(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】浸漬冷却装置、アクティブ放熱モジュール、アクティブ導流モジュール
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
H05K7/20 M
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023116372
(22)【出願日】2023-07-17
【審査請求日】2023-07-17
(32)【優先日】2022-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】504429600
【氏名又は名称】緯創資通股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】WISTRON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】瞿 紹任
(72)【発明者】
【氏名】呉 御銓
(72)【発明者】
【氏名】陳 ▲華▼
(72)【発明者】
【氏名】梁 銓益
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2016/075838(JP,A1)
【文献】特開2002-190685(JP,A)
【文献】特開2017-174935(JP,A)
【文献】特開昭63-047959(JP,A)
【文献】国際公開第2002/049106(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浸漬冷却装置であって、
収容構造を備えるタンク
と、
少なくとも1つのカバーと、
前記収容構造内に位置する少なくとも1つの発熱コンポーネントと、
前記少なくとも1つの発熱コンポーネント上に設けられた少なくとも1つの放熱コンポーネントと、
前記少なくとも1つのカバーに接続された少なくとも1つの流体駆動ユニットと
を含み、
前記浸漬冷却装置は、前記少なくとも1つの発熱コンポーネントを単相で冷却するよう適合され、
前記少なくとも1つのカバーは、導流構造を備え、前記少なくとも1つの放熱コンポーネントが前記導流構造内に位置するよう前記少なくとも1つの放熱コンポーネントを覆い、
前記導流構造は、前記少なくとも1つの流体駆動ユニットと前記収容構造との間を連通
し、
前記少なくとも1つの発熱コンポーネントは、前記導流構造内に配置される、
浸漬冷却装置。
【請求項2】
少なくとも1つの回路板を含み、
前記少なくとも1つの発熱コンポーネントは、前記少なくとも1つの回路板上に設けられ、前記少なくとも1つのカバーと前記少なくとも1つの放熱コンポーネントのうちの少なくとも1つは、前記少なくとも1つの回路板に組み付けられ、
前記少なくとも1つのカバーは、頂壁と、2つの側壁とを含み、前記2つの側壁は、それぞれ前記頂壁の2つの対向する縁部に接続され、
前記少なくとも1つのカバーは、前記少なくとも1つの放熱コンポーネント上に組み付けられ、
前記少なくとも1つのカバーは、互いに対向する接続端および開放端を含み、前記接続端は前記少なくとも1つの流体駆動ユニットに接続され、前記導流構造は、前記開放端を通じて前記収容構造と連通する、
請求項1に記載の浸漬冷却装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つのカバーは少なくとも1つのテーパ状導引面を備え、前記少なくとも1つのテーパ状導引面は、前記少なくとも1つの流体駆動ユニットと前記少なくとも1つの放熱コンポーネントとの間に位置し、
前記少なくとも1つのテーパ状導引面は2つのテーパ状導引面を含み、前記2つのテーパ状導引面は
前記接続端の二側にそれぞれ配置され、前記2つのテーパ状導引面の間の距離は、前記少なくとも1つの流体駆動ユニットから前記少なくとも1つの放熱コンポーネントへと漸増する、
請求項
2に記載の浸漬冷却装置。
【請求項4】
発熱コンポーネント上に配置されることに適し、
放熱コンポーネントと、
導流構造を備えるカバーと
前記カバーに接続された流体駆動ユニットと
を含み、
前記カバーは、前記放熱コンポーネントが前記導流構造内に位置するよう前記放熱コンポーネントを覆い、
