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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】吊り下げ用ストラップ
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/56 20210101AFI20241121BHJP
   A45C 13/30 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
G03B17/56 D
A45C13/30 H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023072093
(22)【出願日】2023-04-26
(65)【公開番号】P2024157635
(43)【公開日】2024-11-08
【審査請求日】2023-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】523157391
【氏名又は名称】株式会社14才
(74)【代理人】
【識別番号】100095636
【弁理士】
【氏名又は名称】早崎 修
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 彰浩
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-195354(JP,A)
【文献】特開2010-169757(JP,A)
【文献】特開2005-253767(JP,A)
【文献】特開2000-321655(JP,A)
【文献】登録実用新案第3136748(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/56
A45C 13/22-13/30
A45F 5/10
F16G 11/00
F16M 13/00
H04M 1/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のストラップ本体と、
前記ストラップ本体の一端側で、被吊り下げ体のストラップ取付枠に取り付けられる取付部とを備え、
前記ストラップ本体の他端側が、前記被吊り下げ体若しくは前記被吊り下げ体に連結された補助ストラップ本体の一部に連結され、又は、前記ストラップ本体の他端側が、前記ストラップ本体の一部に連結されることによって環状に形成されるストラップ本体を身体に掛け渡し、被吊り下げ体を吊り下げる吊り下げ用ストラップであって、
n本(nは、から始まる自然数)の細紐が中間で折り返されて帯状に整列される2n本の細紐を、長手方向の所定間隔毎に扁平な帯状に結束する複数の結束手段を更に備え、
複数の前記結束手段で帯状に結束される2n本の細紐により前記ストラップ本体を形成するとともに、
前記ストラップ本体の前記一端側でn本の前記細紐が折り返されることにより形成されるループに、前記ストラップ本体の前記他端側を挿通させて、前記ストラップ本体の前記一端側を前記ストラップ取付枠に巻き付け、前記取付部を形成することを特徴とする吊り下げ用ストラップ。
【請求項2】
前記取付部の近傍の前記結束手段間のピッチは、前記ストラップ本体の中間位置の前記結束手段間のピッチより短いことを特徴とする請求項1に記載の吊り下げ用ストラップ。
【請求項3】
前記結束手段により帯状に結束される前記ストラップ本体の中間の幅は、前記取付部を形成する前記ストラップ本体の一端側の幅より、幅広であることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の吊り下げ用ストラップ。
【請求項4】
前記結束手段で帯状に結束される隣り合う2本の細紐の間に、小物を吊すスリットが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の吊り下げ用ストラップ。
【請求項5】
前記被吊り下げ体は、カメラであり、前記ストラップ取付枠は、前記カメラの側面上方に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の吊り下げ用ストラップ。
【請求項6】
