(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】ロック装置及びそれを備える自転車用ハブ
(51)【国際特許分類】
B62H 5/16 20060101AFI20241121BHJP
E05B 71/00 20060101ALI20241121BHJP
B62J 45/00 20200101ALI20241121BHJP
【FI】
B62H5/16
E05B71/00 Z
B62J45/00
(21)【出願番号】P 2021122967
(22)【出願日】2021-07-28
【審査請求日】2024-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000111029
【氏名又は名称】株式会社ニッコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】婦木 義章
(72)【発明者】
【氏名】猪原 慶樹
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-515742(JP,A)
【文献】特開2006-327581(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108238134(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62H 5/16
E05B 71/00
B62J 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒体の中心部に設けられ
ると共に前記円筒体に対して相対的に回転する回転軸をロックするためのロック部と、
前記ロック部による前記回転軸のロックを解除するための解除部と、
前記ロック部及び前記解除部を操作するための操作部と
、
前記ロック部、前記解除部及び前記操作部が取り付けられると共に前記円筒体の内部で前記回転軸に固定される本体ケースと、を備え、
前記操作部は、前記ロック部及び前記解除部をそれぞれ遠隔で操作可能な遠隔操作部と、前記ロック部及び前記解除部をそれぞれ手動で直接的に操作可能な手動操作部と、を備
え、
前記ロック部は、前記円筒体の内周面に設けられた円筒体凹部に嵌めることによって前記回転軸をロック可能なロック部材と、前記ロック部材を前記円筒体凹部側に付勢する付勢部材と、前記ロック部材を摺動可能に嵌めることが可能なロック部材嵌込部を備えると共に前記回転軸に回転可能に取り付けられる第1回転部材と、を備え、
前記解除部は、前記第1回転部材と隣接して前記回転軸に回転可能に取り付けられる第2回転部材を備え、
前記ロック部材は、前記第2回転部材側に延びると共に前記ロック部材による前記回転軸のロックを解除するための解除突起を備え、
前記第2回転部材は、前記解除突起が挿入されると共に前記第2回転部材の回転によって前記解除突起を前記回転軸側に移動させることが可能な解除穴を備え、
前記遠隔操作部及び前記手動操作部は、前記第1回転部材及び前記第2回転部材を回転させることが可能な操作アームを備える、ロック装置。
【請求項2】
前記ロック部材の先端は、前記第1回転部材の外側に向かって幅狭に形成され、
前記円筒体凹部の深さは、前記ロック部材の先端の長さよりも小さい、請求項
1に記載のロック装置。
【請求項3】
前記遠隔操作部は、前記第1回転部材及び前記第2回転部材を回転させることが可能な遠隔操作アームを備え、
前記手動操作部は、前記第1回転部材及び前記第2回転部材を回転させることが可能な手動操作アームを備え、
前記遠隔操作アーム及び前記手動操作アームは、それぞれ前記回転軸を挟んで対向して配置されている、請求項
1又は
2に記載のロック装置。
【請求項4】
請求項
1~3の何れか1項に記載のロック装置を備える、自転車用ハブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロック装置及びそれを備える自転車用ハブに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロック装置を備える自転車用ハブが開示されている。ところで、当該ロック装置は、無線信号による遠隔操作でのみ作動する。そのため、無線信号を発信する無線発信機を紛失した場合や当該ロック装置の信号受信部などが故障した場合、当該ロック装置の操作が不能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の目的は、遠隔操作部及び手動操作部の何れかで操作可能なロック装置及びそれを備える自転車用ハブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ロック装置は、円筒体の中心部に設けられた回転軸をロックするためのロック部と、前記ロック部による前記回転軸のロックを解除するための解除部と、前記ロック部及び前記解除部を操作するための操作部と、を備え、前記操作部は、前記ロック部及び前記解除部をそれぞれ遠隔で操作可能な遠隔操作部と、前記ロック部及び前記解除部をそれぞれ手動で直接的に操作可能な手動操作部と、を備える。
【0006】
