(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】内部蒸気配送システム
(51)【国際特許分類】
C25B 1/042 20210101AFI20241120BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20241120BHJP
C25B 9/67 20210101ALI20241120BHJP
C25B 15/023 20210101ALI20241120BHJP
【FI】
C25B1/042
C25B9/00 A
C25B9/67
C25B15/023
(21)【出願番号】P 2023513397
(86)(22)【出願日】2023-01-27
(86)【国際出願番号】 IB2023050737
(87)【国際公開番号】W WO2023144775
(87)【国際公開日】2023-08-03
【審査請求日】2023-04-12
(32)【優先日】2022-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2023-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514116578
【氏名又は名称】ブルーム エネルギー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベル,シャノン
(72)【発明者】
【氏名】タ,アンディ
(72)【発明者】
【氏名】マックリンティック,コリー
(72)【発明者】
【氏名】ブルーア ,アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ルナ,ジュリオ
(72)【発明者】
【氏名】スタントン ,マーク
(72)【発明者】
【氏名】サイードマネシュ,アリレザ
(72)【発明者】
【氏名】ラウファト,エーサン
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-191893(JP,A)
【文献】特開2021-134390(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113621977(CN,A)
【文献】特開2016-020517(JP,A)
【文献】特開2019-200985(JP,A)
【文献】国際公開第2020/208949(WO,A1)
【文献】特表2018-517233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25B 9/00
C25B 5/00
C25B 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の加熱器を使用して加熱される液体の水を受け取るように構成される電解セルのスタックと、
前記1つ以上の加熱器への前記液体の水の流量を制御するように構成される質量流量コントローラーと、
を備え
、
前記電解セルのスタックは、SOECシステムの始動時、停止時、又は前記SOECシステムが水素を生成していないとき、水素を受け取るように構成される、SOECシステム。
【請求項2】
前記1つ以上の加熱器は、直列に接続される複数の加熱器を含む、請求項1に記載のSOECシステム。
【請求項3】
前記1つ以上の加熱器は、並列に接続される複数の加熱器を含む、請求項1に記載のSOECシステム。
【請求項4】
前記1つ以上の加熱器は、循環加熱器を含む、請求項1に記載のSOECシステム。
【請求項5】
前記1つ以上の加熱器を出る蒸気の質量流量が、前記1つ以上の加熱器に入る液体の水の質量流量に等しい、請求項1に記載のSOECシステム。
【請求項6】
水素及び蒸気排気の流れが、前記スタックに戻るように再循環される、請求項1に記載のSOECシステム。
【請求項7】
前記水素及び蒸気排気の一部を蒸気再循環ブロワーに供給するスプリッターを更に備える、請求項6に記載のSOECシステム。
【請求項8】
前記電解セルのスタックは、前記SOECシステムが定常状態で動作しているとき、
前記水素の受取りを止めるように構成される、請求項1に記載のSOECシステム。
【請求項9】
前記電解セルのスタックは、前記SOECシステムが安全イベントを検出すると、
