(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】容器及び封止済み容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 77/12 20060101AFI20241121BHJP
B29C 65/82 20060101ALI20241121BHJP
B65B 51/10 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B65D77/12 A
B29C65/82
B65B51/10 200
(21)【出願番号】P 2020130679
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2019190508
(32)【優先日】2019-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】藤枝 良至
(72)【発明者】
【氏名】辰巳 公一
(72)【発明者】
【氏名】原田 怜
(72)【発明者】
【氏名】籠田 将慶
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3115022(JP,U)
【文献】特開昭62-260677(JP,A)
【文献】特開2003-071939(JP,A)
【文献】米国特許第03956631(US,A)
【文献】特開昭62-260676(JP,A)
【文献】特開2002-225929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/00-33/38
B65D 75/30
B65D 77/12
B65D 77/30
B29C 65/82
B65B 51/10
B65B 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器であって、
一端に形成された開口領域を有する容器本体を備え、
前記開口領域の内表面は溶着可能であり、
前記開口領域に、前記開口領域を溶着した場合に前記開口領域が封止されているか否かを前記開口領域の外表面側から確認可能な封止確認機構が設けられ、
前記封止確認機構は、前記開口領域の外表面に設けられた熱によって溶融する線状凸部
である、容器。
【請求項2】
前記封止確認機構は、加熱によりその外観が変化する、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記封止確認機構は、前記開口領域の周方向に沿って複数設けられている、請求項1
又は2に記載の容器。
【請求項4】
容器であって、
一端に形成された開口領域を有する容器本体を備え、
前記開口領域の内表面は溶着可能であり、
前記開口領域に、前記開口領域を溶着した場合に前記開口領域が封止されているか否かを前記開口領域の外表面側から確認可能な封止確認機構が設けられ、
前記封止確認機構は、前記開口領域の周方向に沿って一部が欠落し、かつ前記開口領域の厚み方向全域が欠落した構造である、凹状欠落部を有する、容器。
【請求項5】
容器であって、
一端に形成された開口領域を有する容器本体を備え、
前記開口領域は溶着可能であり、
前記開口領域に、前記開口領域に透明性がある蓋材を溶着した場合に前記蓋材が前記開口領域に溶着されているか否かを確認可能な封止確認機構が設けられ
、
前記封止確認機構は、凹凸部、凹部又は凸部である、容器。
【請求項6】
請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の容器を準備する工程と、
前記容器の前記開口領域を溶着によって封止する工程と、を含み、
前記封止確認機構は、溶着時に溶融して変形又は変質する、封止済み容器の製造方法。
【請求項7】
前記容器の前記開口領域を溶着によって封止する工程において、前記開口領域は、片側加熱式のヒートシール機によって溶着され、前記封止確認機構は、前記ヒートシール機の非加熱側に位置する、請求項
6に記載の封止済み容器の製造方法。
【請求項8】
請求項
3に記載の容器を準備する工程と、
前記封止確認機構が前記開口領域の対向する一対の面の両方に互いに重なり合わないように、前記容器の前記開口領域を溶着する工程と、を含む、封止済み容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、容器及び封止済み容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば食品分野や医療分野で用いられる包装資材においては、衛生性の担保や内容物保護の観点から、軟包装容器や成形容器をヒートシール等の溶着手段により密封することが求められている。従来、このような容器の密着性を確認する際には、染色等の破壊的な手段を用いているが、破壊的な手段によって容器の密着性を確認した場合、その後、容器を使用することができなくなる。このため、通常は、溶着手段による溶着条件を極力均一にすることによって容器の密着性を担保している。
【0003】
しかしながら、例えば医療現場でヒートシールがなされる場合等、溶着手段の溶着条件が異なったり変化したりするため、容器の密着性が均一にならない場合がある。このような場合、仮に容器の溶着が不十分で、容器が不完全な状態で封止されていたとしても、溶着されるべき部分(シール内面)が完全に封止されているか否かを外観から確認することは困難である。このため、一見すると容器が十分に封止されたように判断され、実際には十分に封止されていない状態の容器製品が出荷されてしまうおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、内部に保存された生体試料や薬品が汚染され難い凍結保存容器が開示されている。上記特許文献1によると、高周波溶着や首部の溶着により、溶着不良が生じ難いとしているが、溶着部分(シール内面)が封止されたことを肉眼で確認することは難しい。
【0006】
本開示は、開口領域が溶着されたことを破壊的な手段を用いることなく目視で容易に判別することが可能な、容器及び封止済み容器の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施の形態による容器は、容器であって、一端に形成された開口領域を有する容器本体を備え、前記開口領域の内表面は溶着可能であり、前記開口領域に、前記開口領域を溶着した場合に前記開口領域が封止されているか否かを前記開口領域の外表面側から確認可能な封止確認機構が設けられている。
【0008】
本実施の形態による容器において、前記封止確認機構は、加熱によりその外観が変化してもよい。
【0009】
本実施の形態による容器において、前記開口領域は透明性を有し、前記封止確認機構は、前記開口領域の前記内表面に形成された凹凸部、凹部又は凸部であってもよい。
【0010】
本実施の形態による容器において、前記封止確認機構は、前記開口領域の周方向に沿って一部が欠落した構造を含み、前記構造は前記開口領域の周方向に垂直な方向の一部のみに存在してもよい。
【0011】
本実施の形態による容器において、前記開口領域が、シール層と非シール層とを含む多層積層体から構成され、前記シール層と前記非シール層とは、互いの溶着温度の差が35℃以下であってもよい。
【0012】
本実施の形態による容器において、前記封止確認機構は、前記開口領域の周方向に沿って複数設けられていてもよい。
【0013】
本実施の形態による容器において、前記封止確認機構は、前記開口領域の周方向に沿って一部が欠落した構造である、凹状欠落部を有していてもよい。
【0014】
本実施の形態による容器は、容器であって、一端に形成された開口領域を有する容器本体を備え、前記開口領域は溶着可能であり、前記開口領域に、前記開口領域に蓋材を溶着した場合に前記蓋材が前記開口領域に溶着されているか否かを確認可能な封止確認機構が設けられている。
【0015】
本実施の形態による封止済み容器の製造方法は、本実施の形態による容器を準備する工程と、前記容器の前記開口領域を溶着によって封止する工程と、を備え、前記封止確認機構は、溶着時に溶融して変形又は変質する。
【0016】
本実施の形態による封止済み容器の製造方法において、前記容器の前記開口領域を溶着によって封止する工程において、前記開口領域は、片側加熱式のヒートシール機によって溶着され、前記封止確認機構は、前記ヒートシール機の非加熱側に位置してもよい。
【0017】
本実施の形態による封止済み容器の製造方法は、本実施の形態による容器を準備する工程と、前記封止確認機構が前記開口領域の対向する一対の面の両方に互いに重なり合わないように、前記容器の前記開口領域を溶着する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0018】
本実施の形態によれば、開口領域が溶着されたことを破壊的な手段を用いることなく目視で容易に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態による容器(溶着前)を示す正面図である。
【
図2】
図2は、第1の実施の形態による容器(溶着前)を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態による容器(溶着後)を示す正面図である。
【
図4】
図4は、第1の実施の形態による容器(溶着後)を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、第1の実施の形態による容器(溶着前)の変形例を示す斜視図である。
【
図6】
図6(a)(b)は、第1の実施の形態による容器(開口領域を潰す前の状態、開口領域を潰した状態)の変形例を示す断面図である。
【
図7】
図7(a)(b)は、第1の実施の形態による容器(開口領域を潰す前の状態、開口領域を潰した状態)の変形例を示す正面図である。
【
図8】
図8(a)(b)は、第1の実施の形態による容器(溶着前)の変形例を示す断面図である。
【
図9】
図9(a)(b)は、第1の実施の形態による容器(溶着前)の変形例を示す斜視図である。
【
図10】
図10(a)(b)は、第1の実施の形態による容器の封止確認機構を示す断面図である。
【
図11】
図11(a)-(d)は、封止確認機構の各種形態を示す断面図である。
【
図12】
図12(a)(b)は、第1の実施の形態において、片側加熱式のヒートシール機を用いて開口領域を溶着する状態を示す図である。
【
図13】
図13(a)(b)は、第1の実施の形態において、両側加熱式のヒートシール機を用いて開口領域を溶着する状態を示す図である。
【
図14】
図14(a)(b)は、第2の実施の形態による容器を示す図である。
【
図15】
図15(a)(b)は、第2の実施の形態による容器を示す図である。
