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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】袋入り干し芋及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/50 20060101AFI20241121BHJP
   B65D 81/20 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B65D85/50 100
B65D81/20 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024069623
(22)【出願日】2024-04-23
【審査請求日】2024-04-23
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)販売による公開 令和5年12月27日に株式会社新屋に販売、その他11店舗に販売 (2)販売による公開 令和6年1月10日から株式会社ユウテック会社内にて販売 (3)チラシ発行による公開 令和6年1月22日から読売新聞折り込みチラシを発行 (4)サンプル提供による公開 令和6年1月25日に道の駅グランテラス筑西に提供 (5)サンプル提供による公開 令和6年1月25日に株式会社ユウテック会社内にて提供
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524154429
【氏名又は名称】株式会社ユウテック
(74)【代理人】
【識別番号】110003535
【氏名又は名称】スプリング弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】萩沼 章吉
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3238866(JP,U)
【文献】特開2001-204334(JP,A)
【文献】特開平07-203925(JP,A)
【文献】特開2019-041705(JP,A)
【文献】登録実用新案第3228720(JP,U)
【文献】特開2023-108335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/50
B65D 81/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Brix測定機による20℃の糖度が70以上である干し芋と、
前記干し芋の全体露出部分がないように1個単位で包み込む食品用フィルム、及び、包装が解けないように前記食品用フィルムに貼り付けられた封着用シールにより構成される、干し芋包装物と、
前記干し芋包装物を1個単位で真空パックする真空パック用袋と、を有し、
前記干し芋は前記干し芋包装物の状態で前記真空パック用袋に真空パックされ
前記食品用フィルムは正方形であって、前記正方形の一辺サイズの長さが前記干し芋の長さよりも7cm以上長い、袋入り干し芋。
【請求項2】
Brix測定機による20℃の糖度が70以上である干し芋と、
前記干し芋の全体露出部分がないように1個単位で包み込む食品用フィルム、及び、包装が解けないように前記食品用フィルムに貼り付けられた封着用シールにより構成される、干し芋包装物と、
前記干し芋包装物を1個単位で真空パックする真空パック用袋と、を有し、
前記干し芋は前記干し芋包装物の状態で前記真空パック用袋に真空パックされ
前記食品用フィルムは長尺なテープ形状であって、前記干し芋をスパイラル状に重ね巻きすることにより前記干し芋包装物を形成可能な長さである、袋入り干し芋。
【請求項3】
Brix測定機による20℃の糖度が70以上である干し芋と、
前記干し芋の全体露出部分がないように1個単位で包み込む食品用フィルム、及び、包装が解けないように前記食品用フィルムに貼り付けられた封着用シールにより構成される、干し芋包装物と、
前記干し芋包装物を1個単位で真空パックする真空パック用袋と、を有し、
前記干し芋は前記干し芋包装物の状態で前記真空パック用袋に真空パックされ
前記干し芋は、前記食品用フィルムで巻回された状態で真空パックされている袋入り干し芋。
【請求項4】
前記干し芋は、丸干し芋である、請求項1~3のいずれか1項に記載の袋入り干し芋。
【請求項5】
前記真空パックした後に更に加熱殺菌されている請求項1~3のいずれか1項に記載の袋入り干し芋。
【請求項6】
Brix測定機による20℃の糖度が70以上である干し芋を、前記干し芋の全体を露出部分がないように、食品用フィルムによって1個単位で包み込み、包装が解けないように前記食品用フィルムに封着用シールを貼り付けて干し芋包装物を形成する食品用フィルム包装工程と、
前記干し芋包装物を真空パック用袋によって1個単位で真空パックする真空パック工程と、を有し、
前記食品用フィルムは正方形であって、前記正方形の一辺サイズの長さが前記干し芋の長さよりも7cm以上長い、袋入り干し芋の製造方法。
【請求項7】
Brix測定機による20℃の糖度が70以上である干し芋を、前記干し芋の全体を露出部分がないように、食品用フィルムによって1個単位で包み込み、包装が解けないように前記食品用フィルムに封着用シールを貼り付けて干し芋包装物を形成する食品用フィルム包装工程と、
