(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】全時空採掘過程における鉱山応力場のツインモデリング同化システム及び方法
(51)【国際特許分類】
E21C 41/16 20060101AFI20241120BHJP
G06T 17/05 20110101ALI20241120BHJP
【FI】
E21C41/16
G06T17/05
(21)【出願番号】P 2023570290
(86)(22)【出願日】2023-03-27
(86)【国際出願番号】 CN2023084076
(87)【国際公開番号】W WO2023185735
(87)【国際公開日】2023-10-05
【審査請求日】2023-11-13
(31)【優先権主張番号】202210312223.6
(32)【優先日】2022-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518139627
【氏名又は名称】中国▲鉱▼▲業▼大学
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100219117
【氏名又は名称】金 亨泰
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼威
(72)【発明者】
【氏名】魏▲則▼▲寧▼
(72)【発明者】
【氏名】▲馮▼英特
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼文▲曉▼
(72)【発明者】
【氏名】王文元
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111210359(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111862323(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0170090(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21C 41/16-41/24
G06T 17/05
G06Q 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステップ1において、初期の等比の3次元地質モデルを構築するステップと、ステップ2において、歴史等比の3次元地質モデルを構築するステップと、ステップ3において、掘削実況下の坑道周囲の石炭岩体の変化を高度且つリアルにシミュレーションしたトラステッドデジタルツインモデルを構築するステップと、を含み、
前記ステップ1は、
全縦坑の地質探査掘削穴の詳細資料に基づいて、掘削位置における石炭層と、特徴岩層頂部及び底部の3次元座標を含む縦坑の全地質情報を取得し、そして補間法を用いて石炭層と特徴岩層頂部及び底部の任意点の3次元座標を計算することと、
掘削資料及び地質報告データに基づいて石炭岩層の分布状況及び力学的性質情報を取得することと、
全縦坑の完成した全採掘区間と重要な坑道の配置状況、及び縦坑の予め設定した未採掘区間と重要な坑道の配置状況に基づいて、石炭層と特徴岩層の頂部及び底部の任意点の3次元座標を結合し、CADの二次開発ソフトウェアCASS10.1を利用して全採掘区間と重要な坑道の境界制御点の3次元座標を獲得することと、
縦坑の断層分布特徴、地面の起伏状況、縦坑の境界、石炭層と特徴岩層頂部及び底部の任意点の3次元座標、全採掘区間と重要な坑道の境界制御点の3次元座標に基づいて、FLAC3Dソフトウェアまたは3DECソフトウェアを利用して複雑な地形条件における全採掘区間と重要な坑道を含む縦坑の等比の3次元地質数値計算モデルを構築し、通常の方法に従ってモデルの異なる石炭層パラメータと岩層パラメータに値を割り当て、モデルに境界拘束を加え、モデルの自重に基づいて垂直方向における応力を加え、側圧係数に基づいて地質モデルに水平方向における応力を加えて地質モデルを変形させ、FLAC3Dソフトウェアまたは3DECソフトウェア引き続き利用して地質モデルを演算し、初期応力の平衡状態になるまで変形を完了させることと、
を含み、
前記ステップ2は、
歴史資料に基づいて全縦坑の完成した採掘区間と重要な坑道の施工順序を明確にし、FLAC3Dソフトウェアまたは3DECソフトウェアを利用して、ステップ1で構築された等比の3次元地質モデルに対して全縦坑の全採掘区間と重要な坑道の掘削作業をシミュレーションし、数値シミュレーションにおける採掘の交替順序と歴史の真実順序は同じであり、全縦坑の採掘過程における地中応力の時間に伴う進化規則を計算し、そして地質モデルの計算全過程においてモデル中のすべての重要地点の応力及び変位データを連続的に記録し、シミュレーションした掘削過程は現実における縦坑の採掘工事の現在の状態まで続いて、最終的な計算結果には、縦坑の歴史応力発展データ及び縦坑の現在の応力分布データが含まれていることと、
