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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】文字盤と腕時計
(51)【国際特許分類】
   G04G 9/10 20060101AFI20241120BHJP
   G04G 19/00 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
G04G9/10
G04G19/00 A
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023186532
(22)【出願日】2023-10-31
(65)【公開番号】P2024091442
(43)【公開日】2024-07-04
【審査請求日】2023-10-31
(31)【優先権主張番号】22215943.6
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ユオ―マルシャン、 シルバン
(72)【発明者】
【氏名】デュビュニョン、 ドミニク
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-052520(JP,A)
【文献】特開平07-209441(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0033809(US,A1)
【文献】特表2013-503327(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0052426(US,A1)
【文献】特開平9-161968(JP,A)
【文献】特開平8-54479(JP,A)
【文献】特開昭53-086244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G 9/00-9/12
G04B 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律型照明デバイス(3)を含む腕時計(1)のための文字盤(2a、2b)であって、
前記自律型照明デバイス(3)は、
・少なくとも一つの発光源(4)と、
・自律型電源ユニット(21)と、
・前記少なくとも一つの発光源(4)の動作を管理する制御ユニット(7)と
を含み、
前記文字盤(2a、2b)は、一緒に接続された複数の積層(10、11、12、13、14)のアセンブリ(9a、9b)によって形成され、
前記複数の積層(10、11、12、13、14)のうち第1層(10)が前記少なくとも一つの発光源(4)を含み、他の各層が前記自律型電源ユニット(21)及び前記制御ユニット(7)の少なくとも一方を含む、文字盤(2a、2b)。
【請求項2】
前記第1層(10)、前記文字盤(2a、2b)の可視面(20a)を形成する、請求項1に記載の文字盤(2a、2b)。
【請求項3】
前記第1層(10)は、前記少なくとも一つの発光源(4)からの光放射が全体又は一部を横切るように構成される、請求項2に記載の文字盤(2a、2b)。
【請求項4】
前記第1層(10)は全体又は一部が透明又は半透明である、請求項2に記載の文字盤(2a、2b)。
【請求項5】
前記アセンブリ(9a、9b)は、前記自律型電源ユニット(21)を構成する光起電力モジュール(5)を含む第2層(11)を含む、請求項2に記載の文字盤(2a、2b)。
【請求項6】
前記第2層(11)は、光起電力モジュール(5)が印刷された基板を含む、請求項5に記載の文字盤(2a、2b)。
【請求項7】
前記第2層(11)は、前記第2層(11)の活性の領域に光起電力モジュール(5)が配置される基板を含み、前記領域は、前記アセンブリ(9a、9b)の前記第1層(10)から光線を受けるように構成される、請求項5に記載の文字盤(2a、2b)。
【請求項8】
前記アセンブリ(9a)は、前記自律型電源ユニット(21)を構成する電気エネルギー蓄積器(6)を含む第3層(12)を含む、請求項1に記載の文字盤(2a)。