斯かる構成によれば、遠隔操作部又は手動操作部でロック部及び解除部をそれぞれ操作することによって、回転軸のロック又はロック解除をすることができる。これにより、遠隔操作部及び手動操作部の何れかでロック装置を操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る自転車用ハブの正面図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係る自転車用ハブの側面図である。
【
図6A】
図6Aは、遠隔操作部による操作で回転軸をロックする場合における第1回転部の回転直前を示す図である。
【
図6B】
図6Bは、遠隔操作部による操作で回転軸をロックした状態を示す図である。
【
図7A】
図7Aは、手動操作部による操作で回転軸をロックする場合における第1回転部の回転直前を示す図である。
【
図7B】
図7Bは、手動操作部による操作で回転軸をロックした状態を示す図である。
【
図8A】
図8Aは、遠隔操作部による操作で回転軸のロックを解除する場合における第2回転部の回転直前を示す図である。
【
図8B】
図8Bは、遠隔操作部による操作で回転軸のロックを解除した状態を示す図である。
【
図9A】
図9Aは、手動操作部による操作で回転軸のロックを解除する場合における第2回転部の回転直前を示す図である。
【
図9B】
図9Bは、手動操作部による操作で回転軸のロックを解除した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態に係るロック装置について、
図1~
図9Bを参照しながら説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0009】
各図において、第1の方向D1は、後述する回転軸X2の軸方向D1であり、第2の方向D2は、回転軸X2の径方向D2であり、第3の方向D3は、回転軸X2周りの周方向D3である。軸方向D1において、第1軸方向D1aは、軸方向D1の一方向を示し、第2軸方向D1bは、軸方向D1の他方向を示す。径方向D2において、内側は、回転軸X2と近い側を示し、外側は、回転軸X2から遠い側を示す。周方向D3において、第1周方向D3aは、周方向D3の一方向を示し、第2周方向D3bは、周方向D3の他方向を示す。
【0010】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係るロック装置1は、円筒体X1の中心を貫通するように設けられた回転軸X2に固定されている。本実施形態に係るロック装置1は、円筒体X1の内部に配置されているが、これに限られない。例えば、ロック装置1は、円筒体X1の外部に配置されていてもよく、円筒体X1の内周面に固定されていてもよい。また、本実施形態において、円筒体X1は、自転車の前輪又は後輪に設けられた自転車用ハブであるが、これに限られない。例えば、円筒体X1は、ドアノブなどであってもよい。
【0011】
円筒体X1は、回転軸X2を回転可能に固定するための第1軸受部X3及び第2軸受部X4を備える。第1軸受部X3は、円筒体X1の第1軸方向D1aの端部に配置され、第2軸受部X4は、円筒体X1の第2軸方向D1bの端部に配置されている。
【0012】
本実施形態において、回転軸X2は、ロック装置1を固定するための厚肉部X21を備えるが、これに限られない。厚肉部X21の直径は、回転軸X2の他部の直径よりも大きい。厚肉部X21は、ロック装置1の位置決めをするための位置決め部X21aを備える。位置決め部X21aは、径方向D2に突出する略円板状に形成され、円筒体X1の内部に配置されている。
【0013】
円筒体X1は、第1軸受部X3を固定するための第1軸受部押さえX5と、第2軸受部X4を固定するための第2軸受部押さえX6と、を備える。回転軸X2は、雄ねじ部X22を備える。雄ねじ部X22は、少なくとも軸方向D1の両端側に配置されている。第1軸受部押さえX5及び第2軸受部押さえX6は、雄ねじ部X22とナットなどの雌ねじX7との螺合によってそれぞれ円筒体X1に固定される。
【0014】
図3~
図5に示すように、円筒体X1は、回転軸X2をロックするための円筒体凹部X11を備える。円筒体凹部X11は、円筒体X1の内周面に配置されている。本実施形態において、円筒体凹部X11は、軸方向D1に溝状に延びると共に周方向D3に整列して複数配置されているが、これに限られない。
【0015】
厚肉部X21は、後述する第1筒状部51が嵌め込まれる第1軸凹部X21bと、電線を挿通するための第2軸凹部X21cと、を備える。第1軸凹部X21bは、軸方向D1に沿って延びている。第2軸凹部X21cは、軸方向D1に沿って位置決め部X21aを貫通して延びている。
【0016】
ロック装置1は、回転軸X2をロックするためのロック部2と、ロック部2による回転軸X2のロックを解除するための解除部3と、ロック部2及び解除部3を操作するための操作部4と、ロック部2、解除部3及び操作部4が取り付けられると共に回転軸X2に固定される本体ケース5と、本体ケース5の開口部5aを覆うカバー部6と、を備える。
【0017】
本体ケース5は、軸方向D1に沿って延びる略筒状に形成され、本体ケース5の第2軸方向D1bの端部に開口部5aを備える。本体ケース5は、回転軸X2を挿通可能な第1筒状部51を備える。第1筒状部51は、本体ケース5の第1軸方向D1aの端部の中心から第2軸方向D1bに沿って延びている。第1筒状部51は、第1軸凹部X21bに嵌めることが可能な第1嵌合凸部511を備える。第1軸凹部X21bに第1嵌合凸部511を嵌めることにより、本体ケース5を回転軸X2と共に回転させることができる。
