(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20241120BHJP
【FI】
G06Q10/06
(21)【出願番号】P 2024124105
(22)【出願日】2024-07-31
【審査請求日】2024-08-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513040384
【氏名又は名称】株式会社マネーフォワード
(74)【代理人】
【識別番号】110003476
【氏名又は名称】弁理士法人瑛彩知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】田島 達也
(72)【発明者】
【氏名】小野 裕明
(72)【発明者】
【氏名】本川 大輔
(72)【発明者】
【氏名】北川 信之
(72)【発明者】
【氏名】炬口 英子
【審査官】田中 寛人
(56)【参考文献】
【文献】特許第7396582(JP,B1)
【文献】特開2021-057018(JP,A)
【文献】特許第7369320(JP,B1)
【文献】特開2024-032071(JP,A)
【文献】特開2024-095606(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2024/0005089(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-2109162(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
事業者の事業性を評価するための文書の作成を支援する情報処理システムであって、
事業者の指定を受け付ける第1受付手段と、
前記指定された事業者について、事業性を評価するための文書の入力項目に対する入力情報を出力するよう生成AIに指示し、出力された入力情報を取得する第1取得手段と、
前記取得された入力情報について、不足する情報を前記指定された事業者から取得するための質問文を出力するよう前記生成AIに指示し、出力された質問文を取得する第2取得手段と、
前記取得された質問文を出力する第1出力手段と、
を備え
、
前記第2取得手段は、前記生成AIによって過去に出力された前記入力項目に対する入力情報に基づいて前記不足する情報を特定するよう前記生成AIに指示する、
情報処理システム。
【請求項2】
事業者の事業性を評価するための文書の作成を支援する情報処理システムであって、
事業者の指定を受け付ける第1受付手段と、
前記指定された事業者について、事業性を評価するための文書の入力項目に対する入力情報を出力するよう生成AIに指示し、出力された入力情報を取得する第1取得手段と、
前記取得された入力情報について、不足する情報を前記指定された事業者から取得するための質問文を出力するよう前記生成AIに指示し、出力された質問文を取得する第2取得手段と、
前記取得された質問文を出力する第1出力手段と、
を備え、
前記生成AIは、前記不足する情報を特定可能とするために、前記入力項目と前記入力項目に対する入力情報の組を複数学習させた言語モデルである
、
情報処理システム。
【請求項3】
事業者の事業性を評価するための文書の作成を支援する情報処理システムであって、
事業者の指定を受け付ける第1受付手段と、
前記指定された事業者について、事業性を評価するための文書の入力項目に対する入力情報を出力するよう生成AIに指示し、出力された入力情報を取得する第1取得手段と、
前記取得された入力情報について、不足する情報を前記指定された事業者から取得するための質問文を出力するよう前記生成AIに指示し、出力された質問文を取得する第2取得手段と、
前記取得された質問文を出力する第1出力手段と、
を備え、
前記第2取得手段は、前記取得された入力情報が前記指定された事業者の経済状況に関する情報であり、当該経済状況の変化が所定の条件を満たす場合に、当該変化の原因に関する情報を、前記不足する情報として、前記指定された事業者から取得するための質問文を出力するよう前記生成AIに指示する、
情報処理システム。
【請求項4】
前記質問文に対する回答をさらに受け付ける第2受付手段と、
前記回答を前記生成AIに入力して、前記不足する情報が補完された別の入力情報を取得する第3取得手段と、
前記取得された別の入力情報を出力する第2出力手段と、
をさらに備える、請求項1
から3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記第1取得手段は、前記指定された事業者について、前記入力項目に対する入力情報を、前記指定された事業者の経理情報および決算書データの少なくとも一方に基づいて出力するよう前記生成AIに指示する、
請求項1
から3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記入力項目は、会社概要、商流、マーケット、3C分析、5フォース分析、SWOT分析、経営体制、財務サマリー、経営課題、経営施策のいずれかである、
請求項1
から3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
コンピュータにより実行される、事業者の事業性を評価するための文書の作成を支援する情報処理方法であって、
事業者の指定を受け付けるステップと、
前記指定された事業者について、事業性を評価するための文書の入力項目に対する入力情報を出力するよう生成AIに指示し、出力された入力情報を取得するステップと、
前記取得された入力情報について、不足する情報を前記指定された事業者から取得するための質問文を出力するよう前記生成AIに指示し、出力された質問文を取得するステップと、
前記取得された質問文を出力するステップと、
を含
み、
前記質問文を取得するステップでは、前記生成AIによって過去に出力された前記入力項目に対する入力情報に基づいて前記不足する情報を特定するよう前記生成AIに指示する、
情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータにより実行される、事業者の事業性を評価するための文書の作成を支援する情報処理方法であって、
事業者の指定を受け付けるステップと、
前記指定された事業者について、事業性を評価するための文書の入力項目に対する入力情報を出力するよう生成AIに指示し、出力された入力情報を取得するステップと、
前記取得された入力情報について、不足する情報を前記指定された事業者から取得するための質問文を出力するよう前記生成AIに指示し、出力された質問文を取得するステップと、
前記取得された質問文を出力するステップと、
を含み、
前記生成AIは、前記不足する情報を特定可能とするために、前記入力項目と前記入力項目に対する入力情報の組を複数学習させた言語モデルである、
情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータにより実行される、事業者の事業性を評価するための文書の作成を支援する情報処理方法であって、
事業者の指定を受け付けるステップと、
前記指定された事業者について、事業性を評価するための文書の入力項目に対する入力情報を出力するよう生成AIに指示し、出力された入力情報を取得するステップと、
前記取得された入力情報について、不足する情報を前記指定された事業者から取得するための質問文を出力するよう前記生成AIに指示し、出力された質問文を取得するステップと、
前記取得された質問文を出力するステップと、
を含み、
前記質問文を取得するステップでは、前記取得された入力情報が前記指定された事業者の経済状況に関する情報であり、当該経済状況の変化が所定の条件を満たす場合に、当該変化の原因に関する情報を、前記不足する情報として、前記指定された事業者から取得するための質問文を出力するよう前記生成AIに指示する、
情報処理方法。
【請求項10】
事業者の事業性を評価するための文書の作成を支援するプログラムであって、
コンピュータに、
事業者の指定を受け付けるステップと、
前記指定された事業者について、事業性を評価するための文書の入力項目に対する入力情報を出力するよう生成AIに指示し、出力された入力情報を取得するステップと、
