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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】過熱低減器を有する蒸気発生器
(51)【国際特許分類】
   F22G 5/12 20060101AFI20241120BHJP
   F22B 1/18 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
F22G5/12 B
F22B1/18 K
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023540985
(86)(22)【出願日】2021-08-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-02
(86)【国際出願番号】 EP2021072139
(87)【国際公開番号】W WO2022058091
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-05-02
(31)【優先権主張番号】20196335.2
(32)【優先日】2020-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】523093701
【氏名又は名称】ネム・エナジー・ベスローテン・フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】NEM ENERGY B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【氏名又は名称】池本 理絵
(72)【発明者】
【氏名】ロップ,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】グーセン,アントニウス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッテ,ピーター
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-051305(JP,A)
【文献】特開2013-181679(JP,A)
【文献】特開2017-223431(JP,A)
【文献】特開平11-351511(JP,A)
【文献】特開2008-032367(JP,A)
【文献】特開平06-313506(JP,A)
【文献】特開2015-117844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22G 5/00 - 5/20
F22B 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温ガス通路(02)を有する蒸気発生器(01)であって、
- 高温蒸気(18)の流れを送出するための過熱器出口部(17A)を有する過熱器(11A)と、
- 少なくとも4つの熱交換器(11B-11F)と、
- エコノマイザー(11G)と、
- 分配配管(21)と、
を含み、
前記過熱器(11A)、前記熱交換器(11B-11F)および前記エコノマイザー(11G)は、直列に接続されて、それぞれが、流体入口部(13)と、少なくとも1つの流体分配管(14)と、前記高温ガス通路(02)内に配置された複数の熱交換チューブ(15)と、少なくとも1つの集合管(16)と、流体出口部(17)とを含み、前記エコノマイザーの入口部(13G)が低温流体の供給源(24)に接続されており、
前記過熱器出口部(17A)と、前記過熱器(11A)と第1の熱交換器(11B)との間の接続部と、前記少なくとも4つの熱交換器(11B-11F)のうちの1つの熱交換器(11B-11E)とその次の熱交換器(11C-11F)との間の各接続部と、に少なくとも1つの過熱低減器(22)が配置され、
前記分配配管(21)は、前記低温流体の供給源(24)および前記エコノマイザーの出口部(17G)に接続され、かつ、個別の弁(23)を介して前記過熱低減器(22)のそれぞれに接続されており、
一連の過熱器(11A)および熱交換器(11B-11F)のうちの少なくとも1つは少なくとも2つの集合管(16.1、16.2)を含み、前記少なくとも2つの集合管(16.1、16.2)のそれぞれが過熱低減器(22.1、22.2)を有する、
ことを特徴とする、蒸気発生器(01)。
【請求項2】
主弁(26)が一連の熱交換器(11B-11F)の最後の熱交換器(11F)の流体入口部(13F)に配置され、および/または、
流体供給弁(25)が前記エコノマイザーの入口部(13G)に配置され、および/または、
流体バイパス弁(27)が前記低温流体の供給源(24)と前記分配配管(21)との間に配置されている、
請求項1に記載の蒸気発生器(01)。
【請求項3】
前記少なくとも2つの集合管(16.1、16.2)のそれぞれの過熱低減器(22.1、22.2)は、個別の流体分配弁(23.1、23.2)を介して前記分配配管(21)に接続されている、
請求項1または2に記載の蒸気発生器(01)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の蒸気発生器(01)を有する蒸気発生システムであって、
複数の流体弁(23、25-27)を制御することが可能な制御システムと、
前記流体出口部(17)および/または前記流体入口部のうちの少なくとも1つの温度を測定することが可能な温度測定システム、および/または、前記過熱低減器(22)のうちの少なくとも1つの前のおよび/または後の蒸気割合を測定することが可能な蒸気測定システムと、
をさらに含む、蒸気発生システム。
【請求項5】
前記温度測定システムは、前記流体出口部(17)および/または前記流体入口部のそれぞれの温度を測定することが可能であり、および/または、
前記蒸気測定システムは、前記過熱低減器(22)のそれぞれで蒸気割合を測定することが可能である、請求項4に記載の蒸気発生システム。
【請求項6】
前記制御システムは、前記複数の流体弁(23、25-27)を個別にまたはグループで段階的に制御することが可能であり、前記流体出口部(17)の温度に応じて、および/または、前記過熱低減器(22)での蒸気割合に応じて、制御することが可能である、
請求項4または5に記載の蒸気発生システム。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか1項に記載の蒸気発生システムを制御する方法であって、
a)流体出口部(17)において少なくとも温度および/または温度変化を測定するステップと、
b)前記温度/温度変化を予め定められた値と比較するステップと、