前記水素の受取りを止めるように構成される、請求項1に記載のSOECシステム。
【請求項10】
前記安全イベントは、圧力検出器又は熱検出器によって検出される、請求項
9に記載のSOECシステム。
【請求項11】
蒸気、
前記水素、及び加熱脱イオン水の組合せが再循環蒸気入口に供給される、請求項1に記載のSOECシステム。
【請求項12】
前記質量流量コントローラーは、別個の装置として又は統合された装置として流量弁及び水量計を備える、請求項1に記載のSOECシステム。
【請求項13】
電解セルのスタックにおいて、1つ以上の加熱器を使用して加熱される液体の水を受け取ることと、
質量流量コントローラーにおいて、前記1つ以上の加熱器への前記液体の水の流量を制御することと、
を含
み、
前記電解セルのスタックは、SOECシステムの始動時、停止時、又は前記SOECシステムが水素を生成していないとき、水素を受け取る、SOECシステムを動作させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、包括的には、固体酸化物型電解槽(SOEC)機械システム及びその内部蒸気配送に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池等の電気化学装置は、燃料中に貯蔵されたエネルギーを電気エネルギーに高効率で変換することができる。固体酸化物型燃料電池(SOFC)システム等の燃料電池システムでは、燃料電池のカソード側を酸化流が通過し、燃料電池のアノード側を燃料導管流が通過する。酸化流は、通常は空気であり、燃料流は、メタン、天然ガス、液化石油ガス(LPG)/プロパン、エタノール、又はメタノール等の炭化水素燃料であり得る。燃料電池は、負の電荷を帯びた酸素イオンをカソード流ストリームからアノード流ストリームに移送することが可能であり、ここで、イオンは、炭化水素分子中の遊離水素又は水素と結合して水蒸気を形成し、及び/又は一酸化炭素と結合して二酸化炭素を形成する。負電荷イオンからの過剰な電子は、アノードとカソードとの間で完成する電気回路を通って燃料電池のカソード側に戻り、その結果、回路を通る電流の流れが生じる。燃料電池システムは、複数のホットボックスを備えることができ、そのそれぞれが電気を発生させることができる。ホットボックスは、酸化性燃料を1つ以上の燃料スタックに提供する燃料導管流を含むことができ、そこでは、発電中に燃料が酸化される。
【0003】
SOFCは、水素及び酸素を生成するために電解槽として動作することができ、これは、固体酸化物型電解セル(SOEC)と呼ばれる。SOECは、ホットボックスに位置する。SOFCモードでは、酸素イオンがカソード側(空気)からアノード側(燃料)に移送され、その駆動力となるのは、電解質にわたる酸素の分圧の化学勾配である。SOECモードでは、セルの空気側に正電位が印加されると、酸素イオンが蒸気側から空気側に移送される。SOFCとSOECとの間でカソードとアノードとが逆転している(すなわち、SOFCカソードがSOECアノードとなり、SOFCアノードがSOECカソードとなる)ため、以降、SOFCカソード(SOECアノード)は空気電極と呼び、SOFCアノード(SOECカソード)は蒸気電極と呼ぶ場合がある。
【0004】
SOECモードの間、燃料流中の水が還元され(H2O+2e→O2-+H2)、H2ガス及びO2-イオンを形成し、O2-イオンは、固体電解質を通して移送された後、空気側において酸化され(O2-からO2)、分子状酸素を生成する。空気及び湿潤燃料(水素、改質天然ガス)を用いて動作するSOFCの開回路電圧は、0.9V~1V程度(含水量に応じる)であるため、SOECモードにおいて空気側電極に印加される正電圧により、セル電圧を、典型的な動作電圧である1.1V~1.45Vまで上昇させる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、関連技術の制限及び不都合点に起因する1つ以上の問題を実質的に排除する様々な蒸気使用及び安全システムに関する。
【0006】
本発明の実施形態は、循環加熱器への液体の水の流量を制御する質量流量コントローラーを備えるシステムを含み、測定及び制御が蒸気変換の前の液体の水に対して行われる、内部蒸気配送システム(internal steam delivery system)に関する。
【0007】