前記干し芋包装物を真空パック用袋によって1個単位で真空パックする真空パック工程と、を有し、
前記食品用フィルムは長尺なテープ形状であり、前記干し芋をスパイラル状に重ね巻きすることにより前記干し芋包装物を形成可能な長さとされ、
前記包み込むことは、前記食品用フィルムにより、前記干し芋をスパイラル状に重ね巻きすることを含む、袋入り干し芋の製造方法。
【請求項8】
Brix測定機による20℃の糖度が70以上である干し芋を、前記干し芋の全体を露出部分がないように、食品用フィルムによって1個単位で包み込み、包装が解けないように前記食品用フィルムに封着用シールを貼り付けて干し芋包装物を形成する食品用フィルム包装工程と、
前記干し芋包装物を真空パック用袋によって1個単位で真空パックする真空パック工程と、を有し、
前記包み込むことは、前記干し芋を前記食品用フィルムで巻回された状態とすることを含み、
前記真空パック工程は、前記巻回された状態で真空パックすることを含む、袋入り干し芋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は袋入り干し芋及びその製造方法に係り、特に糖度が高く糖蜜を豊富に含んだ袋入り干し芋及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、干し芋(乾燥芋ともいう)は健康食品の一つとして注目されている。干し芋の一般的な製造方法としては、サツマイモを蒸したり焼成したりしてから皮をむき、その後で天日干しや乾燥機によって乾燥させることにより製造される。製造される干し芋の形状としては、薄い板状にした平干し芋や、薄切りにしない丸干し芋等があり、干し芋はビニール袋等に包装して商品化される。
【0003】
干し芋の傾向として、従来の干し芋は糖度が高くなく硬かったので、カビが生えにくかったため、複数本の干し芋をビニール袋等の包装袋に入れて商品化しているものが多い。
しかし近年、干し芋の原料となるサツマイモの品種改良により、安寧芋や紅あずま等の糖度が高いサツマイモが干し芋に使用されることが多くなっている。更には、干し芋の製造過程において、糖度を上げる工夫がなされた製造方法もある(例えば特許文献1、特許文献2)。特許文献1には、Brix測定機による20℃の糖度が45%以上(具体例な実施例では48~60%)であること、特許文献2には、Brix測定機による糖度が25~30%であることが記載されている。また、一般的に、丸干し芋は平干し芋よりも製造が難しいが、高い糖度の干し芋を製造することができるとされている。
このように、今日は糖度が高い干し芋を製造する傾向にあり、糖度の高い干し芋は極めて甘く柔らかいことから消費者に好まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-41705号公報
【文献】特開2023-108335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、糖度が高い干し芋は、消費者に好まれている反面、商品化する上で次のような問題がある。
(1)干し芋の糖度が高く柔らかいことからカビが生えやすいため、従来の糖度が低く硬い干し芋よりも常温での賞味期限が短いという問題がある(賞味期限の問題)。
(2)糖度が高い干し芋は糖蜜が滲み出やすく、ビニール袋等の包装袋に入れて商品化すると干し芋が包装袋の内側に貼り付いてしまい取出し難いという問題がある(包装袋から取り出し難い問題)。また、糖度が高い干し芋は、べたついているのでそもそも包装用袋に入れることも困難であり、特に真空用の包装袋は、タイトなので、なおさらに、その中に干し芋を入れるのが困難であった。
(3)糖度が高い干し芋は糖蜜が滲み出やすいため、消費者が包装袋から取り出して手に持って食べる際に手がべたついて汚れるという問題がある(食べる際に手がべたついて汚れるという問題)。
【0006】
特に、特許文献1や特許文献2で示される糖度よりも更に高い、糖度の極めて高い干し芋で上記問題が発生し易い。
このように、糖度が高い干し芋は甘く柔らかいことから消費者に好まれている一方で上記のような問題があり、販売促進のためにはこれらの問題を解決する必要がある。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、糖度が高く柔らかい干し芋であっても、常温での賞味期限の問題、包装袋から取り出し難い問題、食べる際に手がべたついて汚れるという問題の全てを解決した袋入り干し芋及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の袋入り干し芋は目的を達成するために、干し芋と、干し芋を1個単位で包み込んで干し芋包装物を形成する食品用フィルムと、干し芋包装物を1個単位で真空パックする真空パック用袋と、を有し、干し芋は干し芋包装物の状態で真空パック用袋に真空パックされていることを構成することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、干し芋を真空パック用袋に直接入れて真空パックするのではなく、干し芋を食品用フィルムで包み込んだ干し芋包装物の状態で真空パック用袋に入れて真空パックするようにした。これにより、常温での賞味期限の問題、包装袋から取り出し難い問題、食べる際に手がべたついて汚れるという問題の全てを解決することができる。
