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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】食材供給装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 39/02 20060101AFI20241121BHJP
   A23L 3/36 20060101ALI20241121BHJP
   F25D 25/04 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
A47J39/02
A23L3/36 Z
F25D25/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021138230
(22)【出願日】2021-08-26
(65)【公開番号】P2023032225
(43)【公開日】2023-03-09
【審査請求日】2024-08-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519020616
【氏名又は名称】TechMagic株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207066
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 毅
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 岳史
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-339346(JP,A)
【文献】特開平10-334335(JP,A)
【文献】特開昭50-70097(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111003439(CN,A)
【文献】特開2021-121305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 39/02
A23L 3/36
F25D 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の食材を収容する本体と、該本体の内部に設けて前記多数の食材を保管する食材保管ユニットと、該食材保管ユニットに組み込まれて前記多数の食材を整列載置するトレーと、前記本体に設けて隣接設置する他装置側で開閉自在な食材供給扉と、前記本体に設けて前記トレーに前記食材を補充する補充用扉とを備えた、食材供給装置であって、
前記食材保管ユニットが、前記トレー上の前記食材を前記食材供給扉側に向けて送り出す食材送出部材を備えているとともに、
前記トレーが、前記食材送出部材の食材送り出し方向に対して交差するトレー引出し方向に前記本体の内部から前記補充用扉に向けて引き出し自在となるように設けられ、
前記食材保管ユニットが、前記食材送出部材を駆動する駆動機構と前記トレーの引き出し操作に連動して前記駆動機構を解除する伝達解除機構とを備え、
前記駆動機構が、動力源に連結された駆動伝達部材と該駆動伝達部材の動力を前記食材送出部材に伝達する従動伝達部材とを有し、
前記伝達解除機構が、前記トレーを引き出し操作するトレー引出機構と該トレー引出機構によって前記駆動伝達部材から前記従動伝達部材への動力の伝達を解除する伝達解除機構とを有していることを特徴とする食材供給装置。
【請求項2】
前記伝達解除機構が、リンク機構であることを特徴とする請求項1に記載の食材供給装置。
【請求項3】
前記トレー引出機構が操作用レバーを備えるレバー機構であることを特徴とする請求項1に記載の食材供給装置。
【請求項4】
前記従動伝達部材の従動軸が、前記食材送り出し方向に沿って配置され、
前記トレーが、前記食材送出部材と共に引き出し自在となっていることを特徴とする請求項に記載の食材供給装置。
【請求項5】
前記トレー引出機構が、前記本体内における前記トレーの収納位置をロック自在とするロック部を備えていることを特徴とする請求項に記載の食材供給装置。
【請求項6】
前記トレー引出機構が、前記補充用扉の内側に設けられていることを特徴とする請求項に記載の食材供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材塊の供給装置に関するものであって、特に、保温庫本体内の食材塊を他装置側に供給するとともに保温庫本体内に新たな食材塊を補充する食材供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、飲食店における従業員不足等の背景から、調理工程の一部もしくは全体を自動化したいという要請があり、この調理工程の一部を自動化した各種の調理装置やこれらの装置を統合して自動化した料理自動提供システムの開発が進められている。
【0003】
従来、顧客の注文に応じて多種多様な食材を調理可能な料理自動提供システムの一例として、冷凍麺を保温収容する食材供給装置、茹で器、調理容器を洗浄する洗浄機、加熱調理が可能な加熱調理装置、提供容器に調理された料理を盛り付ける盛付装置などを調理フロアに直列配置した麺料理自動提供システムがある。(特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】WО/2020/166723号公報(特に、請求項8、図4を参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、上述したような従来の麺料理自動提供システムにおいては、麺供給装置内で保温収容されている冷凍麺を加熱調理装置に供給して直ちに調理するため、麺供給装置が加熱調理装置に隣接して直列配置されている。
しかしながら、このような麺料理自動提供システムに配備する麺供給装置が、この麺供給装置の加熱調理装置側またはその反対側となる上流側から冷凍麺の補充を行うように装置設計されている場合、麺料理自動提供システムの設置スペースが長大になるため、麺料理自動提供システムの小型化は期待できず、その物理的な設置場所が制約される。
特に、麺供給装置の加熱調理装置側で冷凍麺の補充を行うように装置設計した場合には、麺供給装置と加熱調理装置との間に冷凍麺の補充作業に充分なスペースが確保できないため、麺供給装置の奥側に対する冷凍麺の補充作業が困難かつ不便であった。