前記導流構造は、前記流体駆動ユニットと連通しており、
前記カバーは、頂壁と、2つの側壁とを含み、前記2つの側壁は、それぞれ前記頂壁の2つの対向する縁部に接続され、
前記カバーは、前記放熱コンポーネントに組み付けられ、
前記カバーは、互いに対向する接続端および開放端を有し、前記接続端は前記流体駆動ユニットに接続され、
前記カバーは、少なくとも1つのテーパ状導引面を有し、前記少なくとも1つのテーパ状導引面は、前記流体駆動ユニットと前記放熱コンポーネントとの間に位置し、
前記少なくとも1つのテーパ状導引面は2つのテーパ状導引面を含み、前記2つのテーパ状導引面は
前記接続端の二側にそれぞれ配置され、前記2つのテーパ状導引面の間の距離は、前記流体駆動ユニットから前記放熱コンポーネントへと漸増し、
前記放熱コンポーネントと前記流体駆動ユニットとの間には間隙が存在
し、
前記発熱コンポーネントは、前記導流構造内に配置される、
アクティブ放熱モジュール。
【請求項5】
発熱コンポーネント上に配置されることに適し、
導流構造を備えるカバーと
前記カバーに接続された流体駆動ユニットと
を含み、
前記導流構造は、前記流体駆動ユニットと連通しており、
前記カバーは、頂壁と、2つの側壁とを含み、前記2つの側壁は、それぞれ前記頂壁の2つの対向する縁部に接続され、
前記カバーは、互いに対向する接続端および開放端を有し、前記接続端は前記流体駆動ユニットに接続され、
前記カバーは、少なくとも1つのテーパ状導引面を有し、前記少なくとも1つのテーパ状導引面は前記流体駆動ユニットに隣接しており、
前記少なくとも1つのテーパ状導引面は2つのテーパ状導引面を含み、前記2つのテーパ状導引面は
前記接続端の二側にそれぞれ配置され、前記2つのテーパ状導引面の間の距離は、前記流体駆動ユニットから離れる方向に沿って漸増
し、
前記発熱コンポーネントは、前記導流構造内に配置される、
アクティブ導流モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置、放熱モジュール、及び導流モジュールに関するものである。特に、本発明は、浸漬冷却装置、アクティブ放熱モジュール、アクティブ導流モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液冷式放熱は、一般的に、直接接触液冷と浸漬冷却とに分けられる。浸漬液冷は2つの様式、即ち単相と二相に更に分けることができる。単相浸漬冷却装置の構造はファンを有さない比較的簡易なものであり、低ノイズ、低電力消費、効率的な使用を達成する。加えて、冷却液が相変化を起こさず、気密性や圧力管理が不要であることから、全体的なシステムは安定しており信頼性がある。
【0003】
しかし、一般的な単相浸漬液冷装置に用いられる冷却液の粘度は比較的高く、冷却液が対流のために駆動される可能性は低い。その結果、装置の内部流れ場において、流速が遅く、流量が不十分であり、これは冷却すべき高ワット数の電子コンポーネントの過熱を引き起こす可能性が高い。或いは、単相浸漬液冷装置は、不十分な流速及び流量を補うために大型放熱コンポーネント(例えば、大型放熱フィン)と共に用いる必要がある。よって、装置の内部空間が占有され、冷却すべき電子コンポーネントの収容可能数が減少する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、放熱コンポーネントの冷却を効果的に向上させることのできる、浸漬冷却装置、アクティブ放熱モジュール、アクティブ導流モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの実施形態の浸漬冷却装置は、筐体と、少なくとも1つの発熱コンポーネントと、少なくとも1つの放熱コンポーネントと、少なくとも1つの流体駆動ユニットとを含む。筐体は、タンクと、少なくとも1つのカバーとを含み、収容構造を有する。発熱コンポーネントは収容構造内に位置する。浸漬冷却装置は、発熱コンポーネントを単相で冷却するよう適合される。放熱コンポーネントは発熱コンポーネント上に設けられる。カバーは導流構造を備え、放熱コンポーネントが導流構造内に位置するよう放熱コンポーネントを覆う。流体駆動ユニットはカバーに接続される。導流構造は、流体駆動ユニットと収容構造との間を連通する。
