(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0487 20130101AFI20241120BHJP
【FI】
G06F3/0487
(21)【出願番号】P 2023222894
(22)【出願日】2023-12-28
【審査請求日】2023-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】チャン ティースワンマイ
(72)【発明者】
【氏名】西野 浩造
(72)【発明者】
【氏名】松原 正樹
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-069011(JP,A)
【文献】国際公開第2015/060280(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/046556(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/048 - 3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムのプログラムを一時的に記憶するメモリと、
前記システムのプログラムを実行する第1プロセッサと、
前記第1プロセッサとは別に設けられ、前記第1プロセッサの動作状態にかかわらず処理を実行する第2プロセッサと、
物理的な押下を検出するための操作子と、
前記操作子による検出信号を取得し、取得した検出信号に基づく処理を実行させるための情報を前記第1プロセッサへ出力する操作検出部と、
を備え、
前記第2プロセッサは、
前記操作検出部の動作を停止させるか否かを制御し、前記操作検出部の動作を停止させた場合には、前記操作検出部を介さずに前記操作子による検出信号を取得し、取得した検出信号に基づく処理を実行する、
情報処理装置。
【請求項2】
一方の面に表示部が設けられた第1筐体と、
一方の面に前記操作子が設けられた第2筐体と、
前記第1筐体の一端と前記第2筐体の一端とを連結し、連結部を軸として前記第1筐体と前記第2筐体とが回動可能なヒンジ機構と、
を備え、
前記第2プロセッサは、
前記ヒンジ機構による前記第1筐体と前記第2筐体との回動状態を検出し、検出した前記回動状態に基づいて前記操作検出部の動作を停止させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第2プロセッサは、
前記第1筐体の他方の面と前記第2筐体の他方の面とが向かい合って重なった状態に前記回動状態がなったことを検出した場合には、前記操作検出部の動作を停止させる、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記操作子は、前記第2筐体の前記操作子が設けられた面のうちの特定の領域においてタッチ操作による操作位置を検出するタッチパッドと関連付けられて設けられており、
前記操作検出部は、
前記操作子による検出信号の他に、さらに前記タッチパッドによる検出信号を取得し、取得した検出信号に基づく処理を実行させるための情報を前記第1プロセッサへ出力する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第2プロセッサは、
前記操作検出部の動作を停止させた場合、前記操作検出部を介さずに前記操作子から取得した検出信号に基づいて特定の処理を切り替える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記情報処理装置の向きを検出するためのセンサ、
を備え、
前記第1プロセッサは、
前記センサにより検出された前記情報処理装置の向きに応じて前記表示部の表示の向きを変更する表示方向変更処理を実行し、
前記第2プロセッサは、
前記操作検出部の動作を停止させた場合、前記操作検出部を介さずに前記操作子から取得した検出信号に基づいて前記表示方向変更処理を切り替える、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第2プロセッサは、
前記操作検出部の動作を停止させた場合、前記操作検出部を介さずに前記操作子から取得した検出信号に基づいて前記表示方向変更処理を行うか否かを切り替える、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
システムのプログラムを一時的に記憶するメモリと、前記システムのプログラムを実行する第1プロセッサと、前記第1プロセッサとは別に設けられ、前記第1プロセッサの動作状態にかかわらず処理を実行する第2プロセッサと、物理的な押下を検出するための操作子と、前記操作子による検出信号を取得し、取得した検出信号に基づく処理を実行させるための情報を前記第1プロセッサへ出力する操作検出部と、を備える情報処理装置における制御方法であって、
前記第2プロセッサが、
前記操作検出部の動作を停止させるか否かを制御するステップと、
前記操作検出部の動作を停止させた場合には、前記操作検出部を介さずに前記操作子による検出信号を取得するステップと、
取得した検出信号に基づく処理を実行するステップと、
を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型のパーソナルコンピュータ(以下、ノートPCと称する)は、表示部が設けられたディスプレイ筐体の側面の一つとキーボードなどの入力設けられた機器筐体の側面の一つとがヒンジ機構を介して結合(連結)されており、ヒンジ機構がなす回転軸の周りにディスプレイ筐体と機器筐体とが相対的に回動可能である。一般的には、ディスプレイ筐体と機器筐体とが開いた状態で使用されるが、ディスプレイ筐体と機器筐体とを360°まで開いたタブレットモードで使用されることもある(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、ノートPCなどの情報機器は、使用中の表示画面の向きを検出して自動で表示の向きを変更(回転)する機能が搭載されているものがある。この機能は、ユーザが使用中に表示画面の向きを変えるたびに表示設定を変更することがないため利便性がよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したようにノートPCをタブレットモードで使用する場合には、ユーザがベッドの上に寝転がってノートPCを使用することや表示画面を他のユーザの方向へ向けるといったように、机の上などに置いて使用する場合よりも表示画面が様々な方向を向くことが想定される。この場合、自動で変更される表示の向きがユーザにとって必ずしも適切な向きにならないことがある。
【0006】