一方、加熱調理装置の反対側となる麺供給装置の上流側から冷凍麺の補充を行うように装置設計した場合には、冷凍麺の補充側と供給側との両方の開口部によって麺供給装置内の冷凍麺がその外部空調環境に晒されて結露し易くなるため、この結露した水分によって冷凍麺の品質が劣化し、冷凍麺に特有の風味を維持することが困難になったり、冷凍麺の収容上の充分な衛生管理が必要であった。
さらに詳しくは、一般に、麺は、生麺を茹でた直後に食べるのが美味であるが、調理時間が長くなってしまうため、予め茹でた茹で麺を冷凍保存してデンプンのベータ化を阻止する冷凍麺が多用され、この冷凍麺に対する品質維持と衛生管理が重要になっている。
【0006】
そこで、本発明の目的は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、食材料理自動提供システムの設置スペースを削減させて設置場所の自由度を拡大し、食材の風味を維持しつつ食材塊を衛生的に収容管理するとともに食材塊の補充作業を迅速かつ簡便に達成する食材供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、多数の食材を収容する本体と、該本体の内部に設けて前記多数の食材を保管する食材保管ユニットと、該食材保管ユニットに組み込まれて前記多数の食材を整列載置するトレーと、前記本体に設けて隣接設置する他装置側で開閉自在な食材供給扉と、前記本体に設けて前記トレーに前記食材を補充する補充用扉とを備えた、食材供給装置であって、前記食材保管ユニットが、前記トレー上の前記食材を前記食材供給扉側に向けて送り出す食材送出部材を備えているとともに、前記トレーが、前記食材送出部材の食材送り出し方向に対して交差するトレー引出し方向に前記本体の内部から前記補充用扉に向けて引き出し自在となるように設けられ、前記食材保管ユニットが、前記食材送出部材を駆動する駆動機構と前記トレーの引き出し操作に連動して前記駆動機構を解除する伝達解除機構とを備え、前記駆動機構が、動力源に連結された駆動伝達部材と該駆動伝達部材の動力を前記食材送出部材に伝達する従動伝達部材とを有し、
前記伝達解除機構が、前記トレーを引き出し操作するトレー引出機構と該トレー引出機構によって前記駆動伝達部材から前記従動伝達部材への動力の伝達を解除する伝達解除機構とを有していることを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載された食材供給装置の構成に加えて、前記伝達解除機構が、リンク機構であることを特徴としている。
【0009】
請求項3の発明は、請求項に記載された食材供給装置の構成に加えて、前記トレー引出機構が操作用レバーを備えるレバー機構であることを特徴としている。
【0010】
請求項4の発明は、請求項に記載された食材供給装置の構成に加えて、前記従動伝達部材の従動軸が、前記食材送り出し方向に沿って配置され、前記トレーが、前記食材送出部材と共に引き出し自在となっていることを特徴としている。
【0011】
請求項5の発明は、請求項に記載された食材供給装置の構成に加えて、前記トレー引出機構が、前記本体内における前記トレーの収納位置をロック自在とするロック部を備えていることを特徴としている。
【0012】
請求項6の発明は、請求項に記載された食材供給装置の構成に加えて、前記トレー引出機構が、前記補充用扉の内側に設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の食材供給装置は、多数の食材塊を保温収容する保温庫本体と、この保温庫本体の内部に設けて多数の食材塊を保管する食材保管ユニットと、この食材保管ユニットに組み込まれて多数の食材塊を整列載置するトレーと、保温庫本体に設けて隣接設置する他装置側で開閉自在な食材供給扉と、保温庫本体に設けてトレーに食材塊を補充する補充用扉とを備えていることによって、多数の冷凍麺塊が保温庫本体内に保温収容され、この保温庫本体内における食材保管ユニットのトレーに個々に整列載置された食材塊を保温庫本体の食材供給扉を介して他装置側に供給したり、保温庫本体の補充用扉を介して保温庫本体内に新たな食材塊を補充するとともに、食材供給装置内の食材塊をその外部空調環境に不用意に晒すことなく食材に特有の風味を維持し、食材の収容上の充分な衛生管理を達成するばかりでなく、以下のような本発明の食材供給装置に特有の効果を奏することができる。
すなわち、請求項1に係る発明の食材供給装置によれば、食材保管ユニットがトレー上の多数の食材塊を供給扉側に向けて順次送り出す食材送出部材を備えていることにより、食材塊の補充を行うスペースが保温庫本体の手前側となる補充用扉側に確保されるため、従来の麺料理自動提供システムのように食材供給装置の加熱調理装置側またはその反対側となる上流側から食材塊の補充を行う必要が無く、食材料理自動提供システムの設置スペースを削減してその物理的な設置場所の自由度を拡大することができる。
そして、トレーが、食材送出部材の食材送り出し方向に対して交差するトレー引出し方向に保温庫本体の内部から補充用扉に向けて引き出し自在となるように設けられていることにより、食材供給装置に対する食材塊の補給が、食材供給装置から加熱調理装置側に対する食材塊の供給と別異の補充用扉側となる食材供給装置の手前側で行われるため、食材塊の補充作業を迅速かつ簡便に達成することができる。
【0014】
さらに、請求項1に係る発明の食材供給装置によれば、請求項1に記載の食材供給装置が奏する効果に加えて、食材保管ユニットが食材送出部材を駆動する駆動機構とトレーの引き出し操作に連動して駆動機構を解除する伝達解除手段とを備えていることにより、トレーの引き出し操作と同時に、駆動機構の食材送出部材に対する動力の伝達を解除して食材送出部材の供給動作が停止するため、引き出したトレー内に食材塊の補充を確実かつ安全に行うことができる。
【0015】
さらに、請求項1に係る発明の食材供給装置によれば、駆動機構が動力源に連結された駆動伝達部材とこの駆動伝達部材の動力を麺送出部材に伝達する従動伝達部材とを有していることにより、トレーと共に食材送出部材が引き出されるため、トレー上に食材送出部材を保持した状態で、トレーを引き出して食材送出部材に倣って食材塊の確実な取り出しや補充を順次達成でき、食材塊の取り出しや補充を手間取ることなく短時間でより簡便に行うことができ、その結果として、食材塊の取り出しや補充の際の食材塊の劣化や外部空調環境からの汚染などを抑制することができる。
