(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】安全支援システム、および学習済みモデルの作成方法
(51)【国際特許分類】
B66C 15/00 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
B66C15/00 E
(21)【出願番号】P 2024067032
(22)【出願日】2024-04-17
【審査請求日】2024-04-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】595061738
【氏名又は名称】豊鋼材工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】508359239
【氏名又は名称】株式会社東研機械製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】524150063
【氏名又は名称】株式会社Regnio
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】紅林 孝治
(72)【発明者】
【氏名】矢原 肇也
(72)【発明者】
【氏名】中野 雅俊
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/075340(WO,A1)
【文献】特開2021-060837(JP,A)
【文献】特開2020-093890(JP,A)
【文献】実開昭51-104571(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00 - 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上作業者と、クレーンが有する吊り具と、前記吊り具によって吊り上げられる吊り荷と、を含む画像を取得する取得部と、
学習済みモデルに、前記画像を入力することで、前記画像に示される状況において警報部による警報が必要であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部による判定の結果に基づいて、前記警報部に前記警報を発させる制御部と、を備え、
前記学習済みモデルは、前記画像が入力されたときに、前記警報の要否を判定するように学習されて
おり、
前記学習済みモデルは、第1学習済みモデル、第2学習済みモデル、第3学習済みモデルおよび第4学習済みモデルを含み、
前記第1学習済みモデルは、前記画像が入力されたときに、前記地上作業者の位置および向きと、前記吊り具の位置と、前記吊り荷の位置と、を出力するように学習されており、
前記第2学習済みモデルは、前記地上作業者の位置および状態の少なくとも一方と、前記吊り具の位置と、前記吊り荷の位置と、が入力されたときに、前記クレーンの作業内容を出力するように学習されており、
前記第3学習済みモデルは、前記クレーンの作業内容と、前記画像と、が入力されたときに、前記画像における危険領域を出力するように学習されており、
前記第4学習済みモデルは、前記地上作業者の位置および向きと、前記危険領域と、が入力されたときに、前記警報の要否を判定するように学習されており、
前記判定部は、
前記第1学習済みモデルに、前記画像を入力することで、前記地上作業者の位置および向きと、前記吊り具の位置と、前記吊り荷の位置と、を出力する第1判定部と、
前記第2学習済みモデルに、前記第1判定部による出力を入力することで、前記クレーンの作業内容を出力する第2判定部と、
前記第3学習済みモデルに、前記画像と、前記第2判定部による出力を入力することで、前記危険領域を出力する第3判定部と、
前記第4学習済みモデルに、前記第1判定部による出力と、前記第3判定部による出力と、を入力することで、前記警報の要否を判定する第4判定部と、を含む、
安全支援システム。
【請求項2】
前記学習済みモデルは、第5学習済みモデルおよび第6学習済みモデルを含み、
前記第5学習済みモデルは、前記画像が入力されたときに、前記吊り具の位置を出力するように学習されており、
前記第6学習済みモデルは、前記吊り具の位置と、前記画像と、が入力されたときに、前記警報の要否を判定するように学習されており、
前記判定部は、
前記第5学習済みモデルに、前記画像を入力することで、前記吊り具の位置を出力する第5判定部と、
前記第6学習済みモデルに、前記画像と、前記第5判定部による出力と、を入力することで、前記警報の要否を判定する第6判定部と、を含む、
請求項
1に記載の安全支援システム。
【請求項3】
前記取得部は、前記画像の取得を繰り返し、
前記判定部は、前記警報の要否の判定を繰り返し、
前記制御部は、繰り返される前記判定部の判定の結果に基づいて、前記警報部に前記警報を発させる、
請求項1
または2に記載の安全支援システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記警報部に、前記警報の種類に応じて視覚的に異なる警報を発させる、
請求項1
または2に記載の安全支援システム。
【請求項5】
前記取得部は、前記吊り荷の高さ分布を示す高さ分布情報を取得し、
前記学習済みモデルは、前記画像と、前記高さ分布情報に係る情報と、が入力されたときに、前記警報の要否を判定するように学習されている、
請求項1
または2に記載の安全支援システム。
【請求項6】
前記高さ分布情報に基づいて、前記吊り荷のたわみを示すたわみ情報を算出する算出部をさらに備え、
前記学習済みモデルは、前記画像と、前記たわみ情報と、が入力されたときに、前記警報の要否を判定するように学習されている、
請求項
5に記載の安全支援システム。
【請求項7】
前記画像と、熟練作業者によって修正された前記警報の要否と、の組を教師データとして前記学習済みモデルを再学習する学習処理部をさらに備える、
請求項1
または2に記載の安全支援システム。
【請求項8】
地上作業者と、クレーンが有する吊り具と、前記吊り具によって吊り上げられる吊り荷と、を含む画像を複数取得し、
取得された複数の前記画像と一対一に紐づけられ、紐づけられた前記画像に示される状況において警報部による警報が必要であるか否かを示す警報要否情報を取得し、
前記画像と、前記画像に紐づけられた前記警報要否情報と、の組を教師データとして、前記画像の内容と前記警報の要否との関係性を学習させた学習済みモデルを作成
し、
前記学習済みモデルを作成することは、
前記画像が入力されたときに、前記地上作業者の位置および向きと、前記吊り具の位置と、前記吊り荷の位置と、を出力するように学習された第1学習済みモデルを作成することと、
前記地上作業者の位置および状態の少なくとも一方と、前記吊り具の位置と、前記吊り荷の位置と、が入力されたときに、前記クレーンの作業内容を出力するように学習された第2学習済みモデルを作成することと、
前記クレーンの作業内容と、前記画像と、が入力されたときに、前記画像における危険領域を出力するように学習された第3学習済みモデルを作成することと、
前記地上作業者の位置および向きと、前記危険領域と、が入力されたときに、前記警報の要否を判定するように学習された第4学習済みモデルを作成することと、を含む、
学習済みモデルの作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全支援システム、および学習済みモデルの作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中小規模の重量物を扱う作業現場は、全自動化が困難であり、人と機械とが共存する作業が不可欠となる。このような作業現場では、吊り上げ対象物(吊り荷)の荷崩れにより、毎年多くの労働災害事故が発生している。作業現場における作業の安全性を高めるため、安全支援システムが導入されたクレーンが提案されてきている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大多数の現場では、古いクレーン設備が長年使用されていることも珍しくない。しかしながら、従来の安全支援システム(例えば、特許文献1を参照)は、クレーンを設計する段階から、安全支援機能を含む自動化を前提とした大規模なシステムを構築する必要があった。したがって、これらの安全支援システムを既存の古いクレーン設備に適用することができず、既存の設備においてはクレーン作業の安全性の向上を図ることができない場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされ、既存のクレーン設備においてもクレーン作業の安全性の向上を図ることができる安全支援システム、および学習済みモデルの作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の態様1に係る安全支援システムは、地上作業者と、クレーンが有する吊り具と、前記吊り具によって吊り上げられる吊り荷と、を含む画像を取得する取得部と、学習済みモデルに、前記画像を入力することで、前記画像に示される状況において警報部による警報が必要であるか否かを判定する判定部と、前記判定部による判定の結果に基づいて、前記警報部に前記警報を発させる制御部と、を備え、前記学習済みモデルは、前記画像が入力されたときに、前記警報の要否を判定するように学習されている。
【0007】
また、本発明の態様2は、態様1の安全支援システムにおいて、前記学習済みモデルは、第1学習済みモデルおよび第2学習済みモデルを含み、前記第1学習済みモデルは、前記画像が入力されたときに、前記地上作業者の位置および状態の少なくとも一方と、前記吊り具の位置と、前記吊り荷の位置と、を出力するように学習されており、前記第2学習済みモデルは、前記地上作業者の位置および状態の少なくとも一方と、前記吊り具の位置と、前記吊り荷の位置と、が入力されたときに、前記クレーンの作業内容を出力するように学習されており、前記判定部は、前記第1学習済みモデルに、前記画像を入力することで、前記地上作業者の位置および状態の少なくとも一方と、前記吊り具の位置と、前記吊り荷の位置と、を出力する第1判定部と、前記第2学習済みモデルに、前記第1判定部による出力を入力することで、前記クレーンの作業内容を出力する第2判定部と、を含む。
