(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】ストレッチフィルム包装機用ターンテーブル
(51)【国際特許分類】
B65B 11/04 20060101AFI20241121BHJP
B65G 47/80 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B65B11/04
B65G47/80 A
(21)【出願番号】P 2023133889
(22)【出願日】2023-08-21
【審査請求日】2023-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】592079882
【氏名又は名称】シグマー技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124257
【氏名又は名称】生井 和平
(72)【発明者】
【氏名】岡野 浩司
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-502321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 11/04
B65G 47/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を包装用フィルムでストレッチ包装するためのストレッチフィルム包装機に用いられる、回転軸を中心に回転可能に構成されるターンテーブルであって、該ストレッチフィルム包装機用ターンテーブルは、
回転軸に垂直に配置される土台板と、
前記土台板の上に平行に配置され、回転軸を中心に回転可能に構成され、対象物が表面に載置される天板と、
回転軸に垂直な放射方向を軸に回転可能に構成され、天板を裏面側から支えるための複数のローラと、
前記土台板と天板との間に配置され回転輪と固定輪と転動体とからな
り、回転軸に対して垂直方向に掛かる力を支えるためのベアリングであって、回転輪が
外輪として天板の裏面に固定され土台板に触れず回転軸を中心に回転可能に構成され、固定輪が
内輪として土台板に連結され天板に触れず回転輪と同軸に配置され、転動体が回転輪と固定輪の間の摩擦を低減するために回転輪と固定輪の内外周面の間に配置される、ベアリングと、
回転軸を中心に前記天板を回転させるための歯車と、
前記天板から所定の距離だけ離れた位置に配置され歯車を回転させるためのモータと、
を具備することを特徴とするストレッチフィルム包装機用ターンテーブル。
【請求項2】
請求項1に記載のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルにおいて、前記ベアリングの固定輪は、土台板に回転軸と同軸に配置されるセンターボスに軸支されることを特徴とするストレッチフィルム包装機用ターンテーブル。
【請求項3】
請求項2に記載のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルにおいて、前記ベアリングの固定輪は、回転輪よりも厚さが薄いことを特徴とするストレッチフィルム包装機用ターンテーブル。
【請求項4】
請求項1に記載のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルにおいて、前記ベアリングの固定輪は、土台板に固定されることを特徴とするストレッチフィルム包装機用ターンテーブル。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルにおいて、前記土台板は、ローラの少なくとも一部が埋め込まれるような逃し穴を有することを特徴とするストレッチフィルム包装機用ターンテーブル。
【請求項6】
請求項1に記載のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルにおいて、前記歯車は、天板の裏面
又は回転輪の外周面に固定されることを特徴とするストレッチフィルム包装機用ターンテーブル。
【請求項7】
請求項1に記載のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルであって、さらに、
前記モータの回転を歯車に伝達するためのチェーンを具備する、
ことを特徴とするストレッチフィルム包装機用ターンテーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はストレッチフィルム包装機用ターンテーブルに関し、特に、対象物を包装用フィルムでストレッチ包装するためのストレッチフィルム包装機に用いられるターンテーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
段ボール箱や袋等の荷物をパレット上に多数積載して倉庫に保管したり配送したりする場合、荷物の荷崩れを防止するために、荷物を包装用フィルムで巻き付けてストレッチ包装している。このような荷物等の対象物に対して包装用フィルムでストレッチ包装する作業を自動化するストレッチフィルム包装機が種々開発されている(例えば特許文献1)。
【0003】
