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特許7591249半導体素子試験装置及び半導体素子の試験方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】半導体素子試験装置及び半導体素子の試験方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20200101AFI20241121BHJP
【FI】
G01R31/26 A
G01R31/26 H
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020120941
(22)【出願日】2020-07-14
(65)【公開番号】P2022018010
(43)【公開日】2022-01-26
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】598014825
【氏名又は名称】株式会社クオルテック
(72)【発明者】
【氏名】木原 誠一郎
【審査官】小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-304873(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108919085(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109696613(CN,A)
【文献】特許第7304074(JP,B2)
【文献】特許第7306710(JP,B2)
【文献】特許第7343180(JP,B2)
【文献】特許第7570661(JP,B2)
【文献】特開2020-204609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/26-31/3193
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の接続部と第2の接続部と第1のゲート接続部を有する第1のトランジスタと、前記第2の接続部と接続された第3の接続部と第4の接続部と第2のゲート接続部を有する第2のトランジスタと、前記第1の接続部と前記第2の接続部に接続された第1のダイオードと、前記第3の接続部と前記第4の接続部に接続された第2のダイオードからなる半導体素子の試験装置であって、
第1の電源端子と第2の電源端子を有し、第1の方向の第1の電流を発生する第1の電源装置と、
第3の電源端子と第4の電源端子を有し、前記第1の方向と逆方向の第2の方向の第2の電流を発生する第2の電源装置と、
前記第1の電源端子に接続された第1の接続端子と、前記第2の電源端子に接続された第2の接続端子を有する第1のスイッチ回路と、
前記第1のゲート接続部に前記第1のトランジスタをオンオフ制御する信号を印加する第1の制御回路と、
前記第2のゲート接続部に前記第2のトランジスタをオンオフ制御する信号を印加する第2の制御回路と、
前記第1の電源端子および前記第3の電源端子に接続された第3の接続端子と、前記第2の接続部に接続された第4の接続端子を有する第2のスイッチ回路と、
前記第3の接続部に接続された第5の接続端子と、前記第2の電源端子および前記第4の電源端子に接続された第6の接続端子を有する第3のスイッチ回路と、
前記第1の電流を遮断する第8のスイッチ回路と、
前記第2の電流を遮断する第9のスイッチ回路を具備し、
前記第1の接続部と前記第1の電源端子とが接続され、
前記第1の接続部と前記第3の電源端子とが接続され、
前記第4の接続部と前記第2の電源端子とが接続され、
前記第4の接続部と前記第4の電源端子とが接続されていることを特徴とする半導体素子試験装置。
【請求項2】
第1の接続部と第2の接続部と第1のゲート接続部を有する第1のトランジスタと、前記第2の接続部と接続された第3の接続部と第4の接続部と第2のゲート接続部を有する第2のトランジスタと、前記第1の接続部と前記第2の接続部に接続された第1のダイオードと、前記第3の接続部と前記第4の接続部に接続された第2のダイオードからなる半導体素子の試験装置であって、
第1の電源端子と第2の電源端子を有し、第1の電流を発生する第1の電源装置と、
前記第1の電源端子に接続された第1の接続端子と、前記第2の電源端子に接続された第2の接続端子を有する第1のスイッチ回路と、
前記第1のゲート接続部に前記第1のトランジスタをオンオフ制御する信号を印加する第1の制御回路と、
前記第2のゲート接続部に前記第2のトランジスタをオンオフ制御する信号を印加する第2の制御回路と、
前記第1の接続部に接続された第7の接続端子と、前記第1の電源端子と接続された第8の接続端子を有する第4のスイッチ回路と、
前記第4の接続部に接続された第9の接続端子と、前記第2の電源端子と接続された第10の接続端子を有する第5のスイッチ回路と、
前記第7の接続端子に接続された第3の接続端子と、前記第2の接続部に接続された第4の接続端子を有する第2のスイッチ回路と、
前記第3の接続部に接続された第5の接続端子と、前記第9の接続端子に接続された第6の接続端子を有する第3のスイッチ回路と、
前記第8の接続端子に接続された第11の接続端子と、前記第9の接続端子に接続された第12の接続端子を有する第6のスイッチ回路と、
前記第7の接続端子に接続された第13の接続端子と、前記第10の接続端子に接続された第14の接続端子を有する第7のスイッチ回路を具備することを特徴とする半導体素子試験装置。
【請求項3】
第1のフォークプラグと第2のフォークプラグを更に具備し、
前記第1の電源端子と前記第1の接続端子とは、前記第1のフォークプラグを介して接続され、
前記第2の電源端子と前記第2の接続端子とは、前記第2のフォークプラグを介して接続されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の半導体素子試験装置。
【請求項4】
第1の電圧検出回路と、
第2の電圧検出回路と、
第1の定電流回路と、
第2の定電流回路を更に具備し、
前記第1の制御回路は、前記第1のゲート接続部に前記第1のトランジスタをオフさせる信号を印加し、
前記第1の定電流回路は、前記第1のダイオードに定電流を印加し、
前記第1の電圧検出回路は、前記第1の接続部と前記第2の接続部との電圧を測定し、
前記第2の制御回路は、前記第2のゲート接続部に前記第2のトランジスタをオフさせる信号を印加し、
前記第2の定電流回路は、前記第2のダイオードに定電流を印加し、
前記第2の電圧検出回路は、前記第3の接続部と前記第4の接続部との電圧を測定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の半導体素子試験装置。
【請求項5】
加熱冷却プレートを更に具備し、
前記半導体素子は、前記加熱冷却プレートに配置され、
前記加熱冷却プレートの周囲に、前記加熱冷却プレートから漏れた循環水を排水する排水用の溝が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の半導体素子試験装置。
【請求項6】
第1の接続部と第2の接続部と第1のゲート接続部を有する第1のトランジスタと、第2の接続部と接続された第3の接続部と第4の接続部と第2のゲート接続部を有する第2のトランジスタと、前記第1の接続部と前記第2の接続部に接続された第1のダイオードと、前記第3の接続部と前記第4の接続部に接続された第2のダイオードからなる半導体素子の試験方法であって、
第1の電源端子と第2の電源端子を有する第1の電源装置は、第1の方向の第1の電流を発生し、
第3の電源端子と第4の電源端子を有する第2の電源装置は、前記第1の方向と逆方向の第2の電流を発生し、
前記第1のゲート接続部に前記第1のトランジスタをオンさせる信号を印加し、
前記第2の接続部と前記第2の電源端子とを第3のスイッチ回路で接続し、
前記第1の電源装置が発生する前記第1の方向の第1の電流を、前記第1のトランジスタおよび前記第3のスイッチ回路に流す第1の動作と、
前記第2の接続部と前記第4の電源端子とを第3のスイッチ回路で接続し、
前記第2の電源装置が発生する前記第1の方向と逆方向の第2の電流を、前記第3のスイッチ回路および前記第1のダイオードに流す第2の動作と、
前記第2のゲート接続部に前記第2のトランジスタをオンさせる信号を印加し、
前記第3の接続部と前記第1の電源端子とを第2のスイッチ回路で接続し、
前記第1の電源装置が発生する前記第1の方向の第1の電流を、前記第2のスイッチ回路および前記第2のトランジスタに流す第3の動作と、
前記第2の電源端子と前記第3の接続部とを前記第2のスイッチ回路で接続し、
前記第2の電源装置が発生する前記第1の方向の逆方向の第2の電流を、前記第2のダイオードおよび前記第2のスイッチ回路に流す第4の動作を行うことを特徴とする半導体素子の試験方法。
【請求項7】
第1の接続部と第2の接続部と第1のゲート接続部を有する第1のトランジスタと、第2の接続部と接続された第3の接続部と第4の接続部と第2のゲート接続部を有する第2のトランジスタと、前記第1の接続部と前記第2の接続部に接続された第1のダイオードと、前記第3の接続部と前記第4の接続部に接続された第2のダイオードからなる半導体素子の試験方法であって、
第1の電源端子と第2の電源端子を有する第1の電源装置は第1の電流を発生し、
第4のスイッチ回路の第7の接続端子が前記第1の接続部に接続され、前記第4のスイッチ回路の第8の接続端子が前記第1の電源端子と接続され、
第5のスイッチ回路の第9の接続端子が前記第4の接続部に接続され、前記第5のスイッチ回路の第10の接続端子が前記第2の電源端子と接続され、
第2のスイッチ回路の第3の接続端子が前記第7の接続端子に接続され、前記第2のスイッチ回路の第4の接続端子が前記第2の接続部と接続され、
第3のスイッチ回路の第5の接続端子が前記第3の接続部に接続され、前記第3のスイッチ回路の第6の接続端子が前記第9の接続端子と接続され、
第6のスイッチ回路の第11の接続端子が前記第8の接続端子と接続され、前記第6のスイッチ回路の第12の接続端子が前記第9の接続端子と接続され、
第7のスイッチ回路の第13の接続端子が前記第7の接続端子に接続され、前記第7のスイッチ回路の第14の接続端子が前記第10の接続端子と接続され、
前記第1のゲート接続部に前記第1のトランジスタをオンさせる信号を印加し、
前記第7の接続端子と前記第8の接続端子とを前記第4のスイッチ回路で接続し、
前記第9の接続端子と前記第10の接続端子とを前記第5のスイッチ回路で接続し、
前記第2の接続部と前記第9の接続端子とを前記第3のスイッチ回路で接続し、
前記第1の電源装置が発生する前記第1の電流を、前記第4のスイッチ回路および前記第1のトランジスタおよび前記第3のスイッチ回路および前記第5のスイッチ回路に流す第1の動作と、
前記第11の接続端子と前記第12の接続端子とを前記第6のスイッチ回路で接続し、
前記第13の接続端子と前記第14の接続端子とを前記第7のスイッチ回路で接続し、
前記第2の接続部と前記第9の接続端子とを前記第3のスイッチ回路で接続し、
前記第1の電流を、前記第6のスイッチ回路および前記第3のスイッチ回路および第1のダイオードおよび前記第7のスイッチ回路に流す第2の動作と、
前記第2のゲート接続部に前記第2のトランジスタをオンさせる信号を印加し、