2本の細紐が中間で折り返されて帯状に整列されることを特徴とする請求項5に記載の吊り下げ用ストラップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ、携帯電話機、ギターなどの被吊り下げ体を身体の一部で吊り下げる吊り下げ用ストラップに関し、更に詳しくは、被吊り下げ体に連結する取付部が簡単な構造で嵩張らない吊り下げ用ストラップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図12に示すように、カメラ110を吊り下げる吊り下げ用ストラップ100は、コキ112、112等に挿通させた扁平帯状の取付ベルト101の両端を、それぞれカメラ110の両側面110L、110Rの上方に設けられた一組の長方形枠のストラップ取付枠111、111に挿通させた後折り返し、折り返された取付ベルト101を再びコキ112、112等に挿通させて、吊り下げ用ストラップ100全体の長さを調整するとともに、その両端の取付ベルト101、101をカメラ110に連結させている。
【0003】
取付ベルト101を連結するストラップ取付枠111は、カメラ110のケース表面に設けられ、カメラ110を手に持った際やり、カメラ110への操作のじゃまにならないように、例えば横幅が1cm、高さが2、5mm程度と小型の形状とする必要があり、ストラップ取付枠111に挿通させる取付ベルト101も細幅や薄肉に制限されている。
【0004】
一方、カメラ110を身体の一部で吊り下げる吊り下げ用ストラップ100の中間のストラップ本体102を、両端の取付ベルト101と一体で同じ細幅にすると、カメラ110の荷重が細幅のストラップ本体102を介して身体の表面に集中して加わり、更に、身体の表面との接触面積が小面積となって、吊り下げ用ストラップ100が身体上を滑りやすいという問題があった。そこで、カメラ110を吊り下げる従来の吊り下げ用ストラップ100は、図12に示すように、身体に掛け渡される中間のストラップ本体102を、取付ベルト101より太幅の別部材で形成し、一組の取付ベルト101、101の間に連結している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-249943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、従来の吊り下げ用ストラップ100は、被吊り下げ体110の荷重が身体の一部に集中して加わらないように、中間のストラップ本体102を太幅とし、その両端の取付ベルト101、101を、ストラップ取付枠111に取り付けるために細幅としているので、少なくともストラップ本体102と一組の取付ベルト101、101の3本を用意する必要があった。
【0007】
また、被吊り下げ体110に連結する取付ベルト101が、ストラップ取付枠111の大きさに合わせて細幅で薄肉に形成されているので、切れやすく、また、その一部が破断しただけで全体が切断されることとなり、カメラなどの重量のある被吊り下げ体110を不用意に落下させてしまう危険があった。
【0008】
更に、ストラップ取付枠111の近傍で、折り返された取付ベルト101の一端を固定するコキ112などの固定具や取付ベルト101とストラップ本体102を連結する連結具を配置するので、構造が繁雑となり、ストラップ取付枠111の近傍に配設されている操作つまみやスイッチの操作の障害となっていた。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、少ない部品点数で構成し、簡単な構造で被吊り下げ体のストラップ取付枠に連結可能な吊り下げ用ストラップを提供することを目的とする。
【0010】
また、重量のある被吊り下げ体であっても吊り下げることができる強度で、一部が切れても直ちに全体が破断することがなく、安全に被吊り下げ体を吊り下げる吊り下げ用ストラップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するため、請求項1に記載の吊り下げ用ストラップは、帯状のストラップ本体と、ストラップ本体の一端側で、被吊り下げ体のストラップ取付枠に取り付けられる取付部とを備え、ストラップ本体の他端側が、被吊り下げ体若しくは前記被吊り下げ体に連結された補助ストラップ本体の一部に連結され、又は、前記ストラップ本体の他端側が、ストラップ本体の一部に連結されることによって環状に形成されるストラップ本体を身体に掛け渡し、被吊り下げ体を吊り下げる吊り下げ用ストラップであって、
n本(nは、から始まる自然数)の細紐が中間で折り返されて帯状に整列される2n本の細紐を、長手方向の所定間隔毎に扁平な帯状に結束する複数の結束手段を更に備え、複数の結束手段で帯状に結束される2n本の細紐によりストラップ本体を形成するとともに、ストラップ本体の一端側でn本の細紐が折り返されることにより形成されるループに、ストラップ本体の他端側を挿通させて、ストラップ本体の一端側をストラップ取付枠に巻き付け、取付部を形成することを特徴とする。
【0012】
中間で折り返された2n本の細紐を結束手段で結束してストラップ本体とするので、少ないn本の細紐で2n本の細紐からなる帯状のストラップ本体が形成される。