このようなストレッチフィルム包装機は、対象物を積載するターンテーブルと、フィルム供給機とを備えている。そして、ターンテーブルを回転させることにより対象物を回転させながら、フィルム供給機から包装用フィルムを対象物の側面に巻き付けていく。この際に、ターンテーブルの回転とフィルム供給機による包装用フィルムの供給速度を同期させて、ターンテーブルの回転に合わせて包装用フィルムの供給量や巻き付ける高さを調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなストレッチフィルム包装機用のターンテーブルでは、一般的にターンテーブルを回転させるためのモータがターンテーブルの下部に配置されており、モータ軸により直接ターンテーブルを回転させている。このため、ターンテーブルの接地面からの高さは、モータの高さ以上となっていた。したがって、フォークリフト等により荷物が載置されるパレットをターンテーブル上に配置する際に、パレットを持ち上げる高さを高くせざるを得なかった。さらに、ターンテーブルが高いとフィルム供給機のフィルム供給可能な高さも高くせざるを得なかった。
【0006】
このため、ターンテーブル上への荷物の載置容易性が高く、フィルム供給機のフィルム供給可能な高さを高くする必要のない、より低床のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルの開発が望まれていた。
【0007】
本発明は、斯かる実情に鑑み、低床のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した本発明の目的を達成するために、本発明によるストレッチフィルム包装機用ターンテーブルは、回転軸に垂直に配置される土台板と、土台板の上に平行に配置され、回転軸を中心に回転可能に構成され、対象物が表面に載置される天板と、回転軸に垂直な放射方向を軸に回転可能に構成され、天板を裏面側から支えるための複数のローラと、土台板と天板との間に配置され回転輪と固定輪と転動体とからなるベアリングであって、回転輪が天板の裏面に固定され土台板に触れず回転軸を中心に回転可能に構成され、固定輪が土台板に連結され天板に触れず回転輪と同軸に配置され、転動体が回転輪と固定輪の間の摩擦を低減するために回転輪と固定輪の内外周面の間に配置される、ベアリングと、回転軸を中心に天板を回転させるための歯車と、天板から所定の距離だけ離れた位置に配置され歯車を回転させるためのモータと、を具備するものである。
【0009】
ここで、ベアリングの固定輪は、土台板に回転軸と同軸に配置されるセンターボスに軸支されるものであれば良い。
【0010】
また、ベアリングの固定輪は、回転輪よりも厚さが薄いものであっても良い。
【0011】
また、ベアリングの固定輪は、土台板に固定されるものであっても良い。
【0012】
また、土台板は、ローラの少なくとも一部が埋め込まれるような逃し穴を有するものであっても良い。
【0013】
また、ベアリングの回転輪が外輪であり固定輪が内輪であり、歯車は、回転輪の外周面に固定されるものであれば良い。
【0014】
また、歯車は、天板の裏面に固定されるものであっても良い。
【0015】
さらに、モータの回転を歯車に伝達するためのチェーンを具備するものであれば良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルには、低床であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルを説明するための概略一部破断上面図である。
【
図2】
図2は、本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルを説明するための概略拡大側断面図である。
【
図3】
図3は、本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルのベアリングを説明するための概略拡大上面図である。
【
図4】
図4は、本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルのベアリングを説明するための概略拡大側断面図である。
【
図5】
図5は、本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルの土台板とローラを説明するための概略拡大側断面図である。
【
図6】
図6は、本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルの他のベアリングを説明するための概略拡大側断面図である。
【
図7】
図7は、本発明のストレッチフィル包装機用ターンテーブルの他の例を説明するための概略一部破断上面図である。
【
図8】
図8は、本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルの他の例を説明するための概略拡大側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を図示例と共に説明する。本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルは、対象物を包装用フィルムでストレッチ包装するために用いられる、回転軸を中心に回転可能に構成されるものである。
