(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】折り畳みマットレス及びマットレスのカバー
(51)【国際特許分類】
A47C 27/12 20060101AFI20241121BHJP
A47C 27/04 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
A47C27/12 H
A47C27/04 A
(21)【出願番号】P 2024025397
(22)【出願日】2024-02-22
【審査請求日】2024-02-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和6年3月15日付けで提出された別紙「公開の事実一覧」のとおり
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519409763
【氏名又は名称】株式会社リフレーションジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 広継
【審査官】二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-89676(JP,A)
【文献】特開2022-158271(JP,A)
【文献】国際公開第2018/150815(WO,A1)
【文献】特開2000-93260(JP,A)
【文献】実開昭59-68456(JP,U)
【文献】米国特許第4187566(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/12
A47C 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が横たわる使用状態と折り畳まれる収納状態とを遷移可能な折り畳みマットレスであって、
第一部分と、前記第一部分と軸辺で接続し、前記第一部分に対して折り畳み可能な第二部分と、を備え、
前記第一部分は、第一クッションと、前記第一クッションを覆う第一カバーを有し、前記第二部分は、第二クッションと、前記第二クッションを覆う第二カバーを有し、
前記第一カバーは、使用状態で使用者が横たわる第一使用部と、前記軸辺と隣接し使用状態で前記第二カバーと相対する第一相対部と、を含み、
前記第一相対部の伸縮性は、前記第一使用部の伸縮性よりも低く設けられ
、
前記第二カバーは、使用時に前記第一相対部と相対する第二相対部と、前記第二相対部と隣接して使用状態で地面に当接する第二底面部と、を含み、
前記軸辺において、前記第一相対部の端部が、前記第二相対部と前記第二底面部との間に挟持されている折り畳みマットレス。
【請求項2】
前記第一相対部における軸辺に垂直な方向の伸縮性は、前記第一使用部における軸辺に垂直な方向の伸縮性よりも低く設けられる請求項1に記載の折り畳みマットレス。
【請求項3】
前記第一カバーは、前記第一使用部よりも伸縮性が低い低伸縮部を有し、
前記低伸縮部は前記第一クッションの側面を取り囲んで設けられている包囲低伸縮部を含む請求項1に記載の折り畳みマットレス。
【請求項4】
前記包囲低伸縮部は、前記第一カバーの底面に隣接して設けられ、
前記低伸縮部は、
前記第一カバーの底面全体に設けられている底面低伸縮部を有する
請求項3に記載の折り畳みマットレス。
【請求項5】
前記第一カバーは、前記第一使用部と、前記第一相対部とを結合する第一結合部を含み、
前記第一結合部は、前記第一相対部よりも伸縮性が高く、使用状態で前記第二カバーに相対する
請求項1から4のいずれか一項に記載の折り畳みマットレス。
【請求項6】
さらに少なくとも第一使用面を覆うシーツ部を備え、
前記シーツ部は、前記軸辺と平行にキルティングが設けられている
請求項1から4のいずれか一項に記載の折り畳みマットレス。
【請求項7】
第一部分と、前記第一部分と軸辺で接続し、前記第一部分に対して折り畳み可能な第二部分と、を備え、
前記第一部分は、第一クッションを有し、
前記第二部分は、第二クッションを有し、
使用者が横たわる使用状態と折り畳まれる収納状態とを遷移可能な折り畳みマットレスのカバーであって、
前記第一クッションを覆う第一カバーと、前記第二クッションを覆う第二カバーと、を有し、
前記第一カバーは、使用状態で使用者が横たわる第一使用部と、前記軸辺と隣接し使用状態で前記第二カバーと相対する第一相対部と、を含み、
前記第一相対部の伸縮性は、前記第一使用部の伸縮性よりも低く設けられ、
前記第二カバーは、使用時に前記第一相対部と相対する第二相対部と、前記第二相対部と隣接して使用状態で地面に当接する第二底面部と、を含み、
