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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】時間分解血管造影
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20241121BHJP
   A61B 6/50 20240101ALI20241121BHJP
【FI】
A61B6/00 550A
A61B6/00 560
A61B6/50 500B
A61B6/50 511E
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2024526463
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(86)【国際出願番号】 EP2022080747
(87)【国際公開番号】W WO2023083700
(87)【国際公開日】2023-05-19
【審査請求日】2024-05-02
(31)【優先権主張番号】63/277,740
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】21218341.2
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】サレヒ レイリ
(72)【発明者】
【氏名】シンハ アユシ
(72)【発明者】
【氏名】エルカンプ ラモン クイド
(72)【発明者】
【氏名】トポレック グジェゴシュ アンジェイ
(72)【発明者】
【氏名】パンセ アシシュ サッタヤヴラット
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/182492(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0005643(US,A1)
【文献】国際公開第2020/146905(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/102408(WO,A1)
【文献】UNERI A. et al.,3D-2D registration fo r surgical guidance: effect of projection view angles on registration accuracy,PHYSICS IN MEDICINE AND BIOLOGY,2013年12月19日,vol. 59, no. 2,pages 271-287,DOI: 10.1088/0031-9155/59/2/271
【文献】TAEYONG Park et al.,Rapid and Accura te Registration Method between Intraoperative 2D XA and Preoperative 3D CTA Imag es for Guidance of Percutaneous Coronary Intervention,COMPUTATIONAL AND MATHE MATICAL METHODS IN MEDICINE,2019年08月22日,vol. 2019,pages 1-12,http://downloads.hindawi .com/journals/cmmm/2019/3253605.pdf,DOI: 10.1155/2019/3253605
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B6/00-6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
関心領域を通る造影剤の流れを表す3D血管造影画像の時間的シーケンスを提供するコンピュータ実施方法であって、
前記関心領域を表す体積画像データを受信するステップと、
前記関心領域を通る前記造影剤の流れを表す2D血管造影画像の時間的シーケンスを受信するステップと、
前記体積画像データ、および前記2D血管造影画像の時間的シーケンスをニューラルネットワークに入力するステップと、
前記入力に応答して、前記関心領域を通る前記造影剤の流れを表す前記予測された3D血管造影画像の時間的シーケンスを生成するステップと、
を有し、
前記ニューラルネットワークは、前記2D血管造影画像の時間的シーケンスから前記3D血管造影画像の時間的シーケンスを予測し、前記体積画像データによって前記予測された3D血管造影画像の時間的シーケンスを制約するように訓練される、
コンピュータ実施方法。
【請求項2】
前記体積画像データは、
前記関心領域を表す3D血管造影画像、または
前記関心領域を通る前記造影剤の基準の流れを表す3D血管造影画像の時間的シーケンス、
を有する、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項3】
前記関心領域を通る前記造影剤の流れを表す予測された合成2D血管造影画像の時間的シーケンスを提供するために、前記予測された3D血管造影画像の時間的シーケンスをX線撮像システムのX線検出器の仮想平面上に投影するステップ、
をさらに有する、 請求項1または請求項2に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項4】
前記投影するステップは、前記関心領域に対する前記X線撮像システムのX線源及び前記X線検出器の向きで前記X線撮像システムの前記X線検出器の前記仮想平面上に前記予測された3D血管造影画像の時間的シーケンスを投影することを含み、前記予測された合成2D血管造影画像の時間的シーケンスは、前記受信された2D血管造影画像の時間的シーケンスに対する前記関心領域の異なるビューを表す、請求項3に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項5】
前記関心領域を通る前記造影剤の流れを表す2D血管造影画像の第2の時間的シーケンスを受信するステップであって、前記2D血管造影画像の第2の時間的シーケンスは、前記2D血管造影画像の時間的シーケンスに対する前記関心領域の異なるビューを表す、ステップと、
前記2D血管造影画像の第2の時間的シーケンスを前記ニューラルネットワークに入力するステップと、
前記入力に応答して、前記2D血管造影画像の第2の時間的シーケンスにさらに基づいて前記予測された3D血管造影画像の時間的シーケンスを生成するステップと、
をさらに有し、
前記ニューラルネットワークは、前記関心領域を通る前記造影剤の流れの異なるビューを表す2D血管造影画像の2つの時間的シーケンスから前記3D血管造影画像の時間的シーケンスを予測し、前記体積画像データによって前記予測された3D血管造影画像の時間的シーケンスを制約するように訓練される、
請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項6】
前記予測された3D血管造影画像の時間的シーケンスの信頼値を計算するステップ、をさらに有する、
請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項7】
前記信頼値は、
前記受信された体積画像データと前記予測された3D血管造影画像との間の差を表す第1の損失関数の値を決定すること、および/または
前記入力された2D血管造影画像の検出器平面に対応する仮想検出器平面上に前記予測された3D血管造影画像を投影することによって生成された合成投影画像と、前記入力された2D血管造影画像との間の差を表す第2の損失関数の値を決定すること、および/または
前記予測された3D血管造影画像が基づく1つまたは複数の係数の位置を示す注意マップを生成し、前記注意マップと前記関心領域の位置との間の差を決定すること、および/または
前記予測された3D血管造影画像を生成するために使用された前記2D血管造影訓練画像の時間的シーケンスの総数を計算すること、
によって計算される、請求項6に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項8】
前記3D血管造影画像中の前記関心領域の範囲を示すユーザ入力を受信するステップ、および/または
前記2D血管造影画像中の前記関心領域の範囲を示すユーザ入力を受信するステップ、および/または
前記予測された3D血管造影画像の時間的シーケンスに対する時間分解能を示すユーザ入力を受信するステップ、および/または
前記予測された3D血管造影画像の時間的シーケンスに対する時間的ウィンドウを示すユーザ入力を受信するステップ、および/または
それぞれ、前記3D血管造影画像中の前記関心領域の前記示された範囲に対応する、および/または前記2D血管造影画像中の前記関心領域の前記示された範囲に対応する、および/または前記示された時間分解能を有する、および/または前記示された時間的ウィンドウ内の前記予測された3D血管造影画像の時間的シーケンスを出力するステップ、
をさらに有する、 請求項1乃至7のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項9】
前記体積画像データは、前記関心領域への介入装置の挿入前に生成された術前データを表し、前記受信された2D血管造影画像の時間的シーケンスは、前記関心領域への前記介入装置の挿入中に生成された術中データを表し、前記体積画像データにおける前記関心領域を通る造影剤の流れは、前記受信された2D血管造影画像の時間的シーケンスにおける前記関心領域を通る前記造影剤の流れとは異なる、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項10】
前記ニューラルネットワークは、前記入力された2D血管造影画像の時間的シーケンス内の前記画像について、前記介入装置を使用して完了された前記関心領域に対する介入処置の割合を予測するように訓練され、
前記予測された3D血管造影画像の時間的シーケンスについて完了した前記関心領域に対する前記介入処置の割合を出力するステップ、
をさらに有する、請求項9に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項11】
前記ニューラルネットワークは、
複数の患者の各々について、前記関心領域を表す3D血管造影訓練画像を受信するステップと、
各患者について、前記3D血管造影訓練画像に対応する2D血管造影訓練画像の時間的シーケンスを受信するステップであって、前記2D血管造影訓練画像が前記関心領域を通る造影剤の流れを表す、ステップと、
患者に対する時間的シーケンスにおける複数の2D血管造影訓練画像の各々について、および複数の患者の各々について、
前記2D血管造影訓練画像を前記ニューラルネットワークに入力するステップと、