c)前記比較に応じて前記複数の流体弁(23、25-27)のうちの少なくとも1つを制御するステップと、
を含む、方法。
【請求項8】
請求項4からのいずれか1項に記載の蒸気発生システムを制御する方法又は請求項7に記載の方法であって、
a)過熱低減器(22)において少なくとも蒸気割合を測定するステップと、
b)前記蒸気割合を予め定められた値と比較するステップと、
c)前記比較に応じて前記複数の流体弁(23、25-27)のうちの少なくとも1つを制御するステップと、
を含む、方法。
【請求項9】
a1)すべての流体出口部(17)における温度および/または温度変化が測定され、および/または、
)すべての過熱低減器(22)における蒸気割合が測定される、
請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記蒸気割合についての予め定められた値が、質量流量の少なくとも60%であり、および/または、多くても90%である、
請求項8または9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気発生器および蒸気発生システムに関する。特に、本発明は、蒸気温度の急激な上昇に対する蒸気発生器の保護さらには蒸気タービンの保護、および高温ガスから蒸発媒体への効率的な熱伝達に関する。
【背景技術】
【0002】
発電プラントは、最も効率よく電気エネルギーを生成するために、ガスタービンを蒸気タービンと組み合わせることが多い。通常は、蒸気発生器を使用してガスタービンからの高温ガスを蒸気タービン用の高温蒸気に変換する。
【0003】
そのため、一般的な蒸気発生器は、まず、高温ガスの入口部から排ガスの出口部までの高温ガス通路を含む。高温ガス通路の内部には、排ガスの出口部側のエコノマイザーから始まり、一連のさらなる熱交換器を経て、高温ガスの入口側の過熱器まで、複数の熱交換器が配置されている。熱交換器内を流れる流体の温度は、熱交換器を経るごとに上昇し、エコノマイザーに冷水が供給されて、高温の蒸気が過熱器を出る。
【0004】
ガスタービンは、電気エネルギーの要求に対する素早い応答を可能にするため、ガスタービンを出る高温ガスの温度を急激に上昇させる。保護手段がなければ、この急激な温度変化により、特に蒸気タービンにおいて、過大な熱応力の危険性が生じる。
【0005】
したがって、一般的な解決策は、蒸気発生器から蒸気タービンへの接続配管内に過熱低減器(attemperators)を配置することである。過熱低減器は、過熱器の後の高温蒸気に水を注入するために使用される。これにより、蒸気タービンへと送られる高温蒸気の温度が低下する。
【0006】
過熱低減器の使用による蒸気タービンの保護は確立されているが、過熱低減器の(蒸気の流れに沿った)上流の蒸気発生器自体の保護はない。最高温度や最大の温度変化は、高温ガス通路における高温ガスの入口部に近い過熱器の出口部内部で生じる。これにより、過熱器から少なくとも過熱低減器の位置までの配管内では高い熱応力がさらに生じ、使用する設備の寸法が大きくなる。
【0007】
そのため、最後から2番目の熱交換器と最後の熱交換器としての過熱器との間に過熱低減器を配置するという、さらなる解決策が先行技術から知られている。前述の解決策と比較すると、過熱器自体、ひいては過熱器の出口部の配管の応力が低下する。
【0008】
しかし、過熱器の前に過熱低減器を配置する解決策は、過熱器の出口部における高温蒸気の温度の調節性が悪いという欠点を有する。これにより、発電プラントの起動時や発電出力の急激な上昇時に効率が低下する可能性がある。
【0009】
一般的なシステムのさらなる欠点は、過熱低減器の制御が非常に敏感であるという問題である。過熱低減器への冷水ラインの弁を開閉することによる蒸気温度の敏感な制御によるオーバーシュートを防ぐためには、一般に、運転中の、特にタービンの起動時の実際の温度/温度変化と、許容される温度/温度変化との間にさらなる差を保つ必要がある。
【0010】
その結果、過熱器の前に過熱低減器を配置しても、運転中の実際の温度/温度変化と許容される温度/温度変化との間に差が必要であることに関しては改善されない。
【0011】
先行技術から、すべての熱交換器を通って過熱器の出口部に向かう給水の移動時間が長いため、貫流蒸気発生器は温度変化に対する応答が遅くなり得ることも知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の課題は、高温蒸気の温度を良好に且つ迅速に調節することを可能とし、さらには、出口部側の過熱器の配管や蒸気タービンへの配管を急激な温度変化から保護することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題は、請求項1に記載の蒸気発生器によって解決される。その動作を可能にする蒸気発生システムは、請求項4に記載されている。蒸気発生システムを動作させるための発明的な方法は、請求項7に記載されている。さらなる請求項には有利な解決策が記載されている。
【0014】
一般的な種類の蒸気発生器は、高温ガスの入口部から排ガスの出口部までの高温ガス通路が内部を通るケーシングを有する。蒸気発生器は、複数の熱交換器を含み、これらは、少なくとも部分的に高温ガス通路内に配置される。
【0015】
複数の熱交換器の1つとしての過熱器は、高温ガスの入口部の近くに配置されている。過熱器は、さらなる設備への接続部、例えば、蒸気タービンへの接続部としての過熱器出口部を含み、高温蒸気の流れを送出する。過熱器は、過熱器入口部をさらに含む。
【0016】
さらに、高温ガス通路内には第1の熱交換器が配置されている。第1の熱交換器は、同様に第1の出口部および第1の入口部を含む。ここで、第1の出口部は、過熱器入口部に接続されている。
【0017】
次に、高温ガス通路内には第2の熱交換器が配置されている。第2の熱交換器は、同様に第2の出口部および第2の入口部を含む。ここで、第2の出口部は、第1の入口部に接続されている。
【0018】
次に、高温ガス通路内には第3の熱交換器が配置されている。第3の熱交換器は、同様に第3の出口部および第3の入口部を含む。ここで、第3の出口部は、第2の入口部に接続されている。
【0019】
次に、高温ガス通路内には第4の熱交換器が配置されている。第4の熱交換器は、同様に第4の出口部および第4の入口部を含む。ここで、第4の出口部は、第3の入口部に接続されている。
【0020】
さらなる実施形態では、第4の熱交換器の次に第5の熱交換器を直列に配置することも可能であり、あるいは、さらなる熱交換器を直列に配置することも可能であり、さらなる熱交換器は、それぞれ一連の熱交換器に接続される流体入口部および流体出口部を含む。
【0021】