前記軸辺において、前記第一相対部の端部が、前記第二相対部と前記第二底面部との間に挟持されているマットレスのカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み式のマットレス及びそれに用いるマットレスのカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
マットレスは、就寝時に床面に敷いて用いる寝具である。マットレスの中には、収納や搬送のために折り畳めるものがあり、特に三つ折りのものは幅広く利用されている。一方、三つ折りのマットレスは折りたたむために形成されている隙間が使用者の横たわる面に生じるため、凹凸が生じて寝心地が悪くなる。このような課題を解決するために、例えば特許文献1に記載するようなマットレスが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のマットレスでは、マットレスの間の隙間(凹部)に軟質クッション体24を埋めるように設けることで、表面の当たりが悪くなるのを防ぐ。しかし、軟質のクッション材は周囲の材と比べて柔らかいため、それ自体が変形してマットレス表面に凹凸が生じる原因になり、寝心地を改良する余地がまだある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、折り目に形成される隙間を減じ、寝心地を改善するためのマットレスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本願発明は、使用者が横たわる使用状態と折り畳まれる収納状態とを遷移可能な折り畳みマットレスであって、第一部分と、前記第一部分と軸辺で接続し、前記第一部分に対して折り畳み可能な第二部分と、を備え、前記第一部分は、第一クッションと、前記第一クッションを覆う第一カバーを有し、前記第二部分は、第二クッションと、前記第二クッションを覆う第二カバーを有し、前記第一カバーは、使用状態で使用者が横たわる第一使用部と、前記軸辺と隣接し使用状態で前記第二カバーと相対する第一相対部と、を含み、前記第一相対部の伸縮性は、前記第一使用部の伸縮性よりも低く設けられる折り畳みマットレス及びこのマットレスのカバーである。また、前記第一相対部における軸辺に垂直な方向の伸縮性は、前記第一使用部における軸辺に垂直な方向の伸縮性よりも低く設けられる。これにより、折り目に形成される隙間を減じて、寝心地を改善するためのマットレス及びそのカバーを提供できる。
【0007】
本発明の好ましい形態では、前記第二カバーは、使用時に前記第一相対部と相対する第二相対部と、前記第二相対部と隣接して使用状態で地面に当接する第二底面部と、を含み、前記軸辺において、前記第一相対部の端部が、前記第二相対部と前記第二底面部との間に挟持されている。このような構成により、第一相対部と第二相対部の間に形成される隙間をより狭く形成しやすくできる。
【0008】
本発明の好ましい形態では、前記第一カバーは、前記第一使用面よりも伸縮性が低い低伸縮部を有し、前記低伸縮部は前記第一クッションの側面を取り囲んで設けられている包囲低伸縮部を含む。これにより、内部のクッションが歪みにくくなり隙間が狭い状態をより維持しやすくできる。
【0009】
本発明の好ましい形態では、前記包囲低伸縮部は、前記第一カバーの底面に隣接して設けられ、前記低伸縮部は、第一カバーの底面全体に設けられている底面低伸縮部を有する。これにより、使用者が横たわる部分以外の伸縮性を低く保ち、クッションの変形をより抑えることができる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記第一カバーは、前記第一使用部と、前記第一相対部とを結合する第一結合部を含み、前記第一結合部は、前記第一相対部よりも伸縮性が高く、使用状態で前記第二カバーに相対する。第一結合部は、隙間を拡げる方向に力がかかる際に変形し、相対部と軸辺の拡幅を防ぐとともに寝心地をよくできる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、さらに少なくとも第一使用面を覆うシーツ部を備え、前記シーツ部は、前記軸辺と平行にキルティングが設けられている。これにより、各部分の間に形成される隙間をさらに感じ取りにくくできる。
【発明の効果】
【0012】