前記関心領域を通る前記造影剤の流れを表す対応する予測された3D血管造影画像を生成するステップと、
i)前記受信された3D血管造影訓練画像と前記予測された3D血管造影画像との間の差を表す第1の損失関数の値、および
ii)前記入力された2D血管造影訓練画像と、前記入力された2D血管造影訓練画像の平面に対応する平面上への前記予測された3D血管造影画像の投影との差を表す第2の損失関数の値、
に基づいて前記ニューラルネットワークのパラメータを調整するステップと、
停止基準が満たされるまで、前記入力するステップおよび前記生成するステップおよび前記調整するステップを繰り返すステップと、
によって、前記2D血管造影画像の時間的シーケンスから前記3D血管造影画像の時間的シーケンスを予測し、前記体積画像データによって前記予測された3D血管造影画像の時間的シーケンスを制約するように訓練される、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項12】
前記ニューラルネットワークは、
複数の患者の各々について、前記関心領域を通る前記造影剤の基準の流れを表す3D血管造影訓練画像の時間的シーケンスを受信するステップと、
各患者について、前記3D血管造影訓練画像の時間的シーケンスに対応する2D血管造影訓練画像の時間的シーケンスを受信するステップであって、前記2D血管造影訓練画像の時間的シーケンスが前記関心領域を通る造影剤の流れを表す、ステップと、
患者についての時間的シーケンスにおける複数の2D血管造影訓練画像の各々について、および複数の患者の各々について、
前記2D血管造影訓練画像を前記ニューラルネットワークに入力するステップと、
前記関心領域を通る前記造影剤の流れを表す対応する予測された3D血管造影画像を生成するステップと、
i)前記受信された3D血管造影画像の時間的シーケンスからの対応する3D血管造影訓練画像と前記予測された3D血管造影画像との間の差を表す第1の損失関数の値、および
ii)前記入力された2D血管造影訓練画像と、前記入力された2D血管造影訓練画像の平面に対応する平面上への前記予測された3D血管造影画像の投影との間の差を表す第2の損失関数の値、
に基づいて前記ニューラルネットワークのパラメータを調整するステップと、
停止基準が満たされるまで、前記入力するステップおよび前記生成するステップおよび前記調整するステップを繰り返すステップと、
によって、前記2D血管造影画像の時間的シーケンスから前記3D血管造影画像の時間的シーケンスを予測し、前記体積画像データによって前記予測された3D血管造影画像の時間的シーケンスを制約するように訓練される、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項13】
前記3D血管造影訓練画像および/または2D血管造影訓練画像の時間的シーケンスにおける前記関心領域の範囲を示すユーザ入力を受信するステップ、
をさらに有し、
前記第1の損失関数および/または前記第2の損失関数の値は、前記示された範囲内でのみ計算され、または
前記第1の損失関数および/または前記第2の損失関数の値は、前記示された範囲の外と比較して、前記示された範囲内のそれぞれの損失関数により高い重み付けを適用することによって計算される、
請求項11または請求項12に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項14】
それぞれの前記3D血管造影訓練画像または前記3D血管造影訓練画像の時間的シーケンスは、前記関心領域への介入装置の挿入前に生成された術前データを表し、前記2D血管造影訓練画像の時間的シーケンスは、前記関心領域への前記介入装置の挿入中に生成された術中データを表し、前記3D血管造影訓練画像または前記3D血管造影訓練画像の時間的シーケンスにおける前記関心領域を通る造影剤の流れは、前記2D血管造影訓練画像の時間的シーケンスにおける前記関心領域を通る前記造影剤の流れとは異なる、請求項11または請求項12に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項15】
前記関心領域への前記介入装置の挿入中又は挿入後に前記関心領域を通る前記造影剤の流れを表す3D血管造影訓練画像の時間的シーケンスを受信するステップ、
をさらに有し、
前記ニューラルネットワークのパラメータを調整するステップ
は、
iii)前記関心領域への前記介入装置の挿入中または挿入後の前記関心領域を通る前記造影剤の流れを表す対応する3D血管造影訓練画像と、前記予測された3D血管造影画像との間の差を表す第3の損失関数の値、
にさらに基づく、
請求項14に記載のコンピュータ実施方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、関心領域を通る造影剤の流れを表す3D血管造影画像の時間的シーケンスを提供することに関する。コンピュータ実施方法、コンピュータプログラム製品、及びシステムが、開示される。
【背景技術】
【0002】
時間分解(time-resolved)血管造影撮像は、臨床研究においてしばしば使用される。静的血管造影画像と比較して、時間分解血管造影撮像によって生成される血管造影画像の時間的シーケンスは、血管系を通る造影剤の流れに関する情報を提供する。次に、流れ情報は、解剖学的構造における生理学的プロセスの改善された理解を可能にする。しかしながら、時間分解血管造影撮像の利点は、患者へのX線量の増加を犠牲にして達成される。
【0003】
時間分解2D血管造影撮像および時間分解3D血管造影撮像は、両方とも臨床研究において使用される。時間分解2D血管造影撮像と比較して、時間分解3D血管造影撮像によって提供される構造情報は、関心領域における造影剤の流れのより深い理解を可能にする。時間分解3D血管造影撮像の使用は、また、ワークフローを改善し得る。例えば、時間分解3D血管造影撮像の使用は、関心領域の所望のビューを提供するために、撮像システムを関心領域と正確に位置合わせ(align)する必要性を取り除く。時間分解3D血管造影画像は、関心領域の1つまたは複数の同時ビューを提供するために、3Dで、または任意の所望の視線方向からの合成2D投影として表示され得る。
【0004】
歴史的には、時間分解3D血管造影画像は、しばしば、画像処理に対する増大された要求、および患者へのX線線量を制限する必要性のために、時間分解2D血管造影画像と比較して画質を低下させた。より最近では、時間分解2D血管造影画像と同様の画質およびX線線量を有する時間分解3D血管造影画像を提供するデジタルサブトラクション血管造影「DSA」などの血管造影撮像技術が、導入されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、3D血管造影撮像システムが患者へのアクセスを制限する可能性、3D血管造影撮像システムのより高いコスト、および低X線線量で、かつ取得時間を増加させずに高品質の3D血管造影画像を提供する必要性を含む、いくつかの臨床調査のために3D血管造影撮像を使用することに対する課題が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、関心領域を通る造影剤の流れを表す3D血管造影画像の時間的シーケンスを提供するコンピュータ実施方法が、提供される。本方法は、
関心領域を表す体積画像データを受信するステップと、
関心領域を通る造影剤の流れを表す2D血管造影画像の時間的シーケンスを受信するステップと、
体積画像データと、2D血管造影画像の時間的シーケンスとをニューラルネットワークに入力するステップと、
入力に応答して、関心領域を通る造影剤の流れを表す3D血管造影画像の予測される時間的シーケンスを生成するステップと、
を含み、
ニューラルネットワークは、2D血管造影画像の時間的シーケンスから3D血管造影画像の時間的シーケンスを予測し、体積画像データによって3D血管造影画像の予測される時間的シーケンスを制約するように訓練される。
【0007】
予測された3D血管造影画像の時間的シーケンスは、2D血管造影画像の時間的シーケンスからニューラルネットワークによって提供されるので、本方法は、撮像システムを解剖学的構造と正確に位置合わせする必要性と、関心領域への制限されたアクセスとの欠点なしで、関心領域における造影剤の流れのより深い理解を可能にする構造情報を含む、3D血管造影画像の時間的シーケンスの利点を提供する。
【0008】
本開示の更なる態様、特徴、及び利点は、添付の図面を参照してなされる例の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示のいくつかの態様による、関心領域を通る造影剤の流れを表す3D血管造影画像の時間的シーケンスを提供する方法の一例を示すフローチャートである。
図2】本開示のいくつかの態様による、関心領域120を通る造影剤の流れを表す3D血管造影画像の時間的シーケンス110を提供するためのシステムの一例を示す概略図である。
図3】本開示のいくつかの態様による、関心領域120を通る造影剤の流れを表す3D血管造影画像の時間的シーケンス110を提供する方法の第1の例を示す概略図である。
図4】本開示のいくつかの態様による、関心領域120を通る造影剤の流れを表す3D血管造影画像の時間的シーケンス110を提供する方法の第2の例を示す概略図である。
図5】本開示のいくつかの態様による、患者の長手方向軸の周りの投影X線撮像システム150の中心線の回転角度を含む、患者の関心領域120に対するX線撮像システム150のX線源150bおよびX線検出器150aの向きを示す概略図である。
図6】本開示のいくつかの態様による、患者の頭尾軸に対する投影X線撮像システム150の中心線の傾斜角bを含む、患者の関心領域120に対するX線撮像システム150のX線源150bおよびX線検出器150aの向きを示す概略図である。
図7】本開示のいくつかの態様による、関心領域を通る造影剤の流れを表す3D血管造影画像の時間的シーケンスを提供するためにニューラルネットワークを訓練する方法の第1の例を示すフローチャートである。
図8】本開示のいくつかの態様による、関心領域を通る造影剤の流れを表す3D血管造影画像の時間的シーケンスを提供するためにニューラルネットワークを訓練する方法の第2の例を示すフローチャートである。
図9】本開示のいくつかの態様による、関心領域を通る造影剤の流れを表す3D血管造影画像の時間的シーケンスを提供するためにニューラルネットワークを訓練する方法の第1の例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の例は、以下の説明及び図面を参照して提供される。この説明では、説明の目的のために、特定の例の多くの具体的な詳細が説明される。本明細書において、「例」、「実施態様」、または同様の言語への言及は、該例に関連して説明される特徴、構造、または特性が、少なくともその1つの例に含まれることを意味する。また、1つの例に関連して説明された特徴は、別の例においても使用され得、すべての特徴が、簡潔さのために各例において必ずしも繰り返されないことを理解されたい。例えば、コンピュータ実施方法に関連して説明される特徴は、対応する形で、コンピュータプログラム製品において、およびシステムにおいて実装され得る。
