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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】太陽電池モジュールの梱包体
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/86 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
B65D85/86 500
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021044566
(22)【出願日】2021-03-18
(65)【公開番号】P2022143839
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2024-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(73)【特許権者】
【識別番号】392010094
【氏名又は名称】アイロップ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 隆太郎
(72)【発明者】
【氏名】中川 紗佑里
(72)【発明者】
【氏名】海老名 京介
(72)【発明者】
【氏名】川原 慎也
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-132499(JP,A)
【文献】特開2007-168804(JP,A)
【文献】特開平09-002455(JP,A)
【文献】特開2020-045158(JP,A)
【文献】実開昭55-127016(JP,U)
【文献】米国特許第05595304(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/86
B65D 5/00- 5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略長方形状の底壁部と、該底壁部の外周縁から上方に立ち上がる4つの横側壁部と、該4つの横側壁部のうちの幅が広い相対向する一対の第1、第2横側壁部の上端に連結された一対のフラップと、前記4つの横側壁部のうちの幅が狭い相対向する一対の第3、第4横側壁部の上端に連結された一対の内フラップと、を備え、太陽電池モジュールをそれの前面又は後面が上下方向に沿った縦姿勢で少なくとも2枚以上収納可能な厚紙又は段ボールで構成される太陽電池モジュールの梱包体であって、
前記第1横側壁部に、収納された前記太陽電池モジュールを手前に取り出す取出用の開口を形成するための易破断部を備え、該易破断部は、前記第1横側壁部の幅方向両端部のそれぞれに上端から下端に亘って上下方向に沿って形成され、
前記開口の幅寸法は、収納される前記太陽電池モジュールの幅寸法よりも大きく設定され、
一対の前記内フラップは、前記第3、第4横側壁部の上端から該第3、第4横側壁部と同一幅で上方に延びる第3板部と、該第3板部の上端の幅方向中央部から上方に延びる第2連結部を介して連結される第2板部と、該第2板部の上端の幅方向中央部から上方に延びる第1連結部を介して連結される第1板部と、を備え、
前記第2板部の両端部を内側に90度折り曲げてから、一対の前記内フラップを閉じることにより、前記第2板部の両端部が太陽電池モジュール間の隙間に入り込んで、収納された2枚以上の太陽電池モジュールを一対の前記内フラップの幅方向で位置決めすることを特徴とする太陽電池モジュールの梱包体。
【請求項2】
前記易破断部は、前記第1横側壁部及び前記第2横側壁部の幅方向両端部のそれぞれに上下方向に沿って形成されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールの梱包体。
【請求項3】
前記易破断部は、破断を開始する破断開始部が前記フラップに形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池モジュールの梱包体。
【請求項4】
前記破断開始部は、前記フラップの幅方向一端の始端から又は幅方向一端の近傍の始端から幅方向他端へ延びるとともに終端側ほど前記第1横側壁部又は前記第2横側壁部に近づくように斜めに形成された横スリット部と、該横スリット部の終端から該第1横側壁部又は該第2横側壁部へ延びる縦向きの縦スリット部と、を有する第1スリットであり、該第1スリットの前記第1横側壁部側又は前記第2横側壁部側の終端から間隔を置いて縦向きに延びる第2スリットを前記フラップに更に備えていることを特徴とする請求項に記載の太陽電池モジュールの梱包体。