【0016】
さらに、請求項1に係る発明の食材供給装置によれば、前記伝達解除機構が、前記トレーを引き出し操作するトレー引出機構と該トレー引出機構によって前記駆動伝達部材から前記従動伝達部材への動力の伝達を解除する伝達解除機構とを有していることにより、レバー操作によって駆動伝達部材から従動伝達部材への動力の伝達が解除されるため、トレーの引き出しを簡便かつ迅速に達成することができ、その結果として、食材塊の取り出しや補充の際の食材塊の劣化や外部空調環境からの汚染などをより一段と抑制することができる。
請求項に係る発明の食材供給装置によれば、請求項に記載の食材供給装置が奏する効果に加えて、前記伝達解除機構が、リンク機構であることにより、レバー操作によって駆動伝達部材から従動伝達部材への動力の伝達が解除されるため、トレーの引き出しを簡便かつ迅速に達成することができ、その結果として、食材塊の取り出しや補充の際の食材塊の劣化や外部空調環境からの汚染などをより一段と抑制することができる。
請求項に係る発明の食材供給装置によれば、請求項に記載の食材供給装置が奏する効果に加えて、前記トレー引出機構が操作用レバーを備えるレバー機構であることにより、レバー操作によって駆動伝達部材から従動伝達部材への動力の伝達が解除されるため、トレーの引き出しを簡便かつ迅速に達成することができ、その結果として、食材塊の取り出しや補充の際の食材塊の劣化や外部空調環境からの汚染などをより一段と抑制することができる。
請求項に係る発明の食材供給装置によれば、請求項に記載の食材供給装置が奏する効果に加えて、前記従動伝達部材の従動軸が、前記食材送り出し方向に沿って配置され、
前記トレーが、前記食材送出部材と共に引き出し自在となっていることにより、トレーと共に食材送出部材が引き出されるため、トレー上に食材送出部材を保持した状態で、トレーを引き出して食材送出部材に倣って食材塊の確実な取り出しや補充を順次達成でき、食材塊の取り出しや補充を手間取ることなく短時間でより簡便に行うことができ、その結果として、食材塊の取り出しや補充の際の食材塊の劣化や外部空調環境からの汚染などを抑制することができる。
【0017】
請求項5に係る発明の食材供給装置によれば、請求項に記載の食材供給装置が奏する効果に加えて、前記トレー引出機構が、前記本体内における前記トレーの収納位置をロック自在とするロック部を備えているため、保温庫本体内からのトレーの不用意な飛び出しが阻止され、レバー操作でレバー機構を操作した場合は、駆動伝達部材から従動伝達部材への動力の伝達が解除されると同時にロック部によるロックが解除されて食材送出部材の供給動作が停止するため、食材送出部材の供給動作が完全に停止状態で保温庫本体内からトレーを円滑に引き出すことができる。
【0018】
請求項6に係る発明の食材供給装置によれば、請求項に記載の食材供給装置が奏する効果に加えて、前記トレー引出機構が、前記補充用扉の内側に設けられているため、食材塊の取り出しおよび補充に伴う保温庫本体内の食材塊の収容状態をより衛生的に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の食材供給装置の一実施例である冷凍麺供給装置の全体を示す斜視図。
図2】冷凍麺供給装置に設けた補充用扉側から視た正面図。
図3図2に示すIIIの部分を拡大した詳細図。
図4A図1の冷凍麺供給装置に用いた食材保管ユニットの一部構造を示す斜視図。
図4B図4Aの一部を拡大した斜視図。
図5A図1の冷凍麺供給装置に用いた食材保管ユニットの一部構造であるレバー機構の周辺を示す斜視図。
図5B図5Aにおけるロック部の周辺を示す拡大図。
図6】レバー操作によってトレーを引出す動作の説明図。
図7】トレーを引出すためのレバーの動作状態を示す説明図。
図8】トレー引出しのためのレバー操作によるロック解除動作の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、多数の食材塊を保温収容する保温庫本体と、この保温庫本体の内部に設けて多数の食材塊を保管する食材保管ユニットと、この食材保管ユニットに組み込まれて多数の食材塊を整列載置するトレーと、前記保温庫本体に設けて隣接設置する他装置側で開閉自在な食材供給扉と、前記保温庫本体に設けてトレーに食材塊を補充する補充用扉とを備えた食材供給装置であって、食材保管ユニットが、トレー上の食材塊を食材供給扉側に向けて順次送り出す食材送出部材を備え、トレーが、食材送出部材の食材送り出し方向に対して交差するトレー引出し方向に保温庫本体の内部から補充用扉に向けて引き出し自在となるように設けられ、料理自動提供システムの設置スペースを削減させて設置場所の自由度を拡大し、食材塊の風味を維持しつつ食材塊を衛生的に収容管理するとともに食材塊の補充作業を迅速かつ簡便に達成するものであれば、その具体的な実施形態は、如何なるものであっても良い。
なお、本発明の食材供給装置で取り扱う食材塊については、食材送出部材によって食材塊として送り出し可能な形状のものであれば、その食種や形態やその包装の有無は如何なるものであっても良く、あるいは、最終調理の前段階までの簡単な調理を施されたいわゆる半調理品以外に、調理が施されていないもの、例えば、生麺、乾麺、さらには、麺以外の食品全般であっても良いが、パスタ(ショートパスタ、ロングパスタ、平打ちパスタ等を含む)、うどん、そば、および、中華麺等の各種麺類を茹で上げるか又は蒸し上げた後に急速冷凍した冷凍麺塊が特に好適である。ここでは、食材塊について多数という用語を用いたが、特に食材塊の個数を限定することを意図したものではなく、保温庫本体は複数の食材塊を収容できればよい。
また、取り扱う食材塊は、麺類に限定されるものではなく、野菜類や肉類等様々な食材塊を含む。
また、本発明では、保温庫本体内が温度調整器によって貯蔵される食品に応じた温度に保持されている。すなわち、保温庫本体内は、温度調整器によって、冷凍、冷蔵、あるいは、加熱温度帯で保持されても良い。
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の食材供給装置に係る実施形態について説明する。
なお、以下の説明において、異なる図面においても同じ符号を付した構成は、同様のものであるとして、その説明を省略する場合がある。
【実施例
【0022】
本発明の食材供給装置の一実施例である冷凍麺供給装置について、図1図5に基づいて説明すると、以下の通りである。