【0011】
以下の説明では、関心領域を通る造影剤の流れを表す3D血管造影画像の時間的シーケンスを提供することを伴う、コンピュータ実施方法が説明される。脳動脈瘤の形態の関心領域の例を参照する。しかしながら、この関心領域は、一例としてのみ機能し、本明細書に開示される方法は、血管系内の他の関心領域を通る造影剤の流れを表す3D血管造影画像の時間的シーケンスを提供するためにも使用され得ることを理解されたい。一般に、関心領域は、血管系内のどこにあってもよい。
【0012】
本明細書では、動脈瘤コイル処置(coiling procedure)の形態の例示的な治療処置も参照される。この処置では、ワイヤのコイルが、血流を減少させ、それによって動脈瘤内部の血液を凝固させることを可能にするために動脈瘤の嚢に挿入される。しかしながら、この治療処置は、例としてのみ役割を果たし、本明細書に開示される方法は、他の治療処置においても使用され得ることを理解されたい。本方法は、例えば、冠動脈血管形成術、脳血管内血栓摘出術、および腫瘍塞栓術などの治療処置において使用され得る。また、本明細書に開示される方法は、一般に、臨床研究において使用され得ることが理解されるべきである。
【0013】
本明細書で開示されるコンピュータ実施方法は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、少なくとも1つのプロセッサに方法を実行させる、コンピュータ可読命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体として提供され得ることに留意されたい。言い換えれば、コンピュータ実施方法は、コンピュータプログラム製品において実装され得る。コンピュータプログラム製品は、専用ハードウェア、又は適切なソフトウェアと関連してソフトウェアを実行することができるハードウェアによって提供されることができる。プロセッサによって提供されるとき、方法の特徴の機能は、単一の専用プロセッサによって、又は単一の共用プロセッサによって、又はそのうちのいくつかが共有されることができる複数の個々のプロセッサによって提供されることができる。方法特徴のうちの1つ又は複数の機能は、例えば、クライアント/サーバアーキテクチャ、ピアツーピアアーキテクチャ、インターネット、又はクラウドなどのネットワーク化された処理アーキテクチャ内で共有されるプロセッサによって提供され得る。
【0014】
「プロセッサ」又は「コントローラ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することができるハードウェアを排他的に指すものとして解釈されるべきではなく、デジタル信号プロセッサ「DSP」ハードウェア、ソフトウェアを記憶するための読取専用メモリ「ROM」、ランダムアクセスメモリ「RAM」、不揮発性記憶装置などを暗黙的に含むことができるが、これらに限定されない。更に、本開示の例は、コンピュータ使用可能記憶媒体、又はコンピュータ可読記憶媒体からアクセス可能なコンピュータプログラム製品の形態をとることができ、コンピュータプログラム製品は、コンピュータ又は任意の命令実行システムによって、又はそれらと関連して使用するためのプログラムコードを提供する。本説明の目的のために、コンピュータ使用可能記憶媒体又はコンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、機器、又は装置によって、又はそれに関連して使用するためのプログラムを有する、記憶する、通信する、伝播する、又は移送することができる任意の装置であることができる。媒体は、電子、磁気、光学、電磁、赤外、又は半導体システム又は装置又は伝搬媒体であることができる。コンピュータ可読媒体の例は、半導体又はソリッドステートメモリ、磁気テープ、リムーバブルコンピュータディスク、ランダムアクセスメモリ「RAM」、読取専用メモリ「ROM」、剛体磁気ディスク、及び光ディスクを含む。光ディスクの現在の例は、コンパクトディスク読取専用メモリ「CD-ROM」、コンパクトディスク読取/書込「CD-R/W」、Blu-Ray(登録商標)、及びDVDを含む。
【0015】
上述のように、時間分解血管造影撮像は、臨床研究においてしばしば使用される。時間分解2D血管造影撮像および時間分解3D血管造影撮像は、両方とも臨床研究において使用される。時間分解2D血管造影画像と比較して、時間分解3D血管造影画像によって提供される構造情報は、関心領域における造影剤の流れのより深い理解を可能にする。近年、デジタルサブトラクション血管造影「DSA」などの血管造影撮像技術が、導入され、時間分解2D血管造影画像と同様の画質およびX線線量を有する時間分解3D血管造影画像を提供する。しかしながら、例えば、3D血管造影撮像システムが患者へのアクセスを制限する可能性、3D血管造影撮像システムのより高いコスト、および低X線線量で、かつ取得時間を増加させずに高品質の3D血管造影画像を提供する必要性を含む、いくつかの臨床調査のために3D血管造影撮像を使用することに対する課題が残っている。
【0016】
一例として、動脈瘤コイル処置は、典型的には動脈瘤の嚢内へのワイヤコイルの挿入を伴う。これは、血流を減少させ、動脈瘤内部の血液が凝固することを可能にする。動脈瘤コイルの目標は、動脈瘤を治療するために、過剰充填を回避しながら、動脈瘤嚢を十分なコイルで満たすことである。動脈瘤コイル処置の前に、動脈瘤の静的2Dまたは3D血管造影画像が、しばしば、処置を計画するために取得される。動脈瘤コイル処置中、動脈瘤の静的又は時間分解2D血管造影画像は、処置の進行を監視するために、投影X線撮像システムを使用して生成されることが多い。親血管内に流れ込むコイル材料を検出するために、X線撮影者は、典型的には嚢と親血管との間に最小量の重複が存在し、親血管の最小限の短縮が存在する2D画像を提供する投影X線撮像システムの向きを見つけようとする。しかしながら、動脈瘤の最適なビューを提供することは困難である可能性がある。投影X線撮像システムの向きは、動脈瘤の最適なビューを提供するために複数回調整される必要があり得る。
【0017】
時には、複数の線源-検出器構成を有する投影X線撮像システムが、単一のビューの制限を克服するために動脈瘤の異なるビューを有する2D血管造影画像を同時に提供するために使用される。そのような撮像システムは、しばしば、「バイプレーン(biplane)」X線撮像システムと呼ばれる。これらの線源-検出器構成の両方の向きは、所望の最適なビューを提供するために、数回調整される必要があり得る。さらに、コイル処置が進行するにつれて、動脈瘤の最適なビューは、変化し得る。コイルが動脈瘤に挿入されると、血流は、動脈瘤内および親血管内の両方で変化する。例えば、動脈瘤コイル処置が始まる前に、血液は、動脈瘤の近位の親血管の部分から動脈瘤に流れ込み、その結果、動脈瘤の遠位の親血管の部分への血流は、遅い。動脈瘤コイル処置が進行するにつれて、より少ない血液が、動脈瘤へ流れ、動脈瘤の遠位の親血管の部分への血流が、正常速度に戻る。また、動脈瘤は、挿入されたコイルによって不明瞭にされる可能性がある。その結果、動脈瘤コイル処置中に投影X線撮像システムの向きを複数回再調整する必要があり得、これはワークフローを妨げる。処置中に血流が変化する処置の他の例は、アテローム切除術(すなわち、血管からのプラークまたは石灰化除去)およびバルーン血管形成術(すなわち、狭窄を持つ血管の拡張)を含む。
【0018】
動脈瘤の時間分解術中3D血管造影画像を提供することは、動脈瘤の最適なビューを提供し、維持するために、2D X線撮像システムの向きを正確に位置合わせし、再位置合わせするという課題に対処するように思われ得る。しかしながら、3D撮像システムの使用も、課題を招く。例えば、3D画像の取得は、典型的には処置スタッフが手術室から出て、3D画像の取得後に戻ることを必要とするので、処置ワークフローを中断する。さらに、DSA画像を生成するために、最初の3Dマスク画像が、取得されなければならず、続いて、マスク画像に含まれる背景の解剖学的構造を減算し、時間分解3D血管造影画像に血管系のみを保持するために、コントラスト強調3D画像が取得されなければならない。これは、画像取得時間を著しく増加させ、画像の時間的シーケンスを生成するとき、X線線量をさらに低減する可能性を示す。三次元X線撮像システムは、また、関心領域へのアクセスを制限し得る。さらに、3D X線撮像システムの費用は、通常、2D X線撮像システムの費用よりも高い。
【0019】
図1は、本開示のいくつかの態様による、関心領域を通る造影剤の流れを表す3D血管造影画像の時間的シーケンスを提供する方法の一例を示すフローチャートである。図1を参照すると、関心領域120を通る造影剤の流れを表す3D血管造影画像の時間的シーケンス110を提供するコンピュータ実施方法が、提供される。本方法は、
関心領域120を表す体積画像データ130a、130bを受信するステップS110と、
関心領域120を通る造影剤の流れを表す2D血管造影画像の時間的シーケンス140を受信するステップS120と、
体積画像データ130a、130b、および2D血管造影画像の時間的シーケンス140をニューラルネットワークNN1に入力するステップS130と、
入力に応答して、関心領域120を通る造影剤の流れを表す予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110を生成するステップS140と、
を含み、
ニューラルネットワークNN1は、2D血管造影画像の時間的シーケンス140から3D血管造影画像の時間的シーケンス110を予測し、体積画像データ130a、130bによって予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110を制約するように訓練される。
【0020】
予測された3D血管造影画像の時間的シーケンスは、2D血管造影画像の時間的シーケンスからニューラルネットワークによって提供されるので、本方法は、撮像システムを解剖学的構造と正確に位置合わせする必要性、及び関心領域への制限されたアクセスなしで、関心領域における造影剤の流れのより深い理解を可能にする構造情報を含む、3D血管造影画像の時間的シーケンスの利点を提供する。
【0021】