例えば、ユーザが表示画面を見ながらベッドの上に横向きに寝転がった場合、ユーザ自身と表示画面との相対的な向きは変わらないが、表示画面自体は回転しているため自動で表示の向きもが回転してしまい、ユーザの期待する表示の向きではなくなってしまうことがある。この場合、ユーザは、期待する表示の向きになるように、ノートPCの向きの変更や自身の姿勢の変更を試みたり、表示の向きを修正または変更したいときにはその度に設定メニューなどを開いて自動で表示の向きを変更(回転)する機能を無効に設定したりする必要があり手間がかかった。また、表示画面を他のユーザの方向へ向ける場合には、表示画面の方向が不安定になり、表示の向きが安定するまでに時間がかかる場合があった。このように、基本的には利便性の良い処理を行う機能であっても、ノートPCの使用形態によってはユーザにとって適切な処理とはならないことがあり、その対応には手間や時間がかった。
【0007】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたもので、ユーザが簡単な操作で適切な処理を行うように切り替えることができる情報処理装置、及び制御方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1態様に係る情報処理装置は、システムのプログラムを一時的に記憶するメモリと、前記システムのプログラムを実行する第1プロセッサと、前記第1プロセッサとは別に設けられ、前記第1プロセッサの動作状態にかかわらず処理を実行する第2プロセッサと、物理的な押下を検出するための操作子と、前記操作子による検出信号を取得し、取得した検出信号に基づく処理を実行させるための情報を前記第1プロセッサへ出力する操作検出部と、を備え、前記第2プロセッサは、前記操作検出部の動作を停止させるか否かを制御し、前記操作検出部の動作を停止させた場合には、前記操作検出部を介さずに前記操作子による検出信号を取得し、取得した検出信号に基づく処理を実行する。
【0009】
上記情報処理装置は、一方の面に表示部が設けられた第1筐体と、一方の面に前記操作子が設けられた第2筐体と、前記第1筐体の一端と前記第2筐体の一端とを連結し、連結部を軸として前記第1筐体と前記第2筐体とが回動可能なヒンジ機構と、をさらに備え、前記第2プロセッサは、前記ヒンジ機構による前記第1筐体と前記第2筐体との回動状態を検出し、検出した前記回動状態に基づいて前記操作検出部の動作を停止させてもよい。
【0010】
上記情報処理装置において、前記第2プロセッサは、前記第1筐体の他方の面と前記第2筐体の他方の面とが向かい合って重なった状態に前記回動状態がなったことを検出した場合には、前記操作検出部の動作を停止させてもよい。
【0011】
上記情報処理装置において、前記操作子は、前記第2筐体の前記操作子が設けられた面のうちの特定の領域においてタッチ操作による操作位置を検出するタッチパッドと関連付けられて設けられており、前記操作検出部は、前記操作子による検出信号の他に、さらに前記タッチパッドによる検出信号を取得し、取得した検出信号に基づく処理を実行させるための情報を前記第1プロセッサへ出力してもよい。
【0012】
上記情報処理装置において、前記第2プロセッサは、前記操作検出部の動作を停止させた場合、前記操作検出部を介さずに前記操作子から取得した検出信号に基づいて特定の処理を切り替えてもよい。
【0013】
上記情報処理装置は、前記情報処理装置の向きを検出するためのセンサ、をさらに備え、前記第1プロセッサは、前記センサにより検出された前記情報処理装置の向きに応じて前記表示部の表示の向きを変更する表示方向変更処理を実行し、前記第2プロセッサは、前記操作検出部の動作を停止させた場合、前記操作検出部を介さずに前記操作子から取得した検出信号に基づいて前記表示方向変更処理を切り替えてもよい。
【0014】
上記情報処理装置において、前記第2プロセッサは、前記操作検出部の動作を停止させた場合、前記操作検出部を介さずに前記操作子から取得した検出信号に基づいて前記表示方向変更処理を行うか否かを切り替えてもよい。
【0015】
本発明の第2態様に係る、システムのプログラムを一時的に記憶するメモリと、前記システムのプログラムを実行する第1プロセッサと、前記第1プロセッサとは別に設けられ、前記第1プロセッサの動作状態にかかわらず処理を実行する第2プロセッサと、物理的な押下を検出するための操作子と、前記操作子による検出信号を取得し、取得した検出信号に基づく処理を実行させるための情報を前記第1プロセッサへ出力する操作検出部と、を備える情報処理装置における制御方法は、前記第2プロセッサが、前記操作検出部の動作を停止させるか否かを制御するステップと、前記操作検出部の動作を停止させた場合には、前記操作検出部を介さずに前記操作子による検出信号を取得するステップと、取得した検出信号に基づく処理を実行するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明の上記態様によれば、ユーザが簡単な操作で適切な処理を行うように切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係る情報処理装置の外観の一例を示す斜視図。
【
図2】実施形態に係る情報処理装置の使用形態の一例を示す図。
【
図4】実施形態に係る情報処理装置がタブレットモードで把持されている状態の一例を示す図。
【
図5】実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図。
【
図6】実施形態に係るクリックスイッチの検出を行う構成の一例を示すブロック図。
【
図7】実施形態に係る機能制御処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
まず、本実施形態に係る情報処理装置の概要について説明する。
【0019】
[情報処理装置の概要]
図1は、本実施形態に係る情報処理装置の外観を示す斜視図である。
図示する情報処理装置10は、クラムシェル型のノートPC(Personal Computer)である。情報処理装置10は、一方の面に表示部14(ディスプレイ)が設けられたディスプレイ筐体101と、一方の面にタッチパッド21及びキーボード32が設けられた機器筐体102と、ヒンジ機構103とを備えている。ディスプレイ筐体101及び機器筐体102は、略四角形の板状(例えば、平板状)の筐体である。
【0020】
ヒンジ機構103は、ディスプレイ筐体101の一端(側面の一つ)と機器筐体102の一端(側面の一つ)とを連結(結合)し、この連結部を軸(ヒンジ機構103がなす回転軸)として、当該回転軸の周りにディスプレイ筐体101と機器筐体102とが相対的に回動可能である。ディスプレイ筐体101と機器筐体102との回転軸の周りの開き角θが略0°の状態が、ディスプレイ筐体101と機器筐体102とが重なり合って閉じた状態(「閉状態」と称する)である。閉状態に対してディスプレイ筐体101と機器筐体102とが開いた状態のことを「開状態」と称する。開状態とは、開き角θが予め設定された閾値(例えば、10°)より大きくなるまで、ディスプレイ筐体101と機器筐体102とが相対的に回動された状態である。この
図1に示す情報処理装置10の外観は、開状態の一例を示している。
【0021】