【0018】
本体ケース5は、第1軸受部X3を嵌めることが可能な段差部52を備える。段差部52は、本体ケース5の第1軸方向D1aの端部で且つ本体ケース5の径方向D2の外側に配置されている。
【0019】
本実施形態において、カバー部6は、開口部5aの一部を覆っているが、これに限られない。カバー部6は、回転軸X2を挿通可能な第2筒状部61を備える。第2筒状部61は、軸方向D1に沿って延びている。第2筒状部61の第1軸方向D1aの端部は、第1筒状部51と当接して配置され、第2筒状部61の第2軸方向D1bの端部は、位置決め部X21aと当接して配置されている。
【0020】
第2筒状部61は、第1軸凹部X21bに嵌めることが可能な第2嵌合凸部611を備える。第1軸凹部X21bに第2嵌合凸部611を嵌めることにより、カバー部6を回転軸X2と共に回転させることができる。
【0021】
第2筒状部61は、第2筒状部61を径方向に貫通する筒状部貫通孔612と、筒状部貫通孔612内に配置されるスナップフィット部613と、を備える。筒状部貫通孔612は、軸方向D1に沿って延びる略長方形状に形成されている。スナップフィット部613は、軸方向D1に沿って延びると共に筒状部貫通孔612の第1軸方向D1aの端部と接続されている。
【0022】
スナップフィット部613は、径方向D2の外側に突出する突出部613aを備える。突出部613aは、軸方向D1視において、円弧状に形成されている。突出部613aは、軸方向D1において後述する第2回転部材31と重なる位置に配置されている。スナップフィット部613の突出部613aにおける径方向D2の肉厚は、第2筒状部61の筒部分の肉厚よりも小さいことが好ましい。
【0023】
ロック部2は、円筒体凹部X11に嵌めることが可能なロック部材21と、ロック部材21を径方向D2の外側に付勢する付勢部材22と、回転軸X2に回転可能に取り付けられる第1回転部材23と、を備える。
【0024】
本実施形態において、本体ケース5は、周方向D3の外周面に長方形状のケース貫通孔53を備え、ロック部材21は、ケース貫通孔53に挿通可能な棒状に形成されているが、これに限定されない。操作部4の操作によって、ロック部材21は、回転軸X2をロックするロック位置P1と、回転軸X2のロックを解除する解除位置P2と、に変位する。ロック位置P1において、ロック部材21は、ケース貫通孔53から本体ケース5の外部に飛び出し、円筒体凹部X11に嵌る。解除位置P2において、ロック部材21は、円筒体凹部X11から離間し、本体ケース5の内部に収容される。
【0025】
ロック部材21は、ロック位置P1においてケース貫通孔53から本体ケース5の外部に飛び出す飛出し部211を備える。飛出し部211は、径方向D2の外側に向かって幅狭に形成されているが、これに限られない。円筒体凹部X11の深さは、飛出し部211の径方向D2の長さよりも小さい。
【0026】
ロック部材21は、付勢部材22を取り付けるための付勢部材取付部(不図示)を備える。本実施形態において、付勢部材22は、圧縮コイルばねであり、付勢部材取付部は、圧縮コイルばねを嵌め込んで取り付け可能な凹みであるが、これに限られない。例えば、付勢部材22は、板ばねであってもよく、付勢部材取付部は、板ばねを取り付けるための突起などであってもよい。
【0027】
本実施形態において、第1回転部材23は、円板状に形成されているが、これに限られない。例えば、第1回転部材23は、扇状に形成されていてもよい。第1回転部材23は、第1回転部材23の中心部を軸方向D1に貫通する円形状の第1中心貫通孔231を備える。本実施形態において、第1中心貫通孔231は、回転軸X2に挿通される第2筒状部61に挿通されているが、これに限られない。例えば、第1中心貫通孔231は、第1筒状部51に挿通されていてもよく、回転軸X2に直接挿通されていてもよい。
【0028】
第1回転部材23は、ロック部材21を摺動可能に嵌めるためのロック部材嵌込部232を備える。ロック部材嵌込部232は、径方向D2の内側端が閉じ、径方向D2の外側端が開口した形状である。本実施形態において、ロック部材嵌込部232は、径方向D2に延びる溝状に形成されているが、これに限られない。例えば、ロック部材嵌込部232は、第1回転部材23の外周面から径方向D2の内側に延びる穴(径方向D3の外側が開口)であってもよい。本実施形態において、ロック部材21は、第1回転部材23と後述する第2回転部材31とによって挟持されている。
【0029】
第1回転部材23は、操作部4を配置するための第1操作部配置孔233を備える。第1操作部配置孔233は、第1回転部材23を軸方向D1に貫通する貫通孔である。第1操作部配置孔233の大きさは、操作部4(後述する操作アーム71,81)の操作(回転)範囲により適宜設定される。
【0030】
本実施形態において、第1回転部材23は、第1中心貫通孔231を挟んで対向するように一対の第1操作部配置孔233,233を備えるが、これに限られない。本実施形態において、一対の第1操作部配置孔233,233は、それぞれ第1中心貫通孔231の中心点を対称点とする点対称形状であるが、これに限られない。例えば、一対の第1操作部配置孔233,233は、それぞれの形状が異なっていてもよい。