【0013】
帯状のストラップ本体の幅は、結束手段で帯状に整列される2n本の細紐間の間隔を調整することにより、任意に調整できる。
【0014】
被吊り下げ体の荷重は、2n本の細紐に分散して作用するので破断しにくく、一本の細紐が破断しても、残る細紐が複数の結束手段で結束されているので、直ちに全体が破断することがない。
【0015】
吊り下げ用ストラップの一端側は折り返されるn本の細紐のみからなるので、小形状のストラップ取付枠に挿通させて取付部とすることができる。また、n本の細紐が折り返されることにより形成されるループに、ストラップ本体の他端側を挿通させるだけの嵩張らない簡単な構造の取付部で、ストラップ取付枠に吊り下げ用ストラップの一端側が取り付けられる。
【0016】
請求項2に記載の吊り下げ用ストラップは、取付部の近傍の結束手段間のピッチが、ストラップ本体の中間位置の結束手段間のピッチより短いことを特徴とする。
【0017】
被吊り下げ体に取り付けられるストラップ本体の一端側が大きく屈曲することがあるが、取付部の近傍で2n本の細紐は、比較的短い間隔での両側の結束手段により結束されるので、大きく屈曲してもばらけにくく、扁平な帯状を維持する。
【0018】
請求項3に記載の吊り下げ用ストラップは、結束手段により帯状に結束されるストラップ本体の中間の幅が、取付部を形成するストラップ本体の一端側の幅より、幅広であることを特徴とする。
【0019】
結束手段によって2n本の細紐を結束し、帯状とするストラップ本体の幅を任意に調整できるので、取付部を形成するストラップ本体を細幅に、その他のストラップ本体を取付部より幅広とすることができる。
【0020】
請求項4に記載の吊り下げ用ストラップは、結束手段で帯状に結束される隣り合う2本の細紐の間に、小物を吊すスリットが形成されていることを特徴とする。
【0021】
所定間隔で両側が結束手段で結束される2n本の細紐は、相互に拘束されないので、隣り合う細紐の間に小物を吊るすスリットが自然に形成される。
【0022】
請求項5に記載の吊り下げ用ストラップは、被吊り下げ体が、カメラであり、ストラップ取付枠は、カメラの側面上方に設けられていることを特徴とする。
【0023】
カメラは、2n本の細紐からなるストラップ本体で吊り下げられるので、突然ストラップ本体が切れて、落下することがない。
【0024】
吊り下げ用ストラップの一端側は、嵩張らない簡単な構造の取付部で、カメラの側面上方のストラップ枠に取り付けられる。
【0025】
請求項6に記載の吊り下げ用ストラップは、2本の細紐が中間で折り返されて帯状に整列されることを特徴とする。
【0026】
2本の細紐によって、4本の細紐からなるストラップ本体が形成される。
【0027】
2本の細紐を中間で折り返した4本の細紐を扁平な帯状とするストラップ本体の幅は、小形状のストラップ取付枠に巻き付ける取付部を細幅に、身体に掛け渡される中間位置を、身体への負担が少なく、身体に沿って滑りにくい太幅とすることかできる。
【発明の効果】
【0028】
請求項1の発明によれば、n本の細紐で、2n本の細紐からなるストラップ本体が形成され、結束手段で必要に応じて取付部を細幅に、身体に掛け渡される中間位置のストラップ本体を太幅とし、ストラップ本体を複数の部材で形成する必要がないので、少ない部品点数で吊り下げ用ストラップを製造できる。
【0029】
また、ストラップ本体の一端側を、被吊り下げ体のストラップ取付枠に取り付ける取付部は簡単で嵩張らない構造なので、取付部の周辺にコキなどの部品を設ける必要がなく、取付部の近傍に被吊り下げ体を操作する操作スイッチや操作つまみが設けられていても、操作の障害にならない。
【0030】
また、被吊り下げ体の荷重は、2n本の細紐に分散して吊り下げる身体に作用し、更に、扁平な帯状の2n本の細紐が身体に接するので、身体への負担が少なく、身体に沿って吊り下げ用ストラップは滑りにくい。
【0031】
また、2n本の細紐からなるストラップ本体が、長手方向の所定間隔毎に複数の結束手段で結束されるので、一本の細紐が破断しても、残る細紐が複数の結束手段で結束され、直ちに全体が破断することがなく、安全に重量のある被吊り下げ体を吊り下げることができる。
【0032】
請求項2の発明によれば、取付部の近傍のストラップ本体が大きく屈曲しても、2n本の細紐は、ばらけることがなく、扁平な帯状を維持する。
【0033】
請求項3の発明によれば、小型形状のストラップ枠に挿通するストラップ本体の一端側を細幅に、身体に掛けるストラップ本体の中間を、身体への負担が少なく、身体に沿って滑りにくい広幅とすることができる。
【0034】
また、細幅の取付部とストラップ本体の身体に掛ける幅広の中間の部分を一体のストラップ本体から形成できる。
