度を特定し、鮮明度と被写体である水中物体Kまでの距離とが関連付けられたデータを参照することにより、特定した鮮明度に対応する水中物体Kまでの距離を決定してもよい。そして、制御情報生成部342は、水中物体Kから決定した距離の位置に潜航移動体2を向かせるための制御情報を生成する。鮮明度と水中物体Kまでの距離とが関連付けられたデータは、鮮明度が低いほど距離が小さくなるデータであり、例えば記憶部33に記憶されている。制御情報生成部342がこのような処理をすることで、撮像画像データにおける水中物体Kの鮮明度が低い場合に、水中物体Kの鮮明度が過去の撮像画像データよりも高い撮像画像データを潜航移動体2が生成できる蓋然性が高まる。
【0095】
ただし、ユーザUが指定した位置よりも水中物体Kに接近した位置で水中物体Kが撮影された場合、ユーザUが、どの位置が撮影されたのかを把握しづらくなったり、過去の撮像画像データと比較しづらくなったりすることが想定される。そこで、制御情報生成部342は、特定した鮮明度に基づいて決定した被写体までの距離に対応する潜航移動体2の第1位置が、指定位置に対応する第2位置よりも当該被写体に近い場合、制御情報生成部は、第1位置及び第2位置において潜航移動体2に被写体を撮影させるための制御情報を生成する。このように、水中物体Kまでの距離が異なる複数の位置で潜航移動体2が水中物体Kを撮影できる制御情報を制御情報生成部342が生成することで、ユーザUは、所望の範囲が撮影された画像を見るとともに、鮮明度が高い状態の画像を見ることが可能になる。
【0096】
結果データ取得部343は、第2通信部32を介して、潜航移動体2が生成した結果データを取得する。潜航移動体2が水中物体Kを撮影した場合、結果データ取得部343は、水上移動体1の水上移動体ID及び潜航移動体2の潜航移動体IDに関連付けて複数の撮像画像データを記憶部33に記憶させる。結果データ取得部343は、撮影年月日、及びユーザUが指定した撮影対象の名称を示すテキストデータを関連付けて複数の撮像画像データを記憶部33に記憶させてもよい。
【0097】
[管理サーバ3における処理の流れ]
図12は、管理サーバ3における処理の流れを示すフローチャートである。
図12に示すフローチャートは、ユーザUが所定のアプリケーションソフトウェアを起動して、潜航移動体2に所定の動作を実行させる指示をする時点から開始している。
【0098】
受付部341は、ユーザUにより入力された移動体ID(例えば水上移動体ID及び潜航移動体ID)を取得する(S1)。水上移動体IDと潜航移動体IDとが記憶部33において関連付けられている場合、受付部341は、水上移動体ID及び潜航移動体IDのうち、いずれか一方だけを取得してもよい。
【0099】
受付部341は、移動体IDを取得すると、移動体IDに関連付けて記憶部33に記憶されている記録データを特定する。受付部341は、特定した記録データの概要を示す情報を情報端末4に送信する(S2)。記録データの概要を示す情報は、例えば
図11(a)に示したように、撮影年月日又は水中物体Kの名称の少なくともいずれかを示す情報である。
【0100】
続いて、受付部341は、ユーザUが選択した記録データを示す選択情報を取得する(S3)。選択情報には、例えば
図11(a)に示したいずれかの撮影対象を示す情報が含まれている。
【0101】
続いて、受付部341は、ユーザUにより選択された撮影対象が過去に撮影されて生成された複数の撮像画像データを情報端末4に送信する(S4)。受付部341は、複数の撮像画像データからユーザUにより選択された1以上の撮像画像データに対応する位置を指定位置として取得する(S5)。
【0102】
制御情報生成部342は、記憶部33に記憶された記録データにおいて、受付部341が取得した指定位置に関連付けられた緯度・経度・深度・向きを示す制御情報を生成する(S6)。制御情報生成部342は、生成した制御情報を水上移動体1に送信する(S7)。
【0103】
[水上移動体1における処理の流れ]
図13は、水上移動体1における処理の流れを示すフローチャートである。
図13に示すフローチャートは、制御情報生成部342が制御情報を水上移動体1に送信した時点から開始している。
【0104】