高温ガス通路内の最後にはエコノマイザーが配置されている。エコノマイザーは、同様にエコノマイザー出口部およびエコノマイザー入口部を含む。ここで、エコノマイザー出口部は、最後の熱交換器の流体入口部に接続されている。エコノマイザー入口部は、低温流体の供給源に接続されている。一般的な解決策では、流体として水が使用されるが、蒸発させることができる他の流体も使用することも可能である。
【0022】
熱交換器および関連要素の番号付けは、この文脈では、熱交換器を通る流れの方向と反対に行われる。したがって、過熱器に接続する熱交換器は第1の熱交換器と名付けられ、エコノマイザーに接続する熱交換器は最後の熱交換器と名付けられている。
【0023】
過熱器と熱交換器とエコノマイザーとは、高温ガス通路内において、必ずしも互いに隣接して、および/または、この順序で配置される必要がないことに留意されたい。また、一般的な解決策による一連の熱交換器に沿って接続されない他の機能部または他の熱交換器を、高温ガス通路内に配置することや一般的な解決策の熱交換器と熱交換器との間に配置することも可能である。
【0024】
過熱器と熱交換器とエコノマイザーとは、必ずしも互いに直接接続されている必要がないことにさらに留意されたい。また、さらなる装置、例えば他の熱交換器または容器を、一般的な解決策による過熱器と熱交換器との間、熱交換器と熱交換器との間、および/または熱交換器とエコノマイザーとの間に配置することも可能である。しかし、好ましい解決策では、一連の熱交換器の最後の熱交換器がエコノマイザーに接続されるまで、過熱器が第1の熱交換器に直接接続され、第1の熱交換器が第2の熱交換器に直接接続され、他も同様に接続される。
【0025】
過熱器、熱交換器、およびエコノマイザーのそれぞれは、さらなる熱交換器または蒸気発生器の別の部分に接続された流体入口部を含む。運転中、温度の低い流体、例えば水および/または蒸気が、流体入口部に供給される。流体入口部は、1つまたは複数の分配管に接続されて流体の流れを異なる管に分配する。過熱器、熱交換器、およびエコノマイザーのそれぞれは、それぞれがそれぞれの分配管の1つに接続された複数の熱交換チューブをさらに含む。複数の熱交換チューブは、少なくとも部分的に、特に完全に、高温ガス通路内に配置される。運転中、高温ガスの流れが高温ガス通路に沿って熱交換器を通ると、高温ガスから、熱交換チューブ内の流体、例えば水/蒸気へと熱が伝達される。複数の熱交換チューブのそれぞれは集合管に接続されており、過熱器、熱交換器、およびエコノマイザーのそれぞれは、熱交換チューブから高温流体を集めるために1つまたは複数の集合管を含む。集合管は、さらなる熱交換器または他の設備、例えば蒸気タービンへの接続部として機能する流体出口部に接続されている。
【0026】
蒸気発生器は、ある種の流体を分配するための分配配管をさらに含む。
【0027】
第1の熱交換器の第1の出口部から過熱器入口部に至る配管内には、第1の過熱低減器が配置される。第1の過熱低減器は、分配配管への接続部を含み、分配配管への接続部には、分配配管から第1の過熱低減器への流れを制御するための第1の流体分配弁が配置される。
【0028】
本発明の解決策のための蒸気発生器の制御の安定性を向上させるために、さらなる過熱低減器が熱交換器に設けられる。
【0029】
そのため、第2の熱交換器の第2の出口部から第1の熱交換器の第1の入口部に至る配管内には、第2の過熱低減器が配置される。第2の過熱低減器も分配配管への接続部を含み、分配配管への接続部には、分配配管から第2の過熱低減器への流れを制御するための第2の流体分配弁が配置される。
【0030】
さらに、第3の出口部から第2の入口部に至る配管内には、第3の過熱低減器が配置される。第3の過熱低減器も分配配管への接続部を含み、分配配管への接続部には、分配配管から第3の過熱低減器への流れを制御するための第3の流体分配弁が配置される。
【0031】
次に、第4の出力部から第3の入力部に至る配管内には、第4の過熱低減器が配置される。第4の過熱低減器も分配配管への接続部を含み、分配配管への接続部には、分配配管から第4の過熱低減器への流れを制御するための第4の流体分配弁が配置される。
【0032】
第4の熱交換器とエコノマイザーとの間にさらなる熱交換器が配置される場合、一連の熱交換器における、ある熱交換器から次の熱交換器への接続部のそれぞれに、さらなる過熱低減器を配置することが可能である。この実施形態においては、さらなる過熱低減器から分配配管への接続部に個別の流体分配弁を配置することがさらに有利である。
【0033】
本発明の解決策では、過熱低減器に流体を供給することが必要である。そのため、分配配管は、エコノマイザー出口部に接続されている。分配配管を通る温度および流量を制御可能なように、分配配管から低温流体の供給源へのさらなる接続部が利用可能である。これにより、温かいが蒸発していない流体、例えば温水を、異なる過熱低減器に供給して、有利な効率を達成しながら温度の有益な制御を可能にすることができる。
【0034】
過熱低減器のそれぞれは1つまたは複数の流体ノズルを含み、冷却流体、例えば水を、過熱低減器を通って流れる蒸気に、例えばある熱交換器から一連の熱交換器内の次の熱交換器または過熱器への接続部に導入する。流体ノズル自体は、過熱低減器のための冷却流体供給部として分配配管に接続される。分配配管から流体ノズルへの冷却流体の流れは、それぞれの流体分配弁を使用することによって制御することができる。
【0035】
その結果、蒸発区域に余分な流体を追加することで蒸気発生量が増加し、移動時間が短縮され、応答速度が向上する。また、過熱低減器の流体は沸騰環境下で追加され、したがって、流体温度は実質的に一定であるので、エクセルギー損失を増加させることはない。
【0036】
好ましい実施形態では、エコノマイザーの前の最後の熱交換器の入口部とエコノマイザー出口部との間に主弁が配置される。これにより、最後の熱交換器への流体の流れを制御することができる。
【0037】
さらなる特定の解決策では、流体供給弁がエコノマイザー入口部またはエコノマイザー出口部に配置される。これにより、エコノマイザーを通る流体の流れを制御することができる。
【0038】
エコノマイザーを通る流体の流れを阻止する必要がある場合やエコノマイザーを通る流体の流れが最後の熱交換器および分配配管に供給するのに十分でない場合には、エコノマイザーに対するバイパスを使用することができる。バイパスを通る流れを制御できるようにするため、有利な解決策では、分配配管から低温流体の供給源への接続部内に流体バイパス弁が配置される。
【0039】
過熱器の出部部における蒸気温度を有利に制御できるようにするため、好ましい解決策では、主過熱低減器が過熱器出口部に配置される。この過熱低減器もまた分配配管に接続され、この接続部内に過熱低減器分配弁が配置される。これにより、特に蒸気タービンの起動時に、蒸気温度を正確に制御することができる。
