(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】エアロゾル供給システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20241120BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20241120BHJP
A24F 40/44 20200101ALI20241120BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20241120BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/10
A24F40/44
A24F40/42
(21)【出願番号】P 2023503182
(86)(22)【出願日】2021-07-09
(86)【国際出願番号】 GB2021051763
(87)【国際公開番号】W WO2022018400
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-03-16
(32)【優先日】2020-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ヒューズ, スティーブ
(72)【発明者】
【氏名】スタニフォース, マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン, デイヴィッド アラン
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0350258(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110652040(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110623311(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00~47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル化可能材料から蒸気を生成するための気化器と、
電力を受け取るための
複数の電極と、
前記
複数の電極
の周りに、及び部分的に前記
複数の電極の長さに沿って延在する封止部材であって、前記電極が、第1の端部と第2の端部との間で延在し、前記第1の端部が前記第2の端部よりも前記気化器の近位に配置された、封止部材と
を備えるエアロゾル供給システム。
【請求項2】
前記封止部材が、耐熱性及び導電性の複合材料から少なくとも部分的に構成された、請求項1に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項3】
前記封止部材の前記複合材料が、少なくとも1つのセラミック、ポリマー、炭素繊維、金属、金属合金、又はそれらの組合せを含む、請求項2に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項4】
前記複合材料が、セラミックマトリックス複合材、金属マトリックス複合材、又はそれらの組合せからなる群から選択された、請求項2又は3に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項5】
前記複合材料が金属マトリックス複合材である、請求項4に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項6】
前記複合材料がシリコーンを含む、請求項2又は3に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項7】
前記封止部材が、前記電極と前記気化器との間で電力を伝達するために、前記気化器及び前記電極に電気的に接続されている、請求項1
~6の何れか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項8】
前記封止部材が、前記気化器に近位の第1の部分と、前記電極に近位又は前記エアロゾル供給システムの表面に近位の第2の部分とを有する、請求項1~
7のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項9】
前記封止部材の最大幅が2.5mm以下である、請求項1~
8のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項10】
前記封止部材の最大幅が1.5mm~2.5mmである、請求項1~
9のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項11】
複数の封止部
材を備え、各封止部材は、電極のそれぞれ1つと前記気化器との間で電力を伝達するために、前記気化器及び前記電極のそれぞれ1つに電気的に接続されている、請求項1~
10のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項12】
前記封止部材が、前記
複数の電極の周りに少なくとも部分的に延在するジャケットの形態である、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項13】
前記封止部材は、前記ジャケットの主要凹部である、
それぞれの前記電極のための場所を備える、請求項12に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項14】
前記ジャケットが、少なくとも前記
複数の電極
の周りに、及び前記
複数の電極の長さに沿って延在する、請求項12又は13に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項15】
前記気化器を使用して気化されるエアロゾル化可能材料を保持する際に使用するための多孔性部材をさらに備える、請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項16】
前記気化器が加熱要素を備える、請求項1~15のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項17】
エアロゾル化可能材料のためのリザーバであって、前記気化器が、前記リザーバから前記エアロゾル化可能材料を受け入れるように構成された、リザーバをさらに備える、請求項1~16のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項18】
カートリッジ及びコントロールユニットをさらに備え、前記
複数の電極、前記気化器、及び前記封止部材が前記カートリッジ内に配置され、前記コントロールユニットが、前記カートリッジを前記コントロールユニットに解放可能に結合するように前記カートリッジと協働して係合するように構成されたインターフェースを含むカートリッジ受入セクションを備え、前記コントロールユニットが、前記気化器にエネルギーを供給するために前記
複数の電極に電力を供給するための電源をさらに備える、請求項1~17のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項19】
エアロゾル供給システムのためのカートリッジであって、前記エアロゾル供給システムが、前記カートリッジ及びコントロールユニットを備え、
エアロゾル化可能材料から蒸気を生成するための気化器と、
前記コントロールユニットから電力を受け取るための
複数の電極と、
前記
複数の電極
の周りに、及び部分的に前記
複数の電極の長さに沿って延在する封止部材であって、前記電極が、第1の端部と第2の端部との間で延在し、前記第1の端部が前記第2の端部よりも前記気化器の近位に配置された、封止部材と
を備えるカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、限定するものではないが、物質(例えばニコチン)送達システム(例えば、電子タバコ等)などエアロゾル供給システムに関する。
【背景】
【0002】
電子タバコ(eシガレット)などの電子エアロゾル供給システムは、一般に、ニコチンを典型的には含むが、必ずしも含まないこともある製剤が入った原料液体のリザーバ、又はタバコベース製品などの固形材料など、エアロゾル前駆材料を含み、それからエアロゾルが、ユーザによる吸引のために、例えば、熱蒸発によって生成される。したがって、エアロゾル供給システムは、典型的には、前駆材料の一部を気化させてエアロゾル供給システムを通る空気チャネルのエアロゾル生成領域にエアロゾルを生成するように配置された気化器、例えば加熱要素を備える。ユーザがデバイスを吸引し、電力が加熱要素に供給されると、空気は、1つ以上の入口穴を通ってデバイス内に引き込まれ、空気チャネルに沿ってエアロゾル生成領域に至り、ここで空気は、気化した前駆材料と混合し、凝縮エアロゾルを形成する。エアロゾル生成領域を通って引かれた空気は、エアロゾルの一部を運びながら、引き続き空気チャネルに沿って流れて吸い口の開口に至り、ユーザによる吸引のために吸い口の開口を通って出る。
【0003】
エアロゾル供給システムは、多くは2つの主要な機能部分、すなわちコントロールユニット及び使い捨て/交換可能なカートリッジ部分を有するモジュール式アセンブリを備えることが一般的である。典型的には、カートリッジ部分は、消耗可能なエアロゾル前駆材料及び気化器/加熱要素(アトマイザ)を備え、コントロールユニット部分は、再充電可能なバッテリーなどの電源、デバイス制御回路、作動センサ、及びユーザインターフェース機能部など、より長寿命の物品を備える。コントロールユニットは、再使用可能な部分又はバッテリーセクションとも呼ばれることがあり、交換可能なカートリッジは、使い捨て部分又はカトマイザとも呼ばれることがある。