前記第3の接続端子と前記第3の接続部とを前記第2のスイッチ回路で接続し、
前記第7の接続端子と前記第8の接続端子とを前記第4のスイッチ回路で接続し、
前記第9の接続端子と前記第10の接続端子とを第5のスイッチ回路で接続し、
前記第1の電流を、前記第4のスイッチ回路および前記第2のスイッチ回路および第2のトランジスタおよび前記第5のスイッチ回路に流す第3の動作と、
前記第11の接続端子と前記第12の接続端子とを前記第6のスイッチ回路で接続し、
前記第13の接続端子と前記第14の接続端子とを前記第7のスイッチ回路で接続し、
前記第3の接続端子と前記第3の接続部とを前記第2のスイッチ回路で接続し、
前記第1の電流を、前記第6のスイッチ回路および前記第2のダイオードおよび前記第2のスイッチ回路および前記第7のスイッチ回路に流す第4の動作を行うことを特徴とする半導体素子の試験方法。
【請求項8】
前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタが同一のパッケージに構成されていることを特徴とする請求項6または請求項7記載の半導体素子の試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子、電気素子の試験を行う電気素子試験装置及び電気素子の試験方法に関するものである。また、半導体素子素子の評価方法、評価試験装置、半導体素子の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体素子等の電気素子の寿命試験は、通電する電流をオンオフすることが行われている。インバータ回路、パワー回路に供給する半導体素子からの電流は数十アンペア以上と大きい。電気素子の試験は多くの種類があり、試験の種類に対応させて接続配線の接続を変更する必要がある。また、実使用に適合した信頼性試験を実施する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-17822
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インバータ回路等、回路動作が複雑なため、半導体試験装置も回路動作等に適合して動作を変更する必要がある。しかし、従来の半導体試験装置では、実使用状態に適合して半導体素子の信頼性試験を行うことができなかった。
【0005】
トランジスタ等の半導体素子を試験するために印加する定電流は数百A以上の電流のため、接続配線は低抵抗の太い線材を使用する必要がある。太い接続配線は硬く、柔軟性がない。試験項目に対応させる時の太い線材の接続配線の接続変更は、長時間を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の半導体素子試験装置は、複数台の電源装置を有し、複数台の電源装置は、少なくとも発生する電流の極性が異なるようにされている。試験をする半導体素子が直列に接続されている場合、発生する電流の極性が異なる複数の電源装置は、スイッチ回路で電流を選択し、また、スイッチ回路で電流を直列に接続された半導体素子のいずれかを選択して、試験電流を印加し試験を実施する。
【0007】
本発明の半導体素子試験装置は、試験をする半導体素子等を配置する半導体素子試験装置内のスペースと、前記半導体素子等の制御信号の発生する回路基板の配置箇所とを隔壁により分離している。
【0008】
スイッチ回路等が構成された回路基板等との接続にはフォークプラグを用いる。接続及び接続変更は、隔壁に設けた開口部を介して、接続手段としてのフォークプラグを挿入し、フォークプラグと回路基板に有する導体板204と電気的に接触させることにより行う。
【発明の効果】
【0009】
順方向の電流を出力する第1の電源装置と、逆方向の電流を出力する第2の電源装置とを有し、第1の半導体素子と第2の半導体素子に前記電源装置の電流をスイッチ回路で選択して印加する。半導体素子を実動作に近い動作条件で試験を実施することができるため、寿命試験、信頼性試験を容易に実施することができる。
【0010】
半導体素子117と試験回路との接続は、開口部216に挿入するフォークプラグ205の位置を変更することにより、容易に変更することができる。試験項目ごとの接続配線211の接続作業、あるいは接続変更は、フォークプラグ205位置の変更で行うため、接続変更の時間を大幅に短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施例における半導体素子試験装置のブロック図及び説明図である。
図2】本発明の半導体素子試験装置の構成図である。
図3】本発明の半導体素子試験装置のブロック図及び説明図である。
図4】本発明の半導体素子試験装置のブロック図及び説明図である。
図5】本発明の半導体素子試験装置の説明図及び構成図である。
図6】本発明の半導体素子試験装置の説明図及び構成図である。
図7】本発明の半導体素子試験装置の半導体素子取付け部の説明図及び構成図である。
図8】本発明の半導体素子試験装置の半導体素子取付け部の説明図及び構成図である。
図9】本発明の半導体素子試験装置の接続構造体の説明図及び構成図である。
図10】本発明の半導体素子試験装置の接続構造体の説明図及び構成図である。
図11】本発明の半導体素子試験装置のヒートパイプ部の説明図及び構成図である。
図12】本発明の半導体素子試験装置のヒートパイプ部の説明図及び構成図である。
図13】本発明の半導体素子試験装置の取付け金具の説明図及び構成図である。
図14】本発明の半導体素子試験装置の取付け金具の説明図及び構成図である。
図15】本発明の第1の実施例における半導体素子の試験方法の説明図である。
図16】本発明の第1の実施例における半導体素子の試験方法の説明図である。
図17】本発明の第2の実施例における半導体素子試験装置のブロック図及び説明図である。
図18】本発明の第2の実施例における半導体素子の試験方法の説明図である。
図19】本発明の第2の実施例における半導体素子の試験方法の説明図である。
図20】試験をする半導体素子の説明図及び等価回路図である。
図21】半導体素子を用いて3相モータを駆動する説明図である。
図22】3相電流波形の説明図である。
図23】PWM信号で正弦波電流させる方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係る電気素子の試験装置及び試験方法を説明する。
明細書で記載する実施形態では、電気素子としてのパワー半導体素子のうち、主としてIGBTを例にとって説明する。
【0013】
本発明はIGBTに限定されるものではなく、SiCトランジスタ、MOSFET、JFET、サイリスタ、ダイオード、サーミスタ、ポジスタ等の各種の半導体素子に適用することができる。
【0014】
また、半導体素子に限定されるものではなく、抵抗素子、コンデンサ、コイル、水晶素子、バリスタ、ZNR等の半導体素子以外の電気素子にも本発明が適用できることは言うまでもない。
明細書、図面に記載する本発明の実施例は、それぞれの実施例の一部または全部と組み合わせることができ、変更して組み合わせることができる。
【0015】
図2は本発明の半導体素子試験装置の構成図及び説明図である。図2に図示するように本発明の半導体素子試験装置は、筐体210、チラー(冷却・加温装置)136と、加熱冷却プレート134、加熱冷却プレート134とチラー136間を循環する循環水パイプ135を有する。
【0016】
加熱冷却プレート134には、試験をするトランジスタ117等が加熱冷却プレート134と密着して配置される。密着させるため、熱伝達シートを配置、シリコングリスを塗布してもよい。
【0017】
図8に図示するように、隔壁217には、図5図6図7等で説明する接続構造体218を挿入する開口部216が配置されている。隔壁215には電源配線212を挿入する穴が配置されている。
【0018】
図2に示す制御ラック131には、半導体素子117に試験電流、試験電圧を供給する電源装置132と、半導体素子117等を制御あるいは試験条件を設定する制御回路133を有している。電源装置132は、一例として電源装置132aと電源装置132bを有する。電源装置132aは順方向(正極性)の電流Idを出力し、電源装置132bは電源装置132aと逆方向の電流Id(逆極性)を出力あるいは発生する。
【0019】
なお、電流Idは定電流として説明するが、定電流に限定されるものではない。試験をする半導体素子等の試験状態に応じて変化させる可変電流であってもよい。また、試験をする半導体素子に供給するものは電流Idに特定されるものではなく、電圧であってもよい。
【0020】
半導体素子117の温度情報Tjが所定値となるように、制御回路133は、電流Id、ゲート電圧Vg、トランジスタ117のチャンネル間電圧Vceを変化させて試験の条件を設定し、試験を実施する。
制御回路133は、電源装置132を制御し、電源装置132は、試験をする半導体素子117に試験電圧または電流を供給する。
【0021】
温度情報Tjが変化あるいは所定値まで変化すると、試験をしている半導体素子117が劣化あるいは特性が変化していると判断し、半導体素子117の試験を停止、あるいは、試験方法、制御方法を変更する。
【0022】
チラー136の循環水を加温または冷却することにより、半導体素子117の温度を規定値あるいは所定値に維持する。また、試験条件に対応して半導体素子等の温度を周期的に変化させ、また、一定に冷却し、または加熱する。
【0023】
本発明の半導体素子試験装置及び半導体素子の試験方法は、多種多様な半導体素子117、半導体モジュール117に対応できる。一例として図20の半導体素子117等は、大電流が印加あるいは出力される端子P電極端子、O電極端子、N電極端子と、ゲート電圧を印加するゲート端子g(ゲート端子gm、ゲート端子gs)、コレクタ端子c(コレクタ端子cm、コレクタ端子cs)、エミッタ端子e(エミッタ端子em、エミッタ端子es)を有する。
【0024】
図20は半導体素子の概観図と等価回路図である。図20(a1)(a2)は、トランジスタ117(トランジスタ117m、トランジスタ117s)とダイオードDi(ダイオードDim、ダイオードDis)を有する構成である。
【0025】
図20(b1)(b2)は、トランジスタ117(トランジスタ117m、またはトランジスタ117s)とダイオードDi(ダイオードDim、またはダイオードDis)を有する半導体素子の端子を接続することにより、複数のトランジスタを連結して試験を行う構成である。
【0026】
以下の実施例では、主として図20に図示する半導体素子117を例示して説明をする。しかし、これに限定するものではなく、抵抗素子等の半導体素子以外の電気的素子にも本発明の実施例が適用できることは言うまでもない。
図1は本発明の半導体素子試験装置のブロック図及び説明図である。図1は試験を実施する半導体素子117として、図20(a2)と例示している。
【0027】
半導体素子試験装置は、順方向の定電流を発生する電源装置132a、逆方向の定電流を発生する電源装置132bを有する。トランジスタ117s、トランジスタ117mに試験電流を印加する時は、電源装置132aから定電流を供給する。ダイオードDis、ダイオードDimに試験電流を印加する時は、電源装置132bから定電流を供給する。
【0028】
