(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】後付け停電対策セット
(51)【国際特許分類】
H02J 9/04 20060101AFI20241121BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20241121BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
H02J9/04
H02J9/06
H02J7/34 G
(21)【出願番号】P 2024094042
(22)【出願日】2024-06-10
【審査請求日】2024-07-12
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)公開の事実1 ▲1▼公開日 令和6年3月5日 ▲2▼公開場所 岡田電気産業株式会社、酒井翔梧(電話) ▲3▼公開者 アイコミュニケーションズ株式会社代表取締役、布留川剛仁 ▲4▼公開された発明の内容 岡田電気産業株式会社の酒井翔梧氏に対し、布留川剛仁が、ポータブル蓄電池とポータブル型太陽光発電パネルと追加のスイッチ装置とをセットにした後付けの停電対策セットを商品化することについて話をした。(2)公開の事実2 ▲1▼公開日 令和6年3月5日 ▲2▼公開場所 アイコミュニケーションズ株式会社応接室 ▲3▼公開者 アイコミュニケーションズ株式会社代表取締役、布留川剛仁 ▲4▼公開された発明の内容 日東エルマテリアル株式会社の往田優貴氏に対し、布留川剛仁が、ポータブル蓄電池とポータブル型太陽光発電パネルと追加のスイッチ装置とをセットにした後付けの停電対策セットを商品化することについて話をした。(3)公開の事実3 ▲1▼公開日 令和6年3月5日 ▲2▼公開場所 EcoFlow Technology Japan株式会社、古川絢貴(電話) ▲3▼公開者 アイコミュニケーションズ株式会社代表取締役、布留川剛仁 ▲4▼公開された発明の内容 EcoFlow Technology Japan株式会社の古川絢貴氏に対し、布留川剛仁が、ポータブル蓄電池とポータブル型太陽光発電パネルと追加のスイッチ装置とをセットにした後付けの停電対策セットを商品化することについて話をした。(4)公開の事実4 ▲1▼公開日 令和6年3月15日 ▲2▼公開場所 日本瓦斯株式会社、渡辺一隆ほか(電話及び電子メール) ▲3▼公開者 アイコミュニケーションズ株式会社代表取締役、布留川剛仁 ▲4▼公開された発明の内容 日本瓦斯株式会社の渡辺一隆氏ほか同社の従業員及び役員に対し、布留川剛仁が、ポータブル蓄電池とポータブル型太陽光発電パネルと追加のスイッチ装置とをセットにした後付けの停電対策セットを商品化することについて話をした。また、デモ機を撮影した動画をメールで送信した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (5)公開の事実5 ▲1▼公開日 令和6年4月3日 ▲2▼公開場所 アイコミュニケーションズ株式会社応接室 ▲3▼公開者 アイコミュニケーションズ株式会社代表取締役、布留川剛仁 ▲4▼公開された発明の内容 千葉銀行都賀支店の海保瑞樹氏に対し、布留川剛仁が、ポータブル蓄電池とポータブル型太陽光発電パネルと追加のスイッチ装置とをセットにした後付けの停電対策セットを商品化することについて話をした。(6)公開の事実6 ▲1▼公開日 令和6年4月12日 ▲2▼公開場所 アイコミュニケーションズ株式会社会議室 ▲3▼公開者 アイコミュニケーションズ株式会社代表取締役、布留川剛仁 ▲4▼公開された発明の内容 ちばぎんリース株式会社の川原準貴氏及び大屋賢一氏に対し、布留川剛仁が、ポータブル蓄電池とポータブル型太陽光発電パネルと追加のスイッチ装置とをセットにした後付けの停電対策セットを商品化することについて話をした。(7)公開の事実7 ▲1▼公開日 令和6年4月2日 ▲2▼公開場所 インターネット(zoom)によるリモート会議 ▲3▼公開者 アイコミュニケーションズ株式会社代表取締役、布留川剛仁 ▲4▼公開された発明の内容 株式会社アイドマ・ホールディングスの荒木将英氏及び坂部昭彦氏とインターネット(zoom)によりリモート会議を行い、布留川剛仁が、ポータブル蓄電池とポータブル型太陽光発電パネルと追加のスイッチ装置とをセットにした後付けの停電対策セットを商品化することについて話をし、資料を提供した。(8)公開の事実8 ▲1▼公開日 令和6年4月5日 ▲2▼公開場所 インターネット(zoom)によるリモート会議 ▲3▼公開者 アイコミュニケーションズ株式会社代表取締役、布留川剛仁 ▲4▼公開された発明の内容 株式会社オリエントコーポレーションの森和貴氏とインターネット(zoom)によりリモート会議を行い、布留川剛仁が、ポータブル蓄電池とポータブル型太陽光発電パネルと追加のスイッチ装置とをセットにした後付けの停電対策セットを商品化することについて話をした。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (9)公開の事実9 ▲1▼公開日 令和6年5月7日 ▲2▼公開場所 アイコミュニケーションズ株式会社応接室 ▲3▼公開者 アイコミュニケーションズ株式会社代表取締役、布留川剛仁 ▲4▼公開された発明の内容 株式会社千葉キャリの渡邉晃典氏に対し、布留川剛仁が、ポータブル蓄電池とポータブル型太陽光発電パネルと追加のスイッチ装置とをセットにした後付けの停電対策セットを商品化することについて話をした。