【0008】
また、本発明の態様3は、態様2の安全支援システムにおいて、前記学習済みモデルは、第3学習済みモデルおよび第4学習済みモデルを含み、前記第3学習済みモデルは、前記クレーンの作業内容と、前記画像と、が入力されたときに、前記画像における危険領域を出力するように学習されており、前記第4学習済みモデルは、前記地上作業者の位置および状態の少なくとも一方と、前記危険領域と、が入力されたときに、前記警報の要否を判定するように学習されており、前記判定部は、前記第3学習済みモデルに、前記画像と、前記第2判定部による出力を入力することで、前記危険領域を出力する第3判定部と、前記第4学習済みモデルに、前記第1判定部による出力と、前記第3判定部による出力と、を入力することで、前記警報の要否を判定する第4判定部と、を含む。
【0009】
また、本発明の態様4は、態様1から態様3のいずれか一つの安全支援システムにおいて、前記学習済みモデルは、第5学習済みモデルおよび第6学習済みモデルを含み、前記第5学習済みモデルは、前記画像が入力されたときに、前記吊り具の位置を出力するように学習されており、前記第6学習済みモデルは、前記吊り具の位置と、前記画像と、が入力されたときに、前記警報の要否を判定するように学習されており、前記判定部は、前記第5学習済みモデルに、前記画像を入力することで、前記吊り具の位置を出力する第5判定部と、前記第6学習済みモデルに、前記画像と、前記第5判定部による出力と、を入力することで、前記警報の要否を判定する第6判定部と、を含む。
【0010】
また、本発明の態様5は、態様1から態様4のいずれか一つの安全支援システムにおいて、前記取得部は、前記画像の取得を繰り返し、前記判定部は、前記警報の要否の判定を繰り返し、前記制御部は、繰り返される前記判定部の判定の結果に基づいて、前記警報部に前記警報を発させる。
【0011】
また、本発明の態様6は、態様1から態様5のいずれか一つの安全支援システムにおいて、前記制御部は、前記警報部に、前記警報の種類に応じて視覚的に異なる警報を発させる。
【0012】
また、本発明の態様7は、態様1から態様6のいずれか一つの安全支援システムにおいて、前記取得部は、前記吊り荷の高さ分布を示す高さ分布情報を取得し、前記学習済みモデルは、前記画像と、前記高さ分布情報に係る情報と、が入力されたときに、前記警報の要否を判定するように学習されている。
【0013】
また、本発明の態様8は、態様7の安全支援システムにおいて、前記高さ分布情報に基づいて、前記吊り荷のたわみを示すたわみ情報を算出する算出部をさらに備え、前記学習済みモデルは、前記画像と、前記たわみ情報と、が入力されたときに、前記警報の要否を判定するように学習されている。
【0014】
また、本発明の態様9は、態様1から態様8のいずれか一つの安全支援システムにおいて、前記画像と、熟練作業者によって修正された前記警報の要否と、の組を教師データとして前記学習済みモデルを再学習する学習処理部をさらに備える。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の態様10に係る学習済みモデルの作成方法は、地上作業者と、クレーンが有する吊り具と、前記吊り具によって吊り上げられる吊り荷と、を含む画像を複数取得し、取得された複数の前記画像と一対一に紐づけられ、紐づけられた前記画像に示される状況において警報部による警報が必要であるか否かを示す警報要否情報を取得し、前記画像と、前記画像に紐づけられた前記警報要否情報と、の組を教師データとして、前記画像の内容と前記警報の要否との関係性を学習させた学習済みモデルを作成する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の上記態様によれば、既存のクレーン設備においてもクレーン作業の安全性の向上を図ることができる安全支援システム、および学習済みモデルの作成方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係る安全支援システムが適用されるクレーンの一例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る安全支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る警報部が行う警報の一例を示す図である。
【
図4】
図1に示すクレーンに対して実施形態に係る撮像部、距離センサ、および警報部を取り付ける方法の一例を示す図である。
【
図6】吊り荷のたわみの形状の他の例を示す図である。
【
図7】実施形態に係る判定部の一例を示すブロック図である。
【
図8】実施形態に係る学習済みモデルの一例を示すブロック図である。
【
図9】実施形態に係る画像取得部が取得する画像、および判定部による出力の一例を示す図である。
【
図10】クレーンの作業状態に応じた危険領域の変化の一例を示す図である。
【
図11】吊り具を吊り荷に取り付ける位置の一例を示す図である。
【
図12】実施形態に係る安全支援システムが行う処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る安全支援システムSについて、図面に基づいて説明する。
【0019】
<クレーンの構成、および安全支援システムの概要>
本実施形態に係る安全支援システムSは、クレーン(クレーン設備)に適用され、クレーン作業の安全性を図るシステムである。
図1に示すクレーン(クレーン設備)1は、安全支援システムSが適用される対象の一例である。安全支援システムSの適用対象は
図1のクレーン1に限られず、適宜変更可能である。
【0020】
以下、重力に沿う方向(すなわち、鉛直方向)を重力方向Zと称する。重力方向Zにおける上方を、+Zの向きで表し、単に「上方」と称する。重力方向Zにおける下方を、-Zの向きで表し、単に「下方」と称する。また、重力方向Zに交差する(例えば、直交する)一方向を、第1方向Xと称する。第1方向Xにおける一方の向きを、+Xの向きで表し、「右方」と称する。+Xの向きとは反対の向きを、-Xの向きで表し、「左方」と称する。重力方向Zおよび第1方向Xの双方に交差する(例えば、直交する)方向を、第2方向Yと称する。第2方向Yにおける一方の向きを、+Yの向きで表し、「前方」と称する。+Yの向きとは反対の向きを、-Yの向きで表し、「後方」と称する。第1方向Xおよび第2方向Yは、重力方向Zに直交する方向(すなわち、水平方向)であってもよい。
【0021】
図1に示すクレーン1は、吊り具22(後述)によって吊り荷Lを吊り上げる装置である。吊り荷Lは、クレーン1によって吊り上げられる対象であり、例えば板状の部材であってもよい。以下では、吊り荷Lが、平面視において長方形状を有する板状の鋼材である場合を例に挙げて説明を行う。ただし、吊り荷Lの種類や形状は適宜変更可能である。
【0022】
クレーン1は、一対のレール2と、一対のガーダー3と、一対の移動部4と、巻き上げ装置5と、ロープ6と、シーブ7と、フック8と、トロリ10と、掛止機構20と、を備える。掛止機構20は、ロープ21と、一対の吊り具22(ハッカー)と、を有する。クレーン1は、クレーン操作者U´が操作部9を操作することによって動作する。
【0023】
一対のレール2の各々は、第2方向Yに延びている。一対のレール2は、第1方向Xにおいて間隔をあけて配されている。レール2は、移動部4の第2方向Yにおける移動(後述)を案内する。
【0024】
一対のガーダー3の各々は、第1方向Xに延びている。一対のガーダー3は、第2方向Yにおいて間隔をあけて配されている。ガーダー3は、トロリ10の第1方向Xにおける移動(後述)を案内する。
【0025】
一対の移動部4は、一対のガーダー3の、第1方向Xにおける両端部に設けられている。より具体的に、一対の移動部4のうち一方は、一対のガーダー3の右側(+X側)端部同士を接続するように設けられており、一対の移動部4のうち他方は、一対のガーダー3の左側(-X側)端部同士を接続するように設けられている。
【0026】
移動部4(およびそれに接続されたガーダー3)は、例えばクレーン操作者U´が操作部9に対して行った操作に応じて、レール2に沿って第2方向Yに移動する。具体的には、移動部4を動かすためのモータ等を有する駆動機構(不図示)がクレーン1に設けられ、クレーン操作者U´が操作部9に対して行った操作に応じて当該駆動機構が駆動されてもよい。
【0027】
トロリ10は、一対のガーダー3をまたぐように、一対のガーダー3の上に設けられている。トロリ10は、クレーン操作者U´が搭乗する運転室を有していてもよいし、運転室を有していなくてもよい。
【0028】
トロリ10は、例えばクレーン操作者U´が操作部9に対して行った操作に応じて、ガーダー3に沿って第1方向Xに移動する。具体的には、トロリ10を動かすためのモータ等を有する駆動機構(不図示)がクレーン1に設けられ、クレーン操作者U´が操作部9に対して行った操作に応じて当該駆動機構が駆動されてもよい。
【0029】
巻き上げ装置5は、トロリ10に設けられている。巻き上げ装置5には、先端にシーブ(滑車)7が接続されたロープ6が取り付けられている。巻き上げ装置5は、ロープ6の巻き上げおよび巻き下げを行うためのモータ等(不図示)を有する。なお、「巻き上げ」は、シーブ7が上方に移動するようにモータを駆動させる動作を意味する。「巻き下げ」は、シーブ7が下方に移動するようにモータを駆動させる動作を意味する。
【0030】
巻き上げ装置5は、例えばクレーン操作者U´が操作部9に対して行った操作に応じて、ロープ6の巻き上げおよび巻き下げを行う。具体的には、クレーン操作者U´が操作部9に対して行った操作に応じて巻き上げ装置5が備えるモータ等が駆動されてもよい。
【0031】
掛止機構20は、吊り荷Lを掛止する(引っ掛ける)ための機構である。掛止機構20は、シーブ7に設けられたフック8に吊り下げられている。具体的には、掛止機構20が有するロープ21の中央部が、フック8に吊り下げられている。一対の吊り具22は、ロープ21の両端に接続されている。
【0032】