【0040】
熱交換器間の配管、特に過熱器出口部の配管を保護するため、熱交換器の少なくとも2つの集合管に、および/または、好ましくは、過熱器内に過熱低減器を配置することが有利である。特に、熱交換器および過熱器のそれぞれの既存の集合管に過熱低減器を配置することが有利である。
【0041】
集合管に過熱低減器を配置すると、熱交換器および過熱器の出口部における高温流体、例えば蒸気の温度を、熱入力の変化に対して迅速に応答させて、有益に制御することが可能である。さらに、急激な温度変化に対して流体出口ラインを保護することができる。その結果、特に寿命の延長を期待することができ、最良の場合には、蒸気発生器の起動の制限を省くことができる。
【0042】
集合管に過熱低減器を設ける解決策は、冷却の解決策を実装する手間と熱応力に対する保護との間の最良の妥協点である。
【0043】
ここで、過熱低減器のそれぞれを分配配管に接続する必要があり、1つの熱交換器と過熱器のすべての過熱低減器を1つの流体分配弁に接続し、1つの熱交換器と過熱器の過熱低減器のすべてへの冷却流体の流れを同時に制御することが可能である。
【0044】
先の第1の具現化に対して、2つ以上の流体分配弁が使用されると有利である。この場合、流体分配弁のそれぞれは、少なくとも1つの過熱低減器への冷却流体の流れを制御するために使用される。第2の方法では、集合管のそれぞれの出口部における蒸気の温度を別々に制御することが可能になる。
【0045】
以下において、「流体弁(fluid valve)」は、蒸気発生システムにおいて実際に実装される前記の弁、すなわち、
- 最後の熱交換器の流体入口部にある主弁(メインバルブ)
- エコノマイザー入口部にある流体供給弁
- 分配配管の上流端にある流体バイパス弁
- 各過熱低減器と分配配管との間に配置された流体分配弁
のうちの1つを意味し、「複数の流体弁(fluid valves)」はそれらの弁のうちの少なくとも2つを意味する。
【0046】
複数の流体弁を使用することの1つの利点として、単純なオン・オフ弁を使用することができることがあり、この場合、開かれる流体弁の数は、運転中、高温蒸気の温度に応じて変化する。
【0047】
熱交換器内の最高温度は、高温ガス入口部の上流側(蒸気発生器を通る高温ガスの流れに関して)で予測され得る。したがって、集合管内に少なくとも2つの過熱低減器を配置することは、過熱器で使用される場合に、特に過熱低減器を高温ガス入口部に配置する場合に有利である。
【0048】
本発明の蒸気発生器により、上述の説明による本発明の蒸気発生器を含む本発明の蒸気発生システムが可能になる。ここで、蒸気発生システムは、制御システムを含むことが必要である。制御システムは、複数の流体弁に接続されて各流体弁の開放位置を制御する。
【0049】
制御システムを用いて蒸気発生システムの好ましい運転を可能にするために、特に異なる熱交換器および過熱器に対して、蒸気発生器の異なる流体弁を別々に制御することができれば、有利である。
【0050】
さらに、複数の流体弁のうちの異なる流体弁を互いに独立して同時にグループで制御することができれば有利である。
【0051】
最適化された制御を可能にするために、制御システムが、分配配管からそれぞれの過熱低減器への流体の流れの強さが必要性に対応するように、流体弁のうちの少なくともいくつかを段階的に制御することができればさらに有利である。
【0052】
蒸気発生システムを制御するためには、蒸気発生器の状態に関する2種類の情報を使用することができることが好ましい。
【0053】
第1の実施形態において、蒸気発生システムは、温度センサを含む温度測定システムをさらに含む。温度測定システムは、温度センサを用いて、少なくとも、熱交換器および過熱器のうちの1つを出る高温蒸気の温度、または流体出口部における配管の温度を測定することができる。
【0054】
温度測定システムは、熱交換器および過熱器の流体出口部における流体の実際の温度を測定できる必要がある。例えば、流体出口部内に温度センサが利用され得る。しかし、その代わりに、流体出口部の温度、つまり、チューブ自体の温度を測定することで十分であり得る。そして、流体出口部内の高温蒸気の温度も計算することができるであろう。
【0055】
異なる流体弁の制御を改善できるようにするため、好ましい実施形態は、少なくとも1つのさらなる温度センサを含む。これは、第1の温度センサに加えて、第2の温度センサを設けることであり得、この温度センサは、第2の熱交換器の第2の出口部など、第2の過熱低減器の前または後の蒸気および/または配管の温度を測定することができる。
【0056】
第3の温度センサは、第3の過熱低減器の前または後の蒸気および/または配管の温度を測定できることが好ましい。
【0057】
同じことが、さらなる熱交換器および過熱器にも当てはまり、他の過熱低減器における温度を分析するためにさらなる温度センサを使用することが好ましい。
【0058】
異なる過熱低減器におけるいくつかの温度を測定できる温度測定システムを用いることで、本制御システムは、それぞれの過熱低減器における異なる温度に応じて異なる流体弁を個別に制御することが可能になる。
【0059】
本発明の蒸気発生システムの第2の実施形態では、蒸気測定システムが必要である。ここで、蒸気測定システムは、複数の過熱低減器のうちの1つの前および/または後の配管内の流体の少なくとも1つの蒸気割合(share of vapor)を測定することが可能である必要がある。
【0060】
まず、蒸気割合として流体の流れの中の蒸気量または液体の水の量が使用されるのであれば、それ以上に適切なことはない。次に、体積に対する割合、または質量に対する割合を測定することも可能である。
【0061】
しかし、質量流量中の蒸気の量を蒸気割合として定義することが好ましい。
【0062】
分配配管から第1の過熱低減器への質量流量と、過熱低減器を通る質量流量とが分かれば、過熱低減器の反対側での蒸気割合を計算することができる(蒸気割合の測定部が上流に配置されていれば、下流側についても求めることができ、その逆も同様である)。
【0063】
温度の測定と同様に、蒸気測定システムが、さらなる過熱低減器での蒸気を測定することができれば有利である。
【0064】
異なる過熱低減器における蒸気割合を測定できる蒸気測定システムを用いることで、本制御システムは、各過熱低減器における蒸気割合に応じて異なる流体弁を個別に制御することができる。
【0065】