(10)公開の事実10 ▲1▼公開日 令和6年5月10日 ▲2▼公開場所 アイコミュニケーションズ株式会社会議室 ▲3▼公開者 アイコミュニケーションズ株式会社代表取締役、布留川剛仁 ▲4▼公開された発明の内容 株式会社ビルオプトの薄井光生氏に対し、布留川剛仁が、ポータブル蓄電池とポータブル型太陽光発電パネルと追加のスイッチ装置とをセットにした後付けの停電対策セットを商品化することについて話をした。(11)公開の事実11 ▲1▼公開日 令和6年5月11日 ▲2▼公開場所 スウェーデンハウスつくば店ショールーム内 ▲3▼公開者 アイコミュニケーションズ株式会社代表取締役、布留川剛仁 ▲4▼公開された発明の内容 株式会社スウェーデンハウスつくば店店長の石田喜久氏及び株式会社FPパートナーの石井良子氏に対し、布留川剛仁が、ポータブル蓄電池とポータブル型太陽光発電パネルと追加のスイッチ装置とをセットにした後付けの停電対策セットを商品化することについて話をし、資料を見せた。(12)公開の事実12 ▲1▼公開日 令和6年5月16日 ▲2▼公開場所 株式会社オートウェーブ宮野木店会議室 ▲3▼公開者 アイコミュニケーションズ株式会社代表取締役、布留川剛仁 ▲4▼公開された発明の内容 株式会社オートウェーブの社長、役員含め12名に対し、布留川剛仁が、ポータブル蓄電池とポータブル型太陽光発電パネルと追加のスイッチ装置とをセットにした後付けの停電対策セットを商品化することについて話をした。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (13)公開の事実13 ▲1▼公開日 令和6年5月16日 ▲2▼公開場所 アイコミュニケーションズ株式会社応接室 ▲3▼公開者 アイコミュニケーションズ株式会社代表取締役、布留川剛仁 ▲4▼公開された発明の内容 千葉信用金庫の▲高▼島駿斗氏に対し、布留川剛仁が、ポータブル蓄電池とポータブル型太陽光発電パネルと追加のスイッチ装置とをセットにした後付けの停電対策セットを商品化することについて話をし、資料を見せた。(14)公開の事実14 ▲1▼公開日 令和6年5月17日 ▲2▼公開場所 アイコミュニケーションズ株式会社応接室 ▲3▼公開者 アイコミュニケーションズ株式会社代表取締役、布留川剛仁 ▲4▼公開された発明の内容 京葉銀行の宮村建次氏、勝呂明夫氏、篠塚武仁氏に対し、布留川剛仁が、ポータブル蓄電池とポータブル型太陽光発電パネルと追加のスイッチ装置とをセットにした後付けの停電対策セットを商品化することについて話をし、資料を渡した。(15)公開の事実15 ▲1▼公開日 令和6年5月23日 ▲2▼公開場所 ホテルグリーンタワー幕張ラウンジ ▲3▼公開者 アイコミュニケーションズ株式会社代表取締役、布留川剛仁 ▲4▼公開された発明の内容 株式会社FPパートナーの佐々木司氏に対し、布留川剛仁が、ポータブル蓄電池とポータブル型太陽光発電パネルと追加のスイッチ装置とをセットにした後付けの停電対策セットを商品化することについて話をし、資料を見せた。(16)公開の事実16 ▲1▼公開日 令和6年5月24日 ▲2▼公開場所 インターネット(zoom)によるリモート会議 ▲3▼公開者 アイコミュニケーションズ株式会社代表取締役、布留川剛仁 ▲4▼公開された発明の内容 千葉テレビ放送株式会社総合プロデューサーの大林健太郎氏とインターネット(zoom)によりリモート会議を行い、布留川剛仁が、ポータブル蓄電池とポータブル型太陽光発電パネルと追加のスイッチ装置とをセットにした後付けの停電対策セットを商品化することについて、資料を提示して説明した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (17)公開の事実17 ▲1▼公開日 令和6年5月27日 ▲2▼公開場所 東京都港区芝公園2-4-1芝パークビルB館地下1F(会議室B1F) ▲3▼公開者 アイコミュニケーションズ株式会社代表取締役、布留川剛仁 ▲4▼公開された発明の内容 株式会社原田泳幸事務所の原田泳幸氏、株式会社アサポーターの高山英樹氏、株式会社Freetyの籔田創大氏、LALAHOUSEGROUPの星野駿人氏に対し、布留川剛仁が、ポータブル蓄電池とポータブル型太陽光発電パネルと追加のスイッチ装置とをセットにした後付けの停電対策セットを商品化することについて話をした。また、原田氏と星野氏に対して、メールで資料を送付した。(18)公開の事実18 ▲1▼公開日 令和6年5月27日 ▲2▼公開場所 千葉銀行都賀支店受付カウンター ▲3▼公開者 アイコミュニケーションズ株式会社代表取締役、布留川剛仁 ▲4▼公開された発明の内容 千葉銀行都賀支店の多田遼真氏に対し、布留川剛仁が、ポータブル蓄電池とポータブル型太陽光発電パネルと追加のスイッチ装置とをセットにした後付けの停電対策セットを商品化することについて話をし、資料を渡した。(19)公開の事実19 ▲1▼公開日 令和6年5月31日 ▲2▼公開場所 アイコミュニケーションズ株式会社会議室 ▲3▼公開者 アイコミュニケーションズ株式会社代表取締役、布留川剛仁 ▲4▼公開された発明の内容 東京海上日動あんしん生命保険株式会社京葉生保支社の山中孝晃氏及び▲高▼久恵梨佳氏に対し、布留川剛仁が、ポータブル蓄電池とポータブル型太陽光発電パネルと追加のスイッチ装置とをセットにした後付けの停電対策セットを商品化することについて話をし、資料を渡した。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520060863