【請求項5】
前記易破断部は、前記第2スリットの前記第1横側壁部側又は前記第2横側壁部側の終端から破断が終了する破断終了部まで該第1横側壁部又は該第2横側壁部に上下方向に沿って間隔を置いて形成される多数の第3スリットを備え、各第3スリットが、前記フラップ側ほど幅方向内側に位置する傾斜スリット部と、該傾斜スリット部の前記底壁部側となる下端から下方に延びる縦スリット部と、を備え、前記底壁部に近い前記第3スリットの前記縦スリット部が該第1横側壁部又は該第2横側壁部の下端まで形成されていることを特徴とする請求項に記載の太陽電池モジュールの梱包体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールを収納して運搬するための太陽電池モジュールの梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
上記太陽電池モジュールの梱包体は、長方形状の底壁部と、底壁部の外周縁の4辺のうちの一対の長辺から上方に延びる表側壁及び裏側壁と、底壁部の外周縁の4辺のうちの残る一対の短辺から上方に延びる左側面壁及び右側面壁と、表側壁及び裏側壁の上端に連結される一対の外フラップと、左側面壁及び右側面壁の上端に連結される一対の内フラップと、を備えている。そして、一対の外フラップ及び一対の内フラップを開放状態にして形成される上端の開口を通して太陽電池モジュールを収納してから、開放状態の一対の内フラップ及び一対の外フラップを閉じてから梱包テープを用いて閉じ状態を保持することで梱包が完了し、太陽電池モジュールを梱包した梱包体を太陽電池モジュールの施工現場に運搬している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-132499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
梱包体が施工現場に到着すると、梱包テープを取り外した後、一対の外フラップ及び一対の内フラップを開放状態にして梱包体内に収納されている太陽電池モジュールの下端が梱包体の上端の開口から完全に露出するまで太陽電池モジュールを大きく持ち上げた後、所定の位置まで移動させることになる。ところで、近年の太陽電池モジュールは、耐候性の改良により重量が増加する傾向にあり、しかも梱包の効率化のため、複数枚の太陽電池モジュールをPPバンド等で結束していることから、複数枚の太陽電池モジュールを取り出すときの取り出し作業が非常に大きな負担になり、早期改善が要望されている。
【0005】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、太陽電池モジュールの取り出し作業を容易に行える太陽電池モジュールの梱包体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る太陽電池モジュールの梱包体は、略長方形状の底壁部と、該底壁部の外周縁から上方に立ち上がる4つの横側壁部と、該4つの横側壁部のうちの幅が広い相対向する一対の前記横側壁部の上端に連結された一対のフラップと、を備え、太陽電池モジュールをそれの前面又は後面が上下方向に沿った縦姿勢で収納可能な厚紙又は段ボールで構成される太陽電池モジュールの梱包体であって、幅が広い前記一対の横側壁部のうちの一方の第1横側壁部に、収納された前記太陽電池モジュールを手前に取り出す取出用の開口を形成するための易破断部を備え、該易破断部は、前記第1横側壁部の幅方向両端部のそれぞれに上下方向に沿って形成されていることを特徴としている。
【0007】
かかる構成によれば、第1横側壁部の幅方向両端部のそれぞれに備えた易破断部を破断させることによって、第1横側壁部に、収納された太陽電池モジュールを手前に取り出す取出用の開口を幅方向に大きく形成することができる。形成された開口を通して太陽電池モジュールを手前に取り出すことによって、上方へ大きく持ち上げる必要がなく、太陽電池モジュールの持ち上げ量を最小限に抑えることができるので、太陽電池モジュールを取り出す取り出し作業時の負担を軽減できる。
【0008】
また、前記太陽電池モジュールの梱包体は、前記易破断部が、第1横側壁部と相対向する第2横側壁部の幅方向両端部のそれぞれに上下方向に沿って形成されていてもよい。
【0009】