前記取得された入力情報について、不足する情報を前記指定された事業者から取得するための質問文を出力するよう前記生成AIに指示し、出力された質問文を取得するステップと、
前記取得された質問文を出力するステップと、
を実行させ
、
前記質問文を取得するステップでは、前記生成AIによって過去に出力された前記入力項目に対する入力情報に基づいて前記不足する情報を特定するよう前記生成AIに指示する、
プログラム。
【請求項11】
事業者の事業性を評価するための文書の作成を支援するプログラムであって、
コンピュータに、
事業者の指定を受け付けるステップと、
前記指定された事業者について、事業性を評価するための文書の入力項目に対する入力情報を出力するよう生成AIに指示し、出力された入力情報を取得するステップと、
前記取得された入力情報について、不足する情報を前記指定された事業者から取得するための質問文を出力するよう前記生成AIに指示し、出力された質問文を取得するステップと、
前記取得された質問文を出力するステップと、
を実行させ、
前記生成AIは、前記不足する情報を特定可能とするために、前記入力項目と前記入力項目に対する入力情報の組を複数学習させた言語モデルである、
プログラム。
【請求項12】
事業者の事業性を評価するための文書の作成を支援するプログラムであって、
コンピュータに、
事業者の指定を受け付けるステップと、
前記指定された事業者について、事業性を評価するための文書の入力項目に対する入力情報を出力するよう生成AIに指示し、出力された入力情報を取得するステップと、
前記取得された入力情報について、不足する情報を前記指定された事業者から取得するための質問文を出力するよう前記生成AIに指示し、出力された質問文を取得するステップと、
前記取得された質問文を出力するステップと、
を実行させ、
前記質問文を取得するステップでは、前記取得された入力情報が前記指定された事業者の経済状況に関する情報であり、当該経済状況の変化が所定の条件を満たす場合に、当該変化の原因に関する情報を、前記不足する情報として、前記指定された事業者から取得するための質問文を出力するよう前記生成AIに指示する、
プログラム。
【請求項13】
事業者の事業性を評価するための文書の作成を支援する情報処理システムであって、
事業者の指定を受け付ける受付手段と、
前記指定された事業者について、事業性を評価するための文書の入力項目に対する入力情報を生成する場合に不足する情報を前記指定された事業者から取得するための質問文を出力するよう生成AIに指示し、出力された質問文を取得する取得手段と、
前記取得された質問文を出力する出力手段と、
を備え
、
前記取得手段は、前記生成AIによって過去に出力された前記入力項目に対する入力情報に基づいて前記不足する情報を特定するよう前記生成AIに指示する、
情報処理システム。
【請求項14】
事業者の事業性を評価するための文書の作成を支援する情報処理システムであって、
事業者の指定を受け付ける受付手段と、
前記指定された事業者について、事業性を評価するための文書の入力項目に対する入力情報を生成する場合に不足する情報を前記指定された事業者から取得するための質問文を出力するよう生成AIに指示し、出力された質問文を取得する取得手段と、
前記取得された質問文を出力する出力手段と、
を備え、
前記生成AIは、前記不足する情報を特定可能とするために、前記入力項目と前記入力項目に対する入力情報の組を複数学習させた言語モデルである、
情報処理システム。
【請求項15】
事業者の事業性を評価するための文書の作成を支援する情報処理システムであって、
事業者の指定を受け付ける受付手段と、
前記指定された事業者について、事業性を評価するための文書の入力項目に対する入力情報を生成する場合に不足する情報を前記指定された事業者から取得するための質問文を出力するよう生成AIに指示し、出力された質問文を取得する取得手段と、
前記取得された質問文を出力する出力手段と、
を備え、
前記取得手段は、前記取得された入力情報が前記指定された事業者の経済状況に関する情報であり、当該経済状況の変化が所定の条件を満たす場合に、当該変化の原因に関する情報を、前記不足する情報として、前記指定された事業者から取得するための質問文を出力するよう前記生成AIに指示する、
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術を開示する文献として、非特許文献1がある。この非特許文献1には、「地域企業応援パッケージ(内閣府)や金融モニタリング基本方針(金融庁)に則った活動をシステムで支援します。様々なライフステージにある企業の事業の内容や成長の可能性を適切に評価する目利き力を強化に活用頂けます。」と記載されている。
また、この非特許文献1には、「事業性評価シートを効率的に作成 財務データや属性情報などをデータ取り込みすることで、ビジネス俯瞰図の作成支援などの事務負担を軽減します。」と記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】株式会社情報企画,“事業性評価支援システム”,[online],[令和6年7月19日検索],インターネット<URL:https://www.jyohokikaku.co.jp/loan-solution/129.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の非特許文献1には、事業性評価シートの作成に関し、財務データや属性情報などをデータ取り込みすることで、ビジネス俯瞰図の作成支援などの事務負担を軽減することが記載されている。しかし、非特許文献1では、生成AIの利用について言及されていない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、生成AIを利用して、事業者の事業性を評価するための文書の作成を支援する仕組みを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、生成AIを利用して、事業者の事業性を評価するための文書の作成を支援する仕組みを提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、情報処理システム100の構成の一例を示す。
【
図2】
図2は、業務支援サーバ101の構成の一例を示す。
【
図3】
図3は、LLMサーバ102の構成の一例を示す。
【
図4】
図4は、ユーザ端末103の構成の一例を示す。
【
図6】
図6は、事業者指定画面600の一例を示す。
【
図7】
図7は、入力項目「会社概要」に対応する入力情報700の一例を示す。
【
図8】
図8は、入力項目「商流」に対応する入力情報800の一例を示す。
【
図9】
図9は、入力項目「マーケット」に対応する入力情報900の一例を示す。
【
図10】
図10は、入力項目「3C分析」に対応する入力情報1000の一例を示す。
【
図11】
図11は、入力項目「5フォース分析」に対応する入力情報1100の一例を示す。
【
図12】
図12は、入力項目「SWOT分析」に対応する入力情報1200の一例を示す。
【
図13】
図13は、入力項目「経営体制」に対応する入力情報1300の一例を示す。
【
図14】
図14は、入力項目「財務サマリー」に対応する入力情報1400の一例を示す。
【
図15】
図15は、入力項目「経営課題」に対応する入力情報1500の一例を示す。
【
図16】
図16は、入力項目「経営施策」に対応する入力情報1600の一例を示す。
【
図17】
図17は、入力項目「5フォース分析」に関する質問リスト1700の一例を示す。
【
図18】
図18は、入力項目「SWOT分析」に関する質問リスト1800の一例を示す。
【
図19】
図19は、業務支援サーバ1900の構成の一例を示す。
【
図22】
図22は、入力項目「5フォース分析」に関する質問リスト2200の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.実施例
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
【0009】
1-1.構成
図1は、本実施例に係る情報処理システム100の構成の一例を示す。