【0010】
本発明の袋入り干し芋の態様として、干し芋を包み込んだ食品用フィルムの包装形態を維持するように食品用フィルムを封着する封着用シールを更に有することが好ましい。これにより、真空パックする前に干し芋を食品用フィルムに包み込んだ包装形態を確実に維持できる。したがって、真空パックする際のエアーの吸引によって干し芋包装物の食品用フィルムが解けることがないので、真空圧力で干し芋から糖蜜が滲み出ても干し芋包装物の外部に漏れ出すことを防止できる。
【0011】
本発明の袋入り干し芋の態様として、食品用フィルムは正方形であって、正方形の一辺サイズの長さが干し芋の長さよりも7cm以上長いことが好ましい。これにより、干し芋の全体を食品用フィルムに確実に包み込むことができるので、真空パックしたときの真空圧力で干し芋から糖蜜が滲み出ても、干し芋包装物の外部に漏れ出すことを確実に防止できる。
【0012】
本発明の袋入り干し芋の態様として、食品用フィルムは長尺なテープ形状であって、干し芋をスパイラル状に重ね巻きすることによりスパイラル状巻回物を形成可能な長さであることが好ましい。このように、長尺なテープ形状の食品用フィルムで干し芋をスパイラル状に重ね巻きすることで、干し芋を食品用フィルムで包み込むことができる。
【0013】
本発明の袋入り干し芋の態様として、真空パックした後に更に加熱殺菌されていることが好ましい。このように、干し芋を食品用フィルムで包み込んだ干し芋包装物を真空パック袋に真空パックした真空パック商品を加熱殺菌処理することによって、常温での賞味期限を一層改良できる。
【0014】
本発明の袋入り干し芋の態様として、干し芋はBrix測定機による20℃の糖度が70以上であることが好ましい。このように、糖度が極めて高い干し芋は、真空パックの真空圧力で糖蜜が一層滲み出やすいので、本発明が特に有効である。
【0015】
本発明の袋入り干し芋の態様として、前記干し芋は、前記食品用フィルムで巻回された状態で真空パックされていることが好ましい。
【0016】
本発明の袋入り干し芋の製造方法は、干し芋を準備する干し芋準備工程と、準備した干し芋を食品用フィルムによって1個単位で包み込んで干し芋包装物を形成する食品用フィルム包装工程と、干し芋包装物を真空パック用袋によって1個単位で真空パックする真空パック工程と、を有することを特徴とする。
【0017】
本発明の袋入り干し芋の製造方法によれば、常温での賞味期限の問題、包装袋から取り出し難い問題、食べる際に手がべたついて汚れるという問題の全てを解決した袋入り干し芋を製造することができる。
本発明の袋入り干し芋の製造方法の態様として、フィルム包装工程において、干し芋を包み込んだ食品用フィルムの包装形態を維持するように、食品用フィルムを封着シールで封着するシール封着工程を更に有することが好ましい。このように、干し芋を包み込んだ食品用フィルムを封着シールで封着することによって、真空パック工程において食品用フィルムが解けないようにすることができる。
本発明の袋入り干し芋の製造方法の態様として、真空パック工程の後に更に加熱殺菌工程を有することが好ましい。これにより、常温での賞味期限を一層改良できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の袋入り干し芋及びその製造方法によれば、糖度が高く柔らかい干し芋であっても、常温での賞味期限の問題、包装袋から取り出し難い問題、食べる際に手がべたついて汚れるという問題の全てを解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態の袋入り干し芋を構成する主たる構成要素を示した説明図
図2】本発明の実施の形態の袋入り干し芋の製造方法における工程を示したステップ図
図3】袋入り干し芋の製造方法に使用した丸干し芋の糖度及び糖度測定について説明する説明図
図4】本発明の実施の形態の袋入り干し芋の製造方法における食用フィルム包装工程及びシール封着工程を説明する説明図
図5】本発明の実施の形態の袋入り干し芋の製造方法における食用フィルム包装工程及びシール封着工程の別態様を説明する説明図
図6】真空パック工程を説明する説明図
図7】本発明の実施の形態の袋入り干し芋の状態図
図8】本発明の実施の形態の袋入り干し芋を食べる直前の斜視図
図9】食品用フィルムの好ましいサイズを実験した結果の表図
図10】本発明の実施の形態の袋入り干し芋の製造方法における他の食用フィルム包装工程及びシール封着工程を説明する説明図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面にしたがって本発明の袋入り干し芋及びその製造方法の好ましい実施の形態について説明する。
本発明は以下の好ましい実施の形態により説明される。したがって、以下に説明する本発明の実施の形態の袋入り干し芋及びその製造方法は一例であり、本発明の範囲を逸脱することなく、多くの手法により変更を行うことができ、本実施の形態以外の他の実施の形態を利用することができる。したがって、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。
【0021】