【
図16】
図16(a)(b)は、第2の実施の形態において、片側加熱式のヒートシール機を用いて開口領域を溶着する状態を示す図である。
【
図17】
図17(a)(b)は、第2の実施の形態において、片側加熱式のヒートシール機を用いて開口領域を溶着する状態を示す図である。
【
図18】
図18(a)(b)は、第2の実施の形態の変形例において、開口領域を溶着する状態を示す図である。
【
図19】
図19(a)(b)は、第2の実施の形態の変形例による容器を示す図である。
【
図20】
図20(a)(b)は、第2の実施の形態の変形例による容器を示す図である。
【
図21】
図21(a)(b)は、第2の実施の形態の変形例による容器を示す斜視図である。
【
図22】
図22(a)(b)は、第2の実施の形態の変形例による容器を載置台に載置した状態を示す斜視図である。
【
図23】
図23(a)(b)は、第2の実施の形態の変形例による容器の開口領域を溶着した状態を示す正面図である。
【
図24】
図24(a)(b)は、第2の実施の形態の変形例による容器を示す斜視図である。
【
図25】
図25(a)(b)は、第2の実施の形態において、片側加熱式のヒートシール機を用いて開口領域を溶着する状態を示す図である。
【
図26】
図26は、第3の実施の形態による容器の開口領域を示す断面図である。
【
図27】
図27は、第3の実施の形態による容器の開口領域を示す断面図である。
【
図28】
図28は、第4の実施の形態の変形例による容器を示す斜視図である。
【
図29】
図29(a)(b)は、第4の実施の形態において、片側加熱式のヒートシール機を用いて開口領域を溶着する状態を示す図である。
【
図30】
図30(a)(b)は、第4の実施の形態の変形例による容器を示す図である。
【
図31】
図31(a)-(c)は、変形例による容器を示す図である。
【
図32】
図32(a)-(c)は、変形例による容器を示す図である。
【
図33】
図33(a)(b)は、変形例による容器を示す図である。
【
図37】
図37(a)(b)は、変形例による容器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら各実施の形態について具体的に説明する。以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。また、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明する場合があるが、上下方向が逆転してもよい。
【0021】
本明細書において、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限り、これは他の構成の直上(又は直下)にある場合のみでなく、他の構成の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の構成の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
【0022】
(第1の実施の形態)
以下、
図1乃至
図13を参照して、第1の実施の形態について説明する。
【0023】
まず
図1乃至
図4を参照して、本実施の形態による容器の構成について説明する。
図1及び
図2は、開口領域20を溶着する前の容器10を示す図であり、
図3及び
図4は、開口領域20を溶着した後の容器(封止済み容器)10を示す図である。
【0024】
[容器]
図1及び
図2に示すように、本実施の形態による容器(プラスチック製容器)10は、容器本体11を備えており、この容器本体11は、一端(Z方向プラス側端部)に形成された開口21を有する開口領域20を有している。また、容器本体11のうち、少なくとも開口領域20の内表面22は溶着可能であり、開口領域20には、封止確認機構30が設けられている。この封止確認機構30は、開口領域20を溶着した場合に(
図3及び
図4参照)、開口領域20が封止されているか否かを開口領域20の外表面23側から確認可能な構造となっている。なお、封止確認機構30の構成については後述する。
【0025】
次に、容器10の詳細な構成について更に説明する。
【0026】
容器本体11は、液体を収容可能となっており、胴部12と、容器本体11の他端(Z方向マイナス側端部)に位置する底部13とを有している。胴部12は、略円筒形状であり、その水平断面(XY平面に平行な平面)は略円形である。また胴部12の水平断面は上下方向(Z方向)に沿って略均一となっている。胴部12の水平断面は、円形に限らず、四角形や六角形等の多角形、又は楕円形等としても良い。
【0027】
容器本体11の一端(Z方向プラス側端部)には開口領域20が形成されている。開口領域20は、液体を収容するための開口21を有している。この開口21は、上方(Z方向プラス側)から見て円形状を有している。開口領域20は、溶着によって封止され、密封部25(
図3及び
図4参照)が形成される領域である。また、開口領域20を溶着する前の状態で(
図1及び
図2参照)、開口領域20には周方向に沿ってシール予定部24が形成されている。シール予定部24は、溶着された後、密封部25を構成する(
図3及び
図4参照)。
【0028】
図1及び
図2に示すように、シール予定部24は、容器本体11の一端(Z方向プラス側端部)に位置する開口領域20に位置し、ヒートシール等により溶着して密封される部分である。シール予定部24は、容器本体11の一端の周方向全体にわたって形成されていても良く、容器本体11の一端の周方向の一部に形成されていても良い。シール予定部24は、全体として略円筒形状であっても良い。シール予定部24内であって、開口領域20の内表面には、開口領域20が封止されているか否かを確認するための封止確認機構30が設けられている。この場合、開口領域20がシール予定部24に対応するが、これに限らず、開口領域20はシール予定部24の一部であっても良い。また、シール予定部24が開口領域20の一部であっても良い。
【0029】
図5に示すように、開口21が容器本体11の中心軸CLに対して傾斜していても良い。開口21の周縁部21aのうち開口21の第1端点(上端)21bと第2端点(下端)21cとを結ぶ仮想線VLは、容器本体11の中心軸CLに対して傾斜している。中心軸CLは、容器本体11の各水平断面における重心を結んだ直線であっても良い。また、容器本体11を平坦面上に設置することができる場合、中心軸CLは、当該平坦面に対して垂直な方向に延びていても良い。なお、第1端点21bとは、開口21の周縁部21aのうち底部13から最も遠い位置にある点であり、第2端点21cとは、開口21の周縁部21aのうち底部13から最も近い位置にある点である。
【0030】
図6(a)は、
図5に示す容器10の断面図である。
図6(a)に示すように、容器本体11の壁面厚みは、胴部12の途中に位置する徐変開始位置Psから開口21に向けて徐々に薄くしていっても良い。また
図6(a)に示すように、徐変開始位置Psと第1端点21bとの中間点、及び徐変開始位置Psと第2端点21cとの中間点を円周上で結んだときの線(下縁24a)よりも開口21側の領域がシール予定部24となる。開口領域20を潰す前の状態(
図6(a))と、開口21をシールするために開口領域20を潰した状態(
図6(b))とでは、密封部25に対応するシール予定部24の外観形状が変化する。すなわち、開口領域20を潰す前の状態(
図6(a))で、開口21の周縁部21aが位置する面を開口面Saとする。開口領域20を潰した状態(
図6(b))で開口面Saとシール予定部24の下縁24aとを略平行にする場合、開口領域20を潰す前の状態(
図6(a))では、開口面Saと下縁24aとの間隔は第1端点21b側よりも第2端点21c側を広くしておく必要がある。このため、徐変開始位置Psは、第1端点21b側より第2端点21c側の方が底部13に近くなることが好ましい。なお、徐変開始位置Psよりも底部13側において、容器本体11の厚みは、例えば0.5mm以上2mm以下であっても良く、好ましくは1mmとしても良い。また、徐変開始位置Psと第1端点21b(第2端点21c)との中間点において、容器本体11の厚みは、例えば0.3mm以上1.5mm以下であっても良く、好ましくは0.65mmとしても良い。さらに、第1端点21b(第2端点21c)において、容器本体11の厚みは、例えば0.1mm以上0.6mm以下であっても良く、好ましくは0.3mmとしても良い。
【0031】
図7(a)は、
図5に示す容器10を示す図であり、開口領域20を潰す前の状態を示している。
図7(b)は、
図5に示す容器10を示す図であり、開口領域20を溶着するために潰した状態を示している。また
図7(a)(b)は、それぞれ容器10を、中心軸CL、第1端点21b及び第2端点21cを通過する平面の法線方向から見た状態を示している。さらに、
図7(a)(b)において、シール予定部24を灰色で示している。
【0032】
図7(a)に示すように、開口領域20が封止される前の状態で、容器本体11のシール予定部24の下縁(底部13側の縁部)24aは、直線部を含む略S字形状に形成されている。また
図7(b)に示すように、開口21の内面同士が接触するよう開口21を潰すようにシールした際、シール予定部24の下縁(底部13側の縁部)24aが直線状となる。
【0033】
この場合、容器10を角度θだけ傾けた状態で、容器10内に液体を充填しかつ開口領域20を密封することができる。例えば、後述する載置台70に容器10を載置した際、上方から見たときの開口21の面積が大きくなるため、容器10内に液体をより充填しやすくすることができる。また、容器10の中心軸CLを傾けた状態で液体を充填することができるので、充填時に液体に気泡が発生することを抑制することができる。これにより、例えば液体として細胞懸濁液を用いる場合等、気泡が細胞へ悪影響を及ぼすことを抑えることができる。また容器10の中心軸CLを傾けた状態とし、鉛直方向に平行な充填ノズルやピペットを用いて容器10に細胞懸濁液を充填する際、気泡発生を抑制するために容器10の側面を伝って細胞懸濁液を充填することで、細胞へのダメージの影響を小さくすることができる。また、シール予定部24に液体が付着しないように充填する必要がある場合、充填ノズルやピペットを広範囲の領域に配置することができる。また、例えば、10mmシール巾、15mmシール巾又は20mmシール巾のヒートシール装置を用いた場合に、密封部25の最小シール幅であるHminの長さを一定値(例えば5mm)に維持することができ、かつ、密封部25の最大シール幅であるHmaxの長さまで、密封部25を確実にシールすることができる。
【0034】
例えば、