【請求項9】
前記アセンブリ(9a)は、前記電気エネルギー蓄積器(6)が印刷される基板を含む第3層(12)を含む、請求項8に記載の文字盤(2a)。
【請求項10】
前記アセンブリ(9a)は、前記制御ユニット(7)を含む前記文字盤(2a)の隠れ面(20b)を形成する第4層(13)を含む、請求項1に記載の文字盤(2a)。
【請求項11】
前記アセンブリ(9b)は、前記文字盤(2a)の隠れ面(20b)を含む第3層(14)を含み、
前記隠れ面(20b)は、前記制御ユニット(7)と、前記自律型電源ユニット(21)を構成する電気エネルギー蓄積器(6)とを含む、請求項1に記載の文字盤(2b)。
【請求項12】
前記第1層(10)は、前記アセンブリ(9a、9b)に含まれる柔軟な他の層(11、12、13、14)よりも剛性である、請求項2に記載の文字盤(2a、2b)。
【請求項13】
請求項1に記載の文字盤(2a、2b)を含む腕時計(1)。
【請求項14】
機械的若しくは電気機械的又は電子的な時計ムーブメントを含む、請求項13に記載の腕時計(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、完全自律の照明デバイスを有する腕時計文字盤に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術において、腕時計が、暗い条件でも時刻を読み取ることを可能にする様々なタイプの照明デバイスが提案されている。これらのデバイスは本質的に、これらの腕時計の文字盤上のリン光材料の存在に基づく。かかる材料は、すべてが経時的に効果が低下するという周知の欠点を抱えているので、様々な成功の度合いで使用されている。加えて、これらの材料は一般に、リン光発光のレベルを維持するために、光への暴露によって周期的にリチャージする必要がある。
【0003】
この文脈において、先行技術の欠点を有しないソリューションを見出す必要性の存在が理解される。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、これらの欠点を克服するために、文字盤の照度が経時的に一定の効率を維持する腕時計を提供することにある。
【0005】
本発明の一側面は、自律型照明デバイスを含む腕時計のための文字盤に関し、このデバイスは、
・少なくとも一つの発光源と、
・自律型電源ユニットと、
・前記少なくとも一つの発光源の動作を管理する制御ユニットと
を機能要素として含み、
前記文字盤は、複数の積層のアセンブリによって形成され、各積層は前記自律型照明デバイスの一以上の機能要素を含む。
【0006】
本発明の他側面は、
・前記アセンブリは、少なくとも一つの発光源を含む前記文字盤の可視面を形成する第1層からなり、
・前記第1層は、光放射、特に太陽放射、が全体又は一部を横切るように構成され、
・前記第1層は全体又は一部が透明又は半透明であり、
・前記アセンブリは、前記自律型電源ユニットを構成する光起電力モジュールを含む第2層を含み、
・前記第2層は、前記光起電力モジュールがプリントされる基板を含み、
・前記光起電力モジュールは、前記第2層のアクティブなエリアに配置され、前記エリアは、アセンブリの第1層から光線を受け取るように構成され、
・前記アセンブリは、前記自律型電源ユニットを構成する電気エネルギー蓄積器を含む第3層を含み、
・前記第3層は、前記電気エネルギー蓄積器がプリントされる基板を含み、
・前記アセンブリは、前記制御ユニットを含む前記文字盤の隠された面を形成する第4層を含み、
・前記アセンブリは、前記制御ユニットと、前記自律型電源ユニットを構成する電気エネルギー蓄積器とを含む前記文字盤の隠された面を含む第3層を含み、
・前記第1層は、前記アセンブリに含まれる柔軟な他の層に対して剛性である。
【0007】
本発明の他側面は、かかる文字盤を含む腕時計に関する。
【0008】
有利には、この腕時計は、機械的若しくは電気機械的又は電子的な時計ムーブメントを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明に係る目的、利点及び特徴が、図面によって示される少なくとも一つの非制限的な実施形態に基づいて以下の記載に良好に現れる。
【0010】
図1】本発明の複数実施形態の一つに係る自律型照明デバイスを備えた腕時計の斜視図を示す。
図2】自律型照明デバイスを備えた前記文字盤を形成する4積層のアセンブリの第1変形例の分解図を示す。前記層はそれぞれが、本発明の第1実施形態に係る照明デバイスの一以上の構成要素を含む。
図3】本発明の第1実施形態に係る自律型照明デバイスを備えた文字盤を形成する複数層のアセンブリのこの第1変形例の模式的な図を示す。
図4】自律型照明デバイスを備えた前記文字盤を形成する3積層のアセンブリの第2変形例の分解図を示す。前記層はそれぞれが、本発明の第2実施形態に係る照明デバイスの一以上の構成要素を含む。
図5】本発明の第2実施形態に係る自律型照明デバイスを備えた文字盤を形成する複数層のアセンブリのこの第2変形例の模式的な図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、腕時計1の模式的な表現を示す。腕時計1は、背面及びクリスタル22が固定された中央部が設けられたケース19と、時計ムーブメントを形成する一セットのコンポーネントと、時計ムーブメントとクリスタル22との間に配置された文字盤2a、2bとを含む。
【0012】
当業者に周知の態様で、時計ムーブメントは、時針、分針、可能であれば秒針を含む針フィッティングを駆動する。これを目的として、文字盤2a、2bは、針の軸を受容するスルーホールを含む。この文字盤2a、2bはまた、2つの面20a、20bを含む。これらのうち、
・面20aは、腕時・計1の外側から可視であり、この文字盤2a、2bの「可視部」又は「可視上部」とも称され、
・隠れ面20bとも称される面が、腕時計1のケース19のエンクロージャにおいて時計ムーブメントの反対側に配置され、この面20bは、この文字盤2a、2b、2bの「隠れ部」又は「隠れ下部」とも称される。
【0013】
かかる可視面20aは、例えば、
・ムーブメントに含まれるセンサ等により測定される時計情報/測定値又は物理的情報/測定値の、針あり又は針なしの表示に寄与する、例えば数字、インデックス、ライン又はドットのような参照(又は表示)要素、
・碑文、模様、テキスト、ロゴのような少なくとも一つのグラフィック表現を含む。
【0014】
さらに、図1図5に示される実施形態において、文字盤2a、2bは円形状を有するのが好ましいことに留意すべきである。理解されることだが、本発明はまた、例えば三角形状、又は四辺形に似た形状のような他の形状を有する文字盤2a、2bのために実装してもよい。
【0015】
本発明の実施形態において、ムーブメントは機械式ムーブメントである。代替的に、このムーブメントは、電子式ムーブメント又は電気機械式ムーブメントであってよい。以下、運動が機械的である場合には機械式腕時計を参照し、電気機械式ムーブメント及び電子式ムーブメントを含む場合には電気機械式腕時計及び電子式腕時計それぞれ参照する。
【0016】
図2及び図4を参照すると、かかる文字盤2a、2bが自律型照明デバイス3を含む。この照明デバイス3は、後にわかることだが、自身の電源を有する。かかる照明デバイス3は、特に腕時計1のムーブメントに関し、特にこのムーブメントのエネルギー源に関し、例えばこの源が電子式ムーブメント又は電気機械式ムーブメントにおいてのように電源である場合、自律型と言える。これらの条件のもと、この照明デバイス3によって使用されるエネルギーが、ムーブメントの自律性を損なうことはないことが理解される。
【0017】
この文脈において、文字盤2a、2bは、腕時計1のタイプにかかわらず、腕時計1に取り外し可能に取り付けられる。満たされるべき唯一の条件は、文字盤2a、2bがこの照明デバイス3を含み、ひいてはこの照明デバイス3が時計1のムーブメントから独立していることである。
【0018】
この文字盤2a、2bに含まれるこの照明デバイス3は、光源とも称される少なくとも一つの発光源4と、自律型電源ユニット21と、制御ユニット7とを含む。
【0019】