【0006】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つのカバーは頂壁と2つの側壁とを含み、2つの側壁はそれぞれ頂壁の2つの対向する縁部に接続される。
【0007】
本発明の1つの実施形態において、浸漬冷却装置は少なくとも1つの回路板を更に含む。少なくとも1つの発熱コンポーネントは少なくとも1つの回路板上に設けられ、少なくとも1つのカバーと少なくとも1つの放熱コンポーネントのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの回路板上に組み付けられる。
【0008】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つのカバーは少なくとも1つの放熱コンポーネント上に組み付けられる。
【0009】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つのカバーは互いに対向する接続端および開放端を備える。接続端は、少なくとも1つの流体駆動ユニットに接続される。導流構造は、開放端を通じて収容構造と連通する。
【0010】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つのカバーは少なくとも1つのテーパ状導引面を備え、少なくとも1つのテーパ状導引面は、少なくとも1つの流体駆動ユニットと少なくとも1つの放熱コンポーネントとの間に位置する。
【0011】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つのテーパ状導引面は2つのテーパ状導引面を含む。2つのテーパ状導引面は互いに対向している。2つのテーパ状導引面の間の距離は、少なくとも1つの流体駆動ユニットから少なくとも1つの放熱コンポーネントへと漸増する。
【0012】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの放熱コンポーネントと少なくとも1つの流体駆動ユニットとの間には間隙が存在する。
【0013】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの放熱コンポーネントは放熱フィン群である。
【0014】
本発明の1つの実施形態において、収容構造は放熱媒体を収容するよう適合される。少なくとも1つの流体駆動ユニットは、放熱媒体が導流構造を流れるよう駆動するよう適合される。
【0015】
本発明の1つの実施形態のアクティブ放熱モジュールは、放熱コンポーネントと、カバーと、流体駆動ユニットとを含む。カバーは導流構造を備える。カバーは、放熱コンポーネントが導流構造内に位置するよう放熱コンポーネントを覆う。流体駆動ユニットはカバーに接続される。導流構造は流体駆動ユニットと連通している。
【0016】
本発明の1つの実施形態において、カバーは頂壁と2つの側壁とを含み、2つの側壁はそれぞれ頂壁の2つの対向する縁部に接続される。
【0017】
本発明の1つの実施形態において、カバーは放熱コンポーネント上に設けられる。
【0018】
本発明の1つの実施形態において、カバーは互いに対向する接続端および開放端を備え、接続端は流体駆動ユニットに接続される。
【0019】
本発明の1つの実施形態において、カバーは少なくとも1つのテーパ状導引面を備え、少なくとも1つのテーパ状導引面は、流体駆動ユニットと放熱コンポーネントとの間に位置する。
【0020】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つのテーパ状導引面は2つのテーパ状導引面を含む。2つのテーパ状導引面は対向している。2つのテーパ状導引面の間の距離は、流体駆動ユニットから放熱コンポーネントへと漸増する。
【0021】
本発明の1つの実施形態において、放熱コンポーネントと流体駆動ユニットとの間には間隙が存在する。
【0022】
本発明の1つの実施形態において、放熱コンポーネントは放熱フィン群である。
【0023】
本発明の1つの実施形態のアクティブ導流モジュールは、カバーと流体駆動ユニットとを含む。カバーは導流構造を備える。流体駆動ユニットはカバーに接続される。導流構造は流体駆動ユニットと連通している。