全縦坑の歴史資料と縦坑モデルにおける重要点のデータを比較し、具体的には、地中応力の監視点データ、鉱企業の監視部門が記録した縦坑の突出カード情報、石炭岩層移動観測データなどの歴史資料を取り寄せ、ステップ1で得られた等比の3次元地質モデルにおける一連の重要地点のシミュレーションデータと比較し、実際データを基準として、モデルのパラメータを修正してから、地質モデルの計算結果と歴史中に出現した石炭とガス突出事故の時間と重要な場所、および突出が起こった座標と突出タイプを一致させ、最終的な縦坑地中応力場の逆解析計算結果を得、計算結果に基づいて値を振り当てた後の地質モデル中の値振り当てパラメータを調整し、値を再振り当てた後の地質モデルを演算し、演算結果と縦坑の重要地点の歴史データを一致させ、最終的にステップ1の等比の3次元地質モデルを鉱山の運行歴史の自然法則と経験知識を反映できる鉱山歴史同化モデルに改善することと、
を含み、
前記ステップ3は、
ステップ2で構築した鉱山歴史同化モデルに基づいて、物理実体の現実的な地中応力環境状態に対してデジタル化した記述を行い、物理実体と忠実にマッピングされたトラステッドデジタルツインモデルを作成し、ヒューマン・コンピュータ・インタラクション画面を通じて物理実体のリアルタイムデータ、特に地中応力と岩表面変位量の変化状態値を継続的に追跡して入力することができ、掘削実況下の坑道周囲の石炭岩体の地中応力の大きさ、地中応力の分布、岩表面変位量の変化特徴を高度且つリアルに反映することと、
具体的には、スリーブコア応力解除法、ドリル掘削量法を用いて現場の地中応力実測を行い、採掘活動が行っていない地域を測定点として選択し、観測所にはリアルタイムで岩表面変位量を監視させ、実測データとトラステッドデジタルツインモデルにおける対応する位置のデータとを比較し、トラステッドデジタルツインモデルのパラメータを修正して再実行することにより、トラステッドデジタルツインモデルの計算による結果と一連の実測地点の地中応力及び変位量データが一致するようにすることで、今回のトラステッドデジタルツインモデルの計算結果は比較的正確な縦坑の地中応力場の逆解析結果であると認定し、同時に鉱山環境、坑道掘削状態情報、坑内センサデータを収集し、デジタル化処理してヒューマン・コンピュータ・インタラクション画面にアップロードし、リアルタイムでデジタルモデルにマッピングし、最終的に鉱山歴史同化モデルを本当の意味でのトラステッドデジタルツインモデルに転換することと、
を含む、
ことを特徴とする全時空採掘過程における鉱山応力場のツインモデリング同化方法。
【請求項2】
全時空採掘過程における鉱山応力場のツインモデリング同化システムを用い、前記全時空採掘過程における鉱山応力場のツインモデリング同化システムは、デジタルモデルユニット、物理モデルユニット及びヒューマン・コンピュータ・インタラクションユニットを含み、
ヒューマン・コンピュータ・インタラクションユニットはデジタルモデルユニットと物理モデルユニットの間のデータインタラクション及びデータ共有を実現し、双方向情報フローチャネルを構築することで、ツインシステムの物理実体と仮想モデルの一致性を保証し、虚実同期及びフィードバックモニタリングの機能を提供し、
デジタルモデルユニットは、まずソフトウェアモデリング技術を用いて鉱山企業の坑井建設資料に基づいて等比の3次元地質モデルを構築し、それから同化逆解析技術を用いて歴史データに基づいて地質モデルをトレーニングして鉱山歴史同化モデルを得て、最後にデジタルツイン技術を用いて実測した鉱山物理実体の状態パラメータを歴史同化モデルにマッピングしてトラステッドデジタルツインモデルを得、
物理モデルユニットは、縦坑区域の地層、縦坑の各採面坑道システムのデータを記載するために使用し、
ヒューマン・コンピュータ・インタラクションユニットは、情報データベースと、コマンドフローエディタと、シミュレーション監視画面とを含み、物理実体属性値、現場実測値、センサデータを含む、鉱山企業の坑井建設資料、履歴監視データ及びツインデータのそれぞれを情報データベースに入力し、その後コマンドフローを作成することによりデータの加工、処理、更新を実現し、最終的に検索と管理されるようにシミュレーション監視画面にフィードバックされる、
ことを特徴とする請求項1に記載の全時空採掘過程における鉱山応力場のツインモデリング同化方法。
【請求項3】
前記ステップ1において、全縦坑とは、採掘中に相互に影響を与える複数の採掘区間からなる1つの完全な区域を指し、区域の数は10以上であり、隣接する採掘区間間の最小水平距離は200m未満であり、特徴岩層とは採鉱過程において天板の移動、応力の進化に重要な役割を果たすことができる岩層を指し、当該岩層は一般的には比較的に大きい強度または比較的に大きい厚さを持ち、重要な坑道は一般的に石炭層内に位置する区間の空気戻りの水平坑道、区間輸送水平坑道、切開坑道を指し、完成した全採掘区間と重要な坑道とは、鉱山生産当初から現在までの全採掘区間と重要な坑道を指し、モデル設定に使用できる通常の方法は、組み込みコマンド、作成コマンドフローを通じてモデリングプロセスを完了することであり、値振り当てパラメータは主に体積弾性率、せん断弾性率、密度、引張強度、内部摩擦角、弾性係数、ポアソン比を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の全時空採掘過程における鉱山応力場のツインモデリング同化方法。
【請求項4】