情報処理システム100は、業務支援サーバ101と、LLMサーバ102と、複数のユーザ端末103を備える。この情報処理システム100は、事業者の事業性を評価するための文書の作成を支援するためのシステムである。このシステムを構成する各装置は、有線または無線のネットワークを介して接続され、互いに情報を送受信可能となっている。
【0010】
このシステムを構成する装置のうち、業務支援サーバ101は、ユーザによる事業性評価シートの作成を支援するサーバである。
LLMサーバ102は、業務支援サーバ101からプロンプトを受け付け、受け付けたプロンプトに対応する回答を出力するサーバである。
複数のユーザ端末103は、それぞれユーザによって使用される端末装置である。各ユーザは、業務支援サーバ101を利用して事業性評価シートを作成する。なお、本実施例ではユーザの一例として、銀行員を想定している。
【0011】
これらの装置は、それぞれオペレーティングシステムやアプリケーション、プログラムなどを実行するプロセッサと、RAM(Random Access Memory)等の主記憶装置と、ICカードやハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の補助記憶装置と、ネットワークカードや無線通信モジュール、モバイル通信モジュール等の通信制御部と、タッチパネルやキーボード、マウス、音声入力、カメラ部の撮像による動き検知による入力などの入力装置と、モニタやディスプレイ等の出力装置を備える。なお、出力装置は、外部のモニタやディスプレイ、プリンタ、機器などに、出力するための情報を送信する装置や端子であってもよい。
【0012】
主記憶装置には、各種プログラムやアプリケーションなど(モジュール)が記憶されており、これらのプログラムやアプリケーションをプロセッサが実行することで全体システムの各機能要素が実現される。なお、各モジュールは集積化する等によりハードウェアで実装してもよい。また、各モジュールはそれぞれ独立したプログラムやアプリケーションでもよいが、1つの統合プログラムやアプリケーションの中の一部のサブプログラムや関数などの形で実装されていてもよい。
【0013】
本明細書では、各モジュールが、処理を行う主体(主語)として記載をしているが、実際には各種プログラムやアプリケーションなど(モジュール)を処理するプロセッサが処理を実行する。
【0014】
補助記憶装置には、各種データベース(DB)が記憶されている。「データベース」とは、プロセッサまたは外部のコンピュータからの任意のデータ操作(例えば、抽出、追加、削除、上書きなど)に対応できるようにデータ集合を記憶する機能要素(記憶部)である。データベースの実装方法は限定されず、例えばデータベース管理システムでもよいし、表計算ソフトウェアでもよいし、XML、JSONなどのテキストファイルでもよい。
【0015】
1-1-1.業務支援サーバ101
図2は、業務支援サーバ101の構成の一例を示す。
業務支援サーバ101は、例えば、クラウド上に配置された1以上のサーバで構成される。
このサーバの主記憶装置201には、第1受付モジュール210、第1取得モジュール211、第2取得モジュール212、第1出力モジュール213等のプログラムやアプリケーションが記憶されている。これらのプログラムやアプリケーションをプロセッサ203が実行することで、業務支援サーバ101の各機能要素が実現される。以下、各モジュールについて説明する。
【0016】
第1受付モジュール210は、ユーザから事業者の指定を受け付ける。
【0017】
第1取得モジュール211は、第1受付モジュール210を介して指定された事業者について、事業性を評価するための文書の入力項目に対する入力情報を出力するよう生成AIに指示する。そして当該モジュールは、生成AIから出力される入力情報を取得する。
その際、当該モジュールは、指定された事業者について、入力項目に対する入力情報を、指定された事業者の経理情報および決算書データの少なくとも一方に基づいて出力するよう生成AIに指示することができる。
【0018】
なお、ここで言う事業性を評価するための文書とは、具体的には、たとえば事業性評価シート等である。この事業性評価シートは、主に金融機関により作成され、融資の可否の判断に利用されるシートである。なお、ここでは「事業性評価シート」という名前を使用しているが、事業性を評価するための文書であれば、別の名称の文書であっても、本書と同様の方法で処理することが可能である。
また、ここで言う入力項目とは、具体的には事業性評価シートの入力項目である。この入力項目には、会社概要、商流、マーケット、3C分析、5フォース分析、SWOT分析、経営体制、財務サマリー、経営課題、経営施策の少なくともいずれかを含むことができる。
また、ここで言う生成AIとは、具体的には、後述する生成AIモジュール310である。
【0019】
次に、第2取得モジュール212は、第1取得モジュール211により取得された入力情報について、不足する情報を、指定された事業者から取得するための質問文を出力するよう生成AIに指示する。そして当該モジュールは、生成AIから出力される質問文を取得する。
その際、当該モジュールは、生成AIによって過去に出力された上記の入力項目に対する入力情報に基づいて不足する情報を特定するよう生成AIに指示する。
【0020】
なお、ここで言う、生成AIによって過去に出力された上記の入力項目に対する入力情報とは、具体的には、模範となる入力情報である。この入力情報は、例えば、ベテラン行員により、生成AIを利用して生成された、あるいはベテラン行員が自身で作成した入力情報である。
また、ここで言う生成AIとは、具体的には、後述する生成AIモジュール310である。
【0021】
次に、第1出力モジュール213は、第2取得モジュール212により取得された質問文を出力する。具体的には当該モジュールは、取得された質問文をユーザ端末103のディスプレイに表示させる。
【0022】
次に、補助記憶装置202について説明する。
補助記憶装置202には、経理情報DB220、企業情報DB221、決算書DB222、渉外活動メモDB223、法人企業統計DB224、業種別審査事典DB225、審査マニュアルDB226、業界動向情報DB227、入力項目テーブル228が記憶される。以下、各DBについて説明する。
【0023】
経理情報DB220は、各事業者の経理情報を格納するデータベースである。このDBに格納される経理情報には、事業者の1以上の口座の残高と入出金明細に関する情報と、事業者が発行または受領した請求書に関する情報が含まれる。各事業者の経理情報は、事業者IDと対応付けて記憶される。
【0024】
企業情報DB221は、各事業者の企業情報を格納するデータベースである。このDBに格納される企業情報には、事業者の名称、所在地、電話番号、代表者名、資本金、従業員数、業種ID、業態、事業内容、製品・サービス、沿革、拠点、主要取引先、株主、企業理念、将来ビジョンが含まれる。各事業者の企業情報は、事業者IDと対応付けて記憶される。
【0025】
決算書DB222は、各事業者の決算書データを格納するデータベースである。このDBに格納される決算書データには、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書のデータが含まれる。各事業者の決算書データは、事業者IDと対応付けて記憶される。
【0026】
渉外活動メモDB223は、各事業者の渉外活動メモを格納するデータベースである。このDBに格納される渉外活動メモには、事業者と銀行との間で行われた交渉の履歴が含まれる。この交渉の履歴には、両者の間で交わされた文書、メール、会話内容が含まれる。各事業者の渉外活動メモは、事業者IDと対応付けて記憶される。
【0027】
法人企業統計DB224は、各業種の企業統計を格納するデータベースである。このDBに格納される企業統計には、財務省により行われる法人企業統計調査の調査結果が含まれる。この調査結果には、売上高、営業利益、経常利益、設備投資が含まれる。各業種の企業統計は、業種IDと対応付けて記憶される。
【0028】