【0024】
本発明の1つの実施形態において、カバーは頂壁と2つの側壁とを含み、2つの側壁はそれぞれ頂壁の2つの対向する縁部に接続される。
【0025】
本発明の1つの実施形態において、カバーは互いに対向する接続端および開放端を備え、接続端は流体駆動ユニットに接続される。
【0026】
本発明の1つの実施形態において、カバーは少なくとも1つのテーパ状導引面を備え、少なくとも1つのテーパ状導引面は流体駆動ユニットに隣接している。
【0027】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つのテーパ状導引面は、2つのテーパ状導引面を含む。2つのテーパ状導引面は対向している。2つのテーパ状導引面の間の距離は、流体駆動ユニットから離れる方向に沿って漸増する。
【発明の効果】
【0028】
上記に基づき、本発明の実施形態の浸漬冷却装置において、放熱コンポーネントは収容構造内の発熱コンポーネント上に設けられ、カバーは、放熱コンポーネントがカバーの導流構造内に位置するよう放熱コンポーネントを覆う。更に、カバーは、流体を導流構造を流れるよう駆動することのできる流体駆動ユニットに接続される。従って、収容構造内の流れ場の効率を向上させ、特に、発熱コンポーネント周囲の流れ場の流速及び流量を増加させ、発熱コンポーネントの冷却を効果的に向上させることが可能である。
【0029】
上記をより理解し易くするため、図面と併せていくつかの実施形態を以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
添付の図面は本発明の更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれてその一部を構成する。図面は本発明の例示的な実施形態を表し、明細書と共に本発明の原理を説明する役割を果たす。
【
図1】本発明の1つの実施形態による浸漬冷却装置の概略図である。
【
図2A】
図1のアクティブ放熱モジュールの概略図である。
【
図2B】
図1のアクティブ放熱モジュールのもう1つの視点からの概略図である。
【
図3A】回路板上に組み付けられた
図1のアクティブ放熱モジュールの部分概略図である。
【
図4】本発明のもう1つの実施形態による浸漬冷却装置の概略図である。
【
図5】
図4のアクティブ放熱モジュールの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明の1つの実施形態による浸漬冷却装置の概略図である。
図1は、発熱コンポーネントを破線で示している。
図1を参照し、本実施形態において、浸漬冷却装置100は、筐体105と、少なくとも1つの発熱コンポーネント120と、少なくとも1つの放熱モジュール140とを含む。2つの発熱コンポーネント120と2つの放熱モジュール140を示しているが、その数はこれに限定されない。筐体105は、タンク110とカバー1441とを含む。タンク110は、放熱媒体M、例えば冷却液、を収容するよう適合された収容構造S1を有する。浸漬冷却装置100は単相冷却装置である。換言すれば、放熱媒体Mは熱交換処理の間、液状を維持する。発熱コンポーネント120は収容構造S1内に位置し、例えば、少なくとも1つの回路板130(1つの回路板を図示)上に設けられてよい。例えば、発熱コンポーネント120は、発熱コンポーネント120を冷却するため発熱コンポーネント120により発せられた熱を放熱媒体Mへ伝達させるよう放熱媒体Mに浸漬された、サーバのチップセットである。単相浸漬冷却装置100は既知の技術であり、その詳細な機能方式はここでは繰り返し説明しない。
【0032】
本実施形態の浸漬冷却装置100において、回路板130上に設けられて発熱コンポーネント120と位置合わせされたアクティブ放熱モジュール140により、収容構造S1内の放熱媒体Mの流れを効果的に増加させること、特に、発熱コンポーネント120付近の放熱媒体Mの流量及び流速を増加させることが可能である。その結果、発熱コンポーネント120の放熱が向上する。以下にこれを詳細に説明する。
【0033】
図2Aは、
図1のアクティブ放熱モジュールの概略図である。
図2Bは、
