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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/20 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
B65D30/20 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019174744
(22)【出願日】2019-09-25
(65)【公開番号】P2021050026
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2021-07-01
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大場 進太郎
【合議体】
【審判長】筑波 茂樹
【審判官】藤井 眞吾
【審判官】金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-058600(JP,A)
【文献】実開昭58-014348(JP,U)
【文献】特開2009-035323(JP,A)
【文献】特開2015-067328(JP,A)
【文献】国際公開第2018/180621(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭用薄葉紙の束をフィルム包装した変形可能な柔軟な略直六面体形状の被包装品を複数個、天底方向に積み重ねた集合体を包装する包装袋であり、
正面及び背面とこれらを接続する両側面とを有し、被包装品が収納される本体部と、
前記正面及び背面が重ね合わされて前記本体部の天側に形成された把持部と、を有するガセット包装袋であり、
前記本体部の正面及び背面の少なくとも一方の面に開口形成部を有し、
この開口形成部は、本体部内に収納される被包装品の最上部に対応する位置より上方で、前記把持部の下方に位置する領域に形成された基点部と、
この基点部から始まり天側と反対の底側方向に向かうにしたがって側面方向に離間距離が漸次拡幅する一対の拡幅ミシン目部と、
前記拡幅ミシン目部の底側端に連続し、天底方向に沿って延在する一対の延伸ミシン目部と、を有し、
前記基点部の位置は、把持部の下縁から5~15mmにあり、
前記拡幅ミシン目部は、前記基点部から、把持部の下縁から底側に40~60mmかつ正面又は背面と側面との境界位置から幅方向中央側に5~20mmの範囲に延在され、
前記延伸ミシン目部は、側面と正面又は背面との境界位置から5~20mmの範囲にあり、かつ、延伸ミシン目部の長さが一つの被包装品の天底方向長さの95~110%の長さとされ、一対の拡幅ミシン目部の底側の端の間の離間距離が、一つの被包装品の幅方向長さの90%超98%以下とされている、
ことを特徴とする包装袋。
【請求項2】
基点部が、ミシン目又はスリットにより形成されている請求項1記載の包装袋。
【請求項3】
基点部と拡幅ミシン目部との連結部分がカット部である、請求項1記載の包装袋。
【請求項4】
拡幅ミシン目部と延伸ミシン目部との連結部分が、拡幅ミシン目部及び延伸ミシン目部における他の部分よりも裂開しやすい易裂開部とされている、請求項1記載の包装袋。
【請求項5】
拡幅ミシン目部と延伸ミシン目部との境が、本体部内に収納される被包装品の最上部に対応する位置とされている、請求項1記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
ティシュペーパーの束を樹脂製の柔軟なフィルムによって包装したフィルム包装ティシューを一個又は複数個で包装する包装袋は、包装される物品が収容される本体部と、本体部の上部に設けられた持手部とを備えている。
【0003】
このような包装袋では、持手部に指掛用の指掛穴が設けられており、フィルム包装ティシューの購入者等が、この指掛穴に指を掛けることで、包装袋に収容されたフィルム包装ティシューを持ち運ぶことができるようになっている。
【0004】