【0031】
第1回転部材23は、操作部4(後述する操作アーム71,81)と当接して操作される第1アーム当接部234を備える。本実施形態において、第1アーム当接部234は、第1操作部配置孔233の第1周方向D3aの端部から第2周方向D3bに突出する突起であるが、これに限られない。本実施形態において、第1回転部材23は、一対の第1アーム当接部234,234を備え、一対の第1アーム当接部234,234は、それぞれ第1操作部配置孔233,233の径方向D2の外側端に配置されているが、これに限られない。
【0032】
解除部3は、第1回転部材23と隣接して回転軸X2に回転可能に取り付けられる第2回転部材31を備える。本実施形態において、第2回転部材31は、円板状に形成され、第1回転部材23の第2軸方向D1b側に配置されているが、これに限られない。例えば、第2回転部材31は、扇状に形成されていてよく、第1回転部材23の第1軸方向D1a側に配置されていてもよい。
【0033】
第2回転部材31は、第2回転部材31の中心部を軸方向D1に貫通する円形状の第2中心貫通孔311を備える。本実施形態において、第2中心貫通孔311は、回転軸X2に挿通される第2筒状部61に挿通されているが、これに限られない。例えば、第2中心貫通孔311は、第1筒状部51に挿通されていてもよく、回転軸X2に直接挿通されていてもよい。
【0034】
第2中心貫通孔311は、回転軸X2のロック解除時に第2回転部材31を略固定するための固定用凹部311aを備える。固定用凹部311aは、軸方向D1視において略円弧状に形成されると共に軸方向D1に沿って延びている。固定用凹部311aは、回転軸X2のロック解除時にスナップフィット部613の突出部613aに嵌る位置に配置されている。
【0035】
ロック部材21は、第2回転部材31側(第2軸方向D1b)に延び、ロック部材21による回転軸X2のロックを解除するための解除突起212を備える。解除突起212は、円柱状に形成されているが、これに限られない。
【0036】
第2回転部材31は、解除突起212が挿入されると共に第2回転部材31の第2周方向D3bの回転によって解除突起212を回転軸X2側(径方向D2の内側)に移動させることが可能な解除穴312を備える。本実施形態において、解除穴312は、第2回転部材31を軸方向D1に貫通する略台形形状の貫通孔であるが、これに限られない。例えば、解除穴312は、径方向D2に対し傾斜する長孔であってもよく、凹みであってもよい。なお、解除突起212を解除穴312に挿入することにより、解除突起212が解除穴312に引っ掛かり、ロック部材21がケース貫通孔53から脱落することを防止することができる。
【0037】
解除穴312は、径方向D2に対し傾斜する傾斜部312aを備える。傾斜部312aは、第2周方向D3bに向かって径方向D2の外側に傾斜している。斯かる構成によれば、第2回転部材31を第2周方向D3bに回転させた際、解除突起212は、傾斜部312aに沿って径方向D2の内側に移動する。これにより、ロック部材21は円筒体凹部X11から離間し、ロック部材21による回転軸X2のロックが解除される。
【0038】
第2回転部材31は、操作部4を配置するための第2操作部配置孔313を備える。第2操作部配置孔313は、第2回転部材31を軸方向D1に貫通する貫通孔である。第2操作部配置孔313の大きさは、操作部4(後述する操作アーム71,81)の操作(回転)範囲により適宜設定される。
【0039】
本実施形態において、第2回転部材31は、第2中心貫通孔311を挟んで対向するように一対の第2操作部配置孔313,313を備えるが、これに限られない。本実施形態において、一対の第2操作部配置孔313,313は、それぞれ第2中心貫通孔311の中心点を対称点とする点対称形状であるが、これに限られない。例えば、一対の第2操作部配置孔313,313は、それぞれ形状が異なっていてもよい。
【0040】
第2回転部材31は、操作部4(後述する操作アーム71,81)と当接して操作される第2アーム当接部314を備える。本実施形態において、第2アーム当接部314は、第2操作部配置孔313の第2周方向D3bの端部から第1周方向D3aに突出すると共に第1回転部材23側(第1軸方向D1a)に突出する突起であるが、これに限られない。本実施形態において、第2回転部材31は、一対の第2アーム当接部314,314を備え、一対の第2アーム当接部314,314は、それぞれ第2操作部配置孔313,313の径方向D2の外側端に配置されているが、これに限られない。
【0041】
第2アーム当接部314は、第1操作部配置孔233に挿入して配置されている。第2アーム当接部314は、ロック部材21がロック位置P1に位置している状態において、第1操作部配置孔233の第2軸方向D1bの端部と隙間W1(
図6B及び
図7B参照)を空けて配置されている。隙間W1を空けることによって、第2回転部材31を第1回転部材23と独立して回転させることができる。
【0042】
本実施形態において、隙間W1(
図6B及び
図7B参照)は、第2回転部材31の回転初期に第2回転部材31が独立して回転し、第2回転部材31の回転終期に第2アーム当接部314が第1操作部配置孔233の第2軸方向D1bの端部と当接して第1回転部材23と第2回転部材31とが共に回転するように設定されている。