業種別審査事典DB225は、各業種の業界情報を格納するデータベースである。このDBに格納される業界情報には、一般社団法人金融財政事情研究会により発行される業種別審査事典の情報が含まれる。この情報には、業界の特色、市場規模、地域的特徴、需要動向、課題と展望、製品の知識、生産形態、取引形態、資金需要、財務諸表の見方、経営支援の勘所、関連法規制、制度融資、業界団体が含まれる。各業種の業界情報は、業種IDと対応付けて記憶される。
【0029】
審査マニュアルDB226は、各業種の融資審査マニュアルを格納するデータベースである。このDBに格納される融資審査マニュアルには、各金融機関の融資審査マニュアルと、金融庁により発行される業種別支援の着眼点が含まれる。各業種の融資審査マニュアルは、業種IDと対応付けて記憶される。
【0030】
業界動向情報DB227は、各業種の動向情報を格納するデータベースである。このDBに格納される動向情報には、官公庁または民間の調査会社により発行される業界動向情報が含まれる。各業種の動向情報は、業種IDと対応付けて記憶される。
【0031】
入力項目テーブル228は、事業性評価シートの入力項目とDBの対応関係を管理するためのテーブルである。このテーブルを用いて、各入力項目に対応するDBを特定する。
なお、通常、事業性評価シートは金融機関ごとにフォーマット(入力項目を含む)が異なるため、金融機関ごとに、入力項目とDBの対応関係が変わることも考えられる。よって、後述する業務支援処理500を開始するよりも前に、業務支援サーバ101には、当該金融機関における事業性評価シートのフォーマットや、入力項目とDBの対応関係(すなわち入力項目テーブル228)が設定される。
このテーブルでは、例えば、入力項目「会社概要」に対して、経理情報DB220と、企業情報DB221が対応付けられる。また別の例として、入力項目「SWOT分析」に対して、企業情報DB221、決算書DB222、渉外活動メモDB223、法人企業統計DB224、業種別審査事典DB225が対応付けられる。
【0032】
1-1-2.LLMサーバ102
図3は、LLMサーバ102の構成の一例を示す。
LLMサーバ102は、例えば、クラウド上に配置された1以上のサーバで構成される。
このサーバの主記憶装置301には、生成AIモジュール310等のプログラムやアプリケーションが記憶されている。これらのプログラムやアプリケーションをプロセッサ303が実行することで、LLMサーバ102の各機能要素が実現される。
【0033】
実現される機能要素のうち、生成AIモジュール310は、予め大規模データセットにより学習させた深層学習モデルである。このモジュールは、言い換えると、LLM(すなわち、大規模言語モデル)である。このモジュールは、入力されたプロンプト(言い換えると、命令文)に対して回答を出力する。
このモジュールは、大規模なデータセットを用いて予め深層学習モデルを学習させたものであるため、教師データ無しに、かつ、追加学習を行わずに、利用可能である。
【0034】
1-1-3.ユーザ端末103
図4は、ユーザ端末103の構成の一例を示す。
ユーザ端末103は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ノートPC、デスクトップPC等の端末装置である。なお、本実施例では、ユーザの一例として、銀行員を想定している。
【0035】
この端末の主記憶装置401には、ブラウザモジュール410等のプログラムやアプリケーションが記憶されている。これらのプログラムやアプリケーションをプロセッサ403が実行することで、ユーザ端末103の各機能要素が実現される。
【0036】
ブラウザモジュール410は、業務支援サーバ101との間で情報のやり取りを行う。
【0037】
1-2.動作
次に、業務支援サーバ101で実行される業務支援処理500について、
図5を参照して説明する。
図5は、業務支援処理500の一例を示すフロー図である。同図に示す処理では、事業性評価シートの作成を支援する。
なお、上述のとおり、業務支援サーバ101には、以下の業務支援処理500の処理を開始する前に、当該金融機関における事業性評価シートのフォーマットや、入力項目テーブル228が設定されている。
【0038】
まず、第1受付モジュール210は、ユーザ端末103から事業者指定画面600の要求を受け付ける(ステップ501)。当該モジュールは、この要求を受けて、事業者指定画面600をユーザ端末103に表示させる(ステップ502)。
【0039】
図6は、事業者指定画面600の一例を示す。同図に示す画面には、企業名入力欄601、HP情報入力欄602、作成指示ボタン603が含まれている。
これらの表示要素のうち、企業名入力欄601には、事業性評価シートを作成する対象の事業者名が入力される。
HP情報入力欄602には、事業性評価シートを作成する対象の事業者のHPアドレス(URL)が入力される。
作成指示ボタン603は、事業性評価シートの作成を指示するためのボタンである。
なお、
図6の例では、企業名入力欄601、HP情報入力欄602、作成指示ボタン603のみが含まれているがこれに限られるものではない。例えば、銀行が持っている企業情報のデータベースにおけるID(CRM:Customer Relationship Managementで管理されるID)などを、企業を特定するための情報として入力させることも考えられる。また、その場合に、企業情報のデータベースにおいて会社名やHPアドレスの情報などを管理している場合には、企業名入力欄601やHP情報入力欄602を必ずしも設ける必要はない。
【0040】
ユーザは当該画面において、事業者名とHPアドレスを入力して、作成指示ボタン603を選択する。その結果、入力情報がユーザ端末103から業務支援サーバ101に送信され、第1受付モジュール210は入力情報を取得する(ステップ503)。
第1受付モジュール210は、入力情報を取得後、企業情報DB221を検索して、取得した事業者名に対応する事業者IDと業種IDを特定する(ステップ504)。
【0041】
次に、第1取得モジュール211は、作成する事業性評価シートの入力項目のうち、処理対象の入力項目を選択する(ステップ505)。最終的に作成される事業性評価シートには、例えば、会社概要、商流、マーケット、3C分析、5フォース分析、SWOT分析、経営体制、財務サマリー、経営課題、経営施策の合計10個の入力項目が含まれる。
【0042】
次に第1取得モジュール211は、入力項目テーブル228を参照して、選択した入力項目に対応するDBを特定する(ステップ506)。そして当該モジュールは、特定したDBを参照して、対象事業者の情報と、対象事業者が属する業種の情報を取得する(ステップ507)。その際、当該モジュールは、ステップ504で特定した事業者IDまたは業種IDに対応する情報を、各DBから取得する。以下では、このステップで取得する情報を「参考情報」と呼ぶ。
【0043】
次に第1取得モジュール211は、生成AIモジュール310に入力するプロンプトを生成する(ステップ508)。ここで生成されるプロンプト(言い換えると、命令文)には、以下の情報が含まれる。
(1)ステップ503で取得した事業者のHPアドレス
(2)処理対象の入力項目を構成する詳細項目
(3)ステップ507で取得した参考情報
(4)(1)のHPアドレスで指定される事業者について、(3)の参考情報を参考にして、(2)の詳細項目に対応する入力情報を出力するよう命令する文
【0044】
なお、(2)の詳細項目とは、例えば、入力項目「会社概要」の場合は、会社名、代表者、業種、事業内容、拠点、従業員数、業歴、沿革である(
図7参照)。
【0045】
次に第1取得モジュール211は、生成したプロンプトを生成AIモジュール310に入力する(ステップ509)。生成AIモジュール310は、入力されたプロンプトに対応する回答を出力する。出力された回答(言い換えると、入力情報)は、第1取得モジュール211により取得される(ステップ510)。第1取得モジュール211は、取得した入力情報を、事業性評価シートの対応する入力項目の欄に入力する(ステップ511)。
【0046】
次に、第2取得モジュール212は、入力情報の出力を受けて、生成AIモジュール310に入力するプロンプトを生成する(ステップ512)。ここで生成されるプロンプトには、以下の情報が含まれる。