ここでは、ディスプレイ筐体101の表示部14が設けられている面をディスプレイ面101a、ディスプレイ面101aに対して反対側の面をトップ面101bと称する。また、機器筐体102のタッチパッド21及びキーボード32が設けられている面をキーボード面102a、キーボード面102aに対して反対側の面をボトム面102bと称する。閉状態においてディスプレイ面101aとキーボード面102aとは向かい合って対面する側の面である。図示する例において、キーボード32は、ユーザの操作を受け付ける複数のキー(操作子の一例)が配列された物理的なキーボードである。なお、キーボード面102aには、キーボード32以外にタッチパッドなどが設けられてもよい。
【0022】
閉状態では、ディスプレイ筐体101のディスプレイ面101aと機器筐体102のキーボード面102aとが向かい合って重なり合うため、表示部14が視認できない状態、且つタッチパッド21及びキーボード32への操作ができない状態となる。一方、開状態では、表示部14が視認可能な状態、且つタッチパッド21及びキーボードへの操作が可能な状態となる。
【0023】
また、
図1に示す情報処理装置10は、ディスプレイ筐体101のディスプレイ面101aに、マイク221及びスピーカ222が設けられている。また、タッチパッド21は、タッチ操作を検出するための平板上の検出領域(符号21が示す領域)において、タッチ操作による操作位置を検出する。また、タッチパッド21は、タッチパッド21(符号21が示す領域)に対する物理的な押下を検出するためのクリックスイッチ211を備えている。クリックスイッチ211は、タッチパッド21の検出領域(符号21が示す領域)の下側に設けられている。
【0024】
情報処理装置10は、一般的にディスプレイ筐体101と機器筐体102とを開いた開状態で使用されるが、開状態においても開き角θによって異なる使用形態がある。
図2は、本実施形態に係る情報処理装置10の使用形態の一例を示す図である。
図2(A)は、開状態の中でも
図1に示すような一般的なノートPCの使用形態であり、例えば開き角θが90°~140°程度で使用されることが多い。この使用形態のことを「クラムシェルモード」と称する。一方、
図2(B)は、ディスプレイ筐体101と機器筐体102とを開き角θが約360°になるまでさらに開き、ディスプレイ筐体101のトップ面101bと機器筐体102のボトム面102bとが向かい合って重なるまで回動させた状態での使用形態である。この
図2(B)に示す使用形態は、情報処理装置10をタブレット型PCと同様に使用できるため、「タブレットモード」と称する。
【0025】
また、情報処理装置10は、情報処理装置10の向きを検出し、情報処理装置10の向き(即ち、表示部14の表示画面の向き)が縦または横に変更されたときに表示の向きを自動で回転させる機能(以下、「自動表示回転機能」と称する。)を有する。
【0026】
図3は、本実施形態に係る自動表示回転機能の説明図である。この図において、情報処理装置10の表示部14の表示画面を、0°を基準として右へ90°、180°、および270°回転させたときの表示画面の表示の向きを矢印で示している。0°のときの表示画面(縦画面)の表示の向きは矢印が指す方向が上となる向きである。例えば、矢印が指す上方向とは、鉛直方向(重力方向)の反対方向である。
【0027】
表示画面が0°(縦画面)から右へ90°回転して横画面になると、情報処理装置10は、表示の向きを左に90°回転させることで、横画面でも0°(縦画面)のときと同様の表示の向き(鉛直方向の反対方向が上方向となる向き)になる。また、表示画面が0°(縦画面)から右へ180°回転して上下が反対の縦画面になると、情報処理装置10は、表示の向きを左に180°回転させることで、上下が反対の縦画面でも0°(縦画面)のときと同様の表示の向き(鉛直方向の反対方向が上方向となる向き)になる。また、表示画面が0°(縦画面)から右へ270°回転して、右へ90°回転させたときの横画面とは上下が反対の横画面になると、情報処理装置10は、表示の向きを左に270°回転させることで、0°(縦画面)のときと同様の表示の向き(鉛直方向の反対方向が上方向となる向き)になる。なお、表示画面を右へ270°回転させた状態は、表示画面を左へ90°回転させた状態と同様である。
【0028】
この自動表示回転機能は、ユーザが使用中に表示画面の向きを変えるたびに表示設定を変更することがないため利便性がよい。特にタブレットモードで使用する場合、ユーザが使用中に表示画面の向きを変更するシーンが多く、利便性がよい。しかしながら、タブレットモードで使用する場合には、クラムシェルモードで机の上などに置いて使用する場合に比較して表示画面の方向が不安定になり、ユーザの意図とは違って表示の向きが変わってしまうことがある。この場合、ユーザが期待する表示の向きに安定するまでに時間がかかってしまう場合がある。また、タブレットモードではベッドの上に横向きに寝転がって使用する場合がある。この場合、ユーザ自身と表示画面との相対的な向きは寝転がる前と変わらないが、表示画面自体は回転しているため自動で表示の向きもが回転してしまい、ユーザの期待する表示の向きではなくなってしまうことがある。
【0029】
このように、自動表示回転機能は基本的には利便性の良い処理を行う機能であるが、ユーザがタブレットモードで使用する場合、シーンによっては常に適切な表示の向きにならないことがあり、自動表示回転機能が働かない方が良い場合もある。そこで、本実施形態に係る情報処理装置10は、ユーザが簡単な操作で表示の向きをロック(固定)して自動表示回転機能を無効にできる。具体的には、タブレットモードの情報処理装置10をユーザが把持したときに背面側(表示画面の裏側)にあるタッチパッド21のクリックスイッチ211を利用する。
【0030】
図4は、本実施形態に係る情報処理装置10がタブレットモードで把持されている状態の一例を示す図である。
図4(A)は、ユーザがタブレットモードの情報処理装置10を把持しているときのディスプレイ面101a側を示している。一方、
図4(B)は、ユーザがタブレットモードの情報処理装置10を把持しているときにディスプレイ面101a
の裏側となるキーボード面102a側を示している。タブレットモードでは、ユーザは、情報処理装置10を把持しながら、把持した手で裏側のキーボード面102a側に設けられているタッチパッド21を容易に押すことが可能である。例えば、情報処理装置10は、ユーザがタッチパッド21を押している間、即ちクリックスイッチ211を押下している間、表示の向きをロック(固定)して自動表示回転機能を無効に制御する。
【0031】
ここで、タブレットモードでは、そもそも把持しているときに裏側となるタッチパッド21は誤操作されやすいため機能をオフにしている。例えばタブレットモードでは、情報処理装置10は、タッチパッド21に対するタッチ操作の検出およびクリックスイッチ211の押下の検出を行うタッチパッドIC(Integrated Circuit)をオフ(動作を停止)させており、消費電力も提言している。
【0032】