【0043】
これにより、第2回転部材31を回転させてロック部材21を円筒体凹部X11から離間させた後に、第1回転部材23を回転させてロック部材21をケース貫通孔53から第2周方向D3bに離間させることができる。即ち、第2回転部材31及び第1回転部材23の第2周方向D3bの回転によって、ロック部材21をロック位置P1から解除位置P2に変位させることができる。解除位置P2においては、付勢部材22の付勢力によってロック部材21が本体ケース5の内周面に付勢されている。これにより、ロック部材21は、解除位置P2で保持される。
【0044】
図3に示すように、本体ケース5は、第1回転部材23及び第2回転部材31の回転角度を制限するための回転制限用突起54を備える。回転制限用突起54は、本体ケース5の内周面から径方向D2の内側に突出する突起であり、軸方向D1に沿って延びている。
【0045】
第1回転部材23は、第1回転部材23の回転を制限するための第1回転制限用切欠236を備える。第1回転制限用切欠236は、第1回転部材23の径方向D2の外側端に配置され、周方向D3に沿って延びている。第2回転部材31は、第2回転部材31の回転を制限するための第2回転制限用切欠316を備える。第2回転制限用切欠316は、第2回転部材31の径方向D2の外側端に配置され、周方向D3に沿って延びている。
【0046】
第1回転制限用切欠236及び第2回転制限用切欠316の周方向D3の長さは、ロック部材21の飛出し部211の径方向D2の長さや解除穴312の傾斜部312aの傾斜角度などによって適宜設定される。
【0047】
図3~
図5に示すように、操作部4は、ロック部2及び解除部3をそれぞれ遠隔で操作可能な遠隔操作部7と、ロック部2及び解除部3をそれぞれ手動で直接的に操作可能な手動操作部8と、を備える。遠隔操作部7及び手動操作部8は、それぞれ独立してロック部2及び解除部3を操作可能である。
【0048】
遠隔操作部7は、第1回転部材23及び第2回転部材31を回転させることが可能な遠隔操作アーム71と、遠隔操作アーム71を駆動可能な駆動部72と、外部からの操作信号を受信する受信部73と、受信部73が受信した操作信号によって駆動部72を制御する制御部74と、各部72~74に電力を供給する電源部75と、を備える。駆動部72、制御部74及び電源部75は、本体ケース5に取り付けられている。受信部73は、後述する制御基板741上に取り付けられている。なお、例えば、受信部73は、円筒体X1の外側に配置されていてもよい。斯かる受信部73は、第2軸凹部X21cに通る電線によって制御基板741と接続される。
【0049】
図3に示すように、遠隔操作アーム71は、駆動部72に取り付けられる遠隔操作アーム本体711と、第1回転部材23及び第2回転部材31を回転させるための遠隔アーム部712と、を備える。本実施形態において、遠隔操作アーム本体711は、略円柱状に形成されているが、これに限られない。
【0050】
本実施形態において、遠隔アーム部712は、遠隔操作アーム本体711の外周面から径方向D2の外側に延びる略直方体状に形成されているが、これに限られない。遠隔アーム部712の軸方向D1の寸法は、第1回転部材23及び第2回転部材31の各板厚(第2アーム当接部314を除く)を足した寸法と実質的に同一であることが好ましい。
【0051】
本実施形態においては、遠隔アーム部712の第1周方向D3a側の第1遠隔アーム側面712aが第1アーム当接部234と当接して第1回転部材23を回転させ、遠隔アーム部712の第2周方向D3b側の第2遠隔アーム側面712bが第2アーム当接部314と当接して第2回転部材31を回転させる、という構成であるが、これに限られない。例えば、遠隔アーム部712は、遠隔操作アーム本体711から延びる複数のアームを備え、各アームが各回転部材23,31を回転させる、という構成であってもよい。本実施形態において、第1遠隔アーム側面712aは、第2遠隔アーム側面712bと平行であるが、これに限られない。
【0052】
駆動部72は、電動モータである。電動モータとしては、例えば、ステッピングモータやその他のDCモータなどを用いることができる。本実施形態において、遠隔操作アーム71は、駆動部72に直接取り付けられているが、これに限られない。例えば、遠隔操作アーム71は、ギアを介して駆動部72に取り付けられる、という構成であってもよい。
【0053】
図5に示すように、受信部73は、外部からの操作信号(ロック信号、解除信号)を受信する。操作信号としては、例えば、赤外線などの所定の波長を有する光信号やBluetooth(登録商標)などの無線信号などを用いることができる。操作信号は、操作信号発信機(不図示)から発信される。操作信号発信機は、例えば、手動操作部8を手動で操作するための鍵(不図示)と一体であってもよく、別体であってもよい。
【0054】
図3及び
図5に示すように、制御部74は、制御基板741を備える。受信部73がロック信号を受信した場合、制御部74は、駆動部72を制御して遠隔操作アーム71を第1周方向D3a側に回転させ、ロック部材21で回転軸X2をロックする。受信部73が解除信号を受信した場合、制御部74は、駆動部72を制御して遠隔操作アーム71を第2周方向D3bに回転させ、ロック部材21による回転軸X2のロックを解除する。