図8(a)に示すように、開口領域20が第1薄肉部20aと、厚肉部20bと、第2薄肉部20cとを有し、シール予定部24が開口領域20の第1薄肉部20a及び第2薄肉部20cに対応していても良い。この場合、一方のシール予定部24(第2薄肉部20c)は、開口領域20のうち底部13に近い側に位置していても良い。このように、2ヵ所以上の薄肉部20a、20cが設けられていることにより、利用者が自由に内容物の容量をその場で変えてシールすることができる。例えば、
図8(a)では、第1薄肉部20aでシールした場合と第2薄肉部20cでシールした場合とでは、内容物を収容できる容量が異なる。すなわち、大容量の内容物を収容したい場合は、第1薄肉部20aでシールすればよく、小容量の内容物を収容し、ヘッドスペース空間を減らしたいのであれば第2薄肉部20cでシールすればよい。また、
図8(b)に示すように、開口領域20が第1薄肉部20dと、第1厚肉部20eと、第2薄肉部20f、第2厚肉部20gと、第3薄肉部20h、とを有し、シール予定部24が開口領域20の第1薄肉部20d、第2薄肉部20c、第3薄肉部20hに対応していても良い。この場合、第1薄肉部20d、第2薄肉部20cが内側から構成されているので、外側に引っかかる部分がなく、ハンドリング時の煩わしさを低減することができる。また、第3薄肉部20hは外側から構成されているので、外側の引っかかりを例えば容器10の載置に利用することができる。
【0035】
シール予定部24の高さH1(Z方向の距離)は、1mm以上50mm以下としても良く、1.6mm以上20mm以下とすることが好ましい。シール予定部24の高さH1を1mm以上とすることにより、容器本体11の開口領域20を効果的に溶着することができる。またシール予定部24の高さH1を50mm以下とすることにより、容器本体11の容積が小さくなりすぎないようにすることができる。また、シール予定部24の高さH1を1.6mm以上20mm以下とした場合、通常のヒートシール機(インパルスシール機など)を用いて開口領域20をシールすることができる。
【0036】
シール予定部24は、容器本体11の一端(Z方向プラス側端部)に位置する領域のうち、厚みT1(
図2参照)が1.5mm以下の部分であっても良い。この場合、通常のヒートシール機(インパルス式シール機)を用いてシール予定部24を容易に溶着することができる。好ましくは、シール予定部24は、チューブ容器としての容器10を溶着し易いよう厚みT1が600μm以下であっても良い。更に好ましくは、シール予定部24は、柔軟なチューブ容器(例えば、歯磨き粉用等のトイレタリー用チューブ)としての容器10を溶着し易いよう厚みT1が360μm以下であっても良い。
【0037】
また、
図9(a)に示すように、シール予定部24は、容器本体11の胴部12のうち、他端側(Z方向マイナス側)の部分よりも肉薄の部分であっても良い。この場合、シール予定部24は、容器本体11の開口領域20の全周にわたって略均一な厚みT2を有している。具体的には、例えば、胴部12のうちシール予定部24の厚みT2は、250μm以上1mm以下であり、胴部12のうちシール予定部24以外の部分の厚みT2は、1mm以上3mm以下である。あるいは、
図9(b)に示すように、シール予定部24は、容器本体11の一端(Z方向プラス側端部)側に向かうにつれて、厚みT3が徐々に薄くなる部分であっても良い。
【0038】
図1及び
図3に示すように、容器本体11の他端(Z方向マイナス側端部)には、閉鎖された底部13が形成されている。使用時には、この底部13から容器本体11の内部に収容された液体が取り出されても良い。例えば、底部13に注射針等を刺して液体を吸引することで、容器10から液体を吸引しても良い。
【0039】
底部13には、連結部14を介して、容器本体11を支持する平板状のスタンド部15が連結されている。連結部14は、容易に破断可能な細い棒状の部材からなり、底部13の円周に沿って所定の間隔で複数設けられている。本実施の形態において、連結部14は180°の等間隔で2箇所に形成されている。スタンド部15は、容器10の最底部に位置しており、平面視略菱形状に形成されるとともに、連結部14を介して容器本体11の底部13と連結されている。なお、スタンド部15は、XY平面に対して平行に位置している。
【0040】
このような容器10は、例えば開口領域20を開放した状態で一体成形により形成される(
図1及び
図2参照)。その後、容器本体11内に液体を充填した後に、開口領域20を溶着し、密封部25を形成するようになっている(
図3及び
図4参照)。そして、容器10は、密封部25が鉛直方向上方側、スタンド部15が鉛直方向下方側に向くように配置することができる。
【0041】
図3及び
図4に示すように、密封部25は、容器本体11の一端(Z方向プラス側端部)に形成されており、これにより容器本体11の一端側が密封されている。具体的には、密封部25は、容器本体11を作製するための円筒状の胴部12の一端を潰し、開口領域20の互いに対向する内表面22同士を溶着することにより形成される。密封部25は、全体として略平面状であり、その主たる面はZX平面に平行な略長方形形状となっている。
【0042】
容器10の使用時には、連結部14を破断してスタンド部15を除去し、底部13に注射針を刺して液体を吸引し、容器本体11内の液体を取り出すことができる。あるいは、連結部14及びスタンド部15を設けなくても良い。この場合、例えば、水平方向(XY平面に平行な方向)に容器本体11を切断して底部13側を取り除き、容器10内から液体を取り出しても良い。このとき、液体の取り出し方法は特に限定されず、例えば注射器等を用いて液体を吸引して取り出す方法が挙げられる。また、容器本体11の底部13側を開放するとともに、図示しない蓋材を装着し、蓋材を取り外すことにより容器10内から液体を取り出しても良い。このとき、液体の取り出し方法は、上記と同様に例えば注射器等を用いて液体を吸引して取り出しても良い。あるいは、蓋材を装着したまま蓋材に対して注射針を刺して液体を吸引しても良い。
【0043】
容器10を構成する材料は、溶着することができる材料であればよい。また、容器10を構成する材料は、液体と接触した際に、液体に影響を与えないような材料であることが好ましく、容器10内に収容される液体の種類に応じて適宜選択される。さらに、容器10を構成する材料は、容器10の用途に応じても、適宜選択される。具体的には、容器10に対し、強度や柔軟性、水蒸気透過度、耐熱性、光透過性等の所定の特性を付与する場合には、そのような特性を有する材料を適宜選択することが好ましい。このような材料は、一般的な樹脂製の容器に用いられる材料と同様とすることができるが、例えば可撓性を有する樹脂材料が挙げられる。具体的には、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ナイロン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド並びにエチレン-酢酸ビニル共重合体、フッ素樹脂及び、それらの積層体等の各種樹脂、あるいはこれらを任意に組合せた混合物等が挙げられる。
【0044】
容器10を構成する材料としては、可視光線を透過するものを用いることが好ましい。このような材料は透明又は半透明であっても良く、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の色に着色されていても良いが、無色透明であることが最も好ましい。また容器10の一部に、画像、文字等の情報が表示されていても良い。このような画像、文字等の情報は、例えばインクジェット法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法等の印刷法により形成されても良い。なお、容器10のうち、少なくとも封止確認機構30が設けられる部分は、開口領域20の外表面23側から封止確認機構30を目視で確認可能な程度の透明性を有しており、画像、文字等が表示されていないことが好ましい。ここで透明性とは、例えば第十六改正日本薬局方の容器・包装材料試験法における透明性試験第一法に従って測定した透過率(波長:450nm)によって規定することができる。この開口領域20の透過率は55%以上であることが好ましい。
【0045】
容器10は、単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。容器10が多層構造である場合、容器10の内面のみが上述のような樹脂材料であり、その他の層が、アルミニウムを含有するアルミニウム層を有していてもよい。また、容器10は、必要に応じて、シリカ等の材料で外面が表面コーティングされていてもよい。この場合、容器10にバリア性を付与することができる。
【0046】
容器10に収容される液体としては、医薬品等の薬液を用いても良い。このような薬液の具体例としては、例えば抗リウマチ薬、インスリン製剤、ブドウ糖のような糖液、塩化ナトリウムや乳酸カリウムのような電解質補正液、タンパク製剤、抗体薬、造影剤、タンパク質分解酵素阻害剤、脂肪乳剤、抗生物質、抗がん剤、ヘパリンカルシウム麻酔薬、及び腹膜透析液が挙げられる。また、鎮痛剤、解熱剤、制吐剤、鎮咳剤、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤、気管支拡張剤、ステロイド剤、抗不整脈剤、及び抗てんかん剤のような製剤をRO水や蒸留水のような無菌水又は生理食塩水で溶解した所謂プレミックス製剤が挙げられる。さらに、インフルエンザ、破傷風、肺炎球菌、ポリオ、日本脳炎、風疹、麻疹、黄熱、ヒブ、肝炎、水痘、狂犬病、ロタウィルス、おたふくかぜ、子宮頸がん、MQ、DT及びDPT等のワクチンのような生物医薬であってもよい。さらにまた、骨髄やリンパ球等の生体細胞であってもよい。また、薬液としては、例えば細胞製剤であってもよく、具体的には、ヘパトーマ細胞、肝臓の実質細胞である肝細胞、クッパー細胞、血管内皮細胞や角膜内皮細胞などの内皮細胞、繊維芽細胞、骨芽細胞、砕骨細胞、歯根膜由来細胞、表皮角化細胞などの表皮細胞、気管上皮細胞、消化管上皮細胞、子宮頸部上皮細胞、角膜上皮細胞などの上皮細胞、乳腺細胞、ペリサイト、平滑筋細胞や心筋細胞などの筋細胞、腎細胞、膵ランゲルハンス島細胞、末梢神経細胞や視神経細胞などの神経細胞、軟骨細胞、骨細胞、又は幹細胞、ES細胞(胚性幹細胞)及びiPS細胞(人工多能性幹細胞)等が挙げられる。幹細胞は、例えば骨髄未分化間葉幹細胞、造血幹細胞、血管幹細胞、神経幹細胞、小腸幹細胞、脂肪幹細胞、皮膚幹細胞、歯周組織幹細胞、毛様体幹細胞、角膜輪部幹細胞、内臓幹細胞等が挙げられる。
【0047】
あるいは、容器10に収容される液体としては、食品関係の液体であっても良く、具体的には、飲料、調味料等の液体であっても良い。
【0048】