なお、図1中に示すX軸プラス方向は、麺送り出し方向であり、Y軸プラス方向は、トレー引き出し方向とする。
【0023】
<冷凍麺供給装置100の全体概要>
本実施例の冷凍麺供給装置100は、例えば、パスタからなる麺料理を顧客からの注文に応じて自動的に提供する一貫ラインに組み込まれ、注文の料理に用いられる食材塊の冷凍麺塊Mを保温庫本体110内から送り出して一貫ラインの隣接する他装置(不図示)に供給するものである。
なお、ここで意味する他装置としては、特に限定されるものではないが、例えば、冷凍麺供給装置100から供給された冷凍麺塊Mを受け取り、受け取った冷凍麺塊Mを茹で器に投入する装置である。また、冷凍麺塊Mを冷凍麺供給装置100から茹で器に投入するために、冷凍麺搬送装置が設けられる。冷凍麺搬送装置は、冷凍麺供給装置100の供給ガイド115から取り出された冷凍麺塊Mを受け取り、茹で器へ搬送する。
より具体的には、冷凍麺搬送装置が茹でかごを搬送できるように構成されている場合、冷凍麺供給装置100から冷凍麺塊Mを茹でかごで受け取り、冷凍麺搬送装置はそのまま茹でかごを茹で器の茹で麺槽に搬送し、冷凍麺塊Mを茹で調理することができる。
さらに、茹で調理された冷凍麺塊Mは、次工程に搬送され、具材と共に加熱調理され、顧客の注文に応じたパスタを自動的に調理し、顧客に提供することができる。
本実施形態の冷凍麺供給装置100は、コントローラ(図示省略)を有しており、注文入力装置から顧客の注文に応じた冷凍麺塊Mを、冷凍麺搬送装置の茹でかごに供給する。パスタ製造システム全体はシステムコントローラ(図示省略)を有しており、システムコントローラには注文入力装置が接続され、注文入力装置からの顧客の注文に応じて冷凍麺塊Mの供給指令が冷凍麺供給装置100のコントローラに送信される。冷凍麺供給装置100のコントローラは、システムコントローラからの冷凍麺塊Mの供給指令に基づき、駆動モータ121A、麺供給扉113等の駆動手段を制御することにより、冷凍麺塊Mが冷凍麺搬送装置の茹でかごに供給される。また、システムコントローラは、パスタ製造システムの他の装置、冷凍麺搬送装置、茹で器等の制御も行うことにより、顧客の注文に応じて自動的にパスタが調理され、顧客に提供される。
また、本実施例の冷凍麺供給装置100で取り扱う冷凍麺塊Mとは、茹で上げるか又は蒸し上げた後に急速冷凍した、例えば、一人前の分量からなるパスタの塊である。後述のように小盛のパスタの塊を保管しておくこともできる。
【0024】
冷凍麺供給装置100は、図1及び図2に示すように、パスタからなる複数の冷凍麺塊Mが3段の各トレー124上に載置されると共に、食材送出部材となる麺送出部材122を駆動機構121により駆動して冷凍麺塊Mを保温庫本体110内の各トレー124から順次送り出して供給するものであり、各トレー124が、麺送出部材122による冷凍麺塊Mの麺送り出し方向に対して交差するトレー引出し方向に保温庫本体110から補充用扉114に向けて引き出し自在に設けられている。
【0025】
この冷凍麺供給装置100は、保温庫本体110と、各トレー124を食材送り出し方向である麺送り出し方向(X方向)に対して交差するトレー送り出し方向(Y方向)に保温庫本体110から引き出し自在とする3つの食材保管ユニット120とで構成されている。
【0026】
(1)保温庫本体110の具体的構成について
保温庫本体110は、内部に冷凍麺塊Mの保管空間が形成された箱型をなし、麺送り出し方向の面に3つの供給側開口111が形成され、トレー引出し方向の面に引出し側開口112が形成されている。
【0027】
そして、保温庫本体110は、各供給側開口111を自動で開閉する3つの食材供給扉である麺供給扉113と、引出し側開口112を開閉する補充用扉114と、を備えている。
また、保温庫本体110の上部には、保管空間の温度を所定の温度に保持する温度調整器が設けられている。
なお、本実施例では、保温庫本体110の内が温度調整器によって冷凍温度に保持されている。
【0028】
麺供給扉113は、パスタ料理に用いる冷凍麺塊Mが供給側開口111を通過する直前に自動で開かれ、冷凍麺塊Mが供給側開口111を通過した直後に自動で閉じられる。
このため、保温庫本体110内の温度が、保温庫本体110外への冷凍麺塊Mの繰り返しの送り出し動作によらず安定的に維持されるようになっている。
なお、温度調整器は、冷凍温度帯に温度調整するものだけでなく、保温庫本体110内に貯蔵されるパスタ料理に用いる冷凍麺塊Mに応じた温度に調整するものであればよい。温度調整器は、例えば、加熱温度帯に温度調整するものであってもよい。
また、冷凍麺供給装置100が常温保存可能な食品を貯蔵する場合、冷凍麺供給装置100には温度調整器を設けなくてもよい。
【0029】
また、保温庫本体110の冷凍麺塊Mの供給側の面には、各供給側開口111を通して送り出される冷凍麺塊Mを滑らせて次の処理装置(不図示)に誘導する3つの供給ガイド115が備えられている。
【0030】
(2)食材保管ユニット120の具体的構成について
図3に示すように、食材保管ユニット120は、動力源に連結された駆動機構121と、冷凍麺塊Mを送り出す麺送出部材122と、駆動機構121による麺送出部材122への動力の伝達を解除又は遮断する伝達解除手段123と、複数の冷凍麺塊Mを載置するトレー124と、を備えている。
【0031】
(3)駆動機構121の具体的構成について
図3図4Aおよび図4Bに示すように、駆動機構121は、保温庫本体110の外に設けられた駆動モータ121Aと、駆動伝達部材としての駆動ギア121Bと、連結伝達部材としての連結ギア121Cと、従動伝達部材としての従動ギア121Dとを有している。
なお、本実施例では、駆動伝達部材、連結伝達部材および従動伝達部材としてギアを用いるものを例示したが、動力を伝達することができればよく、例えば、摩擦車を用いてもよい。
【0032】
駆動ギア121Bは、駆動ギア用軸121bが駆動モータ121Aの駆動モータ軸121aに軸中心を合致して接続されている。
そして、連結ギア121Cは、連結ギア用軸121cを中心に回転自在、かつ、駆動ギア121Bに噛み合った状態で後述の回動部材123mに設けられている。
このため、連結ギア121Cは、駆動ギア121Bが駆動モータ121Aによって回転駆動されるとそれに連動して回転される。
そして、従動ギア121Dは、トレー124に設けられた従動ギア軸受部124aによって回転自在に軸支されている。