本発明の更なる特徴及び利点は、以下の説明において記載され、その説明から部分的に明らかになるか、又は本発明の実施によって習得することができる。本発明の目的及び他の利点は、特に、添付図面と合わせて記載の説明及び本件の特許請求の範囲に示される構造によって実現及び達成される。
【0008】
以上の一般的な記載及び以下の詳細な記載はいずれも、例示的かつ説明的なものであり、特許請求の範囲に係る本発明の更なる説明を与えることを意図するものであることが理解される。
【0009】
本発明の更なる理解をもたらすために含まれ、本明細書に援用されるとともに本明細書の一部をなす添付図面は、本発明の実施形態を例示するとともに、明細書と合わせて本発明の原理を説明する役目を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一例示の実施形態に係るSOECシステムのプロセスフロー図である。
【
図2】
図2は、本発明の別の例示の実施形態に係るSOECシステムのプロセスフロー図である。
【
図3】
図3は、本発明の別の例示の実施形態に係るSOECシステムのプロセスフロー図である。
【
図4】
図4は、本発明の別の例示の実施形態に係るSOECシステムのプロセスフロー図である。
【
図5】
図5は、本発明の一例示の実施形態に係る循環加熱器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して、種々の実施形態を詳細に説明する。可能な限り、同じ参照符号は、図面全体を通して同じ又は同様の部分を指すのに使用する。特定の例及び実施態様に対する参照は、例示目的でなされ、本発明の実施形態又は特許請求の範囲の範囲を制限することは意図していない。
【0012】
本明細書において、「約」1つの特定の値から及び/又は「約」別の特定の値までのように値及び範囲が表現され得る。そのような範囲が表現される場合の例として、1つの特定の値から及び/又は他の特定の値までというのが挙げられる。同様に、頭に「約」又は「実質的に」を使用することによって値が近似として表現される場合、特定の値は別の様相を形成することが理解されよう。いくつかの実施形態において、「約X」という値は、+/-1%X又は+/-5%Xという値を含み得る。範囲のそれぞれの端点は、他方の端点に関連しても、他方の端点とは無関係でも重要であることが更に理解されよう。これらの値及び範囲は例を提供するが、本発明の実施形態はそれに限定されない。
【0013】
当業者であれば、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本開示に様々な変更及び変形を行うことができることが明らかとなろう。本開示の趣旨及び要旨を組み込む開示の実施形態の変更、組合せ、部分組合せ、及び変形が当業者には想到され得ることから、本開示は、添付の特許請求の範囲内の全てのもの及びその均等物を含むように解釈すべきである。
【0014】
本実施形態の様々な実施形態において、蒸気は、SOECシステムにおいて再循環させることができる。
【0015】
図1は、本発明の一例示の実施形態に係るSOECシステム100である。
【0016】
図1に示されているように、SOECシステム100は、空気導管105と、空気ブロワー106と、再循環蒸気入口111と、ホットボックス150と、任意選択の水素導管130と、濃縮空気導管125と、蒸気及び水素生成物出口120と、スプリッター160と、蒸気再循環ブロワー170と、外部蒸気導管210と、入力水素導管225と、脱イオン水導管205と、加熱器206と、質量流量コントローラー207とを備える。
【0017】
一例示の構成及び動作によれば、外部蒸気導管210において入力される蒸気は、約100℃~110℃(例えば、105℃)の温度と、約1psigの圧力とを有することができる。様々な実施形態において、蒸気は、外部源からSOECシステム100に入力することができ、又は局所的に発生させることができる。いくつかの実施形態において、複数の蒸気入口は、外部蒸気及び/又は局所蒸気をそれぞれ受け取るように構成することができる。代替的又は付加的に、脱イオン水導管205等の水は、SOECシステム100に入力し、加熱器206によって加熱(例えば、気化)することができる。
【0018】