本実施の形態による容器10は、例えば、上述したような液体を収容する医療用容器又は食品用容器として用いることができる。とりわけ、本実施の形態によれば、上述した食品や医薬品など、確実な密封により内容物を保護する必要がある分野に用いることができる。特に、内容物を非侵襲的に全数検査(目視検査)することが求められる分野、例えば無菌性の担保が必須な医薬品などの分野で好意的に用いられる。
【0049】
[封止確認機構]
次に、封止確認機構30の構成について説明する。
【0050】
封止確認機構30は、開口領域20を溶着した場合に(
図3及び
図4参照)、開口領域20が封止されているか否かを開口領域20(すなわち密封部25)の外表面23側から確認可能なものである。この封止確認機構30は、少なくとも開口領域20に設けられている。
【0051】
封止確認機構30は、加熱によりその外観が変化する構造を有する。すなわち封止確認機構30は、開口領域20を溶着する前には、少なくとも開口領域20の外表面23側から確認可能となっている(
図1及び
図2参照)。また、封止確認機構30は、開口領域20を溶着した後、開口領域20がしっかりと封止されている場合には変形(消失)し、外表面23側から確認不可能となる(
図3及び
図4の仮想線参照)。これに対して、封止確認機構30は、開口領域20を溶着した後、開口領域20がしっかりと封止されていない場合には残存し、外表面23側から確認可能となる。なお、本明細書中、変形とは、溶着時の熱等によって形状が変化することをいい、消失する場合も含まれる概念である。
【0052】
封止確認機構30は、開口領域20の少なくとも内表面22に設けられるが、開口領域20の厚み方向全域にわたって設けられていても良い(例えば後述する孔34又は切欠き35)。また
図1及び
図2において、封止確認機構30は、開口領域20の周方向の一部に設けられているが、これに限らず、開口領域20の周方向全体に設けられていても良い。なお、封止確認機構30は、開口領域20の周方向の半分以上に設けられることが好ましい。また、
図1及び
図2において、封止確認機構30は、開口領域20の高さ方向(Z方向)の一部に設けられているが、これに限らず、開口領域20の高さ方向全体に設けられていても良い。
【0053】
少なくとも開口領域20は、透明性を有しており、これにより封止確認機構30を外表面23側から確認することが可能となる。ここで透明性とは、例えば第十六改正日本薬局方の容器・包装材料試験法における透明性試験第一法に従って測定した透過率(波長:450nm)によって規定することができる。この開口領域20の透過率は55%以上であることが好ましい。
【0054】
図10(a)に示すように、封止確認機構30は、開口領域20の内表面22の周方向に沿って形成された凹凸部31(凹部及び凸部)であっても良い。ここで凹部とは、開口領域20の内表面22の厚み方向内側に向けて凹む部分であり、凸部とは、開口領域20の内表面22の厚み方向外側に向けて突出する部分である。この場合、凹凸部31は、開口領域20の内表面22に形成された微細な粗面からなり、封止時に開口領域20を加熱した際に溶融するようになっている。すなわち、
図10(a)に示すように、開口領域20が溶着されていない場合、開口領域20の外表面23側から見て、封止確認機構30である凹凸部31の存在を確認することができる。例えば
図10(a)において、観察者Mが左側から外表面23を見た場合、凹凸部31が光を散乱するため(矢印参照)、凹凸部31の存在を認識することができる。これに対して、
図10(b)に示すように、開口領域20が確実に封止されている場合、開口領域20の内表面22に形成された凹凸部31が封止時の加熱によって溶融して平滑になる。このため、溶着後、開口領域20の外表面23側から見て、凹凸部31の形状や線が消失する。すなわち、凹凸部31が溶融し、周囲の溶融した樹脂と溶け合うことで開口領域20の外表面23側から見えなくなる。例えば
図10(b)において、観察者Mが左側から外表面23を見た場合、凹凸部31が存在しないため、密封部25が光を通過し(矢印参照)、開口領域20が透明であると認識することができる。このため、凹凸部31の有無を確認することにより、凹凸部31が存在しない場合に開口領域20が確実に封止されていると判断し、凹凸部31が存在する場合に開口領域20が十分には封止されていないと判断することができる。また、封止確認機構30が凹凸部31から構成されることにより、例えば容器10を作製するための金型を予め加工しておくことにより、このような封止確認機構30を容易に作製することができる。
【0055】
また、
図11(a)に示すように、封止確認機構30は、1つ又は複数の凸部32のみを有していても良い。この場合、開口領域20を溶着した後、凸部32が溶融し、周囲の溶融した樹脂と溶け合うことで消失するので、凸部32を開口領域20の外表面23側から見ることができなくなる。このため、凸部32の有無を開口領域20の外表面23側から確認することにより、開口領域20が確実に封止されているが否か判断することができる。
【0056】
また、
図11(b)に示すように、封止確認機構30は、1つ又は複数の凹部33のみを有していても良い。この場合、開口領域20を溶着した後、凹部33周囲の樹脂が溶融し、凹部33内に流れ込んで凹部33が消失するので、凹部33を開口領域20の外表面23側から見ることができなくなる。このため、凹部33の有無を開口領域20の外表面23側から確認することにより、開口領域20が確実に封止されているか否か判断することができる。
【0057】
また、
図11(c)に示すように、封止確認機構30が凹凸部31を有し、この凹凸部31が、開口領域20の内表面22の全周にわたって形成されていても良い。この場合、開口領域20を溶着するヒートシール機からの熱が、開口領域20の内表面22に対して均一に伝わっているかを確認することができる。
【0058】
また、
図11(d)に示すように、封止確認機構30が凹凸部31を有し、この凹凸部31が、開口領域20の内表面22の一部、例えば内表面22のうち、溶着時に対向する一対の面の一方のみに形成されていても良い。この場合、容器10を成形するための金型等の加工部分が減るため、容器10の製造工程の煩雑さを低減することができる。
【0059】
図11(a)-(d)において、容器10のうち、少なくとも開口領域20は、シール層26と非シール層27とを含む多層積層体から構成されている。このうちシール層26は、開口領域20の内表面22を構成する層であり、熱によって直接他の部分に溶着される層である。シール層26を構成する材料としては、上述した各材料を用いることができる。また、非シール層27は、開口領域20の外表面23を構成する層であり、熱によって直接他の部分に溶着されない層である。非シール層27を構成する材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリプロピレン等を用いることができる。なお、これに限らず、容器10は、シール層26の単層から構成されていても良い。
【0060】
なお、封止確認機構30として、高さが1μm以下の凹凸パターン(凹凸部31、凸部32又は凹部33)を形成する方法としては、例えば、サンドブラスト処理が挙げられ、更に小さな凹凸パターンを形成する場合には、Arプラズマによるエッチング処理等が挙げられる。また、高さが1μm以上の凹凸パターン(凹凸部31、凸部32又は凹部33)を形成する方法としては、樹脂材料への成形方法として、例えば、押し出し成形、射出成形、ホットエンボス成形、ナノインプリント成形、ブロー成形、カレンダー成形、キャスト成形、プレス成形等が採用可能である。
【0061】
[本実施の形態の作用]
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0062】
まず、
図1及び
図2に示すように、開口領域20の開口21を開放した状態で、容器本体11を例えば射出成形法等により作製する。次に、容器本体11内に所定量の液体を充填し、開口領域20を溶着によって封止する。これにより、密封部25を形成し、封止された容器(封止済み容器)10を得る(
図3及び
図4参照)。
【0063】
このように開口領域20を溶着によって封止する作業は、様々な環境下で行われるが、例えば医療現場等においては、必ずしも均質な条件で溶着が行われるとは限らない。非均質な溶着の条件下では、溶着手段の条件が変化するため、密封部25の密着性が均一にならないおそれがある。一般に、仮に密封部25の溶着が不十分であったとしても、密封部25の内面が確実に溶着されたことを外観から確認することは困難である。
【0064】
これに対して本実施の形態によれば、開口領域20に、開口領域20を溶着した場合に開口領域20が封止されているか否かを外表面23側から確認可能な封止確認機構30が設けられている。封止確認機構30は、十分に加熱された場合には溶着時の熱によって溶融して消失し、十分に加熱されていない場合には溶融することなく残存する。これにより、封止確認機構30を目視で確認することにより、密封部25の溶着が十分であるか不十分であるかを、外観から目視で容易に確認することができる。具体的には、開口領域20の外表面23側から見て、封止確認機構30を確認できなかった場合に、密封部25の溶着が十分であると判断する。一方、封止確認機構30を確認できた場合に、密封部25の溶着が不十分であると判断することができる。これにより、密封ができていないまま容器10が出荷されてしまうことを抑制することができる。また、この際、破壊的な手段を用いることなく密封部25の溶着が十分であるか判断できるので、密封部25の溶着が十分であった場合には、容器10を破棄することなくそのまま使用することができる。
【0065】
開口領域20を溶着によって封止する装置としては、例えば、片側加熱式のヒートシール機、両側加熱式のヒートシール機、超音波シール機、高周波シール機、ホットエアーを用いたシール機等が挙げられる。あるいは、非加熱による接着方式(光硬化など)を用いても良い。例えば、開口領域20の内表面22に、紫外光で液化(軟化)し、可視光で接着(硬化)するポリマー材料が設けられていても良い。
【0066】
図12(a)(b)は、開口領域20を溶着する装置として片側加熱式のヒートシール機40を用いる場合を示している。片側加熱式のヒートシール機40は、開口領域20を加熱する加熱部41と、加熱部41に対向して配置された非加熱部42とを有している。この場合、封止確認機構30は、1つの凸部32のみを有している。
【0067】
図12(a)(b)に示すように、ヒートシール機40による熱は、開口領域20の内表面22の対向する一対の面のうち、一方の面(
図12(a)(b)では下方の面)のみから加えられる。ここで、ヒートシール機40による加熱が不十分であると、この熱が凸部32まで十分伝わらず、凸部32が溶融しない(