他方で、トイレットロール等の製品を包装する包装袋においては上面または天面部には、被包装品を取り出すための開封口を形成するための開口形成部が設けられる(下記特許文献1)が、トイレットロール用の開口形成部は、形状や柔らかさが異なるフィルム包装ティシューに必ずしも適するとはいえない。
【0005】
柔軟性がありながら略矩形の外形をなすフィルム包装ティシューを複数個まとめて集合包装する包装袋では、集合包装時の形状が保持しやすく、また、輸送時の破断を防止する観点から、フィルムの膜厚を厚くし、開口形成部を設けないことも行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-269009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、フィルムの厚さを厚くし、開口形成部を設けないようにすれば、当然に開封がし難くなる。また、開封部分が乱雑になり見栄えも悪くなり、また、衛生的な印象も与えない。さらに、集合包装製品において内容物を簡単に取り出せないことは、使用者にとって好ましいことではない。
【0008】
そこで、本発明の主たる課題は、被包装品を持ち運ぶ際に包装袋が誤開封し難く、簡単に包装袋を開封して内容物を取り出すことができ、しかも未使用分の被包装品を簡易的に包装袋内に留めて包んだ状態にすることができる包装袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段は次のとおりである。
【0010】
その第一の手段は、
家庭用薄葉紙の束をフィルム包装した略直六面体形状の被包装品を複数個、天底方向に積み重ねた集合体を包装する包装袋であり、
正面及び背面とこれらを接続する両側面とを有し、被包装品が収納される本体部と、
前記正面及び背面が重ね合わされて前記本体部の天側に形成された把持部と、を有するガセット包装袋であり、
前記本体部の正面及び背面の少なくとも一方の面に開口形成部を有し、
この開口形成部は、本体部内に収納される被包装品の最上部に対応する位置より上方で、前記把持部の下方に位置する領域に形成された基点部と、
この基点部から始まり天側と反対の底側方向に向かうにしたがって側面方向に離間距離が漸次拡幅する一対の拡幅ミシン目部と、
前記拡幅ミシン目部の基端部側の他端と連続してから天底方向に沿って延在する一対の延伸ミシン目部と、を有し、
延伸ミシン目部の長さが一つの被包装品の天底方向長さの95~110%の長さとされ、一対の拡幅ミシン目部の底側の端の間の離間距離が、一つの被包装品の幅方向長さの90%超98%以下とされる、ことを特徴とする包装袋である。
【0011】
第二の手段は、
基点部が、ミシン目又はスリットにより形成されている上記第一の手段に係る包装袋である。
【0012】
第三の手段は、
基点部と拡幅ミシン目部との連結部分がカット部である、上記第一の手段に係る包装袋である。
【0013】
第四の手段は、
拡幅ミシン目部と延伸ミシン目部との連結部分が、拡幅ミシン目部及び延伸ミシン目部における他の部分よりも裂開しやすい易裂開部とされている、上記第一の手段に係る包装袋である。
【0014】
第五の手段は、
拡幅ミシン目部と延伸ミシン目部との境が、本体部内に収納される被包装品の最上部に対応する位置又はその近傍に位置される、上記第一の手段に係る包装袋である。
【0015】
第六の手段は、
延伸ミシン目部が、側面と正面又は背面との境界位置から5~20mmの範囲にある、上記第一の手段に係る包装袋である。
【発明の効果】
【0016】
以上の本発明によれば、被包装品を持ち運ぶ際に包装袋が誤開封され難く、簡単に包装袋を開封して内容物を取り出すことができ、しかも未使用分の被包装品を簡易的に包装袋内に留めて包んだ状態にすることができる包装袋が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る包装袋の正面図である。
図2図1のB-B断面図である。
図3】本発明に係る包装袋の概要を説明するための斜視図である。
図4】本発明に係る包装袋及び包装袋を用いたフィルム包装ティシュー集合包装体を説明するための斜視図である。
図5】本発明に係る開口形成部を説明するための斜視図である。
図6】本発明に係る包装袋の開封態様を説明するための斜視図である。
図7】本発明に係る被包装品であるフィルム包装ティシューの例を説明するための斜視図である。
