(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/525 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
B41J2/525
(21)【出願番号】P 2022551992
(86)(22)【出願日】2021-09-21
(86)【国際出願番号】 JP2021034564
(87)【国際公開番号】W WO2022065298
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-03-20
(31)【優先権主張番号】P 2020159438
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】間村 俊樹
【審査官】大関 朋子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-129342(JP,A)
【文献】特開2013-031148(JP,A)
【文献】特開2018-207258(JP,A)
【文献】米国特許第07899265(US,B1)
【文献】特開2006-262436(JP,A)
【文献】特開2009-159388(JP,A)
【文献】特開2007-028358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/525
B41J 21/00
G03G 15/00
G03G 21/00
H04N 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像における注目画素の画素属性が文字であるか否かを判定する画素属性判定部と、
前記注目画素の画素属性が文字である場合、前記注目画素の背景の画素値と前記注目画素の画素値とが同一であるか否かを判定し、前記注目画素の背景の画素値と前記注目画素の画素値とが同一であるときには、前記注目画素を同値背景上文字画素として検出する同値背景上文字検出部と、
所定の画像処理を実行して前記入力画像から出力画像を生成し、前記同値背景上文字画素および前記背景に対して同一設定で前記画像処理を実行し、前記同値背景上文字画素以外の文字と前記背景とに対して互いに異なる設定で画像処理を実行する出力画像処理部と、
前記出力画像をプリントする画像出力部と、
を備え
、
前記出力画像処理部は、前記入力画像における同値背景上文字を忠実にプリントするか否かを指定するユーザー設定の設定値に応じて、(a)前記同値背景上文字画素に対して前記背景と同一設定で前記画像処理を実行するか、(b)前記同値背景上文字画素に対して前記背景とは異なる設定で画像処理を実行するかを決定すること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記出力画像処理部は、前記同値背景上文字画素および前記背景に対して同一の線数および向きでスクリーン処理を実行し、前記同値背景上文字画素以外の文字と前記背景とに対して、互いに異なる線数および互いに異なる向きの少なくとも一方でスクリーン処理を実行することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
入力画像における注目画素の画素属性が文字であるか否かを判定する画素属性判定部と、
前記注目画素の画素属性が文字である場合、前記注目画素の背景の画素値と前記注目画素の画素値とが同一であるか否かを判定し、前記注目画素の背景の画素値と前記注目画素の画素値とが同一であるときには、前記注目画素を同値背景上文字画素として検出する同値背景上文字検出部と、
所定の画像処理を実行して前記入力画像から出力画像を生成し、前記同値背景上文字画素および前記背景に対して同一設定で前記画像処理を実行し、前記同値背景上文字画素以外の文字と前記背景とに対して互いに異なる設定で画像処理を実行する出力画像処理部と、
前記出力画像をプリントする画像出力部と、
を備え、
前記出力画像処理部は、前記同値背景上文字画素に対して前記背景と同一設定で前記画像処理を実行する場合、ユーザー設定の設定値に応じて、(a)前記同値背景上文字画素および前記背景に対して文字用設定で前記画像処理を実行するか、(b)前記同値背景上文字画素および前記背景に対して非文字用設定で前記画像処理を実行するかを決定することを特徴とす
る画像形成装置。
【請求項4】
前記出力画像処理部は、前記同値背景上文字画素以外の文字に対しては前記文字用設定で前記画像処理を実行することを特徴とする請求項
3記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある画像処理装置は、ページ記述言語で記述されたデータに基づいて、対象画像における各画素の画素属性を特定し、対象画像における各画素に対して、画素属性に応じた画像処理(スクリーン処理など)を行っている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、背景と同じ画素値の文字と背景とで異なるスクリーン処理が実行される場合、次のような問題が生じる。
【0005】