上記のように、第2横側壁部の幅方向両端部のそれぞれに備えた易破断部を破断させることによって、第2横側壁部に、収納された太陽電池モジュールを手前に取り出す取出用の開口を幅方向に大きく形成することができる。形成された開口を通して太陽電池モジュールを手前にスムーズに取り出すことができる。また、太陽電池モジュールを手前に取り出す取出用の開口を、例えば太陽電池モジュールを取り出す場所の状況に応じて第1横側壁部及び第2横側壁部のうちの両方に形成することによって、太陽電池モジュールを取り出し易くできる。
【0010】
また、前記太陽電池モジュールの梱包体は、前記易破断部が、第1横側壁部又は前記第2横側壁部の上端から下端に亘って形成されていてもよい。
【0011】
上記構成によれば、易破断部が、第1横側壁部又は第2横側壁部の上端から下端に亘って形成されていれば、易破断部を容易に破断させることができる。
【0012】
また、前記太陽電池モジュールの梱包体は、前記易破断部が、破断を開始する破断開始部が前記フラップに形成されていてもよい。
【0013】
上記構成によれば、破断開始部をフラップに形成することによって、フラップから破断を開始させることで、破断の作業性が良い。
【0014】
また、前記太陽電池モジュールの梱包体は、前記破断開始部が、前記フラップの幅方向一端の始端から又は幅方向一端の近傍の始端から幅方向他端へ延びるとともに終端側ほど前記第1横側壁部又は前記第2横側壁部に近づくように斜めに形成された横スリット部と、該横スリット部の終端から該第1横側壁部又は該第2横側壁部へ延びる縦向きの縦スリット部と、を有する第1スリットであり、該第1スリットの前記第1横側壁部側又は前記第2横側壁部の終端から間隔を置いて縦向きに延びる第2スリットを前記フラップに更に備えていてもよい。
【0015】
上記構成によれば、フラップの幅方向一端の始端から又は幅方向一端の近傍の始端から第1横側壁部又は第2横側壁部に近づくように斜めに形成された横スリット部が形成されているので、横スリット部に手を掛け易い。そして、横スリット部に連続する縦スリット部から縦向きの第2スリットに容易に繋がるので、フラップを容易に破断することができる。
【0016】
また、前記太陽電池モジュールの梱包体は、前記易破断部が、前記第2スリットの前記第1横側壁部側又は前記第2横側壁部側の終端から破断が終了する破断終了部まで該第1横側壁部又は該第2横側壁部に上下方向に沿って間隔を置いて形成される多数の第3スリットを備え、各第3スリットが、前記フラップ側ほど幅方向内側に位置する傾斜スリット部と、該傾斜スリット部の前記底壁部側となる下端から下方に延びる縦スリット部と、を備え、前記底壁部に近い前記第3スリットの前記縦スリット部が該第1横側壁部又は該第2横側壁部の下端まで形成されていてもよい。
【0017】
上記構成によれば、各第3スリットが、フラップ側ほど幅方向内側に位置する傾斜スリット部を備えることで、梱包体を上下に積み重ねた場合における上下方向の荷重に対する第1横側壁部又は第2横側壁部の強度が低下することを抑制でき、第1横側壁部又は第2横側壁部の保形性を確保することができる。また、底壁部に近い第3スリットの縦スリット部が第1横側壁部又は第2横側壁部の下端まで形成されているので、開口の下端を最大限大きく形成することができ、太陽電池モジュールを容易に取り出し易い。
【発明の効果】
【0018】
以上より、本発明によれば、第1横側壁部に、太陽電池モジュールを手前に取り出す取出用の開口を形成することによって、太陽電池モジュールの取り出し作業を容易に行える太陽電池モジュールの梱包体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】2枚の太陽電池モジュールを重ね合わせる直前の状態を示す斜視図である。
図2】重ね合わせた2枚の太陽電池モジュールの上下に固定部材を被せて幅方向2箇所でPPバンドにより結束した状態を示す斜視図である。
図3】2枚の太陽電池モジュールが結束されたモジュール組の2組を梱包体に収納する直前の状態を示す斜視図である。
図4】モジュール組の2組を梱包体に収納した状態を示す斜視図である。
図5】一方の内フラップを内側に折り畳んでモジュール組の間の隙間を埋めた状態を示す斜視図である。
図6】一対の内フラップ及び一対の外フラップを閉じた後、一対の外フラップを閉じた状態を保持するテープを貼り付けた梱包体の6個をパレット上に積んだ状態を示す斜視図である。
図7図6の梱包体の6個の上に更に6個の梱包体を向きが90度異なるように積んだ状態を示す斜視図である。
図8図7の状態において4つのコーナー部に平面視L字形状のコーナー部材を当てた状態でフィルムを外周に巻いた状態を示す斜視図である。