接続を変更するスイッチ回路124との接続は、フォークプラグ205を用いる。接続及び接続変更は、筐体の隔壁に設けた開口部を介して、フォークプラグ205を挿入し、スイッチ回路124と電気的に接触させることにより行う。
【0029】
電源装置132は、トランジスタ117を試験するための大電流の定電流を出力する。電源装置132は、コントロール回路基板(コントローラ)111からの制御信号に同期させて電力(電流、電圧)を供給する。電源装置132は、出力する最大電圧値を設定することができる。
【0030】
電源装置132は、順方向の電流Idを出力する電源装置132aと、逆方向の電流Idを出力する電源装置132bとを保有する。電源装置132a及び電源装置132bはコントローラ111により制御される。
【0031】
スイッチ回路122a(SWa)は、電源装置132aが出力する定電流の供給をオン(供給、印加)オフ(遮断、オープン)させる機能を有する。スイッチ回路122b(SWb)は、電源装置132bが出力する定電流の供給をオン(供給、印加)オフ(遮断、オープン)させる機能を有する。
【0032】
スイッチ回路124cは主としてトランジスタ117sのチャンネル間(エミッタ端子-コレクタ端子)を短絡する機能を有する。あるいは、グランド配線とトランジスタ117mのコレクタ端子とを接続する機能を有する。
【0033】
スイッチ回路124dは主としてトランジスタ117mのチャンネル間(エミッタ端子-コレクタ端子)を短絡する機能を有する。あるいは、電源配線212とトランジスタ117sのエミッタ端子とを接続する機能を有する。
【0034】
図1に図示するように、トランジスタ117mの端子(エミッタ端子em、ゲート端子gm、コレクタ端子cm)にコネクタ202mが接続される。トランジスタ117sの端子(エミッタ端子es、ゲート端子gs、コレクタ端子cs)にコネクタ202sが接続される。
【0035】
図3図4等に図示するように、P電極端子(素子端子226a)にフォークプラグ205eが接続され、O電極端子(素子端子226c)にフォークプラグ205hが接続され、N電極端子(素子端子226b)にフォークプラグ205cが接続される。フォークプラグ205の脱着等により、スイッチ回路124と半導体素子117の端子(P端子、O端子、N端子)とが接続される。
【0036】
試験を行う半導体素子117(半導体素子117s、半導体素子117m)のダイオードDi(ダイオードDim、ダイオードDis)には、試験電流Idが印加されていない期間に、所定の定電流Icが印加される。ダイオードの等価的抵抗値は温度によって変化し、所定の定電流の印加によりダイオードDiの端子電圧が変化する。この端子電圧Viの情報から温度情報Tjを求める。
【0037】
図1に図示するように、トランジスタ117mのゲート端子gmとエミッタ端子em間に短絡回路137mが形成される。トランジスタ117sのゲート端子gsとエミッタ端子es間に短絡回路137sが形成される。
なお、短絡回路137は、スイッチに限定されるものではなく、たとえば、短絡コネクタであってもよい。
【0038】
短絡回路137sがオンすることにより、トランジスタ117sのゲート端子gsとエミッタ端子es間が短絡され、トランジスタ117sがダイオード接続される。
【0039】
短絡回路137mがオンすることにより、トランジスタ117mのゲート端子gmとエミッタ端子em間が短絡され、トランジスタ117mがダイオード接続される。
【0040】
図3に図示するように、トランジスタ117mのダイオードDimに定電流Icmを流すように、定電流回路が構成され、トランジスタ117mのコレクタ端子cmとエミッタ端子em間の電圧でダイオードDimの端子間電圧を測定する。また、トランジスタ117sのダイオードDisに定電流Icsを流すように、定電流回路が構成され、トランジスタ117sのコレクタ端子csとエミッタ端子es間の電圧でダイオードDisの端子間電圧を測定する。
【0041】
ダイオードDiに定電流を流す時は、トランジスタ117をオフさせる。ダイオードDimへの定電流Icmは、トランジスタTmより引込電流として流す。ダイオードDisへの定電流Icsは、トランジスタTsより引込電流として流す。
【0042】
ダイオードDimの端子間電圧は、トランジスタ117mのコレクタ端子cmとエミッタ端子emに接続された電圧検出回路116mで測定あるいは取得する。ダイオードDisの端子間電圧は、トランジスタ117sのコレクタ端子csとエミッタ端子esに接続された電圧検出回路116sで測定あるいは取得する。
図1に図示するように、トランジスタ117mにはコネクタ202mが接続され、トランジスタ117sにはコネクタ202sが接続されている。
【0043】
ダイオードDmとダイオードDsのうち、少なくとも一方に温度モニター用の所定の定電流Ic(Ics、Icm)が印加される。ダイオードの等価的抵抗値は半導体素子117の温度によって変化し、所定の定電流の印加によりダイオードD(イオードDm、ダイオードDs)の端子電圧が変化する。この端子電圧Viの情報から温度測定回路(温度測定回路115s、温度測定回路115m)温度情報Tj(温度情報Tjs、温度情報Tjm))を求める。
【0044】
図1に図示するように、トランジスタ117mのゲート端子gmとエミッタ端子em間に短絡回路137mが形成される。トランジスタ117sのゲート端子gsとエミッタ端子es間に短絡回路137sが形成される。短絡回路137は、一例としてスイッチングトランジスタである。なお、短絡回路137はトランジスタ等の素子だけに限定されるものではない。たとえば、コネクタ、ショートピンでメカニカルに短絡してもよい。
【0045】
短絡回路137(短絡回路137m、短絡回路137s)がオンすることにより、トランジスタ117mまたはトランジスタ117sのエミッタ端子とゲート端子が短絡される。トランジスタ117m、トランジスタ117sのエミッタ端子とゲート端子が短絡させることにより、トランジスタ117m、トランジスタ117sはダイオード接続となる。なお、短絡回路137(短絡回路137s、短絡回路137m)は、サンプル接続回路203(サンプル接続回路203s、サンプル接続回路203m)内に配置または構成してもよい。
【0046】
サンプル接続回路203は、ゲートドライバ回路113、ゲート信号制御回路112、ダイオードの端子電圧を測定する電圧検出回路116、ダイオードに印加する定電流を発生する定電流回路118(定電流回路118s、定電流回路118m)、可変抵抗回路125(可変抵抗回路125s、可変抵抗回路125m)等を保有する。
【0047】
図1において、ダイオードDi(ダイオードDim、ダイオードDis)に定電流を印加してダイオードDiの端子電圧を測定することにより、試験する半導体素子117の温度を測定するとした。しかし、これに限定するものではない。ダイオードDiの代わりに、トランジスタ117の形成時に付加的に形成された寄生ダイオードを用いて温度を測定してもよい。その他、熱電対、温度センサ等を用いてもよい。温度を測定する手段物は、半導体素子117に内蔵してもよいし、半導体素子117に密接して取り付けてもよい。また、トランジスタ117のパッケージに取り付けた熱電対等によりトランジスタ117の温度を測定してもよい。
【0048】
図1図5図6に図示するように、サンプル接続回路203はトランジスタ117(半導体素子117)と接続する信号配線222の長さを短くするように、トランジスタ117の近傍に配置される。近傍とは50mm程度以下である。
【0049】
サンプル接続回路203m1はトランジスタ117mのゲート端子gmに印加するゲート信号波形を発生するゲートドライバ回路113m、ゲート信号の立ち上がり波形及び立下り波形を調整、あるいは設定する可変抵抗回路125m、短絡回路137m等を保有する。
【0050】
サンプル接続回路203m2はトランジスタ117mのダイオードDmに印加する定電流Icmを発生する定電流回路118m、ダイオードDmの端子電圧を測定あるいは検出する電圧検出回路116mを保有する。
【0051】
サンプル接続回路203s1はトランジスタ117sのゲート端子gsに印加するゲート信号波形を発生するゲートドライバ回路113s、ゲート信号の立ち上がり波形及び立下り波形を調整、あるいは設定する可変抵抗回路125s、短絡回路137s等を保有する。
【0052】
サンプル接続回路203s2は、トランジスタ117sのダイオードDsに印加する定電流Icsを発生する定電流回路118s、ダイオードDsの端子電圧を測定あるいは検出する電圧検出回路116sを保有する。
【0053】
Vi電圧(Vis、Vim)は、差分アンプ(減算器)回路で測定あるいは取得する。したがって、トランジスタ117、ダイオードDiに過電圧が印加されることがなく、また、安定して、Vi電圧(Vis、Vim)を取得することができる。
【0054】
差分アンプ(減算器)回路は、オペアンプ回路等を使用するアナログ回路に限定されるものではない。たとえば、ダイオードDiの端子電圧、可変抵抗回路125の端子電圧をアナログ-デジタル変換してデジタル回路処理等で、Vi電圧(Vis、Vim)を取得する構成であってもよいことは言うまでもない。電圧検出回路116(電圧検出回路116m、電圧検出回路116s)及びその周辺回路部においても同様である。
【0055】
トランジスタ117mの端子にはコネクタ202mの接続ピン206が接続され、トランジスタ117sの端子にはコネクタ202sの接続ピン206が接続される。コネクタ202はトランジスタ117の端子と容易に脱着できるように構成されている。
【0056】
図1におけるサンプル接続回路203(サンプル接続回路203s1、サンプル接続回路203s2、サンプル接続回路203m1、サンプル接続回路203m2)内には、ゲートドライバ回路113、可変抵抗回路125、定電流回路118が配置または形成されている。
【0057】
図5に図示するように、サンプル接続回路203は、試験を行うトランジスタ117に近い位置に配置できるように、デバイス制御回路基板209から分離されて配置されている。
【0058】
サンプル接続回路203は、試験する各トランジスタ117あるいは各トランジスタ117m、各トランジスタ117sに1つのサンプル接続回路203等を設けることが好ましい。しかし、これに限定するものではなく、複数のトランジスタ117等に対して、複数の信号回路を含む1つのサンプル接続回路203を配置してもよい。
【0059】
図5に示すように、サンプル接続回路203は、コネクタ202の接続ピン206でトランジスタ117と接続されている。ゲートドライバ回路113とトランジスタ117(トランジスタ117m、トランジスタ117s)のゲート端子g(ゲート端子gm、ゲート端子gs)間は、30mm以下の短距離となるように配置されている。
【0060】
ゲートドライバ回路113とトランジスタ117のゲート端子g間が長いとゲート端子gにノイズ等が重畳され、トランジスタ117が誤動作してトランジスタ117の破壊に直結する。
【0061】
図2に図示するように、サンプル接続回路203s(サンプル接続回路203s1、サンプル接続回路203s2)はコネクタ208sを介して、デバイス制御回路基板209sと接続される。
【0062】
サンプル接続回路203m(サンプル接続回路203m1、サンプル接続回路203m2)はコネクタ208mを介して、デバイス制御回路基板209mと接続される。
【0063】