空気導管105における空気入力(例えば、周囲空気)は、局所大気圧における周囲温度とすることができ、その温度は約-20℃~+45℃であり得る。空気導管105からの空気は、空気ブロワー106において受け取られ、空気ブロワー106によって出力される空気は、圧縮の熱によって周囲よりも僅かに高い温度となる。例えば、空気ブロワー106によって出力される空気の温度は、20℃の周囲空気温度と比較して、1.0psigにおいて約30℃とすることができる。
【0019】
任意選択の水素導管130からの水素は、水素がSOECシステム100によって他の方法で生成されていないときの始動及び過渡のためにのみ必要とされ得る。例えば、定常状態において別個の水素給送流又は水素再循環蒸気は必要なくなる。この水素流の圧力は、現場構築時に決定される設計オプションであり、約5psig~3000psigとすることができる。温度は、貯蔵部に由来し得るため、周囲温度付近であり得る。
【0020】
空気導管105における空気入力及び任意選択の水素導管130における水素入力は、ホットボックス150に入力される。さらに、ホットボックス150は、ホットボックス150の蒸気及び水素生成物出口120において蒸気及び水素生成物H2-H2O-Gを出力する。ここで、Gは総量(Gross)を表す。ホットボックス出力H2-H2O-Gは、約100℃~180℃(例えば、130℃)の温度、約0.1psig~0.5psigの圧力を有することができる。
【0021】
加えて、ホットボックス出力H2-H2O-Gは、スプリッター160に入力され、蒸気再循環流RECH2OLP(ここで、LPは低圧(low pressure)を表す)と、純生成物H2-H2O-N(ここで、Nは純量(Net)を表す)(例えば、商業使用又は貯蔵のための出力)とに分割される。ここで、純生成物H2-H2O-Nは、約100℃~180℃(例えば、130℃)の温度、約0.1psig~0.5psigの圧力を有することができる。蒸気再循環流RECH2OLPは、約100℃~180℃(例えば、130℃)の温度、約0.1psig~0.5psigの圧力を有することができる。ホットボックス150は、濃縮空気導管125において、本質的に局所大気圧(例えば、0.5psig未満又は0.05psig未満)において約120℃~300℃の温度を有し得る濃縮空気を更に出力することができる。
【0022】
蒸気再循環流RECH2OLPは、蒸気再循環ブロワー170に入力される。結果として生じる再循環蒸気REC-STMは、約100℃~180℃(例えば、140℃)の温度、約0.5psig~1.5psig(例えば、約1psig)の圧力を有することができ、再循環蒸気入口111においてホットボックス150に入力される。追加の蒸気又は熱を、ホットボックス150の空気排気熱(例えば、約280℃)を取り込む更なる蒸気再循環出口(図示せず)によって再循環蒸気入口111に供給することができる。いくつかの実施形態において、再循環水素供給物は、再循環蒸気とともに含まれない場合がある。
【0023】
図1から理解することができるように、外部蒸気導管210における流入蒸気温度(例えば、105℃)は、内部蒸気発生を伴うSOEC構成と比較して低くてもよい。複数の再循環ループは、再循環蒸気出口(図示せず)からの内部蒸気発生及び蒸気導管210からの外部蒸気発生の双方を使用するSOECシステムに対して構成することができる。換言すれば、再循環蒸気入口111は、外部蒸気導管210からの蒸気及び/又は再循環蒸気を受け取るように構成される。
【0024】
SOECシステム100は、外部蒸気導管210及び加熱された脱イオン水導管205を利用する。脱イオン水導管205の脱イオン水は、加熱器206によって加熱することができる。質量流量コントローラー207は、1つ以上の加熱器206の上流に位置し、1つ以上の加熱器への液体の水の流量を制御するように構成される。1つ以上の加熱器206を出る蒸気の質量流量は、1つ以上の加熱器206に入る液体の水の質量流量に等しい。水素は、入力水素導管225によって供給される。外部蒸気210、入力水素導管225、及び加熱脱イオン水導管205のそれぞれは、
図1に示されているように、蒸気再循環ブロワー170の下流の再循環ループ上に供給される。結果として生じる水素及び蒸気生成物は、再循環蒸気入口111において入力される。
【0025】
質量流量コントローラー207は、別個の装置又は統合された装置としての比例(又は流量)弁及び水量計等の1つ以上の装置によって得ることができる。