図8】本発明に係る被包装品であるフィルム包装ティシューの構造例を説明するための斜視図である。
図9】ティシュペーパー束を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施形態である図1図9を参照しながら説明する。
【0019】
本発明に係る包装袋14は、正面46及び背面46とこれらを接続する両側面43,43とを有し、被包装品1が収納される本体部44と、前記正面46及び背面46が重ね合わされて前記本体部44の天側に形成された把持部45と、を有する、ガセット包装袋14である。なお、以下、被包装品として、主にフィルム包装ティシュー1を例に説明するが、被包装品は必ずしもフィルム包装ティシューに限定されない。例えば、フィルム包装ペーパータオル等、家庭用薄葉紙の束をフィルム包装した製品等とすることができる。
【0020】
本体部44は、袋状の空間であり、天底側の熱融着等による接着部分41,42によって被包装品1が内包された状態で閉じられる。このガセット包装袋14は、例えば、特に図2及び図3に示されるように、側面43,43を袋内側に折り込みして偏平にした状態で天面側となる部分において、正面46と背面46とを熱融着して天面側の開口を天面側封止部41として封止するとともに、この天面側封止部41よりも天面側を前記把持部45として形成し、その後にこの天面側のみが封止された状態のガゼット包装袋14の底面側開口40Xを拡開してそこから被包装品(図示の形態ではフィルム包装ティシュー1,1…)を挿入し、その後に底面側も熱融着等の適宜の封止手段にて封止して下部封止部42を形成する。
【0021】
このガゼット包装袋14は、偏平状態において折り込まれていた部分である、マチ又はマチ部とも称される側面43, 43と、この側面43に連接する各面とを有する。この各側面43,43に連接する二つ目の面が、正面46及び背面46である。なお、正面46及び背面46は相対的なものであり、いずれの面を正面とするかは限定されるものではない。
【0022】
把持部45は、被包装品1,1…を内包した状態で持ち運び性を高めるために、被包装品たるフィルム包装ティシュー1が内包される本体部44との天面側の境となる天面側封止部41より天面側に位置する部分である。把持部44には、指掛け孔47が形成されるのがよい。このように把持部45に指掛け孔47が形成されることで被包装品の持ち運び性が高まる。なお、指掛け孔47の形状は図示の形態に限らず公知の形態を採用することができる。
【0023】
ガセット包装袋14を構成するガセット包装フィルムとしては、ポリプロピレンフィルム及びポリエチレンフィルムであるのがコスト面及び開封性の点で望ましい。フィルムの融点は150℃以下であるのがよい。なお、包装フィルムは、融点が低いほうが低温で熱融着処理でき、封止や把持部45の形成において好ましいが、過度に融点が低い場合には、被包装品1との摩擦などによって傷が付いたり、穴が空くおそれが高まるので、実質的な下限値は80℃である。ポリエチレンフィルムとしては、直鎖低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE)、低密度ポリエチレンフィルム(LDPE)、中密度ポリエチレンフィルム(MDPE)が挙げられる。なかでも、本発明においては、熱融着性及びコストの点で、密度0.9100.940g/cm3で融点が110120℃の直鎖低密度ポリエチレンフィルム層(LLDPE)が、特に適する。また、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム、塩化ビニリデンフィルム、エチレンビニルアルコール共重合体の単層フィルム、または、それらのフィルムを含む適宜積層されたラミネートフィルムや、それらのフィルムにアルミ蒸着などの表面処理を施したガスバリアフィルムを用いてもよい。サトウキビ、芋(デンプン)、トウモロコシといった植物原料に由来するバイオマスフィルムを用いることもできる。ガセット包装フィルムにバイオマスフィルムを使用するのも、環境保護の観点から望ましい。
【0024】