上記課題を解決する本発明は、折り目に形成される隙間をなるべく狭くして、寝心地を改善するためのマットレスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る、マットレスの斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る、マットレスの長手方向の断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る、マットレスの底面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る、第一部分の斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る、低伸縮部の拡大模式図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る、カバーを付けたマットレスの三面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る、マットレスの隙間部分の説明模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて、本発明の各実施形態に係るマットレスについて説明する。説明は、実施形態の構成、実施の方法の順に行う。
なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の各実施形態に限定するものではない。また、出願書類中の「略」は、その後に続く形状に面取りや丸め加工がなされていること、また形状を構成する要素がその構成の目的を阻害しない範囲内で変形や長さ変更されているものを含むことを意味する概念である。
また、本明細書において伸縮性とは、同一の力を加えたときの伸びやすさを表し、伸縮性が高いほどその材が伸びやすいことを示す。
【0015】
本発明は、使用者が横たわる使用状態と折り畳まれる収納状態とを遷移可能な折り畳み式のマットレスXである。マットレスXは、クッションと、クッションを覆うカバーで構成され、第一部分1と、第一部分1と軸辺Rで接続し、前記第一部分1に対して折り畳み可能な第二部分2と、を備え、第一部分1は、第一クッション11と、第一クッション11を覆う第一カバー12を有し、第二部分2は、第二クッション21と、第二クッション21を覆う第二カバー22を有し、第一カバー12は、使用状態で使用者が横たわる第一使用部121と、軸辺Rと隣接し使用状態で第二カバー22と相対する第一相対部122と、を含み、第一相対部122の伸縮性は、第一使用部121の伸縮性よりも低く設けられるマットレスである。
【0016】
《実施形態》
マットレスXは、
図1(a)に示すように第一部分1、第二部分2及び第三部分3の三つに分割されて設けられており、それぞれ略直方体形状で略同一の形状、大きさとなるように設けられている。それぞれの部材において、端辺の一部は回転可能に二部分を接続する軸辺Rとなり、軸辺Rは、第一部分1と第二部分2とを接続する第一軸辺R1と、第二部分2と第三部分3を接続する第二軸辺R2を含む。また、第一部分1、第二部分2及び第三部分3は、
図1(b)に示すように収納状態において積み重なる。一方、第三部分3が設けられていない2つ折りでも、さらに同一形状の部分が追加されていてもよい。
【0017】
第一部分1は、第一クッション11と、第一クッション11を出し入れ自在に格納する第一カバー12と、を備える。第一クッション11は、ウレタンなどの樹脂材や綿や椰子などの繊維が詰め込まれた直方体形状のクッション材であり、スプリングを一部に含んでもよく、特に高反発の発泡性ウレタン樹脂であることが好ましい。また、第一クッション11は第一カバー12の全体で密着するよう内接することが好ましい。これらによれば第一部分1の全体を変形しにくくし、第二部分2との間に隙間を生じにくくできる。また、実施形態において第一クッション11は、薄手の布地(図の斜線部分)によって覆われていることで、第一カバー12との摩擦を軽減し、滑って出し入れすることを容易にしている。なお、第一クッション11は、複数のクッション材が積層されて構成されてもよく、表面を波形や不定形などの形状としてもよい。
【0018】
同様に、第二部分2は、第二クッション21と第二カバー22とを備え、第三部分3は第三クッション31と第三カバー32とを備える。その機能については第一クッション11及び第一カバー12と同様であるため説明を省略するが材質や形状が異なってもよい。
【0019】
また、第一クッション11、第二クッション21及び第三クッション31はそれぞれ略同一形状で独立して設けられる材であり、一のクッションを別のカバーに交換して格納することで負荷を分散して耐久性を高められる。この際、クッションの表裏を変更することで効果をさらに高められる。一方、第一カバー12と第二カバー22は第一軸辺R1を介して、また第二カバー22と第三カバー32は第二軸辺R2を介して接合されている。