ステップ2において、述べた重要地点とは、地中応力を測定する地点、動的災害が発生した歴史突出地点、石炭岩層移動観測地点などを指し、具体的には、関連するデータは主に鉱山企業の地質探査部門が整理した鉱区地質歴史資料、ファイル、及び通風部が整理した縦坑の突出カードから得られる、
ことを特徴とする請求項1に記載の全時空採掘過程における鉱山応力場のツインモデリング同化方法。
【請求項5】
ステップ3において、一連の実測地点は、採掘活動が行っていないシステム坑道、底板ガス抽気坑道、石炭坑道の掘削ヘッド、採取面の切開地点、作業面の対応地面岩層を指し、具体的には、応力解除法を用いて地中応力の大きさを測定し、ドリル掘削量法を用いて地中応力場の分布を測定し、観測所で地面岩の移動を監視する、
ことを特徴とする請求項1に記載の全時空採掘過程における鉱山応力場のツインモデリング同化方法。
【請求項6】
ステップ1で構築された初期等比の3次元地質モデルは、縦坑の真実な施工順序に基づいて現在の状態に至るまで「歴史過程を復刻」し、一連の重要地点のシミュレーションデータと歴史実測データを比較し、一連の実測地点のシミュレーションデータと現在の実測データを比較し、偏差係数を、
【数1】
とし、偏差係数が10%以内の場合、等比の3次元地質モデルの演算結果は実際と一致するとし、モデルの同化が完了し、さもないと等比の3次元地質モデルパラメータを修正して繰り返し実行し、計算結果が要求に合致するまで何度も繰り返す、
ことを特徴とする請求項1に記載の全時空採掘過程における鉱山応力場のツインモデリング同化方法。
【請求項7】
トラステッドデジタルツインデルのパラメータを修正することは、すなわち複製履歴データに基づいて絶えず修正された石炭岩体の力学パラメータ及び地中応力の大きさと方向、初期状態パラメータ群はステップ1で確定した後に保持することであり、
絶えず修正することには主に、等比の3次元地質モデルの小型簡略化数値モデルを構築し、小型簡略化数値モデルの掘削のシミュレーションを行い、等比の3次元地質モデルと同じ数値計算パラメータを採用し、内部凝集力、内部摩擦角、弾性係数及びポアソン比を含む小型簡略化数値モデルに基づいて掘削過程における応力分布規則及び周囲岩石の変形規則をシミュレーションし、小型簡略化数値モデルの力学パラメータを修正し、数値シミュレーション結果と現場実測規則は基本的に一致するようにする第1の過程と、第1の過程で確定された力学パラメータを用いて等比の3次元地質モデルに持ち込んで演算を行う第2の過程と、を含み、
前記第2の過程において、応力数値と既存環境の変化のため、応力分布規則及び周囲岩石の変形は小型簡略化数値モデルとずれがある可能性があり、その時にパラメータ修正を行い、等比の3次元地質モデルの力学分布規則と変形規則が現場実測と一致し、同化を完成させる、
ことを特徴とする請求項6に記載の全時空採掘過程における鉱山応力場のツインモデリング同化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全時空採掘過程における鉱山応力場のツインモデリング同化システム及び方法に関し、デジタルツインと同化逆解析技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
鉱山の立坑浅部の石炭資源の枯渇に伴い、エネルギー供給を保障するために、中国の鉱山採掘深さは持続的に増加している。例えば、中東部地域は10~25m/aの速度で深い箇所に向かって推進し、深さは800~1000mに達し、複数のキロメートル深い立坑が存在している。採掘深さの増加に伴い、地中応力も増加し続けている。研究によると、地中応力は炭鉱採掘などの地下工事の周囲の岩石の変形と破壊の根本的な駆動力であり、石炭とガス突出、山はねなどの災害を引き起こす最も主要な影響要素の一つである。地中応力が高く、変化が激しいほど、突出危険性が大きくなる。中国の突出炭層における地中応力主導型の突出事故は日増しに増加しており、鉱山の安全でかつ効率的な生産建設には不利である。
【0003】
石炭資源の採掘過程において、採掘応答は避けられないが、実際の生産過程における鉱山採掘の交代順序は初期地中応力場の変化、周囲の岩石中の応力集中分布状況の変化を招き、山はね、坑道周囲の岩石の大変形などの動的災害事故を誘発しやすい。
【0004】
地中応力は動的災害を引き起こす最も主要な要素の一つであるが、伝統的な地中応力測定方法(応力回復法、ドリルスリーブ応力解除法、水圧による亀裂発生法など)の操作が煩雑で、技術的難易度が高く、測定精度が低いため、長期にわたって地中応力は採掘摂動下の突出事故の早期警報と予防・制御の有効なパラメータにならなかった。
【0005】