【0035】
請求項4の発明によれば、吊り下げ用ストラップに新たな構造を加えることなく、被吊り下げ体とは別に小物を吊るすことができる。
【0036】
請求項5の発明によれば、重量のあるカメラであっても、突然吊り下げ用ストラップが切れて落下することがなく、安全に精密機器であるカメラを吊り下げることができる。
【0037】
また、吊り下げ用ストラップの一端側は、嵩張らない簡単な構造の取付部でカメラの側面上方に取り付けられるので、取付部は、カメラの上面に設けられるシャッターや摘みの操作のじゃまにならない。
【0038】
請求項6の発明によれば、ストラップ本体を、2本の細紐が中間で折り返された4本の細紐から形成するので、1本の細紐が切れても、カメラが直ちに落下することがない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の第1実施の形態に係る吊り下げ用ストラップ1を示し、(a)は、ストラップ本体2の一端側2Aの(b)は、ストラップ本体2の他端側2Bの部分省略平面図である。
図2】カメラ110に連結した吊り下げ用ストラップ1の斜視図である。
図3】取付部3の拡大斜視図である。
図4】ストラップ取付枠111にストラップ本体2の一端側2Aを巻き付けて取付部3とする工程を説明する斜視図である。
図5】取付部3の縦断面図である。
図6】第1結束手段5の拡大平面図である。
図7図6のA-A線断面図である。
図8】ストラップ取付枠111に取り付けられるストラップ本体2の他端側2Bの縦断面図である。
図9】本発明の第2実施の形態に係る吊り下げ用ストラップ10の使用状態を示す正面図である。
図10】第2結束手段11である幅広圧着リング11Aを示す図9のB-B線断面図である。
図11】第2結束手段11である幅狭圧着リング11Bを示す図9のC-C線断面図である。
図12】従来の吊り下げ用ストラップ100を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の第1実施の形態に係る吊り下げ用ストラップ1の各部を、図1乃至図8を用いて説明する。図2に示すように、吊り下げ用ストラップ1も、従来の吊り下げ用ストラップ100と同様に、被吊り下げ体としてのカメラ110を吊り下げる用途で用いられるので、上述したカメラ110と同様に作用する各部については、特に説明する必要がなければ同一の番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0041】
図1(a)(b)に示すように、吊り下げ用ストラップ1は、2本の細紐がその長手方向の中間で折り返されて帯状に整列される4本の細紐4と、4本の細紐4を長手方向の所定間隔で扁平な帯状に結束する複数の第1結束手段5とから形成されるストラップ本体2と、ストラップ本体2を挿通させて吊り下げ用ストラップ1全体の長さを調整するコキ6と、ストラップ取付枠111に巻き付けられるストラップ本体2の他端側2Bのループ7Bを絞る絞りリング8(図8参照)を備えている。
【0042】
細紐4は、小形状のストラップ取付枠111に挿通可能な例えば直径2.3mmから2.4mmの細紐で、直径2.4mm以下であっても4本の細紐4で重量のあるカメラ110を吊り下げるのに十分な強度で、摩耗に強く、可撓性に優れた材質からなるパラコード、ザイルコード等を用いるのが好ましい。また、4本の細紐4は、そのまま吊り下げ用ストラップ1の一部として露出するので、カメラ110のデザインや吊り下げ用ストラップ1を掛け渡す衣服に合わせて、特定の色に着色したり、模様を施したものであってもよい。
【0043】
4本の細紐4を扁平な帯状に結束する第1結束手段5は、ここでは縫い糸であり、図6図7に示すように、針などで帯状に整列される4本の細紐4の中心に縫い糸を貫通させてその両端5a、5aを抜け止め処理し、4本の細紐4を扁平な帯状とする。ストラップ本体2の長手方向に沿って隣り合う第1結束手段5、5の間隔が長くなると、ストラップ本体2が屈曲した際に、その間の4本の細紐4がばらけて扁平な帯状を保たなくなるので、屈曲しても4本の細紐4が扁平な帯状を保つように、大きく屈曲する可能性のある一端側2Aと他端側2Bの近傍では、第1結束手段5、5の間隔は2.5cm、その他のストラップ本体2の一端側2Aと他端側2Bを除く中間は、3.5cm程度の間隔となっている。
【0044】
ストラップ本体2の他端2B1は、4本の細紐4を扁平な帯状とした状態で、接着剤、加熱溶着等で4本の細紐4間を固着し、後述する一端側2Aのループ7Aや、ストラップ取付枠111、絞りリング8、コキ6への挿通作業を容易にしている。
【0045】