【0033】
この駆動機構121は、トレー124の引き出し方向に4つ並べて配置された麺送出部材122に対応してトレー124の引き出し方向に4つ並べて配置されている。
より具体的には、4つの従動ギア軸受部124aがトレー引き出し方向(Y方向)に並設され、各従動ギア軸受部124aに回転自在に軸支された4つの従動ギア121Dに接続された4つの麺送出部材122がトレー引き出し方向(Y方向)に並べて配置されている。
このため、トレー124上には、トレー引き出し方向(Y方向)に4列の冷凍麺塊Mを並び配置することができると共に、麺送り出し方向(X方向)については、麺送出部材122の仕様に応じた数の冷凍麺塊Mが並び配置されるようになっている。
本実施例では、麺送り出し方向(X方向)について、麺送出部材122の軸方向のピッチに応じた数の冷凍麺塊Mが並び配置される。
なお、ここでは、麺送出部材122を4つ並べて配置するものとして説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、麺送出部材122の数は1以上であればよい。また、一番手前側の麺送出部材122は、小盛りの冷凍麺塊Mが収容されているが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、すべて同じサイズの冷凍麺塊Mを収容してもよいし、列によって異なるサイズの冷凍麺塊Mを収容するようにしてもよい。列によって異なるサイズの冷凍麺塊Mを収容した場合には、顧客の注文に応じたサイズの冷凍麺塊Mを取り出すように、注文に対応した列の麺送出部材122が駆動され、顧客の注文に応じたサイズの冷凍麺塊Mが麺供給扉113及び供給ガイド115を介して取り出される。
【0034】
(4)麺送出部材122の具体的構成について
本実施例で用いた麺送出部材122は、トレー124上の多数の冷凍麺塊Mを麺供給扉113に向けて順次送り出すものであり、螺旋状に形成された線状部材、いわゆる、スパイラル状の部材であり、従動ギア121Dに連結されている。
このスパイラル状の麺送出部材122は、従動ギア用軸121d方向から視た状態で円を形成する毎の従動ギア用軸121d方向のピッチを1ピッチとした場合、1ピッチ毎に冷凍麺塊Mを配置することができるようになっている。
このような麺送出部材122は、線状部材の一部を冷凍麺塊Mに接触させて冷凍麺塊Mを支持するようになっている。
すなわち、麺送出部材122は、接触部分を小さく抑えた状態で冷凍麺塊Mを支持することによって、包装されていない冷凍麺塊Mが貼りついて損傷されることを防ぐようになっている。
【0035】
(5)伝達解除手段123の具体的構成について
そして、伝達解除手段123は、トレー124の引き出し操作に連動して駆動機構121による麺送出部材122への動力の伝達を解除、すなわち、遮断して冷凍麺塊Mを停止させるものである。
したがって、この伝達解除手段123により、駆動機構121による麺送出部材122への動力の伝達を解除しない場合には、麺送出部材122による冷凍麺塊Mの送り出しが可能な状態となっている。
そして、この伝達解除手段123は、トレー124を引き出す操作と共に、引き出したトレー124を押し戻す操作がされるレバー機構123Aと、レバー機構123Aの動作を駆動機構121による駆動力の伝達解除の動作、あるいは、駆動機構121による駆動力の伝達の動作に変換するリンク機構123Bとを有している。
【0036】
(6)レバー機構123Aの具体的構成について
レバー機構123Aは、本体部分を構成するレバー本体部123aと、レバー本体部123aの回転軸となるレバー回転軸123bと、レバー操作の外力が作用される操作部123cと、リンク機構123Bの一部が当接されるリンク当接部123dと、トレー124を保温庫本体110にロックするロック部123eと、リンク当接部123dおよびロック部123eを弾性的に付勢する回転バネ123fと、レバー本体部123aをレバー回転軸123bを中心とした所定の姿勢となるように弾性的に付勢する戻しバネ123gとを具備している。
【0037】
そして、図3に示すように、レバー本体部123aの内部には、リンク当接部123dとロック部123eとが一体的に設けられている。
【0038】
また、図4および図5に示すように、リンク当接部123dは、リンク機構123Bの第一リンク部材123hが当接される傾斜した当接面が形成された略三角形状をなし、回転バネ123fによって所定の姿勢となるように弾性的に付勢された状態でレバー本体部123a内に回転自在に軸支されている。
【0039】
そして、ロック部123eは、リンク当接部123dに一体的に設けられているため、リンク当接部123dと共に回転バネ123fによって所定の姿勢となるように弾性的に付勢された状態でレバー本体部123a内に回転自在に軸支されている。
このロック部123eは、図5Bに示すように、先端がかぎ状をなし、トレー124が保温庫本体110内に収納された状態では、回転バネ123fによって所定姿勢に付勢されることによって保温庫本体110に設けられたロックピン116に係合されるようになっている。
【0040】
また、図5Aに示すように、レバー本体部123aの回転軸となるレバー回転軸123bは、トレー124に固設されている。
【0041】
操作部123cは、レバー機構123Aの操作部分であり、レバー回転軸123bに対して平行になるようにレバー本体部123aに棒状に架け渡して固設されている。
【0042】
回転バネ123fは、リンク当接部123dおよびロック部123eがレバー本体部123a内で所定の姿勢となるように弾性的にリンク当接部123dおよびロック部123eを付勢している。
この回転バネ123fは、一端がレバー本体部123aの一部に掛止され、他端がリンク当接部123dの一部に掛止されている。
【0043】
戻しバネ123gは、レバー本体部123aがトレー124に対して所定の姿勢となるように弾性的にレバー本体部123aを付勢している。
図3に示すように、この戻しバネ123gは、一端がレバー本体部123aの一部に掛止され、他端がトレー124の一部に掛止されている。
【0044】
(7)リンク機構123Bの具体的構成について
そして、図4Aに示すように、リンク機構123Bは、一対の第一リンク部材123hと、第二リンク部材123iと、案内部材123kと、回動部材123mとを具備している。
【0045】