【0055】
図5に示すように、電源部75は、DC電源である。DC電源としては、例えば、充電可能な電池を用いることができる。
【0056】
ロック装置1は、電源部75に電力を供給するための発電部9を備える。発電部9は、回転軸X2と共に回転するロータ91と、ロータ91の外周を覆うように配置されるステータ92と、を備える。本実施形態において、ロータ91は、巻線型ロータであり、ステータ92は、永久磁石型ステータである。ロータ91は、回転軸X2に固定され、位置決め部X21aと第2軸受部X4との間に配置されている。ステータ92は、円筒体X1の内周面に配置されている。
【0057】
図3及び
図4に示すように、手動操作部8は、第1回転部材23及び第2回転部材31をそれぞれ独立して回転させることが可能な手動操作アーム81と、挿し込んだ鍵を回転させることによって手動操作アーム81を回転させることが可能なシリンダ錠82と、を備える。本実施形態において、手動操作アーム81は、回転軸X2を挟んで遠隔操作アーム71と対向して配置されているが、これに限られない。
【0058】
手動操作アーム81は、シリンダ錠82のシリンダ軸821に取り付けられる手動操作アーム本体811と、第1回転部材23及び第2回転部材31を回転させるための手動アーム部812と、を備える。本実施形態において、手動操作アーム本体811は、略円柱状に形成されているが、これに限られない。
【0059】
本実施形態において、手動アーム部812は、手動操作アーム本体811の外周面から径方向D2の外側に延びる略直方体状に形成されているが、これに限られない。手動アーム部812の軸方向D1の寸法は、第1回転部材23及び第2回転部材31の各板厚(第2アーム当接部314を除く)を足した寸法と実質的に同一であることが好ましい。
【0060】
本実施形態においては、手動アーム部812の第1周方向D3a側の第1手動アーム側面812aが第1アーム当接部234と当接して第1回転部材23を回転させ、手動アーム部812の第2周方向D3b側の第2手動アーム側面812bが第2アーム当接部314と当接して第2回転部材31を回転させる、という構成であるが、これに限られない。例えば、手動アーム部812は、手動操作アーム本体811から延びる複数のアームを備え、各アームが各回転部材23,31を回転させる、という構成であってもよい。本実施形態において、第1手動アーム側面812aは、第2手動アーム側面812bと平行であるが、これに限られない。
【0061】
図4に示すように、本体ケース5は、シリンダ錠82を取り付けるためのシリンダ錠取付部55を備える。シリンダ錠取付部55は、本体ケース5の第1軸方向D1aの端部から第2軸方向D1bに沿って延びる窪みである。シリンダ錠取付部55は、第2軸方向D1bの底部にシリンダ錠82のシリンダ軸821を挿通させるためのシリンダ軸挿通孔551を備える。
【0062】
シリンダ錠82は、シリンダ錠取付部55に嵌め込まれ、シリンダ錠取付部55と第1軸受部押さえX5とによって挟持される。第1軸受部押さえX5は、鍵をシリンダ錠82に差し込むための鍵孔X51を備える。シリンダ錠82とシリンダ錠取付部55との間には、円筒体X1の内部に水が浸入することを防ぐ観点から、Oリングなどのシール材が設けられていることが好ましい。
【0063】
本実施形態に係るロック装置1による回転軸X2のロック(施錠)原理について説明する。
【0064】
図3~
図5に示すように、操作信号発信機から発信されたロック信号を受信部73が受信した場合、制御部74が駆動部72を制御して遠隔操作アーム71を第1周方向D3aに回転させる。鍵でシリンダ錠82のシリンダ軸821を第1周方向D3a側に回転させた場合、手動操作アーム81が第1周方向D3aに回転する。
【0065】
図6A及び
図6Bは、遠隔操作アーム71を操作して回転軸X2をロックした場合を示す図であり、
図7A及び
図7Bは、手動操作アーム81を操作して回転軸X2をロックした場合を示す図である。
【0066】
図6A及び
図7Aに示すように、遠隔操作アーム71又は手動操作アーム81を第1周方向D3aに回転させると、第1遠隔アーム側面712a又は第1手動アーム側面812aが第1アーム当接部234と当接し、第1回転部材23が第1周方向D3aに回転する。そして、
図6B及び
図7Bに示すように、本体ケース5の内周面で保持されていたロック部材21の飛出し部211がケース貫通孔53から飛び出す。その結果、ロック部材21は、円筒体凹部X11に嵌り、回転軸X2をロックすることができる。
【0067】
図6A~
図7Bに示すように、第1回転部材23が第1周方向D3aに回転した際、解除穴312の傾斜部312aがロック部材21の解除突起212に押され、第2回転部材31も第1周方向D3aに回転する。第2回転部材31の第1周方向D3aへの回転は、第2回転制限用切欠316が回転制限用突起54と当接することにより制限される。飛出し部211がケース貫通孔53から飛び出すと、解除穴312は、解除突起212と当接し付勢部材22によって径方向D2の外側に付勢される。これにより、第2回転部材31の第2周方向D3bへの回転も抑制される。
【0068】
図6B及び