図8に示すように、絞りリング8は、ストラップ本体2の他端側2Bをカメラ110のストラップ取付枠111で折り返すことにより形成されるループ7Bを、カメラ110への操作のじゃまにならない大きさに絞るもので、コキ6は、ストラップ取付枠111で折り返されコキ6を挿通するストラップ本体2の他端側2Bのコキ6からの突出長さを任意に調整し、身体に掛け渡すストラップ本体2の全体の長さを調整する。
【0046】
このように構成される吊り下げ用ストラップ1は、図1(a)(b)に示すように、2本の細紐をその長手方向の中間で折り返してなる4本の細紐4を帯状に整列させて、他端2B1の4本の細紐4間を固着し、その一端側2Aと他端側2Bは、2.5cmの間隔で、その他の中間部分は、3.5cmの間隔で、第1結束手段5である縫い糸により扁平な帯状に結束し、帯状のストラップ本体2を形成する。その後、図1(b)に示すように、ストラップ本体2の他端側2Bをコキ6、絞りリング8の順に挿通させて、吊り下げ用ストラップ1とする。ここで、ストラップ本体2の一端側2Aは、2本の細紐が折り返される一端2A1に最も近い第1結束手段5’で4本の細紐4が結束されることによりループ7Aが形成されるが、ループ7Aの大きさは、ストラップ本体2の他端側2Bの絞りリング8やコキ6が挿通する十分な大きさとなっている。
【0047】
以下、この吊り下げ用ストラップ1のストラップ本体2をカメラ110に連結し、カメラ110を吊り下げる方法についてを説明する。図2に示すようにカメラ110は、吊り下げ用ストラップ1によって水平な姿勢で吊り下げられるように、左右の側面110L、110Rの上方の同じ高さの位置に、ストラップ本体2の両端2A、2Bを取り付ける一組のストラップ取付枠111、111が形成されている。一組のストラップ取付枠111、111は、いずれも高さ2.5mm、横幅1cmの長方形の開口が形成された横長矩形枠状となっている。このうち、一方のストラップ取付枠111の外側から、図4に示すようにストラップ本体2の一端側2Aのループ7Aを挿通し、ストラップ取付枠111に挿通させたループ7Aに更にストラップ本体2の他端側2Bを挿通して引っ張り、図3図5に示すストラップ取付枠111に巻き付けられる取付部3を形成する。
【0048】
このトラップ取付枠111にストラップ本体2の一端側2Aのループ7Aを挿通させる工程は、ストラップ取付枠111の開口が高さ2.5mm、横幅1cmと小形状であるが、4本の細紐4からなるストラップ本体2の一端2A1を、1本の細紐4を折り返したループ7A毎に分けてストラップ取付枠111へ挿通できるので、ストラップ本体2を容易にストラップ取付枠111へ取り付けることができる。また、ストラップ取付枠111に取り付けられる取付部3は、簡単な構造で嵩張らないので、その周囲に設けられたカメラ110の操作部への操作のじゃまにならない。
【0049】
続いて、一端側2Aの取付部3をストラップ取付枠111に取り付けた他端側2Bを、図8に示すように、他方のストラップ取付枠111に挿通させて折り返し、折り返したストラップ本体2の他端2B1を絞りリング8、コキ6の順に挿通させる。また、コキ6から突出するストラップ本体2の他端2B1の突出長を調整し、吊り下げ用ストラップ1全体の長さを任意に調整する。その後、絞りリング8をストラップ取付枠111の方向に摺動させて、ループ7Bを絞り、ループ7Bがカメラ110の操作のじゃまにならないようにして、吊り下げ用ストラップ1をカメラ110に取り付け、カメラ110を水平な姿勢で吊り下げ可能とする。
【0050】
次に、本発明の第2実施の形態に係る吊り下げ用ストラップ10を、図9乃至図11を用いて説明する。吊り下げ用ストラップ10の各部について、第1実施の形態と同一若しくは同様に作用する構成は、同一の番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0051】
第2実施の形態に係る吊り下げ用ストラップ10は、首に掛け渡すことが可能な充分な長さの二倍の長さの2本の細紐4が、それぞれ長手方向の中間で折り返され帯状に整列された4本の細紐4と、4本の細紐4を長手方向の所定間隔で扁平な帯状に結束する複数の第2結束手段11とからなる主ストラップ本体12と、主ストラップ本体12の細紐4より短い2本の細紐4がそれぞれ長手方向の中間で折り返され帯状に整列された4本の細紐4と、4本の細紐4を扁平な帯状に結束する第2結束手段11とからなる補助ストラップ本体13とを備え、図9に示すように、主ストラップ本体12の一端側12Aの取付部3と、補助ストラップ本体13の他端側13Bの取付部3がそれぞれカメラ110の一組のストラップ取付枠111、111に巻き付けられ、カメラ110に連結されている。
【0052】