第3の実施形態では、蒸気発生システムは、温度測定システムを有する第1の実施形態と蒸気測定システムを有する第2の実施形態とを組み合わせたものである。ここで、蒸気発生システムは、制御システムにより、複数の過熱低減器において測定された温度それぞれの温度変化に応じて、および、複数の過熱低減器において分析された蒸気割合に応じて複数の流体弁を制御することを可能にする。
【0066】
前述したような新しい蒸気発生システムにより、蒸気発生システムを制御するための新しい発明的な方法が可能になる。使用する測定システムに応じて、異なる実施態様が可能である。
【0067】
温度測定システムを有する蒸気発生システムでは、第1のステップにおいて、熱交換器の流体出口部における実際の温度を測定する必要がある。すでに説明したように、これは配管自体の温度であってもよいし、配管内の流体の温度であってもよい。第1の場合、流体の温度を推定することが可能であり、第2の場合、配管の温度を推定することが可能であろう。
【0068】
さらに、実際の温度変化を測定することも可能である。
【0069】
第2のステップにおいて、実際の温度を予め定められた値と比較する必要がある。
【0070】
第3のステップにおいては、少なくとも1つの流体弁が、実際の温度/温度変化と予め定められた値との比較結果に応じて制御される。ここでは、少なくとも1つの流体弁を開閉することが少なくとも可能である。
【0071】
流体弁を段階的に開くこと、および/または、複数の流体弁を開閉することが可能であることが好ましい。
【0072】
制御システムは、測定された実際の温度または温度変化を予め定められた値と比較し、その結果に応じて、主に実際の温度または実際の温度変化が予め定められた値を超えた場合に、制御システムは、複数の流体弁のうちの少なくとも1つの流体弁を制御することができる。
【0073】
第1の明白な解決策では、予め定められた値は許容最高温度であり得る。実際の温度が許容最高温度を超えた場合に流体分配弁を開くと、蒸気に冷却流体が導入されて、流体および配管の温度が低下する。
【0074】
熱交換器および過熱器の出口部において流体(蒸気、温水)に冷却流体、例えば水を導入することは、特定の状況下でのみ、特に温度が高すぎる、または特に温度の上昇が速すぎるおそれがある場合でのみ必要であるということもあり得る。
【0075】
さらなる実施形態においては、最大温度変化を予め定められた値として使用することができる。主温度の上昇が最大温度変化を超えた場合に、少なくとも1つの流体分配弁が開かれる。これにより、蒸気および配管のさらなる温度上昇が抑制され、さらには止まることになる。
【0076】
また、両方の制限を組み合わせて使用することで、許容できない温度または許容できない温度に達する危険性を分析することができる。
【0077】
温度測定システムからの入力を用いて、制御システムは、蒸気発生システムおよびそれに続く設備を過熱または速すぎる熱上昇から保護するために必要な対応を計算することができる必要がある。したがって、制御システムは、流体弁に接続されている必要がある。予め定められた値を超えた場合、制御システムは、それに従って流体弁のうちの1つまたは複数を開くことができる。
【0078】
少なくとも1つの流体弁を開かせるための予め定められた値として、最高温度を使用することができる。許容される最大温度変化を予め定められた値として使用することも可能である。
【0079】
さらに、実際の温度変化に応じた最高温度として予め定められた値を定義することが可能である。最高温度を温度変化に応じて予め定義することは、例えば、温度変化が小さい場合は最高温度がより高く、温度変化が大きい場合は最高温度がより低くなるように定義することであり得る。
【0080】
さらに、予め定められた値として実際の温度に応じた最大温度変化を使用することも可能である。この場合、例えば、より低い温度ではより大きな最大温度変化を許容し、より高い温度ではより小さな最大温度変化を許容することができる。その結果、危険でない温度範囲では発電出力をより速く増大させることに伴うより速い温度変化が許容され得、温度が関連する材料の限界に達した場合には、保護的により小さな温度変化が適用される。
【0081】
好ましいケースでは、流体出口部における流体の温度および/または流体出口部の温度は、設備を保護するため、予め定められた値を超えた場合に制御システムをトリガーし(作動させ)、さらには流体弁を開くことに関連する。
【0082】
予め定められた値として最大温度変化を使用する場合、実際の温度変化が使用され、実際の温度だけが使用されるわけではないことは明らかである。
【0083】
また、1つの固定された予め定められた値だけでなく、その代わりに、特性曲線を予め定められた値として使用することも可能である。特性曲線は、温度変化に応じて値を変化させる、予め定められた最高温度とすることはできる。この場合、特性曲線は、予め定義されている。その結果、制御システムは、実際の温度変化に応じて異なる予め定められた値をもたらす特性曲線を使用することになる。
【0084】
逆に、温度に応じて値を変化させる、予め定められた最大温度変化を有する特性曲線を定義することも可能である。これにより、実際の温度に応じた最大温度変化を有する制御システムのための比較対象としての予め定められた値が得られる。
【0085】
蒸気発生システムのさらなる有利な制御を可能にするために、温度/温度変化と予め定められた値との比較だけでなく、実際の温度および実際の温度変化と許容プロセス条件との間の差がさらに考慮される。したがって、実際の温度および実際の温度変化と予め定められた値との間の差が計算されることが有利である。
【0086】
さらに有利なステップでは、実際の温度について傾向分析を行うことが可能である。したがって、実際の温度をある期間記録する必要がある。過去の温度と現在の温度のこのデータを用いて、予測温度を計算することができる。これにより、実際の温度と予め定められた値との比較だけでなく、予測温度との比較、さらには予測温度と予め定められたとの比較も可能となる。また、差を求めることもできる。この情報を用いて、流体弁をさらに予測駆動させることもできる。
【0087】
有利な方法では、すべての熱交換器および過熱器におけるすべての流体出口部での温度/温度変化を測定することができる蒸気発生システムが使用される。これにより、すべての実際の温度/温度変化をそれぞれの予め定められた値と比較し、それぞれの比較に応じてそれぞれの流体弁を制御することも、それぞれの過熱低減器以外に対する比較に応じて流体弁を制御することも可能になる。
【0088】
さらなるステップでは、現在の状況と許容可能な状況との間の差に応じて流体分配弁が開かれる。したがって、もしその差が利用可能であれば、計算された差に応じて、複数の流体分配弁のうちのいくつかの流体弁を開くことがさらに有利である。ここで、「開かれる流体弁」は、さらなる規則に従って選択することができる。