(1)ステップ510で取得した入力情報
(2)模範となる入力情報
(3)(2)の入力情報に照らして、(1)の入力情報において不足する情報を、対象事業者から取得するための質問文を出力するよう命令する文
【0047】
なお、(2)の入力情報とは、生成AIモジュール310によって過去に出力された、処理対象の入力項目に対する1以上の入力情報である。この入力情報は、例えば、ベテラン行員により、生成AIモジュール310を利用して生成された入力情報である。
【0048】
次に第2取得モジュール212は、生成したプロンプトを生成AIモジュール310に入力する(ステップ513)。生成AIモジュール310は、入力されたプロンプトに対応する回答を出力する。出力された回答は、第2取得モジュール212により取得される(ステップ514)。第2取得モジュール212は、取得した回答に質問文が含まれていれば、その質問文を、質問シートの対応する入力項目の欄に入力する(ステップ515)。
【0049】
次に、第1取得モジュール211は、すべての入力項目を処理対象としたか判定する(ステップ516)。この判定の結果、すべての入力項目を処理対象としていない場合には(ステップ516のNO)、当該モジュールは、ステップ505に戻り、次の入力項目を選択する。一方、この判定の結果、すべての入力項目を処理対象とした場合には(ステップ516のYES)、第1出力モジュール213は、生成した事業性評価シートと質問シートをユーザ端末103に表示させる(ステップ517)。
【0050】
ユーザは、表示された事業性評価シートを適宜修正して完成させる。その際、ユーザは、表示された質問シートを使って、対象事業者から不足する情報を聞き出すことができる。そしてユーザは、聞き出した情報を補完することで、事業性評価シートを仕上げることができる。
【0051】
なお、上述の例では、すべての入力項目について、ステップ505~ステップ515の処理を行っているが、これに限られるものではない。例えば、ステップ510において入力情報を取得し、ステップ511において入力情報を事業性評価シートに入力したのち、情報の不足がないか否かを検討したうえで、情報の不足がある場合のみ、ステップ512以降の第2取得モジュール212に係る処理を行うことも考えられる。この際には、例えばベテラン行員などの行員が作成した、十分な情報量を持つ事業性評価シートと情報量が不足した事業性評価シートとを学習することにより、情報量の不足の有無を判断することが考えられる。この点、下記の
図20~
図21、
図23にかかるフローについても同様である。
【0052】
あるいは、同様に、情報量の不足の有無を判断したうえで、ステップ517において質問シートを出力する際に、情報量に不足がないと判断される入力項目にかかる質問文(すなわち、より良くするための質問文)と、情報量の不足があると判断される入力項目にかかる質問文(質問により情報の不足を補うために確認する必要のある質問文)とを区別して表示することも考えられる。この点、下記の
図20~
図21、
図23にかかるフローについても同様である。
【0053】
以下では、ユーザ端末103に表示される事業性評価シートと質問シートの一例について、
図7~
図18を参照して説明する。まず、事業性評価シートについて、入力項目ごとに説明する。
【0054】
図7は、入力項目「会社概要」に対応する入力情報700の一例を示す。同図に示す入力情報700は、複数の詳細項目に対する複数の入力情報により構成されている。複数の詳細項目には、会社名、代表者、業種、事業内容、拠点、従業員数、業歴、沿革が含まれる。
【0055】
図8は、入力項目「商流」に対応する入力情報800の一例を示す。同図に示す入力情報800は、複数の詳細項目に対する複数の入力情報により構成されている。複数の詳細項目には、ビジネスモデル、主事業、サブ事業、仕入先、外注先、販売先、消費者層が含まれる。
なお、下線を施されたテキストには、関連するウェブサイトへのリンクが張られている。ユーザは、必要に応じてこのリンク先を確認することにより、この内容が正しいか否かなどを確認し、ハルシネーションによる記載が残ることを防ぐことができる。
図10以降の例に記載のウェブサイトへのリンクについても同様である。
【0056】
図9は、入力項目「マーケット」に対応する入力情報900の一例を示す。同図に示す入力情報900は、複数の詳細項目に対する複数の入力情報により構成されている。複数の詳細項目には、マーケットサイズ、TAM(Total Addressable Market)、SAM(Serviceable Available Market)、SOM(Serviceable Obtainable Market)、業界動向が含まれる。
【0057】
図10は、入力項目「3C分析」に対応する入力情報1000の一例を示す。同図に示す入力情報1000は、複数の詳細項目に対する複数の入力情報により構成されている。複数の詳細項目には、顧客、競合、自社が含まれる。
なお、下線を施されたテキストには、関連するウェブサイトへのリンクが張られている。
【0058】
図11は、入力項目「5フォース分析」に対応する入力情報1100の一例を示す。同図に示す入力情報1100は、複数の詳細項目に対する複数の入力情報により構成されている。複数の詳細項目には、競合先、売り手、買い手、新規参入、代替品が含まれる。
なお、下線を施されたテキストには、関連するウェブサイトへのリンクが張られている。
【0059】
図12は、入力項目「SWOT分析」に対応する入力情報1200の一例を示す。同図に示す入力情報1200は、複数の詳細項目に対する複数の入力情報により構成されている。複数の詳細項目には、強み、弱み、機会、脅威、強み*機会、弱み*機会、強み*脅威、弱み*脅威が含まれる。
なお、下線を施されたテキストには、関連するウェブサイトへのリンクが張られている。
【0060】
図13は、入力項目「経営体制」に対応する入力情報1300の一例を示す。同図に示す入力情報1300は、複数の詳細項目に対する複数の入力情報により構成されている。複数の詳細項目には、経営ビジョン、組織体制、キーマンが含まれる。
なお、下線を施されたテキストには、関連するウェブサイトへのリンクが張られている。
【0061】
図14は、入力項目「財務サマリー」に対応する入力情報1400の一例を示す。同図に示す入力情報1400は、損益計算書1401と貸借対照表1402により構成されている。
損益計算書1401は、2020年から2024の12月について、売上高、原価、売上総利益、販売費、営業利益、経常利益、EBITDA(Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization)を示している。
一方、貸借対照表1402は、2020年から2024の12月について、現預金、固定資産、総資産、長期借入金、自己資本、CF(Cash Flow)倍率を示している。
【0062】
なお、入力項目「財務サマリー」に対応する入力情報については、損益計算書と貸借対照表のデータを引き写した情報にすぎないため、生成AIモジュール310に生成させずに、業務支援サーバ101の方で生成してもよい。
【0063】
次に、
図15は、入力項目「経営課題」に対応する入力情報1500の一例を示す。同図に示す入力情報1500は、複数の詳細項目に対する複数の入力情報により構成されている。複数の詳細項目には、短期課題、長期課題が含まれる。
【0064】
図16は、入力項目「経営施策」に対応する入力情報1600の一例を示す。同図に示す入力情報1600は、複数の詳細項目に対する複数の入力情報により構成されている。複数の詳細項目には、人員施策、ビジネス施策、財務施策、DX(Digital Transformation)施策が含まれる。
【0065】
次に、質問シートについて説明する。質問シートについては、一例として、入力項目「5フォース分析」と入力項目「SWOT分析」についてのみ説明する。
【0066】
図17は、入力項目「5フォース分析」に関する質問リスト1700の一例を示す。同図に示す質問リスト1700は、複数の質問項目についての複数の質問文により構成されている。複数の質問項目には、企業概要、市場環境、サプライチェーン、顧客情報、新規参入障壁、代替品が含まれる。