[袋入り干し芋]
本発明の発明者は、糖度が高く柔らかい干し芋を真空パックすることでカビが生えにくくなり、本発明の課題の一つである賞味期限の問題を改良できるとの知見を得た。その反面、糖度が高く柔らかい干し芋は、真空パックする真空圧力によって、真空パックしない場合と比較して糖蜜が滲み出やすくなる。この結果、真空パック袋(包装袋に相当)から取り出し難い問題、食べる際に手がべたついて汚れるという問題が真空パックしない場合と比較して更に大きくなってしまった。
【0022】
特に糖度の極めて高い干し芋の場合には、真空パックする際の真空圧力によって糖蜜が一層滲み出やすくなる。これにより、真空パック袋に付着し易くなる問題や食べる際に手がべたついて汚れるという問題が一層大きい。更には、真空パック袋に複数の干し芋を入れて真空パックすると、真空圧力により複数の干し芋がくっ付いてブロック状の塊になってしまうという新たな問題が発生した。
【0023】
本発明の袋入り干し芋は、真空パックすることによってもたらされる賞味期限改良のメリットと、真空パックすることによって包装袋から一層取り出し難くなる及び食べる際に手が汚れるというデメリットとの相反する課題を解決したものである。
なお、本発明の実施の形態では、平干し芋よりも糖度が高く糖蜜が滲み出やすい傾向にある丸干し芋を用いた場合で説明するが、本発明は平干し芋や、その他の形態の干し芋にも適用される。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態の袋入り干し芋を構成する主たる構成要素を示した説明図である。
【0025】
図1に示すように、本発明の実施の形態の袋入り干し芋10は、主として、丸干し芋12と、丸干し芋12を1個単位で包み込んで干し芋包装物24(図4及び図5参照)を形成する食品用フィルム14と、干し芋包装物24を1個単位で真空パックする真空パック用袋16と、干し芋包装物24の食品用フィルム14を封着して包装が解けないようにする封着用シール18との4つの構成要素で構成される。そして、上記の4つの構成要素を用いて、丸干し芋12は干し芋包装物24の状態で真空パック用袋16に真空パックされている。
【0026】
ここで、「包み込む」とは、丸干し芋12の露出部分がないように、食品用フィルム14で丸干し芋12の全体を包装することを言う。
本発明の実施の形態の袋入り干し芋10は、使用する丸干し芋12の糖度がBrix測定機による20℃の糖度が70以上(70%以上と同義)であることが好ましい。このように、糖度が極めて高い丸干し芋12は、真空パックの真空圧力で糖蜜が一層滲み出やすいので、本発明が特に有効だからである。
【0027】
また、食品用フィルム14は正方形であって、正方形の一辺サイズの長さが丸干し芋12の長さよりも7cm以上長いことが好ましい。なお、正方形の一辺サイズの長さが丸干し芋12の長さよりも7cm以上長い理由については実験データを使用して後述する。
【0028】
また、食品用フィルム14の別の態様としては、食品用フィルム14は長尺なテープ形状であって、丸干し芋12をスパイラル状に重ね巻きすることにより包装形態の1つであるスパイラル状巻回物22(図5参照)を形成可能な長さであるものを使用することができる。
ここで「重ね巻き」とは、食品用フィルム14で丸干し芋12をスパイラル状に巻く際に、長尺状の食品用フィルム14の幅方向の一部が重なるように巻いていくことを言う。
【0029】
食品用フィルム14の材質としては、防湿性・耐水性が高く、水分を含む丸干し芋12の糖蜜が浸透しにくい材質のフィルムが好ましい。例えば、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が使用される。
【0030】
真空パック用袋16は、上端に開封口16Aを有する矩形状な袋であって、丸干し芋12を食品用フィルム14で包み込んだ干し芋包装物24(図4及び図5参照)を入れて真空パックすることができる大きさのサイズに形成されている。また、真空パック用袋16の側辺で開封口16Aの近傍には、真空パック後の真空パック用袋16から干し芋包装物24を取り出す際に真空パック用袋16を切り裂く切り口16Bが形成されている。
【0031】
真空パック用袋16の材質としては、ナイロン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等使用することができるが、エアー(空気)を通しにくいナイロンとシーラーで圧着し易いポリエチレンが重なったナイロンポリの真空パック袋が好適である。
【0032】
封着用シール18としては、裏面に貼着性を有する糊を有すると共に裏面の一端部には糊を有しない剥がし部分18Aを有することが好ましい。剥がし部分18Aを設けることで、食品用フィルム14から封着シール18を剥がしやすくなる。
【0033】
なお、封着用シール18は、干し芋包装物24を真空パック用袋16に入れた後、真空パック用シーラー(図示せず)で真空パック用袋16の内部のエアーを吸引する際に、食品用フィルム14の包装が解けにくい場合には、必ずしも必要としない。
【0034】
次に、上記の4つの構成要素を用いて、袋入り干し芋10を製造する製造方法を説明する。
[袋入り干し芋の製造方法]
図2は、本発明の実施の形態の袋入り干し芋の製造方法における工程を示したステップ図である。