図1は、本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルを説明するための概略一部破断上面図である。また、
図2は、本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルを説明するための概略拡大側断面図である。図中、
図1と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
【0019】
図示の通り、本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルは、土台板10と、天板20と、ローラ30と、ベアリング40と、歯車50と、モータ60とからなる。
【0020】
土台板10は、回転軸Rに垂直に配置されるものである。土台板10は、本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルの土台となるものである。上述の構成要素すべてが土台板10上に配置されれば良い。しかしながら、例えば床面に直接固定される固定式のターンテーブルの場合には、床面が土台板10となっても良い。
【0021】
天板20は、対象物が表面に載置されるものである。天板20は、土台板10の上に平行に配置されている。即ち、土台板10と天板20は、所定の間隔を開けて平行に配置されている。天板20は、回転軸Rを中心に回転可能に構成されている。
【0022】
複数のローラ30は、天板20を裏面側から支えるためのものである。複数のローラ30が、回転軸Rに垂直な放射方向を軸に回転可能に構成されている。図示例では、複数のローラ30は、放射状に複数個所に配置されている。本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルでは、複数のローラ30により天板20を裏面側から支える構造としている。
【0023】
ベアリング40は、回転輪41と固定輪42と転動体43とからなるものである。ベアリング40は、土台板10と天板20との間に配置されている。
図3は、本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルのベアリングを説明するための概略拡大上面図である。図中、
図1と同一の符号を付した部分は同一物を表している。また、
図4は、本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルのベアリングを説明するための概略拡大側断面図である。図中、
図2と同一の符号を付した部分は同一物を表している。なお、ベアリング40の周辺部のみを示し、他のものは図示を省略した。
【0024】
図示の通り、回転輪41は、回転軸Rを中心に回転可能に構成されるものである。回転輪41は、天板20の裏面に固定されている。図示例では、回転輪41はねじにより天板20に固定されるものを示した。しかしながら、本発明はこれに限定されず、回転輪41は、天板20に溶接等で固定されても良いし、天板20と一体成形されても良い。回転輪41は、土台板10に触れないような厚みで構成されている。図示例では、回転輪41は、ベアリング40の外輪となっている。
【0025】
固定輪42は、回転輪41と同軸に配置されるものである。固定輪42は、土台板10に連結されるものである。図示例では、固定輪42は、ねじにより土台板10に固定されて連結されているものを示した。固定輪42は、天板20に触れないような厚みで構成されている。図示例では、固定輪42は、ベアリング40の内輪となっている。
【0026】
転動体43は、回転輪41と固定輪42の内外周面の間に配置されるものである。転動体43は、回転輪41と固定輪42の間の摩擦を低減するために用いられる。ベアリング40の転動体43は、所謂ボールベアリングを構成する複数の玉からなるものである。
図3に示される通り、複数の玉が回転輪41と固定輪42の内外周面の間に均等に配置されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、転動体43は例えば所謂ローラベアリングを構成する複数のコロであっても良い。
【0027】
歯車50は、回転軸Rを中心に天板20を回転させるためのものである。図示例の歯車50は、外輪である回転輪41の外周面に固定されている。より具体的には、図示例の歯車50は、スプロケットからなるものである。回転輪41は、歯車50を固定するための歯車固定用フランジ44を有している。歯車固定用フランジ44は、回転輪41の外周面に設けられるものである。即ち、構成されるベアリング40は、所謂フランジ付きベアリングとなる。しかしながら、本発明は図示例に限定されず、回転輪41に歯車50を固定可能な構造であれば、フランジ構造でなくても良い。例えば、回転輪41と歯車50を一体成形しても良い。図示例の歯車50は、歯車固定用フランジ44にねじにより固定されている。なお、本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルでは、歯車50の回転により最終的に天板20が回転すれば良いため、歯車50が回転輪41に固定されている必要は必ずしもない。例えば、歯車50は、天板20の裏面側に固定されるものであっても良い。