まず、水上移動体1は、管理サーバ3から制御情報を取得する(S11)。水上移動体1は、取得した制御情報に含まれている複数の潜航場所の位置に基づいて移動する(S12)。具体的には、移動制御部163は、最初の潜航場所に向けて移動するように移動機構部10を制御する。移動制御部163は、移動体100の移動中に、移動体100が潜航場所の上方、又は指示された絶対位置の着水場所に到達したか否かを判定する(S13)。移動制御部163は、位置特定部162から通知された水上移動体1の絶対位置に基づいて、移動体100が潜航場所の上方に到達していないと判定した場合(S13においてNO)、移動を継続する(S12)。
【0105】
移動制御部163は、移動体100が潜航場所の上方に到達したと判定した場合(S13においてYES)、水上移動体1の移動を終了する。移動制御部163が水上移動体1の移動を終了すると、潜航制御部164は、着脱機構部11を制御して潜航移動体2を解放する(S14)。
【0106】
潜航制御部164は、潜航移動体2を解放すると、潜航移動体2を潜航場所まで移動させる(S15)。潜航制御部164は、位置特定部162から通知される潜航移動体2の絶対位置に基づいて、潜航移動体2が潜航場所に到達したか否かを判定する(S16)。潜航制御部164は、潜航移動体2が潜航場所に到達していないと判定した場合(S16においてNO)、潜航移動体2が潜航場所に到達するまで待機する。潜航制御部164は、潜航移動体2が潜航場所に到達したと判定した場合(S16においてYES)、制御情報において潜航場所に関連付けられている動作を実行させるための制御データを潜航移動体2に送信することにより、潜航移動体2に当該動作を実行させる(S17)。
【0107】
潜航制御部164は、動作を実行したという通知を潜航移動体2から受信すると、全ての潜航場所で動作が実行されたか否かを判定する(S18)。まだ動作が実行されていない潜航場所がある場合(S18においてNO)、潜航制御部164は、次の潜航場所まで潜航移動体2を移動させる。潜航制御部164は、全ての潜航場所で動作が実行されるまでの間、S15からS18までの処理を繰り返す。
【0108】
全ての潜航場所で動作が実行された場合(S18においてYES)、潜航制御部164は、着脱機構部11を制御することによりケーブルCを巻き取るとともに、上昇させるための制御データを潜航移動体2に送信することにより潜航移動体2を上昇させる(S19)。潜航移動体2が上昇して水上移動体1に収容されると、移動制御部163は基地に向けて水上移動体1を移動させる(S20)。
【0109】
[第1変形例]
以上の説明においては、記憶部33が水上移動体ID及び潜航移動体IDに関連付けて記録データを記憶し、受付部341が水上移動体ID及び潜航移動体IDとともに指定位置を受け付ける場合を例示した。しかしながら、記憶部33が水上移動体ID及び潜航移動体IDに関連付けられていない記録データを記憶し、受付部341が水上移動体ID及び潜航移動体IDを受け付けることなく指定位置を受け付けてもよい。この場合、制御情報生成部342は、記録データにおいて受付部341が受け付けた指定位置に関連付けられた向きで潜航移動体2に所定の動作を実行させるための制御情報を生成する。
【0110】
[第2変形例]
以上の説明においては、撮影対象となる水中物体Kの位置が一定である場合について説明したが、水中物体Kの位置が変化することも想定される。例えば、撮影対象が養殖魚のいる養殖網の内部である場合、海流や潮位(満潮/干潮)等の環境変化によって養殖網が流されて移動している場合がある。
【0111】
環境変化の内容は、海流や潮位等の水中環境のリアルタイムのデータ又は予測データは、気象庁などの外部機関から入手できる。そこで、制御情報生成部342は、潜航移動体2の移動予定時刻において予想される水中環境に基づいて指定位置を補正することにより制御情報を生成してもよい。撮影対象が環境変化の影響を受けるか否かを示すデータが記憶部33に記憶されており、制御情報生成部342は、撮影対象が環境変化の影響を受ける場合に、水中環境を示すデータによって特定される水中環境に応じて潜航場所を変えるべく補正した指定位置に向けて潜航移動体2を移動させるための制御信号を生成するようにしてもよい。
【0112】