図2は、本開示のいくつかの態様による、関心領域120を通る造影剤の流れを表す3D血管造影画像の時間的シーケンス110を提供するためのシステムの一例を示す概略図である。図1に示される方法に関連して説明される動作は、図2に示されるシステム200によって実行されてもよい。同様に、システム200に関連して説明される動作は、図1を参照して説明される方法において実行されてもよい。図3は、本開示のいくつかの態様による、関心領域120を通る造影剤の流れを表す3D血管造影画像の時間的シーケンス110を提供する方法の第1の例を示す概略図である。図1および図3を参照すると、動作S110において、関心領域120を表す体積画像データが、受信される。関心領域は、例えば、動脈瘤であってもよいが、関心領域は、一般に、上述のように、血管系のどこにあってもよい。
【0022】
体積画像データは、一般に、体積撮像システムによって生成され得る。例えば、体積X線撮像システムが、使用されてもよい。体積X線撮像システムは、典型的には、撮像領域の周りでX線源-検出器構成を回転又はステッピングしながら画像データを生成し、その後、複数の回転角度から得られた画像データを3D又は体積画像に再構成する。体積X線撮像システムの例は、コンピュータトモグラフィ「CT」撮像システム、コーンビームCT「CBCT」撮像システム、及びスペクトルCT画像システムを含む。いくつかの例では、体積画像データは、デジタルサブトラクション血管造影「DSA」技法を使用して生成されてもよい。代替として、体積画像データは、磁気共鳴撮像「MRI」システムによって生成されてもよい。例えば、磁気共鳴血管造影「MRA」体積画像データは、造影剤を血管系に注入し、MRI撮像システムを使用して様々な解剖学的構造の画像を生成するのに特定の共振周波数における振動磁場を使用することによって生成され得る。
【0023】
いくつかの例では、体積画像データは、関心領域120への介入(interventional)装置の挿入の前に生成された術前データを表してもよい。体積画像データは、例えば、計画段階中に、または介入処置の直前に生成されてもよい。
【0024】
動作S110で受信された体積画像データは、例えば、体積撮像システムから、またはコンピュータ可読記憶媒体から、またはインターネットもしくはクラウドから受信されてもよい。体積画像データは、図2に示される1つまたは複数のプロセッサ170によって受信されてもよい。体積画像データは、有線通信、光通信、および無線通信を含む、任意の形態のデータ通信を介して受信され得る。いくつかの例として、有線又は光通信が使用されるとき、通信は、電気又は光ケーブル上で送信される信号を介して行われ得、無線通信が使用されるとき、通信は、例えばRF又は光信号を介してもよい。
【0025】
一例では、体積画像データは、関心領域120を表す3D血管造影画像130aを含む。この例が、図3に示される。この例では、3D血管造影画像130aが、造影剤の注入の後に生成されてもよい。造影剤は、3D血管造影画像130a内の血管系を強調表示する。図4を参照して後述する別の例では、体積画像データは、関心領域120を通る造影剤の基準の流れを表す3D血管造影画像の時間的シーケンス130bを含む。図3の例を参照すると、体積画像データは、単一の3D血管造影画像130a、すなわち、1つのみの3D血管造影画像130aを含んでもよく、または複数の3D血管造影画像を含んでもよい。単一の3D血管造影画像130aは、関心領域の周りの単一の完全な回転またはそれ以下の回転を通して、体積撮像システムの線源-検出器構成を回転させることによって生成されてもよい。
【0026】
動作S120において、関心領域120を通る造影剤の流れを表す2D血管造影画像の時間的シーケンス140が、受信される。2D血管造影画像の時間的シーケンス140は、2D X線画像を生成する投影X線撮像システムによって生成され得る。投影X線撮像システムは、典型的にはX線源-検出器構成を支持する、いわゆる「Cアーム」又は「Oアーム」などの支持アームを含む。投影X線撮像システムは、代替的に、これらの例とは異なる形状を有する支持アームを含んでもよい。投影X線撮像システムは、典型的には、画像データの取得中に撮像領域に対して静止位置に保持された支持アームを用いて投影X線画像を生成する。いくつかの例では、2D血管造影画像の時間的シーケンス140は、デジタルサブトラクション血管造影「DSA」技法を使用して生成されてもよい。X線投影画像は、例えば、図2に示される投影X線撮像システム180によって生成されてもよい。一例として、血管造影画像は、オランダ、ベストのフィリップスヘルスケアによって市販されているPhilips Azurion 7のX線撮像システムによって生成されてもよい。
【0027】
動作S120において受信される2D血管造影画像の時間的シーケンス140は、図2に示される1つまたは複数のプロセッサ170によって受信されてもよい。2D血管造影画像の時間的シーケンス140は、体積画像データについて上述したように、任意の形態のデータ通信を介して受信されてもよい。2D血管造影画像の時間的シーケンス140は、動作S110において受信された体積画像データ130a、130bと同じ関心領域を表す。
【0028】
一般に、動作S120において受信される2D血管造影画像の時間的シーケンス140は、体積画像データ130a、130bよりも時間的に遅く生成されてもよい。体積画像データは、例えば、関心領域120への介入装置の挿入の前に生成された術前データを表してもよい。体積画像データは、例えば、計画段階中に、または介入処置の直前に生成されてもよい。2D血管造影画像の時間的シーケンス140は、例えば、関心領域120への介入装置の挿入中に生成された術中データを表してもよい。
【0029】
動作S130において、体積画像データ130a及び2D血管造影画像の時間的シーケンス140は、ニューラルネットワークNN1に入力される。これが、図3に示される。入力動作S130に応答して、動作S140において、図3にも示されるように、関心領域120を通る造影剤の流れを表す予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110が、生成される。ニューラルネットワークNN1は、2D血管造影画像の時間的シーケンス140から3D血管造影画像の時間的シーケンス110を予測し、体積画像データ130aによって予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110を制約するように訓練される。
【0030】
上述のように、別の例では、動作S130において入力される体積画像データが、関心領域120を通る造影剤の基準の流れを表す3D血管造影画像の時間的シーケンス130bを含む。この例は、本開示のいくつかの態様による、関心領域120を通る造影剤の流れを表す3D血管造影画像の時間的シーケンス110を提供する方法の第2の例を示す概略図である図4を参照して説明される。図3の例のように、図4の例では、3D血管造影画像の時間的シーケンス130bが、造影剤の注入の後に生成され得る。図4の例では、3D血管造影画像の時間的シーケンスが、造影剤の流れを表す。一般に、動作S120において受信される2D血管造影画像の時間的シーケンス140は、体積画像データ130a、130bよりも時間的に遅く生成されてもよい。体積画像データは、例えば、関心領域120への介入装置の挿入の前に生成された術前データを表してもよい。体積画像データは、例えば、計画段階中に、または介入処置の直前に生成されてもよい。2D血管造影画像の時間的シーケンス140は、例えば、関心領域120への介入装置の挿入中に生成された術中データを表してもよい。
【0031】
動作S130において、体積画像データ130b及び2D血管造影画像の時間的シーケンス140は、ニューラルネットワークNN1に入力される。これが、図4に示される。入力動作S130に応答して、動作S140において、図4にも示されるように、関心領域120を通る造影剤の流れを表す予測される3D血管造影画像の時間的シーケンス110が、生成される。ニューラルネットワークNN1は、2D血管造影画像の時間的シーケンス140から3D血管造影画像の時間的シーケンス110を予測し、体積画像データ130bによって予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110を制約するように訓練される。
【0032】
図3の例および図4の例では、予測される3D血管造影画像の時間的シーケンス110が、それぞれ、体積画像データ130aおよび130bによって制約される。この制約は、予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110と体積画像データ130a、130bとの間の差を表す損失関数の値を計算することによって適用されてもよい。推論において、損失関数の値は、ニューラルネットワークの予測を微調整するために使用されてもよい。この損失関数は、予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110内の画像が、体積画像データ130a、130b内の関心領域の3D構造を正確に描写することを保証する効果を有する。L1またはL2損失、構造類似性指数、フーバー損失、log cosh損失などの損失関数が、この目的のために使用されてもよい。この損失関数の値は、予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110内の関心領域の3D構造と、体積画像データ130a、130b内の関心領域の3D構造とを比較することによって、ニューラルネットワークの予測を微調整するために使用されてもよい。この比較は、例えば、予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110から合成またはトレース3D血管造影画像を計算することによって実行されてもよい。合成画像は、3D血管造影画像の時間的シーケンス110における画像強度値の最大値又は最小値又は平均値を表してもよい。合成画像は、3D血管造影画像の時間的シーケンス110において造影剤の流れが捕捉された血管系の完全な3D構造を捕捉する。したがって、予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110に対する構造的制約は、予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110から計算された合成3D血管造影画像と、入力された単一3D血管造影画像130a、または入力された3D血管造影画像の時間的シーケンス130bから生成された合成3D血管造影画像との間の差を表す第1の損失関数の値を計算することによって適用されてもよい。代替的または追加的に、流れ制約は、予測された3D血管造影画像110を、入力された2D血管造影画像140の検出器平面に対応する仮想検出器平面上に投影することによって生成された合成投影画像と、入力された2D血管造影画像140との間の差を表す第2の損失関数の値を計算することによって適用されてもよい。推論において、第2の損失関数の値は、同様に、ニューラルネットワークの予測を微調整するために使用されてもよい。この第2の損失関数は、予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110内の画像内の流れが、入力された2D血管造影画像140内の造影剤の流れを正確に描写することを保証する効果を有する。2つの損失関数がこの制約を適用するために使用されるとき、第1および第2の損失関数の値は、重み付けされ、合計されて、結合された損失値を提供し得る。推論において、結合された損失値は、上述のように、予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110を微調整するために使用されてもよい。