【0004】
コントロールユニットとカートリッジは、使用するために、例えば、ねじ式、バヨネット式、ラッチ式、又は摩擦嵌め式の固定具を使用して、インターフェースにおいて一体になるように機械的に結合される。カートリッジ内のエアロゾル前駆材料が使い尽くされたとき、又はユーザが異なるエアロゾル前駆材料を有する異なるカートリッジに交換したいと望むとき、カートリッジはコントロールユニットから取り外され、交換カートリッジをその場でデバイスに取り付けることができる。
【0005】
コントロールユニット及びカートリッジのそれぞれには、2つの構成要素間で電力を伝達するために電気接点/電極が設けられる。カートリッジの各電極の場合、電極からカートリッジの加熱要素に電力を伝達するためにリード線が用いられる。
【0006】
このようなカートリッジにおける潜在的な欠点は、使用中にリード線が電極から外れ、望ましくない短絡及びカートリッジの誤作動を引き起こす場合があることである。典型的には液体エアロゾル前駆体(eリキッド)を含むこのようなカートリッジに対するさらなる潜在的な欠点は漏れの危険性である。eシガレットカートリッジは、典型的には、空気入口からカートリッジのエアロゾル出口まで接続する空気経路/チャネルに配置された加熱要素に液体リザーバから液体を引くための機構、例えば毛管ウィックを有する。液体リザーバからカートリッジの中の開放された空気チャネルに流体輸送経路が存在するので、それに対応して、カートリッジから液体が漏れる危険性がある。手又は他の物品にeリキッドをつけたくないというエンドユーザの観点からも漏れは、当然望ましくない。
【0007】
本明細書では、上で論じた問題のいくつかに対処又はそれらを軽減する助けになろうとする様々な手法を説明する。
【概要】
【0008】
特定の実施形態の第1の態様によれば、
エアロゾル化可能材料から蒸気を生成するための気化器と、
電力を受け取るための電極と、
気化器及び電極に電気的に接続され、電極と気化器との間で電力を伝達するための封止部材であって、耐熱性及び導電性の複合材料から少なくとも部分的に構成された封止部材と
を備えるエアロゾル供給システムが提供される。
【0009】
特定の実施形態の第2の態様によれば、エアロゾル供給システムのためのカートリッジであって、エアロゾル供給システムが、カートリッジ及びコントロールユニットを備える、カートリッジが提供され、本カートリッジは、
エアロゾル化可能材料から蒸気を生成するための気化器と、
コントロールユニットから電力を受け取るための電極と、
気化器及び電極に電気的に接続され、電極と気化器との間で電力を伝達するための封止部材であって、耐熱性及び導電性の複合材料から少なくとも部分的に構成された封止部材と
を備える。
【0010】
特定の実施形態の第3の態様によれば、電解腐食を低減するためにエアロゾル供給システムでの封止部材の使用であって、封止部材が、耐熱性及び導電性の複合材料から少なくとも部分的に構成された、封止部材の使用が提供される。
本発明の様々な態様に関連して上述した本発明の特徴及び態様は、本明細書で説明する特定の組合せだけでなく、必要に応じて、本発明の他の態様による本発明の実施形態に等しく適用可能であり、それらと組み合わせることができることは理解されよう。
次に、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】カートリッジ及びコントロールユニットを備えるエアロゾル供給システムの概略図である。
【
図2A】本開示の特定の実施形態による、
図1のコントロールユニットと共に使用するためのカートリッジの概略断面図である。
【
図2B】本開示の特定の実施形態による、
図2Aに示したカートリッジのいくつかの部分の斜視図である。
【
図3】本開示の特定の実施形態による、
図2Aに示したカートリッジに使用するための、多孔性部材の表面に配置された加熱要素の概略図である。
【
図4】本開示の特定の実施形態による、
図1のコントロールユニットと共に使用するためのカートリッジの概略断面図である。
【
図5A】本開示の特定の実施形態による、
図1のコントロールユニットと共に使用するための、
図4のカートリッジの一部分の概略透視図である。
【
図5B】本開示の特定の実施形態による、
図1のコントロールユニットと共に使用するための、
図4及び
図5Aのカートリッジの一部分の概略透視図である。
【
図6A】本開示の特定の実施形態による、
図1のコントロールユニットと共に使用するための、
図4、
図5A、及び
図5Bの代替の構成のカートリッジの一部分の概略透視図である。
【
図6B】本開示の特定の実施形態による、
図1のコントロールユニットと共に使用するための、
図4、
図5A、及び
図5Bの代替の構成のカートリッジの一部分の概略透視図である。
【
図7A】本開示の特定の実施形態による、
図1のコントロールユニットと共に使用するための、
図4、
図5A、及び
図5Bのさらなる代替の構成のカートリッジの一部分の概略透視図である。
【
図7B】本開示の特定の実施形態による、
図1のコントロールユニットと共に使用するための、
図4、
図5A、及び
図5Bのさらなる代替の構成のカートリッジの一部分の概略透視図である。
【
図8】本開示のエアロゾル供給システムに使用するための適切な複合材料(信越ポリマー株式会社製のGB-Matrixタイプインターコネクタ)の概略図である。
【
図9A】本開示の特定の実施形態による、
図1のコントロールユニットと共に使用するための、
図7A及び
図7Bのさらなる代替の構成のカートリッジの一部分の概略斜視図である。
【
図9B】本開示の特定の実施形態による、
図1のコントロールユニットと共に使用するための、
図7A及び
図7Bのさらなる代替の構成のカートリッジの一部分の概略斜視図である。
【詳細な説明】
【0012】
本明細書では、特定の例及び実施形態の態様及び特徴を論じる/説明する。特定の例及び実施形態のいくつかの態様及び特徴は、従来から実施されている場合もあり、それらについては、説明を簡略にするために、詳細を論じる/説明することはしない。したがって、本明細書で論じるが、詳細には説明しない装置及び方法の態様及び特徴は、そのような態様及び特徴を実施するための任意の従来の技法に従って実施することができることは理解されよう。
【0013】
本開示は、eシガレットなど、エアロゾル供給システムとも称されることがある非燃焼式エアロゾル供給システムに関する。本開示によれば、「非燃焼式」エアロゾル供給システムとは、エアロゾル供給システム(又はその構成要素)のエアロゾル化可能構成材料が、ユーザへの送達を容易にするために燃焼されず又は燃やされないシステムである。本明細書ではエアロゾル生成材料又はエアロゾル前駆材料とも称されることもあるエアロゾル化可能材料は、例えば、加熱、照射、又は任意の他の方法でエネルギーが与えられると、エアロゾルを生成することができる材料である。
【0014】
以下の説明全体にわたって、「eシガレット」又は「電子タバコ」という用語を使用することもあるが、この用語は、エアロゾル供給システム/デバイス及び電子エアロゾル供給システム/デバイスと互換的に使用することができることは理解されよう。電子タバコはまた、ベイピングデバイス又は電子ニコチン送達システム(END:electronic nicotine delivery system)としても知られるが、エアロゾル化可能材料の中にニコチンが存在することは必要条件ではないことに留意されたい。
【0015】
いくつかの実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給システムは、エアロゾル化可能材料(その1つ又は複数は加熱されてもよい)の組合せを使用してエアロゾルを生成するハイブリッドシステムである。いくつかの実施形態では、ハイブリッドシステムは、液体又はゲル状のエアロゾル化可能材料、及び固体のエアロゾル化可能材料を備える。固体のエアロゾル化可能材料は、例えば、タバコ又は非タバコ製品を含んでもよい。
【0016】
典型的には、非燃焼式エアロゾル供給システムは、非燃焼式エアロゾル供給デバイスと、非燃焼式エアロゾル供給デバイスと共に使用するための物品とを備える場合がある。しかしながら、それ自体がエアロゾル生成構成要素にエネルギーを供給するための手段を備える物品は、それ自体が非燃焼式エアロゾル供給システムを形成することができると考えられる。
【0017】
いくつかの実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給デバイスと共に使用するための物品は、エアロゾル化可能材料(又はエアロゾル前駆材料)、エアロゾル生成構成要素(又は気化器)、エアロゾル生成領域、吸い口、及び/又は、エアロゾル化可能材料を受け入れるための領域を備える場合がある。
【0018】
いくつかの実施形態では、エアロゾル生成構成要素は、エアロゾル化可能材料から1つ以上の揮発成分を放出させてエアロゾルを形成するように、エアロゾル化可能材料と相互作用することができる気化器又はヒーターである。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成構成要素は、加熱することなくエアロゾル化可能材料からエアロゾルを生成することができる。例えば、エアロゾル生成構成要素は、エアロゾル化可能材料に熱を加えることなく、例えば、振動手段、機械的手段、加圧手段、又は静電気的手段のうちの1つ以上によって、エアロゾル化可能材料からエアロゾルを生成することができてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、送達される物質は、活性成分、担体成分、及び、任意選択で、1つ以上の他の機能性成分を含む場合があるエアロゾル化可能材料であってもよい。
【0020】