現在のコンピュータシミュレーション技術とビッグデータ処理技術の発展は縦坑動的災害の予防と制御を際立たせるために新しい構想と新しい方法を提供した。一方、全面的な調査研究と総合的に鉱区の探査、建設、採掘、メンテナンスなどの関連歴史資料を分析することを通じて、さらにコンピュータの超高度なシミュレーション演算能力を結合して大規模全時空の鉱区の数値モデルを構築し、鉱区の採掘作業を逆解析し、縦坑の全採掘周期の大規模数値シミュレーションを実現し、採掘応力場の分布と変化規則を分析する。同時に鉱区の動的災害の歴史資料と現在の作業面の実測データの組み合わせをモデルの演算結果と比較して、同化分析数値計算の正確性と信頼性を高め、採掘応力場の変化分析に技術支持を提供する。一方、先進的なデジタルツイン技術と現代炭鉱の採掘を結合し、炭鉱の広範な知能分析とシミュレーション制御の最適化を推進することが研究の焦点となりつつある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術に存在する問題に対して、全時空採掘過程における鉱山応力場のツインモデリング同化システム及び方法を提供し、同化逆解析技術とデジタルツイン技術の先進理念を結合することにより、より現実に適合する3次元全鉱山地層モデルを構築することができ、そして同化技術を通じて歴史実測データ価値を十分に掘り起こし、モデル演算結果をさらに最適化することができ、さらに応力逆解析の精度、精細度を高めるとともに、実際の物理シーンモニタリングデータに基づいて、仮想空間モデルにおいて採掘のシミュレーションを行い、縦坑採掘の全生命周期における応力場の時空進化規則を把握し、縦坑の安全生産に指導を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を実現するために、本発明の全時空採掘過程における鉱山応力場のツインモデリング同化システムは、デジタルモデルユニット、物理モデルユニット及びヒューマン・コンピュータ・インタラクションユニットを含み、ヒューマン・コンピュータ・インタラクションユニットはデジタルモデルユニットと物理モデルユニットの間のデータインタラクション及びデータ共有を実現し、双方向情報フローチャネルを構築することで、ツインシステムの物理実体と仮想モデルの一致性を保証し、虚実同期及びフィードバックモニタリングの機能を提供し、デジタルモデルユニットは、まずソフトウェアモデリング技術を用いて鉱山企業の坑井建設資料に基づいて等比の3次元地質モデルを構築し、それから同化逆解析技術を用いて歴史データに基づいて地質モデルをトレーニングして鉱山歴史同化モデルを得て、最後にデジタルツイン技術を用いて実測した鉱山物理実体の状態パラメータを歴史同化モデルにマッピングしてトラステッドデジタルツインモデルを得、物理モデルユニットは、縦坑区域の地層、縦坑の各採面坑道システムのデータを記載するために使用し、ヒューマン・コンピュータ・インタラクションユニットは、情報データベースと、コマンドフローエディタと、シミュレーション監視画面とを含み、物理実体属性値、現場実測値、センサデータを含む、鉱山企業の坑井建設資料、履歴監視データ及びツインデータのそれぞれを情報データベースに入力し、その後コマンドフローを作成することによりデータの加工、処理、更新を実現し、最終的に検索と管理されるようにシミュレーション監視画面にフィードバックされる。また、本発明の全時空採掘過程における鉱山応力場のツインモデリング同化方法は、ステップ1において、初期の等比の3次元地質モデルを構築するステップと、ステップ2において、歴史等比の3次元地質モデルを構築するステップと、ステップ3において、掘削実況下の坑道周囲の石炭岩体の変化を高度且つリアルにシミュレーションしたトラステッドデジタルツインモデルを構築するステップと、を含み、前記ステップ1は、全縦坑の地質探査掘削穴の詳細資料に基づいて、掘削位置における石炭層と、特徴岩層頂部及び底部の3次元座標を含む縦坑の全地質情報を取得し、そして補間法を用いて石炭層と特徴岩層頂部及び底部の任意点の3次元座標を計算することと、掘削資料及び地質報告データに基づいて石炭岩層の分布状況及び力学的性質情報を取得することと、全縦坑の完成した全採掘区間と重要な坑道の配置状況、及び縦坑の予め設定した未採掘区間と重要な坑道の配置状況に基づいて、石炭層と特徴岩層の頂部及び底部の任意点の3次元座標を結合し、CADの二次開発ソフトウェアCASS10.1を利用して全採掘区間と重要な坑道の境界制御点の3次元座標を獲得することと、縦坑の断層分布特徴、地面の起伏状況、縦坑の境界、石炭層と特徴岩層頂部及び底部の任意点の3次元座標、全採掘区間と重要な坑道の境界制御点の3次元座標に基づいて、FLAC3Dソフトウェアまたは3 DECソフトウェアを利用して複雑な地形条件における全採掘区間と重要な坑道を含む縦坑の等比の3次元地質数値計算モデルを構築し、通常の方法に従ってモデルの異なる石炭層パラメータと岩層パラメータに値を割り当て、モデルに境界拘束を加え、モデルの自重に基づいて垂直方向における応力を加え、側圧係数に基づいて地質モデルに水平方向における応力を加えて地質モデルを変形させ、FLAC3Dソフトウェアまたは3DECソフトウェア引き続き利用して地質モデルを演算し、初期応力の平衡状態になるまで変形を完了させることと、を含み、前記ステップ2は、歴史資料に基づいて全縦坑の完成した採掘区間と重要な坑道の施工順序を明確にし、FLAC3Dソフトウェアまたは3DECソフトウェアを利用して、ステップ1で構築された等比の3次元地質モデルに対して全縦坑の全採掘区間と重要な坑道の掘削作業をシミュレーションし、数値シミュレーションにおける採掘の交替順序と歴史の真実順序は同じであり、全縦坑の採掘過程における地中応力の時間に伴う進化規則を計算し、そして地質モデルの計算全過程においてモデル中のすべての重要地点の応力及び変位データを連続的に記録し、シミュレーションした掘削過程は現実における縦坑の採掘工事の現在の状態まで続いて、最終的な計算結果には、縦坑の歴史応力発展データ及び縦坑の現在の応力分布データが含まれていることと、全縦坑の歴史資料と縦坑モデルにおける重要点のデータを比較し、具体的には、地中応力の監視点データ、鉱企業の監視部門が記録した縦坑の突出カード情報、石炭岩層移動観測データなどの歴史資料を取り寄せ、ステップ1で得られた等比の3次元地質モデルにおける一連の重要地点のシミュレーションデータと比較し、実際データを基準として、モデルのパラメータを修正してから、地質モデルの計算結果と歴史中に出現した石炭とガス突出事故の時間と重要な場所、および突出が起こった座標と突出タイプを一致させ、最終的な縦坑地中応力場の逆解析計算結果を得、計算結果に基づいて値を振り当てた後の地質モデル中の値振り当てパラメータを調整し、値を再振り当てた後の地質モデルを演算し、演算結果と縦坑の重要地点の歴史データを一致させ、最終的にステップ1の等比の3次元地質モデルを鉱山の運行歴史の自然法則と経験知識を反映できる鉱山歴史同化モデルに改善することと、を含み、前記ステップ3は、ステップ2で構築した鉱山歴史同化モデルに基づいて、物理実体の現実的な地中応力環境状態に対してデジタル化した記述を行い、物理実体と忠実にマッピングされたトラステッドデジタルツインモデルを作成し、ヒューマン・コンピュータ・インタラクション画面を通じて物理実体のリアルタイムデータ、特に地中応力と岩表面変位量の変化状態値を継続的に追跡して入力することができ、掘削実況下の坑道周囲の石炭岩体の地中応力の大きさ、地中応力の分布、岩表面変位量の変化特徴を高度且つリアルに反映することと、具体的には、スリーブコア応力解除法、ドリル掘削量法を用いて現場の地中応力実測を行い、採掘活動が行っていない地域を測定点として選択し、観測所にはリアルタイムで岩表面変位量を監視させ、実測データとトラステッドデジタルツインモデルにおける対応する位置のデータとを比較し、トラステッドデジタルツインモデルのパラメータを修正して再実行することにより、トラステッドデジタルツインモデルの計算による結果と一連の実測地点の地中応力及び変位量データが一致するようにすることで、今回のトラステッドデジタルツインモデルの計算結果は比較的正確な縦坑の地中応力場の逆解析結果であると認定し、同時に鉱山環境、坑道掘削状態情報、坑内センサデータを収集し、デジタル化処理してヒューマン・コンピュータ・インタラクション画面にアップロードし、リアルタイムでデジタルモデルにマッピングし、最終的に鉱山歴史同化モデルを本当の意味でのトラステッドデジタルツインモデルに転換することと、を含む。
【0008】
前記ステップ1において、全縦坑とは、採掘中に相互に影響を与える複数の採掘区間からなる1つの完全な区域を指し、区域の数は10以上であり、隣接する採掘区間間の最小水平距離は200m未満であり、特徴岩層とは採鉱過程において天板の移動、応力の進化に重要な役割を果たすことができる岩層を指し、当該岩層は一般的には比較的に大きい強度または比較的に大きい厚さを持ち、重要な坑道は一般的に石炭層内に位置する区間の空気戻りの水平坑道、区間輸送水平坑道、切開坑道を指し、完成した全採掘区間と重要な坑道とは、鉱山生産当初から現在までの全採掘区間と重要な坑道を指し、モデル設定に使用できる通常の方法は、組み込みコマンド、作成コマンドフローを通じてモデリングプロセスを完了することであり、値振り当てパラメータは主に体積弾性率、せん断弾性率、密度、引張強度、内部摩擦角、弾性係数、ポアソン比を含む。
【0009】
ステップ2において、述べた重要地点とは、地中応力を測定する地点、動的災害が発生した歴史突出地点、石炭岩層移動観測地点などを指し、具体的には、関連するデータは主に鉱山企業の地質探査部門が整理した鉱区地質歴史資料、ファイル、及び通風部が整理した縦坑の突出カードから得られる。
【0010】
ステップ3において、一連の実測地点は、採掘活動が行っていないシステム坑道、底板ガス抽気坑道、石炭坑道の掘削ヘッド、採取面の切開地点、作業面の対応地面岩層を指し、具体的には、応力解除法を用いて地中応力の大きさを測定し、ドリル掘削量法を用いて地中応力場の分布を測定し、観測所で地面岩の移動を監視する。
【0011】
ステップ1で構築された初期等比の3次元地質モデルは、縦坑の真実な施工順序に基づいて現在の状態に至るまで「歴史過程を復刻」し、一連の重要地点のシミュレーションデータと歴史実測データを比較し、一連の実測地点のシミュレーションデータと現在の実測データを比較し、偏差係数を、
【0012】
【0013】
とし、偏差係数が10%以内の場合、等比の3次元地質モデルの演算結果は実際と一致するとし、モデルの同化が完了し、さもないと等比の3次元地質モデルパラメータを修正して繰り返し実行し、計算結果が要求に合致するまで何度も繰り返す。
【0014】
トラステッドデジタルツインデルのパラメータを修正することは、すなわち複製履歴データに基づいて絶えず修正された石炭岩体の力学パラメータ及び地中応力の大きさと方向、初期状態パラメータ群はステップ1で確定した後に保持することであり、