コントロール回路基板111(コントローラ111)により、デバイス制御回路基板209(デバイス制御回路基板209s、デバイス制御回路基板209m)、サンプル接続回路203s(サンプル接続回路203s1、サンプル接続回路203s2、短絡回路137(短絡回路137m、短絡回路137s)が制御され、必要に応じて、各種データ、電圧、電流値が送受信される。
【0064】
図5に図示するように、デバイス制御回路基板209は半導体素子試験装置の筐体210のB室に配置される。筐体210は半導体素子試験装置の電源装置132、駆動回路、加熱冷却プレート134が組み込まれたフレームあるいは装置本体である。
サンプル接続回路203は、試験するトランジスタ117に近い位置に配置するため、半導体素子試験装置の筐体210のC1室に配置される。
【0065】
サンプル接続回路203(サンプル接続回路203m1、サンプル接続回路203m2、サンプル接続回路203s1、サンプル接続回路203s2)は、筐体210の側面に配置されたコネクタ208と接続される。コネクタ208の接続ピン206に接続された配線は、B室のデバイス制御回路基板209と接続されている。
【0066】
本発明の実施例において、接続プラグ205として、フォークプラグを例示して説明をする。トランジスタ117のコレクタ端子に接続されたフォークプラグ205e、電源装置132の一端子に接続されたフォークプラグ205dのように、各接続配線211、各電源配線212の一端にフォークプラグ205を接続して、導体板204と接続する。
【0067】
なお、本明細書、図面において導体板204として説明するが、板状に限定されるものではなく、棒状のものであってもよい。複数の構造物から構成してもよい。フォークプラグ205等の構造物と接合できるものであればいずれの形状等であってもよい。たとえば、ソケット、コネクタ等の構造物であってもよい。また、導体板204をフォークプラグ形状とし、フォークプラグ205と前記フォークプラグとを接続してもよい。
【0068】
本発明は、試験を実施するトランジスタ117の少なくとも1つの端子にフォークプラグ205等を形成または配置し、フォークプラグ205と導体板204等の接続対象と電気的接続を取るものであれば、いずれの構成であっても良い。
【0069】
フォークプラグ205は隔壁214等の空間を分離する構成物あるいは構造物に、フォークプラグ205を挿入するとして説明する。しかし、これに限定するものではない。たとえば、導体板204bにフォークプラグ205cを接続し、フォークプラグ205cを隔壁214から挿入して、トランジスタ117の一端子(エミッタ端子e)と電気的に接続してもよい。
【0070】
図5等に図示する本発明の半導体素子試験装置の隔壁214、隔壁215、隔壁217は、空間あるは領域を区分あるいは分離するものであればいずれのものであっても良い。壁状、板状、メッシュ状、フィルム状、箔状等、多種多様な構成あるいは構造が該当する。
【0071】
フォークプラグ205は、導体板204等の対象物に圧入、圧接、挿入、圧着、挟持、嵌合等により電気的に接続ができる構成、構造、形態、形式、方法のいずれのものであっても良い。
【0072】
トランジスタ117に流す試験電流Idは電源装置132を動作させることにより供給する。電源装置132はコントロール回路基板(コントローラ)111からの信号により動作/非動作(オン/オフ)制御される。また、電流Idの出力と非出力とが切り替えられる。デバイス制御回路基板209はコントロール回路基板(コントローラ)111により制御される。
【0073】
図1図3図4等において、試験を行うトランジスタ117は、図20(a)に図示するダイオードDi(ダイオードDim、ダイオードDis)を有するものを例示して説明をする。トランジスタ117mのエミッタ端子emは接地(グランド)されているとして説明をする。トランジスタ117(トランジスタ117m、トランジスタ117s)のゲート端子g(ゲート端子gm、ゲート端子gs)には、ゲートドライバ回路113(ゲートドライバ回路113m、ゲートドライバ回路113s)が接続されている。
【0074】
サンプル接続回路203(サンプル接続回路203m、サンプル接続回路203s)は、ゲートドライバ回路113、可変抵抗回路125、定電流回路118、電圧検出回路116が配置または形成されている。
【0075】
サンプル接続回路203は、コネクタ202の接続ピン206でトランジスタ117と接続されている。ゲートドライバ回路113とトランジスタ117のゲート端子g間は、30mm以下の短距離となるように配置されている。ゲートドライバ回路113とトランジスタ117のゲート端子g間が長いとゲート端子gにノイズ等が重畳され、ノイズによりトランジスタ117が誤動作する。
【0076】
図1図3に図示すように、ゲートドライバ回路113からトランジスタ117のゲート端子gに試験信号を印加する。ゲートドライバ回路113はオペアンプ回路を有している。
【0077】
図5に図示するように、デバイス制御回路基板209は半導体素子試験装置の筐体210のB室に配置される。筐体210は電源装置132、駆動回路系、加熱冷却プレート134等が組み込まれている。
【0078】
サンプル接続回路203は、試験するトランジスタ117に近い位置に配置するため、半導体素子試験装置の筐体210のC1室に配置される。サンプル接続回路203は筐体210の側面に配置されたコネクタ208と接続される。コネクタ208の接続ピン206に接続された配線は、B室のデバイス制御回路基板209と接続されている。
【0079】
サンプル接続回路203はコネクタ208の接続ピン206によりデバイス制御回路基板209と接続されている。サンプル接続回路203は試験する各トランジスタ117に対応して個別に配置され、サンプル接続回路203はコネクタ202等により容易に取り外しが可能なように構成されている。
【0080】
定電流回路118はトランジスタ117のチャンネル間に配置または形成されたダイオードDiに定電流Icを供給する。電圧検出回路116はダイオードDiの端子電圧をバッファリングし(出力インピーダンスを低く)、Vi電圧として出力する。Vi電圧は、温度測定回路115でアナログ-デジタル変換される。
【0081】
温度測定回路115は端子電圧Viからトランジスタ117の温度情報Tjを求め、コントロール回路基板111に転送する。温度情報はデバイス制御回路基板209のコネクタ213からマザー基板207に出力され、コントロール回路基板111に送られる。
ゲートドライバ回路113は、設定された周波数(オンオフ周期)、設定されたオン電圧をトランジスタ117のゲート端子に印加する。
【0082】
ゲートドライバ回路113から出力されるVg信号電圧により、トランジスタ117は動作/非動作(オンオフ)動作し、トランジスタ117がオンしている期間にトランジスタ117のチャンネル間に電流Idが流れる。
可変抵抗回路125の抵抗値Vrは、0(Ω)から500(Ω)間で、一定電圧、あるいは時間的に変化する電圧に設定できるように構成されている。
【0083】
可変抵抗回路125は、トランジスタ117のゲート端子gに印加するゲート電信号の立ち上がり波形の傾斜(立ち上がり時間Tr)と立ち下がり波形の傾斜(立ち下がり時間Td)を設定できる。
図3等において、可変抵抗回路125の抵抗値Vrは、可変としたがこれに限定するものではない。例えば、可変抵抗回路125を外付け抵抗としてもよい。
【0084】
定電流回路118は、所定の定電流Icを流す。定電流IcはダイオードDiに印加される。ダイオードDiの端子電圧をモニターすることにより、トランジスタ117の温度変化を測定あるいは観察することができる。
【0085】
定電流Icでトランジスタ117が発熱することを防止するため、定電流Icはトランジスタ117のチャンネルに流す定電流Idよりも十分に小さい電流値にする。
【0086】
具体的には、定電流Icは試験時にトランジスタ117に流す電流Idの1/1000以下に設定する。好ましくは、トランジスタ117に流す電流Icは電流Idの1×10の1以上1×10の1以下にする。定電流Icは0.1mA以上100mA以下にする。
【0087】
チャンネル電流Idを変化させ、ダイオードDi電圧(トランジスタ117のコレクタ-エミッタ端子間電圧)を測定して、温度係数Kを求める。求められた温度係数Kは、温度測定回路115に記憶させる。
【0088】
温度係数Kは、トランジスタ117を加熱冷却プレート134で所定温度にし、ダイオードDiに定電流Icを流して、端子電圧を測定する。前記所定温度を変化させ、かつダイオードDiの端子電圧を測定することにより、トランジスタ117の温度に対するダイオードDiの端子電圧を取得できる。したがって、温度に対するダイオードDiの端子電圧からトランジスタ117の温度係数Kを求めることができる。
【0089】
定電流Icは、チャンネル電流Idが流れていない時にダイオードDiに流す。つまり、トランジスタ117がオンしていない時に、定電流Icを流してダイオードDiの端子間電圧を測定する。 電圧検出回路116は、ダイオードDiの端子電圧Vi(端子c-端子e)を出力する。
【0090】
電圧検出回路116は、オペアンプ素子から構成されるものに限定されない。入力インピーダンスよりも出力インピーダンスが低いものであればいずれのものでもよい。
【0091】
求められた温度情報Tjはコントロール回路基板(コントローラ)111に送られる。コントロール回路基板(コントローラ)111は、温度情報Tjが所定設定値以上となった場合、トランジスタ117が所定のストレス状態、あるいは劣化状態となったと判断し、試験の制御変更あるいは試験の停止等を行う。
【0092】
図1(a)等の実施例において、スイッチ回路124はスイッチ回路の記号を使用している。スイッチ回路124は、トランジスタ、メカニカルリレー、ホトトランジスタ、ホトダイオードスイッチ、ホトMOSリレー、MOSFET等が例示される。図1(b)に図示するように、スイッチ回路124は、MOSFETが好ましい。MOSFETはチャンネル間の電圧(Vsd)が小さく好ましい。以下の実施例では、スイッチ回路124は、パワーMOSFET124として説明をする。
【0093】
パワーMOSFET124aのオン時のチャネル電圧(Vsda)は、パワーMOSFET124bのオン時のチャネル電圧(Vsdb)以下となるものを選定することが好ましい。パワーMOSFET124aのオン時のチャネル電圧(Vsda)は、パワーMOSFET124bのオン時のチャネル電圧(Vsdb)よりも小さくなるようにする。スイッチ回路124aがオンし、電源装置132の端子間を短絡した時に、電流Imを安定して流すためである。
【0094】
スイッチ回路124はスイッチ回路基板201に実装あるいは形成されている。スイッチ回路124は導体板204に接続されている。導体板204は、一例として厚み5mm、幅50mmの銅からなる板である。導体板204の長さは、一例として、250mmである。
図4図5図9はフォークプラグ205及びフォークプラグ205と導体板204の接続(接触)状態を示している。
【0095】
図9(a)は、スイッチ回路等が形成されたスイッチ回路基板(プリント基板)201に導体板204が取付けられ、フォークプラグ205を導体板204に接続した状態を上方向から模式的に図示した図である。図9(b)は導体板204の一端にフォークプラグ205を挟持させた状態での説明図である。