図7Bに示すように、ロック位置P1において、解除突起212は、解除穴312の傾斜部312aと当接していることが好ましい。これにより、傾斜部312aに付勢部材22よる付勢力が加わり、第2回転部材31に第1周方向D3aに回転する力を加えることができる。その結果、第2回転部材31は、ロック位置P1において、第2回転制限用切欠316と回転制限用突起54とが当接した状態で略固定される。
【0069】
ロック位置P1において、ロック部材21の飛出し部211がケース貫通孔53から飛び出すことにより、第1回転部材23は、周方向D3の回転が制限され略固定される。ロック位置P1における第1回転部材23の周方向D3の回転を制限する観点から、飛出し部211とケース貫通孔53との周方向D3の隙間は、小さいほうが好ましい。
【0070】
次に本実施形態に係るロック装置1による回転軸X2のロック解除(解錠)の原理について説明する。
【0071】
図3~
図5に示すように、操作信号発信機から発信された解除信号を受信部73が受信した場合、制御部74が駆動部72を制御して遠隔操作アーム71を第2周方向D3bに回転させる。鍵でシリンダ錠82のシリンダ軸821を第2周方向D3b側に回転させた場合、手動操作アーム81が第2周方向D3bに回転する。
【0072】
図8A及び
図8Bは、遠隔操作アーム71を操作して回転軸X2のロックを解除した場合を示す図であり、
図9A及び
図9Bは、手動操作アーム81を操作して回転軸X2のロックを解除した場合を示す図である。
【0073】
図8A及び
図9Aに示すように、遠隔操作アーム71又は手動操作アーム81を第2周方向D3bに回転させると、第2遠隔アーム側面712b又は第2手動アーム側面812bが第2アーム当接部314と当接し、第2回転部材31が第2周方向D3bに回転する。そして、
図8B及び
図9Bに示すように、解除突起212が傾斜部312aに沿って径方向D2の内側に移動し、ロック部材21が円筒体凹部X11から離間する。その結果、ロック部材21による回転軸X2のロックが解除される。
【0074】
図8A~
図9Bに示すように、ロック部材21が円筒体凹部X11から離間した後に、第2回転部材31の第2アーム当接部314の第2周方向D3bの側面314aが第1操作部配置孔233の第2軸方向D1bの端部と当接して第1回転部材23と第2回転部材31とが共に第2周方向D3bに回転する。そして、ロック部材21は、ケース貫通孔53から離間し、本体ケース5の内周面に付勢され保持される。
【0075】
図8B及び
図9Bに示すように、解除位置P2において、第1回転部材23は、ロック部材21が本体ケース5の内周面に付勢されることによって周方向D3の回転が制限され略固定される。解除位置P2において、第2回転部材31は、固定用凹部311aがスナップフィット部613の突出部613aに嵌ることによって略固定される。
【0076】
以上より、本実施形態に係るロック装置1は、円筒体X1の中心部に設けられた回転軸X2をロックするためのロック部2と、ロック部2による回転軸X2のロックを解除するための解除部3と、ロック部2及び解除部3を操作するための操作部4と、を備え、操作部4は、ロック部2及び解除部3をそれぞれ遠隔で操作可能な遠隔操作部7と、ロック部2及び解除部3をそれぞれ手動で直接的に操作可能な手動操作部8と、を備える、という構成が好ましい。
【0077】
斯かる構成によれば、遠隔操作部7又は手動操作部8でロック部2及び解除部3をそれぞれ操作することによって、回転軸X2のロック又はロック解除をすることができる。これにより、遠隔操作部7及び手動操作部8の何れかでロック装置1を操作することができ、遠隔操作部7及び手動操作部8のうち一方が操作不能になった場合でも他方でロック装置1を操作することができる。
【0078】
本実施形態に係るロック装置1は、ロック部2、解除部3及び操作部4が取り付けられると共に円筒体X1の内部で回転軸X2に固定される本体ケース5を備え、ロック部2は、円筒体X1の内周面に設けられた円筒体凹部X11に嵌めることによって回転軸X2をロック可能なロック部材21と、ロック部材21を円筒体凹部X11側(径方向D2の外側)に付勢する付勢部材22と、ロック部材21を摺動可能に嵌めることが可能なロック部材嵌込部232を備えると共に回転軸X2に回転可能に取り付けられる第1回転部材23と、を備え、解除部3は、第1回転部材23と隣接して回転軸X2に回転可能に取り付けられる第2回転部材31を備え、ロック部材21は、第2回転部材31側(第2軸方向D1b)に延びると共にロック部材21による回転軸X2のロックを解除するための解除突起212を備え、第2回転部材31は、解除突起212が挿入されると共に第2回転部材31の回転によって解除突起212を回転軸X2側(径方向D2の内側)に移動させることが可能な解除穴312を備え、遠隔操作部7及び手動操作部8は、第1回転部材23及び第2回転部材31を回転させることが可能な操作アームを備える、という構成が好ましい。
【0079】
斯かる構成によれば、回転軸X2のロック解除状態において遠隔操作部7又は手動操作部8で操作アームを操作することによって、第1回転部材23が回転し、ロック部材21が円筒体凹部X11に嵌り、回転軸X2をロックすることができる。また、回転軸X2のロック状態において遠隔操作部7又は手動操作部8で操作アームを操作することによって、第2回転部材31が回転し、解除突起212が回転軸X2側(径方向D2の内側)に移動してロック部材21が円筒体凹部X11から離間し、ロック部材21による回転軸X2のロックを解除することができる。