活性成分は、ユーザに生理学的反応及び/又は嗅覚的反応をさせるために、エアロゾル化可能材料に含まれる1つ以上の生理学的活性成分及び/又は嗅覚的活性成分を含んでもよい。活性成分は、例えば、栄養補助食品、向知性剤、及び向精神剤から選択されてもよい。活性成分は、天然に存在するものでも、合成して得られるものでもよい。活性成分は、例えば、ニコチン、カフェイン、タウリン、テイン、B6又はB12又はCなどのビタミン、メラトニン、カンナビノイド、或いはそれらの成分、誘導体、又は組合せを含んでもよい。活性成分は、タバコ又は別の植物の成分、誘導体、又は抽出物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、活性成分は、生理学的活性成分であり、ニコチン、ニコチン塩(例えば、ニコチン二酒石酸塩/ニコチン酒石酸水素塩)、ニコチンを含まないタバコ代替品、カフェインなどの他のアルカロイド、又はそれらの混合物から選択されてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、活性成分は、嗅覚的活性成分であり、現地の規則で許可される場合に、所望の風味、香り、又は他の体性感覚を作り出すために成人消費者向けの製品に使用することができる「香料」及び/又は「香味料」から選択されてもよい。いくつかの例では、そのような成分は、香料、香味料、冷却剤、加熱剤、及び/又は甘味料と称されることがある。それらには、天然に生じる香料材料、植物性物質、植物性物質の抽出物、合成して得られる材料、又はそれらの組合せ(例えば、タバコ、大麻、リコリス(甘草)、アジサイ、オイゲノール、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メープル、抹茶、メンソール、ニホンハッカ、アニシード(アニス)、シナモン、ターメリック、インディアンスパイス、アジアンスパイス、ハーブ、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、レッドベリー、クランベリー、ピーチ、アップル、オレンジ、マンゴー、クレメンタイン、レモン、ライム、トロピカルフルーツ、パパイヤ、ルバーブ、ブドウ、ドリアン、ドラゴンフルーツ、キュウリ、ブルーベリー、マルベリー、柑橘類、ドランブイ(Drambuie)、バーボン、スコッチ、ウィスキー、ジン、テキーラ、ラム、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、アロエベラ、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、チャット、ナスワー(naswar)、キンマ、シーシャ、パイン、ハチミツエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、オレンジの花、サクラの花、カッシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、ウイキョウ、ワサビ、ピーマン、ジンジャー、コリアンダー、コーヒー、麻、ハッカ属の任意の種から得られるミント油、ユーカリ、スターアニス、ココア、レモングラス、ルイボス、亜麻、イチョウ、ハシバミ、ハイビスカス、月桂樹、マテ、オレンジの皮、バラ、緑茶又は紅茶などの茶、タイム、ジュニパー、エルダーフラワー、バジル、ベイリーフ、クミン、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、レモン果皮、ミント、シオガマギク、クルクマ、シラントロ、マートル、カシス、バレリアン、ピメント、メース、ダミアン、マジョラム、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、カルビ、バーベナ、タラゴン、リモネン、チモール、カンフェン)、香味強化剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性剤、又は刺激剤、糖及び/又は代替糖(例えば、スクロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、並びに、チャコール、クロロフィル、ミネラル、植物性物質、又は息清涼剤などの他の添加物が含まれてもよい。これらは、模造品、合成材料若しくは天然材料、又はこれらの混合物であってもよい。これらは、任意の適切な形態、例えば、油などの液体、粉末などの固体、又は気体であってもよく、抽出物(例えば、リコリス、アジサイ、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メンソール、ニホンハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、ピーチ、アップル、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウィスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、ハチミツエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カッシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、ウイキョウ、ピーマン、ジンジャー、アニス、コリアンダー、コーヒー、又はハッカ属の任意の種から得られるミント油)、香味強化剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性剤又は刺激剤、糖及び/又は代替糖(例えば、スクロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、並びに、チャコール、クロロフィル、ミネラル、植物性物質、又は息清涼剤などの他の添加物のうちの1つ以上であってもよい。これらは、模造品、合成材料若しくは天然材料、又はこれらの混合物であってもよい。これらは、任意の適切な形態、例えば、油、液体、又は粉末であってもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、香料はメンソール、スペアミント、及び/又はペパーミントを含む。いくつかの実施形態では、香料は、キュウリ、ブルーベリー、柑橘類、及び/又はレッドベリーの香料成分を含む。いくつかの実施形態では、香料はオイゲノールを含む。いくつかの実施形態では、香料は、タバコから抽出された香料成分を含む。いくつかの実施形態では、香料は、嗅神経又は味覚神経に加えて、又はその代わりに、第5脳神経(三叉神経)を刺激することによって通常化学的に誘起され、知覚される体性感覚を達成するように意図された感覚剤を含んでもよく、これらは、加熱効果、冷却効果、ひりつき効果、麻痺効果を提供する薬剤を含んでもよい。適切な加熱効果剤は、限定するものではないが、バニリルエチルエーテルであってもよく、適切な冷却剤は、限定するものではないが、ユーカリプトール、WS-3であってもよい。
【0023】
担体成分は、エアロゾルを形成することができる1つ以上の成分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、担体成分は、グリセリン、グリセロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、メソ-エリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息香酸ベンジル、ベンジルフェニルアセテート、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、及びプロピレンカーボネートのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0024】
1つ以上の他の機能性成分は、pH調整剤、着色剤、保存剤、結合剤、充填剤、安定剤、及び/又は酸化防止剤のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0025】
上述したように、エアロゾル供給システム(eシガレット)は、再使用可能な部分(コントロールユニット)及び交換可能な(使い捨ての)カートリッジ部分の両方を含むモジュール式アセンブリを備えることが多い。このタイプの2パートモジュール式の構成に適合するデバイスは、概して、2パートデバイスと称することができる。電子タバコが概ね細長い形状を有するのも一般的である。具体例を提供するために、本明細書で説明する本開示の特定の実施形態は、使い捨てカートリッジを用いるこの種の概ね細長い2パートデバイスを含む。しかしながら、本明細書で説明する基本原理は、他の電子タバコ構成、例えば、典型的には、より箱状の形状を有する、いわゆるボックスモッド(box-mod)高性能デバイスに基づく他の全体形状に適合するデバイスとして、例えば、3つ以上の部分を備えるモジュール式デバイスに等しく採用することができることは理解されよう。
【0026】
図1は、本開示の特定の実施形態による例示的なエアロゾル供給システム/デバイス(eシガレット)1の概略斜視図である。電子タバコの様々な態様の相対位置に関する用語(例えば、上、下、上方、下方、頂部、底部などの用語)は、本明細書では、
図1に示した電子タバコの向きを参照して使用される(文脈上別のことを示す場合を除く)。しかしながら、これは単に説明をしやすくするためであり、使用時に電子タバコにとって必要となる何らかの向きがあることを示すことを意図したものではないことを理解されたい。
【0027】
eシガレット1は、2つの主要な構成要素、すなわちカートリッジ2及びコントロールユニット4を備える。コントロールユニット4とカートリッジ2は、使用時に互いに結合される。
【0028】