【氏名又は名称】アイコミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097548
【氏名又は名称】保立 浩一
(72)【発明者】
【氏名】布留川 剛仁
【審査官】三橋 竜太郎
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/00-11/00
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存の分電盤に対して後付けで取り付けられる後付け停電対策セットであって、分電盤における一つの分岐開閉器である対象分岐開閉器と住宅内の特定負荷との間に、非停電時において対象分岐開閉器から特定負荷に給電がされる状態で取り付けられる停電対策セットであり、
対象分岐開閉器に接続される第一の主配線と、
特定負荷に接続される第二の主配線と、
第一の主配線を介して非停電時に対象分岐開閉器からの給電によって蓄電され、第一の主配線に対して取り外し可能であるポータブル蓄電池と、
太陽光発電パネルと
を備えており、
ポータブル蓄電池は、停電時に第二の主配線を介して特定負荷に給電可能な状態で第二の主配線に対して接続されるものであり、
太陽光発電パネルは、ポータブル蓄電池の入力側において対象分岐開閉器と並列に接続されるものであり、
ポータブル蓄電池は、並列に接続された対象分岐開閉器と太陽光発電パネルとの双方の電力によって蓄電が可能であるか、ポータブル蓄電池への給電を対象分岐開閉器からの電力によるか太陽光発電パネルからの電力によるかを切り替えるパネル用スイッチが設けられており、
非停電時にポータブル蓄電池への給電を太陽光発電パネルからの電力によって行う状態において、対象分岐開閉器から特定負荷への給電が確保されることを特徴とする後付け停電対策セット。
【請求項2】
前記ポータブル蓄電池はパススルー機能を有しており、
前記ポータブル蓄電池は、前記第一の主配線に対して前記特定負荷と直列に接続されていて前記特定負荷の上流側に接続されており、
前記ポータブル蓄電池を前記第一の主配線に対して取り外した際、前記対象分岐開閉器と前記特定負荷とを短絡させる離脱時用スイッチが設けられていることを特徴とする請求項1記載の後付け停電対策セット。
【請求項3】
前記ポータブル蓄電池への給電を前記対象分岐開閉器からの電力によるか前記太陽光発電パネルからの電力によるかを切り替えるパネル用スイッチが設けられており、
パネル用スイッチが前記ポータブル蓄電池への給電を前記太陽光発電パネルからの電力によって行う状態とした際に前記対象分岐開閉器と前記特定負荷とをつなぐバイパス線が設けられていることを特徴とする請求項2記載の後付け停電対策セット。
【請求項4】
前記ポータブル蓄電池は、前記第一の主配線に対して前記特定負荷と並列に接続されており、
停電時に前記特定負荷を前記第一の主配線から切り離し、前記第二の主配線を介して前記ポータブル蓄電池を前記特定負荷に接続して給電がされるようにする停電時用スイッチが設けられていることを特徴とする請求項1記載の後付け停電対策セット。
【請求項5】
前記太陽光発電パネルは、ポータブル型であることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の後付け停電対策セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の発明は、大規模な災害によってもたらされ得る停電への対策を後付けで行う後付け停電対策セットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、大地震や洪水といった自然災害により地域のライフラインが甚大な被害を受ける事例が頻発しており、その対策を万全にすることが緊急の課題となっている。特に、発電所の損壊や送配電網の被害により大規模な停電が発生する事例が多くなってきており、それへの対策の重要性が叫ばれている。
災害による停電が発生した際、復旧までに長期間を要する事例は少ないものの、数日はかかる場合が多い。その間、電気のない不自由な生活が余儀なくされる。非常用電源設備を備えた避難所に避難する場合も多いが、プライバシーの観点から躊躇し、電気が来ていない自宅にとどまってしまう場合も多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような問題を考慮し、一般の住宅においても災害時の停電を考慮した非常用電源設備を設ける対策がされつつある。しかしながら、設置は住宅新築時に行わなければならず、また数百万円単位のコストがかかる問題がある。
一般住宅用の非常用電源設備としては、太陽光発電パネルと蓄電池とを備えたものとするのが一般的である。通常時(非停電時)には系統電力(電力会社が供給する電力)と太陽光とで蓄電池を蓄電しておき、災害時(停電時)には蓄電池の電力を利用する。この他、いわゆるV2H(Vehicle to Home)を設置し、電気自動車又はプラグインハイブリッド車を蓄電池として使用できるよう設備を施工しておく場合もある。いずれにしても、これら従来の非常用電源対策は、多大なコストがかかり、工期も長くなっており、且つ住宅新築時に施工するものとなっているため、なかなか普及していないのが現実である。