上述の画像処理装置では、対象画像において、背景上に、背景と同じ画素値の文字が存在する場合、ホスト装置などのモニターで表示される対象画像(つまり、スクリーン処理などの画像処理の前の対象画像)では両者が同一の画素値を有するため、ユーザーは、背景上の文字を視認することが困難であるが、プリントのために、両者に対して互いに異なる画像処理(スクリーン処理)が実行されるため、プリント生成物上の対象画像においては、背景上の文字が視認されてしまう。
【0006】
したがって、対象画像において、ユーザーが、意図的に、背景と同じ画素値の文字を背景に埋め込んだ場合でも、モニターで表示される対象画像ではその文字を視認できないにも拘わらず、プリント生成物上では視認できてしまい、ユーザーの意図に反したプリント生成物が出力されてしまう。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、ユーザーが意図的に背景に埋め込んだ文字がプリント生成物上で視認されないようにする画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像形成装置は、入力画像における注目画素の画素属性が文字であるか否かを判定する画素属性判定部と、前記注目画素の画素属性が文字である場合、前記注目画素の背景の画素値と前記注目画素の画素値とが同一であるか否かを判定し、前記注目画素の背景の画素値と前記注目画素の画素値とが同一であるときには、前記注目画素を同値背景上文字画素として検出する同値背景上文字検出部と、所定の画像処理を実行して前記入力画像から出力画像を生成し、前記同値背景上文字画素および前記背景に対して同一設定で前記画像処理を実行し、前記同値背景上文字画素以外の文字と前記背景とに対して互いに異なる設定で画像処理を実行する出力画像処理部と、前記出力画像をプリントする画像出力部とを備える。さらに、次の(A)または(B)の構成を備える。(A)前記出力画像処理部は、前記入力画像における同値背景上文字を忠実にプリントするか否かを指定するユーザー設定の設定値に応じて、(a)前記同値背景上文字画素に対して前記背景と同一設定で前記画像処理を実行するか、(b)前記同値背景上文字画素に対して前記背景とは異なる設定で画像処理を実行するかを決定する。(B)前記出力画像処理部は、前記同値背景上文字画素に対して前記背景と同一設定で前記画像処理を実行する場合、ユーザー設定の設定値に応じて、(a)前記同値背景上文字画素および前記背景に対して文字用設定で前記画像処理を実行するか、(b)前記同値背景上文字画素および前記背景に対して非文字用設定で前記画像処理を実行するかを決定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザーが意図的に背景に埋め込んだ文字がプリント生成物上で視認されないようにする画像形成装置が得られる。
【0010】
本発明の上記又は他の目的、特徴および優位性は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す画像形成装置の動作について説明するフローチャートである。
【
図3】
図3は、
図2におけるマーキング処理(ステップS3)について説明するフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施の形態1における画像処理(ステップS4)について説明するフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施の形態2における画像処理(ステップS4)について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
実施の形態1.
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
図1に示す画像形成装置は、例えばプリンター、コピー機、複合機などといったプリント機能を有する装置である。
【0015】
図1に示す画像形成装置は、画像入力部1、画像処理部2、および画像出力部3を備える。
【0016】
画像入力部1は、画像処理部2に対して、入力画像を指定する。
【0017】
例えば、画像入力部1は、画像読取装置を備え、その画像読取装置で、1ページずつ、原稿画像を光学的に読み取り、その原稿画像の画像データを生成し、入力画像の画像データとして画像処理部2に出力する。
【0018】
また、例えば、画像入力部1は、USB(Universal Serial Bus)などの周辺機器インターフェイスを備え、周辺機器インターフェイスに装着された着脱可能な記憶装置(USBメモリーなど)から入力画像の画像データを読み出し、画像処理部2に出力する。
【0019】
また、例えば、画像入力部1は、ネットワークインターフェイスなどの通信装置を備え、パーソナルコンピューターなどといったホスト装置から、入力画像(例えばホスト装置においてオフィスアプリケーションなどで作成された文書画像など)を指定するプリント要求を受信し、画像処理部2に出力する。
【0020】
画像処理部2は、画像入力部1により指定された入力画像に対して、各種画像処理を行い、画像処理後の画像データを画像出力部3に出力する。
【0021】
画像出力部3は、例えば電子写真方式のカラープリントエンジンを有し、画像処理部2からの画像データに基づく画像をプリント用紙にプリントする。