【0096】
図4図5図6等で図示するように、スイッチ回路基板201には2枚の導体板204が取付けられている。導体板204とスイッチ回路基板201はネジ等により密着されて、固定される。
【0097】
フォークプラグ205と導体板204とは機械的(メカニカル)に嵌合させることにより電気的接続を実現する。フォークプラグ205のU字部は、導体板204に差し込まれる際、良好にフォークプラグ205と導体板204が接合される。
図9に図示するように、フォークプラグ205には接続ボルト219が取付けられている。接続ボルト219に接続配線211が接続される。
【0098】
図9(a)のAA’での断面を図9(b)に示す。導体板204とフォークプラグ205とは、フォークプラグ205に形成された接触部220a、接触部220bで接触する。接触部220はリン青銅、ニッケル合金で構成され、ばね性を有している。接触部220の表面は金メッキあるいは銀メッキが施されている。メッキにより接続部220の電気的安定度が向上する。
【0099】
図5図6に図示するように、フォークプラグ205と導体板204とは、隔壁214の開口部216からフォークプラグ205を差し入れることにより電気的に接続される。
【0100】
図5に本発明の半導体素子試験装置の各構成部材の配置を示す。半導体素子試験装置の筐体210は、複数の部分を有する。筐体の下部は、A室とB室に分離されている。A室には電源装置132が配置される。A室とB室とは隔壁215で分離されている。C1室とC2室は隔壁217で分離されている。
【0101】
電源装置132、スイッチ回路基板201、トランジスタ117は動作/非動作を繰り返すことにより大きなノイズを発生する。ノイズにより、回路基板等が誤動作する。各室の隔壁を静電シールド、電磁シールドすることにより誤動作を防止できる。
【0102】
静電シールド、電磁シールドは、導通を有する板、金属板、金属フィルム、金網を各室の周りあるいは隔壁表面あるいは内部に取付ける、あるいは形成ることにより実現する。
【0103】
C1室には、図2に示す加熱冷却プレート134、循環水パイプ135等が配置され、加熱冷却プレート134に試験をするトランジスタ117が密着して配置される。
【0104】
C1室の加熱冷却プレートの周囲には漏水センサ(図示せず)が配置されている。循環水(冷却媒体)等が漏れると漏水センサが働き、半導体素子試験装置を停止または警報を発するように構成されている。
【0105】
加熱冷却プレート134の周囲には、排水用の溝(図示せず)が形成されている。加熱冷却プレートから循環水(冷却媒体)が漏れると排水用の溝に、循環水(冷却媒体)が流れ込み、半導体素子試験装置外に排出されるように構成されている。
加熱冷却プレート134はトレイ(図示せず)に搭載され、トレイは隔壁214から脱着できるように構成されている。
以上のように、隔壁214は循環水パイプ135等が損傷しても、下側のA室、B室に循環水(冷却媒体)等が漏れないように構成されている。
【0106】
電源装置132が配置されたA室と、駆動回路系が配置されたB室間には隔壁215が形成されている。隔壁215には静電シールド板、あるいは電磁シールド板が配置され、電源装置132のノイズが遮蔽され、ノイズはB室の駆動回路系には印加されない。
【0107】
本発明の実施例では、C2室からフォークプラグ205を差し込み、B室の導体板204と接続する。隔壁214にはフォークプラグ205を挿入する開口部216が形成されている。
【0108】
本発明の実施例では、上側から下側にフォークプラグ205を挿入する。本発明はこれに限定するものではない。たとえば、C2室に導体板204が配置され、B室からフォークプラグ205を挿入して、フォークプラグ205と導体板204とを電気的に接続してもよい。
【0109】
図9(c)に図示するように、マザー基板207にコネクタ213が取付けられている。マザー基板207のコネクタ213にコントロール回路基板111、デバイス制御回路基板209、スイッチ回路基板201が取付けられている。試験するトランジスタ117の個数に応じてスイッチ回路基板201を準備する。スイッチ回路基板201の枚数は、マザー基板207に取付けるスイッチ回路基板201の枚数を変更することにより容易に実現できる。
【0110】
マザー基板207には、温度情報Tj、電圧Vi、可変抵抗回路125の制御信号、定電流回路118の制御信号等が伝送される。また、各回路の電源配線、グランド配線が形成され、コネクタ213を介して各回路基板に供給されている。
【0111】
図9(c)に図示するように、導体板204は、スイッチ回路基板201からはみ出るように配置されている。このはみ出た部分にフォークプラグ205が接続される。
【0112】
フォークプラグ205aはスイッチ回路基板201aの導体板204aと接続される。電源配線212は隔壁215の開口部216を介して、スイッチ回路基板201aと接続される。
【0113】
図5図6に図示するように、フォークプラグ205dはスイッチ回路基板201bの導体板204cと接続される。電源配線212は隔壁215の開口部216を介して、スイッチ回路基板201bと接続される。フォークプラグ205bはスイッチ回路基板201aの導体板204bと接続される。電源配線212は隔壁215の開口部216を介して、スイッチ回路基板201aと接続される。
【0114】
図4に図示するように、スイッチ回路基板201bの導体板204dと導体板204c間にはスイッチ回路124bが配置され、導体板204dと導体板204c間を電気的に短絡する。短絡することにより、電源装置132が出力する電流Idが試験電流Idとしてトランジスタ117に供給される。
【0115】
図4に図示するように、スイッチ回路基板201aの導体板204iと導体板204j間にはスイッチ回路124aが配置されている。スイッチ回路124aがオンすることにより、導体板204iと導体板204j間が短絡する。短絡することにより、電源装置132が出力する電流Idが放電電流Imとしてグランドに流れる。あるいは、電源装置132に充電された電荷が放電される。そのため、トランジスタ117のチャンネル間に過渡電圧等が印加されることはなく、また、トランジスタ117に過渡電流等が流れることはなく、トランジスタ117等の電気素子を破壊することはない。
【0116】
導体板204bには、フォークプラグ205cが接続される。導体板204aにはフォークプラグ205fが接続される。また、導体板204dには、フォークプラグ205eが接続される。導体板204cにはフォークプラグ205dが接続される。
【0117】
フォークプラグ205の材質はアルミニウム等の金属で構成されている。フォークプラグ205はメッキ下地にニッケル処理し、表面に銀メッキが施されている。
フォークフラグ205はネジ溝が形成されており、接続ボルト219で接続配線211をフォークプラグ205に取り付けができるように構成されている。
【0118】
図6は、2枚のスイッチ回路基板201a、スイッチ回路基板201bを図示している。スイッチ回路基板201はマザー基板207のコネクタ213と接続される。
【0119】
図5図6に図示するように、一例として、フォークプラグ205cは、C2室とB室間に設けられた隔壁214の開口部216から差し込まれ、導体板204bと接続される。フォークプラグ205eは、C2室とB室間に設けられた隔壁214の開口部216から差し込まれ、導体板204dと接続される。
【0120】
試験するトランジスタ117に流す電流は数百アンペアと大きいため、使用する接続配線211の太さも太い。そのため、太い接続配線211、電源配線212は硬い。そのため、接続配線211、電源配線212は接続変更が容易でない。
【0121】
本発明の半導体素子試験装置では、隔壁214の任意の開口部216に、C2室からフォークプラグ205を挿入する。フォークプラグ205を挿入する開口部216の位置を変更することにより、任意のスイッチ回路基板201と接続できる。したがって、トランジスタ117の試験条件により使用するスイッチ回路基板201との接続変更は、接続配線211を結線変更する必要がなく、フォークプラグ205を挿入する開口部216の位置の変更だけでよい。また、図9(c)に図示するように、スイッチ回路基板201は、マザー基板207に接続するコネクタ213の位置の変更だけでよい。
【0122】
以上のように、半導体素子などの電気素子117の試験内容、試験する電気素子117の個数に応じて、マザー基板207に接続するスイッチ回路基板201、デバイス制御回路基板209を配置する。また、スイッチ回路基板201等と接続切り替えは、隔壁214の開口部216に挿入するフォークプラグ205位置を変更することにより実施する。
【0123】
図1図4図5図6に図示するように、トランジスタ117に接続された接続配線211aはフォークプラグ205eに接続されている。トランジスタ117に接続された接続配線211bはフォークプラグ205hに接続されている。トランジスタ117に接続された接続配線211cはフォークプラグ205cに接続されている。
【0124】
フォークプラグ205e、フォークプラグ205f、フォークプラグ205cと導体板204から脱着することにより、試験する半導体素子117を試験回路から脱着することができる。
【0125】
図4等に図示するように、電流電源121の出力を短絡するスイッチ回路基板201bは電流電源121の個数に対応した数量でよい。たとえば、半導体素子試験装置に電流電源121が1台の場合は、スイッチ回路基板201b(スイッチ回路124b)は1つでよい。
【0126】
スイッチ回路基板201は、試験するトランジスタ117の個数以上の枚数が必要である。たとえば、試験するトランジスタ117が12個であれば、スイッチ回路基板201は12枚以上を準備することが好ましい。具体的には、試験をする電気素子117数に対応するスイッチ回路基板数を準備する。
【0127】
試験をする半導体素子117に対応するスイッチ回路基板201と、電源装置132の出力を短絡するスイッチ回路基板201は同一の基板仕様とすると、コスト的に有利である。つまり、スイッチ回路基板201は共通の構成とする。
【0128】
図5に図示するように、スイッチ回路基板201には、スイッチ回路124としてのトランジスタ等を複数実装することが好ましい。スイッチ回路124の個数が多いほど、2枚の導体板204間を短絡するインピーダンスが小さくすることができる。
【0129】
図10(a)(b)は、隔壁214の開口部216にフォークプラグ205を挿入した状態を図示したものである。図10(a)は隔壁214の表面から見た図であり、図10(b)は隔壁214の裏面から見た図である。
【0130】
図10の導体板204bには、一例として、フォークプラグ205bと複数のフォークプラグ205c(フォークプラグ205c1~フォークプラグ205c5)が接続されている。導体板204d1にはフォークプラグ205e1、導体板204d2にはフォークプラグ205e2、導体板204d3にはフォークプラグ205e3、導体板204d4にはフォークプラグ205e4、導体板204d5にはフォークプラグ205e5が接続されている。
【0131】
スイッチ回路基板201のスイッチ回路124がオンオフすることにより大きなノイズが発生する。この対策として、図9(c)では図示していないが、2枚のスイッチ回路基板201間にシールドとして機能させる金属板を配置し、金属板をアース接地している。