図1のアクティブ放熱モジュールのもう1つの視点からの概略図である。
図2Bはまた、放熱媒体の流れ方向を太い矢印で模式的に示している。
図2Aと
図2Bを参照し、特に、本実施形態において、アクティブ放熱モジュール140は、放熱コンポーネント142(
図2B)と、アクティブ導流モジュール144(
図2B)とを含む。アクティブ導流モジュール144は、カバー1441と、流体駆動ユニット1442とを含む。例えば、放熱コンポーネント142は、発熱コンポーネント120(
図1)上に設けられた放熱フィン群であり、発熱コンポーネント120の動作の間に生成された熱エネルギーを放熱コンポーネント142へ伝達するため、発熱コンポーネント120と熱交換してよいが、放熱コンポーネント142の形態はこれに限定されない。カバー1441は、導流構造S2(
図2B)を備える。放熱コンポーネント142はカバー1441に覆われて、放熱コンポーネント142は導流構造S2内に位置する。流体駆動ユニット1442は、例えば係止又は係合によりカバー1441に接続され、導流構造S2は流体駆動ユニット1442と収容構造S1(
図1)との間を連通する。流体駆動ユニット1442は、例えば、ポンプ、ポンプモータ、ファン、小型プロペラ、造波機、又はウォータジェット推進器であり、放熱媒体Mを導流構造S2を流れるよう駆動するよう適合されるが、流体駆動ユニット1442の形態はこれに限定されない。
【0034】
本実施形態において、カバー1441は、接続端1441aと、開放端1441bとを有する。接続端1441aは、流体駆動ユニット1442に接続される。導流構造S2は、開放端1441bを通じて収容構造S1と連通している。流体駆動ユニット1442は、放熱媒体Mが開放端1441aから収容構造S1を通って流れ、次いで接続端1441aからカバー1441aの外へ流れるよう駆動する。換言すれば、放熱媒体Mの流れ方向は、
図2Bにおける左下(即ち、上流端)から右上(即ち、下流端)である。ただし、流体駆動ユニット1442は、放熱媒体Mを
図2Bに示した流れ方向とは逆の流れ方向、つまり、
図2Bにおける右上から左下に駆動するよう設計されてもよく、本発明はこれに限定されない。
【0035】
カバー1441は、頂壁1441cと、2つの側壁1441dとを含む。頂壁1441cが位置する面上の放熱コンポーネント142の投影領域は頂壁1441cを超過せず、頂壁1441cは放熱コンポーネント142が位置する流れ場の効率を完全に向上させる。2つの側壁1441dは、それぞれ頂壁1441cの2つの対向する縁部1441eに接続され、放熱コンポーネント142は頂壁1441cと2つの側壁1441dにより囲まれる。加えて、カバー1441は、頂壁1441に対向する底端1441gを更に含む。底端1441gは収容構造S1(
図1)と連通し、これは回路板130上に底端1441gを介して放熱コンポーネント142を設けることを容易にする。
【0036】
更に、流体駆動ユニット1442が始動したとき、カバー1441の外側の放熱媒体Mは、開放端1441bから導流構造S2内に流れるよう駆動される。導流構造S2に進入した放熱媒体Mは、放熱コンポーネント142を流れて、放熱コンポーネント142の熱エネルギーを放熱媒体Mへ伝達するため放熱コンポーネント142と熱交換してよい。次いで、放熱媒体Mは流体駆動ユニット1442を通じて接続端1441aから排出される。換言すれば、本実施形態において、アクティブ放熱モジュール140は、流体駆動ユニット1442により放熱媒体Mを駆動し、カバー1441の導流と共に、高粘度による放熱媒体Mの流れの悪影響を緩和し、放熱媒体Mの流量を増加させることができる。本実施形態において、例えば、浸漬冷却装置100は、放熱媒体Mの流量を0.54リットル/分(LPM)から1LPMに増加させ、発熱コンポーネント120の温度を最大7℃以上低下させることができる。例えば、放熱媒体Mの流量が更に5LPM増加した場合、発熱コンポーネント120の温度は最大15℃以上低下し、発熱コンポーネント120の冷却を向上させることができる。
【0037】