図2に示すように、本発明の実施の形態の袋入り干し芋の製造方法は、丸干し芋12を準備するステップ1の丸干し芋準備工程(S1)と、ステップ2の食品用フィルム包装工程(S2)と、ステップ3のシール封着工程(S3)と、ステップ4の真空パック工程(S4)と、加熱殺菌工程(S5)との5つの工程を経て商品化される。
【0035】
なお、ステップ4の真空パック工程(S4)によって丸干し芋12の賞味期限は改良されるので、賞味期限の設定によっては加熱殺菌工程(S5)を必ずしも必要とするものではない。しかし、本実施の形態では賞味期限の更なる改良方法として真空パック工程(S4)の後に加熱殺菌工程(S5)を行う場合で説明する。
【0036】
ステップ1の丸干し芋準備工程において、丸干し芋12の形状は、図1に示したように、長さ方向の一方から他方に向けて次第に太くなると共にやや平たい略円柱形状に形成されている。本実施の形態では長さが7~8cm程度、幅が3~4(最も太い部分)の丸干し芋12を使用した。
また、本実施の形態では糖度が70以上で極めて糖度が高く糖蜜が滲み出やすい丸干し芋12を使用した。
【0037】
図3は、本実施の形態で使用した丸干し芋12の糖度及び糖度測定方法について説明する図であって、(A)は丸干し芋12の糖度を測定した測定結果を示した表図であり、(B)は丸干し芋12の糖度測定箇所を示した説明図である。
【0038】
測定は、商品化する長さが7~8cmの丸干し芋12の中からランダムに採取した長さが約8cmのサンプルAを2本と、長さが約7cmのサンプルBの2本との合計4本の丸干し芋12を使用した。そして、図3の(B)に示すように、サンプルA及びサンプルBについて、丸干し芋12の真ん中箇所、左箇所、及び右箇所の3箇所に糖度計の先端を押し付けて糖度を測定した。測定に使用した糖度計は、株式会社アタゴ社製のBrix型糖度計を用いて20℃で測定した。この糖度計の測定範囲は0.0~85.0%であり、測定精度は±0.2%(ショ糖液で検証)である。
【0039】
その結果、図3の(A)の表図から分かるように、サンプルAは最低値の77.1(左箇所)~最高値の82.1(右箇所)の範囲の糖度を示した。また、サンプルBは最低値の72.3(真ん中箇所)~最高値の77.3(右箇所)の範囲の糖度を示した。この結果を真ん中箇所、左箇所、右箇所で見ると、真ん中箇所の平均糖度は76.6、左箇所の平均糖度は76.7右箇所の平均糖度は77.3であった。そして、全体平均では76.9の糖度を示した。
【0040】
なお、本発明の実施の形態で使用した丸干し芋12のように糖度が70以上の極めて糖度が高い丸干し芋12の製造方法についてはノウハウ部分であり本発明の趣旨ではないので説明は省略する。
【0041】
図4は、本発明の実施の形態の袋入り干し芋の製造方法において、主としてステップ2の食品用フィルム包装工程及びステップ3のシール封着工程を説明する説明図である。
【0042】
図4に示すように、本実施の袋入り干し芋の製造方法では、先ず、矢印T1に示すように、ステップ1の丸干し芋準備工程で準備した丸干し芋12を、食品用フィルム14の正方形の対角線H1と平行(対角線H2とは直交)になるようにして、食品用フィルム14の端部中央位置に置く。
【0043】
次に、矢印T2に示すように、正方形な食品用フィルム14の対角線H2に対応する頂点側(丸干し芋12に近い頂点側)である一方の三角部分X1を矢印Q1の方向に折り返して丸干し芋12を1回巻く。
【0044】
次に、矢印T3に示すように、食品用フィルム14の対角線H1に対応する三角部分Y1を矢印Q2の方向及び三角部分Y2を矢印Q3の方向に折り返して丸干し芋12の長手方向を包む。
【0045】
次に、矢印T4に示すように、食品用フィルム14を矢印Q4の方向に巻回していき、干し芋包装物24を形成する。干し芋包装物24を形成した状態において、食品用フィルム14の対角線H2に対応する他方の三角部分X2が巻回の最終端になるので、三角部分X2が解けないように封着シール18を貼り付ける。これにより、丸干し芋12の全体が食品用フィルム14に包み込まれ、封着用シール18を貼り付けられた干し芋包装物24が形成される。
【0046】
また、別の包装方法について図10を参照して説明する。
図4で示す方法と似ているので、異なる部分について説明する。図10の符号102に示すように、丸干し芋12を食品用フィルム14の略中央部に置く。その後、符号104に示すように、食品用フィルム14の図面視左側の角を反対側の角に向けて食品用フィルム14を折り返してゆく。
【0047】
この際、符号102における食品用フィルム14の図面視左側の角と右側の角とが、ぴったりと重ならず、符号104で示す図の符号112の矢印で示すような隙間が空くようにする。これにより、この商品の需要者が、食品用フィルム14を開ける際、隙間があるので簡単に開けることができる。
【0048】
次に、符号106の図が示すように、食品用フィルム14の上下の角(符号102の図における食品用フィルム14の図面視上の角と下の角)を丸干し芋12の方に折り返す。
続いて、丸干し芋12を食品用フィルム14の右角にむけて回転させながら食品用フィルム14を巻き付けてゆき符号107の様な形状にする。
【0049】