各第一リンク部材123hは、一端部が第二リンク部材123iに回転対偶によって連結され、他端部が保温庫本体110に回転対偶によって連結されている。
【0046】
第二リンク部材123iは、帯状の部材であり、各回動部材123mに設けられたガイドピン123nを誘導する移動側ガイド溝123jが形成されている。
第一リンク部材123hと、第二リンク部材123iとは、いわゆる平行リンクを構成し、第一リンク部材123hが傾くことによって第二リンク部材123iが下降されるようになっている。
【0047】
案内部材123kは、回動部材123mを下方および両側方から囲う断面U字状の壁を有して保温庫本体110に固設されている。
この案内部材123kの両側壁の間には、回動部材123m(図4B参照)が設けられている。
また、案内部材123kの一側壁には、回動部材123mのガイドピン123nが誘導される固定側ガイド溝123lが形成されている。
すなわち、回動部材123mのガイドピン123nは、保温庫本体110に固設された案内部材123kの固定側ガイド溝123l、および、第一リンク部材123hに連動する第二リンク部材123iの移動側ガイド溝123jに摺動自在に挿入されている。
このため、回動部材123mのガイドピン123nは、第二リンク部材123iの下降動作に伴って移動される移動側ガイド溝123jに誘導されると共に、固設された案内部材123kの固定側ガイド溝123lに誘導される。
【0048】
そして、回動部材123mは、駆動ギア用軸121bを中心に回動自在に案内部材123kの両側壁の間に設けられると共に、駆動ギア121Bおよび連結ギア121Cを噛み合わせた状態で、連結ギア121Cを回転自在に軸支している。
この回動部材123mの外面には、上述のガイドピン123nが設けられ、ガイドピン123nを介して外力が作用されることによって、連結ギア121Cが従動ギア121Dに噛み合わされる位置、および、連結ギア121Cが従動ギア121Dから離間してギアの噛み合いが解除される位置に、駆動ギア121Bの軸を中心として回動されるようになっている。
【0049】
このようなリンク機構123Bは、第一リンク部材123hに駆動ギア121Bの動力伝達側の自重が作用されている。
より具体的には、第一リンク部材123hに対して、駆動ギア121Bに噛み合う連結ギア121Cの自重、および、第二リンク部材123iの自重が作用されている。
このため、第二リンク部材123iに連結される第一リンク部材123hの一端側が、連結ギア121Cの自重、さらには、第二リンク部材123iの自重を利用して、リンク当接部123dに凭れかかり当接されるようになっている。
すなわち、第一リンク部材123hは、連結ギア121Cの自重、および、第二リンク部材123iの自重を利用して、リンク当接部123dに追従して動作されるようになっている。
【0050】
(8)トレー124の具体的構成について
次に、トレー124は、従動ギア121Dを回転自在に軸支する上述した4つの従動ギア軸受部124aと、トレー124を保温庫本体110から引き出し自在にガイドするように両側部に設けられたスライドガイド124bと、麺送出部材122によって送り出される冷凍麺塊Mを送り出し方向から外れないように誘導する送り出しガイド124cとを有している。
【0051】
(9)冷凍麺供給装置100の冷凍麺塊Mを送り出して供給する動作について
まず、顧客から麺の注文があると、駆動機構121の駆動モータ121Aによって駆動ギア121Bが回転駆動され、従動ギア121Dが連結ギア121Cを介して回転駆動される。
【0052】
従動ギア121Dが回転駆動されると、麺送出部材122の各ピッチに配置された冷凍麺塊Mが従動ギア121Dの軸に沿った送り出し方向に送り出される。
例えば、冷凍麺供給装置100に設けられた3段のトレー124の最上段のトレー124から冷凍麺塊Mが順番に供給される。
すなわち、冷凍麺供給装置100の最上段のトレー124の冷凍麺塊Mが無くなると、2段目のトレー124、次に、3段目のトレー124と順に、冷凍麺塊Mが供給される。
各段のトレー124においては、例えば、複数列の一番右側の列、また、各列の一番手前から1食分ずつ、供給ガイド115に冷凍麺塊Mが送り出される。
供給ガイド115に送り出された冷凍麺塊Mは、供給ガイド115の傾斜面を滑り下りて次の処理装置(不図示)に受け渡される。
【0053】
(10)伝達解除手段123による冷凍麺供給装置100の動力伝達解除動作について
本実施例における冷凍麺供給装置100の動力伝達解除動作について、図6図8を参照しながら説明する。
ここで、図6は、レバー操作によってトレー124を引出す動作の説明図であり、図7は、トレー124を引出すためのレバー機構123Aの動作状態を示す説明図であり、図8は、トレー引出しのためのレバー操作によるロック解除動作の説明図である。
【0054】
例えば、3段のうちのいずれかのトレー124に冷凍麺塊Mの補充が必要である旨の報知情報が冷凍麺供給装置100の表示部によって表示されると、冷凍麺供給装置100をメンテナンスモードに切り替える。
【0055】
そして、作業者は、補充用扉114を開き、補充が必要なトレー124に設けられたレバー機構123Aの操作部123cを押し下げる(図6(B)参照)。
作業者によって操作部123cが押し下げられると、レバー本体部123aが、レバー回転軸123bを中心に回転され、このレバー本体部123aの回転に伴ってレバー本体部123a内のリンク当接部123dおよびロック部123eが傾く(図6(B)、図7(B)参照)。
このように、リンク当接部123dが傾くことによって、リンク当接部123dに自重を利用して当接されている第一リンク部材123hが、リンク当接部123dに追従するように傾く。
【0056】
すると、第一リンク部材123hに連結する第二リンク部材123iが下降され、回動部材123mに設けられたガイドピン123nが、第二リンク部材123iおよび案内部材123kのガイド溝123bf、123bgに誘導されて移動する。
このガイドピン123nの移動によって、回動部材123mが駆動ギア121Bの駆動ギア用軸121bを中心として回動され、連結ギア121Cが従動ギア121Dとの噛み合いが解除されるように、換言すれば、連結ギア121Cから従動ギア121Dへの動力の伝達が解除されるように、連結ギア121Cが従動ギア121Dから離間される。
【0057】