この文脈において、発光源4は、非網羅的かつ非限定的な態様で、
・LEC(Light Emitting Capacitor)の頭文字で知られるエレクトロルミネセンスキャパシタ、
・LED(「Light Emitting Diode」の頭文字)、OLED(「Organic Light Emitting Diode」の頭文字)、AMOLED(「Active-Matrix Organic Light Emitting Diode」の頭文字)、QLED(「Quantum Light Emitting Diode」の頭文字)タイプの発光ダイオード、
・局所電場によって活性化されるエレクトロルミネセンス材料、
・電流によって活性化されるエレクトロルミネセンス材料、
・これらのエレクトロルミネセンス素子の任意の組み合わせ、を含むリストから選択される任意のエレクトロルミネセンス素子に対応し得る。
【0020】
留意すべきことだが、この光源4は、本発明の所定の実施形態において、拡張発光源を形成し得る光源4であってよい。これにより、拡張発光源に所定の形状を与えることが許容される。これは典型的に、網羅的又は限定的ではなく、数字、文字、ロゴ又はテキストのグラフィック表現に関する形状である。またも留意すべきことであるが、この発光源4は、任意の色及び/又は任意の方向の光を生成することができる。
【0021】
この照明デバイス3において、自律型電源ユニット21は、電気エネルギー蓄積器6と、少なくとも一つの光起電力セル(太陽電池としても知られる)を含む光起電力モジュール5とを含む。この光起電力モジュール5は、図3及び図5において17b及び18で参照される接続素子を介して電気エネルギー蓄積器6に接続される。光起電力モジュール5は、並列又は直列に接続されたヘテロ接合又はマルチ接合タイプの一以上の基本セルを含んでよい。このモジュール5の各光起電力セルは、当業者に知られた態様で、銅、インジウム、ガリウム及びセレンに基づく半導体材料、テルル化カドミウムに基づく半導体材料、単結晶ガリウム砒素に基づく半導体材料、若しくは単結晶シリコン若しくは多結晶シリコンに基づく半導体材料、又はペロブスカイトを有する半導体材料から作ることができる。留意すべきことだが、これらの例は限定的ではなく、当業者は本発明に適したタイプの光起電力セルを見出し得る。
【0022】
この照明デバイス3において、マイクロコントローラとしても知られる制御ユニット7は電子回路8を含む。電子回路8は、ハードウェアリソース、特に、メモリ素子並びにアドレスバス、データバス及び制御バスと協働する少なくとも一つのプロセッサ、を含む。この制御ユニット7は、そのメモリ素子の中に、前記少なくとも一つの発光源4の発光を管理するアルゴリズムを含む。かかるアルゴリズムは、この制御ユニット7のプロセッサによって、前記少なくとも一つの発光源4の動作を管理するべく、特に照明デバイス3に含まれる事象センサからのデータを考慮して実行される。
【0023】
留意すべきことだが、かかるデータは、例えば、これらのセンサによって検出される事象に関連する情報を与えてよい。前記事象は、当該少なくとも一つの発光源4の動作に寄与する可能性が高い。これらの事象は、時計1の環境における特定レベルの光度の検出、特定音響要素又は特定音響レベルの検出、特定視対象の検出、この時計1が含まれているユーザの身体の一部によってなされる動きの検出等を、非限定的かつ非網羅的な態様で含み得る。
【0024】
この文脈において、この自律型照明デバイス3の事象センサは特に、非限定的かつ非網羅的な態様で、
・周囲光レベルを検出することを許容する輝度センサ、
・ジャイロ及び/又は慣性電気機械的マイクロシステム回路タイプの電子コンポーネントの形態のジャイロ及び/又は慣性センサのような、時計1を含むユーザの身体の一部のための動きセンサ、
・マイクロフォンタイプの音センサ、及び/又は
・写真センサタイプの光センサを含む。
【0025】