【0028】
本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルで用いられるベアリング40は、回転輪41が土台板10に触れず、固定輪42が天板20に触れない特殊な構造である。したがって、回転輪41の上面に固定される天板20は、固定輪42から浮いた状態となっている。したがって、天板20が固定輪42の影響を受けずに回転可能となる。
【0029】
再度
図1及び
図2を参照する。モータ60は、歯車50を回転させるためのものである。モータ60は、天板20から所定の距離だけ離れた位置に配置されている。天板20を低床化するために、天板20の下ではなく、上面視で天板20から所定の距離だけ離れた位置に配置されれば良い。図示例では、チェーン61を用いてモータ60の回転を歯車50に伝達するものを示した。本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルでは、ベアリング40が回転軸Rと同軸に配置されているため、モータ60により歯車50を回転させて天板20を回転させる際に、滑らかに回転させることが可能となる。
【0030】
ここで、上述の通り、本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルに用いられるベアリング40は、所謂ラジアルベアリングを構成するものとなっている。ラジアルベアリングは、一般的には回転軸に対して垂直方向に掛かる力を支えるものである。本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルでは、チェーン61を用いてモータ60の回転を歯車50に伝達するものであるため、ベアリング40でも、回転軸Rに対して垂直方向に係る力を支えるものとなっている。本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルでは、天板20の板面が回転軸Rに対して垂直方向に配置されるため、一見ベアリング40が回転軸Rと同じ方向に掛かる力を支えるものに見える。しかしながら、本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルでは、複数のローラ30により天板20を裏面側から支える構造としている。このため、回転軸Rと同じ方向に掛かる力をベアリング40が支える必要はない。したがって、ベアリング40はラジアルベアリング構造で問題ない。また、回転軸Rと同じ方向に掛かる力を支える必要がないため、所謂スラストベアリング構造とする必要もない。なお、スラストベアリング構造では、転動体の上下に軌道盤が配置されるため、その分ラジアルベアリングと比べて厚みが高くなってしまう。このため、スラストベアリング構造は低床化の障害ともなり得る。
【0031】
このように、本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルによれば、土台板10と天板20の間に特殊な構造のベアリング40を組み込むことにより、低床化が可能となる。
【0032】
ここで、より低床化するために、土台板10及びローラ30を以下のような構造としても良い。
図5は、本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルの土台板とローラを説明するための概略拡大側断面図である。図中、
図2と同一の符号を付した部分は同一物を表している。なお、ローラ30の周辺部のみを示し、他のものは図示を省略した。図示の通り、土台板10は、ローラ30の少なくとも一部が埋め込まれるような逃し穴11を有している。図示例の逃し穴11は凹部により構成される例を示した。しかしながら、本発明はこれに限定されず、逃し穴11は貫通孔であっても良い。ローラ30は、逃し穴11に少なくとも一部が埋め込まれるように設けられている。図示例では、ローラ30のローラ回転軸31を、土台板10と天板20の間の距離の半分よりも低い位置となるように配置することで、ローラ30の径方向の厚みの一部が逃し穴11内に埋め込まれるように構成されている。
【0033】
土台板10と天板20の間の距離内に収められる程度の小さい径のローラ30で天板20を支えることが可能であれば逃し穴11が無くても問題はない。しかしながら、ローラ30の強度や構造的な制限がある場合には、ローラ30の径を大きくし、図示例のように土台板10内にローラ30の一部を埋め込めば良い。これにより、荷重に耐えられる強度を持たせつつより低床化が可能となる。
【0034】
ここで、再度