【0026】
図2は、本発明の別の例示の実施形態に係るSOECシステム200のプロセスフロー図である。SOECシステム200の構成要素は、
図1に関連して記載したSOECシステム100の構成要素と同様であり、以下はシステム200及び100間の相違点を記載する。
【0027】
例示の実施形態において、SOECシステム200は、スプリッター160及び蒸気再循環ブロワー170並びにそれらの下流を利用しないことにより、入力蒸気導管及び再循環ループの使用を必要としない。代わりに、SOECシステム200は、水入口310において受け取った脱イオン水導管305の脱イオン水を加熱することにより、内部蒸気を発生させる。再循環蒸気出口121によって排出された蒸気は、気化器320によって更に加熱され、入力水素導管325の水素と混合される。結果として生じる水素及び蒸気生成物は、
図2に示されているように、再循環蒸気入口111において入力される。
【0028】
図3は、本発明の別の例示の実施形態に係るSOECシステム300のプロセスフロー図である。SOECシステム300の構成要素は、
図1に関連して記載したSOECシステム100の構成要素と同様であり、以下はシステム300及び100間の相違点を記載する。
【0029】
例示の実施形態において、SOECシステム300は、スプリッター160及び蒸気再循環ブロワー170並びにそれらの下流を利用しないことにより、入力蒸気導管及び再循環ループの使用を必要としない。代わりに、SOECシステム300は、水入口410において受け取った脱イオン水導管405の脱イオン水を加熱することにより、内部蒸気を発生させる。再循環蒸気出口121によって排出された蒸気は、気化器420によって更に加熱され、入力水素導管425の水素と混合される。いくつかの構成において、気化器420の出力においてデミスター(図示せず)が含まれる。いくつかの構成において、過剰な蒸気を、濃縮空気導管125に通気することができる。結果として生じる水素及び蒸気生成物は、
図3に示されているように、再循環蒸気入口111において入力される。
【0030】
図4は、本発明の更に別の例示の実施形態に係るSOECシステム400のプロセスフロー図である。SOECシステム400の構成要素は、
図1に関連して記載したSOECシステム100の構成要素と同様であり、以下はシステム400及び100間の相違点を記載する。
【0031】
例示の実施形態において、SOECシステム400は、スプリッター160及び蒸気再循環ブロワー170並びにそれらの下流を利用しないことにより、入力蒸気導管及び再循環ループの使用を必要としない。代わりに、SOECシステム400は、水入口510において受け取った脱イオン水導管505の脱イオン水を加熱することにより、内部蒸気を発生させる。再循環蒸気出口121によって排出された蒸気は、水監視システム520(例えば、水位トランスデューサーフロート型)によって調節される。水監視システム520によって放出され、任意選択で加熱及びミスト除去された蒸気は、入力水素導管525の水素と混合される。結果として生じる水素及び蒸気生成物は、
図4に示されているように、再循環蒸気入口111において入力される。
【0032】
システム100、200、300、400等の様々な実施形態において、SOECは、電気化学プロセスのために入力される媒体として蒸気を利用する。蒸気が容易に利用可能でない場合、蒸気は、脱イオン水等の現場供給される水から発生させる。蒸気を発生させるために水を使用することは、利点を有する。例えば、液体の水の質量流量を制御することは、蒸気であるその高温ガス状形態の質量流量を制御するよりも単純でコスト効果的である。
【0033】
例えば、電解槽への蒸気流量は、循環加熱器等の1つ以上の加熱器への液体の水の質量流量を変動させることによって制御される。様々な構成において、加熱器の出力、温度、及び/又は圧力は、液体の水が計算された速度(例えば、一定の速度)で状態を変化させること、及び1つ以上の加熱器を出る蒸気の質量流量が1つ以上の加熱器に入る液体の水の質量流量に等しいことを保証するように均衡される。
【0034】