【0132】
スイッチ回路124の発熱は導体板204に放熱される。スイッチ回路124には放熱板(図示せず)が取付けられている。スイッチ回路124のグランド端子はスイッチ回路基板201のグランドに接続される。導体板204の熱はスイッチ回路基板201のグランド銅箔を介しても放熱される。
【0133】
図4に図示するように、スイッチ回路基板201aには導体板204i、導体板204jが取付けられている。導体板204jは、フォークプラグ205jと接続されている。導体板204iは、フォークプラグ205iと接続されている。フォークプラグ205iは電源装置132の出力端子と接続されている。導体板204jはフォークプラグ205jと接続されている。フォークプラグ205jは電源装置132のグランド端子と接続されている。
【0134】
スイッチ回路124aがオン(クローズ)すると、電源装置132の出力端子間が短絡され、短絡電流Imがグランドに流れる。そのため、電源装置132の出力電流はトランジスタ117には供給されない。スイッチ回路124aがオープンの時に、電源装置132の出力電流Idがトランジスタ117に供給される。
【0135】
スイッチ回路基板201bには導体板204c、導体板204dが取付けられている。導体板204cは、フォークプラグ205dと接続されている。フォークプラグ205dは電源装置132の出力端子と接続されている。導体板204dはフォークプラグ205eと接続されている。フォークプラグ205eは試験を行うトランジスタ117のコレクタ端子と接続されている。
【0136】
スイッチ回路基板201cには導体板204e、導体板204fが取付けられている。導体板204fには、フォークプラグ205h、フォークプラグ205gが接続されている。導体板204eには、フォークプラグ205aが接続されている。フォークプラグ205aは電源装置132の出力端子と接続されている。フォークプラグ205hは試験を行うトランジスタ117のO端子と接続されている。
【0137】
スイッチ回路基板201dには導体板204b、導体板204aが取付けられている。導体板204bには、フォークプラグ205bが接続されている。導体板204aには、フォークプラグ205fが接続されている。フォークプラグ205fはフォークプラグ205gと接続されている。フォークプラグ205bスイッチ回路基板201aの導体板204aと接続されたフォークプラグ205jと接続され、フォークプラグ205jは電源装置132と接続されている。
【0138】
図6は、図示を容易にするため、1個のトランジスタ117を図示している。隔壁217の開口部216aに接続構造体218aが挿入され、隔壁217の開口部216bに接続構造体218bが挿入されている。隔壁217の開口部216cに接続構造体218cが挿入されている。
【0139】
本発明の半導体試験装置は、複数個の半導体素子117を加熱冷却プレート134上に配置して試験を行う。したがって、図8に図示するように、隔壁217には複数個の開口部216が形成されている。
【0140】
図8はn(nは1以上の正数)個の開口部216が形成されている。nは同時に試験する半導体素子117の最大個数、あるいは、加熱冷却プレート134上に配置あるいは実装できる半導体素子117の最大個数である。
【0141】
開口部216a1に接続構造体218a1が挿入され、開口部216b1に接続構造体218b1が挿入される。開口部216c1に接続構造体218c1が挿入される。
【0142】
開口部216a2に接続構造体218a2が挿入され、開口部216b2に接続構造体218b2が挿入される。開口部216c2に接続構造体218c2が挿入される。
【0143】
以降、同様に、開口部216anに接続構造体218anが挿入され、開口部216bnに接続構造体218bnが挿入される。開口部216cnに接続構造体218cnが挿入される。
【0144】
接続構造体218aはトランジスタ117の素子端子226aと連結され、接続構造体218bはトランジスタ117の素子端子226bと連結されている。接続構造体218cはトランジスタ117の素子端子226cと連結されている。
【0145】
図6に図示するように、トランジスタ117のコレクタcs端子、ゲート端子gs、エミッタ端子esには、コネクタ202sが接続される。トランジスタ117のコレクタ端子cm、ゲート端子gm、エミッタ端子emには、コネクタ202mが接続される。
【0146】
コネクタ202(コネクタ202m、コネクタ202s)に接続された信号配線222(信号配線222m、信号配線222s)はサンプル接続回路203に接続される。サンプル接続回路203の信号配線235はコネクタ208を介して、デバイス制御回路基板209に接続されている。
【0147】
隔壁(隔壁214、隔壁215、隔壁217)は、各室(C1室、C2室、A室、B室)を分離する機能と、外気が流入しないようにする機能がある。特に、C1室は、低温状態の試験で結露することがあるため、C1室にはドライエアを流入させる。
【0148】
図6図7図11図12に図示するように、接続構造体218に他端には、固定ネジ221が取付けられ、接続配線211が接続構造体218に接続されている。接続配線211の他端には接続部材としてのフォークプラグ205が取付けられている。
固定ネジ221はネジに限定されるものではなく、接続構造体218に接続配線211を電気的に接続できるものであればいずれのものでもよい。
【0149】
サンプル接続回路203はコネクタ208の接続ピン206によりデバイス制御回路基板209と接続されている。サンプル接続回路203は試験する各トランジスタ117に対応して個別に配置され、サンプル接続回路203は容易に取り外しが可能なように構成されている。
【0150】
図11は本発明の半導体素子試験装置における一実施例である接続構造体218の説明図である。図11(a)は裏面を模式的に図示した図であり、図11(b)は側面を模式的に図示した図である。
【0151】
接続構造体218の凹部234には、ヒートパイプ223が密着されている。接続構造体218の凹部234とヒートパイプ間に熱伝導性グリス、放熱用シリコーンオイルコンパウンドを塗付してもよい。
【0152】
凹部234にはめ込むようにヒートパイプ223が配置されている。接続構造体218の裏面の凹部にヒートパイプ223を配置することによりヒートパイプ223が損傷するリスクが低下する。ヒートパイプ223は、接続構造体218の両面に配置してもよい。
【0153】
接続構造体218は、試験時に加熱される。したがって、ヒートパイプ223及びヒートパイプ金具231も加熱される。加熱により、ヒートパイプ223及びヒートパイプ金具231が膨張する。
【0154】
本発明は、接続構造体218のヒートパイプ金具231の線膨張率は、ヒートパイプ223パイプの線膨張率よりも小さい材料が採用される。あるいは、接続構造体218のヒートパイプ223パイプの線膨張率はヒートパイプ金具231の線膨張率よりも大きい材料が採用される。ヒートパイプ223材料が凹部234内で膨張が大きくなりヒートパイプ223が凹部234により強固にはめ込まれる。したがって、ヒートパイプ223がはずれることがない。
【0155】
ヒートパイプ金具231の材料として、銅(線膨張率16.8)、黄銅(線膨張率19)、鉄(線膨張率12.1)、ステンレス(SUS304)(線膨張率17.3)が例示される。ヒートパイプ223の材料としてヒートパイプ金具231より線膨張率が大きい材料、たとえば、アルミニウム(線膨張率23)、錫(線膨張率26.9)、鉛(線膨張率29.1)が例示される。中でも、ヒートパイプ金具231の材料として、銅(線膨張率16.8)、ヒートパイプ223の材料として、アルミニウム(線膨張率23)を採用することが好ましい。ヒートパイプ金具231は、金属以外のカーボンなどを採用することもできる。
【0156】
接続構造体218は、主としてヒートパイプ金具231、接続圧力部232、接続保持部233からなる。接続圧力部232と接続保持部233間に半導体素子の素子端子226が差し込まれる。
図7は、トランジスタ117と接続構造体218の接続状態を説明する説明図である。ヒートパイプ223は接続構造体218の裏面に配置されている。
【0157】
トランジスタ117は加熱冷却プレート134に密着して固定される。固定はバネ(図示せず)の押圧により行われる。必要に応じて、トランジスタ117の上側にも加熱冷却プレートが配置され、トランジスタ117を所定の温度条件に設定できるようにする。
【0158】
試験を行うトランジスタ117は加熱冷却プレート134に密着させて固定させる必要があるため、容易に取り外すことが難しい。トランジスタ117の取付け作業は、最初に試験を行う複数個のトランジスタ117を加熱冷却プレート134に固定する。次に、試験を行うトランジスタ117を選択して接続構造体218を、隔壁217の開口部216から挿入し、半導体素子117の素子端子226に取付ける。
【0159】
つまり、選択するトランジスタ117は、選択するトランジスタ117が位置する開口部216にC2室側から接続構造体218を挿入して半導体素子117の素子端子226と電気的接続を行う。
【0160】
半導体素子117との電気的接続は、接続構造体218を挿入する位置を選択するだけであるので容易である。また、接続構造体218に接続された接続配線211の印加信号を変更することにより、半導体素子117の試験条件、試験内容を容易に変更することができる。
【0161】
接続構造体218の一端には接続配線211が接続され、接続配線211から定電流Idが半導体素子117に印加される。接続構造体218の裏面側にはヒートパイプ223が配置されている。
【0162】
素子端子226には、数百アンペア(A)の電流が流れる。接点部225にわずかな抵抗があっても、数百アンペア(A)の電流により、大きな熱が発生し、素子端子226部を過熱する。素子端子226が過熱されると半導体素子117が過熱され、半導体素子117が劣化あるいは破壊する。
【0163】
本発明は、素子端子226で発生した熱はヒートパイプ223により、接続構造体218の接続配線211側に伝熱される。したがって、接点部225が過熱されることはない。接続構造体218の下側には冷却ファン227が配置され、ヒートパイプ223の熱を放熱させる。
【0164】
図12(a)に図示するように、ヒートパイプ223に密着するように、放熱フィン228を形成または配置してもよい。図12(b)に図示するように、接続構造体218内に、循環水パイプ135を形成または配置し、接続構造体218を冷却してもよい。
【0165】
図7は、図20等の3つの素子端子226(素子端子226a(P)、素子端子226b(O)、素子端子226c(N))を有する半導体モジュール117と接続構造体218との接続状態を図示した説明図である。
【0166】
図7において、接続構造体218aにはヒートパイプ223aが、接続構造体218bにはヒートパイプ223bが形成または配置されている。接続構造体218cにはヒートパイプ223cが形成または配置されている。
【0167】