各吊り具22は、基部22bと、一対の爪部22aと、を有する。各爪部22aは、掛止機構20に吊り荷Lを掛止する際に、吊り荷Lの下面と接触して吊り荷Lを支持する部位である。
【0033】
本実施形態においては、一対の吊り具22のうち一方が有する爪部22aは、吊り荷Lが有する一方の長辺に掛止され、一対の吊り具22のうち他方が有する爪部22aは、吊り荷Lが有する他方の長辺に掛止される。すなわち、掛止機構20に吊り荷Lが掛止される状態において、一対の吊り具22は、吊り荷Lの短手方向において互いに対向する。また、各吊り具22において、一対の爪部22aは、水平方向(吊り荷Lの長手方向)に間隔をあけて配される。したがって、掛止機構20に吊り荷Lが掛止される際は、一対の吊り具22が有する4つの爪部22aの各々が、吊り荷Lの下面に接触して吊り荷Lを支持する。ただし、吊り荷Lを掛止可能であれば、掛止機構20(吊り具22)の構成は適宜変更可能である。
【0034】
本実施形態において、吊り荷Lに対する吊り具22の取り外しは、地上作業者(地上玉掛け作業者)Uによって行われる。地上作業者Uは、地上で作業を行う作業者である。地上作業者Uは、例えば、クレーン操作者U´とは異なる人員である。
【0035】
操作部9は、クレーン操作者U´による操作を受け付ける。操作部9は、クレーン1を操作するための物理的機構(レバーやボタン等)であってもよいし、クレーン1を操作するための情報処理端末等であってもよい。
【0036】
地上作業者Uが吊り荷Lを掛止機構20(吊り具22)に掛止させた後、クレーン操作者U´が操作部9を操作してロープ6の巻き上げを行うことで、吊り荷Lは掛止機構20(吊り具22)に吊り上げられ、上昇する。この状態において、クレーン操作者U´は、操作部9を操作することで、トロリ10および/または移動部4(ガーダー3)を動かす。すると、掛止機構20に吊り下げられた吊り荷Lは、第1方向Xおよび/または第2方向Yに移動する。つまり、吊り荷Lは、トロリ10が第1方向Xに移動することに伴って第1方向Xに移動し、移動部4(ガーダー3)が第2方向Yに移動することに伴って第2方向Yに移動する。
【0037】
以下、トロリ10の移動に伴う、第1方向Xにおける吊り荷L(クレーン1)の移動を「横行」と称する場合がある。また、移動部4(ガーダー3)の移動に伴う、第2方向Yにおける吊り荷L(クレーン1)の移動を「走行」と称する場合がある。すなわち、本実施形態においては、第1方向Xは吊り荷L(クレーン1)の横行の方向に一致し、第2方向Yは吊り荷L(クレーン1)の走行の方向に一致する。
【0038】
上記のようなクレーン1においては、何らかの要因によって荷崩れが発生する可能性がある。荷崩れとは、掛止機構20(吊り具22)から吊り荷Lが落下する現象である。荷崩れが発生した場合、落下した吊り荷Lが地上作業者Uに衝突する等、事故が発生する可能性がある。このような事故は、例えば、地上作業者Uが吊り荷Lに対して近接している場合等に起こり得る。以下、地上作業者Uが吊り荷Lに対して近接している等、荷崩れが発生した場合に落下した吊り荷Lが地上作業者Uに衝突する事故の発生が予測されるようなケースを、「第1の警報ケース」と称する場合がある。安全支援システムSは、第1の警報ケースを検知し、このような検知が行われた場合に、警報を発するように構成されている。
【0039】
また、荷崩れは、掛止機構20(吊り具22)が吊り荷Lから外れることによって生じる。以下、掛止機構20(吊り具22)が吊り荷Lから外れる予兆があるケースを、「第2の警報ケース」と称する場合がある。安全支援システムSは、第2の警報ケースを検知し、このような検知が行われた場合に、警報を発するように構成されている。
【0040】
以下、これらの警報を発する安全支援システムSが備える各種の構成や、安全支援システムSが行う処理について、詳細に説明する。
【0041】
<安全支援システムの構成>
図2は、本実施形態に係る安全支援システムSの構成の一例を示すブロック図である。本実施形態に係る安全支援システムSは、第1端末装置100と、第2端末装置200と、撮像部301と、三次元センサ302と、警報部303と、を備える。なお、後述する変形例においても述べるように、安全支援システムSは、三次元センサ302を備えていなくてもよい。第1端末装置100と第2端末装置200とは、ネットワーク400を介して通信可能に接続される。ネットワーク400は、無線通信を用いたネットワークであってもよいし、有線通信を用いたネットワークであってもよい。ネットワーク400は、例えば、Wi-Fi(登録商標)等のローカルエリアネットワーク(LAN)を用いて構成されてもよい。ネットワーク400は、複数のネットワークが組み合わされて構成されてもよい。
【0042】
撮像部301は、地上作業者Uと、吊り具22と、吊り荷Lと、を含む画像IM(例えば、
図9を参照)を撮像する。撮像部301は、例えば、画像IMを撮像するためのカメラを少なくとも一つ含んでいてもよい。撮像部301は、撮像した画像IMを、第1端末装置100が有する画像取得部121(後述)に出力する。
【0043】
三次元センサ302は、吊り荷Lの三次元情報を測定する。吊り荷Lの三次元情報は、吊り荷Lの三次元的な位置の情報や吊り荷Lの三次元的な形状の情報を含む。したがって、吊り荷Lの三次元情報は、吊り荷Lの高さ分布(重力方向Zにおける位置の分布)を示す高さ分布情報を含む。三次元センサ302は、例えば、対象物に光を照射して得られる反射光を用いて対象物までの距離を測定するLiDARを有していてもよい。三次元センサ302は、測定した三次元情報を、第1端末装置100が有する三次元情報取得部122(後述)に出力する。
【0044】
警報部303は、第1端末装置100が有する制御部140(後述)による制御に応じて、警報を発する。警報部303は、地上作業者Uおよび/クレーン操作者U´が認識可能な形で警報を発する。警報部303によって地上作業者Uに警報を行うことで、地上作業者Uに危険を知らせ、地上作業者Uの退避や吊り具22の取り付け位置の修正等を促すことができる。警報部303によってクレーン操作者U´に警報を行うことで、クレーン操作者U´に危険を知らせ、クレーン1による作業の中段等を促すことができる。これにより、荷崩れに伴う事故を未然に防止できる。
【0045】
警報部303は、光による警報を発するライト(例えば、LEDライト)や、音による警報を発するスピーカー、地上作業者Uやクレーン操作者U´が装着するウェアラブル端末等を含んでいてもよい。警報部303は、これらの警報手段を複数種類組み合わせることで警報を行ってもよい。
【0046】
警報部303としてライトを用いる場合、警報部303は、所定の箇所(例えば、吊り荷Lの周辺)に光を照射することで、警報としての像Pを投影してもよい(例えば、
図3を参照)。像Pが投影される位置は、地上作業者Uおよびクレーン操作者U´(運転室)の双方から見える位置であることが望ましい。
【0047】
図3は、警報部303が行う警報の一例を示す図である。
図3の例において、警報部303は複数のライトであり、円状に配列された複数の円を含む像Pを、上方から、警報として吊り荷Lの周辺に投影する。像Pの一部は、吊り荷Lの上面に投影される。吊り具22は、クレーン1によって吊り上げられた際においても、地上作業者Uの目よりも下方に位置するのが一般的である。したがって、このように吊り荷Lの周辺(吊り荷Lの上面)に警報としての像Pを投影することで、警報としての像Pを地上作業者Uに視認させやすくなる。
【0048】
警報部303として、地上作業者Uやクレーン操作者U´が装着するゴーグル型のウェアラブル端末を用いる場合、警報部303は、当該ウェアラブル端末上に視覚的な情報(文字や図形等)を表示させることで警報を行ってもよい。
【0049】
撮像部301、三次元センサ302、および警報部303は、クレーン1に設けられる(取り付けられる)。撮像部301、三次元センサ302、および警報部303は、例えばトロリ10に設けられていてもよい。
図1に示すように、地上作業者U、吊り具22、および吊り荷Lはトロリ10の直下付近に位置する。このため、撮像部301をトロリ10に設けることで、これらの撮像対象を含む画像IMを容易に撮像することできる。同様に、三次元センサ302をトロリ10に設けることで、吊り荷Lの三次元情報の測定を容易に行うことができる。また、警報部303がライトである場合、警報部303をトロリ10に設けることで、吊り荷Lの周辺(吊り荷Lの上面)への像Pの投影を容易に行うことができる。
【0050】
図4は、トロリ10に対して撮像部301、三次元センサ302、および警報部303を取り付ける方法の一例を示す図である。ただし、撮像部301、三次元センサ302、および警報部303をクレーン1(トロリ10)に取り付ける方法は適宜変更可能である。
【0051】
図4に示すように、本実施形態に係る安全支援システムSにおいては、トロリ10に、枠状の取り付け治具Jが取り付けられる。取り付け治具Jがトロリ10に取り付けられた状態において、取り付け治具Jはトロリ10から下方に向けて延出し、取り付け治具Jの下端はガーダー3の下端よりも下方に位置する。そして、取り付け治具Jのうちガーダー3よりも下方に位置する部分に、撮像部301、三次元センサ302、および警報部303が、下方を向くように取り付けられている。なお、図示の例における撮像部301は、2つのカメラを含む。
【0052】
撮像部301をガーダー3よりも下方に位置させることで、撮像部301の撮像範囲にガーダー3が入り込むことを防ぐことができる。同様に、三次元センサ302をガーダー3よりも下方に位置させることで、三次元センサ302による検出範囲にガーダー3が入り込むことを防ぐことができる。また、像Pを投影するための光を下向きに照射するライトを警報部303として使用する場合、警報部303をガーダー3よりも下方に位置させることで、警報部303からの光がガーダー3に遮られて像Pが欠けることを防ぐことができる。
【0053】
第1端末装置100(
図2参照)は、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理端末を用いて構成される。第1端末装置100は、例えば、トロリ10に設けられる。第1端末装置100は、エッジPCとも称される。