【0067】
図18は、入力項目「SWOT分析」に関する質問リスト1800の一例を示す。同図に示す質問リスト1800複数の質問項目についての複数の質問文により構成されている。複数の質問項目には、強み、弱み、機会、脅威、強み*機会、弱み*機会、強み*脅威、弱み*脅威が含まれる。
以上が、業務支援処理500についての説明である。
【0068】
以上説明した業務支援処理500によれば、生成AIを用いて事業性評価シートを作成することができる。これにより、従来、事業性評価シートの作成に要していた、情報収集や資料作成の手間と時間を削減することができる。
【0069】
また、この業務支援処理500によれば、生成対象の入力項目に応じて、経理情報や決算書データ等の参考情報がプロンプトを含められる。これにより、生成AIから出力される入力情報の精度が向上する。
【0070】
また、この業務支援処理500によれば、一旦出力された入力情報に不足する情報がある場合に、その不足する情報を事業者から聞き出すための質問文が出力される。行員は、この質問文を使って、事業者に不足する情報を聞き出し、事業性評価シートの内容を補完することができる。これにより、資料作成スキルやヒアリングスキルの低い行員であっても、高品質の事業性評価シートを作成することができる。その結果、行員間の事業性評価シートの品質のバラツキが抑えられる。
【0071】
2.変形例
上記の実施例を下記のように変形してもよい。以下の変形例は互いに組み合わせてもよい。
【0072】
2-1.事業性評価シート
上記の実施例で作成される事業性評価シートは、事業者の事業性を評価するための文書の一例である。事業者の事業性を評価するための文書であれば、その他の名称を有する文書(例えば、事業計画書)を作成してもよい。
【0073】
2-2.第1受付モジュール210
上記の実施例で第1受付モジュール210は、対象の事業者を特定する情報として事業者名の入力を受け付けている(
図5のステップ503参照)。しかし、事業者名は、対象の事業者を特定する情報の一例にすぎない。第1受付モジュール210は、この事業者名に代えて、法人番号、CIF(Customer Information File)番号、所在地、代表者名等のその他の識別情報を受け付けてもよい。そして第1受付モジュール210は、企業情報DB221を検索して、受け付けた識別情報に対応する事業者IDと業種IDを特定してもよい。
【0074】
2-3.入力情報等の取得方法
上記の業務支援処理500では、入力項目ごとに入力情報と質問文を取得している。しかし、このような取得方法は必ずしも必須ではない。別の取得方法として、複数の入力項目ごとに入力情報等を取得してもよい。例えば、「会社概要」と「商流」の2つの入力項目について、一度に入力情報等を取得してもよい。また別の例として、すべての入力項目について、一度に入力情報等を取得してもよい。その場合、第1取得モジュール211は、事業性評価シートのフォーマット情報をプロンプトに含め、フォーマット情報に従って事業性評価シートを出力するよう生成AIモジュール310に指示してもよい。
【0075】
2-4.生成AIモジュール310
上記の業務支援処理500では、2回目のプロンプトに、模範となる入力情報を含めている(
図5のステップ512参照)。これにより、生成AIモジュール310が、一旦生成した入力情報において不足する情報を特定することを可能にしている。しかし、不足する情報を特定可能にする方法は、これに限られない。別の方法として、生成AIモジュール310をファインチューニングする方法がある。具体的には、生成AIモジュール310に、入力項目と当該入力項目に対する入力情報の組を複数学習させる。これにより、生成AIモジュール310は、学習させた入力情報に照らして、不足する情報を特定可能になる。
【0076】
2-5.事業性評価シートの修正
上記の業務支援処理500では、不足する情報が存在する場合に、ユーザが事業性評価シートを修正する。しかし、このような修正方法は必ずしも必須ではない。別の修正方法として、生成AIモジュール310に事業性評価シートを修正させてもよい。
【0077】
この場合、業務支援サーバ101は、第2受付モジュール1901、第3取得モジュール1902、第2出力モジュール1903をさらに備える。以下、これらのモジュールを備える業務支援サーバ101を、業務支援サーバ1900と呼ぶ。
図19は、この業務支援サーバ1900の構成の一例を示す。
【0078】
同図に示す第2受付モジュール1901は、出力した質問文に対する回答をユーザから受け付ける。
第3取得モジュール1902は、第2受付モジュール1901により受け付けられた回答を生成AIに入力して、不足する情報が補完された入力情報を取得する。なお、ここで言う生成AIとは、具体的には、後述する生成AIモジュール310である。
第2出力モジュール1903は、第3取得モジュール1902により取得された入力情報を出力する。具体的には当該モジュールは、取得された入力情報をユーザ端末103のディスプレイに表示させる。
【0079】
次に、業務支援サーバ1900の動作について説明する。説明する動作は、事業性評価シートの作成を支援する業務支援処理2000である。
図20および
図21は、同処理の一例を示すフロー図である。これらの図に示す処理2000は、ステップ501~516を有する点で、
図5に示す処理500と共通する。以下では、これらのステップの説明は省略する。
【0080】
業務支援処理2000では、ステップ516に続いてステップ2001が実行される。ステップ2001では、第1出力モジュール213は、生成した事業性評価シートと質問シートをユーザ端末103に表示させる。この際、表示される質問シートには、質問文ごとに回答入力欄が設けられている。
【0081】
図22は、表示される質問シートのうち、入力項目「5フォース分析」に関する質問リスト2200の一例を示す。同図に示す質問リスト2200には、質問文ごとに回答入力欄2201が設けられている。
【0082】
ユーザは、この質問リスト2100の質問文を使って、事業者から不足する情報を聞き出す。そしてユーザは、聞き出した情報を回答入力欄2201に入力する。以下では、この回答入力欄2201に入力される情報と、それに対応する質問文を、「追加情報」と呼ぶ。
【0083】
ユーザは、同様の要領でその他の入力項目についても回答入力欄2201を埋める。そしてユーザは、図示せぬ修正指示ボタンを選択する。この修正指示ボタンは、事業性評価シートの修正を指示するためのボタンである。このボタンの選択により、入力された追加情報がユーザ端末103から業務支援サーバ1900に送信され、第2受付モジュール1901は追加情報を取得する(ステップ2002)。
【0084】
次に、第3取得モジュール1902は、修正する事業性評価シートの入力項目のうち、処理対象の入力項目を選択する(ステップ2003)。そして当該モジュールは、選択した入力項目について、生成AIモジュール310に入力するプロンプトを生成する(ステップ2004)。ここで生成されるプロンプトには、以下の情報が含まれる。
(1)ステップ510で取得した、処理対象の入力項目に対する入力情報
(2)処理対象の入力項目に関する追加情報
(3)模範となる入力情報
(4)(3)の入力情報を参考にして、(2)の追加情報に基づき、(1)の入力情報を修正するよう命令する文
【0085】
なお、(2)の入力情報とは、生成AIモジュール310によって過去に出力された、処理対象の入力項目に対する1以上の入力情報である。この入力情報は、例えば、ベテラン行員により、生成AIモジュール310を利用して生成された入力情報である。
【0086】
次に第3取得モジュール1902は、生成したプロンプトを生成AIモジュール310に入力する(ステップ2005)。生成AIモジュール310は、入力されたプロンプトに対応する回答を出力する。出力された回答(言い換えると、入力情報)は、第3取得モジュール1902により取得される(ステップ2006)。第3取得モジュール1902は、取得した入力情報を、事業性評価シートの対応する入力項目の欄に入力する(ステップ2007)。その際、当該モジュールは、すでに当該欄に入力されている古い入力情報を、新しい入力情報に差し替える。