図12(a))。このため、凸部32を開口領域20の外表面23側から見ることができ、開口領域20が十分に封止されていないと判断することができる。これに対して、ヒートシール機40による加熱が十分行われていれば、熱によって凸部32が溶融する(
図12(b))。このため、凸部32は開口領域20の外表面23側から見えず、開口領域20が十分に封止されていると判断することができる。なお、
図12(a)(b)において、十分加熱されている部分を灰色で示し、加熱が不十分な部分を白色で示している(
図13、
図16、
図17、
図25、
図29についても同様)。
【0068】
図13(a)(b)は、開口領域20を溶着する装置として両側加熱式のヒートシール機40を用いる場合を示している。両側加熱式のヒートシール機40は、開口領域20を加熱する一対の加熱部41、41を有している。この場合、封止確認機構30は、1つの凸部32のみを有している。
【0069】
図13(a)(b)に示すように、ヒートシール機40による熱は、開口領域20の内表面22の対向する一対の面の両面(
図13(a)(b)では上方及び下方の両面)から加えられる。ここで、ヒートシール機40による加熱が不十分であると、この熱が凸部32まで十分伝わらず、凸部32が溶融しない(
図13(a))。このため、凸部32を開口領域20の外表面23側から見ることができ、開口領域20が十分に封止されていないと判断することができる。これに対して、ヒートシール機40による加熱が十分行われていれば、熱によって凸部32が溶融する(
図13(b))。この場合、凸部32は開口領域20の外表面23側から見えず、開口領域20が十分に封止されていると判断することができる。
【0070】
このように本実施の形態によれば、開口領域20の封止後に密封部25の溶着状態の良否を肉眼で確認することが可能となり、溶着不良が発生した製品の流出を防ぐことが可能となる。
【0071】
[実施例]
次に、本実施の形態における具体的実施例について説明する。
【0072】
(実施例1-1)
容器(エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)製容器、開口領域の1面あたりの厚み:310μm)を作製した。この場合、開口領域の内表面全体に封止確認機構としての凹凸部(粗さSz=20μm)を形成した。続いて、開口領域を片側加熱式のインパルス式シール機(富士インパルス株式会社製、加熱温度コントロールシーラー、OPL-600-5)用いてシール十分条件(手で剥離不可、かつ剥離しようとした際に根元から切断されない条件:加熱温度150℃、加熱時間2秒、冷却温度60℃)にて幅5mmでヒートシール方式により封止した。このときのヒートシール強さは、16.40[N/15mm]となった。なお、「シール十分条件」とは、ヒートシール強さが3[N/15mm]以上となることをいう。また、「粗さSz」はJIS B0601 2001で定められた算術平均粗さであり、形状解析レーザ顕微鏡(株式会社キーエンス製、VK-8710)等を用いて測定できる。
【0073】
「ヒートシール強さ」とは、JIS Z 0238:1998を参考にして測定した。JIS Z 0238:1998は、包装に用いるヒートシールされた軟包装袋、及びヒートシールされた半剛性容器の試験方法について規定されており、例えば密閉性の指標となるヒートシール強さについて記載されている。具体的には、ヒートシール強さの測定方法は以下のようにした。
【0074】
(1)ヒートシール部分に対して直角の方向に幅15.0±0.1mm、展開長さ100mm以上の試験片を準備する。なお、幅15.0±0.1mmの試験片が採取できない場合は、実幅で、後述する(2)のように測定し、以下の換算結果をヒートシール強さとする。
[ヒートシール強さ]=[実幅のヒートシール強さ]×(15÷[実幅の値])
また、展開長さ100mm以上の試験片が採取できない場合は、セロハン粘着テープなどで補強し、展開長さ100mm以上としてもよい。また、例えば容器がバイアルである場合等、セロハン粘着テープなどで補強しにくい形態の試験片を測定する場合には、適宜容器の長さに合わせて展開長さを決定しても良い。例えば展開長さ60mmなどとしても良い。
【0075】
(2)試験片のヒートシール部を中央にして180°に開き、つかみの間隔を50mm以上とし、試験片の両端を引張試験機のつかみに取り付ける。その後、つかみ間の相対移動速度を300±20mm/minでヒートシール部が破断するまで引張荷重を加え、その間の最大荷重(N/15mm)を求め、ヒートシール強さとする。上述したように、容器の長さに合わせて試験片の展開長さを決定した場合、その展開長さに合わせてつかみの間隔を変更しても良い。例えば、容器がバイアルである場合、試験片の展開長さを60mmにして、つかみの間隔を30mmにして測定しても良い。つかみ間の相対移動速度も容器の剛性に合わせて適宜変更して良い。例えば、バイアルである容器を測定する場合、30mm/minで測定しても良い。
【0076】
また、JIS Z 0238:1998には使用目的に応じたヒートシール強さの目安が記載されており、以下の値より小さいヒートシール強さの記載はないため、この最小値(3[N/15mm])をシール条件の指標とした。
使用目的:パートコート又はイージーピールの袋などで、ヒートシール強さが小さくてよい場合。
ヒートシール強さ:3[N/15mm]以上
【0077】
(実施例1-2)
インパルス式シール機によるシール条件をシール不十分条件(手で容易に剥離可能な条件:加熱温度70℃、加熱時間2秒、冷却温度60℃)に変更したこと、以外は、実施例1-1と同様にして、容器(実施例1-2)を作製した。このときのヒートシール強さは、0.12[N/15mm]となった。なお、「シール不十分条件」とは、ヒートシール強さが3[N/15mm]より小さくなることをいう。
【0078】
この結果、実施例1-1の容器は、密封部の内面がしっかりと溶着されているため、封止確認機構としての凹凸部が消失した。これに対して、実施例1-2の容器は、密封部の内面が十分に封止されていないため、封止確認機構としての凹凸部の一部が残った。このように、目視にて溶着が十分であるか不十分であるかの判断が可能であった。
【0079】
(実施例2-1)
容器(低密度ポリエチレン製容器、開口領域の1面あたりの厚み:360μm)を作製した。この場合、開口領域の内表面に凸部(1mm角、高さ300μm)を1つ形成した。続いて、開口領域を片側加熱式のインパルス式シール機(富士インパルス株式会社製、加熱温度コントロールシーラー、OPL-600-5)用いてシール十分条件(手で剥離不可、かつ剥離しようとした際に根元から切断されない条件:加熱温度240℃、加熱時間2秒、冷却温度60℃)にて幅5mmでヒートシール方式により封止した。このときのヒートシール強さは、35.52[N/15mm]となった。
【0080】
(実施例2-2)
インパルス式シール機によるシール条件をシール不十分条件(手で容易に剥離可能な条件:加熱温度180℃、加熱時間2秒、冷却温度60℃)に変更したこと、以外は、実施例2-1と同様にして、容器(実施例2-2)を作製した。このときのヒートシール強さは、1.44[N/15mm]となった。
【0081】
この結果、実施例2-1の容器は、密封部の内面がしっかりと溶着されているため、封止確認機構としての凸部の境界線が消失した。これに対して、実施例2-2の容器は、密封部の内面が十分に封止されていないため、封止確認機構としての凸部の境界線が残った。このように、目視にて溶着が十分であるか不十分であるかの判断が可能であった。
【0082】
(第2の実施の形態)
次に、
図14乃至
図25を参照して第2の実施の形態について説明する。
図14乃至
図25は第2の実施の形態を示す図である。
図14乃至
図25に示す第2の実施の形態は、主として封止確認機構30の構成が異なるものであり、他の構成は上述した第1の実施の形態と略同一である。
図14乃至
図25において、
図1乃至
図13に示す実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0083】
図14乃至
図25は、本実施の形態による容器10を示している。
図14乃至
図25において、
図1乃至
図13に示す容器10と異なり、封止確認機構30は、開口領域20の周方向に沿って一部が欠落した構造を含んでいる。この一部が欠落した構造は、開口領域20の周方向に垂直な方向(上下方向、Z方向)の一部のみに存在し、当該構造が存在しない領域は溶着可能な領域として残されている。
【0084】
具体的には、
図14(a)(b)に示すように、封止確認機構30は、開口領域20を厚み方向に貫通する孔34であっても良い。孔34は、その外周縁が、全体にわたって開口領域20内に位置している。
図14(a)に示すように、溶着前には、開口領域20の外表面23側から見て、封止確認機構30である孔34の存在を確認することができる。これに対して、
図14(b)に示すように、溶着後、開口領域20が確実に封止されている場合、開口領域20に形成された孔34が封止時の加熱によって溶融し、周囲の溶融した樹脂と溶け合うことで開口領域20の外表面23側から見えなくなる。このため、溶着後、開口領域20の外表面23側から見て、孔34の形状が消失する。このように、孔34の有無を確認することにより、孔34が存在しない場合に開口領域20が確実に封止されていると判断し、孔34が存在する場合に開口領域20が十分に封止されていないと判断することができる。
【0085】
また、
図15(a)(b)に示すように、封止確認機構30は、開口領域20を厚み方向に貫通する切欠き35であっても良い。切欠き35は、その外周縁の一部が開口領域20の外側に開放されている。
図15(a)に示すように、溶着前には、開口領域20の外表面23側から見て、封止確認機構30である切欠き35の存在を確認することができる。これに対して、
図15(b)に示すように、溶着後、開口領域20が確実に封止されている場合、開口領域20に形成された切欠き35が封止時の加熱によって溶融し、周囲の溶融した樹脂と溶け合うことで開口領域20の外表面23側から見えなくなる。このため、溶着後、開口領域20の外表面23側から見て、切欠き35の形状が消失する。このように、切欠き35の有無を確認することにより、切欠き35が存在しない場合に開口領域20が確実に封止されていると判断し、切欠き35が存在する場合に開口領域20が十分に封止されていないと判断することができる。
【0086】
このように、孔34又は切欠き35は、熱によって溶融し、周囲の溶融した樹脂と溶け合うことで見えなくなる。これにより、開口領域20を封止した密封部25の全体に熱がしっかり伝わっていることを目視で判断することができる。