図9】(a)は梱包体から太陽電池モジュールを取り出すために外フラップ及び内フラップを開放状態にした後、一方の外フラップを上下方向に向いた縦姿勢にした状態を示す斜視図、(b)は(a)の状態から幅方向一方(右側)の破断開始部を破断した状態を示す斜視図である。
図10】(a)は図9(b)の状態から幅方向他方(左側)の破断開始部を破断した状態を示す斜視図、(b)は破断終了部まで破断させながら第1横側壁部を倒している状態を示す斜視図である。
図11】(a)は図10(b)から第1横側壁部を水平状態まで完全に倒した状態を示す斜視図、(b)は図11(a)の梱包体の内部に収納されたモジュール組を描いた斜視図である。
図12】第1横側壁部及び第1横側壁部の上端に連結された外フラップに形成された易破断部を示す要部の梱包体の斜視図である。
図13】梱包体の他の実施形態を示し、梱包体を構成するためのシート状の厚紙の斜視図である。
図14図13の厚紙に寝かした姿勢のパネル組の2セットを載置した状態を示す斜視図である。
図15図14の状態から厚紙を折り込んで箱状にして梱包テープで梱包して構成された梱包体を示す斜視図である。
図16図15の梱包体の7個をパレットに縦向きに隙間なく整列させた状態で載置した状態を示す斜視図である。
図17図16の7個の梱包体に蓋体を被せた状態を示す斜視図である。
図18図17の蓋体の上に更に7個の梱包体を縦向きに隙間なく整列させた状態で載置して蓋体を被せた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの梱包体について、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
図9(a),(b)~図11(a),(b)に示すように、梱包体1は、1枚の段ボール紙を折り曲げて、直方体形状の段ボール箱(厚紙で構成される箱でもよい)から構成されている。このように構成された梱包体1は、長方形状の底壁部2と、底壁部2から上方に立ち上がる4つの横側壁部3,4,5,6と、天壁部7と、を備えている。
【0022】
梱包体1には、図3に示すように、2枚の太陽電池モジュール8,8が表面及び裏面を貫通する方向(厚み方向)で重ね合わされて一体化したモジュール組9の2セットが収納される。各太陽電池モジュール8は、図1に示すように、2枚の太陽電池パネル10,10と、2枚の太陽電池パネル10,10の上端に備える上側フレーム11と、2枚の太陽電池パネル10,10の下端に備える下側フレーム12と、2枚の太陽電池パネル10,10の裏面側に設けられ、複数(図1では4個)の発泡断熱材からなる裏受材13及び2枚の太陽電池パネル10,10から出力される電力を集める2個の端子ボックス14,14と、を備えている。裏受材13は、太陽電池パネル10の裏面側の下端部に配置されている。各太陽電池パネル10は、一般的に、ガラス板に透明電極層、光電変換層(光電変換部)、裏面電極層を積層したものから構成される。尚、太陽電池モジュール8,8の表裏を貫通する厚み方向を前後方向として説明する。
【0023】
このように構成された2枚の太陽電池モジュール8,8を、裏面が互いに内側を向いた状態(表面が互いに外側を向いた状態)で、かつ、上下が互いに反対(逆)になる状態で重ね合わせる(図1参照)。このとき、一方の太陽電池モジュール8の裏受材13と他方の太陽電池モジュール8の裏受材13とが厚み方向で重ならないようにする。このように重ね合わせた2枚の太陽電池モジュール8,8の上下端のそれぞれに、コの字型の固定材15(図2図3参照)を被せる。被せた固定材15,15の幅方向2箇所にPPバンド(ポリプロピレンバンド)16を巻き掛けてからPPバンド16の一端と他端とを溶着して2枚の太陽電池モジュール8,8を結束する。図3に、PPバンド16の溶着部16Aを示し、固定材15の上端に溶着部16Aを位置させて、溶着部16Aが太陽電池モジュール8の表面に接触することを防止している。
【0024】
固定材15は、図3に示すように、太陽電池モジュール8の幅と略同一幅でかつ幅方向に長い長方形状の1枚の厚紙(段ボール紙でもよい)で構成され、太陽電池モジュール8の上端を覆う水平板部15Aと、水平板部15Aの前後方向両端から90度下方へ折り曲げられて下方に延びる前後一対の縦板部15B,15Cと、を備えている。これら前後一対の縦板部15B,15Cは、一方の第1縦板部15Bの上下寸法が他方の第2縦板部15Cの上下寸法よりも長く設定されている。例えば、図3の後方に位置する2枚の太陽電池モジュール8,8の上端を覆った固定材15の第1縦板部15Bが後方の太陽電池モジュール8の表面側に位置した状態であれば、図3の後方に位置する2枚の太陽電池モジュール8,8の下端を覆った固定材15の第1縦板部15Bが前方の太陽電池モジュール8の表面側に位置した状態になるように上下一対の固定材15,15を配置している。