【0020】
第一カバー12は、略直方体形状の第一クッション11を格納した状態で密着して覆うように、複数の面状の布材を組み合わせて形成されている。すなわち、第一カバー12は使用状態において、天面を向いて使用者が横たわる第一使用部121と、第一軸辺R1と隣接し第二部分2と相対する第一相対部122と、第一使用部121と隣接して設けられる第一側面部123と、使用時に地面と当接し第一軸辺R1と隣接する第一底面部124と、第一使用部121と第一相対部122の間に配置され、両端が第一側面部123と接続する第一結合部125と、を有する。
【0021】
第二カバー22は、略直方体形状の第二クッション21を格納した状態で密着して覆うように複数の面状の布材を組み合わせて形成されている。即ち、第二カバー22は使用状態において、天面を向いて使用者が横たわり、第二軸辺R2と隣接する第二使用部221と、第一軸辺R1と隣接し第一部分1と相対する第二相対部222と、第二使用部221と隣接して設けられる第二側面部223と、使用時に地面と当接し、第一軸辺R1と隣接する第二底面部224と、第二使用部221と第二相対部222の間に配置され、両端が第二側面部223と接続する第二結合部225と、第二軸辺R2と隣接して第三部分3と相対する第二副相対部226と、を有する。
【0022】
第三カバー32は、第三クッション31を格納したときに第三クッション31を密着して覆うように、複数の面状の部分で形成されている。即ち、第三カバー32は使用状態において、天面を向いて使用者が横たわり、第二軸辺R2と隣接する第三使用部321と、第二軸辺R2と隣接し第二部分2と相対する第三相対部322と、第三使用部321と隣接する第三相対部322以外の部分である第三側面部323と、地面と当接する第三底面部324と、を有する。
【0023】
以下に、マットレスXの長手方向側の断面図である
図2を用いて、マットレスのカバーの接続について詳述する。第一使用部121と第一側面部123、第二使用部221と第二側面部223、第三使用部321と第三側面部323及び第三相対部322と第三底面部324は、それぞれの材が端辺において折り返され、この折り返された部分同士が縫合されることで接合している。また、
図3(b)に示すように、それぞれの部分における側面部の面同士も同様の方法で縫合されている。これによって、表面から縫合部分が現れないようにして耐久性を高め、形状を崩れにくくしている。なお、側面部は単一の帯状材であって、その面の一部がマットレスの角を覆い、両端が相対部と縫合されていてもよく、これにより内部のクッションをより強く締め付けて変形を抑えられる。
【0024】
第一カバー12と第二カバー22とは、第一軸辺R1において以下のようにして接続されている。第一軸辺R1は、第一相対部122、第二相対部222の底面部側の端辺、第一底面部124、第二底面部224の端辺を含む。ここにおいて、第二相対部222及び第二底面部224は、第二クッション21の方向に向けて折られており、この折られた部分の間に、第一相対部122及び第一底面部124の端部が貫入した状態で縫合されている。このようにすることで、第一相対部122及び第一底面部124の貫入度合、また、第二相対部222及び第二底面部224の折り具合によって、第一相対部122と第二相対部222との距離を縮めた状態で簡単かつ強力に縫合することが可能となり、2つの相対部の間に形成される隙間を狭くして使用感を高めることができる。
なお、第一相対部122及び第二相対部222の関係、第一底面部124と第二底面部224との関係はそれぞれ逆であってもよい。
【0025】
また、第二カバー22と第三カバー32とは、第二軸辺R2において以下のように接続されている。第二軸辺R2は、第二副相対部226、第三相対部322の使用部側の端辺、第二使用部221、第三使用部321の端辺を含む。ここにおいて、第二使用部221及び第二副相対部226は第二クッション21の方向に向けて折れており、この折れた部分の間に第三使用部321及び第三相対部322の端部が貫入した状態で縫合されている。これにより、第二副相対部226及び第三相対部322の間に形成される隙間を狭くして容易に製造できるようにして使用感を高めることができる。
【0026】
また、第一結合部125は、使用状態において第二結合部225と相対するように設けられる帯状の材であって、第一側面部123の一端から他端にかけて、幅が1cm~5cm程度に設けられている。また、その表面は第一使用部121と同一の素材で設けられている。第一結合部125は、
図2に示すように、両端が第一クッション11に向けて折られ、断面視でU字状になるようにしている。また、第一使用部121の端辺及び第一相対部122の使用部側の端辺は第一クッション11の方向に折られ、それぞれの折られた面において第一結合部125と接続している。