【0022】
操作部4は、ユーザーによって操作され、各種設定の設定値を指定するユーザー操作を検出する。例えば、操作部4は、当該画像形成装置の操作パネル(液晶ディスプレイパネル、インジケーターなどといった表示装置、およびタッチパネルやハードキーなどといった入力装置)でもよいし、ホスト装置の表示装置(ドライバー画面を表示する液晶ディスプレイパネルなど)および入力装置(タッチパネル、キーボードなど)でもよい。なお、操作部4がホスト装置の入力装置である場合には、操作部4に対するユーザー操作により指定された各種設定の設定値が、プリント要求とともに画像処理部2に入力される。
【0023】
画像処理部2は、プログラムを実行するコンピューターや、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を備え、そのコンピューターやASICでソフトウェア処理および/またはハードウェア処理を実行することで、入力画像処理部11、マーキング処理部12、および出力画像処理部13として動作する。
【0024】
入力画像処理部11は、画像入力部1により指定された入力画像の画像データおよび属性データを取得する。画像データは、画素ごとに、濃度や色を示すデータであり、属性データは、画素ごとに、画素属性(文字、非文字(イメージ)など)を示すデータである。
【0025】
例えば、入力画像の画像データが画像入力部1から入力された場合、入力画像処理部11は、例えば既存の領域分離処理を実行して入力画像の各画素の画素属性を特定し、入力画像の各画素の属性を示す属性データを生成する。
【0026】
例えば、通信装置で受信されたプリント要求が画像入力部1から入力された場合、入力画像処理部11は、そのプリント要求についてラスターイメージ処理などを実行して、入力画像の画像データおよび属性データを生成する。
【0027】
マーキング処理部12は、画像データおよび属性データを解析し、入力画像における同値背景上文字画素を検出し記録する。
【0028】
マーキング処理部12は、画素属性判定部21および同値背景上文字検出部22を備える。
【0029】
画素属性判定部21は、入力画像における注目画素の画素属性が文字であるか否かを判定する。
【0030】
同値背景上文字検出部22は、注目画素の画素属性が文字である場合、注目画素の背景の画素値と注目画素の画素値とが同一であるか否かを判定し、注目画素の背景の画素値と注目画素の画素値とが同一であるときには、注目画素を同値背景上文字画素として検出する。
【0031】
例えば、同値背景上文字検出部22は、入力画像における各画素が同値背景上文字画素であるか否かを示す2値データをメモリーなどの記憶装置に記憶する。
【0032】
出力画像処理部13は、画素属性に対応する、色変換処理、色補正処理、黒生成/UCR(Under Color Removal)処理、スクリーン処理などといった特定の画像処理を行う。具体的には、出力画像処理部13は、画素属性が文字である画素と画素属性が非文字である画素とで線数の異なるスクリーン処理、画素属性が文字である画素と画素属性が非文字である画素とでUCR(Under Color Removal)率の異なる色変換処理などを実行する。なお、画素属性が文字である場合、ジャギー抑制や文字視認性向上のために、画素属性が非文字である場合とは異なる線数でスクリーン処理が実行される。
【0033】
出力画像処理部13は、上述の画像処理を実行して上述の入力画像から出力画像を生成する。その際、出力画像処理部13は、入力画像における同値背景上文字画素および背景に対して同一設定で画像処理を実行し、入力画像における同値背景上文字画素以外の文字(つまり、背景とは異なる画素値の文字属性画素、または背景のない(背景が白である)文字属性画素)と背景とに対して互いに異なる設定で画像処理を実行する。
【0034】
例えば、出力画像処理部13は、同値背景上文字画素および背景に対して同一の線数および向きでスクリーン処理を実行し、また、同値背景上文字画素以外の文字と背景とに対して、互いに異なる線数および互いに異なる向きの少なくとも一方でスクリーン処理を実行する。
【0035】
また、実施の形態1では、出力画像処理部13は、入力画像における同値背景上文字を忠実にプリントするか否かを指定するユーザー設定(以下、モニター表示忠実設定という)の設定値に応じて、(a)同値背景上文字画素に対して背景と同一設定で画像処理を実行するか、(b)同値背景上文字画素に対して背景とは異なる設定で画像処理を実行するかを決定する。なお、そのユーザー設定の設定値は、操作部4から入力される。
【0036】
次に、実施の形態1に係る画像形成装置の動作について説明する。
【0037】
図2は、
図1に示す画像形成装置の動作について説明するフローチャートである。
【0038】
まず、入力画像処理部11が、画像入力部1からのプリント要求や画像データに基づいて、入力画像の画像データおよび属性データを取得する(ステップS1)。
【0039】
次に、マーキング処理部12が、マーキング処理を行う(ステップS2)。マーキング処理において、マーキング処理部12は、その画像データおよび属性データに基づいて、入力画像における同値背景上文字画素を検出し記録する。