既知のシステムにおいて、蒸気流量の調整可能な制御には、蒸気流量を正確に測定及び制御するために、コストの高い大きな構成要素が必要である。蒸気におけるスケールの堆積により、汚染が生じ、蒸気測定及び制御装置の早期の故障をもたらすおそれがある。従来の蒸気ボイラーは、水位、温度、及び圧力の制御を必要とする。液体の水に直接接触する加熱素子は、液位が適切に維持されないと、すぐに過熱し、故障するおそれがある。加熱素子が液体の水に直接接触するボイラーは、加熱素子上に蓄積するスケールによって経時的に故障する。
【0035】
様々な実施形態において、流量制御システム、装置、及び方法が提供される。システムは、質量流量コントローラー(例えば、207)を使用して、1つ以上の加熱器(例えば、循環加熱器)への液体の水の流量を制御する。蒸気変換の前の液体の水に対して測定及び制御がなされることから、スケール堆積によって汚染され得る下流のコストの高い測定又は制御装置は存在しない。加熱器の加熱素子へのエネルギーと循環加熱器を出る出口温度及び圧力とが、システムを均衡させることによって1つ以上の加熱器に出入りする質量が等しくなるように、監視及び制御される。
【0036】
実施形態は、従来の水ボイラーの代わりに循環加熱器を使用することが好ましい。循環加熱器は、アルミニウム又は真鍮等の中間媒体を使用して、隔離された流路に埋め込まれたプロセス媒体へと熱を放散及び伝達する。これにより、実施形態は、水なしで「ドライ」稼働し、蒸気を発生させることなく動作温度まで予熱することが可能になる。このタイプの加熱は、最初に水が存在することなく動作する従来のボイラーにおいて生じる加熱器の部材の焼損を防止する。水/蒸気が加熱素子に直接接触しないことから、これらの加熱素子には、スケール堆積が蓄積することによる故障のリスクがない。
【0037】
図5は、本発明の一例示の実施形態に係る循環加熱器500を示している。単一の加熱管、並びに直列及び/又は並列に構成される複数の加熱管等の、追加の循環加熱器又は他の加熱器構成が可能である。
【0038】
液体の水の質量流量の制御は、蒸気である高温ガス状形態で制御するよりも単純でコスト効果的である。したがって、実施形態は、複雑さ及びコストを低減し、従来のボイラー設計に関連する既知の故障リスクを排除する。
【0039】
本明細書に記載の様々な実施形態のそれぞれにおいて、安全イベントを検出するために1つ以上の検出器を使用することができる。例えば、1つ以上の圧力検出器及び1つ以上の熱検出器を使用することができる。1つ以上の圧力検出器は、圧力不足(例えば、5PSI未満)及び圧力過剰を検出するために、入力水素導管(例えば、225、325、425、525)に沿って配置することができる。圧力検出器がトリップすると、システム(すなわち、ホットボックス150)は停止する。さらに、1つ以上の熱検出器は、過剰な熱(例えば、230℃超)を検出するために、ホットボックスのキャビネット内に配置することができる。キャビネットの換気は、例えば、濃縮空気ブロワー126によって提供及び維持される。熱検出器がトリップすると、システム(すなわち、ホットボックス150)は停止する。
【0040】
SOECシステム(例えば、100、200、300、400)は、SOECシステムが定常状態で動作しているとき、又は安全イベントを検出すると、水素の受取りを止める。さらに、ホットボックス150内の電解セルのスタックは、SOECシステムの始動時、停止時、又はSOECシステムが水素を生成していない若しくは十分な水素を生成していないとき、水素を受け取るように構成することができる。
【0041】
SOECを動作させるために、水、空気、及び始動燃料を提供する機械システム及び構成要素が必要である。また、安全システムは、システムを火災並びに周囲及び付近の人々に対する他の損傷から保護する。SOECを必要な安全システムとともに動作させることにより、水素漏れ及び/又は他の故障に起因する危害及び危険を防止する。他のSOECシステムは、危険場所用装置、又は燃料部品の二重格納を含む場合がある。
【0042】
当業者であれば、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、本発明の内部蒸気配送システムにおいて、様々な変更及び変形を行うことができることが明らかとなろう。したがって、本発明は、本発明の変更及び変形が添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にあるならば、それらを包含することが意図される。