【0089】
流体弁がオン・オフ状態だけではない場合、蒸気発生器の保護が改善され、および/または、効率が向上する可能性がある。有利な解決策において、少なくとも1つの流体分配弁は、例えば、実際の温度または温度変化と予め定められた値との間の差に応じて段階的に開くことができる。同様に、動作させる流体弁は、さらなる規則に従って選択することもできる。
【0090】
もちろん、複数の流体弁を独立して段階的に開くという、両方の選択肢を有する制御システムを実現することも可能である。
【0091】
さらなる温度センサを用いた好ましい解決策は、蒸気発生器システムを運転するためのさらに有利な方法を可能にする。この場合、第1のステップでは、少なくとも1つまたは複数のさらなる温度を測定することが必要である。これは、過熱器の流体出口部における主温度センサの主温度、または第1の熱交換器の第1の流体出口部における第1の温度センサの第1の温度、または第2の熱交換器の第2の流体出口部における第2の温度センサの第2の温度、などであってよい。さらに、主温度変化、第1の温度変化、および第2の温度変化(など)が測定されてもよい。
【0092】
複数の実際の温度を有するこの例では、次のステップにおいて、主温度/主温度変化、第1の温度/第1の温度変化、第2の温度/第2の温度変化(など)が、それぞれ主たる予め定められた値、第1の予め定められた値、第2の予め定められた値、第3の予め定められた値、第4の予め定められた値(など)と比較される必要がある。
【0093】
差を計算することにより、次のステップにおいて、求められた差に応じて、それぞれの流体分配弁を、および、好ましくは他の流体弁をも段階的に制御することができる。
【0094】
簡単な解決策においては、すべての流体弁が同時に制御(開閉)されることは明らかである。しかし、好ましい解決策において、制御システムは、異なる流体弁を個別に制御することができる。この場合、主流体弁、第1の流体分配弁、および第2の流体分配弁(および利用可能なその他の弁)を、それぞれの予め定められた値を超えたことに応じて、個別に制御することができれば有利である。
【0095】
蒸気発生システムの予測制御を可能にするために、有利な方法においては、温度および温度変化が、ある期間にわたって記録される。この場合、すべての過熱低減器の一部かまたは全部の温度を、一定期間にわたって記録することが有利である。
【0096】
この集められたデータを用いて傾向分析を行うことができ、将来の予想温度および将来の予想温度変化をそれぞれ計算することができる。
【0097】
次のステップでは、実際の温度だけでなく、実際の温度変化も測定する。これ以降、現在測定されている実際の温度および温度変化と、以前に予測された値とを比較することが可能である。
【0098】
さらに測定された温度/温度変化についても、同様の比較を行うことができることは明らかである。
【0099】
さらに有利な制御方法では、最後の実際の温度のそれぞれ、温度変化のそれぞれと、対応する以前に求められた予測値との間の差を計算することができる。
【0100】
次に、予測値と対応する予め定められた値とを比較することができる。
【0101】
さらに有利な制御方法では、予測値と対応する予め定められた値との間の差を計算することができる。
【0102】
その結果、比較に応じて、または、好ましくは、計算された差に応じて、いくつかの流体弁が開かれ、および/または、複数の流体弁が段階的に開かれる。これにより、蒸気温度の予測制御が可能となる。
【0103】
前記のような新しい蒸気発生システムにより、蒸気発生システムを制御する第2の発明的方法も可能になる。したがって、この場合も、先の説明のいずれかによる蒸気発生システムが必要である。これは、蒸気測定システムを含んでいる必要がある。この第2の方法はいくつかのステップを含む。
【0104】
蒸気測定システムを含む蒸気発生システムでは、第1のステップにおいて過熱低減器の前または後の配管を通って流れる流体の実際の蒸気割合を測定する必要がある。
【0105】
蒸気割合が過熱低減器の前で測定されるか後で測定されるかに関係なく、分配配管からこの過熱低減器への質量流量に関する知識を用いて、過熱低減器の他方の側の蒸気割合を十分な精度で計算することができるであろう。
【0106】
測定された温度を使用する場合と同様に、実際の蒸気割合と予め定められた値とを比較する必要がある。
【0107】
次のステップにおいて、この比較に応じて、制御システムは少なくとも1つの流体弁を制御することができる。
【0108】
予め定められた値は、許容される蒸気割合の最大値(最大許容蒸気割合)、または許容される蒸気割合の最小値(最小許容蒸気割合)とされ得る。あるいは、予め定められた値は、目標蒸気割合とされ得る。最大許容蒸気割合が設定されている場合、実際の蒸気割合が最大許容蒸気割合を超えると、流体分配弁が開弁(さらに開放)され得る。他方、蒸気割合が予め定められた最小許容蒸気割合よりも低い場合、流体分配弁は閉弁(さらに閉鎖)され得る。
【0109】
実際の蒸気割合と予め定められた値との間の差を求めることが有利である。
【0110】
特に、その差が分かれば、少なくとも1つの流体分配弁が、実際の蒸気割合と、それぞれの予め定められた値、例えば目標蒸気割合との間の求められた差に応じて、開かれることが有利である。
【0111】
さらなる過熱低減器における蒸気割合を測定できることが好ましい。すべての過熱低減器における蒸気割合を測定できれば特に有利である。
【0112】
流体弁の制御に関しては、温度測定システムを用いた方法と同じ有利な解決策が適用される。したがって、流体弁を段階的および/またはグループで開くことができれば、有利である。
【0113】
蒸気発生器およびそれに続く設備を十分に保護し、さらには蒸気発生器を利用可能な最高効率にするために、各熱交換器の蒸気割合に、予め定められた値を設定することはさらに有利である。
【0114】
ここで、過熱器を除き、予め定められた値が、それぞれの熱交換器の出口部において少なくとも60%の蒸気割合(次の過熱低減器の前の位置で測定される)を示す場合に、有利である。蒸気割合が少なくとも75%であれば、特に有利である。
【0115】
他方、過熱器以外の熱交換器の出口部における蒸気割合が100%に達しない場合、有利である。したがって、所定値は、90%以下の蒸気割合であることが有利である。所定値が85%以下の蒸気割合であれば、特に有利である。
【0116】
温度測定システムを含む蒸気発生システムを制御するための方法と同様に、これらの有利な特徴を、蒸気測定システムを含む蒸気発生システムを制御するための方法に適用することは、有益である。
【0117】
したがって、いくつかの過熱低減器における蒸気割合を測定することが有利である。すべての過熱低減器における蒸気割合を測定することが特に有利である。