ガゼット包装袋14を構成するガセット包装フィルムの厚さは、柔軟性、コスト、包装時における熱融着性に加えて、開封時に容易に開封できる引裂き性、内包される被包装品に対する耐摩耗性、さらに把持部45に設けられた指掛け孔47に指を通して持ち運ぶ際に指に過度の負荷がかからない柔軟性等、ガセット包装特有の事情に加えて内包される被包装品1との関係を考慮して適宜に選択する。
【0025】
このような点から好ましいガセット包装フィルムの厚み及びソフトネスは、JIS P 8118(1998)に準拠して測定される厚みが10~65μm、JIS L 1096(2010) E法に準じたハンドルオメータ法に基づいて測定されるソフトネスが5.0~50.0cNである。
【0026】
本発明に係る包装袋14は、把持部45をもって被包装品1を持ち運ぶ際に、包装袋14が誤開封し難く、簡単に開封して被包装品1を取り出すことができ、しかも未使用分の被包装品1を簡易的に包装袋内に留めて包んだ状態にすることができる、特徴的な開口形成部5を有している。この開口形成部5は、前記本体部44の正面46及び背面46の少なくとも一方の面に形成されている。
【0027】
本発明に係るこの開口形成部5は、本体部44内に収納される被包装品1の最上部に対応する位置Pより上方で、把持部45の下方に位置する領域に形成された基点部51と、この基点部51から天側と反対の底側方向に向かうにしたがって側面方向に離間距離が漸次拡幅する一対の拡幅ミシン目部52,52と、前記拡幅ミシン目部52,52から天底方向に沿って延在する一対の延伸ミシン目部53,53と、を有している。
【0028】
前記基点部51から順次、拡幅ミシン目部52、延伸ミシン目部53を裂開していくことで、正面46及び背面46の少なくとも一方の面に、開閉自在な蓋状縁片55を有する開口部50が形成される。
【0029】
前記基点部51は、各ミシン目部52,53の裂開の起点となる部分であり、例えば、人の指で押すことで容易に包装フィルムが裂けて、摘むことができる小縁片56が形成されるようにした、ミシン目やスリットで形成されている。人の指で押し込むことにより裂けるようにするのではなく、予め摘めるようにカットした小縁片でもよい。その形状は、特に限定されないが、略円形や略四角形等である。このような基点部51では、例えば、人差し指を押し入れた後、その人差し指と親指で小縁片56を摘まみ、底側に引くだけで、連続的に拡幅ミシン目部52、延伸ミシン目部53が裂開し、容易に開口部を形成することができる。
【0030】
基点部51の位置は、背面46又は正面46の両側の中央部、好ましくは中央であり、把持部45の下縁、すなわち天面側封止部41の下縁から5~15mmが望ましい。把持部45は、ガセット包装フィルムが熱融着等により接着され剛性が高くなっているため、基点部51をこの把持部45に近い5~15mmの範囲とすると指で押す操作をした際に、ガセット包装フィルムが過度に伸びず押し込まれて、容易に開封基点を形成することができる。
【0031】
好ましい基点部51の例としては、特に図5に示すように、少なくとも最も天面に近い部分にタイ部分(非カット部分)を形成したスリットや、ミシン目が挙げられる。ミシン目とする場合のカット部分とタイ部分の長さは、特に限定されないが、カット部分が0.1~15mm、タイ部位分が0.1~15mmであるのが望ましい。連続的にミシン目が裂開されやすい。
【0032】
拡幅ミシン目部52,52は、一対で構成され、各拡幅ミシン目部52が、前記基点部51を起点とするとともに基点部51に連続しており、それらが基点部51から天側と反対の底側方向に向かうにしたがって側面方向に離間距離が漸次拡幅するように形成されている。例えば、基点部51から底面に向かうにしたがって略ハ字状を描くようにミシン目を配して形成される。それぞれの拡幅ミシン目部52は、直線状であっても曲線であってもよいが、連続的にミシン目が裂開されやすい直線であるのが望ましい。なお、一対の拡幅ミシン目部52,52は、天底方向に沿う方向に対して左右対称に配されている必要はないが、一対の拡幅ミシン目部52,52が、ともに直線であり、かつ天底方向に沿う方向に対して左右対称に配されているのが望ましい。基点部51の小縁片を摘まんで引く際に各拡幅ミシン目52,52に対称に力が加わり、一対の各拡幅ミシン目部52,52が同様に連続的に裂開しやすくなる。