本願の発明は、一般の住宅における上記のような災害時の非常用電源対策の課題を念頭において為されたものであり、低コストで使い勝手が良い非常用電源設備を提供するとともに、住宅施工後でも(居住中の住宅でも)後から非常用電源対策が行えるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、この明細書において、後付け停電対策セットの発明が開示される。開示された発明に係る後付け停電対策セットは、既存の分電盤に対して後付けで取り付けられる後付け停電対策セットであって、分電盤における一つの分岐開閉器である対象分岐開閉器と住宅内の特定負荷との間に、非停電時において対象分岐開閉器から特定負荷に給電がされる状態で取り付けられる停電対策セットである。
このセットは、
対象分岐開閉器に接続される第一の主配線と、
特定負荷に接続される第二の主配線と、
第一の主配線を介して非停電時に対象分岐開閉器からの給電によって蓄電され、第一の主配線に対して取り外し可能であるポータブル蓄電池と、
太陽光発電パネルと
を備えている。
ポータブル蓄電池は、停電時に第二の主配線を介して特定負荷に給電可能な状態で第二の主配線に対して接続されるものである。
太陽光発電パネルは、ポータブル蓄電池の入力側において対象分岐開閉器と並列に接続されるものである。
ポータブル蓄電池は、並列に接続された対象分岐開閉器と太陽光発電パネルとの双方の電力によって蓄電が可能であるか、ポータブル蓄電池への給電を対象分岐開閉器からの電力によるか太陽光発電パネルからの電力によるかを切り替えるパネル用スイッチが設けられている。
この後付け停電対策セットは、非停電時にポータブル蓄電池への給電を太陽光発電パネルからの電力によって行う状態において、対象分岐開閉器から特定負荷への給電が確保される構成を有している。
また、上記課題を解決するため、開示された発明に係る後付け停電対策セットは、
ポータブル蓄電池がパススルー機能を有しており、
ポータブル蓄電池は、第一の主配線に対して特定負荷と直列に接続されていて特定負荷の上流側に接続されており、
ポータブル蓄電池を第一の主配線に対して取り外した際、対象分岐開閉器と特定負荷とを短絡させる離脱時用スイッチが設けられているという構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、開示された発明に係る後付け停電対策セットは、
ポータブル蓄電池への給電を対象分岐開閉器からの電力によるか太陽光発電パネルからの電力によるかを切り替えるパネル用スイッチが設けられており、
パネル用スイッチがポータブル蓄電池への給電を太陽光発電パネルからの電力によって行う状態とした際に対象分岐開閉器と特定負荷とをつなぐバイパス線が設けられているという構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、開示された発明に係る後付け停電対策セットは、
ポータブル蓄電池が、第一の主配線に対して特定負荷と並列に接続されており、
停電時に特定負荷を第一の主配線から切り離し、第二の主配線を介してポータブル蓄電池を特定負荷に接続して給電がされるようにする停電時用スイッチが設けられている
という構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、開示された発明に係る後付け停電対策セットにおいて、太陽光発電パネルはポータブル型であり得る。
【発明の効果】
【0006】
以下に説明する通り、開示された発明に係る後付け停電対策セットによれば、通常時(非停電時)に蓄電しておいたポータブル蓄電池により停電時に特定負荷に対して給電がされるので、ポータブル蓄電池の蓄電量がゼロになるまで特定負荷において電気を使用することができる。このため、災害時等に必要最小限の電気使用が可能となる。
また、施工も安価に短期間に完了でき、ハードウェアとしてのコストも格段に安価なものとすることができる。このため、災害時の停電対策を低コストで行うことができる。
そして、ポータブル蓄電池を取り外して野外でレジャー等で利用することができるので、一石二鳥的な効果がある。蓄電池がポータブルである意味は別にもあり、停電時に屋内の別の場所に持っていって必要に応じて使用することができるというメリットもある。
さらに、太陽光発電パネルを備えていてポータブル蓄電池への蓄電が可能となっているので、停電時にポータブル蓄電池の残量がゼロになるまでの時間を先延ばしすることができ、停電が長期に亘った場合に特に好適となる。
【0007】
また、ポータブル蓄電池がパススルー機能を有しており、ポータブル蓄電池が第一の主配線に対して特定負荷と直列に接続されていて特定負荷の上流側に接続されており、ポータブル蓄電池を第一の主配線に対して取り外した際に対象分岐開閉器と特定負荷とを短絡させる離脱時用スイッチが設けられている構成によれば、ポータブル蓄電池を取り外した際にも特定負荷への給電は維持され、特定負荷における電力使用に問題が生じないという効果が得られる。
【0008】
また、ポータブル蓄電池が第一の主配線に対して特定負荷と並列に接続されており、停電時に特定負荷を第一の主配線から切り離し、第二の主配線を介してポータブル蓄電池を特定負荷に接続して給電がされるようにする停電時用スイッチが設けられている構成では、ポータブル蓄電池を取り外した際にも特定負荷への給電は維持され、特定負荷における電力使用に問題が生じないという効果を得つつ、停電時にポータブル蓄電池により特定負荷への電力供給を行うことができる。
また、太陽光発電パネルがポータブル型である場合には、後付けでの施工が極めて容易であり、またレジャー等の外出時の用途でも太陽光発電パネルを兼用して使用することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第一の実施形態の後付け停電対策セットの概略図である。
【