【0033】
仮想検出器平面は、患者の関心領域に対する、2D血管造影画像140を生成するX線撮像システムの向きを表す位置エンコーダデータを使用して、入力された2D血管造影画像140の検出器平面を識別することによって決定され得る。代替的に、仮想検出器平面は、入力された2D血管造影画像140を、入力された体積画像データ130a、130bに位置合わせ(registering)し、位置合わせに基づいて、入力された2D血管造影画像140が生成されたX線撮像システムの向きを決定することによって、決定されてもよい。
【0034】
いくつかの例では、予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110の信頼値も、生成されてもよい。信頼値を出力することは、ユーザがニューラルネットワークNN1の予測に対する信頼度を調整することを可能にする。信頼値は、様々な技法を使用して計算され得る。一例では、上述のようにニューラルネットワークNN1によって生成される損失関数の値が、信頼値を提供するために使用される。この例では、損失関数の比較的低い値が、比較的高い信頼値をもたらし、逆もまた同様である。別の例では、信頼値は、ネットワークによって生成された注意マップを観察し、ネットワークの注意が関心領域内にあり、その場合、信頼値が相対的に高くなり得るか、又はほかの場所にあり、その場合、信頼値が相対的に低くなり得るかを評価することによって、ニューラルネットワークNN1の予測に割り当てられてもよい。
【0035】
別の例では、予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110の信頼値が、各予測された3D血管造影画像を生成するために使用される2D血管造影画像の総数のカウントに基づいて生成される。この例では、画像に対する信頼値は、単一の2D血管造影画像が、予測された3D血管造影画像を生成するために使用される場合に、比較的低くてもよく、信頼値は、複数の2D血管造影画像が使用される場合に、比較的高くてもよい。
【0036】
別の例では、予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110の信頼値は、関心領域内の特徴について、重複度または短縮度などの1つまたは複数の分析メトリックを計算することによって生成される。このような分析メトリックを計算するための技術は、Wilson, D.他による文献"Determining X-ray projections for coil treatments of intracranial aneurysms" in IEEE Transactions on Medical Imaging, vol. 18, no. 10, pp. 973-980, Oct. 1999, doi: 10.1109/42.811309に開示されている。 この文献では、前述の重複度および短縮度などの係数を計算するためのアルゴリズムが、提示されている。アルゴリズムは、i)関心領域および周囲の解剖学的構造の別々に規定された3Dセグメント化、ならびにii)X線撮像システムの幾何学的パラメータおよび撮像パラメータのモデルを、入力として使用する。この例では、分析メトリックの値は、関心領域のモデルを提供する体積画像データ130a、130bに基づいて、入力された2D血管造影画像の時間的シーケンス140について計算され得、これらの値は、予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110の信頼値を生成するために使用され得る。この例では、入力された2D血管造影画像140における高い重複度が、ニューラルネットワークNN1の出力における比較的低い信頼度を示し得、逆もまた同様である。
【0037】
別の例では、ドロップアウト(dropout)技法が、予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110の信頼値を提供するのに使用されてもよい。ドロップアウト技法は、同じデータをニューラルネットワークに反復的に入力し、各反復においてニューラルネットワークからある割合のニューロンをランダムに除外しながら、ニューラルネットワークの出力を決定することを伴う。次いで、ニューラルネットワークの出力が、平均値及び分散値を提供するように分析される。平均値は、最終出力を表し、分散の大きさは、ニューラルネットワークがその予測において一貫している、この場合、分散が小さく、信頼値が相対的に高いか、またはニューラルネットワークがその予測において一貫していない、この場合、分散がより大きく、信頼値が相対的に低いかを示す。
【0038】
したがって、予測される3D血管造影画像の時間的シーケンス110に対する信頼値は、
受信された体積画像データ130a、130bと予測された3D血管造影画像110との間の差を表す第1の損失関数LF1の値を決定すること、
予測された3D血管造影画像110を、入力された2D血管造影画像140の検出器平面に対応する仮想検出器平面に投影することによって生成された合成投影画像と、入力された2D血管造影画像140との差を表す第2の損失関数LF2の値を決定すること、
予測3D血管造影画像110が基づく1つまたは複数の係数の位置を示す注意マップを生成し、注意マップと関心領域120の位置との間の差を決定すること、
予測3D血管造影画像110を生成するために使用される2D血管造影訓練画像の時間的シーケンスの総数をカウントすること、
の1つまたは複数によって計算され得る。
【0039】
ニューラルネットワークNN1は、例えば、畳み込みニューラルネットワーク「CNN」、リカレントニューラルネットワーク「RNN」、時間畳み込みネットワーク「TCN」、エンコーダ-デコーダ、変分エンコーダ-デコーダ、トランスフォーマ、および敵対的生成ネットワーク「GAN」などの1つまたは複数のアーキテクチャを含み得る。ニューラルネットワークNN1は、プーリング、バッチ正規化、ドロップアウト、非線形演算などを含む、これらの間の複数の完全に接続された層又は畳み込み層を含み得る。ニューラルネットワークは、入力された体積画像データと同じ空間的寸法、および入力された2D血管造影画像の時間的シーケンス140と同じ時間分解能を有する予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110を生成し得る。例えば、ニューラルネットワークNN1は、グレーレベルのn×m×p×t出力を出力し得、ここで、n×m×pは体積画像データの寸法であり、tは入力された2D血管造影画像の時間的シーケンス140内のフレームの数である。出力画像におけるグレーレベルは、2D血管造影画像の時間的シーケンス140において術中に観察された流れに基づく更新された造影剤の流れのパターンを示す。
【0040】
ニューラルネットワークNN1の訓練の詳細は、以下に提供される。
【0041】
したがって、図3の例および図4の例の両方において、予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110は、入力された2D血管造影画像の時間的シーケンス140から生成される。上述のように、2D血管造影画像の時間的シーケンス140は、体積画像データ130a、130bよりも時間的に後に生成されてもよい。そうすることで、本方法は、2D血管造影画像の時間的シーケンス140を使用して臨床調査が行われることを可能にし、関心領域に対して3D血管造影撮像動作を同時に実行する必要なしに、3D血管造影画像の時間的シーケンスの利点を提供する。体積画像データは、例えば、関心領域120への介入装置の挿入前に生成された術前データを表してもよく、2D血管造影画像の時間的シーケンス140は、例えば、関心領域120への介入装置の挿入中に生成された術中データを表してもよい。その結果、介入処置は、3D血管造影画像の術中の時間的シーケンスを取得する必要なしに、介入装置を用いて実行され得る。
【0042】
予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110は、様々な目的のために使用されてもよい。例えば、3D血管造影画像110は、図2に示されるディスプレイ190などのディスプレイに出力されてもよい。タッチスクリーン、マウスなどのユーザ入力装置は、3D血管造影画像110を関心領域に対して所望の向きから見るために、ユーザが視野角を調整することを可能にするために、提供されてもよい。一例では、差分画像が、生成され、出力されてもよい。差分画像は、関心領域120を通る造影剤の流れの変化を表す。差分画像は、例えば、連続する血管造影画像間の、または処置の開始時に取得された血管造影画像と処置の最中に取得された血管造影画像との間の造影剤の流れの変化を表してもよい。
【0043】
一例では、予測された3D血管造影画像が、2D血管造影画像を提供するために投影される。この例では、図1を参照して上述された方法は、
【0044】
予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110をX線撮像システム150のX線検出器150aの仮想平面上に投影して、関心領域を通る造影剤の流れを表す予測された合成2D血管造影画像の時間的シーケンスを提供するステップを含んでもよい。
【0045】