また、このように、連結ギア121Cが従動ギア121Dから離間されると共にロック部123eが傾くことによって、このロック部123eとロックピン116との係合が解除されるため、トレー124が、保温庫本体110から引き出し可能な状態になる。
このように、連結ギア121Cが従動ギア121Dから離間されると共にロック部123eとロックピン116との係合が解除された状態で、トレー124が、保温庫本体110から引き出される(図6(C)参照)。
このとき、連結ギア121Cとの噛み合いが解除された従動ギア121D、および、この従動ギア121Dに連結された麺送出部材122が、トレー124と共に引き出される。
このため、トレー124が、駆動ギア121B、連結ギア121C、リンク機構123B等を保温庫本体110側に留めた状態で引き出される。
【0058】
このようにして、トレー124を引き出した後、作業者が操作部123cへの外力の負荷を停止すると、レバー本体部123aが、戻しバネ123gによる弾性復元力によってレバー回転軸123bを中心として回転され、トレー124の引出し操作前の姿勢に戻される(図6(D)参照)。
これにより、レバー本体部123a内のリンク当接部123dおよびロック部123eが、トレー124の引出し操作前の姿勢に戻される。
こうして、このトレー124が、保温庫本体110から引き出された状態で、冷凍麺塊Mがトレー124に対して補充され、あるいは、トレー124から冷凍麺塊Mが取り出される。
ここで、トレー引出し方向(Y方向)は、送り出し方向(X方向)に交差する方向であり、一貫ラインの他の装置が近接配置される可能性が低く、比較的スペースが確保し易い方向であるため、十分なスペースを確保してトレー124を引き出すことができると共に、トレー124上の引き出し方向の奥側位置まで容易に冷凍麺塊Mの取り出しおよび補充を行うことができる。
さらに、トレー124と共に麺送出部材122が引き出されるため、麺送出部材122の1ピッチ毎に冷凍麺塊Mを整列してトレー124上に配置することができる。
【0059】
こうして、トレー124への冷凍麺塊Mの補充が完了されると、戻しバネ123gによってトレー124の引出し操作前の姿勢に戻された操作部123cを引き出し方向とは逆方向に押し込んでトレー124を保温庫本体110内に戻す。
【0060】
操作部123cが押し込み操作されると、起立姿勢に戻された状態のリンク当接部123dの傾斜した面が、傾いた状態の第一リンク部材123hの一端側に当接開始され、第一リンク部材123hが、リンク当接部123dの傾斜した面に摺接して起こされる。
すると、第一リンク部材123hの起立動作に連動して第二リンク部材123iが上昇され、回動部材123mのガイドピン123nが第二リンク部材123iの移動側ガイド溝123jおよび案内部材123kの固定側ガイド溝123lに誘導され、回動部材123mが駆動ギア用軸121bを中心として回動されることによって、連結ギア121Cが従動ギア121Dに噛み合わされる。
これによって、駆動ギア121Bから従動ギア121Dへの連結ギア121Cを介した動力の伝達が可能な状態に戻される。
【0061】
一方、トレー124の引出し操作前の姿勢に戻された状態のロック部123eは、操作部123cが押し込まれると、先端部が、本体当接部117(図5B参照)に当接されて持ち上げられた後、本体当接部117をのりこえた位置で回転バネ123fの弾性復元力によって、引出し操作前の姿勢に戻されてロックピン116に係合される。
【0062】
<本実施例の冷凍麺供給装置100が奏する効果について>
上述したような本実施例の冷凍麺供給装置100によれば、パスタ料理に用いる多数の冷凍麺塊Mを保温収容する保温庫本体110と、この保温庫本体110の内部に設けて多数の冷凍麺塊Mを保管する食材保管ユニット120と、この食材保管ユニット120に組み込まれて多数の冷凍麺塊Mを整列載置するトレー124と、保温庫本体110に設けて隣接設置する加熱調理装置などの他装置側で開閉自在な麺供給扉113と、保温庫本体110に設けてトレー124に冷凍麺塊Mを補充する補充用扉114とを備えていることによって、多数の冷凍麺塊Mが保温庫本体110内に保温収容され、この保温庫本体110内における食材保管ユニット120のトレー124に個々に整列載置された冷凍麺塊Mを保温庫本体110の麺供給扉113を介して他装置側となる加熱調理装置に供給したり、保温庫本体110の補充用扉114を介して保温庫本体110内に新たな冷凍麺塊Mを補充するとともに、冷凍麺供給装置100内の冷凍麺塊Mをその外部空調環境に不用意に晒すことなくパスタの主成分であるデンプンのベータ化を阻止して冷凍麺塊Mに特有の風味を維持し、パスタ料理に用いる冷凍麺塊Mの収容上の充分な衛生管理を達成することができる。
そして、食材保管ユニット120が、トレー124上の多数の冷凍麺塊Mを麺供給扉113側に向けて順次送り出す麺送出部材122を備えていることにより、冷凍麺塊Mの補充を行うスペースが保温庫本体110の手前側となる補充用扉114側に確保されるため、従来の麺料理自動提供システムのように麺供給装置の加熱調理装置側またはその反対側となる上流側から冷凍麺塊Mの補充を行う必要が無く、麺料理自動提供システムの設置スペースを削減してその物理的な設置場所の自由度を拡大することができる。
そして、トレー124が、麺送出部材122の麺送り出し方向に対して交差するトレー引出し方向に保温庫本体110の内部から補充用扉114に向けて引き出し自在となるように設けられていることにより、冷凍麺供給装置100に対する冷凍麺塊Mの補給が、冷凍麺供給装置100から加熱調理装置側に対する冷凍麺塊Mの供給と別異の補充用扉114側となる冷凍麺供給装置100の手前側で行われるため、冷凍麺塊Mの補充作業を迅速かつ簡便に達成することができる。
デンプンの老化(ベータ化)は温度が0~10℃付近で進みやすいが、上記のような冷気を逃がしにくい構成により、保温庫本体110内の温度を低温で維持することにより、パスタの主成分であるデンプンのベータ化を阻止することができる。また、トレー124は複数段に分けられており、補充の際には補充が必要な段のトレー124のみを引き出せるため、保温中の他の冷凍麺塊Mを常に所定の温度に維持することができる。さらに、麺供給扉113も複数設けられており、取り出される冷凍麺塊Mに対応する段の麺供給扉113のみが開放されるので、保温庫本体110内の温度を常に所定温度に維持しやすい。
【0063】