絶えず修正することには主に、等比の3次元地質モデルの小型簡略化数値モデルを構築し、小型簡略化数値モデルの掘削のシミュレーションを行い、等比の3次元地質モデルと同じ数値計算パラメータを採用し、内部凝集力、内部摩擦角、弾性係数及びポアソン比を含む小型簡略化数値モデルに基づいて掘削過程における応力分布規則及び周囲岩石の変形規則をシミュレーションし、小型簡略化数値モデルの力学パラメータを修正し、数値シミュレーション結果と現場実測規則は基本的に一致するようにする第1の過程と、第1の過程で確定された力学パラメータを用いて等比の3次元地質モデルに持ち込んで演算を行う第2の過程と、を含み、前記第2の過程において、応力数値と既存環境の変化のため、応力分布規則及び周囲岩石の変形は小型簡略化数値モデルとずれがある可能性があり、その時にパラメータ修正を行い、等比の3次元地質モデルの力学分布規則と変形規則が現場実測と一致し、同化を完成させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は前期の全面的な調査研究と総合的に鉱区の探査、建設、採掘、メンテナンスなどの関連歴史資料を分析し、等比の3次元地質モデルを構築し、同化分析技術を利用してモデルの演算値と実際データを絶えず接近させ、計算モデルのパラメータ設定を絶えず改善することで、モデル結果と歴史資料データ及び現在の状態実測データを基本的に一致させることができ、採掘作業空間応力場の時空進化と分布特徴を取得でき、デジタルツインの理念で鉱山物理実体の仮想ツインモデルを作成でき、ヒューマン・コンピュータ・インタラクションを通じて物理モデルとデジタルモデルの間の忠実なマッピング、動的インタラクション、リアルタイムフィードバックを実現することができる。本発明は炭鉱の採掘・継代工事過程における応力応答及び突出動的災害発生メカニズムに焦点を当て、3次元モデリング、数値シミュレーション、同化分析、デジタルツインなどの科学技術革命革新成果を総合的に適用し、まず縦坑建設初期資料に基づいて等比の3次元地質モデルを構築し、そして歴史資料を結合してモデルを歴史時空下で物理実体と同期的に進化させ、鉱山歴史同化モデルは現実物理域実体の開始から現在までの歴史プロセスを記述するために使用でき、最後にデジタルツインの正確なマッピング、協同相互作用を通じて、鉱山歴史同化モデルは本当の意味でのトラステッドデジタルツインモデルに転換できる。このように歴史情報資源価値を深く掘り下げ、全鉱山の全時空の採掘応力場数値モデルを構築し、突出動的災害の予防と治療にデータサポートを提供し、鉱山の安全で効率的な採掘を実現するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の全時空採掘過程における鉱山応力場のツインモデリング同化システムの模式図である。
【
図2】本発明の全時空採掘過程における鉱山応力場のツインモデリング同化方法の実施例におけるデジタルモデリング同化ツインプロセスの概略ブロック図である。
【
図3】本発明の実施例における全鉱山の3次元地層モデルの概略図である。
【
図4】本発明の実施形態における重要地点の配置図である。
【
図5】本発明の実施形態における実測地点の配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を用いて本発明の実施例についてさらに説明する。
【0018】
図1に示すように、全時空採掘過程における鉱山応力場のツインモデリング同化システムは、デジタルモデルユニット、物理モデルユニット及びヒューマン・コンピュータ・インタラクションユニットを含み、ヒューマン・コンピュータ・インタラクションユニットはデジタルモデルユニットと物理モデルユニットの間のデータインタラクション及びデータ共有を実現し、双方向情報フローチャネルを構築することで、ツインシステムの物理実体と仮想モデルの一致性を保証し、虚実同期及びフィードバックモニタリングの機能を提供する。
【0019】
デジタルモデルユニットは、まずソフトウェアモデリング技術を用いて鉱山企業の縦坑建設資料に基づいて等比の3次元地質モデルを構築し、それから同化逆解析技術を用いて歴史データに基づいて地質モデルをトレーニングして鉱山歴史同化モデルを得て、最後にデジタルツイン技術を用いて実測した鉱山物理実体の状態パラメータを歴史同化モデルにマッピングしてトラステッドデジタルツインモデルを得る。
【0020】
物理モデルユニットは、鉱山の縦坑区域の地層、縦坑の各採面坑道システムのデータを記載するために使用される。
【0021】
ヒューマン・コンピュータ・インタラクションユニットは、情報データベースと、コマンドフローエディタと、シミュレーション監視画面とを含み、物理実体属性値、現場実測値、センサデータを含む、鉱山企業の縦坑建設資料、履歴監視データ及びツインデータのそれぞれを情報データベースに入力し、その後コマンドフローを作成することによりデータの加工、処理、更新を実現し、最終的に検索と管理されるようにシミュレーション監視画面にフィードバックされる。
【0022】
図2に示すように、全時空採掘過程において鉱山応力場のツインモデリング同化方法であって、以下のステップを含む。
【0023】
ステップ1において、初期の等比の3次元地質モデルを構築する。
【0024】