【0080】
本実施形態に係るロック装置1において、ロック部材21の先端(飛出し部211)は、第1回転部材23の(径方向D2の)外側に向かって幅狭に形成され、円筒体凹部X11の深さは、ロック部材21の先端(飛出し部211)の長さよりも小さい、という構成が好ましい。
【0081】
斯かる構成によれば、ロック部材21による回転軸X2のロック後に回転軸X2に回転力が加えられた際、ロック部材21の先端(飛出し部211)が円筒体凹部X11を乗り越えて回転軸X2を回転させることができる。これにより、回転軸X2のロック後にロック部材21に周方向D3の力が加わり、ロック部材21が破損することを防止することができる。
【0082】
本実施形態に係るロック装置1において、遠隔操作部7は、第1回転部材23及び第2回転部材31を回転させることが可能な遠隔操作アーム71を備え、手動操作部8は、第1回転部材23及び第2回転部材31を回転させることが可能な手動操作アーム81を備え、遠隔操作アーム71及び手動操作アーム81は、それぞれ回転軸X2を挟んで対向して配置されている、という構成が好ましい。
【0083】
斯かる構成によれば、遠隔操作アーム71及び手動操作アーム81を回転軸X2を中心に対向させることにより、本体ケース5内のデッドスペースを減らすことができ、ロック装置1をコンパクトにすることができる。
【0084】
本実施形態において、自転車用ハブ(円筒体X1)は、ロック装置1を備える、という構成が好ましい。
【0085】
斯かる構成によれば、自転車用ハブ(円筒体X1)に設けたロック装置1の遠隔操作部7又は手動操作部8の何れかの操作によって、回転軸X2(車輪)のロック及びロック解除をすることができる。これにより、遠隔操作部7及び手動操作部8の一方が操作不能になった場合でも他方で回転軸X2(車輪)のロック及びロック解除をすることができる。
【0086】
なお、ロック装置1及びそれを備える自転車用ハブ(円筒体X1)は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、ロック装置1及びそれを備える自転車用ハブ(円筒体X1)は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0087】
本実施形態に係る操作部4おいて、遠隔操作部7は、第1回転部材23及び第2回転部材31を回転させることが可能な遠隔操作アーム71を備え、手動操作部8は、第1回転部材23及び第2回転部材31を回転させることが可能な手動操作アーム81を備える、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、操作部4は、遠隔操作部7及び手動操作部8のそれぞれに連結されると共に第1回転部材23及び第2回転部材31を回転させることが可能な単一の操作アームを備える、という構成であってもよい。
【0088】
本実施形態において、遠隔操作アーム71及び手動操作アーム81は、第1回転部材23の一対の第1操作部配置孔233,233及び第2回転部材31の一対の第2操作部配置孔313,313にそれぞれ配置されているが、斯かる配置に限られない。例えば、遠隔操作アーム71及び手動操作アーム81は、第1回転部材23及び第2回転部材31よりも径方向D2の外側に配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1…ロック装置、2…ロック部、21…ロック部材、211…飛出し部、212…解除突起、22…付勢部材、23…第1回転部材、231…第1中心貫通孔、232…ロック部材嵌込部、233…第1操作部配置孔、234…第1アーム当接部、236…第1回転制限用切欠、3…解除部、31…第2回転部材、311…第2中心貫通孔、311a…固定用凹部、312…解除穴、312a…傾斜部、313…第2操作部配置孔、314…第2アーム当接部、316…第2回転制限用切欠、4…操作部、5…本体ケース、5a…開口部、51…第1筒状部、511…第1嵌合凸部、52…段差部、53…ケース貫通孔、54…回転制限用突起、55…シリンダ錠取付部、551…シリンダ軸挿通孔、6…カバー部、61…第2筒状部、611…第2嵌合凸部、612…筒状部貫通孔、613…スナップフィット部、613a…突出部、7…遠隔操作部、71…遠隔操作アーム、711…遠隔操作アーム本体、712…遠隔アーム部、712a…第1遠隔アーム側面、712b…第2遠隔アーム側面、72…駆動部、73…受信部、74…制御部、741…制御基板、75…電源部、8…手動操作部、81…手動操作アーム、811…手動操作アーム本体、812…手動アーム部、812a…第1手動アーム側面、812b…第2手動アーム側面、82…シリンダ錠、821…シリンダ軸、9…発電部、91…ロータ、92…ステータ、P1…ロック位置、P2…解除位置、X1…円筒体、X1a…円筒体凹部、X2…回転軸、X21…厚肉部、X21a…位置決め部、X21b…第1軸凹部、X21c…第2軸凹部、X22…雄ねじ部、X3…第1軸受部、X4…第2軸受部、X5…第1軸受部押さえ、X51…鍵孔、X6…第2軸受部押さえ、X7…雌ねじ