さらに、照明デバイス3がいくつかの発光源4を含む場合、これらの動作は、制御ユニット7によって同時に及び/又は順次に管理/制御され得る。加えて、各発光源4は、この制御ユニット7によって別個に管理/制御される。この文脈において、各光源4の動作の管理は、非限定的かつ非網羅的な態様で、以下の動作、すなわち、2以上の発光源4の順次のスイッチオン/オフ、同時のスイッチオン/オフ、一以上の発光源4の点滅、各発光源4の点滅周波数の画定、各発光源4の点滅時間、各発光源4のスイッチオン又はオフの時間等、から構成され得る。
【0026】
かかる制御ユニット7はまた、そのメモリ素子に、電気エネルギー蓄積器6を管理するアルゴリズム、特に光起電力モジュール5による充電を管理するアルゴリズム、及び前記光源4による電気消費を管理するアルゴリズムを含んでよい。
【0027】
したがって、上述のように、自律型照明デバイス3は文字盤2a、2bに含まれる。この構成において、この照明デバイス3のコンポーネント、すなわち、発光源4、電気エネルギー蓄積器6、光起電力モジュール5及び制御ユニット7は、文字盤2a、2bを形成する一以上の層10、11、12、13、14に含まれる。
【0028】
図2図5を参照すると、この文字盤2a、2bは、互いに接続された複数の層10、11、12、13、14の材料のアセンブリ9a、9bによって形成される。このアセンブリ9a、9bにおいて、これらの層10、11、12、13、14は、一体化されるように接着物質のような接続素子によって一緒に接続され、モノリシックなアセンブリ9a、9bが得られ、ひいては一体型文字盤2a、2bが形成される。この接続素子は、クリップであってもよく、又はネジであってもよい。かかる層10、11、12、13、14は、アセンブリ9a、9bにおいて積層され、すなわち、これらは、この文字盤2a、2bにおいて一方が他方の上に所定の順序で配列される。
【0029】
すなわち、かかる一体型文字盤2a、2bはさらに、腕時計1のケース19に取り外し可能に取り付けられるという利点を、このケース19の中への統合を容易にすることに加えて有する。
【0030】
図3に示されるこのアセンブリ9aの第1変形例において、これは、以下のような4つの連続層10、11、12、13、すなわち、
・照明デバイス3の前記少なくとも一つの発光源4を含む文字盤2aの可視面20aを形成/構成する第1層10、
・光起電力モジュール5を含む第2層11、
・充電式電池としても知られる電気エネルギー蓄積器6を含む第3層12、及び
・制御ユニット7を含む文字盤2aの隠れ面20bを形成する第4層13からなる。
【0031】
このアセンブリ9aの第1層10は好ましくは、柔軟又は可撓性であることが好ましい第2層11、第3層12及び第4層13と比べて剛性又は半剛性である。ここで理解されるのは、かかる第1層10が、アセンブリ9a、ひいては文字盤2aを構造的に強固にするのに役立つことである。
【0032】
このアセンブリ9aにおいて、第1層10、第2層11、第3層12及び第4層13はそれぞれが、上面及び下面を含む。
【0033】
第1層10は、透明若しくは半透明又は少なくとも部分的に透明若しくは少なくとも部分的に半透明の剛性又は半剛性基板によって形成される。かかる基板は、太陽放射、特にUVT(Ultra-Violet Transmission(「紫外線透過」))としても知られる紫外線放射、に対する透過率が65から95パーセントとなる材料から作られる。この透過率は好ましくは85パーセントである。かかる材料は透明又は半透明となり得る。この材料は、非網羅的かつ非限定的な態様で、ポリマー、ガラス又はセラミックであり得る。
【0034】
この文脈において、この基板は、
・前記少なくとも一つの発光源によって生成された光が、文字盤2a、2bの外部、ひいては時計1の外部に漏れることができ、
・時計1の周囲からの光が、文字盤2a、2bを照明デバイス3の光起電力モジュール5に向けて透過することができ、この光は、天然起源のときの日射を含む、ように構成されることが理解される。
【0035】
換言すれば、この透明又は半透明の基板は、光起電力モジュール5に電力を供給する可能性の高い日射が透過するように構成され、光起電力モジュール5は、この日射からの太陽エネルギーを電気エネルギーに変換し得る。
【0036】