【0087】
次に、第3取得モジュール1902は、すべての入力項目を処理対象としたか判定する(ステップ2008)。この判定の結果、すべての入力項目を処理対象としていない場合には(ステップ2008のNO)、当該モジュールは、ステップ2003に戻り、次の入力項目を選択する。一方、この判定の結果、すべての入力項目を処理対象とした場合には(ステップ2008のYES)、第2出力モジュール1903は、修正した事業性評価シートをユーザ端末103に表示させる(ステップ2009)。
以上が、業務支援処理2000についての説明である。
【0088】
以上説明した業務支援処理2000によれば、生成AIモジュール310に事業性評価シートを修正させることができる。これにより、修正の手間と時間を節約することができる。
【0089】
なお、上記の処理では、追加情報をユーザに手入力させているが、追加情報の入力方法は、これに限られない。別の入力方法として、例えば、追加情報をカメラで撮影した画像を業務支援サーバ1900にアップロードしてもよい。また別の方法として、追加情報を録音した音声データを業務支援サーバ1900にアップロードしてもよい。
【0090】
また、上記の処理では、ユーザ(すなわち、銀行員)が追加情報を入力しているが、この追加情報の入力を事業者に行わせてもよい。その場合、業務支援サーバ1900は、質問シートだけ、事業者が使用するユーザ端末103に表示させ、事業者の端末から追加情報を取得してもよい。これにより、行員が追加情報を入力する手間が省ける。
【0091】
2-6.質問文を出力する条件
上記の業務支援処理500では、2回目のプロンプトで、質問文を出力するよう命令する(
図5のステップ512参照)。その際、第2取得モジュール212は、質問文を出力する条件を具体的に指定してもよい。
【0092】
例えば、第2取得モジュール212は、第1取得モジュール211により取得された入力情報が事業者の経済状況に関する情報であり、かつ、その経済状況の変化が所定の条件を満たす場合に、所定の質問文を出力するよう生成AIに指示してもよい。
【0093】
この際の、事業者の経済状況に関する情報とは、例えば、入力項目「財務サマリー」に対する入力情報である。
経済状況の変化が所定の条件とは、例えば、事業者の財務指標(例えば、売上高)が過年度比で所定値または所定割合以上、低下した場合である。
所定の質問文とは、経済状況の変化の原因に関する情報を、不足する情報として、対象事業者から取得するための質問文である。
生成AIとは、具体的には、後述する生成AIモジュール310である。
【0094】
このように事業者の財務指標が悪化した場合に質問文を出力させることで、ユーザは悪化の原因究明を促されることになる。そしてユーザは、事業者から聞き出した悪化の原因を、事業性評価シートの修正に用いることができる。
【0095】
2-7.プロンプトの入力回数
上記の業務支援処理500では、生成AIモジュール310に対し、1つの入力項目につき、2つのプロンプトを入力している。1回目のプロンプトでは入力情報を生成させ、2回目のプロンプトでは、不足する情報を取得するための質問文を生成させている。しかし、2つのプロンプトを入力することは必ずしも必須ではなく、1つのプロンプトだけで、入力情報と質問文の両方を生成させてもよい。
【0096】
その場合、第1取得モジュール211は、第1受付モジュール210を介して指定された事業者について、事業性を評価するための文書の入力項目に対する入力情報を生成する場合に不足する情報を、指定された事業者から取得するための質問文を出力するよう生成AIに指示する。そして当該モジュールは、生成AIから出力される質問文を取得する。
以下、この第1取得モジュール211の具体的な動作について説明する。
【0097】
図23は、本変形例に係る業務支援処理2300の一例を示すフロー図である。同図に示す処理2300は、ステップ501~507を有する点で、
図5に示す処理500と共通する。以下では、これらのステップの説明は省略する。
【0098】
業務支援処理2300では、ステップ507に続いてステップ2301が実行される。ステップ2301で第1取得モジュール211は、生成AIモジュール310に入力するプロンプトを生成する。ここで生成されるプロンプトには、以下の情報が含まれる。
(1)ステップ503で取得した事業者のHPアドレス
(2)処理対象の入力項目を構成する詳細項目
(3)ステップ507で取得した参考情報
(4)(1)のHPアドレスで指定される事業者について、(3)の参考情報を参考にして、(2)の詳細項目に対応する入力情報を出力するよう命令する文
(5)模範となる入力情報
(6)(4)の命令文に従って出力する入力情報において、(5)の入力情報に照らして不足する情報を、対象事業者から取得するための質問文を出力するよう命令する文
【0099】
なお、(2)の詳細項目とは、例えば、入力項目「会社概要」の場合は、会社名、代表者、業種、事業内容、拠点、従業員数、業歴、沿革である(
図7参照)。
(5)の入力情報とは、生成AIモジュール310によって過去に出力された、処理対象の入力項目に対する1以上の入力情報である。この入力情報は、例えば、ベテラン行員により、生成AIモジュール310を利用して生成された入力情報である。
【0100】
次に第1取得モジュール211は、生成したプロンプトを生成AIモジュール310に入力する(ステップ2302)。生成AIモジュール310は、入力されたプロンプトに対応する回答を出力する。出力された回答(言い換えると、入力情報と質問文)は、第1取得モジュール211により取得される(ステップ2303)。第1取得モジュール211は、取得した入力情報を、事業性評価シートの対応する入力項目の欄に入力する(ステップ2304)。また当該モジュールは、取得した回答に質問文が含まれていれば、その質問文を、質問シートの対応する入力項目の欄に入力する(ステップ2305)。
【0101】
次に、第1取得モジュール211は、すべての入力項目を処理対象としたか判定する(ステップ2306)。この判定の結果、すべての入力項目を処理対象としていない場合には(ステップ2306のNO)、当該モジュールは、ステップ505に戻り、次の入力項目を選択する。一方、この判定の結果、すべての入力項目を処理対象とした場合には(ステップ2306のYES)、第1出力モジュール213は、生成した事業性評価シートと質問シートをユーザ端末103に表示させる(ステップ2307)。
以上が、業務支援処理2300についての説明である。
【0102】
以上説明した処理でも、事業性評価シートと質問シートを作成することができる。
【0103】
2-8.事業性評価シートの作成者
上記の実施例では、事業性評価シートの作成者として銀行員を想定している。しかし、銀行員は、あくまで作成者の一例にすぎない。別の作成者として、例えば、事業者により事業性評価シートが作成されてもよい。
【0104】
2-9.参考情報の種類
上記の業務支援処理500では、対象事業者の情報が参考情報として取得される(
図5のステップ507参照)。ここで取得される参考情報に、当該事業者の業務に関する情報(言い換えると、業務データ)を含めてもよい。
【0105】
その場合、業務支援サーバ101は、業務情報DBをさらに備える。この業務情報DBは、各事業者の業務に関する情報を格納するデータベースである。このDBに格納される情報には、事業者が雇用する従業員の勤怠に関する情報が含まれる。各事業者の業務情報は、事業者IDと対応付けて記憶される。
【0106】
そして第1取得モジュール211は、
図5のステップ506において業務情報DBを特定した場合に、続くステップ507において業務情報DBから、対象事業者の業務データを取得する。そして第1取得モジュール211は、入力項目に対する入力情報を、取得した業務データに基づいて出力するよう生成AIモジュール310に指示する。
【0107】
2-10.参考情報の選択方法
上記の業務支援処理500では、入力項目テーブル228を参照して、参考情報を取得するDBを特定している(