その後、符号108に示すように、食品用フィルム14がほどけてゆかないように封着シール18を角部(符号102の図面における右角部)に貼付しても良い。ここで、この後、真空パック袋16にいれて真空パックするので、食品用フィルム14がほどけないように真空パックすることができれば、シール18を貼付する必要は無い。
【0050】
封着シール18は、図面視上先端部の剥がし部分18Aには糊がついておらず、需用者がここをもって引くことにより、簡単にシール18を剥がすことができる。
このように包装することにより、需用者は、食品用フィルム14を完全に剥がすことなく、丸干し芋12を食品用フィルム14で一部包んだまま手で持って食べることができるので、手を汚すことなく、かつ、簡単、手軽に丸干し芋12を食べることができる。
【0051】
図4図10は、食品用フィルム包装工程(S2)及びシール封着工程(S3)の好ましい包装方法の一例であり、この包装方法に限定するものではない。例えば、図5に示す包装方法を採用することもできる。
【0052】
図5は、食品用フィルム包装工程(S2)及びシール封着工程(S3)の別態様を説明する説明図である。
先ず図5の一番上のルートであるAルート(矢印A1から矢印A3)について説明する。
【0053】
矢印A1に示すように、ステップ1で準備した丸干し芋12を食品用フィルム14の端部中央位置に食品用フィルム14の辺と平行に置いてロール状に巻いていく。これにより、矢印A2に示すように、食品用フィルム14で丸干し芋12をロール状に巻回したロール状巻回物20を形成する。この場合、図1に示すように、正方形な食品用フィルム14の一辺サイズL1を15cm、丸干し芋12の長さL2を8cmとすると、丸干し芋12の上側と下側に丸干し芋12が巻回されていない長さL3の折り返し部分14Aが形成されるようにする。
【0054】
そして、矢印A3に示すように、ロール状巻回物20のうち食品用フィルム14の折り返し部分14Aを合わせる方向(矢印Pの方向)に折り返して折り返し部分14A同士が繋がるように封着用シール18で封着する。これにより、丸干し芋12の全体が食品用フィルム14で包み込まれた干し芋包装物24が形成される。
【0055】
図5の中段のルートであるルートB(矢印B1から矢印B3)は、食品用フィルム14として丸干し芋12の長さよりも7センチ以上の一辺サイズの正方形のものを用いることはルートAと同様である。
【0056】
そして、ルートBの場合には、矢印B1に示すように、ステップ1で準備した丸干し芋12を食品用フィルム14の中央部に食品用フィルムの辺と平行に置いたら、丸干し芋12と平行な側の食品用フィルム14の対向する2辺を重ね合わせるように折り返す。この状態で矢印B2に示すように、丸干し芋12を回転させてロール状巻回物20を作成する。
【0057】
そして、矢印B3に示すように、ロール状巻回物20のうち丸干し芋12が巻回されていない食品用フィルム14の折り返し部分14Aを合わせる方向に折り返して封着用シール18で封着する。これにより、丸干し芋12の全体が食品用フィルム14で包み込まれた干し芋包装物24が形成される。
【0058】
ルートAとルートBとの違いは、丸干し芋12を食品用フィルム14の端部に置いて巻回するか、丸干し芋12を食品用フィルム14の中央部に置いて巻回するかである。この違いによって、丸干し芋12を食べる際に食品用フィルム14を巻き戻したときにルートAよりもルートBの方が丸干し芋12を食品用フィルム14の中央部で挟み込んだ状態で手に持つことができ、手が汚れにくいメリットがある。
【0059】
図5の一番下のルートであるルートC(矢印C1から矢印C3)は、食品用フィルム14としてテープ状の長尺なフィルムを用いる。食品用フィルム14の長さとしては、丸干し芋12をスパイラル状に重ね巻きしてスパイラル状巻回物22を作成したときに、丸干し芋12の長手方向に折り返せるに十分な長さを確保できるようにする。また、食品用フィルム14の幅は、丸干し芋12をスパイラル状に3~5回重ね巻きすることで、丸干し芋12の全体を包み込める幅とすることが好ましい。
【0060】
ルートCの場合には、ステップ1で準備した丸干し芋12を、矢印C1に示すように、食品用フィルム14で丸干し芋12の上端部又は下端部からスパイラル状に重ね巻きし、矢印C2に示すようにスパイラル状巻回物22を作成する。次に、矢印C3に示すように、スパイラル状巻回物22の丸干し芋12が巻かれていない食品用フィルム14の折り返し部分14Aを合わせる方向に折り返して封着用シール18で封着する。これにより、丸干し芋12の全体が食品用フィルム14で包み込まれた干し芋包装物24が形成される。
【0061】
図6は、ステップ4の真空パック工程(S4)を説明する説明図である。なお、干し芋包装物24は図4の包装方法で包装された場合で図示しているが、図5の包装方法で包装された場合も同様である。
【0062】
図4及び図5図10で説明した包装方法によって形成された干し芋包装物24は真空パック用袋16に入れられ、真空パック用シーラー(図示せず)にセットされる。そして、真空パック袋16内のエアーが吸引された後、真空パック袋16の開封口16Aの部分が熱圧着シールされる。これにより、図7に示す本発明の実施の形態の袋入り干し芋10が製造される。スパイラル状巻回物22についても同様である。符号26は、真空パック用袋16の熱圧着シール部分を示す。