【0025】
そして、図3に示すように、モジュール組9の2セット(4枚の太陽電池モジュール8,8、8,8)を梱包体1に収納する際には、一方(図3の前側)のモジュール組9の上端の内側に第2縦板部15Cが位置し、他方の(図3の後側)のモジュール組9の上端の内側に前記一方側の第2縦板部15Cと同一面積の第2縦板部15Cが位置するようにしている。この時、一方(図3の前側)のモジュール組9の下端の内側に第1縦板部15Bが位置し、他方の(図3の後側)のモジュール組9の下端の内側に前記一方側の第1縦板部15Bと同一面積の第1縦板部15B(図3では見えていない)が位置する。
【0026】
横側壁部3,4,5,6は、図3に示すように、底壁部2の一対の長辺から上方に立ち上がる幅の広い横長で長方形状の第1横側壁部3及び第1横側壁部3と同一幅で同一高さの横長で長方形状の第2横側壁部4と、底壁部2の一対の短辺から上方に立ち上がる幅の狭い縦長で長方形状の第3横側壁部5及び第3横側壁部5と同一幅で同一高さの縦長で長方形状の第4横側壁部6と、を備えている。第1横側壁部3の上部の幅方向2箇所に手を入れることができる孔(図では幅方向に長い長孔)3Aが形成されている。また、第2横側壁部4の上部の幅方向2箇所に手を入れることができる孔(図では幅方向に長い長孔)4Aが形成されている。また、第3横側壁部5及び第4横側壁部6の上部の幅方向1箇所に手を入れることができる孔(図では幅方向に長い長孔)5A,6Aが形成されている。尚、第1横側壁部3の孔3A,3A、第2横側壁部4の孔4A,4A、第3横側壁部5の孔5A、第4横側壁部6の孔6Aが同一高さ位置に形成されている。
【0027】
底壁部2は、図11(a)に示すように、第1横側壁部3及び第2横側壁部4の下端に連結された底壁部側の一対の外フラップ2A,2Aと、第3横側壁部5及び第4横側壁部6の下端に連結された底壁部側の一対の内フラップ2B,2Bと、を備えている。底壁部側の一対の外フラップ2A,2Aは、同一形状で同一の大きさに構成されている。一方の底壁部側の外フラップ2Aが、幅方向に長い横長の長方形状で第1横側壁部3の幅と同一幅でかつ横側壁部3,4,5,6で形成される長方形状の開口K1の大きさの半分を覆うことができる大きさに構成されている。また、他方の底壁部側の外フラップ2Aが、幅方向に長い横長の長方形状で第2横側壁部4の幅と同一幅でかつ横側壁部3,4,5,6で形成される長方形状の開口K1の大きさの半分を覆うことができる大きさに構成されている。したがって、底壁部側の一対の外フラップ2A,2Aを閉じることによって、前記開口K1を塞ぐことができる。
【0028】
底壁部側の一対の内フラップ2B,2Bは、同一形状で同一の大きさに構成され、底壁部側の外フラップ2A,2Aよりも先に内側に折り込むことで、底壁部側の一対の外フラップ2A,2Aよりも内側に位置する。各内フラップ2Bの幅は、第3横側壁部5又は第4横側壁部6と同一幅である。一対の外フラップ2A,2Aを閉じた後は、図6に示すように、梱包テープ17の長手方向一端部が第3横側壁部5の下端部の幅方向中央部に貼り付けられてから、底壁部側の一対の外フラップ2A,2A間(図11(a)参照)に跨って貼り付けられ、梱包テープ17の長手方向他端部が、長手方向一端部と同様に第4横側壁部6の下端部の幅方向中央部に貼り付けられる(図示せず)。
【0029】
天壁部7は、図9(a)に示すように、相対向する第1横側壁部3及び第2横側壁部4の上端に連結された一対の外フラップ3F,4Fと、相対向する第3横側壁部5及び第4横側壁部6の上端に連結された一対の内フラップ5F,6Fと、を備え、これら一対の外フラップ3F,4F及び一対の内フラップ5F,6Fを開放することにより形成される開口K2(図3参照)からモジュール組9の2セットを縦姿勢で収納することができる。
【0030】