【0087】
孔34又は切欠き35は、1つのみ設けられていても良い。また、開口領域20の全体に複数の孔34又は複数の切欠き35が分散して配置されていても良い。この場合、ヒートシール機の熱が均一に密封部25の内面に伝わっていることを確認できるため、より好ましい。
【0088】
開口領域20を溶着する場合、片側加熱式のヒートシール機40(
図12(a)(b)参照)を用いても良く、両側加熱式のヒートシール機40(
図13(a)(b)参照)を用いても良い。なお、開口領域20の封止後に密封部25の溶着状態の良否を肉眼で確認するという効果をより得やすくするために、片側加熱式のヒートシール機40を用いる場合、加熱する側と反対側に孔34又は切欠き35が存在することが好ましい。その理由を以下に説明する。
【0089】
図16(a)(b)は、片側加熱式のヒートシール機40により、開口領域20の対向する一対の面のうち、孔34又は切欠き35が存在しない面側からのみ加熱する場合を示している。
図16(a)は、ヒートシール機40による加熱が不十分である場合を示している。このように、ヒートシール機40による加熱が不十分であると、この熱が孔34又は切欠き35まで伝わらず、孔34又は切欠き35が溶融しない(
図16(a))。このため、孔34又は切欠き35を開口領域20の外表面23側から見ることができ、開口領域20が十分に封止されていないと判断することができる。これに対して、
図16(b)は、ヒートシール機40による加熱が十分行われている場合を示している。このように、ヒートシール機40による加熱が十分行われていれば、熱によって孔34又は切欠き35が溶融する(
図16(b))。この場合、孔34又は切欠き35は開口領域20の外表面23側から見えず、開口領域20が封止されていると判断することができる。
【0090】
これに対して
図17(a)(b)は、片側加熱式のヒートシール機40により、開口領域20の対向する一対の面のうち、孔34又は切欠き35が存在する面側からのみ加熱する場合を示している。
図17(a)は、ヒートシール機40による加熱が不十分である場合を示している。このように、仮にヒートシール機40による加熱が不十分であったとしても、孔34又は切欠き35側に加えられた熱によって、孔34又は切欠き35が溶融すると考えられる(
図17(a))。また、
図17(b)は、ヒートシール機40による加熱が十分行われている場合を示している。このように、ヒートシール機40による加熱が十分行われている場合にも、熱によって孔34又は切欠き35が溶融する(
図17(b))。このため、孔34又は切欠き35を開口領域20の外表面23側から見ただけでは、開口領域20が封止されているか否かを判断できないおそれがある。
【0091】
このため、上述したように、片側加熱式のヒートシール機40を用いる場合、加熱する側と反対側に孔34又は切欠き35を配置することが好ましい。
【0092】
また、孔34又は切欠き35は、開口領域20の一部を除去した構造であるため、この部分において開口領域20を十分溶着できないおそれがある。このため、
図14(b)に示すように、開口領域20を封止した密封部25のうち、高さ方向(Z方向)に一定の領域A1には孔34又は切欠き35を設けないことが好ましい。孔34又は切欠き35を設けない領域A1(開口領域20の全周にわたって溶着されている部分)の高さH2(
図14(b))は、1.6mm以上とすることが好ましく、2.0mm以上とすることが更に好ましい。
【0093】
図14(b)において、孔34を設けない領域A1は、開口領域20のうち収容部側(Z方向マイナス側)に位置しているが、これに限られるものではない。開口領域20に孔34を設けない領域A1は、開口領域20の外縁側(Z方向プラス側)に位置していても良い。また、開口領域20に孔34を設けない領域A1は、開口領域20の収容部側(Z方向マイナス側)と外縁側(Z方向プラス側)との両方にそれぞれ設けられていても良い。この場合、収容部側(Z方向マイナス側)と外縁側(Z方向プラス側)との両方から密封部25の密封性を確保することができる。
【0094】
孔34又は切欠き35の高さ方向距離(Z方向距離)は、密封部25全体の高さ方向距離(Z方向距離)の60%以下とすることが好ましい。また、孔34又は切欠き35の合計面積は、密封部25全体の面積の半分以下とすることが好ましい。
【0095】
また、孔34又は切欠き35は、密封部25の幅方向(X方向)中央部に位置することが好ましい。これにより、溶着後、密封部25の両端部よりも破れやすい領域である幅方向中央部が封止されているか否かをより効果的に判断することができる。また例えば胴部12が円筒である場合等、周方向に見たとき開口領域20を溶着する方向が不明確である場合にも、孔34又は切欠き35を中央に配置することにより、溶着時に開口領域20を正しく位置決めすることができる。
【0096】
また、容器10が射出成形により形成される場合、一般的に、容器10はウェルドラインを含む。この場合、孔34又は切欠き35は、密封部25の幅方向(X方向)中央部に配置し、かつ密封部25の幅方向(X方向)両端に位置する曲げ部の近傍にウェルドラインが存在するようにすることが好ましい。孔34又は切欠き35を指標に開口領域20を溶着することで、溶着後にウェルドラインにおいて割れやひびの発生を抑制することができる。これは、仮にウェルドラインが密封部25の幅方向中央部に位置するようにした場合、接着した内表面22同士を離間させる方向に力がかかる。これに対して曲げ部の近傍ではその力が小さいため、曲げ部の近傍にウェルドラインが位置する場合、シール後にウェルドラインにおいて割れやひびが生じることが抑制されるからである。なお、「曲げ部の近傍にウェルドラインが位置する」とは、密封部25の幅方向(X方向)において、曲げ部からの距離が密封部25の幅方向(X方向)の長さの1/20以下である領域内にウェルドラインが位置することを意味する。なお、ウェルドラインとは、射出成形用の金型内で、溶融材料の流れが合流し、溶融材料が融着することによって形成された痕を意味し、メルドラインとも呼ばれる。ウェルドラインは、通常は線状であるが、点線状、点状等であることもある。ウェルドラインでは、応力集中、分子配向の乱れ等が生じており、それによりウェルドラインは低強度であることがある。そのため、強度低下を抑制する観点からは、ウェルドラインは存在しないことが好ましく、存在するとしても、ウェルドラインは容器10の厚み方向に通貫していないことが好ましい。
【0097】
図18(a)(b)に示すように、開口領域20が、シール層26と非シール層27とを含む多層積層体から構成されている場合、シール層26と非シール層27とは、その溶着温度の差が35℃以下であることが好ましい。例えば、シール層26と非シール層27とを同一の材料(溶着温度が同一の材料)から構成しても良く、あるいは、シール層26と非シール層27とが互いに異なる材料であり、かつ溶着温度の差が35℃以下の材料から構成しても良い。例えば、シール層26が低密度ポリエチレンであり(融点:105℃)、非シール層27が高密度ポリエチレン(融点:137℃)であっても良い。これにより、溶着後に非シール層27に形成された孔34又は切欠き35が、シール層26の溶着温度で溶融せずに残ってしまうことを抑制することができる。この結果、密封部25の溶着が十分に行われている場合に、孔34又は切欠き35の存在を視認できてしまうおそれがない。また、開口領域20が多層積層体から構成されている場合、開口領域20は、2層に限らず3層以上の層から構成されていても良い。
【0098】
図14及び
図15において、孔34又は切欠き35が、溶着時に開口領域20の対向する一対の面のうち、一方の面のみに設けられる場合を例にとって説明した。しかしながら、これに限らず、孔34又は切欠き35が、溶着時に開口領域20の対向する一対の面の両方に設けられていても良い。例えば、
図19(a)(b)に示すように、切欠き35が、開口領域20の対向する一対の面の両方に設けられていても良い。
【0099】
これにより、片側加熱式のヒートシール機40を用いた場合に、切欠き35を加熱側及び非加熱側の両方にそれぞれ配置することができる。このため、仮にヒートシール機40による加熱が不十分であった場合に、加熱側に位置する切欠き35が溶融したとしても(
図17(a)(b)参照)、非加熱側に位置する切欠き35は溶融しない(
図16(a)(b)参照)。したがって、片側加熱式のヒートシール機40に容器10をセットした際に、開口領域20の対向する面が加熱側及び非加熱側のいずれの方向を向いていても、密封部25の溶着が十分であるか不十分であるかを外観から目視で確認することができる。
【0100】
一対の切欠き35は、溶着する際に互いに重ならない位置に設けられることが好ましい。すなわち、一対の切欠き35は、開口領域20の対向する面を溶着するときの仮想溶着面S1を中心として非対称な位置に存在することが好ましい(
図19(a)参照)。なお、
図19(a)(b)において、切欠き35の場合を例にとって説明したが、孔34についても同様である。
【0101】
また、
図20(a)(b)に示すように、封止確認機構30は、開口領域20の周方向に沿って一部が欠落した構造である、凹状欠落部38を有している。この場合、凹状欠落部38は、開口領域20の周方向の半分に対応している。開口21の周縁部21aは、第1の周縁部分21a1と、第2の周縁部分21a2とから構成され、第1の周縁部分21a1と第2の周縁部分21a2との間に段差21dが形成されている。第1の周縁部分21a1と第2の周縁部分21a2とは、互いに異なる平面上に位置している。この場合、第2の周縁部分21a2は、第1の周縁部分21a1よりも下方(底部13側)に位置する。
【0102】
図21(a)(b)に示すように、開口21の周縁部21aを含む面が容器本体11の中心軸CLに対して傾斜していても良い。また封止確認機構30は、開口領域20の周方向に沿って一部が欠落した構造である、凹状欠落部38を有している。凹状欠落部38は、開口領域20の周方向の半分に対応している。具体的には、開口21の周縁部21aを含む面(開口面)が最も広く見える視点から当該開口面を見た場合に、開口面は楕円状に見える。当該楕円を構成する周を楕円の長軸で分割した場合の片方の周部分が、凹状欠落部38に対応することが好ましい。この場合、開口領域20をシールしたときに、楕円の短軸方向に開口面を閉じることができ、容器10の変形に伴う応力の発生を抑制することができる。凹状欠落部38は、開口21の周縁部21aの第2端点(下端)21cを手前側に配置したとき右側に位置していても良い(
図21(a))。この場合、