図2に示すように、第1端末装置100は、通信部110、取得部120、記憶部130、および制御部140を備える。取得部120は、例えば、画像取得部121と、三次元情報取得部122と、を備える。
【0054】
通信部110は、セルラー網やWi-Fi網等を用いて、ネットワーク400に接続するためのハードウェアを有する。例えば、通信部110は、アンテナおよび送受信装置等を有する。通信部110は、ネットワーク400を介して、第2端末装置200(通信部210)と通信する。ただし、通信部110は、有線で第2端末装置200(通信部210)と接続され、通信するものであってもよい。
【0055】
画像取得部121は、地上作業者Uと、吊り具22と、吊り荷Lと、を含む画像IMを取得する。画像取得部121は、例えば、撮像部301から出力された画像IMを取得する。また、画像取得部121は、取得した画像IMを、通信部110およびネットワーク400を介して第2端末装置200(通信部210)に出力する。
【0056】
三次元情報取得部122は、吊り荷Lの三次元情報を取得する。三次元情報取得部122は、例えば、三次元センサ302から出力された吊り荷Lの三次元情報を取得する。また、三次元情報取得部122は、取得した吊り荷Lの三次元情報を、通信部110およびネットワーク400を介して第2端末装置200(通信部210)に出力する。
【0057】
記憶部130は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SDカード、レジスタ、ハードディスクドライブなどによって実現される。記憶部130は、制御部140によって使用されるデータを記憶する。記憶部130は、制御部140が処理を行う際に必要となるデータを記憶する。
【0058】
制御部140の機能のうち一部または全部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサが、自身の記憶部に記憶されたプログラム(ソフトウェア)を実行することで実現される。また、これらの構成要素の機能のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部:circuitryを含む)によって実現されていてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されていてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0059】
制御部140は、警報部303を制御し、警報部303に警報を発させる。制御部140は、例えば、通信部110およびネットワーク400を介して送られてくる、第2端末装置200(生成部253)が出力する制御信号に基づき、警報部303を制御する。
【0060】
制御部140は、警報部303に、警報の種類に応じて視覚的に異なる警報を発させてもよい。具体的には、判定部252による判定結果に応じて異なる制御信号が生成部253から出力され(詳細は後述)、制御部140は、この異なる制御信号に応じて、警報部303に、視覚的に異なる警報を発させてもよい。例えば、第1の警報ケースが検知された場合と、第2の警報ケースが検知された場合とで、警報部303が発する警報は、視覚的に異なってもよい。例えば警報部303が像Pを投影するライトである場合、第1の警報ケースと第2の警報ケースとで、像Pの形状や大きさ、色、点滅速度等を異ならせてもよい。例えば警報部303がウェアラブル端末である場合、第1の警報ケースと第2の警報ケースとで、ウェアラブル端末に表示させる情報を異ならせてもよい。これにより、騒音の激しい現場においても、警報対象者(地上作業者Uやクレーン操作者U´)に警報の内容を効果的に伝達することができる。
【0061】
第2端末装置200は、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理端末を用いて構成される。第2端末装置200は、例えば、クレーン1の外部に設けられる。第2端末装置200は、通信部210、入力部220、出力部230、記憶部240、および処理部250を備える。
【0062】
通信部210は、セルラー網やWi-Fi網等を用いて、ネットワーク400に接続するためのハードウェアを有する。例えば、通信部210は、アンテナおよび送受信装置等を有する。通信部210は、ネットワーク400を介して、第1端末装置100(通信部110)と通信する。ただし、通信部210は、有線で第1端末装置100(通信部110)と接続され、通信するものであってもよい。
【0063】
通信部210が第1端末装置100から取得した画像IMは、処理部250に出力されるとともに、画像データ241の一部として記憶部240に格納される。通信部210が第1端末装置100から取得した吊り荷Lの三次元情報は、処理部250に出力されるとともに、三次元データ242の一部として記憶部240に格納される。
【0064】
入力部220は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、ボタン、タッチパネル等の既存の入力装置を用いて構成される。入力部220は、ユーザの指示を第2端末装置200に入力する際にユーザによって操作される。入力部220は、入力装置を第2端末装置200に接続するためのインターフェースであっても良い。入力部220は、マイク及び音声認識装置を用いて構成されてもよい。入力部220は、ユーザの指示を第2端末装置200に入力可能な構成であればどのように構成されてもよい。
【0065】
出力部230は、情報をユーザが認知可能な形で出力する。出力部230は、例えば液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の画像表示装置であってもよい。出力部230は、画像表示装置を第2端末装置200に接続するためのインターフェースであっても良い。出力部230は、スピーカー等の音響を出力する装置であってもよい。出力部230は、スピーカーやヘッドホン等の音響出力装置を第1端末装置100に接続するためのインターフェースであってもよい。なお、出力部230は、入力部220と一体のタッチパネルとして構成されてもよい。
【0066】
記憶部240は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SDカード、レジスタ、ハードディスクドライブなどによって実現される。記憶部240は、処理部250によって使用されるデータを記憶する。記憶部240は、処理部250が処理を行う際に必要となるデータを記憶する。
【0067】
記憶部240には、例えば、画像データ241と、三次元データ242と、処理情報243と、学習済みモデル244と、が格納されている。画像データ241は、画像取得部121によって取得された画像IMを含む。三次元データ242は、三次元情報取得部122によって取得された吊り荷Lの三次元情報と、算出部251によって算出されたたわみ情報(後述)と、を含む。処理情報243は、処理部250が行った処理によって出力された情報を含む。
【0068】
学習済みモデル244は、処理部250(判定部252)による処理に用いられる学習済みモデルのパラメータや接続構造、関数特性等を示すデータである。学習済みモデル244は、画像IMと、吊り荷Lの三次元情報と、が入力されたときに、少なくとも警報部303による警報の要否を判定する(出力する)ように学習されている。より具体的に、学習済みモデル244は、画像IMと、吊り荷Lの三次元情報と、が入力されたときに、画像IMおよび三次元情報に示される状況が、第1の警報ケースに該当するか、第2の警報ケースに該当するか、両方の警報ケースに該当するか、いずれの警報ケースにも該当しないかを判定する(出力する)ように学習されている。学習済みモデル244の詳細は後述する。
【0069】
処理部250は、例えば、算出部251と、判定部252と、生成部253と、学習処理部254と、を備える。処理部250の機能のうち一部または全部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサが、自身の記憶部に記憶されたプログラム(ソフトウェア)を実行することで実現される。また、これらの構成要素の機能のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部:circuitryを含む)によって実現されていてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されていてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0070】
算出部251は、通信部210を介して第1端末装置100から取得した吊り荷Lの三次元情報(高さ分布情報)に基づき、吊り荷Lのたわみ情報を算出する。算出部251は、算出した吊り荷Lのたわみ情報を、判定部252に出力する。算出部251は、算出した吊り荷Lのたわみ情報を、三次元データ242の一部として、吊り荷Lの三次元情報(高さ分布情報)と紐づけて記憶部240に格納する。ここで、「吊り荷Lのたわみ情報」は、吊り荷Lのたわみを示す情報である。例えば、吊り荷Lのたわみ情報は、吊り荷Lのたわみの量や、たわみの形状を示す情報を含んでいてもよい。
【0071】
図5は、吊り荷Lのたわみの形状の例を示す図である。図において、吊り荷Lの長手方向における両端部が符号L1、L2で示されている。
図5に示すように、吊り具22によって吊り上げられた吊り荷Lは、自重によってたわむ場合がある。ここで、算出部251は、図に示す高さの差Δ1を、たわみの量(たわみ情報)として算出してもよい。ここで、高さの差Δ1は、吊り荷Lの表面のうち最も高い位置にある点と、吊り荷Lの表面のうち最も低い位置にある点と、の高さの差である。また、算出部251は、高さの差Δ2を、たわみに係る情報として算出してもよい。高さの差Δ2は、吊り荷Lの第1の端部L1と、吊り荷Lの第2の端部L2と、の高さの差である。
【0072】
図6は、吊り荷Lのたわみの形状の他の例を示す図である。ここまで説明した例において、クレーン1は一対の吊り具22を有していたが、クレーン1は二対以上の吊り具22を有していてもよい。