一対の外フラップ3F,4Fは、同一形状で同一の大きさに構成されている。一方の外フラップ3Fが、幅方向に長い横長の長方形状で第1横側壁部3の幅と同一幅でかつ横側壁部3,4,5,6で形成される長方形状の開口K2(図3参照)の大きさの半分を覆うことができる大きさに構成されている。また、他方の外フラップ4Fが、幅方向に長い横長の長方形状で第2横側壁部4の幅と同一幅でかつ横側壁部3,4,5,6で形成される長方形状の開口K2の大きさの半分を覆うことができる大きさに構成されている。したがって、一対の外フラップ3F,4Fを閉じることによって、前記開口K2を塞ぐことができる。一対の外フラップ3F,4Fを閉じた後は、図6に示すように、梱包テープ17の長手方向一端部が第3横側壁部5の上端部に貼り付けられてから、一対の外フラップ3F,4F間に跨って貼り付けられ、梱包テープ17の長手方向他端部が第4横側壁部6の上端部に貼り付けられている(図示せず)。前記のように一対の外フラップ3F,4Fを、横側壁部3,4,5,6で形成される長方形状の開口K2の大きさの半分を覆うことができる大きさに構成することによって、幅方向と直交する前後方向の中央部に梱包テープ17が位置するため、外フラップ3F,4Fにそれぞれ形成される後述の破断開始部19,19が梱包テープ17で覆われることを回避できる(図12参照)。
【0031】
一対の内フラップ5F,6Fは、同一形状で同一の大きさに構成され、各内フラップ5F又は6Fは、図3に示すように、第3横側壁部5又は第4横側壁部6の上端から第3横側壁部5又は第4横側壁部6と同一幅で上方に延びる横長の略長方形状の第3板部55と、第3板部55の上端の中央部から上方に延びる第2連結部54を介して連結される第2板部53と、第2板部53の上端の中央部から上方へ延びる第1連結部52を介して連結される第板部51と、を備えている。第1連結部52と第2連結部54とが同一幅に構成され、第1連結部52の幅方向両端と第2連結部54の幅方向両端とが上下方向(縦方向)で同一位置に位置している。
【0032】
第2板部53は、上端に向かうほど幅が広くなる逆台形状に構成されている。第2板部53の上端の幅が、第3横側壁部5又は第4横側壁部6の幅と略同一に構成されている。そして、第2板部53の両端部53a,53aを図4に点線で示す折れ線53b,53bで内側に90度折り曲げてから、内フラップ5F,6Fを閉じることにより、図5に示すように、第2板部53の両端部53a,53aがモジュール組9,9間の隙間Sに入り込んで、モジュール組9,9を前後方向で位置決めすることができる。第3板部55は、第3横側壁部5又は第4横側壁部6の幅と略同一に構成され、かつ、第1板部51の上下寸法よりも短い上下寸法に構成されている。このように、第2板部53の両端部53a,53aがモジュール組9,9間の隙間Sに入り込んで、モジュール組9,9を前後方向で位置決めすることによって、梱包体1の内部にモジュール組9,9との間に発生する隙間Sを埋めるための埋め込み部材が不要になり、モジュール組9,9を梱包体1に収納する収納作業を迅速に行える。
【0033】
図12に示すように、第1横側壁部3及び第1横側壁部3の上端に連結される外フラップ3Fには、モジュール組9,9を手前に取り出すための開口を形成するための易破断部18を備えている。また、第2横側壁部4及び第2横側壁部4の上端に連結される外フラップ4Fにも、前記易破断部18を備えている。この易破断部18は、第1横側壁部3及び第2横側壁部4の幅方向両端部のそれぞれに、上下方向に沿って形成され、手で容易に破断できるように構成されている。第1横側壁部3側に形成されている易破断部18と第2横側壁部4側に形成されている易破断部18とは、いずれも同一であるため、第1横側壁部3側に形成されている易破断部18についてのみ説明する。
【0034】
図12に示すように、易破断部18は、破断を開始する破断開始部19を備え、この破断開始部19が、第1横側壁部3の上端に連結される外フラップ3Fに形成されている。破断開始部19は、外フラップ3Fの幅方向一端(幅方向の一端の近傍でもよい)の始端から幅方向他端へ延びるとともに終端側ほど第1横側壁部3に近づくように斜めに形成された横スリット部19Aと、横スリット部19Aの終端から第1横側壁部3へ延びる縦向きの縦スリット部19Bと、を有する第1スリットである。この第1スリットの第1横側壁部3の終端から下方へ間隔を置いて縦向きに延びる第2スリット20を外フラップ3Fに更に備えている。この第2スリット20は、第1横側壁部3の上端部まで形成されている。
【0035】
易破断部18は、第2スリット20の第1横側壁部側の終端から破断が終了する破断終了部まで第1横側壁部3に上下方向に間隔を置いて形成される多数の第3スリット21を備え、各第3スリット21が、外フラップ側ほど幅方向内側に位置する傾斜スリット部21Aと、傾斜スリット部21Aの底壁部側となる下端から下方に延びる縦スリット部21Bと、を備えている。各第3スリット21が、外フラップ側ほど幅方向内側に位置する傾斜スリット部21Aを備えることで、上下方向の荷重に対する第1横側壁部3の強度が低下することを抑制でき、第1横側壁部3の保形性を確保することができる。前記第3スリット21のうちの底壁部2に近い第3スリット21の縦スリット部21Bが第1横側壁部3の下端まで形成されている。よって、開口K3(図11(a),(b)参照)の下端を最大限大きく形成することができ、モジュール組9,9を容易に取り出し易い。