【0033】
この拡幅ミシン目部52,52により、前記基点部51から連続的にミシン目を裂開することで、略ハ字状に天側から底側に向かって拡幅する開口部分が形成される。
【0034】
また、拡幅ミシン目部52,52は、前記基点部51から、把持部45の下縁となる天面側封止部41から包装フィルム上を底側に40~60mmかつ正面46又は背面46と側面43との境界位置Eから幅方向中央側に5~20mmの範囲に延在されているのが望ましい。このような拡幅ミシン目部52,52であれば、連続的に裂開しやすい。
【0035】
一対の拡幅ミシン目部52,52の底側の端の間の離間距離L1は、例えば、図示例のように被包装品をフィルム包装ティシュー1のように略直六面体形状であり、これを積み重ねる態様の場合には、被包装品1の長さ(幅)L2の90%超98%以下であるのが望ましい。この程度の開口があれば被包装品1をより取り出しやすくできる。特に、被包装被1がやや変形可能な柔軟なフィルム包装ティシューであれば、容易に取り出すことができる。
【0036】
拡幅ミシン目部52におけるミシン目のカット部分とタイ部分の長さは、特に限定されないが、カット部分が0.1~15mm、タイ部分が0.1~15mmであるのが望ましい。連続的に開封しやすくなる。
【0037】
延伸ミシン目部53,53は、前記拡幅ミシン目部52,52の底側端に連続し、そこから天底方向に沿って延在するように形成されている。したがって、延伸ミシン目部53,53も拡幅ミシン目部52,52と同様に一対で構成される。一対の延伸ミシン目部53,53の間の間隔は、図示の形態のように一定であるのが望ましいが、被包装物の取り出し性に影響を与えない範囲で、底側に向かうにしたがって拡幅するようにしたり、狭窄するようにしてもよい。また、一対の延伸ミシン目53,53の各延伸ミシン目53の長さは同一である必要はない。延伸ミシン目部53,53も拡幅ミシン目52,52と同様に直線に配されるのが望ましい。延伸ミシン目部53,53の位置としては、上記拡幅ミシン目部52,52の望ましい底側位置、すなわち、側面43から5~20mmの範囲にあるのが望ましい。この延伸ミシン目53,53により、より広い開口が形成され、被包装品1を取り出しやすくすることができる。
【0038】
延伸ミシン目部53,53の底側の端位置は、必ずしも限定されない。但し、ガセット包装袋の底部に至るまで、延伸ミシン目部を配すると広い開口が形成され取り出し性は良好になるものの、持ち運び時や陳列時に誤開封してしまうリスクが高まる。また、過度に広い開口が形成されると未使用のフィルム包装ティシューが意図せず開口から出てしまうおそれも高まる。したがって、延伸ミシン目部の底側の位置は、開封性・保管性を考慮して適宜に定める。好適には、1~2つ程度のフィルム包装ティシューが取り出しやすいように設計するのがよい。
【0039】
より具体的には、図示例のように被包装品1をフィルム包装ティシューのように略直六面体形状であり、これを積み重ねる態様の場合には、被包装品1の天底方向長さL4の95~110%の長さとするのがよい。被包装品1を取り出しやすくなる。また、フィルム包装ティシューの一般的な大きさを考慮すると、延伸ミシン目部53,53の天底方向の具体的な長さL3としては、35~55mmであるのが望ましい。
【0040】
このように構成される開口形成部5は、基点部51から順次、拡幅ミシン目部52,52、延伸ミシン目部53,53を裂開しやすく、開口部50を容易に形成しやすい。その一方で、本体部44内に収納される被包装品1の最上部に対応する位置Pより上方で、前記把持部45の下方に位置する領域に基点部51があるため、被包装品1を持ち運ぶ際に把持部45を掴んで持ち上げる操作をしたり、また、そのように持ち上げた状態の際に、基点部51が内包される被包装品1と擦れたりし難い。また、把持部45の幅方向中央部を手で掴んだ際には、拡幅ミシン目部52,52の延在方向に概ね沿うような方向にガセット包装フィルムが引っ張られるため拡幅ミシン目部52が意図せず裂開し難い。このように、本発明に係る包装袋14は、被包装品1を持ち運ぶ際に包装袋14が誤開封し難く、簡単に包装袋14を開封して被包装品1を取り出すことができる。