この第1層10はまた、基板の本体に配列された少なくとも一つの発光源4を含む。この基板における発光源4のこのような配置は、文字盤2aの可視面20aのすべて又は一部の照明を与えるように構成される。例えば、数字、インデックス、ライン、ドットのような参照(又は表示)素子のようなグラフィック表現の照明、若しくは一以上の針の照明、又は文字盤2aの可視面の全部若しくは一部の照明である。一つ変形例において、この発光源4は、数字、文字、インデックス、ライン、ドット、ロゴ、又は他のテキストの形状のような所定の形状を有してよい。
【0037】
この照明は、発光源4が基板に画定されたキャビティに配列される場合、背面照明又は半直接照明としてよい。正確には、このキャビティは、基板の下面に作られたブラインド開口としてよい。この構成において、このキャビティの背面がグラフィック表現を含む場合、この発光源4によって生成された光放射又は光が、この文字盤2aの可視面20aを介して文字盤2aの外部に漏れ得るので、少なくとも一つのグラフィック表現を暗闇で見ることができる。特に、可視面20aから漏れる光放射は、このグラフィック表現の輪郭を描く。この文脈において、第1層10を形成する基板の上面又は下面に含まれるこのグラフィック表現は、不透明又は非半透明若しくは非透明であることが好ましい。
【0038】
この照明は、発光源4が基板に画定されたキャビティに配置される場合、直接照明としてよい。このキャビティは、この基板の下面に作られたブラインド開口としてよく、その裏面にはいかなるグラフィック表現もない。この構成において、この光源4によって生成された光放射又は光は、このキャビティの裏面を通って文字盤2aの外側に向かって漏れ、ひいてはこの文字盤2aの可視面20aを通って漏れ得る。
【0039】
この照明はまた、発光源4が第1層10の基板の厚さを通って延びる貫通開口に配列され、その両端がそれぞれこの基板の上面及び下面に開口している場合にも直接照明とし得る。この構成において、発光源4のすべて又は一部が、この基板の上面から、ひいては第1層10から又は文字盤2aの可視面20aから突出し、インデックス、数字、ドット、ライン等のようなグラフィック表現を形成し得る。
【0040】
かかる照明はまた、少なくとも一つの発光源4が少なくとも一つの導波路に結合される場合、遠隔照明としてよい。光ガイドとしても知られるこの導波路により、光が導波路に入射したポイントから当該光を基板へと又はこの基板の上面に近い当該基板の領域(例えば、キャビティ、貫通開口)へと導くことができる。かかる光ガイドは、例えば、エレクトロルミネセンス素子と基板の上面に近い当該基板の領域との間で、ここを通って光が漏れるように、基板に生じ得る任意の障害物をバイパスすることを許容する光ファイバーであり得る。したがって、この変形例において、光は、導波路を介して、エレクトロルミネセンス素子から、照らされる基板のこの領域へともたらされる。
【0041】
かかる構成において、導波路の第1端が発光源4に結合され、導波路の第2端が、
・この第1層10の基板の下面に作られるブラインド開口となり得るキャビティ、又は
・第1層10の基板の厚さを通り抜ける貫通開口、及びこの基板の、ひいては第1層10の上面及び下面の中に導波路の2つの端のそれぞれが入り込む開口、の中に配列されてよい。よって、この第2端は、基板の若しくは第1層10の上面から、又は文字盤2aの可視面20aから突出し得る。これにより、例えば、この文字盤2aの、例えばインデックス、数字、ドット、ライン等のような参照素子のようなグラフィック表現が形成される。
【0042】
この文脈において、間接照明を、この第1層10の基板の下面に含まれた単一の発光源4であって、いくつかの導波路に結合された単一の発光源4によって達成することができ、導波路の第2端は、
・この発光源4から光放射を放出する各キャビティの中に配列され、この放射が可視面20aを介して文字盤2aの外部に漏れることにより、暗闇の中で少なくとも一つのグラフィック表現を見ることができる。この文脈において、文字盤2aの可視面20aに又は基板の上面に含まれたこのグラフィック表現は、不透明であることが好ましく、及び/又は