カートリッジ2とコントロールユニット4は、これらの間に機械的及び電気的接続を確立することによって結合される。機械的及び電気的接続が確立される特定の態様は、本明細書で説明する原理には第一義的に重要なものではなく、従来の技法に従って、例えば、必要に応じて2つの部分間の電気的接続を確立するための適切に構成された電気接点/電極を有する、ねじ式、バヨネット式、ラッチ式、又は摩擦嵌め式の機械的固定具に基づいて確立することができる。例えば、
図1に示したカートリッジ2の場合、このカートリッジ2は、吸い口端部6及びインターフェース端部8を備える。カートリッジ2は、カートリッジとコントロールユニットとの間で解放可能な機械的係合を提供するように、カートリッジ2のインターフェース端部8において結合構成体(図示せず)によってコントロールユニット4に結合される。コントロールユニットとカートリッジとの間の電気的接続は、カートリッジ2の底部の電気接点/電極10とコントロールユニット4の対応する接点ピン/電極11との対によって確立される。上述したように、電気的接続が確立される特定の態様は、本明細書で説明する原理にとって重要ではない。特定の実施形態によれば、コントロールユニット4は、カートリッジ2をコントロールユニット4に解放可能に結合するようにカートリッジ2と協働して係合するように構成されたインターフェースを含むカートリッジ受入セクションを備えてもよい。このようにして、コントロールユニット4からの電力は、カートリッジ2から電極10を経由してカートリッジに供給することができる。
【0029】
電子タバコの特定のサイズ及び形状、及びこれを作るための材料は、本明細書で説明する原理には第一義的に重要なものではなく、別の実施態様では異なっていてもよいことを理解されたい。すなわち、本明細書で説明する原理は、異なるサイズ、形状、及び/又は材料を有する電子タバコにも同様に採用することができる。
【0030】
本開示の特定の実施形態によるコントロールユニット4は、その機能及び一般的な構築技法の点で概して従来型であってもよい。いくつかの実施形態では、コントロールユニットは、カートリッジ2のインターフェース端部10を受け入れるためのレセプタクルを画定するレセプタクル壁を含むプラスチック製の外側ハウジングを備えてもよい。
【0031】
コントロールユニット4は、電子タバコ1に動作電力を供給するためのバッテリーなどの電源、電子タバコの動作を制御し監視するための制御回路、ユーザ入力ボタン、及び充電ポートをさらに備える。
【0032】
いくつかの実施形態におけるバッテリーは再充電可能とすることができ、従来型のもの、例えば、電子タバコ、及び比較的短い期間にわたって比較的高い電流の供給を必要とする他の用途において通常使用される種類のものとすることができる。電源/バッテリーは、充電ポートを介して再充電することができ、この充電ポートは、例えば、USBコネクタを備えてもよい。
【0033】
入力ボタンは、例えば、エアロゾル生成を開始するためにユーザ入力を検出するための入力デバイスと考えてもよく、ボタンが実装される特定の態様は重要でない。例えば、他の形態の機械式ボタン、又はタッチ感知ボタン(例えば、容量式又は光学式感知技法に基づく)が、他の実施態様で使用されてもよく、或いはボタンがなくてもよく、デバイスが、エアロゾル生成を開始するのにパフ検出器に依存してもよい。
【0034】
制御回路は、電子タバコを制御するための確立された技法に従って従来の動作機能を提供するように電子タバコの動作を制御するように適切に構成/プログラムされる。制御回路(プロセッサ回路)は、電子タバコの動作の様々な態様に関連する様々なサブユニット/回路要素を論理的に備えると考えることができる。例えば、異なる実施態様で提供される機能に応じて、制御回路は、ユーザ入力に応じて電源/バッテリーからカートリッジへの電力の供給を制御するための電力供給制御回路と、ユーザ入力に応答する構成設定(例えば、ユーザ定義の電力設定)を確立するためのユーザプログラミング回路と、本明細書で説明する原理及び電子タバコの従来の動作態様による機能に関連する他の機能ユニット/回路とを備えてもよい。制御回路の機能は、例えば、適切にプログラムされた1つ以上のプログラム可能コンピュータ(複数可)、及び/又は所望の機能を提供するように構成された適切に構成された1つ以上の特定用途向け集積回路(複数可)/回路/チップ(複数可)/チップセット(複数可)を使用して、様々な異なる方法で提供することができることを理解されたい。
【0035】
図2Aは、本開示の特定の実施形態による、
図1のコントロールユニットと共に使用するためのカートリッジの断面を概略的に示す。大まかに言えば、カートリッジは電極10を備え、各電極10は、電極10と加熱要素14との間で電力を伝達するように動作可能な関連するリード線12を備える。カートリッジ2は、加熱要素14を使用して霧化される流体を保持する際に使用するための多孔性部材16をさらに備えてもよい。
図2Aに示すように、多孔性部材16は、流体を保持するためのボウル部20を画定する凹部18を備えてもよい。いくつかの実施形態では、多孔性部材16は、セラミック材料であってよく、シリコーンを含んでもよい。
【0036】
図2Aに示す実施形態では、加熱要素14は、ボウル部20と各電極10との間に配置される。加熱要素14の構造に関して、いくつかの実施形態では、加熱要素14は、多孔性部材16の表面21に配置されてもよい。
図2A及び
図3に示す実施形態の場合、表面21は、ボウル部20に向かい合う多孔性部材の側に配置される。
【0037】
加熱要素から多孔性部材16への熱の伝達を改善するために、いくつかの実施形態では、加熱要素14は、金属ワイヤ又は他の何らかの導電性材料を含んでもよく、これは、多孔性部材16の表面21に蛇行経路23を形成してもよい。この構成では、加熱要素の第1の端部は、2本のリード線12のうちの一方に接続され、加熱要素の第1の端部とは反対側の第2の端部は、2本のリード線12のうちの他方に接続されてもよい。加熱要素14の正確な形状に関して、このような実施形態の加熱要素14は、多孔性部材16内のエアロゾル化可能材料/流体を効率的に気化するために多孔性部材16の表面に任意の必要な形状をとってよいことが理解されよう。その点で、いくつかの特定の実施形態によれば、加熱要素/気化器14は、多孔性部材16の表面上に、螺旋パターン、ラスタパターン、又はジグザグパターンを画定してもよい。
【0038】
カートリッジの吸い口端部6の方に配置されるのは、エアロゾル化される流体を貯蔵するための一次リザーバ24として機能するチャンバ22である。チャンバ22は、二次リザーバとして機能するボウル部20内に流体を満たすために、少なくとも1つの開口26を介してボウル部20に接続される。
【0039】
チャンバ22の中心を通って延在するのは、多孔性部材16から放出された流体から生成されたエアロゾルを受け入れるための出口チャネル28である。出口チャネル28は、生成されたエアロゾルをユーザが吸引することができるように、多孔性部材から、カートリッジの吸い口端部6に配置された吸い口30に向かって上方に延在する。
【0040】
カートリッジは、加熱要素14に空気を送達するために、カートリッジを通って延在する空気チャネル32を備える。
図2Aに示す実施形態では、空気チャネル32は、電極10の間に配置される。カートリッジ2をコントロールユニット4と接続すると、電子タバコ1は、カートリッジ2及び/又はコントロールユニット4に配置され、空気チャネル32と流体連通するさらなる空気チャネルを備えることになり、この空気チャネルは、周囲の空気が通って空気チャネル32に入ることができるように構成される。
【0041】
加熱要素14は、カートリッジ2のエアロゾル生成領域34に配置され、出口チャネル28及び空気チャネル32は、エアロゾル生成領域34に接続される。
【0042】
通常の使用では、カートリッジ2はコントロールユニット4に結合され、コントロールユニットは、電極10、11を介して電力をカートリッジ2に供給するように作動する。次いで、電力は接続リード線12を通って加熱要素14に達する。
【0043】
多孔性部材16の機能は、流体をボウル部20から加熱要素14に引き込むための毛細管ウィックとして機能することである。したがって、多孔性部材16を通って加熱要素14の方へ運ばれる流体は、加熱要素14から生成される熱によって気化される。生成された蒸気は表面21から放出され、そこで、エアロゾル生成領域34の空気チャネル32からの空気と混合してエアロゾルを形成する。多孔性部材16から気化された流体は、少なくとも1つの開口26を通ってチャンバ22から引き込まれるより多くの流体によって置き換えられる。
【0044】
ユーザがカートリッジ2の吸い口30で吸引する結果、空気は空気チャネル32に入る。この吸引により、空気は、カートリッジの空気チャネル32と位置が合うさらなる空気チャネルのいずれかを通って引かれる。流入する空気は、加熱要素14から生成されたエアロゾルと混合して、エアロゾル生成領域34の多孔性部材16の下側で凝縮エアロゾルを形成する。次いで、形成されたエアロゾルは、多孔性部材16の下側から、
図2Bに示すように、多孔性部材の2つの側面S3、S4(側面S3、S4は、
図2Aに示す側面S1、S2に対して直角)に配置された隙間38を通過し、次いで、出口チャネル28を通って吸い口30まで上方に流れる。
【0045】
したがって、上記は、エアロゾル供給システムのためのカートリッジ2について説明している。ここで、カートリッジ2は、カートリッジ2のエアロゾル生成領域34に配置された加熱要素/気化器14を備え、リザーバ20、24からの流体を加熱/気化して、エアロゾル生成領域34でエアロゾルを生成するためのものであり、カートリッジ2は、加熱要素/気化器14に空気を送達するためにカートリッジ2を通って延在する空気チャネル32をさらに備える。
【0046】
図4~
図7B、
図9A、及び
図9Bを参照すると、本開示の特定の実施形態によるエアロゾル供給システム1を形成するために、
図1に示されたコントロールユニット4と共に使用するための変更されたカートリッジ2又はその部分が概略的に示されている。
図4~
図7B、
図9A、及び
図9Bに示されるカートリッジ2又はその部分は、
図1~
図3に示されたカートリッジ2の構造に基づいており、両方の組の図に共通する参照符号によって示されるような類似の構成要素を備える。例えば、カートリッジ2は、少なくとも1つの電極10、加熱要素/気化器14、及び多孔性部材16を備える。
【0047】
図2A~
図3に示したカートリッジに対して、
図4~
図7B、
図9A、及び
図9Bに示すカートリッジ2の主要な変更点は、接続リード線12のすべて又は一部を置き換えるための封止部材100の導入である。この点に関して、接続リード線12は、使用中に電極10から外れる場合があり、これは、望ましくない短絡及びカートリッジ2の誤作動を引き起こす。さらなる潜在的な欠点としては、電極10に埋め込まれたものとして
図2A~
図2Bに示したそのような接続リード線12では、接続リード線12と電極10との間の隙間に流体/蒸気(例えば、エアロゾル化可能材料/生成されたエアロゾル)が侵入する場合があり、例えば、この隙間に生じる腐食、特に電解腐食の結果として、接続リード線12と電極10の間でのいかなる電力の伝送効率にも影響を与える場合がある。
【0048】
したがって、上記から、また、これから説明するように、
図4~
図7B、
図9A、及び
図9Bからの開示は、エアロゾル化可能材料から蒸気を生成するための気化器14と、電力を受け取るための電極10と、気化器14及び電極10に電気的に接続され、電極10と気化器14との間で電力を伝達するための封止部材100であって、耐熱性及び導電性の複合材料から少なくとも部分的に構成された封止部材100とを備えるエアロゾル供給システム1を事実上提供する。これから説明するように、この封止部材100の導入によって、接続リード線(複数可)12の使用によって引き起こされる前述の欠点を概念的には緩和することができる。
【0049】
上記のことを心に留めて、
図4~
図5Bから開示を始めると、封止部材100は、気化器14に近位の第1の部分102と、電極に近位の第2の部分104とを備えてもよい。例えば、
図4、
図5A、及び
図5Bに示すそのような実施形態によれば、第1の部分102は、事実上、気化器14と接触することができ、第2の部分104は電極10と接触することができる。第1の部分102及び第2の部分104はまたそれぞれ、電極10/気化器14と接触し、共に電極10の第1の端部の周りに延在してもよい。
図4、
図5A、及び
図5Bに示すように、封止部材100は、したがって、キャップの形態であってもよく、その場合、電極10はキャップの凹部内に配置され、キャップは電極の第1の端部10Aの周りに延在する。この構成、また、
図6A、
図6B、
図7A、
図7B、
図9A、及び
図9Bの実施形態(封止部材100が、同様に、電極のための1つの/少なくとも1つの場所を有する)では、封止部材100が、流体/蒸気(例えば、多孔性部材16からエアロゾル生成領域34に偶然漏れた任意のエアロゾル化可能材料及び生成されたエアロゾル)が電極10と接触することを防止する一方でまた、耐熱性及び導電性の複合材料によって電極10から気化器14に電力が伝達されることを確実にする。流体/蒸気が電極と接触することを防止すること又は低減することは、エアロゾル供給システム内の腐食、特に電解腐食を防止し、又はその程度を軽減し、以て、ユーザによって吸引されるエアロゾルに存在し得る金属のレベルを低減する。
【0050】
図4及び
図5A~
図5Bのキャップ並びに
図7A及び
図7Bの実施形態の構成は、コア構成要素110及びシェル構成要素112を有するが、本開示はこの点に関して限定するものではない。封止部材がキャップ又は任意の他の適切な形状であるこのような実施形態では、本部材は、例えば、単一の材料、すなわち本明細書で規定する耐熱導電性複合材料から形成することができる。
【0051】
封止部材100及び電極10の構成に留まって説明すると、本開示の様々な実施形態では、封止部材100は、電極の少なくとも第1の端部を囲むように構成された、電極10のための場所を備える。この場所は、封止部材100内に画定された、又は封止部材100によって画定された凹部又はカバーであってよく、封止部材100が電極10と係合する、及び/又は電極を包むことを可能にする。封止部材100が電極10と係合すること、又は電極を包むことは、電極10の望ましくないいかなる動き/滑りをも制限するだけでなく、電極10、特に電極の腐食性金属(複数可)との液体/蒸気の接触に対するバリアを提供する。
【0052】
上で論じたように、電極のための場所は、キャップの凹部によって提供されてもよい。例えば、
図5A及び
図5Bの実施形態では、その場所は、封止部材100の第2の部分104(シェル構成要素112)の凹部によって提供される。このようにして、封止部材100の第1の部分102(コア構成要素110)は、電極10の上に直接載り、第2の部分104は、電極10の少なくとも第1の端部10Aの周りに(例えば、同心円状に)延在する。第2の部分104は、第1の部分102の周りに(例えば、同心円状に)さらに延在し、その結果、本明細書で論じる「コア/シェル」構成となる。エアロゾル供給システムが多数又は複数の電極10を含む場合、(
図5A~
図5B及び
図6A~
図6Bの実施形態に示すように)対応する数の封止部材100が存在し得る。或いは、封止部材100は、(
図7A~
図7Bの実施形態及び
図9A~
図9Bの実施形態に示すように)存在する電極10の数に対して多数又は複数の場所を含んでもよい。後者については、以下でより詳細に論じる。
【0053】
図6A及び
図6Bに示す実施形態では、封止部材100は、気化器14に近位の第1の部分102と、エアロゾル供給システムの表面120、例えば、
図1のコントロールユニット(図示せず)と接続する、電極10の第2の端部10Bに隣り合うカートリッジの表面に近位の第2の部分104を含む。
図6A及び
図6Bの構成では、封止部材100は、以て、第1の端部10Aから第2の端部10Bまで電極10の長さに沿って延在し、電極10のためのジャケット又は外層の形態をとる。その点で、いくつかの実施形態によれば、封止部材100は、ジャケットの主要凹部である電極のための場所を備えることができる。
図6A~
図6Bに示すものなど、いくつかの特定の実施形態によれば、ジャケットは、気化器14と接触する第1の部分102と、電極10の第2の端部10Bに隣り合うエアロゾル供給システムの表面120と接触する、第1の部分102とは反対側の第2の部分104とを有する。このようにして、ジャケットは、電極10の周りに、及び電極10の長さに沿って延在し、例えば、エアロゾル生成領域34に存在する任意の流体/蒸気(例えば、エアロゾル化可能材料及び/又はエアロゾル)に対するシール又はバリアを形成する。
【0054】
しかしながら、本開示はこの構成に限定されるものではなく、当業者であれば、
図6A及び
図6Bに示す実施形態は、封止部材ジャケット100が電極10の周り(例えば、電極10の周囲)に延在し、電極10の長さに沿って部分的に延在するように変更されてもよいことを理解するであろう。このような変更では、封止部材100は、気化器14に近位の第1の部分102と、電極10の長さに沿った位置で電極10に隣り合うエアロゾル供給システムの表面120に近位の第2の部分104とを有してもよい。第2の部分104は、第1の部分102の反対側とすることができる。第2の部分104が係合する表面120は、例えば、電極10を保持するための要素など、エアロゾル供給システムの基部(例えば、カートリッジの基部)の要素によって形成されてもよい。そのような実施形態では、電極10は、エアロゾル供給システムの基部に共成形されてもよい。封止部材100が電極10の全長に沿っているか、部分的な長さに沿っているかにかかわらず、封止部材100は、電極の露出した表面(すなわち、腐食されやすい表面)の周りに保護コート又はラッパーを形成し、一方では、電力を気化器へ容易に伝達もする。
【0055】
電極の形状をさらに考えると、少なくともいくつかの実施形態(
図4~
図7B、
図9A、及び
図9Bに示すものなど)では、電極10は、第1の端部10Aと第2の端部10Bとの間で延在してもよく、第1の端部10Aは第2の端部10Bよりも気化器14の近位に配置され、そのいくつかの特定の実施形態による第1の端部10Aは、(例えば、電極が円筒形の場合、)第2の端部10Bとは反対側に配置されてもよい。このような形状によれば、これは、気化器14及び封止部材100に対して電極10を都合よく間隔を空けて配置することを可能にする。
【0056】
任意の表面特徴部(複数可)が電極10内又は電極10上に存在する場合、任意のそのような特徴部(複数可)は、封止部材100が電極10と係合するのを容易にすることができることが理解されよう。電極10のそのような表面特徴部(複数可)は、例えば、封止部材100内の電極のための場所(例えば凹部)の特徴部(複数可)に対応することができる。同様に、封止部材100は、電極10と係合するためにキー付き表面(図示せず)を備えてもよい。このような表面は、エアロゾル供給システムの組立中、例えばカートリッジ又はカトマイザの組立中、電極10がエアロゾル供給システム内で移動又は回転することを防止することができる。このように電極の動きを制限することで、電極の表面損傷を防ぎ、したがって電極の腐食しやすさを軽減することができる。キー付き表面の形状は、この効果を達成するために、任意の必要な形状を認識可能にとることができ、キー付き表面は、例えば、平坦な表面、城郭風表面を備えてもよく、又は電極10の対応する突起及び/又は凹部と係合するための凹部及び/又は突起を備えてもよい。
【0057】