この例では、合成2D血管造影画像が、関心領域に対する任意の向きから予測された3D血管造影画像を投影することによって生成されてもよい。合成2D血管造影画像は、関心領域内の造影剤の流れのより深い理解を容易にし、複数の構成でX線撮像システムを配置し、複数の画像取得に起因して患者およびスタッフをX線放射線に曝露させる必要なく、関心領域をより良く視覚化するために、関心領域に対する複数の向きから生成されてもよい。合成2D血管造影画像は、予測された3D血管造影画像およびX線撮像システムの幾何学的形状のモデルを使用して取得されてもよい。モデルは、例えば、X線源、X線検出器、及び関心領域の相対位置、並びにX線検出器の寸法などのパラメータを含んでもよい。投影は、関心領域120に対するX線源150bおよびX線検出器150aの向きa、bを調整し、3D血管造影画像を検出器上に投影することによって得られてもよい。図5は、本開示のいくつかの態様による、患者の長手方向軸の周りの投影X線撮像システム150の中心線の回転角度を含む、患者の関心領域120に対するX線撮像システム150のX線源150bおよびX線検出器150aの向きを示す概略図である。図6は、本開示のいくつかの態様による、患者の頭尾軸に対する投影X線撮像システム150の中心線の傾斜角bを含む、患者の関心領域120に対するX線撮像システム150のX線源150bおよびX線検出器150aの向きを示す概略図である。回転角度aおよび傾斜角度bは、関心領域120に対して調整され、所望の合成2D血管造影画像を得るために使用され得る。
【0046】
一例では、このようにして提供される合成2D血管造影画像は、ニューラルネットワークNN1に入力される2D血管造影画像の時間的シーケンス140によって提供されるビューに関心領域の異なるビューを提供するために使用される。この例では、上述の投影動作は、また、予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110を、関心領域120に対するX線撮像システム150のX線源150bおよびX線検出器150aの向きa、bでX線撮像システム150のX線検出器150aの仮想平面上に投影することを含んでもよく、その結果、予測された合成2D血管造影画像の時間的シーケンスは、受信された2D血管造影画像の時間的シーケンスに対する関心領域の異なるビューを表す。
【0047】
一例では、ニューラルネットワークNN1は、関心領域120を通る造影剤の流れの異なるビューを表す2D血管造影画像の2つの時間的シーケンスから3D血管造影画像の時間的シーケンス110を予測するように訓練される。関心領域を通る造影剤の流れの異なるビューを有する2D血管造影画像の時間的シーケンスは、バイプレーンX線撮像システムなどの複数のX線源-検出器構成を有する血管造影撮像システムを使用して取得され得る。このような撮像システムでは、関心領域に対する各線源-検出器構成の向きが、異なる。向きは、例えば、互いに直交して配置されてもよく、または互いに対して別の角度で配置されてもよい。異なるビューは、関心領域に関する追加の詳細を提供するのに使用されてもよい。この例では、複数のビューからの情報が、ニューラルネットワークによって生成される予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110を改善するのに使用される。複数のビューからの情報は、関心領域の3D構造の予測を改善し得る。複数のビューからの情報は、また、血管系直径の変化の結果、または短縮の結果としてのスローダウンを説明することによって、造影剤の流れがスローダウンするように見える画像における曖昧さを解決するために、ニューラルネットワークを支援し得る。
【0048】
この例では、図1を参照して説明された方法は、
関心領域120を通る造影剤の流れを表す2D血管造影画像の第2の時間的シーケンスを受信するステップであって、2D血管造影画像の第2の時間的シーケンスは、2D血管造影画像の時間的シーケンス140に対する関心領域120の異なるビューを表す、ステップと、
2D血管造影画像の第2の時間的シーケンスをニューラルネットワークNN1に入力するステップと、
入力に応答して、2D血管造影画像の第2の時間的シーケンスにさらに基づいて予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110を生成するステップと、
をも含み、
ニューラルネットワークNN1は、関心領域120を通る造影剤の流れの異なるビューを表す2D血管造影画像の2つの時間的シーケンスから3D血管造影画像の時間的シーケンス110を予測し、体積画像データ130a、130bによって予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110を制約するように訓練される。
【0049】
一例では、予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110は、入力された2D血管造影画像の特定の領域に対して生成される。この例では、図1を参照して説明された方法は、また、体積画像データ130a、130bおよび/または2D血管造影画像140における関心領域の範囲を示すユーザ入力を受信するステップと、 体積画像データ130a、130bおよび/または2D血管造影画像140における関心領域の示された範囲に対応する予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110を出力するステップと、をも含む。ユーザ入力は、例えば、2D血管造影画像140上の注釈の形でユーザによって提供されてもよい。ユーザは、例えば、関心領域の周りに境界ボックスを手動で描いてもよい。関心領域は、また、自動的に識別されてもよく、その後、ユーザは、自動的に識別された関心領域を選択する。関心領域の自動識別のための技術は、画像強度閾値化、領域成長、テンプレートマッチング、レベル設定、アクティブ輪郭モデリング、ニューラルネットワーク(たとえば、U-Net)によるセグメント化、特徴検出などを含む。ニューラルネットワークNN1の推論時間は、ニューラルネットワークNN1に入力される体積画像データ及び/又は2D血管造影画像における関心領域の範囲を示すことによって低減されてもよい。
【0050】
別の例では、予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110が、ユーザ指定時間分解能またはユーザ指定時間ウィンドウを用いて生成される。これらの例では、図1を参照して説明される方法は、また、予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110のための時間分解能を示すユーザ入力を受信するステップと、
予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110のための時間的ウィンドウを示すユーザ入力を受信するステップと、
それぞれ、示された時間分解能を持ち、および/または示された時間的ウィンドウ内の予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110を出力するステップ、
を含む。
【0051】
時間分解能または時間ウィンドウを示すユーザ入力は、グラフィカルユーザインタフェース「GUI」と組み合わせて、マウス、タッチスクリーンなどのユーザ入力装置によって提供され得る。GUIは、例えば、ユーザが予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110内のフレームを選択することを可能にする時間間隔スライダを含んでもよい。予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110は、血管系内の異なる位置での造影剤の到達時間を表すために異なる色を使用することによって色分けされてもよい。GUIは、また、ユーザが予測される3D血管造影画像の時間的シーケンス110の時間分解能を選択することを可能にするウィンドウサイズスライダを含んでもよい。GUIは、関心領域に対するユーザ定義の向きからの3D血管造影画像の時間的シーケンス110の合成投影の表示を可能にし得る。
【0052】
上述のように、いくつかの例では、2D血管造影画像の時間的シーケンス140が、体積画像データ130a、130bよりも時間的に遅く生成されてもよい。例えば、体積画像データ130a、130bは、関心領域120への介入装置の挿入前に生成された術前データを表してもよく、受信された2D血管造影画像の時間的シーケンス140は、関心領域120への介入装置の挿入中に生成された術中データを表してもよい。したがって、一例では、体積画像データ130a、130b内の関心領域120を通る造影剤の流れは、受信された2D血管造影画像の時間的シーケンス140内の関心領域120を通る造影剤の流れとは異なる。
【0053】
この例では、ニューラルネットワークNN1は、また、完了した関心領域に対する介入処置の割合を予測するように訓練され得る。ニューラルネットワークNN1は、訓練データに、3D血管造影訓練画像、および2D血管造影訓練画像の対応する時間的シーケンスを含めることによってこれを行うように訓練されてもよく、後者は、関心領域に対する介入処置中の関心領域を通る造影剤の流れを表し、完了した関心領域に対する介入処置のグランドトゥルース割合を予測するようにニューラルネットワークNN1を訓練する。完了した関心領域に対する介入処置のグランドトゥルース割合は、過去の処置から計算されてもよい。訓練中、グランドトゥルースと、完了した関心領域に対する介入処置の予測された割合とは、損失関数を使用して比較されることができ、損失関数の値は、ニューラルネットワークNN1を訓練するために使用される損失関数の値に寄与する。推論において、ニューラルネットワークNN1は、予測された3D血管造影画像の時間的シーケンスにおける流れに基づいて、完了した関心領域に対する介入処置の割合を予測する。この例では、ニューラルネットワークNN1は、入力された2D血管造影画像の時間的シーケンス140内の画像について、介入装置を使用して完了した関心領域に対する介入処置の割合を予測するように訓練され、方法は、
予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110について完了した関心領域に対する介入処置の割合を出力するステップ、
を含む。
【0054】
ニューラルネットワークNN1の訓練は、後で説明される。
【0055】
一般に、ニューラルネットワークの訓練は、訓練データセットをニューラルネットワークに入力することと、訓練されたニューラルネットワークが正確な出力を提供するまでニューラルネットワークのパラメータを反復的に調整することとを伴う。訓練は、多くの場合、グラフィックス処理装置「GPU」又はニューラル処理ユニット「NPU」又はテンソル処理ユニット「TPU」などの専用ニューラルプロセッサを使用して実行される。訓練は、多くの場合、集中型アプローチを採用し、クラウドベース又はメインフレームベースのニューラルプロセッサが、ニューラルネットワークを訓練するために使用される。訓練データセットを用いた訓練に続いて、訓練されたニューラルネットワークは、推論中に新しい入力データを分析するための装置に展開され得る。推論中の処理要件は、訓練中に必要とされるものよりも著しく低く、ニューラルネットワークがラップトップコンピュータ、タブレット、携帯電話などの様々なシステムに展開されることを可能にする。推論は、例えば、中央処理ユニット「CPU」、GPU、NPU、TPUによって、サーバ上で、又はクラウド内で実行されてもよい。