そのため、情報処理装置10は、タブレットモードでクリックスイッチ211の押下を検出する際には、EC(Embedded Controller)を用いる。例えば、情報処理装置10は、タブレットモードでは、クリックスイッチ211の押下を検出する検出信号を、タッチパッドICを介さずにECが取得して自動表示回転機能を無効に制御する。これにより、タブレットモードでは、ユーザが表示の向きが変わってほしくない場合には、情報処理装置10を把持している手で裏側のクリックスイッチ211を押下するだけの簡単な操作で、自動表示回転機能を無効にして表示の向きをロックすることができる。以下、情報処理装置10の構成について詳しく説明する。
【0033】
[情報処理装置の構成]
まず
図5を参照して、情報処理装置10の主要なハードウェア構成を説明する。
図5は、本実施形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。なお、この
図5において、
図1の各部に対応する構成には同一の符号を付している。
【0034】
情報処理装置10は、メイン処理部11と、メインメモリ12と、ビデオサブシステム13と、表示部14と、タッチパネル15と、通信部16と、記憶部17と、方向センサ18と、タッチパッド21と、オーディオシステム22と、EC31と、キーボード32と、電源回路33と、バッテリ34と、Lidセンサ35とを備える。
【0035】
メイン処理部11は、CPU(Central Processing Unit)およびチップセットなどのプロセッサを含んで構成されている。CPUは、プログラム制御により種々の演算処理を実行し、情報処理装置10全体を制御している。例えば、メイン処理部11は、OS(Operating System)のなどのシステムのプログラムを実行する。また、CPUは、OS上で実行可能な各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーション等に基づく処理を実行する。チップセットは、USB(Universal Serial Bus)、シリアルATA(AT Attachment)、SPI(Serial Peripheral Interface)バス、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス、PCI-Expressバス、及びLPC(Low Pin Count)バスなどのコントローラを備えており複数のデバイスが接続される。例えば、複数のデバイスとして、記憶部17と、オーディオシステム22と、通信部16と、EC31とが含まれる。
【0036】
メインメモリ12は、メイン処理部11の実行プログラムの読み込み領域として、又は、実行プログラムの処理データを書き込む作業領域として利用される書き込み可能メモリである。メインメモリ12は、例えば、複数個のDRAM(Dynamic Random Access Memory)チップで構成される。この実行プログラムには、OS、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションプログラム等が含まれる。
【0037】
ビデオサブシステム13は、画像表示に関連する機能を実現するためのサブシステムであり、ビデオコントローラを含んでいる。このビデオコントローラは、メイン処理部11からの描画命令を処理し、処理した描画情報をビデオメモリに書き込むとともに、ビデオメモリからこの描画情報を読み出して、表示部14に描画データ(表示データ)として出力する。
【0038】
表示部14は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイを含んで構成され、ビデオサブシステム13から出力された描画データ(表示データ)に基づいて画像や情報を表示画面に表示する。
【0039】
タッチパネル15は、表示部14と一体となって構成されている。タッチパネル15は、表示部14の表示画面へのタッチ操作(操作位置)を検出するタッチセンサを含んで構成されている。
【0040】
通信部16は、Wi-Fi(登録商標)などの無線LAN(Local Area Network)またはイーサネットケーブルなどを用いて接続する有線LANによりネットワークに接続して、データ通信を行う。通信部16は、例えば、ネットワークからのデータを受信した際に、データを受信したことを示すイベントトリガを発生する。また、通信部16は、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信により周辺機器類と通信を行ってもよい。
【0041】
記憶部17は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、などを含んで構成される。例えば、記憶部17は、OS、各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションプログラム、及び各種データを記憶する。
【0042】
方向センサ18は、情報処理装置10の向き、即ち表示部14の表示画面の向きを検出するためのセンサである。例えば、方向センサ18は、加速度センサ、角速度センサ、重力センサなどの少なくとも一つを含む。
【0043】
タッチパッド21は、マウスと同様の機能を有する入力デバイスであり、カーソルの移動やクリックなどの操作を受け付ける。例えば、タッチパッド21は、タッチセンサ210と、クリックスイッチ211と、タッチパッドIC212とを含んで構成されている。
【0044】
タッチセンサ210は、平板上の検出領域(
図1のタッチパッド21の領域)を有し、タッチ操作による操作位置に応じて検出信号を出力する。クリックスイッチ211は、物理的な押下(ユーザによるクリック操作)を検出するための操作子である。クリックスイッチ211は、タッチセンサ210(
図1のタッチパッド21の領域)の下側に設けられており、タッチパッド21(タッチセンサ210)が物理的に押下されることにより、連動して物理的に押下される。
【0045】
タッチパッドIC212は、タッチパッド21に対する操作を検出する操作検出部としてのIC(例えば、ASIC:Application Specific Integrated Circuit)である。タッチパッドIC212は、タッチパッド21に対する操作を検出し、操作に基づく処理を実行させるために必要な情報をメイン処理部へ出力する。
【0046】
例えば、タッチパッドIC212は、タッチセンサ210から出力された検出信号を取得し、タッチ操作された操作位置を示すタッチ操作情報を生成してメイン処理部11へ出力する。また、タッチパッドIC212は、クリックスイッチ211が押下されたか否かに応じた検出信号を取得し、クリック操作がされたか否かを示すクリック操作情報を生成してメイン処理部11へ出力する。
【0047】
オーディオシステム22は、マイク221及びスピーカ222が接続され、音データの記録、再生、出力を行う。例えば、オーディオシステム22は、マイク221により収音された音声の音声信号をデジタルの音声データに変換してメイン処理部11へ送信する。また、オーディオシステム22は、メイン処理部11から送信される音声データをアナログの音声信号に変換してスピーカ222から音声として出力させる。
【0048】