図6(a)~(c)は、クレーン1が二対の吊り具22を有する場合に吊り荷Lに生じ得るたわみの形状(たわみモード)の例を示している。
図6(d)~(e)は、クレーン1が三対の吊り具22を有する場合に吊り荷Lに生じ得るたわみの形状(たわみのモード)の例を示している。算出部251は、取得した吊り荷Lの三次元情報から吊り荷Lのたわみモードを算出し(判別し)、吊り荷Lのたわみ情報として出力するように構成されていてもよい。また、たわみモードごとに所定のパラメータ(上述した量Δ1、Δ2に対応するパラメータ。例えば、吊り荷Lが有する各凸部の凸量等。)が設定され、算出部251は、当該所定のパラメータを算出してたわみ情報として出力するように構成されていてもよい。
【0073】
判定部252(
図2参照)は、学習済みモデル244に、画像IMと、三次元情報と、を入力することで、少なくとも、画像IMおよび三次元情報に示される状況において警報部303による警報が必要であるか否かを判定する。すなわち、判定部252は、画像IMおよび三次元情報に示される状況が、第1の警報ケースに該当するか、第2の警報ケースに該当するか、両方の警報ケースに該当するか、いずれの警報ケースにも該当しないかを判定する。判定部252は、判定結果(すなわち、後述する警報要否情報)を、生成部253に出力する。判定部252の詳細は後述する。
【0074】
生成部253は、判定部252による判定結果(すなわち、後述する警報要否情報)に基づき、制御部140が警報部303を制御するための制御信号を生成する。生成される制御信号の内容は、判定結果(警報要否情報)に応じて異なっていてもよい。生成部253は、通信部210およびネットワーク400を介して制御信号を第1端末装置100に出力する。これにより、制御部140は、判定部252による判定結果に基づいて、警報部303に、判定結果に応じた警報を発させる。
【0075】
学習処理部254は、学習済みモデル244の再学習を行う。学習処理部254による再学習の詳細は後述する。
【0076】
<判定部および学習済みモデル>
図7は、本実施形態に係る判定部252の一例を示すブロック図である。
図8は、本実施形態に係る学習済みモデル244の一例を示すブロック図である。
図9は、本実施形態に係る画像取得部121が取得する画像IM、およびそれに基づく判定部252の出力の一例を示す図である。
【0077】
図7に示すように、本実施形態に係る判定部252は、第1判定部252aと、第2判定部252bと、第3判定部252cと、第4判定部252dと、第5判定部252eと、第6判定部252fと、を含む。
図8に示すように、本実施形態に係る学習済みモデル244は、第1学習済みモデル244aと、第2学習済みモデル244bと、第3学習済みモデル244cと、第4学習済みモデル244dと、第5学習済みモデル244eと、第6学習済みモデル244fと、を含む。第1判定部252a~第4判定部252dおよび第1学習済みモデル244a~第4学習済みモデル244dは、第1の警報ケースを検出するための構成に該当する。第5判定部252e~第6判定部252fおよび第5学習済みモデル244e~第6学習済みモデル244fは、第2の警報ケースを検出するための構成に該当する。
【0078】
まず、第1の警報ケースを検出するための構成について説明する。
【0079】
第1学習済みモデル244a(
図8参照)は、画像IMが入力されたときに、地上作業者Uの位置および状態の少なくとも一方と、吊り具22の位置と、吊り荷Lの位置と、を出力するように学習されている。すなわち、第1学習済みモデル244aは、地上作業者Uの位置および状態の少なくとも一方と、吊り具22の位置と、吊り荷Lの位置と、を画像認識するためのモデルである。なお、「地上作業者Uの状態」とは、例えば、地上作業者Uの向きや、地上作業者Uの作業の状況(例えば、吊り具22を吊り荷Lに取り付ける作業を行っているか否か等)等の情報を含んでいてもよい。以下、「地上作業者U、吊り具22、および吊り荷L」を総称して「認識対象」と称し、「地上作業者Uの位置および状態の少なくとも一方、吊り具22の位置、ならびに吊り荷Lの位置」を総称して「認識対象情報」と称する場合がある。
【0080】
第1判定部252a(
図7参照)は、第1学習済みモデル244aに、画像取得部121(
図2も参照)によって取得された画像IMを入力することで、認識対象情報を出力する。第1判定部252aは、出力した認識対象情報を、第2判定部252bおよび第4判定部252dに出力する。第1判定部252aは、出力した認識対象情報を、処理情報243の一部として、画像データ241(および三次元データ242)と紐づけて記憶部240に格納する。
図9に示す例において、第1判定部252aは、認識対象情報として、地上作業者Uの位置B1、吊り具22の位置B2、および吊り荷Lの位置B3を、バウンディングボックスの形式で出力するとともに、地上作業者Uの向きDを出力している。
【0081】
第2学習済みモデル244b(
図8参照)は、認識対象情報が入力されたときに、クレーン1の作業内容を出力するように学習されている。ここで、クレーン1の作業内容としては、例えば、「巻き上げ」、「巻き下げ」、「横行」、「走行」、ならびに「横行および走行」等が挙げられる。すなわち、第2学習済みモデル244bは、認識対象情報が入力されたときに、クレーン1の作業内容が、「巻き上げ」、「巻き下げ」、「横行」、「走行」、ならびに「走行および横行」のいずれであるか出力する(判定する)ように学習されている。なお、「走行および横行」は、クレーン1(吊り荷L)の横行とクレーン1(吊り荷L)の走行とを同時に行っている結果、クレーン1(吊り荷L)が第1方向Xおよび第2方向Yの双方に対して傾いた方向に移動している状態を意味する。
【0082】
第2判定部252b(
図7参照)は、第2学習済みモデル244bに、第1判定部252aの出力(すなわち、認識対象情報)を入力することで、クレーン1の作業内容を出力する。第2判定部252bは、出力した作業内容を、第3判定部252cに出力する。第2判定部252bは、出力した作業内容を、処理情報243の一部として、画像データ241(および三次元データ242)と紐づけて記憶部240に格納する。
【0083】
第3学習済みモデル244c(
図8参照)は、クレーン1の作業内容と、画像IMと、が入力されたときに、画像IMにおける危険領域Aを出力するように学習されている。ここで、危険領域Aは、地上作業者Uが立ち入った場合に、吊り荷Lの落下に伴う事故が発生する可能性がある領域である。つまり、危険領域A内に地上作業者Uが存在する場合、上述した第1の警報ケースに該当する可能性がある。
図9に示す例においては、危険領域Aが、吊り荷Lの領域B3と、その周囲の領域と、を含む領域として出力されている。
【0084】
本願発明者らが鋭意検討した結果、この危険領域Aは、クレーン1の作業内容に応じて変化すべきものであると考察された。そのため、本実施形態に係る第3学習済みモデル244cは、クレーン1の作業内容に応じて異なる危険領域Aを出力するように学習されている。例えば、クレーン1の作業状態が「巻き上げ」、「巻き下げ」、「横行」、「走行」、ならびに「走行および横行」のいずれに該当するかに応じて、出力される危険領域Aは異なる。
【0085】
図10は、クレーン1の作業状態に応じた危険領域Aの変化の一例を示す図である。
図10(a)は、クレーン1の作業状態が「巻き上げ」または「巻き下げ」である場合を示している。
図10(b)、
図10(c)、および
図10(d)は、各々、クレーン1の作業状態が「横行」、「走行」、および「走行および横行」である場合を示している。なお、
図10(b)~
図10(d)に示される白色の矢印は、クレーン1(吊り荷L)の進行の向きを示している。
【0086】
図10(a)に示すように、クレーン1の作業状態が「巻き上げ」または「巻き下げ」である場合、吊り荷L(領域B3)と、その周囲の領域と、を含む領域A0が、危険領域Aとして出力される。以下、この領域A0を、「基本領域A0」と称する場合がある。
【0087】
一方、本願発明者らが鋭意検討した結果、クレーン1の作業状態が「横行」、「走行」、ならびに「走行および横行」のいずれかである場合、基本領域A0だけではなく、基本領域A0よりもクレーン1(吊り荷L)の移動方向における前方に位置する領域A1も、危険領域Aとすべきことが判った(
図10(b)~
図10(d)参照)。すなわち、クレーン1(吊り荷L)が水平方向に移動している場合、危険領域Aには、基本領域A0だけでなく、領域A1も含めるべきであることが判った。以下、基本領域A0に付加すべきこの領域A1を、「付加領域A1」と称する場合がある。本実施形態に係る第3学習済みモデル244cは、クレーン1が「横行」、「走行」、ならびに「走行および横行」のいずれかである場合(すなわち、クレーン1(吊り荷L)が水平方向に移動している場合)、基本領域A0と付加領域A1とを合わせた危険領域Aを出力するように学習されている。
【0088】
なお、基本領域A0や付加領域A1の大きさがどの程度であるべきかは、吊り荷Lの大きさや形状、材質、重量、吊り荷Lの表面の状態(滑りやすさ等)に応じて変化すべきであると考えられる。そのため、本実施形態に係る第3学習済みモデル244cは、クレーン1の作業状態だけでなく、画像IMにも基づいて、危険領域Aを出力するように構成されている。これにより、様々な吊り荷Lに対して、適切に危険領域Aを設定することができる。
【0089】
第3判定部252c(
図7参照)は、第3学習済みモデル244cに、画像取得部121によって取得された画像IMと、第2判定部252bの出力(すなわち、クレーン1の作業内容)を入力することで、画像IMにおける危険領域Aを出力する。第3判定部252cは、出力した危険領域Aを、第4判定部252dに出力する。第3判定部252cは、出力した危険領域Aを、処理情報243の一部として、画像データ241(および三次元データ242)と紐づけて記憶部240に格納する。
【0090】
第4学習済みモデル244d(