全鉱山の縦坑の地質探査掘削穴の詳細資料に基づいて、掘削位置における石炭層と、特徴岩層頂部及び底部の3次元座標を含む縦坑の全地質情報を取得し、そして補間法を用いて石炭層と特徴岩層頂部及び底部の任意点の3次元座標を計算する。掘削資料及び地質報告データに基づいて石炭岩層の分布状況及び力学的性質情報を取得する。
【0025】
全縦坑の完成した全採掘区間と重要な坑道の配置状況、及び縦坑の予め設定した未採掘区間と重要な坑道の配置状況に基づいて、石炭層と特徴岩層の頂部及び底部の任意点の3次元座標を結合し、CADの二次開発ソフトウェアCASS10.1を利用して全採掘区間と重要な坑道の境界制御点の3次元座標を獲得する。
【0026】
縦坑の断層分布特徴、地面の起伏状況、縦坑の境界、石炭層と特徴岩層頂部及び底部の任意点の3次元座標、全採掘区間と重要な坑道の境界制御点の3次元座標に基づいて、FLAC3Dソフトウェアまたは3DECソフトウェアを利用して複雑な地形条件における全再採掘区間と重要な坑道を含む縦坑と等比の3次元地質数値計算モデルを構築する。通常の方法に従ってモデルの異なる石炭層パラメータと岩層パラメータに値を割り当て、モデルに境界拘束を加える。モデルの自重に基づいて垂直方向における応力を加え、側圧係数に基づいて地質モデルに水平方向における応力を加えて地質モデルを変形させる。FLAC3Dソフトウェアまたは3DECソフトウェア引き続き利用して地質モデルを演算し、初期応力の平衡状態になるまで変形を完了させる。
【0027】
ステップ2において、歴史等比の3次元地質モデルを構築する。
【0028】
歴史資料に基づいて全縦坑の完成した採掘区間と重要な坑道の施工順序を明確にし、FLAC3Dソフトウェアまたは3DECソフトウェアを利用して、ステップ1で構築された等比の3次元地質モデルに対して全縦坑の全採掘区間と重要な坑道の掘削作業をシミュレーションする。数値シミュレーションにおける採掘の交替順序と歴史の真実順序は同じである。また、全縦坑の採掘過程における地中応力の時間に伴う進化規則を計算し、そして地質モデルの計算全過程においてモデル中のすべての重要地点の応力及び変位データを連続的に記録し、シミュレーションした掘削過程は現実における縦坑の採掘工事の現在状態まで続いて、最終的な計算結果には、縦坑の歴史応力発展データ及び縦坑の現在応力分布データが含まれている。
【0029】
全縦坑の歴史資料と縦坑モデルにおける重要点のデータを比較し、具体的には、地中応力の監視点データ、鉱企業の監視部門が記録した縦坑の突出カード情報、石炭岩層移動観測データなどの歴史資料を取り寄せ、ステップ1で得られた等比の3次元地質モデルにおける一連の重要地点のシミュレーションデータと比較し、実際データを基準として、モデルのパラメータを修正してから、地質モデルの計算結果と歴史中に出現した石炭とガス突出事故の時間と重要な場所、および突出が起こった座標と突出タイプを一致させ、最終的な縦坑地中応力場の逆解析計算結果を得る。計算結果に基づいて値を振り当てた後の地質モデル中の値振り当てパラメータを調整し、値を再振り当てた後の地質モデルを演算し、演算結果と縦坑の重要地点の歴史データを一致させ、最終的にステップ1の等比の3次元地質モデルを鉱山の運行歴史の自然法則と経験知識を反映できる鉱山歴史同化モデルに改善する。
【0030】
ステップ3において、掘削実況下の坑道周囲の石炭岩体の変化を高度且つリアルにシミュレーションしたトラステッドデジタルツインモデルを構築する。
【0031】
ステップ2で構築した鉱山歴史同化モデルに基づいて、物理実体の現実的な地中応力環境状態に対してデジタル化した記述を行い、物理実体と忠実にマッピングされたトラステッドデジタルツインモデルを作成し、ヒューマン・コンピュータ・インタラクション画面を通じて物理実体のリアルタイムデータ、特に地中応力と岩表面変位量の変化状態値を継続的に追跡して入力することができ、掘削実況下の坑道周囲の石炭岩体の地中応力の大きさ、地中応力の分布、岩表面変位量の変化特徴を高度且つリアルに反映することができる。
【0032】
具体的には、スリーブコア応力解除法、ドリル掘削量法を用いて現場の地中応力実測を行い、採掘活動が行っていない地域を測定点として選択し、観測所にリアルタイムで岩表面変位量を監視させる。実測データとトラステッドデジタルツインモデルにおける対応する位置のデータとを比較し、トラステッドデジタルツインモデルのパラメータを修正して再実行することにより、トラステッドデジタルツインモデルの計算による結果と一連の実測地点の地中応力及び変位量データが一致するようにすることで、今回のトラステッドデジタルツインモデルの計算結果は比較的正確な縦坑の地中応力場の逆解析結果であると認定し、同時に鉱山環境、坑道掘削状態情報、坑内センサデータを収集し、デジタル化処理してヒューマン・コンピュータ・インタラクション画面にアップロードし、リアルタイムでデジタルモデルにマッピングし、最終的に鉱山歴史同化モデルを本当の意味でのトラステッドデジタルツインモデルに転換する。
(実施例)
本発明は陝西省のある鉱区を対象として試験研究を展開し、この鉱区は中国の典型的な強い突出危険性鉱区であり、この鉱区に属するA炭鉱は典型的な地中応力主導型の突出鉱山である。本発明の機能、特徴をよりよく理解できるように、添付図面に示す応力場逆解析を例にして本実施形態を説明する。