キーボード32は、ユーザの操作を受け付ける複数のキーが配列された入力デバイスである。キーボード32は、
図1に示すように、機器筐体102のキーボード面102aに設けられている。キーボード32は、ユーザの操作により入力された入力情報(例えば、キーボードに対して操作されたキーを示す操作信号)をEC31へ出力する。
【0049】
電源回路33は、ACアダプタ(不図示)などの外部電源又はバッテリ34から供給される直流電力の電圧を、情報処理装置10を動作させるために必要な複数の電圧に変換する。また、電源回路33は、EC31からの制御に基づいて、情報処理装置10の各部に電力を供給する。
【0050】
バッテリ34は、例えば、リチウムバッテリであり、情報処理装置10に外部電源から電力供給されている場合に、電源回路33を介して充電され、情報処理装置10に外部電源から電力供給されていない場合に、充電された電力を情報処理装置10の動作電力として出力する。
【0051】
Lidセンサ35は、ディスプレイ筐体101と機器筐体102との回動状態(例えば、開状態、閉状態、開き角θなど)を検出するためのセンサである。例えば、Lidセンサ35としては、ホールセンサまたは加速度センサなどが用いられる。Lidセンサ35は、ディスプレイ筐体101と機器筐体102との回動状態に応じた検出信号を、EC31へ出力する。
【0052】
EC31は、情報処理装置10のシステムの状態に関わらず、各種デバイス(周辺装置やセンサ等)を監視して制御するMCU(Micro Controller Unit)などのプロセッサである。EC31は、不図示のCPU、ROM、RAM、複数チャネルのA/D入力端子、D/A出力端子、タイマ、及びデジタル入出力端子を備える。例えば、EC31は、メイン処理部11、タッチパッド21、キーボード32、電源回路33、及びLidセンサ35などと接続されている。
【0053】
次に、
図6を参照して、情報処理装置10がタブレットモードの場合にクリックスイッチ211の押下の検出をタッチパッドIC212ではなくEC31で行う構成について詳しく説明する。
図6は、本実施形態に係るクリックスイッチの検出を行う構成の一例を示すブロック図である。なお、この
図6において、
図5の各部に対応する構成には同一の符号を付している。
【0054】
この図に示す例では、タッチパッド21内において、クリックスイッチ211は、プルアップされてタッチパッドIC212の入力端子に接続されている。クリックスイッチ211が押下されていない非接続の状態(クリックスイッチ211がオフの状態)では、クリックスイッチ211の検出信号(以下、「スイッチ信号」と称する)はHighとなる。一方、クリックスイッチ211が押下されて接続された状態(クリックスイッチ211がオンの状態)になると、クリックスイッチ211のスイッチ信号はLowとなる。クラムシェルモードでは、タッチパッドIC212は、クリックスイッチ211からのスイッチ信号を取得し、取得したスイッチ信号に基づいてクリックスイッチ211が押下されたか否かを判定する。そしてタッチパッドIC212は、判定結果に基づいてクリック操作がされたか否かを示すクリック操作情報を生成してメイン処理部11へ出力する。
【0055】
メイン処理部11は、タッチパッドIC212とI2C(Inter-Integrated Circuit)などのシリアルバスで接続されており、タッチパッドIC212からクリック操作情報(およびタッチ操作情報)を取得する。例えば、メイン処理部11は、プログラムを実行することにより実現される機能構成として、タッチパッド情報取得部111と、表示方向制御部112とを備えている。
【0056】
クラムシェルモードでは、タッチパッド情報取得部111は、タッチパッドIC212からクリック操作情報(およびタッチ操作情報)を取得し、取得した操作情報に基づく処理を実行する。この処理は、マウスによる操作情報を取得したとき同様の処理である。
【0057】
表示方向制御部112は、方向センサ18(
図5参照)により検出された情報処理装置10の向き(表示画面の向き)に応じて表示部14の表示の向きを変更する自動表示回転機能の処理を実行する(
図3参照)。
【0058】
また、クリックスイッチ211は、プルアップされてEC31の入力端子にも接続されている。EC31への入力は、タッチパッドIC212への入力と同様に、クリックスイッチ211が押下されていない非接続の状態(クリックスイッチ211がオフの状態)ではHighとなり、クリックスイッチ211が押下されて接続された状態(クリックスイッチ211がオンの状態)になるとLowとなる。
【0059】
EC31は、プログラムを実行することにより実現される機能構成として、使用形態判定部311と、入力無効化部312と、機能制御部313とを備えている。
【0060】
使用形態判定部311は、Lidセンサ35(
図5参照)からディスプレイ筐体101と機器筐体102との回動状態に応じた検出信号を取得し、取得した検出信号に基づいて情報処理装置10の使用形態を検出する。例えば、使用形態判定部311は、情報処理装置10の使用形態がタブレットモードであるか否かを判定する。
【0061】
また、EC31は、タッチパッドIC212をオンまたはオフに制御するための制御信号線でタッチパッドIC212と接続されている。入力無効化部312は、所定の条件が満たされた場合、或いは所定のトリガによって、タッチパッド21が誤操作されないように無効化するために、タッチパッドIC212をオフ(動作を停止)させる制御信号をタッチパッドIC212へ出力する。
【0062】
例えば、入力無効化部312は、使用形態判定部311によりタブレットモードであると判定された場合、タッチパッドIC212をオフさせる制御信号をタッチパッドIC212へ出力する。タッチパッドIC212は、EC31からタッチパッドIC212をオフさせる制御信号を取得すると動作を停止する。また、入力無効化部312は、使用形態判定部311によりタブレットモードからクラムシェルモードに遷移したと判定された場合、タッチパッドIC212をオン(動作を開始)させる制御信号をタッチパッドIC212へ出力する。タッチパッドIC212は、EC31からタッチパッドIC212をオンさせる制御信号を取得すると動作を再開する。
【0063】
また、上述したようにクリックスイッチ211がEC31の入力端子にも接続されているため、機能制御部313は、タブレットモードにおいて入力無効化部312がタッチパッドIC212をオフさせた場合、タッチパッドIC212を介さずにクリックスイッチ211のスイッチ信号を直接的に取得し、取得したスイッチ信号に基づく処理を実行する。例えば、機能制御部313は、取得したスイッチ信号に基づいて、クリックスイッチ211が押下されたか否かによって特定の処理を切り替える。
【0064】
一例として、機能制御部313は、クリックスイッチ211が押下されている間、表示方向制御部112に対して指示することにより、表示部14の表示の向きをロック(固定)して自動表示回転機能を無効に制御する。即ち、機能制御部313は、クリックスイッチ211が押下されている間、表示方向制御部112に対して指示することにより、表示部14の表示の向きをロック(固定)して自動表示回転機能を行わないように制御する。