【0040】
さらに、出力画像処理部13は、マーキング処理の結果に基づいて、プリント生成物上での同値背景上文字を不可視化するために、特定の設定項目の設定値を選択し、選択した設定値を使用して特定の画像処理を実行し、入力画像に対応する出力画像を生成する(ステップS3)。
【0041】
そして、画像出力部3は、その出力画像のプリントを実行する(ステップS4)。
【0042】
図3は、
図2におけるマーキング処理(ステップS3)について説明するフローチャートである。
【0043】
マーキング処理部12は、上述の入力画像において、所定の走査順序で注目画素を選択し(ステップS11)、画素属性判定部21は、上述の属性データに基づいて、注目画素の画素属性が文字であるか否かを判定する(ステップS12)。
【0044】
注目画素の画素属性が文字であると判定された場合、同値背景上文字検出部22は、注目画素の背景(注目画素の周囲の所定範囲における画素のうち、画素属性が非文字である画素)を特定し、その注目画素の背景(上述の、画素属性が非文字である画素のすべて)の画素値と注目画素の画素値との差分がゼロであるか否か(つまり、両者が同一であるか否か)を判定する(ステップS13)。
【0045】
両者の差分がゼロである場合、同値背景上文字検出部22は、注目画素を同一背景上文字画素として記録する(ステップS14)。
【0046】
一方、注目画素の画素属性が文字ではない場合、および上述の差分がゼロではない場合には、同値背景上文字検出部22は、注目画素を同一背景上文字画素として記録しない。
【0047】
そして、マーキング処理部12は、現在の注目画素が入力画像の最後の画素であるか否かを判定し(ステップS15)、現在の注目画素が入力画像の最後の画素でなければ、ステップS11に戻り、次の注目画素を選択する。その後、その次の注目画素に対してステップS12以降の同様の処理が実行される。一方、現在の注目画素が入力画像の最後の画素であれば、マーキング処理部12は、マーキング処理を終了する。
【0048】
図4は、実施の形態1における画像処理(ステップS4)について説明するフローチャートである。
【0049】
出力画像処理部13は、上述の入力画像において、所定の走査順序で注目画素を選択し(ステップS21)、上述の属性データに基づいて、注目画素の画素属性が文字であるか否かを判定する(ステップS22)。
【0050】
注目画素の画素属性が文字である場合、出力画像処理部13は、上述の2値データに基づいて、注目画素が同値背景上文字画素であるか否かを判定する(ステップS23)。
【0051】
注目画素が同値背景上文字画素である場合、出力画像処理部13は、モニター表示忠実設定の設定値がオンであるか否かを判定し(ステップS24)、モニター表示忠実設定の設定値がオンであるときには、注目画素について、非文字用の設定で上述の画像処理を実行し(ステップS25)、モニター表示忠実設定の設定値がオフであるときには、注目画素について、文字用の設定で上述の画像処理を実行する(ステップS26)。
【0052】
一方、ステップS23において注目画素が同値背景上文字画素ではないと判定された場合(つまり、注目画素が同値背景上文字画素以外の文字属性の画素である場合)、出力画像処理部13は、注目画素について、文字用の設定で上述の画像処理を実行する(ステップS26)。
【0053】
また、ステップS22において注目画素の画素属性が文字ではないと判定された場合、出力画像処理部13は、注目画素について、非文字用の設定で上述の画像処理を実行する(ステップS27)。
【0054】
そして、出力画像処理部13は、現在の注目画素が入力画像の最後の画素であるか否かを判定し(ステップS28)、現在の注目画素が入力画像の最後の画素でなければ、ステップS21に戻り、次の注目画素を選択する。その後、その次の注目画素に対してステップS22以降の同様の処理が実行される。一方、現在の注目画素が入力画像の最後の画素であれば、出力画像処理部13は、当該画像処理を終了する。
【0055】
以上のように、上記実施の形態1によれば、画素属性判定部21は、入力画像における注目画素の画素属性が文字であるか否かを判定する。同値背景上文字検出部22は、注目画素の画素属性が文字である場合、注目画素の背景の画素値と注目画素の画素値とが同一であるか否かを判定し、注目画素の背景の画素値と注目画素の画素値とが同一であるときには、注目画素を同値背景上文字画素として検出する。出力画像処理部13は、所定の画像処理を実行して入力画像から出力画像を生成し、その際、同値背景上文字画素および背景に対して同一設定で画像処理を実行し、同値背景上文字画素以外の文字と背景とに対して互いに異なる設定で画像処理を実行する。そして、画像出力部3は、その出力画像をプリントする。
【0056】
これにより、同値背景上文字と背景との境界が目立つことがなく、ユーザーが意図的に背景に埋め込んだ文字がプリント生成物上で視認されないようになる。つまり、ホスト装置におけるドライバーやアプリケーションなどで表示された入力画像において視認されないように、ユーザーにより背景と同一の画素値が設定されて意図的に背景に文字が埋め込まれた場合に、プリント生成物上でもその文字が視認されないようになる。
【0057】
実施の形態2.