・インデックス、ライン又はドットのような参照素子を形成するべくこの基板の上面から突出する又はしない貫通開口の中に配列される。この発光源4からそれぞれが光放射を放出する。
【0043】
この第1層10において、発光源4は、上述したキャビティの中で、又は貫通開口の内部壁において、この第1層10の基板の底面に、印刷又は蒸着によって塗布/固定される。
【0044】
さらに、この第1層10の底面が、第2層11に組み付けられ得るように自己接着可能としてよい。
【0045】
このアセンブリ9aにおいて、第2層11は、光起電力モジュール5を含む基板を含む。かかる基板は可撓性又は柔軟であることが好ましい。第2層11の基板は、光起電モジュール5が配置される膜であってよく、又はポリマーファミリーに属する材料であってよい。
【0046】
この第2層11において、光起電力モジュール5は、この基板の上面の活性領域と称される領域全体に優先的に延びる。この活性領域は、文字盤2aの第1層10の下面から光を受けることができる基板の上面の一部分である。第1層10のすべて又は一部を通過したこの光は、文字盤2aの外部環境に由来し、ひいては時計1の外部環境に由来し、この場合は主に、天然起源のときの日射に由来する。
【0047】
留意すべきことだが、光起電力モジュール5は、インクジェット若しくはスクリーン印刷法を使用して、又は熱蒸着印刷法を使用して、この基板の上面に塗布される。ここで、光起電力モジュール5を含む第2層11を参照する。詳しくは、第2層11の基板上に印刷された光起電力モジュール5である。
【0048】
留意されることだが、ひとたび光起電力モジュール5が基板に塗布されると、当該基板の上面及び/又は下面のすべて又は一部に自己接着物質の層が堆積される。これらの条件のもと、第2層11は、他層との、詳しくは、このアセンブリ9aの第1層10及び/又は第3層12との、組み付けを容易にするのに役立つ自己接着層としてよい。
【0049】
アセンブリ9aにおいて、この第3層12はまた、好ましくは可撓性の又は柔軟な基板を含む。この基板は、自律型照明デバイス3の電気エネルギー蓄積器6を含む。第3層12は、蓄積器6が含まれる膜としてよい。かかる基板は、ポリマーファミリーに属する材料から作られてよい。
【0050】
この蓄積器6は、リチウム電池又は半導体電池としてよい。かかる蓄積器6は、この基板の上面に、
・可撓性ポリマー基板、例えばリチウム電池、に印刷する方法、又は
・例えば半導体リチウム金属電池のような半導体電池のための3次元印刷方法、のような業界周知の方法を使用して塗布される。
【0051】
ここで、印刷された電気エネルギー蓄積器6を含む第3層12を参照する。詳しくは、第3層12の基板に印刷された電気エネルギー蓄積器6である。
【0052】
すなわち、かかる方法により、柔軟かつ超微細なこの蓄積器6を含む第3層12を得ることが許容される。
【0053】
さらに、留意されることだが、ひとたび蓄積器6が基板に塗布されると、この基板の上面及び/又は下面のすべて又は一部に自己接着物質の層が堆積される。これらの条件のもと、第3層12は、他層との、詳しくは、このアセンブリ9aの第2層11及び/又は第4層13との、組み付けを容易にするのに役立つ自己接着層としてよい。
【0054】
なお、この蓄積器6は、光起電力モジュール5によって生成される電気エネルギーを格納するために、及びその電気エネルギーを要求に応じて前記少なくとも一つの発光源4に電力を供給するべく解放するために、使用される。
【0055】
このアセンブリ9aにおいて、この第4のそして最終の層13は、文字盤2aの隠れ面を形成する。かかる第4層13は、制御ユニット7を含む好ましくは可撓性の又は柔軟な基板によって形成される。第4層13の当該基板は、例えば、この制御ユニット7が配列された可撓性PCBとしてよく、この制御ユニット7は、詳しくは、このPCBの、ひいては当該基板の、上面に配列される。この文脈において、当該基板のこの上面への制御ユニット7の構築は、3次元印刷法又はポリマー印刷法を使用して行うことができる。