【0065】
また、機能制御部313は、クリックスイッチ211が押下されなくなると、表示方向制御部112に対して指示することにより、表示部14の表示の向きのロックを解除して自動表示回転機能を有効に制御する。即ち、機能制御部313は、クリックスイッチ211が押下されなくなると、表示方向制御部112に対して指示することにより、表示部14の表示の向きのロックを解除して自動表示回転機能を行うように制御する。
【0066】
[処理の動作]
次に、情報処理装置10が使用形態に応じて自動表示回転機能を切り替える機能制御処理の動作について説明する。
図7は、本実施形態に係る機能制御処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、情報処理装置10の使用形態がクラムシェルモードであって、自動表示回転機能が有効に設定されているものとする。
【0067】
(ステップS101)EC31は、Lidセンサ35から取得した検出信号に基づいて情報処理装置10の使用形態を検出し、タブレットモードであるか否かを判定する。EC31は、タブレットモードではないと判定した場合(NO)、再びステップS101の処理を行う。一方、EC31は、タブレットモードであると判定した場合(YES)、ステップS103の処理へ進む。
【0068】
(ステップS103)EC31は、タッチパッドIC212をオフ(動作を停止)させる制御信号をタッチパッドIC212へ出力し、タッチパッドIC212をオフにする。そして、ステップS105の処理へ進む。
【0069】
(ステップS105)EC31は、クリックスイッチ211のスイッチ信号を取得し、クリックスイッチ211が押下されたか否かの監視を開始する。そして、ステップS107の処理へ進む。
【0070】
(ステップS107)EC31は、クリックスイッチ211から取得したスイッチ信号に基づいて、クリックスイッチ211が押下されたか否かを判定する。EC31は、クリックスイッチ211が押下されたと判定した場合(YES)、ステップS109の処理へ進む。一方、EC31は、クリックスイッチ211が押下されていないと判定した場合(NO)、ステップS115の処理へ進む。
【0071】
(ステップS109)EC31は、表示部14の表示の向きをロック(固定)して自動表示回転機能を無効に制御する。即ち、EC31は、クリックスイッチ211が押下されている間、表示方向制御部112に対して指示することにより、表示部14の表示の向きをロック(固定)して自動表示回転機能を行わないように制御する。そして、ステップS111の処理へ進む。
【0072】
(ステップS111)EC31は、クリックスイッチ211から取得したスイッチ信号に基づいて、クリックスイッチ211が押下されているか否かを判定する。EC31は、クリックスイッチ211が引き続き押下されていると判定した場合(YES)、ステップS115の処理へ進む。一方、EC31は、クリックスイッチ211が押下されていないと判定した場合(NO)、ステップS113の処理へ進む。
【0073】
(ステップS113)EC31は、表示部14の表示の向きのロックを解除して自動表示回転機能を有効に制御する。即ち、EC31は、クリックスイッチ211が押下されなくなると、表示方向制御部112に対して指示することにより、表示部14の表示の向きのロックを解除して自動表示回転機能を行うように制御する。そして、ステップS115の処理へ進む。
【0074】
(ステップS115)EC31は、Lidセンサ35から取得した検出信号に基づいてタブレットモードであるか否かを判定する。EC31は、引き続きタブレットモードであると判定した場合(YES)、ステップS107の処理へ戻る。一方、EC31は、タブレットモードではないと判定した場合(NO)、ステップS117の処理へ進む。
【0075】
(ステップS117)EC31は、タブレットモードでなくなると(例えば、クラムシェルモードになると)、クリックスイッチ211が押下されたか否かの監視を終了して、ステップS119の処理へ進む。
【0076】
(ステップS119)EC31は、表示部14の表示の向きをロック(固定)して自動表示回転機能を無効に制御していな場合には、表示の向きのロックを解除して自動表示回転機能を有効に制御する。そして、ステップS121の処理へ進む。
【0077】
(ステップS121)EC31は、タッチパッドIC212をオン(動作を開始)させる制御信号をタッチパッドIC212へ出力し、タッチパッドIC212をオンにする。そして、ステップS101の処理へ戻る。
【0078】
以上説明したように、本実施形態に係る情報処理装置10は、システムのプログラムを一時的に記憶するメインメモリ12(メモリの一例)と、システムのプログラムを実行するメイン処理部11(第1プロセッサの一例)と、メイン処理部11とは別に設けられ、メイン処理部11の動作状態にかかわらず処理を実行するEC31(第2プロセッサの一例)と、物理的な押下を検出するためのクリックスイッチ211(操作子の一例)と、クリックスイッチ211によるスイッチ信号(検出信号の一例)を取得し、取得したスイッチ信号に基づく処理を実行させるための情報をメイン処理部11へ出力するタッチパッドIC212(操作検出部の一例)と、を備えている。EC31は、タッチパッドIC212の動作を停止させるか否かを制御し、タッチパッドIC212をオフ(動作を停止)させた場合には、タッチパッドIC212を介さずにクリックスイッチ211によるスイッチ信号を取得し、取得したスイッチ信号に基づく処理を実行する。
【0079】
これにより、情報処理装置10は、タッチパッドIC212をオフ(動作を停止)にしてタッチパッド21を無効にしているときに、タッチパッドIC212を介さずにEC31がクリックスイッチ211のスイッチ信号を取得して処理を行えるようにしたため、ユーザがクリックスイッチ211への簡単な操作で適切な処理を行うように切り替えることができる。また、情報処理装置10は、タッチパッドIC212をオフ(動作を停止)にしたまま、クリックスイッチ211のスイッチ信号を取得して処理を行えるため、消費電力を抑制できるという利点もある。
【0080】
また、情報処理装置10は一方の面に表示部14が設けられたディスプレイ筐体101(第1筐体の一例)と、一方の面にクリックスイッチ211が設けられた機器筐体102(第2筐体の一例)と、ディスプレイ筐体101の一端と機器筐体102の一端とを連結し、連結部を軸としてディスプレイ筐体101と機器筐体102とが回動可能なヒンジ機構103と、を備えている。そして、EC31は、ヒンジ機構103によるディスプレイ筐体101と機器筐体102との回動状態を検出し、検出した回動状態に基づいてタッチパッドIC212をオフ(動作を停止)させる。
【0081】
これにより、情報処理装置10は、使用形態(ディスプレイ筐体101と機器筐体102との回動状態)によってタッチパッド21が誤操作されやすい場合、タッチパッド21の機能を無効にすることができる。