【0033】
S1において、初期モデルを構築し、具体的には
図3を参照。
【0034】
S11において、A炭鉱の全縦坑の地質探査掘削穴の詳細資料、採掘工事の平面図、坑井の上下対照図、掘削穴データなど取集する。そして、掘削資料に基づいて石炭岩層の分布状況を取得し、岩層を砂岩群、泥岩群、灰岩群などの特徴岩層に統合するとともに、地質報告データに基づいて各特徴岩層の力学的性質情報を取得する。また、底板等高線、地質掘削穴などの資料に基づいて掘削位置における石炭層と特徴岩層の頂部及び底部の3次元座標を取得する。そして、補間法を用いて石炭層と特徴岩層の頂部及び底部の任意点の3次元座標を計算する。また、全縦坑の完成した全採掘区間と重要な坑道の配置情況、及び縦坑の未採掘区間と重要な坑道の配置状況に基づいて、石炭層と特徴岩層頂部及び底部の任意点の3次元座標を結合して、CADの二次開発ソフトウェアCASS10.1を利用して全採掘区間と重要な坑道の境界制御点の3次元座標を取得する。縦坑の断層分布の特徴、地面の起伏状況、縦坑の境界、石炭層と特徴岩層頂部及び底部の任意点の3次元座標、全採掘区間と重要な坑道の境界制御点の3次元座標に基づいて、3次元完全シミュレーション計算モデルを構築する。そして、全鉱山を1つのモデルとして構築するとモデルのスパンが大きすぎて、メッシュ数が多すぎるため計算が遅くなり、かつ縦坑の3つの採掘の間の間隔が500m以上もあるので、各採掘区間の応答が相互に影響がないと簡単にみなすことができるため、縦坑の採掘区の配置に基づいて、鉱山モデルを3つのモジュールに分割することができる。また、分割された領域に基づいてFLAC3Dソフトウェアを使用して、全採掘区間と重要な坑道を含む縦坑などの等比の3次元数値計算モデルを構築する。そして、モデルメッシュの分割は、計算精度を保証しながら計算負荷を最小限に抑えるためにグラデーションメッシュを採用する。
【0035】
S12において、モールクーロン準則に基づき、ステップS12で収集したパラメータに基づいてモデルの異なる岩層にそれぞれ値を割り当て、モデル自重に基づいて垂直方向における応力を加え、突出履歴に基づいて最大主応力方向を初歩的に判断し、側圧係数方式で水平方向における応力を初歩的に加え、モデルに境界拘束を加えた後、モデルを初期応力が平衡状態になるまで試験演算を行う。
【0036】
S2において、
図4に示すように、全縦坑応力進化の歴史と現在の応力分布を計算する。
【0037】
S21:全縦坑の完成した採掘区間と重要な坑道の施工順序に基づいて、FLAC3Dソフトウェアを利用して順番に全縦坑の全採掘区間と重要な坑道の掘削作業を実行し、数値シミュレーションにおける採掘の交替順序と歴史の真実順序が同じであることを保証し、縦坑の採掘の交替逆解析を実現し、最終計算を完成して炭鉱の現在の採掘応力場分布規則を得て、モデルの計算の全過程において一連の重要地点の応力及び変位などのデータを連続的に記録する。重要地点は歴史の突出事故の発生場所、地中応力実測地点などを含む。
【0038】
S22において、以上の歴史と同じ順序での掘削過程を現実の鉱山採掘工事の現在状態まで続いて、地中応力実測点、掘削量実測点、掘削採掘面地面岩変位データを含む現在状態の一連の実測地点の応力、変位などデータを記録する(例えば4312作業面)。最終的な計算結果には、縦坑の歴史応力発展データ及び縦坑の現在応力分布データが含まれている。
【0039】
S3において、モデル同化を行う。
【0040】
S31において、当該縦坑の突出カード情報を取り寄せ、カードに記録された現場状況に基づいて、突出時の応力方向を初歩的に判断し、モデルの計算時の当該監視点の応力変化と比較して分析し、突出した応力方向がマッチングするかどうかを判断し、マッチングすると判断される場合、地中応力方向には間違いがないことを表し、マッチングしないと判断される場合、モデル中の地中応力方向と実際の方向とはずれが存在すると表す。そして、側圧係数及び切断応力数値を修正することによって応力方向の転換を実現する。また、歴史掘削過程における石炭坑道の変位と応力監視データ(4312作業面)を分析し、その変化傾向を分析し、モデル中の対応点位の応力値の進化と比較して分析し、もし両者が一致(誤差≦10%)すれ場合、応力の振り当てられた値が正しいとし、もし一致しない(誤差>10%)場合、応力方向の一致を保証する前提で応力の大きさと岩石力学パラメータを歴史掘削過程における応力進化の歴史にマッチングするまで修正する。
【0041】
S32において、スリーブコア応力解除法を用いて現場の地中応力実測を行い、採掘活動が行っていないシステム坑道(北二採掘区240補運路地)、底板ガス抽気坑道(南一185切眼底抽気路地、北一4322運順底板路地)を測定点として選択する。そして、現在の採掘面3319の作業面及び採掘面の石炭路地掘削ヘッドでそれぞれドリル掘削量の測定を行う。また、トータルステーション、セオドライトなどを用いて3319などの作業面の地面岩層移動記録データを観測して収集する。具体的には
図5に示すように、実測データとモデル内の対応する位置のデータを対比し、数値モデルのパラメータを修正し、数値モデルの計算結果と一連の実測地点の測定データが一致(誤差≦10%)するように数値モデルを再実行することにより、最終計算結果を得る。