【0036】
前記のように構成されたモジュール組9の2セットを収納して梱包した梱包体1の6個がパレット22上に平行に隙間なく並べられる(図6参照)。こののち、パレット22上に積載された6個の梱包体1の上に向きが90度異なる状態で更に同数の6個の梱包体1を積んで2段にする(図7参照)。図8に示すように、4つの角部のそれぞれに、L字形状の段ボール紙(厚紙でもよい)で構成されたコーナー部材23を配置し、袋状の透明なシート24をパレット22上の梱包体1に対して外周方向に巻き付けて覆うことでパレット22に対して梱包体1が移動することを防止している。この多数の梱包体1が積まれて固定されたパレット22は、図示していないフォークリフトにより図示していないトラックに積み込まれて施工現場に運搬される。
【0037】
運搬された梱包体1を1個ずつ取り出してから、梱包体1内に収納されている2枚の太陽電池モジュール8,8が一体化したモジュール組9の2セットを取り出す際の梱包体1の開封手順について、図9図11(a),(b)に基づいて説明する。
【0038】
まず、図9(a)に示すように、前記梱包テープ17(図6参照)を剥した後、梱包体1の一対の外フラップ3F,4F及び一対の内フラップ5F,6Fを開放状態にし、モジュール組9,9を取り出したい側の横側壁部である第1横側壁部3に連結された外フラップ3Fを上下方向に立てた状態にする。この状態から、外フラップ3Fの幅方向一端部3fを後方へ折り曲げることによって、一方(図9(b)では右側)の易破断部18の破断開始部19及び第2スリット20を破断させる(図9(b)参照)。続いて、外フラップ3Fの幅方向他端部3fを後方へ折り曲げることによって、他方の易破断部18の破断開始部19及び第2スリット20を破断させる(図10(a)参照)。この状態から外フラップ3F及び第1横側壁部3を掴んで前方側へ倒すように引っ張ることによって、全ての第3スリット21を破断させる(図10(b)参照)。全ての第3スリット21を破断させることによって、図11(a),(b)に示すように、外フラップ3F及び第1横側壁部3を前方側へ完全に倒した状態にすることができる。したがって、第1横側壁部3に、収納された2セットのモジュール組9,9を、手前に位置するモジュール組9から手前に取り出す取出用の開口K3を幅方向に大きく形成することができる。形成された開口K3を通して図11(b)に示すモジュール組9,9を前側のモジュール組9から手前にスムーズに取り出すことができる。また、モジュール組9,9を手前に取り出す取出用の開口K3を、例えばモジュール組9,9を取り出す場所の状況に応じて第1横側壁部3及び第2横側壁部4の両方に形成することによって、モジュール組9,9を取り出し易くできる。開口K3の幅寸法は、モジュール組9の幅寸法よりも大きくすることで、モジュール組9を手前に取り出すときに、モジュール組9の幅方向両端が開口K3の幅方向両端の縁に引っ掛かることがない。
【0039】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0040】
前記実施形態では、モジュール組9の2セットを縦向き姿勢で梱包体1に上方から収納するようにしたが、図13図15に示すように、太陽電池モジュール8の2個を寝かせた状態で梱包体1に収納するようにしてもよい。梱包体1は、図13に示すように、1枚のシート状の厚紙(段ボール紙でもよい)を折り込むことで構成され、長方形状の底壁部25と、底壁部25の一対の長辺から折り線25A,25Aを介して連結される長方形状の前側壁部26及び前側壁部26と同一形状で同一の大きさの後側壁部27と、前側壁部26の幅方向両端に折り線26A,26Aを介して連結される第1横側壁部28,28と、後側壁部27の幅方向両端に折り線27A,27Aを介して連結される第2横側壁部29,29と、を備えている。前側壁部26及び後側壁部27の上部の幅方向2箇所に手を入れることができる孔(図13では幅方向に長い長孔)26K,27Kが形成されている。
【0041】