本開示はまた、円筒形の電極に限定されない。いくつかの実施形態では、例えば、電極10の断面積は、その長さに沿って変化してもよく、例えば、電極10の断面積は、第2の端部10Bから第1の端部10Aの方向に減少してもよいし、その逆に第1の端部10Aから第2の端部10Bの方向に減少してもよい。断面積のそのようないかなる減少も、いくつかの実施形態によれば、漸進的な減少であってもよい。これに加えて、及び/又はこれに代えて、いくつかの実施形態によれば、電極10は、第1の断面積を備える電極10の第1のセクションを備え、第1の断面積よりも小さい第2の断面積を備える電極10の第2のセクションを備えるように構成されてもよく、ここで、第2のセクションは、第1のセクションが第1の端部10A及び/又は気化器14に対して配置されるよりも第1の端部10A及び/又は気化器14の近位に配置される。そのいくつかの特定の実施形態では、電極10は、第2の断面積よりも小さい第3の断面積を備える電極10の第3のセクションをさらに備えてもよく、ここで、第3のセクションは、第2のセクションが第1の端部10A及び/又は気化器14に対して配置されるよりも第1の端部10A及び/又は気化器14の近位に配置される。すべてのそのような実施形態では、そのそれぞれの部分102、104、及び構成要素110、112を含む封止部材100は、完全ではないにしても、電極10の断面積と実質的に類似の断面積を有するであろうことは理解されよう。上述したように、封止部材100は、電極10の露出した表面の周りに保護コート又はバリアを形成する。
【0058】
封止部材100の材料をより詳細に考えると、封止部材100の主要な機能の1つは、電極10と気化器14との間で電力を伝達する一方で、流体/蒸気が電極10と接触するのを防止することであることは上の議論から明らかである。そういうことであるので、封止部材100は、少なくとも部分的に耐熱性及び導電性の複合材料から構成される。「耐熱性」及び「導電性」という用語は、当技術分野において理解されている。本開示の文脈では、複合材料は、eシガレットなどのエアロゾル供給システムにおいて典型的に見られる温度で機能しその特性を維持するために、最小限の耐熱性を有する。複合材料はまた、電極から気化器に電力が伝達されるように、最小限の導電率を有する。
【0059】
様々な実施形態では、「耐熱性」という用語は、複合材料が約300℃までの温度に耐えることができることを意味する。複合材料がシリコーンゴムなどのシリコーンを含むとき、この材料は、例えば、有用な特性を維持しながら、-55~300℃の温度に耐えることが知られている。耐熱性は、JIS K 6229に従って、一定期間(例えば、5日間隔で30日間)にわたって、異なる温度(例えば、150、200、及び250℃)での材料の硬度、破断伸び、引張強度、及び/又は体積抵抗率を見ることによって測定することができる。硬度、破断伸び、引張強さ、体積抵抗率が対象の温度で統計的に有意な変化を示さない場合、その材料は耐熱性である。
【0060】
様々な実施形態では、「導電性」という用語は、複合材料が電力又は電荷を移動させることができることを意味する。適切な測定方法は、当技術分野において知られている。以下でより詳細に論じるように、複合材料は、材料が感圧性で、圧力を受けると体積又はサイズが減少することを意味する圧縮性であってもよい。様々な実施形態では、封止部材を圧縮すると、複合材料の電気抵抗が低下し、したがって、電気伝導度が上昇する。言い換えれば、複合材料は、圧縮されていないとXの抵抗を有し、圧縮されるとYの抵抗を有することがあり、X/Yは、封止部材が圧縮された度合い(例えば、10%)に等しい場合がある。複合材料は、固体又はゲルであってもよく、典型的には固体である。
【0061】
当技術分野で知られているように、複合材料は、物理的又は化学的特性が著しく異なる2つ以上の構成材料から作られた材料であり、組み合わされると、個々の構成要素とは異なる特性を有する材料となる。個々の構成要素は、出来た構造体の中で分離し別個のままであり、以て、複合材は、混合物や固溶体とは区別される。
【0062】
複合材は、当技術分野では「構成材料」と呼ばれる個々の材料からなる。2つの主要な構成材料の種類、マトリックス材料と補強材料がある。各タイプの少なくとも一部分が必要である。マトリックス材料は、それらの相対位置を維持することによって補強材料を取り囲んで支持し、一方、補強材料は、それらの特別な機械的及び物理的特性を与えてマトリックス特性を強化する。本開示の様々な実施形態では、複合材料(その中のマトリックス材料及び補強材料の両方を指す)は、少なくとも1つのセラミック、ポリマー、炭素繊維、金属、金属合金、又はそれらの組合せを含む。様々な実施形態では、複合材料は、シリコーンなどのセラミック、炭素繊維、又はそれらの組合せを含む。様々な実施形態では、複合材料は、金属、金属合金、又はそれらの組合せを含む。
【0063】
金属又は金属合金は、任意の形態、例えば、ワイヤ、フレーク、ビーズ、又は球等の形態であってもよく、めっきした材料、例えば、めっきした合金、又は金若しくは銀めっきした真鍮若しくはニッケルを含むめっきした金属であってもよい。金属又は金属合金は、さらに限定されず、当技術分野において知られている任意の金属又は導電性金属合金を含むことができる。金属又は金属合金は、例えば、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、鉄、すず、コバルト、カドミウム、亜鉛、クロム、マンガン、銅、アルミニウム、チタン、又はそれらの塩若しくは組合せを含んでもよい。金属合金は、例えば、ステンレス鋼又は真鍮等であってもよい。
【0064】
本開示の様々な実施形態では、複合材料は、セラミックマトリックス複合材、金属マトリックス複合材、又はそれらの組合せからなる群から選択される。セラミックマトリックス複合材は、典型的には、セラミックマトリックスに埋め込まれたセラミック繊維からなり、マトリックス及び繊維の両方は、任意のセラミック材料からなることができ、以て、炭素及び炭素繊維は、セラミック材料と考えることができる。セラミックマトリックス複合材には、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ムライト繊維が最もよく使用されている。炭素繊維の使用は、このような材料の導電率を上げる。
【0065】
このようなセラミックマトリックス複合体(CMC:ceramic matrix composite)材料は、当技術分野で知られた方法、例えば、気相からのマトリックス堆積、炭素及びケイ素含有ポリマーの熱分解によるマトリックス形成、化学反応によるマトリックス形成、焼結によるマトリックス形成、又は電気泳動によるマトリックス形成を使用して作ることができる。適切な材料は市販もされており、例えば、信越ポリマー株式会社のECシリーズは、シリコーンゴムに炭素及び他の導電性材料を加えて導電性を持たせた導電性シリコーンゴム製品である。例えば、シンエツEC-BLを使用することができる。シンエツEC-BLなどの複合材料は、
図5A及び
図5Bに示す実施形態には、コア構成要素110の材料として、又はコア構成要素110及びシェル構成要素112の両方の部品の材料として特に有益であり得る。
【0066】
金属マトリックス複合材は、少なくとも2つの構成部分を有する複合材料であり、一方は必然的に金属であり、他方の材料は、異なる金属、又はセラミック若しくは有機化合物(例えばポリマー)などの別の材料であってもよい。少なくとも3つの材料が存在する場合、それはハイブリッド複合材と呼ばれる。金属マトリックス複合材(又はMMC:metal matrix composite)は、金属マトリックスに補強材料を分散させることによって作られる。補強材の表面は、マトリックスとの化学反応を防ぐためにコーティングを施すことができる。金属マトリックス複合材の金属は、上で規定されている。
【0067】
本開示に適するMMCは、当技術分野で知られている方法を用いて作ることができる、又は市販されている。製造技法は、固相法、液相法、及び蒸着の3つのタイプに分けることができる。市販の材料としては、例えば、絶縁性シリコーンゴムのシートに埋め込まれた複数列の金属線(例えば、金めっき黄銅線)よりなるGB-Matrixタイプインターコネクタなどの、信越ポリマー株式会社製のインターコネクタ材料(シンエツインターコネクタ(Shin-Etsu Inter-Connector)(商標))が含まれる。シンエツGB-Matrixインターコネクタは、封止部材が電極と一体的に形成される、
図6A及び
図6Bの実施形態、又は本明細書で論じたその変更例において特に有用な場合がある。
【0068】
図8には、ゴムシート内のおおよその配線位置と共にシンエツGB-Matrixタイプインターコネクタ材料の概略図を示す。
図8の中の文字は、P=ピッチ又は長さ方向、PS=ピッチ又は幅方向、L=長さ、W=幅、及びT=厚さを指す。
【0069】
別の適切な市販の材料としては、信越ポリマー株式会社製のインターコネクタのMSタイプがある。このタイプのインターコネクタは、交互にしたシリコーンゴムの導電層と非導電層とからなる。導電層に導電性銀粒子を分散させることによって導電性が与えられる。このタイプの材料を
図9A及び
図9Bに概略的に示す。このような材料によれば、封止部材は、複合材料(例えば、本明細書で規定するような金属マトリックス複合材)の層と、異なる材料(例えば、シリコーンなどの電気絶縁材料)の層とを備えてもよい。特に、そのような封止部材は、
図9A及び
図9Bに示す実施形態に限定されず、例えば、
図5A及び
図5Bに示すようなキャップとして、又は
図6A及び
図6Bに示すようなジャケットとして使用されてもよい。
【0070】
様々な実施形態では、封止部材100は、金属マトリックス複合材、セラミックマトリックス複合材料、又はそれらの組合せから少なくとも部分的に構成される。この材料はシリコーンを含んでもよい。