図2】ポータブル蓄電池を取り外した際の結線状態について示した概略図である。
【
図3】第二の実施形態の後付け停電対策セットの概略図である。
【
図4】ポータブル蓄電池への蓄電が対象分岐開閉器からの系統電力と太陽光発電パネルとの双方を使用して行われる構成の一例を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本願発明を実施するための形態(以下、実施形態)について説明する。
図1は、第一の実施形態の後付け停電対策セットの概略図である。
図1に示す後付け停電対策セットは、停電発生時に蓄電池を使用して電源を確保する機能を後付けで追加するセットである。「後付け」とは、建物の新築時ではなく完成後に後から施工して追加できるという意味である。
図1に示すように、この後付け停電対策セット(以下、後付けセットと略称する。)は、スイッチボックス1、ポータブル蓄電池2、太陽光発電パネル3、主配線41,42等から構成されている。スイッチボックス1には、主線端子100と負荷端子101とが設けられている。以下に説明する実施形態の後付けセットは、一戸建てやマンション等の住宅用であることが想定されているが、オフィスや官公署等の非住宅用の建物において使用されることもあり得る。
【0011】
図1示すように、この後付けセットは、住宅に設置された既存の分電盤8における一つの分岐用開閉器81に対して取り付けられるものである。後付けセットは、当該一つの分岐開閉器81と当該一つの分岐開閉器81から給電されている特定負荷9との間に介在させる形で施工がされるものである。したがって、施工の際には、当該一つの分岐用開閉器81において特定負荷9への給電線を取り外し、その分岐開閉器81に第一の主配線41の一端を接続し、第一の主配線41の他端をスイッチボックス1上の主線用端子100に接続する。また、第二の主配線42は、一端がスイッチボックス1上の負荷端子101に接続され、他端が特定負荷9に接続される。
【0012】
以下の説明において、後付けセットが取り付けられる分岐開閉器81を対象分岐開閉器と呼ぶ。対象分岐開閉器81が給電している特定負荷9は、停電時にポータブル蓄電池2によって給電がされる負荷である。住宅は、分電盤8によって各部屋に配電がされているが、特定負荷9は、停電時に給電の優先順位が高い部屋(例えばリビング)が選定される。即ち、停電時に給電の優先順位が高い部屋に給電している対象分岐開閉器81について接続を解除して後付けセットの施工が行われる。
【0013】
図1に示すように、第一の実施形態の後付けセットは、基本的には、対象分岐開閉器81と特定負荷9との間にポータブル蓄電池2が直列に介在する構成となっている。即ち、第一の主配線41によりポータブル蓄電池2の入力端子21が対象分岐開閉器81に対して接続され、ポータブル蓄電池2の出力端子22が第二の主配線42により特定負荷9に接続される。したがって、ポータブル蓄電池2と特定負荷9とは直列であり、ポータブル蓄電池2が上流側である。
ポータブル蓄電池2としては、AC100Vでの入力端子とAC100Vでの出力端子を備えパススルー機能を有するものが使用される。いわゆる無停電電源装置と同様の構成のものとなっている。例えば、EcoFlow Technology Japan株式会社から販売されているDELTA2等が実施形態におけるポータブル蓄電池2として使用できる。
【0014】
スイッチボックス1内には、二つのスイッチ11,12が配設されている。一つは、ポータブル蓄電池2を取り外した際に特定負荷9への給電を確保するためのスイッチ(以下、離脱時用スイッチという。)11である。もう一つは、ポータブル蓄電池2への蓄電に太陽光発電パネル3による電力を使用するかどうか選択するスイッチ(以下、パネル用スイッチ)12である。
【0015】
離脱時用スイッチ11について、
図1及び
図2を参照してさらに詳しく説明する。
図2は、ポータブル蓄電池2を取り外した際の結線状態について示した概略図である。
図1に示すように、スイッチボックス1には、ポータブル蓄電池2の入力線(以下、蓄電池入力線)23を接続する蓄電入力接続端子103と、ポータブル蓄電池2の出力線(以下、蓄電池出力線)24が接続される蓄電出力接続端子104とが設けられている。蓄電池入力線23と蓄電池出力線24は、端部に専用ソケット25を備えて束ねられたケーブルとなっている。
【0016】
そして、
図1及び
図2に示すように、第一の主配線41からの線路は、スイッチボックス1内において、蓄電用入力端子103に短絡されるボックス内主線411と、第一のバイパス線412とに分岐している。ボックス内主線411は、パネル用スイッチ102を介して蓄電入力接続端子103に接続されている。
また、上述したようにスイッチボックス1には第二の主配線42が接続される負荷端子101が設けられており、第一のバイパス線412は、離脱時用スイッチ11を介して負荷端子101に接続されている。
【0017】
図1に示すように、離脱時用スイッチ11は、ポータブル蓄電池2がスイッチボックス1に対して取り付けられている状態では、第一のバイパス線412を負荷端子101から開放するものとなっている。そして、
図2に示すように、ポータブル蓄電池2が取り外された状態では、離脱時用スイッチ11は、第一のバイパス線412を負荷端子101に対して短絡させるものとなっている。以下、説明の都合上、離脱時用スイッチ11について、第一のバイパス線412を負荷端子101に短絡させた状態をオン、開放した状態をオフとする。
【0018】