図8参照)は、地上作業者Uの位置および状態の少なくとも一方と、危険領域Aと、が入力されたときに、警報部303による警報の要否を判定するように学習されている。言い換えれば、第4学習済みモデル244dは、地上作業者Uの位置および状態の少なくとも一方と、危険領域Aと、が入力されたときに、第1の警報ケースに該当するか否かを判定するように学習されている。
【0091】
例えば、危険領域A内に地上作業者U(領域B1)が存在する場合(例えば、
図9を参照)、吊り荷Lの落下時に吊り荷Lが地上作業者Uに接触する事故が発生する可能性が高い。したがって、危険領域A内に地上作業者U(領域B1)が存在する場合、警報部303による警報が必要である可能性が高い。一方で、危険領域A内に地上作業者U(領域B1)が位置していたとしても、地上作業者Uの状態によっては、警報部303による警報が不要である場合もあると考えられる。地上作業者Uが吊り荷Lの方向を向いている等、地上作業者Uが吊り荷Lに注意を向けていると考えられる場合がその一例である。したがって、第4学習済みモデル244dの入力に地上作業者Uの状態(向きD等)を含めることで、より高精度に警報の要否を判定することができる。
【0092】
第4判定部252dは、第4学習済みモデル244dに、第1判定部252aの出力(すなわち、地上作業者Uの位置および状態の少なくとも一方)と、第3判定部252cの出力(すなわち、危険領域A)と、を入力することで、警報部303による警報の要否を判定する。すなわち、第4判定部252dは、第1の警報ケースに基づく警報の要否を判定する。
【0093】
次に、第2の警報ケースを検出するための構成について説明する。
【0094】
第5学習済みモデル244e(
図8参照)は、画像IMが入力されたときに、吊り具22の位置を出力するように学習されている。すなわち、第5学習済みモデル244eは、吊り具22の位置を画像認識するためのモデルである。
【0095】
第5判定部252e(
図7参照)は、第5学習済みモデル244eに、画像取得部121によって取得された画像IMを入力することで、吊り具22の位置を出力する。第5判定部252eは、出力した吊り具22の位置を、第6判定部252fに出力する。第6判定部252fは、出力した吊り具22の位置を、処理情報243の一部として、画像データ241(および三次元データ242)と紐づけて記憶部240に記憶してもよい。なお、第5判定部252eは、上述した第1学習済みモデル244aに画像IMを入力することで、吊り具22の位置を出力してもよい。この場合、学習済みモデル244は、第5学習済みモデル244eを含んでいなくてもよい。
【0096】
第6学習済みモデル244f(
図8参照)は、吊り具22の位置と、画像IMと、吊り荷Lの三次元情報に係る情報と、が入力されたときに、警報部303による警報の要否を判定するように学習されている。言い換えれば、第6学習済みモデル244fは、吊り具22の位置と、画像IMと、吊り荷Lの三次元情報に係る情報と、が入力されたときに、第2の警報ケースに該当するか否かを判定するように学習されている。
【0097】
本願発明者らが鋭意検討した結果、吊り荷Lから吊り具22が外れやすい場合(言い換えれば、吊り具22が吊り荷Lから外れる予兆がある場合)として、2つの場合があると考えられた。第1の場合は、吊り荷Lに対して吊り具22を取り付ける位置が不適切な場合である。第2の場合は、吊り荷Lのたわみによって吊り具22が滑る場合である。そして、本実施形態に係る第6学習済みモデル244fは、この考察に基づき、吊り具22の位置と、画像IMと、吊り荷Lの三次元情報に係る情報と、が入力として採用されている。以下、詳細に説明する。
【0098】
まず、第1の場合について説明する。
図11は、吊り具22を吊り荷Lに取り付ける位置の一例を示す図である。ここで、吊り荷Lには、吊り具22を取り付ける最適な位置(最適位置ID)が存在する。最適位置IDは、吊り具22によって吊り荷Lを安定的に支持するうえで最適な位置である。最適位置IDは、吊り具22の重心の位置によって決定されると考えられる。
図11に示すように、吊り具22を吊り荷Lに取り付けた位置(以下、「吊り具22の取り付け位置」と称する)が最適位置IDからずれている場合、吊り荷Lが吊り具22から落下する(吊り荷Lから吊り具22が外れる)可能性が高い。そのため、本実施形態に係る第6学習済みモデル244fは、吊り具22の位置に基づいて、警報の要否(すなわち、上述した第1の場合に該当するか否か)を判定するように構成されている。
【0099】
なお、処理部250は、画像IMから吊り荷Lの重心を推定する推定部(不図示)を備えていてもよい。推定部は、例えば、吊り荷Lを含む画像IMが入力されたときに吊り荷Lの重心の位置を出力する(推定する)学習済みモデルに画像IMを入力することで、吊り荷Lの重心の位置を推定してもよい。あるいは、推定部は、ルールベースで吊り荷Lの重心の位置を推定してもよい。そして、第6学習済みモデル244fの入力に、推定部によって推定された吊り荷Lの重心の位置がさらに含まれていてもよい。すなわち、第6学習済みモデル244fは、吊り具22の位置と、画像IMと、吊り荷Lの三次元情報に係る情報と、吊り荷Lの重心の位置と、が入力されたときに、警報部303による警報の要否を判定するように学習されていてもよい。推定部は、推定した吊り荷Lの重心を、処理情報243の一部として、画像データ241(および三次元データ242)と紐づけて記憶部240に記憶してもよい。
【0100】
次に、第2の場合について説明する。吊り具22の滑りの生じやすさは、吊り荷Lのたわみの大きさやたわみの形状によって変化すると考えられる。ここで、三次元情報取得部122によって取得される吊り荷Lの三次元情報(高さ分布情報)には、吊り荷Lのたわみの大きさやたわみの形状に関する情報が含まれていると考えられる。そのため、本実施形態に係る第6学習済みモデル244fは、吊り荷Lの三次元情報(高さ分布情報)に係る情報に基づいて、警報の要否(すなわち、上述した第2の場合に該当するか否か)を判定するように構成されている。
【0101】
ここで、「吊り荷Lの三次元情報(高さ分布情報)に係る情報」は、例えば、吊り荷Lの三次元情報(高さ分布情報)それ自体であってもよいし、吊り荷Lの三次元情報(高さ分布情報)を基にして算出される情報であってもよい。例えば、「吊り荷Lの三次元情報(高さ分布情報)に係る情報」は、算出部251によって算出されるたわみ情報であってもよい。第6学習済みモデル244fの入力として、吊り荷Lの三次元情報それ自体ではなく、たわみ情報を用いることで、第6学習済みモデル244fによる判定精度の向上が期待される。
【0102】
なお、吊り荷Lの安定状態を検知する方法として、吊り荷Lの傾きを検知する方法が知られている(例えば、特開2021-054584号公報に開示された方法)。しかしながら、鋼材等の吊り荷Lはたわむため、傾きだけで吊り荷Lの安定状態を判断することは困難であった。本実施形態においては、たわみに係る情報が含まれる吊り荷Lの三次元情報(高さ分布情報)や、算出部251によって算出されるたわみ情報が学習済みモデルの入力として使用される。このため、傾きだけを用いる従来の方法と比較し、吊り荷Lの安定状態の検知精度を高めることができる。
【0103】
また、第1の場合に関し、吊り具22の取り付け位置が同じであっても、吊り荷Lの大きさや形状、材質、重量、吊り荷Lの表面の状態(滑りやすさ等)に応じて、吊り荷Lが吊り具22から落下する可能性は変化すると考えられる。同様に、第2の場合に関し、吊り荷Lのたわみ方が同じであっても、吊り荷Lの大きさや形状、材質、重量、吊り荷Lの表面の状態(滑りやすさ等)に応じて、吊り荷Lが吊り具22から落下する可能性は変化すると考えられる。そのため、本実施形態に係る第6学習済みモデル244fは、吊り具22の位置や吊り荷Lの三次元情報に係る情報だけでなく、画像IMにも基づいて、警報の要否を判定するように構成されている。これにより、様々な吊り荷Lに対して、適切に警報の要否を判定することができる。
【0104】
第6判定部252f(
図7参照)は、第6学習済みモデル244fに、画像IMと、第5判定部252eの出力(すなわち、吊り具22の位置)と、吊り荷Lの三次元情報に係る情報と、を入力することで、警報部303による警報の要否を判定する。なお、第6学習済みモデル244fの入力の一つである「吊り荷Lの三次元情報に係る情報」が吊り荷Lの三次元情報である場合、第6判定部252fは、三次元情報取得部122が取得した吊り荷Lの三次元情報を第6学習済みモデル244fの入力として用いてもよい。また、第6学習済みモデル244fの入力の一つである「吊り荷Lの三次元情報に係る情報」が吊り荷Lのたわみ情報である場合、第6判定部252fは、算出部251が算出した吊り荷Lのたわみ情報を第6学習済みモデル244fの入力として用いてもよい。
【0105】
判定部252は、第4判定部252dによる判定結果と、第6判定部252fによる判定の結果と、を生成部253に出力する。具体的に、判定部252は、第4判定部252d、第6判定部252fによる判定結果に基づいて、警報要否情報を生成部253に出力する。例えば、判定部252は、第4判定部252d、第6判定部252fによる判定結果を統合して警報要否情報を生成し、生成部253に出力してもよい。判定部252は、生成した警報要否情報を、処理情報243の一部として、画像データ241および三次元データ242と紐づけて記憶部240に格納する。
【0106】
ここで、「警報要否情報」は、警報部303が発すべき警報に係る情報である。具体的に、警報要否情報は、警報部303による警報が必要であるか否かを示す情報であってもよい。より詳細に、警報要否情報は、「第1の警報ケースに係る警報が必要」、「第2の警報ケースに係る警報が必要」、「第1の警報ケースおよび第2の警報ケース双方に係る警報が必要」、および「第1の警報ケースおよび第2の警報ケースいずれに係る警報も必要でない」のいずれかを示す情報であってもよい。つまり、警報要否情報には、単に警報の要否を示す情報だけではなく、警報の種類(どのような種類の警報を発するべきであるか)を示す情報が含まれていてもよい。
【0107】