なお、素子端子226b(O端子)に電流が流れない、あるいは電流が小さい場合は、接続構造体218bにはヒートパイプ223bを形成する必要がない。たとえば、図1の実施例において、短絡回路137sまたは短絡回路137mを動作させ、一方のトランジスタ117(トランジスタ117s、トランジスタ117m)をダイオード接続し、他方のトランジスタ117(トランジスタ117m、トランジスタ117s)をオン(動作)させる場合は、O端子には電流が流れない。この場合等は、接続構造体218bを他の接続構造体218(接続構造体218a、接続構造体218c)よりも細く形成することにより、接続構造体218とトランジスタ117の素子端子226との接続が容易になる。また、トランジスタ117を配置するスペースが狭くても良いため、加熱冷却プレート134に搭載できるトランジスタ117の数を多くすることができる。
【0168】
図13(a)に図示するように、本発明の他の実施例における接続構造体218は、主としてヒートパイプ金具231、接続受け部225、接続圧力部232、接続保持部233からなる。接続受け部225と接続保持部233間に半導体素子の素子端子226が差し込まれる。
【0169】
接続受け部225と接続圧力部232のバネ穴239にはバネ236が挿入または配置される。接続受け部225の中央部の位置決めネジ穴240に位置決めネジ237が挿入または配置され、接続受け部225と接続圧力部232とが位置決めされる。
【0170】
バネ236は押圧手段であり、または摺動手段であり、または位置決め手段である。バネ236は、一例としてコイルバネが例示される。その他、板ばね、渦巻バネ、皿バネが例示される。バネ236は金属材料で形成あるいは構成される。耐熱性があるゴム、プラスチック、セラミックス材料で形成してもよい。
【0171】
接続受け部225と接続圧力部232間には、コイルバネ236が配置されている。接続圧力部232は、1つ以上の固定ネジ224bで接続される。固定ネジ224bを締め付ける、あるいは取付けることにより、接続受け部225と接続保持部233間に圧力(押圧)が印加される。
【0172】
接続受け部225と接続保持部233間に素子端子226が挟まれ、バネ236の圧力により接続受け部225と接続保持部233間に素子端子226が所定圧力(所定押圧)で挟持される。
【0173】
圧力(押圧)はバネ236を変更することにより容易に調整できる。また、固定ネジ224bの締め付け度合により圧力(押圧)を調整あるいは設定できる。ヒートパイプ金具231と接続保持部233は1つ以上の固定ネジ224aで固定される。
【0174】
接続圧力部232と接続保持部233間には、接続受け部225が配置されている。接続受け部225の構成材料あるいは少なくとも表面材料として、白金、金、銀、タングステン、銅、ニッケル、モリブデン、または、それらを組合せた合金が用いられる。
【0175】
同様に、接続保持部233が素子端子226と接する面には、表面の構成材料として、白金、金、銀、タングステン、銅、ニッケル、モリブデン、またはそれらを組合せた合金が用いられる。
【0176】
接続保持部233はヒートパイプ金具231に固定ネジ224aで固定されている。接続圧力部232は接続保持部233に固定ネジ224bで固定される。ヒートパイプ金具231の左端には接続配線211が固定ネジ221で固定される。
図13(a)、図13(d)は、接続保持部233、接続受け部225、接続圧力部232の組合せ状態を説明する説明図である。
【0177】
接続保持部233は、ネジ穴238a1、ネジ穴238a2に挿入されたネジ224a(図示せず)により、ヒートパイプ223とヒートパイプ金具231とを接続して固定される。ヒートパイプ223とヒートパイプ金具231は熱伝導性、電気伝導性が良好となるように密着されて接続して固定される。また、接続保持部233は、ネジ穴238b1、ネジ穴238b2に挿入されたネジ224b(図示せず)により、接続圧力部232と接続して固定される。
【0178】
接続受け部225は、両端に凸部251が形成され、接続圧力部232は両端に溝部252が形成されている。接続受け部225の凸部251は、接続圧力部232の溝部252に、はめ込まれる。接続受け部225の凸部251と、接続圧力部232の溝部252とは電気的に接触するように構成されている。
【0179】
素子端子226と接続受け部225は接触性を良好にするため、図13(c)に図示するように、接続受け部225の表面に三角形状等の凹凸を形成することが好ましい。
図13の構成は、接続圧力部232の平面と接続保持部233の平面間に素子端子226を挟持させる構成である。
【0180】
図14は、押圧具取付け板313と接続保持部233間に素子端子226を挟持させる構成である。押圧具取付け板313には押圧具311a、押圧具311bが取付けられている。押圧具311は、たとえば、金属からなる板バネが例示される。なお、押圧具311は、シリコン樹脂材料等の非導電物で形成してもよい。押圧具取付け板313に押圧具311がはめ込まれている。
【0181】
押圧具311と接続保持部233の平面間に素子端子226が挟持される。押圧具311の押圧により、素子端子226と接続保持部233とが電気的に接続される。
【0182】
図13(a)の実施例では、バネ(圧力金具)236は接点部225のバネ穴239に挿入されていた。バネ(圧力金具)236、接点部225、接続圧力部232が導電材料で構成されている場合、素子端子226 -> 接点部225 -> バネ(圧力金具)236 -> 接続圧力部232に電気が流れる場合がある。この場合、バネ(圧力金具)236の抵抗値が大きい場合、バネ(圧力金具)236に電流が流れ、バネが発熱して焼損する。
【0183】
図14の本発明の実施例では、バネ穴239は、絶縁板312に形成されている。押圧具311が素子端子226と接触し、バネ236が押圧具取付け板313を押圧する。押圧具取付け板313の上側には絶縁板312が配置され、押圧具取付け板313とバネ236間を絶縁する。絶縁板312にバネ穴239が形成され、バネ穴239にバネ236が挿入されている。他の構成は、図11と同様であるので説明を省略する。絶縁板312は絶縁フィルム、絶縁膜もしくは空気などの絶縁気体等であってもよい。
【0184】
図14(b)は、押圧具取付け板313部を側面から見た図である。押圧具取付け板313に押圧具311a、押圧具311bが配置、挿入されている。図14(c)は、図14(b)のA方向から見た図である。
【0185】
絶縁板312は絶縁物で構成されているため、押圧具取付け板313が金属のように導電物であっても、バネ(圧力金具)236には電流が流れない。したがって、素子端子226 -> 接点部225 -> バネ(圧力金具)236 -> 接続圧力部232の電流経路は発生しない。
【0186】
図14(a)の実施例は、絶縁板312で絶縁する構成であった。本発明における絶縁効果は、図14(a)のように、絶縁板312を用いる構成に限定されない。たとえば、図14(d)に図示する構成が例示される。
【0187】
図14(d)は、接続圧力部232のネジ穴238bの周囲に樹脂材料等で構成した絶縁部315を配置した構成である。ネジ穴238bの周囲が絶縁部315で絶縁されているため、固定ネジ224bには電流が流れない。したがって、素子端子226 -> 接点部225 -> バネ(圧力金具)236 -> 接続圧力部232の電流経路は発生せず、バネ(圧力金具)236が焼損することはない。
以上のように、本発明は押圧を印加するバネ236側に、絶縁板312を配置し、電流が押圧具取付け板313、接点部225側に流れないように構成する。
【0188】
電流が流れると、バネ236等の押圧部品、固定ネジ224bに流れ、バネ236、固定ネジ224bが焼損する。素子端子226には、バネ236等の高抵抗部が少ない接続保持部233側を介して試験電流を供給する。
【0189】
図15図16は本発明の第1の実施例における半導体素子の試験方法の説明図である。試験する半導体素子117は、図20(a)、図20(b)を例示するが、これに限定するものではない。
また、半導体素子117として、図21に図示するように、3個以上のトランジスタが1つのパッケージとして構成されたものも例示される。
【0190】
図21は、三相モータ229を回転させるインバータである。半導体素子117内の6個のトランジスタで、三相交流を発生させる。インバータは、電車に使われているような、三相モータを回転させるために使用される。
【0191】
モータ229のUVW相に印加する波形を図22に図示する。UVW相はアナログ波形であるが、このアナログ波形は、図23に図示するように、半導体素子117内のトランジスタ117を、高速にONとOFFを繰り返し、ONする時間とOFFする時間の割合を変化させることで、擬似的にアナログ波形にする。
【0192】
ON、OFFする周期が一定のまま、ONする時間とOFFする時間の割合を変化させて擬似的なアナログ信号を得る制御法を、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)といい、ONする時間とOFFする時間の割合のことをデューティー(Duty)比と言う。
【0193】
スイッチには、FETやIGBTが使われ、ONかOFFかのはっきりした駆動がされるため、素子による電力消費がほとんどなくなります。120°ずれた正弦波のPWMをそれぞれに使うと、三相交流を得られる。三相インバータの場合はスイッチとしてのトランジスタが6個、必要になります。
図23(a)はU相駆動パルスであり、図23(b)はV相駆動パルスであり、図23(c)はW相駆動パルスである。各パルスは位相が120°ずれている。
【0194】
図21に図示するインバータ回路を構成する半導体素子117を半導体素子117a、半導体素子117b、半導体素子117cとして試験を実施すればよい。また、インバータとしての試験であるため、図23のPWM波形となるように、半導体素子117a、半導体素子117b、半導体素子117cを駆動する。したがって、半導体素子117a、半導体素子117b、半導体素子117cの駆動は同一である。ただし、実使用状態では、位相は120°異なる。
【0195】
以下の実施例として、半導体素子117はトランジスタ117として説明をする。図15図16図18図19において、トランジスタ117が図21のトランジスタ117a、トランジスタ117b、トランジスタ117cが対応する。
【0196】
図15において、スイッチ回路124aがオンすることにより、電源装置132の出力が短絡され、電源装置132が出力する電流Idは、電流Imとしてグランドに流れる。あるいは、スイッチ回路124bがオンすることにより、電源装置132の端子間に充電されている電荷が放電される。
電流Imを流すことにより、電源装置132の端子間電圧が0(V)となり、試験をするトランジスタ117が試験以外の駆動により破壊することがない。
【0197】
スイッチ回路124c、スイッチ回路124dが同時にオンすることによっても、電流Imが流れて、電源装置132の出力が短絡され、電源装置132の電荷等が放電される。
【0198】
スイッチ回路124cとスイッチ回路124dがオンになるタイミングをずらすことも有効である。たとえば、スイッチ回路124cがスイッチ回路124dより先にオンすることによりトランジスタ117sのチャンネル間が短絡する。
【0199】
次に、スイッチ回路124dがオンすることによりトランジスタ117mのチャンネル間が短絡する。あるいは、スイッチ回路124dがスイッチ回路124cより先にオンすることによりトランジスタ117mのチャンネル間が短絡する。次に、スイッチ回路124cがオンすることによりトランジスタ117sのチャンネル間が短絡する。