【0118】
次に、いくつかのまたはすべての流体弁を、特に、いくつかのまたはすべての過熱低減器における蒸気割合に応じて段階的に制御することが有利である。
【0119】
同様に、ある動作をトリガーするために様々な予め定めれた値が使用され得る。予め定められた値は、定義された蒸気割合とすることができる。蒸気割合の変化を使用して流体弁を制御することも可能である。次に、実際の蒸気割合と予め定義された蒸気割合との間の差は、少なくとも1つの流体弁を動作させる必要があるかを判定するために使用することができる。また、傾向分析を使用することもできる。
【0120】
蒸気発生システムの予測制御を可能にするため、有利な方法においては、同様に、蒸気割合がある期間にわたって記録される。ここで、すべての過熱低減器における蒸気割合を一定期間にわたって記録することが有利である。
【0121】
温度について前に説明したのと同様に、同じことが蒸気割合について適用されることが有利である。したがって、集められたデータを用いて傾向分析を行うことができ、将来の予想蒸気割合を計算することができる。
【0122】
また、すべての過熱低減器における測定された蒸気割合を含むことが有利である。
【0123】
少なくとも1つの過熱低減器の前または後の配管内の蒸気割合が分かっており、少なくとも1つの熱交換器または蒸発器を通る質量流量が分かっていれば、蒸気発生器を通る質量流量を推定することが可能であろう。しかし、特に有利なのは、すべての過熱低減器において蒸気割合が分かっており、蒸発器への質量流量が分かっており、さらに、過熱低減器のそれぞれへの分配配管を通る質量流量が分かっていることである。そして、各熱交換器および過熱器における質量流量および蒸気割合の正確な測定は、制御システムが、熱損傷の危険性を低下させて高効率を達成するために見出すことができる流体弁の最適な設定を決定することを可能にすることができる。
【0124】
以下の図は、蒸気発生器における本発明の解決策を実施するための2つの異なる例を示している。
【図面の簡単な説明】
【0125】
図1】蒸気発生器を有する発電プラントの概略図である。
図2】冷却ノズルを有する第1のバージョンの過熱器を有する蒸気発生器の概略図である。
図3】冷却ノズルを有する第2のバージョンの過熱器を有する蒸気発生器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0126】
図1は、発電プラント07を概略的に示す図であり、発電プラント07は、ガスタービン09と、蒸気タービン08と、さらに本発明の主要部としての蒸気発生器01と、を有する。蒸気発生器01は、高温ガス通路02を含み、高圧ガス通路02は、高温ガス入口部側から排ガス出口部側まで蒸気発生器01内を通る。
【0127】
運転中、ガスタービン09は、発電機による電気エネルギーの生成を可能にしながら、蒸気発生器01の高温ガス入力部側に高温ガス流を供給する。高温ガス通路02を通過した後、高温であったガスは、温度が下がった状態で、排ガス出力部側で排ガスとして蒸気発生器01を出る。
【0128】
蒸気発生器01は、さらに複数の熱交換器11を含み、これらの熱交換器11は、少なくとも一部が高温ガス通路02内に配置されている。熱交換器11内では、蒸発流体、例えば水/蒸気が、それぞれの流体入口部13からそれぞれの流体出口部17へと、高温ガスとは概ね反対方向に流れて加熱され、高温ガスは冷却される。
【0129】
通常、上流側の高温ガス入口部側から始まる高温ガス通路に沿った最初の熱交換器は、いわゆる過熱器11Aである(図2も参照)。流体出口ライン12は、電気エネルギーをさらに生成することができるように蒸気タービン02に接続されている。
【0130】
発電プラント07の起動時、または発電プラント07によって供給される必要のある電力の急激な増加に伴い、ガスタービン09は高温ガスの流出量を非常に早く増大させる。これにより、過熱器11内の蒸気への熱入力が大きく増大する。これは、蒸気タービン08、および蒸気発生器01内の配管、例えば流体出口部17にも、ならびに蒸気発生器01から蒸気タービン08への配管にも高い熱応力をもたらす。
【0131】
次に、一般的な蒸気発生器において、流体は、温度の上昇を伴いながら、ある熱交換器から次の熱交換器へと流れる。しかし、蒸気発生器の設計において、蒸気割合は考慮されていない。
【0132】
複数の熱交換器11および過熱低減器22を有する本発明の蒸気発生器01の例が図2に概略的に示されている。
【0133】
まず、蒸気発生器01は、高温ガス通路02を有するケーシングを主要部として含む。高温ガス通路02は、入口開口部から延びており、高温ガス03は、入口開口部から高温ガス通路02に導入される。蒸気発生器01を通る間にガスは冷却され、排ガス04として出力部側で高温ガス通路02を出る。
【0134】
蒸気発生器は、複数の熱交換器11A-Gをさらに含む。それらは、この例においては互いに隣接して配置されているが、他の要素を間に挟むこともでき、または他の順序で配置されることもできる。
【0135】
ここで、高温ガス入口部に近い熱交換器は、いわゆる過熱器11Aである。過熱器11Aは、過熱器流体入口部13Aを含み、過熱器11Aの過熱器流体出口部17Aは、高温蒸気05の流れを送出し、蒸気タービン08に接続されている。
【0136】
過熱器11Aの隣には、第1の熱交換器11Bが配置されている。この第1の熱交換器11Bは、同様に第1の流体入口部13Bおよび第1の流体出口部17Bを含み、第1の出口部17Bは、過熱器入口部13Aに接続されている。
【0137】
同様に、第1の熱交換器11Bの隣には、第2の熱交換器11Cが配置されている。この第1の熱交換器11Bは、同様に第2の流体入力部13Cおよび第2の流体出力部17Cを含み、第2の出力部17Cは、第1の入力部13Bに接続されている。
【0138】
さらに第2の熱交換器11Cの隣には、第3の熱交換器11Dが配置されている。この第3の熱交換器11Dは、同様に第3の入口部13Dおよび第3の出口部17Dを含み、第3の出口部17D2は、第2の入力部13Cに接続されている。
【0139】
第3の熱交換器11Dのもう一つの隣には、第4の熱交換器11Eが配置されている。この第4の熱交換器11Eは、同様に第4の入口部13Eおよび第4の出口部17Eを含み、第4の出口部17Eは、第3の入口部13Dに接続されている。
【0140】
また、第4の熱交換器11Eの隣には、第5の熱交換器11Fが配置されている。この第5の熱交換器11Fは、同様に第5の入口部13Fおよび第5の出口部17Fを含み、第5の出力部17Fは、第4の入力部13Eに接続されている。
【0141】