なお、上述したような学習済みモデル244(第1学習済みモデル244a~第6学習済みモデル244f)の作成は、複数の入力情報と、入力情報に対して一対一に紐づけられた出力情報と、の組を教師データとして、入力情報と出力情報との関係性を学習する(機械学習)することにより行われてもよい。入力情報には、例えば、認識対象を含む画像IMと、吊り荷Lの三次元情報と、が含まれる。出力情報には、認識対象情報と、クレーン1の作業内容と、危険領域Aと、警報要否情報と、が含まれる。
【0108】
すなわち、学習済みモデル244(第1学習済みモデル244a~第6学習済みモデル244f)の作成は、上記のような複数の入力情報を取得するステップと、取得された複数の入力情報と一対一に紐づけられた出力情報とを取得するステップと、取得された入力情報と出力情報との組を教師データとして学習済みモデル244(第1学習済みモデル244a~第6学習済みモデル244f)を作成するステップと、を行うことによって行われてもよい。
【0109】
なお、学習に用いられる複数の入力情報には、互いに異なる吊り荷Lに対応した入力情報が含まれていることが好ましい。この場合、様々な吊り荷Lに対して高精度な出力を与えることができる学習済みモデル244(第1学習済みモデル244a~第6学習済みモデル244f)を作成できる。
【0110】
また、学習済みモデル244(第1学習済みモデル244a~第6学習済みモデル244f)の作成は、安全支援システムS(例えば、学習処理部254)によって行われてもよい。この場合、教師データの一部である入力情報は、取得部120によって取得されてもよい。取得された取得部120は、出力部230等によってユーザ(例えば、熟練作業者)に提示されてもよい。そして、ユーザが、取得された入力情報を、出力部230等を介して確認し、確認した入力情報に基づいて適切だと考えられる出力情報を判断してもよい。そして、適切だと判断した出力情報を、ユーザが入力部220等を操作することで、安全支援システムSに取得させてもよい。
【0111】
あるいは、安全支援システムSとは別に設けられた学習装置(以下、「別途の学習装置」と称する)によって学習済みモデル244が作成された後、作成された学習済みモデル244が記憶部240に格納されてもよい。この場合、教師データの一部である入力情報は、別途の学習装置が備える取得手段によって取得されてもよい。また、教師データの一部である出力情報は、上記と同様の手法によってユーザ(例えば、熟練作業者)が別途の学習装置に入力してもよい。
【0112】
また、安全支援システムSまたは別途の学習装置における学習(機械学習)の具体的な手法については特に限定されないが、例えば、CNNやRNN等のニューラルネットワーク(深層学習)等を用いてもよい。また、特開2022-102930号公報に開示された手法を用いて学習(機械学習)を行ってもよい。
【0113】
<学習処理部による再学習>
判定部252による警報の要否の判定は、完全ではない可能性がある。すなわち、判定部252は、本来警報が必要である場面で警報が不要との判断を下したり(不警報)、本来警報の必要がない場面で警報が必要との判断を下したり(過警報)する可能性がある。ここで、上述したように、本実施形態に係る記憶部240には、画像データ241(画像IM)と、三次元データ242と、判定部252の処理によって出力された処理情報243と、が格納される(蓄積される)。処理情報243には、画像データ241および三次元データ242と紐づけられた、警報要否情報が含まれている。したがって、熟練作業者は、記憶部240に蓄積された、画像データ241、三次元データ242、および処理情報243を確認することで、不警報や過警報を検出することができる。学習処理部254は、熟練作業者によって不警報や過警報が確認された場合、熟練作業者にこれを修正させ、修正された情報を教師データとして、学習済みモデル244(第1学習済みモデル244a~第6学習済みモデル244f)の再学習を行う。これにより、熟練者の着眼点と暗黙知に基づく、警報の的確性の向上を図ることができる。
【0114】
以下、学習処理部254の詳細について説明する。学習処理部254の再学習には、再学習に用いられる入力情報と、再学習に用いられる出力情報と、の組が、教師データとして用いられる。以下の説明においては、学習処理部254の再学習に用いられる入力情報を「再学習用入力情報」と称し、学習処理部254の再学習に用いられる出力情報を「再学習用出力情報」と称する場合がある。
【0115】
再学習用入力情報には、例えば、記憶部240に蓄積された画像データ241(画像IM)および三次元データ242が含まれる。そして、再学習用入力情報と、再学習用入力情報に紐づけられた処理情報243とが、熟練作業者に提示される。例えば、処理部250(学習処理部254)が出力部230を制御することで、処理部250に、熟練作業者が認知可能な形で再学習用入力情報および処理情報243を出力させてもよい。
【0116】
ここで、処理情報243には、判定部252が出力した、認識対象情報、クレーン1の作業内容、危険領域A、および警報要否情報が含まれる。すなわち、処理情報243には、最終的に生成部253による制御信号の生成に用いられる最終情報(警報要否情報)と、それに至るまでの判定部252の処理に活用される中間情報(認識対象情報、クレーン1の作業内容、および危険領域A)と、が含まれる。したがって、本実施形態においては、熟練作業者に、再学習用入力情報と、中間情報と、最終情報と、が提示される。中間情報および最終情報の各々は、再学習用入力情報(画像データ241および三次元データ242)と紐づけられている。
【0117】
熟練作業者は、提示された再学習用入力情報と処理情報243とを確認し、処理情報243に問題がないか確認する。処理情報243に問題があった場合、熟練作業者は、例えば入力部220等を操作することで、安全支援システムSに、修正した処理情報243を入力する。例えば、提示された処理情報243に不警報または過警報が確認された場合(すなわち、最終情報である警報要否情報に問題が確認された場合)、熟練作業者は、処理情報243のうち少なくとも警報要否情報に修正を加える。また、提示された処理情報243のうち中間情報(認識対象情報、クレーン1の作業内容、および危険領域A)に問題が確認された場合、熟練作業者は、中間情報のうち問題が確認されたものに修正を加える。このように熟練作業者によって修正された処理情報243が、再学習用出力情報として、安全支援システムS(判定部252)に取得される。
【0118】
学習処理部254は、このように取得された再学習用出力情報と、記憶部240に蓄積された情報に基づく再学習用入力情報と、の組を教師データとして、学習済みモデル244の再学習を行う。学習処理部254における再学習の具体的な手法については特に限定されないが、例えば、CNNやRNN等のニューラルネットワーク(深層学習)等を用いてもよい。また、特開2022-102930号公報に開示された手法を用いて再学習を行ってもよい。
【0119】
<安全支援システムが行う処理>
次に、本実施形態に係る安全支援システムSにおいて行われる処理の一例について説明する。
図12は、本実施形態に係る安全支援システムSにおいて行われる処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図12に示すフローチャートは、警報部303による警報に係るものであり、上述した再学習に係る処理は省略されている。
図12に示す処理は、例えば、ユーザが処理開始の指令を行うこと等によって開始する。例えば、クレーン操作者U´が操作部9を操作したり、ユーザが入力部220を操作したりすることで、処理開始の指令が行われてもよい。
【0120】
(ステップS101)まず、ステップS101の処理が行われる。ステップS101の処理においては、画像取得部121が、撮像部301によって撮像された画像IMを取得する。画像IMには、地上作業者Uと、吊り具22と、吊り荷Lと、が含まれる。画像取得部121は、取得した画像IMを、通信部110およびネットワーク400を介して第2端末装置200(通信部210)に出力する。通信部210は、画像IMを、処理部250に出力する。また、三次元情報取得部122は、三次元センサ302によって取得された吊り荷Lの三次元情報を取得する。三次元情報取得部122は、取得した吊り荷Lの三次元情報を、通信部110およびネットワーク400を介して第2端末装置200(通信部210)に出力する。通信部210は、吊り荷Lの三次元情報を、処理部250に出力する。ステップS101の処理が行われた後、ステップS102の処理(第1の処理)およびステップS106の処理(第5の処理)が行われる。
【0121】
(ステップS102)ステップS102の処理においては、第1判定部252aが、第1学習済みモデル244aに、画像IMを入力することで、認識対象情報を出力する。第1判定部252aは、出力した認識対象情報を、第2判定部252bおよび第4判定部252dに出力する。ステップS102の処理が行われた後、ステップS103の処理(第2の処理)が行われる。
【0122】
(ステップS103)ステップS103の処理においては、第2判定部252bが、第2学習済みモデル244bに、ステップS102の処理の出力(すなわち、認識対象情報)を入力することで、クレーン1の作業内容を出力する。第2判定部252bは、出力した作業内容を、第3判定部252cに出力する。ステップS103の処理が行われた後、ステップS104の処理(第3の処理)が行われる。
【0123】
(ステップS104)ステップS104の処理においては、第3判定部252cが、第3学習済みモデル244cに、ステップS101の処理によって取得された画像IMと、ステップS103の処理の出力(すなわち、クレーン1の作業内容)を入力することで、画像IMにおける危険領域Aを出力する。第3判定部252cは、出力した危険領域Aを、第4判定部252dに出力する。ステップS104の処理が行われた後、ステップS105の処理(第4の処理)が行われる。
【0124】