【0082】
例えば、EC31は、ディスプレイ筐体101の他方の面と機器筐体102の他方の面とが向かい合って重なった状態(例えば、タブレットモード)に回動状態がなったことを検出した場合には、タッチパッドIC212をオフ(動作を停止)させる。
【0083】
これにより、情報処理装置10は、タブレットモードで使用される場合、把持しているときに裏側となるタッチパッド21は誤操作されやすいため機能を無効にすることができる。
【0084】
また、クリックスイッチ211は、機器筐体102のクリックスイッチ211が設けられた面のうちのタッチセンサ210の検出領域(特定の領域の一例)においてタッチ操作による操作位置を検出するタッチパッド21と関連付けられて設けられている。タッチパッドIC212は、クリックスイッチ211によるスイッチ信号の他に、さらにタッチパッド21による検出信号を取得し、取得した検出信号に基づく処理を実行させるための情報をメイン処理部11へ出力する。
【0085】
これにより、情報処理装置10は、タッチパッド21の機能を無効にしても、タッチパッド21と関連付けられて設けられているクリックスイッチ211のスイッチ信号をEC31が取得して処理を行えるようにしたため、ユーザがクリックスイッチ211への簡単な操作で適切な処理を行うように切り替えることができる。
【0086】
また、EC31は、タッチパッドIC212をオフ(動作を停止)させた場合、タッチパッドIC212を介さずにクリックスイッチ211から取得したスイッチ信号に基づいて特定の処理を切り替える。
【0087】
これにより、情報処理装置10は、例えば、タブレットモードで使用される場合、把持しているときに裏側となるタッチパッド21は誤操作されやすいため機能を無効にしていても、EC31がクリックスイッチ211のスイッチ信号を取得して特定の処理を切り替えることができるため、ユーザがクリックスイッチ211への簡単な操作で適切な処理を行うように切り替えることができる。
【0088】
また、情報処理装置10は、情報処理装置10(表示画面)の向きを検出するための方向センサ18(センサの一例)を備えている。メイン処理部11は、方向センサ18により検出された情報処理装置10(表示画面)置の向きに応じて表示部14の表示の向きを変更する自動表示回転機能の処理(表示方向変更処理の一例)を実行する。EC31は、タッチパッドIC212をオフ(動作を停止)させた場合、タッチパッドIC212を介さずにクリックスイッチ211から取得したスイッチ信号に基づいて自動表示回転機能の処理(表示方向変更処理の一例)を切り替える。
【0089】
これにより、情報処理装置10は、例えば、タブレットモードで使用される場合、把持しているときに裏側となるタッチパッド21は誤操作されやすいため機能を無効にしていても、EC31がクリックスイッチ211のスイッチ信号を取得して自動表示回転機能の処理を切り替えることができるため、ユーザがクリックスイッチ211への簡単な操作で適切な処理を行うように切り替えることができる。
【0090】
また、EC31は、タッチパッドIC212をオフ(動作を停止)させた場合、タッチパッドIC212を介さずにクリックスイッチ211から取得したスイッチ信号に基づいて自動表示回転機能の処理(表示方向変更処理の一例)を行うか否かを切り替える。
【0091】
これにより、情報処理装置10は、例えば、タブレットモードで使用される場合、把持しているときに裏側となるタッチパッド21は誤操作されやすいため機能を無効にしていても、EC31がクリックスイッチ211のスイッチ信号を取得して自動表示回転機能無効にして表示をロック(固定)することができるため、ユーザがクリックスイッチ211への簡単な操作で適切な処理を行うように切り替えることができる。
【0092】
また、本実施形態に係る情報処理装置10における制御方法は、システムのプログラムを一時的に記憶するメインメモリ12(メモリの一例)と、システムのプログラムを実行するメイン処理部11(第1プロセッサの一例)と、メイン処理部11とは別に設けられ、メイン処理部11の動作状態にかかわらず処理を実行するEC31(第2プロセッサの一例)と、物理的な押下を検出するためのクリックスイッチ211(操作子の一例)と、クリックスイッチ211によるスイッチ信号(検出信号の一例)を取得し、取得したスイッチ信号に基づく処理を実行させるための情報をメイン処理部11へ出力するタッチパッドIC212(操作検出部の一例)と、を備える情報処理装置10における制御方法であって、EC31が、タッチパッドIC212の動作を停止させるか否かを制御するステップと、タッチパッドIC212をオフ(動作を停止)させた場合には、タッチパッドIC212を介さずにクリックスイッチ211によるスイッチ信号を取得するステップと、取得したスイッチ信号に基づく処理を実行するステップと、を含む。
【0093】
これにより、情報処理装置10における制御方法は、タッチパッドIC212をオフ(動作を停止)にしてタッチパッド21を無効にしているときに、タッチパッドIC212を介さずにEC31がクリックスイッチ211のスイッチ信号を取得して処理を行えるようにしたため、ユーザがクリックスイッチ211への簡単な操作で適切な処理を行うように切り替えることができる。また、情報処理装置10における制御方法は、タッチパッドIC212をオフ(動作を停止)にしたまま、クリックスイッチ211のスイッチ信号を取得して処理を行えるため、消費電力を抑制できるという利点もある。
【0094】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0095】
なお、上記実施形態において、クリックスイッチ211がタッチパッド21(タッチセンサ210)の下側に配置されている例を説明したが、クリックスイッチ211が設けられている位置およびスイッチの形態などは本例に限定されるものではない。例えば、クリックスイッチ211は、タッチパッド21の検出領域であるタッチセンサ210とは重ならない位置に配置されてもよい。また、クリックスイッチ211の数は、1つに限らず、複数個であってもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、タブレットモードにおいて、クリックスイッチ211が押下されている間(即ち、長押しされている間)、表示部14の表示の向きをロック(固定)して自動表示回転機能を無効に制御し、クリックスイッチ211が押下されなくなると表示部14の表示の向きのロックを解除して自動表示回転機能を有効に制御する例を説明したが、クリックスイッチ211の操作方法はこれに限られるものではない。例えば、クリックスイッチ211が押下される度に、表示の向きをロック(固定)とロックの解除が切り替わる構成としてもよい。この場合、クリックスイッチ211に対する操作の種類は、シングルクリック、ダブルクリック、トリプルクリックなどのいずれの操作であってもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、EC31がタッチパッドIC212をオフ(動作を停止)させた場合に、タッチパッドIC212を介さずにクリックスイッチ211から取得したスイッチ信号に基づいて自動表示回転機能を有効または無効に切り替える例を説明したが、これに限られるものではない。例えば、情報処理装置10は、タブレットモードでは自動表示回転機能を無効に制御し、クリックスイッチ211が押下されているか否かによって予め設定されている表示の向きに制御してもよい。例えば、情報処理装置10は、クリックスイッチ211が押下されている間は