【0056】
したがって、上述のニューラルネットワークNN1を訓練するプロセスは、そのパラメータを調整することを含む。パラメータ、より具体的には、重み及びバイアスは、ニューラルネットワークにおける活性化関数の動作を制御する。教師付き学習では、訓練プロセスは、入力データを提示されるときに、ニューラルネットワークが、対応する期待出力データを正確に提供するように、重み及びバイアスを自動的に調整する。これを行うために、損失関数の値又は誤差は、予測された出力データと期待される出力データとの間の差に基づいて計算される。損失関数の値は、負の対数尤度損失、平均二乗誤差、又はフーバー損失、又はクロスエントロピー損失などの関数を使用して計算され得る。訓練中、損失関数の値は、典型的には、最小化され、訓練は、損失関数の値が停止基準を満たすときに終了される。場合によっては、訓練は、損失関数の値が複数の基準のうちの1つ以上を満たすときに、終了される。
【0057】
勾配降下法、準ニュートン法など、損失最小化問題を解決するための様々な方法が、既知である。確率的勾配降下「SGD」、バッチ勾配降下、ミニバッチ勾配降下、ガウス・ニュートン法、レーベンバーグ・マルカート法、モーメンタム法、Adam、Nadam、Adagrad、Adadelta、RMSProp、及びAdamax「オプティマイザ」を含むが、これらに限定されない、これらの方法及びそれらの変形を実装するために、様々なアルゴリズムが開発されてきた。これらのアルゴリズムは、連鎖法を使用して、モデルパラメータに対する損失関数の導関数を計算する。このプロセスは、導関数が、最後の層又は出力層において開始して、第1の層又は入力層に向かって移動して計算されるので、逆伝搬(backpropagation)と称される。これらの導関数は、誤差関数を最小化するためにモデルパラメータがどのように調整されなければならないかをアルゴリズムに知らせる。すなわち、モデルパラメータに対する調整は、出力層から開始し、入力層が到達されるまでネットワーク内で後方に動作するように行われる。第1の訓練反復において、初期の重み及びバイアスは、しばしばランダム化される。次いで、ニューラルネットワークは、同様にランダムである出力データを予測する。次いで、逆伝搬が、重み及びバイアスを調整するために使用される。訓練プロセスは、各反復において重み及びバイアスに対して調整を行うことによって反復的に実行される。訓練は、誤差、又は予測された出力データと期待出力データとの間の差が、訓練データ又は何らかの検証データについて許容可能な範囲内にあるときに、終了される。その後、ニューラルネットワークが、展開され得、訓練されたニューラルネットワークは、そのパラメータの訓練された値を使用して、新しい入力データについて予測を行う。訓練プロセスが成功した場合、訓練されたニューラルネットワークは、新しい入力データから期待出力データを正確に予測する。
【0058】
一例では、ニューラルネットワークNN1は、
複数の患者の各々について、関心領域120を表す3D血管造影訓練画像130’aを受信するステップS210、
各患者について、3D血管造影訓練画像130’aに対応する2D血管造影訓練画像の時間的シーケンス140’を受信するステップS220であって、2D血管造影訓練画像140’は、関心領域120を通る造影剤の流れを表す、ステップ、
患者に対する時間的シーケンスにおける複数の2D血管造影訓練画像140’の各々について、および複数の患者の各々について、
2D血管造影訓練画像140’をニューラルネットワークNN1に入力するステップS230、
関心領域120を通る造影剤の流れを表す対応する予測された3D血管造影画像110’を生成するステップS240と、
i)受信された3D血管造影訓練画像130’aと予測された3D血管造影画像110’との間の差を表す第1の損失関数LF1の値、及び
ii)入力された2D血管造影訓練画像140’と、入力された2D血管造影訓練画像140’の面に対応する面に対する予測された3D血管造影画像110’の投影160との間の差を表す第2の損失関数LF2の値、
に基づいてニューラルネットワークNN1のパラメータを調整するステップS250と、
停止基準が満たされるまで、入力するステップS230、生成するステップS240、及び調整するステップS250を繰り返すステップS260と、
によって、2D血管造影画像の時間的シーケンス140から3D血管造影画像の時間的シーケンス110を予測し、体積画像データ130aによって予測された3D血管造影画像の時間的シーケンスを制約するように訓練される。
【0059】
この訓練方法は、本開示のいくつかの態様による、関心領域を通る造影剤の流れを表す3D血管造影画像の時間的シーケンスを提供するようにニューラルネットワークを訓練する方法の第1の例を示すフローチャートである図7に示される。訓練方法は、本開示のいくつかの態様による、関心領域を通る造影剤の流れを表す3D血管造影画像の時間的シーケンスを提供するようにニューラルネットワークを訓練する方法の第1の例を示す概略図である図9にも示される。
【0060】
図7および図9を参照すると、動作S210において、関心領域120を表す3D血管造影訓練画像130’aが、複数の患者について受信される。3D血管造影訓練画像は、例えば、コンピュータトモグラフィ血管造影「CTA」、3D回転血管造影「3DRA」、または磁気共鳴血管造影「MRA」撮像システムなどの3D血管造影撮像システムによって生成され得る。100人以上の患者に対する3次元血管造影訓練画像130’aは、動作S210において受信されてもよい。画像は、関心領域に対する様々な異常の範囲を含んでもよい。画像は、異なる年齢、性別、ボディマスインデックスなどを有する患者を表してもよい。3D血管造影訓練画像130’aは、関心領域に対する介入処置の前に生成されてもよい。
【0061】
動作S220において、2D血管造影訓練画像の時間的シーケンス140’が、複数の患者の各々について受信される。2D血管造影訓練画像140’は、関心領域120を通る造影剤の流れを表す。2D血管造影訓練画像140’は、例えば、関心領域に対する介入処置中の造影剤の流れを表してもよい。2D血管造影訓練画像140’は、投影X線撮像システムによって生成されてもよい。代わりに、2D血管造影訓練画像140’は、上述のように、体積X線撮像システムによって生成された3D血管造影画像を仮想検出器平面上に投影することによって生成される合成2D血管造影画像であってもよい。
【0062】
動作S230において、複数の患者の時間的シーケンスからの複数の2D血管造影訓練画像140’が、ニューラルネットワークNN1に入力される。動作S240では、ニューラルネットワークNN1が、予測を行い、動作S250では、ニューラルネットワークNN1のパラメータが、2つの損失関数LF1とLF2の値に基づいて調整される。時間的シーケンスは、ニューラルネットワークNN1に入力する前に、訓練データセット内の複数の患者からランダムに選択されてもよい。このように入力の順序を変更することによって、ニューラルネットワークが入力の設定された順序についての予測の順序を記憶することを防ぐことによって予測を改善してもよい。動作S260では、動作S230、S240及びS250が、複数回繰り返される。これらの損失関数の計算は、図9に概略的に示される。第1の損失関数LF1の値は、受信された3D血管造影訓練画像130’aと予測された3D血管造影画像110’との間の差を表す。第2損失関数LF2の値は、入力された2D血管造影訓練画像140’と、入力された2D血管造影訓練画像140’の平面に対応する平面への予測された3D血管造影画像110’の投影160との間の差を表す。予測された3D血管造影画像110’が投影される平面は、上述のように決定されてもよく、すなわち、患者の関心領域に対する、2D血管造影訓練画像140’を生成するX線撮像システムの向きを表す位置エンコーダデータに基づいて既知であってもよい。代わりに、予測された3D血管造影画像110’が投影される平面は、2D血管造影訓練画像140’を3D血管造影訓練画像130’aに位置合わせすることによって決定されてもよい。損失関数の値は、L1またはL2損失、構造類似性指数、フーバー損失、log cosh損失などの損失関数を使用して計算されてもよい。損失関数の値は、重み付けされ、合計されて、合成値を提供してもよい。上述の逆伝播技術は、損失関数LF1及びLF2の合成値を使用してニューラルネットワークNN1のパラメータを調整するために使用されてもよい。
【0063】
訓練中に使用される第1および第2の損失関数、すなわちLF1およびLF2の値は、図3および図4に関連して説明された第1および第2の損失関数と同じ様式で計算される。損失関数も、上述したものと同様の効果を有する。第1の損失関数LF1は、予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110における画像が、3D血管造影訓練画像130’aにおける関心領域の3D構造を正確に描写することを保証する効果を有する。第2の損失関数LF2は、予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110’における画像内の流れが、入力された2D血管造影訓練画像140’内の造影剤の流れを正確に描写することを保証する効果を有する。
【0064】
別の例では、ニューラルネットワークNN1は、
複数の患者の各々について、関心領域120を通る造影剤の基準の流れを表す3D血管造影訓練画像の時間的シーケンス130’bを受信するステップS310と、
各患者について、3D血管造影訓練画像の時間的シーケンス130b’に対応する2D血管造影訓練画像の時間的シーケンス140’を受信するステップS320であって、2D血管造影訓練画像の時間的シーケンス140’は、関心領域120を通る造影剤の流れを表す、ステップと、
患者に対する時間的シーケンスにおける複数の2D血管造影訓練画像140’の各々について、および複数の患者の各々について、
2D血管造影訓練画像140’をニューラルネットワークNN1に入力するステップS330と、
関心領域120を通る造影剤の流れを表す対応する予測された3D血管造影画像110’を生成するステップS340と、
i)受信された3D血管造影画像の時間的シーケンス140’bからの対応する3D血管造影訓練画像と予測された3D血管造影画像110’との間の差を表す第1の損失関数LF1の値、及び