注目すべき点として、本実施形態において、カバー1441は、少なくとも1つのテーパ状導引面1441fを更に含む。テーパ状導引面1441fは、頂壁1441c、側壁1441d、及び流体駆動ユニット1442に接続され、流体駆動ユニット1442と放熱コンポーネント142との間に位置する。放熱コンポーネント142と流体駆動ユニット1442との間には、流体駆動ユニット1442と放熱コンポーネント142との距離が過度に近いことによる流体駆動ユニット1442の流体駆動力の低下を防止するため、間隙Gが存在する。本実施形態において、互いに対向する2つのテーパ状導引面1441fを示しており、該2つのテーパ状導引面1441fの間の距離は、流体駆動ユニット1442から放熱コンポーネント142へと漸増する。換言すれば、放熱媒体Mが放熱コンポーネント142から流体駆動ユニット1442へ流れるとき、2つのテーパ状導引面1441fの間のフローチャネル空間は徐々に狭くなり、放熱媒体Mの流速の増加とカバー1441内の熱交換効率の増加をもたらし、アクティブ放熱モジュール140による放熱を向上させる。
【0038】
加えて、本実施形態において、カバー1441が比較的有効な導流を達成することから、放熱媒体Mを目標となる放熱コンポーネントに案内するためにタンク110内にバッフルを加える必要はなく、これはバッフルの材料の数又はサイズを省くのみならず、流れ場全体のインピーダンスを低下させ、放熱媒体Mの流量を更に増加させる助けとなる。
【0039】
図3Aは、回路板上に組み付けられた
図1のアクティブ放熱モジュールの部分概略図である。
図3Bは、
図3Aの分解図である。
図3Aと
図3Bを参照し、本実施形態において、アクティブ放熱モジュール140は、カバー1441と放熱コンポーネント142のうちの少なくとも1つを通じて、回路板130上に組み付けられてよい。例えば、カバー1441は、流体駆動ユニット1442に組み付けられてよい。放熱コンポーネント142は、組み付け要素148を組み付けることにより、回路板130上に設けられてよい。最後に、カバー1441が放熱コンポーネント142上に組み付けられる、又は、カバー1441のノッチ1441h(
図3B)を通じて回路板130の固定部(未図示)上に係合される。或いは、カバー1441は、先ず放熱コンポーネント142及び流体駆動ユニット1442に組み付けられ、次いで最後に回路板130上に組み付けられてよい。換言すれば、放熱コンポーネント142は回路板130上の既存コンポーネントであってよい、又は、アクティブ放熱モジュール140に統合されて、共に回路板130上に組み付けられてよい。ただし、アクティブ放熱モジュール140と回路板130の組み付けはこれに限定されない。
【0040】
加えて、アクティブ放熱モジュール140のコンポーネントは、ネジ、バックル、又はクランプ構造を通じて組み付け又は固定されてよい。アクティブ放熱モジュール140も、ネジ、バックル、又はクランプ構造を通じて回路板130上に組み付けられてよい。上記コンポーネントの組み付け又は固定は本発明により限定されず、実際の設計要件に応じて調整されてよい。
【0041】
本実施形態において、放熱コンポーネント142を流体駆動ユニット1442と組み合わせることによるアクティブ放熱モジュール140の比較的簡易な構造で、比較的高出力で比較的高い放熱要件を有する発熱コンポーネント120から、流れ場全体の設計を変更したり目標となる発熱コンポーネントに向かって流体を案内するためのバッフルを追加したりする必要なく、直接放熱することが可能となる。加えて、流体駆動ユニット1442は、一般的なファン構造を採用してよく、よって回路設計を改変する必要なく、通常の浸漬液冷システムと互換性がある。その結果、本実施形態において、アクティブ放熱モジュール140は浸漬液冷システムに適合されて、応用において比較的柔軟性及び利便性がある。
【0042】
加えて、本実施形態において、流体駆動ユニット1442は、放熱媒体Mを強制的に流動させることができ、流れ場全体の流動性を向上させ、また、比較的低電力で他のコンポーネントから放熱するのを助け、そのため放熱コンポーネント142のサイズを増加させることなく比較的効果的な冷却を達成することができる。このようにして、タンク110内の設計空間を省くのみならず、発熱コンポーネント120の数も増加させることができる。同一容量を有するタンク110に対し、本実施形態の浸漬冷却装置100は比較的優れた放熱能力を実現し、比較的高出力の発熱コンポーネント120をサポートすることができる、又は、発熱コンポーネント120を比較的高出力で動作させることができ、これは電子デバイスの性能拡張に利する。