【0041】
さらに、本発明に係る開口形成部5では、拡幅ミシン目部52,52、延伸ミシン目部53,53を裂開すると、延伸ミシン目部53,53の底側端よりも天側部分が、自由な蓋状縁片56となって存在するようになる。このため、例えば、内包される被包装品1の一部を使用のために取り出した後に、その蓋状縁片56を残る未使用の被包装品の上に載せ、さらに、その上から袋内に残る未使用の被包装品1の最上位位置よりも天側の包装袋14の一部を載せるようにすれば、未使用分の被包装品1を簡易的に包装袋内に留めて包んだ状態にすることができる。
【0042】
ここで、本発明に係る開口形成部5は、特に、基点部51と拡幅ミシン目部52との連結部分61がカット部とされているのが望ましい。基点部51から拡幅ミシン目部52にスムーズにミシン目が裂開されるようになる。
【0043】
さらに、本発明に係る開口部50は、特に、拡幅ミシン目部52,52と延伸ミシン目部53,53との連結部分62が、拡幅ミシン目部52と延伸ミシン目部53の他の部分よりも裂開しやすい易裂開部とされているのが望ましい。拡幅ミシン目部52と延伸ミシン目部53は、延在方向が異なるため、基点部51から順次、拡幅ミシン目部52、延伸ミシン目部53とミシン目を裂開させていく際に、拡幅ミシン目部52と延伸ミシン目部53との連結部分62において、ミシン目の裂開する方向が変化する。従って、拡幅ミシン目部52と延伸ミシン目部53との連結部分62が、他の部分よりも裂開しやすい易裂開部とされていると、拡幅ミシン目部52から延伸ミシン目部53にスムーズにミシン目の裂開が進むようになる。易裂開部62としては、例えば、連結部分62をカット部のみで構成したり、他の部分よりもミシン目のカット部の長さを長くするようにした部分とすることができる。
【0044】
また、本発明に係る包装袋14では、本体部内に収納される被包装品1の最上部に対応する位置P又はその近傍に、拡幅ミシン目部52と延伸ミシン目部53との境又はその近傍が位置するようにするのが望ましい。被包装品1を持ち運ぶ際に意図せず拡幅ミシン目部52が裂開しがたく、その一方で、前記最上部位置Pの近傍から底側に向かって延伸ミシン目部53による広い開口が形成されるため、被包装品1を取り出しやすくなる。
【0045】
ここで、本発明の包装袋14は、図示例のように、複数組のティシュペーパー2を折り畳み重ねた束3を、柔軟性のある包装フィルム4によって包装したフィルム包装ティシュー1を被包装品とし、特に、このフィルム包装ティシュー1を、複数個、配列して、ガセット包装し、フィルム包装ティシュー集合包装体10(以下、集合包装体ともいう)とするに適するものである。このような集合包装体10も本発明として提案される。なお、ここでのフィルム包装ティシュー1は、ポケットティシューと称される携帯用のものではなく、このような携帯用に比して質量が重い据え置き型として使用されるようなフィルム包装ティシュー1である。
【0046】
被包装品1として適するフィルム包装ティシュー1としては、束3をオーバーラップ包装したものでも、ピロー包装したものでもよい。オーバーラップ包装は、特に、図7及び図8に示すように、キャラメル包装又は合せ包み包装とも称される包装形態であり、束3を包装フィルム4で長手方向両端に開口4Zが形成されるように筒型に巻き込むようにして包み、その巻き込み方向において重畳する部分4Xを融着処理や接着剤によって接着し、さらに束3を越えて延び出る部分4Yを、束端面の対向する二つの縁の近傍から、前記束3の端面側に折り込み、その際に形成される略三角形又は略台形の片の少なくとも各先端縁部同士を重ねて融着処理や接着剤によって接着して、筒開口4Zを封止して妻面4Aとする包装態様である。
【0047】
このオーバーラップ包装は、妻面4Aが略平面形状となるため包装フィルム4による外装が、特に箱に近い略直六面体形状となる。また、妻面4Aが、包装フィルム4が複数層重ねられたうえで接着されてなるため剛性が高く、潰れがたく略直六面体形状が維持されやすい。したがって、本発明に係る包装袋14内に被包装品1として収納した際に、包装袋の形状が安定しやすく、持ち運び性に優れ、また、包装袋14内で意図せず動いたりし難く、本発明に係る包装袋の効果を発揮しやすい。