モジュール組9の2セットを梱包体1に収納して梱包する場合には、図14に示すように、前側壁部26に2セットのモジュール組9,9を横に倒した倒伏姿勢で重ね合わせる。この状態から、底壁部25を折り線25Aで内側へ折り込むことで上方に立ち上がらせてから、後側壁部27を折り線25Aで内側へ折り込むことで2セットのモジュール組9,9の上面を覆う(図15参照)。続いて、第2横側壁部29,29を折り線27A,27Aで内側へ折り込むことで2セットのモジュール組9,9の両横側面を覆う。次に、第1横側壁部28,28を折り線26A,26Aで内側へ折り込むことで第2横側壁部29,29の外面に重ねた後、第1横側壁部28,28が開かないように、2枚の梱包テープ17,17を貼り付ける(図15参照)。具体的には、1枚の梱包テープ17を、一方の第1横側壁部28と後側壁部27の一端部とに亘るように貼り付け、もう1枚の梱包テープ17を、他方の第1横側壁部28と後側壁部27の他端部とに亘るように貼り付けることで梱包作業が終了する(図15参照)。このように梱包した梱包体1をパレット22の上に梱包体1の開口1Kが上方に位置する状態、つまりモジュール組9,9が縦向きに収納した状態の梱包体1の7個を載置していく(図16参照)。次に、全ての梱包体1の開口1Kを閉じる1個の蓋体30を被せる(図17参照)。図17の蓋体30の上にモジュール組9,9が縦向きに収納した状態の梱包体1の7個を下方の7個の梱包体1の上に同一の向きで載置して、前述同様に蓋体30を被せる(図18参照)。こののち、図示していないが、前述と同様に4つの角部のそれぞれに、L字形状の段ボール紙(厚紙でもよい)で構成されたコーナー部材を配置し、袋状の透明なシートをパレット22上の梱包体1に対して外周方向に巻き付けて覆うことでパレット22に対して梱包体1が移動することを防止している。この多数の梱包体1が積まれて固定されたパレット22は、図示していないフォークリフトにより図示していないトラックに積み込まれて施工現場に運搬される。
【0042】
また、前記実施形態では、破断開始部19を外フラップ3F,4Fに形成したが、少なくとも面積の大きな一対の横側壁部のうちの少なくとも一方の横側壁部の上部に形成して実施してもよい。
【0043】
また、前記実施形態では、易破断部18を横側壁部の表面から裏面に貫通する多数のスリットから構成したが、横側壁部の表面及び裏面にハーフカットされた切り取り可能なハーフカット線で構成する、又はスリットよりも短い多数の貫通孔から構成されるミシン目から構成してもよい。
【0044】
また、前記実施形態では、4枚の太陽電池モジュール8を梱包体1に収納したが、1枚又は2枚又は3枚又は5枚以上の任意の枚数の太陽電池モジュールを梱包体に収納してもよい。
【0045】
また、前記実施形態では、天壁部7を構成する外フラップ3F,4Fを、横側壁部3,4,5,6で形成される長方形状の開口K1の大きさの半分を覆うことができる大きさにそれぞれ構成したが、外フラップ3F又は4Fを、開口K1の全部を覆うことができる大きさに構成してもよい。
【0046】
また、前記実施形態では、外フラップ3F,4Fと内フラップ5F,6Fとを備えたが、内フラップ5F,6Fを省略してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…梱包体、1K…開口、2…底壁部、2A…外フラップ、2B…内フラップ、3…第1横側壁部、4…第2横側壁部、5…第3横側壁部、6…第4横側壁部、3A,4A,5A,6A…長孔、3F,4F…外フラップ、5F,6F…内フラップ、3f…端部、7…天壁部、8…太陽電池モジュール、9…モジュール組、10…太陽電池パネル、11…上側フレーム、12…下側フレーム、13…裏受材、14…端子ボックス、15…固定材、15A…水平板部、15B…第1縦板部、15C…第2縦板部、16…PPバンド(ポリプロピレンバンド)、16A…溶着部、17…梱包テープ、18…易破断部、19…破断開始部(第1スリット)、19A…横スリット部、19B…縦スリット部、20…第2スリット、21A…傾斜スリット部、21B…縦スリット部、22…パレット、23…コーナー部材、24…シート、25…底壁部、25A…折り線、26…前側壁部、26A…折り線、26K,27K…長孔、27…後側壁部、27A…折り線、28…第1横側壁部、29…第2横側壁部、30…蓋体、51…第1板部、52…第1連結部、53…第2板部、54…第2連結部、55…第3板部、53a…両端部、53b…折れ線、K1,K2,K3…開口、S…隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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