【0058】
実施の形態2では、出力画像処理部13は、同値背景上文字画素に対して前記背景と同一設定で上述の画像処理を実行する場合、ユーザー設定(後述の文字解像度優先設定および階調優先設定)の設定値に応じて、(a)同値背景上文字画素および背景に対して文字用設定で画像処理を実行するか、(b)同値背景上文字画素および背景に対して非文字用設定で画像処理を実行するかを決定する。そして、出力画像処理部13は、選択した設定で画像処理を実行する。また、出力画像処理部13は、(そのユーザー設定に拘わらず)同値背景上文字画素以外の文字に対しては文字用設定で画像処理を実行する。
【0059】
次に、実施の形態2における画像処理(ステップS4)について説明する。
図5は、実施の形態2における画像処理(ステップS4)について説明するフローチャートである。
【0060】
出力画像処理部13は、上述の入力画像において、所定の走査順序で注目画素を選択し(ステップS31)、入力画像に同値背景上文字画素が存在するか否かを判定する(ステップS32)。
【0061】
入力画像に同値背景上文字画素が存在する場合、出力画像処理部13は、文字解像度優先設定がオンであるか否かを判定し(ステップS33)、文字解像度優先設定がオンである場合、画素属性および同値背景上文字画素であるか否かに拘わらず、文字用の設定で上述の画像処理を実行する(ステップS34)。つまり、入力画像に同値背景上文字画素が存在し、かつ、文字解像度優先設定がオンである場合、入力画像の全域(つまり、文字部分および背景部分)について、文字用の設定で上述の画像処理が実行される。
【0062】
一方、文字解像度優先設定がオンではない場合、出力画像処理部13は、階調優先設定がオンであるか否かを判定し(ステップS35)、階調優先設定がオンであるときには、注目画素が同値背景上文字画素以外の文字属性の画素であるか否かを判定する(ステップS36)。
【0063】
そして、注目画素が同値背景上文字画素以外の文字属性の画素である場合には、出力画像処理部13は、文字用の設定で上述の画像処理を実行する(ステップS34)。
【0064】
一方、注目画素が同値背景上文字画素以外の文字属性の画素ではない場合(つまり、注目画素が同値背景上文字画素または背景の画素である場合)には、出力画像処理部13は、非文字用の設定で上述の画像処理を実行する(ステップS37)。
【0065】
また、ステップS32において入力画像に同値背景上文字画素が存在しないと判定された場合、出力画像処理部13は、画素属性に応じた設定で上述の画像処理を実行する(ステップS38)。つまり、注目画素の画素属性が文字である場合には、文字用設定で上述の画像処理が実行され、注目画素の画素属性が文字ではない場合には、非文字用設定で上述の画像処理が実行される。
【0066】
そして、出力画像処理部13は、現在の注目画素が入力画像の最後の画素であるか否かを判定し(ステップS39)、現在の注目画素が入力画像の最後の画素でなければ、ステップS31に戻り、次の注目画素を選択する。その後、その次の注目画素に対してステップS32以降の同様の処理が実行される。一方、現在の注目画素が入力画像の最後の画素であれば、出力画像処理部13は、当該画像処理を終了する。
【0067】
なお、実施の形態2に係る画像形成装置のその他の構成および動作については実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0068】
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
【0069】
例えば、上記実施の形態1,2では、全画素のマーキング処理が完了してから画像処理が行われているが、画素ごとにマーキング処理と画像処理を連続して行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、例えば、画像形成装置に適用可能である。