(ステップS105)ステップS105の処理においては、第4判定部252dが、第4学習済みモデル244dに、ステップS102の処理の出力(すなわち、地上作業者Uの位置および状態の少なくとも一方)と、ステップS104の処理の出力(すなわち、危険領域A)と、を入力することで、警報部303による警報の要否を判定する。すなわち、ステップS105の処理においては、第1の警報ケースに基づく警報の要否が判定される。
【0125】
(ステップS106)ステップS106の処理においては、第5判定部252eが、第5学習済みモデル244eに、ステップS101の処理によって取得された画像IMを入力することで、吊り具22の位置を出力する。第5判定部252eは、出力した吊り具22の位置を、第6判定部252fに出力する。ステップS106の処理が行われた後、ステップS107の処理(第6の処理)が行われる。
【0126】
(ステップS107)ステップS107の処理においては、第6判定部252fが、第6学習済みモデル244fに、ステップS101の処理によって取得された画像IMと、ステップS106の処理の出力(すなわち、吊り具22の位置)と、吊り荷Lの三次元情報に係る情報と、を入力することで、警報部303による警報の要否を判定する。すなわち、ステップS107の処理においては、第2の警報ケースに基づく警報の要否が判定される。
【0127】
ここで、「吊り荷Lの三次元情報に係る情報」が吊り荷Lの三次元情報である場合、第6判定部252fは、ステップS101の処理で取得された吊り荷Lの三次元情報を第6学習済みモデル244fの入力として用いてもよい。また、「吊り荷Lの三次元情報に係る情報」が吊り荷Lのたわみ情報である場合、ステップS106の処理に先立って、たわみ情報の算出処理が行われてもよい。たわみ情報の算出処理においては、算出部251が、吊り荷Lの三次元情報(高さ分布情報)に基づき、吊り荷Lのたわみ情報を算出し、算出したたわみ情報を、判定部252(第6判定部252f)に出力する。そして、ステップS107の処理においては、たわみ情報の算出処理の出力を第6学習済みモデル244fの入力として用いてもよい。
【0128】
(ステップS108)ステップS105の処理およびステップS107の処理が行われた後、ステップS108の処理が行われる。ステップS108の処理においては、判定部252が、ステップS105の処理による判定結果と、ステップS107の処理による判定の結果と、を統合して警報要否情報を生成する。判定部252は、生成した警報要否情報を、生成部253に出力する。生成部253は、出力された警報要否情報に基づき、制御部140が警報部303を制御するための制御信号を生成する。ここで、生成される制御信号の内容は、判定結果(警報要否情報)に応じて異なる。生成部253は通信部210およびネットワーク400を介して、生成した制御信号を第1端末装置100に出力する。ステップS108の処理が行われた後、ステップS109の処理が行われる。
【0129】
(ステップS109)ステップS109の処理においては、制御部140が、ステップS108の処理で出力された制御信号に基づいて警報部303を制御し、警報部303に警報を発させる。具体的に、制御部140は、判定結果(警報要否情報)に応じて異なる制御信号に応じて、警報部303に、視覚的に異なる警報を発させる。警報の異ならせ方については、上述した通りである。ステップS109の処理が行われた後、ステップS110の処理が行われる。
【0130】
(ステップS110)ステップS110の処理においては、ステップS101~ステップS109の処理を繰り返すか否かが判断される。この判断は、例えば、第2端末装置200(判定部252)によって行われてもよいし、第1端末装置100によって行われてもよい。例えば、ユーザからの繰り返し終了の指令があった場合に、繰り返しを終了すると判断し、ユーザからの繰り返し終了の指令がない場合に、繰り返しを終了しないと判断してもよい。クレーン1の作業が終了している場合には繰り返しを終了すると判断し、クレーン1の作業が終了していない場合には繰り返しを終了しないと判断してもよい。例えば、判定部252および学習済みモデル244を、画像IMや吊り荷Lの三次元情報等に基づいてクレーン1の作業終了を検知できるように構成してもよい。そして、画像IMや吊り荷Lの三次元情報等に基づいてクレーン1の作業終了が検知された場合に、繰り返しを終了すると判断し、クレーン1の作業終了が検知されない場合に、繰り返しを終了しないと判断してもよい。
【0131】
繰り返しを終了するとの判断がなされた場合(ステップS110;YES)、フローチャートの処理を終了する。繰り返しを終了しないとの判断がなされた場合(ステップS110;NO)、ステップS101~ステップS109の処理が繰り返される。このようにステップS101~ステップS109の処理を繰り返すことで、例えばクレーン1が行う一連の作業を通じて、警報の要否を判定し続け、必要に応じて警報を発することができる。クレーン1が行う一連の作業とは、例えば、吊り荷Lの巻き上げと、吊り荷Lの移動(すなわち、横行および/または走行)と、吊り荷Lの巻き下げと、を含んでいてもよい。例えば、クレーン1が行う一連の作業の最中に地上作業者Uが吊り荷Lに近づき、第1の警報ケースに該当するようになった場合に、これを検知し、警報を行うことができる。また、クレーン1が行う一連の作業の最中に吊り具22がずれて第2の警報ケースに該当するようになった場合に、これを検知し、警報を行うことができる。
【0132】
<総括>
以上説明した本実施形態によれば、警報によってクレーン作業の安全性の向上を図ることができる。また、安全支援システムSが備える構成(撮像部301、三次元センサ302、警報部303、第1端末装置100、および第2端末装置200)をクレーン1に適用するうえで、既存のクレーン1の設計に変更を加える必要がない。例えば、撮像部301、三次元センサ302、警報部303および第2端末装置200は、クレーン1(例えば、トロリ10)に取り付けるだけでよく、第1端末装置100はクレーン1の外部に配置することができる。また、クレーン1の作業内容の特定が画像IMからの画像認識によって行われるため、クレーン1の制御システムに対する変更(例えば、クレーン1を制御する制御信号を安全支援システムSに出力させるようにする変更等)を行う必要がない。したがって、本実施形態に係る安全支援システムSによれば、既存のクレーン設備においてもクレーン作業の安全性の向上を図ることができる。
【0133】
<変形例>
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0134】
例えば、判定部252が出力する警報要否情報の内容は適宜変更可能である。例えば、警報要否情報は、警報部303による警報の要否のみを示す情報であってもよい。
【0135】
また、学習済みモデル244(第6学習済みモデル244f)および判定部252(第6判定部252f)は、吊り荷Lの三次元情報(高さ分布情報)を入力としていなくてもよい。すなわち、吊り荷Lのたわみに基づいた、荷崩れに係る警報の要否の判断が行われなくてもよい。この場合、安全支援システムSは、三次元センサ302および三次元情報取得部122を備えていなくてもよい。この場合においても、画像取得部121(および撮像部301)によって取得された画像IMに基づき、警報の要否を判断できる。三次元センサ302は高価な場合が多いため、例えば吊り荷Lのたわみに基づいた荷崩れに係る警報の要否の判断が不要である場合等においては、三次元センサ302を省略することでコストの削減を実現することができる。
【0136】
また、上記実施形態においては複数の学習済みモデル(第1学習済みモデル244a~第4学習済みモデル244d)および複数の判定部(第1判定部252a~第4判定部252d)を用いて、認識対象情報と、クレーン1の作業内容と、危険領域Aと、第1の警報ケースに係る警報の要否と、を出力していたが、これに限られない。単一の学習済みモデルおよび単一の判定部によって、認識対象情報と、クレーン1の作業内容と、危険領域Aと、第1の警報ケースに係る警報の要否と、を出力してもよい。同様に、上記実施形態においては複数の学習済みモデル(第5学習済みモデル244e~第6学習済みモデル244f)および複数の判定部(第5判定部252e~第6判定部252f)を用いて、吊り具22の位置と、第2の警報ケースに係る警報の要否と、を出力していたが、これに限られない。単一の学習済みモデルおよび単一の判定部によって、吊り具22の位置と、第2の警報ケースに係る警報の要否と、を出力してもよい。
【0137】
また、上記実施形態においては第1端末装置100と第2端末装置200とが異なる装置として構成されているが、一体の装置として構成されてもよい。例えば、第2端末装置200が備える機能が第1端末装置100に実装されていてもよい。また、第1端末装置100および第2端末装置200が備える機能が、3以上の装置によって実装されていてもよい。
【0138】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0139】
S…安全支援システム 1…クレーン 22…吊り具 120…取得部 244…学習済みモデル 244a…第1学習済みモデル 244b…第2学習済みモデル 244c…第3学習済みモデル 244d…第4学習済みモデル 244e…第5学習済みモデル 244f…第6学習済みモデル 251…算出部 252…判定部 252a…第1判定部 252b…第2判定部 252c…第3判定部 252d…第4判定部 252e…第5判定部 252f…第6判定部 254…学習処理部 L…吊り荷 U…地上作業者 IM…画像
【要約】
【課題】既存のクレーン設備においてもクレーン作業の安全性の向上を図ることができる安全支援システム、および学習済みモデルの作成方法を提供する。
【解決手段】安全支援システムは、地上作業者と、クレーンが有する吊り具と、前記吊り具によって吊り上げられる吊り荷と、を含む画像を取得する取得部と、学習済みモデルに、前記画像を入力することで、前記画像に示される状況において警報部による警報が必要であるか否かを判定する判定部と、前記判定部による判定の結果に基づいて、前記警報部に前記警報を発させる制御部と、を備え、前記学習済みモデルは、前記画像が入力されたときに、前記警報の要否を判定するように学習されている。
【選択図】
図2