離脱時用スイッチ11としては、押しボタンスイッチのような手動によるものとしても良いが、ポータブル蓄電池2を取り外した際には自動的に動作するスイッチ(自動スイッチ)としておくと好適である。この構成としては、例えば、離脱時用スイッチ11に対してバネ部材を設け、ポータブル蓄電池2を取り外すとバネの作用により短絡板がシフトして第一のバイパス線412を負荷端子101に短絡させる(オンにする)構成とし得る。ポータブル蓄電池2を取り付ける際には、バネ部材の弾性に抗して離脱時用スイッチ11を押し込み、第一のバイパス線412を負荷端子101から切り離す(オフにする)。
【0019】
次に、パネル用スイッチ12について説明する。
図1に示すように、スイッチボックス1にはパネル端子102が設けられている。この実施形態では、この実施形態では、太陽光発電パネル3にはインバーター31が付属しており、太陽光発電パネル3からの給電線上にインバーター31が設けられている。インバーター31の出力はパネル端子102に接続され、太陽光発電パネル3からのDC電圧をAC100Vに変換してパネル端子102に給電するようになっている。
【0020】
パネル用スイッチ12は、蓄電入力接続端子103をボックス内主線411に短絡する状態にするのかパネル端子102に短絡する状態にするのかの切り換えを行うものとなっている。以下、説明の都合上、パネル用スイッチ12について、蓄電入力接続端子103をボックス内主線411から切り離してパネル端子102に短絡する状態をオンとし、蓄電入力接続端子103をパネル端子102から切り離してボックス内主線411に短絡する状態をオフとする。
パネル用スイッチ12については、手動のロータリースイッチが採用される。但し、インバーター31から延びるケーブルが差し込まれるソケット状のものをパネル端子として採用し、ケーブルを接続すると自動的にオンになる自動スイッチをパネル用スイッチ12として採用しても良い。
【0021】
また、
図1に示すように、スイッチボック1内で第一の主配線41につながる線路から分岐した線路として、第二のバイパス線43が設けられている。第二のバイパス線43は、ポータブル蓄電池2及び離脱時用スイッチ11をバイパスして第二の主配線42に結線されており、第二のバイパス線43上には、連動スイッチ13が設けられている。連動スイッチ13は、パネル用スイッチ12と連動するスイッチであり、通常はオフ(開放)となっているが、パネル用スイッチ12がオンになると連動してオン(短絡)となるスイッチである。
【0022】
このような第一の実施形態の後付けセットの動作について、以下に説明する。
後付けセットは、居住中の住居において上記のように後付けで施工される。ポータブル蓄電池2がスイッチボックス1に対して取り付けられ、離脱時用スイッチはオフとされる。ポータブル蓄電池2は、第二の主配線42により特定負荷9に対して接続された状態となる。また、パネル用スイッチ12はオフとされ、太陽光発電パネル3はポータブル蓄電池2には接続されない。このようは配線状態において、ポータブル蓄電池2への蓄電を行いつつ特定負荷9への給電が為される。ポータブル蓄電池2はパススルー機能を有しているので、満蓄電とされると、対象分岐開閉器81からの電力はポータブル蓄電池2をスルーして特定負荷9に供給される。
【0023】
このような状態において、大規模災害等によって停電が発生すると、分電盤8への系統電力による給電が途絶えるので、対象分岐開閉器81からの給電がなくなる。ポータブル蓄電池2は、これを検出して内部の回路により電力供給を開始する。即ち、ポータブル蓄電池2からの電力が特定負荷9に供給され、特定負荷9(例えばリビング)に対する給電が継続される。停電が解消すると、ポータブル蓄電池2の内部回路は電力復旧を検出し、蓄電と特定負荷9への短絡とを行う状態に復帰させる。
【0024】
ポータブル蓄電池2を野外等で使用するために取り外すと、離脱時用スイッチ11が作用し、第一の主配線41と第二の主配線42とが短絡する。これにより、特定負荷9への給電が継続される。
また、昼間の晴天時に、太陽光発電パネル3を使用してポータブル蓄電池2を蓄電する場合、インバーター31から延びる給電線をスイッチボックス1のパネル端子102に接続しておき、パネル用スイッチ12をオンにする。これにより、対象分岐開閉器81からの給電がオフになり、その代わりに太陽光発電パネル3からの給電がオンになる。この際、連動スイッチ13が動作してオンになり、バイパスしている第二のバイパス線43によって特定負荷9への対象分岐開閉器81からの給電が確保される。
尚、停電時に昼間晴れていれば、パネル用スイッチ12をオンにし、ポータブル蓄電池2への蓄電を並行して行う。これにより、ポータブル蓄電池2の残量がゼロになるまでの時間が先延ばしされる。
【0025】
このような実施形態の後付けセットによれば、通常時(非停電時)に蓄電しておいたポータブル蓄電池2により停電時に特定負荷9に対して給電がされるので、ポータブル蓄電池2の蓄電量がゼロになるまで特定負荷9において電気を使用することができる。このため、災害時に必要最小限の電気使用が可能となる。
そして、ポータブル蓄電池2と太陽光発電パネル3とが接続されるスイッチボックス1を第一の主配線41により対象分岐開閉器81に取り付けるだけで施工が完了するので、施工は極めて安価で短期間に完了する。そして、比較的シンプルな構造のスイッチボックス1と、安価に入手できるポータブル蓄電器2及び太陽光発電パネル3とを組み合わせたセットであるので、ハードウェアとしてのコストも格段に安価なものとすることができる。このため、災害時の停電対策を低コストで行うことができる。