【0071】
様々な実施形態では、複合材料は圧縮性であってもよい。「圧縮性」という用語は、圧力が加えられると、複合材料の体積が変化し得ることを意味する。圧縮のレベルは限定されず、典型的には、封止部材に使用される複合材料に依存する。様々な実施形態では、封止部材を圧縮すると、複合材料の体積は約1%~約40%減少する場合がある。様々な実施形態では、封止部材を圧縮すると、複合材料の体積が約1%~約25%、例えば約5%~約15%減少する場合がある。シール部材の圧縮は、複合材料の電気抵抗を下げることができるので、その主要機能の1つ、すなわち電気伝導を容易にすることができることに留意されたい。いかなる理論によっても拘束されることを望むものではないが、複合材料を圧縮することは、導電性材料(例えば、分散された導電性銀粒子)間の間隔を狭くして、安定した接続を実現することができる。
【0072】
本開示の様々な実施形態における複合材料の圧縮性によって、封止部材100の少なくとも第1の部分102を、気化器14によって圧縮された状態で保持することができる。第1の部分102は、例えば、気化器14(又は多孔性部材16)と電極10との間で圧縮された状態で保持することができる。封止部材100の第2の部分104もまた、例えば、気化器14と電極10との間、及び/又は気化器14とエアロゾル供給システムの表面120との間で、気化器14又は多孔性部材16(あれば)によって圧縮された状態で保持することができる。表面120の位置は限定されないが、多くの場合、電極10に隣り合う。
図6A及び
図6Bを参照して上で論じたように、表面120は、その長さに沿った位置で電極10に隣り合ってもよく、例えば、電極10を保持するための要素など、エアロゾル供給システムの基部の要素によって形成されていてもよい。
図5A及び
図5Bから、封止部材100の第2の部分104と係合するように構成された表面120は、気化器14に対して反対側にあり、電極10の基部を収める要素130によって形成されていることが分かる。このような実施形態では、電極10は、エアロゾル供給システムの基部と共成形されてもよい。
【0073】
このように圧縮することによって、封止部材100が、使用中に気化器14及び多孔性部材16(あれば)を少なくとも部分的に支持することがさらに可能になる。特に、封止部材100は、気化器14と電極10との間、及び/又は、気化器14とエアロゾル供給システムの表面120との間で圧縮された状態で保持することができる。表面120については上で論じたが、このような表面120は、例えば、電極10を保持し、任意選択で、
図1の制御部4(図示せず)とのインターフェースを形成する基部において、気化器から遠位の位置で電極10に隣り合って配置されてもよい。
【0074】
次に、
図5A及び
図5Bのコア/シェル構成に焦点を合わせると、封止部材100がコア構成要素110及びシェル構成要素112をどのように有しているかが分かる。これらの構成要素は、上で論じたようにキャップを形成するが、他の形態も本開示の範囲内である(例えば、ジャケット等)。様々な実施形態では、コア構成要素110とシェル構成要素112は、異なる材料から構成されてもよいが、少なくとも一方の構成要素は、本明細書で規定した耐熱導電性複合材料から少なくとも部分的に構成される。しかしながら、他方の構成要素は、電力が封止部材100によって電極10から気化器14に伝達されるならば、同一であることに限定されない。
【0075】
コア構成要素110は、例えば、耐熱導電性複合材料から(少なくとも部分的に)構成されてもよく、一方、シェル構成要素112は、電気絶縁材料(例えば、シリコーン材料)から構成される。この構成及び材料の選択は、製造コストを低減し、気化器と接触する導電性材料の面積を減少させるために使用することができる。後者は、ヒーターが短くなって加熱効果が低下することを回避するのに有益な場合がある。
【0076】
図4、
図5A、及び
図5Bを引き続き参照すると、コア構成要素110は、電極10の近位にあってもよい。コア構成要素110は、実際には、電極10、詳細にはその第1の端部10Aに接触することができる。コア構成要素110は、さらに、気化器14の近位にあり、気化器14と接触もすることができ、以て、気化器14と電極10との間の支持及び電気接触を提供する。
図4、
図5A、及び
図5Bの実施形態では、コア構成要素110は、気化器14と電極10との間に直に配置されているが、当業者であれば、コア構成要素110及び/又は気化器14との間にさらなる要素があってもよいことを理解するであろう。コア構成要素14が耐熱導電性複合材料から構成されている場合、これらの要素も、電極10から気化器14に電力が流れることができるようにするために導電性でなければならない。
【0077】
シェル構成要素112は、気化器14の近位、かつ電極10の近位にあってもよい。シェル構成要素112は、実際には、気化器14と接触し、かつ電極10と接触していてもよい。上で論じたように、シェル構成要素112は、電極10、詳細には電極10の第1の端部10Aを配置するための凹部を有してもよく、第1の端部10A及びコア構成要素110の周りに周方向に延在してもよい。
【0078】
既に論じたように、封止部材100は、気化器14及び/又は多孔性部材16(あれば)を(少なくとも部分的に又は完全に)支持するように構成されてもよい。そのようにして、いくつかの実施形態によれば、コア構成要素110は、気化器14と電極10との間で圧縮された状態で保持されるように構成することができる。これに代えて、又はこれに加えて、シェル構成要素112は、気化器14と電極10との間、及び/又は、気化器14とエアロゾル供給システムの表面120との間で圧縮された状態で保持されるように構成されてよく、この場合、表面は、
図4、
図5A、
図5B、
図6A、及び
図6Bを参照して上で論じたように電極に隣り合っていてもよい。
【0079】
コア-シェル構成の追加及び/又は代替の変形例が、
図7A及び
図7Bの実施形態によって示されている。この実施形態では、封止部材100は、
図5A及び
図5Bと同じコア構成要素110を有するが、シェル構成要素112は、カバー又はサドルの形態で両方の電極を覆うように延在し、各電極10に対しては1つのコア構成要素110がある。言い換えると、エアロゾル供給システムは、各電極10のために1つの封止部材100を有する代わりに、各電極10のための場所を有する単一の封止部材100を含む。封止部材のサドル形態により、封止部材が各電極の場所の間のブリッジを含むので、その表面積が増大し、これは、デバイス内の電解腐食の低減/防止を向上させることができる。コア構成要素110及びシェル構成要素112は、
図5A及び
図5Bに関して上で論じたのと同じ特徴を有することができ、特に、コア構成要素110は、本明細書で規定した複合材料から構成することができ、シェル構成要素112は、異なる材料、例えば、電気絶縁性材料から構成することができる。コア構成要素110/シェル構成要素112は、気化器14と電極10との間、及び/又は、気化器14とエアロゾル供給システムの表面120との間など、気化器14によってさらに圧縮された状態で保持することができる。
【0080】
図7A及び
図7Bに示した実施形態に留まって説明すると、封止部材100は、複数の電極10のための複数の場所150と、気化器の上流の空気チャネルを画定する空洞140とを有するカバー又はキャップとして説明することができる。複数の電極のための複数の場所は、電極が受け入れられる凹部として画定することができる。複数の電極10のための複数の場所150及び空洞140を有する封止部材100の代替構成が
図9A及び
図9Bに示されている。
【0081】
図7A、
図7B、
図9A、及び
図9Bの実施形態のそれぞれの封止部材100は、電極10を受け入れ、空気チャネル32を収めるように構成される。封止部材100の主要な目的が、電極10を覆い、流体/蒸気が、電極10の腐食しやすい金属と接触することを防止することであることを考えると、封止部材100の形状は、この機能性を達成するために、任意の必要な形態をとることができ、形状は、エアロゾル供給システムの電極10及び空気チャネル32の構成に依存することが理解されよう。
【0082】
いくつかの特定の実施形態によれば、電極10のための場所150は、(
図7Bの実施形態によって示されるように)実質的に円筒形の断面を有するシェル構成要素112と、電極10の第1の端部10Aの上に載る、各電極10と接触するコア構成要素110とを含んでもよい。封止部材100と電極10と気化器14との間で電気的接触をしやすくするために、各コア構成要素110は、シェル構成要素112の表面から突出してもよい。このコア構成要素110は、
図5A及び
図5Bの実施形態に関連して上で論じたように、気化器によって圧縮された状態で保持することができる。
図7A~
図7B、
図9A~
図9Bのエアロゾル供給システムにおける封止部材100の嵌合及び配向を助けるために、電極の場所150の間のブリッジ152は、封止部材100を定位置に保ち、エアロゾル供給システムの表面との接触を保つための1つ以上の側部154を有してもよい。側部154は、例えば、封止部材100が、エアロゾル供給システムの表面120、すなわち電極に隣り合う表面と、任意選択でデバイスの基部の表面と締りばめになることを確実にすることができる。側部154は、さらに、空気チャネル32の壁など、システムの一部に対して係合するように構成されてもよい。
【0083】
いくつかの他の実施形態によれば、封止部材100内の電極10のための場所150は、(
図9A及び
図9Bの実施形態によって示すように)実質的に円筒形の断面を有する凹部又は開口と、