高温ガス通路02内の列の最後として、エコノマイザー11Gが配置されている。このエコノマイザー11Gは、同様にエコノマイザー流体入口部13Gおよびエコノマイザー流体出口部17Gを含む。ここで、エコノマイザー出口部17Gは、第5の入口部13Fに接続されている。
【0142】
過熱器11A、熱交換器11B-11F、およびエコノマイザー11Gのそれぞれにより、高温ガス03からの熱を、過熱器11A、熱交換器11A-11F、およびエコノマイザー11Gのそれぞれを通る流体蒸気に伝達することができる。それぞれの流体入口部13には、温度が高くなく、蒸気割合が低い流体蒸気が供給される。熱が伝達された後、流体の流れは、より高い温度およびより高い蒸気割合で、それぞれの流体出口部17を出る。
【0143】
エコノマイザー入口部13Gは、低温流体の供給源24に接続されている。低温流体は、普通の低温水(冷水)である。エコノマイザー11Gを通る低温流体の流れを制御するため、低温流体の供給源24からエコノマイザー入口部13Gへの接続部に流体供給弁25が配置されている。
【0144】
運転中、低温流体の供給源24からの低温流体は、エコノマイザー11Gにおいて、高温ガス通路02を通って流れるガスの残りの熱を使用して、蒸発温度に近いがこれを超えない好ましい温度まで加熱される。その結果、高温であるが蒸発していない流体が、エコノマイザー出口部17Gでエコノマイザー11Gを出る。
【0145】
次の最後の熱交換器、すなわち、第5の熱交換器11Fに、すべての状況で十分な流体流量を最後の熱交換器の流体入口部13Fで供給するため、バイパスラインが、低温流体の供給源24と、エコノマイザー出口部17Gから最後の流体入口部13Fへの接続部とを接続している。バイパスを通る低温流体の流れを制御するため、流体バイパス弁27がさらに必要であることは明らかである。
【0146】
エコノマイザー11Gからの高温流体の流れ、および/または、バイパスから最後の熱交換器、すなわち、第5の熱交換器11Fへの低温流体の流れを制御することができるように、主流体弁26が最後の流体入口部13Fに配置されている。
【0147】
一連の熱交換器、すなわち、第5、第4、第3、第2、第1の熱交換器11F、11E、11D、11C、11B、さらには過熱器11Aにおいて、ある熱交換器11の流体出口部17から次の熱交換器11B-Fおよび過熱器11Aの流体入口部13への接続部には、過熱低減器22F、22D、22C、22Bが配置されている。各過熱低減器22を機能させることができるように、過熱低減器22のそれぞれには、蒸発していない流体の流れを各過熱低減器22に供給するための分配配管21が接続されている。
【0148】
この解決策において、分配配管21は、分配配管21内の流体が「蒸気のない」ことを保証するため、エコノマイザー出口部17Gと、バイパスを介して低温流体の供給源24とさらに接続されている。最後の熱交換器11Fの入口部に主弁26を配置することは、エコノマイザー11Aから分配配管21への流体の流れにも影響を与える。さらに、低温流体の供給源24からバイパスを通る分配配管21への流体の流れは、バイパス内の流体バイパス弁27によって制御される。
【0149】
蒸気発生器01を出る高温蒸気05の温度の急激な上昇から後続の設備を保護することができるように、主過熱低減器22Aが過熱器出口部17Aに配置されている。この過熱低減器22Aはまた、分配配管21に接続されており、分配配管21から主過熱低減器22Aへの流体の流れを制御するために流体分配弁23Aが配置されている。
【0150】
ある熱交換器11から次の熱交換器11B-Fおよび過熱器11Aに流れる流体/蒸気の温度を制御し、さらに、それぞれの熱交換器11B-F/過熱器11Aの入口部における蒸気割合を制御することができるように、それぞれの過熱低減器22B-Fから分配配管21へのそれぞれの接続部に流体分配弁23A、23B、23C、23D、23E、23Fを配置する必要がある。
【0151】
熱交換器/過熱器11において本発明を有利に実施するための例示的な解決策がさらに詳細に図3に示されている。ここでは、蒸気発生器01の関連部分のみが、その部分の高温ガス通路02と1つの熱交換器11の構成体とともに描かれている。
【0152】
熱交換器11B-11Fまたは過熱器11Aは、流体入口部13を有する配管を含み、流体入口部13は、前述の熱交換器(この図には示されていない)に接続されている。流体入口部13から2本の(例示的な)分配管14.1および14.2が分岐している。複数の熱交換器チューブ15が、それぞれ分配管14の1つに接続されている。熱交換チューブ18の他端には集合管16.1および16.2が配置され、これら集合管16は、次いで、流体出口部17に接続されている。
【0153】
運転中、温度の低い流体蒸気12が流体供給ライン13に供給される。この蒸気は分配管14を通って熱交換チューブ15に流入し、高温ガス通路02内の高温ガスから熱交換チューブ15内の流体蒸気に熱が伝達される。次いで、高温の流体蒸気は、集合管16で集められて流体出口部17に送られ、高温の流体蒸気18として熱交換器/過熱器11を出る。
【0154】
高温蒸気18の温度および蒸気割合を制御することができるように、過熱低減器22.1、22.2が配置される。したがって、この有利な解決策では、集合管16.1および16.2のそれぞれに過熱低減器22.1および22.2が配置されている。過熱低減器22には、分配配管21から冷却流体、例えば、水が供給される。過熱低減器22.1、22.2への各供給ライン内の冷却流体を制御できるように、流体分配弁23.1、23.2が配置されている。
【0155】
前述の解決策を広範に実施する際に、各伝熱チューブ15の端部に過熱低減器を配置することが可能であることに留意されたい。図面の説明に関し、11は、過熱器11A、熱交換器11B-11F、エコノマイザー11Gのいずれかを表すことに留意されたい(流体入口部13、流体出口部17も同様)。さらに、22は、任意の過熱低減器22A-22Bまたは22.1または22.2を表す(流体分配弁23も同様)。
【符号の説明】
【0156】
01 蒸気発生器
02 高温ガス通路
03 高温ガス
04 排ガス
05 高温蒸気出口
07 発電プラント
08 蒸気タービン
09 ガスタービン
11A 過熱器
11B~F 第1~第5の熱交換器
11G エコノマイザー
12 低温の流体
13、13A~G 入口部
14.1、14.2 分配管
15 熱交換チューブ
16.1、16.2 集合管
17、17A~G 出口部
18 高温の流体
21 分配配管
22、22.1、22.2、22A~F 過熱低減器
23、23.1、23.2、23A~F 流体分配弁
24 冷水供給源
25 水供給弁
26 主弁
27 水バイパス弁
図1
図2
図3