【0056】
第2変形例において、文字盤2bを形成するアセンブリ9bは、3つの相互接続層10、11、14を含む。したがって、この第2変形例が第1変形例と異なるのは、第1変形例においてのような4つの層10、11、12、13の代わりに3つの層10、11、14を含む点であることに留意する。この第2変形例において、自律型照明デバイス3の電気エネルギー蓄積器6はここで、制御ユニット7とともに、このアセンブリ9bの第3のそして最後の層14に含まれる。
【0057】
このアセンブリ9bの、文字盤2bの隠れ面を形成する当該第3のそして最終の層14は、好ましくは可撓性の又は柔軟な基板からなり、この基板には、好ましくはこの基板の上面には、蓄積器6と、制御ユニット7を構成する電子回路8とが構築される。基板のこの上面への蓄積器6及び制御ユニット7のこのような構築は、3次元印刷法又はポリマー印刷法を使用して行うことができる。留意すべきことだが、かかる基板は、例えば可撓性PCBとしてよい。
【0058】
要約すると、この第2変形例において、アセンブリ9bは、この場合、
・照明デバイス3の前記少なくとも一つの発光源4を含む文字盤2bの可視面20aを形成する第1層10、
・光起電力モジュール5を含む第2層11、及び
・蓄積器6及び制御ユニット7を含む文字盤2bの隠れ面20bを形成する第3層14を含む。
【0059】
なお、この第2変形例において、第1層10及び第2層11は、アセンブリ9aの第1変形例のものと同様である。
【0060】
さらに、図3及び図5を参照すると、制御ユニット7の電子回路8は、前記少なくとも一つの発光源4の接続素子16に接続されてこの発光源4の動作を管理するための第1接続素子15aを含む。この電子回路8はまた、蓄積器6の第1接続素子17aに接続される第2接続素子15bも含む。
【0061】
さらに、照明デバイス3の上記事象センサが、好ましくは、アセンブリ9a、9bの第1層10及び/又は最後層13、14に配列され、このデバイス3の制御ユニット7に接続される。
【0062】
図示しない第3変形例において、文字盤アセンブリは2つの相互接続層を含む。なお、この第3変形例が第2変形例と異なるのは、この第2変形例においてのような3つの層10、11、14の代わりに2つの層を含む点である。この第3変形例において、自律型照明デバイス3の光起電力モジュール5は、ここで第1層に、詳しくはこの第1層を形成する基板の下面に含まれる。光起電力モジュール5は、この第1層の基板のこの下面に、インクジェット若しくはスクリーン印刷法を使用して、又は熱蒸着印刷法を使用して塗布することができる。したがって、留意すべきことは、この第1層がこの場合、第1変形例及び第2変形例の第1層11と同様となることである。ただし、この第3変形例では、第1層は光起電力モジュールを付加的に含む。
【0063】
さらに、第3変形例においては、第2変形例と同様に、自律型照明デバイス3の電気エネルギー蓄積器6が、制御ユニット7を有するこのアセンブリの第2層及び最終層に含まれる。文字盤の隠れ面を形成する当該第2層は、好ましくは可撓性の又は柔軟な基板からなり、この基板には、好ましくはこの基板の上面には、蓄積器6と、制御ユニット7を構成する電子回路8とが構築される。基板の上面への蓄積器6及び制御ユニット7のこの構築は、3次元印刷法又はポリマー印刷法を使用して行うことができる。留意すべきことだが、かかる基板は、例えば可撓性PCBとしてよい。
【0064】
要約すると、この第3変形例において、アセンブリは、この場合、
・照明デバイス3の前記少なくとも一つの発光源4及び光起電力モジュール5を含む文字盤2bの可視面20aを形成する第1層10、及び
・蓄積器6及び制御ユニット7を含む文字盤の隠れ面20bを形成する第2層を含む。
【0065】
言うまでもないことだが、本発明は、ちょうど説明した実施形態に限られることはなく、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲から逸脱することなく当業者によって様々な簡単な修正例及び変形例が考慮され得る。
図1
図2
図3
図4
図5