図3に示す表示画面が0°のときの表示の向きにロック(固定)し、クリックスイッチ211が押下されていなときには
図3に示す表示画面を右へ90°回転させたときの表示の向きにロック(固定)してもよい。また、クリックスイッチ211が押下されているか否かによって予め設定されている表示の向きは、ユーザが設定可能であってもよい。
【0098】
また、情報処理装置10は、クリックスイッチ211が押下されていなときには
図3に示す表示画面が0°のときの表示の向きにロック(固定)し、クリックスイッチ211が押下される度に、表示画面を右へ90°回転させたときの表示の向きにロック、表示画面を右へ180°回転させたときの表示の向きにロック、表示画面を右へ270°回転させたときの表示の向きにロックといったように遷移させてもよい。また、情報処理装置10は、クリックスイッチ211の操作の種類(長押し、シングルクリック、ダブルクリック、トリプルクリック)毎に、予めロックさせる表示の向きが設定されていてもよい。また、クリックスイッチ211の操作の種類と表示の向きの設定は、ユーザが設定可能であってもよい。
【0099】
また、上記実施形態において、EC31がタッチパッドIC212をオフ(動作を停止)させた場合に、タッチパッドIC212を介さずにクリックスイッチ211から取得したスイッチ信号に基づいて自動表示回転機能を切り替える例を説明したが、切り替える機能は、自動表示回転機能に限られるものではなく、任意の特定の機能を切り替えてもよい。
【0100】
例えば、EC31は、タッチパッドIC212をオフ(動作を停止)させた場合に、タッチパッドIC212を介さずにクリックスイッチ211から取得したスイッチ信号に基づいて表示部14の表示画面に対するタッチ操作を検出するタッチパネル15の機能を有効または無効に切り替えても良い。
【0101】
また、EC31は、タッチパッドIC212をオフ(動作を停止)させた場合に、タッチパッドIC212を介さずにクリックスイッチ211から取得したスイッチ信号に基づいて表示部14の表示のオンとオフを切り替えても良い。
【0102】
また、EC31は、タッチパッドIC212をオフ(動作を停止)させた場合に、タッチパッドIC212を介さずにクリックスイッチ211から取得したスイッチ信号に基づいてマイク221またはスピーカ222をミュートさせるか否かを切り替えても良い。
【0103】
また、EC31は、タッチパッドIC212をオフ(動作を停止)させた場合に、タッチパッドIC212を介さずにクリックスイッチ211から取得したスイッチ信号に基づいて通信部16のWi-Fi(登録商標)の機能をオンまたはオフさせるかを切り替えても良い。
【0104】
また、クリックスイッチ211の操作の種類(長押し、シングルクリック、ダブルクリック、トリプルクリック)毎に、切り替える機能が割り当てられていてもよい。例えば、長押しの場合には自動表示回転機能の切り替え、シングルクリックの場合にはタッチパネル15の切り替え、ダブルクリックの場合には表示のオンとオフの切り替え、トリプルクリックの場合にはマイク221またはスピーカ222のミュートの切り替え、などといったように、操作の種類毎に切り替える機能が割り当てられてもよい。また、操作の種類毎の機能の割り当てをユーザが設定できるようにしてもよい。
【0105】
また、上記実施形態において、情報処理装置10がタブレットモードの際に、タッチパッドIC212をオフ(動作を停止)させたが、他の要因(例えば、所定の条件が満たされた場合、或いは所定のトリガ)によって、タッチパッドIC212をオフ(動作を停止)させてもよく、その際にはEC31がクリックスイッチ211のスイッチ信号を取得して処理を行ってもよい。また、所定の条件および所定のトリガは、ディスプレイ筐体101と機器筐体102との回動状態に応じたものであってもよいし、当該回動状態に関係しないものであってもよい。
【0106】
また、EC31は、メイン処理部11とは異なるプロセッサとしてのマイクロコンピュータの一例であって、これに限定されるものではない。
【0107】
また、上述した情報処理装置10は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した情報処理装置10のそれぞれが備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した情報処理装置10(10A)のそれぞれが備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0108】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に情報処理装置10が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0109】
また、上述した実施形態における情報処理装置10が備える各機能の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0110】
10 情報処理装置、101 ディスプレイ筐体、101a ディスプレイ面、101b トップ面、102 機器筐体、102a キーボード面、102b ボトム面、103 ヒンジ機構、11 メイン処理部、12 メインメモリ、13 ビデオサブシステム、14 表示部、15 タッチパネル、16 通信部、17 記憶部、18 方向センサ、21 タッチパッド、210 タッチセンサ、211 クリックスイッチ、212 タッチパッドIC、22 オーディオシステム、221 マイク、222 スピーカ、31 EC、32 キーボード、33 電源回路、34 バッテリ、35 Lidセンサ、111 タッチパッド情報取得部、112 表示方向制御部、311 使用形態判定部、312 入力無効化部、313 機能制御部
【要約】
【課題】ユーザが簡単な操作で適切な処理を行うように切り替え可能にすること。
【解決手段】情報処理装置は、システムのプログラムを一時的に記憶するメモリと、システムのプログラムを実行する第1プロセッサと、第1プロセッサとは別に設けられ、第1プロセッサの動作状態にかかわらず処理を実行する第2プロセッサと、物理的な押下を検出するための操作子と、操作子による検出信号を取得し、取得した検出信号に基づく処理を実行させるための情報を第1プロセッサへ出力する操作検出部と、を備え、第2プロセッサは、操作検出部の動作を停止させるか否かを制御し、操作検出部の動作を停止させた場合には、操作検出部を介さずに操作子による検出信号を取得し、取得した検出信号に基づく処理を実行する。
【選択図】
図6