図4を用いてベアリング40をより具体的に説明する。図示の通り、固定輪42の外周面と回転輪41の内周面には、V字溝41a,42aがそれぞれ対向するように全周にわたって設けられている。そして、転動体43がこの内外周面のV字溝41a,42aに挟まれるように配置されている。図示の通り、V字溝41a,42aは、それぞれ回転輪41と固定輪42の厚さ方向の高さが異なるように配置されている。具体的には、図示例では、固定輪42のV字溝42aが固定輪42の厚さ方向の中央よりも高い位置に配置される一方、回転輪41のV字溝41aが回転輪41の厚さ方向の中央よりも低い位置に配置されている。特に図示例のように、固定輪42が土台板10に固定される場合には、V字溝41a,42aをそれぞれ回転輪41と固定輪42の厚さ方向の高さが異なるように配置することが有効である。これにより、回転輪41と固定輪42の厚さが等しい場合であっても、回転輪41が土台板10に触れず固定輪42が天板20に触れないように構成可能である。このように、転動体43は、回転輪41と固定輪42の間の摩擦を低減するために用いられるだけでなく、V字溝41a,42aの配置により固定輪42を浮かすためにも機能することとなる。
【0035】
上述の図示例のように、ベアリング40が、回転輪41が天板20に固定され固定輪42が土台板10に固定される構造の場合、組み立てた際の各部品の精度によって、転動体43やローラ30に過度の負荷が掛かるおそれがある。より具体的には、寸法誤差により例えばベアリング40の完成寸法がローラ30よりも高くなってしまった場合には、天板20の荷重を転動体43が過度に受けることになる。一方、ベアリング40の完成寸法がローラ30よりも低くなってしまった場合には、ローラ30が天板20に過度に押さえ付けられることになる。したがって、ベアリング40を、以下に説明するように構成することで過度の負荷を受けないようにし、寸法誤差に余裕度を持たせることも可能である。
【0036】
図6は、本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルの他のベアリングを説明するための概略拡大側断面図である。図中、
図4と同一の符号を付した部分は同一物を表している。なお、ベアリング40の周辺部のみを示し、他のものは図示を省略した。また、
図6では、土台板10にローラ30の少なくとも一部が埋め込まれるような逃し穴11を設けた例を示したが、
図4に示されるように逃し穴を設けない例であっても良い。図示例では、ベアリング40の固定輪42は、土台板10に回転軸Rと同軸に配置されるセンターボス12に軸支されている。センターボス12は、図示例では土台板10に一体成形されたものを示したが、本発明はこれに限定されず、別体として構成されるセンターボスを土台板10に溶接やねじ等により固定しても良い。このように、固定輪42がセンターボス12に軸支されて土台板10に連結される構成とした場合、固定輪42は、天板20に固定された回転輪41により転動体43を介して吊られた状態となる。したがって、固定輪42は、天板20に触れず、さらに土台板10にも触れない構造となる。ここで、固定輪42は、センターボス12に回転可能に連結されても良いし、回転しないように例えば多角形のセンターボス12に嵌合するように連結されても良い。なお、
図6に示される例では、例えばメンテナンス作業等により天板20を持ち上げる場合、固定輪42は回転輪41と共にセンターボス12から抜けて、ベアリング40全体が天板20と共に持ち上がることになる。
【0037】
図6に示されるように、センターボス12を用いて土台板10に連結される場合には、固定輪42の厚みは、単に回転輪41の厚みよりも薄くなるように構成しても良い。これにより、固定輪42が天板20に触れず土台板10にも触れないように構成可能となる。この場合には、V字溝41a,42aは、それぞれ回転輪41と固定輪42の厚さ方向の中央に配置されれば良い。
【0038】
このような構造により、固定輪42が土台板10から浮いた状態となるため、ベアリング40の寸法誤差がある程度大きくても、この固定輪42の浮いた部分により吸収することが可能となる。したがって、天板20の荷重を転動体43が過度に受けることもなく、またローラ30が天板20に過度に押さえ付けられることもない。
【0039】
次に本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルの高さについて、より具体的な寸法例を挙げて説明する。なお、以下に例示する具体的な寸法はあくまでも一例であり、本発明はこれらに限定されるわけではない。本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルは、土台板10の接地面(最下部)から天板20表面(最上部)までの高さを例えば25mmとする。そして、天板20の径はφ1,200mmである。また、土台板10と天板20の板厚は、強度的にそれぞれ4.5mmとする。したがって、土台板10と天板20の間隔は16mmとなる。この土台板10と天板20の間隔の16mmにベアリング40や歯車50を収めるように設計する必要がある。回転輪41の内径はφ130.5mmであり、外径はφ170mmであり、厚みは14.15mmである。固定輪42の径はφ127mmであり、厚みは13.5mmである。また、歯車固定用フランジ44の内径はφ170mmであり、外径はφ200mmであり、厚みは4mmである。そして、歯車50の内径はφ170mmであり、外径はφ248mmであり、厚みは4.3mmである。