以上のように、順番に、スイッチ回路124をオンさせることより、半導体素子117に発生するサージ電圧等の発生を、より抑制することができる。
【0200】
以上の事項は、図17図18図19等の他の実施例においても同様に適用できることは言うまでもない。また、本明細書で説明する他の実施例あるいは類似の動作、構成と組み合わせること、あるいは適用できることは言うまでもない。
フォークプラグ205は、隔壁214の開口部216から挿入され、スイッチ回路基板201と電気的に接続される。
【0201】
スイッチ回路124aをオフ(オープン)後に、スイッチ回路124bをオン(クローズ)させる。一方、電源装置132のスイッチ回路122aとオンし、スイッチ回路122bはオフすることにより、電流電源121aからの順方向の定電流Idが出力されるように制御する。
【0202】
図15(a)に図示するように、トランジスタ117sのゲート端子gsのオン電圧が印加され、トランジスタ117mのゲート端子gmにオフ電圧が印加される。スイッチ回路124dはオンし、スイッチ回路124cはオフに制御される。スイッチ回路124c、スイッチ回路124dはコントローラ111で制御される。
【0203】
なお、図15図16図18図19において、トランジスタ117s、トランジスタ117mのオンオフ制御は、図23のPWM波形となるように実施する。
スイッチ回路124aがオンすることにより、電源装置132が出力する電流Idがトランジスタ117sに供給される。
【0204】
図15(a)に図示するように、順方向の電流Idは、電源装置132a -> スイッチ回路124b -> トランジスタ117s -> スイッチ回路124d -> 電源装置132aに流れる。
【0205】
次に、図15(b)に図示するように、電源装置132のスイッチ回路122aとオフし、スイッチ回路122bはオンすることにより、電流電源121bからの逆方向の定電流Idが出力されるように制御する。
【0206】
図15(b)に図示するように、逆方向の電流Idは、電源装置132b -> スイッチ回路124d -> ダイオードDis -> スイッチ回路124b -> 電源装置132bに流れる。
以上の図15の動作により、トランジスタ117s(ダイオードDis)の試験が実施される。
【0207】
次に、図16に図示するように、トランジスタ117sのゲート端子gsにオフ電圧を印加し、トランジスタ117mのゲート端子gmにオン電圧を印加する。また、スイッチ回路124cをオンさせ、スイッチ回路124dをオフにする。
【0208】
図16(c)に図示するように、電源装置132のスイッチ回路122aとオンし、スイッチ回路122bはオフすることにより、電流電源121aからの順方向の定電流Idが出力されるように制御する。
【0209】
図16(c)に図示するように、順方向の電流Idは、電源装置132a -> スイッチ回路124c -> トランジスタ117m -> 電源装置132aに流れる。
【0210】
図16(d)に図示するように、電源装置132のスイッチ回路122aとオフし、スイッチ回路122bはオンすることにより、電流電源121bからの逆方向の定電流Idが出力されるように制御する。
【0211】
図16(d)に図示するように、逆方向の電流Idは、電源装置132b -> スイッチ回路124c -> ダイオードDim -> 電源装置132bに流れる。
以上の図16の動作により、トランジスタ117m(ダイオードDim)の試験が実施される。
【0212】
図15(a)、図15(b)、図16(a)、図16(b)の制御は、図23のPWM波形となるように実施することにより、実動作に適合した試験を実施することができる。また、図21のトランジスタ117a、トランジスタ117b、トランジスタ117cを図15図16の本発明の半導体素子の試験方法を120°の位相を異ならせて実施することにより、UVWの交流駆動に適合した試験を実現することができる。
【0213】
本発明の半導体試験装置は、図1に図示する短絡回路137を動作させることにより、同時にトランジスタ117sとトランジスタ117mに電流Idを流し、試験を行うことができる。この場合、スイッチ回路124c、スイッチ回路124dをオフするか、フォークプラグ205hを導体板204fから切り離す。
【0214】
トランジスタ117sの短絡回路137sをオンさせることにより、トランジスタ117sはダイオード接続される。したがって、トランジスタ117mのゲート端子gmのオン電圧を印加することにより、試験電流Idがトランジスタ117s、トランジスタ117mに流れる。したがって、トランジスタ117mのゲート端子gmにオンオフ信号を印加させることにより、トランジスタ117を試験することができる。
【0215】
また、トランジスタ117mの短絡回路137mをオンさせることにより、トランジスタ117mはダイオード接続される。したがって、トランジスタ117sのゲート端子gsのオン電圧を印加することにより、試験電流Idがトランジスタ117s、トランジスタ117mに流れる。したがって、トランジスタ117sのゲート端子gsにオンオフ信号を印加させることにより、トランジスタ117を試験することができる。
【0216】
トランジスタ117にId電流を通電していない期間に、図3で説明したように、ダイオードDisまたはダイオードDimに定電流Icmまたは定電流Icsを供給することにより、温度情報Tjを取得し、トランジスタ117の劣化あるいは変化をモニターする。温度情報Tjの変化割合、変化量から、トランジスタ117の試験の停止、あるいは動作を制御する。
【0217】
以上の事項は、図17図18図19等の他の実施例においても同様に適用できることは言うまでもない。また、本明細書で説明する他の実施例あるいは類似の動作、構成と組み合わせること、あるいは適用できることは言うまでもない。
【0218】
図17は、本発明の第2の実施例における半導体素子試験装置の構成図及び説明図である。図1との差異は、電源装置132内に順方向の定電流を出力する電流電源121があり、逆方向の定電流を出力する電流電源121がない点である。また、スイッチ回路124g、スイッチ回路124h、スイッチ回路124e、スイッチ回路124fが追加されている点である。
【0219】
スイッチ回路124c、スイッチ回路124d、スイッチ回路124e、スイッチ回路124f、スイッチ回路124g、スイッチ回路124hはコントローラ111で制御される。
他の構成、あるいは動作は、図1と同様あるいは類似であるので説明は省略する。
図18図19は、図17の本発明の半導体素子試験装置における半導体素子の試験方法を説明する説明図である。
図18では、トランジスタ117sのゲート端子gsにはオン電圧が印加され、トランジスタ117mのゲート端子gmにはオフ電圧が印加される。
【0220】
図18(a)に図示するように、スイッチ回路124g、スイッチ回路124b、スイッチ回路124d、スイッチ回路124hはオンされる。スイッチ回路124a、スイッチ回路124c、スイッチ回路124eはオフにされる。
【0221】
図18(a)に図示するように、電流Idは、電源装置132 -> スイッチ回路124g -> トランジスタ117s -> スイッチ回路124d-> スイッチ回路124h -> 電源装置132に流れる。
【0222】
次に、図18(b)に図示するように、スイッチ回路124b、スイッチ回路124d、スイッチ回路124e、スイッチ回路124fはオンされる。スイッチ回路124c、スイッチ回路124g、スイッチ回路124hはオフにされる。
【0223】
図18(b)に図示するように、電流Idは、電源装置132 -> スイッチ回路124e -> スイッチ回路124d -> ダイオードDis -> スイッチ回路124b -> スイッチ回路124g -> 電源装置132に流れる。
次に、図19に図示するように、トランジスタ117sのゲート端子gsにオフ電圧を印加し、トランジスタ117mのゲート端子gmにオン電圧を印加する。
【0224】
図19(c)に図示するように、スイッチ回路124g、スイッチ回路124c、スイッチ回路124hはオンされる。スイッチ回路124b、スイッチ回路124d、スイッチ回路124e、スイッチ回路124fはオフにされる。
【0225】
図19(c)に図示するように、電流Idは、電源装置132 -> スイッチ回路124g -> スイッチ回路124c -> トランジスタ117m -> スイッチ回路124h-> 電源装置132に流れる。
【0226】
次に、図19(d)に図示するように、スイッチ回路124c、スイッチ回路124e、スイッチ回路124はオンされる。スイッチ回路124b、スイッチ回路124g、スイッチ回路124d、スイッチ回路124hはオフにされる。
【0227】
図19(d)に図示するように、電流Idは、電源装置132 -> スイッチ回路124e -> ダイオードDim -> スイッチ回路124c -> スイッチ回路124f -> 電源装置132に流れる。
【0228】
図17図18図19では、電源装置132は、1個の電流電源121で、図1図15図16での、順方向の定電流と逆方向の定電流を実現できる。したがって、電源装置132のコストを低減することができる。
本明細書及び図面に記載した事項あるいは内容は、相互に組み合わせることができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0229】
本発明は、インバータ回路等の回路動作に適合でき、トランジスタ等の半導体素子の試験内容、半導体素子の同時試験数に応じて、容易に接続変更できる半導体素子試験装置及び半導体試験方法を提供できる。
【符号の説明】
【0230】
111 コントロール回路基板(コントローラ)
112 ゲート信号制御回路
113 ゲートドライバ回路
115 温度測定回路
116 オペアンプ(バッファアンプ)
117 パワートランジスタ
118 定電流回路
121 電流電源
122 スイッチ回路
124 スイッチ回路
125 可変抵抗回路
131 制御ラック
132 電源装置
133 制御回路
134 加熱冷却プレート
135 循環水パイプ
136 チラー
137 短絡回路
201 スイッチ回路基板
202 コネクタ
203 サンプル接続回路
204 導体板
205 フォークプラグ
206 接続ピン
207 マザー基板
208 コネクタ
209 デバイス制御回路基板
210 筐体
211 接続配線
212 電源配線
213 コネクタ
214 隔壁
215 隔壁
216 開口部
219 接続ボルト
220 接触部
221 固定ネジ
222 信号配線
223 ヒートパイプ
224 固定ネジ
225 接点部
226 素子端子
227 冷却ファン
228 放熱フィン
229 モータ
231 ヒートパイプ金具
232 接続圧力部
233 接続保持部
236 バネ(圧力金具)
237 位置固定ネジ
238 ネジ穴
239 バネ穴
240 位置決めネジ穴
251 凸部
252 溝部
302 電圧選択回路
311 押圧具
312 絶縁板
313 押圧具取付け板
315 絶縁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23