なお、第二結合部225は、第一結合部125と略同一の形状であり、使用状態で第一結合部125と相対するように設けられており、第二使用部221及び第二相対部222と第一結合部125と同様の方法で結合されている。
このように第一結合部125及び第二結合部225が設けられていることで、第一部分1と第二部分2の間の隙間がつぶれても、結合部が表出して触り心地をよくして寝心地を維持できる。
【0027】
また、各部分における側面部(123、223、323)と底面部(124、224、324)とは、
図3(a)で太い破線で示す開閉自在なファスナーBを介して接続されている。実施形態においてファスナーBは、側面部と底面部の境界に沿ってU字状に配置され、底面側の全体を露出可能とすることで取り出ししやすくしている。特に、第一部分1と第三部分3においては、ファスナーBがマットレスXの外縁に沿って設けられていることで、クッションの取り出しをしやすくしている。また、第二部分2においては、ファスナーBの一部が第二副相対部226との境界に沿って設けられ、第一軸辺R1から離れていることで第一軸辺R1そのものが伸縮しにくくして、第一部分1と第二部分2の間に形成される隙間を拡げにくくしている。
【0028】
ここで、
図1又は
図4において、斜線で示す領域は低伸縮部Aである。ここで、
図4はマットレスXのうち第一部分1以外の部分を省略した斜視図である。
図4に示すように、第一部分1のうち第一使用部121及び第一結合部125以外の部分は低伸縮部Aであり、特に第一相対部122及び第一側面部123は、第一部分1の側面を一周して取り囲む包囲低伸縮部A1であり、第一底面部124は全体が低伸縮部として設けられる底面低伸縮部A2である。低伸縮部Aは、少なくとも第一使用部121及び第一結合部125よりも伸縮性が低く、好ましくは第一クッション11よりも伸縮性が低い。特に軸辺Rに垂直な方向の伸縮性は第一使用部121及び第一結合部125よりも低い。
なお、第一使用部121及び第一結合部125の素材は、ジャガード生地などの一定の伸縮性のある肌触りの良いものが用いられ、抗菌加工が施されていてもよい。
【0029】
包囲低伸縮部A1は、第一相対部122及び第一側面部123の全体を含む。低伸縮性の面が第一部分1の側面を取り囲むことで、圧力がかかった際に、第一クッション11が側面(特に外縁)方向に延展することを防ぐ。これにより、クッションが隙間以外の方向に変形して隙間が拡がることや形が歪むことを防ぎ、耐久性も高める。
【0030】
底面低伸縮部A2は、第一底面部124の全体を含み、包囲低伸縮部A1と縁辺の全体において接続していることで、包囲低伸縮部A1と併せて、第一クッション11が第一カバー12の内部で変形することをより抑えられる。
【0031】
また、包囲低伸縮部A1及び底面低伸縮部A2は、第一部分1と同様にして第二部分2及び第三部分3にも設けられていることが好ましく、これによりマットレスXの全体でクッションの変形を抑えて隙間の変形を抑えられる。
【0032】
図5には、低伸縮部Aの拡大図を示す。低伸縮部Aは、低伸縮部Aそれぞれの面全体を覆い、カバー(12、22,32)の内外を少なくとも気体が挿通できるように設けられるメッシュ部A31と、メッシュ部A31の伸縮を防ぐための複数の拘束糸と、を有する。拘束糸は、少なくともメッシュ部A31よりも伸縮性が低く、径が太い糸である。拘束糸は、長尺拘束糸A32と、長尺拘束糸A32に垂直で、長尺拘束糸A32よりも短い短尺拘束糸A33と、を有する。
【0033】
メッシュ部A31は、三次元構造のメッシュ生地であり、構成する糸材がハニカム構造や格子構造を積み重ねるように設けることで通気性及び吸湿性を高めている。
【0034】
長尺拘束糸A32は、メッシュ部A31の目が拡がる方向(以下、長尺方向)に平行に設けられ、メッシュ部A31の複数のメッシュを貫通しながらその間隔を固定している長尺の糸材であり、等間隔に複数設けられている。この間隔は、5mm~20mm程度とすることが好ましい。実施形態において長尺拘束糸A32は、メッシュ部A31の面の一端から他端にかけて設けられている。
【0035】
短尺拘束糸A33は、長尺方向に垂直な方向(以下、短尺方向)に平行に設けられ、長尺拘束糸A32の間にある複数のメッシュを貫通しながらその間隔を固定している短尺の糸材であり、その長さは5mm~35mmである。短尺拘束糸A33は、等間隔に複数設けられており、その間隔は少なくとも長尺拘束糸A32の間隔よりも短く、例えば一メッシュごとに設けられることが好ましい。また、短尺拘束糸A33は、10本~30本が群となって設けられ、群と群の間の距離を5mm~30mmとすることで、局所的に荷重が掛かった場合でも変形して負荷を逃がせるようにしている。