具体的には、制御情報生成部342は、例えば機械学習モデルを用いて、海流の速さ・方向又は潮位に対応する養殖網の位置の変化を予測する。制御情報生成部342は、データベースに記録された、過去の海流の速さ・方向、潮位の状況に応じて変化した撮影対象の位置を示すデータを参照することにより、海流の速さ・方向又は潮位に対応する養殖網の位置の変化を予測してもよい。制御情報生成部342は、予測した変化に基づいて指定位置を補正する。
【0113】
より具体的には、制御情報生成部342は、波の高さが1m上昇すると養殖網の位置が1m南に移動するということを予測することにより、潜航場所の指定位置を補正する。潮位は予測可能であるため、上記のような処理により、制御情報生成部342は、潜航場所の位置を高い精度で最適な位置に補正できる。制御情報生成部342がこのように動作することで、撮影対象が水中の状況によって移動するものであっても、潜航移動体2が適切に撮影対象を撮影できる。
【0114】
[水上移動体1及び管理サーバ3による効果]
以上説明したように、移動体100は、水上移動体1と、水上移動体1に着脱可能な状態で結合された潜航移動体2と、を有しており、水上移動体1は、潜航移動体2の潜航場所を含む制御情報が示す潜航場所の上方の位置に向けて水上移動体1を飛行させる移動制御部163と、潜航場所の上方の位置に水上移動体1が到着すると、潜航移動体2を潜航場所に向けて移動させる潜航制御部164と、を有する。移動体100がこのように構成されていることで、ユーザUの操縦によらず、潜航移動体2が水中の所定の潜航場所まで移動できるようになる。
【0115】
そして、移動体制御装置として機能する管理サーバ3が、潜航移動体2に所定の動作を実行させる指定位置を受け付ける受付部341と、指定位置に向けて移動体100を移動させるとともに、受付部341が受け付けた移動体IDと指定位置とに関連付けて記憶部33に記憶された記録データが示す潜航移動体2の向きに潜航移動体2を向かせるための制御情報を生成する。管理サーバ3がこのように構成されていることで、ユーザUが潜航移動体2の向きを操縦することなく、過去に潜航移動体2が所定の動作を実行した際と同等の動作を潜航移動体2に実行させることができる。
【0116】
なお、以上の説明においては、水上移動体1及び潜航移動体2が制御情報に基づいて自律的に移動する場合を例示したが、水上移動体1及び潜航移動体2の一部の動作がオペレータの制御に基づいて行われてもよい。例えば、水上移動体1及び潜航移動体2が制御情報に基づいて自律的に移動している間に、水上移動体1が管理サーバ3又は他の装置から手動操作のデータを受信した場合、自律的な動作を停止し、手動操作のデータに基づいて動作をしてもよい。
【0117】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0118】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0119】
1 水上移動体
2 潜航移動体
3 管理サーバ
4 情報端末
10 移動機構部
11 着脱機構部
12 通信部
13 音響信号受信部
14 受信機
15 記憶部
16 制御部
31 第1通信部
32 第2通信部
33 記憶部
34 制御部
100 移動体
161 制御情報取得部
162 位置特定部
163 移動制御部
164 潜航制御部
341 受付部
342 制御情報生成部
343 結果データ取得部
【要約】
【課題】オペレータの操縦によらず、水中で動作する移動体に場所に適した動作を実行させる。
【解決手段】管理サーバ3は、水上移動体IDと、潜航移動体IDと、潜航移動体2が所定の動作を実行したときの水上移動体1及び潜航移動体2の位置と、潜航移動体2が所定の動作を実行したときの潜航移動体2の向きと、が関連付けられた複数の記録データを記憶する記憶部33と、水上移動体ID又は潜航移動体IDと、潜航移動体2に所定の動作を実行させる指定位置と、を受け付ける受付部341と、指定位置に向けて水上移動体1及び潜航移動体2を移動させるとともに、受付部341が受け付けた水上移動体ID又は潜航移動体IDと指定位置とに関連付けて記憶部33に記憶された記録データが示す潜航移動体2の向きに潜航移動体2を向かせるための制御情報を生成する制御情報生成部342と、を有する。
【選択図】
図9