図9Bの実施形態から明確に分かるように、例えば開口の端部を横切って凹部/開口の一端に配置された複合材料とを含んでもよい。このような実施形態の封止部材100は、複合材料の1つ又は複数の層と、異なる材料、例えば電気絶縁材料の1つ又は複数の層とを備える。この材料は、上で概ね論じている。絶縁層は、実質的に複合材料の層の間に配置され、以て、ヒートシンクとして機能し、過熱等からの複合材料へのいかなる損傷の危険性をも低減することができる。
【0084】
図7A及び
図7Bに示す実施形態と同様に、
図9A及び
図9Bの実施形態は、封止部材100を定位置に保ち、エアロゾル供給システム(又はカートリッジ)の表面との接触を保つための1つ以上の側部154を有する、電極の場所150の間のブリッジ152を含む。側部154はさらに、空気チャネル32の壁など、システムの一部に対して係合するように構成されてもよい。
【0085】
図7A~
図7B及び
図9A~
図9Bを引き続き参照すると、封止部材100は、電極10のための場所の間に空洞140をさらに備える。この空洞140により、気化器14の上流、及びエアロゾル生成領域34の上流の空気チャネルに空気が流れることができる。この空洞140を参照すると、バルブ142が導入されてもよい(バルブを有する実施形態を
図9A及び
図9Bに示す)。バルブ142の機能は、吸い口出口/エアロゾル出口30でのユーザの吸引時に空気がエアロゾル生成領域34を通過することを可能にするが、エアロゾル生成領域34内で生成されたエアロゾルが空気チャネルを通って空気入口に向かって逆流することを妨げることである。バルブ142はまた、エアロゾル化可能材料がエアロゾル供給システム(カートリッジ)の基部から漏れるのを防止するのを助けることができる。バルブ142は、特定のエアロゾル供給システムに適したサイズ及び動作特性の任意のタイプの一方向バルブであってもよい。いくつかの実施形態では、バルブ142は、リードバルブ又はダックビルバルブであってもよい。
【0086】
いくつかの実施形態によれば、
図9A及び
図9Bの実施形態によって示すように、バルブ142は、封止部材100と一体的に形成されてもよい。このように、封止部材100に対して個別の構成要素として形成されたバルブ142を有するのとは対照的に、エアロゾル供給システムの個別の構成要素全体の数を減少させることができる。
図9A及び
図9Bに示すように、いくつかの場合では、バルブ142は、封止部材の境界端部から離れる方向に内向きに細くなる1つ以上の部分を有してもよく、その結果、エアロゾル生成領域の内側で内向きに細くなる。このようにして、バルブ142自体に凝縮するいかなるエアロゾルも、バルブから滑り落ちることができ、それは、バルブが完全に動作可能なままであることをより確実にする。
【0087】
エアロゾル供給システムにおける個別の構成要素全体の数を減少させたいという望みに留まって説明すると、封止部材100は、エアロゾル供給システムの基部に共成形されてもよく、以て、液体又はエアロゾルが電極材料と接触するのを防ぐ一方で、気化器14と電極10との間の信頼性の高い電気接続を提供する。
図6A~
図6Bに示す実施形態の代替案として、封止部材は、電極と一体的に形成されてもよい(図示せず)。例えば、封止部材100によって、電力がコントロールユニット内の電源から気化器に伝達されるように、電極10は、部分的又は完全に封止部材100によって置き換えられてもよく、この場合、封止部材は、少なくとも部分的に、典型的には全体的に、本明細書で規定したような耐熱導電性複合材料で構成される。
【0088】
本明細書で説明した封止部材100及び電極10の物理的寸法に関して、これらの物理的寸法は、これらの構成要素の意図する用途及び/又は構成要素が配置される任意のエアロゾル供給システム1に依存し得ることは、完全に理解されよう。エアロゾル供給システム1が手持ち型又は携帯型であるように構成されるいくつかの実施形態によれば、そのまさに特定のいくつかの実施形態によれば、封止部材100及び/又は電極10は、以下の物理的寸法の任意の組合せを含んでもよい(
図5Bを参照)。
i)封止部材100の最大幅W1:2.5mm以下、及び/又は1.5mm~2.5mm
ii)コア構成要素110の最大幅W2:2.0mm未満、及び/又は0.5mm~2.0mm
iii)コア構成要素110の最大高さ:2.0mm未満、及び/又は0.5mm~2.0mm
【0089】
本明細書で説明し、
図4~
図7Bの実施形態に示したような封止部材100に関して、この封止部材100は、
図1~
図3を参照して説明したエアロゾル供給システム1の先に説明した他の特徴のいくつか、例えば、限定するものではないが、本明細書で説明したエアロゾル供給システム1を共に形成する多孔性部材16、気化器14、及び、
図1~
図3に示したカートリッジ2又はコントロールユニット4の他の特徴のいずれかと共に使用することができると(前述のように)考えられる。
【0090】
したがって、エアロゾル化可能材料から蒸気を生成するための気化器と、電力を受け取るための電極と、気化器及び電極に電気的に接続され、電極と気化器との間で電力を伝達するための封止部材であって、耐熱性及び導電性の複合材料から少なくとも部分的に構成された封止部材とを備えるエアロゾル供給システムを説明してきた。
【0091】
また、エアロゾル供給システムのためのカートリッジであって、エアロゾル供給システムが、カートリッジ及びコントロールユニットを備える、カートリッジも説明してきた。ここで、カートリッジは、エアロゾル化可能材料から蒸気を生成するための気化器と、コントロールユニットから電力を受け取るための電極と、気化器及び電極に電気的に接続され、電極と気化器との間で電力を伝達するための封止部材であって、耐熱性及び導電性の複合材料から少なくとも部分的に構成された封止部材とを備える。
【0092】
しかしながら、完全を期すため、本明細書で説明した封止部材100は、カートリッジ2及びコントロールユニット4を備えるエアロゾル供給システム1にだけ特別に使用する必要はないことに留意されたい。したがって、封止部材100は、エアロゾル化可能材料から蒸気を生成するように構成されたいかなるエアロゾル供給システム1にも概念的には使用することができる。
【0093】
また、本明細書で説明した封止部材100に関して、電極10の数に応じて、必要に応じて1つ以上の封止部材100が提供されてもよいことが理解されよう。したがって、主として単一の封止部材100の動作を参照して説明してきたが、(
図4、
図5A、
図5B、
図6A、及び
図6Bにおいて気付くように)実際には、設けられた各電極10に対して1つの封止部材が存在するなど、必要に応じて2つ以上の封止部材100が使用されてもよいことは理解されよう。その点でも、純粋にいかなる疑義が生じるのも避けるために、2つ以上の封止部材100が設けられる場合、複数の封止部材100は、封止部材100の特定の用途に応じて、単一の気化器14にすべて電気的に接続してもよいし、及び/又は各電極10に対する別々の気化器14に電気的に接続してもよい。その点で、また、
図4、
図5A、
図5B、
図6A、及び
図6Bに示した実施形態を参照すると、いくつかの特定の実施形態によれば、エアロゾル化可能材料から蒸気を生成するための気化器14と、電力を受け取るための複数の電極10と、複数の封止部材100であって、各封止部材100が、電極10のそれぞれ1つと気化器14との間で電力を伝達するために、気化器14及び電極10のそれぞれ1つに電気的に接続され、各封止部材100が、耐熱性及び導電性の複合材料から少なくとも部分的に構成される、複数の封止部材100とを備えるエアロゾル供給システム1を提供することができる。
【0094】
様々な問題に対処し、技術を進歩させるために、本開示は、例示によって、特許請求する発明(複数可)を実施することができる様々な実施形態を示す。本開示の利点及び特徴は、実施形態の単なる代表例であり、すべての実施形態を網羅するものでもなければ、他の実施形態を排除するものでもない。これらの実施形態は、特許請求する発明(複数可)の理解と教示を助けるためだけに提示されている。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって規定されるように本開示に対して限定するものと考えるべきではなく、或いは特許請求の範囲に対する等価物に対して制限するものと考えるべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく他の実施形態を利用し、変形を施すことができることを理解されたい。様々な実施形態は、本明細書で詳細に説明されたもの以外の、開示された要素、構成要素、特徴、部品、ステップ、手段などの様々な組合せを適切に含んでもよく、それらのみから構成されてもよく、或いは実質的にそれらから構成されてもよい。したがって、従属請求項の特徴は、特許請求の範囲に明示的に記載された以外の組合せで、独立請求項の特徴と組み合わされてもよいことは理解されよう。本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性のある他の発明を含むことができる。
【0095】
例えば、本開示は、カートリッジ/エアロゾル供給システム内の「液体」又は「流体」を参照して説明されてきたが、この液体又は流体は、任意のエアロゾル化可能材料と置き換えてもよいことが理解されよう。同様に、エアロゾル化可能材料が使用される場合、いくつかの実施形態では、このエアロゾル化可能材料は、液体又は流体を含んでもよいことが理解されよう。
【0096】
さらに、本開示は、カートリッジ/エアロゾル供給システム内にあるヒーター/加熱要素を参照して説明されてきたが、いくつかの実施形態によれば、この加熱要素は、気化器又は他のいくつかのエアロゾル生成構成要素と置き換えてもよいことが理解されよう。同様に、いくつかの実施形態によるこのようなエアロゾル生成構成要素は、特に、ヒーター又は加熱要素を備えてもよい。