図22(a)に示すように、容器10を載置台70に載置し、開口21を鉛直方向上方に向け、かつ容器10の底部13を手前側に向けたとき、凹状欠落部38が容器10の右側に位置する。このため、ピペット73を用いて容器10内に液体を充填する分注作業を行う際、開口21に対して右側からピペット73の先端を接近させることができるため、右利きの操作者の操作性を高めることができる。反対に、凹状欠落部38は、開口21の周縁部21aの第2端点(下端)21cを手前側に配置したとき左側に位置していても良い(
図21(b))。この場合、
図22(b)に示すように、開口21に対して左側からピペット73の先端を接近させることができるため、左利きの操作者の操作性を高めることができる。
【0103】
溶着前には、開口領域20の外表面23側から見て、封止確認機構30である凹状欠落部38の存在を確認することができる。一方、
図23(a)に示すように、溶着後、開口領域20が確実に封止されている場合、開口領域20に形成された凹状欠落部38が封止時の加熱によって溶融し、周囲の溶融した樹脂と溶け合うことで開口領域20の外表面23側から見えなくなる。このため、溶着後、開口領域20の外表面23側から見て、凹状欠落部38の形状が消失する。これに対して、
図23(b)に示すように、溶着後、開口領域20の封止が不十分である場合、凹状欠落部38の一部が線状となって残存し(
図23(b)の符号D)、開口領域20の外表面23側から見ることができ、開口領域20が十分に封止されていないと判断することができる。このように、凹状欠落部38の有無を確認することにより、凹状欠落部38が存在しない場合に開口領域20が確実に封止されていると判断し、凹状欠落部38が存在する場合に開口領域20が十分に封止されていないと判断することができる。
【0104】
また、
図24(a)(b)に示すように、封止確認機構30は、開口領域20の周方向の半分以上の長さにわたって欠落した構造を有していても良い。
【0105】
図25(a)(b)は、片側加熱式のヒートシール機40により、開口領域20の対向する一対の面のうち、凹状欠落部38が存在しない面側からのみ加熱する場合を示している。
図25(a)は、ヒートシール機40による加熱が不十分である場合を示している。このように、ヒートシール機40による加熱が不十分であると、この熱が凹状欠落部38まで伝わらず、凹状欠落部38の周囲が溶融しない(
図25(a))。このため、凹状欠落部38を開口領域20の外表面23側から見ることができ、開口領域20が十分に封止されていないと判断することができる。これに対して、
図25(b)は、ヒートシール機40による加熱が十分行われている場合を示している。このように、ヒートシール機40による加熱が十分行われていれば、熱によって凹状欠落部38の周囲の樹脂が溶融する。この場合、凹状欠落部38は開口領域20の外表面23側から見えず、開口領域20が封止されていると判断することができる。
【0106】
[実施例]
次に、本実施の形態における具体的実施例について説明する。
【0107】
(実施例3-1)
容器(低密度ポリエチレン製容器、開口領域の1面あたりの厚み:300μm)を作製した。この場合、開口領域に切欠き(幅4mm、高さ3mm)を1つ形成した。続いて、開口領域を片側加熱式のインパルス式シール機(富士インパルス株式会社製、加熱温度コントロールシーラー、OPL-600-5)用いてシール十分条件(手で剥離不可、かつ剥離しようとした際に根元から切断されない条件:加熱温度180℃、加熱時間2秒、冷却温度60℃)にて幅5mmでヒートシール方式により封止した。なお、開口領域の対向する一対の面のうち、切欠きが存在しない面側からのみ加熱した。この容器のヒートシール強さは、24.24[N/15mm]となった。
【0108】
(実施例3-2)
インパルス式シール機によるシール条件をシール不十分条件(手で容易に剥離可能な条件:加熱温度160℃、加熱時間2秒、冷却温度60℃)に変更したこと、以外は、実施例3-1と同様にして、容器(実施例3-2)を作製した。この容器のヒートシール強さは、1.05[N/15mm]となった。
【0109】
この結果、実施例3-1の容器は、密封部の内面がしっかりと溶着されているため、封止確認機構としての切欠きの境界線が消失した。これに対して、実施例3-2の容器は、密封部の内面の溶着が不十分であるため、封止確認機構としての切欠きの境界線が残った。このように、目視にて溶着が十分であるか不十分であるかの判断が可能であった。
【0110】
(比較例1-1)
開口領域に切欠きを形成しなかったこと、以外は、実施例3-1と同様にして、容器(比較例1-1)を作製した。
【0111】
(比較例1-2)
開口領域に切欠きを形成しなかったこと、以外は、実施例3-2と同様にして、容器(比較例1-2)を作製した。
【0112】
この結果、比較例1-1の容器も比較例1-2の容器も、密封部の外観はほぼ同様となり、目視で溶着が十分であるか不十分であるかを判断することは実質的に困難であった。
【0113】
(第3の実施の形態)
次に、
図26及び
図27を参照して第3の実施の形態について説明する。
図26及び
図27は第3の実施の形態を示す図である。
図26及び
図27に示す第3の実施の形態は、主として封止確認機構30の構成が異なるものであり、他の構成は上述した第1の実施の形態及び第2の実施の形態と略同一である。
図26及び
図27において、
図1乃至
図19に示す実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0114】
図26及び
図27において、
図1乃至
図19に示す実施の形態と異なり、封止確認機構30は、加熱によりその外観的形質が変化する材料を含んでおり、溶着時に溶融して変質するようになっている。なお、変質とは、溶着時の熱等によって外観等の性質が変化することをいう。
【0115】
具体的には、
図26に示すように、封止確認機構30は、例えば、開口領域20の材料中に混入した、容器10の主たる材料とは異なる屈折率を持つ粒子36を含んでいても良い。この場合、粒子36は加熱により屈折率が変化し、容器10の主たる材料の屈折率に近い屈折率となる。このため、加熱の有無によって開口領域20のヘイズ値が変化する。なお、上記ヘイズ値の差が約0.66%以上存在するとき、目視で屈折率の違いが判断できる。溶着後、開口領域20が確実に封止されている場合、開口領域20に存在する粒子36が封止時の加熱によって屈折率が変化し、周囲の樹脂の屈折率に近い屈折率となるため、開口領域20の外表面23側から見えなくなる。このため、溶着後、開口領域20の外表面23側から見て、開口領域20の外観が周囲と略同一なる。このように、開口領域20の外観を確認することにより、その外観が周囲と略同一である場合に開口領域20が確実に封止されていると判断し、その外観が周囲と異なる場合に開口領域20が十分に封止されていないと判断することができる。
【0116】
あるいは、
図27に示すように、封止確認機構30は、例えば、加熱により色が変化する着色層37を含んでいても良い。着色層37は、容器10の材料そのものに、加熱により変色する染料や顔料(例えば、ロイコ色素、サーモクロミック材料、液晶など)を混ぜ込んだものであっても良く、あるいは、各層を貼り合わせる接着剤に当該染料や顔料を分散させても良い。着色層37の変色は可逆でも良いし、不可逆でも良いが、常温では変色せず、溶着温度(材料によって変わる)で変色する必要がある。また、開口領域20を溶着した後は常温となっても元の色に戻らない熱ヒステリシスを持つ材料であることが望ましい。なお、変色の前後で色差が約1以上存在するとき、目視で色の違いを判断することができる。溶着後、開口領域20が確実に封止されている場合、開口領域20に存在する着色層37が封止時の加熱によって変色し、この着色層37の変化を開口領域20の外表面23側から観察することができる。このように、開口領域20の外観を確認することにより、開口領域20が変色した場合に開口領域20が確実に封止されていると判断し、開口領域20が変色しなかった場合に開口領域20が十分に封止されていないと判断することができる。
【0117】
(第4の実施の形態)
次に、
図28乃至
図30を参照して第4の実施の形態について説明する。
図28乃至
図30は第4の実施の形態を示す図である。
図28乃至
図30に示す第4の実施の形態は、主として封止確認機構30の構成が異なるものであり、他の構成は上述した第1の実施の形態乃至第3の実施の形態と略同一である。
図28乃至
図30において、
図1乃至
図27に示す実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0118】
図28乃至
図30において、
図1乃至
図27に示す実施の形態と異なり、封止確認機構30は、開口領域20の外表面23に形成された凸部39を含んでいる。この場合、凸部とは、開口領域20の外表面23の厚み方向外側に向けて突出する部分である。凸部39は、開口領域20の周方向の一部に形成されている。
【0119】
図29(a)(b)は、片側加熱式のヒートシール機40により、開口領域20の対向する一対の面のうち、凸部39が存在しない面側からのみ加熱する場合を示している。
図29(a)は、ヒートシール機40による加熱が適切である場合を示している。この場合、ヒートシール機40からの熱が凸部39の全体に完全に伝わることがないので、凸部39が全て溶融することがなく、凸部39の一部が残存し、シール後に凸部39を開口領域20の外表面23側から見ることができる(
図29(a))。このため、ヒートシール機40による加熱が適切であり、開口領域20が十分に封止されていると判断することができる。これに対して、
図29(b)は、ヒートシール機40による加熱が過剰に行われた場合を示している。この場合、熱によって凸部39が完全に溶融して消失し、シール後に凸部39は開口領域20の外表面23側から見ることができない(
図29(b))。このため、過剰なシールが行われており、密封部25に隣接した部分の強度が低下したり、密封部25に隣接した部分の厚みが薄肉化したりすることにより、この部分が容易に破断するおそれがあると判断することができる。
【0120】
なお、凸部39の厚みをT6とし、開口領域20の厚みをT7としたとき、T6/T7は、0.25以上3.0以下とすることが好ましい。
【0121】