また、冷凍麺供給装置100は、食材保管ユニット120が麺送出部材122を駆動する駆動機構121とトレー124の引き出し操作に連動して駆動機構121を解除する伝達解除手段123とを備えていることにより、トレー124の引き出し操作と同時に、駆動機構121の麺送出部材122に対する動力伝達を解除して麺送出部材122の供給動作が停止するため、引き出したトレー124内に冷凍麺塊Mの補充を確実かつ安全に行うことができる。
【0064】
また、冷凍麺供給装置100は、駆動機構121が動力源に連結された駆動ギア121Bとこの駆動ギア121Bの動力を麺送出部材122に伝達する従動ギア121Dとを有し、従動ギア121Dの従動軸が麺送り出し方向に沿って配置され、トレー124が麺送出部材122と共に引き出し自在となっていることにより、トレー124と共に麺送出部材122が引き出されるため、トレー124上に麺送出部材122を保持した状態で、トレー124を引き出して麺送出部材122に倣って冷凍麺塊Mの確実な取り出しや補充を順次達成でき、冷凍麺塊Mの取り出しや補充を手間取ることなく短時間でより簡便に行うことができ、その結果として、パスタ料理に用いる冷凍麺塊Mの取り出しや補充の際の冷凍麺塊Mの劣化や外部空調環境からの汚染などを抑制することができる。
【0065】
また、冷凍麺供給装置100は、伝達解除手段123が、トレー124を引き出し操作するレバー機構123Aとこのレバー機構123Aによって駆動ギア121Bから従動ギア121Dへの動力伝達を解除するリンク機構123Bとを有していることにより、レバー操作によって駆動ギア121Bから従動ギア121Dへの動力伝達が解除されるため、トレー124の引き出しを簡便かつ迅速に達成することができ、その結果として、冷凍麺塊Mの取り出しや補充の際の冷凍麺塊Mの劣化や外部空調環境からの汚染などをより一段と抑制することができる。
【0066】
また、冷凍麺供給装置100は、レバー機構123Aが、保温庫本体110内におけるトレー124の収納位置をロック自在とするロック部123eを備えていることにより、レバー操作でレバー機構123Aを操作しない場合は、トレー124が保温庫本体110内に確実かつ安全に収納固定されているため、保温庫本体110内からのトレー124の不用意な飛び出しが阻止され、レバー操作でレバー機構123Aを操作した場合は、駆動ギア121Bから従動ギア121Dへの動力伝達が解除されると同時にロック部123eによるロックが解除されて麺送出部材122の供給動作が停止するため、麺送出部材122の供給動作が完全に停止状態で保温庫本体110内からトレー124を円滑に引き出すことができる。
【0067】
また、冷凍麺供給装置100は、レバー機構123Aが、保温庫本体110のトレー124の引出し側開口112を開閉する補充用扉114の内側に設けられていることにより、駆動ギア121Bから従動ギア121Dへの動力伝達の解除操作とトレー124の引き出し操作が、補充用扉114の内側に設けたレバー機構123Aによって一つの動作で瞬時に行われるため、冷凍麺塊Mの取り出しおよび補充に伴う保温庫本体内の冷凍麺塊Mの収容状態をより衛生的に管理することができる。
【0068】
なお、上述した実施例において、トレー124が3段であるものを例示したが、トレー124は1段以上であればよい。
【0069】
また、上述した実施例において、第一リンク部材123hが、連結ギア121Cの自重、および、第二リンク部材123iの自重を利用してリンク当接部123dに追従して動作されることによって駆動機構121による麺送出部材122への動力の伝達が解除されるものを例示したが、本実施例はこれに限定されるものではなく、バネ等の付勢手段を用いて連結ギア121C、および、第二リンク部材123iに下方に向けた付勢力を付加して第一リンク部材123hがリンク当接部123dに追従して動作されるようにしてもよい。
なお、この付勢手段の配置は第二リンク部材123iに下方に向けた付勢力を付加できる限りにおいて、どのような配置でもかまわない。さらに、付勢手段の代わりに、あるいはこれに加えて、トレーの引出操作に伴って加えられた外力を利用して、リンク機構123Bに付勢力を付加する外力付勢手段を採用することも可能である。
【0070】
また、上述した実施例において、補充用扉114が一枚扉であるものを例示したが、一枚扉に限らず、補充用扉114は、複数の補充用扉114で構成されるようにしても構わない。例えば、3段設けられたトレー124のそれぞれに対応する3つの補充用扉114を設け、引出し対象のトレー124に対応した1つの補充用扉114のみ開閉するようにしてもよい。
このように引出し対象となるトレー124に対応した補充用扉114のみ開閉することによって、保温庫本体110内部からの冷気の放出をより効果的に抑えることができる。
【0071】
以上、本発明に係る冷凍麺供給装置の一実施形態を用いて説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
【符号の説明】
【0072】
100 ・・・冷凍麺供給装置
110 ・・・保温庫本体
111 ・・・供給側開口
112 ・・・引出し側開口
113 ・・・麺供給扉(食材供給扉)
114 ・・・補充用扉
115 ・・・供給ガイド
116 ・・・ロックピン
117 ・・・本体当接部
120 ・・・食材保管ユニット
121 ・・・駆動機構
121A ・・・駆動モータ
121a ・・・駆動モータ軸
121B ・・・駆動ギア(駆動伝達部材)
121b ・・・駆動ギア用軸
121C ・・・連結ギア
121c ・・・連結ギア用軸
121D ・・・従動ギア(従動伝達部材)
121d ・・・従動ギア用軸
122 ・・・麺送出部材
123 ・・・伝達解除手段
123A ・・・レバー機構
123a ・・・レバー本体部
123b ・・・レバー回転軸
123c ・・・操作部
123d ・・・リンク当接部
123e ・・・ロック部
123f ・・・回転バネ
123g ・・・戻しバネ
123B ・・・リンク機構
123h ・・・第一リンク部材
123i ・・・第二リンク部材
123j ・・・移動側ガイド溝
123k ・・・案内部材
123l ・・・固定側ガイド溝
123m ・・・回動部材
123n ・・・ガイドピン
124 ・・・トレー
124a ・・・従動ギア軸受部
124b ・・・スライドガイド
124c ・・・送り出しガイド
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8