主ストラップ本体12の他端側12Bには、折り返した主ストラップ本体12の一端12B1を挿通させて吊り下げ用ストラップ10全体の長さを調整するコキが一体に形成された第1連結具14が取り付けられ、補助ストラップ本体13の一端13A1に取り付けられた第2連結具15とスナップイン接続することによって、主ストラップ本体12と補助ストラップ本体13が連結される。
【0053】
主ストラップ本体12の4本の細紐4を帯状に結束する第2結束手段11は、隣り合う細紐4、4間の間隔を相対的に幅狭に結束する幅狭圧着リング11Bと、隣り合う細紐4、4間の間隔を相対的に幅広に結束する幅広圧着リング11Aの2種類の圧着リングである。
【0054】
このうち、幅狭圧着リング11Bは、主ストラップ本体12の一端側12Aにおいて、図10に示すように、同一平面上に隙間なく整列させた4本の細紐4を、上下二股に分岐された圧着片11a、11bで挟持した後、その先端側を加締めて固着し、4本の細紐4を隙間なく帯状に結束している。これにより、主ストラップ本体12の一端側12Aは、細幅となり、小形状のストラップ取付枠111に巻き付けて、容易に取付部3を形成できる。
【0055】
また、幅広圧着リング11Aは、主ストラップ本体12の一端側12A以外の中間の位置において、図11に示すように、同一平面上に一定間隔を隔てて整列させた4本の細紐4を、同様に上下二股に分岐された圧着片11a、11bの先端側を加締めて固着し、4本の細紐4を一定間隔を隔てた状態で帯状に結束している。これにより、主ストラップ本体12の身体に掛け渡す部分が幅広となるので、吊り下げるカメラ110の荷重が身体に集中せず、また、身体との接触面積が広がり、吊り下げ用ストラップ10は身体に沿って滑りにくい。
【0056】
主ストラップ本体12の中間の位置では、隣り合う細紐4、4が一定間隔で隔てられているので、図9に示すように、隣り合う幅広圧着リング11A、11Aの間に、主ストラップ本体12の長手方向に沿った細長のスリット16が形成され、スリットにフック等を掛けて、被釣り下げ体110と共に使用する小物、例えばカメラ110に用いる交換レンズ等を吊すことができる。
【0057】
補助ストラップ本体13の4本の細紐4を帯状に結束する第2結束手段11は、幅狭圧着リング11Bであり、従って、補助ストラップ本体13の他端側13Bも細幅となり、小形状のストラップ取付枠111に巻き付けて、容易に取付部3を形成できる。
【0058】
本発明の第2実施の形態に係る吊り下げ用ストラップ10によれば、吊り下げ用ストラップ10は、両端が簡易形状の取付部3でカメラ110に連結されるので、カメラ110の周囲にコキ112や絞りリング8が取り付けられることがなく、カメラ110の操作のじゃまにならない。
【0059】
また、ストラップ取付枠に取り付ける一端側12Aを細幅に、身体に掛ける中間を、身体への負担が少なく、身体に沿って滑りにくい広幅とした主ストラップ本体12を、2本の細紐4、4から形成できる。
【0060】
更に吊り下げ用ストラップ10に特別な構造を加えることなく、被吊り下げ体とは別の小物を吊るすことができる。
【0061】
上述の各実施の形態では、2本の細紐4、4をその中間で折り返した4本の細紐4から、ストラップ本体2、主ストラップ本体12若しくは補助ストラップ本体13を形成したが、1本若しくは3本以上の細紐4をその中間で折り返して、その2倍の本数からなる細紐4で形成してもよい。また、ここで細紐4を折り返す中間とは、厳密に細紐4を長手方向で二分する位置に限らず、中間で折り返される2本の細紐4の長さが異なるものであってもよい。
【0062】
また、上述の実施の形態では、被吊り下げ体としてカメラの例で説明したが、身体の一部で吊り下げるものであれば、携帯通信機器、バッグや楽器等であってもよい。
【0063】
上述の各実施の形態では、被吊り下げ体110の2カ所の位置に設けられたストラップ取付枠111、111に吊り下げ用ストラップ1、10の両端を連結する例で説明したが、
吊り下げ用ストラップ1、10自体で身体に掛け渡す閉ループを形成し、被吊り下げ体110の1カ所のストラップ取付枠111に吊り下げ用ストラップ1、10を連結し、被吊り下げ体110を吊り下げるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、身体の一部で被吊り下げ体を吊り下げる吊り下げ用ストラップに適している。
【符号の説明】
【0065】
1、10 吊り下げ用ストラップ
2 ストラップ本体
2A ストラップ本体の一端側
2B ストラップ本体の他端側
3 取付部
4 細紐
5 第1結束手段
7A ループ
11 第2結束手段
16 スリット
110 被吊り下げ体(カメラ)
111 ストラップ取付枠
図1
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