図30(a)(b)に示すように、容器本体11の中心軸CLに対して凸部39の反対側の位置であって、シール予定部24以外の領域に、位置ずれ確認機構46を設けても良い。位置ずれ確認機構46は、開口領域20の外表面23に形成された凸部であっても良い。凸部39が形成されたシール予定部24をシールした場合、シール用の加熱が過剰に行われていなければ、上述したように凸部39の形状は部分的に残る。また、位置ずれ確認機構46はシール予定部24以外の領域に存在するため、溶融することはない。このため、凸部39側から中心軸CL方向を見たとき、凸部39と位置ずれ確認機構46とが並んで観察されれば、シール位置がずれていないと判断することができる。一方、凸部39側から中心軸CL方向を見たとき、凸部39と位置ずれ確認機構46とがずれていれば、容器10が回転してシール位置がずれていると判断することができる。なお、位置ずれ確認機構46を視認できるように、胴部12のうち、少なくとも位置ずれ確認機構46が形成されている領域と、中心軸CLに対して位置ずれ確認機構46の反対側に位置する領域とは透明であることが好ましい。また、位置ずれ確認機構46側から中心軸CL方向を見たとき、凸部39と位置ずれ確認機構46とが並んで観察されれば、シール位置がずれていないと判断することができる。一方、位置ずれ確認機構46側から中心軸CL方向を見たとき、凸部39と位置ずれ確認機構46とがずれていれば、容器10が回転してシール位置がずれていると判断することができる。この場合、少なくともシール予定部24は透明であることが好ましい。さらに、シール予定部24と、位置ずれ確認機構46が形成されている領域と、中心軸CLに対して位置ずれ確認機構46の反対側に位置する領域と、が全て透明であると、凸部39側、もしくは位置ずれ確認機構46側からのいずれから中心軸CL方向を見た時にも、シール位置がずれているか否かを判断することができるため、より好ましい。
【0122】
[実施例]
次に、本実施の形態における具体的実施例について説明する。
【0123】
(実施例4-1)
容器(低密度ポリエチレン製容器、開口領域の1面あたりの厚み:360μm)を作製した。この場合、開口領域に、封止確認機構としての凸部(高さ90μm)を1つ形成した。続いて、開口領域を片側加熱式のインパルス式シール機(富士インパルス株式会社製、加熱温度コントロールシーラー、OPL-600-5)用いてシール十分条件(加熱温度180℃、加熱時間2秒、冷却温度60℃)にて幅5mmでヒートシール方式により封止した。なお、開口領域の対向する一対の面のうち、凸部が存在しない面側からのみ加熱した。このときの凸部の状態を目視で確認したところ、シール後も凸部を目視で確認可能であった。また、下記の剥離方法によりヒートシール部を剥離したところ、接着面で試験片が剥離した。
【0124】
(剥離方法)
ヒートシール部に対して直角となる方向に幅15.0±0.1mm、展開長さ60mmの試験片を準備する。次に、試験片のヒートシール部を中央にして180°に開き、つかみの間隔を50mmとし、試験片の両端を引張試験機のつかみに取り付ける。その後、つかみ間の相対移動速度を300mm/minでヒートシール部が破断するまで引張荷重を加える。
【0125】
(実施例4-2)
インパルス式シール機によるシール条件をシール十分条件(加熱温度185℃、加熱時間2秒、冷却温度60℃)に変更したこと、以外は、実施例4-1と同様にして、容器(実施例4-2)を作製した。このときの凸部の状態を目視で確認したところ、シール後も凸部を目視で確認可能であった。この容器について、上記の剥離方法によりヒートシール部を剥離したところ、接着面で試験片が剥離した。
【0126】
(比較例2-1)
インパルス式シール機によるシール条件をシール過剰条件(加熱温度190℃、加熱時間2秒、冷却温度60℃)に変更したこと、以外は、実施例4-1と同様にして、容器(比較例2-1)を作製した。このときの凸部の状態を目視で確認したところ、シール後に凸部を目視で確認不可能であった。この容器について、上記の剥離方法によりヒートシール部を剥離したところ、接着面で剥離せず、接着面の根元で試験片が破断した。
【0127】
(比較例2-2)
インパルス式シール機によるシール条件をシール過剰条件(加熱温度200℃、加熱時間2秒、冷却温度60℃)に変更したこと、以外は、実施例4-1と同様にして、容器(比較例2-2)を作製した。このときの凸部の状態を目視で確認したところ、シール後に凸部を目視で確認不可能であった。この容器について、上記の剥離方法によりヒートシール部を剥離したところ、接着面で剥離せず、接着面の根元で試験片が破断した。
【0128】
(比較例2-3)
インパルス式シール機によるシール条件をシール過剰条件(加熱温度210℃、加熱時間2秒、冷却温度60℃)に変更したこと、以外は、実施例4-1と同様にして、容器(比較例2-3)を作製した。このときの凸部の状態を目視で確認したところ、シール後に凸部を目視で確認不可能であった。この容器について、上記の剥離方法によりヒートシール部を剥離したところ、接着面で剥離せず、接着面の根元で試験片が破断した。
【0129】
[変形例]
次に、
図31乃至
図39を参照して、上記各実施の形態の変形例について説明する。
図31乃至
図39は、それぞれ上記各実施の形態の変形例を示す図である。
図31乃至
図39において、
図1乃至
図27に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0130】
図31(a)-(c)に示すように、開口領域20の外表面に、熱により変形する凹凸が形成されていても良い。例えば、
図31(a)(b)において開口領域20の外表面であって、シール予定部24の境界を示す部分に、線状凸部51が周方向全域にわたって設けられている。この線状凸部51は、熱によって溶融し、開口領域20を溶着した後には消失する(
図31(c)参照)。これにより、線状凸部51が消失している場合には、線状凸部51の位置まで加熱が行われたことを確認することができる。また、線状凸部51を、開口領域20を溶着する位置の目印として用いることもできる。
【0131】
図32(a)-(c)に示すように、熱により変形する凹凸は、容器本体11の長手方向の全域又は一部に延びていても良い。例えば、
図32(a)(b)において、開口領域20の外表面を含む容器本体11の長手方向に沿って線状凸部52が設けられている。この線状凸部52の一部は、熱によって溶融し、開口領域20を溶着した後には消失する(
図32(c)参照)。一方、胴部12に位置する線状凸部52は残存する。これにより、線状凸部52が消失している領域まで加熱が行われたことを確認することができる。
【0132】
図33(a)(b)に示すように、熱により変形する凹凸は、シール予定部24以外の領域に形成されていても良い。例えば、
図33(a)(b)において、開口領域20の外表面であって、シール予定部24の境界近傍かつシール予定部24から外れる位置に、線状凸部53が周方向全域にわたって設けられている。なお、線状凸部53は周方向の一部に設けられていても良い。この線状凸部53は、シール予定部24から外れる位置に存在するので、開口領域20を溶着した後も残存する。これにより、線状凸部53を指標にシールが不十分であったか否かを目視で容易に判断することができる。すなわち密封部25が線状凸部53の直上に位置している場合には、シールが十分できていると判断することができる。一方、密封部25の下端が線状凸部53から離間している場合には、シールが不十分であると判断することができる。
【0133】
図34に示すように、シール予定部24内に、線状凸部53と平行に1以上の目盛り線54を設けても良い。目盛り線54は、凸状であっても凹状であっても良い。この目盛り線54は、密封部25の下端が線状凸部53からどの程度離間している距離を示している。開口領域20を溶着した後、溶着された部分に存在する目盛り線54は消滅し、溶着されなかった部分に存在する目盛り線54は残存する。このため、シールが不十分である場合には、残存した目盛り線54を用いてシールできなかった部分の幅の大きさを測定することができる。
【0134】
図35に示すように、開口21の周縁部21aを含む面が容器本体11の中心軸CLに対して傾斜している場合にも、線状凸部53が設けられていても良い。線状凸部53は、開口領域20の外表面であって、シール予定部24の境界近傍かつシール予定部24から外れる位置に形成されている。この場合においても、
図36に示すように、シール予定部24内に、線状凸部53と平行に1以上の目盛り線54を設けても良い。
【0135】
図37(a)(b)に示すように、開口領域20の厚みT4を、容器本体11の他の部分の厚みT5よりも厚くしても良い。この場合、開口領域20を溶着した際、密封部25が延ばされて面積が広げられる(
図37(b)参照)。これにより、溶着された後の密封部25の厚みが薄くなりすぎることがなく、密封部25の強度低下を抑制することができる。また、広げられた密封部25に例えば情報を記録することも可能となる。なお、他の部分よりも厚みが厚い部分は開口領域20の上端のみに位置していても良い。すなわち溶着時に延ばされやすい部分をより厚くするようにしても良い。
【0136】
図38に示すように、開口領域20における樹脂の分子鎖は、開口領域20の厚み方向(溶着時に圧力が加えられる方向)に対して平行に配向していることが好ましい(
図38の矢印)。これにより、開口領域20を溶着した後、冷却された際に元に戻ろうとする力が働くことを抑制し、密封部25が縮むことを抑えることができる。
【0137】
また、
図39に示すように、容器10Aは、例えばシート成形容器等の収容容器であっても良い。この容器10Aは、一端に形成された開口領域(フランジ)20Aと、容器胴部12Aと、容器底部13Aとを有する容器本体11Aを備えている。この場合、開口領域20は溶着可能であり、開口領域20には蓋材61が溶着される。また、開口領域20には、蓋材61が溶着した場合に蓋材61が開口領域20に溶着されているか否かを蓋材61の反対側(
図39の矢印方向)から確認可能な封止確認機構30Aが設けられている。なお、蓋材61として透明性があるものを用いる場合、封止確認機構30Aは蓋材61側(
図39の矢印の反対方向)から確認可能であっても良い。この封止確認機構30Aとしては、上述した各実施の形態における封止確認機構30と同様の構成を有していても良い。また、封止確認機構30Aは、蓋材61のうち開口領域20に対応する部分(シール予定部)に設けられていても良い。
【0138】
上記各実施の形態において、容器10がバイアルである場合を例にとって説明したが、これに限られるものではない。容器10は、例えば二方シール袋、三方シール袋、チューブ袋、又はチューブ容器であってもよい。
【0139】
上記各実施の形態及び各変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記各実施の形態及び各変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0140】
10 容器
11 容器本体
12 胴部
13 底部
20 開口領域
21 開口
22 内表面
23 外表面
24 シール予定部
25 密封部
30 封止確認機構