ii)入力された2D血管造影訓練画像140’と入力された2D血管造影訓練画像140’の平面に対応する平面上の予測された3D血管造影画像110’の投影160との間の差を表す第2の損失関数LF2の値、
に基づいてニューラルネットワークNN1のパラメータを調整するステップS350と、
【0065】
停止基準が満たされるまで、入力するステップS330及び生成するステップS340及び調整するステップS350を繰り返すステップS360と、
によって、2D血管造影画像の時間的シーケンス140から3D血管造影画像の時間的シーケンス110を予測し、体積画像データ130bによって予測された3D血管造影画像の時間的シーケンスを制約するように訓練される。
【0066】
この訓練方法は、本開示のいくつかの態様による、関心領域を通る造影剤の流れを表す3D血管造影画像の時間的シーケンスを提供するようにニューラルネットワークを訓練する方法の第2の例を示すフローチャートである図8に示される。この第2の例では、ニューラルネットワークNN1の訓練は、第1の例について上述したのと同じ様式で実行され、関心領域120を表す単一の3D血管造影訓練画像130’aを用いて訓練を実行するのではなく、3D血管造影訓練画像の時間的シーケンス130’bが使用される点で異なる。また、第1の損失関数の値が計算されるとき、第2の例では、第1の損失関数LF1の値は、受信された3D血管造影画像の時間的シーケンス140’bからの対応する3D血管造影訓練画像と予測された3D血管造影画像110’との間の差を表す。画像は、それらが同じ時点を表すという意味で対応する。したがって、この例では、予測された3D血管造影画像110’が、3D血管造影訓練画像の時間的シーケンス130’bと同じ時間間隔を有してもよい。
【0067】
図7を参照して説明された訓練方法、または図8を参照して説明された訓練方法では、さらなる動作が、実行されてもよい。例えば、3D血管造影訓練画像130’bおよび/または2D血管造影訓練画像の時間的シーケンス140’における関心領域120の範囲を示すユーザ入力が、受信されてもよく、第1の損失関数LF1および/または第2の損失関数LF2の値は、示された範囲内でのみ計算されてもよい。その際、訓練は、関心領域に合わせて調整される。代替的または追加的に、第1の損失関数LF1および/または第2の損失関数LF2の値は、示された範囲外と比較して、示された範囲内のそれぞれの損失関数により高い重み付けを適用することによって計算されてもよい。これは、訓練を関心領域に合わせて調整する効果も有する。
【0068】
図7を参照して説明された訓練方法、または図8を参照して説明された訓練方法において、ニューラルネットワークNN1の訓練は、3D血管造影訓練画像130’a、または3D血管造影訓練画像の時間的シーケンス130’bをニューラルネットワークNN1に入力することを含んでもよい。これは、図9において、これらのアイテムの間の破線の矢印によって示される。このようにニューラルネットワークNN1に3D血管造影訓練画像を入力することは、入力された2D血管造影訓練画像140’内の造影剤の流れに基づいて関心領域内の3D形状または流れの変化を推定することのみを必要とするので、ニューラルネットワークの訓練を単純化し得る。対照的に、3D血管造影訓練画像がニューラルネットワークNN1に入力されない場合、ニューラルネットワークNN1は、入力された2D血管造影訓練画像140’から、構造的形状及び造影剤の流れを予測するように学習し、3D血管造影訓練画像は、単に、第2損失関数LF1の値を計算するために使用される。
【0069】
別の例では、図7を参照して説明された訓練方法、または図8を参照して説明された訓練方法では、3D血管造影訓練画像130’aまたは3D血管造影訓練画像の時間的シーケンス130’bが、関心領域への介入装置の挿入前に生成された術前データを表してもよい。2D血管造影訓練画像の時間的シーケンス140’は、関心領域への介入装置の挿入中に生成された術中データを表してもよい。さらに、3D血管造影訓練画像130’a中の、または3D血管造影訓練画像の時間的シーケンス130’b中の関心領域120’を通る造影剤の流れは、2D血管造影訓練画像の時間的シーケンス140’中の関心領域を通る造影剤の流れとは異なってもよい。
【0070】
別の例では、図8を参照して説明された訓練方法は、
関心領域への介入装置の挿入中または挿入後に関心領域120を通る造影剤の流れを表す3D血管造影訓練画像の時間的シーケンスを受信するステップ、
を含んでもよく、
ニューラルネットワークNN1のパラメータを調整するステップS250、S350は、さらに、
iii)関心領域への介入装置の挿入中または挿入後の関心領域を通る造影剤の流れを表す対応する3D血管造影訓練画像と予測された3D血管造影画像110’との間の差を表す第3の損失関数LF3の値、
に基づく。
【0071】
この例では、関心領域の術中および/または術後3D血管造影画像の時間的シーケンスの形の訓練データが、追加的に利用可能である。第3の損失関数LF3の値は、上述した第1及び第2の損失関数LF1及びLF2と同様にして計算されてもよい。この例では、これらの時間的シーケンスが、ニューラルネットワークNN1のパラメータを調整するために訓練中に使用される。このようにして第3の損失関数を使用することは、関心領域の術中および/または術後3D構造に関する直接情報をニューラルネットワークNN1に提供するので、ニューラルネットワークNN1のより速い訓練を提供し得る。
【0072】
一例では、訓練されるニューラルネットワークNN1が、GANである。GANは、さらに、予測された3D血管造影画像の時間的シーケンスが3D血管造影訓練画像の「スタイル」にあることを保証するために、敵対的損失および/またはサイクル一貫性損失を使用してもよい。推論において、対照的な損失は、入力された2D血管造影画像の時間的シーケンス140の対応するフレームが、入力された2D血管造影訓練画像140’の平面に対応する平面上への予測された3D血管造影画像110’の投影と位置合わせされることを保証し得る。
【0073】
別の例では、コンピュータプログラム製品が、提供される。コンピュータプログラム製品は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、1つまたは複数のプロセッサに、関心領域120を通る造影剤の流れを表す3D血管造影画像の時間的シーケンス110を提供する方法を実行させる命令を含み、方法は、
関心領域120を表す体積画像データ130a、130bを受信するステップS110と、
関心領域120を通る造影剤の流れを表す2D血管造影画像の時間的シーケンス140を受信するステップS120と、
体積画像データ130a、130b、および2D血管造影画像の時間的シーケンス140をニューラルネットワークNN1に入力するステップS130と、
入力に応答して、関心領域120を通る造影剤の流れを表す予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110を生成するステップS140と、
を有し、
ニューラルネットワークNN1は、2D血管造影画像の時間的シーケンス140から3D血管造影画像の時間的シーケンス110を予測し、体積画像データ130a、130bによって予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110を制約するように訓練される。
【0074】
上述のように、コンピュータ実施方法の特徴は、システムにおいて実装されてもよい。したがって、一例では、関心領域120を通る造影剤の流れを表す3D血管造影画像の時間的シーケンス110を提供するためのシステム200が、提供される。システム200は、
関心領域120を表すS110体積画像データ130a、130bを受信し(S110)、
関心領域120を通る造影剤の流れを表す2D血管造影画像の時間的シーケンス140を受信し(S120)、
体積画像データ130a、130b、および2D血管造影画像の時間的シーケンス140をニューラルネットワークNN1に入力し(S130)、
入力に応答して、関心領域120を通る造影剤の流れを表す予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110を生成する(S140)、
ように構成された1つ以上のプロセッサ170を含み、
ニューラルネットワークNN1は、2D血管造影画像の時間的シーケンス140から3D血管造影画像の時間的シーケンス110を予測し、体積画像データ130a、130bによって予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110を制約するように訓練される。
【0075】
このシステム200の一例が、図2に示される。システム200は、図1のフローチャートを参照して上述した動作を実行し得る1つまたは複数のプロセッサ170を含む。システム200は、また、2D血管造影画像の時間的シーケンス140を生成するための投影X線撮像システム180、予測された3D血管造影画像の時間的シーケンス110を表示するためのディスプレイ190、GUI、およびキーボード、マウス、タッチスクリーンなどのユーザ入力(図1には図示せず)を受信するように構成されたユーザ入力装置のうちの1つまたは複数を含んでもよい。
【0076】
上記の例は、本開示を説明するものであり、限定するものではないとして理解されるべきである。更なる例も、企図される。たとえば、コンピュータ実施方法に関連して説明された例は、対応する形で、コンピュータプログラム製品によって、またはコンピュータ可読記憶媒体によって、またはシステム200によって提供されてもよい。任意の1つの例に関して記載された特徴は、単独で、又は他の記載された特徴と組み合わせて使用されてもよく、例のうちの別のものの1つ又は複数の特徴、又は他の例の組み合わせと組み合わせて使用されてもよいと理解されたい。更に、上で説明されていない均等物及び修正物も、添付の特許請求の範囲で規定される本発明の範囲から逸脱することなく使用され得る。請求項において、単語「有する」は、他の要素又は動作を排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は、複数性を排除するものではない。特定の特徴が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの特徴の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。請求項におけるいかなる参照符号も、それらの範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9