【0048】
フィルム包装ティシュー1を被包装品1とする場合、ガセット包装袋14内に配列形態としては、図示の形態のように、フィルム包装ティシュー1の上底面を突き合わせて積み重ねるようにするのが望ましい。複数個のフィルム包装ティシュー1,1…が全体として略直六面体となるように配列され集合体全体として安定性及び形状保持性の高まり、外力によって崩れたり潰れたりし難くなり、本発明に係る包装袋の効果をより発揮しやすい。
【0049】
ここで、特に、この場合、ガセット包装袋14を構成するガセット包装フィルムのソフトネスを、フィルム包装ティシュー1を構成する包装フィルム4のソフトネスより低くするのが望ましい。天面側に把持部45を有するガセット包装袋14は、把持部45を持った際に、ガセット包装袋14が天底方向に引っ張られるため、その際に内包される被包装品であるフィルム包装ティシュー1,1…に圧が加わることがあるが、ガセット包装フィルム14のソフトネスを低くすることで、内包されるフィルム包装ティシュー1の直六面体形状が変形し難くなり、内部の束3を圧せずふんわり感を低下させがたくなる。
【0050】
フィルム包装ティシュー1に内包されるティシュペーパーの束3については特に限定されないが、図9に示すように、ポップアップ式であるのが望ましい。ポップアップ式の束3は、縦197±10mm×横217±10mm程度の略方形のティシュペーパー2が二つ折りされ、その折り返した内側2Aに上下に位置する他のティシュペーパー2の折り返した片2Bが位置するようにして、複数のティシュペーパー2が折り畳み積層されているものであり、最上位に位置する一枚の折り返し片を上方に引き上げると、その直下で隣接する他の一枚の折り返し片2Bが、上方に引きずられて持ち上げられる。このような束3は、マルチスタンド式、ロータリ式の既知のインターフォルダにより製造することができる。
【0051】
上記のポップアップ式の束3は、各ティシュペーパー2の折り返し縁2Cが並ぶ一対の長手側面3Bと、折り返し縁2Cが並ばない一対の短手側面3Aとを有し、さらに短手側面3Aと長手側面3Bとに連接する一対の平面(上下面)3Cを有する略直方体形状をなす。束3を構成するティシュペーパー2の組数は限定されないが、一般的には2プライ(2枚重ね)又は3プライ(3枚重ね)を1組としてとして120~240組である。束3の大きさは、必ずしも限定されないが、2プライのティシュペーパーを150組、束としたもので、概ね高さ40~50mm×長手方向(幅)160~200mm×短手方向(奥行)90~110mm程度である。
【0052】
なお、本発明及び本明細書における天底方向、上下方向については、包装袋、フィルム包装ティシュー集合包装体及びフィルム包装ティシューの向きによって適宜に変更されるものであり、絶対的な方向を意味するものではない。
【符号の説明】
【0053】
14…ガセット包装袋、43…側面(マチ部)、44…本体部、45…把持部、46…正面,背面、41…天面側封止部、42…底面側封止部、40E…ガセットチューブ形態のガセット包装フィルムの側部、40X…底面側開口、47…指かけ孔、5…開口形成部、50…開口部、51…基点部、52…拡幅ミシン目部、53…延伸ミシン目部、55…蓋状縁片、56…小縁片、61…基点部と拡幅ミシン目部との連結部分、61…拡幅ミシン目部と延伸ミシン目部との連結部分、P…被包装品の最上部に対応する位置、E…正面又は背面と側面との境界位置、L1…拡幅ミシン目部の底側端離間距離、L2…被包装品の幅方向長さ、L3…延伸ミシン目部の天底方向の長さ、L4…被包装物の高さ方向長さ、1…被包装品(フィルム包装ティシュー)、 2…ティシュペーパー、2A…折り返した内側、2B…折り返した片、2C…折り返し縁、3…ティシュペーパーの束、3A…短手側面、3B…長手側面、3C…束の上下面、4…包装フィルム、4X…包装フィルムの重畳部分、4Y…包装フィルムの延在部分、4Z…包装フィルムの筒開口、4A…妻面、10…フィルム包装ティシュー集合包装体。
図1
図2
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図5
図6
図7
図8
図9