【0063】
即ち、本発明の実施の形態の袋入り干し芋10は、丸干し芋12が真空パック袋16に直接入れられた状態で真空パックされるのではなく、丸干し芋12を食品用フィルム14で包み込んで形成した干し芋包装物24の状態で真空パック用袋16に真空パックされていることを特徴としている。
【0064】
これにより、糖度が70以上の極めて高い丸干し芋12の場合にも、真空パックすることによって賞味期限を改良できるだけでなく、真空パック袋16から取り出し難い問題や食べる際に手がべたついて汚れるという問題を解決することができる。
【0065】
上記の如く製造された本発明の実施の形態の袋入り干し芋10は、図2で説明したように、更なる賞味期限の改良を目的として、ステップ5の加熱殺菌工程(S5)によって処理されることが好ましい。加熱殺菌工程では、100℃のお湯の中に袋入り干し芋10を2分間以上浸漬させることにより行う。これにより、加熱殺菌を行うことができるだけでなく、真空パックの際にエアー漏れなく確実にシールされているかを確認することができる。
【0066】
次に、上記の如く製造された袋入り干し芋10の丸干し芋12を食べる場合について説明する。
袋入り干し芋10の丸干し芋12を食べる場合は、食用フィルム包装工程(S2)、シール封着工程(S3)、真空パック工程(S4)のルートを逆に行う。
【0067】
例えば、図4図10の包装方法の場合、真空パック袋16の切り口16B位置で真空パック袋16の開封口16Aの部分を切り裂く。そして、真空パック袋16から干し芋包装物24を取り出す。これにより、真空パックによって丸干し芋12の糖蜜が滲み出ても、丸干し芋12は食品用フィルム14に包装されているので、真空パック袋16の内側に付着することがない。したがって、丸干し芋12を真空パック袋16から取り出し易くなる。
次に、干し芋包装物24から封着シール18を剥がしてから、食品用フィルム14の巻回を途中まで巻き戻す。これにより、丸干し芋12は食品用フィルム14に挟み込まれ状態になるので、丸干し芋12を食べる人は丸干し芋12が挟み込まれた食品用フィルム14を手28で掴むことができる。
この状態で、食品用フィルム14の三角部分Y1又はY2を引き下げるように拡げて丸干し芋12の一部を露出させる(図10においては、図4に対応する箇所を同様に操作する)。これにより、図8に示すように、丸干し芋12を手28に直接触れさせることなく食べることができるので、手28が汚れることはない。
【0068】
また、図5のルートA及びルートBのロール状巻回物20の場合も略同様であり、ロール状巻回物20の食品用フィルム14を巻き戻す。この場合、完全に巻き戻すと丸干し芋12の全体が露出するので、途中まで巻き戻したら、食品用フィルム14の折り返し部分14Aの一方を引き下げるように拡げて丸干し芋12の一部を露出させるとよい。これにより、丸干し芋12を手28に直接触れることなく食べることができるので、手28が汚れることはない。
また、図5のルートCのスパイラル状巻回物22の場合には、スパイラル状巻回物22に重ね巻きされたテープ状の食品用フィルム14を少しずつ巻き戻して、丸干し芋12を少しずつ露出させる。これにより、丸干し芋12を手28に直接触れさせることなく食べることができるので、手28が汚れることはない。
【0069】
[正方形な食品用フィルムの好ましいサイズ]
図9は、食品用フィルム14の正方形の一辺サイズの長さが丸干し芋12の長さよりも7cm以上長いものを用いることが好ましい理由について実施した実験結果の表図である。
【0070】
実験は材質が二軸延伸ポリプロピレン(OPP)の正方形な食品用フィルム14を使用した。また、実験に使用した丸干し芋12は、上記した長さが7~8cm程度、幅が3~4(最も太い部分)のものを使用した。
そして、糖度が70以上の丸干し芋12を図4で説明した方法を使用して食用フィルム14で包み込んだら封着シール18で封着して干し芋包装物24を形成した。形成した干し芋包装物24をナイロン製の真空パック袋16に入れ、真空パック用シーラーで真空パックし、本発明の実施の形態の袋入り干し芋10を作成した。
このように作成した袋入り干し芋10について、干し芋包装物24を真空パック袋16から取り出した。そして、食品用フィルム14に包み込まれた丸干し芋12の糖蜜が真空パックによる真空圧力によって干し芋包装物24の外部、即ち食品用フィルム14の外部に漏れ出していないかを目視にて調べた。
【0071】
上記の実験を、図9の表図に示すように、正方形な食品用フィルム14の一辺サイズが8cm、10cm、12cm、15cm、17cmの5水準についてそれぞれ5回の繰り返し実験を行った。
【0072】
その結果、食品用フィルム14の一辺サイズが8cm、10cm、12cmについては、5回の繰り返し実験において、何れかの回で糖蜜がロール状巻回物20の外部に1回以上漏れ出てしまった。また、食品用フィルム14の一辺サイズが大きくなるにつれて糖蜜の漏れ回数が減少する傾向にあった。
【0073】
一方、食品用フィルム14の一辺サイズが15cm、17cmについては、5回の繰り返し実験において、糖蜜が干し芋包装物24の外部に漏れ出てしまうことはなかった。このことから、食品用フィルム14の一辺サイズが15cm以上あれば、食品用フィルム14に包み込まれた丸干し芋12の糖蜜が真空パックによる真空圧力によって干し芋包装物24の外部に漏れ出ることを効果的に防止できることが分かった。