【0026】
また、ポータブル蓄電池2を取り外して野外でレジャー等で利用することができるので、一石二鳥的な効果がある。蓄電池がポータブルである意味は別にもあり、停電時に屋内の別の場所に持っていって必要に応じて使用することができるというメリットもある。例えば、トイレが電動でのみ流せるものであり、電源ケーブルがコンセントに差し込んである場合、ポータブル蓄電池2をトイレまで持っていき、電源ケーブルをポータブル蓄電池2に接続してトイレを流すことができる。即ち、一石三鳥の効果がある。
【0027】
さらに、実施形態の後付けセットは、太陽光発電パネル3を備えていてポータブル蓄電池2への蓄電が可能となっているので、停電時にポータブル蓄電池2の残量がゼロになるまでの時間を先延ばしすることができ、停電が長期に亘った場合に特に好適となる。
尚、第一の実施形態において、離脱時用スイッチ11をパネル用スイッチ12と連動して動作するようにしておけば、第二のバイパス線43及び連動スイッチ13は不要である。但し、離脱時用スイッチ11をポータブル充電器2の取り外しに連動して動作するよう構成した場合、二つの連動の動作が必要になるので、構造的に複雑になる欠点がある。
【0028】
次に、第二の実施形態の後付け停電対策セットについて説明する。
図3は、第二の実施形態の後付け停電対策セットの概略図である。
第二の実施形態の後付けセットも、住宅等の分電盤8における対象分岐開閉器81に対して後付けで接続されるセットであり、スイッチボックス1と、ポータブル蓄電池2と、太陽光発電パネル3とを備えている。第二の実施形態の後付けセットが第一の実施形態と異なるのは、ポータブル蓄電池2が特定負荷9に対して並列の関係で接続されることである。
【0029】
図3に示すように、第二の実施形態では、第一の主配線41につながる線路が分岐する形でボックス内主線411と蓄電用分岐配線44とが設けられている。また、同様にスイッチボックス1にはパネル端子102が設けられており、パネル用スイッチ12が設けられている。パネル用スイッチ12は、蓄電入力接続端子103を蓄電用分岐配線44に短絡するのかパネル端子102に短絡するのかの切り換えを行うものとなっている。同様に、太陽光発電パネル3を使用する場合にパネル用スイッチ12はオンとされ、パネル端子102が蓄電入力接続端子103に短絡された状態とする。
【0030】
そして、ボックス内主線411は、分岐箇所から延び、停電時用スイッチ14を介して負荷端子101に接続されている。また、蓄電出力接続端子104も停電時用スイッチ14を介して負荷端子101に接続されている。停電時用スイッチ14は、通常時(非停電時)はボックス内主線411と負荷端子101とを短絡する状態(オフ状態)とし、停電発生時にはボックス内主線411を負荷端子101から切り離し、蓄電出力接続端子104を負荷端子101に短絡する状態(オン状態)とするスイッチである。停電時用スイッチ14は、ロータリースイッチのような手動のスイッチであるが、停電を検出するセンサを設け、このセンサからの信号によって自動的にオンオフするスイッチであっても良い。
【0031】
第二の実施形態においても、停電時にポータブル蓄電池2により特定負荷9に給電がされ、さらに太陽光発電パネル3を併用することで残量ゼロまでの時間を先延ばしすることができ、災害時等の停電対策として好適となる。その上、ポータブル蓄電池2をレジャー等で使用したり停電時に必要場所に持っていって使用したりすることができる。
【0032】
第二の実施形態においても、通常時(非停電時)には蓄電用分岐配線44を介してポータブル蓄電池2が通電されて蓄電される。そして、停電時には、蓄電用分岐配線44による電圧がゼロになるので、ポータブル蓄電池2の内部回路により出力端子に出力電圧が生じる。この状態で、停電時用スイッチ14をオンにすると、ポータブル蓄電池2の出力端子につながる蓄電出力接続端子104が負荷端子101に接続され、ポータブル蓄電池2によって特定負荷9に給電がされる。
【0033】
第二の実施形態においては、ポータブル蓄電池2は特定負荷9に対して並列で接続されているので、取り外した際にも非停電時の特定負荷9の給電は支障なく継続される。したがって、離脱時用スイッチ11は設けられていない。その代わり、停電時用スイッチ14が設けられており、停電時の操作が必要になる。第一の実施形態では、ポータブル蓄電池2は特定負荷9に対して直列なので、停電時にはポータブル蓄電池2によって自動給電がされ、スイッチ操作は特に必要がない。但し、上記のように第二の実施形態において停電時用スイッチ14を自動スイッチにしておけば、停電発生時にポータブル蓄電池2による特定負荷9への給電が自動的に開始されるようにすることができる。
【0034】
上記各実施形態において、太陽光発電パネル3は、ポータブル型であると好適である。この意味は幾つかあり、後付けでの施工が極めて容易であるという点と、マンションのような集合住宅においてもベランダがあれば容易に設置できるという点とがある。また、低コストのものが容易に入手できるメリットもある。さらに、太陽光発電パネル3の出力電圧に応じて屋外での用途に兼用することができる。例えば,インバーター31をそのまま使用する場合にはAC100Vでの使用ができるし、インバーター31を取り外してDC電圧での使用ができる場合、スマートフォンの充電等、出力電圧に応じて適宜の用途に利用できる。また、ポータブル蓄電池2が太陽光発電パネル3のDC出力電圧に適合したDC入力端子を有する場合、レジャー等においてポータブル蓄電池2を持ち出した際、太陽光発電パネル3も一緒に持ち出して使用することで、屋外でもポータブル蓄電池2を蓄電しながら使用することができる。このようなポータブル型の太陽光発電パネル3としては、例えば、EcoFlow Technology Japan株式会社から販売されているEcoFlow110Wソーラーパネルを使用することができる。