【0040】
回転輪41の内周面と固定輪42の外周面には、90°のV字溝41a,42aがそれぞれ対向するように全周にわたって設けられている。そして、φ8mmの転動体43がこのV字溝41a,42aに挟まれるように配置されている。本発明では、V字溝41a,42aの配置位置の差により、固定輪42が天板20に触れないように構成されている。即ち、回転輪41のV字溝41aは、回転輪41の底面から高さ6.15mmの位置に配置される一方、固定輪42のV字溝42aは、固定輪42の底面から高さ7mmの位置に配置される。これにより、回転輪41は、土台板10から0.85mm浮いた状態となると共に、固定輪42の上面から1.5mm浮いた状態となる。また、
図6に示される例では、回転輪41と固定輪42の厚みの差と相まって、固定輪42は、土台板10から1.5mm浮いた状態となる。
【0041】
なお、ローラ30については、天板20を支えるローラ30の強度や構造的な制限を考慮すると、ローラ30のローラ径は例えばφ18mmとする。そこで、深さ2mm以上の逃し穴11を土台板10に設け、ローラ30の径方向を2mm分、土台板10内に埋め込むように構成すれば良い。これにより、土台板10と天板20の間隔の16mmを越えるローラ径であっても適用可能となる。
【0042】
次に、本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルの他の例について説明する。
図7は、本発明のストレッチフィル包装機用ターンテーブルの他の例を説明するための概略一部破断上面図である。また、
図8は、本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルの他の例を説明するための概略拡大側断面図である。図中、
図1と同一の符号を付した部分は同一物を表している。上述の図示例は、回転輪41が外輪であり固定輪42が内輪となるベアリングの例であったが、
図7や
図8に示される例は、回転輪41が内輪であり固定輪42が外輪となるベアリング40の例である。
【0043】
図示の通り、内輪となる回転輪41が天板20の裏面に固定されている。上述の図示例と同様に、回転輪41は、土台板10に触れないような厚みで構成されている。そして、外輪となる固定輪42は、土台板10に連結され天板20に触れないような厚みで構成されている。図示例では固定輪42は土台板10にねじにより固定されて連結される例を示したが、本発明はこれに限定されず、
図6に示されるようなセンターボスにより軸支されても良い。より具体的には、固定輪42の外周が嵌合するような凹部を有するセンターボスにより固定輪42が軸支されても良い。
【0044】
図示例のように回転輪41が内輪となる構造の場合、
図3に示されるように歯車50を回転輪41の外周面に固定することはできない。このため、図示例では、歯車50が、天板20の裏面に固定されるものを示した。具体的には、天板20の裏面側の、固定輪42よりも外周となる位置に歯車50を固定している。そして、歯車50はギアとし、例えばモータ60にピニオン62を設け、モータ60の回転を、ギアである歯車50にピニオン62を介して伝達するものを示した。なお、上述の図示例のように、歯車50はスプロケットとし、チェーン61で天板20を回転させるようにしても良い。
【0045】
図7及び
図8に示される通り、本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルでは、ベアリングを構成する回転輪41と固定輪42は、どちらが内輪となっても良い。
【0046】
このように、本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルによれば、土台板10と天板20の間に特殊なベアリング40を組み込むことにより、低床化が可能となる。
【0047】
なお、本発明のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0048】
10 土台板
11 逃し穴
12 センターボス
20 天板
30 ローラ
31 ローラ回転軸
40 ベアリング
41 回転輪
41a V字溝
42 固定輪
42a V字溝
43 転動体
44 歯車固定用フランジ
50 歯車
60 モータ
61 チェーン
62 ピニオン
R 回転軸
【要約】
【課題】低床のストレッチフィルム包装機用ターンテーブルを提供する。
【解決手段】対象物を包装用フィルムでストレッチ包装するためのストレッチフィルム包装機用ターンテーブルは、土台板10と、天板20と、ローラ30と、ベアリング40と、歯車50と、モータ60とからなる。ローラ30は、回転軸Rに垂直な放射方向を軸に回転可能に構成され、天板を裏面側から支える。ベアリング40の回転輪41が天板20の裏面に固定され土台板10に触れず、固定輪42が土台板10に連結され天板20に触れず、転動体43が回転輪41と固定輪42の間の摩擦を低減するために回転輪41と固定輪42の内外周面の間に配置される。歯車50は、回転軸Rを中心に天板20を回転させる。モータ60は、天板20から所定の距離だけ離れた位置に配置され歯車50を回転させる。
【選択図】
図1