【0074】
この実験結果から、食品用フィルム14は正方形であって、正方形の一辺サイズの長さが丸干し芋の長さよりも7cm以上長いものを用いることが好ましい。
【0075】
ちなみに、食品用フィルム14における正方形の一辺サイズの上限としては、食品用フィルム14の三角部分Y1、Y2又は折り返し部分14Aを合わせる方向に折り返したときに、食品用フィルム14の三角部分Y1、Y2又は折り返し部分14Aが重ならないことが好ましい。この理由は、食品用フィルム14の三角部分Y1、Y2又は折り返し部分14Aが重なると、ロール状巻回物20の太さが太くなってしまい、真空パックする際に干し芋包装物24の近傍にエアーが抜けきれないエアー溜まりができやすくなり、賞味期限に悪影響を及ぼす危険があるためである。
【0076】
[本発明の実施の形態の袋入り干し芋及びその製造方法のまとめ]
以上説明した本発明の実施の形態の袋入り干し芋及びその製造方法によって、糖度が高く柔らかい干し芋であっても、消費期限の問題、包装袋から取り出し難い問題、食べる際に手がべたついて汚れるという問題の全てを解決できることを以下にまとめた。
【0077】
(A)本発明の課題の1つである常温で長く日持ちできる消費期限の問題については、丸干し芋12を真空パック袋に入れて真空パックすることで解決することができる。この場合、本発明では1個単位で真空パックするので、丸干し芋12を複数個単位で真空パックしたときのように丸干し芋12同士が付着してブロック化するという問題もなく、食べやすい。
また、真空パックによる賞味期限に加えて、袋入り干し芋10を加熱殺菌することによって、賞味期限を一層改良することができる。
【0078】
(B)真空パックすることにより、丸干し芋12から滲みやすくなる糖蜜によって包装袋から取り出し難い問題については、丸干し芋12を真空パック袋16に直接入れて真空パックするのではなく、丸干し芋12を食品用フィルム14で包み込まれた状態で真空パック用袋16に入れて真空パックするようにした。これにより、真空パックする真空圧力で丸干し芋12から糖蜜が滲み出ても、丸干し芋12は食品用フィルム14で包み込まれているので、真空パック袋16の内側に糖蜜が付着するのを効果的に防止できる。
【0079】
この場合、食品用フィルム14は正方形であって、正方形の一辺サイズの長さが丸干し芋の長さよりも7cm以上長くすることで、食品用フィルム14の外部に糖蜜が一層漏れ出なくなるので、真空パック袋16の内側に糖蜜が付着することを一層効果的に防止できる。
【0080】
(C)食べる際に手がべたついて汚れるという問題については、丸干し芋12を真空パック袋16から直接取り出すのではなく、真空パック袋16から丸干し芋12を食品用フィルム14で包み込んだ干し芋包装物24を取り出す。そして、丸干し芋12を包み込んだ食品用フィルム14の外側を手28で持って食べることができるようにしたので、食べる際に手がべたついて汚れるという問題を解決できる。
【0081】
(D)このように、本発明の実施の形態の袋入り干し芋10は、糖度が高く柔らかい干し芋であっても、常温での賞味期限の問題、包装袋から取り出し難い問題、食べる際に手がべたついて汚れるという問題の全てを解決することができる。
【0082】
(E)丸干し芋12の干し芋包装物24を1個単位で真空パック袋16に真空パックするので、例えばポケットやカバン等に入れても嵩張ることなく持ち運べる。また、上記したように、丸干し芋12を食品用フィルム14で包み込んでから真空パックするようにしたので、手を汚さずに食べることができる。したがって、例えば外出時の小腹がすいたときに、ポケットやカバン等から取り出して手を汚すことなく何時でも何処でも食べることができる。
【0083】
本発明の上記説明において、丸干し芋12を例にとって説明したが、丸干し芋12の代わりに平干し芋であっても本発明を適用することができることは言うまでも無く同様の効果を奏することができる。しかしながら、丸干し芋の方が、糖蜜が多く出るので、丸干し芋に本発明を適用した方が効果が高い。
【符号の説明】
【0084】
10…袋入り干し芋、12…丸干し芋、14…食品用フィルム、Y1…三角部分、14A…折り返し部分、16…真空パック袋、16A…開封口、16B…切り口、18…封着用シール、18A…剥がし部分、20…ロール状巻回物、22…スパイラル状巻回物、24…干し芋包装物、26…熱圧着シール部分、28…手、X1…三角部分、X2…三角部分、Y1…三角部分、Y2…三角部分
【要約】
【課題】糖度が高く柔らかい干し芋であっても、常温での賞味期限の問題、包装袋から取り出し難い問題、食べる際に手がべたついて汚れるという問題の全てを解決した袋入り干し芋及びその製造方法を提供する。
【解決手段】丸干し芋12と、丸干し芋12を1個単位で包み込む食品用フィルム14と、丸干し芋12を1個単位で真空パックする真空パック用袋16と、を有し、丸干し芋12は食品用フィルム14で包み込まれた状態で真空パック用袋16に真空パックされていることを特徴とする。
【選択図】図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10