さらに好ましくは、短尺拘束糸A33は、長尺拘束糸A32と同一又は隣接するメッシュを固定するように設けられ、メッシュ部A31の伸縮性をより低くしている。
【0036】
上記の構成によって、意匠性を高めながら、長尺方向と短尺方向それぞれにおいてメッシュの変形を抑え、伸縮性を低く抑えられる。また、長尺方向と比較して、短尺方向は拘束糸の長さが短いため、伸縮性をより低く抑えられる。
実施形態において、包囲低伸縮部A1においては、マットレスXの厚さ方向(積み重ねられる方向)と短尺方向が平行になるように設けられており、使用部から圧力をかけたときに厚さ方向の変形を特に抑えられるようにして、隙間が拡がることを抑えている。
また、底面低伸縮部A2は、マットレスXの長手方向と短尺方向が平行になるように設けられ、底面の伸縮性を全体として均一にして変形しにくくしている。
即ち、低伸縮部Aにおいて短尺方向は軸辺Rに垂直であり、これにより軸辺Rそれ自体が伸びることを防ぎ、隙間を拡げにくくしている。
【0037】
また、マットレスXは、
図6に示すように、第一部分1、第二部分2及び第三部分3を同時に覆うシーツ部4をさらに備えていてもよい。シーツ部4は、使用部を覆うシーツ本体41と、側面部及び底面部の一部を覆う取付部42と、を有する。なお、
図6(a)は、マットレスXに取り付けられているシーツ部4の平面図、
図6(b)は底面図、
図6(c)は側面図を表している。
【0038】
シーツ本体41は、使用状態のときに使用部の上に配置される布材であり、内部に綿やポリエステルなどの繊維がクッションとなるように所定の厚みで格納されている部分である。シーツ本体41表面の材質は、使用部の表面の材質と略同一であることが好ましい。
また、シーツ本体41は、軸辺Rと平行な方向になるようにキルティング加工が施されている。このように、隙間が形成される方向と平行な凹凸を有することで、使用者は凹凸の存在を知覚しにくくなるため、寝心地をさらに高めることができる。キルティング加工は、平行な凹凸が含まれていれば、他の方向のキルティングがさらに設けられてもよい。
【0039】
取付部42は、少なくともシーツ本体41よりも伸縮性が高い部分であり、装着した状態で使用状態と収納状態を変更できる程度の伸縮性及び滑り性能を有することが好ましく、材料としては例えば伸縮性の高いニット生地が利用できる。
【0040】
取付部42は、中心に楕円型の開口部である取付孔43を有する。取付孔43の開口面積は、底面部(124、224及び324)の合計面積よりも小さく、この縁辺にゴム紐等の弾性部材が配置されることで、マットレスへの取付時に収縮して外れにくくしている。また、取付孔43の縁辺から取付部42の端部までの距離は、任意の位置においてマットレスXの厚み方向の長さより長く設けられることで、マットレスXの側面全体を覆えるようにしている。これにより、包囲低伸縮部A1を覆って劣化を防ぐとともに、取付部42の収縮性をマットレスに付加して部分間の隙間を狭められる。
【0041】
なお、シーツ本体41は、キルティング加工を用いず、取付部42と同一の素材を使用してもよい。これによりシーツ本体41も伸びることで、取付をしやすくして取り扱い性能を高めることができ、洗濯も容易にできる。
【0042】
以下、
図1~
図7を用いて、本発明の実施の方法について詳述する。本発明は、マットレスXを使用する使用者によって実施される。また、以下に示す実施の方法は一例であり、実施の方法はこれに限られず、順番は前後してもよい。
【0043】
まず、使用者は、収納状態にあるマットレスXを使用状態とする。すなわち使用者は、
図1(b)の状態にあるマットレスXの第一部分1を持ち上げて広げることによって
図1(a)の状態とする。
【0044】
次に使用者は、マットレスXにシーツ部4を被せる。すなわち使用者は、
図6に示すように、第一部分1及び第三部分3の底面部側の角をシーツ部4の取付孔43に挿入し、伸縮性の高い取付部42を伸長させながら取付部42がマットレスXの側面の全体を覆うように配置することで、シーツ部4をマットレスXに取付ける。
【0045】
最後に使用者は、マットレスXに横たわる。この際、実施形態のように低伸縮部Aが設けられていることで、使用部(121、221、321)における弾性が高まるため、寝返りが打ちやすくなる。また、第一相対部122と第二相対部222の間の隙間が狭く、またシーツ部4が設けられていることで、第一部分1と第二部分2の間の隙間を使用者は感じにくくなり、寝心地を快適にできる。