【0043】
加えて、他の比較的低出力のコンポーネントが比較的高い放熱要件を有する場合、アクティブ放熱モジュール140は、これらコンポーネントを通る流量を増加させて冷却性能を向上させるため、適切なバッフル設計と組み合わせることができる。他の比較的低出力のコンポーネントが比較的低い放熱要件を有する場合、冷却は追加的なバッフルの必要なしに自然対流により達成することができ、これは材料と空間を更に節約するのに利する。
【0044】
図4は、本発明のもう1つの実施形態による浸漬冷却装置の概略図であり、発熱コンポーネントを破線で示している。
図5は、
図4のアクティブ放熱モジュールの概略図である。
図5はまた、放熱媒体の流れ方向を太い矢印で模式的に示している。
図4と
図5を参照し、
図4に示す実施形態と
図1に示す実施形態との間の差異は、
図4の浸漬冷却装置100Aにおけるアクティブ放熱モジュール140の配置方向が、
図1のアクティブ放熱モジュール140の配置方向と逆である点にある。
【0045】
更に、本実施形態において、流体駆動ユニット1442は、放熱媒体Mが接続端1441aから収容構造S1を通って流れ、次いで開放端1441bからカバー1441の外へ流れるよう駆動してよい。換言すれば、放熱媒体Mの流れ方向は、
図5における左下(即ち、上流端)から右上(即ち、下流端)である。ただし、流体駆動ユニット1442は、放熱媒体Mを
図5に示した流れ方向とは逆の流れ方向、つまり、
図5における右上から左下に駆動するよう設計されてもよく、本発明はこれに限定されない。
【0046】
換言すれば、本実施形態において、流体駆動ユニット1442は、放熱媒体Mを上記の実施形態におけるものと同一の流れ方向に駆動し、いずれも上流端から下流端へ流れ、上記の実施形態の流体駆動ユニット1442は下流端に設けられており、本実施形態の流体駆動ユニット1442は上流端に設けられている。ただし、本実施形態において、アクティブ放熱モジュール140の配置方向は放熱性能に影響せず、発熱コンポーネント120の比較的効果的な冷却を達成することができる。
【0047】
上記をまとめると、本発明の実施形態の浸漬冷却装置において、放熱コンポーネントは収容構造内の発熱コンポーネント上に設けられ、カバーは、放熱コンポーネントがカバーの導流構造内に位置するよう放熱コンポーネントを覆う。更に、カバーは、流体を導流構造を流れるよう駆動することのできる流体駆動ユニットに接続される。従って、収容構造内の流れ場の効率を向上させ、特に、発熱コンポーネント周囲の流れ場の流速及び流量を増加させ、発熱コンポーネントの冷却を効果的に向上させることが可能である。
【0048】
当業者にとって、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、開示された実施形態に対して様々な改変及び変形を行うことができることは明らかであろう。上記を考慮し、本発明は、特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にある限り、改変及び変形を包含することを意図している。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本願の浸漬冷却装置、アクティブ放熱モジュール、アクティブ導流モジュールは、発熱コンポーネントの冷却を向上させるために単相浸漬液冷システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
100、100A:浸漬冷却装置
105:筐体
110:タンク
120:発熱コンポーネント
130:回路板
140:アクティブ放熱モジュール
142:放熱コンポーネント
144:アクティブ導流モジュール
1441:カバー
1441a:接続端
1441b:開放端
1441c:頂壁
1441d:側壁
1441e:縁部
1441f:テーパ状導引面
1441g:底端
1441h:ノッチ
1442:流体駆動ユニット
148:組み付け要素
G:間隙
M:放熱媒体
S1:収容構造
S2:導流構造