図5のステップ506参照)。すなわち、入力項目ごとに、参考情報を取得するDBを変えている。しかし、このDBの変更は必ずしも必須ではない。別の態様として、すべての入力項目について同じDBから参考情報を取得してもよい。このような態様であっても、事業性評価シートを作成することができる。
【0108】
2-11.模範となる入力情報
上記の業務支援処理500では、2回目のプロンプトに、模範となる入力情報が含められる(
図5のステップ512参照)。この模範となる入力情報を、対象事業者の属性に応じて変更してもよい。例えば、対象事業者の業種に応じて変更してもよい。その場合、選択される入力情報は、対象事業者と同じ業種の事業者について過去に出力された入力情報とする。また別の例として、対象事業者の規模に応じて変更してもよい。その場合、選択される入力情報は、対象事業者と同規模の事業者について過去に出力された入力情報とする。このように、模範となる入力情報を可変とすることで、生成AIモジュール310から出力される回答の精度が向上する。
【0109】
2-12.事業性評価シートの管理
上記の実施例では事業性評価シートが作成されるが、作成した事業性評価シートの情報が古くなったときに、ユーザにアラートを出力してもよい。これによりユーザは、事業性評価シートの情報が古くなったことに気付くことができる。
【0110】
具体的な方法としては、業務支援サーバ101は、作成した事業性評価シートとともに、当該シートを作成する際に参考にした決算書データの作成日を記録しておく。そして当該サーバは、当該作成日から所定の期間が経過すると、ユーザに対してアラートを出力する。これによりユーザは、自身が作成した事業性評価シートの情報が古くなったことに気付くことができる。
【0111】
2-13.機能配置
上記の実施例では、業務支援サーバ101とLLMサーバ102の2つのサーバにより業務支援処理500が実行されている。しかし、この機能配置はあくまで一例である。各サーバの機能は、業務支援処理500の実行環境に応じて適宜配置されてよい。例えば、LLMサーバ102の一部または全部の機能を業務支援サーバ101に持たせてもよい。
【0112】
2-14.システムの構成要素
上記の情報処理システム100を構成する各装置は、例えば、スマートフォン、タブレット、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)などの携帯端末(モバイル端末)でもよいし、メガネ型や腕時計型、着衣型などのウェアラブル端末でもよい。また各装置は、据置型または携帯型のコンピュータや、クラウドやネットワーク上に配置されるサーバでもよい。また各装置は、機能としてはVR(仮想現実:Virtual Reality)端末、AR(拡張現実:Augmented Reality)端末、MR(複合現実:Mixed Reality)端末でもよい。あるいは、これらの複数の端末の組合せであってもよい。例えば、1台のスマートフォンと1台のウェアラブル端末との組合せが論理的に一つの端末として機能し得る。またこれら以外の情報処理端末であってもよい。
【0113】
2-15.その他
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0114】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0115】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
なお、上述の実施例は少なくとも以下に記載の構成を開示している。
(1)
事業者の事業性を評価するための文書の作成を支援する情報処理システムであって、
事業者の指定を受け付ける第1受付手段と、
前記指定された事業者について、事業性を評価するための文書の入力項目に対する入力情報を出力するよう生成AIに指示し、出力された入力情報を取得する第1取得手段と、
前記取得された入力情報について、不足する情報を前記指定された事業者から取得するための質問文を出力するよう前記生成AIに指示し、出力された質問文を取得する第2取得手段と、
前記取得された質問文を出力する第1出力手段と、
を備える情報処理システム。
(2)
前記第2取得手段は、前記生成AIによって過去に出力された前記入力項目に対する入力情報に基づいて前記不足する情報を特定するよう前記生成AIに指示する、
(1)に記載の情報処理システム。
(3)
前記生成AIは、前記不足する情報を特定可能とするために、前記入力項目と前記入力項目に対する入力情報の組を複数学習させた言語モデルである、
(1)に記載の情報処理システム。
(4)
前記質問文に対する回答をさらに受け付ける第2受付手段と、
前記回答を前記生成AIに入力して、前記不足する情報が補完された別の入力情報を取得する第3取得手段と、
前記取得された別の入力情報を出力する第2出力手段と、
をさらに備える、(1)に記載の情報処理システム。
(5)
前記第1取得手段は、前記指定された事業者について、前記入力項目に対する入力情報を、前記指定された事業者の経理情報および決算書データの少なくとも一方に基づいて出力するよう前記生成AIに指示する、
(1)に記載の情報処理システム。
(6)
前記入力項目は、会社概要、商流、マーケット、3C分析、5フォース分析、SWOT分析、経営体制、財務サマリー、経営課題、経営施策のいずれかである、
(1)に記載の情報処理システム。
(7)
前記第2取得手段は、前記取得された入力情報が前記指定された事業者の経済状況に関する情報であり、当該経済状況の変化が所定の条件を満たす場合に、当該変化の原因に関する情報を、前記不足する情報として、前記指定された事業者から取得するための質問文を出力するよう前記生成AIに指示する、
(1)に記載の情報処理システム。
(8)
コンピュータにより実行される、事業者の事業性を評価するための文書の作成を支援する情報処理方法であって、
事業者の指定を受け付けるステップと、
前記指定された事業者について、事業性を評価するための文書の入力項目に対する入力情報を出力するよう生成AIに指示し、出力された入力情報を取得するステップと、
前記取得された入力情報について、不足する情報を前記指定された事業者から取得するための質問文を出力するよう前記生成AIに指示し、出力された質問文を取得するステップと、
前記取得された質問文を出力するステップと、
を含む情報処理方法。
(9)
事業者の事業性を評価するための文書の作成を支援するプログラムであって、
コンピュータに、
事業者の指定を受け付けるステップと、
前記指定された事業者について、事業性を評価するための文書の入力項目に対する入力情報を出力するよう生成AIに指示し、出力された入力情報を取得するステップと、
前記取得された入力情報について、不足する情報を前記指定された事業者から取得するための質問文を出力するよう前記生成AIに指示し、出力された質問文を取得するステップと、
前記取得された質問文を出力するステップと、
を実行させるためのプログラム。
(10)
事業者の事業性を評価するための文書の作成を支援する情報処理システムであって、
事業者の指定を受け付ける受付手段と、
前記指定された事業者について、事業性を評価するための文書の入力項目に対する入力情報を生成する場合に不足する情報を前記指定された事業者から取得するための質問文を出力するよう生成AIに指示し、出力された質問文を取得する取得手段と、
前記取得された質問文を出力する出力手段と、
を備える情報処理システム。
【符号の説明】
【0116】
100…情報処理システム、101…業務支援サーバ、102…LLMサーバ、103…ユーザ端末
【要約】
【課題】 生成AIを利用して、事業者の事業性を評価するための文書の作成を支援する仕組みを提供する。
【解決手段】 事業者の事業性を評価するための文書の作成を支援する情報処理システムであって、事業者の指定を受け付ける第1受付手段と、指定された事業者について、事業性を評価するための文書の入力項目に対する入力情報を出力するよう生成AIに指示し、出力された入力情報を取得する第1取得手段と、取得された入力情報について、不足する情報を、指定された事業者から取得するための質問文を出力するよう生成AIに指示し、出力された質問文を取得する第2取得手段と、取得された質問文を出力する第1出力手段と、を備える情報処理システム。
【選択図】
図5