【0046】
また、
図7(a)に示すように、使用時に隙間を広げる方向に力を加えた場合、第一結合部125及び第二結合部225が伸びやすく、第一相対部122及び第二相対部222が変形しにくい素材であるため、特に軸辺R付近における内部のクッションの変形と移動を最小限に抑え、隙間が拡がることを防げる。また、軸辺R自体も低伸縮部Aであるため、これ自体の隙間が拡がりにくい。また、生地が伸びにくいので、瞬間的な隙間の広がりだけでなく、長期間使用後も生地が徐々に伸びて元に戻らないことによる隙間の拡がりも抑えることができる。
併せて、仮に隙間が拡がった場合でも、伸縮性が高い第一結合部125及び第二結合部225が使用面に表出するようになるため、寝心地を維持することができる。
【0047】
また、
図7(b)に示すように、使用時に使用部に垂直な方向に力を加えた場合、第一結合部125及び第二結合部225が伸びやすく、第一相対部122及び第二相対部222が変形しにくい素材であるため、第一結合部125及び第二結合部225の近傍で第一クッション11及び第二クッション21が変形し、第一結合部125及び第二結合部225が互いに近づくことで隙間が埋まる。これにより、寝心地をより改善できる。特に、包囲低伸縮部A1や底面低伸縮部A2が設けられていることで、クッションの変形を制御できる。
【0048】
好ましくは、第一相対部122における軸辺Rに垂直な方向の伸縮性は、第一使用部121における軸辺Rに垂直な方向の伸縮性よりも低く設けられることで、軸辺Rが拡がる方向でより伸縮しにくくして、隙間を狭めている。
【0049】
好ましくは、第二カバー22は、使用時に第一相対部122と相対する第二相対部222と、第二相対部222と隣接して使用状態で地面に当接する第二底面部224と、を含み、軸辺Rにおいて、第一相対部122の端部が、第二相対部222と第二底面部224との間に挟持されていることで、隙間をより狭めている。
【0050】
好ましくは、第一カバー12は、第一使用部121よりも伸縮性が低い低伸縮部Aを有し、低伸縮部Aは第一クッション11の側面を取り囲んで設けられている包囲低伸縮部A1を含むことで、第一クッション11の変形を抑止している。
【0051】
好ましくは、包囲低伸縮部A1は、第一カバー12の底面に隣接して設けられ、低伸縮部Aは、第一カバー12の底面全体に設けられている底面低伸縮部A2を有することで、使用部の寝心地を高めながら、変形をより抑止できる。
【0052】
好ましくは、第一カバー12は、第一使用部121と、第一相対部122とを結合する第一結合部125を含み、第一結合部125は、第一相対部122よりも伸縮性が高く、使用状態で第二カバー22に相対することで、低伸縮部Aと併せてクッションの変形に合わせて変形して隙間を狭めるか、上部に露出して寝心地をよくする。
【0053】
好ましくは、マットレスXは、さらに少なくとも第一使用面を覆うシーツ部4を備え、シーツ部4は、軸辺Rと平行にキルティングが設けられていることで、隙間を感じにくくして使用感を高めている。
【符号の説明】
【0054】
X マットレス
1 第一部分
11 第一クッション
12 第一カバー
121 第一使用部
122 第一相対部
123 第一側面部
124 第一底面部
125 第一結合部
2 第二部分
21 第二クッション
22 第二カバー
221 第二使用部
222 第二相対部
223 第二側面部
224 第二底面部
225 第二結合部
226 第二副相対部
3 第三部分
31 第三クッション
32 第三カバー
321 第三使用部
322 第三相対部
323 第三側面部
324 第三底面部
4 シーツ部
41 シーツ本体
42 取付部
43 取付孔
R 軸辺
R1 第一軸辺
R2 第二軸辺
A 低伸縮部
A1 包囲低伸縮部
A2 底面低伸縮部
A3 低伸縮面
A31 メッシュ部
A32 長軸拘束糸
A33 短軸拘束糸
B ファスナー
【要約】
【課題】
クッションの間に形成される隙間を減じ、寝心地を改善するためのマットレスを提供することを目的とする。
【解決手段】
上記課題を解決する本願発明は、第一部分1と、第一部分1と軸辺Rで接続し、前記第一部分1に対して折り畳み可能な第二部分2と、を備え、第一部分1は、第一クッション11と、第一クッション11を覆う第一カバー12を有し、第二部分2は、第二クッション21と、第二クッション21を覆う第二カバー22を有し、第一カバー12は、使用状態で使用者が横たわる第一使用部121と、軸辺Rと隣接し使用状態で第二カバー22と相対する第一相対部122と、を含み、第一相対部122の伸縮性は、第一使用部121の伸縮性よりも低く設けられるマットレスである。
【選択図】
図1