【0035】
また、上記各実施形態においては、ポータブル蓄電池3への蓄電は、対象分岐開閉器81からの系統電力によるか太陽光発電パネル3によるかパネル用スイッチ12によって選択されたが、双方を同時に使用して蓄電することも可能である。この構成の一例が、
図4に示されている。
図4は、ポータブル蓄電池への蓄電が対象分岐開閉器からの系統電力と太陽光発電パネルとの双方を使用して行われる構成の一例を示した概略図である。
図4の例では、第一の実施形態において双方使用の構成を採用した例となっている。この例では、ポータブル型蓄電池2はDC入力端子26を備えている。そして、太陽光発電パネル3にはインバーターは設けられておらず、太陽光発電パネル3の出力は、DC入力端子26に適合したDC出力になっている。
【0036】
図4に示すように、この構成例ではパネル用スイッチは設けられていない。このため、パネル用スイッチに連動する連動スイッチや連動スイッチによって開閉される第二のバイパス線も設けられていない。そして、スイッチボックス1には、太陽光発電パネル3のDCケーブル32が接続されるパネル用DC入力端子105と、ポータブル蓄電池2のDC入力端子26に接続されるパネル用DC出力端子106とが設けられている。
図4において、パネル用DC入力端子105にDCケーブル32で太陽光発電パネル3を接続すると、ポータブル蓄電池2のDC入力端子62に太陽光発電パネル3が接続された状態となり、昼間の晴れ間であれば、対象分岐開閉器81からの電力と太陽光発電パネル3による電力との双方でポータブル蓄電池3が蓄電される。
【0037】
この例において、停電が発生すると、前述したように、ポータブル蓄電池2の内部回路により出力電圧が発生して第二の主配線42により特定負荷9に対して給電がされる。この場合、DCケーブル32を接続したままにしておくと、昼間の晴れ間の際に太陽光発電パネル3からの電力で自動的にポータブル蓄電池2が蓄電され、ポータブル蓄電池2の電力の使い切りを先延ばしする効果が自動的に得られる。尚、
図4の例において、DCケーブル32を接続しただけでは太陽光発電パネル3によるポータブル蓄電池2の蓄電は行えず、別途操作するパネル用スイッチをさらに設けても良い。このようなパネル用スイッチはスイッチボック1に設けられるが、ポータブル蓄電池2がそのようなスイッチを備えている場合もある。
さらに、上記第一第二の実施形態において、パネル用スイッチ12に相当するスイッチをポータブル蓄電池2が備えていて、スイッチボックス1にはパネル用スイッチ12が設けられていない場合もある。但しこの場合、第一の実施形態については、連動スイッチ13をポータブル蓄電池2上のスイッチに連動するよう構成する必要があり、構成が多少複雑になる欠点がある。
【0038】
尚、対象分岐開閉器81からの電力と太陽光発電パネル3による電力との双方でのポータブル蓄電池3の蓄電する構成は、第二の実施形態においても同様に採用し得る。この場合も、パネル用スイッチ12は省略することができる。
また、対象分岐開閉器81からの電力と太陽光発電パネル3による電力との双方でポータブル蓄電池2を蓄電する構成は、インバーター31により太陽光発電パネル3の出力を交流に変換する構成においても行い得る。例えば、二つの交流電力を重畳させる回路をスイッチボックス1内に設ける構成を採用し得る。
【0039】
尚、上記各実施形態の後付けセットは、一般の住宅の他、オフィスや官公署においても好適に使用することができる。例えば、災害時に対応の司令塔的な役目を果たす官公署では、停電であっても必要最小限の電源(関係各所への連絡用の電源等)が確保される必要がある。この目的で、各実施形態の後付けセットを使用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 スイッチボックス
101 負荷端子
102 パネル用端子
103 蓄電入力接続端子
104 蓄電出力接続端子
11 離脱時用スイッチ
12 パネル用スイッチ
13 連動スイッチ
14 停電時用スイッチ
2 ポータブル蓄電池
3 太陽光発電パネル
31 インバーター
41 第一の主配線
411 ボックス内主線
412 第一のバイパス線
42 第二の主配線
43 第二のバイパス線
44 蓄電用分岐配線
8 分電盤
81 対象分岐開閉器
9 特定負荷
【要約】
【課題】 低コストで使い勝手が良く、居住中の住宅においても後から非常用電源対策が行える非常用電源設備を提供する。
【解決手段】 既存の分電盤8に後付けで取り付けされる後付け停電対策セットは、対象分岐開閉器81とスイッチボックス1をつなぐ第一の主配線41と、スイッチボックス1と特定負荷9とをつなぐ第二の主配線42と、スイッチボックス1に取り付けられるポータブル蓄電池2及び太陽光発電パネル3とから成る。非停電時に対象分岐開閉器81からの給電によって蓄電されたポータブル蓄電2は、停電時に特定負荷9に給電する。ポータブル蓄電池2の入力側で対象分岐開閉器81と並列に接続される太陽光発電パネル3が発生させる電力によってもポータブル蓄電池2は蓄電可能であり、非停電時にポータブル蓄電池2への給電を太陽光発電パネル3からの電力で行う状態において、対象分岐開閉器81から特定負荷9への給電が確保される。
【選択図】
図1